令和5(ワ)70036 不正競争行為差止請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年11月22日 東京地方裁判所
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令和6年11月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ワ)第70036号不正競争行為差止請求事件口頭弁論終結日令和6年8月27日判 決 原告株式会社グッドマン 同訴訟代理人弁護士伊原友己 橋本祐太 被告株式会社東海メディカルプロダクツ 同訴訟代理人弁護士小川宏嗣 野田裕之主文 1 被告は、別紙被告商品目録1記載の商品を製造し、販売してはならない。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求被告は、別紙被告商品目録2記載の商品を製造し、販売してはならない。 第2 事案の概要等事案の要旨本件は、原告が、被告に対し、原告の販売する別紙原告商品目録記載の商品 (以下「原告商品」という。)の主要な構成品であるYコネクター(以下「原告 Yコネクター」という。)の形態が原告の商品等表示として需要者の間に広く知られており、被告が原告Yコネクターの形態と類似するYコネクター(以下「被告Yコネクター」という。)を主要な構成要素とする別紙被告商品目録2記載の商品(以下「被告商品」という。)を製造し、販売する行為は、原告の商品と混同を生じさせる行為であって、不正競争防止法(以下「不競法」という。) 2条1項1号の不正競争に当 紙被告商品目録2記載の商品(以下「被告商品」という。)を製造し、販売する行為は、原告の商品と混同を生じさせる行為であって、不正競争防止法(以下「不競法」という。) 2条1項1号の不正競争に当たると主張して、同法3条1項に基づき被告商品の製造及び販売の差止めを求める事案である。 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者 ア原告は、昭和50年9月4日に設立された、医療機械器具の製造及び輸入販売等を業とする株式会社である。 イ被告は、昭和56年10月6日に設立された、医療器具、医療機器の製造及び販売等を業とする株式会社である。 (2) バルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクター ア概要及び用途バルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクターとは、血管造影や血管内手術を行う際に、患者の体内に挿入されているガイディングカテーテル(親カテーテル)等に接続し、手技中の血液の漏れの軽減や、併用するカテーテル又はガイドワイヤーの操作を補助し、更には造影剤、薬液 又は生理食塩液の注入、圧力測定等を行うために用いられる管理医療機器である。バルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクターは、主に、上記手術等を行う循環器内科、脳神経外科等の医師が使用する。(甲1、7、乙7、弁論の全趣旨)イバルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクターの構成品 バルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクターは、Yコネクタ ー、インサーター、トルクデバイス、延長チューブ等から構成され、その主要構成品は、Y字型の形状のYコネクターである(甲1、7)。 ウ Yコネクターの種類 用コネクターは、Yコネクタ ー、インサーター、トルクデバイス、延長チューブ等から構成され、その主要構成品は、Y字型の形状のYコネクターである(甲1、7)。 ウ Yコネクターの種類Yコネクターには、機能及び構造の点で、固定弁と止血弁を備える二弁式、固定弁のみを備える固定弁式、止血弁のみを備える止血弁式の3種類 のタイプが存在する(甲4)。 エ Yコネクターの各構成要素の名称Yコネクターは、主管であるメインブランチ、血液の漏れを防止する止血機能を有するサムホイール、造影剤、薬液又は生理食塩液の投入、圧力監視などを行うための開口部が設けられたサイドポート、親カテーテルな どの手元部にあるハブなどに接続するローテータ(ロテーターとも呼ばれる。)から構成される。二弁式のYコネクター(以下「二弁式Yコネクター」という。)では、サムホイールに止血バルブと固定バルブが設けられている。 (甲1、7、乙1)(3) 原告Yコネクター ア原告商品の主要構成品である原告Yコネクターは、サムホイールに備えられたスクリューの上端部に止血弁を内蔵し、同下端部に固定弁を内蔵する二弁式である。 イ原告Yコネクターの外観及び各部の名称は、別紙原告Yコネクターの形態と名称のとおりである。 (4) 被告Yコネクターア被告商品の主要構成品である被告Yコネクターは、サムホイールに備えられたスクリューの上端部に止血弁を内蔵し、同下端部に固定弁を内蔵する二弁式である。 イ被告Yコネクターの外観及び各部の名称は、別紙被告Yコネクターの形 態と名称のとおりである。 (5) 原告Yコネクターと被告Yコネクターの寸法等原告Yコネクターと被告Yコネクターの全長や各部の寸法等は次の表のとおりである(甲1 クターの形 態と名称のとおりである。 (5) 原告Yコネクターと被告Yコネクターの寸法等原告Yコネクターと被告Yコネクターの全長や各部の寸法等は次の表のとおりである(甲11、乙7、24、弁論の全趣旨)。 原告Yコネクター被告Yコネクター全長87.99mm87.80mmローテータの長さ(ローテータ上端からYコネクター下端まで)23.10mm19.4mmサイドポートの長さ35.70mm34.20mmメインブランチに対するサイドポートの角度60度60度サムホイール部の上端から下端までの長さ27.90mm27.50mmスクリュー(スクリューキャップともいう。)の上端から下端までの長さ16.04mm16.50mm(6) 原告商品の販売等原告は、平成14年9月から現在に至るまで、原告商品を製造、販売して いる。また、原告は、学術集会や見本市において原告商品を展示して広告宣伝活動をしていたほか、販売業者の営業員が医療機関を訪問し、商品紹介や説明を行うなどの営業活動を継続している。(甲1ないし3、15、弁論の全趣旨)(7) 被告商品の販売等 ア被告は、令和4年12月、被告商品(販売名「TMPスマートコネクタ」)につき、製造販売の承認を受けた。この被告製品のうち、被告は、「TMPYコネクターⅠ」(医療機器承認番号30400BZX00258000)につき、製造及び販売を予定している。(甲7、弁論の全趣旨)イ被告商品は、主要構成品である被告Yコネクターのほか、インサーター、 トルクデバイス、延長チューブ及びガイドワイヤホルダの計5品の組合せで構成される商品であって、Yコネクターに「スタンダード」タイプが選択 要構成品である被告Yコネクターのほか、インサーター、 トルクデバイス、延長チューブ及びガイドワイヤホルダの計5品の組合せで構成される商品であって、Yコネクターに「スタンダード」タイプが選択される構成の商品である。被告商品には、被告Yコネクターの上端部に 止血バルブの押し下げ操作を補助する機能を有するレバーアタッチメントが取り付けられたものも存在する。(甲7、14、弁論の全趣旨) 争点 (1) 原告Yコネクターの形態が不競法2条1項1号所定の周知な商品等表示に該当するか(争点1) (2) 原告Yコネクターと被告Yコネクターの各形態が同一又は類似であるか(争点2)(3) 被告製品の製造及び販売が混同を生じさせる行為に該当するか(争点3)(4) 差止めの必要性(争点4)争点に関する当事者の主張 (1) 争点1(原告Yコネクターの形態が不競法2条1項1号所定の周知な商品等表示に該当するか)について(原告の主張)ア原告Yコネクターの形態的特徴原告Yコネクターは、次のような特徴(以下、頭書の符号にしたがって 「本件特徴(ア)」などといい、これらを総称して「本件各特徴」ということがある。)を有している。 (ア) 原告Yコネクターは、メインブランチや、それより少し断面径の大きいローテータと比較して、更に断面径が大きい(つまり太い円柱状の)サムホイールを有している。 (イ) サムホイール部は、円柱形上のスクリューと、その上端部に上下に摺動可能な側面視T字状(平らな円盤状部材を円中心に垂直に軸部で支えている形状)のオープナー(オープンナーともいう。)を備えている。 (ウ) スクリューの上端部には止血弁を内蔵し、同下端部には固定弁を内蔵する二弁式になっている。 (エ) 垂直に軸部で支えている形状)のオープナー(オープンナーともいう。)を備えている。 (ウ) スクリューの上端部には止血弁を内蔵し、同下端部には固定弁を内蔵する二弁式になっている。 (エ) オープナー以外が全て無色透明であるのに対して、オープナーは透明で ありながら単色で着色されている。 (オ) 全長が約88mmであり、全長、サムホイール、メインブランチ及びローテータの上端部からYコネクター下端部までの長さの概ねの比率が4:1:2:1である。 (カ) メインブランチの下端から約8mm位置の側面に約60度の角度で斜め 上方へ分岐する長さ約36mmサイドポートが設けられており、メインブランチとサイドポートが接する辺(水かき様部材を除く。)の長さは約6mmである。 イ特別顕著性(ア) 前記アで述べた原告Yコネクターの形態的特徴は、原告商品のトレード マークになっている。他社商品のYコネクターは、全体として透明感を残しつつ青色に着色されている、サイドポートの立ち上がり角度が急角度の約40度となっている、サムホイールの形状が八角柱となっている、円柱形上のスクリューと、その上端部に上下に摺動可能な側面視T字状(平らな円盤状部材を円中心に垂直に軸部で支えている形状)のオープナー(オ ープンナーともいう。)を備えていない、スクリューの上半分が膨らみを持たせた太鼓状になっている、スクリュー内部もしくはローテータの内部の一部が青やオレンジ色に着色されているなど、Yコネクターの商品形態として、原告Yコネクターとは異なる特徴を持つ形態をそれぞれ採用し、原告Yコネクターとの形態的な差別化を図っているのが取引の実情である。 そして、原告商品が発売される以前の時期はもとより、その後も原告Yコネクターに酷似した形 特徴を持つ形態をそれぞれ採用し、原告Yコネクターとの形態的な差別化を図っているのが取引の実情である。 そして、原告商品が発売される以前の時期はもとより、その後も原告Yコネクターに酷似した形態のYコネクターが市場に多く見られるという事情もない。 二弁式Yコネクターに限って検討したとしても、特別顕著性の有無において考慮すべき原告Yコネクターと同じ二弁式Yコネクターは、アボット バスキュラージャパン株式会社が「Copilot」の名称で販売するY コネクター(以下「アボット社Yコネクター」という。)及びメリットメディカル・ジャパン株式会社が販売する二弁式Yコネクター「MBA」(以下「メリットメディカル社Yコネクター」という。)のみであり、これらのYコネクターが、本件各特徴を備えたものでないことは明らかである。 上記以外の二弁式Yコネクター、すなわち、メディカル・イノベイション株式会社が販売し、栃木精工株式会社が平成26年8月6日付けで医療機器として承認を受けた型式Peace3のYコネクター(以下「メディカル・イノベイション社YコネクターⅠ」という。)及び平成28年5月12日付けで医療機器として承認を受けた型式PeaceVのYコネクタ ー(以下「メディカル・イノベイション社YコネクターⅡ」という。)、株式会社カネカが販売し、栃木精工株式会社が「キュアコネクター」の名称で令和2年5月21日付けで医療機器として承認を受けたYコネクター(以下「カネカ社Yコネクター」という。)は、いずれも原告商品が販売されてから上市されたものであり、原告Yコネクターの形態的特徴の特別 顕著性を否定する根拠とはならないし、そもそも、市場に流通していないか、流通していたとしてもごく僅かしか流通していないから、これらのYコ されたものであり、原告Yコネクターの形態的特徴の特別 顕著性を否定する根拠とはならないし、そもそも、市場に流通していないか、流通していたとしてもごく僅かしか流通していないから、これらのYコネクターは、原告Yコネクターの特別顕著性を検討するに当たって、考慮すべきでない。 医療現場においては、原告Yコネクターは、この分野のスタンダードな 商品として、取引者又は需要者に認知されており、原告Yコネクターの形態を見ただけで、原告商品であることが認識されるほどになっている。 以上によれすれば、本件特徴(ア)ないし(カ)の全てを備える原告Yコネクターの形態に特別顕著性があることは明らかである。 (イ) 被告の主張に対する反論 被告は、本件各特徴が、Yコネクターの技術的な機能及び効用を実現す るための必然的な形態であって、他社のYコネクターにも見られるありふれた形態であるから、原告Yコネクターの形態に特別顕著性はないと主張する。しかし、以下のとおり、本件各特徴は、いずれもYコネクターの技術的な機能及び効用を実現するために必然の形態ではないし、原告Yコネクターは、本件特徴(ア)ないし(カ)が有機的一体となってデザインされたも のであって、各構成要素は全体から独立して存在するものではないから、本件各特徴の一つ又は複数の特徴を有する他社のYコネクターが存在するとしても、これらの他社のYコネクターの存在により、原告Yコネクターの形態の特別顕著性が否定されるものではない。 a 本件特徴(ア) 原告Yコネクターのメインブランチとローテータとサムホイールの各断面径の大きさの比率は、およそ1:2.3:3(メインブランチの円筒の断面直径を1とした場合、ローテータの円筒の断面直径は、少し太く、サムホイールは、さらに太 ブランチとローテータとサムホイールの各断面径の大きさの比率は、およそ1:2.3:3(メインブランチの円筒の断面直径を1とした場合、ローテータの円筒の断面直径は、少し太く、サムホイールは、さらに太い。)であるが、他社のYコネクターには、上記形態的特徴を有していない商品があるから、二弁式Y コネクターであればおよそこのような形態になるというものではない。 b 本件特徴(イ)他社のYコネクターには、オープナーが側面視T字状にはなっていない商品や、スクリューが円柱形状になっていない商品があるから、二弁式Yコネクターであれば、必然的にオープナーが側面視T字状、 スクリューが円柱形状の形態になるものではない。 c 本件特徴(ウ)二弁式Yコネクターの構成として、スクリューの上端部に止血弁を、同下端部に固定弁を、それぞれ内蔵するという特徴を備える必然性はない。 d 本件特徴(エ) 他社のYコネクターには、Yコネクター全体を着色しているものも存在する。また、他社のYコネクターには、固定バルブやローテータの一部にも着色しているものもあるから、オープナーだけを着色する必然性があるとはいえない。 e 本件特徴(オ) Yコネクターには、全長が短尺のタイプ(いわゆるショート)もあり、Yコネクターの全長は、必然的に原告Yコネクターの全長である約88mmとなるものではない。また、他社の二弁式Yコネクターのサイドポートの長さは、それぞれ異なっている。被告は、原告Yコネクターのサイドポートの長さと被告Yコネクターのサイドポートの長 さが近似する根拠を、商品の技術的な機能及び効用から説明できていない。 f 本件特徴(カ)他社のYコネクターにおいては、サイドポートとの接合部分が、全長に対する中央近傍 イドポートの長 さが近似する根拠を、商品の技術的な機能及び効用から説明できていない。 f 本件特徴(カ)他社のYコネクターにおいては、サイドポートとの接合部分が、全長に対する中央近傍ではなく、ローテータ近傍部分にある商品もある。 また、他社のYコネクターには、サイドポートの角度が40度のものや90度のものもあるから、握りに支障のない角度が必然的に60度程度になるとはいえない。 ウ周知性原告は、平成14年9月に原告Yコネクターを発売して以降、地道に営 業活動を継続し、平成20年頃以降は、圧倒的なマーケットシェアを獲得するに至っている。原告商品や被告商品が属する二弁式Yコネクターの商品分野において、原告商品は、平成20年度及び令和2年度ともに販売数量及び売上金額のいずれについても9割以上のシェアを獲得している。このことは、医療機器市場に関して最も参照されている株式会社矢野経済研 究所(以下「矢野経済研究所」という。)が発行している市場データからも 明らかである。 また、原告商品は、Yコネクターの分野におけるスタンダードな商品として、医学の解説書等にも掲載されている。 さらに、被告は、原告を特許権者とする特許第3899346号の特許及び特許第6083850号の特許の存在が、原告商品が市場で大きなシ ェアを有していたことの理由であると主張するが、前者の特許に係る発明は、原告商品には実施されていないし、後者の特許の出願日は、平成24年8月24日であって、原告がYコネクター市場で高いシェアを獲得した後であるから、それらの特許の存在は、周知性を否定する事情にならない。 以上によれば、原告Yコネクターの形態は、需要者に広く知られており、 周知性を有しているといえる。 エ小括原 した後であるから、それらの特許の存在は、周知性を否定する事情にならない。 以上によれば、原告Yコネクターの形態は、需要者に広く知られており、 周知性を有しているといえる。 エ小括原告Yコネクターの形態は、特別顕著性を有しており、かつ、この商品分野の需要者において広く知られることにより、その形態的特徴が出所表示機能を有するに至っていることは明らかであるから、不競法2条1項1 号の周知な商品等表示に該当する。 (被告の主張)ア特別顕著性について原告Yコネクターの機能は、被告を含む他社が製造するYコネクターと何ら変わることがないところ、二弁式Yコネクターにおいては、その機能 上の要請から、外観は概ね似通ったデザインとなっている。原告Yコネクターの形態も二弁式Yコネクターとしての基本的なデザインに沿ったものにすぎず、原告が主張する本件各特徴は、以下のとおり、オープナーを上下に摺動させることによる止血弁とサムホイールを回転させることによる固定弁を持つ二弁式Yコネクターに共通の形態的な特徴であって、他の同 種商品と顕著な差がないから、特別顕著性がない。 また、商品の寸法及びサイズ感については、より良いYコネクターの新規開発のために、誰もが自由に選択できるべきものであり、原告が独占的に使用できる権利を有するものではない。原告の請求は、かえって市場における自由な競争を阻害するものであるから、原告Yコネクターの全体的なサイズ感等は、特別顕著性を基礎づけるものと判断されるべきではない。 (ア) 本件特徴(ア)a ローテータの断面径ローテータは、回転可能なロック式の雄雌嵌合部を有するところ、雄雌嵌合部は、ISO80369-7の規格に適合するものでなくてはならない。そのため、嵌合部 本件特徴(ア)a ローテータの断面径ローテータは、回転可能なロック式の雄雌嵌合部を有するところ、雄雌嵌合部は、ISO80369-7の規格に適合するものでなくてはならない。そのため、嵌合部のネジ形状やテーパ形状は同規格によ り決定されることから、嵌合部の内径の大きさにも上限が生じ、嵌合部に続くメインブランチの内径も、嵌合部の内径に連続する形になることから、自ずと嵌合部の内径と同程度の内径に決まることになる。 したがって、ネジ構造のローテータの断面径が同一内径であるメインブランチの太さより若干大きくなるのは当然である。 b サムホイールの断面径原告Yコネクター及び被告Yコネクターは、サムホイールの上部にあるオープナーを上下に摺動させることによる開閉する止血弁と、サムホイールを回転させることでデバイス等を固定させる固定弁とが存在するYコネクターである。止血弁は、サムホイール上部にあるオー プナーを押し込むことにより、オープナーの軸部がサムホイール上部に設置されたシリコンゴム製の弁を押し下げ、押し下げられた弁が元に戻ろうとする復元力によりオープナー軸部を圧迫する仕組みになっている。 オープナーの上面の中心部には孔があり、Yコネクター使用時には 親カテーテルに挿入されるデバイスを挿入させることとなることから、 かかる孔からメインブランチに通じるオープナーの軸部の中心も管状となっているが、かかる孔の内径は、挿入させることが予定されているデバイスの大きさやメインブランチの内径に応じて一定の内径を確保しなくてはならないものである。そうすると、サムホイール上部に設置された止血弁は、かかるオープナーの軸部の太さを加味した上で、 復元力によりオープナー軸部を圧迫して、最低限、患者の血液が漏れ 保しなくてはならないものである。そうすると、サムホイール上部に設置された止血弁は、かかるオープナーの軸部の太さを加味した上で、 復元力によりオープナー軸部を圧迫して、最低限、患者の血液が漏れるのを止められる程度の耐圧を保たなくてはならない。以上のような理由で、サムホイール上部に設置する止血弁の大きさは、オープナー軸部の太さ(外径)に比較して十分な大きさを持つ必要がある。したがって、止血弁を内蔵させるサムホイールはローテータよりも更に断 面積の大きなものとならざるを得ない。 c 小括前記a及びbのとおり、原告が主張する本件特徴(ア)は、商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものであって、他社の二弁式Yコネクターに も認められる形態であるから、特別顕著性がない。 (イ) 本件特徴(イ)a サムホイールに円柱形状のスクリューがあること固定弁は、メインブランチに対してネジ構造となっているサムホイールを回転させることにより、サムホイール下部がメインブランチを 締め付け、メインブランチを内側に押しつける圧縮力でデバイス等を固定する構造となっているから、サムホイールに固定弁を設置する場合、サムホイールにネジ構造を作り、サムホイールを回転させる動作ができる構造とする必要がある。 したがって、サムホイールに円柱形状となったスクリューがあるこ とは、サムホイールに固定弁を設置するYコネクターの構造上、当然 の形態にすぎない。なお、固定弁のみが設置されている他社商品をみても、円柱形状のスクリューが存在しているものが多数あることから、このような構造がサムホイールに固定弁を設置する際に通常選択される形態にすぎないこと い。なお、固定弁のみが設置されている他社商品をみても、円柱形状のスクリューが存在しているものが多数あることから、このような構造がサムホイールに固定弁を設置する際に通常選択される形態にすぎないことは明らかである。 b スクリューの上端部に上下に摺動可能な側面視T字状の「オープナ ー」を備えていること。 前記(ア)bの止血弁の構造からすると、摺動可能なオープナーを備えるという特徴は、止血弁の構造上、当然の形態にすぎない。また、オープナーの操作をする際には、オープナーの中心部にはデバイスが挿入されていて、オープナーの中心部を押し込むことができないことか らすれば、オープナーは、少なくともメインブランチよりも断面積の大きな形状となっている必要がある。他方で、オープナーが大きすぎると他の作業の邪魔にもなり得るので、その大きさは概ねサムホイールと同じ程度が限界である。 そうした場合、最も簡単に考えつくオープナーの形態は、オープナ ーをサムホイールと同程度の径を持つ円形状のボタンの形にするというものであるが、オープナーをそのようなボタンの形にすれば、オープナー側面視がT字状となる。このように、オープナー側面視がT字状という特徴は、通常の設計の中で誰もが容易に発想することができる形態的特徴である。このことは、メリットメディカル社Yコネクタ ーやその後に開発発売されている他の二弁式Yコネクターといった同様の特徴を有する商品が多数出ていることからも明らかである。 二弁式Yコネクターの中には、オープナーをキャップと一体にして外側のキャップ全体について上下の摺動方式が採られているものがあるが、いずれにしても、二弁式においてオープナーを上下に摺動させ る形態としては、側面視がT字状のオー ナーをキャップと一体にして外側のキャップ全体について上下の摺動方式が採られているものがあるが、いずれにしても、二弁式においてオープナーを上下に摺動させ る形態としては、側面視がT字状のオープナーを付けるか、キャップ 全体でオープナーの役割を担わせるかのいずれかにしかならない。 c 小括原告が主張する本件特徴(イ)は、オープナーを上下に摺動させることによる止血弁とサムホイールを回転させることによる固定弁を持つ二弁式Yコネクターに共通するものにすぎない。 (ウ) 本件特徴(ウ)スクリューの上端部に止血弁を、同下端部に固定弁を、それぞれ内蔵するという特徴は、二弁式Yコネクターの性能又は特徴を述べているにすぎない。弁の耐圧性能は、固定弁の方が高く、止血弁の方が低くなっているため、カテーテル手術の術中に、Yコネクターのサイドポートか ら造影剤を注入するなどする際には、固定弁を締めることとなる。仮に止血弁が固定弁よりもサムホイールの下部に設置すると、上記使い方をした際に、メインブランチに近くなる止血弁が固定弁より先に高い圧力を受けることになり、その圧力で止血弁が損傷・変形する危険性が大きくなるし、造影剤が止血弁を超えて固定弁の位置まで至ることとなるた め、固定弁を開くと造影剤の液漏れが生じてしまうこととなる。このような、カテーテル手術におけるYコネクターの使用対応を前提とすると、メインブランチに近いサムホイールの下部に固定弁を設置し、その上部に止血弁を設置するという構造となることは、至極当然の結論である。 (エ) 本件特徴(エ) Yコネクターは、商品の使用前に生理食塩液を内部に充填し、内部に空気が残存していないかを確認するため、商品内部の状況を外部から可視化する必要がある。そ 論である。 (エ) 本件特徴(エ) Yコネクターは、商品の使用前に生理食塩液を内部に充填し、内部に空気が残存していないかを確認するため、商品内部の状況を外部から可視化する必要がある。そのため、必然的に商品全体は透明な素材が利用される一方、カテーテルの手技中にYコネクターを何度も握ったり離したりすることから、商品の視認性を高めるため、商品の一部でかつ使用 前に空気の残存確認を行うのに支障のないオープナーに着色を行うこと になる。他社のYコネクターの大半の商品も商品全体が無色透明な素材で製作されているし、空気の残存確認を行うのに支障のないオープナーに着色を行うことは、複数の会社の商品で行われている。 (オ) 本件特徴(オ)及び(カ)Yコネクターは、医師がメインブランチを握って使用するものであり、 かつ、掌からYコネクターの端部が見える必要がある。多くのYコネクターは、Yコネクターの使用態様や人の手の大きさを踏まえて全長を70ないし90mmとして設計されており、Yコネクターの全長は必然的に類似する。 そして、バランス良くYコネクターを把持するためは、親指以外の4 指の中間である中指と薬指の間でサイドポートを保持することが一般的となっていることから、サイドポートとメインブランチとの接合位置は、全長に対する中央近傍の位置とならざるを得ない。また、親カテーテル方向(ローテータ方向)への薬液の流れを良くするために、サイドポートはメインブランチ対して角度をつける必要があり、かつ、握りに支障 がないように倒れた角度を考えると、その角度は60度程度となる。さらに、Yコネクターを保持する際にはサイドポートを指の間に通すため、サイドポートには指の太さ以上の長さが必要となるところ、男性 がないように倒れた角度を考えると、その角度は60度程度となる。さらに、Yコネクターを保持する際にはサイドポートを指の間に通すため、サイドポートには指の太さ以上の長さが必要となるところ、男性の中指の太さの平均に接続口の長さを加えた設計とすると、サイドポートの長さについても、概ね似たようなものとならざるを得ない。 (カ) 他社のYコネクターの形状原告が原告商品の販売を開始したとする平成14年9月より前から販売されていたメリットメディカル社Yコネクターは、着色箇所につき原告Yコネクターとは若干異なる点があるが、基本的に本件特徴(ア)ないし(エ)を有している。また、メディカル・イノベイション社YコネクターⅠ 及び同Ⅱ並びにカネカ社Yコネクターも、本件特徴(ア)ないし(エ)を有し ている。 イ周知性について(ア) マーケットシェアや原告による営業活動原告が製造するYコネクターが、カテーテル用コネクターとして一定のシェアを有していること自体は認めるが、その余は否認ないし争う。 矢野経済研究所が発行している市場データは、販売数等を正確に捉えたものではないし、二弁式Yコネクターに限った市場データは存在しない。 また、Yコネクターのような手術時に医師が手元で繊細な作業をするために使用する医療機器において、需要者である医師による商品選択の 基準は、商品の形態ではなく、商品の操作性、機能性等である。Yコネクター等の医療機器の販売を拡大していくためには、こうした商品の性能を医師に実感してもらって、商品に対する信用・信頼を得ることが必要であり、原告が行ってきたという長期にわたる営業活動は、原告商品の性能を需要者に理解してもらうためのものであって、原告Yコネクタ ーの形態の特徴を需要 、商品に対する信用・信頼を得ることが必要であり、原告が行ってきたという長期にわたる営業活動は、原告商品の性能を需要者に理解してもらうためのものであって、原告Yコネクタ ーの形態の特徴を需要者に浸透させるための広告宣伝活動ではない。 (イ) 特許権の影響原告商品が市場で大きなシェアを有していたのは、原告が、プッシュ式の二弁式Yコネクターの製造に必要な特許を有していたことに起因するものであって、原告の営業活動によるものではない。 (ウ) 小括前記(ア)及び(イ)によれば、原告Yコネクターの形態に原告の出所を示すものとしての周知性は存在しないというべきである。 ウ原告Yコネクターの形態が、取引の際に出所表示機能を有するものではないこと ①Yコネクターの需要者は、カテーテル手術を実施する専門医に限定さ れており、使用を予定する医師以外が商品選択をするようなものではなく、また、店頭やカタログ等で商品選択をするものではないこと、②医師が商品選択をする際には、実際に使用してみて、その使用感や操作感等を確認した上、形態のみならず使用する際の手術に適合するように当該商品の機能面(耐圧性能や最大挿通機器サイズ等)も考慮して商品選択をしている こと、③被告商品は、原告Yコネクターの使い勝手に関する問題点やカテーテル手術を実施する医師の不満を解消するために独自に開発されたものであって、実際に、グッドデザイン賞の評価においても、アタッチメントによる機能拡張などの独自的価値が評価されており、Yコネクターとしての形態的特徴は全く考慮されていないこと、④原告も被告も商品の宣伝に おいて形態的特徴それ自体を強調していないことからすると、Yコネクターの形態に依拠した商品選択はされていないといえるから ての形態的特徴は全く考慮されていないこと、④原告も被告も商品の宣伝に おいて形態的特徴それ自体を強調していないことからすると、Yコネクターの形態に依拠した商品選択はされていないといえるから、原告Yコネクターの形態は、出所を表示するものではない。 エ原告Yコネクターの形態が機能的形態であること原告が主張している形態的特徴は、前記アのとおり、いずれもYコネク ターとしての技術的な機能及び効用を実現するために不可避的に選択をせざるを得ないものであるから、「商品等表示」には当たらない。 オ小括以上によれば、原告Yコネクターの形態は、特別顕著性及び周知性が認められないものであって、出所表示機能を有しておらず、かつ、Yコネク ターの技術的な機能及び効用を実現するために不可避的に選択をせざるを得ないものであるから、不競法2条1項1号の周知な商品等表示には該当しない。 (2) 争点2(原告Yコネクターと被告Yコネクターの各形態が同一又は類似であるか)について (原告の主張) ア類似点原告Yコネクターと被告Yコネクターとは、その全体的な形態が実質的に同一であるといっても過言ではないほど似通っている。 イ差異点被告Yコネクターの形態は、原告Yコネクターと比較すると、①メイン ブランチとサイドポートの分岐点付近に円形の支持部が設けられている点及び②オープナーの下部と止血バルブとの間に同軸に透明の円盤状の部材が設けられている点に差異がある。 しかしながら、①の支持部は、透明で、かつ、機能や性能に関わらない付加的な部分と評価できるものである上、Yコネクターの全体的な形態の 共通点による印象に埋没し、この部分において別異の形態のものと印象付け得るものとはいえないし、②の部材は や性能に関わらない付加的な部分と評価できるものである上、Yコネクターの全体的な形態の 共通点による印象に埋没し、この部分において別異の形態のものと印象付け得るものとはいえないし、②の部材は、余程注視しないと、その存在自体分からない。 上記差異点を含め被告が主張する差異点は、いずれも全体的な形態の類似性の高さからすれば、微細な差異でしかなく、原告Yコネクターと被告 Yコネクターの形態的特徴の類似性を凌駕するほどの印象を与えるものとはいえず、取引者又は需要者において、原告Yコネクターと被告Yコネクターが形態を異にするものとは理解されない。 ウ小括以上によれば、原告Yコネクターと被告Yコネクターの形態は類似して いるといえる。 (被告の主張)ア類似点原告Yコネクターと被告Yコネクターは、二弁式Yコネクターであるため、必然的に似た形状やサイズ感となっており、無色透明な部材で製作さ れたメインブランチとサイドポートからなる点は同じである。 イ差異点(ア) オープナー原告Yコネクターのオープナーと被告Yコネクターのオープナーには、以下の差異点があり、被告Yコネクターでは、オープナー摺動部のぐらつきを押さえるためにオープナーの摺動距離を極力短くし、オープ ナーを押す力感を改良するために独自開発した形状の弁を採用している。 原告Yコネクター被告Yコネクター部材の色等黄色に着色された透明な部材オレンジ色に着色され、かつオープナー上部がシボ加工されており透明感がない部材オープナーの形状径が16.9mmの円状で、その外縁の6か所に小さな凸部が均等に離れて存在している。凸部の遠端で測定した外径は18.9mm。 外縁全体に連続的に10 明感がない部材オープナーの形状径が16.9mmの円状で、その外縁の6か所に小さな凸部が均等に離れて存在している。凸部の遠端で測定した外径は18.9mm。 外縁全体に連続的に10個の半円状の凸部がある花弁形状オープナーの下部とスクリュー部上部との隙間5.0mm4.3mm(イ) スクリュー原告Yコネクターのスクリューと被告Yコネクターのスクリューには、以下の差異点があり、被告Yコネクターは、スクリューに設けられ た凸部が適度に指に掛かりやすいため、固定弁の開閉を容易かつ的確に行うことができ、余分な出血や薬剤漏れが生じないように工夫された設計となっている。 原告Yコネクター被告Yコネクタースクリューの形状単純な円柱状ではなく、全体として上部約3分の2の部分がその中心部に若干の膨らむ形で丸みを帯びた形状。 全体が円柱状の形状で、上側約3分の2の部分の直径が下側約3分の1の部分の直径より若干細い。 スクリューにある凹凸の形状等スクリューの上側約3分の2の箇所に45度間隔の幅で8つの凹部が、下側約3分の1の箇所は上側に凹部がない箇所に横長長方形の凹部を設けている。 外周に90度間隔でスクリューの軸方向と平行に全体的に4つのリブ状の凸部が設けられており、同凸部の間には、下側約3分の1の部分の中心付近に片端を凸部に接する形で2箇所横長長方形の空洞がある。 着色の有無無色透明スクリューの下部にあるCリングがオレンジに着色(ウ) 本体部分原告Yコネクターのメインブランチとサイドポートの接合部には、接合部からそれぞれ1cm弱離れた箇所を繋ぐ形の水かき様のリブが存在している。これに対し、被告Yコネクターのメインブランチとサ 本体部分原告Yコネクターのメインブランチとサイドポートの接合部には、接合部からそれぞれ1cm弱離れた箇所を繋ぐ形の水かき様のリブが存在している。これに対し、被告Yコネクターのメインブランチとサイドポートの接合部には、円形の支持部が設けられており、同部分には、被告 の社名を示す「TMP」の文字と商品名を示す「Smart」の文字が刻印されており、かつ、社名と商品名が刻印されている円形の支持部のみシボ加工が施されており、透明感のない素材が利用されている。この円形の支持部は、医師がYコネクターを操作する際に頻繁に使用するオープナーの直下に存在するもので、Yコネクターを使用する医師が頻繁 に目にする場所にあり、被告の社名や商品名が刻印されている点で、視覚的に見ても大きな特徴がある。また、この円形の支持部は、被告商品の開発において、現場の医師からスクリューの操作等の際やYコネクターを手中で回転させる際に指を掛ける支持部があると操作しやすいとの話を受け、指掛けができる支持部としてデザインされたものであり、Y コネクターの機能性にも大きく関わるものであって、被告商品の操作性を向上させている。 (エ) ローテータ 原告Yコネクターのローテータと被告Yコネクターのローテータには、以下の差異点があり、被告Yコネクターは、ローテータに設けられたリブの高さが低く、かつ、リブの数が多いことから、ローテータを操作した際にリブの凸部が指へ当たる圧力が低減されて、操作しやすい形状となっている。 原告Yコネクター被告Yコネクター軸方向の長さ20.5mm17mm凸型のリブ4か所8か所リブの端からリブの端までの長さを図った最外径14.2mm13mmリブの位置ローテータの上部 ネクター軸方向の長さ20.5mm17mm凸型のリブ4か所8か所リブの端からリブの端までの長さを図った最外径14.2mm13mmリブの位置ローテータの上部約4分の1 の箇所から下端のみローテータ全体部材の色等ローテータ全体が無色透明ローテータ全体は無色透明な部材が使用されているが、上部に設けけられているCリングがオレンジ色に着色(オ) その他の差異点被告Yコネクターは、従来のYコネクターの使用時における医師の負担や不便さを解消するためのレバーアタッチメントを取り付けることができるという機能の拡張性を有する点で特徴があり、オープナー下部と止血バルブ上部にある円盤状の部材には、このレバーアタッチメントを 取り付けることができるフランジがある。 ウ小括前記イのとおり原告Yコネクターと被告Yコネクターとの差異点は、いずれも特徴的なものであって、被告Yコネクターは、商品の形態として他の形態を選択する余地がある部分については、原告Yコネクターとは異な る特徴を有している。 また、被告Yコネクターは、意匠登録がされているから、特許庁は、被告Yコネクターが先行意匠とは類似しないものと判断したといえる。 さらに、前記(1)(被告の主張)のとおり、Yコネクターの形状は、似通ったものとならざるを得ず、その全体的な寸法やサイズ感について原告が独占的に使用できる権利を有するものではないから、類似性の判断においては、それぞれの細部にわたる形態の差異について十分に検討されるべきであり、使用時において医師の目を引く部分であるデバイスの挿入口があ るオープナーの上方から見た形態や商品自体を正面又は側面のやや上方から斜視した形態の差異を重視すべきである。 討されるべきであり、使用時において医師の目を引く部分であるデバイスの挿入口があ るオープナーの上方から見た形態や商品自体を正面又は側面のやや上方から斜視した形態の差異を重視すべきである。 以上の点からすれば、原告Yコネクターと被告Yコネクターとの類似性は認められない。 (3) 争点3(被告製品の製造及び販売が混同を生じさせる行為に該当するか)に ついて(原告の主張)ア形態の類似性原告商品と被告商品は、主要構成品であるYコネクターの形態が酷似しており、被告は、原告Yコネクターと同一目的において同一の使用方法に より使用される被告Yコネクターを主要構成品とする被告商品を、原告商品と同一の需要者に対し、販売している。 需要者は、被告Yコネクターのカタログの写真を見たり、実際に被告Yコネクターを手にしてその使用感や操作感を確認したりすることによって、被告Yコネクターが原告Yコネクターとほぼ同一の形態であることを認識 し、原告Yコネクターの形態に化体された原告の営業上の信用により購入動機を形成する。 したがって、被告による被告商品の製造及び販売は、被告Yコネクターの形態を認識した需要者をして、原告商品と混同を生じさせるおそれや、原告と被告との間に何らかの緊密な営業上の関係が存すると誤信させるお それがある。 イ商品の販売方法原告商品は、インターネット上で販売することはなく、新規の医療機関や医師などの取引先に対し、原告商品を手に取ってもらい、その使いやすさ等を実感してもらって販売をしている。しかし、このことは、需要者が商品選択の際、Yコネクターの形態を視認しないということではなく、手 に取る際や、商品選択の場面(カタログを閲覧するときなど)で、その形態を一定程度注視して ている。しかし、このことは、需要者が商品選択の際、Yコネクターの形態を視認しないということではなく、手 に取る際や、商品選択の場面(カタログを閲覧するときなど)で、その形態を一定程度注視して観察するのは当然である。 また、医療機器業界では、製造販売業者が中心的な役割を担っており、出荷した製品の安全性等全てにおいて責任を持つこととされ、製造販売業者が製造業者を管理する義務を負っているが、製造販売業者は必ずしも製 造を行っておらず、外国で開発・製造された医療機器を日本企業が製造販売業者として輸入販売する場合や、製造販売業者が国内の製造元に医療機器の製造を委託するケースなど、別に存在する製造業者が製造を行っている場合も多々存在する。そのため、製品のカタログ等には製造業者の名前を開示する義務がなく、当該医療機器が薬事承認を取得した製造販売業者 によって製造されたものであるか、他の製造業者によって製造されたものであるか、一見して判別できるほど明確に表示されないケースが多々ある。 したがって、医療機器業界における販売方法に鑑みても、その形態が酷似している原告Yコネクターと被告Yコネクターについて、需要者に出所の混同が生じるおそれがある。 ウ小括以上によれば、被告による被告商品の製造及び販売が原告の商品と混同を生じさせる行為に該当するといえる。 (被告の主張)ア形態の類似性 前記(2)(被告の主張)のとおり、被告Yコネクターは、原告Yコネクターとは異なる特徴を有しており、さらに、被告商品には従来のYコネクターとは異なり、独自のアタッチメントが付属されているものもあり、商品全体としての構成が異なる。このような被告商品の商品形態からして、被告商品が原告商品と異なる製造元により 告商品には従来のYコネクターとは異なり、独自のアタッチメントが付属されているものもあり、商品全体としての構成が異なる。このような被告商品の商品形態からして、被告商品が原告商品と異なる製造元により製造されたことは明らかであり、 被告商品が原告商品と混同されるおそれはない。 イ医療機器たるYコネクターについての商品選別の実情Yコネクターを選定し使用することになる主な需要者は、血管造影や血管内手術を実施している比較的規模の大きな総合病院において、Yコネクターを実際に執刀時に使用する循環器内科医及び脳神経外科医である。こ のように、Yコネクターは、医師が血管造影や血管内手術という患者の命に関わる治療を実施する際に使用されるものであるから、手術の手技の際の使用感や手術に使用するカテーテルとの適合性が、商品選択を行う上で、極めて重要となる商品である。各医師は、購入する医療機器の外見のみに依拠することなく、当該機器の性能・機能等を重視して、Yコネクターの 選択をする。したがって、Yコネクターについては、形態に依拠した商品選択は全くされておらず、商品の外観が似ていることによる商品の出所に関する混同誤認は生じ得ないといえる。 ウ商品の販売方法Yコネクターを販売するには、当該商品の採用の可否に先立って、実際 に商品を医師に使用してもらい、その使用感や操作感及びカテーテルとの適合性を確認してもらうことが前提となる。 さらに、日本においては、15年以上前から医療機器等へのバーコード添付の推進が図られており、医療機器のバーコード添付は令和4年12月1日より全て義務化され、それ以降は、バーコードのない医療機器の流通 は不可となった。医療業界、特に血管造影や血管内手術を実施している比 較的規模の大きな総合 付は令和4年12月1日より全て義務化され、それ以降は、バーコードのない医療機器の流通 は不可となった。医療業界、特に血管造影や血管内手術を実施している比 較的規模の大きな総合病院においては、医療機器の発注や在庫管理等の際に、医療機器に添付されたバーコードを用いて商品を特定することが一般的に行われている。また、バーコードによる管理が行われていない病院であっても、大規模な総合病院では、少なくとも手術で使用する医療機器について、品名の他に品番での識別管理が必須であり、それらを注文書に記 載することで商品が特定され、必要なものが納品される。Yコネクターは、カテーテル手術という極めて高度な医療行為を実施する際に使用する商品であることから、Yコネクターを扱う医療機関は、各種カテーテル等、クラスⅣに層別される他の高度管理医療機器と合わせて取引されることが一般的である。このような取引がされるYコネクターは、医療機器を取り扱 う専門的な販売業者を介し、メーカーや商品名等を特定した注文書を発行して、商品を販売するのが通常であり、少なくとも原告及び被告を含めた国内の業者が医療機器であるYコネクターをECサイト等で販売していることはない。また、ウェブサイトやパンフレットを見れば当該商品がどの会社の商品かは一目瞭然であるし、Yコネクターは、Yコネクター及びそ の付属品を個別包装した上で、複数の商品を化粧箱にまとめて梱包して流通しており、これらの一次包装及び二次包装には、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で記載が求められる製造会社名等の商品表示を行った上、商品名が明記されている。 以上によれば、被告商品が流通する過程において、原告商品とその出所 が混同されるおそれは全くない。 エ被告 律で記載が求められる製造会社名等の商品表示を行った上、商品名が明記されている。 以上によれば、被告商品が流通する過程において、原告商品とその出所 が混同されるおそれは全くない。 エ被告商品の特徴前記イのとおり、Yコネクターの商品選択において、商品の形態は重視されておらず、医師は、Yコネクターに対する信用・信頼が得られることや、触感や操作性、機能性等を重視するものである。そして、被告Yコネ クターは、ガイドワイヤー等のデバイス保持を行いやすくするためのアタ ッチメントや、プッシュ式の止血弁の開閉操作において医師の負担を軽減するためのレバーアタッチメント付きのYコネクターなど、現場の医師が求める性能を付加したものであって、従来にはない機能を有しており、原告商品とは全く異なる新たな価値を生み出した商品として評価されたものである。したがって、被告商品と原告商品の出所が混同されるようなこと は考えられない。 オ小括前記アないしエによれば、Yコネクターという商品の性質上、仮に被告Yコネクターの形態と原告Yコネクターの形態との間に似ている点があるとしても、かかる形態の類似によって被告商品と原告商品とが誤認混同さ れるおそれはないというべきである。 (4) 争点4(差止めの必要性)について(原告の主張)被告は、被告商品の製造販売承認を得て、令和5年2月から被告商品を発売する準備をしているから、被告商品の販売の差止めに加え、侵害予防とし て、その製造の差止めを命じる必要がある。 (被告の主張)争う。 なお、被告商品目録2のうち「TMPYコネクターⅡ」(医療機器承認番号30400BZX00258A01)として製造販売承認を得ているもの については、原告が差止めを求め の主張)争う。 なお、被告商品目録2のうち「TMPYコネクターⅡ」(医療機器承認番号30400BZX00258A01)として製造販売承認を得ているもの については、原告が差止めを求めているスタンダードタイプを販売する予定がないから、この点からしても差止めを命じる必要はない。 第3 当裁判所の判断認定事実後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1) Yコネクター使用方法 ア一般的な使用方法(ア) Yコネクターは、ローテータを、ガイディングカテーテル(親カテーテル)等に接続し、オープナー上部に設けられた孔から併用するカテーテルやガイドワイヤー等(子カテーテル)をサムホイールに挿入していき、メインブランチ、ローテータと順次通して使用する(乙36、弁論の全趣 旨)。 (イ) カテーテル手術を実施するに当たってYコネクターを使用する際には、その使用前に、Yコネクターに生理食塩液を満たして空気を取り除く(甲1、7)。 (ウ) カテーテル手術は、患者の体内に挿入するカテーテル等を操作して治療 を行うため、一般的な外科手術と異なり、医師は、手元を見ながら作業を行うのではなく、X線撮影モニターを見ながら作業を行い、基本的には手元にあるYコネクターを見ない。また、医師は、カテーテルの手技を行っている間、Yコネクターを片方の手で握って操作し、一般的には、サイドポートを中指及び薬指の間に挟んで使用する。(乙7、8、弁論の全趣旨) (エ) Yコネクターのサイドポートの先端に延長チューブを装着し、延長チューブに造影剤、薬液又は生理食塩液の注入、圧力測定等ができる機器を接続することで、血管の撮影等が実施できる(乙7)。 イ原告Yコネクター及び被告Yコネクター の先端に延長チューブを装着し、延長チューブに造影剤、薬液又は生理食塩液の注入、圧力測定等ができる機器を接続することで、血管の撮影等が実施できる(乙7)。 イ原告Yコネクター及び被告Yコネクターの使用方法(ア) 止血弁の使用方法 原告Yコネクター及び被告Yコネクターは、いずれも、オープナーを上下に摺動させることにより止血弁の開閉を操作するものであって、Yコネクターを手中に握った状況で、オープナーを押し下げることで止血弁が開放され、子カテーテルを体内へ侵入させ、オープナーを元の位置に戻すことで止血弁が閉じて、子カテーテル等のデバイス操作時の血液の漏洩を 抑えることができる(乙19)。 (イ) 固定弁の使用方法原告Yコネクター及び被告Yコネクターは、いずれもサムホイールを回すことにより固定弁を操作する。固定弁は、サイドポートから造影剤、薬液又は生理食塩液の注入をする際に、安全に、造影剤、薬液又は生理食塩液の注入を行うために使用される。また、固定弁を閉めることにより、子 カテーテル等のデバイスの固定をすることができる。(弁論の全趣旨)(2) 二弁式Yコネクターの形態等ア外観、寸法等(甲11、21、乙9ないし11、24)現在までの間に日本で販売の承認が得られている二弁式Yコネクターの外観、各二弁式Yコネクターの承認日、寸法等、最大耐圧、最大機器サイ ズは、別紙二弁式Yコネクター比較のとおりである。 これらのうち、原告Yコネクターの上市よりも前に販売されていた二弁式Yコネクターは、アボット社Yコネクター及びメリットメディカル社Yコネクターであり、アボット社Yコネクターは、現在、米国において最もシェアが大きい商品である。 また、二弁式Yコネクターには、同別紙に掲げるもののほか Yコネクター及びメリットメディカル社Yコネクターであり、アボット社Yコネクターは、現在、米国において最もシェアが大きい商品である。 また、二弁式Yコネクターには、同別紙に掲げるもののほか、全長が短いショートサイズのものが存在しており、被告が製造販売するショートサイズの二弁式Yコネクターの全長は58mmである。このようなショートサイズの二弁式Yコネクターは、目的病変が遠位部にある場合、ガイディングカテーテルの有効長が長い場合、使用するデバイスの有効長が長い場 合などに有効であるとされる。 イメインブランチ、サムホイール、ローテータの径等(乙10、11)別紙二弁式Yコネクター比較に掲載されている二弁式Yコネクターには、いずれもメインブランチの上端にメインブランチよりも径の大きい弁を内蔵したサムホイールが、メインブランチの下端にサムホイールより径が小 さくメインブランチより径の大きい円柱状のローテータが、それぞれ同軸に接続されている。 ウ二弁式Yコネクターの構造等(乙10、19、弁論の全趣旨)別紙二弁式Yコネクター比較に掲載されている二弁式Yコネクターは、いずれも、サムホイールのスクリューの上端部に止血弁を、下端部に固定 弁を、それぞれ内蔵している。また、同別紙記載の二弁式Yコネクターのうち、アボット社Yコネクターは、オープナーをキャップと一体構造として、外側のキャップ全体を押し込むことにより止血弁を開閉するのに対し、アボット社Yコネクター以外の二弁式Yコネクターは、いずれもオープナーを上下に摺動させることにより止血弁を開閉するため、スクリューの上 端部に上下に摺動可能な側面視T字状(平らな円盤状等部材を当該部材の中心において垂直に軸部で支えている形状)のオープナーを備えている。 摺動させることにより止血弁を開閉するため、スクリューの上 端部に上下に摺動可能な側面視T字状(平らな円盤状等部材を当該部材の中心において垂直に軸部で支えている形状)のオープナーを備えている。 これら二弁式Yコネクターの止血弁は、サムホイール上部にあるオープナーを押し込むことにより、オープナーの軸部がサムホイール上部に設置されたシリコンゴム製の弁を押し下げ、押し下げられた弁が元に戻ろうと する復元力によりオープナー軸部を圧迫する仕組みとなっている。また、それらの固定弁は、サムホイールにあるネジ構造を回転させることにより、サムホイール下部がメインブランチを締め付け、メインブランチを内側に押しつける圧縮力でデバイス等を固定する仕組みとなっている。 (3) Yコネクターの市場(甲4、20の資料③、乙38、39) ア Yコネクター市場規模矢野経済研究所は、「カテーテル&チューブ、IVR製品市場の中期予測と関連製品の徹底分析」と題する市場データ(以下「矢野経済研究所のデータ」という。)を発行している。矢野経済研究所のデータは、原告及び被告を含む主要な国内メーカー及び輸入製品の製造販売業者及び販売先に対 して調査を行い、Yコネクターを含むカテーテル及びチューブの販売数量、 販売金額などの市場動向を分析したものであり、Yコネクターについては、PTCA市場(心臓の冠動脈を治療するPCI治療において使用される医療機器が属する区分の市場)のメーカー(販売元)別の販売数量及び販売金額が掲載されている。 矢野経済研究所のデータによれば、Yコネクターが使用されるPTCA 市場において、原告が製造するYコネクターは、平成20年(2008年)には、全販売元による販売数量34万9000個、販売金額19億210 研究所のデータによれば、Yコネクターが使用されるPTCA 市場において、原告が製造するYコネクターは、平成20年(2008年)には、全販売元による販売数量34万9000個、販売金額19億2100万円に対し、販売数量20万9000個、販売金額11億円に及び、同市場においてYコネクターのシェアの50パーセント以上を獲得した。その後も、原告が製造するYコネクターは、5割以上のシェアを維持し続け、 令和4年(2022年)には、全販売元による販売数量56万7905個、販売金額28億0200万円に対し、販売数量41万5000個、販売金額22億2400万円となっており、販売数量で約73パーセント、販売金額で約80パーセントのシェアを有している。 イ原告が販売するYコネクターのうち原告商品の占める割合 原告が販売するYコネクターの売上げの少なくとも70パーセントは、原告商品(YコネクターとしてOKAYⅡタイプのものが選択されて組み合わされる商品)である(甲4、20)。 (4) 原告商品及び被告商品の取引プロセス等ア新規取引の場合(乙20、21、36、37) Yコネクターの営業活動に当たっては、主にメーカー又は販売業者の営業員が、医療機関を訪問して、医師に対し、カタログや商品見本を使って商品の紹介及び説明を行った上、商品見本を実際に触ってフィット感や操作性等を体感してもらうのが、一般的である。その際、Yコネクターがカテーテルと併用されることから、Yコネクターだけでなく、循環器内科医 及び脳神経外科医が実際に使用する各種カテーテル製品とともに、商品見 本を示す場合もある。また、営業員による医療機関への訪問がされるだけでなく、学会場で商品説明のブースを設け、そこで医師に対面して、商品の紹介及び説明 種カテーテル製品とともに、商品見 本を示す場合もある。また、営業員による医療機関への訪問がされるだけでなく、学会場で商品説明のブースを設け、そこで医師に対面して、商品の紹介及び説明がされることもある。 医療機関では管理面の手間を避けるため、基本的には同種同仕様品の同時登録(採用)を認めない場合が多いため、営業担当者は、既に登録され ている商品と売り込む製品の相違点を説明し、その相違点から得られるメリットを案内する。その結果、医師が当該商品に興味を持った場合は、有効性、安全性等について評価するため、臨床試用を目的とする「臨床試用医療機器」を無償で提供する。「臨床試用医療機器」の提供に当たっては、医師等から医療機器メーカーに対して「臨床試用医療機器試用書」が提出 される。 医師が臨床試用でYコネクターを実際に使用した結果、その評価が良好であると判断された場合には、医師等から当該医療機関に対して院内申請がされる。院内申請に当たっては、薬事承認書の写し、商品カタログ、価格表及び見積もりが添付されるため、メーカーないし販売業者は、医師に これらの書面を提供する。 Yコネクターの使用による血管形成術等を行う循環器内科、脳神経外科等を有する比較的大規模の医療機関には、「新規材料委員会」といった新しい機器の導入を審査する組織があり、同委員会は、二、三か月に一度、院内申請された商品を購入するか否かを検討し、院内関係者から同意を得ら れた場合は、当該商品を販売業者に発注する。その際、医療機関は、商品カタログに記載された商品を識別するJANコード(世界共通の商品識別番号で、商品に付いている「バーコード」で表示されるもの。)やJANコードに紐づく製品番号、製品名、承認番号等を院内登録し、当該登録情報を発 記載された商品を識別するJANコード(世界共通の商品識別番号で、商品に付いている「バーコード」で表示されるもの。)やJANコードに紐づく製品番号、製品名、承認番号等を院内登録し、当該登録情報を発注書に転記することにより、発注を行う。 イ継続取引の場合(乙36、37) 医療現場に従事する職員は、対象商品の使用状況を踏まえ、医療機関において登録されている承認番号やJANコードの情報に基づき、院内の注文担当部門へ連絡を行い、補充の発注をする。 そして、院内の注文担当部門は、医療機関が登録した承認番号やJANコードにより、メーカーや販売業者へ追加の発注を行う。 ウ流通経路原告及び被告を含めた国内の業者は、YコネクターをECサイト等で販売していない(弁論の全趣旨)。 エ取引時の原告商品及び被告商品の外装等(乙7の4、31)Yコネクターは、Yコネクター及びその付属品を滅菌処理された個別包 装に包装した上で、それらを複数まとめて化粧箱入れて梱包されて取引されており、カテーテル治療室へ持ち込まれた後に、滅菌処理された個別包装が開封され、医師によって使用される。 原告商品は、その商品名である「TYPE:OKAYⅡ」が青地に白抜きの文字で記載されている袋に個別包装され、更に白色の箱に梱包されて 流通している。 被告商品は、商品名である「SMACONNETMPスマートコネクタ」と明記された袋に個別包装され、更に箱の中央付近に「TOKAIMEDICALPRODUCTS」と被告の名称及びその頭文字であるTMPを模したロゴが緑字に白抜きの文字で記載された緑色の箱に梱包さ れている。 争点1(原告Yコネクターの形態が不競法2条1項1号所定の商品等表示といえるか 告の名称及びその頭文字であるTMPを模したロゴが緑字に白抜きの文字で記載された緑色の箱に梱包さ れている。 争点1(原告Yコネクターの形態が不競法2条1項1号所定の商品等表示といえるか)について(1) 商品の形態の「商品等表示」該当性商品の形態は、本来的には、商品の技術的な機能及び効用の発揮や美観の 向上等の見地から選択されるものであり、商品の出所を表示する目的を有す るものではないが、特定の商品の形態が、他の同種の商品と識別し得る独自の特徴を有し、かつ、その形態が長期間継続的・独占的に使用され、又は短期間でも効果的な宣伝広告等がされた結果、特定の営業主体の商品であることの出所を示す出所識別機能を獲得するとともに、需要者の間に広く認識されることにより、商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有す るに至る場合がある。そして、このような商品の形態は、不競法2条1項1号によって保護される他人の周知な商品等表示に該当するものと解される。 そうすると、商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し、同号所定の「商品等表示」に該当するためには、①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、②需要者 においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要するものと解すべきである。 もっとも、商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来する場合、そのような商品の形態自体が「商品等表示」に当たるとすると、当該形態を有する商品の 販売が一切禁止されることになり、結果的に、特許権等の工業所有権制度によることなく、当該形態によって実現 合、そのような商品の形態自体が「商品等表示」に当たるとすると、当該形態を有する商品の 販売が一切禁止されることになり、結果的に、特許権等の工業所有権制度によることなく、当該形態によって実現される技術的な機能及び効用を奏する商品の販売を特定の事業者に独占させることにつながる。しかも、不正競争行為の禁止には期間制限が設けられていないことから、上記独占状態が事実上永続することを許容することになる。したがって、上記のような商品の形 態に「商品等表示」該当性を認めると、同1号の趣旨である周知な商品等表示の有する出所表示機能の保護にとどまらず、商品の技術的な機能及び効用を第三者が商品として利用することまで許されなくなり、かえって、事業者間の公正な競争を確保し、もって国民経済の健全な発展に寄与するという不競法の目的に反する結果を招くことになる。したがって、商品の形態が商品 の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不 可避的な構成に由来する場合には、「商品等表示」に該当しないと解するのが相当である。 他方、商品の形態が商品の技術的な機能及び効用に由来するものであっても、他の形態を選択する余地がある場合は、そのような商品の形態が「商品等表示」に当たるとして同形態を有する商品の販売が禁止されても、他の形 態に変更することにより同一の機能及び効能を奏する商品を販売することは可能であり、上記のような弊害は生じない。したがって、商品の形態が商品の技術的な機能及び効用に由来するものであっても、他の形態を選択する余地がある場合は、当該商品の形態につき、上記の特別顕著性及び周知性が認められれば、「商品等表示」に該当し得るというべきである。 (2) 特別顕著性の検討において考慮すべき他の同種商 択する余地がある場合は、当該商品の形態につき、上記の特別顕著性及び周知性が認められれば、「商品等表示」に該当し得るというべきである。 (2) 特別顕著性の検討において考慮すべき他の同種商品原告Yコネクターは二弁式であるから、原告Yコネクターの形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているか否か、すなわち、原告Yコネクターの特別顕著性について検討するに際し、考慮すべき他の同種商品は、二弁式Yコネクターであるといえる。そして、前記1(2)の認定事実に よれば、原告商品が上市されるよりも前に日本で販売され、現在も販売されている二弁式Yコネクターは、アボット社Yコネクター及びメリットメディカル社Yコネクターであるから、これらの商品については、原告Yコネクターの特別顕著性を検討するに当たって、当然に考慮されるべき他の同種商品であるといえる。 これに対し、原告は、カネカ社Yコネクター及びメディカル・イノベイション社Yコネクターは、原告Yコネクターが特別顕著性を獲得した後に承認されたものであり、かつ、実際には市場に流通していないか、仮に流通していたことがあるとしても僅かにすぎないから、原告Yコネクターの特別顕著性を検討するに当たって考慮すべきではないと主張する。そこで検討すると、 まず、原告は被告商品の製造及び販売の差止めを求めているから、口頭弁論 終結時までの間に販売されている他の同種商品は、同時点において原告Yコネクターが特別顕著性を獲得及び維持しているか否かを判断する上で、考慮することは可能であると解される。そして、メディカル・イノベイション社YコネクターIについては、令和3年に被告が同商品を実際に購入していること(乙15、16)、カネカ社Yコネクターについては、JANコード とは可能であると解される。そして、メディカル・イノベイション社YコネクターIについては、令和3年に被告が同商品を実際に購入していること(乙15、16)、カネカ社Yコネクターについては、JANコードが記 載された商品カタログが存在していること(乙17)、メディカル・イノベイション社YコネクターⅡについては、同商品の販売を宣伝するメディカル・イノベイション株式会社のホームーページが存在していること(乙13)からすると、これらの商品は、過去ないし現在、実際に市場において流通していた又は流通しているものと認められる。次に、矢野経済研究所のデータ (甲20、乙39)のうち、最も新しい令和4年のデータに、カネカ社Yコネクター及びメディカル・イノベイション社Yコネクターについての記載はないものの、矢野経済研究所のデータは、原告及び被告を含む主要な国内メーカー及び輸入製品の製造販売業者及び販売先に対して調査を行った結果を取りまとめたもので、カネカ社Yコネクター及びメディカル・イノベイショ ン社Yコネクターを製造販売するメーカーないし製造販売業者が調査対象に入っていたか否かは本件証拠上明らかではない。しかも、上記の調査は、PTCA(経皮的冠動脈形成術)市場におけるものであるところ、二弁式Yコネクターは、PTCAの分野以外でも使用されるものであるため、矢野経済研究所のデータがYコネクターの全取引数量等を推計したものということは できない。そうすると、矢野経済研究所のデータにカネカ社Yコネクター及びメディカル・イノベイション社Yコネクターの記載がないことをもって、これらの二弁式Yコネクターの流通量が僅かにすぎないとまでは認められないというべきである。したがって、この点についての原告の主張は採用できず、上記各商品についても、原告Yコ 記載がないことをもって、これらの二弁式Yコネクターの流通量が僅かにすぎないとまでは認められないというべきである。したがって、この点についての原告の主張は採用できず、上記各商品についても、原告Yコネクターの特別顕著性を検討するに当 たり、考慮するのが相当である。 (3) 特別顕著性について前記(1)及び(2)を前提に、原告商品の主要な構成要素である原告Yコネクターの特別顕著性について検討する。 ア本件特徴(ア)について(ア) 本件特徴(ア)に係る原告Yコネクターの形態 前記1(2)イの認定事実のとおり、原告Yコネクターは、メインブランチや、それより少し断面径の大きいローテータと比較して、さらに断面径が大きいサムホイールを有している。 (イ) 特別顕著性の有無原告及び被告が提出した証拠には、メインブランチの断面径を測定した ものがないものの、前記1(2)イの認定事実のとおり、原告Yコネクター以外の二弁式Yコネクターも、メインブランチや、それより少し断面径の大きいローテータと比較して、さらに断面径が大きいサムホイールを有している。したがって、本件特徴(ア)は、他の二弁式コネクターにも認められるありふれたものであり、原告Yコネクターは、本件特徴(ア)において、 客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているものとは認められない。 イ本件特徴(イ)について(ア) 本件特徴(イ)に係る原告Yコネクターの形態前記1(2)ウの認定事実のとおり、原告Yコネクターは、サムホイール において、円柱形上のスクリューと、その上端部に上下に摺動可能な側面視T字状(平らな円盤状部材を当該円盤中心において垂直に軸部で支えている形状)のオープナーとを備えている。 (イ) イール において、円柱形上のスクリューと、その上端部に上下に摺動可能な側面視T字状(平らな円盤状部材を当該円盤中心において垂直に軸部で支えている形状)のオープナーとを備えている。 (イ) 特別顕著性の有無前記1(2)ウの認定事実のとおり、アボット社Yコネクター以外の二弁 式Yコネクターの中にも、オープナーを上下に摺動させることにより止 血弁を開閉するため、スクリューの上端部に上下に摺動可能な側面視T字状(平らな円盤状部材を当該円盤中心において垂直に軸部で支えている形状)のオープナーを備えているものがあり、また、スクリューについても、カネカ社Yコネクター及びメディカル・イノベイション社Yコネクターのスクリューは円柱形状である。したがって、本件特徴(イ)は、 他の二弁式コネクターにも認められるありふれたものであり、原告Yコネクターは、本件特徴(イ)において、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているものとは認められない。 ウ本件特徴(ウ)について(ア) 本件特徴(ウ)に係る原告Yコネクターの形態 前記1(2)ウの認定事実のとおり、原告Yコネクターは、スクリューの上端部に止血弁を、同下端部に固定弁を、それぞれ内蔵する二弁式である。 (イ) 特別顕著性の有無前記1(2)ウの認定事実のとおり、二弁式Yコネクターは、止血弁の開 閉のために、側面視がT字状のオープナーを設けるか、キャップ全体でオープナーの役割を担わせるかのいずれの方法であるかにかかわらず、スクリューの上端部に止血弁を、下端部に固定弁をそれぞれ内蔵している。したがって、本件特徴(ウ)は、他の二弁式コネクターにも認められるありふれたものであり、原告Yコネクターは、本件特徴(ウ)において、客 観的に他の同種 、下端部に固定弁をそれぞれ内蔵している。したがって、本件特徴(ウ)は、他の二弁式コネクターにも認められるありふれたものであり、原告Yコネクターは、本件特徴(ウ)において、客 観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているものとは認められない。 エ本件特徴(エ)について(ア) 本件特徴(エ)に係る原告Yコネクターの形態別紙原告Yコネクターの形態と名称の原告Yコネクターの写真で明ら かなとおり、原告Yコネクターは、オープナー以外が全て無色透明であ り、かつ、オープナーは透明でありながら単色(黄色)で着色されている。 (イ) 特別顕著性の有無別紙二弁式Yコネクター比較の写真のとおり、メディカル・イノベイション社YコネクターⅠ及びカネカ社Yコネクターは、オープナーの色 彩には透明感がなく、かつ、スクリューの内部がオープナーと同系色に着色されており、また、メディットメディカル社Yコネクターは、オープナーは透明感がありながら単色(青色)に着色されているものの、スクリュー及びローテータの一部が着色されているから、これらの商品は、本件特徴(エ)を有しない。 次に、メディカル・イノベイション社YコネクターⅡは、オープナーは透明感がありながら単色(青色)に着色されているものの、証拠(甲17、18、乙10及び13)上、スクリューの内部が着色されているかは判然としない。しかし、メディカル・イノベイション社YコネクターⅡの販売前に存在していた本件特徴(エ)を有する二弁式Yコネクター は、原告Yコネクターのみであったから、少なくとも、メディカル・イノベイション社YコネクターⅡの販売時点において、本件特徴(エ)は、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴であったといえる。そして、メデ 告Yコネクターのみであったから、少なくとも、メディカル・イノベイション社YコネクターⅡの販売時点において、本件特徴(エ)は、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴であったといえる。そして、メディカル・イノベイション社YコネクターⅡの承認日は平成28年であって、後記(4)のとおり、原告Yコネクターの形態が周知性を獲得し た後に承認されたものであり、かつ、本件全証拠によっても、メディカル・イノベイション社YコネクターⅡの販売開始時期及び流通量は明らかでないことからすると、メディカル・イノベイション社YコネクターⅡが仮に本件特徴(エ)を有するとしても、同商品が現れたことにより、本件特徴(エ)に係る原告Yコネクターの特別顕著性が失われたとは認め られないというべきである。 したがって、原告Yコネクターは、本件特徴(エ)において、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているものと認めるのが相当である。 オ本件特徴(オ)について(ア) 本件特徴(オ)に係る原告Yコネクターの形態 前提事実(5)及び前記1(2)アの認定事実のとおり、原告Yコネクターは、全長が87.99mm、サムホイールの上端から下端までの長さが27.90mm、ローテータの長さ(ローテータ上端から原告Yコネクター下端まで)が23.10mmであるから、同数値から計算されるメインブランチの長さは、36.99mmである。したがって、全長、サ ムホイール、メインブランチ及びローテータの比率は、約4:1.3:1.7:1.1である。 (イ) 特別顕著性の有無別紙二弁式Yコネクター比較のとおり、二弁式Yコネクターは、ショートサイズを除くと、全長72mmのものから全長78.99mmのも のまで幅があり、さらに、ショ 特別顕著性の有無別紙二弁式Yコネクター比較のとおり、二弁式Yコネクターは、ショートサイズを除くと、全長72mmのものから全長78.99mmのも のまで幅があり、さらに、ショートタイプの場合は、その全長が58mmのものもある。そして、原告Yコネクター以外の二弁式Yコネクターは、被告Yコネクターを除くと、全長が原告Yコネクターに最も近いカネカ社Yコネクターでも約82mmであって、原告Yコネクターの全長とは約6mmの差があること、原告Yコネクターのサムホイールの長さ は27.90mm(スクリューの長さは16.04mm)であるのに対し、別紙二弁式コネクター比較及び証拠(乙24)によれば、上記カネカ社Yコネクターのサムホイールの長さは33.88mm(スクリューの長さは22.22mm)と長く、被告Yコネクターを除き、原告Yコネクターと概ね同様の全長、サムホイール、メインブランチ、ローテー タの比率を有する形態の商品はなかったと認められる。そうすると、Y コネクターの全長が約88㎜で、全長、サムホイール、メインブランチ、ローテータの概ねの比率が、4:1:2:1とする形態の二弁式Yコネクターは、原告Yコネクターのみであって、ありふれたものとはいえない。したがって、原告Yコネクターは、本件特徴(オ)において、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していると認めるのが相当で ある。 この点、被告は、Yコネクターの通常の使用方法を考えれば、寸法は自ずと似通った形状やサイズ感となる上、商品のサイズ感は、誰もが自由に選択できるべきものであり、その点について原告が独占的に使用できる権利を有するものではないから、原告Yコネクターは、本件特徴 (オ)において、特別顕著性が認められないと主張する。 誰もが自由に選択できるべきものであり、その点について原告が独占的に使用できる権利を有するものではないから、原告Yコネクターは、本件特徴 (オ)において、特別顕著性が認められないと主張する。確かに、二弁式Yコネクターは医師が手で握って操作するため、その全長及び各構成要素の寸法は、標準的な手の大きさを前提として、握って操作が可能な一定の幅の範囲に収まるものと解されるものの、上記のとおり、二弁式Yコネクターの全長、各構成要素の寸法及び寸法の比率は、商品によって 異なっており、全ての商品が似通った寸法及び寸法の比率となっているわけではない。そして、そのように異なった寸法及び寸法の比率の商品が存在する以上、二弁式Yコネクター寸法及び寸法の比率に特別顕著性を認めたからといって、第三者において、それらの自由な選択が妨げられるものともいえない。したがって、被告の上記主張は採用できないと いうべきである。 カ本件特徴(カ)について(ア) 本件特徴(カ)に係る原告Yコネクターの原告の形態前提事実(5)及び弁論の全趣旨によれば、原告Yコネクターは、メインブランチの下端から約8mmの位置の側面に約60度の角度で斜め上方 へ分岐する長さ35.70mmのサイドポートが設けられており、メイ ンブランチとサイドポートが接する辺(水かき様部材を除く。)の長さが約6mmである。 (イ) 特別顕著性の有無原告は、本件特徴(カ)において特別顕著性があると主張するが、そもそも、本件全証拠によっても、他の二弁式Yコネクターのメインブランチ の下端からサイドポートへ分岐するまでの長さ及びメインブランチとサイドポートが接する辺(水かき様部材を除く。)の具体的な長さを認めることができないから、それらとの比較をすることができ ブランチ の下端からサイドポートへ分岐するまでの長さ及びメインブランチとサイドポートが接する辺(水かき様部材を除く。)の具体的な長さを認めることができないから、それらとの比較をすることができない。しかも、別紙二弁式Yコネクター比較のとおり、アボット社Yコネクターのメインブランチに対するサイドポート角度も60度であるから、このことか らしても、原告Yコネクターが、本件特徴(カ)において、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることはできない。 キ小括前記アないしカによれば、原告が主張する原告Yコネクターの形態的特徴のうち、オープナー以外が全て無色透明であり、かつ、オープナーは透 明でありながら単色で着色されている点(本件特徴(エ))と、全長が約88mmで、全長、サムホイール、メインブランチ及びローテータの概ねの比率が、4:1:2:1である点(本件特徴(オ))の二点について、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴であると認められる。 二弁式Yコネクターについては、前提事実(2)ア及びエ、前記1(1)アの 認定事実からすると、その性質上、メインブランチからサイドポートが分岐するY字の形状となることや、握って操作が可能な全長となることなど、商品の技術的な機能及び効用に由来して、商品の形態につき一定の制約があるとはいえるもの、前記エ(イ)及びオ(イ)のとおり、全長を含めた各部の寸法、全体の着色の有無及び着色個所については、様々な形態のものが実 在することに照らし、それらの形態について選択の幅があり、その中で、 原告Yコネクターは、上記の本件特徴(エ)及び(オ)を有する形態を選択したものであるといえる。 そして、原告Yコネクターは、特別顕著性が認められる本件特徴( 択の幅があり、その中で、 原告Yコネクターは、上記の本件特徴(エ)及び(オ)を有する形態を選択したものであるといえる。 そして、原告Yコネクターは、特別顕著性が認められる本件特徴(エ)及び(オ)に係る形態に、個別にみれば顕著な特徴を有しているとまではいえないその余の形態を組み合わせ、それらを一体化した形態を形成したものであ るから、原告Yコネクターの形態を全体的に観察すれば、特別顕著性、すなわち、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることができる。そして、原告商品が上市された時点において既に販売されていた二弁式Yコネクターであるアボット社Yコネクター及びメリットメディカル社Yコネクターは、いずれも特別顕著性が認められる本件特徴 (エ)及び(オ)に係る形態を有していないことからすれば、原告Yコネクターは、原告商品が上市された平成14年9月の時点から、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していると認められ、その後に販売されたカネカ社Yコネクター及びメディカル・イノベイション社Yコネクターも、同(エ)及び(オ)に係る形態を有していないか、特別顕著性を失わせるもので はないことからすれば、原告Yコネクターは、口頭弁論終結時においても、特別顕著性を有していると認められる。 (4) 周知性ア原告商品の需要者前提事実(2)及び前記1(4)の認定事実によれば、原告商品及び被告商品 であるバルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクターは、血管造影や血管内手術を実施している比較的規模の大きな医療機関において、循環器内科及び脳神経外科の医師が使用するものであり、そのような医療機関がYコネクターを購入するに当たっては、当該手術を行う医師がその選択について実質的な決定権 比較的規模の大きな医療機関において、循環器内科及び脳神経外科の医師が使用するものであり、そのような医療機関がYコネクターを購入するに当たっては、当該手術を行う医師がその選択について実質的な決定権限を有すると解される。したがって、原告商品 及び被告商品の需要者は、バルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コ ネクターを実際に使用する医師を中心とする医療従事者であると認められる。 イ周知性の有無前記(3)キのとおり、原告が原告商品の製造販売を開始した平成14年9月の時点から、原告Yコネクターの形態が客観的に他の同種商品とは異な る顕著な特徴を有していたことに加え、前提事実(6)及び認定事実(3)のとおり、原告は、展示会における広告宣伝や医師に対する営業等を継続して売上げを伸ばし、原告が製造するYコネクターは、Yコネクターが使用されるPTCA市場において、平成20年以降、販売数量、販売金額ともに5割以上のシェアを獲得し、令和4年には、販売数量で7割、販売金額で 約8割のシェアを獲得していたものであり、原告が販売するYコネクターの約70パーセントは原告商品(YコネクターにOKAYⅡタイプのものが選択されて、これに付属品が組み合わされる商品)であった。そうすると、二弁式Yコネクターに限った市場データは存在しないものの、二弁式Yコネクター市場において原告商品が占めるシェアは、Yコネクター全体 に占める割合よりも更に高いものと推認される。これらの事情に照らすと、原告Yコネクターの形態は、その形態が原告によって長期間独占的に使用されてきたことにより、平成20年頃には、原告の出所を示すものとして需要者である医師を中心とする医療従事者に広く認識されるに至ったこと、すなわち、周知性を獲得したことが認めら って長期間独占的に使用されてきたことにより、平成20年頃には、原告の出所を示すものとして需要者である医師を中心とする医療従事者に広く認識されるに至ったこと、すなわち、周知性を獲得したことが認められる。 この点、被告は、医師が、患者の生命及び身体の安全に関わる医療機器を選定するに当たって、形態ではなく当該商品の機能を重視するものであること、原告による営業活動も、原告商品の機能や性能を説明して、商品の販売に結び付けるものであったといえることから、原告Yコネクターの形態を周知するための営業活動はされていないなどと主張する。しかし、 医師が手で握って使用するという二弁式Yコネクターの一般的な使用方法 (前記1(1)アの認定事実)からすれば、二弁式Yコネクターの使用に当たっては、商品の寸法や色彩等の商品の形態が、使用感や使いやすさ、利便性等に影響を与えるといえる以上、二弁式Yコネクターの形態についても、これを実際に使用する医師が選定の際に考慮するものと解することができる。そうすると、需要者、すなわち、医師を中心とする医療従事者は、原 告が行っていた原告商品に係る営業活動を通じ、原告Yコネクターの形態について相応の注意を払って認識していたといえるから、当該営業活動は、原告Yコネクターの周知性の獲得に寄与していたというべきであって、被告の上記主張は採用できない。 また、被告は、原告商品が市場で大きなシェアを有していたのは、原告 がプッシュ式の二弁式Yコネクターの製造に必要な特許を有していたことに起因するものであると主張するが、証拠(甲21、乙25、26)によれば、被告が主張する特許のうち、特許第3899346号の特許に係る請求項は、いずれもYコネクターに止血弁を複数設けるものであると認められ、原 のであると主張するが、証拠(甲21、乙25、26)によれば、被告が主張する特許のうち、特許第3899346号の特許に係る請求項は、いずれもYコネクターに止血弁を複数設けるものであると認められ、原告Yコネクターに、これらの請求項に係る発明が実施されていな いことは明らかであるし、特許第6083850号の特許の出願日は、平成24年8月24日であり、その登録日は平成29年2月3日であって、それらはいずれも原告Yコネクターの形態が周知性を獲得した後であるから、これらの特許の存在は、周知性を否定する事情にならない。 以上に加え、上記のとおり、原告Yコネクターは、PTCA市場におい て、令和4年には平成20年と比較して更に高いシェアを獲得していることからすれば、原告Yコネクターの形態は、本件口頭弁論終結時(令和6年8月27日)においても、周知性を有しているというべきである。 (5) 被告の主張について前記(1)のとおり、商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するた めに他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来する場合には「商 品等表示」に該当しないが、他方で、商品の形態が商品の技術的な機能及び効用に由来するものであっても、他の形態を選択する余地がある場合には、「商品等表示」に該当し得る。 この点に関し、被告は、原告Yコネクターの形態が、単に機能を発揮する観点から選択されたにすぎず、その機能及び効用を発揮するために必然的、 不可避的に採用せざるを得ない商品形態であって、「商品等表示」に該当し得ない旨を主張するので、以下検討する。 ア本件特徴(ア)について前記1(2)イの認定事実並びに証拠(乙1、18、19)によれば、血管カテーテル用Yコネクターは、JIS において規格が定められ ない旨を主張するので、以下検討する。 ア本件特徴(ア)について前記1(2)イの認定事実並びに証拠(乙1、18、19)によれば、血管カテーテル用Yコネクターは、JIS において規格が定められており、同 規格では、ローテータの雄雌嵌合部がISO 80369-7に適合したものでなければならないとされており、ISO 80369-7は、嵌合部のネジ形状やテーパ形状について、その寸法範囲を規定しているから、Yコネクターのローテータは、同規格により、嵌合部のネジ形状やテーパ形状が決定されるため、嵌合部の内径の大きさにも上限が生じること、そ の結果、嵌合部に続くメインブランチも嵌合部の内径に連続する形になることから同程度の内径に決まり、ローテータはネジ構造であるから、その断面の内径が同一のメインブランチの太さより若干大きくなることが認められる。また、前記1(2)ウの認定事実のとおり、サムホイールの上部にあるオープナーを上下に摺動させることにより開閉する止血弁と、サムホイ ールを回転させることでデバイス等を固定するとの仕組みにより開閉する固定弁とが存在するYコネクターにおいては、止血弁は、サムホイール上部にあるオープナーを押し込むことにより、オープナーの軸部がサムホイール上部に設置されたシリコンゴム製の弁を押し下げ、押し下げられた弁が元に戻ろうとする復元力によりオープナー軸部を圧迫する仕組みとなっ ている。そして、前記1(1)アの認定事実のとおり、オープナーの上面の中 心部には、Yコネクター使用時に親カテーテルに挿入されるデバイス(子カテーテル)を挿入させ、メインブランチに通じる孔が必要であるから、かかる孔においては、挿入させることが予定されているデバイスの大きさやメインブランチに応じて一定の内径を確保 挿入されるデバイス(子カテーテル)を挿入させ、メインブランチに通じる孔が必要であるから、かかる孔においては、挿入させることが予定されているデバイスの大きさやメインブランチに応じて一定の内径を確保しなくてはならないこととなる。さらに、サムホイール上部にある設置する止血弁は、かかるオープナ ーの軸部の太さを加味した上で、復元力によりオープナー軸部を圧迫して、最低限、患者の血液が漏れるのを止められる程度の耐圧を保たなくてはならないから、当該止血弁の大きさは、オープナー軸部の太さ(外径)に比較して十分な大きさを持つ必要がある。そうすると、止血弁を内蔵したサムホイールは、ローテータよりも断面径が大きいものになると考えられ、 実際に、他社の二弁式Yコネクターは、いずれもメインブランチや、それより少し断面径の大きいローテータと比較して、さらに断面径が大きいサムホイールを有している。 以上によれば、メインブランチよりローテータが少し断面径の大きく、サムホイールの断面径がローテータと比較してさらに大きいという形態は、 商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものといえる。 イ本件特徴(イ)について前記1(2)ウの認定事実のとおり、固定弁において、サムホイールにあるネジ構造を回転させることにより、サムホイール下部がメインブランチを 締め付け、メインブランチを内側に押しつける圧縮力でデバイス等を固定する構造を採用する場合には、サムホイールを回転させる動作が可能な構造とする必要があるといえる。しかし、別紙二弁式Yコネクター比較及び証拠(甲6)からも明らかなとおり、他社のYコネクターには当該部位は、太鼓状の形態であるものや八角柱のものが存在するから、その形状は、必 あるといえる。しかし、別紙二弁式Yコネクター比較及び証拠(甲6)からも明らかなとおり、他社のYコネクターには当該部位は、太鼓状の形態であるものや八角柱のものが存在するから、その形状は、必 ずしも円柱形状となったスクリューである必要はない。 また、前記1(2)ウの認定事実のとおり、スクリューの上端部に上下に摺動可能な側面視T字状のオープナーを備えているとの形態は、オープナーを下に押し込むことで止血弁の開閉をするために採用されているものであるが、他社の二弁式コネクターには、オープナーをキャップと一体にして外側のキャップ全体について上下の摺動方式が採られているものがある。 以上によれば、サムホイールの円柱形状のスクリューとその上端部に上下に摺動可能な側面視T字状(平らな円盤状部材を当該円盤中心において垂直に軸部で支えている形状)のオープナーとを備えた形態は、商品の技術的な機能及び効用に由来するものではあるものの、他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものとはいえない。 ウ本件特徴(ウ)前提事実(3)及び(4)並びに前記1(1)イの認定事実のとおり、原告Yコネクターは、固定弁と止血弁を備える二弁式Yコネクターであるところ、固定弁は、カテーテル手術の術中に、Yコネクターのサイドポートから造影剤を注入するなどの際に、安全に造影剤を注入するために使用されるもの である。そのため、仮に止血弁が固定弁よりもサムホイールの下部に設置すると、造影剤等を注入した際に、造影剤等が、止血弁を超えて固定弁の位置まで至ることとなって、固定弁を開くと造影剤の液漏れ等が生じてしまうこととなる。このような、カテーテル手術におけるYコネクターの使用態様を前提とすると、メインブランチに近いサムホイールの下部に固 位置まで至ることとなって、固定弁を開くと造影剤の液漏れ等が生じてしまうこととなる。このような、カテーテル手術におけるYコネクターの使用態様を前提とすると、メインブランチに近いサムホイールの下部に固定 弁を設置し、その上部に止血弁を設置するという構造は、商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものといえ、このことは、前記1(2)ウの認定事実のとおり、原告Yコネクター及び被告Yコネクターを含む二弁式Yコネクターの全てが、スクリューの上端部に止血弁を、下端部に固定弁をそ れぞれ内蔵する二弁式になっていることからも裏付けられる。 以上によれば、スクリューの上端部に止血弁を、同下端部に固定弁を、それぞれ内蔵する二弁式になっているという形態は、商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものといえる。 エ本件特徴(エ) 前記1(1)アの認定事実及び別紙二弁式コネクター比較のとおり、Yコネクターは、使用前に生理食塩液を満たして空気を取り除く必要があるため、多くの他社のYコネクターは、視認性を高める目的で全体が無色透明であるのに対し、同目的と関係しないオープナーは着色されている。しかし、二弁式Yコネクターの中には、透明感を残しつつ全体が青色に着色さ れているものも存在するから、オープナー以外が全て無色透明であるのに対して、オープナーは透明でありながら単色で着色されているという形態的特徴は、商品の形態が商品の技術的な機能及び効用に由来するものではあるものの、他の形態を選択する余地があるといえる。 オ本件特徴(オ)及び(カ) 前記(3)オで説示したとおり、Yコネクターの形状は、必然 態が商品の技術的な機能及び効用に由来するものではあるものの、他の形態を選択する余地があるといえる。 オ本件特徴(オ)及び(カ) 前記(3)オで説示したとおり、Yコネクターの形状は、必然的に手で握った状態で上記操作ができる大きさの範囲に収まるものになると認められる。 もっとも、Yコネクターには、目的に応じてより全長が短いショートタイプも存在し、ショートタイプを除く他社のYコネクターの寸法も様々であるから、原告が主張する原告Yコネクターの寸法が商品の技術的な機能及 び効用を実現するために他の形態を選択する余地があるといえる。 カまとめ前記イないしオのとおり、本件特徴(ア)及び(ウ)については、商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものといえるものの、その余の特徴については、複数 の選択肢があり、商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態 を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものとはいえない。そして、前記説示のとおり、原告Yコネクターは、商品の技術的な機能及び効用を実現するために他の形態を選択する余地のない不可避的な構成に由来するものとはいえない本件特徴(エ)及び(オ)を有しており、特別顕著性及び周知性が認められるから、原告Yコネクターの「商品等表示」該当性は否 定されない。 (6) 小括以上のとおり、原告Yコネクターの形態は、全体として特別顕著性が認められ、かつ平成20年以降、不競法2条1項1号にいう商品等表示として需要者の間に広く認識されたものとなっていたと認められる。 この点、被告は、Yコネクターの需要者である医師が、使用感、機能面を考慮して商品を選択しており、形態に依拠した商品選択はさ 示として需要者の間に広く認識されたものとなっていたと認められる。 この点、被告は、Yコネクターの需要者である医師が、使用感、機能面を考慮して商品を選択しており、形態に依拠した商品選択はされていないから、原告Yコネクターの形態は出所を表示するものとはいえない旨を主張する。 しかし、前記(4)イで説示したとおり、商品の形態は、これを使用する医師が商品を選定する際に考慮するものであると解される以上、被告の上記主張を 採用することはできず、原告Yコネクターの形態は、自他識別機能及び出所表示機能を備えていると認められる。 そして、前記(4)イで説示したとおり、本件口頭弁論終結時(令和6年8月27日)においてもなお、原告Yコネクターの上記形態は周知性を有しているから、原告の周知な商品等表示として出所表示機能を有しているものと認 めるのが相当である。 争点2(原告Yコネクターと被告Yコネクターの各形態が同一又は類似であるか)について(1) ある商品等表示が不競法2条1項1号の「類似」に該当するか否かは、取引の実情の下において、取引者又は需要者が、両表示の外観、称呼又は観念 に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものと受け取るおそ れがあるか否かを基準に判断するのが相当である(最高裁昭和57年(オ)第658号同58年10月7日第二小法廷判決・民集37巻8号1082頁、最高裁昭和56年(オ)第1166号同59年5月29日第三小法廷判決・民集38巻7号920頁参照)。 (2) 前提事実(3)ないし(5)のとおり、原告Yコネクターの形態と被告Yコネクタ ーの形態は、全長(原告Yコネクター87.99mm、被告Yコネクター87.80mm)、スクリューの形状が円柱状であること、全体が透明な部材で )のとおり、原告Yコネクターの形態と被告Yコネクタ ーの形態は、全長(原告Yコネクター87.99mm、被告Yコネクター87.80mm)、スクリューの形状が円柱状であること、全体が透明な部材で製作され、オープナーは暖色系の色彩で着色されている点で共通しており、前提事実(5)及び別紙二弁式Yコネクター比較のとおり全体的な寸法割合も非常に似かよっているところ、特に寸法や色彩といった構成が類似しているこ とから、それらの外観により、需要者である医師を中心とした医療従事者は、両表示が全体的に類似するとの印象を受けるものといえる。 他方で、前提事実(3)及び(4)及び証拠(乙7)によれば、原告Yコネクターと被告Yコネクターの形態の差異として、①原告Yコネクターのオープナーは、黄色に着色された透明な部材で、その外縁の6か所に小さな凸部が均 等に離れて存在しているのに対し、被告Yコネクターのオープナーは、透明感がないオレンジ色に着色された部材で、外縁全体に連続的に10個の半円状の凸部がある花弁形状となっている点、②原告Yコネクターのスクリューは、単純な円柱状ではなく、全体として上部約3分の2の部分がその中心部に若干の膨らむ形で丸みを帯びた形状であり、また、スクリューの上側約3 分の2の箇所に45度間隔の幅で8つの凹部があるのに対し、被告Yコネクターのスクリューは、スクリュー全体が円柱状の形状であり、上側約3分の2の部分の直径が下側約3分の1の部分の直径より若干細くなる形状であり、外周に90度間隔でスクリューの軸方向と平行に全体的に4つのリブ状の凸部が設けられており、スクリューの下部にあるCリングもオレンジに着色さ れている点、③被告Yコネクターには、メインブランチとサイドポートの接 合部分にシボ加工が施さ のリブ状の凸部が設けられており、スクリューの下部にあるCリングもオレンジに着色さ れている点、③被告Yコネクターには、メインブランチとサイドポートの接 合部分にシボ加工が施されており、透明感のない素材が利用された円形の支持部が設けられており、同部分には、被告の社名を示す「TMP」と商品名を示す「Smart」の文字が刻印されている点、④原告Yコネクターのローテータは、全体として無色透明な部材が使用され、ローテータの上部約4分の1の箇所から下端にかけて凸型のリブは4箇所あるのに対し、被告Yコ ネクターのローテータは、ローテータ全体は無色透明な部材が使用されているが、上部に設けられているCリングがオレンジ色に着色されており、ローテータの全体に凸型のリブが8箇所ある点、⑤被告Yコネクターは、従来のYコネクターの使用時における医師の負担や不便さを解消するためのアタッチメントを取り付けることができるという機能の拡張性を有する点が存在す る。しかし、これらの相違点のうち、①については、色彩の相違はあるものの同系色での相違にすぎず、オープナーの形状の違いは上面から観察しないと判別できない程度の差異にとどまること、②及び④のスクリューの形状並びにスクリュー及びローテータにある凹凸のリブの違いも、被告Yコネクターは一部がオレンジ色に着色されている点を除いてはスクリュー及びローテ ータが無色透明であるため、凹凸のリブが目視では分からないこと、⑤については、アタッチメントを取り付けるためのフランジ自体は、目立たず目を引くものではないことからすると、①、②、④及び⑤はいずれも些細な相違点にすぎないといえる。また、③については、他の相違点との比較において、目を引くものといえるものの、全体的な構成からは一部にとどまっている上 はないことからすると、①、②、④及び⑤はいずれも些細な相違点にすぎないといえる。また、③については、他の相違点との比較において、目を引くものといえるものの、全体的な構成からは一部にとどまっている上、 同部分に表示された商品名の表示は必ずしも視認性が高いものではない。 以上の共通点及び相違点を総合すると、原告Yコネクターの形態と被告Yコネクターの形態は、需要者が受ける全体的な印象が類似しており、上記共通点は、上記相違点よりも需要者に強い印象を与えるものであると評価することができるから、原告Yコネクターの形態と被告Yコネクターの形態につ いては、不競法2条1項1号の「類似」性を認めることができる。 争点3(被告商品の製造及び販売が混同を生じさせる行為に該当するか)について(1) 不競法2条1項1号の「混同を生じさせる行為」とは、商品又は役務について出所が同一であると誤認させ、あるいはその営業につき主体が同一であると誤認させる場合に限られず、混同を生じさせるおそれがあればよく、ま た、他人の周知の商品等表示と同一又は類似のものを使用する者と当該他人との間にいわゆる親会社、子会社の関係や系列関係等の緊密な営業上の関係又は同一の表示の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信させる行為も含まれると解される(最高裁昭和44年(オ)第912号同年11月13日第一小法廷判決・裁判集民事97号273頁、最高裁昭和57年 (オ)第658号同58年10月7日第二小法廷判決・民集37巻8号1082頁、最高裁平成7年(オ)第637号同10年9月10日第一小法廷判決・裁判集民事189号857頁参照)。 (2) 前記1(4)の認定事実のとおり、原告商品及び被告商品は、医療機器の製造販売業者や販売業者の担当者が 年(オ)第637号同10年9月10日第一小法廷判決・裁判集民事189号857頁参照)。 (2) 前記1(4)の認定事実のとおり、原告商品及び被告商品は、医療機器の製造販売業者や販売業者の担当者が、実際にこれを使用する医師に、当該医療機 器の特色、機能、使用方法等に関する説明を行い、臨床用のサンプルを提供して実際の使用感を確認してもらい、当該医療機器を購入する場合は、販売業者に対して当該医療機器を発注するというプロセスをたどって取引されており、その際も、医療機関は、JANコードで商品を管理するか、JANコードによる管理がされていない場合であっても、品名の他に品番で識別管理 がされ、それらを注文書に記載することで商品が特定されている。また、前提事実(2)及び前記1(1)アの認定事実のとおり、二弁式Yコネクターは、バルーン拡張式血管形成術等の手術等において医師が用いる医療機器であって、病棟などに入院している患者にも使用される医療機器や、看護師も取り扱う医療品とは異なり、その使用者は、バルーン拡張式血管形成術向けカテーテ ルを手術等で使用する医師に限られており、主たる需要者である医師は、担 当者から説明を受けた上で、その形態のみならず、臨床用のサンプルを使った際の使用感や、術式への適合性など機能面を考慮して医療機器を選択するといえる。そのような点を考慮すると、被告Yコネクターの形態が原告Yコネクターのそれと類似しているからといって、一般取引者である医療関係者及び主たる需要者である医師において、必ず原告商品と被告商品の出所が同 一であると誤認するとまでは認められない。 もっとも、前記2(4)で説示したとおり、原告商品が二弁式Yコネクターの中で高いシェアを長年にわたって維持してきたのに対し、原告商品が上市し 出所が同 一であると誤認するとまでは認められない。 もっとも、前記2(4)で説示したとおり、原告商品が二弁式Yコネクターの中で高いシェアを長年にわたって維持してきたのに対し、原告商品が上市した平成14年9月から現時点までにおいて、原告Yコネクターと類似する寸法を有し、全体が無色透明でオープナーの色彩が暖色系である商品は市場に 全く存在しておらず、証拠(甲20、乙39)によれば、二弁式Yコネクターにおいて、原告商品に次いで一定のシェアを有していたのは、原告商品とは全く異なる特徴を有するアボット社Yコネクター及びメリットメディカル社Yコネクターであったと認めることができる。このようなシェアの状況に照らすと、主たる需要者である医師の中には、原告Yコネクターを全体的な 寸法及び全体が無色透明でオープナーの色彩が暖色系のものという形態的特徴で認識している者が存在する可能性があるということができる。さらに、原告商品及び被告商品のカタログやパンフレット(甲2、14、乙9)には、製造販売業者が記載されてはいるものの、各企業の営業上の関係性までは明記されていないことも考慮すると、原告Yコネクターの形態と被告Yコネク ターの形態の全体的な印象が類似していることにより、主たる需要者である医師において、原告と被告との間に親会社、子会社の関係や系列関係等の緊密な営業上の関係又は同一の表示の商品化事業を営むグループに属する関係が存すると誤信するおそれがあると認めるのが相当である。 以上によれば、被告による被告商品の製造及び販売は、不競法2条1項1 号にいう「混同を生じさせる行為」に当たると認められる。 争点4(差止めの必要性)について前提事実(4)のとおり、被告は、別紙被告商品目録2記載の被告商品につき、薬 号にいう「混同を生じさせる行為」に当たると認められる。 争点4(差止めの必要性)について前提事実(4)のとおり、被告は、別紙被告商品目録2記載の被告商品につき、薬事承認を受けており、かつ、「TMPYコネクターⅠ」(医療機器承認番号30400BZX00258000)については、その製造及び販売を予定しているから、別紙被告商品目録1記載の被告商品の製造及び販売を差し止める 必要性が認められる。 他方で、販売名を「TMPスマートコネクタ」とする商品についてのカタログ(甲14)においては、上記の「TMPYコネクターⅠ」のみが掲載され、「TMPYコネクターⅡ」(医療機器承認番号30400BZX00258A01)は掲載されておらず、本件全証拠によっても、被告が同商品の製造及び 販売を予定していることをうかがわせる事情があるとは認められない。 そうすると、原告の請求のうち、「TMPYコネクターⅡ」の製造及び販売の差止めを求める部分については、これを認めることができない。 また、別紙被告商品目録2においては、「オープナー等の色彩の有無やカラーバリエーションは問わない。」とされているが、オープナー「等」の外延が不明 確であって、原告Yコネクターと類似しない形態も含まれるおそれがあるから、差止めを認めるのは相当ではない。 以上によれば、本件において製造及び販売の差止めを認めることができる被告商品は、別紙被告商品目録1記載のとおりとなる。 第4 結論 以上によれば、原告の請求は主文掲記の限度で理由があるから、これを認容することとし、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 由があるから、これを認容することとし、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 塚田久美子 (別紙)原告商品目録 バルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクター「グッドテックYコネクターセット」(医療機器承認番号21100BZZ00564000) ただし、二弁式のYコネクターであり、「OKAYⅡタイプ」が含まれるものであって、上記販売名のほかに「TYPE:OKAYⅡ」のシリーズ名が付されるもの。 当該シリーズ商品には、同梱される附属品(インサーター、トルクデバイス及び延長チューブ)の有無及び構成内容に応じてAセットからHセットのバリエーションがあるが、全てに別紙原告Yコネクターの形態と名称に掲載した図面に示した「OKAYⅡタイプ」のYコネクターが含まれる。 以上 (別紙)被告商品目録1 商品名:TMPスマートコネクタただし、二弁式のバルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクターであって、「TMPYコネクターⅠ」(医療機器承認番号30400BZX00258000)として製造販売承認を得ているもののうち、Yコネクターとして バルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクターであって、「TMPYコネクターⅠ」(医療機器承認番号30400BZX00258000)として製造販売承認を得ているもののうち、Yコネクターとして、「スタンダード」及び「レバー付スタンダード」が選択される商品構成のもの。 以上 (別紙)被告商品目録2 商品名:TMPスマートコネクタただし、二弁式のバルーン拡張式血管形成術向けカテーテル用コネクターであって、「TMPYコネクターⅠ」(医療機器承認番号30400BZX00258000)及び「TMPYコネクターⅡ」(医療機器承認番号30400BZX00258A01)として、それぞれ製造販売承認を得ているもの。 被告商品は、「Yコネクター」、「インサータ」、「トルクデバイス」、「延長チューブ」及び「ガイドワイヤホルダ」の計5品のうち、1から5品の組合せで構成される商品であって、「Yコネクター」として「スタンダード」及び「レバー付スタンダード」が選択される商品構成のもの。 なお、オープナー等の色彩の有無やカラーバリエーションは問わない。 以上 (別紙)原告Yコネクターの形態と名称 以上 (別紙)被告Yコネクターの形態と名称 以上

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