平成29年4月27日判決言渡平成28年(行ウ)第161号生活保護費の徴収及び返還取消し請求事件 主文 1 処分行政庁が原告に対して平成28年2月29日付けでした21万2020円の生活保護費返還金決定を取り消す。 2 処分行政庁が原告に対して平成28年3月28日付けでした4万7900円の生活保護費徴収金決定を取り消す。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,これを9分し,その7を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 処分行政庁が原告に対して平成28年2月26日付けでした92万0277円の生活保護費徴収金決定を取り消す。 2 主文第1及び2項と同旨第2 事案の概要本件は,生活保護法(以下「法」という。)による保護を受けている原告が,処分行政庁から,① 第三者からの入金につき収入申告をしていなかったことを理由として平成25年法律第104号による改正(以下「本件改正」という。)前の法78条に基づき支給済みの保護費の徴収決定を受け,② 海外渡航費用分の資力があることを理由として法63条に基づき支給済みの保護費の返還決定を受け,③ 海外渡航費用(②とは別のもの)分の収入申告をしていなかったことを理由として本件改正後の法78条1項に基づき,支給済みの保護費の徴収決定を受けたのに対し,これらの徴収決定及び返還決定の取消しを求める事案である。 1 法等の定め本件に関係する法等の定めは,別紙1「法等の定め」に記載のとおりである(なお,同別紙で定義した略語は,以下の本文中でも用いることとする。)。 2 前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)(1) ア原告(昭和23年▲月▲日生まれ,男性)は,平成4年 ,同別紙で定義した略語は,以下の本文中でも用いることとする。)。 2 前提事実(証拠等を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)(1) ア原告(昭和23年▲月▲日生まれ,男性)は,平成4年▲月▲日,中華人民共和国(以下「中国」という。)国籍の外国人女性であるP1(1952年〔昭和27年〕▲月▲日生まれ。以下「前妻」という。)と婚姻した(甲7の1・2)。 イ前妻には,長男P2(1970年〔昭和45年〕▲月▲日生まれ。以下「長男」という。)及び長女P3(1973年〔昭和48年〕生まれ。以下「長女」という。いずれも中国国籍。)の2子がいたところ,原告は,平成4年▲月▲日,長男と養子縁組した(甲7の1,原告本人)。 ウ原告は,平成16年▲月▲日,前妻と離婚した(甲7の2)。 (2)ア処分行政庁は,平成21年1月20日付けで,原告に係る保護の開始を決定し(以下,この決定を「本件開始決定」という。),同月26日付けで,その旨原告に通知した(乙3)。 イ原告は,平成21年1月から平成27年12月まで別紙2「保護費一覧表」のとおりの保護費(生活扶助及び住宅扶助)を支給された。 (3) 原告は,平成14年頃まで「P4」の屋号で塗料販売業を営んでいたところ,同年1月31日の時点で,有限会社P5(以下「P5」という。)に対して,合計464万9546円の売掛金債権を有していた(原告本人,甲8)。 P5は,原告に対し,上記売掛金債権に対する支払として,本件開始決定後も平成24年8月まで,毎月月末頃に5万円ずつを支払い,同年9月,2万0277円を支払った(以下,このうち,平成23年3月から平成24年9月に支払われた合計92万0277円を「本件収入」という。乙9)。 (4) 原告は,以下のとおり,台湾及び大 ,同年9月,2万0277円を支払った(以下,このうち,平成23年3月から平成24年9月に支払われた合計92万0277円を「本件収入」という。乙9)。 (4) 原告は,以下のとおり,台湾及び大韓民国(以下「韓国」という。)へ海 外渡航(以下,順に「本件渡航①」などといい,併せて「本件各渡航」という。)をした。 出国日帰国日渡航先① 平成23年4月15日同年5月9日台湾② 同年8月30日同年9月2日韓国③ 平成25年12月17日平成26年1月8日台湾④ 同年6月1日同月30日台湾⑤ 同年12月22日平成27年1月22日台湾⑥ 同年12月22日平成28年1月21日台湾(5)ア区長から権限の委任を受けた処分行政庁は,平成28年2月26日付けで,法78条(本件改正前のもの)に基づき,以下のとおり,本件収入について,原告から支給済み保護費を徴収する旨決定し(以下,この決定を「本件第1決定」という。),その旨原告に通知した。 (ア) 徴収決定額 92万0277円(イ) 徴収対象期間平成23年3月1日から平成24年9月30日までイ処分行政庁は,平成28年2月29日付けで,法63条に基づき,以下のとおり,本件渡航①ないし⑤について,原告から支給済み保護費を返還させる旨決定し(以下,この決定を「本件第2決定」という。),その旨原告に通知した。 (ア) 返還金額 21万2020円(イ) 返還対象期間平成23年4月1日から平成26年12月31日までウ処分行政庁は,平成28年3月28日付けで,法78条1項(本件改正後のもの)に基づき,以下 21万2020円(イ) 返還対象期間平成23年4月1日から平成26年12月31日までウ処分行政庁は,平成28年3月28日付けで,法78条1項(本件改正後のもの)に基づき,以下のとおり,本件渡航⑥について,原告から支給済み保護費を徴収する旨決定し(以下,この決定を「本件第3決定」という。),その旨原告に通知した。 (ア) 徴収決定額 4万7900円(イ) 徴収対象期間平成27年12月1日から同月31日まで(6)ア原告は,平成28年4月18日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 イ原告は,平成28年4月20日,区長に対し,本件第1,3決定を不服として審査請求をした。 ウ原告は,平成28年4月21日,東京都知事に対し,本件第2決定を不服として審査請求をしたが,東京都知事は,同年10月17日,同審査請求を棄却する旨の裁決をした(乙21)。 3 争点なお,本件第2決定については審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができないところ(法69条),原告は,本件訴えの提起時においては,審査請求をしていなかったが,その後,前提事実(6)ウのとおり,本件第2決定に係る審査請求をし,これに対する裁決がされたから,この点の瑕疵は治癒されたものというべきである。 (1) 本件第1決定が適法か否か。 (2) 本件第2決定が適法か否か。 (3) 本件第3決定が適法か否か。 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件第1決定の適法性)について(被告の主張)ア法78条にいう「不実の申請その他不正な手段」とは,積極的に虚偽の事実を申告することに限られず,口頭又は文書による説明を受けていたにもかかわらず,法61条により届出義務を負う収 の主張)ア法78条にいう「不実の申請その他不正な手段」とは,積極的に虚偽の事実を申告することに限られず,口頭又は文書による説明を受けていたにもかかわらず,法61条により届出義務を負う収入,支出その他生計の状況について変動があった事実を届け出ず,当該事実を隠したことも含まれる。 イ原告は,口頭及び書面で,収入,支出その他生計の状況について変動が あったときは,これを処分行政庁に届け出る必要がある旨を通知されていたが,本件収入を申告しなかったのであり,原告は「不正な手段により保護を受け」たものである。 ウ本件第1決定は,本件収入に係る平成23年3月1日から平成24年9月30日までの期間について,原告が受給した保護費256万0290円の一部である92万0277円を徴収するものであり,同決定は適法である。 (原告の主張)ア原告は,平成14年3月,1億5000万円以上の負債を抱え銀行取引停止になったが,その後,少しでもお世話になった人に返済しようと思い,原告の叔母(母の妹)に対する400万円の債務について,月5万円ずつ返済し,本件収入はこれに充てた。原告の手元に本件収入が残ることはなく,生計の状況に変動はなかった。 また,支出の理由を記入する箇所がなかったため,収入として記載しなかった。 イ本件第1決定は違法である。 (2) 争点(2)(本件第2決定の適法性)について(被告の主張)ア被保護者が海外渡航をした場合,被保護者は,当該渡航費用を支出することができるだけの額の,本来その最低限度の生活の維持のために活用すべき資産を有していたことになるから,法4条1項が定める補足性の限度を超過した保護を受けたことになる。実施要領課長通知第10の19が, ができるだけの額の,本来その最低限度の生活の維持のために活用すべき資産を有していたことになるから,法4条1項が定める補足性の限度を超過した保護を受けたことになる。実施要領課長通知第10の19が,親族の冠婚葬祭等,生活保護の趣旨目的に反するものとは認められない場合を除き,海外渡航費用のための金銭は収入認定の対象となるとするのは,この理を確認したものと解される。 原告の本件渡航①ないし⑤の目的は,実施要領課長通知第10の19が 列挙する渡航目的のいずれにも当たらない。なお,本件渡航④の目的は,前妻の母の葬儀であるというところ,原告と前妻が離婚したことにより,原告と前妻の母との親族関係は解消されているから,実施要領課長通知の「親族の冠婚葬祭」に該当しない。 イまた,当該世帯の自立更生のためのやむを得ない用途に充てられたものであって,地域住民との均衡を考慮し,社会通念上容認される程度として実施機関が認めた額については,収入認定せず,返還対象としないことが許される。 本件では,原告,前妻,長男及び長女が一同に会することは日本国内では実現できないようであるが,長男が日本に入国することが困難な事情は,長男が不法就労ないし不法入国したというのであるから,これにより原告が台湾を渡航することを正当化することは妥当ではない。また,これらの者は,原告に会うために原告の居住地を訪れることなどが可能であり,あえて原告が台湾に渡航しなくても,これらの者に会うという原告の目的は達することができる。 本件渡航①及び③ないし⑤は,渡航期間が23日ないし32日間であり,家族との面会という目的としては長期に及んでおり,観光(遊興)目的も有していたと解するのが社会通念に合致する。 海外渡航は,いまだ日常的なものと は,渡航期間が23日ないし32日間であり,家族との面会という目的としては長期に及んでおり,観光(遊興)目的も有していたと解するのが社会通念に合致する。 海外渡航は,いまだ日常的なものと定着しているとはいい難いこと,原告は,台湾では日本のような生活援助が受けられないなどとの理由により,自身の選択で将来的な台湾移住を拒絶していること,渡航先には原告の扶養義務者である長男がおり,渡航中,原告に対する相応の生活費の援助があると解されることからすると,原告が,生活保護費をもって定期的に台湾に渡航することは地域住民,国民の理解が得られるものとはいえない。 本件渡航①ないし⑤の費用は,当該世帯の自立更生のためのやむを得ない用途に充てられたものということはできず,収入認定の対象となる。 ウ海外渡航課長通知によると,海外渡航費用に係る収入認定額の算定は,被保護者の提出する挙証資料に基づくことを原則としつつ,これにより難い場合においては,旅行会社等から見積もりを徴するなどの方法によってこれを算出するものとされ,旅行会社のホームページ等で調査し,平均的な旅費を渡航費用とみなすものとされている。 本件では,原告が挙証資料の提出を拒んだことから,被告職員は,これに代えて,旅行会社のウェブページを数社調査し,そのうちで最も安価な台湾・韓国への渡航費用を確認し,これによって本件渡航①ないし⑤の費用を21万2020円と確定した。 本件第2決定は,本件渡航①ないし⑤に係る平成23年4月から平成26年12月までの期間について,原告が受給した保護費622万0628円(本件第1決定により徴収する92万0277円のうち同期間に対応する87万0277円を控除した残額535万0351円)の一部である21万2020円を返還させる 原告が受給した保護費622万0628円(本件第1決定により徴収する92万0277円のうち同期間に対応する87万0277円を控除した残額535万0351円)の一部である21万2020円を返還させるものであり,同決定は適法である。 (原告の主張)ア本件渡航①及び③ないし⑤について原告が銀行取引停止になった後,金融業者の取立てが厳しく,昼夜構わない自宅への訪問や電話があり,前妻は,一部の債務について連帯保証人になっていた。原告と前妻が離婚したのは,金融業者の取立てに悩んでいたからである。 前妻は,離婚後,病気の母の看病のために台湾に戻り,現在は,長女と同居しており,長男も台湾に居住している。原告は,前妻,長女,長男及び前妻の母らを訪問するため,保護費から毎月2,3000円ずつを貯めて,台湾に渡航していた。 また,原告は,脳出血で倒れたことがあり,冬の間,暖かい台湾で暮らせることは体にもよく,ストレスもたまらず,病気になるリスクを減らせ る。 さらに,台湾への渡航よりも国内旅行の方が高額の費用がかかることもある。 イ本件渡航②について原告は,大学卒業後,P6等でフリーの映像演出をしていたところ,そのときの知人に招待され,韓国でロケーションハンティングの手伝いをした。 ウ本件渡航①ないし⑤は,生活保護の趣旨目的に反するものではなく,これらに係る費用を収入として認定されるべきではない。本件第2決定は違法である。 (3) 争点(3)(本件第3決定の適法性)について(被告の主張)ア被保護者が海外渡航をする場合,原則として,被保護者は,当該渡航費用を支出できるだけの額の,本来その最低限度の生活の維持のために活用すべき資産を有してい について(被告の主張)ア被保護者が海外渡航をする場合,原則として,被保護者は,当該渡航費用を支出できるだけの額の,本来その最低限度の生活の維持のために活用すべき資産を有しているから,当該渡航費用のための金銭は収入認定の対象となる。したがって,被保護者が海外渡航をする場合,当該被保護者には,その費用を支出するだけの収入,支出その他生計の状況について変動があったといえ,保護の実施機関又は福祉事務所にその旨を届け出なければならない(法61条,海外渡航課長通知)。 被告職員は,平成27年10月28日,原告から毎年台湾に渡航している旨の説明を受け,原告に対し,そのような渡航の費用は収入認定される旨を説明し,今後も海外に行くのであれば,海外渡航届を提出するよう指示した。被告職員は,同年11月12日,原告に対し,「生活保護のしおり」等を示した上で,海外渡航に係る費用は,原則として収入に当たり,当該収入相当分の保護費は返還の対象となること,海外渡航を行う場合は,事前に届出をすべきことを説明した。 本件渡航⑥が生活保護の趣旨目的に反し,その費用が収入認定されることは本件渡航①ないし⑤と同様であるところ,原告は,上記説明を受けながら,本件渡航⑥について届け出ず,この事実を隠したものである。原告は,同年10月28日に海外渡航届の用紙を受け取りながら,独自の見解を述べた上で,被告職員に突き返したり,同年11月12日には過去の海外渡航に係る渡航届を作成しているにもかかわらず,本件渡航⑥について事前に届け出なかったのであり,その態様は悪質である。 イ本件渡航⑥の費用は,上記(2)(被告の主張)ウと同様の方法により,4万7900円と確定した。 本件第3決定は,本件渡航⑥に係る期間である平成27年12月について,原告 の態様は悪質である。 イ本件渡航⑥の費用は,上記(2)(被告の主張)ウと同様の方法により,4万7900円と確定した。 本件第3決定は,本件渡航⑥に係る期間である平成27年12月について,原告が受給した保護費15万2400円の一部である4万7900円を返還させるものであり,同決定は適法である。 (原告の主張)ア原告は,平成27年10月28日,被告職員に対し,台湾行きの航空券を購入して,残金があまりないと話し,同年12月22日から平成28年1月21日まで台湾に渡航すること,毎年,同様に台湾に渡航していたことを説明した。原告は,平成27年10月28日,被告職員から,海外渡航費が収入認定の対象になるという説明を受けたことはない。 原告は,同年11月12日,被告職員から,「生活保護のしおり」の説明の中で初めて渡航届の話を聞いたが,海外渡航費が収入認定の対象になるという説明はなかった。 イ本件渡航⑥は,生活保護の趣旨目的に反するものではなく,これらに係る費用を収入として認定されるべきではないし,原告は,不実の申請その他不正な手段により保護を受けたものではない。 本件第3決定は違法である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実に加え,証拠(後掲の各証拠,甲10,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 (1)ア原告は,平成4年▲月▲日,前妻と婚姻し(前提事実(1)ア),日本で同居して生活していた。 長男は,原告と前妻の婚姻の頃には日本で単身で居住し,専門学校に通うなどしていた(原告は,同年▲月▲日,長男と養子縁組した。前提事実(1)イ)。原告は,長男と週1回程度会うことがあった。 長女は,1992年(平成4年)▲月,台湾で婚姻したところ,原告は, に通うなどしていた(原告は,同年▲月▲日,長男と養子縁組した。前提事実(1)イ)。原告は,長男と週1回程度会うことがあった。 長女は,1992年(平成4年)▲月,台湾で婚姻したところ,原告は,その結婚式に出席した。長女は,台湾で夫及び夫との間の子と生活し,日本に居住したことはないが,年一,二回程度来日し,原告や前妻と会うことがあった。 イ原告は,「P4」の屋号で塗料販売業を営んでいたが(前提事実(3)),平成14年3月頃,多額の負債を抱えて廃業した。その後も,原告と前妻は,金融業者から電話されたり自宅を訪問されたりして返済を求められ(なお,前妻は,一部の債務について連帯保証していた。),これを苦として平成16年▲月▲日に協議離婚した(前提事実(1)ウ)。前妻は,認知症を患う母を介護するため,原告との離婚後に台湾に転居し,母と同居するようになった。 長男は,原告と前妻の離婚前には,台湾に転居していた(長男は,婚姻し,一時期を除き,前妻と同居していない。)。長女は,夫と離婚してからは,前妻と同居している。 離婚後,原告は,年一,二回程度台湾を訪問し,前妻も,年一,二回程度来日し,相互に交流していた(甲9)。 (2)ア原告は,平成21年1月,右被殻出血のため病院に緊急搬送され,2か月程度入院したが,軽度左疼性不全麻痺が残存し,高血圧治療のため通院 加療を継続した(乙5の1・2)。 原告は,同月20日付けで本件開始決定を受け(前提事実(2)ア),同月23日,処分行政庁に対し,平成20年10月に2万円,同年11月に2万円,同年12月に30万円の収入があり(塗装派遣),平成21年1月には収入がない旨記載した収入・無収入申告書を提出した(乙1の1)。 イ原告は,平成21年 10月に2万円,同年11月に2万円,同年12月に30万円の収入があり(塗装派遣),平成21年1月には収入がない旨記載した収入・無収入申告書を提出した(乙1の1)。 イ原告は,平成21年ないし平成26年の各3月頃,江戸川区福祉事務所作成の「生活保護基準額の改定及び定例支払日について」などと題する書面を受領した。これらには,「必ず,届出をしなければならないこと」として「自分たちの働いた収入や仕送りの額が,増えたり減ったりしたとき,またそれ以外の収入があったとき。」という記載がある。(乙2の1ないし6)ウ原告は,平成25年1月17日,処分行政庁に対し,収入がない旨記載した収入・無収入申告書を提出した(乙1の2)。 原告は,平成26年2月7日,処分行政庁に対し,平成21年1月16日から平成26年2月6日まで,病気のため収入がない旨記載した収入・無収入申告書を提出した(乙1の3)。 原告は,同年7月23日,処分行政庁に対し,平成21年1月16日から平成26年7月23日まで,病気のため就職できず収入がない旨記載した収入・無収入申告書を提出した(乙1の4)。 (3)ア原告は,前提事実(4)のとおり,本件各渡航をしたところ,このうち本件渡航②は,映像製作の仕事をする原告の知人(以下「原告知人」という。)が,韓国にロケーションハンティングに行く際に,韓国渡航歴が豊富な原告に同行を求めたもので,原告の航空券代及び韓国での宿泊費は,原告知人が負担した。 イ原告は,本件渡航①及び③ないし⑥においては,台湾の前妻宅に滞在し,長女,長男及び前妻の母に会うなどした。原告は,支給された保護費を工 面して航空券代を支出した。なお,平成28年2月3日付けで作成された本件渡航①及び③ないし ては,台湾の前妻宅に滞在し,長女,長男及び前妻の母に会うなどした。原告は,支給された保護費を工 面して航空券代を支出した。なお,平成28年2月3日付けで作成された本件渡航①及び③ないし⑥に係る海外渡航届(乙11の4及び6ないし9)には,渡航費用の捻出方法として娘の援助との記載があり,同日付けで作成された本件各渡航に先立つ海外渡航に係る海外渡航届(乙11の1ないし3)には,渡航費用の捻出方法として保護費のやりくりとの記載や保護費のやりくりか娘の援助か忘れた旨の記載があり,渡航費用の捻出方法を書き分けて記載していることが認められるが,これについて,原告は,途中から保護費を工面して支出したことが不適切であると考えて真実と異なる記載をするに至った旨供述等しているところ(甲6の2,原告本人),かかる原告の供述等は不合理なものではなく,上記の記載は,前記認定を左右するものではない。 ウ前妻の母は,2014年(平成26年)▲月末頃死亡し,原告は,その知らせを受けて本件渡航④をした。前妻の母の葬儀は,同年▲月▲日に行われ,原告はこれに参列した。(乙22)(4)ア原告は,平成27年10月28日,●区福祉事務所において,被告福祉部P7係P8と面談し,毎年のように前妻に会うため台湾に渡航していると話した。P8は,パスポートの提示を求めたが,原告はこれを拒否した。 (乙30)イ原告は,平成27年11月12日,●区福祉事務所において,P8及び上記アのP7係長P9と面談した。P8及びP9は,原告に対し●区福祉事務所作成の「生活保護のしおり」(乙8の1)を示し,その内容について説明した。これには,「次のようなときには必ず届け出てください。」として「⑦海外に行くとき」という記載がある。 原告は,同日,「●区福祉事 のしおり」(乙8の1)を示し,その内容について説明した。これには,「次のようなときには必ず届け出てください。」として「⑦海外に行くとき」という記載がある。 原告は,同日,「●区福祉事務所からの重要事項の説明・確認書」(乙8の2)に署名押印したところ,これには,「以下のような変動があったときに届出をします。」として「海外渡航をしようとするとき」という記載があ る。 原告は,同日,本件渡航④についての海外渡航届を作成し提出した。これには渡航費用の金額として,航空券代3万円,その他交通費約2000円,宿泊費0円と記載されている。(乙22)P8は,同日頃,三井住友銀行P10支店に対して資料の提供を求めたところ,平成28年1月4日,同支店から原告の普通預金元帳の写しの送付を受け,これにより本件収入の存在を確認した(乙9,10,30)。 ウ原告は,平成27年12月22日から平成28年1月21日まで,本件渡航⑥をし(前提事実(4)),同月22日,P8に対し,台湾から帰ってきた旨を電話で話した(乙30)。 エ原告は,平成28年2月3日,●区福祉事務所においてP8及びP9と面談し,本件各渡航についての海外渡航届を作成し提出した。これには,本件渡航①ないし⑤の渡航費用の金額については記憶がなく,本件渡航⑥の渡航費用の金額は約4万円であると記載されている。 (乙11の4ないし9,乙30)(5) P8は,平成28年2月17日,旅行会社(JTB)のウェブページにおいて,本件各渡航と同一の月日(同一年ではない。)における運賃を調査したところ,最も低価格な航空券代は以下のとおりであった(乙18,20)。 本件渡航① 4万2900円本件渡航② 2万7420円本件渡航③ 4万5900 (同一年ではない。)における運賃を調査したところ,最も低価格な航空券代は以下のとおりであった(乙18,20)。 本件渡航① 4万2900円本件渡航② 2万7420円本件渡航③ 4万5900円本件渡航④ 4万7900円本件渡航⑤ 4万7900円本件渡航⑥ 4万7900円 2 争点(1)(本件第1決定の適法性)について(1) 生活保護は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,能力その他あら ゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われ(法4条1項),実施機関は,常に,被保護者の生活状態を調査し,保護の変更を必要とすると認めるときは,すみやかに,職権をもってその決定を行わなければならず(法25条2項),被保護者が保護を必要としなくなったときは,すみやかに,保護の停止又は廃止を決定しなければならない(法26条)。被保護者は,収入,支出その他生計の状況について変動があったとき,又は居住地若しくは世帯の構成に異動があったときは,すみやかに,その旨を届け出なければならない(法61条)。 これらの規定に照らせば,本件改正前の法78条及び本件改正後の法78条1項にいう「不実の申請その他不正な手段」とは,積極的に虚偽の事実を申告することのみならず,本来申告すべき事実を隠匿することも含まれ,申告について口頭又は文書による指示を受けたにもかかわらず,それに応じなかったときも上記「不正な手段」に該当すると解するのが相当である。 (2) 原告は,前提事実(3)のとおり,P5から本件収入を受領したところ,これはP5に対する売掛金債権に対する弁済として受領したものであるから,原告が申告すべき収入に当たるものと認められる。 そして,原告は,認定事実(2)アのとおり,本件開始決定に当たって収入・ ろ,これはP5に対する売掛金債権に対する弁済として受領したものであるから,原告が申告すべき収入に当たるものと認められる。 そして,原告は,認定事実(2)アのとおり,本件開始決定に当たって収入・無収入申告書を提出しており,その際に被告職員から収入申告の義務があることの説明を受けたものとうかがわれる上,認定事実(2)イのとおり,収入があった場合に届出をしなければならない旨の記載がある「生活保護基準額の改定及び定例支払日について」などと題する書面を受領している。原告は,上記記載部分は見ていなかったと供述するが,上記書面を受領したという以上,書面による説明を受けたと評価すべきものである。 にもかかわらず,原告は,認定事実(2)ウのとおり,平成25年1月,平成26年2月及び同年7月,収入がない旨の収入・無収入申告書を提出しているから,原告は,虚偽の事実を申告したというべきである。 したがって,原告は,不実の申告その他不正な手段により保護を受けたと認められる。 (3) これに対し,原告は,叔母から400万円を借り入れたことがあり,本件収入に相当する金額について,叔母に対して毎月5万円ずつを弁済していたと供述するが(原告本人),このことを裏付けるような客観的な証拠はない。 また,仮にそのような事実があったとしても,上記(2)のとおり,原告がP5から受領した本件収入は,原告が申告すべき収入に当たるというべきであって,原告が,本件収入を叔母への弁済に充てたことをもって収支に変動がなく,収入申告の必要がないと認識していたとしても,独自の見解にすぎない。 認定事実(2)ウの収入・無収入申告書には,必要経費を記入する欄もあり(乙1の2ないし4),原告の理解に従えば叔母への弁済は,その欄に記載すべきものであり,そのような記載をせずに の見解にすぎない。 認定事実(2)ウの収入・無収入申告書には,必要経費を記入する欄もあり(乙1の2ないし4),原告の理解に従えば叔母への弁済は,その欄に記載すべきものであり,そのような記載をせずに収入がない旨のみ申告することは,虚偽の事実を申告したというべきものであるし,叔母への弁済は,本件収入を得るのに要した必要経費であるということもできない。 (4) 原告は,平成23年3月から平成24年9月までの間,別紙2「保護費一覧表」のとおり,保護費を支給されたところ(前提事実(2)イ),このうち,本件収入に相当する額が徴収されるべきものである。したがって,本件第1決定は適法である。 3 争点(2)(本件第2決定の適法性)について(1) 生活保護は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,能力その他あらゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるところ(法4条1項),被保護者が,預貯金や他人からの援助により,最低限度の生活の維持に関連しない海外渡航費用を支出した場合には,最低限度の生活の維持のために活用されるべき当該海外渡航費用に相当する資力があるにもかかわらず,保護を受けたものといえるから,当該海外渡航費用に相当する額は,法63条による返還決定の対象となるものというのが相当 である。 もっとも,当該海外渡航が,被保護者の最低限度の生活の維持という観点からみて相当なものである場合には,当該海外渡航費用は,被保護者の最低限度の生活の維持のために活用されたものとして,法63条の返還決定の対象となるものではなく,このような場合の典型例としては,実施要領課長通知第10の19のとおり,① 親族の冠婚葬祭,危篤の場合及び墓参,② 修学旅行,③ 公的機関が主催する文化・スポーツ等の国際的な 象となるものではなく,このような場合の典型例としては,実施要領課長通知第10の19のとおり,① 親族の冠婚葬祭,危篤の場合及び墓参,② 修学旅行,③ 公的機関が主催する文化・スポーツ等の国際的な大会への参加(選抜又は招待された場合に限る。)が挙げられる。 (2) 本件渡航②について原告は,認定事実(3)アのとおり,映像製作の仕事をする原告知人に求められて,韓国に同行して原告知人の仕事に係るロケーションハンティングの手伝いをすることとして本件渡航②に及び,その際の原告の航空券代及び宿泊費は原告知人が負担したものである。すなわち,原告知人は,自らの映像製作の仕事に必要な費用として使途を限定してこれらを負担したものであり,また,滞在期間や宿泊先等からしてその内容が不必要に豪勢なものであったともうかがわれないことなどからすると,本件渡航②が単なる遊興目的の海外渡航であったと評価すべき事情は見当たらない。かえって,原告は,仕事が欲しく,何かのきっかけになればと考えていたと供述しており,職を得るための同行であったという意味合いも否定できない。そうすると,本件渡航②は,原告の最低限度の生活の維持という観点からみて相当なものであったと認められる。 (3) 本件渡航①及び③ないし⑤について原告は,平成16年12月に前妻と離婚したが(前提事実(1)ウ),原告の債務についての金融業者の取立てを苦にしたためであり,前妻が台湾に転居したのも認知症を患う母を介護するためである(認定事実(1)イ)というのであって,原告と前妻は,離婚後も相互に交流していることにも照らすと,原 告と前妻は,原告が供述するとおり,夫婦仲が悪化して離婚したものではないと認めるのが相当である。 このような事情を前提とする限り,原告が, 相互に交流していることにも照らすと,原 告と前妻は,原告が供述するとおり,夫婦仲が悪化して離婚したものではないと認めるのが相当である。 このような事情を前提とする限り,原告が,年一,二回程度,社会通念上相当な費用を支出して,前妻を訪問するために台湾に渡航するというのは,原告の最低限度の生活の維持という観点からみて相当なものであるというべきであり,原告が,長男及び長女との交流を図ることも加味すれば,なおさらこれを不相当ということは困難である(特に,長男は,原告と前妻の離婚後も,原告との養子縁組を維持しており,法律上の親族である。)。 また,本件渡航④においては,原告は,前妻の母の葬儀に出席しており,原告と前妻及びその母との関係を踏まえると,前妻の母の葬儀は,実施要領課長通知第10の19で生活保護の趣旨目的に反するものとは認められないとされた親族の冠婚葬祭に準じるものというべきであり,その渡航は,原告の最低限度の生活の維持という観点からみて相当なものである。 本件第2決定においては,本件渡航①及び③ないし⑤の航空券代が4万2900円から4万7900円と認定されたところ(原告は,3万円から5万円の間であったと供述する。),これらはP8の調査の結果,最も低価格なものであったというのであるから(認定事実(5)),社会通念上相当な額の範囲内というべきである。 (4) 被告の主張についてア被告は,本件渡航①ないし⑤の目的は,実施要領課長通知第10の19が列挙する渡航目的のいずれにも当たらないと主張するが,同第10の19は,① 親族の冠婚葬祭,危篤の場合及び墓参,② 修学旅行,③ 公的機関が主催する文化・スポーツ等の国際的な大会への参加(選抜又は招待された場合に限る。)については,その使途が必ず ,同第10の19は,① 親族の冠婚葬祭,危篤の場合及び墓参,② 修学旅行,③ 公的機関が主催する文化・スポーツ等の国際的な大会への参加(選抜又は招待された場合に限る。)については,その使途が必ずしも生活保護の趣旨目的に反するとは認められないと指摘したにすぎず,収入認定しないものとしてよい場合を限定列挙したものとは解されない(なお,証拠(甲6の1,乙 21)によれば,東京都福祉局による「生活保護運用事例集(平成27年度修正版〈反映版〉)」では,④ 福祉的就労をしている者の職場旅行,⑤ その他,社会通念上やむを得ないと実施機関が判断した場合が加えられていることが認められる。)。 イ被告は,本件渡航①及び③ないし⑤について,あえて原告が台湾に渡航しなくても,前妻,長男及び長女に会うという目的を達することができると主張するが,被保護者が海外渡航するほかに渡航目的を達する手段がないといえなければ被保護者の最低限度の生活の維持という観点からみて相当であるとはいえないということはない。また,原告が台湾に渡航するだけではなく,前妻も,年一,二回来日するというのであって(認定事実(1)イ),そのように相互に行き来することの方が交流の在り方として自然であるし,前妻,長男及び長女が同時に来日することは容易ではないと考えられる。 本件渡航①及び③ないし⑤における渡航期間は,1か月程度に及ぶものもあるが,原告は,渡航期間中,前妻宅に滞在し,ホテル代等の宿泊費を支出するわけではなく,この点が不相当ということはないし,原告が渡航中に観光をすることがあったとしても,その主たる目的が前妻,長男及び長女を訪問することである以上,この点が不相当ということはない。 原告が台湾に移住しないことを非難されるべき謂われはなく,長男から をすることがあったとしても,その主たる目的が前妻,長男及び長女を訪問することである以上,この点が不相当ということはない。 原告が台湾に移住しないことを非難されるべき謂われはなく,長男からの援助があれば,それが別途収入認定の対象となるかどうかが検討されれば足り,原告が本件渡航①及び③ないし⑤の航空券代を支出したことの相当性を左右するものではない。 (5) 小括以上のとおりであって,本件においては,原告に,最低限度の生活の維持のために活用されるべき本件渡航①ないし⑤に係る渡航費用に相当する資力があったと認めることはできず,これを返還すべきものとした本件第2決定 は違法である。 4 争点(3)(本件第3決定の適法性)について本件渡航⑥は,本件渡航①及び③ないし⑤と同様,原告の最低限度の生活の維持という観点からみて相当なものであり,原告が保護費の中から本件渡航⑥の航空券代を支出したことをもって,航空券代相当額の資力があったということはできない。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告が,不実の申請その他不正な手段により,本件渡航⑥の航空券代相当額の保護を受けたということはできず,本件第3決定は違法である。 第4 結論以上のとおりであって,本件第1決定は適法であり,その取消しを求める原告の請求は理由がないからこれを棄却し,本件第2及び3決定は違法であり,それらの取消しを求める原告の請求は理由があるからこれらを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官林俊之 裁判官梶浦義嗣 裁判官高橋心平 別紙1法等の定め第 裁判長裁判官林俊之 裁判官梶浦義嗣 裁判官高橋心平 別紙1法等の定め第1 法 1 4条(保護の補足性)(1) 1項保護は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,能力その他あらゆるものを,その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。 (2) 2及び3項 〔略〕 2 61条(届出の義務)被保護者は,収入,支出その他生計の状況について変動があったとき,又は居住地若しくは世帯の構成に異動があったときは,すみやかに,保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。 3 63条(費用返還義務)被保護者が,急迫の場合等において資力があるにもかかわらず,保護を受けたときは,保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して,すみやかに,その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。 4 69条(審査請求と訴訟との関係)この法律の規定に基づき保護の実施機関又は支給機関がした処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ,提起することができない。 5 78条(本件改正前のもの)不実の申請その他不正な手段により保護を受け,又は他人をして受けさせた者があるときは,保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は,その費用の全部又は一部を,その者から徴収することができる。 6 78条(本件改正後のもの)(1) 1項不実の申請その他不正な手段により保護を受け,又は他人をして受けさせた者があるときは,保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は,その費用の額の全部 6 78条(本件改正後のもの)(1) 1項不実の申請その他不正な手段により保護を受け,又は他人をして受けさせた者があるときは,保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は,その費用の額の全部又は一部を,その者から徴収するほか,その徴収する額に100分の40を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。 (2) 2ないし4項第2 江戸川区生活保護法施行細則(昭和40年江戸川区規則第1号。乙13)1条(委任)(1) 1項法19条4項の規定に基づき,法(中略)63条(中略)に規定する江戸川区長(以下「区長」という。)の保護の決定及び実施に関する権限(中略)を江戸川区の福祉に関する事務所設置条例(昭和40年3月江戸川区条例第11号)に定める福祉に関する事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)に委任する。 (2) 2項地方自治法153条2項の規定に基づき,法(中略)78条に規定する区長の保護費の徴収に関する事務は,福祉事務所長に委任する。 第3 生活保護法による保護の実施要領について(昭和36年厚生省発社第123号厚生事務次官通知。以下「次官通知」という。乙16)第8の3(3)次に掲げるものは,収入として認定しないこと。 アないしウ 〔略〕エ自立更生を目的として恵与される金銭のうち当該被保護世帯の自立更生のためにあてられる額オないしチ 〔略〕 第4 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて(昭和38年社保第34号厚生省社会局保護課長通知。以下「実施要領課長通知」という。乙14) 1 第3の18問生活保護の受給中,既に支給された保護費のやり繰りによって生じた預貯金等がある場合はどのように取り扱ったらよいか。 答 (中略)当 要領課長通知」という。乙14) 1 第3の18問生活保護の受給中,既に支給された保護費のやり繰りによって生じた預貯金等がある場合はどのように取り扱ったらよいか。 答 (中略)当該預貯金等が既に支給された保護費のやり繰りによって生じたものと判断されるときは,当該預貯金等の使用目的を聴取し,その使用目的が生活保護の趣旨目的に反しないと認められる場合については,活用すべき資産には当たらないものとして,保有を容認して差しつかえない。(以下略) 2 第10の19問被保護者が海外に渡航した場合には,生活保護の取扱いはどうなるか。 答 (中略)当該被保護者は渡航費用を支出できるだけの額の,本来その最低生活の維持のために活用すべき金銭を有していたことから,当該渡航費用のための金銭は収入認定の対象となるものである。したがって,それが単なる遊興を目的とした海外旅行等に充てられた場合には,その交通費及び宿泊費に充てられる額について収入認定を行うこととされたい。(中略)また,次のような目的で概ね2週間以内の期間で海外に渡航する場合には,その使途が必ずしも生活保護の趣旨目的に反するものとは認められないことから,保護費のやりくりによる預貯金等で賄う場合には,本通知第3の18により,他からの援助等で賄う場合には次官通知第8の3の(3)のエに該当するものとして,当該渡航に要する費用の全額を収入認定しないものとして差し支えない。 1 親族の冠婚葬祭,危篤の場合及び墓参 2 修学旅行 3 公的機関が主催する文化・スポーツ等の国際的な大会への参加(選抜又は招待された場合に限る。) 第5 被保護者が海外に渡航した場合の取扱いについて(平成20年社援保発第0401006号厚生労働省社会・援護局保護課 ポーツ等の国際的な大会への参加(選抜又は招待された場合に限る。) 第5 被保護者が海外に渡航した場合の取扱いについて(平成20年社援保発第0401006号厚生労働省社会・援護局保護課長通知。以下「海外渡航課長通知」という。乙15) 1 実施機関は,被保護者から渡航に先立ち,渡航先(宿泊先),渡航目的及び日程並びに費用及びその捻出方法等について記載した書面を提出させること。 2 実施機関は,上記1の記載内容について,実施要領課長通知問第10の19に基づき,その交通費や宿泊費に充てるための金銭(以下「渡航費用」という。)を収入認定するか否か検討し,その検討結果をあらかじめ被保護者に伝えること。 以降,検討の結果に基づき,次のとおり取り扱うこと。 (1) 検討の結果,渡航費用について収入認定を行う必要がないものと判断された場合 〔略〕(2) 検討の結果,渡航費用について収入認定を行うと判断した場合であって,かつ本人が実際に渡航した場合ア実施機関は,被保護者に対し,帰国後速やかに渡航内容を改めて報告するようあらかじめ指導すること。その際,渡航費用に係る領収書等の挙証資料を提出するよう指導すること。〔以下略〕イ 〔略〕ウ実施機関は,被保護者の帰国後,1による事前の届出書及びアによる領収書等の挙証責任に基づき当該渡航費用を確定し,収入認定額を算出すること。 なお,これにより難い場合は,旅行会社等から見積もりを徴収するなどの方法で渡航費用を確定すること。〔以下略〕(3) 検討の結果,渡航費用について収入認定を行うと判断した場合であって,本人が渡航を取りやめた場合 〔略〕 3 留意事項 (1) 上記の渡航費用の取扱い及び事前の届出の必要性等については,日頃から「保護のしおり」等を 認定を行うと判断した場合であって,本人が渡航を取りやめた場合 〔略〕 3 留意事項 (1) 上記の渡航費用の取扱い及び事前の届出の必要性等については,日頃から「保護のしおり」等を用いて被保護者に周知をしておくこと。 (2) 事前の届出がなく,帰国後において海外渡航の報告があった場合においても,上記2のとおり取り扱うとともに,今後必ず事前の届出を行うように指導すること。 以上
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