- 1 - 主文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中200日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実) 被告人は、A、B、C、D及び氏名不詳者らと共謀の上、金品を強奪しようと考え、令和6年10月1日午前2時7分頃、埼玉県所沢市(住所省略)のE方に、勝手口の施錠を外して侵入し、E(当時85歳)及びF(当時83歳)に対し、Eの左前腕を包丁で切り付け、E及びFの両手首等をガムテープで縛り、Eの右肩等を殴るなどの暴行を加え、その反抗を抑圧した上、Eら所有又は管理の現金約16万 円、クレジットカード2枚等6点在中の財布1個及び通帳2冊(時価合計約1550円相当)を強取し、その際、前記暴行により、Eに対し全治まで約2週間を要する右肩挫創、左前腕切創等の傷害を負わせた。 (量刑の理由)本件は、SNSを通じて、被告人ら複数の実行役が集められ、首謀者と考えられ る氏名不詳の指示役が、事前に連絡手段のアプリをインストールさせたスマートフォンを通じて実行役に指示をし、包丁、モンキーレンチ、ガムテープや手袋等の犯行道具を準備させた上で、あらかじめ指示役において情報収集していた被害者宅において、指示役と実行役が通話した状態で、指示役からの指示に従い実行役が役割分担して敢行した計画的な犯行である。その態様は、若い男性4人が、深夜の就寝 時間に、高齢の被害者夫婦の自宅に侵入し、夫婦をガムテープで縛り、夫に対しては包丁で傷付ける等の暴行にも及んだもので、身体への危険性が高いものであった。 被害者の傷害結果は重傷とまではいえず、被害金額も多額とはいえないが、その精神的苦痛は、当然ながら、殺されかけると思うほどの多大なものであった。 被告人は、家賃や更新料等に必要な約15万円をすぐに手に入れたい 結果は重傷とまではいえず、被害金額も多額とはいえないが、その精神的苦痛は、当然ながら、殺されかけると思うほどの多大なものであった。 被告人は、家賃や更新料等に必要な約15万円をすぐに手に入れたいが、通常の アルバイトでは十分な額が得られないと考え、SNSで仕事を探し、アカウント名 - 2 -しか分からない者から、報酬が5万円から10万円で、「バック」がいるため引き受けたら必ずやらなければならないという「物を運ぶ仕事」を紹介され、怪しさを感じながら引き受けた。被告人は、本件前日の夜、待機場所に向かった後になってから、仕事の内容が侵入強盗であると知らされ、断わろうとしたものの、個人情報を知られている怖さや、すぐに報酬を得たいとの切羽詰まった考えから、侵入強盗も 引き受け、指示に従って犯行に使用するガムテープや手袋を購入した上で、他の実行役と共に被害者宅に侵入し、被害者の肩を押さえたり、被害者方2階の各部屋で金庫を探したりした。被告人は、当初から侵入強盗に及ぶことを想定していたわけではなく、積極的、主体的に本件犯行に及んだわけではないが、侵入強盗にまで及ぶに至った原因は、違法なことに関わる可能性のある仕事を引き受けるという違法 行為に対する認識の甘さに、首謀者側からつけ込まれ、さらに、想定していなかった強盗についても、引き返せる機会はいくつもあったのに、迷いながらも、報酬欲しさから、犯行の重大性を考えず、犯行への加担を自分の中で正当化して流されたからであり、考慮するにしても限界がある。 以上の犯情に加え、被告人が反省していること、被告人の母親が出廷し、被告人 の監督を約束していること、被告人の父親が被害弁償金として50万円を準備したこと、被告人に前科前歴がないことなどの一般情状も考慮し、凶器を使った侵入強盗(1 と、被告人の母親が出廷し、被告人の監督を約束していること、被告人の父親が被害弁償金として50万円を準備したこと、被告人に前科前歴がないことなどの一般情状も考慮し、凶器を使った侵入強盗(1件)の強盗致傷の量刑傾向を参照の上、主文の刑に処することが相当であると判断した。(求刑懲役10年) 令和7年7月18日 さいたま地方裁判所第3刑事部 裁判長裁判官 井下田英樹 裁判官 深澤純子 裁判官 山本奈央
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