主文 一原告の請求を棄却する。 二訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第一請求 被告らは原告に対し,連帯して金1000万円及びこれに対する被告医療法人社団良友会については平成13年4月13日から,被告Aについては同月14日からそれぞれ支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告らの負担とする。 仮執行宣言第二事案の概要本件は,被告医療法人社団良友会(以下「被告法人」という)が経営する。 山陽病院において,被告法人の代表者で医師である被告Aが,強制的に原告を25日間入院をさせたことで精神的苦痛を受け原告に対する不法行為を構成するとして,被告らに対して民法719条1項,被告法人に対して民法44条1項,715条により,被告Aに対して民法709条により慰謝料の損害賠償を請求した事案である。 一争いのない事実等 被告Aは,精神科の医師で被告法人の理事長であり,被告法人は,山陽病院及び中島神経内科医院を開設していて,中島神経内科医院には山陽病院の医師5人が日替わりで勤務している。訴外Bは,原告が入院した当時,精神科医として被告法人に勤務し山陽病院の副院長を務めており,原告を中島神経内科医院で診察し,原告の山陽病院入院時の主治医である(乙12,被。 告本人兼被告代表者),,, 原告は平成11年4月16日母及び兄に連れられて山陽病院を受診し被告Aが診察して入院治療が必要であると判断し,原告に麻酔作用のある精神安定剤を注射して眠らせ保護室に入院させた。原告は,山陽病院を同年5月11日に退院するまで合計26日間にわたり入院(以下「本件入院」という)していた(被告本人兼被告代表者)。 。 二 争点 原告の本件入院手続は適法か,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「 日に退院するまで合計26日間にわたり入院(以下「本件入院」という)していた(被告本人兼被告代表者)。 。 二 争点 原告の本件入院手続は適法か,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「法」という)33条2項に定める医療保護入院の要件を充たして。 いるか。 (原告の主張)本件入院は,原告の承諾なくなされた強制入院であり違法である。法33条1項1号は医療保護入院の要件として(一)指定医による診察(二),,,精神障害者,(三)医療及び保護のため入院の必要がある,(四)任意入院が行われる状態にない,(五)保護者の同意の5要件を挙げるが,本件入院はそのいずれの要件も充たしていない。 (一)被告Aは,本件入院当日わずか10~15分間程度原告を診察しただけで原告から話を聞き出す努力をせずに入院を決定しており,入院前に通院した際の診察の内容も,原告の気分や行動の大まかな聴取にとどまり具体的事実,回数,また行動や気分の背後にある患者の行動の動機や原因について聴取しておらず,ほとんど実質的な診察をせずに入院を決定したに等しく,医療保護入院の要否を判断するに足りる診察行為があったとはいえない。 (二)原告には,思考伝播,妄想知覚,関係妄想といった精神分裂病の症状は存在せず,そのような症状と指摘されたことについては,一応の合理性があり強迫観念といった程度のもので妄想のレベルには達していない。 原告の思考伝播(原告の母(以下「母親」という)の素行調査を興。 信所に依頼したことが母親に知れたこと)については,了解可能な内容であり,妄想といえる程度まで達しておらず強迫観念に過ぎない。 原告の妄想知覚(母親が税務署員と男女関係にあると疑うこと)につ,。 いては原告がそのような疑いをもつことは理由のないことではない(,,)原告の関係妄 まで達しておらず強迫観念に過ぎない。 原告の妄想知覚(母親が税務署員と男女関係にあると疑うこと)につ,。 いては原告がそのような疑いをもつことは理由のないことではない(,,)原告の関係妄想職場で噂される尾行される近所の目が気になるについては,通常人でも不安な心理状態に陥っているときはあり得ることで,原告の兄も近所を気にしており妄想とはいえない。 原告は,入院当日の出来事を詳細に記憶しており,興奮状態になった時の記憶が残っていない分裂病の患者とは異なる。被告Aが原告を精神障害者と判定したことは,誤診であり,誤診したことについて合理的理由もない。 (三)原告は,精神分裂病ではないから医療のため入院の必要がないことは明らかである。 また,原告が入院の数日前に起こした交通事故は,原告が右折のため車線変更したところ追突されたもので,責任は脇見運転をしていた追突車の運転者にある。原告の家出や母親に対する暴力は,いわゆる親子げんかの範疇に属する出来事や母親が原告を無理矢理病院に連れて行ったことに対する反抗であり,原告は,入院前後を通じて無関係の第三者に対して暴力をふるったりトラブルを起こしたことはなく,かかる事由をもって自己または他人を保護する理由とはなり得ない。 (四)被告らは原告の病識の欠如を指摘するが,被告Aは,原告に対し,2度にわたる診察時に問診も病状の説明もしていないから原告が病識をもっていないのは当然のことであり,病識を与えようとせずに欠如を指摘するのは著しく信義に反する。 原告が強引に病院に連れてこようとした母親に抵抗するのは自然なことであり,入院時の診察の際に原告が興奮していたのは,病気に由来するものではなく無理矢理連れてこられたことに対する憤りであって鎮静させることは可能であり,原告の同意に基づく入院が不可能で は自然なことであり,入院時の診察の際に原告が興奮していたのは,病気に由来するものではなく無理矢理連れてこられたことに対する憤りであって鎮静させることは可能であり,原告の同意に基づく入院が不可能であるとはいえない。 (五)保護者の同意は,医師から病状,治療方法,予後等について十分説明を受けたうえでの真摯なものでなければならず,入院に先立つ事前の同意でなければならない。 被告Aは,母親に対して,病名,予後,治療方法等について説明しておらず,母親は,原告の行方不明の問題に気をとられ入院について気が回らない状態であったから,同意の前提となる病気,入院について説明が十分であったとはいえない。 原告の入院は,遅くとも原告に鎮静剤を注射し原告の意識を喪失させた時点と考えられるから,その後被告Aが母親に説明し文書による同意がなされたとしても,入院後の同意であり法の定めた保護者の同意という要件を充たさない。 (被告らの主張)本件入院時には,原告に保護者は選任されていなかったから,本件入院が医療保護入院として適法であったか否かは,法33条2項の要件を充た,。 すかどうかによって決まるものであり法33条1項1号の問題ではない(一)Bは,平成11年2月23日,原告の精神状態のことを相談するために中島神経内科医院へ来院した母親を問診した。 被告Aは,翌24日,中島神経内科医院に兄と来院した原告を問診,視診し,原告の兄も問診した。被告Aは,同年4月14日,中島神経内科医院を訪れた母親を問診し,同年2月と同じ症状が継続していることを知った後,翌々日の同月16日,山陽病院を訪れた母親に対する問診を行ったうえで原告に対する診察を行い,これまでの一連の診察の結果を総合したうえで原告を入院させた。被告Aが本件入院当日に原告を診察した時間が約15分間と短いのは, 山陽病院を訪れた母親に対する問診を行ったうえで原告に対する診察を行い,これまでの一連の診察の結果を総合したうえで原告を入院させた。被告Aが本件入院当日に原告を診察した時間が約15分間と短いのは,原告から話を聞くべく椅子に座るよう説得したが,原告が終始多動興奮焦燥状態で問診を受け付けない拒絶的態度を示していたため長時間の診察をする必要がなかったためである。 原告のカルテには,原告の行動の理由に関する質問が記載されていないが,カルテに全ての診察内容を記載するわけではないし,仮に理由を質問していなかったとしても,被告AやBの原告の家族や原告に対するこれまでの診察を総合的に判断すれば,原告が精神分裂病であることが容易に確認できたので理由を質問する必要性がなかった。 (二)原告は,盗聴されているなどと言って,電気器具のコンセントや電話線を抜いたり,電気のブレーカーを切ったり,兄の車のキーレスエントリーの鍵を紅茶の缶の中に入れたりする等の行動をとっていたが,このような原告の言動は,自己の考えが外部に漏れているという自我漏洩症状(思考伝播)であり,非常に極端で,一般人には理解不能な,精神分裂病に特徴的な症状である。原告は,自身で母親の異性関係について興信所に調査を依頼しながら,主体と客体が逆転し自分自身が調査され盗聴されていると考えるに至っており,自他の区別が判然としなくなるという自我の障害といえる。 原告は,悪口を言われたり,人に尾行されていると訴えており,また近所の目が気になるなどと述べていたが,これらの言動は,他人の行動を自分のことと関係づける関係妄想であって妄想型分裂病の最も重要な症状である。 原告は,母親が税務調査官と2人でいるところを目撃して,母親を足蹴りにしさらに母親の素行調査までしており,母親の経営するエステティックサロンで 関係妄想であって妄想型分裂病の最も重要な症状である。 原告は,母親が税務調査官と2人でいるところを目撃して,母親を足蹴りにしさらに母親の素行調査までしており,母親の経営するエステティックサロンで,母親とその税務署員が一緒にいるところを見てその現場を証拠に残そうとしてカメラを買いに行っている。これは,母親と税務調査官との関係が怪しいという自分の直感を即座に真実と思考してしまう妄想知覚の症状であり,さらに素行調査までし,自らも,,カメラを買いに行くというのは通常人には理解しがたい行動であり自分の妄想を正当化するための,精神病患者の特有の行為である。 原告は,平成11年3月末から4月初めにかけて,目的もなく夜間に,,外出し外泊するという社会的逸脱行動があり入院時の診察では多動興奮状態であった。原告は,家族が原告を精神的な病気と考えているにもかかわらず精神科の受診を拒否し家族が無理矢理連れてくる状況であり,入院後もきちんと薬を飲まず,徒に退院を要求しているが,かかる原告の言動は,自分が病気であるとの認識すなわち病識を欠いていることを示している。 原告は,入院後,医師が処方した向精神薬を一部は服用しているが,退院が近づくに連れて原告の精神症状は軽くなっている。また,外部の医師も,原告に対し,分裂病と思われても仕方がないと話したり,思考伝播等の精神症状があると判断している。 かかる事実を総合すれば,原告が入院時に精神障害者と判断できる状況であったことが推認される。 (三)前記(二)で主張しているように,原告は精神分裂病と診断され,かつ病識がなかったから,自ら通院治療を受けることは期待できず,原告には医療のための入院の必要性があった。 また,原告の精神病に起因する暴言,暴力,傷害などの社会的逸脱行動から原告及び関係者を保護するため,原告 かったから,自ら通院治療を受けることは期待できず,原告には医療のための入院の必要性があった。 また,原告の精神病に起因する暴言,暴力,傷害などの社会的逸脱行動から原告及び関係者を保護するため,原告の入院の必要があった。 ,,,特に原告には妄想等の精神症状があったため注意力が低下しまた焦燥感のためイライラしている状態であったので,自動車を運転すれば交通事故による自傷他害のおそれがあった。原告が主張する入院数日前の交通事故の態様は,原告が当時精神分裂病であったことを考慮すると信用できない。母親に対する暴力は,原告の精神症状に起因するものであり,単なる親子げんかの範疇に属するとして片づけることはできない。したがって,原告には保護のための入院の必要性があった。 (四)原告は,山陽病院に連れて来られる際,母親に暴力を振るうなど来院を全く拒否しており,病識が全くないことを考慮すると自分の意志で入院加療を受けることを期待することはできない状態であった。また,入院当日の診察でも,原告はイライラして立ったり座ったりして会話するような状態であったので,入院について原告本人の同意を得ることは不可能に近い状態であった。精神病患者の病識は,一度や二度の医師の説明で生じるものではなく,治療の過程で徐々に自己の状態を認識できるように指導するものである。 被告Aは,精神科医として一般に必要と考えられるだけの時間をかけた問診と説得をした。原告のように病識がなく興奮状態にある精神病患者については,被告Aがなした程度の問診と説得をしても興奮状態がおさまらない場合には,それ以上の問診や説得をしても任意入院が可能な状態には容易にならないことは,精神科医としての経験上明らかである。したがって,入院について原告本人の同意を得ることはできない状態にあったとの被告Aの判断 れ以上の問診や説得をしても任意入院が可能な状態には容易にならないことは,精神科医としての経験上明らかである。したがって,入院について原告本人の同意を得ることはできない状態にあったとの被告Aの判断は妥当である。 (五)母親は,平成11年2月23日および同年4月14日,自ら原告のことで中島神経内科医院に来院しており,同4月14日には,被告Aから入院しか方法がない旨の指示を受けて,その旨を十分認識しながら,2日後の同年4月16日,行方不明だった原告が帰ってきたところを原告を連れて山陽病院に来院し,さらに被告Aから入院治療の必要性につき十分な説明を受け,状況を十分に承知した上で,原告の入院について扶養義務者として同意した。 その後,母親は,自ら家庭裁判所に保護者選任の申立てをし,保護者に選任された同年5月6日,保護者としても原告の入院に同意した。 なお,法33条2項は「扶養者の同意」と規定するだけで事前の同,意までは要件としていない。仮に事前の同意が必要としても,原告の入院前に,被告Aは,母親から口頭による同意を得ており,母親は,入院後同意書に署名・押印している。被告Aは,母親に対し,同意の強要などしていない。 第三当裁判所の判断一甲第1号証,第2号証,乙第1ないし第12号証(枝番も含む,原告本人)尋問及び被告代表者兼被告本人尋問の各結果,弁論の全趣旨によれば次の事実を認めることができる。 原告は,昭和47年生まれの女性で,平成7年3月に大学を卒業し,市役所等の臨時職員として勤めた後,平成10年頃から母親が経営している化粧品販売会社に役員として入社し,事務をしている。 2(一)母親は,平成11年4月16日本件入院当日に,原告を法33条2項に基づき山陽病院に医療保護入院させることの同意書に署名押印した。 (二)母親は,岡山家庭 役員として入社し,事務をしている。 2(一)母親は,平成11年4月16日本件入院当日に,原告を法33条2項に基づき山陽病院に医療保護入院させることの同意書に署名押印した。 (二)母親は,岡山家庭裁判所に対し,自らが申立人となって保護者選任の申立をし,岡山家庭裁判所は,同年5月6日,母親を原告の保護者に選任する審判をした。 (三)母親は,原告の保護者に選任されたので,同日付けで再度原告を法33条1項に基づき山陽病院に医療保護入院させることの同意書に署名押印した。 (四)被告Aは,同年5月10日,岡山県知事に対し,原告を法33条1項に基づき医療保護入院させる措置をとったことの届出(医療保護入院者の入院届)をした。 同届には,保護義務者の同意により入院した年月日として平成11年4月16日を書き換えて5月6日と記載し,今回の入院年月日として同年4月16日と記載され,病名として精神分裂病,現病歴として平成11年2月20日頃より,近所の人が盗聴するとの妄想があり,家中のコンセントを抜く,電話を抜くなどの異常行動あり,家族に攻撃的となっていた,4月11日朝から家出して16日に帰宅したが,交通事故をしたり,多弁,攻撃的で言動まとまらず,平成11年4月16日当院受診すると記載されている。現在の病状としては,躁状態として多弁・多動,行為心迫,幻覚妄想状態として妄想,奇異な行為の欄に丸がされ「盗,聴器がある」と言い電気のブレーカーを切ったり,家中のコンセントをぬいてまわる等の異常行動があり,家族に攻撃する,外来受診時は,興奮激しく,診療拒否するが,家出して交通事故を起こすなど危険が高いと判断し,医療保護入院としたと記載され,診断した精神保健指定医欄にBの署名押印がある。 3(一)母親は,平成11年2月23日,原告のことを相談するために中島神経 て交通事故を起こすなど危険が高いと判断し,医療保護入院としたと記載され,診断した精神保健指定医欄にBの署名押印がある。 3(一)母親は,平成11年2月23日,原告のことを相談するために中島神経内科医院へ来院し,Bが診察したところ,原告が,2ヶ月ほど前に母親が税務調査官と2人でいるところを目撃して母親を足蹴りし,さらに興信所に依頼して母親の素行調査までしたので家族みんなで原告を攻撃したことがあり,3日前から他人がすごく気になって家中のコンセントを抜く,近所の人が盗聴すると言い,電話線も抜いて,妄想的な訴えをあまりにもしつこく言う旨述べた。 Bは,妄想の可能性が高く,大変な病気かも知れないので受診させるよう指示したところ,母親は,同日午後原告を連れて中島神経内科医院の駐車場まで来たが,原告が神経内科の表示を見て自分は頭はおかしくな,。 ,いと言ってどうしても受診せず明日は兄が連れてくると言ったBはまずは説得して連れてくるよう試みて,無理ならまた相談することとした。 (二)原告は、翌24日、兄とともに中島神経内科医院を受診し、被告Aが原告を診察するとともに兄からも事情を聞いたが、原告は、人に尾行されていると思ったことや悪口を言われることがあり、他人に喋ったらお、。 かしいと思われることも知っていて近所の目も気になることを話した原告の兄は、被告Aに対し、原告についての人間関係や飲み会は夜遅くまで帰ってこないことなどを話した。被告Aは、原告に関係妄想があるが病識がないので投薬しても飲まないであろうと判断し,原告に対し、週1回カウンセリングに来るよう指示したが,原告は同年4月14日まで来院しなかった。被告Aは、同年2月24日の診察内容についてはカルテ2ページを全面的に使って記載している。 (三)原告は、それまで無断外泊をしたことが に来るよう指示したが,原告は同年4月14日まで来院しなかった。被告Aは、同年2月24日の診察内容についてはカルテ2ページを全面的に使って記載している。 (三)原告は、それまで無断外泊をしたことがなかったが、同年2月から4月にかけて2,3日間の無断外泊をするようになり、その回数は少なくとも4,5回に及んだ。 (四)母親は、同年4月14日,一人で中島神経内科医院を受診し、被告Aに対し、原告が1日おきに夜出かけ、同月10日滋賀の方で事故をして翌11日帰ってきたが、30分ごとに出たり入ったりしており、再び翌日から行方不明となったこと、スイッチに盗聴器が仕掛けられていると。 、、して家や店のブレーカーを落とすことを訴えた被告Aは母親に対し警察に捜索届を出すこと,病気として考えること及び入院することを勧めた。原告は,同月11日から同月16日まで,車で関西,北陸方面に行っていて,車の中で寝泊まりしていたことが後で判明した。 4(一)原告は、同年4月16日朝帰宅したが,兄のクレジットカードを持ち出しており,シートベルトの検問で警察に捕まり,自宅の駐車場で自己の車を駐車する際に妹の新車にぶつけたと言った。母親は,被告Aに電話しその指示で原告を連れて山陽病院を受診することに決めたが、その時点で原告はすでに母親の車の鍵とマンションの鍵を持って自宅を出ており、母親が岡山市a町所在の会社の本店に行くと原告がいて、警察署と病院に行くことを告げたが,原告は警察署には行くが病院に行くこと。 、、、は拒否した母親は原告の兄にも一緒に行くよう依頼したが原告は自分の車を運転して逃げ出そうとしたので母親が車の鍵を取り上げたところ、今度は兄の車を運転して逃げ出そうとしたので、兄が怒り原告の手を引っ張り叩いた。原告は,このとき母親をハイヒールで蹴飛ばした は自分の車を運転して逃げ出そうとしたので母親が車の鍵を取り上げたところ、今度は兄の車を運転して逃げ出そうとしたので、兄が怒り原告の手を引っ張り叩いた。原告は,このとき母親をハイヒールで蹴飛ばしたりしており,母親は、原告とつかみ合いになりながら押さえつけるように自分の車に乗車させて、兄とともに山陽病院に到着したが,原告が逃げ出そうとしたので山陽病院内に引っ張って入った。原告は,山陽病院を受診するまでのもみ合いで自己の右上腕と下肢にあざができた。 (二)原告は,山陽病院の待合室で診察の順番が来るのを待ちきれず早くするよう求め立ったり座ったりしていた。被告Aは,先に母親だけを診察室に入れて上記4(一)の内容の話を聞き,その後原告と兄を診察室に入れて診察したが,原告は,被告Aの診察を受けている際もイライラしていて立ったり座ったりして一方的に話し続けており,診察室から飛び出そうとしたりした。 なお原告自身は,必ずしも入院当日や入院初期のことを明確に記憶しているわけではない。 (三)被告Aは,これまでの中島神経内科医院外来での診察結果や入院当日の原告の診察結果を総合して,原告の近所の人が盗聴すると言って家中のコンセントを抜くと言った行動は自分の考えを話していないのに外部に漏れるという思考伝播であり,母親と税務署員が一緒にいることから両者の関係を怪しいと直感し素行調査までして確信しているのは妄想知覚であり,尾行されたり悪口を言われたりすると訴えていることについては他人の言動を自己と関係があると考える関係妄想であると判断し,同年2月の原告の状態が同年4月も続いていて,4月10日頃以降の原告の状態は非常な焦燥状態であり,受診に強い抵抗があり病識が全くなく,入院当日は精神運動興奮状態にあると判断した。 そこで,被告Aは,原告には精神症状があり社会 4月も続いていて,4月10日頃以降の原告の状態は非常な焦燥状態であり,受診に強い抵抗があり病識が全くなく,入院当日は精神運動興奮状態にあると判断した。 そこで,被告Aは,原告には精神症状があり社会的逸脱行動もあるので入院させて治療する必要性があると考え,母親を診察室の衝立の横に呼んで入院させる旨告げ母親が特に異議を唱えなかったので,強制的に原告に精神安定剤の注射をして原告を約30分間ほど眠らせ入院させた。 ,,「」,(四)入院当日に母親から聞いた話だと原告の部屋には盗聴の中の私,,みんなが見ていると書いてあり盗聴されているから家電の電源を切る盗聴器がついているからと言ってブレーカーを落とす,鍵に盗聴器がついているからという理由で兄の車のキーレスエントリーを紅茶の缶に入れていた。 5(一)被告Aは,原告が興奮状態であり拒絶的態度をとっていたため,入院になることを山陽病院の外来では告げておらず,Bが保護室で眠りから目覚めた原告に対し,同年4月16日13時50分に入院になったことを告知した。 (二)原告は「あなた方何を考えているんですか「こんなところに入れ,。」て私の一生はどうなるんですか「あなた方の方がおかしいですね」。」。 ,,と言って入院を拒絶して解放を強く要求し医療スタッフに対し拒否的攻撃的態度を示した。 (三)原告は,翌17日母親及び従兄弟と面会したが,自分を騙して保護室に入れたことを抗議し,自分は病気ではなく母親の方が病気で入院するべきだと繰り返し,激しく興奮して母親に対し往復ビンタを浴びせた。 (四)原告は,山陽病院職員から岡山県知事に対して退院請求できることの説明を受けて知っており,同年4月21日岡山県保険福祉部健康対策課精神保健係に電話して退院請求をした。 (五)原告は,入院期間中,医師 原告は,山陽病院職員から岡山県知事に対して退院請求できることの説明を受けて知っており,同年4月21日岡山県保険福祉部健康対策課精神保健係に電話して退院請求をした。 (五)原告は,入院期間中,医師に処方された投薬を服用していた。 6(一)母親は,入院当日は原告のパジャマや着替え等の入院の支度をしてきていなかったので,翌日原告の着替え等を山陽病院に持参した。 (二)母親は,入院当日同意書を作成した際に,原告の入院は強制入院の手続になるが母親が連れて帰りたいと言えばいつでも退院できるという説明を受けた。 (三)母親は,同年4月19日,混乱して,何の説明も受けず入院させられて自身が納得できず,原告を1週間も入院させておくつもりはなく退院させて普通の病院でカウンセリングを受けさせたいと山陽病院に要望,,し同月22日にも原告がかわいそうだから退院させたいと申し出たがいずれも医師から,入院以外に方法はなかったであろう,今が大切な時で妄想が固定したら治らないから,今ならどちらが正しいか自問自答しているところだと思う,退院したら薬を飲むとは思えない,よく考えて医師を信用するかどうかにかかっている,退院は治療しないのであればいつでも可能と説得され,原告を退院させることを断念した。 7(一)原告は,その後も退院要求が強く,母親も退院させたい意向が強く1ヶ月くらいでは退院させたいと繰り返していた。Bは,同年5月に入り妄想が消えかかってきたこともあり一応の治療関係ができたとして,何度も再発すると病気が次第に悪くなるので医師が止めても良いと言うまで通院,服薬を続けることを原告に納得させたうえで,同年5月11日原告を退院させた。 (二)原告は,山陽病院退院後,同年5月15日と同月29日に山陽病院を受診し投薬を受けていたが,同月29日には山陽病院に入院 を続けることを原告に納得させたうえで,同年5月11日原告を退院させた。 (二)原告は,山陽病院退院後,同年5月15日と同月29日に山陽病院を受診し投薬を受けていたが,同月29日には山陽病院に入院したことが近所の人にバレているようで不安だと訴え,同年6月2日には来院したがしばらくして時間がないと言って診察を受けずに帰宅した。原告は,その後しばらく来院せず,同年12月8日に受診したが,立ちっぱなしで治療を求めているが要領を得ない返答で,盗聴器の話や見張られている話をしていたが自宅の電話番号も思い出せない状況で,母親が引き取りに来て山陽病院に対しては強い不信感を示し,投薬を受けないまま原告を連れ帰った。 原告は,平成12年5月11日山陽病院を訪れて,中野クリニック等に通院していたことを明らかにし,入院したことが自分としては1年たっても納得できないとして抗議し,同月13日にも叔母を同伴して同様の抗議をし,同年8月1日には弁護士とCを同行して入院が納得できないことを伝え,同年11月15日にも入院が納得できないことを抗議したが,Cが分裂病といわれても仕方がないと言ったことは認めた。 原告は,平成12年8月頃,睡眠薬を多量に飲んで自殺を図り救急車で入院したことがある。 ,,上記認定に反する部分の甲第1号証甲第2号証及び原告本人の供述部分は上記認定に照らして採用できない。 二以上の事実に基づき判断する。 被告Aは,原告に対する入院当日の診察だけでなく自身の過去の診察やBの診察結果までふまえて入院治療の必要性の判断に必要な情報を入手し検討している。法33条1項1号の定める「指定医による診察」の要件を充たすか否かは,診察時間の長短ではなく入院治療の必要性を判断するために必要な情報を集めることができたか否かによって判断されるべきものと解され る。法33条1項1号の定める「指定医による診察」の要件を充たすか否かは,診察時間の長短ではなく入院治療の必要性を判断するために必要な情報を集めることができたか否かによって判断されるべきものと解されるところ,被告Aは,原告の行動の動機について一部聴取していない部分は存するが,少なくとも入院の必要性について判断するために必要不可欠な情報は入手しており,実質的に診察をせずに入院を決定したということはできない。 従って,法33条1項1号にいう「指定医による診察」の要件に欠けるところはない。 盗聴に関する原告の行動は合理的な説明がつかず,前記認定に照らして母親と税務署員との交際を認めるに足りる証拠はなく,原告に思考伝播,妄想知覚,関係妄想と判断されることもやむを得ない症状が存在したことは優に認定でき,そのほかに焦燥状態や精神運動興奮状態が存在する等の前記認定に照らすと,かかる原告の症状は強迫観念といった段階に留まるものではない。 原告は,平成11年5月に入ると投薬による治療効果が上がって病識が生じつつあったが,3週間余りという短期間で退院したため治療効果が不十分で,退院後の通院は不規則できちんと服薬できていなかった疑いが濃く,同年末には再び妄想等が生じつつあると疑われる症状が出現しているといった,,臨床経過も考慮すれば被告Aが原告を精神分裂病と診断したことについて過誤があったとはいえない。 原告は,精神障害者と診断されることもやむを得ず,後述するように原告には病識がないから入院せずに外来で治療することは無理があり,医療のために入院の必要性があった。そのうえ原告は,入院当時,母親に対する暴行を相当の頻度で繰り返しており,同時期に近接して物損事故に留まるとはいえ自動車を運転して駐車中の他の車に衝突させていたことや目的のない家出,無断 があった。そのうえ原告は,入院当時,母親に対する暴行を相当の頻度で繰り返しており,同時期に近接して物損事故に留まるとはいえ自動車を運転して駐車中の他の車に衝突させていたことや目的のない家出,無断外泊といった社会的逸脱行動が存在したこと等に照らすと,原告には,自己または他人を保護するために入院の必要性もあったということができる。暴行を加える対象者は,第三者に限られるわけではなく家族でも保護の対象となる。なお原告が,滋賀で遭遇した交通事故の態様については原告本人の供述のほかに認めるに足りる証拠はなく,前記認定に照らして原告本人の供述は全面的には採用できるわけではないから,原告が主張するように追突事故であったと認めるには足りない。 従って,原告は,入院当時「医療及び保護のために入院の必要があった」と認めることができる。 原告は,入院当時全く病識がなく,病識は医師が数回時間をかけて説得したからといって生じるものではなく,病状が投薬等によって改善されて初めて徐々に生じてくるものであり,来院時の原告の抵抗や入院当初の原告の態度等に照らすと,原告が任意入院したとは到底考えられない。 従って,原告は,入院当時「任意入院が行われる状態にない」と認めることができる。 母親が2度にわたり同意書を作成し,家庭裁判所に対する保護者選任申立も速やかにしていること,同意者に原告を退院させる権限があることを理解していたこと等前記認定に照らすと,母親は平成11年4月16日受診すれば入院になると予測していたとまでは認定できず,入院後も母親が原告の病気を受け入れることができずに否定したいと考え多少の混乱が存在したことは認められるものの,被告から一通り説明を受けたうえで少なくとも同意した時点では母親の真意に基づく同意がなされたと認めることができる。 三そうすると, きずに否定したいと考え多少の混乱が存在したことは認められるものの,被告から一通り説明を受けたうえで少なくとも同意した時点では母親の真意に基づく同意がなされたと認めることができる。 三そうすると,本件入院は,法33条2項の要件を全て充たしており適法であって,被告の診療行為に不法行為を構成するような違法性は存在しない。 よって,原告の請求には理由がないから棄却することとして,訴訟費用について民訴法61条を適用して主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第1民事部裁判官金光秀明
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