- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人は,控訴人に対し,金14万9518円を支払え。 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要控訴人は,被控訴人にタクシー乗務員として雇用されている者であるが,①控訴人が平成14年8月から同16年4月までの間に有給休暇を取得した月(以下「有給休暇取得月」という)の賃金(以下「本件賃金」という)に関する被控訴人の算定。 。 方法は,有給休暇中の賃金について所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の算定方法を定めた労働基準法39条6項本文,同法施行規則25条6号に違反す,,,る②賞与算定期間に有給休暇取得月を含む平成14年度冬季賞与同15年度夏季冬季賞与,同16年度夏季賞与(以下,これらを併せて「本件賞与」という)に関。 する被控訴人の算定方法は,有給休暇を取得した労働者に対する不利益取扱いを禁じた労働基準法附則136条ないし公序良俗に違反すると主張して,本件賃金及び本件賞与について上記算定方法を是正した場合の差額合計金14万9518円の支払を求。 ,,。 めた原審は控訴人の請求を棄却したところこれを不服とする控訴人が控訴した本件は,前記事案の控訴審事件である。 争いのない事実(1)当事者等ア被控訴人は,一般乗用旅客自動車運送事業を業とする株式会社である。 イ控訴人は,平成8年5月1日,被控訴人にタクシー乗務員として雇用された。 (2)被控訴人におけるタクシー乗務員の有給休暇取得日についての取扱い被控訴人は,タクシー乗務員が有給休暇を取得した場合,以下の計算式に従って仮想営業収入を算出し,当月の営業収入に加えている(なお,賃金体系全体に おけるタクシー乗務員の有給休暇取得日についての取扱い被控訴人は,タクシー乗務員が有給休暇を取得した場合,以下の計算式に従って仮想営業収入を算出し,当月の営業収入に加えている(なお,賃金体系全体については,後記3のとおり争いがある。 。)1日当たりの仮想営業収入額=過去3か月間の実際の営業収入額÷66(毎月の所定乗務数を11,1乗務を2労働日,1か月の所定労働日数を22日とした場合の3か月分の日数)当月の仮想営業収入額=1日当たりの仮想営業収入額×当月取得した有給休暇日数当月の営業収入額=当月の実際の営業収入額+当月の仮想営業収入額(3)被控訴人におけるタクシー乗務員の賞与の取扱いア被控訴人は,タクシー乗務員に対し,夏季賞与として前年11月21日から当年5月20日までの間の1か月間毎の営業収入に対する累進歩合制により算定し- 2 -た金額を同年7月10日前後に支給し,冬季賞与として当年5月21日から同年11月20日までの間の1か月間毎の営業収入に対する累進歩合制により算定した金額を同年12月10日前後に支給している。 イ被控訴人は,タクシー乗務員の賞与算定において,賞与算定期間の実際の営業収入を基礎に賞与額を算定しており,同期間中に当該タクシー乗務員が有給休暇を取得した日があっても,仮想営業収入を営業収入に加算することなく,有給休暇取得日は営業収入がないものとして扱っている(以下「本件賞与算定方法」という。 。)ウ被控訴人におけるタクシー乗務員の賞与額は,夏季及び冬季とも,消費税,有給仮想営業収入,公休出勤歩合を除く月間営業収入が,35万円未満の場合はその1%,35万円以上39万円未満の場合はその2%,39万円以上43万円未満の場合はその4%,43万円以上47万円未満はその6%,47万円以上52万円未満はその7 営業収入が,35万円未満の場合はその1%,35万円以上39万円未満の場合はその2%,39万円以上43万円未満の場合はその4%,43万円以上47万円未満はその6%,47万円以上52万円未満はその7%,52万円以上56万円未満はその8%,56万円以上59万円未満はその9%,59万円以上はその10%である。 争点 (1)控訴人が有給休暇を取得した場合の被控訴人の賃金算定方法は,有給休暇中の賃金について所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の算定方法を定めた労働基準法39条6項本文,同法施行規則25条6号に違反するか。 (2)本件賞与算定方法は,有給休暇を取得した労働者に対する不利益取扱いを禁じた労働基準法附則136条ないし公序良俗に反するか。 争点に対する当事者の主張(1)争点(1(被控訴人の賃金算定方法の違法性)について)【控訴人】ア被控訴人は,タクシー乗務員の賃金算定を以下の計算式に従って行っている。 1日当たりの仮想営業収入額=過去3か月間の実際の営業収入額÷66(毎月の所定乗務数が通常11乗務であり,1乗務は2労働日であることから,1か月の所定労働日数を22日とし,その3か月分の日数)当月の仮想営業収入額=1日当たりの仮想営業収入額×当月取得した有給休暇日数当月の営業収入額=当月の実際の営業収入額+当月の仮想営業収入額当月の給与額=当月の営業収入額×50%イ上記アの賃金算定方法によると,過去3か月間に有給休暇を取得した日を含む場合,その分だけ1日当たりの仮想営業収入額が下がることになるが,このような算定方法は,有給休暇中の賃金について所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の算定方法を定めた労働基準法39条6項本文,同法施行規則25条6項に違反する。 ウ被控訴人は,上記アの賃金算定 な算定方法は,有給休暇中の賃金について所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の算定方法を定めた労働基準法39条6項本文,同法施行規則25条6項に違反する。 ウ被控訴人は,上記アの賃金算定方法のうち1日当たりの仮想営業収入額については,過去3か月間に当該タクシー乗務員が有給休暇を取得した日を含む場合,- 3 -実際の営業収入額を過去3か月間の有給休暇取得日を除いた実際の稼働日数で除した額として算出すべきである。 エ控訴人の有給休暇取得月の賃金について,上記ウの計算式により算定した金額,「」「」と実際に支給された金額の差額は別表1の給与分年休計算欄の支給差額欄(平成14年6月分の1681円を除く)記載のとおりであり,その合計は。 1万1096円である。 【被控訴人】ア被控訴人のタクシー乗務員の給与は,①当月(締め日までの1か月間)の所定乗務数に従って支給される賃金(基本給,乗務給,精勤手当,通勤手当,所定内深夜手当,所定外時間深夜手当,②被控訴人における乗務経験年数に応じて支)給される年功給,③当月の所定乗務数が条件を充足した場合に支給される家族手,(,,当④当該乗務員の営業収入に応じて支給される賃金歩合給歩合給深夜手当歩合給時間外深夜手当,以下これらを併せて「歩合給等」という)等であり,。 上記①ないし③の賃金は,所定の乗務数に従った固定給であり,上記④の賃金は営業収入に応じて金額が算定される。 イ控訴人が有給休暇を取得した各月における歩合給の金額は,別表2記載のとおり,労働基準法39条6項本文,同法施行規則25条6項に定める所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金額を上回っている。また,控訴人が有給休暇を取得した各月における総賃金額は,別表3,4記載のとおり,各月における控訴人の総 法施行規則25条6項に定める所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金額を上回っている。また,控訴人が有給休暇を取得した各月における総賃金額は,別表3,4記載のとおり,各月における控訴人の総賃金額について,仮想営業収入を加算せずに賃金額を算定し,これに控訴人が取得した有給休暇日数分の平均賃金額を加算した金額を上回っている。 ウしたがって,被控訴人の歩合給の算定方法は,労働基準法39条6項本文,同法施行規則25条6項に違反しない。 (2)争点(2(本件賞与算定方法の違法性)について)【控訴人】ア本件賞与算定方法によれば,賞与算定期間に有給休暇を取得すれば,その分だけ賞与が下がることになり,有給休暇を取得した労働者に対する不利益取扱いを禁じた労働基準法附則136条ないし公序良俗に違反する。 イ被控訴人は,賞与算定においても,実際の営業収入額に前記(1【控訴人】)ウと同様の計算式により算出される仮想営業収入額を加算した金額を基礎に行うべきである。 ウ本件賞与について,上記イの計算式により算定した賞与額と実際に支給された賞与額の差額は,別表1の「賞与分年休計算」欄の「支給差額」欄記載のとおりであり,その合計は13万8422円である。 【被控訴人】ア賞与を支給するか否かは使用者の裁量に委ねられており,その支給条件についても,算定期間における従業員の勤務状況,勤務成績,使用者の経営状況等を考慮して,労働協約,就業規則等で自由に定めることができる。被控訴人は,賞与について,平成2年10月20日に大国自動車交通労働組合及び大国自動車交通第一労働組合との間で締結した労働協約の規定に従って支給している。 - 4 -,. ,. イ控訴人の賞与が年収に占める割合は平成14年が391%同15年が799%,同16年が13.09%にす 一労働組合との間で締結した労働協約の規定に従って支給している。 - 4 -,. ,. イ控訴人の賞与が年収に占める割合は平成14年が391%同15年が799%,同16年が13.09%にすぎず,大きな割合を占めていない。また,タクシー会社は,その収入の大部分をタクシー乗務員の営業収入に依存しているという特殊性を有しており,被控訴人としては,利益獲得に関する各乗務員の貢献に対する報奨,将来の業務への奨励等の要素を賞与の算定に加味する必要がある。そうだとすると,被控訴人において,当該乗務員が実際に得た営業収入額のみを賞与算定の基礎とすることには合理性があり,これにより控訴人は経済的な不利益を被っていない。 ウ被控訴人のタクシー乗務員の有給休暇消化率は高く,本件賞与算定方法により乗務員が事実上有給休暇取得を抑制されているとはいえない。なお,被控訴人の乗務員等で組織される大国自動車交通労働組合も,被控訴人に対し,現行の賞与制度の維持を求めている。 エしたがって,本件賞与算定方法は,労働基準法附則136条ないし公序良俗に違反しない。 第3当裁判所の判断 争点(1(被控訴人の賃金算定方法の違法性)について)(1)証拠(文末の括弧内に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア被控訴人のタクシー乗務員の給与は,①当月(締め日までの1か月間)の所定乗務数に従って支給される賃金(基本給,乗務給,精勤手当,通勤手当,所定内深夜手当,所定外時間深夜手当,②被控訴人における乗務経験年数に応じて支)給される年功給,③当月の所定乗務数が条件を充足した場合に支給される家族手当(以下①ないし③を併せて「固定給」という)と,④当該乗務員の営業収入。 に応じて支給される賃金(歩合給等)とで構成されている。固定給は,所定の乗 の所定乗務数が条件を充足した場合に支給される家族手当(以下①ないし③を併せて「固定給」という)と,④当該乗務員の営業収入。 に応じて支給される賃金(歩合給等)とで構成されている。固定給は,所定の乗務数に従って算定され,歩合給等は営業収入に応じて算定される。被控訴人は,タクシー乗務員が有給休暇を取得した場合,歩合給については,有給休暇中の賃金について所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の算定方法を定めた労働基準法39条6項本文ないし同法施行規則25条所定の賃金計算方法によらず,仮想営業収入を算定し,当該月の実際の営業収入に加算して歩合給の算定をしている(前記争いのない事実(2,甲2,4の1ないし23)。 )イ被控訴人は,タクシー乗務員の当該月(締め日までの1か月間)の所定乗務数には,実際の乗務数に有給休暇日数を加算しており,固定給が減額されることはない(甲2,4の1ないし23,乙1。 )ウ控訴人が平成14年8月から同16年4月までの間に有給休暇を取得した月に支給された歩合給等は別表2「H欄」記載のとおりであり,他方,有給休暇取得日の歩合給について労働基準法39条6項本文,同法施行規則25条6項所定の計算方法により算出した金額に実際の営業収入から計算した歩合給を加えた合計金額は同表「S欄」記載のとおりである。これらの数字を比較すると,いずれの月も,控訴人が受給した歩合給等の方が,労働基準法施行規則25条6項等所定の計算方法により算出した金額に実際の営業収入から計算した歩合給等を加えた- 5 -合計金額を上回った結果となっている。また,控訴人の有給休暇取得月における,,,,総賃金額は別表34記載のとおり各月における控訴人の総賃金額について仮想営業収入を加算せずに賃金額を算定し,これに控訴人が取得した有給休暇日 。また,控訴人の有給休暇取得月における,,,,総賃金額は別表34記載のとおり各月における控訴人の総賃金額について仮想営業収入を加算せずに賃金額を算定し,これに控訴人が取得した有給休暇日数分の平均賃金額を加算した金額を上回っている。なお,被控訴人の賃金算定方法によった場合であっても,連続する月に有給休暇を取得したからといって,必ずしも当該月における賃金が減少するわけではない(別表2の平成14年12月から同15年2月,同16年2月から同年4月の歩合給合計額の推移参照(乙)。 1,2,3の1ないし11)(2)上記(1)イ,ウによれば,被控訴人においては,控訴人が有給休暇を取得した場合,①控訴人の固定給が減額されることはないこと,②歩合給も,労働基準法39条6項,同法施行規則25条所定の方法により算定する額を上回っていること。 ,,,が認められるそうだとすると被控訴人において仮想営業収入の算定において過去3か月間に有給休暇を取得した日を含む場合に実際の営業収入額を過去3か月間の有給休暇取得日を除いた実際の稼働日数で除するのではなく,66(毎月の所定乗務数を11,1乗務を2労働日,1か月の所定労働日数を22日とした場合の3か月分の日数)で除して算定しているからといって,労働基準法39条6項,同法施行規則25条に違反しているとまでいうことは困難というべきである。 なお,控訴人は,被控訴人の実際の給与体系は,月間の乗務数が9乗務以上であった場合には,月間の営業収入の約50%の金額が支給され,月間の乗務数が9乗務未満であった場合には,月間の営業収入の約45%が支給される歩合給制であると主張し,これを前提に別表1の給与分年休計算を行っている。しかし,被控訴人におけるタクシー乗務員の給与が概ね営業収入に対する一定の比率となることは 月間の営業収入の約45%が支給される歩合給制であると主張し,これを前提に別表1の給与分年休計算を行っている。しかし,被控訴人におけるタクシー乗務員の給与が概ね営業収入に対する一定の比率となることはうかがえるものの(甲16の1ないし3参照,それは給与規定に従った結果にすぎ)ないものといえること,前記(1)アのとおり被控訴人のタクシー乗務員の給与は歩合給と固定給とで構成されていることなどに照らすと,被控訴人の給与体系が完全に歩合給制であるとする控訴人の主張及びこれを前提とする別表1の給与分年休計算は独自の主張というべきであって当裁判所の採用するところではない。 (3)したがって,控訴人の有給休暇取得月について,被控訴人の賃金算定方法は,労働基準法39条6項本文,同法施行規則25条6項に違反するとはいえず,控訴人の被控訴人に対する未払賃金請求は理由がない。 争点(2(本件賞与算定方法の違法性)について)(1)労働基準法附則136条は,使用者は有給休暇を取得した労働者に対し,賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないと規定するところ,これは使用者の努力義務を定めたものであって,労働者の有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有すると解することはできない。有給休暇を取得した場合の賞与規定に定める支給条件の法的効力については,その趣旨,目的,労働者が失う経済的利益の程度,有給休暇取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合考慮して,有給休暇を取得する権利の行使を抑制し,ひいては労働基準法が労働者に同権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものか否かという観点から判断するべきと解される(最二小判- 6 -平成5年6月25日,民集47巻6号4585頁参照。以下このような観点か)ら 法が労働者に同権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものか否かという観点から判断するべきと解される(最二小判- 6 -平成5年6月25日,民集47巻6号4585頁参照。以下このような観点か)ら,本件賞与算定方法が労働基準法附則136条ないし公序良俗に違反するかについて検討する。 (2)証拠(文末の括弧内に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア被控訴人がタクシー乗務員に対し支給する賞与は,平成2年10月20日に被控訴人が大国自動車交通労働組合及び大国自動車交通第一労働組合(両組合は平成9年に合併した)との間で締結した労働協約の規定に従っており,同規定は。 同16年5月29日に営業収入が35万円未満の場合は算定比率を1%にするとの規定が追加されたほかは現在まで変更がない。現在は被控訴人の従業員の唯一の労働組合である大国自動車交通労働組合も現行の賞与制度の継続を了承し,被控訴人に対し,その改定を要求しない旨表明している(甲3,乙7,8。 。 ),. ,イ控訴人の年収に賞与が占める割合は手取額で同14年冬季賞与が391%同15年夏季及び冬季賞与の合計額が7.99%,同16年夏季賞与が13.09%であった(甲5の1ないし4,乙4。 。 )ウ被控訴人のタクシー乗務員の有給休暇の消化率(各年度毎の個人毎の有給休暇発生日を基準として,有給休暇が発生してから2年間消化できずに消滅した有給休暇の日数を計算したもの)は,平成13年度平均89.3%,同14年度平均89.8%,同15年度平均88.8%,同16年度86.2%である(乙10の1ないし4。 )(3)そこで検討するに,被控訴人の本件賞与算定方法においては,賞与算定の基礎(()),となる営業収入に仮想営業収入を含めていないため前記争いのない事実3イ ある(乙10の1ないし4。 )(3)そこで検討するに,被控訴人の本件賞与算定方法においては,賞与算定の基礎(()),となる営業収入に仮想営業収入を含めていないため前記争いのない事実3イタクシー乗務員が当該期間内に有給休暇を取得すれば,算定の基礎となる営業収入が少なくなり,これに伴って賞与の金額も少なくなる。 しかしながら,被控訴人の本件賞与算定方法は,労働組合との間の労働協約の規定に従ったものであり,現在は被控訴人の唯一の労働組合である大国自動車労働組合も現行の賞与制度の継続を了承し,むしろその改定を望んでいないこと(前記(2)ア,被控訴人の年収に賞与が占める割合は,平成16年度夏季賞与を除き)それ程大きなものでないこと(前記(2)イ,被控訴人のタクシー乗務員の有給)休暇の消化率が高いこと(前記(2)ウ)が認められる。さらに,被控訴人においては,その収入の大部分をタクシー乗務員の乗務による営業収入に依存しているというタクシー会社としての特殊性があり,各乗務員の被控訴人の営業収入に対する貢献度に応じて賞与額を決定し,その後の業務の遂行を奨励し,営業収入の維持・。 ,向上を図る経営上の必要があることが容易に推認できるこれらの事情に照らすと被控訴人が,タクシー乗務員の賞与について,各乗務員が実際に得た営業収入のみを基礎として算定し,仮想営業収入を算定の基礎としないことが不合理であるとまではいえず,被控訴人がタクシー乗務員の賞与において仮想営業収入を算定の基礎としないことが,タクシー乗務員の有給休暇を取得する権利の行使を抑制し,労働基準法が労働者に有給休暇取得の権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものとまでは認めることができない。なお,証拠(乙5)によれば,三鷹労働基準監督署の- 7 -労働基準監督官aは,平成15年6月25 準法が労働者に有給休暇取得の権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものとまでは認めることができない。なお,証拠(乙5)によれば,三鷹労働基準監督署の- 7 -労働基準監督官aは,平成15年6月25日,被控訴人に対し,同社が有給休暇を取得した労働者の賞与算定に当たり,不利益な取扱いをしており,これが労働基準法附則136条に違反するとして,是正勧告をしたことが認められる。しかし,労働基準監督官の是正勧告は行政指導上の措置に止まるものであり,何ら法的効果を生じさせるものではない。また,被控訴人においては,タクシー乗務員と事務職らで賃金体系・給与・賞与の算定方法が異なる(当事者間に争いがない)ものの,これは職種・従事業務の違いに基づくものであり,これをもって不合理な差異があるともいえない。 (4)したがって,本件賞与算定方法は,労働基準法附則136条ないし公序良俗に違反するとはいえず,控訴人の被控訴人に対する賞与請求は理由がない。 第4結語以上によれば,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとする。 東京地方裁判所民事第36部裁判長裁判官難波孝一裁判官福島政幸裁判官知野明
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