令和3(ワ)263

裁判年月日・裁判所
令和3年7月20日 東京地方裁判所
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判決文本文4,913 文字)

令和3年7月20日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第263号 発信者情報開示請求事件口頭弁論終結日 令和3年6月9日判決 5原告 A同訴訟代理人弁護士 田中圭祐同 遠藤大介 被告 エキサイト株式会社10 同訴訟代理人弁護士 藤井康弘主文1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 15事実及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,原告が,氏名不詳者によりツイッターに投稿された別紙投稿記事目20録記載の各記事(以下,同目録1記載の記事を「本件記事1」,同目録2記載の記事を「本件記事2」といい,これらを併せて「本件各記事」という。)は,原告が著作権を有する別紙著作物目録記載の各写真(以下,同目録1記載の写真を「原告写真1」,同目録2記載の写真を「原告写真2」といい,これらを併せて「原告各写真」という。)を加工した画像を投稿したものであり,氏名不詳者25による本件記事1の投稿は原告の名誉感情を侵害し,本件記事2の投稿は原告 の名誉感情又は原告写真2に係る著作権(複製権,公衆送信権)を侵害するものであることが明らかであると主張して,上記投稿行為に係る経由プロバイダである被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案5である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか,末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)( 発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案5である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか,末尾の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告は,ギタリストとしてインスタグラムやツイッターのアカウントを開設,管理し,これらのアカウントを利用して,自身で撮影した画像等(原告10各写真を含む。)を投稿した(甲5(枝番を含む。),9,10)。 (2) 氏名不詳者は,別紙投稿記事目録記載のユーザー名によるツイッターのアカウント(以下「本件アカウント」という。)により,同目録1及び2記載のとおり,原告各写真を加工した画像を含む各投稿(以下「本件各投稿」という。)をした(甲1,2,6)。 15(3) 原告は,ツイッターインターナショナルカンパニー(以下「ツイッター社」という。)から,本件アカウントにログインした際のIPアドレス(別紙ログイン情報目録記載のIPアドレス。以下「本件IPアドレス」という。)等の開示を受け,その結果,別紙ログイン情報目録記載のログイン日時及び本件IPアドレスにより特定される通信が,被告を経由プロバイダとする通信で20あることが判明したことから,被告に対し,本件発信者情報の保存請求をしたところ,被告は,原告に対し,同情報の保存が完了した旨を通知した(甲3(枝番を含む。))。 (4) ツイッターを利用するには,氏名,電話番号又は電子メールアドレスの登録及びパスワードの設定を行い,アカウントの登録をする必要があり,また,25自己のアカウントで投稿するためには,当該アカウントにログインする必要 がある(甲4,11(枝番を含む。),12,13)。 2 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情 には,当該アカウントにログインする必要 がある(甲4,11(枝番を含む。),12,13)。 2 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性(原告の主張)ツイッターの利用にはログインが必要であることに照らすと,本件IPア5ドレスを用いて本件アカウントにログインした者は,本件アカウントにおいて本件各投稿をした氏名不詳者と同一であるといえるから,本件発信者情報は,法4条1項の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当する。 (被告の主張)争う。侵害情報に係る発信者情報の開示請求に限らず,これと一定のつな10がりが推認されるにすぎない発信者情報の開示請求を解釈で認めるとすれば,開示対象の範囲が不明確になる。 (2) 被告の開示関係役務提供者該当性(原告の主張)本件IPアドレスを用いて本件アカウントにログインした者は,本件各投15稿をした氏名不詳者と同一であるといえるから,本件アカウントへのログインを媒介した被告は,法4条1項の開示関係役務提供者に該当する。 (被告の主張)争う。 (3) 権利侵害の明白性の有無20(原告の主張)本件記事1は,原告写真1の原告の顔を白目にして,いわゆるゾンビのような薄気味の悪い風貌に加工したものであるから,氏名不詳者による本件記事1の投稿は,原告の名誉感情を侵害する違法行為である。 また,原告写真2は,原告が自らを新幹線での移動中に撮影したものであ25り,イベントに向かう際の高揚感といった感情を表現するために,撮影場所, 構図,被写体等について原告が選択して撮影したものであるから,原告の思想等を創作的に表現したものとして著作物性が認められ, ,イベントに向かう際の高揚感といった感情を表現するために,撮影場所, 構図,被写体等について原告が選択して撮影したものであるから,原告の思想等を創作的に表現したものとして著作物性が認められ,撮影者である原告に著作権が帰属するところ,本件記事2は,原告写真2の顔部分を加工した上で,原告をゲーム等のキャラクターに例えて能力値のようなものを記載して,原告を嘲笑する内容となっている。そうすると,氏名不詳者による本件5記事2の投稿は,原告写真2に係る原告の著作権(複製権,公衆送信権)を侵害するとともに,原告の名誉感情を侵害するものであり,違法性阻却事由も存在しない。 よって,本件各投稿により原告の名誉感情が侵害され,さらに原告写真2に係る著作権が侵害されたことは明らかである。 10(被告の主張)否認ないし争う。 (4) 発信者情報の開示を受けるべき正当の理由の有無(原告の主張)原告は,氏名不詳者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求するため,15本件発信者情報の開示を求めるものであり,正当理由の要件を充足している。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断1 争点(1)(本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性)につい20て 前記前提事実のとおり,ツイッターを利用するには,氏名,電話番号又は電子メールアドレスの登録及びパスワードの設定を行い,アカウントの登録をする必要があり,また,自己のアカウントで投稿するためには,当該アカウントにログインする必要があることに加え,本件記事2の投稿日時と別紙25ログイン情報目録記載のログイン日時とが近接していること,本件各投稿の 内容が本件アカウントのその他の投稿内容と同様に原告を揶揄する趣旨のものであること(甲6 件記事2の投稿日時と別紙25ログイン情報目録記載のログイン日時とが近接していること,本件各投稿の 内容が本件アカウントのその他の投稿内容と同様に原告を揶揄する趣旨のものであること(甲6ないし8)などの事情を併せ考慮すると,別紙ログイン情報目録記載のログイン日時に本件IPアドレスを用いて本件アカウントにログインした者は,本件アカウントにおいて本件各投稿をした氏名不詳者と同一であると認めることができ,同認定を覆すに足りる証拠はない。 5そうすると,本件IPアドレスから把握される本件発信者情報は,本件各投稿をした氏名不詳者のものと認められるから,法4条1項にいう「権利の侵害に係る発信者情報」に該当すると認めるのが相当である。 被告は,侵害情報に係る発信者情報の開示請求に限らず,これと一定のつながりが推認されるにすぎない発信者情報の開示請求を解釈で認めるとすれ10ば,開示対象の範囲が不明確になる旨を主張する。 しかし,法4条1項は,開示対象の範囲について,権利を侵害する行為の際に使用された発信者情報に限定することなく,「権利の侵害に係る発信者情報」と規定している上,前記認定説示のとおり,本件IPアドレスから把握される本件発信者情報は,本件各投稿をした氏名不詳者のものと認めるこ15とができるのであるから,本件発信者情報が氏名不詳者の特定に資する情報であることは明らかであり,開示対象の範囲が不明確であるとはいえない。 よって,被告の上記主張は採用することができない。 2 争点(2)(被告の開示関係役務提供者該当性)について前記1で認定説示したとおり,本件IPアドレスを用いて本件アカウントに20ログインした者は,本件各投稿をした氏名不詳者と同一であると認めることができるから, 係役務提供者該当性)について前記1で認定説示したとおり,本件IPアドレスを用いて本件アカウントに20ログインした者は,本件各投稿をした氏名不詳者と同一であると認めることができるから,本件IPアドレスによる本件アカウントへのログインを媒介した被告は,法4条1項にいう開示関係役務提供者に該当すると認めるのが相当である。 3 争点(3)(権利侵害の明白性の有無)について25証拠(甲1,2,5(枝番を含む。),6ないし9)及び弁論の全趣旨によれ ば,氏名不詳者は,本件アカウントにおいて,原告を揶揄する趣旨の複数のツイートをした上,本件記事1のとおり,本件アカウントのプロフィール画像欄に,原告の顔写真を白目にし,いわゆるゾンビのような薄気味の悪い風貌に加工した画像を投稿したこと,また,本件記事2のとおり,原告写真2の顔部分を加工した上で,原告をゲーム等のキャラクターに例えて能力値のようなもの5を記載して,原告を嘲笑する内容の投稿をしたことの各事実が認められる。これらの事実によれば,氏名不詳者による本件各記事の投稿は,社会通念上許容される程度を超え,法的に許されない侮辱行為といえるから,原告の名誉感情を侵害することが明らかであると認められる。 4 争点(4)(発信者情報の開示を受けるべき正当の理由の有無)について10原告が氏名不詳者に対して原告の名誉感情の侵害を理由とする損害賠償請求権等を行使するためには,本件発信者情報の開示が必要であると認められる。 したがって,原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると認められる。 5 結論15原告写真2に係る名誉感情の侵害の主張と著作権(複製権,公衆送信権)侵害の主張とは,本件請求との関係において選択的主張であると解される。 よって,その 由があると認められる。 5 結論15原告写真2に係る名誉感情の侵害の主張と著作権(複製権,公衆送信権)侵害の主張とは,本件請求との関係において選択的主張であると解される。 よって,その余の点につき判断するまでもなく,本件請求は理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。 20東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官 田 中 孝 一 25 裁判官 小 口 五 大 5裁判官 稲 垣 雄 大 (別紙ログイン情報目録省略)(別紙投稿記事目録省略)10(別紙著作物目録省略) 15 20 25 別紙発信者情報目録 別紙ログイン情報目録IPアドレス欄記載のIPアドレスを、同目録各ログイン日時欄記載の各日時頃に使用したに関する情報であって、次に掲げる情報。 5 ① 氏名又は名称② 住所③ 電子メールアドレス④ 電話番号10以上

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