- 1 - 主文 原決定を取り消す。 本件を松山地方裁判所に差し戻す。 理由 本件抗告の趣意のうち、判例違反をいう点は、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反の主張であって、刑訴法433条の抗告理由に当たらない。 所論に鑑み、職権で判断する。 本件被疑事実の要旨は、「被疑者は、正当な理由がないのに、令和7年5月9日午後7時28分頃から同日午後7時33分頃までの間、ひそかに、愛媛県西予市内のアパートに居住する女性に対し、同アパートの浴室窓から携帯電話機を浴室内に向けて差し入れ、同人の性的な部位等を撮影しようとしたが、同人に気付かれたためその目的を遂げなかった」というものである。 被疑者は、令和7年8月1日に勾留され、原々審は、同日、検察官の請求により、被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者等以外の者との接見等を禁止する旨の裁判をした。これに対し、弁護人が本件準抗告を申し立てた。 原決定は、本件被疑事実の性質、内容、被疑者の供述状況及び供述内容からすれば、被疑者が、罪体や重要な情状事実について、関係者と通謀するなどして罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があり、これを防止するためには、刑訴法39条1項に規定する者以外の者との接見等を禁止する必要があると認められるから、被疑者の母を含めて接見等を禁止した原々裁判の判断は正当であるとして、本件準抗告を棄却した。 令和7年(し)第672号接見等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件令和7年8月14日第三小法廷決定- 2 -しかしながら、本件は、事案の性質、内容をみる限り、被疑者が被疑事実を否認しているとしても 等禁止の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件令和7年8月14日第三小法廷決定- 2 -しかしながら、本件は、事案の性質、内容をみる限り、被疑者が被疑事実を否認しているとしても、勾留に加えて接見等を禁止すべき程度の罪証隠滅のおそれがあるとはうかがわれない事案であるから、原審は、原々裁判が不合理でないかどうかを審査するに当たり、被疑者が接見等により実効的な罪証隠滅に及ぶ現実的なおそれがあることを基礎付ける具体的事情が一件記録上認められるかどうかを調査し、原々裁判を是認する場合には、そのような事情があることを指摘する必要があったというべきである。 そうすると、そのような事情があることを何ら指摘することなく原々裁判を是認した原決定には、刑訴法81条、426条の解釈適用を誤った違法があり、これが決定に影響を及ぼし、原決定を取り消さなければ著しく正義に反すると認められる。 よって、刑訴法411条1号を準用して原決定を取り消した上、同法434条、426条2項により、本件を松山地方裁判所に差し戻すこととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官平木正洋裁判官林道晴裁判官渡辺惠理子裁判官石兼公博)
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