令和5(わ)357 建造物侵入、現住建造物等放火、窃盗

裁判年月日・裁判所
令和6年11月29日 高知地方裁判所
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判決文本文2,977 文字)

令和5年(わ)第357号、令和6年(わ)第15号建造物侵入、現住建造物等放火、窃盗被告事件 主文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中250日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、かつて有限会社Aが運営する高知県土佐清水市ab 番地c 所在のA(以下「本件ホテル」という。)に勤務していたところ、本件ホテルの同僚だった女性と不倫関係にあることを令和4年頃に本件ホテルの支配人であるB及び当時の被告人の妻の妹で本件ホテルの同僚であったCに知られて以降、B及び前記Cから冷たい態度を取られるようになったと感じて不満をため込み、さらに、令和5年10月に前記Cと揉めたことをきっかけに本件ホテルを退職したものの、新たな仕事を見付けられないまま同年11月中旬頃には所持金を使い果たしたことから、現金を手に入れるとともにB及び前記Cに仕返しをしようと考え、第1 窃盗の目的で、令和5年11月20日午前1時6分頃から同日午前1時12分頃までの間、Bが看守する本件ホテル1階ロビーにその無施錠の正面出入口から侵入し、その頃、同所フロントにおいて、同人管理に係る現金合計約9万0879円在中のレジ1個(時価約1000円相当)を窃取し(令和6年1月26日付け及び同年3月28日付け各訴因変更請求書による変更後の令和5年12月19日付け起訴状公訴事実)、第2 正当な理由がないのに、令和5年11月20日午前1時13分頃から同日午前1時18分頃までの間、Bが看守する本件ホテルに侵入し、その頃、同ホテル従業員及び宿泊客が現に住居として使用し、かつ同人ら合計37名が現にいる同ホテル(鉄筋コンクリート鉄骨造・陸屋根7階建て、延床面積合計約2535.32平方メートル)に テルに侵入し、その頃、同ホテル従業員及び宿泊客が現に住居として使用し、かつ同人ら合計37名が現にいる同ホテル(鉄筋コンクリート鉄骨造・陸屋根7階建て、延床面積合計約2535.32平方メートル)に放火しようと考え、同ホテル3階の客室303号 室において、持っていたライターで同室押入内に置かれていた布団に点火して火を放ち、その火を柱等に燃え移らせ、よって、同ホテルの一部を焼損(焼損面積合計約5.791平方メートル)した(令和6年2月29日付け訴因変更請求書による変更後の同年1月26日付け起訴状公訴事実)。 (量刑の理由) 1 本件は、被告人が、かつて勤務していたホテルに侵入して現金が入ったレジを窃取した建造物侵入、窃盗(判示第1)と、その直後に再び同ホテルに侵入して客室の押入内の布団に放火した建造物侵入、現住建造物等放火(判示第2)の事案である。 そこで、本件の量刑判断の中心となる重い判示第2の建造物侵入、現住建造物等放火の事案について、単独で、燃料等を用いず、怨恨又はうっぷん晴らしの目的で行った現住建造物等放火1件の事案で、被告人に見るべき前科がないものを同種事案として犯情を検討し、更に判示第1の建造物侵入、窃盗の事案の犯情や一般情状を検討して被告人に対する刑を決める。 2 まず、判示第2の事件の犯情について検討する。 動機や経緯についてみると、被告人は、判示のとおり本件ホテルの支配人であるBらに対する不満を抱いたことから、同人らに仕返しをしようと考え、本件ホテルに侵入して判示第1の建造物侵入、窃盗の犯行を行った後、更に同人らに仕返しをしようと考えて本件ホテルに再度侵入した際、客室の押入内に火災報知器が設置されているのを見てぼや騒ぎを起こすことを思いつき、放火行為に及んだものであるが、同人らが被告人に対して冷たい態度 に仕返しをしようと考えて本件ホテルに再度侵入した際、客室の押入内に火災報知器が設置されているのを見てぼや騒ぎを起こすことを思いつき、放火行為に及んだものであるが、同人らが被告人に対して冷たい態度をとったことには理由がないとはいえないし、いずれにしても無関係の宿泊客ら多数名の生命、身体等を危険にさらすことを正当化する事情とはなり得ないことは明らかであって、同種事案と比べて同情できる点は少ない。 次に、犯行のやり方についてみると、被告人は、夜間、無施錠の正面出入口から本件ホテルに侵入した上、空室であった客室の押入内の布団にライターで火を つけたものであるが、犯行当時本件ホテル内には合計37名(宿泊客36名及び従業員1名)が滞在しており、放火行為がなされたのが深夜午前1時過ぎという就寝している者も多く、発見が遅れやすい時間帯であったことを考慮すると、その犯行態様は、多数の宿泊客らの生命、身体等を危険にさらす相当に危険なものであったといえ、同種事案の中でも重い部類に属する。 そして、結果についてみると、幸いにも早期に消火活動が行われたことで客室外に火が燃え広がることはなく焼損面積も比較的僅少にとどまったものの、深夜に突然に避難等を強いられた宿泊客らに与えた恐怖感や不安感は相当に大きい。 また、本件ホテルには改修工事費等の直接的なものだけでも合計約1305万円もの損害が生じ、本件ホテルが加入していた火災保険によって賄われない金額は約214万円に及ぶところ、被告人は何らの被害弁償もしていないのであって、支配人であるBが厳しい処罰感情を示すのは当然である。 3 判示第1の犯行も、被告人は、生活費に充てる現金を得るとともにBらに仕返しをしたいと考えて行ったもので、動機や経緯に酌むべき事情は乏しく、かつて本件ホテルに勤めていて現金の管理状況 然である。 3 判示第1の犯行も、被告人は、生活費に充てる現金を得るとともにBらに仕返しをしたいと考えて行ったもので、動機や経緯に酌むべき事情は乏しく、かつて本件ホテルに勤めていて現金の管理状況等を知っていたことを悪用して敢行するなど態様が悪く、被害額もこの種の事案として少額ではないから軽くみることはできない。 4 最後に、一般情状について検討すると、判示第1の被害金のうち6879円が被害者に還付されたこと、被告人が本件各犯行を認め、Bに対する謝罪文を作成するなどして反省の態度を示していること、母親が情状証人として出廷し今後の支援を誓約していることなどが被告人に有利な事情として認められる。 5 以上で検討したところを基に、被告人に科すべき刑を決める。同種事案の量刑は概ね懲役3年(執行猶予付きのものを含む)ないし懲役7年の範囲に分布し、中間は懲役4年である。同種事案には、被告人が精神障害を有していた事案、自首がなされた事案、被害者等が被告人を許している事案等が相当数存在することを踏まえれば、判示第2の犯行の犯情は同種事案の中で重い部類に属するといえ る。そして、判示第2の犯行の犯情に判示第1の犯行の犯情及び前記の一般情状を考慮すれば、被告人に対し、主文の刑をもって臨むのが相当である。 (求刑:懲役8年、弁護人の科刑意見:懲役4年)令和6年11月29日高知地方裁判所刑事部 裁判長裁判官稲田康史 裁判官大友真紀子 裁判官徳舛純一 申し訳ありませんが、テキストが提供されていないため、整形を行うことができません。整形が必要なテキストを提供してください。

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