昭和42(あ)1988 弁護士法違反、同教唆、恐喝、窃盗

裁判年月日・裁判所
昭和43年12月24日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人Aを懲役六月に、被告人Bを懲役一〇月に各処する。      被告人両名について、各弁護士法違反教唆の点は無罪。          理    

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判決文本文2,253 文字)

主    文      原判決を破棄する。      被告人Aを懲役六月に、被告人Bを懲役一〇月に各処する。      被告人両名について、各弁護士法違反教唆の点は無罪。          理    由  被告人Aの弁護人伊藤利夫、同足立憲英の上告趣意は、量刑不当、単なる法令違 反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。  被告人Bの弁護人持田幸作、同新井旦幸の上告趣意は、判例違反を主張するが、 引用の各判例は、いずれも、本件と事案を異にして適切でないから、所論はその前 提を欠き、その余は、単なる法令違反、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由 にあたらない。  同被告人の弁護人荻原静夫の上告趣意は、単なる法令違反、量刑不当の主張であ つて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。  同被告人の弁護人田中政義、同田中学の上告趣意は、憲法三一条違反を主張する 点もあるが、実質は、単なる法令違反の主張であり、その余は、事実誤認、単なる 法令違反、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。  しかしながら、所論にかんがみ、職権をもつて調査すると、第一審判決の認定判 示した罪となるべき事実のうち、判示三の(1)および同四の事実は、いずれも、 被告人らが、自己の法律事件の示談解決を、弁護士でない者に依頼し、その報酬を 支払つたというものである(被告人Aについては、C株式会社のための事務管理と して、管理者たる自己の法律事件の解決を依頼したものとみることができる。)。 そして、第一審判決は、右事実につき、弁護士法違反の教唆の罪が成立するとし、 原判決の判断もこれを是認しているのである。  ところで、弁護士法七二条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、一般の法 - 1 - 律事件に関して法律事務を取り扱うことを禁止し、これに違反した者を、同法七七 条によ これを是認しているのである。  ところで、弁護士法七二条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、一般の法 - 1 - 律事件に関して法律事務を取り扱うことを禁止し、これに違反した者を、同法七七 条によつて処罰することにしているのであるが、同法は、自己の法律事件をみずか ら取り扱うことまで禁じているものとは解されないから、これは、当然、他人の法 律事件を取り扱う場合のことを規定しているものと見るべきであり、同法七二条の 規定は、法律事件の解決を依頼する者が存在し、この者が、弁護士でない者に報酬 を与える行為もしくはこれを与えることを約束する行為を当然予想しているものと いうことができ、この他人の関与行為なくしては、同罪は成立し得ないものと解す べきである。ところが、同法は、右のように報酬を与える等の行為をした者につい て、これを処罰する趣旨の規定をおいていないのである。このように、ある犯罪が 成立するについて当然予想され、むしろそのために欠くことができない関与行為に ついて、これを処罰する規定がない以上、これを、関与を受けた側の可罰的な行為 の教唆もしくは幇助として処罰することは、原則として、法の意図しないところと 解すべきである。  そうすると、弁護士でない者に、自己の法律事件の示談解決を依頼し、これに、 報酬を与えもしくは与えることを約束した者を、弁護士法七二条、七七条違反の罪 の教唆犯として処罰することはできないものといわなければならない。しかるに、 本件において、被告人らにつき、弁護士法違反教唆の罪の成立を認めた原判決には、 法令の解釈適用をあやまつた違法があり、右違法は、判決に影響を及ぼすことが明 らかであつて、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。  よつて、刑訴法四一一条一号により、原判決を破棄し、同法四一三条但書により、 被告事件についてさらに 、判決に影響を及ぼすことが明 らかであつて、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。  よつて、刑訴法四一一条一号により、原判決を破棄し、同法四一三条但書により、 被告事件についてさらに判決をすることとする。  原判決の確定した事実のうち、被告人Aに対する弁護士法違反の点は、弁護士法 七二条、七七条、刑法六〇条に、被告人Bに対する恐喝の点は、刑法二四九条二項 に、窃盗の点は、同法二三五条、六〇条にそれぞれ該当するので、被告人Aについ - 2 - ては、所定刑中懲役刑を選択してその刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、 被告人Bの以上の行為は、刑法四五条前段の併合罪の関係になるので、同法四七条 本文、一〇条により、犯情の重い判示恐喝の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲 内で同被告人を懲役一〇月に処する。なお、被告人両名に対する弁護士法違反教唆 の各事実は、前述のとおり、いずれも罪とならないので、刑訴法四一四条、四〇四 条、三三六条により無罪の言渡をすることとし、裁判官全員一致の意見で、主文の とおり判決する。  検察官 高木一公判出席   昭和四三年一二月二四日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    田   中   二   郎             裁判官    下   村   三   郎             裁判官    松   本   正   雄             裁判官    飯   村   義   美 - 3 -

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