主文 被告人を懲役7年に処する。 未決勾留日数中210日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,A及びBと共謀の上,通行人から金品を強取しようと企て,第1(平成14年5月23日付け起訴状記載の公訴事実)平成13年5月1日午前零時20分ころ,神戸市C区D町a丁目b番c号所在の月極駐車場北側出入口付近路上において,通行中のE(当時25歳)に対し,被告人及びAがその後方から近づき,Aにおいて「おい。」と声をかけ,振り向いたEの顔面を被告人においていきなり手拳で1回殴打する暴行を加え,同人をその場に転倒させてその後頭部を路面に強打させ,同人を気絶させてその反抗を抑圧した上,同人所有の現金約1万3000円及びキャッシュカード等7点在中の財布1個(時価合計1万5000円相当)を強取し,その際,前記暴行により,同人に対し加療約10日間を要する頭部外傷,頭皮裂傷,左肘・左下顎打撲の傷害を負わせた第2(平成14年5月2日付け起訴状記載の公訴事実第1)平成13年5月1日午後11時10分ころ,神戸市F区G町d丁目e番f号所在の喫茶「H」西側路上において,通行中のI(当時41歳)に対し,Aにおいて「金を出せ。」と申し向けた上,Iの顔面を手拳で1回殴打する暴行を加え,その反抗を抑圧して金品を強取しようとしたが,同人がその場から逃走したため,その目的を遂げず,その際,前記暴行により,同人に対し加療約10日間を要する顔面・口腔内打撲,挫創の傷害を負わせた第3(平成14年5月2日付け起訴状記載の公訴事実第2)平成13年5月1日午後11時25分ころ,神戸市F区J通g丁目h番i号所在の神戸市K中学校南側路上において,通行中のL(当時23歳)に対 第3(平成14年5月2日付け起訴状記載の公訴事実第2)平成13年5月1日午後11時25分ころ,神戸市F区J通g丁目h番i号所在の神戸市K中学校南側路上において,通行中のL(当時23歳)に対し,被告人においていきなりLの顔面を手拳で1回殴打し,Aにおいて「金を出せ。」と申し向けるとともに,Lの手足を鉄パイプで数回殴打する暴行を加え,その反抗を抑圧した上,同人所有の現金約1500円及びクレジットカード等92点在中の手提げカバン1個(時価合計1万7870円相当)を強取し,その際,前記各暴行により,同人に対し加療約21日間を要する鼻骨骨折,顔面打撲,両膝・左肘部打撲の傷害を負わせたものである。 (証拠の標目)―括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―(補足説明)弁護人は,判示各犯行につき,Bが被告人らと共謀した事実はない旨主張するが,前掲関係各証拠によれば,被告人,B,Aの3名が,平成12年の夏から秋にかけて「おっさん狩り」と称して本件各犯行と同態様の路上強盗を多数回敢行し,その際,おおむね,被告人とAが強盗の実行行為を担当する一方,Bが移動のための自動車の運転手役を担当していたところ,この役割分担も本件各犯行と同様というべきこと,Bは,本件各犯行の前後において,自動車内での被告人やAの発言を聞いて被告人らが強盗行為に及ぶであろうこと又は現に本件各犯行に及んだことを当然予見あるいは認識できたにもかかわらず,被告人の指示どおり自動車を運転(停止,発進)する等して犯行実現に向けて重要な役割を果たしたことが認められるところ,これらの事実に照らすと,本件証拠上,被告人らとBとの間で明示的な共謀や判示第1及び第3の各被害品等の分配が行われたとは認められないこと,前記路上強盗から本件各犯行までに約半年以上経過していること等 れらの事実に照らすと,本件証拠上,被告人らとBとの間で明示的な共謀や判示第1及び第3の各被害品等の分配が行われたとは認められないこと,前記路上強盗から本件各犯行までに約半年以上経過していること等弁護人が指摘する事情を考慮しても,なお,被告人,A及びBの3名が黙示の共謀に基づき前記各犯行に及んだものと優に認められる。弁護人の主張は理由がない。 (法令の適用)被告人の判示各所為はいずれも刑法60条,240条前段(判示第1及び第3は同法236条1項,判示第2は同法243条,236条1項)に該当するところ,所定刑中いずれも有期懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の最も重い判示第3の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役7年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中210日をその刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,被告人が,共犯者らと共謀の上,路上強盗を企て,前後3回にわたり,通行人に手荒な暴行を加え,うち2件は金品を強取し(判示第1及び第3),1件は金品強取に至らなかったものの(判示第2),いずれも被害者らに判示の各傷害を負わせた強盗致傷3件の事案である。 被告人は,以前「おっさん狩り」と称して路上強盗を繰り返した共犯者らと再会するや,小遣い銭欲しさに,何らの抵抗感もないまま,共犯者らを誘って本件各犯行に及んだのであり,その利欲的な動機に酌むべき事情はないこと,その犯行態様をみるに,被告人らは,標的となる通行人を探し回って,深夜帰宅途中の各被害者を標的とし,不意を襲って,無抵抗の同人らに対し,被告人又は共犯者がいきなりその顔面等を手拳や鉄パイプで殴打する等の激しく危険な るに,被告人らは,標的となる通行人を探し回って,深夜帰宅途中の各被害者を標的とし,不意を襲って,無抵抗の同人らに対し,被告人又は共犯者がいきなりその顔面等を手拳や鉄パイプで殴打する等の激しく危険な暴行を加え,うち2名から金品を強取し,被害者3名をいずれも負傷させたのであり,一歩間違えば各被害者が重篤な傷害を負いかねない大胆かつ危険な犯行であること,判示第1及び第3の犯行の財産的被害額も少額とはいえず,被害者3名が受けた肉体的,精神的苦痛も甚大であること,未だに十分な慰謝の措置が講じられていないこと,被害者らがいずれも被告人に対して厳罰を望んでいること,被告人は,共犯者らを誘い込んで主導的に本件各犯行に及んでいること,その規範意識は極めて低調で再犯のおそれも否定できないことに徴すると,犯情は悪質であり,被告人の刑事責任は重大である。 そうすると,判示第1及び第3の犯行の各被害額はいずれも多額とまではいえないこと,判示第2の犯行は金品強取が未遂に止まったこと,幸いにも判示の各傷害の程度が比較的軽微に止まったこと,判示被害品の一部が各被害者に還付されたこと,被害者らに損害賠償として総額20万円を送金したこと,被告人は本件各犯行当時21歳の若年であって,前科前歴がなく,内妻との間に幼い子供がいること,被告人の両親や内妻らが当公判廷で被告人に対する指導監督を誓約していること,起訴後の未決勾留日数が相当期間に及んだこと,反省悔悟の情など,被告人のために有利に酌むべき事情を最大限考慮しても,なお酌量減軽をするべき事案とは認められず,主文掲記の刑を科するのはやむを得ないところである。 よって,主文のとおり判決する。 平成15年2月10日神戸地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官杉森研二 主文 よって,主文のとおり判決する。 理由 はやむを得ないところである。 平成15年2月10日 神戸地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官杉森研二 裁判官橋本一 裁判官林史高
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