- 1 -平成20年(わ)第404号判決主文被告人は無罪。 理由 ,「,, 本件公訴事実の要旨は被告人は平成19年3月1日午後2時40分ころ業務として普通乗用自動車を運転し,神戸市区通番号先の信号機により交abcd通整理の行われている交差点を北から南に向かい時速約40キロメートルで直進するに当たり,対面信号機の信号表示に留意し,その信号表示に従って進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,考え事をして,対面信号機の信号表示に留意せず,漫然上記速度で進行した過失により,対面信号機が赤色信号を表示しているのを看過して自車を同交差点に進入させ,折から右方道路から青色信号に従い同交差点に進入してきた(当時39歳)運転の普通乗用自動車を右前方約11.5Aメートルの地点に認め,急制動の措置を講じたが間に合わず,同人運転車両左前側部に自車右前部を衝突させ,よって,上記に加療約17日間を要する頸椎捻挫A及び腰椎捻挫の傷害を,同人運転車両の同乗者(当時35歳)に加療約16日間Bを要する頸椎捻挫及び腰部打撲の傷害をそれぞれ負わせたものである」というの。 であり,弁護人は,本件日時場所において,被告人運転車両と運転車両とが衝A突したことは争わないものの,被告人運転車両の対面信号機が赤色信号を表示していたことはなく,被告人に赤色信号看過の過失はないから,被告人は無罪であると主張し,被告人も公判廷においてこれに沿う供述をしている。 当裁判所は,本件当時,被告人運転車両の対面信号機が赤色信号を表示していたことにつき,これに沿う及びの各供述が,事故直後本件交差点において被AB告人運転車両の対面信号機と同一の表示を現す,その向かい側の信号機が青色信号であるのを目撃したの供述等に照らして信用できず, つき,これに沿う及びの各供述が,事故直後本件交差点において被AB告人運転車両の対面信号機と同一の表示を現す,その向かい側の信号機が青色信号であるのを目撃したの供述等に照らして信用できず,合理的な疑いが残ることCから,被告人に赤信号看過の過失はなく無罪であると判断した。以下その理由を説- 2 -明する。 無罪の理由関係証拠によると,本件当時,信号機により交通整理の行われている本件交差点を北から南に向かい直進して進入した被告人運転車両の右前部と,これと交差すAAる西方道路から南方に右折すべく同交差点に進入してきた運転車両(以下「運転車両」という)の左前側部とが衝突し,よって,が加療約17日間を要す。 Aる頸椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を,同人運転車両の同乗者が加療約16日間をB要する頸椎捻挫及び腰部打撲の傷害をそれぞれ負ったこと,本件交差点において,被告人運転車両の対面信号機及びその向かい側の信号機の信号サイクルは,青が65秒,黄が4秒,全赤が3秒,赤が45秒,全赤が3秒であるのに対し,運転車A両の対面信号機は,赤が69秒,全赤が3秒,青が41秒,黄が4秒,全赤が3秒であることが認められる。 しかして,本件の争点である被告人運転車両の対面信号機の表示が赤色であったか否かの関係で本件交差点の信号機の表示につき,及びは,いずれも運ABA転車両の対面信号機が青色を表示していた旨公判で供述しているのに対し,被告人は,被告人運転車両の対面信号機が青色を表示していた旨公判で供述している。他に,被告人が,捜査段階の当初,対面信号機を見落とした旨述べた平成19年3月30日付けの自白調書(乙2)も存在する。そこで,各供述の信用性,自白調書の信用性が問題となる。 ところで,本件当時,本件交差点の南方約30メートル付 初,対面信号機を見落とした旨述べた平成19年3月30日付けの自白調書(乙2)も存在する。そこで,各供述の信用性,自白調書の信用性が問題となる。 ところで,本件当時,本件交差点の南方約30メートル付近の工事現場で車両の搬入の仕事に従事していたは,本件事故の衝突音を聞き,顔を上げて前方をC見た後,後を振り返ると,被告人運転車両と運転車両との衝突事故直後の場面Aとともに,被告人運転車両の対面信号機と同一の表示を現す,その向かい側の信号機が青色に点灯するのが見えた旨,衝突音を聞いてからその信号機を見るまでの時間について一呼吸半ということで,捜査段階での取調べの際ストップウオッチで測ると平均4.9秒であった旨公判で供述している。 が事故当事者と利害関係のなC- 3 -い第三者であり,その証言態度等から見て,同人の供述は基本的に信用できる。しかし,その供述内容を子細に検討すると,信号機が青色に点灯するのが見えたというが,赤信号は見ておらず,すなわち,信号機が赤色から青色に変わるのを認めた訳ではなく,信号機の赤色を認めず青色の表示のみ点灯するのを認めるということは通常あり得ず至難の技でもあることからすると,信号機の表示が青色であることを認めた趣旨の限度でしか採用できないというべきである。また,が事故の衝突C音を聞いてから信号機を確認するまでの時間についても,後で掛かった時間を検証するのであれば,端的に同人の一連の動作を計測すれば足りるのに,わざわざ「呼吸」というその時々で時間の長短のある不確かなものを介在させている点で問題であり,現にが捜査段階の当初「せいぜい1秒か,長くても2秒くらいでした」C。 と同人の一連の動作につき端的に1,2秒掛かった旨供述していたこと(弁2号証,自身が公判で4.9秒というようなそんなに長く掛かってい 査段階の当初「せいぜい1秒か,長くても2秒くらいでした」C。 と同人の一連の動作につき端的に1,2秒掛かった旨供述していたこと(弁2号証,自身が公判で4.9秒というようなそんなに長く掛かっていない旨述べて)Cいることからすると,一呼吸半,4.9秒という時間が信頼できる数字であるとはいえず,要は衝突音を聞き直ぐに顔を上げた後,後を振り返るまでの時間であり,2秒程度の可能性も十分にあり得るというべきである。したがって,の供述によCると,本件事故から2秒程度後の被告人運転車両の対面信号機が青色であったということになる。そうすると,その信号機の青色がその時点の前,すなわち被告人運転車両の交差点進入時においても青色であった可能性があるとともに,本件交差点における前記信号サイクルから,運転車両の対面信号機が赤色であった可能性がAあり,少なくとも運転車両の交差点進入時から事故に至るまでの間において,A黄(4秒)ないし黄から全赤(3秒)に変わる状況があったということになる。 そこで,運転車両の対面信号機の表示が青色であったという夫婦の各供AA述の信用性について検討する。 らの供述は,前記の供述と整合せず,供述ACCから導かれる運転車両の交差点進入時から事故に至るまでの間において黄4,,(A秒)ないし黄から全赤(3秒)に変わる状況が認められるのに,このような状況について触れていないこと,は被告人とは事故の相手方として刑事上民事上の利害A- 4 -,,関係を有することについてもその妻としてに準ずる利害関係を有することBA特にの供述については,捜査段階との間で,対面信号機の青色を認めた地点やA本件事故後被告人側の南北の信号機が赤色を示していたのを認めた時間帯について供述の変遷があることに照らす することBA特にの供述については,捜査段階との間で,対面信号機の青色を認めた地点やA本件事故後被告人側の南北の信号機が赤色を示していたのを認めた時間帯について供述の変遷があることに照らすと,各供述の信用性に疑問が残り,らの供述は信A用できない。 なお,被告人の対面信号機が青色であったとの供述は,捜査段階の当初信号機を看過していたとの自白に比して信用できず,むしろ,事故直後自分に非のあるのを認めていた形跡がある上,実況見分を経た上で在宅の状態で取調べがなされた自白調書の方が信用できるが,その供述内容は赤信号を認めたというものではないことからして,検察官の主張の裏付けとなるものではない。 よって,本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟,,。 法336条により被告人に対し無罪を言い渡すこととし主文のとおり判決する平成21年3月25日神戸地方裁判所第4刑事部裁判官岡田信
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