【DRY-RUN】主 文 本件上告はこれを棄却する。 理 由 本件上告論旨は末尾添付の弁護人藤田馨名義上告趣意書と題する書面に記載の通 りである。当裁判所は之に対し次のように判
主文 本件上告はこれを棄却する。 理由 本件上告論旨は末尾添付の弁護人藤田馨名義上告趣意書と題する書面に記載の通りである。当裁判所は之に対し次のように判断する。 第一点について。 詐欺罪に於て法律が重視するところは欺罔と被害との間に因果関係の存することであつて被欺罔者が被害者と同一人であるか否の点ではない。被欺罔者と被害者とが別人であつてもそれは詐欺罪の成立に影響を及ぼさない。それ故に詐欺罪の被害者が何人であるか、換言すれば被害者が甲であるか又は乙であるかが犯罪事実の同<要旨>一性を判定する唯一の要素であるとする論旨は聊か早計に失する嫌があると謂ざるを得ない。抑も詐欺事実の</要旨>同一性を論ずるには被害者が何人であるかと云うことを考慮に入れることも必要ではあるがそれよりも寧ろ欺罔手段及被欺罔者の点に於て同一性が認識せられるか否かに重点を置いて決すべきである。 原審第一回公判調書に依ると検祭官は第一審判決書記載の犯罪事実につき審判を求めたことは洵に所論の通りである。而して第一審判決の第二事実と第二審判決の第二事実とを対照すると両者とも犯罪の時及場所が同一であることは勿論、欺罔手段及被欺罔者の点に於ても亦同一である。只稍異るところは第一審判決は被欺罔者Aを直接の被害者と認めたのに対して第二審判決はB株式会社代理人Cを終結的被害者なりとしている点だけである。従つて叙上判定の規準に拠つて両判決の認定した事実を彼此検討すれば両者は同一の詐欺事実であると判定すべきである。即ち原判決は検祭官が審判を請求した第一審判決書記載の事実に付審判したものであつて審判請求を受けない別個の事実につき審判したものではない。 又原判決は所論のようにAに対する関係に於て無罪を認めた趣旨でないことは判文上明白であるからこ 一審判決書記載の事実に付審判したものであつて審判請求を受けない別個の事実につき審判したものではない。 又原判決は所論のようにAに対する関係に於て無罪を認めた趣旨でないことは判文上明白であるからこの点につき無罪を言渡さなかつたことは正当である。 これを要するに原判決には所論の如き違法は一つも存在しない。論旨は理由がない。 第二点について。 原判決は審判の請求を受けた事件につき判決せず又審判の請求を受けない事実に付判決したものでないことは第一点に於て既に説明した通りであるから本論旨はその前提に於て誤つておりその理由のないことは説明を待つ迄もなく自明である。論旨は理由がない。 第三点について。 被告人が判示第一の契約当時ガソリンの手持がなかつたことは原判決が同判示事実の証拠として引用した被告人の公判廷に於ける供述とDに対する検察補佐官の聴取書、同司法警祭官の聴取書中各供述記載に依り裕にこれを認めることが出来るし、又判示第三の契約当時がソリン入手の確実な当がなかつたことは原判決挙示のEに対する司法警察官の聴取書、同検察補佐官の聴取書の供述記載からこれを看取するに十分である。故に原判決は証拠なくして事実を認定したものと云ふを得ない。論旨は理由がない。 仍て旧刑事訴訟第四百四十六条に依り主文の通り判決する。 (裁判長判事佐伯顕二判事久礼田益喜判事仁科恒彦)
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