- 1 -主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被告らは、原告公明党に対し、連帯して220万円及びこれに対する令和4年9月8日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 3 被告らは、原告Aに対し、連帯して88万円及びこれに対する令和4年9月8日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は、第1・2審を通じ、原告公明党に生じた費用の1 00分の97と被告らに生じた費用の100分の83を原告公明党の負担とし、原告Aに生じた費用の100分の92と被告らに生じた費用の100分の13を原告Aの負担とし、原告ら及び被告らに生じたその余の費用を被告らの負担とする。 6 この判決は、第2項及び第3項に限り、仮に執行することがで きる。 事実及び理由 (以下、証拠番号について枝番を省略した場合、枝番を全て含む。人証は、いずれも原審におけるものである。)第1 控訴の趣旨 1 原告公明党の控訴の趣旨(1) 原判決中原告公明党の敗訴部分を取り消す。 (2) 被告らは、原告公明党に対し、連帯して3300万円及びこれに対する令和4年9月8日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 (3) 被告らは、被告新潮社発行の週刊誌「週刊新潮」に、本判決別紙1(1)記載 の謝罪広告を本判決別紙1(2)記載の条件で1回掲載せよ。 - 2 -(4) 被告らは、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞及び産経新聞の各朝刊全国版社会面の広告欄に、本判決別紙2(1)記載の謝罪広告を本判決別紙2(2)記載の条件で各1回掲載せよ。 (原告公明党は、当審において、掲載を求める謝罪広告の内容を、原判決別紙3(1) 〔被告新潮社の代表取締役の 告欄に、本判決別紙2(1)記載の謝罪広告を本判決別紙2(2)記載の条件で各1回掲載せよ。 (原告公明党は、当審において、掲載を求める謝罪広告の内容を、原判決別紙3(1) 〔被告新潮社の代表取締役の名称が「B」となっている。〕から本判決別紙2(1) 〔被告新潮社の代表取締役 の名称が「C」となっている。〕に訂正した。) 2 原告Aの控訴の趣旨(1) 原判決中原告Aの敗訴部分を取り消す。 (2) 被告らは、原告Aに対し、連帯して1100万円及びこれに対する令和4年9月8日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨原審第1事件は、原告公明党が、被告新潮社の発行する週刊誌「週刊新潮」(以下「本件雑誌」という。)の令和4年9月15日号に掲載された記事(以下「本件記事」という。)が原告公明党に対する名誉毀損に当たるとして、本 件雑誌の編集人兼発行人である被告Dに対しては不法行為に基づき、被告新潮社に対しては使用者責任に基づき、社会的評価の低下に伴う損害及び弁護士費用として合計3300万円並びにこれに対する不法行為後の日である令和4年9月8日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、民法723条に基づき、謝罪広告の掲載を求める事案で ある。 原審第2事件は、原告公明党所属の元参議院議員である原告Aが、本件記事が原告Aに対する名誉毀損及びプライバシー侵害に当たるとして、被告Dに対しては不法行為に基づき、被告新潮社に対しては使用者責任に基づき、慰謝料及び弁護士費用として合計1100万円並びにこれに対する不法行為後の日で ある令和4年9月8日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損- 3 -害金の連帯支払を求める事案で 謝料及び弁護士費用として合計1100万円並びにこれに対する不法行為後の日で ある令和4年9月8日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損- 3 -害金の連帯支払を求める事案である。 原審は、原審第1事件の弁論に原審第2事件の弁論を併合した。 原判決が原告らの請求をいずれも棄却したことから、原告らが、原判決中各自の敗訴部分を不服として、それぞれ控訴した。 2 前提事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。その他の事実は 掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。)(1) 当事者等ア原告公明党は法人である政党であり、本件記事が公表された当時、Eが代表を務め、Fが副代表を務めていた。 原告Aは、本件記事が公表された当時、原告公明党所属の参議院議員で あった者であり、妻帯者である。 イ被告新潮社は、書籍及び雑誌の出版等を目的とする株式会社であり、本件雑誌を発行している。 被告Dは、本件雑誌の編集人兼発行人である。 G(以下原審におけるGの証人としての証言に言及する場合には、「証 人G」という。)は、本件記事に関する取材を担当した被告新潮社の記者である。 (2) 原告Aと女性の関係原告Aは、平成31年2月、原告公明党所属の元市議会議員(以下「本件元議員」という。)から紹介を受け、同人が事務局長又は副事務局長を務め る社団法人の会長である女性(以下「本件女性」という。また、原審における本件女性の証人としての証言に言及する場合には、「証人本件女性」という。)と知り合った。 原告Aは、平成31年3月に同社団法人の顧問に就任し、令和2年12月頃からLINEのメッセージや電話で本件女性と私的に連絡を取り合うよう になり、令和3年10月3日に本件女性と二人だけで初め 原告Aは、平成31年3月に同社団法人の顧問に就任し、令和2年12月頃からLINEのメッセージや電話で本件女性と私的に連絡を取り合うよう になり、令和3年10月3日に本件女性と二人だけで初めて会った。 - 4 -(甲A2、乙A2、7、証人本件女性〔1~3頁〕、弁論の全趣旨)(3) 原告Aの参議院議員通常選挙への立候補及び当選原告Aは、令和4年7月10日に行われた参議院議員通常選挙(以下「本件選挙」という。)に立候補し、当選した。 (4) 原告らに関する記事の公表 被告新潮社は、令和4年9月6日夜、「『E』がセクハラ口封じ」、「被害女性が告発!公明党議員の『わいせつ』『妄想性交LINE』」との見出しの記事(本件記事)を同社のウェブサイトに掲載し、同月8日、本件記事を掲載した本件雑誌(令和4年9月15日号)を発売した。本件記事の内容は、原判決別紙4のとおりであるところ、本件記事には、以下の内容が記載 されている。(甲A1、証人G〔36、38頁〕、弁論の全趣旨)ア原告Aは、本件女性(「H」との仮称が付されている。)に対し、① 令和3年10月に本件女性と会った際に本件女性の臀部を触り(以下「本件記載性的言動①」という。)、② 令和4年3月にLINEでわいせつな内容のメッセージを送信し(以 下「本件記載性的言動②」という。)、③ 同年4月の深夜に電話(以下「本件記載深夜電話」という。)をかけてわいせつな内容の発言をする (以下「本件記載性的言動③」という。)というセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)を行った。 イ本件女性は、令和4年4月末頃、Fに対し、電話(以下「本件記載電話①」という。)で、セクハラ電話の件を伝えた。 Eは、同年5月下旬、本件女性に対し、電話(以 ラ」という。)を行った。 イ本件女性は、令和4年4月末頃、Fに対し、電話(以下「本件記載電話①」という。)で、セクハラ電話の件を伝えた。 Eは、同年5月下旬、本件女性に対し、電話(以下「本件記載電話②」という。)で、そのことが公表されることによって、来るべき本件選挙における原告公明党の獲得議席数に悪影響が出る旨を伝えて口止めをした。 原告公明党は、原告Aのセクハラについて薄々認識しつつ、詳しい調査- 5 -をすることなく、原告Aを本件選挙に立候補させた。 (5) 原告Aの議員辞職原告Aは、令和4年9月30日、参議院議員を辞職した。 3 争点(1) 本件記事において摘示された事実の内容及び原告らの社会的評価の低下の 有無(争点1)(2) 真実性・真実相当性の抗弁の成否(争点2)(3) 本件記事が原告Aのプライバシーを侵害するものとして不法行為を構成するか(争点3)(4) 原告公明党の損害及び謝罪広告の適否(争点4) (5) 原告Aの損害(争点5) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件記事において摘示された事実の内容及び原告らの社会的評価の低下の有無)についてア原告らの主張 原告Aと本件女性は、性行為を伴う男女関係にあったところ、本件記事は、原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性に対し、悪質なセクハラを繰り返していた事実、本件女性が、EやFにセクハラ被害について相談していたにもかかわらず、両名は、本件選挙への悪影響を恐れて本件女性に口止めをし、セクハラという国会議員の資質に関わる重大なスキャ ンダルを有権者に隠蔽したまま、本件選挙において原告Aを当選させた事実を摘示し、もって、原告らの社会的評価を低下させるものである。 イ被告らの主張 いう国会議員の資質に関わる重大なスキャ ンダルを有権者に隠蔽したまま、本件選挙において原告Aを当選させた事実を摘示し、もって、原告らの社会的評価を低下させるものである。 イ被告らの主張(ア) 本件記事には、①原告Aと本件女性が男女関係になかった事実、②EやFが、本件女性から、臀部を触られたこと(本件記載性的言動①)や LINEのメッセージ(本件記載性的言動②)について相談を受けてい- 6 -た事実、③EやFが本件選挙への悪影響を恐れていた事実、④Fが本件女性に口止めをした事実は記載されておらず、本件記事はそのような事実を摘示するものではない。 また、原告Aの言動がセクハラであるか否か、Eの行為が口止めであるか否かは、意見・論評であり、事実を摘示するものではない。 (イ) 原告公明党は、多数の議員を擁する政党であり、批判に対する自党の見解を有権者に届ける能力を有しているから、原告公明党に批判的な記事が出たとしてもその社会的評価は容易に低下しない。そして、本件記事に記載されたEの行為については、不適切だと評価する者もいれば、政党の代表として現実的な対応であると評価する者もいるのであり、本 件記事が原告公明党の社会的評価を低下させるとはいえない。 (2) 争点2(真実性・真実相当性の抗弁の成否)についてア被告らの主張(ア) 本件記事は、原告公明党の公認候補となった原告Aの資質や、本件選挙の公示前に原告Aの問題を知ったEやFの対応の妥当性を論じて読者 に知らせるものであって、公共性及び公益目的がある。 (イ) 本件記事の摘示する、①本件女性が、令和3年10月、原告Aから臀部を触られた事実(本件記載性的言動①)、②本件女性が、原告Aから卑猥なLINEメッセージを送信された事実(本件記載性的言 。 (イ) 本件記事の摘示する、①本件女性が、令和3年10月、原告Aから臀部を触られた事実(本件記載性的言動①)、②本件女性が、原告Aから卑猥なLINEメッセージを送信された事実(本件記載性的言動②)、③本件女性が、令和4年4月の深夜、酒に酔った原告Aからの電話(本 件記載深夜電話)で「今どんな格好しているの?」、「今までの男性で誰が一番よかった?」という内容の発言をされた事実(本件記載性的言動③)、④本件女性が、令和4年4月末、Fから電話 (本件記載電話①)で謝罪を受け、その際、Fに対し、セクハラ電話の件と、Eと話をしたい、原告Aには議員を辞めてもらいたい旨を伝えた事実、⑤本件女性が、 令和4年5月、Eから電話(本件記載電話②)で謝罪を受け、その際、- 7 -Eに対し、原告Aについて「議員を続けてはいけない人です」と伝えたところ、Eが「もうすぐ選挙なので」などと述べた事実、⑥EもFも、原告Aの言動について詳しい調査をせずに同人を本件選挙に立候補させた事実は、いずれも真実であり、かつ、被告らが真実であると信じたことについて相当な理由がある。 また、原告Aによる上記①~③の行為が、本件女性の意に反するものであった事実も、真実であり、かつ、被告らが真実であると信じたことについて相当な理由がある。 イ原告らの主張本件記事は、以下の点において、真実ではなく、被告らが真実であるこ とを信じたことについて相当な理由もない。 (ア) 本件記事は、原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性に対し、悪質なセクハラを繰り返していた事実を摘示するものであるところ、実際には、原告Aと本件女性は、性行為を伴う男女関係にあった。 また、原告Aが本件女性の臀部を触った行為(本件記載性的言動①) は、両名が男女の関 り返していた事実を摘示するものであるところ、実際には、原告Aと本件女性は、性行為を伴う男女関係にあった。 また、原告Aが本件女性の臀部を触った行為(本件記載性的言動①) は、両名が男女の関係を深めていく過程での性的な出来事にすぎず、LINEのメッセージや電話(本件記載性的言動②、③)は、性行為を伴う男女関係にあった原告Aと本件女性が楽しみながら交わしたものであって、いずれも本件女性の意に反するものではなく、セクハラとはいえない。 (イ) FやEは、原告Aが深夜に酒に酔って本件女性に電話(本件記載深夜電話)をしたと聞き、そのことについて電話(本件記載電話①、②)で本件女性に謝罪したが、本件女性から、本件記載深夜電話における原告Aのわいせつな発言については聞いておらず、原告Aからセクハラの被害を受けたとの指摘もなかった。また、Eが、本件女性に対し、原告A のセクハラについて口止めをした事実も存在しない。 - 8 -(3) 争点3(本件記事が原告Aのプライバシーを侵害するものとして不法行為を構成するか)について原判決6頁23行目~7頁8行目に記載のとおりであるから、これを引用する。 (4) 争点4(原告公明党の損害及び謝罪広告の適否)について ア原告公明党の主張本件記事が公表されたことにより、原告公明党の社会的評価は著しく低下した。これによる損害は3000万円を下回らない。また、上記損害額の1割に相当する300万円は、弁護士費用として被告らの不法行為と相当因果関係を有する損害である。 また、原告公明党の社会的評価を回復するためには、謝罪広告の掲載が必要である。 イ被告らの主張否認し又は争う。 (5) 争点5(原告Aの損害)について ア原告Aの主張本件記事が公表さ 告公明党の社会的評価を回復するためには、謝罪広告の掲載が必要である。 イ被告らの主張否認し又は争う。 (5) 争点5(原告Aの損害)について ア原告Aの主張本件記事が公表されたことにより、原告Aの社会的評価は著しく低下し、原告Aのプライバシーは著しく侵害された。これによる慰謝料は1000万円を下回らない。また、上記慰謝料額の1割に相当する100万円は、弁護士費用として被告らの不法行為と相当因果関係を有する損害である。 イ被告らの主張否認し又は争う。 第3 当裁判所の判断当裁判所は、以下の理由により、本件記事が原告らに対する名誉毀損に当たり、原告公明党につき社会的評価の低下に伴う損害200万円及び弁護士費用 20万円、原告Aにつき慰謝料80万円及び弁護士費用8万円の各損害が認め- 9 -られると判断する。 1 認定事実前提事実、証拠(後掲の証拠に加え、甲A19、20、乙A2、6、7、乙C1、証人本件女性、証人G)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1) 原告Aの本件女性に対する本件記載性的言動①~③に関する事実関係ア本件記載性的言動①~③に至る経緯原告Aは、遅くとも令和3年9月27日以降、本件女性との間で、頻繁にLINEのメッセージのやり取りや電話をするようになった。両者がやり取りしたメッセージには、親密かつ性的な内容が多く含まれており、本 件女性が、原告Aに対し、好意的な内容のメッセージや性的な内容のメッセージを送信したり、露出度の高い服装や原告Aに買ってもらった下着を身に着けた自身の写真や動画のデータを送信したりすることもあった。 (甲A4~8、16~20、甲B8~23、25、26、31、証人本件女性〔56頁〕) イ本件記載性 に買ってもらった下着を身に着けた自身の写真や動画のデータを送信したりすることもあった。 (甲A4~8、16~20、甲B8~23、25、26、31、証人本件女性〔56頁〕) イ本件記載性的言動①に関する事実関係原告Aは、令和3年10月3日の朝、大阪市内の商業施設の庭園において、本件女性と二人だけで初めて会った。その際、原告Aは、意図的に、本件女性の臀部を手のひらで触った。これに対し、本件女性は、痴漢であると苦情を述べた。(甲A19〔13~16頁〕) ウ原告Aと本件女性の性行為原告Aと本件女性は、令和3年11月から令和4年4月20日までの間、複数回にわたり、ホテル又は旅館に二人だけで宿泊し、性行為に及んだ。 (乙A7〔13~17頁〕)(なお、この点に関し、本件女性は、原告Aと性行為はしていないと証 言する(証人本件女性〔18頁〕)。しかし、両名がホテル又は旅館に二- 10 -人だけで宿泊していることに加え、原告Aと本件女性が、性行為に及んだことや不倫関係にあることを前提とするメッセージのやり取りをしていること(令和4年4月2日午後9時28分の原告Aのメッセージ (甲A19〔30頁〕)、同月29日午後3時の原告Aのメッセージ(甲A19〔42頁〕、乙A5の3)、同月30日午前9時31分の本件女性のメッセー ジ(甲A19〔44頁〕)、同年7月19日午前0時46分の本件女性のメッセージ (甲A20〔80頁〕)等)からすれば、上記のとおり認定することができる。)エ本件記載性的言動②に関する事実関係原告Aは、令和4年3月26日及び4月2日、本件女性に対し、LIN Eで、本件記事の引用するわいせつな内容のメッセージを送信した。(甲A25、乙A5の2、5の9)オ本件記載性的言動③に関す 告Aは、令和4年3月26日及び4月2日、本件女性に対し、LIN Eで、本件記事の引用するわいせつな内容のメッセージを送信した。(甲A25、乙A5の2、5の9)オ本件記載性的言動③に関する事実関係原告Aは、令和4年4月26日午後11時30分頃から約20分にわたって、酒に酔った状態で本件女性に電話(本件記載深夜電話)をかけ、本 件女性の顔に精液をかけたいと繰り返したり、今まで性行為に及んだ男性の中で誰が一番よかったかと質問したりするなど、わいせつな内容の発言をした。(甲A19〔40~41頁〕)(2) 本件女性とF及びEとの本件記載電話①、②に関連する事実関係ア本件記載電話①、②に至る経緯 本件女性は、上記(1)オの電話 (本件記載深夜電話)の際、翌日の令和4年4月27日に原告Aと東京で会う約束をしたことから、同日、原告Aに電話したところ、原告Aは、前日に本件女性に電話したことも本件女性と会う約束をしたことも覚えていなかった。本件女性は、これに立腹し、原告Aに対し、議員辞職を求めるとともに、自らが会長を務める社団法人の 事務局長又は副事務局長である本件元議員を通じて、原告公明党に対し、- 11 -Eと話がしたい旨を伝えた。(甲A19〔40~43頁〕)イ本件記載電話①に関する事実関係これを受け、Fは、令和4年4月30日、本件女性に対し、原告Aが深夜に酒に酔って電話(本件記載深夜電話)をかけた事実について、電話で謝罪した。その際、本件女性は、Fに対し、原告Aの議員辞職を求めた。 (甲A11、19〔44~46頁〕)ウ本件記載電話②に関する事実関係また、Eも、令和4年5月23日、本件女性に対し、原告Aが深夜に酒に酔って電話(本件記載深夜電話)をかけた事実について、電話で謝罪した。 9〔44~46頁〕)ウ本件記載電話②に関する事実関係また、Eも、令和4年5月23日、本件女性に対し、原告Aが深夜に酒に酔って電話(本件記載深夜電話)をかけた事実について、電話で謝罪した。(甲A10、11、20〔40~42頁〕) (3) 本件女性による被告新潮社に対する情報提供等アその後、本件女性は、原告Aに対し、①原告Aが本件選挙に立候補することは容認したものの、②医師でもある原告Aが、本件選挙後に参議院議員を辞職し、妻と離婚した上で、本件女性が新たに行う予定の再生医療関連の事業等に関わることを求めるようになり、③Iの四十九日である令和 4年8月25日までに結論を出すよう求め、これに応じなければ、原告Aとの関係について報道機関に情報提供するなどと述べるようになった。 (甲A19〔43~52頁〕、20、24)イ原告Aは、令和4年7月10日に行われた本件選挙に立候補し、当選した。 ウ原告Aは、本件選挙が終わった後、令和4年8月25日が近づいたにもかかわらず、議員辞職や離婚に向けた具体的な行動を取らなかった。そのため、本件女性は、原告Aとの関係について被告新潮社に情報提供することとし、令和4年8月23日に被告新潮社に連絡を取った。 (甲A20〔191~210頁〕、乙A6) 原告Aは、令和4年8月26日、入院した。 - 12 -エ本件女性は、令和4年8月26日、Fと電話で話した。(甲A15、乙A4)その際、本件女性が、原告Aが議員辞職の結論を出す期限(令和4年8月25日)に言及したところ、Fは、「以前も申し上げたとおり、私が聞いているのは、4月の下旬でしたかね、大変、あの夜中に乱暴なお電話を したということがあったと思うんですけど。」、「自分の出処進退についてはですね、 ころ、Fは、「以前も申し上げたとおり、私が聞いているのは、4月の下旬でしたかね、大変、あの夜中に乱暴なお電話を したということがあったと思うんですけど。」、「自分の出処進退についてはですね、本人の意思の問題ですから、強制できる話では当然ありませんので、だからきっといずれにしても本人とは、よく話をしないといけないとは思っています。」と述べた。 また、本件女性は、Fに対し、「私、その前に原告Aに痴漢にあってる んですよ。痴漢においての謝罪は受けているんですけど、色んなことがありすぎて、そしてあの電話だったのでちょっとあれはないよねと思ったので、あの電話は本当にひどかったんですよ、内容はちょっと、なにもあれですけど。」、「(本件女性に)卑猥なことをお電話で言うたっていうこととかも (原告Aの妻に対して)全部言ってるんですって。」などと述べ、 原告Aから痴漢にあったことがあること、原告Aが電話で卑猥な発言をしたことを話した。 これに対し、Fが「うーん、まあちょっと今の話も、初めてお聞きする話なんでね。」と答えたところ、本件女性は「そうですね。初めて言いました。」と答えた。 (4) 本件記事の公表前の被告らによる取材の経緯被告らは、本件女性から連絡を受けた後、以下の取材を行った上、令和4年9月6日の夜、自社のウェブサイトに本件記事を掲載した。 ア本件女性からの取材被告新潮社のGは、令和4年8月27日及び31日、本件女性に対し、 電話や対面による取材を行った。その取材結果を記録したメモ(以下「公- 13 -表前取材結果メモ」という。)には、以下の記載がある。(乙A2)(ア) 本件記載電話①の際にFに伝えた内容について、「原告Aには議員活動を辞めていただきたい」と伝えた旨の記載や、「少なくとも私が 表前取材結果メモ」という。)には、以下の記載がある。(乙A2)(ア) 本件記載電話①の際にFに伝えた内容について、「原告Aには議員活動を辞めていただきたい」と伝えた旨の記載や、「少なくとも私が話したのは、この『酔っ払い電話』の一件だけです。」との記載がある。しかし、その「酔っ払い電話」(本件記載深夜電話)の際に原告Aがわい せつな内容の発言をしたことをFに伝えた旨の明確な記載はない。 (イ) 本件記載電話②の際にEと話した内容について、本件女性は、Eに「原告Aには議員を辞めてもらいたいです」と言ったところ、「今は選挙中なので・・・」と口止めが始まり、「今それが表に出るとイメージが悪くなって当選しなくなってしまい、議席が・・・」などと言われたとの 記載がある。しかし、Eから具体的にどのような事実について口止めされたのかについては記載がない。 イ LINEのメッセージの画像データの受領Gは、令和4年8月27日から9月4日までに、本件女性から、原告Aとやり取りしたLINEのメッセージの画像データ(乙A5の1~5の4、 5の6~5の9)を受領した。この画像データには、以下のメッセージが含まれている。 (ア) 本件記載性的言動①~③の前後にやり取りされたメッセージ(乙A5の1~5の3、5の9)上記メッセージの中には、本件記事で引用された原告Aのわいせつな 内容のメッセージ(乙A5の2)が含まれるほか、原告Aが、本件記載性的言動③の後の令和4年4月29日、本件女性に対し、本件元議員から原告公明党の大阪府本部の事務長に話が行き、「Fにも、肉体関係、結婚を求められているとの話が行っています。」と報告するメッセージ(乙A5の3)が含まれている。 (イ) 本件女性がFと本件記載電話①で話した後、その日のうち 話が行き、「Fにも、肉体関係、結婚を求められているとの話が行っています。」と報告するメッセージ(乙A5の3)が含まれている。 (イ) 本件女性がFと本件記載電話①で話した後、その日のうちにその内容- 14 -を原告Aに伝えるメッセージ上記メッセージの中には、本件女性が、Fに対し、「私からの要望は、今日限り、原告Aは議員活動を辞めて頂く。」と伝えたとの記載はあるが、本件記載深夜電話の際に原告Aがわいせつな内容の発言をしたことをFに伝えた旨の記載はない。(乙A5の4) (ウ) 本件女性がEと本件記載電話②で話した後、その日のうちにそのことを原告Aに伝えるメッセージもっとも、上記メッセージには、Eと話した内容については記載がない。(乙A5の7)(エ) 本件女性が令和4年7月13日にFと話した内容を原告Aに伝える メッセージ上記メッセージの中には、原告Aの議員辞職について、Fが、「党からは、辞めさせる訳にはいかないので、辞めるなら自分から辞めることにしてもらわないと難しいんですよ。」と発言したとの記載や、本件女性が「当選したから直ぐに辞めると変に思われるので、タイミング見る のではないですかねー」と発言したところ、Fが「そ、そ、そうですか。 それはありがたい。」と発言したとの記載があるが、本件記載深夜電話における原告Aのわいせつな内容の発言について言及する記載はない。 (乙A5の8)ウ E、F及び原告Aに対する取材 被告らは、令和4年9月4日、E、F及び原告Aに対して取材依頼書を送付し、E及びFに対しては、①原告Aが本件女性に対して空想上の性行為を記したLINEを送る、電話で何度も卑猥な言葉を投げかける、面会の際にお尻を握るなどのセクハラを行った事実の有無、②Eは、同年5月、電話で本 Fに対しては、①原告Aが本件女性に対して空想上の性行為を記したLINEを送る、電話で何度も卑猥な言葉を投げかける、面会の際にお尻を握るなどのセクハラを行った事実の有無、②Eは、同年5月、電話で本件女性に対し、「今は選挙が近いので」「それが表に出ると議席 確保が難しくなる」などと発言した事実の有無等について確認を求め、原- 15 -告Aに対しては、①及び④E及びFが①の事実関係を把握しているか否かについて確認を求めた。これに対し、Eらは、以下のとおり、書面で回答した。(甲A9~13、証人G〔9頁〕)(ア) Eによる令和4年9月5日の書面による回答令和4年5月にFが本件女性に電話をした際に電話を代わった。ただ し、その時点で御指摘のようなセクハラがあったとは聞いていなかった。 その際、本件女性に対し、「今は選挙が近いので」「それが表に出ると議席確保が難しくなる」などと発言をした事実はない。 (イ) Fによる令和4年9月5日の書面による回答原告Aが、本件女性に対し、空想上の性行為を記したLINEを送り、 電話で何度も卑猥な言葉を投げかけるなどの行為があったとの話は、これまで本件女性から聞いたことがない。 面会の際にセクハラがあったとの話は、令和4年8月26日に本件女性から電話で初めて聞いた。 本件女性から聞いていたのは、令和4年4月下旬に、原告Aから、本 件女性に対し、飲酒をして深夜に電話をかけてきたことであり、議員としてふさわしくないのではないかということであった。 本件女性からEと話したいとの申出が当初からあったので、令和4年5月に本件女性と電話をした際に、Eに電話を代わった。 Eが本件女性に対し、「今は選挙が近いので」「それが表に出ると議 席確保が難しくなる」などと発言をした事実はない。 らあったので、令和4年5月に本件女性と電話をした際に、Eに電話を代わった。 Eが本件女性に対し、「今は選挙が近いので」「それが表に出ると議 席確保が難しくなる」などと発言をした事実はない。原告Aが深夜に本件女性に電話をしたことについて、Eからお詫びをした。 (ウ) 原告Aの事務所による令和4年9月5日の書面による回答原告Aは体調不良のため入院しており、本人に確認することができないため、質問に対して回答することができない。 家族によると、本件について原告Aと本件女性との間には個人的関係- 16 -のトラブルがあり、弁護士に相談して対応をしていると聞いている。 (エ) 原告公明党の本部広報部による令和4年9月6日の書面による回答原告Aの代理人弁護士によると、①本件女性は、原告Aに対し、妻と離婚することを執拗に強要しており、最近では期限を付して離婚するよう強く迫って、応じなければ週刊誌に情報を提供するなどと脅し、原告 Aは精神的にも極度に追い詰められていた、②本件女性の指摘することは、あまりにも一方的で、事実経過と明らかに異なるとのことである。 E、Fが、本件女性が主張する「セクハラ行為」の公表を「口封じ」した事実は全くない。そもそも、Fが今から1年前のセクハラについて本件女性から初めて聞いたのは、原告Aが入院した後の令和4年8月2 6日の電話の際のことであり、本件女性も電話でそのことを認めていた。 (5) 本件記事の公表後の被告らによる取材の経緯Gは、本件記事の公表後の令和4年9月10日、本件女性に対し、対面による取材を行った。その取材結果を記録したメモ(以下「公表後取材結果メモ」という。)には、以下の記載がある。(乙A3) ア今回のFの会見を見て、許せないなと感じました。「深夜に電話を 面による取材を行った。その取材結果を記録したメモ(以下「公表後取材結果メモ」という。)には、以下の記載がある。(乙A3) ア今回のFの会見を見て、許せないなと感じました。「深夜に電話をすること自体がとんでもないことです」とばかり強調していましたね。「私、ちゃんと話したじゃん!」と思いました。 イ 4月30日、最初にFからお電話いただいたとき、56分もしゃべってるんですよ。原告Aとのラインが残ってるでしょ。56分も、何の話をし たんだって話ですよ。 まず、この時点でFには、卑猥な発言があったと伝えています。 2 争点1(本件記事において摘示された事実の内容及び原告らの社会的評価の低下の有無)について(1) 原告らは、本件記事は、原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性 に対し、セクハラを行った事実を摘示するものであると主張する。 - 17 -そこで検討すると、本件記事においては、「優しさを好意と勘違いしたのか。その後、LINEの中身は次第に過激化。冒頭のように、自分とHとの性行為を妄想し、希望プレイの“作文”を、昼夜を問わず送り付けるようになったという。」、「(本件女性が)明日、東京に出張があると言ってしまったところ、彼はその時、東京にいたので、“迎えに行く”“ホテルを取っ ておく”と言い出した。もちろん断ったんですが、あまりにも執拗で、電話を切らせてもらえない。」との記載があるところ、この記載からは、本件女性が、原告Aから好意を寄せられ、性行為を伴う男女関係になるよう求められていたが、これを断っていたこと、そのため、原告Aは、本件女性に対し、実際には行ったことのない本件女性との性行為を妄想する内容のLINEの メッセージを送っていたことを読み取ることができる。 一般の読者の普通の注意 たこと、そのため、原告Aは、本件女性に対し、実際には行ったことのない本件女性との性行為を妄想する内容のLINEの メッセージを送っていたことを読み取ることができる。 一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、上記記載を含む本件記事を全体として見ると、本件記事は、原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性に対し、本件記載性的言動①~③を行った事実を摘示するものというべきである。 (2) 被告らは、原告Aの言動がセクハラであるか否か、Eの行為が口止めであるか否かは、意見・論評であって、事実を摘示したものではないと主張する。 しかしながら、一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、セクハラとは相手方の意に反する性的な言動を意味し、口止めとは口外することを禁ずることを意味するものであり、いずれも証拠等をもってその存否を決す ることが可能であるから、事実を摘示したものというべきである。 (3) 上記(1)、(2)の検討及び本件記事の記載内容(前提事実(4)ア、イ)を総合考慮すれば、本件記事は、以下の各事実を摘示するものというべきであり、その内容に照らせば、それぞれ、各原告の社会的評価を低下させるというべきである。原告公明党が、批判に対する自党の見解を有権者に届ける能力を 有しているとしても、以下のイの事実が、原告公明党の社会的評価を低下さ- 18 -せるとの判断が左右されるものではない。 ア原告Aの社会的評価を低下させる事実原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性に対し、その意に反して、本件記載性的言動①~③を行ったこと(以下「本件摘示事実1」という。) イ原告公明党の社会的評価を低下させる事実(ア) 原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性に対し、その意に反して、本件記載性 動①~③を行ったこと(以下「本件摘示事実1」という。) イ原告公明党の社会的評価を低下させる事実(ア) 原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性に対し、その意に反して、本件記載性的言動①~③を行ったこと(本件摘示事実1)(イ) 本件女性は、令和4年4月末頃、Fに対し、本件記載電話①において、原告Aが本件女性の意に反して本件記載性的言動③を行ったことを伝え たこと(以下「本件摘示事実2」という。)(ウ) Eは、同年5月下旬、本件女性に対し、本件記載電話②において、原告Aが本件女性の意に反して本件記載性的言動③を行ったことが公表されることによって、来るべき本件選挙における原告公明党の獲得議席数に悪影響が出る旨を伝え、そのことを口外しないよう求めたこと(以下 「本件摘示事実3」という。)(エ) 原告公明党は、原告Aが本件女性の意に反する性的言動を行っていることを薄々認識しつつ、詳しい調査をすることなく、原告Aを本件選挙に立候補させたこと(以下「本件摘示事実4」という。) 3 争点2(真実性・真実相当性の抗弁の成否)について 事実を摘示しての名誉毀損については、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、摘示された事実がその重要な部分において真実であることの証明があったときには、上記行為には違法性がなく、仮に同事実が真実であることの証明がないときにも、行為者において同事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又 は過失は否定される(最高裁昭和41年6月23日第一小法廷判決・民集20- 19 -巻5号1118頁、最高裁昭和58年10月20日第一小法廷判決・裁判集民事140号177頁参照)。 本件摘示事実1~4の内容に加え、原告公 和41年6月23日第一小法廷判決・民集20- 19 -巻5号1118頁、最高裁昭和58年10月20日第一小法廷判決・裁判集民事140号177頁参照)。 本件摘示事実1~4の内容に加え、原告公明党が政党であり、本件記事の公表当時、原告Aが現職の議員であったことに照らせば、被告らによる本件記事の公表は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図る ことにあったものと認められる。 そこで、以下では、本件摘示事実1~4がその重要な部分において真実であると認められるか(真実性)、真実であると認められないとしても被告らにおいて真実であると信じたことについて相当の理由があるか(真実相当性)を検討する。 (1) 本件摘示事実1(原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性に対し、その意に反して、本件記載性的言動①~③を行った事実)の真実性・真実相当性についてア原告Aが本件記載性的言動①~③を行ったとの事実認定事実(1)イ、エ、オによれば、当該事実は、その重要な部分において 真実であると認められる。 イ原告Aと本件女性が性行為を伴う男女関係になかったとの事実(ア) 認定事実(1)ア、ウによれば、当該事実は、真実であるとは認められない。 (イ) そこで、被告らにおいて、当該事実が真実であると信じたことにつき、 相当な理由があるか否かを検討する。 本件女性は、令和4年8月27日及び31日、被告らによる取材に対し、原告Aと性行為を伴う男女関係にあることについては否定しつつも(乙A2、証人G〔10頁〕)、「真面目ではあるんよ。こういう健気でかわいいところもあんねん。」と原告Aに好意を持っていることをう かがわせる発言をしていた(乙A2〔4頁〕)。また、被告らが令和4- 20 -年 〕)、「真面目ではあるんよ。こういう健気でかわいいところもあんねん。」と原告Aに好意を持っていることをう かがわせる発言をしていた(乙A2〔4頁〕)。また、被告らが令和4- 20 -年9月4日までに本件女性から提供を受けたLINEのメッセージ(認定事実(4)イ)には、本件女性が、原告Aに対し、本件記載性的言動①について謝るよう求める一方で「手を握ってくるのはヨシとしましょう。」と送信するもの(乙A5の1)、原告Aからのわいせつな内容のメッセージに対して「新幹線プレイ(この後に新幹線の絵文字が付されている。)」 と返信するもの(乙A5の2の1)、原告Aが本件女性に対して「Fにも、肉体関係、結婚を求められているとの話が行っています。議員は辞めないといけないかもしれません。」と報告するもの(乙A5の3)が含まれている。そして、被告らによる取材依頼に対し、原告公明党の本部広報部がした令和4年9月6日の書面による回答においては、原告A の代理人弁護士の説明を引用する形で、本件女性が、原告Aに対し、妻と離婚することを執拗に強要していたとの指摘がある(認定事実(4)ウ(エ))。 被告らは、原告Aの上記メッセージ(乙A5の3)のうち「肉体関係、結婚を求められている」という部分につき、本件女性が原告Aから肉体 関係や結婚を求められていることを意味するものと認識していたと主張するようであるが、上記メッセージ(乙A5の1、5の2の1)及び原告公明党の本部広報部による上記回答と併せ読めば、この部分は、原告Aと本件女性との間に肉体関係があること、原告Aが本件女性から結婚を求められていることを意味するものと理解するのが自然である。そし て、本件女性が、令和4年4月30日、原告Aに対し、「Fにも『自白』してしまっているんだか あること、原告Aが本件女性から結婚を求められていることを意味するものと理解するのが自然である。そし て、本件女性が、令和4年4月30日、原告Aに対し、「Fにも『自白』してしまっているんだから、どうしようもないですね。私、肉体関係あるとか話してないのに・・・」というメッセージを送信していること(甲A19〔44頁〕)からすると、実際にも、上記部分は、原告Aと本件女性との間に肉体関係があること及び原告Aが本件女性から結婚を求め られていることを意味していたものと認められる。 - 21 -以上のとおり、被告らが本件記事の公表前に把握していた上記の情報からは、本件女性と原告Aが互いに好意を持ち合っており、性行為を伴う男女関係にある可能性があること、そうであるからこそ、本件女性が原告Aに対して妻と離婚することを求めていたことを認識することが可能であったといえる。 以上によれば、被告らにおいて、原告Aと本件女性が性行為を伴う男女関係になかったとの事実が真実であると信じたことにつき、相当な理由があるとは認められない。 ウ本件記載性的言動①~③が本件女性の意に反するものであったとの事実(ア) 本件記載性的言動①について 本件記載性的言動①につき、本件女性は、原告Aからお尻をわしづかみにされ、とても嫌な、嫌悪感を感じたと供述するところ(証人本件女性〔3頁〕)、その行為態様自体に加え、本件女性が原告Aと二人だけで初めて会った際における行為であること、本件女性は臀部を触られた際、原告Aに痴漢であると苦情を述べ (認定事実(1)イ)、その後に原告 Aに送信したLINEのメッセージにおいても苦情を述べて謝罪を求めていること(甲A19〔13~15頁〕)を併せ考慮すれば、本件記載性的言動①は、本件女性の意に反する行為 )イ)、その後に原告 Aに送信したLINEのメッセージにおいても苦情を述べて謝罪を求めていること(甲A19〔13~15頁〕)を併せ考慮すれば、本件記載性的言動①は、本件女性の意に反する行為であったと認められる。 確かに、本件女性は、本件記載性的言動①があった日の数日前から、原告Aとの間で頻繁にメッセージのやり取りや深夜における長時間の電 話をしており、原告Aに対し、好意を持っていることをうかがわせるメッセージや身体的接触を許容するかにも見えるメッセージを送信したり(甲A19〔3~13頁〕)、露出度の高い服装を身に着けた自身の写真や動画のデータを送信したりしていた(甲A16〔2~10頁〕)。 また、本件女性は、本件記載性的言動①の後も、原告Aに対し、苦情を 述べて謝罪を求めつつも、「手を握ってくるのはヨシとしましょう。」- 22 -というメッセージやさらに親密な関係になることを許容するかのようなメッセージを送信したり、原告Aの求めに応じて深夜に電話で会話したりしている(甲A19〔13~16頁〕)。 しかしながら、いかに、本件女性が、原告Aに好意を寄せ、身体的接触や親密な関係になることを許容していたとしても、二人だけで初めて 会ったその日に承諾なく臀部を触るという行為を許容していたとは考え難い。 よって、本件記載性的言動①は、本件女性の意に反するものであったと認められる。 (イ) 本件記載性的言動②、③について 本件記載性的言動②、③につき、本件女性は、とても強い嫌悪感を感じたなどと証言するところ(証人本件女性〔6~8頁〕)、本件記載性的言動②は、原告Aと本件女性との間の性行為を具体的に連想させるとともに、本件女性の尊厳を傷つけるような露骨で品位に欠ける性的描写を含むメッセージを立て続けに送信す 件女性〔6~8頁〕)、本件記載性的言動②は、原告Aと本件女性との間の性行為を具体的に連想させるとともに、本件女性の尊厳を傷つけるような露骨で品位に欠ける性的描写を含むメッセージを立て続けに送信するものであり(甲A25、乙A5 の2)、本件記載性的言動③は、本件女性の顔に精液をかけたいと繰り返したり、本件女性の過去の性経験を尋ねたりするものであって(認定事実(1)オ)、いずれも親密な関係にある相手においても相当程度の嫌悪や不快感を持ち得るものと解されることからすれば、本件記載性的言動②、③は、本件女性の意に反するものであったと認められる。 確かに、本件女性は、当時、原告Aと性行為を伴う男女関係にあり、本件女性が原告Aに対して性的な内容のメッセージを送信することもあった (認定事実(1)ア、ウ)。また、本件女性は、本件記載性的言動②に係るLINEのメッセージのやり取りの際にも、原告Aからのわいせつな内容のメッセージに対して「新幹線プレイ(この後に新幹線の絵文字 が付されている。)」と返信したり(乙A5の2の1)、原告Aからの- 23 -「ありがとうね。エッチな話にいろいろ付き合ってくれて。」というメッセージに対して「いいえ、どういたしまして。」と返信したり(甲A25)している。 しかしながら、いかに、本件女性が、性的な内容を含む原告Aとのメッセージのやり取りや会話を楽しむことがあったとしても、本件記載性 的言動②、③に係る原告Aのメッセージや発言は、その内容に照らし、性的羞恥心を害し、許容される限度を超えるものであり、これを本件女性が楽しんで受け入れていたとは考え難い。実際、本件女性は、露骨な性的描写を含む原告Aの一連のメッセージに対し、「いやらしい!LINEに書かずに、自分の日記に書いておいてよ!」、 あり、これを本件女性が楽しんで受け入れていたとは考え難い。実際、本件女性は、露骨な性的描写を含む原告Aの一連のメッセージに対し、「いやらしい!LINEに書かずに、自分の日記に書いておいてよ!」、「ここに書く必要 性が分からないです!自分の新幹線プレイ妄想を、私にまで情報共有する必要がありません。」 (乙A5の2の1)と明確に拒絶し、あるいは、「妄想癖があるなー((笑))」(甲A25)とたしなめる内容のメッセージを返信している。 以上によれば、本件記載性的言動②、③は、本件女性の意に反するも のであったと認められる。 (2) 本件摘示事実2(本件女性が、令和4年4月末頃、Fに対し、本件記載電話①において、原告Aが本件女性の意に反して本件記載性的言動③を行ったことを伝えた事実)の真実性・真実相当性について認定事実(2)イによれば、本件女性が、令和4年4月末、Fに対し、本件記 載電話①において、原告Aが深夜に酒に酔った状態で電話(本件記載深夜電話)をかけてきたことを伝えた事実は真実であると認められる。そこで、以下では、その際、本件女性が、Fに対し、原告Aが本件記載深夜電話においてわいせつな内容の発言をしたことを伝えた事実(以下「本件わいせつ内容伝達事実」という。)について、真実性・真実相当性が認められるかを検討 する。 - 24 -ア真実性について(ア) 本件女性は、本件記載電話①の際、Fに対し、令和4年4月26日の深夜に、原告Aから電話があり、その中で、過去の交際関係を聞かれたり、性的な発言をされたりしたことを伝え、国会議員としてふさわしくないので辞職を求めたと証言し(証人本件女性〔10~11頁〕)、陳 述書においても同旨を述べる(乙A7〔9頁〕)。 (イ) しかしながら、本件記載電話①の たことを伝え、国会議員としてふさわしくないので辞職を求めたと証言し(証人本件女性〔10~11頁〕)、陳 述書においても同旨を述べる(乙A7〔9頁〕)。 (イ) しかしながら、本件記載電話①の後に本件女性が原告Aや本件元議員に送信したメッセージ (甲A19〔43~47頁〕、認定事実(4)イ(イ)、乙C4の1)を見ても、本件わいせつ内容伝達事実があったことについての記載はない。 のみならず、Gの公表前取材結果メモに記載された本件女性からの聴取内容(認定事実(4)ア(ア))を見ても、「少なくとも私が話したのは、この『酔っ払い電話』の一件だけです。」との記載があるにとどまり、その「酔っ払い電話」(本件記載深夜電話)の際に原告Aがわいせつな内容の発言をしたことをFに伝えた旨の明確な記載はない。公表後取材 結果メモには、Fに対し、本件記載深夜電話において卑猥な発言があったと伝えているとの明確な記載があるものの(認定事実(5))、このような重要な事項について、公表後取材結果メモに明確な記載があるにもかかわらず、公表前取材結果メモに明確な記載がないことは、本件女性が、本件記事の公表前の時点においては、Gに対し、本件わいせつ内容伝達 事実があったことについて明確に伝えていなかったことを疑わせるものであり、このことは、本件わいせつ内容伝達事実があったこと自体を疑わせる事情であるといえる。 (ウ) 本件女性は、本件選挙後の令和4年8月26日にFと電話した際(認定事実(3)エ)、 「あの電話は本当にひどかったんですよ、内容はちょっ と、なにもあれですけど。」と発言しているところ、この発言は、本件- 25 -女性が、Fに対し、本件記載深夜電話における原告Aの発言の具体的内容を伝えておらず、かつ、伝えることに心理的抵抗を と、なにもあれですけど。」と発言しているところ、この発言は、本件- 25 -女性が、Fに対し、本件記載深夜電話における原告Aの発言の具体的内容を伝えておらず、かつ、伝えることに心理的抵抗を感じていることをうかがわせるものである。また、その後、本件女性が、原告Aから痴漢にあったことがあること、原告Aが電話で卑猥な発言をしたことを話したのに対し、Fは、初めて聞く話であると答え、これに対し、本件女性 は、「そうですね。初めて言いました。」と答えている。 この電話の際、Fは、「4月の下旬でしたかね、大変、あの夜中に乱暴なお電話をしたということがあったと思うんですけど。」と発言しているものの、原告Aが深夜に酒に酔って電話をかけてきたこと自体を「乱暴」と表現したものとみることも十分可能であり、原告Aのわいせつな 内容の発言をしたことを聞いていたことの裏付けになるとはいえない。 上記事情は、本件女性が本件記載深夜電話における原告Aのわいせつな内容の発言についてFに初めて伝えたのが、令和4年8月26日の電話の際のことであり、それ以前は伝えていなかったことをうかがわせる といえる。 (エ) 本件女性が、本件記載電話①の際、Fに対し、原告Aがわいせつな内容の発言をしたことを伝えなかったとすれば、本件女性は、単に、原告Aが深夜に酒に酔って電話をかけてきたことのみを理由に、原告Aの議員辞職を求めたことになり、議員辞職を求める理由としてやや説得力に欠ける面があることは否定できない。しかしながら、本件女性の原告A に対する「Fにも『自白』してしまっているんだから、どうしようもないですね。私、肉体関係あるとか話してないのに・・・」とのメッセージ(甲A19〔44頁〕)、原告Aと本件女性における電話の会話(甲A24の2〔404 『自白』してしまっているんだから、どうしようもないですね。私、肉体関係あるとか話してないのに・・・」とのメッセージ(甲A19〔44頁〕)、原告Aと本件女性における電話の会話(甲A24の2〔404~440項〕)や、本件女性のFに対する「あの電話は本当にひどかったんですよ、内容はちょっと、なにもあれですけど。」 との発言 (認定事実(3)エ)は、本件女性が原告Aとの私的な関係や本件- 26 -深夜電話における原告Aの詳細な発言についてFに知られることに心理的抵抗を感じていたことをうかがわせるものであり、これらに照らすと、本件女性が、Fに対し、単に、原告Aが深夜に酒に酔って電話をかけてきたことのみを伝え、その際にわいせつな内容の発言をしたことは伝えなかったことも十分にあり得る。 また、本件女性の苦情申入れを受け、原告公明党の代表及び副代表が直接本件女性に対応していることをどう見るかも問題であり、本件女性の申し入れた苦情に本件記載深夜電話の際の原告Aのわいせつな発言が含まれていたからこそ、原告公明党の代表及び副代表が直接対応したのではないかという疑問が生じるところである。しかし、原告Aが本件女 性に対して「Fにも、肉体関係、結婚を求められているとの話が行っています。」と報告するメッセージを送っていること(認定事実(4)イ(ア))や、本件女性が原告Aに対して「Fにも『自白』してしまっているんだから、どうしようもないですね。私、肉体関係あるとか話してないのに・・・」というメッセージを送信していること(甲A19〔44頁〕)は、Fに おいて、原告Aと本件女性が性行為を伴う男女関係にあったことを把握していたことをうかがわせるものである。本件選挙が間近に迫っている時期において、原告公明党に所属する国会議員が不倫をしており おいて、原告Aと本件女性が性行為を伴う男女関係にあったことを把握していたことをうかがわせるものである。本件選挙が間近に迫っている時期において、原告公明党に所属する国会議員が不倫をしており、不倫関係にある女性に対し、酒に酔って深夜に電話をかけたという事実は、それ自体が原告公明党にとって重大な問題となり得る事態であると考え られるから、原告公明党の代表と副代表が直接本件女性に対応することは、不自然であるとはいえず、両名において原告Aがわいせつな内容の発言をしたことを知っていたとみなければ説明がつかないとは必ずしもいえない。 (オ) 以上によれば、本件わいせつ内容伝達事実が真実であると認めること はできない。 - 27 -イ真実相当性について認定事実(4)及び上記ア(イ)の検討に照らせば、被告らは、本件記事の公表前の時点において、本件わいせつ内容伝達事実について、その裏付けとなるLINEのメッセージ等の客観的な資料を入手していなかったのみならず、本件女性からも明確な確認が得られていなかった可能性が否定で きない。 すなわち、被告らが本件記事の公表前に、本件女性からの取材により明確に確認できていたと認められる事実は、原告Aが深夜に酒に酔って電話をかけてきたことをFに伝えた事実にとどまる。そして、被告らが、本件記事の公表前に、客観性のある資料(LINEのメッセージやEらからの 取材結果)をもって確認できていた事実は、①本件女性が、本件記載電話①において、Fに対し、原告Aが深夜に酒に酔って電話をかけてきたことを伝え、原告Aの議員辞職を求めた事実、②Eが、本件女性に対し、原告Aが深夜に酒に酔って電話をかけた事実について謝罪したことにとどまる。 証人Gは、原審の証人尋問において、①酔っ払いで とを伝え、原告Aの議員辞職を求めた事実、②Eが、本件女性に対し、原告Aが深夜に酒に酔って電話をかけた事実について謝罪したことにとどまる。 証人Gは、原審の証人尋問において、①酔っ払いで迷惑をかけましたというだけで、原告公明党の代表と副代表がわざわざ一般人のために出てくるということは到底考えられない、②性的な内容が電話に含まれていたからこそ、わざわざEとFが出てこなければならない事案であると判断したとみるのが自然であると考えたと証言する(証人G〔9頁〕)。しかしな がら、上記(1)イ(イ)で説示したとおり、被告らは、本件記事の公表前に把握していた情報から、本件女性と原告Aが性行為を伴う男女関係にある可能性があることを認識することが可能であった。また、被告らは、本件記事の公表前に、原告Aの本件女性に対する「Fにも、肉体関係、結婚を求められているとの話が行っています。」とのメッセージ(認定事実(4)イ(ア)) を入手していたのであるから、本件女性と原告Aとの関係をFが把握して- 28 -いる可能性があることを認識することも可能であった。そうであるとすれば、被告らとしては、EとFにおいて、原告Aが本件女性と不倫関係にあること及びそのような本件女性に対して酒に酔って深夜に電話をかけたという事実を重く見て、本件女性に直接対応した可能性があることを認識できたというべきであり、原告Aのわいせつな内容の発言を認識していた からこそ両名が本件女性に直接対応したと判断したことは軽率であったといわざるを得ない。 以上によれば、被告らが本件わいせつ内容伝達事実を真実であると信じたことにつき、相当な理由があると認めることはできない。 (3) 本件摘示事実3(Eが、令和4年5月下旬、本件女性に対し、本件記載電 話②におい らが本件わいせつ内容伝達事実を真実であると信じたことにつき、相当な理由があると認めることはできない。 (3) 本件摘示事実3(Eが、令和4年5月下旬、本件女性に対し、本件記載電 話②において、原告Aが本件女性の意に反して本件記載性的言動③を行ったことが公表されることによって、来るべき本件選挙における原告公明党の獲得議席数に悪影響が出る旨を伝え、そのことを口外しないよう求めた事実)の真実性・真実相当性について認定事実(2)ウによれば、Eが、令和4年5月下旬、本件女性との間で、本 件記載電話②において、原告Aが深夜に酒に酔って本件女性に本件記載深夜電話をかけたことについて話した事実は認められる。そこで、以下では、その際、Eが、本件女性に対し、原告Aが本件女性の意に反して本件記載性的言動③を行ったこと(本件記載深夜電話においてわいせつな内容の発言をしたこと)が公表されることによって、来るべき本件選挙における原告公明党 の獲得議席数に悪影響が出る旨を伝え、そのことを口外しないよう求めた事実について、真実性・真実相当性が認められるかを検討する。 ア真実性について(ア) 本件女性は、本件記載電話②の際、①Eに対し、深夜の卑猥な酔っ払い電話のことを詳しくは説明しなかったものの、②Eは、原告Aの件に ついてはFから聞いたと述べていたので、事件の内容は全部共有されて- 29 -いると思った、③Eからは、これから選挙であり、これが表に出ると議席が獲得できなくなるので、口外しないでほしいと言われたと証言し(証人本件女性12~13頁)、陳述書においても同旨を述べる(乙A7〔11頁〕)。 (イ) 確かに、本件女性が本件元議員に送信したLINEのメッセージ(乙 C4)を見ると、その中には、①本件記載電話①の際、F 2~13頁)、陳述書においても同旨を述べる(乙A7〔11頁〕)。 (イ) 確かに、本件女性が本件元議員に送信したLINEのメッセージ(乙 C4)を見ると、その中には、①本件記載電話①の際、Fに対して原告Aの議員辞職を求めたところ、Fが「時期が。。。。」などと発言したとする令和4年4月30日送信のメッセージ(乙C4の1)、②本件選挙が終わるまで待つことを約束したので、その約束を守ろうと思うと述べる同年5月21日送信のメッセージ(乙C4の2)、③本件選挙後、 原告Aの当選の祝いを述べたが、これは、本件女性がE、F、原告Aから一方的にお願いされた約束を守ったということであり、次は原告Aが約束を果たしてほしいと述べる同年7月11日送信のメッセージ(乙C4の4)、④E、F、原告Aから口止めされて今日まで来たが、今週刊誌などに言うと大きな事件になると思うと述べる同月13日送信のメッ セージ(乙C4の5)、⑤Fから、本件女性が本件選挙中に事を荒立てないという約束を守ったことに対するお礼の電話があったと述べる同日送信のメッセージ(乙C4の5)が存在する。 また、本件女性は、原告Aに対しても、令和4年8月27日に「こういうことになるなら、今回の選挙前に原告Aが、選挙に出る人ではない、 公明党の国会議員として相応しくない、ことを言うべきでした。。」、「あなたを初め、FやEの口止めにも屈せずに、社会に言うべきでした。」とのメッセージを送信している(甲A20〔225頁〕)。 実際、本件女性は、本件記載深夜電話の後、原告AやFに対し、原告Aの議員辞職を求めていたにもかかわらず(認定事実(2)ア、イ)、Eと の本件記載電話②の後、原告Aが本件選挙に立候補することを容認し(認- 30 -定事実(3)ア)、本件選挙までの間、原 Aの議員辞職を求めていたにもかかわらず(認定事実(2)ア、イ)、Eと の本件記載電話②の後、原告Aが本件選挙に立候補することを容認し(認- 30 -定事実(3)ア)、本件選挙までの間、原告Aとの関係を報道機関に情報提供するなどの行為には及んでいない。 上記事情に照らせば、本件女性の上記各メッセージがありもしない事実や虚偽の認識を述べたものとは考え難く、E、F、原告Aが、原告Aの議員辞職を求める本件女性に対し、原告Aが本件選挙に立候補するこ とを容認するよう求めるとともに、本件選挙までは何らかの事実を口外しないよう求めた可能性も否定できない。 (ウ) しかしながら、仮に、Eが、本件女性に対し、何らかの事実を口外しないよう求めたことがあったとしても、その事実が具体的に何であったのかを示す客観的証拠は一切存在しない(本件女性が本件元議員に送信 した上記(イ)のLINEのメッセージ(乙C4)にも具体的な記載はない。)。公表前取材結果メモにも公表後取材結果メモにも、本件女性がEから具体的にいかなる事実について口外しないよう求められたかについての記載はない。 本件女性の上記(ア)の供述を前提とするとしても、Eは、具体的な事実 (すなわち、本件深夜記載電話において原告Aがわいせつな内容の発言をした事実)を明示することなく、Eが当時認識していた何らかの事実を暗示した上で、口外を控えるよう求めるにとどまったものと考えられる。 そして、①本件女性が、Fに対し、原告Aが本件記載深夜電話におい てわいせつな内容の発言をした事実を伝えたとは認められないこと(上記(2)ア)、②本件女性も証言するとおり、本件女性は、本件記載電話②の際、Fに上記事実を伝えていないこと (上記(ア))、③Eが、Fや本件女性以外の者(例えば原告 を伝えたとは認められないこと(上記(2)ア)、②本件女性も証言するとおり、本件女性は、本件記載電話②の際、Fに上記事実を伝えていないこと (上記(ア))、③Eが、Fや本件女性以外の者(例えば原告A)から上記事実を聞くなどして認識していたことを認めるに足りる証拠もないことからすれば、Eが、本件記載電 話②の当時、原告Aが上記事実を認識していたと認めることはできず、- 31 -そうである以上、上記事実を暗示して本件女性に口外を控えるよう求めたと認めることもできない。 仮に、Eが本件女性に対して何らかの事実を口外しないよう求めた事実があったとしても、それは、原告Aが酒に酔って深夜に電話をかけてきた事実(それだけではセクハラには当たらない。)であったとみるの が相当である。 (エ) 以上によれば、本件摘示事実3が真実であると認めることはできない。 イ真実相当性について上記ア(ウ)で説示したとおり、Eが、本件女性に対し、具体的にいかなる事実について口外しないよう求めていたかについては、公表前取材結果メ モにも具体的な記載はなく、Gは、本件女性から、この点について明確に確認できていなかったことがうかがわれる。この点に関する客観的証拠も存在しない(仮に、Gが、本件記事の公表前に、本件女性が本件元議員に送信した上記(イ)のLINEのメッセージ(乙C4)に関する情報を入手していたとしても、同メッセージにも、口外を求められた事実が具体的に何 であったかについて記載されているわけではない。)。 公表前取材結果メモに記載された本件女性の発言内容(認定事実(4)ア(イ))からすれば、被告らは、Eが、具体的な事実 (原告Aがわいせつな内容の発言をしたこと)を明示することなく、当該事実を暗示して口外を控えるよう求めたものと考 件女性の発言内容(認定事実(4)ア(イ))からすれば、被告らは、Eが、具体的な事実 (原告Aがわいせつな内容の発言をしたこと)を明示することなく、当該事実を暗示して口外を控えるよう求めたものと考えた可能性はある。しかしながら、被告らが本件 わいせつ内容伝達事実(本件女性が、Fに対し、原告Aが本件記載深夜電話においてわいせつな内容の発言をしたことを伝えた事実)を真実であると信じたことにつき、相当な理由があると認めることができないことは、先に説示したとおりである。被告らにおいて、Eが、F以外の者から上記事実(原告Aが本件記載深夜電話においてわいせつな内容の発言をしたこ と)を聞くなどして認識していたことを示す客観的資料を入手していたと- 32 -認めるに足りる証拠もない。そうすると、被告らにおいて、Eが、上記事実(原告Aが本件記載深夜電話においてわいせつな内容の発言をしたこと)を認識しており、本件女性に対し、その事実を暗示して口外を控えるよう求めたものと信じたことについて相当な理由があるということはできない。 以上によれば、被告らが本件摘示事実3を真実であると信じたことにつき、相当な理由があると認めることはできない。 (4) 本件摘示事実4(原告公明党が、原告Aが本件女性の意に反する性的言動を行っていることを薄々認識しつつ、詳しい調査をすることなく、原告Aを本件選挙に立候補させた事実)の真実性・真実相当性について 認定事実(3)イ及び弁論の全趣旨によれば、原告公明党が、原告Aが本件女性の意に反する性的言動を行っていることについて詳しい調査をすることなく、原告Aを本件選挙に立候補させた事実は真実であると認められる。 しかしながら、上記(2)及び(3)の説示に照らせば、原告公明党において、原告Aが本件女性 ていることについて詳しい調査をすることなく、原告Aを本件選挙に立候補させた事実は真実であると認められる。 しかしながら、上記(2)及び(3)の説示に照らせば、原告公明党において、原告Aが本件女性の意に反する性的言動を行っていることを薄々認識してい た事実が真実であると認めることはできず、被告らが当該事実を真実であると信じたことにつき、相当な理由があると認めることもできない。 (5) 結論以上によれば、本件記事の摘示する事実のうち以下の各事実については、真実であると認めることができず、被告らが真実であると信じたことにつき、 相当な理由があると認めることもできない。以下の各事実は、その内容に照らせば、それが真実であるか否かによって、原告らの社会的評価の低下の程度に大きな差異が生じるものと認められるから、以下の各事実は、本件記事の摘示する事実の重要な部分に当たる。よって、本件記事はその重要な部分において真実性・真実相当性の立証がされたとはいえないから、被告らが本 件記事を公表した行為は、原告らに対する名誉毀損として不法行為に該当す- 33 -ると認められる。 ア本件摘示事実1(原告Aが、性行為を伴う男女関係にない本件女性に対し、その意に反して、本件記載性的言動①~③を行った事実)のうち、原告Aと本件女性が性行為を伴う男女関係になかったとの事実イ本件摘示事実2(本件女性が、令和4年4月末頃、Fに対し、本件記載 電話①において、原告Aが本件女性の意に反して本件記載性的言動③を行ったことを伝えた事実)のうち、本件女性が、Fに対し、原告Aが本件記載深夜電話においてわいせつな内容の発言をしたことを伝えた事実ウ本件摘示事実3(Eが、令和4年5月下旬、本件女性に対し、本件記載電話②において、原告Aが本件女性の 性が、Fに対し、原告Aが本件記載深夜電話においてわいせつな内容の発言をしたことを伝えた事実ウ本件摘示事実3(Eが、令和4年5月下旬、本件女性に対し、本件記載電話②において、原告Aが本件女性の意に反して本件記載性的言動③を行 ったことが公表されることによって、来るべき本件選挙における原告公明党の獲得議席数に悪影響が出る旨を伝え、そのことを口外しないよう求めた事実)エ本件摘示事実4(原告公明党が、原告Aが本件女性の意に反する性的言動を行っていることを薄々認識しつつ、詳しい調査をすることなく、原告 Aを本件選挙に立候補させた事実)のうち、原告公明党において、原告Aが本件女性の意に反する性的言動を行っていることを薄々認識していた事実 4 争点3(本件記事が原告Aのプライバシーを侵害するものとして不法行為を構成するか)について 原判決30頁12行目~31頁1行目に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、30頁21行目の「前提事実(1)、(2)」を「前提事実(1)ア」に、22行目の「前記3(3)」を「前記3(1)」に、それぞれ改める。 5 争点4(原告公明党の損害及び謝罪広告の適否)について(1) ①本件摘示事実1~4の内容及びそのうち真実性も真実相当性も認められ ない部分の内容、②本件記事の掲載された本件雑誌は全国で相当部数発行さ- 34 -れたと考えられること(弁論の全趣旨)、③本件記事は、本件雑誌の令和4年9月15日号において目玉記事として取り上げられたこと(甲B37)、④同月8日の全国紙の朝刊全国版の広告においても本件記事が紹介されたこと(甲B38)、その他本件に顕れた一切の事情も総合考慮すると、本件記事の公表による原告公明党の社会的評価の低下に伴う損害としては、200 万円を 刊全国版の広告においても本件記事が紹介されたこと(甲B38)、その他本件に顕れた一切の事情も総合考慮すると、本件記事の公表による原告公明党の社会的評価の低下に伴う損害としては、200 万円を認めるのが相当である。 また、被告らの不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は、20万円を認めるのが相当である。 (2) 原告公明党は、政党であり、本判決により本件記事につき名誉毀損が認められたことを社会に広く発信できる能力を有していると考えられることから すれば、その他本件に顕れた一切の事情を考慮しても、原告公明党の名誉を回復するために上記(1)の損害賠償に加え、謝罪広告を行うことが必要であるとは認められない。 6 争点5(原告Aの損害)について本件摘示事実1の内容及びそのうち真実性も真実相当性も認められない部分 の内容、上記5(1)②~④の事情、原告Aが本件記事の公表により議員辞職を余儀なくされたこと(甲B39)、その他本件に顕れた一切の事情も総合考慮すると、本件記事の公表による原告Aの精神的苦痛に対する慰謝料としては、80万円を認めるのが相当である。 また、被告らの不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は、8万円を認め るのが相当である。 7 小括よって、被告Dは不法行為に基づき、被告新潮社は使用者責任に基づき、①原告公明党に対しては、220万円及びこれに対する不法行為後の日である令和4年9月8日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金を、 ②原告Aに対しては、88万円及びこれに対する不法行為後の日である令和4- 35 -年9月8日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金を、それぞれ連帯して支払うべき義務がある。 第4 結論以上によれば、原告らの請求は、上記第3の の日である令和4年9月8日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金を、それぞれ連帯して支払うべき義務がある。 第4 結論以上によれば、原告らの請求は、上記第3の7の限度で理由があるからその限度で認容し、その余の請求はいずれも棄却すべきであり、これと異なる原判決は一部相当でない。よって、本件控訴は一部理由があるから、原判決を上記第3の7のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第11民事部 裁判長裁判官三木素子 裁判官下馬場直志 裁判官南宏幸 原告A原告AC被告D
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