平成14(ワ)76 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年6月26日 神戸地方裁判所
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判決文本文12,413 文字)

主文 1 被告は,(1)ア原告Aに対し,金30万円イ原告Bに対し,金30万円(2)ア原告Cに対し,金20万円イ原告Dに対し,金40万円(3) 原告Eに対し,金60万円(4)ア原告Fに対し,金10万円イ原告Gに対し,金50万円(5) 原告Hに対し,金60万円(6)ア原告Iに対し,金30万円イ原告Jに対し,金30万円(7) 原告Kに対し,金60万円(8) 原告Lに対し,金60万円(9) 原告Mに対し,金60万円(10) 原告Nに対し,金60万円(11) 原告Oに対し,金60万円(12) 原告Pに対し,金60万円及びこれら各金員に対する平成14年1月19日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを3分し,その2を原告らの負担とし,その余は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の請求被告は, 1 原告A及び原告B各自に対し,金180万3654円 2 原告C及び原告D各自に対し,金169万0616円 3 原告Eに対し,金169万0616円 4 原告F及び原告G各自に対し,金169万0616円 5 原告Hに対し,金169万0616円 6 原告I及び原告J各自に対し,金169万0616円 7 原告Kに対し,金169万0616円 8 原告Lに対し,金199万1721円 9 原告Mに対し,金205万1214円 10 原告Nに対し,金205万1214円11 7 原告Kに対し,金169万0616円 8 原告Lに対し,金199万1721円 9 原告Mに対し,金205万1214円 10 原告Nに対し,金205万1214円 11 原告Oに対し,金205万1214円 12 原告Pに対し,金219万2678円及びこれら各金員に対する平成14年1月19日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 争いのない事実(1) 当事者ア原告らは,区分所有建物である(ア)記載のマンション(以下「本件マンション」という。)に,(イ)記載の各専有部分を所有する区分所有者である。 (ア) 所在神戸市a区b通c丁目d番地,e番地構造鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根14階建建物の番号甲床面積  1階 852.61平方メートル2階 692.25平方メートル3階 629.49平方メートル4階ないし12階各570.33平方メートル13階 547.40平方メートル14階 524.33平方メートル(イ) 専有部分① 原告A及び原告B1309号  51.93平方メートル(ただし,持分各2分の1)② 原告C及び原告D 専有部分① 原告A及び原告B1309号  51.93平方メートル(ただし,持分各2分の1)② 原告C及び原告D1303号  47.72平方メートル(ただし,持分は原告C3分の1,原告D3分の2)③ 原告E1403号  47.72平方メートル④ 原告F及び原告G1404号  48.84平方メートル(ただし,持分は原告F6分の1,原告G6分の5)⑤ 原告H1204号  48.84平方メートル⑥ 原告I及び原告J1402号  48.70平方メートル(ただし,持分各2分の1)⑦ 原告K1104号  48.84平方メートル⑧ 原告L407号  57.31平方メートル⑨ 原告M1308号  59.31平方メートル⑩ 原告N1207号  59.31平方メートル⑪ 原告O408号  59.31平方メートル⑫ 原告P1209号  63.54平方メートルイ被告は,マンション等の住宅の開発・販売・仲介等を主たる業務とする株式会社であり,本件マンションの分譲主である。 (2) 原告らと被告間の本件マンシ 63.54平方メートルイ被告は,マンション等の住宅の開発・販売・仲介等を主たる業務とする株式会社であり,本件マンションの分譲主である。 (2) 原告らと被告間の本件マンション売買契約の締結ア原告らは,平成8年6月から平成9年6月にかけて,各々被告との間で本件マンションの前記(1)ア記載の各専有部分並びに共有部分及び敷地共有持分権の売買契約を締結し,これを購入した。なお,上記売買契約締結当時には未だ本件マンションは完成していなかった。 イ原告ら各々の売買契約締結日及び売買金額は次のとおりである。 ① 原告A及び原告B売買契約締結日平成8年6月3日売買代金  3380万円② 原告C及び原告D売買契約締結日平成8年6月4日売買代金  3020万円③ 原告E売買契約締結日平成8年6月3日売買代金  3180万円④ 原告F及び原告G売買契約締結日平成8年9月25日売買代金  3020万円⑤ 原告H売買契約締結日平成8年6月4日売買代金  2980万円⑥ 原告I及び原告J売買契約締結日平成8年6月4日売買代金  3180万円⑦ 原告K売買契約締結日平成8年6月14日売買代金 成8年6月4日売買代金  3180万円⑦ 原告K売買契約締結日平成8年6月14日売買代金  2960万円⑧ 原告L売買契約締結日平成8年6月13日売買代金  3170万円⑨ 原告M売買契約締結日平成8年6月4日売買代金  3700万円⑩ 原告N売買契約締結日平成9年6月17日売買代金  3580万円⑪ 原告O売買契約締結日平成8年6月28日売買代金  3310万円⑫ 原告P売買契約締結日平成8年6月3日売買代金  4030万円本件マンション建設・分譲についての特殊事情ア本件マンションは,平成7年1月17日未明に発生した阪神淡路大震災によって全部滅失したマンション敷地上に「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(以下「再建特別措置法」という。)に基づき再建されたものである。 イ被災マンションの再建事業は,一般的に,元敷地上にマンションを再建することを目的として組織された敷地共有持分権者の団体(一般に「再建組合」と呼ばれる。)が事業主体となり,実際の事業は事業代行者(通常いわゆるディベロッパー)が遂行し,事業代行者と設計・監理者,施工業者によって構成される事業体制のもとで実施されるものであるが,本件マンション建設に 。)が事業主体となり,実際の事業は事業代行者(通常いわゆるディベロッパー)が遂行し,事業代行者と設計・監理者,施工業者によって構成される事業体制のもとで実施されるものであるが,本件マンション建設にあたっても,再建組合が組織され,被告が事業代行者として再建事業を遂行していた。すなわち,本件において,被告は,マンション分譲事業者(売主)の地位にあっただけではなく,本件マンションの再建事業の事業代行者でもあった。 ウ被災マンション再建事業の際に用いられる事業手法については,「全部譲渡方式」と呼ばれる方式が採用されるのが一般的である。本件でいえば,事業代行者である被告が再建組合員の所有する敷地共有持分権をいったん全部買い取り,マンションを建設した後,敷地共有持分権を再建マンションの専有部分と一体化(いわゆる権利床)して再建組合員に再度分譲するという方式である。本件マンションにおいてもこの全部譲渡方式によって再建が果たされた。ただし,本件マンションの再建においては,もとの敷地共有持分権者であった神戸市が事業に参画しなかったために神戸市所有の敷地持分共有権分19戸については,再建組合員に再度分譲するのではなく,後述のいわゆる保留床と同様一般に販売された。 エ加えて,再建前のマンションと比較して再建後のマンションの延床面積が増加し,増床部分が生み出される建築計画の場合には,事業代行者が増床部分としての専有部分等を原始取得し,再建組合員以外の新規購入者に分譲することが行われるが,本件においても3戸がこのような保留床として一般に販売された。 オ以上のような経緯で,本件マンションにおいては,再建組合員であった区分所有者と神戸市分ないし本来的な保留床を購入した新規の区分所有者とが併存しているところ,原告らは,全員本件マ た。 オ以上のような経緯で,本件マンションにおいては,再建組合員であった区分所有者と神戸市分ないし本来的な保留床を購入した新規の区分所有者とが併存しているところ,原告らは,全員本件マンションの再建事業にはまったく関与していない新規購入区分所有者である。 (4) 再建事業費の借入と被告への支払ア再建事業においては,平成7年当時の計画当初より,再建組合員の負担を少なくするため,再建事業費(建設費)の一部を,本件マンション建設に伴い設立される管理組合(以下「本件マンション管理組合」という。)が金融機関から借り入れてこれを支払い,同借入金は,本件マンション管理組合に入る駐車場収入をもってその返済に充てることが計画されていた。 イしかし,条件面での折合いがつかず,金融機関からの借り入れができなかったため,再建組合は,平成9年11月,同再建組合員のQから1億8000万円を借り入れることを決定した。 ウ平成10年2月14日開催の本件マンション管理組合設立総会において,上記1億8000万円の借り入れをすることが承認され,本件マンション管理組合は,上記承認決議に基づき,同年3月2日,Qから1億8000万円を,利息は保証料も合わせて年7.12パーセント,平成14年4月10日を第1回として毎月10日限り180回の元利均等分割弁済(1回の弁済額163万円)との約定で借り入れた(以下「本件借入」という。)。そして,本件マンション管理組合は,同月3日,上記借り入れた1億8000万円を再建事業費(建設費)分担金の残額として被告に支払った。 2 原告の主張(1) 被告の債務不履行(説明義務違反)責任本件マンション管理組合が,設立当初から本件借入をなし,その返済をしなければなら 残額として被告に支払った。 2 原告の主張(1) 被告の債務不履行(説明義務違反)責任本件マンション管理組合が,設立当初から本件借入をなし,その返済をしなければならないとすると,本件マンション管理組合の構成員である区分所有者らがその専有面積割合によって将来的に一般の管理費・修繕費積立金以外に多額の債務返済分担金を負担しなければならないこととなる。しかも,本件借入は,前記のとおり再建組合員が負担すべき再建事業費(建築費)の支払に充てるためのものであり,本来,本件マンションの再建事業にはまったく関与していない新規購入区分所有者である原告らが負担すべき債務ではないことを考え合わせると,本件マンション管理組合が本件借入をなすこと及びそれに伴いその返済についての負担が生ずることは,原告ら本件マンション新規購入者にとって,購入するか否かを決定する上で極めて重要な事項というべきである。 したがって,本件マンションの分譲業者であり,かつ,事業代行者として本件マンションの特殊な再建過程をつぶさに承知していた被告には,本件マンションの売買契約締結に際し,売主の付随義務として,本件マンション管理組合が,本件マンションの再建事業費(建築費)の支払のために借入をなすこと,これに伴い本件マンション購入者個々人に負担が生ずることを説明し,買主である原告らの理解を求めなければならない義務があった。 ところが,被告は,上記義務を怠り,本件マンション売買契約の契約書にも重要事項説明書にも何ら記載しなかったばかりか,口頭での説明も一切せずに,実質的な分譲代金の上乗せを図ったものであり,付随義務の債務不履行として,原告らが被った後記損害を賠償すべき責任がある。 (2) 原告らの損害原告らは での説明も一切せずに,実質的な分譲代金の上乗せを図ったものであり,付随義務の債務不履行として,原告らが被った後記損害を賠償すべき責任がある。 (2) 原告らの損害原告らは,本件マンション管理組合がその決議に基づき1億8000万円もの本件借入をしたことにより,その専有面積の割合に応じ,現実に本件借入金につき次のとおりの負担を余儀なくされているところ,再建組合員であった区分所有者数に対し,圧倒的に少数である原告ら新規購入区分所有者らが,その負担の是正を求めることは実際問題として不可能であり,下記負担額の全額が,被告の前記債務不履行による原告らの各損害というべきである。 ① 原告A及び原告B 金180万3654円② 原告C及び原告D 金169万0616円③ 原告E 金169万0616円④ 原告F及び原告G 金169万0616円⑤ 原告H 金169万0616円⑥ 原告I及び原告J 金169万0616円⑦ 原告K 金169万0616円⑧ 原告L 金199万1721円⑨ 原告M 金205万1214円⑩ 原告N 金205万1214円⑪ 原告O 金205万1214円⑫ 原告P 金219万2678円(3) よって,原告らは,被告に対し,本件マンションの各売買契約の説明義務違反の債務不履行に基づく損害賠償として,前記第1の請求欄に記載の各金員及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成14年1月19日から支払済みまで民法所 ,本件マンションの各売買契約の説明義務違反の債務不履行に基づく損害賠償として,前記第1の請求欄に記載の各金員及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成14年1月19日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 3 被告の主張(1) 被告の債務不履行(説明義務違反)責任について被告は,原告らとの間の本件各マンション売買契約締結時に,本件マンション管理組合が1億8000万円をさくら銀行から借入をする旨を説明するとともに,重要事項説明書の添付書類として,本件マンション管理組合の管理規約集(案)を原告らに間違いなく交付している。管理規約集(案)の別表4-1には,駐車場使用料の使途が記載されており,そこには駐車場使用料の使途として借入金返済があがっており,また,「上記金額は完成時の金利等返済条件により変動します。」との記載があることからも,借入金の存在は明らかである。そして,管理費等の金額は,マンション購入希望者が購入を決定する重要な要素なので,原告らにこれら書類を交付して説明したことは間違いない。 被告は,その後,1億8000万円の借入先がQに変更となったことから,平成9年暮れころから平成10年1月にかけて,原告らを含む購入者全員に借入先が変更になったこと等を説明し,原告らのほとんどから確認書(乙5の1ないし10)を得ている。また,本件借入は,平成10年2月14日の本件マンション管理組合設立総会で何らの異議なく承認されている。これらは,いずれも,被告が,原告らとの売買契約締結の段階で借入金及び借入先の説明をしていたからこそ,借入先の変更についても重要なものとして説明したものであり,設立総会で何らの異議なく承認を受けるに至ったのも,上記のとおり事前に説明がなされていた の段階で借入金及び借入先の説明をしていたからこそ,借入先の変更についても重要なものとして説明したものであり,設立総会で何らの異議なく承認を受けるに至ったのも,上記のとおり事前に説明がなされていたからにほかならない。この点からも,被告に説明義務違反のないことは明らかである。 (2) 原告らの損害について争う。 上記のとおり,被告に説明義務違反の債務不履行はないから,原告らに損害は発生していない。 (3) 過失相殺仮に,被告の説明に不十分な点があり,説明義務違反の債務不履行があると認められるとしても,原告らは,いずれも相応の職歴を有しているうえ,前記(1)で主張したところにも照らせば,原告の過失割合は,極めて大きく,10割に近い過失相殺がなされるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 被告の債務不履行(説明義務違反)の有無について(1) 本件マンションの建築は,阪神淡路大震災によって滅失したマンションの再建事業としてなされ,計画当初より,再建組合員の負担を少なくするため,再建事業費(建設費)の一部を,本件マンション建設に伴い設立される管理組合(本件マンション管理組合)が金融機関から借り入れてこれを支払い,同借入金は,本件マンション管理組合に入る駐車場収入をもってその返済に充てることが計画されていたこと,しかし,金融機関からの借り入れができなかったため,再建組合員のQから1億8000万円を借り入れることとなったこと,平成10年2月14日開催の本件マンション管理組合設立総会において上記借入の承認を受けた本件マンション管理組合は,同年3月2日,Qから1億8000万円を借り入れ(本件借入),同月3日,上記借り入れた1億8000万円を再建事業費(建設費)分担金の残額として おいて上記借入の承認を受けた本件マンション管理組合は,同年3月2日,Qから1億8000万円を借り入れ(本件借入),同月3日,上記借り入れた1億8000万円を再建事業費(建設費)分担金の残額として被告に支払ったことは,前記のとおり当事者間に争いがない。 (2) ところで,本件借入金については,本件マンション管理組合が借り入れるものであるが,上記のとおり,その返済については,駐車場収入からこれを返済することが予定されており,その返済につき,原告ら本件マンション管理組合員に現実の出費による負担を強いることのないよう計画されてはいる。 しかし,本件借入がなければ,駐車場収入は,本件マンションの管理や修繕費用等にこれを充てることができたはずのものである。また,駐車場収入による返済計画が破綻した場合には,原告ら本件マンション管理組合員個々人がその返済の負担を負わなければならなくなる事態にもなることからすれば,本件借入が,直接的であるか間接的であるかは別として,原告ら本件マンション管理組合員に負担を負わせるものであることには何ら変わりがない。しかも,本件借入は,これを本件マンション建設費である再建事業費の支払に充てることにより,再建組合員の負担を軽減することを目的とするものであるから,その返済は本来的には再建組合員らがこれをなすべきものであるのに,同組合員ではない新規購入者である原告らにおいても,その購入代金とは別途に本件借入による負担を負わされることになるわけで,実質的には,それら負担は,原告ら新規購入者からすれば,本件マンション購入代金の上乗せに他ならないともいえる。 結局,本件マンションにおいては,本件マンション管理組合が本件マンション建設費の支払を一部負担するために多額の借入を行い,その負債を抱えてスタ 入代金の上乗せに他ならないともいえる。 結局,本件マンションにおいては,本件マンション管理組合が本件マンション建設費の支払を一部負担するために多額の借入を行い,その負債を抱えてスタートすることから,これによる負担を新規購入者においても甘受しなければならない仕組みになっているわけで,それら負担のあることは,一般の購入希望者が本件マンションを購入するかどうかを決めるにあたって,極めて重要な事項であると認められる。そして,それら負担は,本件マンションの建設が阪神淡路大震災による滅失マンションの再建事業としてなされた特殊性によるものであって,通常のマンション分譲ではまず考えられない負担であることにも照らせば,本件マンションの分譲業者である被告には,売主の付随義務として,新規購入希望者に本件マンションを分譲するにあたっては,それら負担のあることにつき,事前に十分に説明し,その理解を得たうえで,売買契約を締結する義務があったものと認められる。 (3) そこで,被告が,原告らとの本件マンションについての各売買契約を締結するに際し,前記説明義務を尽くしたか否かを検討する。 証拠(甲3の1ないし12,10の1ないし12,19,乙3の3)によれば,原告らと被告との間の各売買契約書及び原告らに交付された重要事項説明書には,本件借入に関しては何ら記載がなく,唯一,重要事項説明書の添付資料として原告らに交付された管理規約の別表4-1の賃貸駐車場使用料についての表の欄外に「駐車場使用料(年間27,420,000.-)の使途については,借入金返済等充当金として年間18,000,000.-保守経費として年間7,000,000.-積立金として年間2,420,000.-それぞれ充当の予定で検討中です。尚上記金額は完成時の金利等の借入金 入金返済等充当金として年間18,000,000.-保守経費として年間7,000,000.-積立金として年間2,420,000.-それぞれ充当の予定で検討中です。尚上記金額は完成時の金利等の借入金返済条件により変動します。」との借入金返済に関する記載があるだけであること,しかも,上記の記載からは,その借入目的,金額,借入先,借入条件等,本件借入の内容はまったく分からないことが認められる。 もっとも,本件マンション再建事業を担当した被告の従業員であるRは,その陳述書(乙11)及び証言中で,被告は,売主代理人として原告らとの各売買契約の締結を担当した株式会社タケツーエステート(以下「タケツーエステート」という。)に対し,原告らとの各売買契約の締結にあたっては,本件マンション管理組合がさくら銀行から1億8000万円借り入れすることを説明するように指示したこと,タケツーエステートの担当従業員は,この指示に基づき,原告らに上記説明を口頭でするとともに,本件マンションの管理規約集を原告らに交付していること,マンションの駐車場や管理に関する事項はマンション購入希望者が購入をするかどうかを決定する上で重要な事項であるので,タケツーエステートの担当従業員は,管理規約の別表4-1について説明しているはずであり,したがって,本件借入金に関しても説明しているはずであること等を陳述ないし証言する。 しかし,他方で,Rは,当時,駐車場使用の申し込みが少ないために駐車場が余るといった危惧はしておらず,したがって,駐車場収入が不足した場合に借入金の返済がどうなるのかといった説明はしていないと思う旨の証言をしていることからすると,当時,被告ないしタケツーエステートの従業員らは,本件マンション管理組合が本件借入をなすことが新規購入者にとって負 の返済がどうなるのかといった説明はしていないと思う旨の証言をしていることからすると,当時,被告ないしタケツーエステートの従業員らは,本件マンション管理組合が本件借入をなすことが新規購入者にとって負担となるものとは考えていなかったのではないかと思われること,これに加え,原告O,同F,同Mは,その各陳述書(甲13ないし15)及び各本人供述中において,被告との売買契約の締結に際し,被告ないしタケツーエステートの担当従業員らから本件借入のことは一切説明を受けていない旨を陳述ないし供述していることにも照らすと,被告ないしタケツーエステートの担当従業員らが,原告らに対し,本件借入負担のあることについて十分な説明をしていたものとはにわかには認めがたく,とりわけ,本件借入負担が,原告らにどのようなリスクを負わせることになるのかについて明確な説明がなかったことは明らかである。また,前記管理規約の別表4-1の記載も,それだけでは,借入の内容等が不明なものであることは前記のとおりであって,その記載により被告において説明義務を尽くしたものとは認めがたい。 (4) したがって,被告には,原告らが,本件マンションにつき被告との間で各売買契約を締結するに際し,本件借入負担があること及びそれによるリスクにつき十分な説明を受けられずに契約を締結したことによって,原告らに生じた損害を賠償する責任があるものと認められる。 なお,被告は,原告らとの各売買契約締結後,1億8000万円の借入先がQに変更となったことから,平成9年暮ころから平成10年1月にかけて,原告らを含む購入者全員に借入先が変更になったこと等を説明し,改めて原告らのほとんどから確認書を得ているが,これは,原告らとの各売買契約締結時に本件借入につき説明していたからこそ,借入先の変更について らを含む購入者全員に借入先が変更になったこと等を説明し,改めて原告らのほとんどから確認書を得ているが,これは,原告らとの各売買契約締結時に本件借入につき説明していたからこそ,借入先の変更についても説明等したものであり,また,本件借入が,平成10年2月14日の本件マンション管理組合設立総会で原告らからも何らの異議なく承認されたのも,被告が原告らに対して,売買契約締結の時点から本件借入について説明を行ってきていたからにほかならないとして,この点からも被告に説明義務違反はないと主張するところ,確かに,証拠(甲6,乙5の1ないし10)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,原告A,B及び同Mを除く他の原告らからは,本件借入の借入先をQに変更することが決定されて以降,本件マンション管理組合の設立総会までの間に,本件マンション管理組合が本件借入をなすことに賛成する旨の確認書を取り付けており,また,本件マンション管理組合の設立総会では,原告らから特段の異議もなく本件借入をなすことが承認されたことが認められる。しかし,それら事実があることから,原告らとの各売買契約時点において,本件借入及びそのリスクにつき十分な説明がなされていたものとはにわかには認められないし,また,上記事実は,いずれも,原告らとの各売買契約締結後の出来事であるから,それら事実によって,売買契約時に被告が説明義務を尽くしたか否かの前記判断を左右するものとも認められない。 2 原告らの損害について被告の説明義務違反によって原告らが被った損害につき,原告は,前記原告の主張(2)のとおり主張するところ,確かに証拠(甲11の1・2,12,乙8)及び弁論の全趣旨によれば,駐車場収入で返済を予定していた本件借入につき,駐車場収入が不足し,本件マンション管理組合においてその返済が約定ど り主張するところ,確かに証拠(甲11の1・2,12,乙8)及び弁論の全趣旨によれば,駐車場収入で返済を予定していた本件借入につき,駐車場収入が不足し,本件マンション管理組合においてその返済が約定どおりできず,原告ら本件マンション管理組合員ら個々人がその返済につき直接的な負担を強いられる事態もあり得る状況に至っていることが認められる。しかし,事態はなお流動的であり,今後,現実に原告らがそれら返済金につき直接的な負担を強いられることになるのか,また,その場合どれだけの負担をせざるを得ないのかは,現時点ではこれを明確には認定しがたく,原告ら主張の額をもって,直ちにこれを原告らの損害として認定することは困難といわざるを得ない。したがって,被告の説明義務違反によって原告らが被った損害としては,本件借入負担のあることにつき十分な説明を受けられなかったために,そのリスクを十分に検討できないままに,本件各マンションにつき売買契約を締結させられ,その結果,そのリスク負担が現実のものとなり兼ねない状況に直面させられるに至ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料を認めるのが相当である。 そこで,その慰謝料額を検討するに,本件借入金返済の遅滞による本件マンション管理組合の財政状況の悪化自体,原告らにとって深刻な問題であるうえ,今後,本件借入の返済につき直接的な負担を強いられるかもしれない状況に直面していること,各売買契約締結時に,本件借入負担のあること及びそのリスクにつき十分な説明があれば,原告らによっては本件マンションの購入を控えた可能性もないではなく,そうしてさえいれば,原告らにおいて現在のような状況に直面することはなかったこと,もっとも,原告らとしても,本件マンション管理組合が1億8000万円もの多額の本件借入をすることになれば,本件マンショ そうしてさえいれば,原告らにおいて現在のような状況に直面することはなかったこと,もっとも,原告らとしても,本件マンション管理組合が1億8000万円もの多額の本件借入をすることになれば,本件マンション管理組合の財政状況が悪化し,深刻な事態になりかねないことは,一般的抽象的には十分に予測し得たはずであるところ,いずれも売買契約後とはいえ,既に認定のとおり,原告らのほとんどが,本件マンション管理組合が本件借入をなすことに賛成する旨の確認書を被告に交付し,また,本件マンション管理組合の設立総会では,原告らから特段の異議もなく本件借入をなすことが承認されていること等本件に現れた一切の事情を総合すると,原告らに対する慰謝料は本件マンション各1戸ごとに60万円を認めるのが相当である。 なお,被告は,仮に被告に説明義務違反が認められるとしても,原告らの過失も大きいとして,過失相殺を主張するが,前記認定のとおり,本件借入負担については駐車場収入で返済ができるものとして,さしたるリスクとは考えていなかったと思われる被告が,原告らとの各売買契約締結に際し,本件借入の内容につきどれだけ具体的な説明を行ったかははなはだ疑わしく,それら具体的内容及びそのリスクにつき十分な説明を受けなければ,原告らとしては,本件借入負担により生じる不利益等を具体的に予測することが困難であることに照らせば,上記認定額をさらに減額すべき過失が原告らにあったとは認められない。 3 結論以上の次第で,原告らの各請求は,主文1項の金額及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成14年1月19日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度でこれを認容し,その余はこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 日である平成14年1月19日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度でこれを認容し,その余はこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第4民事部裁判官上田昭典

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