主文 被申立人の申立人に対する昭和四四年一〇月一六日付退去強制令書に基づく執行は、送還に限り、本案判決確定にいたるまで停止する。訴訟費用は被申立人の負担とする。理由 一申立の趣旨および理由別紙(一)記載のとおり。二被申立人の意見別紙(二)記載のとおり。三当裁判所の判断本件疎明によれば、申立人は米国籍を有し、ネブラスカ・ウエスリアン大学在学中、いつたん州兵となつたが、その後兵役の登録にあたり兵役につくことを忌避し、その代替的義務として三年間キリスト教宣教師たる活動を選択し、昭和三六年一〇月一〇日日本に入国し、青山学院等においてキリスト教の宣教に従事していたが、仏教特に禅に関心を抱くようになり、キリスト教宣教師としての義務を果した後、昭和四〇年八月禅宗に改宗し、僧籍にはいつてAと名のり、昭和四一年四月から一年間永平寺において雲水の修業をなし、駒沢大学大学院仏教学科において身元引受人であるBに師事して昭和四五年一月までに「現代中国における仏教」なる修士論文を提出することとなつており、同年三月同大学院卒業後、さらに禅寺において修業をかさねたうえ、将来は米国において禅の布教に生涯を捧げようとしているものであるが、前叙のごとく昭和三六年一〇月一〇日宣教師として日本に入国以来、約八回にわたり期間の更新を受けて適法に本邦に在留してきたが、昭和四四年六月一二日文化大革命以後における中国仏教の実情を視察するため、再入国の許可申請が容れられないままで、中国に向けて出国し、同年七月二日ごろ再び長崎港に帰来し、交渉の結果、同月七日付で、政治活動を行なつたという理由で在留期間を六〇日と限定されて上陸を認められ、同年八月六日付で在留期間更新許可の申請をなしたところ、これが不許可となり、該不許可処分の取消訴訟(昭和四四年(行 七日付で、政治活動を行なつたという理由で在留期間を六〇日と限定されて上陸を認められ、同年八月六日付で在留期間更新許可の申請をなしたところ、これが不許可となり、該不許可処分の取消訴訟(昭和四四年(行ウ)第一八二号)を当裁判所に提起し、同年九月一一日東京入国管理事務所入国警備官の調査のための呼出に応じて指定の時刻に出頭したところ、収容令書により同事務所収容場に収容された、これに対し収容令書発付処分取消訴訟(昭和四四年(行ウ)第一九四号)を提起し、同年九月二〇日当裁判所の決定により同収容令書に基づく、収容は停止されて放免されたものの、同年一〇月九日付で申立人がさきにした法務大臣に対する異議の申出が棄却され、同月一六日右裁決の告知を受けるとともに、本件退去強制令書に基づき収容されるにいたつたことが、一応認められる。 したところ、収容令書により同事務所収容場に収容された、これに対し収容令書発付処分取消訴訟(昭和四四年(行ウ)第一九四号)を提起し、同年九月二〇日当裁判所の決定により同収容令書に基づく、収容は停止されて放免されたものの、同年一〇月九日付で申立人がさきにした法務大臣に対する異議の申出が棄却され、同月一六日右裁決の告知を受けるとともに、本件退去強制令書に基づき収容されるにいたつたことが、一応認められる。以上の事実によれば、本件退去強制令書の発付の適法であることが疑いを容れる余地のないほど明白であるとはいいがたく、この点については、さらに、慎重な審理を要するところであつて、本案につき理由がないものとみえる場合にあたらないというべきであるので、申立人が本件退去強制令書に基づいて送還されることとなれば、回復の困難な損害を被るおそれがあり、これを避けるため緊急の必要があるものと認め、右送還を停止することとする。申立人は、本件退去強制令書に基づく収容の停止をも求めているが、退去強制令書の発付の違法であることが明白であるとはいい難く、また特段の事情の認められない本件においては、被収容者の収容につき一定の者に対し仮放免の申請権が与えられている(出入国管理令五四条一項参照)ことにかんがみ、予め収容自体の停止を認める緊急の必要はないものというべきである。よつて、申立人の本件申立ては、退去強制令書に基づく送還の停止を求める限度においてこれ 出入国管理令五四条一項参照)ことにかんがみ、予め収容自体の停止を認める緊急の必要はないものというべきである。よつて、申立人の本件申立ては、退去強制令書に基づく送還の停止を求める限度においてこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条、九二条を適用して、主文のとおり決定する。(昭和四四年一〇月一八日東京地方裁判所決定)別紙(一)行政処分執行停止決定申請申請の趣旨申請人に対する被申請人の昭和四四年一〇月一六日付退去強制令書発付処分に基く執行は、東京地方裁判所昭和四四年(行ウ)第二一六号退去強制令書発付処分取消請求事件の判決確定に至るまでこれを停止する。申請費用は被申請人の負担とする。との裁判を求める。申請の理由第一、(行政処分の存在)一、(申請人の地位、経歴及びわが国における生活等)申請人は一九三九年アメリカ合衆国ネブラスカ州に出生し、ネブラスカ・ウエスリアン大学在学中、良心的徴兵拒否者として兵役義務に就くことを拒否したが、そのみかえりの奉仕として、国外におけるキリスト教の宣教師たる活動を選択して、昭和三六年一〇月キリスト教伝導の目的で来日した。 請費用は被申請人の負担とする。との裁判を求める。申請の理由第一、(行政処分の存在)一、(申請人の地位、経歴及びわが国における生活等)申請人は一九三九年アメリカ合衆国ネブラスカ州に出生し、ネブラスカ・ウエスリアン大学在学中、良心的徴兵拒否者として兵役義務に就くことを拒否したが、そのみかえりの奉仕として、国外におけるキリスト教の宣教師たる活動を選択して、昭和三六年一〇月キリスト教伝導の目的で来日した。その後申請人は、日本キリスト教団に所属し、青山学院大学で英語の教授をしながらキリスト教布教活動をつづけたが、次第に禅に興味を持つようになり、禅寺で坐禅の修業をつみ、昭和四〇年八月「得度」の儀式を行つて剃髪、僧衣の身となり、Aと名のり、昭和四一年四月から一年間福井県の大本山永平寺において雲水の修業をつとめた。さらに昭和四二年四月には駒沢大学大学院仏教学科に入学し、C教授の指尊の下で仏教を研究するとともに、断食托鉢するなど仏徒としての修業も続けて現在に至つている。なお、昭和四五年一月までに現在とりまとめ中の修士論文「現代中国における仏教」を提出し 学し、C教授の指尊の下で仏教を研究するとともに、断食托鉢するなど仏徒としての修業も続けて現在に至つている。なお、昭和四五年一月までに現在とりまとめ中の修士論文「現代中国における仏教」を提出し、同年三月右大学院を卒業したその暁には四月から七月まで永平寺時代の師D師(現在は福井県霊泉寺住職)の指導・監督のもとに百日間の”首僧”としての修業を行い、”立身”を遂げ、始めて曹洞宗僧侶の資格を得るに至る予定である。そのうえは明年八月頃までにわが国を出国し、米国において禅の布教に生涯を捧げる所存である。二、(在留資格と従来の在留期間更新)申請人は昭和三六年入国時においては、宗教活動を行うために派遣された者としての在留資格を有していたが、その後仏教研究、大学院就学に及び、出入国管理令(以下単に令)第四条第一項第一六号、特定の在留資格及びその在留期間を定める省令第一項第三号により、いわゆる「四―一―一六―三」として特別の在留資格を有するに至つた。在留期間は従前一八〇日と定められており、例外なく更新許可をうけていたところ、昭和四四年三月二四日付更新申請に対し、同年五月一九日法務大臣は突如これを九〇日に短縮し、あわせて同年四月四日付でなした再入国申請に対して違法にも不許可処分をなした。 下単に令)第四条第一項第一六号、特定の在留資格及びその在留期間を定める省令第一項第三号により、いわゆる「四―一―一六―三」として特別の在留資格を有するに至つた。在留期間は従前一八〇日と定められており、例外なく更新許可をうけていたところ、昭和四四年三月二四日付更新申請に対し、同年五月一九日法務大臣は突如これを九〇日に短縮し、あわせて同年四月四日付でなした再入国申請に対して違法にも不許可処分をなした。そのため申請人が予定どおり同年六月一二日出国し、中国におもむき中国領域から戻つて来た六月二七日頃、長崎入国管理事務所は、再入国の手続をしないので、やむなく申請人は在留目的については、従前と同様仏教研究と大学院修学の必要を記載して入国(上陸)許可申請をなしたところ、法務大臣は同年七月七日付で在留期間は従前同様「四―一―一六―三」在留期間は同日より九月五日までの六〇日間と定め、令第一二条第一項第三号にもとずき許可した。三、(在留期間更新不許可処分と本件退去強 法務大臣は同年七月七日付で在留期間は従前同様「四―一―一六―三」在留期間は同日より九月五日までの六〇日間と定め、令第一二条第一項第三号にもとずき許可した。三、(在留期間更新不許可処分と本件退去強制令書の発布)申請人は前記のとおり駒沢大学大学院における学問の研究を続け、さらに僧侶として修業を果す必要があり、その事情は全く中国渡航前と変わらないので、昭和四四年八月六日付で法務大臣に対し仏教研究と大学院での学習継続の必要を記載して在留期間の更新を許可するよう令第二一条、同法施行規則第二〇条に則り申請したところ、法務大臣は何ら理由を付さないまま不許可処分とした旨同月二三日付で申請人に通知した。そこで申請人は、同年九月三日法務大臣に対し、右不許可処分の取消を求めて東京地方裁判所に訴を提起し、右事件は現に民事第三部に係属中である(同庁昭和四四年(行ウ)第一八二号)。しかるに、法務大臣および被申請人をはじめとする東京入国管理事務所入国管理官憲は、右訴に対する裁判所の判断を待つことなく、在留期限と主張する九月五日を過ぎるや直ちに原告に対する退去強制手続を開始し、同年一〇月一六日には、法務大臣は申請人の異議の申出を棄却するとともに、被申請人は申請人に対し、本件退去強制令書を発付し、即日収容するに至つた。尚、申請人は同年九月一一日、東京入国管理事務所入国警備官の出頭要求に対し、同事務所に出頭したところ、被申請人は同日付で収容令書を発付し、入国警備官は、右令書に基き申請人を直ちに収容したので、申請人は同月一三日右収容令書発付処分の取消を求めて東京地方裁判所に訴を提起するとともに(昭和四四年(行ウ)第一九四号)、右令書による執行の停止決定を申立てたところ(昭和四四年(行ク)第五六号)、同月二〇日東京地方裁判所民事第二部は、右収容令書による収容 所入国警備官の出頭要求に対し、同事務所に出頭したところ、被申請人は同日付で収容令書を発付し、入国警備官は、右令書に基き申請人を直ちに収容したので、申請人は同月一三日右収容令書発付処分の取消を求めて東京地方裁判所に訴を提起するとともに(昭和四四年(行ウ)第一九四号)、右令書による執行の停止決定を申立てたところ(昭和四四年(行ク)第五六号)、同月二〇日東京地方裁判所民事第二部は、右収容令書による収容 裁判所に訴を提起するとともに(昭和四四年(行ウ)第一九四号)、右令書による執行の停止決定を申立てたところ(昭和四四年(行ク)第五六号)、同月二〇日東京地方裁判所民事第二部は、右収容令書による収容を停止する旨の決定をなし、申請人はようやく自由の身を回復したばかりであつた。第二、(本件退去強制令書発布処分の違法性)本件退去強制令書発布の根拠として、被申請人は在留資格の喪失を主張するが、後述のとおり申請人は従来から有する在留資格に基づき在留期間の更新請求を適法になしたものであり、以下詳述のとおり法務大臣のなした更新不許可処分自体が違法であつて、申請人の在留資格は何ら失われていないのである。(一) 令第二一条は「本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格の変更をすることなく、在留期間の更新をうけることができ………(第一項)………。法務大臣は………更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる(第三項)」と規定している。これにつき更新を許可するもしないも全く法務大臣の自由裁量に属するとの主張があるかも知れないがこの見解は誤りである。すなわち、入国(上陸)許可によつて、当該外国人は本邦内において生活の本拠を置き、諸権利、諸自由を享受しうる権能を与えられるのに至るのであるから、この利益を失わしめるには客観的に合理的と判断された事由が存しなければならない。勿論入国許可申請の際短期間をもつて在留が終了する旨在留目的が記載され、かつこのことが何人にも明らかである場合は原則として更新を不許可としても違法ではなかろう。例えば一時的観光客や特定の講演演奏等のためにのみ入国した外国人などの場合である。しかし、これに反し入国の目的、資格から或程度長期に及ぶ滞在が予定され、客観的にもそれが認められる場合には入国審査官 えば一時的観光客や特定の講演演奏等のためにのみ入国した外国人などの場合である。 て在留が終了する旨在留目的が記載され、かつこのことが何人にも明らかである場合は原則として更新を不許可としても違法ではなかろう。例えば一時的観光客や特定の講演演奏等のためにのみ入国した外国人などの場合である。しかし、これに反し入国の目的、資格から或程度長期に及ぶ滞在が予定され、客観的にもそれが認められる場合には入国審査官 えば一時的観光客や特定の講演演奏等のためにのみ入国した外国人などの場合である。しかし、これに反し入国の目的、資格から或程度長期に及ぶ滞在が予定され、客観的にもそれが認められる場合には入国審査官が上陸の際決定した在留期間の到来によつて、ただちに本邦に在留する資格を失い、退去強制をうけるものとは解されない。一般に免許、許可等の処分に期限が附されている場合において、その期限の到来によつて当然に右処分が失効すると解するのは妥当ではなく、免許、許可の目的、性質に照らしてその附された期限が不相応に短期である場合には、その期限は処分権者に免許等を受けた者がその目的に沿い、条件どおり行為しているかどうかを確認し、あるいは条件等の変更をなす必要があるかどうかを考慮するための機会を与えた趣旨であると解すべきである。したがつて期限の到来前に適法な更新申請がなされており、状況に著しい変化がある等客観的に明白な合理的事由がない限り、期限の到来によつて従来の在留資格が直ちに失効するものではない。(東京地方裁判所民事第二部昭和四三年八月九日決定、判例時報五二六号二一頁参照)(二)、ところで申請人は、第一の記載のとおり、少くも昭和四五年三月末まで大学院学生として論文提出、修士号取得のため研究をつづけ、講義に出席する必要があり、かつ卒業後七月末までは首僧としての百日の勤行を果す必要がある。(ちなみに得度後五年以内にこの勤行を了しなければ僧侶の資格を得ることはできない)。この事情はここ数年の更新時、さらには昭和四四年六月中国より帰日の際の入国(上陸)申請時といささかも変化して居らず、前記更新申請にあたつても、この事由は申請書に記載して明らかにしている。それ故かかる状況を充分に知悉しながら、あえて更新申請に対し不許可処分をなした法務大臣の行為は違法であ さかも変化して居らず、前記更新申請にあたつても、この事由は申請書に記載して明らかにしている。それ故かかる状況を充分に知悉しながら、あえて更新申請に対し不許可処分をなした法務大臣の行為は違法であり、前述の通り原告の在留資格は適法に存続しているものと解すべきであるから、本件退去強制令書発布処分は、令二四条各号に定める要件を欠き明らかに違法である。 新申請に対し不許可処分をなした法務大臣の行為は違法であ さかも変化して居らず、前記更新申請にあたつても、この事由は申請書に記載して明らかにしている。それ故かかる状況を充分に知悉しながら、あえて更新申請に対し不許可処分をなした法務大臣の行為は違法であり、前述の通り原告の在留資格は適法に存続しているものと解すべきであるから、本件退去強制令書発布処分は、令二四条各号に定める要件を欠き明らかに違法である。第三、(執行停止の必要性)申請人は現に身柄を拘束され、東京入国管理事務所の収容所に収容されている。相手方はいつ何時でも申請人を強制送還することができる訳である。しかしながら、前述した如く申請人は、本件退去強制令書発布の前提となつた在留期間更新不許可処分については、これが違法であるとして訴を提起中である上に、本件退去強制令書発布処分をも違法として、これが取消の訴を本日付で東京地方裁判所に提起したばかりである。それ故、本件退去強制令書にもとづき強制送還を強行されるに及んでは、右二つの訴訟において司法裁判所の判断をうけることができず、申請人は回復しがたい損害をこうむること明白である。更に人身の拘束は人間にとつて最大の苦痛であるが、収容所における収容も又その例外ではない。すなわち、被収容者処遇規則(昭和二二年一〇月三〇日外務省令二一号)によれば、収容所等の構造及び設備は、被収容者の逃亡奪還又は通謀等を防止するため堅固にして且つ看守に便利なようにしなければならないとされ(六条一項)、容疑者等が日常生活に必要でないと認められる物品は領置することとし(八条)物品の購入も許可制であり(八条の二)、容疑者等の指紋および写真を強制的にとることにし(一〇条)、逃亡などの虞れがあるときは戒具を使用することができ(一二条)、被収容者の衣類、日用品も厳しく限定されており(一九条の二)、糧食も非常に低額な 者等の指紋および写真を強制的にとることにし(一〇条)、逃亡などの虞れがあるときは戒具を使用することができ(一二条)、被収容者の衣類、日用品も厳しく限定されており(一九条の二)、糧食も非常に低額なものに制限され(一九条の五)、面会も許可制で時間場所の指定があり(二四条)、物品の授受も同様許可制である上、信書の秘密もなく検閲されることとなつている(二六条)。収容所の状態の悪いことはよく知られるところであるが、右の如く法的にみても被収容者は、人身の自由のすべてにわたつて極度の制限をうけているのであつて、それは刑事上の勾留と実質的に変るところはないのである。 おり(一九条の二)、糧食も非常に低額なものに制限され(一九条の五)、面会も許可制で時間場所の指定があり(二四条)、物品の授受も同様許可制である上、信書の秘密もなく検閲されることとなつている(二六条)。収容所の状態の悪いことはよく知られるところであるが、右の如く法的にみても被収容者は、人身の自由のすべてにわたつて極度の制限をうけているのであつて、それは刑事上の勾留と実質的に変るところはないのである。このような状態での収容・拘束による苦痛ははかり知れないばかりでなく、後に確定判決によつて本件処分が取消されても、既に収容を続行してしまえばその損害の回復は不可能である。(このような場合金銭による賠償はほとんど無意味である)しかも申請人は前述のとおり、駒沢大学大学院仏教学科で仏教の勉学に励んでいるのであり、かつ仏教習得の一環として托鉢修行をもなしているのであるから収容の継続は、その勉学及び各種活動に回復し難い損害を与えることとなるのである。(収容についての執行停止決定事例、札幌地裁昭和四二年七月一六日行民集一八巻七号九一五頁、札幌高裁昭和四二年九月二五日前同巻八・九号一二一一頁、東京地裁昭和四二年九月二六日前同号一二四〇頁)よつて申請人は本件退去強制令書発付処分の取消を求めて本訴を東京地方裁判所に提起するとともに、本件退去強制令書にもとづく執行停止を求めて本申立に及んだ次第である。疎明方法(省略)別紙(二)意見書意見の趣旨本件申請を却下する。申請費用は申請人らの負担とするとの裁判を求める。理由 第一、本件退去強制令書発付処分に至るまでの経緯 明方法(省略)別紙(二)意見書意見の趣旨本件申請を却下する。申請費用は申請人らの負担とするとの裁判を求める。理由 第一、本件退去強制令書発付処分に至るまでの経緯一、申請人は、一九三九年一一月一日アメリカ合衆国ネブラスカ州において出生し、昭和三六年一〇月一一日キリスト教布教の目的で来日、日本キリスト教団に所属する宣教師として青山学院大学で英語の教師をしながら、キリスト教布教活動を続けた。その後昭和四一年四月から一年間福井県の大本山永平寺において雲水の修業をし、昭和四二年四月駒沢大学大学院修士課程(仏教専攻)に入学し、日本名をAと名乗つているものである。二、申請人は昭和三六年一〇月一一日在留資格四―一―一〇(宗教活動者)を付与され本邦に入国し、同三九年三月一七日いつたん出国、同月二七日再び在留資格四―一―一〇を付与され入国し在留中、仏教研究のため昭和四〇年一二月七日在留資格四―一―一六―三、在留期間を一八〇日に変更許可された。 平寺において雲水の修業をし、昭和四二年四月駒沢大学大学院修士課程(仏教専攻)に入学し、日本名をAと名乗つているものである。二、申請人は昭和三六年一〇月一一日在留資格四―一―一〇(宗教活動者)を付与され本邦に入国し、同三九年三月一七日いつたん出国、同月二七日再び在留資格四―一―一〇を付与され入国し在留中、仏教研究のため昭和四〇年一二月七日在留資格四―一―一六―三、在留期間を一八〇日に変更許可された。その後六回にわたり在留期間更新を許可された後、七回目の期間更新申請に対し、昭和四四年五月一九日在留期間を九〇日として許可されたが、申請人が同年四月四日付でなした中国大陸向け再入国許可申請については、法務大臣はこれを不許可とした。三、しかるに、申請人は、同年六月一二日長崎港から中国大陸向け出国したが、同月二〇日ころ中国大陸沿岸海上において中国官憲から入国を拒否されたため、同年六月二四日長崎港に入港し、同月二五日同港において仏教研究継続のためとの入国目的で上陸申請したが、福岡入国管理事務所長崎港出張所入国審査官は、申請人が有効な入国査証を所持しないところから、出入国管理令(以下令という)。七条一項一号に規定する上陸のための条件に適合していないものと認め、同日、同所特別審理官に引き渡し 港出張所入国審査官は、申請人が有効な入国査証を所持しないところから、出入国管理令(以下令という)。七条一項一号に規定する上陸のための条件に適合していないものと認め、同日、同所特別審理官に引き渡し、特別審理官が同日申請人につき口頭審理を行つた結果、申請人が令七条一項一号に規定する上陸のための条件に適合していないと認定し、その旨申請人に通知したところ、申請人は同月二六日右認定に異議があるとして法務大臣に対し異議の申出を行ない、法務大臣は同年七月二日付で異議の申出は理由がないが出国準備のためとして令一二条一項三号に基づき上陸特別許可(在留資格四―一―一六―三在留期間六〇日)を与え、同月七日長崎港出張所入国審査官は申請人の所持する旅券に右上陸特別許可の証印をした。なお、同審査官は右証印に際し申請人に対し本件許可は出国準備のためであるから許可期間内に必ず出国するよう口頭で告知している。四、申請人は、昭和四四年八月六日、仏教研究と大学院での学習継続のためという理由で在留期間更新許可申請をなしたが、法務大臣は、同月二一日前記上陸特別許可の経緯から、右申請を不許可と決定し同月二三日申請人にその旨通知した。 国審査官は申請人の所持する旅券に右上陸特別許可の証印をした。なお、同審査官は右証印に際し申請人に対し本件許可は出国準備のためであるから許可期間内に必ず出国するよう口頭で告知している。四、申請人は、昭和四四年八月六日、仏教研究と大学院での学習継続のためという理由で在留期間更新許可申請をなしたが、法務大臣は、同月二一日前記上陸特別許可の経緯から、右申請を不許可と決定し同月二三日申請人にその旨通知した。申請人は、同年九月三日法務大臣に対し右不許可処分取消請求の訴訟を東京地方裁判所に提起し、同所民事第三部に係属しているものである。五、東京入国管理事務所入国警備官は、申請人が申請人に認められた在留期限である昭和四四年九月五日を経過したのち不法に本邦に残留しているところから同月一一日同所主任審査官の発付した収容令書に基づき、同所に申請人を収容したのち直ちに令二四条四号ロ該当容疑で違反調査を行ない翌一二日申請人を同所入国審査官に引き渡した。次いで同月一二日同所入国審査官は、入国警備官より引渡しを受けた申請人につき直ちに審査を行なおうとしたところ、 令二四条四号ロ該当容疑で違反調査を行ない翌一二日申請人を同所入国審査官に引き渡した。次いで同月一二日同所入国審査官は、入国警備官より引渡しを受けた申請人につき直ちに審査を行なおうとしたところ、申請人が収容直後より拒食を始めたため同月一五日より一六日の二日間にわたり申請人を東京都港区<以下略>所在の東洋病院に入院させ、医師の診断を受けさせるのやむなきに至つたので、その診察の結果を待つて同月一九日第一回審査を行ない、翌二〇日引続いて第二回審査を行なつたのち、申請人に対し令二四条四号ロに該当する者として認定した。ところが申請人から、口頭審理の請求があつたので、同所特別審理官は同月二四日および二九日の二回にわたり口頭審理を行ない、同月二九日入国審査官の認定に誤りがない旨判定した。そこで、申請人は法務大臣に異議の申出を行なつたが、法務大臣は同年一〇月九日申請人の異議の申出は理由がないと裁決した。よつて東京入国管理事務所主任審査官は、同月一六日申請人に異議の申出は理由がない旨の裁決があつたことを告げ、退去強制令書を発付し同日入国警備官が退去強制令書を執行して申請人を東京入国管理事務所に収容したのち、同日、申請人を横浜入国者収容所へ移送した。第二、本件申請は執行停止の要件を欠くものである。 人は法務大臣に異議の申出を行なつたが、法務大臣は同年一〇月九日申請人の異議の申出は理由がないと裁決した。よつて東京入国管理事務所主任審査官は、同月一六日申請人に異議の申出は理由がない旨の裁決があつたことを告げ、退去強制令書を発付し同日入国警備官が退去強制令書を執行して申請人を東京入国管理事務所に収容したのち、同日、申請人を横浜入国者収容所へ移送した。第二、本件申請は執行停止の要件を欠くものである。一、本件は本案について理由のないことが明らかである。(一)、申請人は令二四条四号ロに該当する。(1) 在留期間更新許可は、令二一条三項により明らかなように法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限りなされるものであつて、申請があれば簡単に許されるというものでなくその許否の処分は法務大臣の自由裁量に委ねられ同令には許可されなかつたからといつて不服申立を認める旨の規定もなく、他に不服申立の途はない(行政 ものであつて、申請があれば簡単に許されるというものでなくその許否の処分は法務大臣の自由裁量に委ねられ同令には許可されなかつたからといつて不服申立を認める旨の規定もなく、他に不服申立の途はない(行政不服審査法四条一項一〇号参照)のであるから、在留期間の満了する日までに在留期間の更新が許可されない以上その後の残留は当然不法となるものと解すべきである。そして外国人の入国及び在留の許否はもつぱら当該国家の自由裁量により決定し得るものであつて、特別の条約の存しない限り、国家は外国人の入国又は在留を許可する義務を負うものでないというのが国際慣習上認められた原則で、わが国の出入国管理令の各規定にもこの原則が反映されているのであつて、外国人には自己を在留させると国家に対し要求する権利はないのである。従つて、右に述べたことから明らかなように令二一条が外国人に対し在留期間の更新の申請をすることができると規定しているからといつても、同令は外国人に対し在留期間延長を権利として付与したものでなく、法務大臣の自由裁量によつて恩恵的に在留期間の延長が許されるものであるから、右申請をした外国人は単に更新があり得るという事実上の期待を持つにすぎない(昭和四三年四月九日大阪高等裁判所第二刑事部判決参照)のである。ところで、前述のとおり申請人が昭和四四年八月六日東京入国管理事務所に出頭してなした在留期間更新許可申請は同月二三日法務大臣より不許可と決定され同日申請人に通知されたものであり、申請人はその所持する旅券に記載された在留期間である昭和四四年九月五日までは適法な在留といえるが申請人は同日を超えて残留しているものであり令二四条四号ロに該当することは明らかである。 大阪高等裁判所第二刑事部判決参照)のである。ところで、前述のとおり申請人が昭和四四年八月六日東京入国管理事務所に出頭してなした在留期間更新許可申請は同月二三日法務大臣より不許可と決定され同日申請人に通知されたものであり、申請人はその所持する旅券に記載された在留期間である昭和四四年九月五日までは適法な在留といえるが申請人は同日を超えて残留しているものであり令二四条四号ロに該当することは明らかである。(2) 法務大臣のなした在留期間更新申請不許可処分には違法はない。申請人は、「少くも昭和四五年三月末 えるが申請人は同日を超えて残留しているものであり令二四条四号ロに該当することは明らかである。(2) 法務大臣のなした在留期間更新申請不許可処分には違法はない。申請人は、「少くも昭和四五年三月末までは大学院学生として論文提出、修士号取得のため研究を続け講義に出席する必要があり、かつ、卒業後七月末までは首僧としての百日の勤行を果す必要がある(ちなみに得度後五年以内にこの勤行を了しなければ僧侶の資格を得ることはできない)。この事情はここ数年の更新時、さらには昭和四四年六月中国より帰日の際の入国(上陸)申請時といささかも変化しておらず、前記更新申請にあたつても、この事由は申請書に記載して明らかにしている。それ故かかる状況を充分に知悉しながらあえて更新許可申請に対し不許可処分をなした法務大臣の行為は違法である」と主張する。しかし仮りに申請人が右に述べるような意図をもつて本邦に在留する目的であつたとしても、申請人は昭和四四年六月一二日長崎港より本邦外の地域に赴く意図をもつて入国審査官からその所持する旅券に出国の証印を受けて出国したことによつて申請人がそれまで有していた本邦における在留資格ならびにそれに伴う在留期間をすべて放棄してしまつたものである。そして、申請人は、昭和四四年六月二五日長崎港において新たな入国手続により上陸の申請をしたが、前記第一の三において詳述したとおり、法務大臣は令一二条一項三号に基き同年七月二日付で出国準備のために特に恩恵的な措置として申請人に対し、上陸特別許可(在留資格四―一―一六―三在留期間六〇日)を与え、申請人は同月七日その所持する旅券に右上陸特別許可の証印を受けたのである。申請人は、上陸特別許可は仏教研究継続のためという入国目的を示してなされた上陸許可申請に対応するものであるから、その入国目的についての許 一の三において詳述したとおり、法務大臣は令一二条一項三号に基き同年七月二日付で出国準備のために特に恩恵的な措置として申請人に対し、上陸特別許可(在留資格四―一―一六―三在留期間六〇日)を与え、申請人は同月七日その所持する旅券に右上陸特別許可の証印を受けたのである。申請人は、上陸特別許可は仏教研究継続のためという入国目的を示してなされた上陸許可申請に対応するものであるから、その入国目的についての許 七日その所持する旅券に右上陸特別許可の証印を受けたのである。申請人は、上陸特別許可は仏教研究継続のためという入国目的を示してなされた上陸許可申請に対応するものであるから、その入国目的についての許可が与えられたものと解しているようであるが、申請人に対する上陸特別許可は申請人の上陸申請にかかる入国目的を認めて在留資格を決定してなされたものではない。すなわち、申請人の上陸申請における入国(旅行)目的は、前記のとおり駒沢大学大学院での勉学の継続及び仏教の研究にあり、同目的による上陸申請にあたつては令四条一項六号(教育機関で教育を受けようとする者)に該当するものとして令六条一項により当然有効な査証を所持しなければならず、かつ、令七条一項二号に基き令四条一項六号に該当するものとしての法務大臣の交付する証明書を所持しなくてはならないものであるが、申請人は有効な査証および証明書を所持していなかつたのであるから上陸手続にあたつて入国審査官による審査、特別審理官による口頭審理、法務大臣による異議の申出に対する裁決のいずれの段階においても令七条一項一号に適合しないと認められたが、法務大臣において令一二条一項三号によつて特に恩恵的に上陸を許可したものであつて右は決して、申請人の上陸申請を認容してなされたものではない。以上のとおり申請人に対する上陸特別許可は、申請人の出国準備のためであり、右許可による在留期間六〇日は出国準備のためには十分な期間であつて、申請人が在留期間更新許可申請の理由とする仏教研究と駒沢大学大学院での学習継続のためという理由をもつてしては、在留期間更新許可申請の許否の決定にあたつて更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに該らないものというべきであつて、法務大臣が申請人に対してなした在留期間更新申請不許可処分にはなんらの違法は 留期間更新許可申請の許否の決定にあたつて更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに該らないものというべきであつて、法務大臣が申請人に対してなした在留期間更新申請不許可処分にはなんらの違法はない。 、在留期間更新許可申請の許否の決定にあたつて更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに該らないものというべきであつて、法務大臣が申請人に対してなした在留期間更新申請不許可処分にはなんらの違法は 留期間更新許可申請の許否の決定にあたつて更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに該らないものというべきであつて、法務大臣が申請人に対してなした在留期間更新申請不許可処分にはなんらの違法はない。(二) 本件退去強制令書発付処分には違法はない。右に述べたように申請人のなした在留期間更新許可申請に対する法務大臣の不許可処分は適法有効であり、従つて申請人がその所持する旅券に記載された在留期間である昭和四四年九月五日をこえて本邦に不法に残留している以上申請人が令二四条四号ロに該当するとしてなされた本件退去強制令書発付処分には何らの違法はなく、本件は本案について理由のないことが明らかである。二、本件は執行停止の要件たる回復しがたい損害を避けるための緊急の必要性を欠く。(一) 申請人は訴訟係属中という理由で退去強制令書の執行停止を求めているが、もともと申請人はわが国において勉学したり、仏教研究を行なうために法務大臣から上陸特別許可を受けたものでないことは、前記第一の(一)の(2)において詳述したとおりであり、申請人の提起した本件退去強制令書発付処分取消請求訴訟は本案について理由がないことが明白であり、かつ、前記在留期間更新不許可処分取消請求訴訟及び退去強制令書発付処分取消請求訴訟にはそれぞれ三名または四名の訴訟代理人が選任されており、いささかも訴訟遂行に支障はないというべきである。また申請人は本邦においてはなんら親族係累もなくその所持品もわずか身の廻り品のみであるし、その本国であるアメリカ合衆国には、母と妹が在住している家族状況に鑑み申請人の生活の本拠は明らかにその本国にあると認められる。そもそも退去強制事由に該当する者は、令五三条の規定により速やかに国外に送還されることは当然であつて、申請人がその本国であるアメリカ合衆国に送 請人の生活の本拠は明らかにその本国にあると認められる。そもそも退去強制事由に該当する者は、令五三条の規定により速やかに国外に送還されることは当然であつて、申請人がその本国であるアメリカ合衆国に送還されても回復しがたい損害を避けるための緊急の必要性は全く認められない。 退去強制事由に該当する者は、令五三条の規定により速やかに国外に送還されることは当然であつて、申請人がその本国であるアメリカ合衆国に送 請人の生活の本拠は明らかにその本国にあると認められる。そもそも退去強制事由に該当する者は、令五三条の規定により速やかに国外に送還されることは当然であつて、申請人がその本国であるアメリカ合衆国に送還されても回復しがたい損害を避けるための緊急の必要性は全く認められない。(二) 本件処分の執行停止は公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある。申請人は、前述のように再入国許可を受けないまま出国し、旅券に有効な査証を受けないで本邦に上陸しようとした者で、そもそも上陸許可を受けることを期待しえなかつたのであるが、法務大臣によつて出国準備のため恩恵的に上陸特別許可を与えられたにすぎず、従つて申請人は右六〇日の期間内に本邦から当然出国すべきであつたのである。それにもかかわらず右の上陸特別許可の目的と異なる勉学ないしは仏教修行のためとして在留期間の更新申請をしたものであつて、権利として在留期間の更新を求めうる余地の全くなかつたものである。このような者をすみやかに国外へ送還することは、わが国の外国人管理上極めて必要な措置であつて、本件執行停止申請が認容され、右の送還が妨げられることは、外国人の出入国管理の行政上重大な支障が生ずるものであつて、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるというべきである。
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