平成21(行ウ)301 差押処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年3月23日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文30,548 文字)

- 1 - 主文 1 本件訴えのうち,別紙1処分部分目録記載の各処分部分の取消請求に係る訴えをいずれも却下する。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 別紙1処分部分目録記載の各処分部分をいずれも取り消す。 2 処分行政庁が原告に対し平成19年6月29日付けでした別紙2物件目録記載の各土地(以下「本件各不動産」という。)の差押処分(以下「本件差押処分」という。)を取り消す。 第2 事案の概要原告及び滞納者(A)らは,平成4年に亡くなったB(以下「亡B」という。)及び平成6年に亡くなったC(以下「亡C」という。)を順次共同相続したところ,滞納者が上記両名の各相続に係る相続税の納付を怠ったことから,処分行政庁は,当該相続税について原告が連帯納付義務を負うとして,原告に対し,滞納者に係る滞納相続税の本税及び延滞税について本件各督促処分をし,その後これらに対する一部納付等があったものの,なおその延滞税の納付がされなかったことから,原告所有の本件各不動産を差し押さえた(本件差押処分)。 本件は,原告が,これらの処分を不服として,本件各督促処分(ただし,既に納付された額を超える部分)及び本件差押処分の各取消しを求める事案である。 1 関係法令平成15年法律第8号による改正前の相続税法34条1項(以下「相続税法34条1項」という。)は,同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者は,その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について,当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として,- 2 -互いに連帯納付の責めに任ずる旨を定めている。 また,国税通則法37条1項は により取得した財産に係る相続税について,当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として,- 2 -互いに連帯納付の責めに任ずる旨を定めている。 また,国税通則法37条1項は,納税者(同法2条5号)がその国税を納期限までに完納しない場合には,税務署長は,当該国税が同項各号の定める国税に該当する場合を除き,その納税者に対し督促状によりその納付を督促しなければならない旨を定め,同法40条は,上記同法37条の規定による督促に係る国税がその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納されない場合等の国税徴収法に定める場合には,同法その他の法律の規定により滞納処分を行なう旨を定めている。これを受けて,同法47条1項1号は,滞納者が督促を受け,その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは,徴収職員は,滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない旨を定めている。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)ア亡Bは,平成4年▲月▲日に死亡した(以下,亡Bを被相続人とする相続を「本件第1次相続」という)。 亡Bの相続人は,その妻である亡C,亡Bの長女であるD,長男であるE,二男である滞納者(A),三男である原告(F),四男であるG及び五男であるH(被相続人C,D,E,滞納者,原告,G及びHを併せて「本件第1次相続人ら」という。)の合計7人である(末尾添付図面参照)。 (以上につき,甲1の1)イ平成5年4月27日,本件第1次相続人らにおいて,亡Bの遺産につき,遺産分割協議が成立し,本件第1次相続人らは,同年5月13日,豊島税務署長に対し,本件第1次相続に係る相続税の申告書を提出した(以下, 成5年4月27日,本件第1次相続人らにおいて,亡Bの遺産につき,遺産分割協議が成立し,本件第1次相続人らは,同年5月13日,豊島税務署長に対し,本件第1次相続に係る相続税の申告書を提出した(以下,この申告を「本件第1次当初申告」という。)。(甲1の2,乙1)滞納者が本件第1次相続に関して納付すべき相続税の法定納期限は同月▲日であったところ(平成4年法律第16号附則3条1項参照。なお,- 3 -被告準備書面(1)14頁においては「平成5年6月4日」との記載があるが,誤記と認める。),滞納者は,同年5月11日,豊島税務署長に対し,本件第1次当初申告により自身が納付すべき税額の全額について,平成15年法律第8号による改正前の相続税法41条1項に基づき,別紙2財産目録1記載の各不動産をもって,物納の許可を申請した(以下,この申請を「本件第1次物納申請」という。)。(乙2)ウ豊島税務署長は,平成5年7月20日,滞納者からの本件第1次物納申請を受けて,滞納者の本件第1次相続に係る相続税について,平成18年法律第10号による改正前の相続税法42条5項の規定により準用する同法40条1項に基づく徴収の猶予を決議した。(乙3)エ本件第1次相続人らは,平成6年1月28日,豊島税務署長に対し,本件第1次相続に係る相続税の修正申告書を提出した(乙4。以下,この修正申告を「本件第1次修正申告」という。)。 オ本件第1次相続人らは,本件第1次相続に係る本件第1次修正申告後の相続税について,平成8年4月25日,豊島税務署長に対し,亡Cに係る分について再度修正申告を行い,D,E,滞納者,原告及びHに係る分については同日に,Gに係る分については同年5月1日に,同税務署長に対し,更正の請求を行った。(乙7の1ないし7)これを受けて,同税務署長は,同 修正申告を行い,D,E,滞納者,原告及びHに係る分については同日に,Gに係る分については同年5月1日に,同税務署長に対し,更正の請求を行った。(乙7の1ないし7)これを受けて,同税務署長は,同年5月28日付けで,E,滞納者,原告,G及びHに対し,いずれも本件第1次修正申告における課税額を減額する旨の更正(以下「本件更正処分」という。)を行い,同人らに対し,更正通知書をそれぞれ送付した。(乙8の1ないし5)カ本件第1次物納申請に係る不動産のうち,別紙2財産目録1記載2の不動産については,滞納者から物納許可に必要な書類の提出があったことから,平成9年7月7日に物納許可がされている。(乙36)(2)ア亡C(被相続人C)は,平成6年▲月▲日に死亡した(以下,亡Cを- 4 -被相続人とする相続を「本件第2次相続」という。)。 亡Cの相続人は,その長女であるD,長男であるE,二男である滞納者,三男である原告,四男であるG,五男であるH及び養子でEの子であるI(D,E,滞納者,原告,G,H及びIを併せて「本件第2次相続人ら」という。)の合計7人である(末尾添付図面参照)。 (以上につき,甲2の1)イ平成6年11月22日,本件第2次相続人らにおいて,亡Cの遺産につき,遺産分割協議が成立し,本件第2次相続人らは,同日,豊島税務署長に対し,本件第2次相続に係る相続税の申告書を提出した(以下,この申告を「本件第2次申告」という。)。(甲2の2,乙5)(3)ア滞納者が本件第2次相続に関して納付すべき相続税の法定納期限は平成6年▲月▲日(平成4年法律第16号附則3条1項,国税通則法10条2項,国民の祝日に関する法律2条,3条1項各参照。なお,被告準備書面(1)14頁においては「平成6年11月23日」との記載があるが,誤記と認める。 成4年法律第16号附則3条1項,国税通則法10条2項,国民の祝日に関する法律2条,3条1項各参照。なお,被告準備書面(1)14頁においては「平成6年11月23日」との記載があるが,誤記と認める。)であったところ,滞納者は,同月22日,豊島税務署長に対し,本件第2次申告により自身が納付すべき税額の全額について,平成15年法律第8号による改正前の相続税法41条1項に基づいて,別紙2財産目録2記載1及び2の各不動産をもって,物納の許可を申請した(以下,この申請を「本件第2次物納申請」といい,本件第1次物納申請と併せて「本件各物納申請」という。)。(乙6)イ豊島税務署長は,平成11年9月29日,滞納者に対して,本件第2次物納申請に係る物納財産(別紙2財産目録2記載1の不動産)について,管理又は処分するのに不適当な財産であるとして,「相続税物納財産変更要求通知書」を送付した。 - 5 -これを受けて,滞納者は,同年10月19日,同税務署長に対し,本件第2次物納申請に係る財産について変更する旨を記載した「物納申請財産取下書兼変更財産申請書」を提出した(以下,変更後の物納申請財産を「本件第2次物納申請物件」(別紙2財産目録2記載3ないし6の各不動産)という。)。(乙9)なお,別紙2財産目録2記載2及び3の各土地は,本件第2次物納申請当初,相続登記を経由しておらず,原告を含む共有名義の土地(甲9参照)であり,また,物納申請の対象外の土地を含む登記簿上1筆の土地であったが,平成10年2月6日付けで滞納者と原告を共有者とする相続登記がされ,平成12年3月14日付けで分筆の登記がされた後,平成16年1月19日付けで同月8日付けの共有物分割を原因とする持分全部移転の各登記を経由し,滞納者を単独所有者とする登記が具備された。(乙17の1,乙3 2年3月14日付けで分筆の登記がされた後,平成16年1月19日付けで同月8日付けの共有物分割を原因とする持分全部移転の各登記を経由し,滞納者を単独所有者とする登記が具備された。(乙17の1,乙38)ウ豊島税務署長は,平成14年5月17日現在,滞納者に対し別紙3租税債権目録(1)記載の租税債権を有していたところ,その租税債権を徴収するため,同日,東京地方裁判所平成○年(フ)第○号破産事件において,当該破産事件の破産管財人に対し,平成16年法律第76号による改正前の国税徴収法82条1項に基づく交付要求を行い,同年9月24日,破産管財人から配当を受け,当該交付要求に係る国税に充当した。(乙10ないし12)エ豊島税務署長は,平成16年3月3日,本件第1次物納申請及び本件第2次物納申請の所管が処分行政庁に移管されたことから,本件第1次相続及び本件第2次相続に係る相続税のうち,滞納者に係る相続税について,国税通則法43条3項に基づき,処分行政庁へ徴収の引継ぎをした。 オ別紙2財産目録1記載1及び別紙2財産目録2記載4ないし6の各不動産には,平成13年11月29日付けで根抵当権の設定登記がされ(乙- 6 -17の2ないし5),別紙2財産目録2記載2ないし6の各不動産について,それぞれ平成15年3月13日付け又は同年12月5日付けで差押えの登記がされていたところ(乙17の1・2・4・5,38),処分行政庁は,平成17年5月30日,上記各物納申請財産について,当該物納申請財産に対する差押え・根抵当権が抹消されないため,若しくは,公売により所有権が移転しているため管理又は処分するのに不適当な財産に該当するとして,物納申請を却下するとともに,滞納者に対し,その旨を通知した。(乙13の1・2)カ処分行政庁は,平成17年6月15日,本 有権が移転しているため管理又は処分するのに不適当な財産に該当するとして,物納申請を却下するとともに,滞納者に対し,その旨を通知した。(乙13の1・2)カ処分行政庁は,平成17年6月15日,本件第1次物納申請の一部及び本件第2次物納申請の全部を却下したことにより,本件第1次相続及び本件第2次相続に係る相続税のうち,滞納者に係る相続税が滞納となったことから,滞納者に対し,国税通則法37条に基づき,督促処分を行った(以下,この督促処分に係る相続税を「本件相続税」という。)。(乙14の1及び2)キ処分行政庁は,平成17年8月26日現在,別紙4租税債権目録(2)記載の租税債権を有していたことから,その租税債権を徴収するため,別紙2物件目録記載の1ないし5の不動産について,既に滞納処分による差押えを行っていた新宿区長に対し,国税徴収法86条に基づき,参加差押え(以下「本件参加差押処分」という。)を行い,同月31日付けで参加差押登記を経由した。(乙15ないし17の1ないし5)。 ク処分行政庁は,平成18年3月1日付けで,滞納者を除く本件第1次相続人ら及び本件第2次相続人らに対し,相続税法34条1項に基づき,「連帯納付責任のお知らせ」と題する書面をそれぞれ送付し,同年5月24日付けで,国税通則法37条1項に基づき,本件各督促処分を行った(本件各督促処分により原告に送付された督促状(2通)を併せて「本件各督促- 7 -状」という。)。(甲5,6)ケ処分行政庁は,別紙2物件目録記載の各不動産に係る差押権者である新宿区長がこれら不動産について差押解除を行ったことを受けて,本件参加差押処分が平成18年8月1日付けで差押えに移行していたため,平成19年2月13日及び同年5月15日,本件参加差押処分に係る不動産について公売を実施し(乙1 て差押解除を行ったことを受けて,本件参加差押処分が平成18年8月1日付けで差押えに移行していたため,平成19年2月13日及び同年5月15日,本件参加差押処分に係る不動産について公売を実施し(乙17の1ないし5),その売却代金を本件相続税に充当した。 コ処分行政庁は,平成19年6月29日現在,別紙5租税債権目録(3)記載の租税債権を有していたことから(乙18),その租税債権の徴収のため,連帯納付義務を負う原告に対し,国税徴収法47条の規定に基づき,本件差押処分を行い(甲7の1・2),同年7月3日,本件各不動産につき差押登記を経由した(乙19の1ないし5)。 (4)ア原告は,平成19年8月29日,本件差押処分について不服があるとして,国税通則法75条1項2号イに基づき,処分行政庁に対して異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。(甲14)処分行政庁は,同年11月13日,本件異議申立てを棄却する旨の決定(以下「本件異議決定」という。)をした。(甲16(乙20))イ原告は,平成19年12月25日,本件異議決定を経た後の本件差押処分について不服があるとして,国税通則法75条1項2号ロに基づき,国税不服審判所長に対して審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。(甲15)国税不服審判所長は,平成20年12月16日,本件審査請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。(甲18の1)ウ原告は,平成21年6月15日,本件訴えを提起した。(顕著な事実)エなお,原告は,本件訴えの提起に当たり,本件各督促処分について,異議申立て及び審査請求をしていない。 - 8 - 3 争点(1) 本案前の争点本件各督促処分の一部取消請求(請求の趣旨1項)に係る訴え(以下「本件各督促処分一部取消 各督促処分について,異議申立て及び審査請求をしていない。 - 8 - 3 争点(1) 本案前の争点本件各督促処分の一部取消請求(請求の趣旨1項)に係る訴え(以下「本件各督促処分一部取消しの訴え」という。)につき,審査請求前置を経ないことについての正当の理由の有無(2) 本案の争点本件各督促処分及び本件差押処分の適法性ア連帯納付制度の憲法適合性(憲法29条・13条,31条,84条)イ原告の連帯納付義務に係る被告の徴収権の時効消滅の成否ウ連帯納付義務を理由とする本件各督促処分及び本件差押処分が権利の濫用に当たるか否か(手続上の違法の有無)エ本件差押処分が超過差押又は無益差押に該当するか否か 4 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(本件各督促処分の一部取消しの訴えにつき,審査請求前置を経ないことについての正当の理由の有無)について(原告の主張の要旨)本件各督促処分の一部取消しの訴えにつき,審査請求を経ていないものの,審査請求を経ていないことに正当な理由があるから,当該訴えは適法である。 すなわち,本件各督促処分は,滞納者に係る滞納相続税の本税及び延滞税の連帯納付義務についてのものであるところ,処分行政庁(被告)は,原告以外の他の連帯納付義務者が納付した金額や時期等といった本税及び延滞税に関する納付・充当関係について十分に把握している立場にあり,他方において,原告はこれらの事柄を知り得る立場にないにもかかわらず,本件各督促状にはいずれも本税の額のみ記載し,延滞税の額を記載しないままこれらを原告に送付し,不意打ち的に,延滞税の額等を計算不能な状態としたま- 9 -ま原告に対して相続税(本税及び延滞税)の納付を求める本件各督促処分を行った。こうした経緯に加え,本件各督促処分が れらを原告に送付し,不意打ち的に,延滞税の額等を計算不能な状態としたま- 9 -ま原告に対して相続税(本税及び延滞税)の納付を求める本件各督促処分を行った。こうした経緯に加え,本件各督促処分が審査請求を経ている本件差押処分と密接に関連していることからすると,本件各督促処分について審査請求を経ていないとしても,審査請求を経ていないことについて正当な理由があるというべきである。 (被告の主張の要旨)本件各督促処分は,国税通則法37条1項に基づく処分であり,同法75条1項2号により本件各督促処分を行った国税局長に対する異議申立て又は国税不服審判所長に対する審査請求ができる処分であるから,同法115条1項の「国税に関する法律に基づく処分」であり,かつ,「審査請求をすることができる処分」に当たる。しかるに,原告は,上記の点について本件各督促状において適切に教示されたにもかかわらず,本件各督促処分に関して審査請求についての裁決を経ておらず,かつ,国税通則法115条1項各号に該当する場合でもないから,本件各督促処分の一部取消しの訴えは不適法である。 また,本件において問題となっている督促処分と差押処分とでは,その要件及び効果が異なり,差押処分が取り消されることによって督促処分も当然に取り消されるという関係にもないから,差押処分について不服申立てを経由したからといって,督促処分について不服申立ての前置を要求する実質的理由がなくなるという関係にはない。 したがって,本件差押処分について不服申立てを経ているからといって,本件各督促処分について審査請求を経ていないことにつき正当な理由があるとすることはできない。 (2) 争点(2)(本件各督促処分及び本件差押処分の適法性)について(被告の主張の要旨)ア連帯納付義務(相続税法34 審査請求を経ていないことにつき正当な理由があるとすることはできない。 (2) 争点(2)(本件各督促処分及び本件差押処分の適法性)について(被告の主張の要旨)ア連帯納付義務(相続税法34条1項)の法的性質とその合憲性- 10 -(ア) 相続税法34条1項は,相続税徴収の確保を図るため,相互に各相続人等に課した特別の責任であって,その義務履行の前提条件をなす連帯納付義務の確定は,各相続人等の固有の相続税の納税義務の確定という事実に照応して,法律上当然に生ずるものである。 また,同項による連帯納付義務は,当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度とするものではあるが,その納付義務の重なり合う範囲においては,互いに連帯して納付する義務を負うのであり,民法上の連帯債務ないしは連帯保証債務と同様に,国税債権者である国との関係では補充性はない(国税通則法8条)。 相続税法34条1項の連帯納付義務は,上記のとおり法律上当然に生ずるものであり,格別の確定手続を要するものではないから,連帯納付義務を確定させるために賦課決定通知書を送達するなどの特別の行為を行う必要はなく,これに基づく徴収手続を行うに当たっても納税の告知を行うことは法律上要求されていない(国税通則法36条1項参照)。 (また,上記のとおり,この連帯納付義務には補充性がないから,納税告知書による告知を要求している国税通則法52条2項又は国税徴収法32条1項の類推適用をすることもできない。)連帯納付義務は,相続税法34条1項においてその発生要件及び範囲が一義的に明確な形で定められており,連帯納付義務者はこれを免れることができない上,その具体的内容は各相続人固有の相続税の納税義務の確定に伴い自動的に決せられるもので,法によってあらかじめ予告されているの に明確な形で定められており,連帯納付義務者はこれを免れることができない上,その具体的内容は各相続人固有の相続税の納税義務の確定に伴い自動的に決せられるもので,法によってあらかじめ予告されているのであるから,告知を行わないとしても,連帯納付義務者の予見可能性を害するものではない。 (イ)a 連帯納付制度と憲法29条との関係をみるに,同条(1項)により保障される財産権は政策目的による制限が許容されているものであり,また,租税法の定立については,財政・経済・社会政策等の国政- 11 -全般からの総合的な政策判断のみならず極めて専門技術的な判断を必要とし,裁判所は基本的には立法府の裁量的判断を尊重せざるを得ないものというべきであるから,当該立法の立法目的が正当なものであり,かつ,当該立法目的達成のための手段が著しく不合理であることが明らかでない限り,これを憲法29条に違反するものということはできないところ,上記の連帯納付制度の目的及び内容に徴すれば,憲法29条(及び13条)に違反するとはいえない。 b また,連帯納付制度と憲法31条との関係をみるに,相続税法34条1項に基づく督促処分により影響を受ける連帯納付義務者の財産権は上記のとおり本来的に政策目的による制限が許容されており,特に租税法の定立については立法府の政策的・専門的判断を尊重する必要がある上,大量かつ反復的に行われる督促処分について常に事前の告知等の手続を保障すべきとすることは実際的でないばかりか不可能に近く,相続税の徴収確保という上記督促処分の目的を阻害するおそれがあることに加え,連帯納付義務者は,不服審査や訴訟による事後の救済手続により他の相続人等の固有の納税義務及び自己の連帯納付義務の存否・範囲を争うことが可能であること等を考慮すれば,連帯納付義務者に対し告知等の え,連帯納付義務者は,不服審査や訴訟による事後の救済手続により他の相続人等の固有の納税義務及び自己の連帯納付義務の存否・範囲を争うことが可能であること等を考慮すれば,連帯納付義務者に対し告知等の手続を行うことを定めた規定が存在しないとしても,憲法31条に反するとはいえない。 c 加えて,連帯納付制度は相続税法34条1項等に明記されており,内容も明確なものである以上,租税法律主義(憲法84条)に反するとはいえない。 d 以上から,連帯納付制度が憲法13条,29条,31条及び84条に違反しないことは明白である。 イ原告の連帯納付義務に係る被告の徴収権は時効消滅していないこと連帯納付義務は,本来の納税義務者の義務に対する附従性を有する一方- 12 -でその内部負担を観念できないことからすると,民法の連帯保証債務と類似しているといえ,これと同様に本来の納税義務者に対する租税債権について時効中断事由が生じた場合には,連帯納付義務者の連帯納付義務に係る徴収権についても時効中断の効力を認めるのが相当であり,相続税法34条1項はこの限度で国税通則法8条の適用を排除していると解すべきである。 国税の徴収権は,その国税の法定納期限から5年間行使しないことによって時効により消滅する(平成14年法律第79号による改正前の国税通則法72条1項)ところ,本件相続税の徴収権の消滅時効は,以下の(イ)ないし(オ)のとおり中断しているから,平成19年6月29日付けの本件差押処分の時点において,完成していない。そして,消滅時効の中断の効力は,民法457条1項により連帯納付義務者である原告にも及ぶため,原告の連帯納付義務に係る徴収権もまた時効消滅していない。 (ア) 本件相続税の各法定納期限は,本件第1次相続に係る相続税については,平成5年▲月▲日であ より連帯納付義務者である原告にも及ぶため,原告の連帯納付義務に係る徴収権もまた時効消滅していない。 (ア) 本件相続税の各法定納期限は,本件第1次相続に係る相続税については,平成5年▲月▲日であり,本件第2次相続に係る相続税については,平成6年▲月▲日である。 (イ) 本件第1次相続に係る相続税については,上記(ア)記載の法定納期限を経過した後,豊島税務署長が,平成5年7月20日,相続税法42条5項により準用する同法40条1項に基づく徴収の猶予をしたことにより,その猶予期間内は時効が進行しない(国税通則法73条4項)。 なお,上記徴収の猶予は,本件第1次物納申請が却下された平成17年5月30日まで継続している。 (ウ) 本件第2次相続に係る相続税については,上記(ア)記載の法定納期限を経過した後,滞納者は,平成11年10月19日,豊島税務署長に対し,本件第2次物納申請物件について変更する旨を記載した「物納申請財産取下兼変更財産申請書」を提出したことにより,本件第2次相続- 13 -に係る相続税の租税債務を承認しており,本件第2次相続に係る相続税の徴収権の消滅時効が中断している(国税通則法72条3項,民法147条3項)。 (エ) また,本件相続税の徴収権は,平成14年5月17日,東京地方裁判所平成○年(フ)第○号破産事件おいて,豊島税務署長が国税徴収法82条に基づく交付要求を行ったことにより,その時効が中断し,その交付要求がされている期間は時効が進行しない(国税通則法73条1項5号)。 (オ) さらに,本件相続税の徴収権は,平成17年8月26日付け本件参加差押処分に係る参加差押登記が経由された同月31日,その消滅時効が中断し,同処分は,平成18年8月1日付けで差押えに移行しているところ,差押えが消滅するまで時効は進行しない 年8月26日付け本件参加差押処分に係る参加差押登記が経由された同月31日,その消滅時効が中断し,同処分は,平成18年8月1日付けで差押えに移行しているところ,差押えが消滅するまで時効は進行しない(国税通則法72条3項,73条1項5号,民法147条2項,157条1項)。 ウ徴税権の濫用等に該当しないこと原告は,滞納者の物納申請について,申請(平成5年5月11日及び平成6年11月22日)から処分(平成17年5月30日)までに10年以上の期間が経過した後に本件差押処分がされていることを問題視するが,上記物納申請から平成13年11月29日付けで本件各物納申請に係る不動産の一部について根抵当権設定登記がされるまでの間に,物納申請についての許否の判断ができなかったのは,滞納者において,必要な書類の提出をする旨述べる一方で,その提出をしなかったこと,根抵当権及び差押えの登記がされたことから滞納者において根抵当権の設定登記等を抹消する旨の申出があり,この求めに応じて判断を留保していたこと等によるものであり,上記根抵当権設定登記が具備された以降においても滞納者(又は滞納者の代理人である弁護士(以下「滞納者代理人弁護士」という。))から必要書類の提出がなく,滞納者の破産手続の開始等を経るも,- 14 -滞納者代理人弁護士から引き続いて抵当権等の抹消のために必要となる書面等の補完の申入れがあったため,判断を留保していたことによるものであって,平成17年5月30日に至るまで物納申請を却下しなかったことにも理由があり,原告に対する本件各督促処分及び本件差押処分は不意打ちや徴税権の濫用に当たるものではない。 なお,原告は,延滞税の計算根拠が示されていないなどと主張するが,そもそも督促処分又は差押処分において,延滞税の計算根拠が具体的に示されて 押処分は不意打ちや徴税権の濫用に当たるものではない。 なお,原告は,延滞税の計算根拠が示されていないなどと主張するが,そもそも督促処分又は差押処分において,延滞税の計算根拠が具体的に示されていないことをもって当該処分が違法となるものではないし,延滞税については,国税通則法60条2項,同法61条,同法62条1項において計算根拠が明らかにされているから,不意打ちとなるものでもない。 エ超過差押え及び無益な差押えに該当しないこと(ア) 原告は,本件差押処分をして超過差押え及び無益な差押えに該当する旨主張するところ,超過差押えとなるか否かを判断するに当たっては,一般的には,差押財産の処分予定価額と徴収すべき滞納国税(延滞税等の附帯税を含む。)の額とを比較して判断すべきであるが,差押財産をめぐる権利関係を把握することが必ずしも容易でなく,その価値を正確に評価することが困難であること等に照らせば,滞納国税の額に比較して差押財産の価額が合理的な裁量の範囲を超えて著しく高額であると認められるような特段の事情がある場合に初めて当該差押えが違法となると解するのが相当である。 (イ) 原告は,滞納者の納税義務につき本件第1次相続に係る相続税について1億4080万1971円,本件第2次相続に係る相続税について1億6143万5490円の範囲において連帯納付義務を負っており,本件差押処分がされた平成19年6月29日時点においても東京国税局長は合計5198万2446円の租税債権を有していたのに対し,客観的時価を基準とし,公売による特殊性を考慮して算定される差押財産- 15 -(本件各不動産)の処分予定価額は3326万4000円(後記(ウ)参照)であって滞納国税の額を下回ることが明らかである以上,上記特段の事情があるということはできず,本件差押処分 押財産- 15 -(本件各不動産)の処分予定価額は3326万4000円(後記(ウ)参照)であって滞納国税の額を下回ることが明らかである以上,上記特段の事情があるということはできず,本件差押処分をして超過差押え及び無益な差押えに該当しない。 (ウ) なお,本件各不動産の処分予定価額は,本件各不動産の固定資産税評価額(非課税とされているものについては路線価)を70%で割り戻した価額をもってその客観的価額とし,当該価額を前提として,別紙2物件目録記載1及び5の各土地については,それらの現況が道路(私道)であることに鑑み,路線価方式等により計算した価額の70%を減額調整し,別紙2物件目録記載2ないし4の各土地については,それらの現況が第三者の建物の敷地の用に供されていることに鑑み,借地権割合として70%を減額調整した上,公売の特殊性を考慮して20%の調整を行って算定した。 オ小括以上から,本件各督促処分及び本件差押処分は適法である。 (原告の主張の要旨)ア本件各督促処分及び本件差押処分の経緯とその違憲性処分行政庁は,滞納者が,平成4年の本件第1次相続について本件第1次物納申請をし,平成6年の本件第2次相続について本件第2次物納申請をしたにもかかわらずこれらを放置し続け,不動産価額が大きく下落した後である平成17年5月30日になってようやくこれら物納申請を却下し,本件第1次相続及び本件第2次相続(の法定納期限)に遡って相続税の延滞税を発生させている。その上,本件第1次相続及び本件第2次相続において滞納者と共に共同相続した原告に対し,滞納者が本件相続税を滞納していることを理由として,金額を明らかにしないままに本件各督促処分をし,引き続いて,平成19年6月29日,原告所有の本件各不動産に- 16 -対し本件差押処 原告に対し,滞納者が本件相続税を滞納していることを理由として,金額を明らかにしないままに本件各督促処分をし,引き続いて,平成19年6月29日,原告所有の本件各不動産に- 16 -対し本件差押処分をしている。 処分行政庁による本件各督促処分及び本件差押処分は,自らの怠慢を棚に上げた上で,社会的に問題視されている連帯納付制度を利用して,金額や計算方法を示すことなく不明確な手続によって不意打ち的に原告に相続税(延滞税)を負担させるものであって,憲法で保障された財産権(29条,13条),適正手続保障(31条),租税法律主義(84条)に違反する。 イ連帯納付義務に係る被告の徴収権は時効消滅していること処分行政庁は,上記アのとおり滞納者による物納申請を不動産価格が下落する中10年以上にわたって放置し続けた上,その間,原告に対しては何ら通知等をしていなかったことからすると,原告に対する徴収権(原告の連帯納付義務)は時効により既に消滅しているといえる。 ウ徴収権の濫用に当たること仮に原告に対する徴収権が時効により消滅していないとしても,突然,明確性を欠いた手続によって原告が負担すべき金額すら示さずに不意打ち的に本件各督促処分及び本件差押処分をしていることからすると,これら処分は,徴収権の濫用である。 エ超過差押え・無益差押えの禁止違反本件差押処分は,原告に対して生じていない税を徴収しようとするものであって,国税徴収法48条(超過差押及び無益差押の禁止)にも違反する。 オ小括以上から,本件各督促処分及び本件差押処分は,違憲違法であるから,取り消されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(請求の趣旨1につき,審査請求前置の有無)について- 17 -(1) 国税通則法115条1項によ 押処分は,違憲違法であるから,取り消されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(請求の趣旨1につき,審査請求前置の有無)について- 17 -(1) 国税通則法115条1項によれば,国税に関する法律に基づく処分(同法80条2項に規定する処分を除く。)で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは,審査請求をすることができる処分にあっては審査請求についての裁決を経た後でなければ,同法115条1項各号に規定する場合を除き,これを提起することができないとされている。 しかるに,同法37条による督促処分は,滞納処分の前提となるものであり,督促を受けた納税者は一定の日までに督促に係る国税を完納しなければ滞納処分を受ける地位に立たされることになる(同法40条)から,同法75条1項及び114条の規定する「国税に関する法律に基づく処分」に当たり(最高裁平成4年(行ツ)第183号同5年10月8日第二小法廷判決・集民170号1頁参照),国税局長のした督促処分に不服のある者は,当該国税局長に対する異議申立てをすることができ(同法75条1項2号イ),その異議申立てについての決定を経た後の処分になお不服のある者は,国税不服審判所長に対して審査請求をすることができるとされている(同法75条3項)。 したがって,督促処分に不服のある者がその督促処分の取消訴訟を提起するには,同法115条1項各号に規定する場合を除き,以上のような不服申立手続を経た後でなければならないというべきである(同法114条,115条)。 そうすると,前記前提事実によれば,原告は本件各督促処分については審査請求をしておらず,また,同法115条1項1号及び2号に規定する場合でないことも明らかであるから,本件訴えのうち本件各督促処分の取消しを求める部分は 事実によれば,原告は本件各督促処分については審査請求をしておらず,また,同法115条1項1号及び2号に規定する場合でないことも明らかであるから,本件訴えのうち本件各督促処分の取消しを求める部分は,同項3号に規定する場合でない限り,不適法というべきである。 (2) 以上に対し,原告は,本件各督促処分と内容的に密接に関連する本件差押処分については異議申立てについての決定(甲14参照)及び審査請求に- 18 -ついての裁決(甲15参照)を経ていることに加え,処分行政庁が滞納者の物納申請を10年以上放置した後に原告に対して滞納者に係る相続税の滞納金額を示すことなく突然負担を求めている経緯に照らせば,本件各督促処分について,異議申立てについての決定及び審査請求についての裁決を経ていないとしても,その決定及び裁決を経ないことにつき正当な理由がある旨主張する。 しかしながら,国税通則法37条による督促処分は上記(1)のとおり滞納処分の前提となるもので時効中断効(同法73条1項4号)を生じさせるものであるが,国税徴収法47条による差押処分は換価手続の前提(同法89条)として滞納者の特定財産の法律上又は事実上の処分を禁止する効力を有するものであるから,本件各督促処分と本件差押処分とは,目的,性質及び効果を異にする別個独立の行政処分であって,一方に対する異議申立て(審査請求)があったからといって,他方に対する異議申立て(審査請求)があったことにはならないし,差押処分が取り消されることによって督促処分が当然に取り消されるような関係にあるものでもなく,原告主張に係る経緯を考慮したとしても,本件各督促処分について異議申立て及び審査請求をする障害となるような事情があったとは認められないから,国税通則法115条1項3号にいう正当な理由があるとはいえな 告主張に係る経緯を考慮したとしても,本件各督促処分について異議申立て及び審査請求をする障害となるような事情があったとは認められないから,国税通則法115条1項3号にいう正当な理由があるとはいえない。 (3) したがって,本件訴えのうち本件各督促処分の(一部の)取消しを求める部分は,適法な審査請求を行わないまま提起されたもので,異議申立てについての決定及び審査請求についての裁決を経ないことにつき正当な理由があるとも認められないから,不服申立ての前置(同法115条1項)を欠いており,不適法というべきである。 2 争点(2)(本件差押処分の適法性)について(1) 連帯納付制度の憲法適合性(29条・13条,31条,84条との関係)ア相続税の連帯納付義務- 19 -相続税法34条1項は,相続人又は受遺者(以下「相続人等」という。)が2人以上ある場合に,各相続人等に対し,自らが負担すべき固有の相続税の納付義務のほかに,他の相続人等の固有の相続税の納税義務について,当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として,連帯納付義務を負担させることとしている。この連帯納付義務は,相続税法が相続税徴収の確保を図るため相互に各相続人等に課した特別の責任であって,その義務履行の前提条件をなす連帯納付義務の確定は,各相続人等の固有の相続税の納税義務の確定という事実に照応して,法律上当然に生ずるものとされており,連帯納付義務につき格別の確定手続を要するものではなく,相続人等の固有の相続税の納税義務が確定すれば,国税の徴収に当たる所轄庁は,連帯納付義務者に対して徴収手続を行うことが許されるものと解される(最高裁昭和53年(行ツ)第86号同55年7月1日第三小法廷判決・民集34巻4号535頁参照)。なお,国税通則法52条2項は保証 ,連帯納付義務者に対して徴収手続を行うことが許されるものと解される(最高裁昭和53年(行ツ)第86号同55年7月1日第三小法廷判決・民集34巻4号535頁参照)。なお,国税通則法52条2項は保証人に国税を納付させる場合に,国税徴収法32条1項は国税を第二次納税義務者から徴収しようとする場合に,いずれも納付通知書による告知を要するものとしているが,連帯納付義務については保証人や第二次納税義務者の場合のように補充性を認めた規定がないことから補充性はないと解されるため(国税通則法52条4項及び5項,国税徴収法32条4項参照),保証人や第二次納税義務とはその性質を異にするものであり,国税通則法52条2項又は国税徴収法32条1項が連帯納付義務に準用ないし類推適用されるものと解することもできない。 このような連帯納付義務の性格からすれば,確かに,原告が主張するように,連帯納付義務者に対し他の相続人等の納税義務の内容やその履行状況が知らされないままに徴税手続が行われると,場合によっては不意打ちの感を抱かせることも理解できないものではない。そこで,以下,上記連帯納付義務の憲法適合性について検討する。 - 20 -イ財産権保障(憲法29条,13条)との関係について(ア) 国民の租税負担を定めるについては,財政・経済・社会政策等の国政全般からの総合的な政策判断を必要とするばかりでなく,課税要件等を定めるについて,極めて専門技術的な判断を必要とすることも明らかであり,租税法の定立については,国家財政,社会経済,国民所得,国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的,技術的な判断にゆだねるほかはなく,裁判所は,基本的にその裁量的判断を尊重せざるを得ない(最高裁昭和55年(行ツ)第15号同60年3月27日大法廷判決・民集39巻 な資料を基礎とする立法府の政策的,技術的な判断にゆだねるほかはなく,裁判所は,基本的にその裁量的判断を尊重せざるを得ない(最高裁昭和55年(行ツ)第15号同60年3月27日大法廷判決・民集39巻2号247頁参照)。 したがって,租税立法について,その立法目的が正当なもので,その具体的な規定内容が上記目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り,当該立法は憲法29条に違反するものではないというべきである。 (イ) 相続税の連帯納付義務は,上記アのとおり,共同相続人中に無資力者があることに備え,相続税の徴収の確保を図るため,他の共同相続人等に特別の履行責任を課すものであるところ,これにより当該連帯納付義務を課せられた相続人等の財産権(憲法29条1項)を制限することになるとしても,その制限は,租税の確実な徴収を目的とするものであり,その規制目的は正当なものというべきである。 また,相続税法34条1項は,上記アのとおり,原則として本来の納税義務者と同じ原因に基づき共同相続人となった者という一定の身分関係にある者に限って連帯納付義務を課しており,しかも納付責任の範囲は相続によって利益を受けた限度に限られているのであるから,各相続人相互に民法の連帯保証類似の特別責任を課すことも,上記のような規制目的を達成するための手段としての必要性又は合理性に欠けるとはいえず,規制目的との関連で著しく不合理であるということはできな- 21 -い。 したがって,相続税法34条1項による連帯納付制度は,たとえ連帯納付義務を課せられる相続人等の財産権(憲法29条1項)を制約するものであるとしても,その規制目的が正当なものであり,その規制手段が規制目的との関連で著しく不合理であるため立法府の合理的裁量の範囲を超えるとも認められないから,同項 権(憲法29条1項)を制約するものであるとしても,その規制目的が正当なものであり,その規制手段が規制目的との関連で著しく不合理であるため立法府の合理的裁量の範囲を超えるとも認められないから,同項に違反するものということはできない。 ウ適正手続保障(憲法31条)との関係について前記アのとおり,連帯納付義務は,その発生要件及び範囲が一義的かつ明確に定められており(相続税法34条1項),各相続人等の固有の相続税納税義務が納税申告等によって確定すれば,法律上当然に発生するものであるから,そもそも固有の相続税納税義務に係る確定手続とは格別の確定手続を求める意味がなく,また,連帯納付義務を課せられる者が原則として本来の納税義務者と同じ原因に基づき共同相続人となった者という一定の身分関係にある者に限られ,納付責任の範囲も相続によって利益を受けた限度に限られているから,その発生及び追及を予期してこれに備えることや他の共同相続人の相続税の納付状況等を確認すること等も可能であり,不意打ち防止のために格別の確定手続が必要不可欠であるともいえない。そして,連帯納付義務が課される場合であっても,連帯納付義務者は,連帯納付義務に係る徴収処分の段階において,当該連帯納付義務者に固有の法定要件(納付責任の限度や相続人資格等)を争えることはもちろん,仮に他の相続人等の行った納税申告が不存在あるいは無効であれば,これに基づく連帯納付義務の追及としてされた徴収処分も当然に無効となるものとして争えるものと解され,さらに,現に他の相続人等に係る滞納相続税が連帯納付された場合には,当該連帯納付をした者が当該相続人等又はその他の共同相続人等に対して求償することも可能である。以上- 22 -の点を総合考慮すれば,格別の確定手続は要しないことを前提とした相続法3 れた場合には,当該連帯納付をした者が当該相続人等又はその他の共同相続人等に対して求償することも可能である。以上- 22 -の点を総合考慮すれば,格別の確定手続は要しないことを前提とした相続法34条1項の規定が,手続保障を要請する憲法の趣旨に反しているとまでいうことはできない。 エ原告の主張について以上に対し,原告は,滞納者による物納申請に基づいて延納許可がなされ相続開始後長期間が経過した後,延納に係る担保から徴収することができなかった税額について,延納許可手続に何ら関与しておらず,本来の納税義務者の延納の状況,担保物の内容,評価等について事実関係を確認する手段を有していなかった連帯納付義務者である原告に対して,金額を明記しないままに,突然,督促し,差押処分をしているのであって,憲法上の要請である適正手続(31条)によらずして,財産権(29条,13条)を不当に侵害するものであり,また,租税法律主義(84条)に反していると主張する。 しかし,連帯納付義務を定める相続税法34条1項の規定が憲法29条に反しないこと(なお,原告は,憲法上の財産権保障の根拠として同条に加えて13条を指摘するが,同条を根拠とした具体的な主張を伴わないことからすると,その主張の実質は憲法29条違反をいうものにすぎないといえる。)及び同条が連帯納付義務の徴収に当たり格別の確定手続を要しないことを前提としていることが手続保障を要請する憲法の趣旨に反しているとまではいえないことは前記ア及びイで説示したとおりであり,また,前記アのような連帯納付義務の性質に照らせば,相続人が相続開始後長期間を経過した後に他の相続人の相続税について連帯納付義務に係る徴収権の行使を受けることは,相続税法が当然予定した事態であり,連帯納付義務の発生要件及び範囲が相続税法34条1 ,相続人が相続開始後長期間を経過した後に他の相続人の相続税について連帯納付義務に係る徴収権の行使を受けることは,相続税法が当然予定した事態であり,連帯納付義務の発生要件及び範囲が相続税法34条1項において一義的かつ明確に定められ,本来の納税義務者が延滞したことによって生じる延滞税等についても,国税通則法等関係法令の定めに従って計算されるものであ- 23 -ることからすると,原告主張の経緯で連帯納付義務に係る徴収権の行使がされたことが直ちに憲法84条に違反するとはいえない。 したがって,原告の上記主張には理由がない。 (2) 連帯納付義務に基づいて原告が徴収を受ける金額について前記(1)アのとおり,連帯納付義務においては,各相続人等の固有の相続税納税義務が納税申告(相続税法27条1項,国税通則法17条1項)等によって確定すれば,連帯納付義務は特段の確定手続を要することなく,法律上当然に発生するところ,原告の連帯納付義務は,前記前提事実(1)及び(2)のとおり,本件第1 次当初申告,本件第1 次修正申告,本件第2次申告及び本件更正処分によって確定し,原告は,本件第1次相続に係る相続税については1億5718万9300円(甲5),本件第2次相続に係る相続税については1億7164万3600円(甲6)の範囲の中でその責任を負うことになる。 そして,原告が履行した連帯納付義務は,本件第1次相続に係る相続税については1638万7329円(甲18の1),本件第2次相続に係る相続税については1020万8110円(甲18の1)であるから,原告は,本件第1次相続に係る相続税については1億4080万1971円,本件第2次相続に係る相続税については1億6143万5490円の範囲において連帯納付義務を負っている。 他方,本件差押処分は平成1 本件第1次相続に係る相続税については1億4080万1971円,本件第2次相続に係る相続税については1億6143万5490円の範囲において連帯納付義務を負っている。 他方,本件差押処分は平成19年6月29日にされているところ,同日時点において,滞納者に係る相続税の連帯納付義務として,本件第1次相続の相続税の延滞税として771万6580円(本税は納付済み。),本件第2次相続の相続税の延滞税として4426万5866円(本税は納付済み。)がそれぞれ認められ(乙18),これら金額は原告の連帯納付義務の範囲内にとどまる以上,原告は,本件差押処分時点において,上記各金額の連帯納付義務をそれぞれ負担するものと認められる。 - 24 -そして,これら連帯納付義務に基づいて本件差押処分がされたものと認められる。 (3) 原告の主張について以上に対し,原告は,① 原告の連帯納付義務に係る被告の徴収権は時効により消滅している,② 連帯納付義務は,原告においてその税額すら把握できない滞納税の負担を強いるものであって,本件差押処分は租税法律主義の一内容とされる課税手続明確主義に反する,③ 被告は,滞納者の物納申請を10年以上放置した上,不意打ち的に原告から延滞税を徴収しようとするもので,徴収権の濫用がある,④ 超過差押え又は無益差押えに当たるとして,本件差押処分は違法である旨主張するので,以下順次検討する。 ア ①について(ア) 前記(1)アで説示した相続税法34条1項の趣旨及び「連帯納付」という文言に照らせば,同項に規定する相続人等の連帯納付義務は,国税通則法8条にいう「国税に関する法律の規定により国税を連帯して納付する義務」に該当するものと解され,同条により連帯債務に関する民法440条の規定もそのまま準用されるようにも考えられるとこ 務は,国税通則法8条にいう「国税に関する法律の規定により国税を連帯して納付する義務」に該当するものと解され,同条により連帯債務に関する民法440条の規定もそのまま準用されるようにも考えられるところである。しかしながら,国税通則法8条は,国税の連帯納付義務について民法の連帯債務に関する規定が準用されることを通則的に定めたものであるところ,民法上の個別の規定の準用の当否は,当該国税の性質や当該連帯納付義務が課されている理由を考慮して個別に判断すべきである。そして,相続税法34条1項の規定する連帯納付義務は,自らが負担すべき固有の納税義務のほかに負う特別の責任であり,各相続人等に対して当該相続等により受けた利益の価額に相当する金額を限度として連帯納付義務を負担させることによって,事実上,財団としての相続財産を相続税徴収の対象とするのと類似の機能を果たすことを意図している点で,民法上の連帯債務と性質を異にするものというべきであ- 25 -る。そして,本来の納税義務者が負担する納税義務と連帯納付義務の関係は,民法上の主たる債務と連帯保証債務の関係に類似することからすれば,相続税の連帯納付義務に係る徴収権がそれによって担保される本来の納税義務者に対する租税債権と別個に時効消滅するということは想定されていないというべきであり,民法上の連帯保証債務と同様に(民法上の連帯保証債務についても,同法440条が準用されているが(同法458条),ここで述べるのと同様に解されている(同法457条1項参照)。),本来的な納税義務者に生じた時効中断の効力は,履行の請求以外の時効中断事由によるものであっても,連帯納付義務者に及ぶものと解するのが相当である(その限度で国税通則法8条は限定解釈される。)。 (イ)a 上記観点から検討するに,国税の徴収権は法定 請求以外の時効中断事由によるものであっても,連帯納付義務者に及ぶものと解するのが相当である(その限度で国税通則法8条は限定解釈される。)。 (イ)a 上記観点から検討するに,国税の徴収権は法定納期限から5年間行使しないことによって時効により消滅するところ(平成14年法律第79号による改正前の国税通則法72条1項),本件第1次相続に係る相続税の法定納期限は平成5年▲月▲日であり,本件第2次相続に係る相続税の法定納期限は平成6年▲月▲日である(甲5,6,乙14の1及び2)から,原告に対する徴税権が時効により消滅しているか否かは,被告主張の時効中断が認められるか否かによることとなる。 b しかるに,本件第1次相続に係る相続税については,前記前提事実によれば,上記法定納期限(平成5年▲月▲日)を経過した後,豊島税務署長が,平成5年7月20日,平成18年法律第10号による改正前の相続税法42条5項において準用する同法40条1項に基づく徴収の猶予をしたことにより,その猶予期間内は時効が進行しないこととなり(国税通則法73条4項),その徴収の猶予は,本件第1次物納申請が却下された平成17年5月30日まで継続している(な- 26 -お,本件相続税の徴収権は,平成14年5月17日,東京地方裁判所平成○年(フ)第○号破産事件において,豊島税務署長が国税徴収法82条に基づく交付要求を行ったことによってもその時効が中断する(国税通則法73条1項5号)。)。さらに,本件相続税の徴収権は,平成17年8月26日付け本件参加差押処分に係る参加差押登記が経由された同月31日,その消滅時効が中断し,同処分は,平成18年8月1日付けで差押えに移行し,平成19年2月13日又は同年5月15日公売を原因として同年2月27日付け又は同年6月4日付けで参加差押登記が た同月31日,その消滅時効が中断し,同処分は,平成18年8月1日付けで差押えに移行し,平成19年2月13日又は同年5月15日公売を原因として同年2月27日付け又は同年6月4日付けで参加差押登記が抹消されているから,同年6月4日を経過した時からその消滅時効が再度進行する(国税通則法72条3項,73条1項5号,民法147条2項,157条1項)。 また,本件第2次相続に係る相続税については,前記前提事実によれば,上記法定納期限(平成6年▲月▲日)を経過した後,滞納者は,平成11年10月19日,豊島税務署長に対し,本件第2次物納申請物件について変更する旨を記載した「物納申請財産取下兼変更財産申請書」を提出したことにより(乙9),本件第2次相続に係る相続税の租税債務を承認しており,本件第2次相続に係る相続税の徴収権の消滅時効が中断している(国税通則法72条3項,民法147条3項)。そして,上記のとおり,本件相続税の徴収権は,平成14年5月17日,東京地方裁判所平成○年(フ)第○号破産事件について,豊島税務署長が国税徴収法82条に基づく交付要求を行ったことによりその消滅時効が中断し,さらに,平成17年8月26日付け本件参加差押処分に係る参加差押登記が経由された同月31日において,その消滅時効が中断したが,上記の経過により本件参加差押処分の移行後における差押えが消滅した平成19年6月4日を経過した時からその消滅時効が再度進行する(国税通則法72条3項,73条1項- 27 -5号,民法147条2項,157条1項)。 c 以上の経緯から,本件相続税の徴収権の消滅時効は,その時効中断を繰り返した結果,平成19年6月29日付けの本件差押処分の時点において,完成しておらず,これらの時効中断の効力は,民法457条1項により連帯納付義務者である原 税の徴収権の消滅時効は,その時効中断を繰り返した結果,平成19年6月29日付けの本件差押処分の時点において,完成しておらず,これらの時効中断の効力は,民法457条1項により連帯納付義務者である原告にも及ぶため,原告の連帯納付義務に係る徴収権もまた時効消滅していない(そして,本件差押処分により再度中断している。)と認められる。 したがって,原告の上記主張には理由がない。 イ ②について原告主張の経緯により連帯納付義務に係る徴収権が行使されたことが租税法律主義(憲法84条)に反しないことは,前記(1)エのとおりである。また,国税通則法37条1 項が定める督促は,国税の納付義務を具体化し,その納付すべき税額を確定することを目的とする課税処分と異なり,既に具体化し確定した納税義務の履行を促すことを目的としてされる徴収手続の一環であるから,上記督促状に記載すべき内容としては,既に具体化し,確定した納税義務の存在及び内容を認識できる程度の記載があれば足り,当該納税義務の具体的な計算過程や,課税時期から督促時期までの間に税額の変動があった場合にその内訳等を記載することは,同項の要求するところではないと解されるところ,本件においても,証拠(甲5,6)によれば,本件各督促状には,① 相続税法34条1 項(連帯納付の義務)に係る国税が滞納になっている旨,② 当該国税の税目,納期等の区分,法定納期限,納期限及び本税額,③ 「本税には,法定納期限(延納期限)の翌日から完納の日までの期間について延滞税が加算される」旨及びその計算方法が記載されていたから,原告の連帯納付義務の存在及び内容を認識できる程度の記載があるといえ,原告が連帯納付義務に係る延滞税の額を認識することができなかったとは認められない(なお,原告が- 28 -主張するとおり,本件 原告の連帯納付義務の存在及び内容を認識できる程度の記載があるといえ,原告が連帯納付義務に係る延滞税の額を認識することができなかったとは認められない(なお,原告が- 28 -主張するとおり,本件各督促状においては,延滞税欄は「-」と記載されるにとどまっており,具体的金額の記載はないが,これは,本件各督促状が作成された時点(平成18年5月24日)においては,本件相続税(第1次相続及び本件第2次相続の各相続税)について,本税の未納付部分が存在し,これが完納されるまで日々延滞税が発生する状況にあったことに由来するものであって,本件各督促状の作成時点から原告に送達されるまでの時間差を考慮すると延滞税額の合計額として具体的な金額を記載することに必ずしも十分な意義があるとはいい難い状況であったというべきである(一定の時点を特定した上で延滞税額を算出することも不可能ではないものの,以後の税額の増減の可能性を考慮すると,具体的な金額の記載をすることが必ずしも相当とは解されない。))。そして,その後にされた本件差押処分に係る差押書においては,本税のすべてが納付されていたこともあって,延滞税の額が具体的に記載されている(本件第1次相続につき1782万1661円,本件第2次相続につき4792万7100円(甲7の2))ことからすると,本件各督促処分において延滞税額欄に具体的な金額の記載がないとしても,これをもって手続に違法があるということはできない。なお,本件差押処分における平成19年6月29日付け差押書(甲7の2)に記載された本件第1次相続に係る1782万1661円は,原告が同月22日に納付した1010万5681円を反映していないものであるが,差押書の記載で税額が確定されるものでもないから,税額の記載に誤記があったとしても,本件差押処分が違法になるも 661円は,原告が同月22日に納付した1010万5681円を反映していないものであるが,差押書の記載で税額が確定されるものでもないから,税額の記載に誤記があったとしても,本件差押処分が違法になるものではない。 したがって,原告の上記主張には理由がない。 ウ ③について(ア) 前記(1)のような相続税法34条1項の連帯納付義務の性質等に照らせば,徴税に当たる税務署長及び国税局長において本来の納税義務者及- 29 -び連帯納付義務者のうち誰からどの程度の徴収を行うかについては,その合理的な裁量に委ねられるべきものであり,徴税に当たる税務署長等の徴収権の行使としての処分が,事実の基礎を欠くか又は社会観念上著しく妥当を欠き,裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り,違法であると判断すべきものである。 (イ)a そこで,上記観点から以下検討するに,前記前提事実,証拠(乙17の2ないし5,22,23,37)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 (a) 滞納者は,本件第1次相続の相続税につき平成5年5月11日付け本件第1次物納申請(別紙2財産目録1記載の各不動産)をし,本件第2次相続の相続税につき平成6年11月22日付け本件第2次物納申請(別紙2財産目録2記載1及び2の各不動産。なお,平成11年10月19日付けで第2次物納申請に係る財産について変更する申請(別紙2財産目録2記載1の不動産を取り下げ,同目録記載3ないし6の各不動産に変更するもの。)をしたもの。)をした。 (b) 滞納者は,豊島税務署長らの指示を受け,平成5年11月24日以降,滞納者の代理人である税理士及び滞納者代理人弁護士を通じるなどして,本件第1次物納申請に係る不動産について,必要な関係書類等を提出し,不動産の測量 税務署長らの指示を受け,平成5年11月24日以降,滞納者の代理人である税理士及び滞納者代理人弁護士を通じるなどして,本件第1次物納申請に係る不動産について,必要な関係書類等を提出し,不動産の測量等をしたが,提出済みの境界確定に係る書類に不備があったことから,平成8年3月15日,豊島税務署の担当者から,訂正及び不足書類の提出の指示を受けた。 また,滞納者(又は滞納者代理人弁護士)は,平成9年4月11日,本件第1次物納申請に係る不動産の現地確認調査の結果,道路の境界査定図及び隣接地の共有者全員の境界確認書の提出が必要であることが判明したため,これらの書類を提出するよう指示を受- 30 -け,さらに,平成11年7月15日,調査中としていた隣接地との境界について,境界確認書や実測図において,隣接地の所有関係の登記未了や現況との相違が存在したことから,実測図の提出等の対応を指示され,同年11月4日,本件第1次物納申請に係る不動産(本件第1次物納申請に係る不動産のうち,別紙2財産目録1記載2の不動産については,平成9年7月7日に物納許可がされている(乙36)ため,同記載1の不動産。)の調査の結果,道路位置指定関係書類の提出,隣接地との境界確認書の訂正及び隣接地の所有権者の確認が必要であることが判明し,その旨の指摘を受けるなどした。 滞納者(又は滞納者代理人弁護士)は,道路位置指定関係書類のうち,土地の無償使用に関する承諾書の提出をしないまま,その後も,平成12年9月11日,同年9月28日,同年10月18日,平成13年1月11日,同年3月8日,同年11月16日,平成14年1月8日,それぞれ豊島税務署においてその担当者と面接を重ねたが,結局,物納申請に必要な書類を提出しなかった。 (c) 本件各物納申請に係る不動産のうち別紙2財 月8日,同年11月16日,平成14年1月8日,それぞれ豊島税務署においてその担当者と面接を重ねたが,結局,物納申請に必要な書類を提出しなかった。 (c) 本件各物納申請に係る不動産のうち別紙2財産目録1記載2及び別紙2財産目録2記載4ないし6の各不動産については,平成12年9月27日,J株式会社が根抵当権を設定し,平成13年11月29日付けで,その旨の登記がされた。 (d) そして,平成13年11月29日付けで上記(c)の各不動産に根抵当権が設定された後においても,滞納者代理人弁護士は必要書類を提出しなかったところ,その後滞納者が平成14年1月23日破産宣告(東京地方裁判所平成○年(フ)第○号)を受けた。 これを受けて,同年6月5日,豊島税務署所部係官が滞納者代理人弁護士に物納申請を継続するか否か破産管財人等に確認するよ- 31 -う求めた。その後,平成16年3月3日付けで各物納申請の担当が豊島税務署から東京国税局の担当者に変更されていたところ,東京国税局の担当者は,同年4月1日,滞納者代理人弁護士を通じて滞納者から物納申請を維持し抵当権等を抹消するとの申出を受けた。 そして,その後も,東京国税局の担当者は,滞納者代理人弁護士を通じて又は滞納者自身から,再三にわたって,抵当権等を抹消しその他必要な補完をする旨の申出を受けた。 (e) その後も何ら進展する様子が見られなかったことから,処分行政庁は,平成16年12月22日「物納申請不動産に関する書類の補完等の催告書」を送付し,平成17年1月27日には「物納申請却下予告書」を滞納者に送付した後,同年5月30日,本件第1次物納申請及び本件第2次物納申請を却下した。 (f) 処分行政庁は,平成18年5月24日,原告に対し,本件各督促処分をした。 (g) 平成19年2月13日, 送付した後,同年5月30日,本件第1次物納申請及び本件第2次物納申請を却下した。 (f) 処分行政庁は,平成18年5月24日,原告に対し,本件各督促処分をした。 (g) 平成19年2月13日,滞納者の財産の公売によって第1次相続及び第2次相続の各本税部分の全額が納付された。なお,同年6月22日,原告は,滞納者に係る延滞税の一部(1010万5081円)を納付した。 (h) 処分行政庁は,平成19年6月29日,本件差押処分をした。 b 上記の事実経過によれば,滞納者が平成5年5月11日付け本件第1次物納申請及び平成6年11月22日付け本件第2次物納申請(平成11年10月19日付けで第2次物納申請に係る財産について変更する申請をしたもの。)をしてからこれら物納申請が却下されるまで10年以上の期間が経過しているものの,そのように長期間を要したのは,滞納者において,必要な書面をあらかじめ用意しないままに物納申請に及び,また,これら土地の隣接地との境界が複雑であった- 32 -こと等の事情と相まって,五月雨式に書面の手配を進める一方で,物納申請の対象としている不動産に根抵当権を設定するだけでなく,その後当該根抵当権を外すとして物納申請を維持するよう豊島税務署及び東京国税局における各担当者に申し入れて面談を重ねていたことによるものであって,上記担当者らにおいては,本来の納税義務者からの納税の意向を踏まえ,同人からの国税の徴収に向けた対応していたにすぎない以上(物納申請がされている最中に連帯納付義務者から徴収しなければならない理由もない。),これらの推移を踏まえた上で物納申請についての許否を決することに格別不合理な点があるとはうかがわれない。もとより,相続税の(当初の)法定納期限から相当長期間を経過した後に滞納者に係る未納相続税の納付を らの推移を踏まえた上で物納申請についての許否を決することに格別不合理な点があるとはうかがわれない。もとより,相続税の(当初の)法定納期限から相当長期間を経過した後に滞納者に係る未納相続税の納付を求められる連帯納付義務者からすると,突然に納付を求められる感が否めないところではある(本件においてもこのような事案ということができる。)が,前記(1)イのとおり,このような事態は制度として予定されているということができ,連帯納付義務者にとって酷とまでは断定できない(もっとも,このような事態を生じさせないか,それによる弊害を少なくするための工夫は可能であり,立法論としては検討の余地はあるものと思料される。)。 以上の事情に照らせば,処分行政庁において,滞納者による物納申請の許否の判断を留保し,10年以上が経過した後に当該物納申請を却下し,その後,連帯納付義務者である原告から徴収をする目的で本件各督促処分及び本件差押処分を順次行ったとしても,本件各督促処分及び本件差押処分がその事実の基礎を欠き,又は原告に本件各督促処分及び本件差押処分をすることが正義公平に反し,社会通念上著しく妥当性を欠くといった事情まではうかがわれないから,処分行政庁による(本件各督促処分及び)本件差押処分が国税徴収権の濫用と評- 33 -価することはできない。 (ウ) したがって,原告の上記主張には理由がない。 エ ④について滞納者の財産を差し押さえる場合,どの財産をどの範囲で差し押さえるかは,差押処分時において権利関係を把握した上でその財産評価をすることがそもそも困難である上,国税の徴収が公売等による換価を待って初めて実現するものであるところ,差押処分時に換価額を正確に予測することが困難であること等に照らし,徴収職員の合理的な裁量にゆだねられていると解 も困難である上,国税の徴収が公売等による換価を待って初めて実現するものであるところ,差押処分時に換価額を正確に予測することが困難であること等に照らし,徴収職員の合理的な裁量にゆだねられていると解される。したがって,被差押財産の価額が滞納国税の額を超過した場合においても,直ちにその差押えが超過差押え(国税徴収法48条1項)として違法となるのではなく,滞納国税に比較して被差押財産の価額が合理的な裁量の範囲を超え著しく高額であると認められる特段の事情がある場合に初めて違法となると解するのが相当である。 しかるに,前記(2)のとおり,原告は,本件第1 次相続に係る滞納者の相続税の連帯納付義務については1億5718万9300円(甲5),本件第2次相続に係る滞納者の相続税の連帯納付義務についてのは1億7164万3600円(甲6)の範囲の中でその責任を負い,その額から既に原告が履行した連帯納付義務(本件第1 次相続に係る相続税は1638万7329円(甲18の1),本件第2次相続に係る相続税は1020万8110円(甲18の1))を控除すると,原告は,本件第1次相続税については1億4080万1971円,本件第2次相続に係る相続税については1億6143万5490円の範囲において連帯納付義務を負っている。 そして,本件差押処分がされた時点(平成19年6月29日)における本件第1次相続に係る滞納者の滞納相続税(延滞税)は771万6580円(甲18の1),本件第2次相続に係る滞納者の滞納相続税(延滞税)- 34 -は4426万5866円(甲18の1))であることが認められる。 他方,本件各不動産の固定資産評価額は,平成19年度土地・家屋名寄帳によれば,本件各不動産の別紙2物件目録における記載順に非課税(平成17基準年度の固定資産税の路線価は24 ることが認められる。 他方,本件各不動産の固定資産評価額は,平成19年度土地・家屋名寄帳によれば,本件各不動産の別紙2物件目録における記載順に非課税(平成17基準年度の固定資産税の路線価は24万8000円(1㎡当たり),平成19年度の時点修正率は1.0),1825万2150円,2530万6540円,1859万0470円及び非課税(平成17基準年度の固定資産税の路線価は別紙2物件目録記載1側が24万8000円(1㎡当たり),別紙2物件目録記載2側が21万7000円(1㎡当たり),平成19年度の時点修正率は1.0)であるとした上で,別紙6(本件各不動産の処分予定表)のとおり本件各不動産の公売による処分予定価格の合計を3326万4000円と算出されることが認められる。(甲18の1)以上を前提として,本件差押処分に係る本件各不動産の価額を本件各不動産の処分予定価格とすれば,滞納国税合計5198万2446円に比較して本件各不動産の価額(合計3326万4000円)を超過しているとは認められないところ,もとより,公売による処分予定価格と実際の公売における処分価格とは異なるものの,かといって固定資産評価額又は路線価が実際の処分価格に近似するとも限らないことをも併せすれば,少なくとも,処分行政庁において,本件各不動産を差し押さえたこと(本件差押処分)をもって,被差押財産の価額が滞納国税の額を超過し,その程度も合理的な範囲を超えるほどに高額であるとうかがわれる事情は認められないというべきである。 したがって,本件差押処分が超過差押え又は無益差押えであって違法であるとする原告の主張には理由がない。 (4) 小括以上によれば,本件差押処分(本件各督促処分も含む。)は,原告主張- 35 -の憲法条項に違反するものではなく,これを違法と であって違法であるとする原告の主張には理由がない。 (4) 小括以上によれば,本件差押処分(本件各督促処分も含む。)は,原告主張- 35 -の憲法条項に違反するものではなく,これを違法とすべき事情もないから,適法である。 3 結論よって,本件訴えのうち,本件各督促処分の一部取消しの訴えをいずれも却下し,原告のその余の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神 裕 裁判官林 史高 裁判官新宮智之 - 36 -(別紙1)処分部分目録処分行政庁が原告に対し平成18年5月24日付けでした,納税者A(本文を含め,以下「滞納者」という。)の平成4年▲月▲日相続分の相続税の滞納に係る延滞税の督促処分(平成18年5月24日第○号の督促状に係るもの。)のうち,1011万0081円を超える部分及び滞納者(納税者A)の平成6年▲月▲日相続分の相続税の滞納に係る延滞税の督促処分(平成18年5月24日第○号の督促状に係るもの。本文を含め,以下,上記督促処分と併せて「本件各督促処分」という。)のうち1366万1234円を超える部分

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