平成26(行ウ)23 保護変更決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年10月28日 岡山地方裁判所
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判決文本文137,378 文字)

令和6年10月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(行ウ)第23号保護変更決定処分取消請求事件(口頭弁論終結日令和6年9月9日)判決当事者の表示別紙原告目録、原告ら(原告番号37を除く)代理人目録、被 告目録、指定代理人目録に各記載のとおり(以下、原告については、別紙原告目録記載の原告番号で表記する。) 主文 1 本件訴訟のうち、原告番号1、10、14、21、22、26、29及び36の被告岡山市に対する請求部分並びに原告番号40の被告備前市に対する請求部 分は、別紙処分等一覧表記載の各死亡日に、上記各原告が死亡したことにより、いずれも終了した。 2 別紙処分等一覧表の「処分庁」欄記載の各処分行政庁が、「処分の名宛人」欄記載の原告番号2ないし8、11、12、15、16、18ないし20、23、25、28、30ないし32、34、35、37ないし39、41、45及び46 に対し、「処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定処分をいずれも取り消す。 3 原告番号9の被告岡山市に対する主位的請求、予備的請求1及び予備的請求2のうち令和6年9月10日以降1か月あたり2380円の支払を求める訴えをいずれも却下する。 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は、別紙訴訟費用負担一覧表記載のとおりの負担とする。 事実及び理由 第1 請求1(原告番号1ないし12、14ないし16、18ないし22、25、26、2 8ないし32、34、35、37及び39ないし41について。原告番号9に ついては主位的請求)別紙処分等一覧表の「処分庁」欄記載の各処分行政庁が、「処分の名宛人」欄記載の原 6、2 8ないし32、34、35、37及び39ないし41について。原告番号9に ついては主位的請求)別紙処分等一覧表の「処分庁」欄記載の各処分行政庁が、「処分の名宛人」欄記載の原告番号1ないし12、14ないし16、18ないし22、25、26、28ないし32、34、35、37及び39ないし41に対し、「処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定処分を 取り消す。 2(原告番号23、36、38、45及び46について)別紙処分等一覧表の「処分庁」欄記載の各処分行政庁が、「処分の名宛人」欄記載の原告番号23、36、38、45及び46に対し、「処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定処分を取り消 す。 3(原告番号9について予備的請求1)被告岡山市が、原告番号9に対し、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和29年5月8日社発第382号厚生省社会局長通知)に基づき、平成25年7月11日付けで行った保護変更決定処分を取り消す。 4(原告番号9について予備的請求2)被告岡山市は、原告番号9に対し、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和29年5月8日社発第382号厚生省社会局長通知)に基づき、以下の金額を支払え。 6万1880円 平成27年10月以降、1か月あたり2380円5(原告らについて)被告国は、原告らに対し、それぞれ1万円及びこれに対する平成27年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要(略語については、末尾に略語表を添付する。) 本件は、厚生労働大臣が、平成25年5月16日付けで平 支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要(略語については、末尾に略語表を添付する。) 本件は、厚生労働大臣が、平成25年5月16日付けで平成25年厚生労働省告示第174号(以下「平成25年告示」という。)を、平成26年3月31日付けで平成26年厚生労働省告示第136号(以下「平成26年告示」という。)をそれぞれ発出して、生活保護法による保護の基準(昭和38年4月1日号外厚生省告示第158号。以下「保護基準」という。)における生活扶助の基 準(以下「生活扶助基準」という。)を改定し、これに基づき別紙処分等一覧表記載の「処分庁」欄記載の各処分行政庁が、対応する各原告を名宛人として、生活保護法25条2項に基づき支給する生活保護費の変更決定処分(以下「本件各処分」という。)を行ったことについて、①原告らが、本件各処分は憲法25条、生活保護法3条、8条に反し、健康で文化的な最低限度の生活を下回る 生活を強いるものとして違法であると主張して、対応する処分行政庁が行った本件各処分の取消しを求め、②外国人である原告番号9が、㋐対応する処分が存在しないと解される場合に備え、予備的請求1として、被告岡山市に対し、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和29年5月8日社発第382号厚生省社会局長通知、以下「昭和29年通知」という。)に 基づく平成25年7月11日付け保護変更決定(以下「平成25年変更決定」という。)の取消しを求め、㋑平成25年変更決定の処分性が否定される場合に備え、予備的請求2として、被告岡山市に対し、実質的当事者訴訟として、昭和29年通知に基づき、平成25年8月以降の減額相当分(平成25年8月から平成27年9月までの減額相当分合計6万1880円 合に備え、予備的請求2として、被告岡山市に対し、実質的当事者訴訟として、昭和29年通知に基づき、平成25年8月以降の減額相当分(平成25年8月から平成27年9月までの減額相当分合計6万1880円及び平成27年10 月以降毎月2380円)の支払を求め、③原告らが、被告国に対し、本件各処分又は平成25年変更決定の違法を主張して、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ1万円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成27年3月31日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号に基づく改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 関係法令等の定め ⑴ 憲法25条1項すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 ⑵ 生活保護法ア 1条(この法律の目的)この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に 困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。 イ 2条(無差別平等)すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保 護を、無差別平等に受けることができる。 ウ 3条(最低生活)この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。 エ 8条(基準及び程度の原則) 1項保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。 2項 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要 ち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。 2項 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものでなければならない。 オ 11条1項(種類) 保護の種類は、次のとおりとする。 一生活扶助(以下、省略)カ 12条(生活扶助)生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項(下記の事項)の範囲内において行われる。 一衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの二移送キ 25条2項(職権による保護の変更)(平成25年号外法律第104号による改正前のもの)保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を 必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者(現に生活保護法による保護を受けている者をいう。以下同じ。)に通知しなければならない。前条第2項の規定(前項の書面には、決定の理由を付さなければならない。)は、この場合に準用する。 ク 56条(不利益変更の禁止)被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない。 ⑶ 生活扶助基準(乙A3の1・2、乙A21)ア生活扶助基準(保護基準別表第1)は、生活保護法8条1項に基づいて 定められた保護基準のうち、生活扶助として日常生活に必要な基本的かつ経常的な費用についての最低生活費を定める基準であり、基準生活費(第1章)と加算(第2章)とに大別 保護法8条1項に基づいて 定められた保護基準のうち、生活扶助として日常生活に必要な基本的かつ経常的な費用についての最低生活費を定める基準であり、基準生活費(第1章)と加算(第2章)とに大別される。 居宅で生活する者の基準生活費は、食費、被服費等の個人単位の経費に対応する第1類の額(以下「第1類費」という。)と光熱水費、家具家事用 品等の世帯単位の経費に対応する第2類の額(以下「第2類費」という。) に分けられ、基準生活費は、原則として世帯ごとに、当該世帯を構成する個人ごとの第1類費を合算したものと第2類費とを合計して算出される。 イ第1類費は年齢別(0~2歳、3歳~5歳、6歳~11歳、12歳~19歳、20歳~40歳、41歳~59歳、60歳~69歳、70歳以上)に、第2類費は世帯人員別(1~9人。10人以上は1人増すごとに加算) に定められており、その額の設定は、標準世帯(33歳、29歳、4歳の3人世帯)の最低限度の生活に要する費用を具体的金額(本件各処分前の時点で16万2170円)として設定し、これを一般世帯の消費実態を参考にして第1類費(10万6890円)と第2類費(5万5280円)に分けた上、第1類費については年齢別の栄養所要量を参考とした指数を、 第2類費については世帯人員別の消費支出を参考とした指数をそれぞれ設定し、これらの指数を標準世帯の第1類費及び第2類費に適用して、第1類費の年齢別の額及び第2類費の世帯人員別の額を算出する方法によっている。 また、保護基準は、生活様式や物価の違い等を考慮して全国の市町村を 1級地-1から3級地-2までの6つの級地に区分した上(保護基準別表第9)、第1類費及び第2類費に地域差を設けており、級地による地域差は、1級地-1における額を定めた上で、 て全国の市町村を 1級地-1から3級地-2までの6つの級地に区分した上(保護基準別表第9)、第1類費及び第2類費に地域差を設けており、級地による地域差は、1級地-1における額を定めた上で、1級地-1を1として一定の比率(指数)により他の級地の額を定める方法によっている(以下、生活扶助基準において、標準世帯の第1類費及び第2類費を基準として指数により他の 年齢別及び世帯人員別の額を定める部分及び1級地-1の基準額を基準として指数により他の級地の基準額を定める部分を「展開部分」といい、こうして算出された基準額を「生活扶助基準額」という。)。 なお、岡山市及び倉敷市の級地は1級地-2であり、総社市、備前市及び井原市の級地は3級地-1である(乙A3の2)。 ⑷ 昭和29年通知(乙A39) 昭和29年通知は、昭和29年5月8日、厚生省社会局長が各都道府県知事宛てに発した通知であり、その内容は「生活保護法第1条により、外国人は法の適用対象とならないのであるが、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱に準じて左の手続(省略)により必要と認める保護を行うこと。」というものである。 3 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等)⑴ 当事者等ア原告らは、生活保護法に基づく生活保護の支給を受けている者であり(ただし、原告番号9が支給を受ける生活扶助等が同法に基づくものであるか については、後述のとおり争いがある。)、本件各処分当時、別紙処分等一覧表記載の「処分庁」欄記載の各処分行政庁の所管区域に居住していた。 イ原告番号9は、ブラジル国籍で永住権を有する外国人であり、昭和29年通知に 争いがある。)、本件各処分当時、別紙処分等一覧表記載の「処分庁」欄記載の各処分行政庁の所管区域に居住していた。 イ原告番号9は、ブラジル国籍で永住権を有する外国人であり、昭和29年通知に基づき、生活保護措置として生活扶助等の支給を受けている者である(乙B9の1・2・5)。 ウ被告ら(被告国を除く。以下「被告市ら」という。)及びその管理に属する福祉事務所である各処分行政庁は、生活保護の実施機関(生活保護法19条)である。 ⑵ 本件各処分に至る経緯ア生活扶助基準改定方式の変遷と水準均衡方式の導入 生活扶助基準の改定方式は、①昭和21年度ないし昭和22年度は「標準生計費方式」(当時の経済安定本部が定めた世帯人員別の標準生計費を基に算出し、生活扶助基準とする方式)、②昭和23年度ないし昭和35年度は「マーケットバスケット方式」(最低生活を営むために必要な飲食物費や衣類、家具什器、入浴料といった個々の品目を一つ一つ積み上げて最低生 活費を算出する方式)、③昭和36年度ないし昭和39年度は「エンゲル方 式」(栄養審議会の答申に基づく栄養所要量を満たし得る食品を理論的に積み上げて計算し、別に低所得世帯の実態調査から、この飲食物費を支出している世帯のエンゲル係数の理論値を求め、これから逆算して総生活費を算出する方式)、④昭和40年度ないし昭和58年度は「格差縮小方式」(一般国民の消費水準の伸び率以上に生活扶助基準を引き上げ、結果的に一般 国民と被保護世帯との消費水準の格差を縮小させようとする方式)がそれぞれ採用されていた(乙A8の2)。 厚生省(当時)の審議会である中央社会福祉審議会は、同審議会生活保護専門分科会において、生活扶助基準の評価とそれを受けた生活扶助基準改定方式のあ る方式)がそれぞれ採用されていた(乙A8の2)。 厚生省(当時)の審議会である中央社会福祉審議会は、同審議会生活保護専門分科会において、生活扶助基準の評価とそれを受けた生活扶助基準改定方式のあり方等について検討を行い、昭和58年12月23日「生活 扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」(以下「昭和58年意見具申」という。)を発表した。昭和58年意見具申においては、当時の生活扶助基準について、一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達しているとの所見が示されるとともに、生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民生活における消費水準との比較における相対的なも のとして設定すべきものであり、生活扶助基準の改定に当たっては、当該年度に予想される一般国民の消費動向をふまえると同時に、前年度までの一般国民の消費水準との調整がはかられるよう適切な措置をとることが必要であり、当該年度に予想される国民の消費動向に対応する見地から、政府経済見通しの民間最終消費支出の伸びに準拠することが妥当であって、 賃金や物価はそのままでは消費水準を示すものではないから、その伸びは、参考資料にとどめるべきであるとの所見が示された(乙A9)。 昭和58年意見具申を踏まえ、昭和59年度以降、生活扶助基準の改定方式に、「水準均衡方式」(生活扶助基準については、一般国民生活における消費水準との比較において相対的なものとして設定する観点から、当該 年度に想定される一般国民の消費動向に対応するよう、毎年度の政府経済 見通しの民間最終消費支出の伸びを基礎として、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図る方式)が導入された(乙A8の2、乙A9)。 イ平成15年以降の生活扶助基準にかかる検討及び評価、改定の経過等生活保護 消費支出の伸びを基礎として、前年度までの一般国民の消費実態との調整を図る方式)が導入された(乙A8の2、乙A9)。 イ平成15年以降の生活扶助基準にかかる検討及び評価、改定の経過等生活保護制度の在り方に関する専門委員会(以下「在り方専門委員会」という。)による検討等 a 生活保護については、平成12年、「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案」に係る衆議院厚生委員会及び参議院国民福祉委員会の附帯決議において、生活保護の在り方について十分検討を行うこととされていたところ、平成15年、経済活動が低迷し、賃金、物価及び家計消費がいずれも下落するデフレ状況が 続いていたなどの社会経済情勢の下、厚生労働省の審議会である社会保障審議会は、同年6月16日、「今後の社会保障改革の方向性に関する意見」において、生活保護については、他の社会保障制度との関係等にも留意しつつ、今後、その在り方についてより専門的に検討していく必要があると指摘し、同月19日、財務省の審議会である財政制 度等審議会においても、生活扶助基準・加算の引下げ・廃止、各種扶助の在り方の見直し等が必要であるとの建議がされた。また、内閣は、同月27日、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」を閣議決定し、その中で、生活保護においても、物価、賃金動向、社会経済情勢の変化、年金制度改革などとの関係を踏まえ、老齢加算等の 扶助基準など制度、運営の両面にわたる見直しが必要であるとした。 (乙A12、乙A13の1・2)b これらの状況を踏まえ、厚生労働省の審議会である社会保障審議会は、平成15年7月、保護基準の在り方等の生活保護制度全般について議論するため、その福祉部会の下に、在り方専門委員会を設置した (乙A13の1) 踏まえ、厚生労働省の審議会である社会保障審議会は、平成15年7月、保護基準の在り方等の生活保護制度全般について議論するため、その福祉部会の下に、在り方専門委員会を設置した (乙A13の1)。 在り方専門委員会は、平成15年12月16日、生活扶助基準についての考え方をさしあたり示すものとして、「生活保護制度の在り方についての中間取りまとめ」(以下「平成15年中間取りまとめ」という。)を公表した。平成15年中間取りまとめにおいては、生活扶助基準の評価や改定方式の在り方について、概要、以下の考え方が示された。 (乙A14)① 生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水準との関連においてとらえられるべき相対的なものであり、具体的には、年間収入階級第1・十分位(調査対象者を収入の低い方から順番に並べ、世帯数が等しくなるよう10等分した場合における、 収入の1番低い層。以下「第1・十分位」という。「第○・〇分位」の表記について同様。)の世帯の消費水準に着目することが適当である。このような考え方に基づき、第1・十分位の勤労者3人世帯の消費水準について分析し、3人世帯(勤労)の生活扶助基準額と比較した結果、第1・十分位の消費水準と生活扶助基準額を比較する と、後者が高く、第1・十分位(第1~第5・五十分位)のうち、食費、教養娯楽費等の減少が顕著な分位である第1~第2・五十分位の消費水準と生活扶助基準額とを比較すると、後者が高く、第1・十分位のうち、残りの第3~第5・五十分位の消費水準(結果として第1・五分位の消費水準に近似)と勤労控除額を除いた生活扶助 基準額を比較すると均衡が図られているが、勤労控除額を含めた生活扶助基準額と比較すると、後者が高い。 ② 生活扶助基準については、 第1・五分位の消費水準に近似)と勤労控除額を除いた生活扶助 基準額を比較すると均衡が図られているが、勤労控除額を含めた生活扶助基準額と比較すると、後者が高い。 ② 生活扶助基準については、昭和59年度以降、水準均衡方式が採られており、この改定方式については概ね妥当であると認められてきたが、最近の経済情勢はこの方式を採用した当時と異なることか ら、例えば5年間に一度の頻度で、生活扶助基準の水準について定 期的に検証を行うことが必要である。定期的な検証を行うまでの毎年の改定については、近年、民間最終消費支出の伸びの見通しがプラス、実績がマイナスとなるなど安定しておらず、また、実績の確定も遅いため、これによる被保護世帯への影響が懸念されることから、改定の指標の在り方についても検討が必要である。この場合、 国民にとって分かりやすいものとすることが必要なので、例えば、年金の改定と同じように消費者物価指数の伸びも改定の指標の一つとして用いることなども考えられる。 c 在り方専門委員会は、その後も、生活扶助基準の検証を行い、平成16年12月15日、生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告 書(以下「平成16年報告書」といい、同報告書の取りまとめに至るまでの検証を「平成16年検証」という。)を取りまとめ、公表した。 同報告書においては、生活保護基準の在り方等について、概要、以下の見解が示された。(乙A5)① 水準均衡方式を前提とする手法により、勤労3人世帯の生活扶助基 準について、低所得世帯の消費支出額との比較において検証・評価した結果、その水準は基本的に妥当であったが、今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に一 おいて検証・評価した結果、その水準は基本的に妥当であったが、今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある。 ② 現行の生活扶助基準の設定は3人世帯を基軸としており、また、算定については、世帯人員数分を単純に足し上げて算定される第1類費と、世帯規模の経済性、いわゆるスケールメリットを考慮し、世帯人員数に応じて設定されている第2類費とを合算する仕組みとされているため、世帯人員別にみると、必ずしも一般低所得世帯の 消費実態を反映したものとなっていない。このため、特に、多人数 世帯基準の是正、単身世帯基準の設定、第1類費の年齢別設定の見直しの点について改善が図られるよう、設定及び算定方法について見直しを検討する必要がある。 d 平成16年報告書を踏まえて、平成17年度以降、生活扶助基準につき、4人以上の多人数世帯にかかる一般世帯との消費実態との均衡 を図るためのものとして、①第1類費について、4人世帯の場合に0. 95、5人以上世帯の場合に0.90の逓減率を導入し(3年間で段階的に実施)、②第2類費について、4人以上世帯の基準額を抑制する見直しが行われた(乙A8の3)。 「生活扶助基準に関する検討会」(以下「生活扶助基準検討会」という。) による検証等a 平成16年報告書においては、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、5年に一度の頻度で検証を行う必要があるとの見解が示され、平成18年7月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方 針2006」においては、生活扶助基準について低所得世帯の消費実 5年に一度の頻度で検証を行う必要があるとの見解が示され、平成18年7月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方 針2006」においては、生活扶助基準について低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直しを行い、級地の見直しを行うこととされ、これらの見直しに早急に着手し、可能な限り2007年度(平成19年度)に、間に合わないものについても2008年度(平成20年度)には確実に実施することとされた。これらを踏まえ、生活扶助基準の見直 しについて専門的な分析・検討を行うため、平成19年、厚生労働省社会・援護局長の下に、学識経験者5名を委員とする生活扶助基準検討会が設置され、主な検討項目として、直近(平成16年)の全国消費実態調査に基づき、生活扶助基準の全体水準、級地別基準等について評価・検証を行うこととされた。(乙A15の1・2) b 生活扶助基準検討会は、平成19年10月19日から同年11月3 0日までの間、5回にわたる検討を経て、同日、生活扶助基準に関する検討会報告書(以下「平成19年報告書」といい、同報告書の取りまとめに至るまでの検証を「平成19年検証」という。)を取りまとめ、公表した(乙A6)。 平成19年検証においては、生活扶助基準の評価・検証を適切に行 うためには、国民の消費実態を詳細に分析する必要があり、そのためには、全国消費実態調査を基本とし、収入階級別、世帯人員別、年齢階級別、地域別などの様々な角度から詳細に分析することが適当であるとの考えの下、①水準の妥当性(生活扶助基準の水準が、保護を受給していない低所得世帯における消費実態との均衡が適切に図られて いるかどうかに関する評価・検証)、②体系の妥当性(生活扶助基準は、個人的経費として年齢階級別に表示された第1類費と、 保護を受給していない低所得世帯における消費実態との均衡が適切に図られて いるかどうかに関する評価・検証)、②体系の妥当性(生活扶助基準は、個人的経費として年齢階級別に表示された第1類費と、世帯共通経費として世帯人員別に表示された第2類費に分けて定められているが、これらの合算によって算出される生活扶助基準額が消費実態を反映しているかどうかに関する評価・検証)、③地域差の妥当性(現行の級地 制度においては、最も高い級地と最も低い級地の生活扶助基準額の較差が22.5%となっているが、これが地域間における生活水準の差を反映しているかどうかに関する評価・検証)等が主に検討された。 これらの項目に関する生活扶助基準検討会の見解は、概要、以下のとおりである(乙A6)。 ① 生活扶助基準の水準平成16年報告書では、夫婦子1人の勤労3人世帯の年間収入階級第1・十分位の消費水準と生活扶助基準額を比較し、均衡が図られているかどうかの検討が行われたが、被保護世帯のうち3人世帯は5.5%に過ぎないことを踏まえ、夫婦子1人世帯だけでなく、 被保護世帯の74.2%を占める単身世帯にも着目し、評価・検証 を実施した。その結果の概要は次のとおりである。 ⅰ 夫婦子1人(有業者あり)世帯の年間収入階級第1・十分位における生活扶助相当支出額は、世帯あたり14万8781円であったのに対して、それらの世帯の平均の生活扶助基準額は、世帯当たり15万0408円であり、生活扶助基準額がやや高 めとなっている。なお、第1・五分位で比較すると、前者が15万3607円、後者が15万0840円であり、やや低めとなっている。 ⅱ 単身世帯(60歳以上の場合)の年間収入階級第1・十分位における生活扶助相当支出額は、世帯当たり6万2831円であ が15万3607円、後者が15万0840円であり、やや低めとなっている。 ⅱ 単身世帯(60歳以上の場合)の年間収入階級第1・十分位における生活扶助相当支出額は、世帯当たり6万2831円であ ったのに対して、それらの世帯の平均の生活扶助基準額は、世帯当たり7万1209円であり、生活扶助基準額が高めとなっている。なお、第1・五分位で比較すると、前者が7万1007円、後者が7万1193円であり、均衡した水準となっている。 ⅲ 生活扶助基準額は、これまで第1・十分位の消費水準と比較することが適当とされてきたが、第1・十分位の消費水準は、平均的な世帯の消費水準に照らして相当程度に達していること、第1・十分位に属する世帯における必需的な耐久消費財の普及状況は、平均的な世帯と比べて大きな差はなく、また、必需的 な消費品目の購入頻度は、平均的な世帯と比較しても概ね遜色ない状況にあることから、今回、これを変更する理由は特段ないと考える(ただし、これまで比較の対象としてきた夫婦子1人世帯の第1・十分位の消費水準は、第3・五分位の7割に達しているが、単身世帯(60歳以上)については、その割合が 5割(第1・五分位でみると約6割)にとどまっている点に留 意する必要がある。)。なお、これまでの給付水準との比較も考慮する必要がある。 ② 生活扶助基準の体系生活扶助基準の体系に関する評価・検証に当たっては、世帯構成などが異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均 衡が図られる体系としていくべきとの観点から行い、その上で、必要な見直しを行っていくことが必要である。 平成16年報告書では、消費実態との比較において、世帯人員別にみた課題として、人数が増すにつれ第1類費の比重が高くなり、割高となってい 行い、その上で、必要な見直しを行っていくことが必要である。 平成16年報告書では、消費実態との比較において、世帯人員別にみた課題として、人数が増すにつれ第1類費の比重が高くなり、割高となっていること、単身世帯については、消費実態を反映した ものとなっておらず、第1類費と第2類費に区分する実質的意味が乏しいことも踏まえ、別途の基準を設定することについて検討することが望ましいことが指摘されている。これらの指摘を受けて、すでに平成17(2005)年度より、第1類費について4人以上の世帯の場合に、一定程度、規模の経済(スケールメリット)を考慮 に入れて設定しているところであるが、見直し後の世帯人員別、年齢階級別の生活扶助基準額について、改めて消費実態を反映しているか評価・検証を実施した。その結果の概要は次のとおりである。 ⅰ 世帯人員別の生活扶助基準額の水準世帯人員別に設定された生活扶助基準額の評価・検証を行うた め、第1・五分位における世帯人員別の生活扶助相当支出額と比較すると、仮に世帯人員が1人の世帯の生活扶助基準額及び生活扶助相当支出額を、それぞれ1としたときの比率で、4人世帯は生活扶助基準額が2.27と、生活扶助相当支出額の1.99に比べて相対的にやや高め、5人世帯でも生活扶助基準額が2.5 4と、生活扶助相当支出額の2.14に比べて相対的にやや高め となっており、世帯人員4人以上の多人数世帯に有利であり、世帯人員が少ない世帯に不利になっている実態が見られる。 ⅱ 年齢階級別の生活扶助基準額の水準年齢階級別に設定された生活扶助基準額の評価・検証を行うため、単身世帯の第1~3・五分位における年齢階級別の生活扶助 相当支出額と比較すると、仮に60歳台の生活扶助基準額及び生活扶 年齢階級別に設定された生活扶助基準額の評価・検証を行うため、単身世帯の第1~3・五分位における年齢階級別の生活扶助 相当支出額と比較すると、仮に60歳台の生活扶助基準額及び生活扶助相当支出額を、それぞれ1としたときの比率で、20歳~39歳では生活扶助基準額が1.05と、生活扶助相当支出額の1.09に比べて相対的にやや低め、40歳から59歳では生活扶助基準額が1.03と、生活扶助相当支出額の1.08に比べ て相対的にやや低めになっている。一方で、70歳以上では生活扶助基準額が0.95と、生活扶助相当支出額の0.88より相対的にやや高めであるなど消費実態からやや乖離している。 ③ 生活扶助基準の地域差平成16年報告書において、「一般世帯の生活扶助相当消費支出 額をみると、地域差が縮小する傾向が認められ」、「今後詳細なデータによる検証」を実施する必要があるとされたことから、改めて消費実態について評価・検証を実施した。その結果の概要は次のとおりである。 ⅰ 現行の級地制度における地域差を設定した当時(昭和59(1 984)年)の消費実態と、直近(平成16(2006)年)の消費実態を比較すると、地域差が縮小している傾向がみられる。 ⅱ 世帯類型、年齢階層などで実際の生活様式は異なるにしても、平均的には、現行の地域差を設定した当時と比較して、地域間の消費水準の差は縮小してきているといえる。 c なお、生活扶助基準検討会の委員5名は、平成19年12月11日、 「『生活扶助基準に関する検討会報告書(平成19年報告書)』が正しく読まれるために」と題する書面を連名で作成し、公表した。同書面においては、平成19年報告書の「これまでの給付水準との比較も考慮する必要がある」旨の記載(上記b①ⅲ)に (平成19年報告書)』が正しく読まれるために」と題する書面を連名で作成し、公表した。同書面においては、平成19年報告書の「これまでの給付水準との比較も考慮する必要がある」旨の記載(上記b①ⅲ)について、経済学では、最低生存費(必要消費額)は過去の消費に基づき習慣が形成されるこ とにより、これまでの消費水準からも影響を受けることが示されてきたところであり、この考え方に従うと、同じ生活扶助基準額であっても、それが引き下げられることによってその水準になった場合、最低生存費は高くなり、受給者の被る痛手は大きいと判断される点を踏まえ、「生活扶助基準額の引き下げについては、慎重であるべき」との考 えを意図し、全委員の総意により、確認されたものであること、ただし、こうした政策的判断は全国消費実態調査等の客観的データに基づき、統計分析を実施することにより評価・検証を行うとの生活扶助基準検討会の目的の範囲を超えるものであり、今後、行政当局あるいは政治の場において、総合的に判断されるべきものと考える旨の見解が 示された(甲A5)。 d 厚生労働大臣は、平成19年検証において、平成16年度の生活扶助基準額は、第1・十分位の生活扶助相当支出額に比べ、夫婦子一人世帯(有業者あり)ではやや高め、単身世帯(60歳以上)では高めという結果であったことを踏まえ、生活扶助基準を消費の実体に適合 したものとする見直しについて検討したが、原油価格の高騰が消費に与える影響を見極めるため、平成20年度の生活扶助基準を据え置くこととした(乙A8の1、乙A16、78)。また、厚生労働大臣は、平成21年度においては、その後の物価、家計消費の動向をみると、平成20年2月以降の生活関連物資を中心とした物価上昇が国民の家 計へ大きな影響を与えていること 、78)。また、厚生労働大臣は、平成21年度においては、その後の物価、家計消費の動向をみると、平成20年2月以降の生活関連物資を中心とした物価上昇が国民の家 計へ大きな影響を与えていること、100年に1度と言われる同年9 月以降の世界的金融危機(リーマンショック)が実体経済へ深刻な影響を及ぼしており、国民の将来不安が高まっている状況にあると考えられること等を理由として、引き続き生活扶助基準の見直しを行わずに据え置くこととし(乙A8の1、乙A16、79)、平成22年度については、完全失業率が高水準で推移するなどの現下の厳しい経済・ 雇用状況を踏まえて(乙A80)、平成23年度及び平成24年度については、経済、雇用情勢等を総合的に勘案して(乙A81、82)、それぞれ生活扶助基準を据え置くこととし、平成20年度から平成24年度まで生活扶助基準が据え置かれ、平成19年検証を踏まえた見直しは行われなかった。 ウ本件各処分に先立つ生活扶助基準等に関する検証、評価の経過等 本件各処分以前の社会経済情勢等平成17年から平成24年までにかけての統計上の賃金(事業所規模5人以上の調査産業計の1人平均月間現金給与総額の対前年比・厚生労働省「毎月勤労統計調査」)、消費者物価上昇率(前年同期比・総務省統 計局「消費者物価指数」)、家計消費支出(前年同期比、名目及び実質増減率・総務省統計局「家計調査」)、完全失業率(総務省統計局「労働力調査」)の推移は、下表のとおりであり(乙A12)、賃金、物価及び家計消費がいずれも下落するデフレ傾向が継続し、完全失業率も高く、厳しい経済・雇用情勢が続いていた。このような情勢を反映して、生活保 護受給者は平成23年7月に過去最高の205万人に達し、同年度の生活保護負担 下落するデフレ傾向が継続し、完全失業率も高く、厳しい経済・雇用情勢が続いていた。このような情勢を反映して、生活保 護受給者は平成23年7月に過去最高の205万人に達し、同年度の生活保護負担金(事業費ベース)が3.5兆円を超え、平成24年11月の速報値においては、生活保護受給者が214万7303人(156万7797世帯)となり、同年度の生活保護負担金の当初予算額は3.7兆円を超えていた(甲A7、乙A7)。 賃金消費者物価上昇率家計消費支出(名目)家計消費支出(実質)完全失業率H170.6%-0.3%-0.6%-0.2%4.4%H180.3%0.3%-2.8%-3.1%4.1%H19-1.0%0.0%1.0%0.9%3.8%H20-0.3%1.4%0.5%-1.1%4.0%H21-3.9%-1.4%-1.8%-0.3%5.1%H220.5%-0.7%-0.2%0.6%5.0%H23-0.2%-0.3%-3.0%-2.7%4.6%H24-0.7%0.0%1.6%1.6%4.3%生活保護基準部会(以下「基準部会」という。)による検証及び評価a 平成23年2月、厚生労働省の審議会である社会保障審議会の下に、学識経験者8名を委員とする基準部会が設置された。基準部会は、平成16年報告書において、「生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国 消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある」とされたことを踏まえ、生活保護基準の定期的な評価・検 世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国 消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある」とされたことを踏まえ、生活保護基準の定期的な評価・検証について審議するために設置された専門部会であり、平成23年秋に平成21年全国消費実態調査の特別集計等のデータがまとまり次第、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否か 等の検証を開始するものとされた。(乙A22、24)。 b 基準部会は、平成23年4月19日から平成25年1月18日までの間、合計13回の会合を開き、同日、検証及び評価の結果を取りまとめ、社会保障審議会生活保護基準部会報告書(以下「平成25年報告書」といい、同報告書の取りまとめに至るまでの検証を「平成25 年検証」という。)として公表した(乙A7、22、24、25)。 平成25年検証においては、平成16年検証において、世帯人員別にみると必ずしも一般低所得者世帯の消費実態を反映したスケールメリットとなっていないため、体系の設定及び算定方法について見直しを検討する必要があるとの指摘があったこと、平成19年検証において、世帯構成などが異なる生活保護受給者間において実質的な給付水 準の均衡が図られる体系としていくべきとの観点から、必要な見直しを行っていくことが必要であるとの考え方が示され、全国消費実態調査を基本とし、収入階級別、世帯人員別、年齢階級別、地域別などの様々な角度から詳細に分析することが適当とされたことを踏まえ、平成21年全国消費実態調査の特別集計等のデータを用い、国民の消費 動向、特に一般低所得世帯の生活実態を勘案しながら、生活扶助基準と一般低所得者世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか等について、年 国消費実態調査の特別集計等のデータを用い、国民の消費 動向、特に一般低所得世帯の生活実態を勘案しながら、生活扶助基準と一般低所得者世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか等について、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準額と消費実態の乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成に展開するための指数に関する検証が行われた。その検証手法と結果の概要等は、以下のとおり である。 ①消費実態と生活扶助基準の乖離の検証ⅰ 年齢体系(第1類費)の検証年齢階級別に設定されている生活扶助基準の第1類費について、異なる年齢階級間の比率(指数)が、消費実態と比べてどれほど の乖離があるかが検証された。 この検証にあたっては、平成21年全国消費実態調査の個票データから第1・十分位の2通り(データ①:「世帯の年間収入」を基に分位を設定したもの、データ②:「世帯員1人当たりの年間収入」を基に分位を設定したもの)のデータを設定した上で、回帰 分析の手法を用いて年齢階級ごとの1人当たり消費の推計値(第 1類費相当支出)を算出し、60代の額を1とした各年齢階級の第1類費相当支出の指数との比較が行われ、生活扶助基準の第1類費についても同様の指数化と比較が行われた。 その検証結果は下表のとおりであり、生活扶助基準額(第1類費)の比率は、年齢階級別の栄養所要量に基づいて設定されてい たところ、年代別消費の推計値の指数と比較すると、年齢階級間の比率は生活扶助基準額が想定するものよりもフラットに近いものであるという実態が認められた。 ⅱ 世帯人員体系(第1類費・第2類費別)の検証 次に、生活扶助基準額(第1類費、第2類費別)の世帯人員別の比率(指数)が、一般低所得世帯の生活扶助相当支出額(第1類 められた。 ⅱ 世帯人員体系(第1類費・第2類費別)の検証 次に、生活扶助基準額(第1類費、第2類費別)の世帯人員別の比率(指数)が、一般低所得世帯の生活扶助相当支出額(第1類費相当支出、第2類費相当支出別)の世帯人員別の比率(指数)と合っているかが検証された。 検証には世帯人員ごとの世帯(単身世帯~5人世帯)の年収第 1・十分位のデータが用いられ、世帯人員ごとの世帯の消費の平均値(第1類費相当支出、第2類費相当支出別)を算出して単身世帯を1とした指数にした結果は、下表のとおりであった。なお、年齢体系の検証結果により、第1類費相当支出額には年齢構成による影響があると想定されることから、その影響を排除するため の補正率を乗じたものである。 0~2歳3~5歳6~11歳12~19歳20~40歳41~59歳60~69歳70歳以上第1類費基準額0.580.730.941.171.121.061.000.90データ①による指数0.720.760.790.830.840.961.000.82データ②による指数0.840.850.860.890.890.961.000.87①②の指数の平均値0.780.810.820.860.870.961.000.84 上記指数について、回帰式に基づく結果との整合性を確認して補正し、世帯人員別の生活扶助基準額の指数(単身世帯の額を1としたもの)と比較した結果は、下表のとおりであり、第1類費相当支出については、生活扶助基準額の世帯人員体系が想定する よりもスケールメリットが働いている実態が認められ、第2類費相当支出については、生活扶助基準額の世帯人員体系が想定するほどのスケールメリットは働いていな 生活扶助基準額の世帯人員体系が想定する よりもスケールメリットが働いている実態が認められ、第2類費相当支出については、生活扶助基準額の世帯人員体系が想定するほどのスケールメリットは働いていない実態が認められた。 ⅲ 級地間較差の検証 さらに、生活扶助基準額の級地別の比率(指数)が、一般低所得者世帯の生活扶助相当支出の級地別の比率(指数)と合っているかどうかが検証された。 検証には、世帯人員体系の検証(上記ⅱ)の過程で得られる第1類費相当(年齢の影響を除去したもの)と第2類費相当合計の 世帯人員に応じた指数によって世帯年収を除して得られる世帯員1人当たり実質年収に関する第1・十分位のデータが用いられ、各級地に居住する世帯の第1類費相当支出額と第2類費相当支出の合計の生活扶助相当支出の平均値を算出し、全級地平均を1とした指数は下表のとおりであった。 単身世帯2人世帯3人世帯4人世帯5人世帯第1類費基準額1.002.003.003.804.50第1類費相当支出1.001.542.012.342.64第2類費基準額1.001.111.231.271.28第2類費相当支出1.001.341.671.751.93 上記指数につき、回帰式に基づく結果との整合性の確認をした上で、級地別の生活扶助基準額の指数(全級地平均を1としたもの)と比較した結果は下表のとおりであり、生活扶助相当支出については級地間較差があるものの、生活扶助基準額が想定するほ どの較差ではないという実態が認められた。 ② 基準額の水準への体系・級地間較差の影響の評価ⅰ 前記①で把握した年齢階級別、世帯人員別、級地別の消費の指数が、生活扶助基準額が想定する 差ではないという実態が認められた。 ② 基準額の水準への体系・級地間較差の影響の評価ⅰ 前記①で把握した年齢階級別、世帯人員別、級地別の消費の指数が、生活扶助基準額が想定するものと異なる程度を具体的 に評価するため、生活扶助基準額に消費実態を反映した場合の理論上の額(消費実態を反映した水準)と、生活扶助基準額の水準の相対関係をみることとした。 ここで、消費実態を反映した水準を算出するに当たっては、仮に第1・十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶 助基準額の平均受給額と前記①の一連の作業によって推計された消費実態を反映した額の平均額が均等となるようにして行われた(以下、この算出手法を「平均指数法」という。甲A162参照)。これは、消費実態と生活扶助基準額の乖離は様々な要因により生じていると考えられるところ、その中から年齢階級 別・世帯人員別の体系及び級地の展開部分の指数が消費実態に合っていないことによる影響のみを把握するためであり(乙A40)、具体的には、平成21年全国消費実態調査の個票データ1級地の11級地の22級地の12級地の23級地の13級地の2生活扶助基準額1.111.061.010.960.910.86生活扶助相当支出1.091.050.980.980.940.92 から得られた消費の推計値(前記①)と生活扶助基準額を直接比較して指数化するのではなく、検証の対象とした第1・十分位の全世帯が生活保護を受給したと仮定した場合の消費水準を平均指数法を用いて算出し、これと生活扶助基準額を比較して指数化する方法が用いられた。 また、前記①の検証は、年齢体系、世帯人員体系、級地間較差の順で行われており、その理由は、世帯人員 いて算出し、これと生活扶助基準額を比較して指数化する方法が用いられた。 また、前記①の検証は、年齢体系、世帯人員体系、級地間較差の順で行われており、その理由は、世帯人員体系を検証する際に、年齢構成の影響を除去するためには年齢体系を検証した結果の指数が必要であり、級地間較差を検証する際に、世帯人員の影響を除去するためには世帯人員体系を検証した結果の指 数が必要であるためであり、以下においても、この論理的順序にしたがって体系及び級地間較差の影響の評価が行われた。 ⅱ 年齢体系の検証上記ⅰの考え方に基づいて検証された年齢階級別指数のみ消費実態を反映した水準と生活扶助基準額(第1類費)の水準の 相対関係は、0~2歳の消費実態を1とした場合、下表のとおりとなり(以下、下表の指数を「年齢階級別指数」という。)、年齢階級別の栄養所要量に基づいて設定されている生活扶助基準額(第1類費)の水準は、年齢階級ごとに消費実態を反映した水準と差異があることが確認された。 ⅲ 世帯人員体系の検証上記ⅱの年齢階級別指数を起点として、世帯人員別指数のみ消費実態を反映した水準と生活扶助基準額の水準の相対関係は、0~2歳3~5歳6~11歳12~19歳20~40歳41~59歳60~69歳70歳以上生活扶助基準額0.690.861.121.371.311.261.191.06消費実態1.001.031.061.101.121.231.281.08 単身世帯の消費実態を1とした場合、下表のとおりであり(以下、下表の指数を「世帯人員別指数」という。)、第1類費については、単身世帯の消費実態を反映した .121.231.281.08 単身世帯の消費実態を1とした場合、下表のとおりであり(以下、下表の指数を「世帯人員別指数」という。)、第1類費については、単身世帯の消費実態を反映した水準は生活扶助基準額の水準を上回るが、世帯人員が増すにつれて消費実態を反映した水準が生活扶助基準額を下回り、生活扶助基準額が想定する よりもスケールメリットが働いており、第2類費については、単身世帯の消費実態を反映した水準は生活扶助基準額の水準を下回るが、世帯人員が増すにつれて消費実態を反映した水準は生活扶助基準額を上回り、生活扶助基準額が想定するよりもスケールメリットが働いていない状況が確認された。 ⅳ 級地間較差の検証上記ⅲの世帯人員別指数を起点として、級地別指数のみ消費実態を反映した水準と生活扶助基準額の水準の相対関係は、1級地の1の消費実態を1とした場合、下表のとおりであり(以 下、下表の指数を「級地別指数」という。)、級地間の消費実態の較差は生活扶助基準額が想定するほど大きいものではないことが確認された。 第1類費単身世帯2人世帯3人世帯4人世帯5人世帯生活扶助基準額0.881.762.633.343.95消費実態1.001.542.012.342.64第2類費生活扶助基準額1.061.181.311.351.36消費実態1.001.341.671.751.931級地の11級地の22級地の12級地の23級地の13級地の2生活扶助基準額1.020.970.930.880.840.79消費実態1.000.960.900.900.870.84 c 基準部会は、上記検証結果を踏まえ、 地の2生活扶助基準額1.020.970.930.880.840.79消費実態1.000.960.900.900.870.84 c 基準部会は、上記検証結果を踏まえ、年齢階級別指数、世帯人員別指数、級地別指数を反映した場合の影響について、例えば、生活扶助基準額と検証結果を完全に反映した場合の平均値を個々の世帯構成ごとにみると、生活扶助基準額に対する年齢による影響、世帯人員による影響、地域による影響及びこれらを合計した影響は、次のとおりと なり、世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の組み合わせにより各世帯への影響は様々であるとの試算を示した。 そして、厚生労働省において生活扶助基準の見直しを検討する際には、上記の評価・検証の結果を考慮し、その上で他に合理的説明が可 能な経済指標などを総合的に勘案する場合は、それらの根拠についても明確に示すこと、その際には現在生活保護を受給している世帯及び一般低所得世帯への見直しが及ぼす影響についても慎重に配慮されたい旨付言した。 d なお、平成25年検証においては、上記のとおり、消費実態にかか る指数の算出にあたり、平成21年全国消費実態調査により得られたデータのうち第1・十分位の世帯の生活扶助相当支出が用いられた。 その理由について、平成25年報告書は、以下のとおり説明している。 ① 生活扶助基準を国民の健康で文化的な最低限度の生活水準として考えた場合、指数を全分位の所得階層(全世帯)又は中位所得階 年齢による影響世帯人員による影響地域による影響これらを合計した影響夫婦と18歳未満の子1人世帯△2.9%△5.8%0.1%△8.5%夫婦と18歳未満の子2人世帯△3.6%△11.2%0.2%△14.2% 地域による影響これらを合計した影響夫婦と18歳未満の子1人世帯△2.9%△5.8%0.1%△8.5%夫婦と18歳未満の子2人世帯△3.6%△11.2%0.2%△14.2%60歳以上の単身世帯2.0%2.7%△0.2%4.5%ともに60歳以上の高齢夫婦世帯2.7%△1.9%0.7%1.6%20~50代の若手単身世帯△3.9%2.8%△0.4%△1.7%母親と18歳未満の子1人の母子世帯△4.3%△1.2%0.3%△5.2% 層(第3・五分位)等から算出することも可能だが、これまでの検証に倣い、生活保護受給世帯と隣接した一般低所得世帯の消費実態を用いることが現実的であると判断したこと② 第1・十分位の平均消費水準は、中位所得階層の約6割に達していること ③ 国民の過半数が必要であると考えている必需的な耐久消費財について、第1・十分位に属する世帯における普及状況は、中位所得階層と比べて概ね遜色なく充足されている状況にあること④ 全所得階層における年間収入総額に占める第1・十分位の年間収入総額の構成割合はやや減少傾向であるものの、高所得階層を除く その他の十分位の傾向をみても等しく減少しており、特に第1・十分位が減少しているわけではないこと⑤ OECDの国際基準によれば、等価可処分所得(世帯の可処分所得をスケールメリットを考慮して世帯人員数の平方根で除したもの)の中位値(全データの真中の値)の半分に満たない世帯は相対 的貧困層にあるとされる。今回の検証に用いた平成21年全国消費実態調査での等価可処分所得の中位値は約270万円であるが、第1・十分位の等価可処分所得の平均は92万円、最大では135万円となっている。これは、第1・十分位に属する世 証に用いた平成21年全国消費実態調査での等価可処分所得の中位値は約270万円であるが、第1・十分位の等価可処分所得の平均は92万円、最大では135万円となっている。これは、第1・十分位に属する世帯の大部分はOECDの基準では相対的貧困線以下にあることを示していること ⑥ 分散分析等の統計的手法により検証したところ、各十分位間のうち、第1・十分位と第2・十分位の間において消費が大きく変化しており、他の十分位の世帯に比べて消費の動向が大きく異なると考えられることエ厚生労働省における生活扶助基準の見直しの検討及び改定 見直しの方針 厚生労働省は、平成25年3月11日、社会・援護局関係主管課長会議を開催し、生活扶助基準につき、①基準部会における検証結果(平成25年報告書)を踏まえ、年齢・世帯人員・地域差による影響を調整する見直し(以下、この見直し、ないし見直しの手法を「ゆがみ調整」という。)、②前回見直し(平成20年)以降の物価の動向を勘案した見直 し(以下、この見直し、ないし見直しの手法を「デフレ調整」という。)を行い、③激変緩和措置として、見直しの影響を一定程度に抑える観点から、生活扶助基準額の増減幅は、±10%を限度とするよう調整するほか、生活扶助基準額の見直しは、平成25年度から、3年間をかけて段階的に実施する方針を示した(乙A17)。 また、デフレ調整を行う理由等については、「前回の見直し(平成20年)以降、基準額は見直されていないが、その間、デフレ傾向が続いている。このため、実質的な購買力を維持しつつ、客観的な経済指標である物価を勘案して基準額の見直しを行う。」、「前回の検証の結果(平成19年報告書)を踏まえた上で、当時の政府の判断として、平成20年度 以降の基準を据え 買力を維持しつつ、客観的な経済指標である物価を勘案して基準額の見直しを行う。」、「前回の検証の結果(平成19年報告書)を踏まえた上で、当時の政府の判断として、平成20年度 以降の基準を据え置くことが妥当とされたことから、物価動向を勘案する起点は平成20年以降とする。」ものとされた(乙A17)。 なお、ゆがみ調整については、平成25年報告書で示された年齢・世帯人員・地域差による影響を完全に調整するのではなく、その影響の調整を1/2とする(以下、このことを「1/2調整」という。)こととさ れた(乙A54)。 ゆがみ調整についてa ゆがみ調整は、まず、個人ごとの第1類費につき、改定前の生活扶助基準額に、平成25年報告書で示された指数(年齢階級別指数、世帯人員別指数及び級地別指数)を用いて算出した改定率に1/2調整 を行ったもの(生活扶助基準額の指数と消費実態の指数を足して2で 割ることで、乖離の1/2が反映された数値を算出し、これを生活扶助基準額の指数で除して算出した率。以下、それぞれ「年齢階級別改定率」、「世帯人員別改定率」、「級地別改定率」という。)を乗じる方法で基準額を算出する。なお、世帯人員による影響は、後記の世帯合計額に乗じる逓減率により調整されるため、世帯人員別改定率は、単 身世帯にかかる指数を用いて算出した改定率に1/2調整を行ったものをいい、これを一律に乗じる。(乙A18、弁論の全趣旨)例えば、1級地の2に居住する、0~2歳の者の生活扶助基準額(第1類費)は、改定前1万9960円であり、デフレ調整(-4.78%)と合わせた改定後は2万4800円であるが(乙A3の1)、その計算 は、端数調整を除き、以下の算定方法によるものである(弁論の全趣旨)。 上記方法により算出され レ調整(-4.78%)と合わせた改定後は2万4800円であるが(乙A3の1)、その計算 は、端数調整を除き、以下の算定方法によるものである(弁論の全趣旨)。 上記方法により算出される第1類費の世帯合計額に対して、世帯人員別指数を用いて算出される下表の逓減率を乗じ、各世帯の生活扶助 基準額(第1類費)を算定する。下表の逓減率は、「世帯人員別の消費実態の指数/(単身世帯の消費実態の指数×世帯人員数)」の計算により消費実態に即した逓減率を算出し、1/2調整として「(平成25年 改定前の逓減率+消費実態に即した逓減率)/2」の計算を行うことによって算出される(ただし、世帯人員6人以上9人以下の場合は回帰分析により算出したものであり、10人以上については9人の逓減率と同じとしたものである。)。(乙A18、弁論の全趣旨)例えば、世帯人員5人の場合の計算式は、以下のとおりである。 【世帯人員5人の逓減率】消費実態に即した逓減率 2.64/(1.00×5人)=0.5281/2調整 (0.90+0.528)/2=0.714 b 第2類費については、改定前の生活扶助基準額に、第2類費にかかる世帯人員別改定率と、世帯人員数に応じた改定率({(世帯人員数の生活扶助基準額の指数/単身世帯の生活扶助基準額の指数)+世帯人員数の消費実態の指数}/2/(世帯人員数の生活扶助基準額の指数/ 単身世帯の生活扶助基準額の指数))と、級地別改定率をそれぞれ乗じる方法で生活扶助基準額を算出する。 その結果、1級地の1に居住する世帯の改定前後の第2類費は、下表のとおりとなり(乙A3の1)、例えば、5人世帯の生活扶助基準額(第2類費)は、改定前5万5600円であり、デフレ調整(-4. 78%)と合わせ の1に居住する世帯の改定前後の第2類費は、下表のとおりとなり(乙A3の1)、例えば、5人世帯の生活扶助基準額(第2類費)は、改定前5万5600円であり、デフレ調整(-4. 78%)と合わせた改定後は6万3840円であるが、その計算は、端数調整を除き、以下の算定方法によるものである(弁論の全趣旨)。 【世帯人員5人の第2類費の計算】世帯人員別改定率(1.06+1.00)/2/1.06=0.972 世帯人員数に応じた改定率((1.36/1.06)+1.93)/2/(1.36/1.06)=1.252級地別改定率(1.02+1.00)/2/1.02=0.990デフレ調整4.78% (1‐0.0478=0.9522) 5万5600円(改定前の生活扶助基準額)×0.972×1.252×0.990×0. 9522=6万3770円(計算過程における端数調整等の結果、改定後の生活扶助基準額は6万3840円) デフレ調整についてa 消費者物価指数は、消費財・サービスの価格における変化を計測する物価指数であって、一定の数量の消費財・サービスを購入するための費用の変化を指数化することにより算出されるものであり、具体的 には、指数の計算の対象とする品目(以下「指数品目」という。)を選定し、家計調査により家計の消費支出全体に当該品目の支出額が占める割合(以下「支出割合」という。)を算出した上、指数品目の基準年の価格を100とした場合の比較年の価格を表す指数(以下「品目指数」という。)を、当該品目の支出割合をウエイトとして加重平均(値 に重み〔ウエイト〕を付けて行う平均手法)することで算出される(乙A26~28)。 b 厚生労働省は、デフレ調整における物価下落率を算出 該品目の支出割合をウエイトとして加重平均(値 に重み〔ウエイト〕を付けて行う平均手法)することで算出される(乙A26~28)。 b 厚生労働省は、デフレ調整における物価下落率を算出するに当たり、総務省が公表している消費者物価指数(以下「総務省CPI」という。 なお、平成17年及び平成22年に指数品目の見直しが行われている。) の指数品目から、家賃、教育費、医療費等の生活扶助以外の他の扶助で賄われる品目、自動車関係費等の生活保護受給世帯において支出することが想定されていない品目、NHK放送受信料等の生活保護受給世帯は免除される品目を除外したものを指数品目とする消費者物価指数(以下、総務省CPIの指数品目からこれらの品目を除外した品目 による消費者物価指数を「生活扶助相当CPI」という。)を使用して、平成20年から平成23年までの期間における物価下落率を算出することとした。その際、平成20年における指数品目485品目と平成23年における指数品目517品目(平成22年に新規採用された指数品目のうち32品目を加えたもの)のそれぞれについて、平成22 年の価格を基準に同年の指数を100とした上で品目指数を求め、それらを平成22年の家計調査による支出割合をウエイトとして加重平均する方法によって、平成20年の生活扶助相当CPI及び平成23年の生活扶助相当CPIを算出した(以下、消費者物価指数の計算において、ウエイトとして使用される数量や支出割合の時点を「ウエイ ト参照時点」という。)。(甲A7、乙A28~30、弁論の全趣旨)その結果、平成20年の生活扶助相当CPIは104.5、平成23年の生活扶助相当CPIは99.5となり、平成20年から平成23年までの下落率は4.78%((99.5-104.5)÷104 全趣旨)その結果、平成20年の生活扶助相当CPIは104.5、平成23年の生活扶助相当CPIは99.5となり、平成20年から平成23年までの下落率は4.78%((99.5-104.5)÷104. 5×100≒-4.78%)となった(甲A7)。 デフレ調整は、第1類費の算出に当たり、改定前の生活扶助基準額 に、ゆがみ調整の改定率に加えてデフレ改定率として-4.78%(0. 952)を乗じ、また、第2類費の算出に当たっても、同様に上記デフレ改定率を乗じるものである(弁論の全趣旨)。 生活扶助基準の改定厚生労働大臣は、平成25年8月以降の生活扶助基準について、ゆが み調整及びデフレ調整による改定を行うこととし、その改定に当たっては、生活保護受給世帯に対する激変緩和措置として、改定前の生活扶助基準額からの増減幅は±10%を限度とするよう調整するほか、改定を平成25年度から3年間かけて段階的に実施することとして、①平成25年度においては、Aの額(平成24年度の生活扶助基準により算定さ れる第1類費の世帯合計額と第2類費の合計額)に2/3を乗じた金額と、Bの額(改定後の基準により算定される第1類費の世帯合計額と第2類費の合計額。ただし、当該額がAの額に0.9を乗じて得た額より少ない場合は、Aで算定した額に0.9を乗じて得た額)に1/3を乗じた額との合計額を世帯の基準生活費とし、②平成26年度においては Aの額に1/3を乗じた金額とBの額に2/3を乗じた金額との合計額を世帯の基準生活費とし、③平成27年度においてBの額を基準生活費とすることとした(乙A3の1・2、乙A17、18、弁論の全趣旨)。 厚生労働大臣は、平成25年5月16日に、上記①を内容とする平成 25年告示による生活扶助基準の おいてBの額を基準生活費とすることとした(乙A3の1・2、乙A17、18、弁論の全趣旨)。 厚生労働大臣は、平成25年5月16日に、上記①を内容とする平成 25年告示による生活扶助基準の改定(以下「平成25年改定」という。)を、平成26年3月31日に、上記②を内容とする平成26年告示による生活扶助基準の改定(以下「平成26年改定」という。)を、平成27年3月31日に、上記③を内容とする同日付け平成27年厚生労働省告示第227号による生活扶助基準の改定をそれぞれ実施した (以下、これらの平成25年から平成27年にかけての生活扶助基準の 改定を合わせて「本件改定」という。乙A3の1・2、当裁判所に顕著な事実)。 本件各処分ア別紙処分等一覧表の「処分庁」欄記載の各行政処分庁は、平成25年改定を踏まえ、「処分の名宛人」欄記載の原告番号1ないし8、10ないし1 2、14ないし16、18ないし22、25、26、28ないし32、34、35、37及び39ないし41に対し、平成25年8月以降支給分の保護費に係る保護変更決定を行った(当事者間に争いがない)。 イ岡山市a区福祉事務所長は、原告番号9に対し、平成25年7月11日付けで、平成25年8月以降支給分の保護費に係る平成25年変更決定を 行った(当事者間に争いがない)。 ウ別紙処分等一覧表の「処分庁」欄記載の各行政処分庁は、平成26年改定を踏まえ、「処分の名宛人」欄記載の原告番号23、36、38、45及び46に対し、平成26年4月以降支給分の保護費に係る保護変更決定を行った(当事者間に争いがない)。 本件訴え提起までの経過等ア別紙処分等一覧表の「処分の名宛人」欄記載の各原告(原告番号9を除く。)は、「処分庁」欄記 護変更決定を行った(当事者間に争いがない)。 本件訴え提起までの経過等ア別紙処分等一覧表の「処分の名宛人」欄記載の各原告(原告番号9を除く。)は、「処分庁」欄記載の各処分行政庁から「処分日」欄記載の日に自らを名宛人とする本件各処分を受け、処分があったことを知った日の翌日から60日以内の日である「審査請求日」欄記載の日に、岡山県知事に対 し、当該処分に係る審査請求をした。平成25年改定を踏まえた保護変更決定を受けた各原告(前記⑶アの各原告)は、「裁決を知った日」欄記載の各日の翌日から30日以内の日である「再審査請求日」欄記載の各日に、厚生労働大臣に対して再審査請求をし、再審査請求が係属中の平成26年10月30日に前記請求1に係る訴えを提起した。原告番号23、36、 38、45、46の各原告は、審査請求をした日の翌日から起算して50 日を経過しても裁決がなかったため、審査請求が係属中の平成26年10月30日に前記請求2に係る訴えを提起した。 (争いがない、乙B23の3、36の3、38の3、45の2、46の2。なお、平成26年法律第68号による改正前の行政不服審査法14条、53条、生活保護法65条2項2号参照) イ原告番号9は、平成25年変更決定から3か月以内の平成25年9月20日、岡山県知事に対し、審査請求を行ったが、同年10月30日、これを取り下げた(乙Bの9の6の1~3)。 また、原告番号9は、平成25年11月11日、岡山市a区福祉事務所長に対し、減額前の金額の保護費の支給を求めて、生活保護法に基づく保 護申請を行ったが(乙B9の7の1)、同事務所長は、同月18日、上記申請を却下した(乙B9の7の2)。原告番号9は、これを不服として、同月27日、岡山県知事に対し めて、生活保護法に基づく保 護申請を行ったが(乙B9の7の1)、同事務所長は、同月18日、上記申請を却下した(乙B9の7の2)。原告番号9は、これを不服として、同月27日、岡山県知事に対し審査請求を行ったが、平成26年3月19日付けで棄却裁決を受けた(乙B9の3、乙B9の7の3・4)。 原告番号9は、平成26年10月30日、前記請求1に係る訴えを提起 し、平成27年9月15日、前記請求3及び4の予備的請求を追加した(当裁判所に顕著な事実)。 原告番号1、10、14、21、22、26、29、36及び40の死亡原告番号1、10、14、21、22、26、29、36及び40は、別紙処分等一覧表記載の各死亡日に死亡した。 4 争点原告番号9の訴えの適法性(争点1)本件各処分の適法性(争点2)ア判断枠組みイゆがみ調整 1/2調整に関する部分を除いた部分 1/2調整ウデフレ調整国家賠償請求の可否(争点3) 5 争点に関する当事者の主張別紙主張一覧表のとおり(以下、同表記載の項目番号を「争点番号1-1」 のようにいう。)。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(原告番号9の訴えの適法性)について原告番号9の主位的請求に係る訴えの適法性について(争点番号1-1及び1-3) 生活保護法は、1条及び2条において、その適用の対象を「国民」と定めており、ここで「国民」とは日本国民を意味するものであって、外国人はこれに含まれないものと解される。そして、現行の生活保護法が制定された後、現在に至るまでの間、同法の適用を受ける者の範囲を一定の範囲の外国人に拡大するような法改正は行われておらず、同法上の保護に関する規定を 一定の範囲の外 そして、現行の生活保護法が制定された後、現在に至るまでの間、同法の適用を受ける者の範囲を一定の範囲の外国人に拡大するような法改正は行われておらず、同法上の保護に関する規定を 一定の範囲の外国人に準用する旨の法令も存在しない。 また、昭和29年通知は、行政庁の通達であり、それに基づく行政措置として一定範囲の外国人に対して生活保護が事実上実施されてきたとしても、そのことによって、生活保護法が一定の範囲の外国人に適用され又は準用されるものになると解する余地はない。 以上によれば、外国人に生活保護法の適用又は準用があるということはできず、このことは永住資格を有する外国人であっても異ならない(最高裁平成24年(行ヒ)第45号同26年7月18日第二小法廷判決・判例地方自治386号78頁参照)。 したがって、外国人である原告番号9に生活保護法の適用又は準用はなく、 平成25年変更決定を同法25条2項に基づく処分と解することはできない。 よって、同法25条2項に基づく処分の取消を求める原告番号9の主位的請求に係る訴えは、その対象を欠き、その余の点(争点番号1-3)について検討するまでもなく、不適法である。 原告番号9の予備的請求1に係る訴えの適法性について(争点番号1-2及び1-3) 昭和29年通知(乙A39)は、その文言上も、生活に困窮する外国人に対し、生活保護法が適用されずその法律上の保護の対象とならないことを前提に、それとは別に事実上の保護を行う行政措置として、当分の間、日本国民に対する同法に基づく保護の決定実施と同様の手続により必要と認める保護を行うことを定めたものであることは明らかである。 このように昭和29年通知は、法律の委任を受けて定められたものではないから、昭和29年通知に基づく平 実施と同様の手続により必要と認める保護を行うことを定めたものであることは明らかである。 このように昭和29年通知は、法律の委任を受けて定められたものではないから、昭和29年通知に基づく平成25年変更決定も、あくまで行政措置として行われたものにすぎないというべきである。 したがって、平成25年変更決定は、権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものではなく、取消訴訟の対象となる「処 分」には当たらない。よって、平成25年変更決定の取消しを求める原告番号9の予備的請求1に係る訴えは、その余の点(争点番号1-3)について検討するまでもなく、不適法である。 原告番号9の予備的請求2に係る訴えについて(争点番号1-4)昭和29年通知は、生活に困窮する外国人に対し、必要と認める保護を行 うことを定めたものにすぎず、決定実施手続がされて初めて具体的権利義務が発生するというべきである。 原告番号9に対しては、平成25年改定に準じた平成25年変更決定があるところ、原告番号9が、同決定に基づき、平成25年改定に準じた措置を求めることはともかく、それを超えて、平成25年改定前の生活扶助基準に 準じた措置を求め、その差額分の支払を求める法的権利はない。 よって、原告番号9の予備的請求2のうち口頭弁論終結日の翌日以降の支払を求める部分は、「あらかじめその請求をする必要がある場合」(民訴法135条)に当たるとはいえず、不適法であり、口頭弁論終結日までの支払を求める部分は、本件改定の適否にかかわらず、理由がない。 2 争点2(本件各処分の適法性)について 判断枠組み(争点番号2-1)ア厚生労働大臣の生活扶助基準改定に係る違法性の判断枠組み生活保護法3条により保障され 、理由がない。 2 争点2(本件各処分の適法性)について 判断枠組み(争点番号2-1)ア厚生労働大臣の生活扶助基準改定に係る違法性の判断枠組み生活保護法3条により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならないところ、同法8条2項によれば、保護基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在 地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものでなければならない。そうすると、仮に、保護基準における生活扶助基準が最低限度の生活の需要を超えているというのであれば、これに応じて生活扶助基準を改定することは、同項の規定に基づく要請であるということができる。 もっとも、これらの規定にいう最低限度の生活は、抽象的かつ相対的な概念であって、その具体的な内容は、その時々における経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであり、これを保護基準において具体化するに当たっては、国の財政事情を含めた多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそ れに基づいた政策的判断を必要とするものである(最高裁昭和51年(行ツ)第30号同57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁参照)。したがって、保護基準のうち生活扶助基準の改定を行う必要があるか否か、また、改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かを判断するに当たっては、厚生労働 大臣に上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められ るものというべきである。 また、保護基準における生活扶助基準の改定を行う必要があ に当たっては、厚生労働 大臣に上記のような専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められ るものというべきである。 また、保護基準における生活扶助基準の改定を行う必要があると認められる場合であっても、厚生労働大臣は、改定の必要性を踏まえつつ、被保護者の生活への影響等についても可及的に配慮するため、その具体的な方法等について、激変緩和措置の要否なども含め、上記のような専門技術的 かつ政策的な見地からの裁量権を有しているものというべきである。 そして、生活扶助基準については、昭和59年度以降、生活保護において保障すべき最低限度の生活の水準は一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして設定すべきという考え方に基づき、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかが、 専門家の関与の下、各種統計データ等に基づいて検証・評価され、あるいは、生活扶助基準の在り方等について問題点の指摘等が行われてきたところである。このような経緯等に鑑みると、本件改定は、①ゆがみ調整及びデフレ調整によって生活扶助基準を改定した厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無 等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められる場合、あるいは、②改定に際し激変緩和等の措置を採るか否かについての方針及びこれを採る場合において現に選択した措置が相当であるとした同大臣の判断に、被保護者の生活への影響等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められる場合に、生活保護法3条、8条2項に 違反し、違法となるものというべきである(最高裁平成22年(行ツ)第392号、同年(行ヒ)第416号同24年2月28日第三小法廷判決・ 用があると認められる場合に、生活保護法3条、8条2項に 違反し、違法となるものというべきである(最高裁平成22年(行ツ)第392号、同年(行ヒ)第416号同24年2月28日第三小法廷判決・民集66巻3号1240頁、最高裁平成22年(行ヒ)第367号同24年4月2日第二小法廷判決・民集66巻6号2367頁参照。なお、いずれも老齢加算の廃止を内容とする保護基準の改定に関するものである。)。 イ被告らの主張について 被告らは、本件改定に係る厚生労働大臣の判断については、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど憲法及び生活保護法の趣旨、目的に反することが明らかな場合に限って、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるものとして違法になると解するべきであり、老齢加算の廃止を内容とする保護基準の改定に関する前記各最高裁判決の射程 は本件改定について及ぶことがなく、前記各最高裁判決において示された判断過程審査の判断枠組みを本件で採用するのは相当でない旨主張する。 生活保護法にいう最低限度の生活が抽象的かつ相対的概念であり、これを保護基準において具体化するに当たっては、高度の専門技術的な考 察とこれに基づいた政策的判断を必要とし、厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的見地からの裁量権が認められるというべきところ、本件改定に係る厚生労働大臣の判断について、裁判所がその結論の適否を直接判断することは困難であるとしても、本件改定を相当であるとした厚生労働大臣の判断過程に過誤や欠落がなかったかについては裁判所が審査、 判断することが可能であり、本件改定に至る判断過程を追試的に検証することを通じて、本件改定に係る厚生労働大臣の行政裁量に司法審査を及ぼすことが必要かつ相当というべきである。 前記各最高裁 判断することが可能であり、本件改定に至る判断過程を追試的に検証することを通じて、本件改定に係る厚生労働大臣の行政裁量に司法審査を及ぼすことが必要かつ相当というべきである。 前記各最高裁判決も、保護基準の改定について厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的見地からの裁量権が認められることを前提とした上で、 厚生労働大臣の判断に、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある場合には、当該判断が違法となる旨判示したものであって、老齢加算を廃止するという保護基準の改定内容に特別に着目したものとは解されない。 したがって、被告らの上記主張は採用できない。 また、被告らは、判断過程審査の判断枠組みを用いるとしても、本件改定に係る厚生労働大臣の判断が違法となるのは、当該判断の過程や手続に係る過誤や欠落が、最低限度の生活の具体化に関するものであり、かつ、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大なものである場合に限られるというべきである 旨主張する。 しかし、判断過程審査は、行政庁に行政処分を行うに当たっての専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権があることを前提に、当該行政処分をした行政庁の判断内容そのものの適否を審査するのではなく、当該判断を行った過程や手続を対象として、これに過誤や欠落があるかどう かを審査することにより、行政裁量に対する司法的統制を及ぼす審査手法である。本件改定に係る判断過程や手続に係る過誤や欠落が、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大なものであるか否かを審査することは、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著 判断過程や手続に係る過誤や欠落が、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大なものであるか否かを審査することは、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものであるか否かを審査すること にほかならず、判断過程審査の判断枠組みと相容れない。 また、被告らの上記主張が、仮に本件改定に係る厚生労働大臣の判断過程や手続に過誤や欠落があったとしても、本件改定の結果として、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとならない限り、当該判断が違法になることはないという趣旨であれば、厚生労働 大臣の判断内容そのものの適否を審査の対象とするものであって、判断過程審査の判断枠組みと相容れない上、行政庁が裁量的判断を行うに当たって適切な判断過程と手続を経るべきことについて何ら司法的統制が及ばないことにもなりかねず、是認できない。 したがって、被告らの上記主張は採用できない。 ウ原告らの主張について 原告らは、生活扶助基準の改定(引下げ)にかかる厚生労働大臣の判断過程に関しては、専門家による諮問機関である基準部会の検討に基づいた高度に専門技術的な考察の下に、統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等が厳格に審査されるべき旨主張する。同主張は、生活扶助基準の改定にかかる判断に当たっては、専門 家に諮問をして専門技術的考察を行い、その考察により得られた専門的知見との整合性を確保することを要し、専門家による考察を経ていない場合には、厚生労働大臣の裁量権の範囲を狭く解し、判断過程について厳格な司法審査を行うべき旨をいうものと解される。 しかし、生活保護法8条は、保護基準の策定を厚生労働大臣に委任し ているが、同大臣が生活扶助基準の の裁量権の範囲を狭く解し、判断過程について厳格な司法審査を行うべき旨をいうものと解される。 しかし、生活保護法8条は、保護基準の策定を厚生労働大臣に委任し ているが、同大臣が生活扶助基準の改定を行うに当たって専門家への諮問を行うことを求める法令上の規定はないところ、専門家への諮問による意見等が得られた場合でも、その意見等は厚生労働大臣の判断を法的に拘束するものではなく、判断を補完するものとして考慮要素の一つとなるに過ぎず、最終的な判断は、上記意見等の採否を含め、国の財政事 情を含めた複雑多様な要素を考慮して行う厚生労働大臣の政策的判断に委ねられているというべきである。 したがって、厚生労働大臣が生活扶助基準の改定を行う判断に際して、専門家への諮問による専門技術的考察を行う必要があるとか、これを経ない場合に同大臣の裁量権の範囲が制約されると解することはできず、 原告らの上記主張には理由がない。 また、原告らは、生活保護法は、憲法25条の生存権保障の理念を受けて、健康で文化的な最低限度の生活の需要を確実に満たすことを国家に義務付けていること、「被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない」ことを定める生活保護 法56条の趣旨は、保護基準の改定に当たっても勘案されるべきことの ほか、社会権規約2条1項、9条、11条1項及び一般的意見により、一旦設定された生活扶助基準を引き下げることは原則として許されず(制度後退禁止原則)、国において厚生労働大臣の判断の過程・手続を明らかにし、その過程・手続に過誤・欠落がないことを相当の根拠、資料に基づいて主張立証しない限り、同大臣の判断に不合理な点があること が事実上推認され、裁量権を逸脱濫用した違法、違憲があると判断され にし、その過程・手続に過誤・欠落がないことを相当の根拠、資料に基づいて主張立証しない限り、同大臣の判断に不合理な点があること が事実上推認され、裁量権を逸脱濫用した違法、違憲があると判断されるべき旨主張する。 しかしながら、憲法25条1項は、全ての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、国が個々の国民に対して具体的・現実的に上記のよ うな義務を有することを規定したものではない上、同条にいう「健康で文化的な最低限度の生活」は、抽象的かつ相対的な概念であって、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるから(前掲最高裁昭和57年7月7日大法廷判決参照)、憲 法25条は、社会経済情勢等の変化により、同条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」の具体的な水準が後退することがあり得ることも予定しているというべきである。そうすると、憲法25条が生活保護法に基づいて定められた生活扶助基準の引下げを行うことを原則的に禁止しているということはできない。憲法25条を受けて定められた生活保 護法3条の「健康で文化的な生活水準」や同法8条の「最低限度の生活」も同様に、生活扶助基準の引下げを禁止する趣旨であると解することはできない。むしろ、同法8条2項が、保護基準につき、最低限度の生活の需要を超えないものでなければならない旨を定めていることからは、生活扶助基準を引き下げることも、当然に想定されているというべきで ある。 また、生活保護法56条は、既に保護の決定を受けた個々の被保護者の権利及び義務について定めた規定であって、保護の実施機関が被保 下げることも、当然に想定されているというべきで ある。 また、生活保護法56条は、既に保護の決定を受けた個々の被保護者の権利及び義務について定めた規定であって、保護の実施機関が被保護者に対する保護を一旦決定した場合には、当該被保護者について、同法の定める変更の事由が生じ、保護の実施機関が同法の定める変更の手続を正規に執るまでは、その決定された内容の保護の実施を受ける法的地 位を保障する趣旨のものであると解される。このような同条の規定の趣旨に照らすと、同条にいう正当な理由がある場合とは、既に決定された保護の内容に係る不利益な変更が、同法及びこれに基づく保護基準の定める変更、停止又は廃止の要件に適合する場合を指すものと解するのが相当であり、保護基準自体が減額改定されることに基づいて保護の内容 が減額決定される本件のような場合については、同条が規律するところではないというべきである(前掲最高裁平成24年2月28日第三小法廷判決、同年4月2日第二小法廷判決参照)。 さらに、社会権規約9条は、「この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。」と規定するところ、こ れは、締約国において、社会保障についての権利が国の社会的政策により保護されるに値するものであることを確認し、上記権利の実現に向けて積極的に社会保障政策を推進すべき政治的責任を負うことを宣明したものであって、個人に対し即時に具体的権利を付与すべきことを定めたものではない。このことは、社会権規約2条1項が、締約国において「立 法措置その他のすべての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成する」ことを求めていることからも明らかである。したがって、社会権規約を根拠に、生活扶 いて「立 法措置その他のすべての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成する」ことを求めていることからも明らかである。したがって、社会権規約を根拠に、生活扶助基準の改定に係る厚生労働大臣の裁量権が制約されるということはできないし、生活扶助基準の引下げが原則として禁止されるということもできない(最高 裁昭和60年(行ツ)第92号平成元年3月2日第一小法廷判決・集民 156号271頁参照)。また、一般的意見が締約国に対して法的拘束力を有すると解すべき根拠はない。したがって、社会権規約の各規定及び一般的意見を根拠として、生活扶助基準を引き下げることが原則として許されないということはできない。 以上によれば、厚生労働大臣の行う生活扶助基準の引下げが原則とし て許されず、そのために厚生労働大臣の裁量権の範囲が限定され、国において厚生労働大臣の判断の過程・手続を明らかにし、その過程・手続に過誤・欠落がないことを相当の根拠、資料に基づいて主張立証しない限り、同大臣の判断に不合理な点があることが推認されるなどと解することはできず、原告らの上記主張は独自の見解であって採用できない。 原告らは、また、生活扶助基準を改定するに当たっては、生活保護法8条2項及び9条所定の要保護者の生活上の属性に関わる事項を考慮することが義務付けられており、国の財政事情、国民感情、政権与党の公約等の生活外的要素を考慮することは禁じられているか、禁止まではされないにしても、生活外要素の優先順位や重みづけは劣後する旨主張す る。 しかしながら、前記ア判示のとおり、生活保護法8条2項における最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、高度の専門技術的な考察と 重みづけは劣後する旨主張す る。 しかしながら、前記ア判示のとおり、生活保護法8条2項における最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものであることから、生活扶助基準の改定を行うに当たり、厚生労働大臣には専門技術 的かつ政策的な見地からの裁量権が認められると解すべきところ、上記の政策的判断においては、要保護者の生活上の属性に関わる事項だけではなく、国の財政事情、経済情勢、他の政策との関係等、多方面にわたる諸事情を広く考慮する必要があると解される。 したがって、厚生労働大臣が生活扶助基準の改定に際して裁量権を行 使するに当たり、生活保護法8条2項及び9条に定められた事項以外の 事項を考慮することが許されないということはできないし、種々の考慮要素にどのような重みづけをして判断するかについても、厚生労働大臣の裁量が制約されるということはできない。原告らの上記主張は、採用することができない。 ⑵ 本件各処分の適法性に関する判断の要旨 当裁判所は、前記判示の判断枠組みに即し、ゆがみ調整及びデフレ調整による生活扶助基準の改定を行った厚生労働大臣の判断について検討したところ、基準部会によって行われた平成25年検証の結果を踏まえ、平成25年報告書で示された年齢階級別指数、世帯人員別指数及び級地別指数を用いてゆがみ調整を行うとの判断には、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある とは認められないものの、ゆがみ調整の改定率の算出にあたり、減額改定となる部分のみならず、増額改定となる部分についても一律に1/2調整をした点において、被保護者の生活への影響等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある 調整の改定率の算出にあたり、減額改定となる部分のみならず、増額改定となる部分についても一律に1/2調整をした点において、被保護者の生活への影響等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認められると判断する。 また、ゆがみ調整に加えてデフレ調整を行った判断については、生活扶助 基準の改定に当たり消費者物価指数を用いたこと自体はともかく、水準均衡方式を採用し、生活保護において保障すべき最低限度の生活の水準を一般低所得世帯の消費水準と均衡した水準とする考え方を前提としつつ、デフレ調整を行う判断の過程において、ゆがみ調整に加えてデフレ調整を行った場合の生活扶助基準額が一般低所得世帯における消費水準と均衡したものかどう かについて適切な検討及び検証を行っていない点で、判断過程に過誤ないし欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があると認められると判断する。 以下、これらの判断の理由について詳述する。 ⑶ ゆがみ調整について(争点番号2-2)(1/2調整に関する判断を除く) アゆがみ調整の内容等 生活扶助基準額は、保護基準に基づき、標準世帯の最低限度の生活に要する費用を具体的金額として設定し、これを第1類費と第2類費に分けた上、第1類費については年齢別の栄養所要量を参考とした指数を、第2類費については世帯人員別の消費支出(第2類費相当)を参考とした指数をそれぞれ設定し、これらの指数を標準世帯の第1類費及び第2類費に適用 して、第1類費の年齢別の額及び第2類費の世帯人員別の額を算出し、さらに、級地別に設定した指数を乗じる方法によって算出した個人ごとの第1類費の額と第2類費の額を、世帯ごとに合計して算出されるものである(前記関係法令等の定め⑶)。 ゆがみ調整は、平成25年検証におい に、級地別に設定した指数を乗じる方法によって算出した個人ごとの第1類費の額と第2類費の額を、世帯ごとに合計して算出されるものである(前記関係法令等の定め⑶)。 ゆがみ調整は、平成25年検証において、年齢階級別、世帯人員別、級 地別に生活扶助基準額と消費実態の乖離が詳細に分析され、様々な世帯構成に展開するための指数について検証が行われ(検証の具体的な手法と結果は、前記前提事実⑵ウbのとおり。)、その結果として示された年齢階級別指数、世帯人員別指数及び級地別指数を用いて、生活扶助基準額と消費実態との間に生じている乖離を把握し、これに1/2調整を加えた年齢 階級別改定率、世帯人員別改定率、級地別改定率と逓減率を設定し、これを改定前の生活扶助基準額に乗じる方法により、生活扶助基準額を改定したものである(具体的な改定の方法は、前記前提事実⑵エのとおり。)。 イゆがみ調整を行うことの必要性等生活保護により保障すべき最低限度の生活の水準については、昭和58 年意見具申において、一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして設定すべきものとされ、昭和59年以降、水準均衡方式により一般低所得世帯の消費水準と均衡した水準の維持・調整が図られてきたものである(前記前提事実⑵ア及びイ)。 しかし、生活扶助基準額の算出方法(上記ア)に鑑み、標準世帯の第1 類費及び第2類費の額を様々な世帯に展開する展開部分の指数に、一般低 所得世帯の消費実態との乖離があれば、生活保護受給者(世帯)の年齢構成、世帯人員構成や居住地域によって、ある世帯では一般低所得世帯の消費水準に満たない扶助しか受けられず、ある世帯ではその水準を上回る扶助を受けることになり、生活保護受給者(世帯)間に不均衡(ゆがみ)が生 帯人員構成や居住地域によって、ある世帯では一般低所得世帯の消費水準に満たない扶助しか受けられず、ある世帯ではその水準を上回る扶助を受けることになり、生活保護受給者(世帯)間に不均衡(ゆがみ)が生じることになる上、ともすれば一般低所得世帯の消費水準と均衡した水 準であるとされてきた最低限度の生活を下回る扶助となり、あるいは最低限度の生活を超える扶助となりかねない。 このように、生活保護受給者(世帯)間の公平の観点からも、保護基準について「最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これを超えないものでなければならない」と規定する生活保護法8条2項 の趣旨からも、展開部分の指数に消費実態に適合しない不均衡(ゆがみ)が生じているのであれば、これを消費実態に合わせて調整する必要があるといえる。 ウ平成25年検証について平成25年検証は、平成19年検証において、世帯人員別及び年齢階 級別の生活扶助基準額の水準を検証した結果、世帯人員4人以上の多人数世帯に有利であり、世帯人員が少ない世帯に不利になっている実態、年齢階級別の生活扶助基準額が消費実態とやや乖離しているという結果が得られ、平成19年報告書により、世帯構成などが異なる生活保護受給者間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系としていくべき との観点から、必要な見直しを行っていくことが必要であるとの考え方が示されたこと(前記前提事実⑵イ)等を踏まえ、年齢階級別、世帯人員別、級地別に生活扶助基準額と消費実態の乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成に展開するための指数について検証を行ったものである。 その具体的な検証方法等は、①まず、平成21年全国消費実態調査の データを用いて、第1・十分位の年齢階級ごとの1人当たり消費の推計 に展開するための指数について検証を行ったものである。 その具体的な検証方法等は、①まず、平成21年全国消費実態調査の データを用いて、第1・十分位の年齢階級ごとの1人当たり消費の推計 値、世帯人員ごとの世帯の消費の平均値、各級地に居住する世帯の生活扶助相当支出の平均値をそれぞれ算出して指数化し、消費実態として年齢階級別、世帯人員別、級地別に生じている較差を示すそれらの指数と生活扶助基準額の指数を比較して乖離があることを確認した上で、②上記①の消費実態を示す指数が生活扶助基準額が想定するものと異なる程 度を具体的に評価するに当たっては、第1・十分位の全世帯が生活保護を受給したと仮定した場合の消費水準を平均指数法を用いて算出し、これと生活扶助基準額とを比較して指数化することとし、この方法で年齢階級別指数を算出し、これを起点として世帯人員別指数及び級地別指数を順次算出したものである(前記前提事実⑵ウb)。 すなわち、平成21年全国消費実態調査のデータから算出される年齢階級別、世帯人員別、級地別の第1・十分位にかかる消費実態と生活扶助基準額との間には、上記①の検証により乖離が確認されたものの、この乖離は様々な要因により生じていると考えられるところ、その中から年齢階級別・世帯人員別の体系及び級地の展開部分の指数が消費実態に 合っていないことによる影響のみを把握するため、上記②において、「第1・十分位の消費水準と、仮に第1・十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶助基準額との差が、消費水準と生活扶助基準額との差である」という考え方の下、上記①で算出した一般低所得世帯(第1・十分位)の消費の推計値に平均指数法による処理を行うことで、上記「消 費水準と生活扶助基準額との差」を取り除いた理論値を算出 差である」という考え方の下、上記①で算出した一般低所得世帯(第1・十分位)の消費の推計値に平均指数法による処理を行うことで、上記「消 費水準と生活扶助基準額との差」を取り除いた理論値を算出した上で、その理論値と生活扶助基準額との較差を体系及び級地にかかる展開部分の指数が消費実態に合っていないことによる影響からくる不均衡(ゆがみ)であるとして抽出し、把握したものと認められる。 そして、「第1・十分位の消費水準と、仮に第1・十分位の全世帯が生 活保護を受給した場合の生活扶助基準額との差が、消費水準と生活扶助 基準額との差である」という上記の考え方は、平成19年検証の際、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準額の乖離を検証する手法としても用いられたものであり(乙A41・6頁)、そのような推定をすることには合理性があるということができる。そうすると、上記「消費水準と生活扶助基準額との差」を取り除いた理論値と生活扶助基準額との較差 について、展開部分の指数が消費実態に合っていないことによる影響によるものであろうと推定することについても、合理性があるといえる。 したがって、平成25年検証における検証の手法は、展開部分の指数が消費実態に合っていないことによる影響を評価し、体系及び級地の不均衡(ゆがみ)を把握するものとして合理性が認められる。 エ小括以上のとおり、展開部分の指数に不均衡(ゆがみ)が生じている場合には、これを調整する必要性があると認められ、平成25年検証における検証方法は、そのゆがみを推定し、把握するものとして合理性が認められるところ、同検証の結果として示された年齢階級別指数、世帯人員別指数及 び級地別指数を用いて、ゆがみ調整を行うとした厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の 定し、把握するものとして合理性が認められるところ、同検証の結果として示された年齢階級別指数、世帯人員別指数及 び級地別指数を用いて、ゆがみ調整を行うとした厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるということはできない。 オ原告らの主張について原告らの主張の要旨原告らは、ゆがみ調整は水準均衡方式による生活扶助基準の改定では なく、方式変更について手続を経ていない(争点番号2-2-1)、平成25年検証は検証方法に種々の問題があり合理性を欠く(争点番号2-2-2)として、平成25年検証に基づいてゆがみ調整を行うとした厚生労働大臣の判断には裁量の著しい逸脱があると主張する。 ゆがみ調整は水準均衡方式による生活扶助基準の改定ではなく、方式 変更について手続を経ていない旨の主張について(争点番号2-2-1) 原告らは、ゆがみ調整は水準均衡方式とは異なる方式で生活扶助基準を改定しようとするものであり、かかる改定方式の変更について専門機関の提言などの手続を経ていないとして、ゆがみ調整をした厚生労働大臣の判断過程には過誤がある旨主張する。 従前より、生活扶助基準額は、標準世帯の最低限度の生活に要する費 用を具体的金額として設定し、これを第1類費と第2類費に分けた上、これに年齢階級別、世帯人員別、級地別の展開部分の指数を乗じる方法によって算出されてきたところ(前記関係法令等の定め)、ゆがみ調整は、展開部分の指数につき、一般低所得世帯(第1・十分位世帯)の消費実態に合わせるよう改定しようとするものであって、生活扶助基準 額の算定方法自体を改定するものではない。 また、昭和58年意見具申を踏まえて導入された水準均衡方式とは、生活保護において保障すべき最低限度の生活の水準を一般国民 ものであって、生活扶助基準 額の算定方法自体を改定するものではない。 また、昭和58年意見具申を踏まえて導入された水準均衡方式とは、生活保護において保障すべき最低限度の生活の水準を一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして捉え、国民の消費水準と均衡した水準に生活扶助基準額を維持・調整していくという考え方 であるところ、ゆがみ調整により展開部分の指数を一般低所得者世帯の消費実態に合わせようとすることは、むしろ、水準均衡方式の趣旨をより徹底するものといえるのであって、同方式に反するといえるものではない。 なお、原告らは、水準均衡方式につき、一般低所得世帯(第1・十分 位)の消費水準と生活扶助基準額との均衡を図ろうとするものではないなどとも主張する。しかし、昭和58年意見具申において、当時の生活扶助基準につき「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達している」と評価されたのは、昭和54年家計調査特別集計結果による収入階級別消費支出額の分析結果を踏まえ、変曲点(ある所得階層以下に なるとそれまでの消費支出のゆるやかな低下傾向と離れて、急激に消費 支出が下方へ変曲する所得分位)である第2.99・五十分位の消費水準と生活扶助基準額が概ね均衡していることを理由としたものであり(乙A32)、その後も一貫して一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準額の均衡が図られてきたものである(前記前提事実イ)。したがって、一般低所得世帯の消費水準を参考に生活扶助基準額を定めることが水準 均衡方式に反するといえるものではなく、原告らの上記主張は独自の見解であって採用できない。 平成25年検証の妥当性、合理性について(争点番号2-2-2)a 第1・十分位を比較対象としたことについて(争点番号2- いえるものではなく、原告らの上記主張は独自の見解であって採用できない。 平成25年検証の妥当性、合理性について(争点番号2-2-2)a 第1・十分位を比較対象としたことについて(争点番号2-2-2-1) 原告らは、第1・十分位を比較対象とした点で、平成25年検証は合理性に欠ける旨主張する。 しかし、前記ウ判示のとおり、平成25年検証は、平成21年全国消費実態調査のデータから第1・十分位の消費の推計値を算出し、第1・十分位において年齢、世帯人数、居住地別の要因によって生 じている消費のばらつきの実態を分析した上で、これに平均指数法による処理を行うことにより、その理論値と生活扶助基準額との較差を体系及び級地にかかる展開部分の指数が消費実態と合っていないことによる影響からくる不均衡(ゆがみ)であるとして抽出し、指数化したものである。これは、生活保護受給者間に生じている不 均衡を是正しようとするものであると認められ、上記各指数は、第1・十分位の消費支出の推計値と生活扶助基準額を直接比較してその乖離を指数化したものではなく、平均指数法による処理をして算出した理論値と生活扶助基準額を比較して指数化したものである。 そのため、上記各指数を用いてゆがみ調整を行う場合、第1・十分 位の消費水準と生活扶助基準額との間の乖離を一定程度調整する ことになるとは考えられるものの、その乖離の全てが調整され、調整後の生活扶助基準額が第1・十分位の消費水準と均衡することになるものではない。 また、展開部分の指数が消費実態と合っていないことにより生活保護受給者間に生じている不均衡を是正しようとする場合、生活保 護受給者(世帯)と近接する消費構造を持つ世帯を対象として比較しなければ、その不均衡を正しく把握できないと考 ていないことにより生活保護受給者間に生じている不均衡を是正しようとする場合、生活保 護受給者(世帯)と近接する消費構造を持つ世帯を対象として比較しなければ、その不均衡を正しく把握できないと考えられるところ、生活扶助基準額が第1・十分位の消費水準と均衡するものとして設定されてきた経緯(前記前提事実⑵ア及びイ)を踏まえると、第1・十分位は生活保護受給者(世帯)に近接する消費構造を持つ所得階 級であるといえるから、平成25年検証において、第1・十分位の消費の推計値を用いて展開部分の指数による不均衡を検証したことには合理性がある。 ⒝ これに対し、平成25年検証において第1・十分位を比較対象としたことが合理性を欠く旨の原告らの主張は、ゆがみ調整により、 生活扶助基準額が第1・十分位の消費水準と均衡したものになるという理解を前提とし、かつ、その水準は最低限度の生活の需要を満たすに足りない旨をいうものと解されるが、上記判示のとおり、ゆがみ調整後の生活扶助基準額が第1・十分位の消費水準と均衡することになるわけではないところ、その前提において当を得ていない というべきである。 また、2011年に実施された社会必需品調査(甲A31)において、回答者の50%以上が、現在の日本の社会において、すべての人にあてはまる生活水準として「必要であり、すべての人が得ることができるべき」と回答した項目を、社会的必需品として選別し、 この普及率を第1・十分位と第3・五分位で比較したところ、おお むね遜色なく充足されていることが確認されており(甲A28)、かかる方法により貧困を測定することは、OECDやEU等でも採択されている一般的に普及しているものであることが窺われる(甲A21)。この点、原告らは、上記調査において、回答者の ており(甲A28)、かかる方法により貧困を測定することは、OECDやEU等でも採択されている一般的に普及しているものであることが窺われる(甲A21)。この点、原告らは、上記調査において、回答者の50%以上が、現在の日本の社会において、ある家庭が普通に生活するために 「必要であり、すべての人が得ることができるべき」と回答した項目を、社会的必需品として選別して比較すべきであるとも主張するが、貧困を測定する手法として、回答者によって観念するところが異なる普通の生活を念頭においた回答結果によるべき合理的根拠は見出せない。 そして、生活扶助基準額を第1・十分位の消費水準と均衡したものとすること等、従前の考え方を維持していくことの当否については、基準部会においても議論がされているものの、具体的な見直しの必要性や内容が検討されるには至らなかったものである。すなわち、基準部会においては、世帯年収等のシェアの推移(甲A28) から、世帯所得のシェアが第1・十分位において下がっていること(世帯員1人あたり世帯年収を総世帯でみると、平成11年は3. 12%であったところが、平成21年は2.91%となっている)、中間所得層を含めて高所得層以外の全体の所得シェアが下がっていることが見て取れるとして、「基準展開の検証について、これまで 使用されてきた第1所得十分位を使用するのは、今回は2つの定義の所得十分位とも比べるということで非常に適当なことだとは思います。ただ、その基準展開をやった後の基準自体を考えるについて、やはりこのシェアの低下については慎重に考える必要がある」(甲A21・2頁。B委員)、「平均の大体6~7割水準が妥当とい う考え方でこれまで検証がずっとされてきたのですけれども、こう いう所得分布の姿を見ると ついては慎重に考える必要がある」(甲A21・2頁。B委員)、「平均の大体6~7割水準が妥当とい う考え方でこれまで検証がずっとされてきたのですけれども、こう いう所得分布の姿を見ると、今後はそれをどう考えるかはかなり抜本的に考え直す必要もあるかなと」(同3頁。C部会長代理)などと、ゆがみ調整後の将来的な検討課題としての指摘はあったものの、具体的な見直しの必要性や内容について検討されるには至っておらず、生活扶助基準額を第1・十分位の消費水準と均衡したものとす る場合の水準が、直ちに最低限度の生活の需要を満たすに足りないというべき状況にあったとまでは認められない。 ⒞ したがって、原告らの上記主張には理由がない。 b 比較対象から生活保護受給世帯が除外されていないことについて(争点番号2-2-2-2) 原告らは、比較対象となる第1・十分位のサンプル世帯から生活保護受給世帯を除外しておらず、そのことが基準部会で説明されることも議論されることもなかった点で、平成25年検証は不合理であり、手続の適正を欠く旨主張する。 しかし、前記ウ判示のとおり、平成25年検証は、平成21年全国 消費実態調査のデータから第1・十分位の消費の推計値を算出し、第1・十分位において年齢、世帯人数、居住地別の要因によって生じている消費のばらつきの実態を分析した上で、これに平均指数法による処理を行うことにより、その理論値と生活扶助基準額との較差を体系及び級地にかかる展開部分の指数が消費実態と合っていないことによ る影響からくる不均衡(ゆがみ)であるとして抽出し、指数化したものである。ここで、低所得世帯について年齢、世帯人数、居住地別の要因によって生じる消費のばらつきが、生活保護受給世帯であるか否かによって有意 からくる不均衡(ゆがみ)であるとして抽出し、指数化したものである。ここで、低所得世帯について年齢、世帯人数、居住地別の要因によって生じる消費のばらつきが、生活保護受給世帯であるか否かによって有意な影響を受けるとは考え難く、検証の対象とした第1・十分位世帯のサンプルから生活保護受給世帯とみられるサンプル を除外しなかったことによって、消費のばらつきの実態が誤って把握 されることになるとはいえないし、統計学上の原則に反した検証手法であるということもできない。 したがって、上記除外をしなかったことをもって、平成25年検証の検証方法が不合理である旨をいう原告らの主張には理由がなく、手続の適正を欠く旨の原告らの主張について判断するまでもない。 c 統計データについて(争点番号2-2-2-3)原告らは、平成25年検証に用いられた第1・十分位世帯の類型別サンプル数が特定の類型(例えば、都市部である1級地の1の5人世帯や、地方である3級地の2の稼働年齢層の世帯類型)で著しく少ないため、同検証は信頼性に欠ける旨主張する。 統計学上、抽出調査のサンプル数は多いことが望ましいとはいえ、平成21年全国消費実態調査のデータを用いる以外に、当時の消費実態を分析、検証するための適切な手法があったとは窺われない。 また、平成25年検証においては、第1・十分位における年齢階級ごとの1人当たり消費の推計値、世帯人員ごとの世帯の消費の平 均値、各級地に居住する世帯の生活扶助相当支出の平均値をそれぞれ算出しており(前記前提事実ウb)、「1級地の1の5人世帯」といった細分化した類型を設定して分析したものではなく、統計学的に信頼性が欠けるというべき程にサンプル数が不足していたと認めるに足りる証拠はない。なお、平成21年全国消費実 「1級地の1の5人世帯」といった細分化した類型を設定して分析したものではなく、統計学的に信頼性が欠けるというべき程にサンプル数が不足していたと認めるに足りる証拠はない。なお、平成21年全国消費実態調査の 対象に10代以下の単身世帯がほとんどおらず、10代以下の消費を正確に計測できないという限界があったことについても、回帰分析の方法を用いて年齢階級別の消費支出(第1類費相当額)の推計が行われている(乙A7)。 したがって、原告らの上記主張をもって、平成25年検証が合理 性、信頼性に欠けるということはできない。 ⒝ また、原告らは、平成25年検証において、他の同種データ(平成21年全国消費実態調査において総務省統計局が示した年間収入十分位階級ごとの年間可処分所得等のデータをいうものと解される。)と整合しないものが使用されていると指摘する。 しかし、平成25年検証においては、平成21年全国消費実態調 査の個票データを用い、世帯の年間年収(データ①)と世帯員1人当たりの年間収入(データ②)の2通りで第1・十分位のデータを設定して、消費の推計値を算出しており、データ①及び②を構成する個票データを選定するにあたっては、世帯年収、世帯員1人当たりの年収が下位の世帯から個票データを順に並べ、集計用乗率を乗 じて得られる世帯数が総世帯数の下位10%になるところまでの個票データを第1・十分位としている(乙A7、弁論の全趣旨)。このように平成25年検証は、総務省統計局が区分した第1・十分位の世帯を対象として第1・十分位の消費実態を分析したものではないから、平成25年検証で第1・十分位の世帯として把握される世 帯(個票データ)と総務省統計局が区分した第1・十分位の世帯が異なるのは当然であり、原告らの上記指摘はそ 実態を分析したものではないから、平成25年検証で第1・十分位の世帯として把握される世 帯(個票データ)と総務省統計局が区分した第1・十分位の世帯が異なるのは当然であり、原告らの上記指摘はそもそも当を得ていない。 ⒞ 原告らは、平成25年検証に用いられた平成21年全国消費実態調査のデータは、季節性が限定されていること等により、必ずしも 正確ではないという問題点があるとも指摘する。 しかし、上記データに統計調査上の限界に由来する不正確さがある可能性をもって、当該データを用いて消費実態を分析したことが不適切ないし不合理であるということはできないし、他に消費実態の分析に適した統計データがあり、あるいは統計データによらない 消費実態の分析、把握の方法があるとは考え難いところ、原告らの上記指摘をもって、平成25年検証が合理性を欠くとはいえない。 d 回帰分析の手法について(争点番号2-2-2-4)平成25年検証においては、年齢階級別の消費支出(第1類費相当支出)の推計値を算出するにあたって回帰分析の手法を用い、そ の推計値につき平均指数法による処理を行った上で生活扶助基準額と比較して年齢階級別指数を示しているところ、原告らは、上記推計値が消費実態とかけ離れており、これは、上記回帰分析につき、決定係数が低い、t検定において帰無仮説が棄却できなかった説明変数を除外していないなどの問題があるためであって、消費実態を 反映できていない推計値に基づいて行われたゆがみ調整には合理性がない旨主張する。 ⒝ まず、原告らは、上記回帰分析により推計された消費支出額が「60~69歳」と比べて「20~40歳」の消費支出額が約84%であるのに対し(消費支出の推計値の指数が、データ①につき、60 ~69歳の1. 告らは、上記回帰分析により推計された消費支出額が「60~69歳」と比べて「20~40歳」の消費支出額が約84%であるのに対し(消費支出の推計値の指数が、データ①につき、60 ~69歳の1.00に対し、20~40歳が0.84であることを指すものと解される。乙A7・14頁参照)、生活扶助基準額は「60~69歳」の世帯構成員が1人いる世帯と比べて「20~40歳」の世帯構成員が1人いる世帯では12%も多く支給されており、回帰分析により推計された消費支出の推計値が現実の消費実態から かけ離れていると主張する。 しかし、このような論理は、年齢階級別の生活扶助基準額が一般低所得世帯における年齢階級別にみた現実の消費実態と等しいか近似するという前提に立たない限り成立しないものである。年齢階級別にみた生活扶助基準額と消費実態との間に乖離がみられるこ とは、平成19年検証の際にも指摘されているところであって(前 記前提事実⑵イb②ⅱ)、年齢階級別にみた生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費実態と等しく、あるいは近似していたとは認められず、前提において誤りがあると言わざるを得ない。 ⒞ また、原告らは、上記回帰分析における決定係数(データ①につき0.28、データ②につき0.36である。乙A7・13頁の表 を参照)が低いことや、t検定において帰無仮説が棄却できなかった説明変数を除外していない点を指摘する。 しかし、回帰分析における決定係数につき、どの程度の値であれば妥当であるかという一般的な基準は存在せず、家計データ等のクロス・セクションデータの分析においては、0.3程度しか得られ ない場合も多く、0.5であれば極めて良いと判断されるというから(乙A69、70)、上記決定係数をもって、上記回帰分析が統計学的に妥当 セクションデータの分析においては、0.3程度しか得られ ない場合も多く、0.5であれば極めて良いと判断されるというから(乙A69、70)、上記決定係数をもって、上記回帰分析が統計学的に妥当性を欠くものとは認められない。さらに、帰無仮説が棄却されないことの統計学的な意味は、結果が帰無仮説(上記回帰分析においては、「2級地の2ダミー」等の説明変数が、被説明変数で ある第1類費相当支出額に与える効果が0であること)と矛盾しないという点にあり、帰無仮説が真実であることが積極的に証明されたことにはならないところ(乙A71)、帰無仮説が棄却された説明変数を除外した回帰分析(例えば、「2級地の2」に居住していることが、第1類費相当支出額に全く影響を与えないものとして分析す ること)を行わなければ、その分析結果が統計学的に誤ったものになるとまで認めることはできない。 なお、原告らは、上記回帰分析につき、誤差項の分散均一性、正規性及び説明変数間の多重共線性などの検討が行われていないとも指摘するが、これらの事後的な精度検証を行わなければ、回帰分 析結果の信頼性が確保されないと認めるに足りない。 ⒟ したがって、原告らの上記主張をもって、平成25年検証やこれに基づくゆがみ調整が合理性に欠けるということはできない。 小括以上のとおり、1/2調整を除き、ゆがみ調整を行った厚生労働大臣の判断に裁量の著しい逸脱がある旨の原告らの主張には、いずれも理由 がない。 1/2調整について(争点番号2-2-3)ア 1/2調整の内容厚生労働大臣は、ゆがみ調整を行うに際し、平成25年検証において示された、生活扶助基準額と一般低所得世帯(第1・十分位)との比較にお いて、年齢階級別、世帯人員別、 ア 1/2調整の内容厚生労働大臣は、ゆがみ調整を行うに際し、平成25年検証において示された、生活扶助基準額と一般低所得世帯(第1・十分位)との比較にお いて、年齢階級別、世帯人員別、居住地別に生じている展開部分の指数の不均衡(ゆがみ)について、その全てを調整するのではなく、1/2の限りでこれを調整することとし、具体的には、現行の生活扶助基準額に乗ずる改定率や逓減率を算出するに当たり、「消費実態の指数/生活扶助基準額の指数」の計算(ゆがみの全部を調整する計算。以下「完全ゆがみ調整」 という。)によるのではなく、「(消費実態の指数+生活扶助基準額の指数)/2/生活扶助基準額の指数」の計算を行っている(前記前提事実⑵エ及び)。 イ 1/2調整の必要性等被告らは、子どものいる世帯への配慮(貧困の世代間連鎖の防止)等 を踏まえた激変緩和措置として1/2調整を行った旨主張する。 しかし、厚生労働省が平成25年改定を行うにあたって作成した内部資料(乙A17・2枚目、乙A54・4頁)には、激変緩和措置について、①基準の見直し幅の上下限の設定(見直しの影響を一定程度に抑える観点から、生活扶助基準額の増減幅は、過去の類例等を参考に、±1 0%を限度とする。)と②基準の見直しの段階的実施(生活扶助基準額の 見直しは、平成25年度から、3年間をかけて段階的に実施する。)との記載しかない。1/2調整をした上でデフレ調整を行い、世帯ごとの増減幅を最大10%とした場合の生活扶助基準額を試算した資料(乙A54・5頁)においても、1/2調整を行う理由についての記載はなく、1/2調整を行うこととした厚生労働大臣の判断の過程が、被告らの上 記主張のとおりであったかどうかは、本件の証拠上必ずしも明らかではない。 ても、1/2調整を行う理由についての記載はなく、1/2調整を行うこととした厚生労働大臣の判断の過程が、被告らの上 記主張のとおりであったかどうかは、本件の証拠上必ずしも明らかではない。 この点をひとまず措き、被告らの上記主張のとおり、1/2調整が子どものいる世帯への配慮(貧困の世代間連鎖の防止)等を踏まえた激変緩和を目的として行われたものであるとすれば、貧困の世代間連鎖を防 止する観点から子どものいる世帯への影響に配慮する必要性があることは、平成25年報告書(乙A7・10頁)でも指摘されているところである。また、完全ゆがみ調整を行えば減額改定となる年齢階級、世帯人員数、居住地(級地)の部分に関しては、1/2調整を行うことで改定による影響が緩和されることは明らかであり、生活扶助基準額を従前の 水準から引き下げることに慎重であるべきことは、平成19年報告書の読み方について生活扶助基準検討会委員が指摘しているところでもある(前記前提事実⑵イc)。したがって、このような観点から生活扶助基準額減額の影響を緩和しようとするのであれば、その目的には合理性がある。 しかしながら、1/2調整は、完全ゆがみ調整を行えば増額改定となる部分(「消費実態の指数/生活扶助基準額の指数」の計算で算出される改定率が1を超える部分)についても、1/2の限度でしか調整を行わなかったものであり、その結果、当該部分については、完全ゆがみ調整を行った場合との比較において増額が抑制されるものであったと認めら れる。 減額部分につき、生活保護受給者(世帯)への影響を考慮した緩和措置を講じることについては、上記判示のとおり合理性があるといえるものの、増額部分につき、その増額を抑制することについては、被保護者の生活への影響等の 、生活保護受給者(世帯)への影響を考慮した緩和措置を講じることについては、上記判示のとおり合理性があるといえるものの、増額部分につき、その増額を抑制することについては、被保護者の生活への影響等の観点からみて、合理的な理由を見出し難い。 完全ゆがみ調整を行った場合と1/2調整をした場合とで、最終的に 算出される生活扶助基準額にどの程度の影響が生じるかについては、年齢階級、世帯人員数、居住地によって様々であって一概に比較することはできないが、例えば、生活保護受給者のうち約51%を占める60歳以上の者(甲A7・5頁)につき、その者が生活保護受給世帯の相当割合を占める単身世帯(前記前提事実⑵イbのとおり、平成16年検証 時点で被保護世帯に占める単身世帯の割合は74.2%であり、平成25年当時における同割合は証拠上明らかではないものの、なお相当に高い割合であったと推察できる。)である場合について、例えば1級地の1の第1類費についてみると、下表のとおり、1/2調整を行うことにより、ゆがみ調整による増額が、完全ゆがみ調整を行ったときとの比較に おいて、大きく抑制される結果になると考えられる。このように、1/2調整を行うことにより、同調整をしない場合との比較において、生活扶助基準額が減ることになる生活保護受給者(世帯)が生じることは、同調整を行うかどうかを判断するに当たり、厚生労働大臣において、当然に認識し得たはずのものである。 加えて、被告らは、1/2調整につき、子どもがいる世帯への影響に配慮したものであるとも主張するが、年齢階級別指数についてみると、0~2歳、3~5歳の年齢階級においては、生活扶助基準額の指数が消費実態の指数を大きく下回り、そのために、1/2調整をすることによ って、下表のとおり 主張するが、年齢階級別指数についてみると、0~2歳、3~5歳の年齢階級においては、生活扶助基準額の指数が消費実態の指数を大きく下回り、そのために、1/2調整をすることによ って、下表のとおり、完全ゆがみ調整をする場合との比較において、改定率が大きく抑制されているのであって、このことは、子どもがいる世帯への配慮という上記目的と整合しない。 年齢階級生活扶助基準額1.19完全ゆがみ調整1.0756消費実態1.281/2調整1.0378生活扶助基準額0.88完全ゆがみ調整1.1364消費実態1.001/2調整1.0682生活扶助基準額1.02完全ゆがみ調整0.9804消費実態1.001/2調整0.9902完全ゆがみ調整1.19831/2調整1.0977完全ゆがみ調整¥43,2601/2調整¥39,627年齢階級生活扶助基準額1.06完全ゆがみ調整1.0189消費実態1.081/2調整1.0094生活扶助基準額0.88完全ゆがみ調整1.1364消費実態1.001/2調整1.0682生活扶助基準額1.02完全ゆがみ調整0.9804消費実態1.001/2調整0.9902完全ゆがみ調整1.13511/2調整1.0677完全ゆがみ調整¥36,7091/2調整¥34,529年齢階級別指数改定率70歳~世帯人員別指数改定率改定率計現行基準額が3万2340円である場合の改定後基準額級地別指数改定率年齢階級別指数改定率60~69歳世帯人員別指数改定率改定率計現行基準額が3万6100円である場合の改定後基準額級地別指数改定率 被告らは、減額部分のみならず増額部分についても一律に1/2調整を行っ 世帯人員別指数改定率改定率計現行基準額が3万6100円である場合の改定後基準額級地別指数改定率 被告らは、減額部分のみならず増額部分についても一律に1/2調整を行った理由につき、減額部分に限って1/2調整を行うことは、平成25年検証が生活保護受給者間における公平性を確保する観点から行われたにもかかわらず、検証結果の取扱いについて生活保護受給者間の公 平性を欠くことになりかねず、また、増額又は減額のいずれかに偏った反映をすることは、生活扶助基準の「展開のための指数」の検証という平成25年検証の本質的な趣旨を改変することになるなどとも主張する。 しかし、厚生労働大臣において、そのような判断過程により、増額部 分についても一律に1/2調整を行う判断をしたと認めるに足りる適確な証拠はない上、仮にそのような判断過程により上記判断をしたのであれば、減額部分について1/2調整を行うことは、一般低所得世帯の消費実態との比較において、当該受給者に対する生活扶助基準額の算出過程で展開部分の指数に関し有利な設定をすることを意味する一方で、増 額部分について1/2調整を行うことは、上記同様の比較において、不利な設定をすることを意味する。水準均衡方式のもと、生活扶助基準額は一般低所得世帯の消費水準と均衡するものとして保障されるべきところ、減額部分・増額部分を問わず一律に1/2調整をすることは、生活保護受給者間の不均衡・不公平を拡大するものに他ならず、上記判断に は明らかな誤謬があると言わざるを得ない。 ウ小括生活扶助基準額0.69完全ゆがみ調整1.4493消費実態1.001/2調整1.2246生活扶助基準額0.86完全ゆがみ調整1.1977消費実態1.031/2調整 ウ小括生活扶助基準額0.69完全ゆがみ調整1.4493消費実態1.001/2調整1.2246生活扶助基準額0.86完全ゆがみ調整1.1977消費実態1.031/2調整1.0988年齢階級別指数改定率年齢階級別指数改定率0~2歳3~5歳 以上によれば、厚生労働大臣において、完全ゆがみ調整を行えば減額改定となる部分につき激変緩和措置として1/2調整を行った点については、その判断に合理性が認められるものの、増額部分についても一律に1/2調整をした点については、その判断に合理性がなく、判断過程に明らかな過誤があるものとして、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるというべ きである。 ⑸ ゆがみ調整に加え、デフレ調整を行ったことについて(争点番号2-3)アゆがみ調整に加えてデフレ調整を行う旨の厚生労働大臣の判断過程本件改定は、平成25年検証の結果を踏まえたゆがみ調整を行うことに加え、「前回の見直し(平成20年)以降、基準額は見直されていないが、 その間、デフレ傾向が続いている。このため、実質的な購買力を維持しつつ、客観的な経済指標である物価を勘案して基準額の見直しを行う。」、「前回の検証の結果(平成19年報告書)を踏まえた上で、当時の政府の判断として、平成20年度以降の基準を据え置くことが妥当とされたことから、物価動向を勘案する起点は平成20年以降とする。」として、改定前の生活 扶助基準額に、年齢階級別改定率、世帯人員別改定率、級地別改定率及び逓減率を乗じるゆがみ調整を行うとともに、生活扶助相当CPIの平成20年から平成23年までの下落率4.78%(0.952)を乗じるデフレ調整を行ったものである(前記前提事実エ、)。 すなわち、厚生労働大臣は、ゆがみ調整が「第1・十分 活扶助相当CPIの平成20年から平成23年までの下落率4.78%(0.952)を乗じるデフレ調整を行ったものである(前記前提事実エ、)。 すなわち、厚生労働大臣は、ゆがみ調整が「第1・十分位の消費水準と、 仮に第1・十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶助基準額との差が、消費水準と生活扶助基準額との差である」という考え方の下、平成21年全国消費実態調査のデータから算出した一般低所得世帯(第1・十分位)の消費の推計値に平均指数法による処理を行うことで、上記「消費水準と生活扶助基準額との差」を取り除いた理論値を算出した上で、そ の理論値と生活扶助基準額との較差を体系及び級地にかかる展開部分の指 数が消費実態に合っていないことによる影響からくる不均衡(ゆがみ)として把握したものであるため(前記ウ)、生活扶助基準額の算出過程に当てはめたとき、ゆがみ調整は展開部分の指数を改定したものと位置付けられ、標準世帯の基準額という意味における「水準」を改定するものではないとして、この基準額については、消費者物価指数を指標としてデフレ 調整を行う旨判断したものと認められる。 イゆがみ調整の効果ゆがみ調整は、平成25年検証において平成21年全国消費実態調査のデータを用いて一般低所得世帯の消費水準を推計した上で平均指数法による処理を行った理論値を算出し、この理論値と生活扶助基準額を比較して 算出した指数(年齢階級別指数、世帯人員別指数、級地別指数)を用いて改定率や逓減率を設定した上、これを現行の生活扶助基準額に乗ずることで生活扶助基準額を改定したものであり、厚生労働大臣の上記判断過程のとおり、標準世帯の基準額という意味における「水準」を改定したといえるものではない。 しかし、ゆがみ調整が上記改 ずることで生活扶助基準額を改定したものであり、厚生労働大臣の上記判断過程のとおり、標準世帯の基準額という意味における「水準」を改定したといえるものではない。 しかし、ゆがみ調整が上記改定率や逓減率を改定前の生活扶助基準額に乗じて生活扶助基準額を算出するものである以上、生活保護受給者(世帯)が受給する生活扶助基準額という意味における「水準」(水準均衡方式の下、一般低所得世帯の消費水準と均衡するものとして生活保護において保障すべき最低限度の生活の「水準」とは、最終的にはこの意味における「水準」 をいうものと解される。)を改定するものであることは明らかである。 このようにゆがみ調整は、平均指数法による処理をしたとはいえ、一般低所得世帯の消費実態を踏まえて算出した理論値と生活扶助基準額を比較した指数により改定率や逓減率を設定したものであるため、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準額との間の乖離について、その全てを調整す るものではないにせよ、体系及び級地にかかる展開部分の指数が消費実態 と合っていないことによる影響からくる不均衡(ゆがみ)であると推定した限りにおいて、これを調整するものということができる。 ウゆがみ調整後の生活扶助基準額と消費水準との間に残る乖離(残差)について上記判示のとおり、ゆがみ調整は、生活扶助基準額と一般低所得世帯 の消費水準との間の乖離を調整するものであるが、平成21年全国消費実態調査のデータから算出された消費の推計値と生活扶助基準額の乖離をそのまま調整したものではなく、平均指数法による処理をした理論値と生活扶助基準額を比較して算出した指数を用いて改定率や逓減率を設定し、これを改定前の生活扶助基準額に乗じて改定をしたものである。 そのため、ゆがみ調整を行っ 平均指数法による処理をした理論値と生活扶助基準額を比較して算出した指数を用いて改定率や逓減率を設定し、これを改定前の生活扶助基準額に乗じて改定をしたものである。 そのため、ゆがみ調整を行った上でも、生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費水準との間(より具体的には、平均指数法による処理をする前の消費水準と処理後の理論値との間)に、さらに調整を行う余地のある乖離(残差)がある可能性があると考えられる。このことは、基準部会においても「現行基準額の体系及び級地をすべて消費の実態並みにして もなお、基準額の水準と消費水準には残差がある可能性が考えられる。」(乙A40・10頁)と指摘されているところである。 ここで、上記残差についてみると、平成25年検証は、標準世帯について一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準額の乖離を検証し、その乖離を調整するという従前の改定方式とは異なり、年齢階級別、世帯人 員別、級地別に生活扶助基準額と消費実態の乖離を分析・推計し、その結果を踏まえて各指数を算出したものであるから、年齢階級、世帯人員、級地別に、平成21年全国消費実態調査のデータを用いて推計された消費実態と生活扶助基準額との間の乖離は一様ではなかったと考えられる。 この点、当裁判所は、被告らに対し、ゆがみ調整にあたって用いられ た指数の算出過程を実際に用いた計算式と数値を示して説明することを 求めたが、被告らは、既にデータが廃棄されたとして平均指数法による年齢階級別指数の算出方法を仮のケースを用いて説明するにとどまる上(被告らの令和6年3月5日付け求釈明に対する回答書)、被告らの説明によっても、世帯人員別指数や級地別指数の具体的な算出方法については明らかではなく、平成25年検証で推計された一般低所得世帯にお ける年 和6年3月5日付け求釈明に対する回答書)、被告らの説明によっても、世帯人員別指数や級地別指数の具体的な算出方法については明らかではなく、平成25年検証で推計された一般低所得世帯にお ける年齢階級別、世帯人員別、級地別の具体的な消費実態、これに平均指数法による処理を行うことで得られた理論上の額、同額と実際の消費水準との乖離の程度等についても明らかではない。 基準部会(第11回部会・甲A21)においても、「こういう展開をしていって、最後の基準額の水準と消費水準に残差がある可能性があると いうときの消費水準ということと、基準表それ自体を消費の実態と比べて(中略)比較に耐えられるデータが全消の中にあるかといったら、多分ないと思います」(C部会長代理)、「恐らくこの調整方法だけでは現在の基準と第1十分位の消費実態との間の差は残る部分はある。これは全て調整をしても基準と消費水準の間に残差がある可能性が残っていると 思います。この残差が一体何なのかは非常にさまざまな要因が輻輳して入っておりますので、ここをさらに何なのかを分析するのはかなり難しい。(中略)この辺は比較するパターンのサンプルが第1十分位の中でも決して多いわけではないですから、どうしてもこうした形の残差が残ってしまうのだろうなと思います。(中略)やってみなければわからない部 分があって、どのくらいの残差が出てくるかはわからないです。」(D部会長)、「全消データが最終的な残差額を比較して残差があるとかないとか、つまり高いとか低いとかいう議論になるときに耐えられるだけのいろいろな世帯パターンや標本層を持っているかというと、やはりそれはすごく難しい」(C部会長代理)などと議論されている。 要するに、基準部会は、平成25年検証において年齢階級別・世帯人 ろいろな世帯パターンや標本層を持っているかというと、やはりそれはすごく難しい」(C部会長代理)などと議論されている。 要するに、基準部会は、平成25年検証において年齢階級別・世帯人 員別の体系及び級地の展開部分の指数が消費実態に合っていないことによる影響を検討し、その結果に基づいてゆがみ調整を行っても、改定後の生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費水準との間に乖離(残差)が残る可能性はあるが、世帯のパターンが極めて多様であるため、パターン別に生活扶助基準額が消費水準と均衡しているかを検証しようとして も、全国消費実態調査のデータから適切なサンプル数を確保できないことなどから検証不能であるとして、この残差の点を課題として積み残したものと認められる。このことは、平成25年報告書に、検証結果に関する留意事項として、「年齢、世帯人員の体系、居住する地域の組み合わせによる基準の展開の相違を消費実態に基づく指数に合わせたとしても、 なお、その値と一般低所得世帯の消費実態との間には、世帯構成によってさまざまに異なる差が生じうる。こうした差は金銭的価値観や将来見込みなど、個々人や個々の世帯により異なりかつ消費に影響を及ぼす極めて多様な要因により生ずると考えられる。しかし、具体的にどのような要因がどの程度消費に影響を及ぼすかは現時点では明確に分析ができ ないこと、また、特定の世帯構成等に限定して分析する際にサンプルが極めて少数となるといった統計上の限界があることなどから、全ての要素については分析・説明に至らなかった。」と記載されていることからも明らかである(乙A7・9頁)。 このように、ゆがみ調整を行った場合、同調整後の生活扶助基準額 と一般低所得世帯の消費水準との間に乖離(残差)が残る可能性があったとはい れていることからも明らかである(乙A7・9頁)。 このように、ゆがみ調整を行った場合、同調整後の生活扶助基準額 と一般低所得世帯の消費水準との間に乖離(残差)が残る可能性があったとはいえ、その残差の有無及び程度は明らかではなく、平成25年検証の際、基準部会において検討、検証が行われたものでもないのであって、標準世帯における消費水準と生活扶助基準額の乖離が上記残差をあらわしていると言いうるものではなく、ゆがみ調整に加えて標準世帯の 基準額を改定した場合に、改定後の生活扶助基準額が直ちに一般低所得 世帯の消費水準と均衡したものとなるという単純なものとは捉えられない。 厚生労働大臣は、昭和59年以降、生活保護において保障すべき最低限度の生活の水準は、一般低所得世帯の消費水準と均衡したものであるという基本的な考え方の下、生活扶助基準の改定を行ってきたのであっ て、そのことは平成25年改定時点でも異なるところはなかったと認められるところ、ゆがみ調整を行った後も、生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費水準との間に乖離(残差)が残る可能性があるとの平成25年検証の結果を踏まえ、ゆがみ調整に加えて当該乖離の是正を目的とした調整を行うこと自体は是認し得るとしても、そのような調整を行うの であれば、ゆがみ調整と合わせた結果、一般低所得世帯の消費水準との均衡が維持されているかどうかについては、十分かつ適切な検証、検討が必要であったというべきである。 エゆがみ調整に加え、デフレ調整をすることとした厚生労働大臣の判断過程における過誤、欠落の有無について 上記ア判示のとおり、厚生労働大臣は、ゆがみ調整は展開部分の指数を改定したもので、標準世帯の基準額を改定するものではないという整理の下、ゆがみ調整に加え、同基 る過誤、欠落の有無について 上記ア判示のとおり、厚生労働大臣は、ゆがみ調整は展開部分の指数を改定したもので、標準世帯の基準額を改定するものではないという整理の下、ゆがみ調整に加え、同基準額の見直しとして消費者物価指数(生活扶助相当CPI)を用いてデフレ調整を行ったものである。 ここで、消費構造(最低限度の生活に必要な消費財の品目、量、質 等)が不変であると仮定した場合、物価の上昇又は下落により購買力が上下して可処分所得が増減することになるところ、物価は消費に影響を与える重要な一要素であり、また、消費者物価指数は年金改定の指標としても用いられ、平成15年中間とりまとめにおいて、消費者物価指数を生活扶助基準の改定指標の一つとして用いることも提案さ れていたことに鑑みれば、生活扶助基準の改定に消費者物価指数を用いること自体が不適切であるとは直ちにいえない。 また、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費水準との均衡を維持するための改定指標として用いる限り、消費者物価指数を用いることが水準均衡方式を逸脱したものということもできない(ただし、物価は そのままでは消費水準を示すものではないため、一般低所得世帯の消費水準と均衡していることをもって最低限度の生活とする考え方を維持しつつ、消費者物価指数を改定の指標とするのであれば、物価と消費の関係についても検証、検討が行われるべきであろうとは考えられる。)。 しかし、上記イ及びウ判示のとおり、ゆがみ調整は、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準額との間の乖離について、その全てを調整するものではないにせよ、体系及び級地にかかる展開部分の指数が消費実態と合っていないことによる影響からくる不均衡(ゆがみ)であると推定した限りにおいて、これを調整するものである いて、その全てを調整するものではないにせよ、体系及び級地にかかる展開部分の指数が消費実態と合っていないことによる影響からくる不均衡(ゆがみ)であると推定した限りにおいて、これを調整するものである上、ゆがみ 調整を行った後も、生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費水準との間に乖離(残差)が残る可能性があったとはいえ、その残差の有無及び程度は明らかではなく、基準部会においても検討、検証は行われていない。 したがって、水準均衡方式を採用し、生活保護において保障すべき 最低限度の生活の水準を一般低所得世帯の消費水準と均衡した水準とする考え方を前提としつつ、ゆがみ調整に加え、標準世帯の基準額について消費者物価指数を指標とした改定(デフレ調整)を行うのであれば、その判断過程において、上記残差について検討し、ゆがみ調整と合わせた改定後の生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費水準と均 衡したものであって生活保護において保障すべき最低限度の生活が確 保されるものであることについて、十分な検証と検討が必要であるというべきである。 しかるに、本件全証拠によっても、本件改定を行うにあたって、そのような検討、検証が行われた形跡はまったく窺われない。このような検討、検証を行わないまま、ゆがみ調整に加え、標準世帯の基準額 を改定するデフレ調整を行うこととした厚生労働大臣の判断過程には、過誤ないし欠落があると言わざるを得ない。 オ小括以上によれば、厚生労働大臣は、生活保護において保障すべき最低限度の生活の水準は一般低所得世帯の消費水準と均衡したものであるという基 本的な考え方を維持しつつ、平成25年検証の結果として、ゆがみ調整を行った後も生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費水準との間に乖離(残差)が残る可能性はあるもの と均衡したものであるという基 本的な考え方を維持しつつ、平成25年検証の結果として、ゆがみ調整を行った後も生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費水準との間に乖離(残差)が残る可能性はあるものの、その有無や程度については検証不能であるとして積み残された課題とされながら、ゆがみ調整に加えてデフレ調整を行った場合に生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費水準と均衡したも のとなるかについての検討、検証を欠いたまま本件改定を行ったものと認められ、その判断の過程には過誤ないし欠落があり、デフレ調整の内容等、その余の点について検討するまでもなく、本件改定をした厚生労働大臣の判断には、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるというべきである。 カ被告らの主張について これに対し、被告らは、①平成20年以降、世界金融危機が実体経済に大きな影響を与え、賃金、物価、家計消費等がいずれも下落し、夫婦子1人の一般低所得世帯(第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支出額)は、平成21年時点で、平成16年から約11.6%下落し、平成19年検証時点における夫婦子1 人の生活扶助基準額を約12.6% 下回るものとなっていたから、仮に上記消費水準の動向に基づいて生活 扶助基準額を11.6%ないし12.6%引き下げたとしても、現実の生活条件を無視した著しく低い基準を設定したとは必ずしもいえないところ、ゆがみ調整に加えて-4.78%のデフレ調整を行ったとしても、激変緩和措置により本件改定による減額幅の上限が10%とされたことも踏まえると、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定したこ とにはならない、②平成29年に行われた基準部会による検証の結果、本件改定後の夫婦子1人世帯における生活扶助基準額が一般低所得世帯(第1・ 、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定したこ とにはならない、②平成29年に行われた基準部会による検証の結果、本件改定後の夫婦子1人世帯における生活扶助基準額が一般低所得世帯(第1・十分位)の消費水準とおおむね均衡することが確認されたと評価されており、デフレ調整の妥当性が裏付けられているなどとして、デフレ調整を含む本件改定を行った厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の 逸脱又は濫用はない旨主張する。 しかし、①平成21年時点における夫婦子1人の一般低所得世帯の消費水準(平成21年全国消費実態調査のデータに基づくもの)が、平成16年から約11.6%下落していたなどという分析結果は、平成30年に厚生労働省から示された算定結果であるというのであり(乙A11 3・9頁、乙A114の1・10頁)、本件改定が、当該分析結果を踏まえ、消費水準の下落率より消費者物価指数の下落率の方が低いため、より生活保護受給者への影響が少ない消費者物価指数を用いて標準世帯の基準額を改定するという判断過程を経て行われたとは認められない。そもそも、ゆがみ調整に加えてデフレ調整を行ったことに関する厚生労働 大臣の判断の過誤ないし欠落は、ゆがみ調整後の生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費水準との間に残る可能性のある乖離(残差)の有無や程度が明らかではなく、ゆがみ調整に加えて標準世帯の基準額を改定した場合に、改定後の生活扶助基準額が直ちに一般低所得世帯の消費水準と均衡したものとなるわけではないにもかかわらず、その点についての 検討、検証を欠いた点にあるのであって、消費者物価指数(生活扶助相 当CPI)の下落率が消費水準の下落率より低く、ゆがみ調整に加えてデフレ調整を行った場合の減額幅の上限を10%とする激変緩和措置が施 証を欠いた点にあるのであって、消費者物価指数(生活扶助相 当CPI)の下落率が消費水準の下落率より低く、ゆがみ調整に加えてデフレ調整を行った場合の減額幅の上限を10%とする激変緩和措置が施されたとしても、改定後の生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費水準と均衡するかの検討、検証を欠いたことに変わりはない。 また、②平成29年に、基準部会が平成26年全国消費実態調査の個 票データを用いた検証を行った結果、夫婦子1人世帯の一般低所得世帯(第1・十分位)の生活扶助相当支出額と生活扶助基準額が概ね均衡することが確認されたことは認められるものの(乙A74)、標準世帯における一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準額が均衡していることをもって、直ちに生活扶助基準全体として一般低所得世帯の消費水準と均 衡していることになるわけではない上、後日の検証により、結果として本件改定後の生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費水準と均衡することが確認できたとしても、そのことをもって、本件改定に係る厚生労働大臣の判断過程に過誤ないし欠落がなかったことにはならず、その過誤ないし欠落が治癒されるということもできない。 したがって、被告らの上記主張は採用できない。 ⑹ 争点2についての結論本件改定を行った厚生労働大臣の判断については、前記⑷判示のとおり、ゆがみ調整による増額部分についても一律に1/2調整をした点について、前記⑸判示のとおり、ゆがみ調整に加えてデフレ調整を行った場合、生活扶 助基準額が一般低所得世帯の消費水準と均衡したものとなるかについての検討、検証を欠いたまま本件改定を行った点について、それぞれ判断過程に過誤ないし欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるというべきである。 世帯の消費水準と均衡したものとなるかについての検討、検証を欠いたまま本件改定を行った点について、それぞれ判断過程に過誤ないし欠落があり、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるというべきである。 したがって、平成25年改定及び平成26年改定に基づく本件各処分はいずれも違法であって、デフレ調整の内容等、その余の点について検討するま でもなく取り消されるべきであり、本件各処分の取消しを求める原告ら(原 告番号9を除く。)の請求にはいずれも理由がある。ただし、原告番号1、10、14、21、22、26、29、36及び40は、本件口頭弁論終結前に死亡しており、生活保護を受ける権利は一身専属の権利であって、被保護者の死亡により当然に消滅し、相続の対象になり得ないと解されるから、上記各原告が本件各処分の取消しを求める訴えは、上記各原告の死亡により終 了している。 よって、原告番号1、10、14、21、22、26、29、36及び40が本件各処分の取消しを求める訴えについては、訴訟が終了したことを宣言し、その余の原告ら(原告番号9を除く。)にかかる本件各処分はいずれも取り消すこととする。 3 争点3(国家賠償請求の可否)について原告らは、本件改定を行った厚生労働大臣には国家賠償法1条1項所定の違法があり、これにより精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料の損害賠償を求めている。 しかし、原告ら(原告番号9を除く。)が本件改定ないし本件改定に基づく本 件各処分によって被る損害は、本件各処分の取消し及び取消判決の拘束力により回復される性質のものであって、原告ら(原告番号9を除く。)につき、本件各処分が判決により取り消されることによっては回復できない精神的苦痛を被ったものと認めるに 分の取消し及び取消判決の拘束力により回復される性質のものであって、原告ら(原告番号9を除く。)につき、本件各処分が判決により取り消されることによっては回復できない精神的苦痛を被ったものと認めるには足りない。 また、前記1判示のとおり、外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置に より事実上の保護の対象となり得るにとどまり、生活保護法に基づく保護の対象となるものではないから、平成25年改定が違法であっても、平成25年改定に準じた平成25年変更決定がされたことが当然に違法となるものではない。平成25年改定前の生活扶助基準に準じた措置を求める決定実施手続がない中にあって、原告番号9にかかる措置を求める具体的権利はなく、平成25 年変更決定によって原告番号9の権利が侵害されたとも評価できない。 よって、原告らの被告国に対する国家賠償法1条1項による損害賠償請求には理由がない。 4 結語よって、原告番号1、10,14、21、22、26、29、36及び40が本件各処分の取消しを求める訴えについては訴訟が終了したことを宣言し、 その余の原告ら(原告番号9を除く)にかかる本件各処分はいずれも取り消し、原告番号9の主位的請求、予備的請求1及び予備的請求2のうち口頭弁論終結日の翌日以降の支払を求める部分についてはいずれも不適法であるから却下し、原告らのその余の請求はいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官 上田賀代 裁判官 溝口優 裁判官 上田賀代 裁判官 溝口優 裁判官 卜部有加子別紙原告番号処分の名宛人死亡日処分庁処分日審査請求日裁決日裁決を知った日再審査請求日再審査請求裁決日 1 故A1令和6年4月5日岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 2 A2岡山市b区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 3 A3岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 4 A4岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日A5岡山市b区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 6 A6井原市社会福祉事務所長平成25年7月29日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 7 A7岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成 日平成26年1月20日平成28年8月26日 7 A7岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 8 A8岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 9 A9岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日取下げ済み故A10令和2年3月8日岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 11 A11倉敷市e社会福祉事務所長平成25年7月18日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 12 A12岡山市b区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 14 故A14平成29年5月23日岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日A15岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年8月5日平成25年10月16日平成25年10月18日平成25年11月1日 16 A16岡山市b区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年8月29日平成25年10月7日平成25年10月9日平成25年11月5日平成28年8月26日 18 A18岡山市d区福祉事務所長平成25年7月11日平成2 平成25年7月11日平成25年8月29日平成25年10月7日平成25年10月9日平成25年11月5日平成28年8月26日 18 A18岡山市d区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 19 A19岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日A20岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 21 故A21令和4年6月28日岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 22 故A22令和4年9月24日岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 23 A23岡山市a区福祉事務所長平成26年3月11日平成26年5月21日平成29年4月10日A25岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 26 故A26平成29年9月27日岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 28 A28岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日 日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 28 A28岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 29 故A29令和6年5月21日岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日A30岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 31 A31岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 32 A32岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 34 A34倉敷市f社会福祉事務所長平成25年7月18日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日A35岡山市c区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 36 故A36令和5年2月24日岡山市a区福祉事務所長平成26年3月11日平成26年5月21日平成29年4月10日 37 A37倉敷市g社会福祉事務所長平成25年7月17日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年 区福祉事務所長平成26年3月11日平成26年5月21日平成29年4月10日 37 A37倉敷市g社会福祉事務所長平成25年7月17日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 38 A38総社市社会福祉事務所長平成26年3月14日平成26年5月21日平成29年4月10日 39 A39岡山市a区福祉事務所長平成25年7月11日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日故A40令和3年2月10日備前市福祉事務所長平成25年7月22日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日 41 A41備前市福祉事務所長平成25年7月22日平成25年9月20日平成25年12月16日平成25年12月25日平成26年1月20日平成28年8月26日A45岡山市c区福祉事務所長平成26年3月10日平成26年5月21日平成29年4月10日 46 A46岡山市a区福祉事務所長平成26年3月11日平成26年5月21日平成29年4月10日処分等一覧表 別紙原告番号対応する被告市負担割合負担者負担割合負担者負担割合負担者3/4被告岡山市1/4原告番号23/4被告岡山市1/4原告番号33/4被告岡山市1/4原告番号43/4被告岡山市1/4原告番号53/4被告井原市1/4原告番号63/4被告岡山市1/4原告番号73/4被告岡山市1/4原告番号8 岡山市全部原告番号91/23原告番号91/38原告番号93/4被告倉敷市1/4原告番 原告番号63/4被告岡山市1/4原告番号73/4被告岡山市1/4原告番号8 岡山市全部原告番号91/23原告番号91/38原告番号93/4被告倉敷市1/4原告番号113/4被告岡山市1/4原告番号123/4被告岡山市1/4原告番号153/4被告岡山市1/4原告番号163/4被告岡山市1/4原告番号183/4被告岡山市1/4原告番号193/4被告岡山市1/4原告番号20訴訟費用負担一覧表全部原告番号21全部原告番号22-1/38原告番号21ーー1/38原告番号221/38原告番号181/38原告番号191/23被告岡山市1/38原告番号201/38原告番号141/38原告番号151/38原告番号16被告岡山市-1/23被告岡山市1/23被告岡山市1/23被告岡山市-1/38全部原告番号14原告番号21/38原告番号31/38原告番号41/38原告番号51/38原告番号71/38原告番号61/38原告番号81/38原告番号101/38原告番号121/38原告番号11被告岡山市1/23被告岡山市 -岡山市 倉敷市1/23- -ー全部被告井原市1/23被告岡山市1/23被告岡山市1/23被告岡山市1/23-岡山市岡山市岡山市岡山市岡山市1/23被告岡山市岡山市岡山市岡山市岡山市岡山市岡山市左記番号の原告に生じた費用の負担対応する被告市に生じた費用の負担被告国に生じた費用の負担 ーーー原告番号11/38全部 岡山市岡山市岡山市岡山市岡山市岡山市岡山市左記番号の原告に生じた費用の負担対応する被告市に生じた費用の負担被告国に生じた費用の負担 ーーー原告番号11/38全部原告番号11/23被告岡山市--井原市1/3被告倉敷市原告番号10全部 原告番号対応する被告市負担割合負担者負担割合負担者負担割合負担者左記番号の原告に生じた費用の負担対応する被告市に生じた費用の負担被告国に生じた費用の負担3/4被告岡山市1/4原告番号233/4被告岡山市1/4原告番号253/4被告岡山市1/4原告番号283/4被告岡山市1/4原告番号303/4被告岡山市1/4原告番号313/4被告岡山市1/4原告番号323/4被告倉敷市1/4原告番号343/4被告岡山市1/4原告番号353/4被告倉敷市1/4原告番号373/4被告総社市1/4原告番号383/4被告岡山市1/4原告番号393/4被告備前市1/4原告番号413/4被告岡山市1/4原告番号453/4被告岡山市1/4原告番号46全部原告番号29全部原告番号361/23被告岡山市1/38原告番号311/23被告岡山市1/38原告番号351/38原告番号34-1/38-1/38原告番号36被告岡山市1/381/38原告番号381/38原告番号37全部原告番号26全部原告番号40全部被告総社市1/3被告倉敷市1/3被告倉敷市1/23原告番号261/23被告岡山市1/38原告番号28--1/38原告番号461/38原告番号401/38原告番号411/23被告岡山市 告倉敷市1/3被告倉敷市1/23原告番号261/23被告岡山市1/38原告番号28--1/38原告番号461/38原告番号401/38原告番号411/23被告岡山市1/38原告番号391/23被告岡山市1/38原告番号45全部ー被告備前市1/23被告岡山市原告番号32原告番号231/23被告岡山市1/38原告番号25被告岡山市1/38原告番号291/23被告岡山市1/38原告番号30ー1/38ー1/23ー岡山市 備前市ー-岡山市 総社市 倉敷市 岡山市 倉敷市 -岡山市岡山市岡山市岡山市岡山市ー岡山市 岡山市 別紙:主張一覧表目次争点1 原告番号9の訴えの適法性1-1 外国人に対する生活保護法の適用の有無1-2 外国人に対する生活保護措置の処分該当性1-3 審査請求前置の欠缺及び出訴期間の経過1-4 将来請求の必要性争点2 本件各処分の適法性2-1 判断枠組み2-2 ゆがみ調整について2-2-0 ゆがみ調整による生活扶助基準の見直しの必要性・合理性にかかる被告らの主張2-2-1 ゆがみ調整は、水準均衡方式による生活扶助基準の改定ではなく、方式変更について手続を経ていない旨の主張について2-2-2 平成25年検証の妥当性、合理性2-2-2-1 第1・十分位を比較対象としたことについて2-2-2-2 比較対象から生活保護受給世帯が除外されていないことについて2-2-2-3 統計データについて2-2-2-4 分位を比較対象としたことについて2-2-2-2 比較対象から生活保護受給世帯が除外されていないことについて2-2-2-3 統計データについて2-2-2-4 回帰分析の手法について2-2-3 1/2調整について2-3 デフレ調整について2-3-0 デフレ調整による生活扶助基準の見直しの必要性・合理性にかかる被告らの主張2-3-1 デフレ調整がゆがみ調整と重複した調整であり、また、物価の本格的考慮は物価の二重評価となって水準均衡方式と矛盾する旨の主張について 2-3-2 デフレ調整は水準均衡方式による生活扶助基準の改定ではなく、方式変更について手続を経ていない旨の主張について2-3-3 デフレ調整の内容の妥当性、合理性2-3-3-1 物価指数の比較につき、平成20年を起点とし、平成23年を終点としたことについて2-3-3-2 生活扶助相当CPIの品目の選定について2-3-3-3 生活扶助相当CPIのウエイト(家計調査により算出されたウエイトを用いたこと)について2-3-3-4 生活扶助相当CPIの算定方式について 2-4 厚生労働大臣の判断にかかるその他の違法性2-4-1 他事情(与党の公約等)の考慮について争点3 国家賠償請求の可否 別紙:主張一覧表争点1 原告番号9の訴えの適法性被告らの主張原告番号9の主張1-1 外国人に対する生活保護法の適用の有無 生活保護法は、1条及び2条において、その適用対象を「国民」と定めており、「国民」とは日本国民を意味し、外国人はこれに含まれない。 したがって、外国人である原告番号9に生活保護法の 適用の有無 生活保護法は、1条及び2条において、その適用対象を「国民」と定めており、「国民」とは日本国民を意味し、外国人はこれに含まれない。 したがって、外国人である原告番号9に生活保護法の適用はなく、原告番号9に対して生活保護法25条2項に基づく生活保護費の変更決定処分は存在しないから、原告番号9の主位的請求に係る訴えは、その対象を欠き、不適法である。 憲法25条が保障する生存権は、人の生存を支える極めて重要な基本的人権であり、これを直接実現するための法律である生活保護法は、少なくとも日本人と変わらない生活実態を有し、納税義務も果たしている永住資格を有する外国人には適用されるというべきである。 1-2 外国人に対する生活保護措置の処分該当性 昭和29年通知は、生活保護法が外国人に適用されないことを前提に、生活に困窮する一定の外国人に対し、行政措置として事実上の保護を行うことを定めた行政通達にすぎず、法を根拠とするものでも、法の委任を受けて定められたものでもない。平成25年変更決定は、昭和29年通知に基づく生活保護の変更措置であり、「権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの」ではないから、取消訴訟の対象となる「処分」には当たらず、原告番号9の予備的請求1に係る訴えは、不適法である。 仮に、外国人に生活保護法が適用されないとしても、外国人に対する保護の実施は、生活保護法が適用される場合と同様になされており、保護基準が改定された場合には、保護実施機関により改定後の保護基準に従って給付の内容が一方的に変更される。平成25年変更決定も、生活保護法25条2項に基づく生活保護費の変更決定処分と同様、行政庁が一方的に、保護費の支払を請求できる原告番号9の地位に影響を与えるものであることに鑑みれば、 的に変更される。平成25年変更決定も、生活保護法25条2項に基づく生活保護費の変更決定処分と同様、行政庁が一方的に、保護費の支払を請求できる原告番号9の地位に影響を与えるものであることに鑑みれば、当然に処分性が認められる。 1-3 審査請求前置の欠缺及び出訴期間の経過 仮に、平成25年変更決定が生活保護法25条2項に基づく「処分」に当たるとしても、原告番号9は、これを不服として行った平成25年9月20日付け審査請求を、裁決がされる前の同年10月30日付けで取り下げている。平成26年10月30日に提起された原告番号9の主位的請求に係る訴えは、審査請求を経ていない上、出訴期間を経過しており、不適法である。 原告番号9が平成25年9月20日付け審査請求を取り下げたのは、岡山県の担当者から、外国人であることを理由にやり直しを求められたためであり、その後の同年11月11日に減額前の金額の保護費の支給を求める保護申請を行っている。原告番号9としては、岡山県の不適切な指示を原因として、上記申請も含めた一連の手続が、平成25年変更決定に対する外国人の審査請求の特殊な手続であるとの認識であった。 したがって、審査請求を経ていないことには行政事件訴訟法8条2項3号の「正当な理由」があり、出訴期間についても同法14条の「正当な理由」がある。 1-4 将来請求の必要性 原告番号9の予備的請求2に係る訴えのうち、口頭弁論終結日の翌日以降の支払を求める部分は、民事訴訟法135条の将来給付の訴えに該当するところ、あらかじめその請求をする必要性についての主張立証がなく、訴えの利益を欠き、不適法である。 生活扶助は、継続的な給付義務であり、履行期に給付を受けなければ直ちに自己の生活を脅かされ、著しい損害が生じる性質のものである。 被告らは、現 証がなく、訴えの利益を欠き、不適法である。 生活扶助は、継続的な給付義務であり、履行期に給付を受けなければ直ちに自己の生活を脅かされ、著しい損害が生じる性質のものである。 被告らは、現在履行期にある部分について理由がないと争っており、その履行をしない以上、原告番号9には、将来分をあらかじめ請求する利益がある。 争点2 本件各処分の適法性2-1 判断枠組み原告らの主張被告らの主張 ⑴ 憲法25条1項は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」として生存権を保障し、同項の理念に基づく生活保護法3条によれば、同法により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならないとされ、健康で文化的な最低限度の生活が保障されている。生活保護基準の設定は厚生労働大臣の権限とされているが、保護基準の設定ないし改定行為の性質は生活保護法8条1項による委任命令にあたり、厚生労働大臣が生活保護基準を定める際、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、最低限度の生活の需要を満たすに十分なものを超えないものであるよう、同条2項により規律されている。 そのため、本件改定が違法(違憲)かどうかは、本件改定による生活保護基準の引下げが生活保護法8条1項及び2項の範囲内かどうかという観点から判断すべきである。そして、委任命令が法律による委任の趣旨・範囲を逸脱してはならないことは当然であり、委任命令の制定ないし改定をした規範定立行為が違法か否かは、委任した法律の趣旨目的や国民の権利義務の重大性、制限の程度等を考慮し、行政府に与えられた裁量の濫用・逸脱があるかど らないことは当然であり、委任命令の制定ないし改定をした規範定立行為が違法か否かは、委任した法律の趣旨目的や国民の権利義務の重大性、制限の程度等を考慮し、行政府に与えられた裁量の濫用・逸脱があるかどうかの観点から判断すべきであって、その裁量の逸脱・濫用があるかどうかは、本件改定についての厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落があるか否かの観点から判断すべきである。 ⑵ そして、生活保護法8条1項及び2項の文理、生活保護法の趣旨目的、立法史や立法過程の議論、生活保護法等の関連規定を踏まえると、生活保護基準の改定に係る厚生労働大臣の裁量は、以下のとおり規律されているものと解される。 ア生活保護法8条2項は、保護基準を定めるに当たっての考慮要素を具体的に列挙して厳格に法定し、この考慮要素を考慮した上で生活保護基準を設定することを求め、厚生労働大臣の裁量を大きく制約している。これらの考慮要素は、高度に専門技術的な判断を要するものであることから、生活保護基準の設定ないし改定にあたっては、まず、高度に専門技術的な考察を基礎としなければならないとすることで、厚生労働大臣の裁量の範囲を大幅に制限することに趣旨目的があると解される。老齢加算訴訟最高裁判決(東京訴訟)においても、生活保護法8条2項が規定する最低限度の生活を保護基準において具体化するに当たっては、まずは高度の専門技術的考察をし、次いでそれに基づいた政策的判断をすることを要請しており、高度な専門技術的な考察にあたる専門委員会の中間とりまとめについて、70歳以上の高齢者に老齢加算に見合う特別な需要が認められるか否か、改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かという観点からの検討を要請して、厚生労働大臣の判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無 が認められるか否か、改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かという観点からの検討を要請して、厚生労働大臣の判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の逸脱又は濫用がある場合等に生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法になると判示している。また、老齢加算訴訟最高裁判決(福岡訴訟)においては、老齢加算廃止に際して採るべき激変緩和措置の裁量判断の適否に関し、統計等の客観的数値等との整合性や専門的知見との整合性の有無等 ⑴ 憲法25条1項は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定し、生活保護法による保護は、憲法25条の規定する理念に基づき、生活に困窮するすべての国民に対し最低限度の生活を保障するものである。 生存権は社会権の一つであり、国家の関与を広く認める社会国家・積極国家の思想を前提として、国家の積極的作為を請求する権利であって、その内容は憲法上完全には確定されておらず、多かれ少なかれ法律による確定に委ねられており、具体的な保障内容は、憲法上想定された核心的部分と法律による具体化に委ねられた部分に分かれることになる。そして、後者については、内容形成(保障内容の具体化)を行う権限は、第一次的に立法府にあるから、裁判所が憲法解釈権を口実に内容形成を行うことは原則的に許されず、憲法が内容形成を法律に委ねた限度で立法裁量の問題となるのであって、人権侵害の主張に対して裁判所が行う審査は、立法府が憲法により与えられた立法裁量の範囲を逸脱又は濫用したか否かに限られる。 憲法25条が保障する生存権の具体化については、堀木訴訟最高裁判決において立法府に広範な裁量権が認められ、立法措置が憲法25条1項に違反して違憲となるのは、それが著しく合理性を欠き明 かに限られる。 憲法25条が保障する生存権の具体化については、堀木訴訟最高裁判決において立法府に広範な裁量権が認められ、立法措置が憲法25条1項に違反して違憲となるのは、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量権の範囲の逸脱又はその濫用とみざるを得ないような場合に限られることが明らかにされ、朝日訴訟最高裁判決においても、何が健康的で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、厚生大臣の合目的的な裁量に委さられており、その判断は当不当の問題として政府の政治責任が問われることはあっても直ちに違法の問題を生ずることはなく、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する等憲法および生活保護法の趣旨・目的に反し、法律によって与えられた裁量権の限界を超えた場合または裁量権を濫用した場合に限り違法になるとして、極めて広範な裁量を認めている。 現在の判例法理を形成している堀木訴訟最高裁判決、朝日訴訟最高裁判決からすれば、厚生労働大臣の保護基準改定の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の判断においては、「現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する」かこれと同程度のものでなければ違法とならないというべきであり、仮にこれと異なる判断基準(例えば判断過程審査)を採用した場合であっても、結果的に厚生労働大臣の裁量権が狭くなるような判断基準の採用やあてはめの判断をすることは、上記両最高裁判決の下では許されないというべきである。 ⑵ また、生活保護法は、「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。」(3条)と規定し、憲法25条1項が規定する「健康で文化的な最低限度の生活」を維持できるものであることを求めているが、「健康で文化的な生活水準」の具体的内容に関する規定はなく、「最低限度の生活」の具体化を厚生労 定し、憲法25条1項が規定する「健康で文化的な最低限度の生活」を維持できるものであることを求めているが、「健康で文化的な生活水準」の具体的内容に関する規定はなく、「最低限度の生活」の具体化を厚生労働大臣の定める保護基準によることにしている。そして、保護基準の設定を厚生労働大臣に委任するにあたっても、「前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものでなければならない。」 を審査するよう求めており、このことは、厚生労働大臣が、まず最初に行わなければならない高度の専門技術的考察を行うにあたっての具体的な審査の基準を示したものと解される。 このように、老齢加算最高裁判決は、厚生労働大臣の判断過程を司法的に厳しく統制することを求めているのであり、生活扶助基準の本体部分の引下げである本件改定について考えると、従前の生活扶助基準に見合う最低限度の生活の需要が認められないとして、改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持するに足りるものであるとした厚生労働大臣の判断に関しては、専門家による諮問機関である基準部会の検討に基づいた高度に専門技術的な考察がなされるべきであり、統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等を厳格に審査し、判断の過程及び手続に過誤、欠落が認められれば、裁量権の逸脱又は濫用が認められるものと解するべきである。 イ生活保護法の目的は、「日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」ことにある(1条)。生活保護法は、健康で文化的な水準を下回る生活をする国民 理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」ことにある(1条)。生活保護法は、健康で文化的な水準を下回る生活をする国民が存在してはならないことを国に対して命じており、「健康で文化的な生活水準を維持することができる」生活保護の実施は国家の義務である。そして、旧生活保護法における生活保護基準は、保障される生活水準の「上限」を画するものであったのに対し、現生活保護法におけるそれは、憲法25条の生存権保障の理念を受け、「健康で文化的な最低限度の生活の需要」を間違いなく確実に満たさなければならないとすることで、保障される生活水準の「下限」を画するものである。 また、生活保護法56条は、「被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない」と規定しており、同条は、厚生労働大臣が保護基準を設定・改定する場面を直接規律するものではないとはいえ、その趣旨は、保護基準そのものの改定にあたっても勘案されるべきである。 さらに、社会権規約2条1項は、規約締約国に対し、「立法措置その他のすべての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成する」ために行動する義務を課しており、同規約9条は、社会保障についてのすべての者の権利を保障し、同規約11条1項は、相当な生活水準と生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を保障しているところ、同規約9条に関する一般的意見19(甲A19)パラグラフ42は、社会保障に対する権利に関連してとられた後退的な措置は、社会権規約違反との強い推定が働き、締約国がすべての選択肢を最大限慎重に検討した後に導入されたものであること、及び締約国の利用可能な最大限の資源を完全利用したうえでなされたものである 退的な措置は、社会権規約違反との強い推定が働き、締約国がすべての選択肢を最大限慎重に検討した後に導入されたものであること、及び締約国の利用可能な最大限の資源を完全利用したうえでなされたものであることを証明する責任を負うと定めている。同規約2条1項、9条、11条1項からは、締約国がとった措置によって社会保障に関する権利の実現がそれ以前よりも後退することは許されないという「制度後退禁止原則」が導かれる。 生活保護法の趣旨、目的を規律する上位規範である憲法25条1項及び2項、社会権規約2条1項、9条、11条1項及び一般的意見、生活保護法8条の関連規定の趣旨、現生活保護法の立法経緯等を勘案すれば、合理的な理由のない生活保護基準の引下げは許されないものと解され、国の側が、厚生労働大臣の判断の過程・手続を明らかにし、事実の調査方法が合理性を有することや必要な考慮要素を考慮し、適切な考慮バランスで考慮したことなど、同過程・手続に過誤・欠落がないことを相当の根拠、資料に基づいて主張立証する必要があり、この主張立証が尽くされない場合には、厚生労働大(8条2項)と規定するのみで、これ以上に保護基準の内容に関する格別の定めはない。 このように、生活保護法は、憲法25条1項が保障する最低限度の生活の具体化を厚生労働大臣が定める保護基準に委任しており、その具体化にかかる厚生労働大臣の判断に格別の制約を加えるという趣旨を読み取ることはできない。そうすると、生活保護法は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じた必要な事情を考慮することを求めつつ、「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化するための保護基準を定めることについて、厚生労働大臣の極めて広範な裁量権を認めているというべきである。 ⑶ 以上のとおり、堀木訴訟最高裁判決及び朝日訴 つ、「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化するための保護基準を定めることについて、厚生労働大臣の極めて広範な裁量権を認めているというべきである。 ⑶ 以上のとおり、堀木訴訟最高裁判決及び朝日訴訟最高裁判決によって形成されている現在の判例法理によれば、厚生労働大臣には、何が「健康で文化的な最低限度の生活」であるかの認定判断を含め、受給者の需要を基とした保護基準の改定の必要性や改定後の保護基準の内容が受給者の健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かの判断について極めて広範な裁量権が認められるから、保護基準の改定に係る同大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるのは、当該判断が最低限度の生活の具体化として著しく合理性を欠くことが明らかな場合、すなわち、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど憲法及び生活保護法の趣旨、目的に反することが明らかな場合に限られるというべきである。 ⑷ なお、本件については、判断過程審査の判断枠組みを採用したとされる老齢加算訴訟最高裁判決の射程は及ばず、本件改定の違法性の判断枠組みとして、判断過程審査を用いることは適切ではない。すなわち、老齢加算最高裁判決は、老齢加算の廃止という特殊な事案における事例判断にすぎず、①当該判決の事案は、既得権に近い位置付けであった老齢加算を永続的に廃止するというもので、生活扶助費のうち基準生活費の額(多寡)を改定する本件改定とは異なって、受給者の期待的利益や生活への影響等に配慮すべき必要性が高いものであったこと、②当該事案は、政府として老齢加算廃止の方針を策定し、これを踏まえて専門委員会が設置され、老齢加算の見直しについて検討されたという経緯で老齢加算が廃止されたものであるのに対し、本件改定は、平成23年に、保護基準について専 て老齢加算廃止の方針を策定し、これを踏まえて専門委員会が設置され、老齢加算の見直しについて検討されたという経緯で老齢加算が廃止されたものであるのに対し、本件改定は、平成23年に、保護基準について専門的かつ客観的に評価し、検証することを目的として、社会保障審議会の下に常設部会として基準部会が設置され、定期的な評価及び検証が制度化され、厚生労働大臣において、基準部会の検討結果を参照しつつ、その時々の社会経済情勢や財政状況に照らし、自らの専門技術的、政策的な裁量判断によって保護基準の改定を行ったもので、老齢加算廃止に係る厚生労働大臣の裁量判断と本件改定に係る同大臣の裁量判断とでは、専門機関の関与の仕方や程度が異なることによれば、本件改定に係る厚生労働大臣の裁量判断について、最低限度の生活の具体化の観点から審査密度を高め、厳格な審査を行うことは相当ではなく、判断過程審査は、厚生労働大臣の極めて広範な裁量権が認められる保護基準改定の違法性を審査する手法として適切ではない。 仮に本件改定の適法性について、老齢加算最高裁判決が示した判断過程審査の判断枠組みを用いるとしても、審査の対象となるのは「最低限度の生活の具体化にかかる判断」の過程や手続に係る過誤や欠落の有無であり、これに関連しない過誤や欠落の有無は本件改定の適法性に何ら影響を与えない。また、厚生労働大臣には保護基準の改定につき、専門技術的かつ政策的見地からの広範な裁量が認められるから、司法審査の範囲は極めて限定的で、緩やかなもので足りることとなり、生活保護基準を引き下げる内容の保護基準の改定が違法となるのは、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する 臣の判断に不合理な点があることが事実上推認され、委任命令の範囲を逸脱濫用したものとして、違法、違憲と評価されるべきである。 ウ のは、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定する 臣の判断に不合理な点があることが事実上推認され、委任命令の範囲を逸脱濫用したものとして、違法、違憲と評価されるべきである。 ウ本件改定による生活保護基準の引下げが違法かどうかは、生活保護法8条1項が厚生労働大臣に与えた裁量の濫用・逸脱があるかどうかの観点から判断すべきであり、その裁量の逸脱・濫用があるかどうかは、本件改定についての厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落があるか否かの観点から判断すべきである。そして、その判断過程において、本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、または本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し、そのことによって、生活保護基準引き下げに関する判断が左右されたものと認められる場合には、厚生労働大臣の判断過程に過誤があるといえる。生活保護法8条1項は、保護を実施する際の基礎を「要保護者の需要」に求め、それの外側にある国の財政事情や国民感情等ではないことを規定し、同条2項は、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情」として厚生労働大臣が生活保護基準を設定するにあたって必ず考慮しなければならない事項を具体的に示している。また、同法9条は、「要保護者の健康状態」と「個人又は世帯の実際の必要の相違」を義務的考慮事項として追加している。厚生労働大臣が生活保護基準を設定するにあたっては、これらの事項を考慮することが義務付けられており、これらの事項を考慮することなく設定された保護基準は、同法8条及び9条に反して違法である。また、同法8条及び9条で義務的考慮事項とされているのは、要保護者の生活上の属性にかかわる事 付けられており、これらの事項を考慮することなく設定された保護基準は、同法8条及び9条に反して違法である。また、同法8条及び9条で義務的考慮事項とされているのは、要保護者の生活上の属性にかかわる事項ばかりであり、国の財政事情や国民感情等の生活外的要素は挙げられていない。そうすると、少なくとも厚生労働大臣が生活保護基準の「下限」を画するにあたっては、国の財政事情、国民感情、政権与党の公約等の生活外的要素を考慮することは禁じられ、仮に禁止まではしていないとしても、その優先順位や重みづけは、義務的考慮要素と比べれば劣後するのが当然である。 など憲法及び生活保護法の趣旨、目的に反することが明らかな場合であるから、判断の過程や手続に係る過誤や欠落が違法となるのは、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大なものである場合に限られるというべきである。 2-2 ゆがみ調整について2-2-0 ゆがみ調整による生活扶助基準の見直しの必要性・合理性にかかる被告らの主張 ⑴ 平成25年検証は、平成16年報告書において、「今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査などを基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある」とされたことを受けた平成19年検証に引き続き行われたものである。 そして、その平成16年報告書においては、「現行の生活扶助基準の設定は3人世帯を基軸としており、また、算定については、世帯人員数分を単純に足し上げて算定される第1類費(個人消費部分)と、世帯規模の経済性、いわゆるスケールメリットを考慮し、世帯人員数に応じて設定されている第2類費(世帯共同消費部分)とを合算する仕組みとされているため、世帯人員別にみると、必ずしも一般低所得世 部分)と、世帯規模の経済性、いわゆるスケールメリットを考慮し、世帯人員数に応じて設定されている第2類費(世帯共同消費部分)とを合算する仕組みとされているため、世帯人員別にみると、必ずしも一般低所得世帯の消費実態を反映したものとなっていない。」との指摘がされていた。 さらに、平成19年報告書においては、「生活扶助基準の体系に関する評価・検証に当たっては、世帯構成などが異なる生活保護受給者の間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系としていくべきとの観点から行い、その上で、必要な見直しを行っていくことが必要である。」との指摘がされ、生活扶助基準の評価・検証の方法として「生活扶助基準の評価・検証を適切に行うためには、国民の消費実態を詳細に分析する必要があり、そのためには、全国消費実態調査を基本とし、収入階級別、世帯人員別、年齢階級別、地域別などの様々な角度から詳細に分析することが適当である」とされていた。 ⑵ 学識経験者によって構成されていた基準部会は、平成21年全国消費実態調査の特別集計等のデータを用いて、特に一般低所得世帯の消費実態を勘案しながら、生活扶助基準と一般低所得者世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否か等について、検証を行った。 基準部会では上記のような平成16年報告書、平成19年報告書の指摘も踏まえ、平成21年全国消費実態調査の個票データを用いて、年齢階級別、世帯人員別、級地別に、生活扶助基準額と消費実態との乖離を詳細に分析し、様々な世帯構成に展開するための指数について検証を行うこととした。具体的には、生活扶助基準と対比する一般低所得世帯として、年間収入階級第1・十分位層を設定し、第1・十分位の 世帯の生活扶助相当支出を用いて指数を算出し、その上で、様々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢、世帯人員及び地域別の基 として、年間収入階級第1・十分位層を設定し、第1・十分位の 世帯の生活扶助相当支出を用いて指数を算出し、その上で、様々な世帯構成の基準額を算出する際に基本となる年齢、世帯人員及び地域別の基準額が第1・十分位の消費実態を十分反映しえるかについてより詳細な検証を行うこととした。その際、仮に第1・十分位のすべての世帯が生活保護を受給した場合の1世帯あたりの平均受給額が不変となるようにして、年齢、世帯人員体系、及び級地の基準額の水準への影響を評価する方法を採用した。 基準部会は、第1・十分位の世帯を比較対象とした理由として、①生活扶助基準の妥当性については従前から一貫して低所得世帯の消費実態に着目して検証が行われてきたこと、②第1・十分位世帯の平均消費の水準が中位所得階層の約6割に達していること、③国民の過半数が必要であると考えている必需的な耐久消費財について、第1・十分位世帯における普及状況は、中位所得階層と比べて概ね遜色なく充足されている状況にあること、④全所得階層における年間収入総額に占める第1・十分位の年間収入総額の構成割合はやや減少傾向ではあるものの、特に第1・十分位のみが減少しているわけではないこと、⑤第1・十分位世帯の大部分は、OECDの基準では相対的貧困線以下にあることが示されていること、⑥分散分析等の統計的手法により検証したところ、各十分位のうち、第1・十分位と第2・十分位の間において消費が大きく変化しており、他の十分位の世帯と比べて消費の動向が大きく異なると考えられることを挙げている。 また、基準部会は、全国消費実態調査の対象に10代以下の単身世帯がほとんどおらず、10代以下の消費を正確に計測できないという限界があったことを考慮するとともに、検証結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いて、可能な限り正確な指数を算出することとした。 の単身世帯がほとんどおらず、10代以下の消費を正確に計測できないという限界があったことを考慮するとともに、検証結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いて、可能な限り正確な指数を算出することとした。世帯人員別に設定されている生活扶助基準の第1類費及び第2類費における世帯人員別の逓減率の検証、生活扶助基準の地域差(級地)の検証においては、いずれも平均消費水準を指数化して分析を行い、回帰分析を用いておらず、回帰分析の位置づけは検証結果の妥当性の確認にとどまるが、年齢階級別に設定されている生活扶助基準の第1類費の検証においては、異なる年齢階級別の比率(指数)を算出するにあたり、回帰分析を採用した。 ⑶ 基準部会による検証の結果、年齢階級別の生活扶助(第1類費)基準額による指数と一般低所得世帯の消費実態による指数とでは、各年齢階級間で乖離が認められており、第1類費における世帯人員別の生活扶助基準額による指数と一般低所得世帯の消費実態による指数とでは、世帯人員が増えるにつれて乖離が拡大する傾向が認められるとともに、指数の差が生活扶助基準額よりも一般低所得世帯の消費実態の方が小さくなっていることが認められ、第2類費における世帯人員別の生活扶助基準額による指数と一般低所得世帯の消費実態による指数とでは、世帯人員が増えるにつれて乖離が拡大する傾向が認められるとともに、指数の差が生活扶助基準額よりも一般低所得世帯の消費実態の方が大きくなっていることが認められ、級地別の生活扶助基準額による指数と一般低所得世帯の消費実態による指数とでは、地域差は、消費実態の方が小さくなっていることが認められた。 ⑷ 以上のとおり、この検証結果は、学識経験者による専門的かつ客観的な検証を経たものであり、十分な合理性、信頼性が認められる。ゆがみ調整は、基準部会による平成25年検証の結果を踏まえ、生 認められた。 ⑷ 以上のとおり、この検証結果は、学識経験者による専門的かつ客観的な検証を経たものであり、十分な合理性、信頼性が認められる。ゆがみ調整は、基準部会による平成25年検証の結果を踏まえ、生活扶助基準の「展開のための指数」を見直したものであり、合理性が認められる。また、ゆがみ調整に際して行われた1/2調整については、平成25年報告書において、子どものいる世帯について平成25年検証の結果を完全に反映した場合の改定率がマイナスとなることが摘示された上で、子どものいる世帯への配慮(貧困の世代間連鎖の防止)の必要性が指摘されていたことを踏まえた措置であるとともに、平成25年検証の統計上の限界等が指摘されていたことや、今後も基準部会による検証が行われることが予定されていたことなどから、生活保護受給世帯への配慮として、数次にわたる検証とその結果の反映をいう作業を繰り返すことにより、漸次、生活扶助基準の展開部分と一般低所得世帯の消費実態との乖離の是正を図っていくこととしたものであり、合理性が認められる。 したがって、1/2調整を含むゆがみ調整は、生活扶助基準の展開部分について、生活保護受給世帯への配慮をしつつ、合理的な根拠に基づいて改定したものであり、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するものではなく、憲法及び生活保護法の趣旨、目的に反するものとはいえないから、厚生労働大臣の判断について、裁量権の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 2-2-1 ゆがみ調整は、水準均衡方式による生活扶助基準の改定ではなく、方式変更について手続を経ていない旨の主張について原告らの主張被告らの主張 ⑴ 生活扶助基準は、国民の「最低生活基準」を画する概念で、生活保護法制定から今日に至るまでの間、毎年改定がなされてきたが、その算定(改定)方式については、歴史的 原告らの主張被告らの主張 ⑴ 生活扶助基準は、国民の「最低生活基準」を画する概念で、生活保護法制定から今日に至るまでの間、毎年改定がなされてきたが、その算定(改定)方式については、歴史的に、標準生計費方式、マーケットバスケット方式、エンゲル方式、格差縮小方式、そして水準均衡方式と変遷してきた。被告国は、生活扶助基準の改定が生活保護受給者などの生活に重大な影響を及ぼすことに鑑み、過去における生活扶助基準の改定方式の変更の際には、生活保護分野の専門家で構成される中央社会福祉審議会の報告や意見具申などを受け、十分な検討を行ってきた。厚生労働大臣は、勝手に生活扶助基準の算定方式を変更できるものではなく、その変更の際には、専門家で構成される中央社会福祉審議会の報告やその提言などの適切な手続を履践することを義務づけられているというべきである。 ⑵ 昭和59年以降現在に至るまで採用されてきた水準均衡方式は、単純に最下位層である第1・十分位 ⑴ 水準均衡方式は、昭和58年意見具申において、当時の生活扶助基準の水準が、「変曲点」(大部分の国民が維持してきた生活様式が保たれる限界点)の収入分位である第2.99・五十分位」における生活扶助相当支出額とほぼ均衡していたために、「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達している」と評価されるに至り、その生活扶助水準を一般国民の消費水準の動向(政府経済見通しの民間最終消費支出の伸び)に則して改定することによって維持していくこととしたものであって、昭和59年4月以降、現在に至るまで、水準均衡方式によって生活扶助基準を改定するという基本的枠組みは維持されている。 原告らの主張が、仮に、生活扶助基準の改定方式について、水準均衡方式が変更ないし廃止されたことを前提にしたものであるならば、かかる主張には理由が 基準を改定するという基本的枠組みは維持されている。 原告らの主張が、仮に、生活扶助基準の改定方式について、水準均衡方式が変更ないし廃止されたことを前提にしたものであるならば、かかる主張には理由がない。また、原告らの主張は、水準均衡方式 の消費支出に生活扶助基準を合わせるというものではなかった。即ち、水準均衡方式は、中央社会福祉審議会が、生活保護利用世帯の消費水準を「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準」であるとし、その均衡をそのまま維持するよう意見具申したのを受けたものであるが、その際、生活保護基準の妥当性検証の前提とされたのは、①平均的一般世帯の消費支出、②低所得世帯(ここでいう低所得世帯とは、第1・五分位と第2・五分位の世帯)の消費支出、③被保護世帯の消費支出の3つの間の格差の均衡に留意するということであった。基準部会が採用した単純に第1・十分位の消費支出と生活扶助基準を比較する検証方法は、これまでの水準均衡方式と大きく異なる方式である。 また、水準均衡方式は、民間消費支出の伸び率により、前年の生活扶助費を前提として1年ごとにこれを改定していく方式である。他方で、ゆがみ調整は、第1・十分位層の消費支出額との比較において、生活扶助費を決定することを内容とするものであり、厚生労働省が採用してきた水準均衡方式とは全く異なる方式である。即ち、水準均衡方式は、前年度比の民間消費支出の伸び率を前提に単年度ごとに更新されていく性格のものであるから、過去の一定の期間にわたる消費水準のゆがみを是正するという考え方とは相容れず、第1・十分位層との比較を理由とする生活扶助費決定方式(ゆがみ調整)は、水準均衡方式から明らかに逸脱している。 ⑶ このように、ゆがみ調整は、水準均衡方式から逸脱した全く独自の方式による生活扶助基準の改定であり、そ 比較を理由とする生活扶助費決定方式(ゆがみ調整)は、水準均衡方式から明らかに逸脱している。 ⑶ このように、ゆがみ調整は、水準均衡方式から逸脱した全く独自の方式による生活扶助基準の改定であり、それにもかかわらず、厚生労働大臣は、何らの方式変更に関する手続きを経ることなく生活扶助基準を改定しており、裁量の著しい逸脱が認められる。 を採用した場合に厚生労働大臣がその内容に拘束されることを前提としているが、そもそも、その法的根拠は全く見当たらない。 ⑵ 上記のとおり、生活扶助基準の改定方式として水準均衡方式が採用された一方で、同方式に基づき改定された生活扶助基準の妥当性については、その定期的な検証の必要性も指摘されており、一貫して第1・十分位世帯との比較において生活扶助基準の妥当性が検証されてきた。ゆがみ調整は、基準部会における生活扶助基準の妥当性の検証の結果に基づき、第1・十分位に属する低所得世帯の消費実態と生活扶助基準の年齢、世帯人員及び居住地別の較差を是正するために、生活扶助基準の見直し(適正化)を行ったものである。このように、水準均衡方式による改定(政府経済見通しの民間最終消費支出の伸びに則した改定)に加え、定期的な生活扶助基準の妥当性の検証の結果を踏まえて生活扶助基準を改定することは、保護基準につき、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものでなければならない。」とする生活保護法8条2項の趣旨に照らして当然に許されるというべきである。 2-2-2 平成25年検証の妥当性、合理性2-2-2-1 第1・十分位を比較対象としたことについて原告らの主張被告らの主張 ⑴ 平成25年検証において、基 というべきである。 2-2-2 平成25年検証の妥当性、合理性2-2-2-1 第1・十分位を比較対象としたことについて原告らの主張被告らの主張 ⑴ 平成25年検証において、基準部会は、第1・十分位の消費実態と生活保護基準を比較して生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを検証している。 しかし、昭和59年以降現在まで採用されてきた水準均衡方式は、単純に最下位層である第1・十分位の消費支出に生活扶助基準を合わせるというものではなく、中央社会福祉審議会が、生活保護利用世帯の消費水準を「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準」であるとし、これを維持するべき旨意見具申(昭和58年意見具申)した際、生活保護基準の妥当性検証の前提とされたのは、平均的一般世帯の消費支出、低所得世帯(第1・五分位、第2・五分位)の消費支出、被保護世帯の消費支出の3つの間の格差の均衡に留意するということであった。基準部会が採用した単純に第1・十分位の消費支出と生活扶助基準を比較する検証方法は、これまでの水準均衡方式と大きく異なる方式である。 また、厚生労働省が推計(2010年4月)した低所得世帯数に対する被保護世帯数の割合は32. 1%であり、この推計によったとしても、制度の利用資格のある世帯のうち現に利用していない世帯が7割もあるということになる。このように、生活保護基準以下の生活を余儀なくされているものが大量に存する現状においては、低所得世帯の消費支出が生活保護基準以下となるのは当然であり、生活保護基準に満たない低所得世帯との比較によって保護基準を引き下げることは、生活保護法1条に反し、また、最下層の消費水準との比較を根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、生活保護基準を際限 ⑴ 生活保護制度は、国が生活に困 との比較によって保護基準を引き下げることは、生活保護法1条に反し、また、最下層の消費水準との比較を根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、生活保護基準を際限 ⑴ 生活保護制度は、国が生活に困窮する国民に対して最低限度の生活を保障することを目的とし、生活保護基準は、生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水準との関連において捉えられるべき相対的なものであるという考え方に立脚して定められている。生活扶助基準の妥当性については、従前から一貫して低所得世帯の消費実態に着目して検証が行われてきた。 即ち、昭和58年意見具申において、当時の生活扶助基準が「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達している」とされたのは、変曲点(ある所得階層以下になるとそれまでの消費支出のゆるやかな低下傾向と離れて、急激に消費支出が下方へ変曲する所得分位)である第2.99・五十分位の消費水準と生活扶助基準額が概ね均衡していることを理由としたものであり、平成15年中間取りまとめにおいては、「生活保護において保障すべき最低生活の水準は、一般国民の生活水準との関連においてとらえられるべき相対的なものであり、具体的には年間収入階級第1・十分位の世帯の消費水準に着目することが適当である」とされ(乙A14)、平成19年報告書においても、「第1・十分位の消費水準は、平均的な世帯の消費水準に照らして相当程度に達していること」、「第1・十分位に属する世帯における必需的な耐久消費財の普及状況は、平均的な世帯と比べて大きな差はなく、また、必需的な消費品目の購入頻度は、平均的な世帯と比較しても概ね遜色ない状況にあること」から、第1・十分位における消費水準との比較により検証を行っている。 なく引き下げていくことにつながり、合理性がないことは明らかである 平均的な世帯と比較しても概ね遜色ない状況にあること」から、第1・十分位における消費水準との比較により検証を行っている。 なく引き下げていくことにつながり、合理性がないことは明らかである。 また、基準部会委員の多くは長年貧困研究に携わってきた専門家であり、設置当初の部会においては委員それぞれが独自に調査分析を行い、あるべき最低生活費を算定・発表してきたところ、その結果、生活保護基準(1級地1)が13万8839円であるのに対し、あるべき最低生活費は16~21万円であって、生活保護基準の低さが浮き彫りになっていた。それにもかかわらず、厚生労働省は、部会委員の研究成果を一顧だにせず、第1・十分位層の消費実態と生活保護基準を回帰分析の方法で比較するという検証方針を示したもので、第1・十分位との比較検証という手法は、部会委員らの積極的・発案によるものではなく、厚生労働省が主導・誘導したものであるから、専門機関により厚生労働大臣の裁量を統制するという制度趣旨を逸脱している。 このように、第1・十分位と生活保護基準とを比較して検証することは不当であり、また、平成25年報告書においては、様々な観点から第1・十分位との比較によって生活保護基準を引き下げることに対する懸念、消極的な姿勢が示されており、基準部会は安易な引下げにくぎを刺したにもかかわらず、厚生労働大臣はそのような指摘を無視して本件改定をしたのであって、専門部会によって厚生労働大臣の裁量を統制するという制度趣旨を逸脱している。 ⑵ 被告らは、基準部会が①~⑥の理由により第1・十分位の世帯を比較対象としたことに合理性がある旨主張するが、これらはいずれも合理的な根拠になり得ない。 ア理由①(生活扶助基準の妥当性については従前から一貫して低所得世帯の消費実態に着目して検証が行われてきた 較対象としたことに合理性がある旨主張するが、これらはいずれも合理的な根拠になり得ない。 ア理由①(生活扶助基準の妥当性については従前から一貫して低所得世帯の消費実態に着目して検証が行われてきたこと)について基準部会は、「これまでの検証」に倣い、生活保護受給世帯と隣接した一般低所得世帯である第1・十分位の消費実態を用いることが現実的であると判断しているが、「現実的である」という文言の意味や根拠は不明であり、また、「これまでの検証」が第1・十分位の世帯を比較対象としてきたという前提が誤っている。 即ち、昭和39年から昭和58年までの期間採用された格差縮小方式においては、「一般勤労者世帯の消費水準」が比較対象とされ、昭和58年から採用されてきた水準均衡方式においては、その採用の際、一般勤労者世帯の平均と第1・五分位と第2・五分位(下位40%)の低所得勤労世帯が比較対象として設定されたところ、平成15年中間取りまとめにおいて、突如、根拠を示すことなく、第1・十分位の世帯との比較が適当であるとの見解が示されたのである。したがって、基準部会の判断には、明白な事実誤認があり、第1・十分位の世帯を比較対象とすることが相当であるとする根拠となり得ない。 イ理由②(第1・十分位世帯の平均消費の水準が中位所得階層の約6割に達していること)について基準部会においては、いくつかの世帯類型別に「第1・十分位の生活扶助相当支出」と「第3・五分位の生活扶助相当支出」を比較して、前者が後者の62~71%であるとしているため、理由②は、これを根拠としたものと思われる。 しかし、水準均衡方式は、生活保護において保障すべき最低生活の水準を、一般国民における消費水準との比較における相対的なものとして設定すべきとして導入されたものであり、ここでいう一般国民の消費水準と しかし、水準均衡方式は、生活保護において保障すべき最低生活の水準を、一般国民における消費水準との比較における相対的なものとして設定すべきとして導入されたものであり、ここでいう一般国民の消費水準とは、普通の国民全体の消費水準の平均であるから、基準部会において、第1・十分位世帯の消費支出と比較すべき対象は、第3・五分位世帯の消費水準ではなく、全世帯の平均そして、平成25年検証においては、①生活扶助基準の妥当性については従前から一貫して低所得世帯の消費実態に着目して検証が行われてきたこと、②第1・十分位世帯の平均消費の水準が中位所得階層の約6割に達していること、③国民の過半数が必要であると考えている必需的な耐久消費財について、第1・十分位世帯における普及状況は、中位所得階層と比べて概ね遜色なく充足されている状況にあること、④全所得階層における年間収入総額に占める第1・十分位の年間収入総額の構成割合はやや減少傾向ではあるものの、特に第1・十分位のみが減少しているわけではないこと、⑤第1・十分位世帯の大部分はOECDの基準では相対的貧困線以下にあることが示されていること、⑥分散分析等の統計的手法により検証したところ、各十分位のうち、第1・十分位と第2・十分位の間において消費が大きく変化しており、他の十分位の世帯と比べて消費の動向が大きく異なると考えられることなどを踏まえて、第1・十分位の世帯を比較対象とすることが妥当であると判断されたのであり、第1・十分位の世帯を比較対象とした基準部会の検証方法に何ら問題はない。 ⑵ 原告らは、平成25年検証の検証方法が、水準均衡方式の考え方に反している旨指摘するが、水準均衡方式とは、政府経済見通しにおける民間最終消費支出の伸びに準拠して生活扶助基準の改定率を決定する方式であって、それまでの格差縮小方式により、昭和 水準均衡方式の考え方に反している旨指摘するが、水準均衡方式とは、政府経済見通しにおける民間最終消費支出の伸びに準拠して生活扶助基準の改定率を決定する方式であって、それまでの格差縮小方式により、昭和58年意見具申において妥当な水準に達していると評価された当時の生活扶助基準の水準を、一般国民の消費水準の動向に即して改定することにより維持していこうとするものである。他方で、生活扶助基準の妥当性の検証については、過去から一貫して低所得世帯の消費実態や生活様式に着目して基準の策定ないし検証が行われてきたところであり、昭和58年意見具申において、生活保護利用世帯の消費水準が「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準」であるとされたのも、変曲点(大部分の国民が維持してきた生活様式が保たれる限界点)における収入分位が第2.99・五十分位とされ、そこでの生活扶助相当消費支出額と生活扶助基準額とを比較した結果である。昭和58年意見具申は、平均的一般世帯の消費支出や低所得世帯(第1・五分位、第2・五分位)の消費支出と、被保護世帯の消費支出の格差の均衡を維持するべきとしたものでは全くない。その後、平成15年中間取りまとめや平成19年報告書においても、上記のとおり、第1・十分位世帯との比較において、生活扶助基準の妥当性が検証されてきた。 原告らの上記指摘は、生活扶助基準の改定方式である水準均衡方式と生活扶助基準の妥当性の検証手法を混同したものであって、前提において誤っている。 ⑶ また、原告らは、基準部会や平成25年報告書が第1・十分位との比較による生活保護基準の引下げに消極的であった旨指摘するが、同報告書は、基準部会で検討を重ね、最終的に基準部会委員の合意を得たものである。そして、同報告書においては、平成25年検証につき「生活扶助基準の妥当性について、よりきめ に消極的であった旨指摘するが、同報告書は、基準部会で検討を重ね、最終的に基準部会委員の合意を得たものである。そして、同報告書においては、平成25年検証につき「生活扶助基準の妥当性について、よりきめ細やかな検証が行われたことになる」、「今回の本部会で採用した(中略)手法についても委員による専門的議論の結果得られた透明性の高い一つの妥当な手法である」などと評価され、また、「厚生労働省において生活扶助基準の見直しを検討する際には、本報告書の評価・検証の結果を考慮し、その上で他に合理的な説明が可能な経済指標などを総合的に勘案する場合には、それらの根拠についても明確に示されたい」と記載されており、検証結果を根拠に生活扶助基準を見直すことについて、同報告書や基準部会から消極的姿勢が示されたものでないことは明らかである。 消費水準(もしくは、勤労者世帯の平均水準)であった。仮に、第3・五分位を比較対象として採用するのであれば、第3・五分位世帯が国民全体を代表するといえるのか(第3・五分位の消費水準が全世帯の平均的消費水準と一致しているのか)を検討しなければならないが、基準部会においては、そのような検討や説明を何らしていない。そして、第11回基準部会で示された資料によれば、上位20%(第9・十分位と第10・十分位)の富裕層が全体所得の45パーセント以上を占めていて下位80%のシェアが小さく、第3・五分位以下の階層のシェアは全体の30%の位置にあり、平成21年全国消費実態調査の結果によれば、第3・五分位の1か月あたり消費支出は28万4559円であって、全世帯平均の30万0936円を下回っている。したがって、第3・五分位階層を全世帯の平均的階層とすることは誤りであり、基準部会が第3・五分位を比較対象とし、第1・十分位世帯の平均消費の水準がその約 、全世帯平均の30万0936円を下回っている。したがって、第3・五分位階層を全世帯の平均的階層とすることは誤りであり、基準部会が第3・五分位を比較対象とし、第1・十分位世帯の平均消費の水準がその約6割に達しているとして、第1・十分位を比較対象としたことには、合理的な根拠がない。 ウ理由③(国民の過半数が必要であると考えている必需的な耐久消費財について、第1・十分位世帯における普及状況は、中位所得階層と比べて概ね遜色なく充足されている状況にあること)について理由③は、第11回基準部会において、第1・十分位世帯の耐久消費財保有率に関する報告(甲A28)が行われ、これについて、E委員が補足説明を行った内容を指すものと考えられる。 しかし、社会的必需品の普及状況をもって貧困を測定する方法は、社会的必需品が欠けている場合には貧困であると判断できるというネガティブテストであって、社会的必需品をすべて持っているからといって必ずしも貧困ではないと判別できるものではないから、「社会的必需品がある状態」イコール「貧困状態ではない」という前提に立っている点で誤りがある。 また、厚生労働省が実施した「平成22年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」(甲A30)によれば、「Ⅱ 家庭の生活実態及び生活意識(普段の生活、耐久財の保有状況、親族・近隣との付き合い、住環境、レジャーや社会参加、家計の状況)」に関する調査項目(60項目)のうち、3分の2(40項目)について、第1・十分位の世帯の普及率が第3・五分位の普及率の9割未満であり、とりわけ文化・教養に関わる項目、社会生活に関わる項目においてその格差は顕著である。したがって、社会的必需品の第1・十分位の保有率が、第3・五分位の保有率とおおむね同程度であるというのは、上記「平成22年家庭の生活実態及び生活意識に 会生活に関わる項目においてその格差は顕著である。したがって、社会的必需品の第1・十分位の保有率が、第3・五分位の保有率とおおむね同程度であるというのは、上記「平成22年家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」と整合性がない。 さらに、厚生労働省が、第11回基準部会で行った、上記第1・十分位世帯の耐久消費財保有率に関する報告(甲A28)においては、項目の選別方法が厳格に過ぎ、「必需的な耐久消費財」とされる項目が余りに限定されることになって、不適切である。2011年社会的必需品調査(甲A31)の質問A(現在の日本の社会において、ある家庭が、普通に生活するためには、最小限どのようなものが必要ですか)に対し、50%以上が「必要」と回答した29項目を「必需的な耐久消費財」として選別すると、そのうち15項目について、第1・十分位における普及率が第3・五分位の9割を下回っており、第1・十分位の普及率が、第3・五分位とおおむね同程度という結果にはならない。 以上によれば、理由③は、生活扶助基準の妥当性の検証を、第1・十分位世帯との比較によることが相当と考える根拠とはなり得ない。 エ理由④(全所得階層における年間収入総額に占める第1・十分位の年間収入総額の構成割合はやや 減少傾向ではあるものの、特に第1・十分位のみが減少しているわけではないこと)についてここで問題となるのは、生活扶助基準を定めるにあたり、第1・十分位を比較対象としてよいのかということであって、第1・十分位のみならず他の所得階層の年間総収入額も減少していることは全く関係がない。むしろ、高所得者層を除く各十分位の年間収入総額の構成割合が等しく減少し、その中で第1・十分位の年間収入総額の構成割合が低下しているという事実は、第1・十分位の所得水準が全所得階層の中で占める割合が むしろ、高所得者層を除く各十分位の年間収入総額の構成割合が等しく減少し、その中で第1・十分位の年間収入総額の構成割合が低下しているという事実は、第1・十分位の所得水準が全所得階層の中で占める割合が相対的に低下していることを示すものであり、このような第1・十分位と比較すること自体、一般国民生活における消費水準との比較によって生活扶助基準の妥当性を検証してきた歴史的経緯に反している。加えて、家庭の収入の減少が家計に与える影響は、ほかの階層に比較して低所得家庭の方がはるかに大きく、高所得者層を除いた、第1・十分位を含む所得階層の収入総額の構成割合が減少しているという事実は、むしろ、第1・十分位を比較対象とすることには慎重であるべきことの根拠となるものである。 オ理由⑤(第1・十分位世帯の大部分は、OECDの基準では相対的貧困線以下にあることが示されていること)について一般にOECD加盟国においては、OECD基準による相対的貧困線以下の世帯は、「あってはならない状態」にあると考えられている。また、被告国は、子どもの貧困対策の推進に関する法律において、子どもの貧困率について、広く一般的に利用されているOECDの定義に基づく計算方法を採用し、「あってはならない貧困」の水準をOECD基準の貧困線と同一と定めているのであり、この「あってはならない状態にある」第1・十分位世帯を比較対象として生活扶助基準を定めることは、それ自体誤りである。 カ理由⑥(分散分析等の統計的手法により検証したところ、各十分位のうち、第1・十分位と第2・十分位の間において消費が大きく変化しており、他の十分位の世帯と比べて消費の動向が大きく異なると考えられること)について仮に、第1・十分位と第2・十分位との間で消費が大きく変化しているとすれば、「変曲点」が第1・十分位と第 く変化しており、他の十分位の世帯と比べて消費の動向が大きく異なると考えられること)について仮に、第1・十分位と第2・十分位との間で消費が大きく変化しているとすれば、「変曲点」が第1・十分位と第2・十分位との間に存すると考えるのが相当ということになる。そして、在り方専門委員会における厚生労働省の説明によれば、「変曲点を境として、以下の水準では最低生活を営むことが難しくなるものと考えられる」(乙A32)というのであるから、生活扶助基準の妥当性を検証するための比較対象を第1・十分位世帯の消費水準とするのは、最低生活を営むことが困難である所得階級の消費水準と比較することを意味することになり、誤りである。 2-2-2-2 比較対象から生活保護受給世帯が除外されていないことについて原告らの主張被告らの主張 ⑴ 平成25年検証においては、比較対象となるところの第1・十分位層のサンプル世帯から、生活保護世帯と考えられるサンプルを除外しないまま、「生活扶助基準」と「生活保護受給世帯を含む第1・十分位層の消費水準」とを比較している。今回の生活扶助基準の引下げにおいて、被告らが採用した手法は、検証時点における生活扶助基準と第1・十分位層の消費水準を比較して、生活保護基準額の相対的な適正化を図ろうとするものであるから、独立したサンプル間の比較でなければ統計学上の正当性は担保さ ⑴ 平成25年検証は、生活扶助基準額と一般低所得世帯(第1・十分位)の生活扶助相当支出額について、絶対的水準(額の絶対値)の差を捨象した上で、年齢、世帯人数及び地域別の相対的な乖離を把握するため、検証サンプルとなった第1・十分位の世帯構成に対応する生活扶助基準額の平均と第1・十分位世帯の生活扶助相当支出額の平均を不変(同額)となるようにデータ処理した上で相対比較を行った 離を把握するため、検証サンプルとなった第1・十分位の世帯構成に対応する生活扶助基準額の平均と第1・十分位世帯の生活扶助相当支出額の平均を不変(同額)となるようにデータ処理した上で相対比較を行ったものである。 れず、明らかに不合理である。 ⑵ また、第9回基準部会における議論の結果、平成19年検証を踏襲して比較対象のサンプルから生活保護受給世帯を除去するものと取りまとめられたにもかかわらず、厚生労働省の事務方が「体系及び級地の検証においては、消費同士の相対比較であり生活保護受給かどうかは無関係であることから、生活保護受給世帯と考えられるサンプルは特段除去しない」という文言が挿入された資料を作成し、基準部会における説明も議論も行われないまま、サンプルに生活保護受給世帯を含めたまま検証がなされたのであるから、この検証方法は手続の適正を欠くものである。 生活扶助基準額と生活扶助相当支出額の絶対的水準を単純に比較するのであれば、独立したサンプル間の比較という方法は有用であるが、平成25年検証は、あくまで一般低所得世帯の消費実態と生活扶助基準額との相対比較を行い、消費実態と生活扶助基準額の年齢・世帯人員・級地別の乖離を検証することが目的であったから、生活扶助受給世帯を除く第1・十分位世帯を比較対象とする必要はない。 ⑵ また、平成25年検証に基づくゆがみ調整は、第1・十分位世帯の消費実態と生活扶助基準の年齢・世帯人員・級地別の較差を是正するにとどまり、それ自体、金額が絶対値として「高い」、「低い」といった生活扶助基準の絶対水準の調整を意図したものではない。そして、第11回基準部会においては、厚生労働省事務方から「これまでの部会における議論を踏まえた具体的な検証方法について」と題する資料(甲A69)を配布し、質疑応答が行われたが、「体 たものではない。そして、第11回基準部会においては、厚生労働省事務方から「これまでの部会における議論を踏まえた具体的な検証方法について」と題する資料(甲A69)を配布し、質疑応答が行われたが、「体系及び級地の検証においては、消費同士の相対比較であり生活保護受給かどうかは無関係であることから、生活保護受給世帯と考えられるサンプルは特段除去しない」と記載されている点について、手法として不合理であるなどといった意見は特段出されなかった。基準部会においては、絶対水準の検証は行われておらず、また、生活保護受給世帯と考えられるサンプルを除去しないことについて説明等が行われた上で、これが不合理であるとする意見は出なかったのであるから、手続上の適正を欠く旨をいう原告らの主張には理由がない。 2-2-2-3 統計データについて原告らの主張被告らの主張 ⑴ 平成25年検証は、平成21年全国消費実態調査における第1・十分位の消費実態を分析したものであるが、統計学においては、母集団からサンプルを抽出して標本調査を行う場合、サンプルは母集団から偏りなくかつ数多く抽出する必要があるとされる。しかし、平成25年検証で用いられた第1・十分位のサンプルは、年齢別・世帯人員別・級地別の類型(パターン)ごとのサンプル数が全体として十分ではなく、特定の類型(例えば、都市部である1級地の1の5人世帯の世帯類型、地方である3級地の2の稼働年齢層の世帯類型)については著しくサンプル数が少ないことからすると、統計学上大きな問題があり、その検証は信頼性に欠けている。 ⑵ また、平成25年検証に用いられたデータについては、平成21年全国消費実態調査の集計データと比較照合すると、分析方法や分析結果について議論する以前に、整合性に欠けた不明な部分が指摘できる。すなわち、総務省統 成25年検証に用いられたデータについては、平成21年全国消費実態調査の集計データと比較照合すると、分析方法や分析結果について議論する以前に、整合性に欠けた不明な部分が指摘できる。すなわち、総務省統計局の定義では、収入十分位階級とは収入の低い世帯から高い世帯へ順に並べ、世帯を10等分した十のグループであるところ、回帰分析に用いられた平成21年全国消費実態調査の個票データのうちデータ①は3125世帯、データ②は6697世帯となっている。そのため、逆算すると、平成21年全国消費実態調査における総世帯数はデータ①の3125世帯に10を乗じた3万1250世帯とならなければならないが、平成21年全国消費実態調査における調査世帯数(総数)は56806、集計世帯数は55089となっており、大きく異なっている。そして、平成21年全国消費実態調査の「第23表年間収入十分位階級・年間可処分所得」(総務省統計局)をみると、十分位階級は、世帯数10%で区分された所得分布ではなく、世帯人員数に基づいて区分されていることが分かり、他方で、平成25年検証のデータ①は「世帯の年間収入を基に分位を設定したもの」、データ②は「世帯の年間収入を世帯人員数で除した世帯員1人当たりの年間収入を基に分位を設定したもの」とされている ⑴ 平成25年検証においては、全国消費実態調査の対象に10代以下の単身世帯がほとんどおらず、10代以下の消費を正確に計測できないという限界があったことを考慮するとともに、検証結果の妥当性を補強するため、回帰分析を用いて可能な限り正確な指数を算出した。このように、サンプル数が少ないことも考慮した上で、回帰分析によって検証結果の妥当性を補強しているから、サンプル数が少ない類型があったとしても、そのことをもって平成25年検証が信頼性を欠くことにはならない。 ⑵ プル数が少ないことも考慮した上で、回帰分析によって検証結果の妥当性を補強しているから、サンプル数が少ない類型があったとしても、そのことをもって平成25年検証が信頼性を欠くことにはならない。 ⑵ 平成25年検証において用いられた平成21年全国消費実態調査のデータは、平成17年国勢調査を基に推計した世帯を母集団とし、その中から2人以上世帯5万2404世帯、単身世帯4402世帯を抽出して行われた抽出調査である。調査対象世帯の抽出に当たっては、調査対象である市町村の人口密度や分布等によって決められた抽出率が用いられ、集計の際には、回答が得られた個票データに、抽出率逆数などで算出される集計用乗率を乗じることによって、全国規模の消費実態を推計しており、単身世帯は二人以上世帯と比べて調査票の配布及びその回収が困難であることなどの理由から、単身用世帯の集計用乗率は、二人以上世帯の集計用乗率よりも相当に大きな数値となっていた。 そして、平成25年検証において用いたデータは、平成21年全国消費実態調査の個票データのうち、データ①(年間収入が低い世帯から順に並べた第・1十分位の世帯)とデータ②(世帯員1人当たりの年間収入が低い世帯から順に並べた第1・十分位世帯)の2種類であるところ、データ①及びデータ②を構成する個票データを選定するにあたっては、個票データとともに総務省から提供を受けた各集計用乗率を使用し、データ①については世帯年収が、データ②については世帯員1人当たりの年収が、それぞれ下位の世帯から個票データを順に並べ、集計用乗率を乗じた実際の世帯数の累計が全体の実際の世帯数の下位10%となるところまでの個票データを第1・十分位として構成している。 が、総務省統計局の上記区分方法と異なっていると推察され、データ①及び②の年間世帯収入、可処分所得、 際の世帯数の下位10%となるところまでの個票データを第1・十分位として構成している。 が、総務省統計局の上記区分方法と異なっていると推察され、データ①及び②の年間世帯収入、可処分所得、等価可処分所得などは、公表されている数値と異なる可能性が高く、被告国は、回帰分析によるゆがみを分析する基礎となるデータにつき、他の同種のデータと整合しないものを使用しているのであって、ゆがみ調整が恣意的かつ著しく不合理であるという点を推認させる。 ⑶ また、一般低所得世帯の消費実態を示すものとして利用した平成21年全国消費実態調査のデータには、季節性が限定されている、地域別・家計類型別の抽出率の違いによるサンプルのばらつきがある、単身世帯調査の調査方法が特殊である、家計の個人別収支(こづかい)部分が漏れている可能性がある、上記データには協力世帯の特性として官公職員層が多い、世帯有業率が低いなどのサンプルが偏っているといった問題点があり、平成25年検証は、必ずしも正確とはいえないデータを厳密に使い過ぎている。 世帯収入が下位の世帯から個票データを並べた場合には、下位の世帯には相対的に単身世帯が多く含まれ、他方、世帯員1人当たりの年収が下位の世帯から個票データを並べた場合には、下位の世帯には相対的に二人以上の世帯が多く含まれると考えられるところ、集計用乗率が、単身世帯の方が2人以上世帯よりも相当大きな数値になることからすると、下位に単身世帯が多く含まれるデータ①の場合、データ②の場合と比較して、集計用乗率を乗じた世帯数の累計が全体の世帯数の下位10パーセントとなる個票データの個数(世帯数)は少なくなる。 平成25年検証に用いられているデータ①及びデータ②は、以上のような方法で個票データを選定したもので、各個票データの数が、平成21年全国消費実態調査の なる個票データの個数(世帯数)は少なくなる。 平成25年検証に用いられているデータ①及びデータ②は、以上のような方法で個票データを選定したもので、各個票データの数が、平成21年全国消費実態調査の調査世帯数ないし集計世帯数の単純な10分の1になるものではない(単純な10分の1の数よりも、データ①は少なく、データ②は多くなる。)。平成25年検証において、平成21年消費実態調査のデータと整合しないものを使用した事実はなく、その旨をいう原告らの主張に理由がないことは明らかである。 ⑶ 原告らは、平成21年全国消費実態調査について、季節性が限定されているなどの問題がある旨指摘するが、このような主張は、平成21年全国消費実態調査に限界があることによって平成25年検証の結果に影響が生じうるとの抽象的可能性を指摘するに過ぎない。 また、一般国民の消費実態を把握するためには統計データを用いるほかなく、統計データを使用することによる一定の限界が生じることは基本的に避けがたい。基準部会は、平成21年全国消費実態調査にそのような限界があることを踏まえつつも、同データを用いる判断をし、同データを用いた手法について妥当な手法であると評価しているのであって、平成21年全国消費実態調査に原告らが指摘する限界があることは本件改定の適否を左右するものではない。 2-2-2-4 回帰分析の手法について原告らの主張被告らの主張 ⑴ 平成25年検証においては、回帰分析の手法により、第1・十分位世帯の標準的な消費支出値(予測値)を求めているが、その結果は、「60~69歳」と比べて「20~40歳」の消費支出額が84%程度であるといったもので、生活扶助基準額でみると「60~69歳」の世帯構成員が1人いる世帯と「20~40歳」の世帯構成員が1人いる世帯を比較した場合、「 と比べて「20~40歳」の消費支出額が84%程度であるといったもので、生活扶助基準額でみると「60~69歳」の世帯構成員が1人いる世帯と「20~40歳」の世帯構成員が1人いる世帯を比較した場合、「60~69歳」と比べて「20~40歳」が12%も多く支給されており、平成25年検証において回帰分析の手法により求められた第1・十分位の消費支出値は、現実の消費実態からかけ離れている。このような結果となったのは、平成25年検証で行われた回帰分析につき、「決定係数」の問題、回帰係数の「t検定」での問題があったためである。 また、第11回基準部会における厚生労働省の説明資料によれば、上記回帰分析においては、通常のOLS(最小2乗法)による回帰分析ではなく、直交回帰もしくは主成分回帰と呼ばれる特殊な方法が行われた疑いがあり、そうではなく、OLSによる回帰分析をしたのであれば、基準部会委員に対して誤った説明をしたことになる。 平成25年検証において回帰分析の手法により求められた第1・十分位世帯の消費支出の推計値は、現実の消費実態をほとんど反映できていないものであり、このような推計値に基づいて行われたゆがみ調整には合理性を見出せない。 ⑴ 平成25年検証において、回帰分析の手法を用いて算出された指数のうち、基準額に反映されたのは、年齢階級別(第1類費)の指数のみであり、年齢体系以外の世帯人員(第1類費、第2類費)及び級地差の検証については、平成21年全国消費実態調査の実データに基づき平均消費水準を指数化していて、回帰分析はその検証結果の妥当性を確認するために行われたにとどまり、回帰分析を用いて算出された指数はゆがみ調整に用いられていない。そのため、原告らの主張は、年齢階級別以外の指数については、そもそも当てはまるものではない。 ⑵ 原告らは、平成25 われたにとどまり、回帰分析を用いて算出された指数はゆがみ調整に用いられていない。そのため、原告らの主張は、年齢階級別以外の指数については、そもそも当てはまるものではない。 ⑵ 原告らは、平成25年検証における回帰モデルの決定係数が低く、そのためにゆがみ調整は現実の消費実態をほとんど反映できていない推計値に基づいて行われたもので、合理性を見出せない旨主張する。 しかし、決定係数は、回帰分析における当てはまりの良さ、すなわちその回帰分析が実態と近似する程度を示す指標であり、決定係数の値が0(説明変数Xが被説明変数Yの変動を説明するのに全く役に立たない場合)であればともかく、どの程度の決定係数の値であれば実態と近似したものとして妥当と評価されるか(どの程度の決定係数の値であれば、無理のある近似であって妥当でないと評価されるか)については一般的な基準は存在せず、特定の決定係数の値以上でなければ採用しえないといった統 ⑵ 回帰分析における決定係数とは、予測値の精度(データに対する回帰直線の適合の良さ)を評価する指標であり、決定係数の数値が低い場合、例えば0.3のような場合、予測値はデータの内容を30%しか説明できなかったことになる。決定係数については、どこまでが良い回帰モデルとするのかの共通した基準というものは存在しないが、少なくとも0.5を下回るような回帰モデルを「良いモデル」であると評価するのは難しい。 そして、平成25年検証における回帰モデルの決定係数は、例えば、年齢階級別の第1類費相当支出にかかる回帰モデルについては、データ①(世帯の年間収入をもとに第1・十分位を設定したもの)の場合には0.28、データ②(世帯の年間収入を世帯人員数で除した世帯員1人当たりの年間収入をもとに第1・十分位を設定したもの)の場合には0.36となって 年間収入をもとに第1・十分位を設定したもの)の場合には0.28、データ②(世帯の年間収入を世帯人員数で除した世帯員1人当たりの年間収入をもとに第1・十分位を設定したもの)の場合には0.36となっており、世帯や個人の消費支出額をこのモデルから説明できるのは30%程度であって、逆に消費支出額の70%近くが別の要因によって左右されていることを意味している。このような平成25年報告書における回帰モデルの決定係数の低さは、他の回帰モデルでも同様であり、一連の分析結果は統計学的に見た場合、あくまでも参考程度の域をこえるものではないというのが妥当な評価である。これらの決定係数をみる限り、「サンプル世帯」の消費支出額を代表できるような推計値(予測値)が存在しているとみなすことはできない。 ⑶ また、「回帰係数のt検定」とは、説明変数が本当に被説明変数を説明できるに足る変数であるかどうかを判断する方法であり、複数の説明変数の中から被説明変数に対して意味のある変数(真の回帰係数が0ではない変数)を選択する手法である。具体的には、ある任意の回帰係数について、まず帰無仮説と呼ばれる仮説H0:β1=0(真の回帰係数は0)と対立仮説と呼ばれる仮説H1:β1≠0(真の回帰係数は0ではない)を設定し、検定の結果、帰無仮説採択と判定された場合、母集団の回帰係数は0であることを意味するので、説明変数Xは、被説明変数Yに対して全く影響がなく、回帰モデルにおいて説明変数として無意味であると判定される。仮設の設定に続いて、検定統計量と呼ばれる統計量をデータから計算し、ここで求められた計算値をt分布と呼ばれる標本分布(確率分布)から得られる理論値(任意の有意水準の下で帰無仮説が正しい場合に許容される検定統計量の限界値)と照合することにより仮説の最終的な判断を行うことになる。なお、有意 をt分布と呼ばれる標本分布(確率分布)から得られる理論値(任意の有意水準の下で帰無仮説が正しい場合に許容される検定統計量の限界値)と照合することにより仮説の最終的な判断を行うことになる。なお、有意水準は、通常5%もしくは1%が採用される。 平成25年検証における回帰分析について、有意水準を5%として検定すると、有意な差が認められず帰無仮説が棄却できなかった説明変数が多くあり、年齢階級別の第1類費相当支出にかかる回帰モデルでは、データ①につき、「2級地の2ダミー」「3級地の1ダミー」「家賃地代支出」が、データ②では「2級地の2ダミー」について、帰無仮説が棄却されていない。これらの変数は、被説明変数である消費支出額を予測する有効な変数とはなりえず、対応する回帰係数も有効と言えないことを意味し、通常の分析であれば、回帰係数に有意な差が認められなかった説明変数は、被説明変数を説明する変数として不要であるため、当該説明変数を除いて改めて回帰モデルの推定を行うはずであるが、そのような再分析は試みられていない。このように、平成25年検証の回帰分析は、t検定の結果をまったく反映させておらず、このような統計学的に問題のある回帰モデルに基づいて消費支出の予測値を求め、ゆがみの大きさを指標化したとしても、それが現実の消費構造を反映したものであるということはできない。 ⑷ さらに、回帰分析の結果を適切に評価するためには、この統計的手法に課せられるさまざまな仮定を満たしておかなければならず、例えば、誤差項の分散均一性(比較する2つのグループにおいて、サンプルの分散が等しいこと)、正規性(比較する2つのグループにおいて、サンプルが正規に分布している計的知見は存在しない。また、平成25年検証においては、平成21全国消費実態調査の個票データを用いており、このような個々の こと)、正規性(比較する2つのグループにおいて、サンプルが正規に分布している計的知見は存在しない。また、平成25年検証においては、平成21全国消費実態調査の個票データを用いており、このような個々の家計データはクロス・セクション(横断面)データと呼ばれるものであるが、クロス・セクションデータを用いた世帯の消費を被説明変数とする回帰分析については、その決定係数は0.3くらいしか得られない場合も多いとされ(乙A69)、0.5でも極めて良い評価とされている(乙A70)。 平成25年検証の回帰分析(年齢体系の第1類費)における決定係数の値(データ①につき0.28、データ②につき0.36)は低いと評価されるものではなく、まして、その採用が統計的に誤りといえるような極端に低いものではない。 原告らの主張は、統計的分析の当不当を指摘するものに過ぎず、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があることを基礎付けるものではないし、統計的手法の当不当の問題としてみても、平成25年検証の決定係数の値は、被説明変数の性質を考慮すれば決して低いものではなく、消費実態と近似するものとして妥当と評価できるものである。 ⑶ また、原告らは、平成25年検証の回帰分析につき、「回帰係数のt検定」により「不要」であると判断された説明変数を除外せずに検証結果を求めており、当該回帰分析に基づく消費支出額の予測が、現実の消費構造を反映していない旨主張する。 しかし、回帰分析における「t検定」とは、帰無仮説(「効果がない(無効)」ことや「異なっていない(同質)」ことを主張する仮説)を介在させる手法の一つであり、t値(推定係数をその標準誤差で割ることで求められる)を用いて、一定の有意水準を設定したうえで、それを前提に「説明変数の被説明変数への真の効果が0(ゼロ)である」という帰無 在させる手法の一つであり、t値(推定係数をその標準誤差で割ることで求められる)を用いて、一定の有意水準を設定したうえで、それを前提に「説明変数の被説明変数への真の効果が0(ゼロ)である」という帰無仮説を検定し、これが否定(棄却)されることで、「説明変数の被説明変数への効果がある(0ではない)」という対立仮説(「効果がある(有効)」ことや「異なっている(異質)」こと)を採択するものである。 帰無仮説の検証においては、対立仮説が生じた場合(帰無仮説の下で期待された効果が生じなかった場合)、その帰無仮説は棄却され、反対の内容の対立仮説を受け入れることになり、これがt検定の目的とするところであって、他方、帰無仮説に反することが検定において認められず、帰無仮説が採択された場合、帰無仮説を「積極的に支持する」ことになるわけではない。 したがって、有意水準を5%とした場合に帰無仮説を棄却できなかった説明変数があるとしても、帰無仮説を棄却しないことの意味は、当該帰無仮説を積極的に支持すること(帰無仮説が「真」であって、説明変数に効果がないと積極的に支持すること)ではなく、その説明変数を除外しなければ、それを説明変数に含めた回帰分析の結果を採用できないというものではなく、その回帰分析が統計的に誤っているということにはならない。 原告らの主張は、t検定によって帰無仮説が棄却できない場合の統計的解釈を誤るものであり、特に、「検定の結果、帰無仮説採択と判定された場合、母集団の回帰係数は0であることを意味する」という主張は統計学的に明確な誤りである。したがって、原告らの主張は、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があることを基礎づけ得るものではない。 ⑷ さらに、誤差項の分散均一性、正規性及び説明変数間の多重共線性などの検討は、t検定と同様、回帰分析結 張は、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があることを基礎づけ得るものではない。 ⑷ さらに、誤差項の分散均一性、正規性及び説明変数間の多重共線性などの検討は、t検定と同様、回帰分析結果について、事後的に精度を検証するための統計的検定の手法であるが、上記手法を用いなければ回帰分析の結果を採用しえないといったような統計的知見は全くなく、それらの手法を採用して こと)、説明変数間の多重共線性(説明変数間に非常に強い相関があったり、一次従属的な変数関係があること)などの仮定であるが、平成25年報告書ではこれらについて全く触れられていない。 いないことは、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があることを基礎づけ得るものではない。 なお、平成25年検証においては、OLS(最小2乗法)による重回帰分析を行ったものであり、第11回基準部会における説明資料は、回帰分析について簡略に説明するために、単回帰分析のイメージ図を用いたにすぎず、厚生労働省が基準部会委員に誤った説明をしたものではない。 2-2-3 1/2調整について原告らの主張被告らの主張 ⑴ 厚生労働大臣は、ゆがみ調整を行うに当たり、平成25年報告書で示された年齢・世帯人員・地域差による影響について、生活扶助基準に反映させる比率を1/2とする1/2調整を行った。 ⑵ 1/2調整を行うことについては、基準部会に報告されておらず、専門家の意見を経ていない。保護基準改定においては、従来、専門家による検証を踏まえることが確立した行政慣行となっており、確立した行政慣行を逸脱することは、原則として裁量権の逸脱・濫用となるというべきである。 ⑶ 被告国は、1/2調整について、有子世帯等への影響や検証の限界等を勘案し、生活保護受給者への激変緩和措置とし した行政慣行を逸脱することは、原則として裁量権の逸脱・濫用となるというべきである。 ⑶ 被告国は、1/2調整について、有子世帯等への影響や検証の限界等を勘案し、生活保護受給者への激変緩和措置として講じられたものであると主張するが、1/2調整を行うことを記載した資料(甲A152の3・5頁)には有子世帯等への影響や検証の限界といった被告国が主張する事項は一切記載されておらず、同資料では財政効果について言及され(同6頁)、施行が遅れると、その分、平成25年度の財政効果が縮減されることになる(同7頁)とも述べられていて、専ら財政縮減の観点から1/2調整を行ったことが際立っている。また、1/2調整は、平成25年報告書の検証結果に基づいてゆがみ調整を行った場合、本来、生活扶助費が上がる世帯(高齢世帯)の上げ幅を大幅に減縮したもので、生活保護利用世帯の半数以上は、高齢世帯であり、その高齢世帯の上げ幅を減縮することは非常に大きな財政効果をもたらすものであって、1/2調整による財政効果として約90億円の削減効果が得られている。さらに、1/2調整には、平成25年報告書に基づき、年齢階級別、世帯人員別、地域別に生活扶助基準額と一般低所得世帯の消費実態との乖離を指数化して分析し、その乖離(ゆがみ)を是正することを目的としたゆがみ調整につき、そのゆがみの調整を完全に行わず、ゆがみ調整の趣旨を没却したという問題もある。 ⑷ このように、1/2調整は、基準部会の専門家に諮ることなく、厚生労働大臣が独自に行った結果、ゆがみ調整の趣旨を没却し、生活保護利用世帯の多くを占める高齢世帯の増額幅を減縮し、90億円という大幅な財政効果をもたらしたものである。1/2調整は、激変緩和措置ではなく、自民党の政権公約であった生活保護費10%削減達成のために、専門的知見と何ら整合的でない 世帯の増額幅を減縮し、90億円という大幅な財政効果をもたらしたものである。1/2調整は、激変緩和措置ではなく、自民党の政権公約であった生活保護費10%削減達成のために、専門的知見と何ら整合的でない生活保護費切り下げをした施策に過ぎず、裁量権の逸脱・濫用は明らかである。 ⑴ 厚生労働大臣は、ゆがみ調整を行うに当たり、平成25年報告書で示された年齢・世帯人員・地域差による影響を完全に調整するのではなく、その影響の調整を1/2とすることとした。厚生労働大臣が1/2調整を講じた経緯及び理由は以下のとおりである。 ⑵ 平成25年検証は、生活扶助基準の「展開のための指数」について初めて詳細な分析を行ったもので、その手法は専門的議論の結果得られた透明性の高い合理的なものと評価できるものの、当該手法が唯一のものということはできないし、特定のサンプル世帯に限定して分析する際にサンプル世帯が極めて少数になるといった統計上の限界も認められた。他方、基準部会が常設の部会として設置され、生活扶助基準について、専門機関による検証が定期的に行われ、展開部分についても、平成25年検証の結果等を前提に、その後もさらなる検証が行われることが予定されていた。そのため、平成25年検証の結果の取扱いとして、検証作業において算出された一般低所得世帯の消費実態による指数を機械的に全て生活扶助基準における「展開のための指数」に反映させることが求められるべきものでないことは明らかであった。そして、平成25年検証は、年齢階級別、世帯人員別、級地別の「展開のための指数」について検証を行ったもので、その影響は、世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の組合せによって様々であると見込まれた。しかも、平成25年検証で算出された指数をそのまま反映させた場合、子どものいる世帯では、①夫婦子1人 たもので、その影響は、世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の組合せによって様々であると見込まれた。しかも、平成25年検証で算出された指数をそのまま反映させた場合、子どものいる世帯では、①夫婦子1人世帯(子は18歳未満)8.5%、②夫婦子2人世帯(子は18歳未満)14.2%、③母子世帯(18歳未満の子1人)5.2%との減額率となることから、子どものいる世帯への影響が大きくなることが予想され、平成25年報告書においては、「今般、生活扶助基準の見直しを具体的に検討する際には(中略)とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要がある」と明記されており、平成25年検証自体が上記観点からの対策を講じることを要求していたといえる。 ここで、ゆがみ調整については、平成25年検証の結果に関し、例えば、個別の指数ごとに、減額幅(減額の改定率)については2分の1とし、増額幅(増額の改定率)についてはそのまま反映させるといったように、反映の程度を部分的に変えるということは理論的にはあり得る。しかし、世帯によって改定率を変える反映方法は、平成25年検証が「世帯構成などが異なる生活保護受給者間において実質的な給付水準の均衡が図られる体系としていくべきとの観点」を踏襲し、生活保護受給者間における公平性を確保する観点から行われたにもかかわらず、検証結果の取扱いについて生活保護受給者間の公平性を欠くことになりかねず、また、増額又は減額のいずれかに偏った反 映をすることは、生活扶助基準の「展開のための指数」の検証という平成25年検証の本質的な趣旨を改変することになる。そのため、厚生労働大臣は、平成25年検証の結果の反映の程度を、減額幅か増額幅かを問わず、一律に2分の1としたのである。 ⑶ このように、厚生労働大臣は、「 証の本質的な趣旨を改変することになる。そのため、厚生労働大臣は、平成25年検証の結果の反映の程度を、減額幅か増額幅かを問わず、一律に2分の1としたのである。 ⑶ このように、厚生労働大臣は、「生活扶助基準の展開部分(生活保護受給世帯間における相対的な較差)の適正化」という平成25年検証の本質的部分を維持しつつ、子どものいる世帯への配慮(貧困の世代間連鎖の防止)や次回の検証を見据えた措置として、1/2調整を行ったのであり、これは激変緩和措置として合理的であって、裁量権の範囲の逸脱又は濫用であるとはいえない。 ⑷ なお、原告らは、1/2調整を行うことについて基準部会による検討を経ておらず、そのために1/2調整を行った厚生労働大臣の判断に裁量権の逸脱又は濫用がある旨主張する。しかし、保護基準は、生活保護法8条に基づき厚生労働大臣が定めるとされており、保護基準の作成に際して厚生労働大臣が社会保障審議会等の第三者の意見を聞くことは法令上の要件ではない。また、専門委員会等による検討結果は厚生労働大臣の判断を法的に拘束するものではなく、その意見は考慮要素の一つであり、基準部会の検討結果を踏まえた保護基準の改定は、厚生労働大臣の政策判断に委ねられ、基準部会の検証結果を反映させるか、反映させる場合にどのように反映させるかなどといった点は、厚生労働大臣の合目的的裁量に委ねられている。したがって、基準部会等の専門機関による検討を経ていないことをもって、厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落があるとはいえず、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があることにはならない。 2-3 デフレ調整について2-3-0 デフレ調整による生活扶助基準の見直しの必要性・合理性にかかる被告らの主張 ⑴ 生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)については、平成25年検証の直 2-3 デフレ調整について2-3-0 デフレ調整による生活扶助基準の見直しの必要性・合理性にかかる被告らの主張 ⑴ 生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)については、平成25年検証の直前の専門機関による検証である平成19年検証において、一般低所得世帯の消費水準と比較して高いという結果が得られていたものの、厚生労働大臣は、原油価格の高騰等が消費に与える影響等の社会経済情勢を見極める必要性等を考慮して、平成20年度の生活扶助基準を据え置くこととした。その後、平成20年9月のリーマンショックに端を発する世界金融危機の影響で、同年以降、賃金、物価、家計消費等がいずれも下落する経済情勢にあり、当時の最新の全国消費実態調査のデータ(平成21年全国消費実態調査)によれば、平成16年全国消費実態調査と比べ、2人以上世帯における消費支出が約6.0%下落し、平成19年検証において生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)の検証に用いられた夫婦子1 人の一般低所得世帯(第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支出額)は、平成16年全国消費実態調査から約11.6%下落し、平成19年検証時点における夫婦子1人世帯の生活扶助基準額を約12.6%下回るものとなっていた。このような経済動向にもかかわらず、生活扶助基準が据え置かれていた結果、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)と一般国民の生活水準との間の均衡が崩れる状態となった。そして、平成21年から本件改定時までに一般低所得世帯の消費水準(生活扶助相当支出額)が増加する社会経済情勢にはなかったことから、生活保護法8条2項の規定を踏まえ、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を引き下げる必要があることは明らかであったところ、厚生労働大臣は、平成20年以降の経済情勢により生じた生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)と一般国民の生活水 、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を引き下げる必要があることは明らかであったところ、厚生労働大臣は、平成20年以降の経済情勢により生じた生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)と一般国民の生活水準との間の不均衡の是正を図ることにした。そして、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)の検証に当たり、夫婦子1 人の一般低所得世帯の消費水準との均衡をみるという専門機関の見解によれば、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を平成21年全国消費実態調査による夫婦子1人の一般低所得世帯の消費水準と、平成19年検証時点の夫婦子1人世帯の生活扶助基準額との乖離幅である12.6%引き下げたとしても、直ちに最低限度の生活を下回ることにはならないと考えられた。 ⑵ 水準均衡方式による生活扶助基準の毎年度の改定や、平成16年検証及び平成19年検証においては、消費が指標として用いられていた経緯があったものの、本件改定が検討された当時、上記のとおり、夫婦子1人の一般低所得世帯(第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支出額)が、平成16年全国消費実態調査から約11.6%下落し、平成19年検証時点における夫婦子1人世帯の生活扶助基準額を約12. 6%下回る状況となっていたため、夫婦子1人世帯の一般低所得世帯の消費水準を指標として生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を改定した場合、上記の約11.6%や約12.6%に近い減額率となり、減額幅が大きくなることが想定された。また、消費の動向が将来の予測を含む消費者の主観等の様々な要素に影響されるものであり、平成20年以降の経済状況下では消費が過度に抑えられている可能性も考えられ、消費を基礎として生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を改定する場合には、減額幅が必要以上に大きくなるおそれもあった。また、平成15年中間取りまとめでは、消費者物価指数 えられている可能性も考えられ、消費を基礎として生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を改定する場合には、減額幅が必要以上に大きくなるおそれもあった。また、平成15年中間取りまとめでは、消費者物価指数を生活扶助基準 の改定の指標として用いることが提案されており、消費税の導入や消費税率の引上げの際の増額改定など、過去に物価の変動に着目した改定を行ったこともあった上、物価を改定の指標とすることは、平成25年報告書における基準部会の指摘にも沿うものであった。そこで、厚生労働大臣は、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を引き下げる必要性があることを踏まえ、水準均衡方式の考え方を堅持しつつも被保護者の生活への影響に対する政策的考慮から、消費の構成要素の一つである物価を指標として改定を行うこととしたものである。 ⑶ そして、厚生労働大臣は、平成25年検証直前の専門機関による生活扶助基準の検証が平成19年検証であり、専門機関による検証結果を踏まえた厚生労働大臣の判断は平成19年検証を踏まえた平成20年度の改定の判断が直前のものであったから、平成20年度の生活扶助基準が生活保護法8条2項に適合する妥当なものであることを前提に、本件改定においては、平成20年以降の経済情勢を斟酌することとし、一方で、本件改定の検討の当時、最新の総務省CPIのデータは平成23年のものであったため、物価変動率の算定の終期は同年とした。そして、物価変動率の算定(生活扶助相当CPIの設定)については、生活扶助基準の改定の指標とする物価変動率を把握する上で、生活扶助費で支出される品目以外の品目を用いて物価指数を算出することは相当でないと考えられたことから、総務省CPIの指数品目のうち生活扶助費で支出される品目を指数品目として用いることとし、また、ウエイトは総務省CPIのウエイト(一般国民の 用いて物価指数を算出することは相当でないと考えられたことから、総務省CPIの指数品目のうち生活扶助費で支出される品目を指数品目として用いることとし、また、ウエイトは総務省CPIのウエイト(一般国民の消費実態を表す家計調査により算出されたウエイト)を用い、ウエイト参照時点としては、物価指数の算定時点(平成20年及び平成23年)に可能な限り近接した時点のウエイトを用いるのが相当であると考えられたことから平成22年とした。デフレ調整は、このように算定された生活扶助相当CPIの平成20年から平成23年までの下落率(-4.78%)を用いて生活扶助基準を改定したものである。 ⑷ 以上によれば、デフレ調整にかかる厚生労働大臣の判断過程には、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大な過誤、欠落があるとはいえず、かえって十分な合理性がある。したがって、最低限度の生活の具体化にかかる判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点からみて裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるとはいえない。 2-3-1 デフレ調整がゆがみ調整と重複した調整であり、また、物価の本格的考慮は物価の二重評価となって水準均衡方式と矛盾する旨の主張について原告らの主張被告らの主張 ⑴ ゆがみ調整の基礎となった平成25年検証は、生活扶助基準の絶対水準の妥当性の検証を主たる課題としつつ、標準3人世帯、単身世帯といったモデル世帯の生活扶助額の水準の妥当性を検証するという手法ではなく、年齢・世帯人員・地域別に従前の生活扶助基準額と低所得世帯の消費実態との乖離を検証して指数化することで、生活保護利用世帯間での「もらい過ぎ」「もらわな過ぎ」の不公平の是正(ゆがみ調整)と水準(高さ)の調整を一体的に行った点に特徴があり、実際に行われた、以下のゆがみ調整の計算式 証して指数化することで、生活保護利用世帯間での「もらい過ぎ」「もらわな過ぎ」の不公平の是正(ゆがみ調整)と水準(高さ)の調整を一体的に行った点に特徴があり、実際に行われた、以下のゆがみ調整の計算式(下線部がゆがみ調整)からも、年齢、世帯人員及び級地ごとの消費実態に着目し、各項目の違いに応じて保護基準(基準表における各基準額)を変更するものであることは明白である。実際、ゆがみ調整によってマイナス90億円の財政効果が得られているのであり、生活扶助基準の絶対水準の調整を目的とするデフレ調整による生活保護費の減額をする際、ゆがみ調整の結果として生じてしまった減額分を考慮して計算をしなければ、ゆがみ調整分とデフレ調整分とで、不当な重複引下げをしていることになる。 ①改定前第1類費×年齢別改定率×世帯人員別改定率×級地別改定率×デフレ改定率×逓減率②改定前第2類費×年齢別改定率×世帯人員別改定率×級地別改定率×デフレ改定率⑵ また、生活扶助基準の改定方式は、一般国民との消費の均衡を図る水準均衡方式であるが、消費支出は物価(消費者物価指数)とは異なるものの、全く無関係ではなく、価格が下がれば購入量が増え、価格が上昇すれば購入量が減少する関係にあり、その関係性は明確ではないが、物価変動が消費支出に影響を与えることは明らかである。消費支出と消費者物価指数は、相互に独立した変数ではなく、相互に影響し合う関係にある以上、ゆがみ調整とデフレ調整により、その両方を同時に反映させることは、物価の二重評価を招く結果となり許されない。 ⑶ さらに、ゆがみ調整に加え、デフレ調整を行うことは、以下の式のとおり、デフレ調整後の第1類費及び第2類費に対し、改定前の生活扶助基準額を前提として算出された改定率を乗じる結果となり、ゆ ⑴ ゆがみ調整は、平成20年以前 え、デフレ調整を行うことは、以下の式のとおり、デフレ調整後の第1類費及び第2類費に対し、改定前の生活扶助基準額を前提として算出された改定率を乗じる結果となり、ゆ ⑴ ゆがみ調整は、平成20年以前から改定されていなかった生活扶助基準の展開部分(生活保護受給世帯間における相対的な較差)を適正化したものであり、これに対し、デフレ調整は、平成20年以降の社会経済情勢等によって生じた生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)と一般国民の生活水準との不均衡を是正するため、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を適正化したものである。したがって、両者はその趣旨や目的を異にしており、改定内容が重なるものではない。 ⑵ また、ゆがみ調整に当たって参照された平成25年検証においては、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)とサンプル世帯である第1・十分位世帯の消費水準の高さの相違が検証結果に反映されないように、「仮に第1・十分位の全ての世帯が生活保護を受給した場合の1世帯当たりの平均受給額が不変となるようにして、年齢、世帯人員体系及び級地の基準額の水準への影響を評価する方法」が採用されており、平成25年報告書を通覧しても、展開のための指数についての検証結果を生活扶助基準に反映させることによって、その「水準」(絶対的な高さ)についても影響が及ぶなどという記載は見当たらない。そして、厚生労働大臣は、平成25年検証の結果を生活扶助基準の展開部分に反映させるに当たって、増額か減額かを問わずに一律に反映させる以上は、ゆがみ調整によって生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)に影響を及ぼすものではないと判断したものである。 ⑶ 以上のとおり、ゆがみ調整に加えて生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を適正化する必要があるとした厚生労働大臣の判断は、平成25年検証の目的及び検証方法 ぼすものではないと判断したものである。 ⑶ 以上のとおり、ゆがみ調整に加えて生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を適正化する必要があるとした厚生労働大臣の判断は、平成25年検証の目的及び検証方法、ゆがみ調整とデフレ調整の趣旨や目的の相違等を踏まえたものであって、その判断過程には十分な合理性があると認められ、少なくとも、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大な過誤、欠落があるとはいえず、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 なお、専門機関における生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)の検証においては、夫婦子1人世帯の一般低所得世帯(第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支出額)と夫婦子1人世帯の生活扶 がみ調整は、本来、改定前の第1類費及び第2類費の数値を前提に、これと低所得世帯の消費実態を比較検証して、年齢別改定率、世帯人員別改定率、級地別改定率を算出したものであるから、これらの改定率は全く無意味となって、ゆがみ調整の趣旨を没却することになる。 ①(改定前第1類費×デフレ改定率)×年齢別改定率×世帯人員別改定率×級地別改定率×逓減率②(改定前第2類費×デフレ改定率)×年齢別改定率×世帯人員別改定率×級地別改定率⑷ 以上のとおり、デフレ調整は、ゆがみ調整の趣旨・目的を没却するものであり、ゆがみ調整とデフレ調整は相互に重複・矛盾し、物価の二重評価を招くものであって、これら矛盾する理由に基づいてなされた本件改定は、著しく不合理なものであって、厚生労働大臣の裁量権の逸脱・濫用に該当する。 助基準額の均衡をみるという手法が採用されており、平成21年全国消費実態調査による夫婦子1人の一般低所得世帯(第1・十分位)の消費水準が平成19年検証時点における当該世帯の生活扶助 に該当する。 助基準額の均衡をみるという手法が採用されており、平成21年全国消費実態調査による夫婦子1人の一般低所得世帯(第1・十分位)の消費水準が平成19年検証時点における当該世帯の生活扶助基準額を約12.6%下回る状況が確認されていたことからすると、かかる数値を指標として生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を12.6%引き下げたとしても、直ちに最低限度の生活を下回ることにはならないと考えられる。そして、本件改定による夫婦子1人世帯の生活扶助費の減額幅は平均約8%であり、また、激変緩和措置が採られたことで、その他の世帯も含め、本件改定による減額幅の上限は10%にとどまり、夫婦子1人世帯における一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準額の乖離率12.6%を下回っている。このことを踏まえると、ゆがみ調整が生活扶助基準の展開部分の適正化を図ったもので、「水準」(絶対的な高さ)の調整を図ったものではないことを措いたとしても、デフレ調整とゆがみ調整を併せて行った本件改定後の保護基準が、現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないことはなく、そのような重大な過誤、欠落があるとはいえないから、本件改定にかかる厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるという余地はおよそないというべきである。 2-3-2 デフレ調整は水準均衡方式による生活扶助基準の改定ではなく、方式変更について手続を経ていない旨の主張について原告らの主張被告らの主張 ⑴ 争点番号2-2-1で主張したとおり、厚生労働大臣が生活扶助基準の算定方式を変更する際には、専門家で構成される中央社会福祉審議会の報告やその提言などの適切な手続を履践することを義務づけられているというべきである。 ⑵ 昭和58年意見具申に基づいて水準均衡方式が採用されて以来、消費水準 、専門家で構成される中央社会福祉審議会の報告やその提言などの適切な手続を履践することを義務づけられているというべきである。 ⑵ 昭和58年意見具申に基づいて水準均衡方式が採用されて以来、消費水準の均衡を判断する際の考慮要素としては、一貫して民間最終消費支出を指標とするのが正当とされてきた。したがって、当該指標として消費者物価指数等を考慮するのであれば、それは極めて重大な検証手法の変更に当たるから、消費者物価指数を考慮することの可否や考慮の方法について、基準部会における慎重な検討を経るべきであった。しかしながら、在り方専門委員会や基準部会での議論では、物価を考慮することについて委員から強い異論が出され、本格的な議論はなされなかった。なお、平成25年報告書において、「厚生労働省において生活扶助基準の見直しを検討する際には、本報告書の評価・検証の結果を考慮し、その上で他に合理的な説明が可能な経済指標などを総合的に勘案する場合は、それらの根拠も明確に示されたい」と記載されているが、これは、当初の報告書案に「他に合理的説明が可能な経済指標などがあれば、それらについても根拠を明確にして改定されたい」、「合理的説明がつく要素については、それを勘案することは一つの考え方である」と記載されていたのに対し、委員からの厳しい批判を受けて、表現を改められたものであり、基準部会が消費者物価指数を考慮することを認めたものではなく、むしろ、基準部会としては、何ら議論していない物価を考慮することに正当性はないことを明確にしたものと理解される。それにもかかわらず、厚生労働大臣は、物価を考慮してデフレ調整を行っており、専門家の十分な審議・検証を踏まえておらず、専門的知見との整合性を欠くものといえ、その判断過程に裁量権の逸脱・濫用が認められる。 ⑴ 本件改定のうちデ 物価を考慮してデフレ調整を行っており、専門家の十分な審議・検証を踏まえておらず、専門的知見との整合性を欠くものといえ、その判断過程に裁量権の逸脱・濫用が認められる。 ⑴ 本件改定のうちデフレ調整は基準部会による検討結果を踏まえたものではないが、保護基準の改定に係る専門機関の関与の有無が、改定の適法性の判断枠組みや判断過程審査の密度に影響するものではない。厚生労働大臣が保護基準の改定に当たり基準部会等の専門機関に諮問し又は意見を求めることなどを定める法令上の規定はなく、また、生活保護法やその関連法規にも、保護基準の改定に当たり専門機関による分析及び検証が必要である旨の規定は見当たらない。保護基準の改定にかかる厚生労働大臣の裁量権は極めて広範なものであり、保護基準の改定に当たって専門機関を関与させるか否かという必要性の判断はもとより、関与させた専門機関の意見をどの程度採用するかの判断についても当然に及ぶものである。 また、基準部会の趣旨及び審議事項は、飽くまで、現在の保護基準の定期的な評価及び検証に限られるのであって、保護基準の評価及び検証を踏まえた保護基準の改定の在り方等、ましてや、厚生労働大臣が行おうとする保護基準の改定の当否等についての分析や検証は、基準部会の設置の趣旨及び審議事項ではない。 したがって、保護基準の改定について基準部会等の専門機関における審議検討を経ていないことは、当該改定にかかる厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又は濫用を根拠付ける事由とはならず、当該改定の適否に関する判断過程審査の密度を高める事情ともならないというべきである。 ⑵ 厚生労働大臣は、争点番号2-3-0で主張したとおり、被保護者の生活への影響に対する政策的考慮から、消費の構成要素の一つである物価を指標として改定を行うこととしたものであって、その判 きである。 ⑵ 厚生労働大臣は、争点番号2-3-0で主張したとおり、被保護者の生活への影響に対する政策的考慮から、消費の構成要素の一つである物価を指標として改定を行うこととしたものであって、その判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用はない。 2-3-3 デフレ調整の内容の妥当性、合理性2-3-3-1 物価指数の比較につき、平成20年を起点とし、平成23年を終点としたことについて原告らの主張被告らの主張 ⑴ デフレ調整は、平成20年と平成23年の生活扶助相当CPIを比較し、その変化率によりデフレ改定率を算出し、生活扶助基準を改定したものであるが、生活扶助相当CPIの変化率を比較するにあたり、両年を比較する合理的な理由はなく、物価下落率を過大に算出するために恣意的に比較年度が選択されている。 ⑵ 即ち、厚生労働大臣が比較の起点として選んだ平成20年は、原油価格の高騰によりその後の年に比べて相対的に物価が高くなった年であり、平成20年だけが、平成15年以降の約10年の間で著しい物価高騰に見舞われていた。したがって、この年を起点とすれば、消費者物価指数はもちろん、生活扶助相当CPIの下落率も大きい値が算出されることは明白であった。 そして、平成16年報告書では、勤労3人世帯の生活扶助基準の水準は「基本的に妥当」と評価されていたのに対し、平成19年報告書では生活扶助基準は一般低所得世帯の消費実態と比べて高いと評価されており、被告らによれば、本来であれば、この時点で見直し検討を行わなければならなかったというべきところ、本件改定以前に直近の生活扶助基準の改定が行われた時期は、平成20年ではなく平成16年である。そして、被告らの主張によれば、デフレ調整の目的は、平成17年度以降、保護基準が据え置きにされた期間に生じた物価下 以前に直近の生活扶助基準の改定が行われた時期は、平成20年ではなく平成16年である。そして、被告らの主張によれば、デフレ調整の目的は、平成17年度以降、保護基準が据え置きにされた期間に生じた物価下落は保護基準に反映されていないため、これによって生活保護受給世帯の可処分所得の実質的な増加が生じており、これを是正するために基準の見直しを行うことにあるとされているところ、平成17年から平成23年までの「据え置き」期間における消費者物価指数の変動は、以下のとおりであって、被告らは、平成17年から平成19年までを「ほぼ横ばい状態」と評価し、平成20年からの物価下落局面のみを切り取って「デフレ傾向」と評価しているが、平成19年から平成20年にかけての1.4ポイントもの物価高騰を意図的に無視している。 年H17H18H19H20H21H22H23消費者物価指数100.4100.7100.7102.1100.7 99.7前年比上昇率 0.3 1.4-1.4-0.7-0.3 据え置き期間に生じた物価変動を生活扶助基準に反映させるのであれば、その起点は物価変動が生じた平成19年とすることが論理的帰結である。 平成20年を消費者物価指数の変化率を比較する起点として選択することに合理性はなく、厚生労働大臣は、生活扶助相当CPIの下落率が大きく算出されるよう、恣意的に起点となる年として平成20年を選択したものと言わざるを得ない。 ⑶ また、厚生労働省が生活扶助基準の見直し案を発表した時期は、平成25年1月27日であり、実際 ⑴ 厚生労働大臣は、平成20年以降のデフレ傾向により、生活扶助基準の水準と一般国民の消費実態との不均衡が一層顕著となっていたことから、平成2 案を発表した時期は、平成25年1月27日であり、実際 ⑴ 厚生労働大臣は、平成20年以降のデフレ傾向により、生活扶助基準の水準と一般国民の消費実態との不均衡が一層顕著となっていたことから、平成20年以降のデフレ傾向によって拡大した生活扶助基準の水準と一般国民の消費実態との不均衡を是正するためにデフレ調整を行ったものである。したがって、物価変動率の算定期間の始期を平成20年とした点に関する厚生労働大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落はない。 なお、確かに、消費者物価指数は、平成19年から平成20年にかけて1%を超える上昇をしていたが、既に平成19年検証において、生活扶助基準と一般低所得世帯との不均衡(夫婦子1人世帯において約1.1%、単身高齢世帯において約13%)が確認されていたところ、平成20年を始期とすることによって、平成19年から平成20年にかけての物価変動が反映されないことになったとしても、これによってデフレ調整後の生活扶助基準の水準と一般国民の消費水準との均衡を失することにはならない。 ⑵ また、物価変動率の算定期間の終期を平成23年としたのは、生活扶助相当CPIを算出するにあたって不可欠な基礎資料である全国年平均の消費者物価指数の最新のものが平成23年のデータであったためである。平成24年の全国年平均の消費者物価指数は、平成25年度予算政府案が閣議承認された平成25年1月29日の4日前の同月25日に公表されたもので、予算政府案は、各省庁の概算要求等を考慮した上で多方面にわたる複雑な調整が必要になるなど、その作成から閣議決定までに長期間を要することなどの事情も併せて考慮すれば、平成24年の全国年平均の消費者物価指数を基礎として算出される生活扶助相当CPIをデフレ調整に用いることは時間的に不可能であった。 ⑶ したがって、厚 期間を要することなどの事情も併せて考慮すれば、平成24年の全国年平均の消費者物価指数を基礎として算出される生活扶助相当CPIをデフレ調整に用いることは時間的に不可能であった。 ⑶ したがって、厚生労働大臣が、デフレ調整に当たり、恣意的に物価変動率の算定期間の始期を平成20年、終期を平成23年にしたことはなく、同大臣の判断の過程及び手続に過誤、欠落はない。 の引下げが行われたのは同年8月1日である。総務省は、同年1月25日に平成24年の消費者物価指数をインターネット上で公開していたから、見直し案発表時、引下げ時のいずれの時点をとっても、最新の消費者物価指数のデータは、平成23年ではなく平成24年である。しかし、厚生労働省は、最新データである平成24年のデータではなく、あえて、その1年前の平成23年のデータを使用している。 その理由は、平成20年と平成23年の「食料」、「光熱・水道費」を比較すると、「食料」は、「100.1」から「99.6」を引いた「0.5」の下落、「光熱・水道費」は「104.5」から「103. 3」を引いた「1.2」の下落であり、物価が下落しているとみることが可能であるが、平成20年と平成24年の「食料」、「光熱・水道費」を比較すると、「食料」は「100.1」から「99.7」を引いた「0.4」の下落とみることは可能であるものの、「光熱・水道費」は「104.5」から「107. 3」、つまり「2.8」の上昇になってしまうことにあると考えられる。すなわち、生活扶助を食費や水道光熱費といった基礎的な日常生活費を賄うものと説明する厚生労働省にとっては、「食料」と「光熱・水道費」はそろって下落している必要があるが、平成24年の総務省CPIを用いた場合には、それが示せないことから、1年古いデータである平成23年の総務省CPIを用 生労働省にとっては、「食料」と「光熱・水道費」はそろって下落している必要があるが、平成24年の総務省CPIを用いた場合には、それが示せないことから、1年古いデータである平成23年の総務省CPIを用いたと考えられる。 このように、厚生労働大臣が比較年度の終点として平成23年を選択したことには、合理的な理由がない。 ⑷ そして、総務省統計局の調査によれば、平成20年は、原油高騰等の影響により、総務省CPIが11年ぶりに1%を超える大幅な上昇となったのに対し、平成23年は、食料品(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は1.2%の下落という、比較可能な昭和46年以来最大の下落となっていて、このように、平成20年と平成23年は、総務省CPIの上昇及び下落が近年まれにみる大きな変動を一時的に記録した異常な年であったから、仮に物価変動に基づいて生活扶助費を改定する場合であっても、平成20年と平成23年を比較して算出された結果は一時的かつ異常な数値であるから参考資料とすべきではなかった。 厚生労働大臣が平成20年と平成23年の物価を比較したことについて合理的な理由はなく、生活扶助相当CPIを大幅に下落させるという結論ありきの恣意的なものであったと言わざるを得ない。したがって、平成20年と平成23年の生活扶助相当CPIを比較してデフレ調整を行った厚生労働大臣の判断には、裁量権の範囲の逸脱・濫用がある。 2-3-3-2 生活扶助相当CPIの品目の選定について原告らの主張被告らの主張 ⑴ 生活扶助相当CPIは、総務省CPIから生活保護世帯が支出しない指数品目を控除して算出された結果、相対的に電化製品の支出割合が大きく評価されることとなり、生活扶助相当CPIに含まれる品目のうち、平成20年から平成23年にかけて物価の下落率が高い10個の品目はす 指数品目を控除して算出された結果、相対的に電化製品の支出割合が大きく評価されることとなり、生活扶助相当CPIに含まれる品目のうち、平成20年から平成23年にかけて物価の下落率が高い10個の品目はすべて電化製品である。生活保護利用者等の低所得者は、家計の中で食費や光熱費等の生活必需品が占める割合が高くなり、電化製品を購入することはほとんどできないが、以上のような指数品目の選定により、電化製品の物価下落が過大に評価されることとなった。 また、生活扶助相当CPI算出の基礎品目の中には、パソコンや冷蔵庫など、生活保護受給者が購入 ⑴ 生活扶助相当CPIは、総務省CPIのうち生活扶助費で支出される品目のデータを用いて算出されている。 総務省CPIには、家賃、教育費、医療費、自動車関連費、NHK受信料などの生活扶助費で支出されない品目が多数含まれており(家賃は住宅扶助、教育費は教育扶助、医療費は医療扶助によって、それぞれ賄われる。)、生活扶助基準の改定の指標とする物価変動率を把握するためには、それらの品目を含めて算出することは相当でないと考えられた。被保護者の需要の有無及び程度を判断する手法として、一般の消費支出項目のうち、生活扶助相当品目を用いるという手法は、水準均衡方式に することが難しい高価な電化製品も含まれ、このような生活保護受給者の消費実態からかけ離れた基礎品目を基に算出された生活扶助相当CPIは、統計上の資料として無価値である。仮に生活保護受給者が上記電化製品や英会話、音楽などの習い事について支出していたとしても(英会話や音楽などの習い事の月謝も基礎品目に含まれている。)、その家計の消費支出全体に占めるそれぞれの支出金額の割合は、一般家庭のそれと比べて当然に低い。 なお、生活扶助相当CPIの対象品目には、海外パック旅行が含 習い事の月謝も基礎品目に含まれている。)、その家計の消費支出全体に占めるそれぞれの支出金額の割合は、一般家庭のそれと比べて当然に低い。 なお、生活扶助相当CPIの対象品目には、海外パック旅行が含まれているが、実施要領課長通知第10の19により、生活保護費が「遊興を目的とした海外旅行等に充てられた場合には、その交通費及び宿泊費に充てられる額については収入認定を行う」ものとされており、遊興目的での海外パック旅行に関する費用は、生活扶助で支出することは想定されておらず、生活扶助相当CPIの指数品目から「生活保護受給世帯が支出することをおよそ想定しない品目」が除外されているものではない。 ⑵ 生活扶助相当CPIは、生活保護世帯の消費実態と乖離し、適切な物価動向を反映しない問題のある算式であり、このような算式を根拠にされた生活保護基準の引下げは、厚生労働大臣の裁量を逸脱し、裁量権の濫用というべきである。 よる生活扶助基準の毎年度の改定において従前から行われており(一般低所得世帯の生活扶助相当支出額と生活扶助基準を比較する手法)、専門機関による検証においても採用されていた。 そして、生活扶助相当CPIの算出において対象とした品目は、基準部会等の専門機関による検証において消費実態の分析に用いられている品目であり、生活扶助費で支出されるか否かという客観的かつ明確な基準に従って判断されたものである。 なお、生活扶助相当CPIの指数品目から海外パック旅行は除外されていないが、生活保護制度上、生活保護受給者が保護費のやりくりによる預貯金等で費用を賄い海外渡航することが全く想定されていないわけではなく、原告らが主張の根拠とする通知においても、単なる遊興を目的とした海外旅行等の場合には、交通費や宿泊費に充てられる額について収入認定を行うこととするとともに、親族 が全く想定されていないわけではなく、原告らが主張の根拠とする通知においても、単なる遊興を目的とした海外旅行等の場合には、交通費や宿泊費に充てられる額について収入認定を行うこととするとともに、親族の冠婚葬祭、危篤の場合及び墓参等の場合には収入認定しないこととしても差し支えないとされている。このように、生活保護受給者が海外渡航をすることもありうる以上、海外パック旅行を指数品目として基礎とすることには合理性がある。 ⑵ 原告らは、生活扶助相当CPIの指数品目に生活保護受給世帯が購入することが難しい電化製品が含まれている点を指摘するが、生活保護受給世帯のパソコンの普及率は約4割、ビデオレコーダーは約7割、電子レンジや洗濯機は約9割、カラーテレビや冷蔵庫は約10割となっているなど、生活保護受給世帯においても、相当程度電化製品を所持していることは明らかであって、生活扶助相当CPI算出にあたり、物価下落幅が大きいという理由で電化製品を算出品目から除外することはかえって恣意的な算定方法となり適当でない。したがって、生活扶助相当CPIの算定の対象品目に電化製品を含めているからといって、デフレ調整に関する厚生労働大臣の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるとはいえない。 2-3-3-3 生活扶助相当CPIのウエイト(家計調査により算出されたウエイトを用いたこと)について原告らの主張被告らの主張 ⑴ 生活扶助相当CPIを算出するに当たって用いられたウエイトは、総務省が行う家計調査の結果における一般世帯(2人以上の世帯)の品目別消費支出金額をもとに作成されており、被保護世帯の品目別消費支出金額をもとに作成されていない。 ⑵ 被保護世帯においては、①消費支出額が一般世帯の約6割にとどまり、②一般世帯との比較において、「食料」「住居」「水道・光熱」「家具 り、被保護世帯の品目別消費支出金額をもとに作成されていない。 ⑵ 被保護世帯においては、①消費支出額が一般世帯の約6割にとどまり、②一般世帯との比較において、「食料」「住居」「水道・光熱」「家具・家事用品」「被服及び履物」の費目が消費支出全体に占める割合が高く、「保健医療」「交通・通信」「教育」「教養娯楽」(パソコンやテレビなどの「PC・AV機器」を含む。)「その他の消費支出」の費目が消費支出全体に占める割合が低いという特徴がある。このように、被保護世帯は、一般世帯より消費支出額の絶対額が低く、消費支出構造にも一般世帯と異なる特徴があり、被保護世帯の消費実態を正確に把握しなければ、デフレ傾向により被保護世帯の可処分所得が実質的にどれだけ変化したのかを明らかにすることはできない。それにもかかわらず、厚生労働省は、生活扶助相当CPIを算出する際に用いるウエイトを一般世帯の消費支出構造に基づいて作成し、その結果、被保護世帯の支出割合が大きい「食料」は平成20年から平成23年の間の物価下落率が小さく、支出割合が小さい「PC・AV機器」は物価下落率が大きかったことから、生活扶助相当CPIは大幅に下 ⑴ 生活扶助相当CPIの算出に当たっては、総務省CPIのウエイト(一般国民の消費実態を表す家計調査により算出されたウエイト)を用いている。 ⑵ 生活扶助基準の改定は、生活保護において保障すべき最低限度の生活の水準が一般国民の生活水準との関連において捉えられるべき相対的なものであるという考え方に基づいて行われており、これは、社会経済情勢やこれを反映した一般国民の生活水準の変化によって最低限度の生活の水準が変化するものであり、したがって、一般国民の生活水準の変化を示す統計等が最低限度の水準の変化を捉える指標ともなり得るということである。生活扶助基準の毎年度 生活水準の変化によって最低限度の生活の水準が変化するものであり、したがって、一般国民の生活水準の変化を示す統計等が最低限度の水準の変化を捉える指標ともなり得るということである。生活扶助基準の毎年度の改定において採用されている水準均衡方式においても、この考え方に立脚し、一般国民全体の消費の動向(民間最終消費支出の伸び)が改定の指標にされている。デフレ調整も、この考え方に立脚し、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を改定するものであり、したがって、生活扶助相当CPIも一般国民全体の直面する物価動向を求めることを目的としている。 そして、家計調査は、総務省統計局が国民生活における家計収支の実態を把握するために、一般国民の家計上の支出、収入、貯蓄等を調査する基幹統計であって、詳細な品目別の支出額が調査対象と 落した。しかし、被保護世帯の支出構造の特徴を考慮した場合の物価下落率は、一般世帯の支出構造を前提とした物価下落率よりも下落幅が小さかったのであり、被保護世帯にとってみれば、他人の支出構造に基づく物価下落を根拠に自分の生活費が大きく削られたのである。 ⑶ 厚生労働大臣は、被保護世帯と一般世帯の消費実態が異なるにもかかわらず、被保護世帯の消費実態を考慮することなく、漫然と一般世帯の消費実態のみを考慮して生活扶助相当CPIを算出したのであり、生活扶助相当CPIを根拠になされた生活保護基準引下げは、裁量を逸脱・濫用したものとして違法である。 なり、その結果は一般国民の消費等の分析に広く用いられ、総務省CPI等のほか、民間においても広く利用されているもので、調査対象の選定方法を含め、統計資料としての精度が高く、家計上の支出(詳細な品目ごとの支出額)等の把握を目的とした調査であるから、生活扶助相当CPIの算定に用いられる各品目のウエイトを ているもので、調査対象の選定方法を含め、統計資料としての精度が高く、家計上の支出(詳細な品目ごとの支出額)等の把握を目的とした調査であるから、生活扶助相当CPIの算定に用いられる各品目のウエイトを把握するのに最も適したデータである。したがって、生活扶助相当CPIの算出に当たり、家計調査により算出されたウエイトを用いることには合理性がある。 ⑶ このように、生活扶助相当CPIの算出に当たり一般国民の消費実態を表す家計調査により算出されたウエイトを用いた点に関する厚生労働大臣の判断過程には、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大な過誤、欠落はない。 なお、厚生労働省が実施している社会保障生計調査は、生活保護受給世帯の生活実態を明らかにし、保護基準改定等の生活保護制度の企画運営のために必要な基礎資料を得る目的で、生活保護受給世帯の家計収支の状況を調査する一般統計調査であるが、物価動向を把握するためのウエイトとして用いることを想定したものではなく、品目別のウエイトとして利用できるよう加工されたものでもない。その調査対象世帯の選定は、全国を10ブロックに分け、ブロックごとに1ないし3自治体を選定し、選定された自治体から合計約1100世帯を抽出することによって行われ、家計収支の状況は、食料費、住居費等の支出金額、割合として集計される。このような社会保障生計調査は、調査世帯の選定において地域による偏りが生じる可能性があること、サンプル数が必ずしも多くないことなどから、生活保護受給世帯全体の家計支出の状況を推測する精度に限界があり、また、生活保護受給世帯の詳細な支出先や支出額を把握するものではなく、個別品目の消費支出の割合等を正確かつ詳細に記載させるための措置が講じられていないために、調査結果を分析しても、おおまか 界があり、また、生活保護受給世帯の詳細な支出先や支出額を把握するものではなく、個別品目の消費支出の割合等を正確かつ詳細に記載させるための措置が講じられていないために、調査結果を分析しても、おおまかなウエイトは把握できても、詳細な品目ごとのウエイトは把握できない。そのため、社会保障生計調査のウエイトを用いる場合、詳細な品目ごとの消費の支出の割合を反映した物価指数を算出できないと予想され、生活扶助相当CPIの算出に当たり、同調査のウエイトを用いることは適切ではない。 2-3-3-4 生活扶助相当CPIの算定方式について原告らの主張被告らの主張 ⑴ 消費者物価指数は、全国の世帯が購入する財及びサービスの価格変動を総合的に測定し、物価の変動を時系列的に測定するもので、家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどのように変化するかを指数値で示したものである。そして、物価変動を測定するために、消費構造を固定する方法には、基準年の消費構造で固定するか、比較年の消費構造で固定するかの2つの方法が考えられ、①基準年の消費構造を固定し、これに要する費用を、比較年において要する費用と比較する方法をラスパイレス式といい、これに対し、②比較年での消費構造を固定し、これに要する費用を、基準年において要する費用と比較する方法をパーシェ式という。 ⑵ デフレ調整の際に用いられた生活扶助相当CPIの変化率の計算方法は、平成22年基準のウエイトを固定して、平成20年及び平成23年の各時点の生活扶助相当CPIを算出したもので、平成20年あるいは平成23年のいずれの時点でもない平成22年に消費構造を固定しているが、このような計算方法により2つの時点を比較する方法を用いて価格指数を求めたことは古今東西存在しない。 ⑴ 平成25年 あるいは平成23年のいずれの時点でもない平成22年に消費構造を固定しているが、このような計算方法により2つの時点を比較する方法を用いて価格指数を求めたことは古今東西存在しない。 ⑴ 平成25年改定当時、総務省CPIのウエイトのデータとしては、平成17年基準のものと、平成22年基準のものが存在し、現実の消費実態を反映した物価指数を算定するためには、物価指数の算定時点とできるだけ近接した時点の消費の構造を示すデータを用いるのが相当と考えられたため、厚生労働大臣は、平成20年から平成23年までのデフレ傾向を見るために、平成22年のウエイト(消費の構造)を用いることとした。 そして、平成22年をウエイト参照時点として、平成20年の生活扶助相当CPI(104.5)、平成23年の生活扶助相当CPI(99.5)をそれぞれ算出した上、平成20年から平成23年のまでの物価変動率(99.5÷104.5≒0.952)を算出して、平成20年を基準とする平成23年の物価指数(95.2)を算定し、平成20年から平成23年までの間の生活扶助に相当する品目の物価変動率を-4.78%(95.2÷100-1)であると計算した。 ⑵ この生活扶助相当CPIの計算において、平成20年の生活扶助相当CPIは、平成22年をウエイ 総務省統計局の消費者物価指数の作成方法は、ラスパイレス指数(および接続係数を用いるもの)であり、この方法は国際労働機関(ILO)および主要国で採用される国際標準であって、消費者物価指数の算出に当たり、ラスパイレス指数ではなくパーシェ指数を用いることは世界的に見ても前例がない。 そして、平成20年から平成22年の生活扶助相当CPIの変化率は、より正確には固定基準年方式(ある特定の年を基準年として数年間固定するもの)のパーシェ指数に一致するところ、 世界的に見ても前例がない。 そして、平成20年から平成22年の生活扶助相当CPIの変化率は、より正確には固定基準年方式(ある特定の年を基準年として数年間固定するもの)のパーシェ指数に一致するところ、固定基準年方式のパーシェ指数は、価格と数量が大幅かつ逆方向に変化し続けるIT関連財のような財が存在する場合、基準時点から時間が経過するほど乖離が大きくなり、下方バイアスが大きいという問題点が指摘されており、旧来、5年ごとの固定基準年方式パーシェ指数が用いられていたGDPデフレーターの算出においても、平成16年度より連鎖方式(毎年基準年を更新するもの)のパーシェ指数を採用することになっている。 また、この計算方法によると、平成20年から平成22年の指数の変化率についてはパーシェ指数による計算結果と一致し、平成22年から平成23年の指数の変化率はラスパイレス指数によるそれと一致することになるが、ラスパイレス指数は、価格比の加重相加平均である一方で、パーシェ指数は、価格比の加重調和平均であるから、両者は計算論理が異なるため同一のデータを使っても計算結果は一致せず、一般にラスパイレス式は物価を過大評価する上方バイアス、パーシェ式は物価を過小評価する下方バイアスが生じる。このように異なる指数を混交した場合、比較する二時点間の指数値にどの程度の上方及び下方のバイアスが含まれるか不明であるため、計測された下落率は、却って不正確な物価変動率となる。 さらに、ある品目の価格比を考察する場合、同じ二時点の変化率でも「新しい時点から旧い時点の上昇率(下落率)」と「旧い時点から新しい時点への下落率(上昇率)」には双対性がなく、どの時点を基準とするかにより変化率は異なり、平成20年から平成22年の物価下落率を問題とする時、物価の下落率が大きいほど、変化率の乖離が大きくな ら新しい時点への下落率(上昇率)」には双対性がなく、どの時点を基準とするかにより変化率は異なり、平成20年から平成22年の物価下落率を問題とする時、物価の下落率が大きいほど、変化率の乖離が大きくなって全く異なる数値になり、生活扶助相当CPIの方法(平成22年を基準に平成20年からの変化率をみる方法)によると、総務省統計局が採用し、国際標準である方法(平成20年を基準に平成22年までの変化率をみる方法)よりも、過度な下方バイアスが働いて過剰な物価下落率を示す結果となる。 厚生労働省作成の生活扶助相当CPIについて、平成20年から平成22年までの変化率(-4.29%)に対する寄与度を中分類項目で試算すると、教養娯楽用耐久財の寄与度(-2.72%)が際立って大きく、その中でもテレビ(-1.59%)とノートパソコン(-0.56%)の寄与度が際立って大きい。他方、一般的な方法(総務省方式)では、そのような動きは確認できず、平成20年から平成22年までの変化率(-1,77%)のうち、教養娯楽用耐久財の寄与度は-0.38%、そのうちテレビは-0.13%、ノートパソコンは-0.07%である。また、家電製品7品目についてみると、厚生労働省の方式では、下落率-4.29%のうち家電製品7品目の寄与度は-2.90%を占めるが、総務省方式では、下落率-1.77%のうち家電製品7品目の寄与度は-0.44%に過ぎなかった。 このように、厚生労働省作成の生活扶助相当CPIの平成20年から平成22年までの生活扶助相当CPIの変化率については、まず、テレビが大きな影響を与えていたことが明らかである。そして、ここでの寄与度の違いは、ウエイトの差による影響が大きく、ウエイトを平成22年基準(厚生労働省方式)とするか平成17年基準(総務省方式)とするかによって著しく異なることになる。 明らかである。そして、ここでの寄与度の違いは、ウエイトの差による影響が大きく、ウエイトを平成22年基準(厚生労働省方式)とするか平成17年基準(総務省方式)とするかによって著しく異なることになる。即ち、消費者ト参照時点として平成20年の物価指数を算出していることからパーシェ指数、平成23年の生活扶助相当CPIは、平成22年をウエイト参照時点として平成23年の物価指数を算出していることからラスパイレス指数ということができるが、ラスパイレス指数とパーシェ指数は、どちらもロウ指数という統一の定義式で表すことのできる指数である。デフレ調整の物価変動率の算出において用いられた平成20年及び平成23年の生活扶助相当CPIはいずれも、消費者物価指数マニュアルに一定の妥当性があると認められて掲載されている指数算式である「ロウ指数」(一定の「買い物かご」を購入するための全費用の変化を示した指数)であり、「中間年ロウ指数」(物価算定の基準となる時点と比較対象となる時点の間にウエイトを置いたロウ指数)である。このように、デフレ調整に用いられた生活扶助相当CPIは、いずれも消費者物価指数マニュアルに記載された算式(ロウ指数)であり、国際的な基準に沿う妥当な算式である。この算式は、計算論理の異なるバイアスが混交して正確な物価変動率を測定できないものではないし、消費者物価指数の算出において、基準時が比較時より過去の時点でなければならないとか、基準時の指数値が100でなければならないなどという国際規準が存在するものでもない。 平成20年及び平成23年の生活扶助相当CPIを算出する計算上の品目数(485品目と517品目)は、平成22年の基準改定による新規採用品目(32品目)の平成20年における価格が観察できなかったために異なっているが、一部の品目の価格が観察できない 算出する計算上の品目数(485品目と517品目)は、平成22年の基準改定による新規採用品目(32品目)の平成20年における価格が観察できなかったために異なっているが、一部の品目の価格が観察できない状況(欠価格の問題)は、物価指数の作成実務においてしばしば発生するものであり、そのことにより物価指数及びその指数を用いた物価変動率が計算できなくなるわけではない。平成20年の生活扶助相当CPIの算定においては、新規採用品目の価格指数を除外しているが、これは、新規採用品目(32品目)の価格動向が他の全ての品目(485品目)の価格動向と同じであったと仮定しているのであって、平成20年を基準とする平成23年の生活扶助相当CPIは、固定された同じ「買い物かご」(517品目)を購入するために必要な全費用の変化を示したロウ指数(固定買い物かご指数)である。なお、総務省CPIは、指数品目の変更とともに、指数参照時点が変更されることから指数の接続がされるが、生活扶助相当CPIは、平成20年の指数も平成23年の指数も、指数参照時点が平成22年と同じであるため、指数の接続は不要である。 ⑶ 原告らは、平成20年の指数値が「新しい時点から旧い時点の上昇率(下落率)」であり、平成23年の指数値は「旧い時点から新しい時点への下落率(上昇率)」であって、双対性がないためにそれらを比較しても物価変動を把握することは難しい旨主張するが、双対性とは、二つの対象の間に対となる関係があることを表すものであり、双対性がないことからその対象が誤っているなどという結論が導かれる概念ではない。また、「双対性がない」ことによる誤りが発生し得るのは、下記の図についてみれば、「平成20年から平成22年までの物価下落率」と「平成22年から平成20年までの物価上昇率」に双対性がないために、平成20年か 「双対性がない」ことによる誤りが発生し得るのは、下記の図についてみれば、「平成20年から平成22年までの物価下落率」と「平成22年から平成20年までの物価上昇率」に双対性がないために、平成20年から平成22年の物価下落率を-4.31%とするべきところ、両者に相対性があることを前提に-4.5%としてしまう場合であり、生活扶助相当CPIの算出においてそのような誤りは存在しない。 物価指数のウエイトが平成17年基準から平成22年基準に改定された際、家電エコポイント制度の開始や地上デジタル放送への移行に備えた需要増加によって、テレビのウエイトが大幅に増大しており、テレビの価格下落と相まって消費者物価指数が大きく押し下げられた。このことは、平成22年以降の消費者物価指数の動きであって、平成22年基準を用いた生活扶助相当CPIは、平成20年時点では家計が直面していない制度変更の影響を先取りしたものとなっている。加えて、平成22年の地上デジタル放送への移行の際、生活保護受給世帯には無料チューナーが配布されるという施策がとられていたから、そもそも、この時期のテレビのウエイト増加は生活保護受給世帯が経験した消費支出増加ではない。そのほか、ノートパソコン、デスクトップパソコン、カメラなどのデジタル家電については、平成17年基準から平成22年基準への改定の際、品質調整により大幅に価格指数が下げられており、パーシェ指数による算定をする場合、品質調整によって価格水準が低くなると数量が増えるとみなされ、ウエイトが大幅に上昇していくことになるが、品質調整による価格下落は、需要者からみれば架空の価格下落に過ぎない。 厚生労働省作成の生活扶助相当CPIは、平成22年をウエイト参照時点としたことにより、平成20年から平成22年までの生活扶助相当CPIの変化率を 下落は、需要者からみれば架空の価格下落に過ぎない。 厚生労働省作成の生活扶助相当CPIは、平成22年をウエイト参照時点としたことにより、平成20年から平成22年までの生活扶助相当CPIの変化率をパーシェ指数により算定したもので、テレビの一時的需要増大の影響を先取りして取り込み、また、デジタル家電の品質調整による影響も受けた上、パーシェ指数による下方バイアスによって、総務省CPIの変化率及び実態から明らかにかけ離れた大幅な下落率を算出したものである。 ⑶ 仮に、生活扶助相当CPIの平成20年から平成23年の変化率を総務省統計局が採用する方法(ラスパイレス指数および接続係数を用いるもの)で求めると、その方法は以下のとおりであって、この方法により平成20年と平成23年の生活扶助相当接続CPIを試算すると-2.26%となり、厚生労働省が採用した方法による計算結果(-4.78%)と大きく乖離する。なお、接続係数を用いたラスパイレス方式(総務省方式)によって生活扶助相当CPIを算出した場合、平成20年から平成23年の物価下落率が-2.26%になることについては、国会質疑において、厚生労働省が「数字としては合っているというふうに承知しております」と答弁している。 ①平成17年を基準時とした平成20年平均の生活扶助相当CPIを算出する。 ②平成22年を基準とした平成23年平均の生活扶助相当CPIを算出する。 ③平成17年を基準とした平成22年の生活扶助相当CPIを算出したうえで、①と②の数値を接続するための接続係数を求める。 ④接続係数を用いて平成17年基準の生活扶助相当CPIと平成22年基準の生活扶助相当CPIを接続し、平成20年の生活扶助相当CPIと平成23年の生活扶助相当CPIを比較し、その変化率を求める。 このように、厚生労働省が行った 基準の生活扶助相当CPIと平成22年基準の生活扶助相当CPIを接続し、平成20年の生活扶助相当CPIと平成23年の生活扶助相当CPIを比較し、その変化率を求める。 このように、厚生労働省が行った生活扶助相当CPIの算定方式は、単に計算論理が異なる指数を混交しているという不合理性にとどまらず、時系列の先後関係を操作した結果、指数値(下落率)を過大に評価する不合理性を有しており、-4.78%という生活扶助相当CPIの変化率は、物価下落率を過大に評価したものである。 ⑷ そのほか、データの問題に関する国際規準として、①基準時は、対象とする時系列期間の期首であり起点であり、比較時は、当該時系列の期首以降期末までの各時点であるから、基準時は比較時より過去 そもそも、平成20年の生活扶助相当CPIは、平成22年をウエイト参照時点、指数参照時点として、飽くまで平成20年の「物価指数」を算出したもので、平成22年から平成20年の「物価変動率」を算出したものではなく、同様に、平成23年の生活扶助相当CPIも、飽くまで平成23年の「物価指数」を算出したものであって、平成22年から平成23年の「物価変動率」を算出したものではない。 なお、原告らが主張するように、総務省CPIと、生活扶助相当CPIとでは、物価の下落率が異なっているが、消費者物価指数は、どのような目的で作成するかによって作成方法が異なるのであり、生活扶助相当CPIは、生活保護受給世帯の可処分所得が実質的にどの程度増加したのかを正確に把握する目的で、指数品目の中から生活保護受給世帯が支出することをおよそ想定していない品目を除外した上で作成したものであって、結果、総務省CPIよりも下落率が高かったとしても、一般消費者に比して生活保護受給世帯の可処分所得が実質的に増加したこと 帯が支出することをおよそ想定していない品目を除外した上で作成したものであって、結果、総務省CPIよりも下落率が高かったとしても、一般消費者に比して生活保護受給世帯の可処分所得が実質的に増加したことを示すに過ぎない。原告らは、独自に算出した「生活扶助相当接続CPI」の下落率(-2.26%)と生活扶助相当CPIの下落率(-4. 78%)との間に乖離がある旨主張するが、上記「生活扶助相当接続CPI」がいかなる計算過程で算出されたのか不明である上、上記「生活扶助相当接続CPI」と生活扶助相当CPIとの乖離が専門的知見と整合しないことを示す根拠も不明である。 の時点となる(規準1)、②基準時の指数値は100でなければならない(規準2)、③マーケットバスケット方式によって消費者物価指数は作成されなければならない(規準3)、④基準時と各比較時の対象とする品目は完全に同一で対応していなければならない(規準4)、ということが挙げられるが、厚生労働省が行った生活扶助相当CPIの算定においては、基準時である平成22年より過去の時点である平成20年を比較時としているため規準1、2に反しているし、平成20年の指数値を計算するにあたっては485品目、平成23年の指数値を計算するにあたっては517品目の価格データとウエイトをそれぞれ用いており、比較対象の二時点間の指数値を異なる品目数に基づいて作成していることから規準3、4にも反しているという問題がある。また、基準年をまたいだ場合には、その比較のため、過去の基準と現在の基準を統一する方法として、基準改定の都度新たな基準時に合わせて過去の指数系列を換算し、接続するという方法がとられるが、生活扶助相当CPIの算出に当たっては、平成20年と平成23年を比較し、基準年である平成22年をまたいでいるにもかかわらず、 な基準時に合わせて過去の指数系列を換算し、接続するという方法がとられるが、生活扶助相当CPIの算出に当たっては、平成20年と平成23年を比較し、基準年である平成22年をまたいでいるにもかかわらず、接続の方法がとられていない。 ⑸ 以上のとおり、厚生労働省作成の生活扶助相当CPIは、過去に前例がなく、国際的標準からも逸脱する方法で作成されたもので、それ自体が合理的な作成方法ではない。さらに、厚生労働省が行った生活扶助相当CPIの算出方法は、国際的に標準化された方法による試算結果と比べ、下落率が大幅に高くなる計算方法であって、仮に生活扶助基準の改定において物価変動を参照するにしても、消費者物価を測定する方法として誤っており、このような計算方法に基づく計算結果(4.78%の物価下落率)は事実に反し、本件改定は事実誤認に基づく裁量を逸脱した行政処分である。 2-4 厚生労働大臣の判断にかかるその他の違法性2-4-1 他事情(与党の公約等)の考慮について原告らの主張被告らの主張 ⑴ 本件改定のうち、デフレ調整と1/2調整は、基準部会における議論を経ずに決定されたものである。 これは、平成24年、当時野党であった自由民主党が党の方針として生活保護給付水準の10%削減を明言し、同年12月16日実施の衆議院議員総選挙の結果、政権与党となったところ、この政権公約を実現するため、基準部会の検証結果に操作を加えて行ったものである。 ⑵ 本件改定を行った厚生労働大臣の判断には、基準部会による検証を全く経ないままに、デフレ調整及び1/2調整を行ったことに加え、生活保護給付水準を引き下げるという財政的観点や一部の国民感情等を理由とする自由民主党の政権公約との整合性を考慮したもので、本来考慮してはならない生活外的要素を考慮した点で、裁量権の範囲の逸脱 加え、生活保護給付水準を引き下げるという財政的観点や一部の国民感情等を理由とする自由民主党の政権公約との整合性を考慮したもので、本来考慮してはならない生活外的要素を考慮した点で、裁量権の範囲の逸脱・濫用がある。 ⑴ 本件改定による生活扶助基準の見直しは、基準部会の検証結果に基づき、第1・十分位の世帯の消費実態と生活扶助基準の年齢、世帯人員、居住地域別の較差を是正するとともに、近年デフレ傾向が続いてきた中で、生活扶助基準額が据え置かれてきたことを踏まえ、客観的な経済指標である総務省CPIの近年の動向を勘案して生活扶助基準額の適正化を図ることを意図して行われてきたものである。 ⑵ そして、生活扶助基準の見直しの必要性は、平成19年報告書の検証結果により既に明らかになっており、原油価格の高騰や世界金融危機の影響等を考慮してその見直しが見送られてきたにすぎず、当時の厚生労働大臣は、生活扶助基準の見直しについて、生活扶助基準検討会や基準部会による報告等を踏まえて、その内容を検討する必要性があることを強調して、生活保護費の10%引下げという自由民主党の政権公約に盲従するものではないことを明らかにしており、本件改定による生活扶助基準の見直しの程度も、3年間で生活保護費全体の2.3%を削減するものにとどまっている。 本件改定は自由民主党の政権公約を実現する政治的な意図で行われたものでないことは明らかであって、その旨の原告らの主張には理由がない。 争点3 国家賠償請求の可否原告らの主張被告らの主張 ⑴ 原告らには、健康で文化的な最低限度の生活を営む利益があり、現状の生活保護基準を不適正な手続によって引き下げられないという利益がある。厚生労働大臣の行った本件改定は、内容面において裁量の逸脱・濫用があり違法・違憲であるばかり 最低限度の生活を営む利益があり、現状の生活保護基準を不適正な手続によって引き下げられないという利益がある。厚生労働大臣の行った本件改定は、内容面において裁量の逸脱・濫用があり違法・違憲であるばかりでなく、手続においても専門家の判断を軽視して独自の基準を決定したものであるから、国家賠償法上、当然に違法である。 そして、厚生労働大臣は、生活保護基準を策定するにあたっては、誤りがないように慎重に審議、検討すべき高度の注意義務を負うところ、平成25年告示等を発出する際に、内容面及び手続面にわたり、十分にその違憲性・違法性を認識していたか、少なくとも認識すべきであったから、故意・過失が認められる。 ⑵ そして、原告らは、上記違法行為により、健康で文化的な最低限度の生活に満たない生活を強いられ、また、不適正な手続によって基準額の引下げを受け、これにより、多大な精神的苦痛を被った。この精神的苦痛を慰謝する慰謝料としては、1人当たり1万円を下らない。 ⑴ 国家賠償法1条1項は、国又は地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を与えたときに、国又は地方公共団体がこれを賠償することを規定するところ、公務員の行為が、法令の解釈を誤る違法なものであったとしても、そのことにより直ちに国家賠償法上の違法性が認められるわけではなく、その違法の有無は、公務員が行為規範に違反したか否かによって判断されるべきであり、公務員が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認められるような事情がある場合に限り、違法性が認められることになる。 本件改定にかかる厚生労働大臣の判断には、上記主張のとおり裁量権の逸脱・濫用はなく、そもそも、本件改定は、生活保護法3条又は8条2項の規定に違反するも る場合に限り、違法性が認められることになる。 本件改定にかかる厚生労働大臣の判断には、上記主張のとおり裁量権の逸脱・濫用はなく、そもそも、本件改定は、生活保護法3条又は8条2項の規定に違反するものでもないから、本件改定に係る厚生労働大臣の判断に職務上の注意義務違反はない。 ⑵ 原告らに生じた慰謝料については争う。 参考資料平成25年告示平成25年厚生労働省告示第174号平成26年告示平成26年厚生労働省告示第136号保護基準生活保護法による保護の基準(昭和38年4月1日号外厚生省告示第158号)生活扶助基準保護基準別表第1が定める生活扶助の基準本件各処分平成25年告示又は平成26年告示に基づく生活扶助基準の改定に基づき、別紙処分等一覧表記載の「処分庁」欄記載の各処分行政庁が、対応する各原告を名宛人として行った生活保護費の変更決定処分昭和29年通知生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について(昭和29年5月8日社発第382号厚生省社会局長通知)平成25年変更決定原告番号9に対する昭和29年通知に基づく平成25年7月11日付け保護変更決定第1類費基準生活費のうち食費、被服費等の個人単位の経費に対応する第1類の額第2類費基準生活費のうち光熱水費、家具家事用品等の世帯単位の経費に対応する第2類の額展開部分生活扶助基準において標準世帯の第1類費及び第2類費を基準として指数により他の年齢階級別及び世帯人員別の額を定める部分及び1級地-1の基準額を基準として指数により他の級地の基準額を定める部分生活扶助基準額生活扶助基準で定められた基準額被告市ら被告国を除く被告ら昭和58年意見具申厚生省(当時)の審議会である中央社会福祉審議会が、昭和58年12月23日に発表した「生活扶助基準及び加算のあり方に 生活扶助基準で定められた基準額被告市ら被告国を除く被告ら昭和58年意見具申厚生省(当時)の審議会である中央社会福祉審議会が、昭和58年12月23日に発表した「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」在り方専門委員会平成15年7月に、社会保障審議会・福祉部会の下に設置された「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」平成15年中間取りまとめ在り方専門委員会が、平成15年12月16日、生活扶助基準についての考え方をさしあたり示すものとして公表した「生活保護制度の在り方についての中間取りまとめ」第1・十分位調査対象者を収入の低い方から順番に並べ、世帯数が等しくなるよう10等分した場合における、収入の1番低い層平成16年報告書在り方専門委員会が平成16年12月15日に公表した「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」平成16年検証在り方専門委員会において、平成16年報告書の取りまとめに至るまでに行った生活保護基準の在り方等についての検証生活扶助基準検討会平成19年に、厚生労働省社会・援護局長の下に設置された「生活扶助基準に関する検討会」平成19年報告書生活扶助基準検討会が平成19年11月30日に公表した「生活扶助基準に関する検討会報告書」平成19年検証生活扶助基準検討会において、平成19年報告書の取りまとめに至るまでに行った生活扶助基準についての検証基準部会平成23年2月に、社会保障審議会の下に設置された生活保護基準部会略語表 平成25年報告書基準部会が平成25年1月18日に公表した社会保障審議会生活保護基準部会報告書平成25年検証基準部会において、平成25年報告書の取りまとめに至るまでに行った生活扶助基準についての検証平均指数法平成25年検証において、生活扶助基準額に消費実態を 会生活保護基準部会報告書平成25年検証基準部会において、平成25年報告書の取りまとめに至るまでに行った生活扶助基準についての検証平均指数法平成25年検証において、生活扶助基準額に消費実態を反映した場合の理論上の額(消費実態を反映した水準)を算定するにあたって用いられた算出手法。仮に第1・十分位の全世帯が生活保護を受給した場合の生活扶助基準額の平均受給額と、一連の作業によって推計された消費実態を反映した額の平均額が均等となるようにして行われた。 年齢階級別指数平成25年検証において、年齢階級別の指数のみ消費実態を反映した水準と現行の第1類費基準額の相対関係を表すものとして示された指数世帯人員別指数平成25年検証において、世帯人員別の指数のみ消費実態を反映した水準と現行の生活扶助基準額の相対関係を表すものとして示された指数級地別指数平成25年検証において、級地別の指数のみ消費実態を反映した水準と現行の生活扶助基準額の相対関係を表すものとして示された指数ゆがみ調整厚生労働大臣が、平成25年報告書を踏まえ、年齢・世帯人員・地域差による影響を調整するものとして行った生活扶助基準の改定ないし改定の手法デフレ調整厚生労働大臣が、平成20年から平成23年までの物価下落により被保護者の可処分所得が実質的に増加しているとして、物価下落率を考慮して行った生活扶助基準の改定ないし改定の手法1/2調整厚生労働大臣が、ゆがみ調整につき、平成25年報告書で示された年齢・世帯人員・地域差による影響を1/2の限度で調整したこと、ないしその手法年齢階級別改定率年齢階級別指数を用いて算出した改定率に1/2調整を行ったもの世帯人員別改定率世帯人員別指数を用いて算出した改定率に1/2調整を行ったもの級地別改定率級地別指数を用いて算出した改定率に1/ 定率年齢階級別指数を用いて算出した改定率に1/2調整を行ったもの世帯人員別改定率世帯人員別指数を用いて算出した改定率に1/2調整を行ったもの級地別改定率級地別指数を用いて算出した改定率に1/2調整を行ったもの指数品目消費者物価指数の計算の対象として選定する品目支出割合家計の消費支出全体に指数品目の支出額が占める割合品目指数指数品目の基準年の価格を100とした場合の比較年の価格を表す指数総務省CPI総務省が公表している消費者物価指数生活扶助相当CPI厚生労働省が、デフレ調整における物価下落率を算出するに当たり、総務省CPIの指数品目から家賃等の生活扶助以外の他の扶助で賄われる品目及び自動車関係費等の生活保護受給世帯において支出することが想定されていない品目を除外した指数品目により算出した消費者物価指数ウエイト参照時点消費者物価指数の計算において、ウエイトとして使用される数量や支出割合の時点平成25年改定厚生労働大臣が、平成25年5月16日、平成25年告示により行った生活扶助基準の改定平成26年改定厚生労働大臣が、平成26年3月31日、平成26年告示により行った生活扶助基準の改定本件改定厚生労働大臣が、平成25年告示、平成26年告示及び平成27年厚生労働省告示第227号により行った生活扶助基準の改定完全ゆがみ調整1/2調整を行わず、ゆがみの全部を調整すること

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