令和5年12月7日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 令和4年(ワ)第5553号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結の日令和5年10月5日判決 原告 株式会社日本育児 同訴訟代理人弁護士 阪本豊起 藤原唯人 西片和代 鎌田裕代 横山大輔 同訴訟代理人弁理士 古川安航 山田久就 被告 株式会社カトージ 同訴訟代理人弁護士 後藤昌弘 大橋厚志 鈴木智子 川岸弘樹 同訴訟代理人弁理士 松原等 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙「被告物件目録」記載1及び2の製品(以下、「被告製品1」などといい、これらを併せて「被告製品」という。)を製造し、輸入し、販売し又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は、被告製品を廃 、別紙「被告物件目録」記載1及び2の製品(以下、「被告製品1」などといい、これらを併せて「被告製品」という。)を製造し、輸入し、販売し又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は、被告製品を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、713万3100円及びこれに対する令和4年7月22日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、発明の名称を「幼児用サークル」とする特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告が本 件特許の特許請求の範囲請求項1記載の発明(以下「本件発明」という。ただし、後記のとおり、原告は訂正請求をしている。)の技術的範囲に属する被告製品を製造し、販売等することは本件特許権の侵害に当たると主張して、被告に対し、特許法100条1項及び2項に基づき、被告製品の製造、販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに、不法行為(民法709条)に基づき、損害賠償金713万3100 円及びこれに対する令和4年7月22日(訴状送達日の翌日であり、不法行為よりも後の日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(争いのない事実、掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実) (1) 当事者原告は、ベビー用品の輸入、製造、販売等を目的とする株式会社である。 被告は、各種育児用品の販売等を目的とする株式会社である。(以上につき、争いがない。)(2) 本件特許権 原告は、次の本件特許権を有している。本件特許権の特許請求の範囲、明細書及 び図面(以下、明細書及び図面を「本件明細書」という。)の記載は、別紙「特許公報」のとおりである(甲2)。 ア登 告は、次の本件特許権を有している。本件特許権の特許請求の範囲、明細書及 び図面(以下、明細書及び図面を「本件明細書」という。)の記載は、別紙「特許公報」のとおりである(甲2)。 ア登録番号特許第6914521号イ出願日平成29年8月4日ウ公開日平成31年2月28日 エ登録日令和3年7月16日オ発明の名称幼児用サークルカ新規性喪失の例外の表示特許法30条2項適用(ア) 平成29年5月29日公開場所株式会社赤ちゃん本舗(住所略)(イ) 平成29年7月27日掲載アドレス http://www.niho nikuji.co.jp/item/araetetatameru_circle.html(3) 構成要件の分説本件発明の構成要件は、別紙「本件発明に関する充足論」の「構成要件」欄のAないしFのとおり分説される。 (4) 無効審判事件及び訂正請求ア被告は、本件特許の特許請求の範囲請求項1ないし4に係る特許について、令和4年8月25日及び同月26日にそれぞれ特許無効審判の請求をし(無効2022-800076号事件、同800077号事件)、両事件の審理は後に併合された(以下、両事件を併せて「本件無効審判事件」という。)(甲12、13、1 9、20)。 イ原告は、本件無効審判事件において、令和4年11月18日付け訂正請求書により、本件特許の特許請求の範囲請求項1を後記(5)のとおりに訂正するとともに、同請求項4(「前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている、請求項1乃至3のうちいず れか一の項に記載の幼児用サークル。」との請求項)を削除する旨の訂正請求をし 記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている、請求項1乃至3のうちいず れか一の項に記載の幼児用サークル。」との請求項)を削除する旨の訂正請求をし た(以下「本件訂正」という。)(甲16)。 (5) 本件訂正後の構成要件の分説等ア本件訂正による訂正後の特許請求の範囲請求項1は、次のとおりである(下線部が本件訂正部分である。以下「本件訂正発明」という。)(甲16)。 環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠と、隣り合う縦枠を渡す ように張られメッシュ部を有する側面シートと、底面に位置する非伸縮性の底面シートと、を備え、前記底面シートは平面視において多角形の形状を有しており、各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、各縦枠の下端部分を前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限 し、かつ、各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え、前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている、幼児用サークル。 イ本件訂正発明の構成要件を分説すると、別紙「本件訂正発明に関する充足論(原告の主張)」の「構成要件」欄のAないしF、X及びYのとおりである(下線 部が本件訂正部分である。)。 (6) 被告製品の構成ア原告が主張する被告製品の構造は、別紙「被告製品説明書1」(被告製品1について)及び「被告製品説明書2」(被告製品2について)各記載のとおりであるところ、各「3 構造の説明」については、このうちAの「内側に傾斜する」の 部分及びEを除き、被告は特に争っていない について)及び「被告製品説明書2」(被告製品2について)各記載のとおりであるところ、各「3 構造の説明」については、このうちAの「内側に傾斜する」の 部分及びEを除き、被告は特に争っていない。 イ被告製品の構成には争いがあり、原告の主張は、別紙「本件発明に関する充足論」の「被告製品の構成」欄の「原告の主張(被告製品1)」欄及び「原告の主張(被告製品2)」欄各記載のとおりであり、被告の主張は、同「被告の主張」欄記載のとおりであるが、被告製品が、構成要件BないしD及びFを充足することは 当事者間に争いがない。 (7) 被告の行為等被告は、令和2年12月頃から、業として被告製品を製造又は輸入し、販売し、販売のための申出をしている(争いがない。)。 2 争点(1) 本件発明の技術的範囲への属否(争点1) (2) 本件発明の無効理由の有無(争点2)アカタログ「KATOJINEWCOLLECTION 2005」(乙3。平成17年納品。以下「乙3文献」という。)記載の発明(以下「乙3発明」という。)に基づく新規性欠如の有無(争点2-1)イインターネット上の動画共有サイト「YouTube」に投稿された商品 「プレイヤード」の広告動画ページ(乙4。平成27年4月15日投稿。以下「乙4動画」という。)に開示された発明に基づく新規性欠如の有無(争点2-2)ウ米国特許出願公開第2004/0261174号明細書(乙5。以下「乙5明細書」という。)記載の発明(以下「乙5発明」という。)及び周知事項に基づく進歩性欠如の有無(争点2-3) エ原告が、インターネット上のプレスリリース配信サービス「@Press」(以下「アットプレス」という。)に依頼して平成29年8月1日に発明の公開を 基づく進歩性欠如の有無(争点2-3) エ原告が、インターネット上のプレスリリース配信サービス「@Press」(以下「アットプレス」という。)に依頼して平成29年8月1日に発明の公開を行ったこと(乙9の1~3)による新規性喪失の有無(争点2-4)オ公然実施品である米国GRACO社製プレイヤード(以下「本件プレイヤード」という。)に基づく新規性欠如の有無(争点2-5) (3) 訂正の再抗弁の成否(争点3)(4) 損害の発生及びその額(争点4)(5) 差止め等の必要性の有無(争点5)第3 争点についての当事者の主張 1 本件発明の技術的範囲への属否(争点1) 本件発明に係る構成要件A及びEの充足性についての当事者の主張は、別紙「本 件発明に関する充足論」の「被告製品の構成要件充足性」欄の「原告の主張」欄及び「被告の主張」欄各記載のとおりである。 2 本件発明の無効理由の有無(争点2)本件発明の無効理由の有無に関する当事者の主張は、別紙「本件発明に関する無効論」記載のとおりである。 3 訂正の再抗弁の成否(争点3)本件訂正が訂正要件を充足し、原告による訂正の再抗弁が成り立つか否かについての当事者の主張は、別紙「本件訂正の訂正要件充足性」記載のとおりである。 4 損害の発生及びその額(争点4)〔原告の主張〕 被告は、令和3年7月16日から本訴提起日(令和4年6月30日)までの間に、被告製品1を1台当たり1万4080円の価格で、少なくとも483台販売したところ、1台当たりの利益は8320円を下回らないから、少なくとも401万8560円の利益を得ている。 また、被告は、前記の期間に、被告製品2を1台当たり2万1780円の価格で、 少なくとも242台販売 当たりの利益は8320円を下回らないから、少なくとも401万8560円の利益を得ている。 また、被告は、前記の期間に、被告製品2を1台当たり2万1780円の価格で、 少なくとも242台販売したところ、1台当たりの利益は1万2870円を下回らないから、少なくとも311万4540円の利益を得ている。 したがって、被告は、合計713万3100円の利益を得ており、原告は、被告による本件特許権の侵害により、少なくとも同金額の損害を被った。 〔被告の主張〕 争う。 5 差止め等の必要性の有無(争点5)〔原告の主張〕被告は、令和2年12月頃から、被告製品を製造又は輸入し、販売し、販売のための申出をしていることから、本件特許権侵害の予防のため、前記製造等の行為の 差止め及び被告製品の廃棄を求める必要がある。 〔被告の主張〕差止め等の必要性は争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明の技術的範囲への属否(争点1)について(1) 被告製品が、本件発明の構成要件BないしD及びFに係る構成を有するこ とは当事者間に争いがない。 そこで、争いのある構成要件Aの充足性(複数の縦枠が「内側に傾斜」しているといえるか)及び同Eの充足性(各縦枠の下端部分が「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され」ているといえるか)につき、それぞれ検討する。 (2) 構成要件Aの充足性について ア構成要件Aは、「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠」と規定しているところ、本件発明に係る特許請求の範囲請求項1の記載には傾斜の角度を特定するものと解される文言はない。 また、本件明細書には、以下の内容が示されている(各段落の具体的記載は、別紙「特許公報」参照)。すなわち、軽量型の幼児 許請求の範囲請求項1の記載には傾斜の角度を特定するものと解される文言はない。 また、本件明細書には、以下の内容が示されている(各段落の具体的記載は、別紙「特許公報」参照)。すなわち、軽量型の幼児用サークルは、幼児が内側から側 面を押したときに転倒するおそれがあることから、先行技術文献である特許文献1(特開2016-19676号公報(乙1)。以下「乙1公報」という。)では、側面を内側に傾斜させて転倒しにくくしたものが提案されていること(【0002】)、軽量型の幼児用サークルから下枠を無くすことができれば、側面に出入口を設けたときに幼児がつまずきにくく、一層の軽量化を図ることができるが、側面を内側に 傾斜させた幼児用サークルは、縦枠が内側に傾斜しているため、下枠を無くしてしまうと縦枠の下端部分が外側に広がって全体の形状を保つことができなくなるおそれがあり、縦枠同士がメッシュシートで連結されているとしても、メッシュシートは伸びやすいため、縦枠の下端部分が外側に広がるのを抑制することはできないこと(【0004】)、本件発明は、縦枠が内側に傾斜した幼児用サークルであって、下 枠の省略が可能な幼児用サークルを提供することを目的としており(【0005】)、 課題解決するための手段として、本件発明の一態様に係る幼児用サークルは、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠と、隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シートと、底面に位置する非伸縮性の底面シートと、を備え、各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートに固定され外側への移動が制限されている構成を有すること(【0006】)が示され、発明の実施態様として、 各縦枠が内側にわずかに傾斜しているものが開示されている(【0020】)。しかし、傾斜の角度 定され外側への移動が制限されている構成を有すること(【0006】)が示され、発明の実施態様として、 各縦枠が内側にわずかに傾斜しているものが開示されている(【0020】)。しかし、傾斜の角度を具体的に特定する記載はない。 さらに、本件明細書において先行技術文献とされる乙1公報には、「転倒してしまうおそれを低減した幼児用サークル及び当該幼児用サークルに用いられるジョイントを提供することを目的とする」発明において、発明の実施形態につき、「下第 3筒状部32cに保持される縦パイプ21は、幼児用サークル1の接地状態において、鉛直方向から、上枠10によって囲まれる領域A1内に向かって傾くことになる。一例として、下第3筒状部32cの軸線Y3が前記平面P2に直交する方向d1から傾く角度θ1は、5.7°以上5.9°以下に設定される」との記載はあるが(【0005】【0032】【図9】)、転倒防止との関係で、傾斜の角度が当該角度に 限定される旨の記載はない(【図9】については別紙「図面等」の【図9】参照)。 以上によれば、構成要件Aは、縦枠につき、わずかであっても幼児用サークルの内側への傾斜角度があれば幼児用サークルが倒れにくくなる作用効果は奏するとして、具体的な傾斜角度を特定せず、「内側に傾斜する」とは、文言どおり、内側への傾斜角度があることをいうものと解される。 イ被告製品についてみると、証拠(甲7、乙2)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品1の6本の縦フレームが鉛直方向からサークルの内側に向かって傾斜している角度は、6本中4本が2°、1本が3°、1本が4°であり、製品ごとに多少のばらつきがあり得ることを考慮しても、被告製品2を含めて、縦フレーム(縦枠)は、サークルの内側に向かって少なくとも2°程度傾斜しているものと認め が2°、1本が3°、1本が4°であり、製品ごとに多少のばらつきがあり得ることを考慮しても、被告製品2を含めて、縦フレーム(縦枠)は、サークルの内側に向かって少なくとも2°程度傾斜しているものと認められる。 そうすると、幼児用サークルの縦枠につき、内側への傾斜角度があるといえるから、 被告製品は、「内側に傾斜する」との構成を有し、構成要件Aを充足する。 ウこれに対し、被告は、構成要件Aの「内側に傾斜」の意義につき、従来技術に係る乙1公報(【0032】)と同義に解し、縦枠がサークルの内側に向かって鉛直方向から少なくとも5°は傾いていることを意味する旨主張する。しかしながら、前記アのとおり、構成要件Aにおける「内側に傾斜」の文言が傾斜角度を具体的に 定めるものとは解されない。加えて、乙1公報の発明に係る幼児用サークルには下枠が存在し、上枠と下枠が縦枠により接続される構成を有する(請求項1)のに対し、本件発明に係る幼児用サークルは下枠の省略が可能である(前記ア)という構造上の違いがあることにも照らすと、前記両発明における「内側に傾斜」の意義を同義に解すべき理由はないというべきであるから、被告の主張は採用できない。 (3) 構成要件Eの充足性についてア構成要件Eは、各縦枠の下端部分が「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され」と規定しているところ、「あたる」との語は、一般には、「物事と他の物事とがぴったり相対応する。」との意味のほかに、「ちょうどその方向・時期にある。該当する。」、「(そういう関係・順位・資格・価値などに)相当す る。」等の意味を有する(乙18)。そうすると、縦枠の下端部分が固定される箇所が、「底面シートの多角形の頂点」に相当する部分といえるならば、「底面シートの多角形の頂点」そ 価値などに)相当す る。」等の意味を有する(乙18)。そうすると、縦枠の下端部分が固定される箇所が、「底面シートの多角形の頂点」に相当する部分といえるならば、「底面シートの多角形の頂点」そのものではないとしても、文言上、「底面シートの多角形の頂点にあたる部分」には該当すると解することができる。 そして、本件明細書の、「底面シートの正六角形の頂点にあたる部分は、接続テ ープを介して各縦枠の下端部分に固定されている。」(【0033】)、「各縦枠は内側に傾斜していることから、縦枠の下端部分には外側に向かう力が働くが、幼児用サークルは、各縦枠の下端部分が非伸縮性の底面シートによって接続されているため、各縦枠の下端部分の外側への移動が制限される。その結果、幼児用サークルは、下枠を有しないにもかかわらず、縦枠の下端部分が外側に移動せず全体の形状を維 持することができる。」(【0034】)との記載からすると、縦枠の下端部分が直接 固定される箇所が「底面シート」ではなかったとしても、「底面シート」の非伸縮性によって縦枠の下端部分の外側への移動が制限され、幼児用サークル全体の形状を維持することができるという作用効果を奏する態様で各縦枠の下端部分が「底面シート」に接続されていれば、「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され」との文言に該当し、構成要件Eを充足すると解すべきである。 イ被告製品についてみると、証拠(甲4ないし6)及び弁論の全趣旨によれば、縦フレーム(縦枠)の下端部分は、テープバンドを介してシートに固定されていることが認められるところ、その固定されているシート自体は、本件発明における「底面シート」に相当する部分ではなく、伸縮性のメッシュ部を有する側面シートに相当する部分(別紙「被告製品説明書1」及 ていることが認められるところ、その固定されているシート自体は、本件発明における「底面シート」に相当する部分ではなく、伸縮性のメッシュ部を有する側面シートに相当する部分(別紙「被告製品説明書1」及び「被告製品説明書2」の各「3 構造の説明」のBにいう「側面部分14」及び「側面部分24」)である。 しかしながら、前記テープバンドが縦フレームに取り付けられている箇所は、「底面シートの多角形の頂点」からわずかしか離れておらず、当該テープバンドは側面シートの端部を介して底面シートに接続していると認められる(甲6、乙2)。 そうすると、前記箇所は、「底面シートの多角形の頂点」に相当する部分というこ とができ、「底面シートの多角形の頂点にあたる部分」に該当すると認められる。 そして、前記テープバンドが伸縮性のメッシュ部を有する側面シートに固定された部分は、当該シートの端部であって非伸縮性の補強部材からなる(乙2、弁論の全趣旨)上、「底面シートの多角形の頂点」と同補強部材を介して接続し、わずかな距離しか離れていないことから、「底面シート」の非伸縮性によって縦フレーム (縦枠)の下端部分の外側への移動が制限され、幼児用サークル全体の形状を維持することができるという作用効果も認められる。 以上のことからすると、被告製品は、各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の「底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され」外側への移動が制限されていると認められ、構成要件Eを充足するというべきである。 (4) 小括 したがって、被告製品は、本件発明の技術的範囲に属する。 2 本件プレイヤードに基づく新規性欠如の有無(争点2-5)について事案に鑑み、争点2-5から検討する。 (1) 乙第12号証は、本件プレイヤードにつき、被 は、本件発明の技術的範囲に属する。 2 本件プレイヤードに基づく新規性欠如の有無(争点2-5)について事案に鑑み、争点2-5から検討する。 (1) 乙第12号証は、本件プレイヤードにつき、被告において現物を入手の上で行った分析及び実験の報告書である。 被告は、本件プレイヤードは、本件特許出願前に本件発明が公然実施されたものである旨主張するので、以下検討する。 (2) 証拠(乙3、12ないし14)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ア本件プレイヤードの構造等は、以下のとおりである。 (ア) 環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6本の部材Aと、隣り合う部材Aを渡すように張られメッシュ部B1を有する部材Bと、底面に位置する非伸縮性の部材Cと、を備え、部材Cは平面視において多角形(六角形)の形状を有している。 (イ) 各部材Aの下端部分は接地部材Gが受けており、部材Aは、部材Gのうち 内外方向中央点から外側へずれた部分に固定されている。 (ウ) 部材Bと部材Cは一体に形成されている。また、部材Cの多角形の頂点部分に取り付けられた部材D(テープバンド)が部材Gに挟み込まれており、部材Gは2か所でねじ止めされている(タッピングねじによるが、ねじの取外しは可能である。)。 (エ) 部材Aの下端近くを机に固定し、対角にある他方の部材Aの下端近くを人力で引っ張ったところ、他方の部材Aの下端部分は、0N時(無負荷)に対して引張力120N時で外側へ約3mm移動したにすぎず、また、部材Dの伸びも確認されなかった。 (オ) 本件プレイヤードの全景は別紙「図面等」の【写真①】のとおりであり、 各部材Aの下端部分の固定状況は同別紙【写真②】及び【写真③】のとおりである。 イ れなかった。 (オ) 本件プレイヤードの全景は別紙「図面等」の【写真①】のとおりであり、 各部材Aの下端部分の固定状況は同別紙【写真②】及び【写真③】のとおりである。 イ本件プレイヤードは、被告が平成17年に配布したカタログ「KATOJINEWCOLLECTION 2005」(乙3文献)に掲載されており、その頃、被告により需要者に対して販売されていた。 (3) 前記認定事実アによれば、本件プレイヤードの部材Aは本件発明の縦枠に、部材Bは側面シートに、部材Cは底面シートにそれぞれ相当し、部材Gに固定され た部材Aの下端部分は、部材Cの六角形の頂点にあたる部分に部材Dを介して固定され、外側への移動が制限されているものと認められる。そうすると、本件プレイヤードは、「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材A(縦枠)と、隣り合う部材Aを渡すように張られメッシュ部B1を有する部材B(側面シート)と、底面に位置する非伸縮性の部材C(底面シート)と、を備え、部材Cは平面視 において多角形の形状を有しており、各部材Aの下端部分は非伸縮性の部材Cの多角形の頂点にあたる部分に(部材Dを介して)固定され外側への移動が制限されている、プレイヤード」との構成を有するものということができるから、本件発明の各構成要件を充足する。 そして、特許法29条1項2号所定の「公然実施」とは、発明の内容を不特定多 数の者が知り得る状況でその発明が実施されることをいうところ、前記認定事実イのとおり、被告は、本件特許出願前の平成17年頃、カタログに本件プレイヤードを掲載して需要者に対して販売していたから、その内容を不特定多数の者が知り得る状況で本件発明を実施したものと認められる。 (4) 原告は、本件無効審判事件の進行 17年頃、カタログに本件プレイヤードを掲載して需要者に対して販売していたから、その内容を不特定多数の者が知り得る状況で本件発明を実施したものと認められる。 (4) 原告は、本件無効審判事件の進行状況等に照らすと、被告による乙第12 号証を証拠とする無効理由の主張は、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである旨の申立て(民訴法157条1項に基づくものと理解される。)をする。 しかし、攻撃防御方法の提出について時機に後れたかどうかは、本件訴訟の具体的な進行状況等に即して判断されるべきである。そして、原告の訂正の再抗弁等に対するものとして、乙第12号証及びこれに基づく無効理由を主張する被告の準備書 面(1)が令和5年2月15日に提出されたところ、その時点では、書面による準備 手続における協議が重ねられ、争点及び証拠の整理手続中(いわゆる心証開示前)であり、被告が故意又は重大な過失により当該攻撃防御方法を提出したとか、それにより訴訟の完結が遅延するなどの客観的な事情があったとは認められないから、原告の前記申立ては理由がないものとして却下する。 (5) 以上のとおり、本件発明は、本件特許出願前に日本国内において公然実施 された発明であって、新規性を欠き、無効審判により無効とされるべきものであるから、後記3で検討する訂正の再抗弁が成り立たない限り、原告は、被告に対し、本件特許権を行使することができない(特許法123条1項、104条の3第1項、29条1項2号)。 3 訂正の再抗弁の成否(争点3)について 本件訂正により、本件プレイヤードに基づく新規性欠如(前記2)の無効理由が解消されるか否かにつき検討する。 (1) 原告は、本件訂正発明と本件プレイヤードを対比すると、①本件訂正発明の接続テープは各縦 訂正により、本件プレイヤードに基づく新規性欠如(前記2)の無効理由が解消されるか否かにつき検討する。 (1) 原告は、本件訂正発明と本件プレイヤードを対比すると、①本件訂正発明の接続テープは各縦枠に対して取外しできるように構成されているのに対し、本件プレイヤードの部材Dは部材Aに対して取外しできるように構成されていない点、 ②本件訂正発明の側面シート及び底面シートは各縦枠に対して取外し可能に構成されているのに対し、本件プレイヤードの部材B及び部材Cは部材Aに対して取外し可能に構成されていない点の2つの相違点があるから、本件訂正により本件プレイヤードに基づく新規性欠如の無効理由は解消される旨主張する。 (2) しかしながら、前記2(2)ア認定のとおり、本件プレイヤードにおいては、 各部材Aの下端部分は、接地部材Gが受けて固定しているところ、部材Cに取り付けられた部材D(テープバンド)が部材Gに挟み込まれて2か所でねじ止めされて(以下「本件ねじ止め」という。)、各部材Aの下端部分が(部材Dを介して)部材Cに固定されている。そして、本件ねじ止めは、タッピングねじによるものであるが、ねじの取外しをすることは可能であり、このねじを取り外せば、部材Dを部 材Aの下端部分が固定されている部材Gから取り外すことができるから、部材Dは、 部材Aに対して取外し可能であると認められる。 また、前記のように部材Dを部材Aから取り外せば、部材Dが取り付けられている部材C及びこれと一体に形成されている部材B(前記2(2)ア)も部材Aから取り外すことができるものと認められる。 そうすると、本件訂正発明と本件プレイヤードの対比において、原告が主張する 前記(1)の①及び②の相違点はいずれも認めることができない。 (3) これに対し 外すことができるものと認められる。 そうすると、本件訂正発明と本件プレイヤードの対比において、原告が主張する 前記(1)の①及び②の相違点はいずれも認めることができない。 (3) これに対し、原告は、本件ねじ止めはタッピングねじによるものであるところ、同ねじは、日常的に繰り返し取り外す必要がある部位には使用されないものであるから、本件プレイヤードは、使用者が再組立できなくなる等のリスクを冒してまで、部材Dや部材B及び部材Cの「取外し」を行うことは想定されていない旨 主張する。しかし、本件訂正発明の構成要件Xは「…各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え」、構成要件Yは「前記側面シート及び前記底面シートが…各縦枠に対して取外し可能に構成されている」というものであるところ、取外しの具体的な態様や頻度等について何ら限定をしていない。そうすると、タッピングねじによる本件ねじ止めは、その構造上も実際上も取外し可能であ る以上、本件プレイヤードの構成につき、本件訂正発明の前記各構成要件との相違点を認めることはできず、原告の主張は採用できない。 また、原告は、本件プレイヤードは「WATERPROOF」、つまり防水性の製品であって、洗濯機での洗濯や脱水は危険であることから、市販製品の一般的な意味での「取外し」はできず、このような製品を「取外し可能」と評価することは できない旨主張する。しかし、本件訂正発明の構成要件X及びYにおいて、「取外し」の目的が特定されているものではないし、本件明細書の段落【0013】の記載(「この構成によれば、側面シートと底面シートを縦枠から取り外して洗うことができるため、幼児用サークルを清潔に保つことができる。」)を参酌するとしても、その洗い方が洗濯機によるものに限定されているも (「この構成によれば、側面シートと底面シートを縦枠から取り外して洗うことができるため、幼児用サークルを清潔に保つことができる。」)を参酌するとしても、その洗い方が洗濯機によるものに限定されているものではないから、原告の主張は採用できない。 したがって、本件訂正によっても、本件プレイヤードに基づく新規性欠如の無効理由は解消されないから、原告の訂正の再抗弁は成り立たない。 結論よって、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官 武宮英子 裁判官 阿波野右起 裁判官 峯健一郎※別紙「特許公報」については掲載省略 (別紙)被告物件目録 1 商品名:ベビーサークルポータブル折りたたみベビーサークルコロコロランド 6 商品番号:63023 2 商品名:ベビーサークルポータブル折りたたみベビーサークルコロコロランド 8 商品番号:63024以上 (別紙)図面等 【図9】 【写真①】 ークルコロコロランド 商品番号:63024以上 (別紙)図面等 【図9】 【写真①】 【写真②】 【写真③】 (別紙)被告製品説明書1 被告製品1は、以下の構造を有する。なお、被告製品1の構成における名称は、取扱説明書(甲6)に記載の名称を参照した。 1 図面の説明 図1 被告製品1の斜視図 図2 被告製品1のサークルシートを取り外した状態の斜視図 図3 被告製品1の縦フレームが内側に傾斜していることを示す図 2 符号の説明 10 ベビーサークル 11 縦フレーム 12 メッシュ部 13 サークルシート 14 側面部分 15 底面部分 16 脚部材 17 内側連結フレーム 18 外側連結フレーム 3 構造の説明 A ベビーサークル10は、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6つの縦フレーム11を備えている。 B ベビーサークル10は、隣り合う縦フレーム11を渡すように張られメッシュ部12を有するサークルシート13の側面部分14を備えている。 C ベビーサークル10は、底面に位置する非伸縮性のサークルシート13の底面部分15を備えている。 D サークルシート13の底面部分15は、平面視において六角形の形状を有している。 E 6つの縦フレーム11の下端部分は、非伸縮性のサークルシート13の底面部分15の六角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されている。 F ベビーサークル10は、各縦フレーム11を受ける6つの脚部材16を備えている。 G 各縦フレーム11は脚部材16のうち中心から内側 の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されている。 F ベビーサークル10は、各縦フレーム11を受ける6つの脚部材16を備えている。 G 各縦フレーム11は脚部材16のうち中心から内側にずれた部分に固定されている。 H ベビーサークル10は、隣り合う縦フレーム11を連結する内側連結フレーム17及び内側連結フレーム17よりも外側に位置する外側連結フレーム18を備えている。 I 内側連結フレーム17は、隣り合う縦フレーム11のうち外側から見て右方の縦フレーム11の上端部分に右端が回動可能に接続され、隣り合う縦フレーム11のうち外側から見て左方の縦フレーム11に左端が上下移動可能に接続されている。 J 外側連結フレーム18は、外側から見て左方の縦フレーム11の上端部分に左端が回動可能に接続され、外側から見て右方の縦フレーム11に右端が上下移動可能に接続されている。 K サークルシート12の側面部分14及び側面部分15が一体に形成されているとともに、各縦フレーム11に対して取外し可能に構成されている。 図1 図2 図3 (別紙)被告製品説明書2 被告製品2は、以下の構造を有する。なお、被告製品2の構成における名称は、取扱説明書(甲6)に記載の名称を参照した。 1 図面の説明図1 被告製品2の斜視図図2 被告製品2のサークルシートを取り外した状態の斜視図図3 被告製品2の縦フレームが内側に傾斜していることを示す図 2 符号の説明 20 ベビーサークル 21 縦フレーム 22 メッシュ部 23 サークルシート 24 側面部分 25 底面部分 26 脚部材 27 内側連結フレーム 28 外側連結フレーム 3 構造の説明A ベビーサー 縦フレーム 22 メッシュ部 23 サークルシート 24 側面部分 25 底面部分 26 脚部材 27 内側連結フレーム 28 外側連結フレーム 3 構造の説明A ベビーサークル20は、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する8つの縦フレーム21を備えている。 B ベビーサークル20は、隣り合う縦フレーム21を渡すように張られメッ シュ部22を有するサークルシート23の側面部分24を備えている。 C ベビーサークル20は、底面に位置する非伸縮性のサークルシート23の底面部分25を備えている。 D サークルシート23の底面部分25は、平面視において八角形の形状を有している。 E 8つの縦フレーム21の下端部分は、非伸縮性のサークルシート23の底面部分25の八角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されている。 F ベビーサークル20は、各縦フレーム21を受ける8つの脚部材26を備えている。 G 各縦フレーム21は脚部材26のうち中心から内側にずれた部分に固定されている。 H ベビーサークル20は、隣り合う縦フレーム21を連結する内側連結フレーム27及び内側連結フレーム27よりも外側に位置する外側連結フレーム28を備えている。 I 内側連結フレーム27は、隣り合う縦フレーム21のうち外側から見て右方の縦フレーム21の上端部分に右端が回動可能に接続され、隣り合う縦フレーム21のうち外側から見て左方の縦フレーム21に左端が上下移動可能に接続されている。 J 外側連結フレーム28は、外側から見て左方の縦フレーム21の上端部分に左端が回動可能に接続され、外側から見て右方の縦フレーム21に右端が上下移動可能に接続されている。 K サークルシート22の側面部分24及び側面部分25が一体に形成されて フレーム21の上端部分に左端が回動可能に接続され、外側から見て右方の縦フレーム21に右端が上下移動可能に接続されている。 K サークルシート22の側面部分24及び側面部分25が一体に形成されているとともに、各縦フレーム21に対して取外し可能に構成されている。 図1 図2 図3 (別紙)本件発明に関する充足論被告の主張争いの有無原告の主張被告の主張A環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠と、a1環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6つの縦フレーム11と、a2環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する8つの縦フレーム21と、否認する。 被告製品1の6つの縦フレーム11及び被告製品2の8つの縦フレーム21は、いずれも「内側に傾斜」していない。 あり本件発明において、構成要件のみならず発明の詳細な説明においても、縦枠が内側に傾斜する際の角度に限定はない。ベビーサークルにおいては、中にいる子供が上の枠をつかみ、ベビーサークルが形を崩すことが想定される。本件発明は、敢えて縦枠を内側に傾けることで、上の枠がつかまれた際、縦枠が内側に倒れ、縦枠の下部が外側に逃げる状況を作出し、他の構成要件によって、この縦枠の下部が外に逃げるという状況を回避し、ベビーサークルの形が崩れることを防ぐことにしたものである。そのため、わずかであっても「内側に傾斜」していることが肝要であり、何度以上傾斜している必要があるとの限定を加える必要はない。 被告製品は、縦フレームが内側に傾斜していることは被告も認めており、構成要件Aを充足する。 構成要件Aの「内側に傾斜」は、従来技術である特開2016-19676号公報(乙1)に開示された「内側に傾斜」と同義に解すべきであり、上記公報では、縦パイ とは被告も認めており、構成要件Aを充足する。 構成要件Aの「内側に傾斜」は、従来技術である特開2016-19676号公報(乙1)に開示された「内側に傾斜」と同義に解すべきであり、上記公報では、縦パイプがサークルの内側に向かって鉛直方向から傾く角度が5.7°以上5.9°以下に設定される例が開示されている。そうすると、本件発明の構成要件Aの、軽量型幼児用サークルにおいて幼児が内側から側面を押したときに転倒するおそれを解消する目的にも照らせば、構成要件Aの「内側に傾斜」は、全ての縦枠が、サークルの内側に向かって鉛直方向から少なくとも5°は傾いている構成をいうと解すべきである。 被告製品における「縦フレーム」は、サークルの内側に向かって鉛直方向から2°程度傾いているものが殆どであるから、構成要件Aを充足しない。 B隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シートと、b1隣り合う縦フレーム11を渡すように張られメッシュ部12を有するサークルシート13の側面部分14と、b2隣り合う縦フレーム21を渡すように張られメッシュ部22を有するサークルシート23の側面部分24と、認める。 なしC底面に位置する非伸縮性のシートと、を備え、c1底面に位置する非伸縮性のサークルシート13の底面部分15と、を備え、b3底面に位置する非伸縮性のサークルシート23の底面部分25と、を備え、認める。 なしD前記底面シートは平面視において多角形の形状を有しており、d1サークルシート13の底面部分15は平面視において六角形の形状を有しており、d2サークルシート23の底面部分25は平面視において八角形の形状を有しており、認める。 なしF 幼児用サークル。 f1 ベビーサークル10。 f2 ベビーサークル2 の形状を有しており、d2サークルシート23の底面部分25は平面視において八角形の形状を有しており、認める。 なしF 幼児用サークル。 f1 ベビーサークル10。 f2 ベビーサークル20。 認める。 なしあり構成要件Eの文言上、各縦枠の下端部分が固定される先が底面シートの多角形の頂点という一点に限定することまで内容とされるものではない。「頂点にあたる部分」とは、全体からみて頂点に相当する一帯を指すものである。すなわち、本件明細書の記載(【0004】【図面2】)からすると、底面シートの各頂点そのものが縦枠と物理的に接することまでは前提とされておらず、各縦枠の下端部分と底面シートの間にわずかな寸法の介在物を含む場合も含まれると解される。また、本件発明は、非伸縮性の底面シートと各縦枠の下端部分を連結することで、各縦枠が外側に広がることを防ぐとともに、各縦枠を底面シートの中でも特に頂点にあたる部分に固定することで正多角形に近い状態を生み、全体の形状を保つことも実現するものであるから、全体の形状を保持する効果が各縦枠を底面シートの各頂点にあたる部分に固定させる作用により導かれているような場合は「頂点にあたる部分に固定」されていると評価すべきである。 被告製品は、側面シートのメッシュとメッシュを連結する非伸縮性の補強部材から短いテープバンドが出て、縦フレームの下端部分に固定され、このテープバンドは底面シートの頂点から1cmほどしか離れていないから、縦フレームの下端部分が固定されている先は,全体からみて頂点に相当する一帯に属する。また、底面シートの非伸縮性は、非伸縮性の補強部材及び同素材上の底面シートから1cmほどの距離に固定された短いテープバンドを介し、縦フレームに作用しており、縦フレームはこの作用により外側への移動を制限される効果がある。 伸縮性は、非伸縮性の補強部材及び同素材上の底面シートから1cmほどの距離に固定された短いテープバンドを介し、縦フレームに作用しており、縦フレームはこの作用により外側への移動を制限される効果がある。したがって、被告製品は、構成要件Eを充足する。 本件発明は、「側面を内側に傾斜させた幼児用サークルは、縦枠同士がメッシュシートで連結されているとしても、メッシュシートは伸びやすいため、縦枠の下端部分が外側に広がるのを抑制することができない」との技術的課題(本件明細書【0004】)を克服するため、「各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され」(構成要件E)の構成を備えたものである。そうすると、「メッシュ部分を有する側面シート」(構成要件B)と「非伸縮性の底面シート」(構成要件C)とは明確に区別され、縦枠の下端部分に固定されているのが「底面シート」ではなく「側面シート」であるような構成は、構成要件Eからは排除されているものと解すべきである。 被告製品において、縦フレームの下端部分に固定されているのは「サークルシートの底面部分」ではなく、「サークルシートの側面部分」であるから、構成要件Eは充足されない。「側面シート」の補強部分が非伸縮性であったとしても、それが縫い付けられた「側面シート」のメッシュが伸縮性である以上、縦フレームが「底面シート」に固定された場合に比べ、メッシュが伸びた分だけ、より外側へ移動してしまうから、作用効果は異なる。 E各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されている、e16つの縦フレーム11の下端部分は前記非伸縮性のサークルシート13の底面部分15の六角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されている、e2 側への移動が制限されている、e16つの縦フレーム11の下端部分は前記非伸縮性のサークルシート13の底面部分15の六角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されている、e28つの縦フレーム21の下端部分は前記非伸縮性のサークルシート23の底面部分25の八角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されている、否認する。 被告製品1の6つの縦フレーム11の下端部分及び被告製品2の8つの縦フレーム21の下端部分は、いずれも「多角形の頂点にあたる部分に固定」されていない。 構成要件被告製品の構成被告製品の構成要件充足性原告の主張(被告製品1)原告の主張(被告製品2) (別紙)本件発明に関する無効論原告の主張 乙4動画には、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材aと、隣り合う部材aを渡すように張られメッシュ部b1を有する部材bと、底面に位置する非伸縮性の部材cと(ここで、幼児が足を取られないように部材cを非伸縮性とすることは、当業者が幼児用サークルにおける技術常識から認識できる。)、を備え、部材cは平面視において多角形の形状を有しており、各部材aの下端部は非伸縮性の部材cの多角形の頂点にあたる部分に部材dを介在して固定され外側への移動が制限されている、プレイヤードの発明が、当業者において、特別の思考を要することなく当該発明を認識しこれを実施し得る程度に開示されている。プレイヤードは本件発明の幼児用サークルに、部材aは縦枠に、部材bは側面シートに、部材cは底面シートに相当し、部材dの介在については接続テープ61が介在する態様を包含している。したがって、本件発明は、乙4動画により電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である。 原告は、無効理由1と同様、乙4動画に開示された 在については接続テープ61が介在する態様を包含している。したがって、本件発明は、乙4動画により電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である。 原告は、無効理由1と同様、乙4動画に開示された発明と本件発明とは、相違点1及び相違点2において相違すると主張するものと解されるが、無効理由1において主張したとおり、これらは相違点とはいえない。 乙4動画に開示される発明は、乙3発明の同一又は実質的に同一であり、本件発明と乙4動画に開示される発明は、少なくとも、無効理由1において主張した相違点1及び相違点2において相違する。したがって、乙4動画に開示された発明に基づいて本件発明の新規性は否定されない。 本件発明は、乙5発明と、周知事項(乙3、4、7)に基づいて当業者が容易に想到できる。 本件発明は、乙5発明及び周知事項に基づき当業者が容易に想到できるとはいえず、進歩性は否定されない。 乙5発明と本件発明の相違点縦枠(フレーム脚部)の下端部分の固定先が、本件発明では底面シートであるのに対し、乙5発明では側壁420である点原告主張の相違点①について、乙第6号証のフレームを組み込んだ乙5発明の脚部が内側に傾斜していることは明らかであり、相違点①は実際には相違点ではない。 原告主張の相違点②については、無効理由1の相違点2について主張したのと同様の理由により、相違点②は実際には相違点ではない。 1 本件発明の縦枠は内側に傾斜するのに対し、乙5発明のフレーム402は内側に傾斜しているか明らかでない点(相違点①) 2 本件発明の底面シートは非伸縮性であるのに対し、乙5発明の床410は非伸縮性であるか否か明らかでない点(相違点②)容易想到性幼児用サークルにおいて、フレーム脚部の下端部分を底面シートの多角形の頂点に当たる部分に固定することは、特許出願前における 発明の床410は非伸縮性であるか否か明らかでない点(相違点②)容易想到性幼児用サークルにおいて、フレーム脚部の下端部分を底面シートの多角形の頂点に当たる部分に固定することは、特許出願前における周知事項である(乙3、4、7)。そして、乙5発明において、当該周知事項を適用し、フレーム脚部の下端部分を床410の多角形の頂点にあたる部分に固定することは、格別の阻害要因もなく、当業者が容易になし得ることである。 乙5発明を本件発明とすることには阻害要因がある。 相違点①につき、被告が周知とする技術(乙7)は乳児用ベッドに関するものであり、本件発明とは技術分野が異なる。 相違点②につき、乙3文献及び乙4動画において、部材Cや部材cが非伸縮性であるかは明らかでなく、乙7記載の技術は本件発明とは技術分野が異なる。 乙3文献には、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材Aと、隣り合う部材Aを渡すように張られメッシュ部B1を有する部材Bと、底面に位置する非伸縮性の部材Cと(ここで、幼児が足を取られないように部材Cを非伸縮性とすることは、当業者が幼児用サークルにおける技術常識から認識できる。)、を備え、部材Cは平面視において多角形の形状を有しており、各部材Aの下端部は非伸縮性の部材Cの多角形の頂点にあたる部分に部材Dを介在して固定され外側への移動が制限されている、プレイヤードの発明が、当業者において、特別の思考を要することなく当該発明を認識しこれを実施し得る程度に記載されている。プレイヤードは本件発明の幼児用サークルに、部材Aは縦枠に、部材Bは側面シートに、部材Cは底面シートに相当し、部材Dの介在については接続テープ61が介在する態様を包含している。したがって、本件発明は、乙3発明である。 原告主張の相違点1について、乙3文献(65頁の左側の写真)の、部材Aの 底面シートに相当し、部材Dの介在については接続テープ61が介在する態様を包含している。したがって、本件発明は、乙3発明である。 原告主張の相違点1について、乙3文献(65頁の左側の写真)の、部材Aの上端部分及び下端部分の写り方からすると、部材Aが(上端側で)内側へ傾斜していることは明らかである。よって、相違点1は相違点ではない。 原告主張の相違点2について、仮に底面シートが伸縮性であると、幼児の足が取られることや、前のめりに転倒する恐れがあり危険であることから、当業者であれば、底面シートを伸縮性にすることなど考えもしないから、非伸縮性は技術常識である。底布材41が格子模様に描かれていることからいえるのは、底布材41が織布であろうということにとどまり、「底布材41はメッシュ状であり伸縮性を有する」などとはいえないし、請求項1には、「非伸縮性の程度」がなんら特定されていない。よって、部材Cを非伸縮性とすることは、当業者が幼児用サークルにおける技術常識から認識できることであり、相違点2は実際には相違点ではない。 本件発明は、乙3発明とは、以下の点において相違するから、本件発明は新規性が否定されない。 1 本件発明の縦枠は内側に傾斜するのに対し、乙3発明の部材Aは内側に傾斜しているか否か明らかでない点(相違点1) 2 本件発明の底面シートは非伸縮性であるのに対し、乙3発明の部材Cは非伸縮性であるか否か明らかでない点(相違点2)被告の乙5発明の認定は争う。 無効理由乙5発明の構成 米国特許出願公開第2004/0261174号明細書(乙5明細書)に記載の発明(乙5発明)及び周知事項に基づく進歩性欠如(争点2-3)インターネット上の動画共有サイト「YouTube」に投稿された商品「プレイヤード」の広告動画ページ(乙4動画)に開示され の発明(乙5発明)及び周知事項に基づく進歩性欠如(争点2-3)インターネット上の動画共有サイト「YouTube」に投稿された商品「プレイヤード」の広告動画ページ(乙4動画)に開示された発明に基づく新規性欠如(争点2-2)環状に配置され、それぞれが内側に傾斜するフレーム402の複数の脚部と、隣り合うフレーム脚部を渡すように張られメッシュ部を有す側壁420と、底面に位置する非伸縮性の床410(その上で動き回る幼児が足を取られないようにする必要があるから、非伸縮性とすることは、当業者が技術常識から認識できることであり、記載されているに等しい。)、を備え、床410は平面視において多角形の形状を有しており、各フレーム脚部の下端部分は側壁420の多角形の頂点にあたる部分にフラップ428を介して固定され外側への移動が制限されている、プレイヤードの発明が、当業者において、特別の思考を要することなく当該発明を認識しこれを実施し得る程度に開示されている。プレイヤードは本件発明の幼児用サークルに、フレーム脚部は縦枠に、側壁420は側面シートに、床410は底面シートに相当し、フラップ428の介在については接続テープ61が介在する態様を包含している。 被告の主張 カタログ「KATOJINEWCOLLECTION 2005」(乙3文献)記載の発明(乙3発明)に基づく新規性欠如(争点2-1)乙4動画のキャプチャ画像 (別紙)本件発明に関する無効論原告の主張原告は、アットプレスに依頼して平成29年8月1日に発明の公開を行った。 プレスリリースページ(乙9の1~3)には、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材Aと、隣り合う部材Aを渡すように張られメッシュ部B1を有する部材B(カバー)と、底面に位置する非伸縮性の部材C(マット)と(こ (乙9の1~3)には、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材Aと、隣り合う部材Aを渡すように張られメッシュ部B1を有する部材B(カバー)と、底面に位置する非伸縮性の部材C(マット)と(ここで、幼児が足を取られないように部材Cを非伸縮性とすることは、当業者が幼児用サークルにおける技術常識から認識できる。)、を備え、部材Cは平面視において多角形の形状を有しており、各部材Aの下端部は非伸縮性の部材Cの多角形の頂点にあたる部分に部材Dを介在して固定され外側への移動が制限されている、ベビーサークルの発明が、当業者において、特別の思考を要することなく当該発明を認識しこれを実施し得る程度に開示されている。 ベビーサークルは本件発明の幼児用サークルに、部材Aは縦枠に、部材Bは側面シートに、部材Cは底面シートに相当し、部材Dの介在については接続テープ61が介在する態様を包含している。 したがって、本件発明は、前記プレスリリース配信により電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるところ、原告は、同日にアットプレスにより発明が公開された事実については、新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書を提出しなかった。 よって、本件発明は前記プレスリリース配信により新規性を喪失したものである。 自社ウェブサイトへの公開(発明の新規性の例外の適用を受けるための証明書が提出されている。)と別会社のプレスリリースサイトへの公開を、密接に関連するものとはいえない。 1 原告が平成29年7月27日に自社ウェブサイトに幼児用サークルについて掲載したことにより発明が公開され、これは新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書が提出されているところ、乙9で発明を公開する行為は、前記公開行為と密接に関連しているから、改めて新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書を提出する れは新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書が提出されているところ、乙9で発明を公開する行為は、前記公開行為と密接に関連しているから、改めて新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書を提出する必要はない。 2 本件発明は、乙9で公開された発明(以下「乙9発明」という。)と以下の点で相違するから、新規性は否定されない。 (1) 本件発明の縦枠は内側に傾斜するのに対し、乙9発明の部材Aは内側に傾斜しているか否か明らかでない点(相違点ⅰ)(2) 本件発明の底面シートは非伸縮性であるのに対し、乙9発明の部材Cは非伸縮性であるか否か明らかでない点(相違点ⅱ)原告主張の相違点ⅰについて、乙9の3の写真「img_134510_8.jpg」の部材Aの上端に近い部分及び下端部分の写り方からすると、部材Aが(上端側で)内側へ傾斜していることは明らかである。よって、相違点ⅰは実際には相違点ではない。 原告主張の相違点ⅱについて、仮に底面シートが伸縮性であると、幼児の足が取られることや、前のめりに転倒する恐れがあり危険であることから、当業者であれば、底面シートを伸縮性にすることなど考えもしないから、非伸縮性は技術常識である。そもそも請求項1には、「非伸縮性の程度」がなんら特定されていない。よって、部材Cを非伸縮性とすることは、当業者が幼児用サークルにおける技術常識から認識できることであり、相違点ⅱは実際には相違点ではない。 被告は、乙3文献に掲載され、販売されたプレイヤード(本件プレイヤード)の現物を購入者から入手したところ、その分析実験報告書が乙第12号証である。 本件プレイヤードは、本件特許出願前に公然実施されたものであるところ、乙3文献記載のプレイヤードと同一の部材、形状、色彩を備え、部材Aは内側に傾斜し、部材Cは非伸縮性であることが確認されている。したがっ 件プレイヤードは、本件特許出願前に公然実施されたものであるところ、乙3文献記載のプレイヤードと同一の部材、形状、色彩を備え、部材Aは内側に傾斜し、部材Cは非伸縮性であることが確認されている。したがって、本件発明は、公然実施品である本件プレイヤードの発明と同一であるから、公然実施された発明である。 なお、各部材Aの下端部分は非伸縮性の部材Cの多角形の頂点にあたる部分に部材Dを介在して固定され外側への移動が制限されており、部材Dの介在については接続テープ61が介在する態様を包含している。また、部材Dが部材Aに対して取外しができることが確認されている。 乙第12号証に基づく無効理由の主張は、時機に後れた攻撃防御方法に当たらない。 被告は,令和4年10月31日より前に本件プレイヤードを入手していたと考えられるから、被告は、原告が無効審判事件において本件訂正に係る訂正請求書を提出する前に本件プレイヤードについて言及すべきであったにもかかわらず、原告の訂正請求の期限(本件無効審判事件の答弁書提出期限)である令和5年1月9日が経過するまで、本件プレイヤード入手の事実を伏せており、同年2月に乙第12号証を提出した。これは、原告による訂正請求の機会を奪った上で新たな証拠を後出しするものであるから、乙第12号証を証拠とする新たな無効理由の主張は、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 原告が、インターネット上のプレスリリース配信サービス「@Press」(アットプレス)に依頼して平成29年8月1日に発明の公開を行ったこと(乙9の1~3)による新規性喪失(争点2-4)公然実施品である米国GRACO社製プレイヤード(本件プレイヤード)に基づく新規性欠如(争点2-5)無効理由被告の主張ダウンロード画像の一部(乙9の3) ( 規性喪失(争点2-4)公然実施品である米国GRACO社製プレイヤード(本件プレイヤード)に基づく新規性欠如(争点2-5)無効理由被告の主張ダウンロード画像の一部(乙9の3) (別紙)本件訂正の訂正要件充足性原告の主張被告の主張①訂正の目的特許請求の範囲の減縮②実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないこと「各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープ」(構成要件X)の追加は、下記③の原告の主張のとおり、本件明細書の記載から自明であって、実質上特許請求の範囲を変更するものではない。 「各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープ」(構成要件X)の追加は、実質上特許請求の範囲を変更するものである。なぜなら、本件発明は新規性を欠くものであってなんら新しい効果を奏するものではないところ、当該部分を追加することで初めて「底面シート及び側面シートを縦枠から取り外して洗うことができ、幼児用サークルを清潔に保つことができる」という新しい効果を奏するように変わる、つまり新しい効果が無から有に変わるのであるから、当該部分の追加は発明を実質上別個の発明に変更するものにほかならないからである。 ③願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること「各縦枠の下端部分を前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限し、かつ、各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え」を追加することは、本件明細書の段落【0033】の記載(幼児用サークルが各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備えていること、及び、この接続テープが、底面シートの多角形の頂点にあたる部分を各縦枠の下端部分 書の段落【0033】の記載(幼児用サークルが各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備えていること、及び、この接続テープが、底面シートの多角形の頂点にあたる部分を各縦枠の下端部分に固定していること)、並びに、同段落【0034】の記載(各縦枠の下端部分の外側への移動が制限されるのは、各縦枠の下端部分が非伸縮性の底面シートに接続されているからであること)から自明である。 また、「前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている」(構成要件Y)を追加したが、これは本件訂正前の請求項4に記載されていたものである。 「各縦枠の下端部分を前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限し、かつ、各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープ」(構成要件X)を追加することは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正とはいえない。なぜなら、「接続テープ」が「各縦枠の下端部分の外側への移動を制限」すること、及び、接続テープの材料や特性(特に非伸縮性か否か)について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のいずれにも一切記載がないから、その材料や特性をもって「接続テープ」が「各縦枠の下端部分の外側への移動を制限」すると推認することもできないからである。 本件明細書の段落【0033】には、「幼児用サークルが各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備えていること、及び、この接続テープが、底面シートの多角形の頂点にあたる部分を各縦枠の下端部分に固定していること」が記載されるだけであり、段落【0034】には「接続テープ」に対する言及が全くないのであるから、これら2つの段落を合わせ が、底面シートの多角形の頂点にあたる部分を各縦枠の下端部分に固定していること」が記載されるだけであり、段落【0034】には「接続テープ」に対する言及が全くないのであるから、これら2つの段落を合わせてみても、「接続テープ」が「各縦枠の下端部分の外側への移動を制限」することが記載されていると解することはできない。 別紙「本件訂正発明に関する無効論」の「原告の主張」欄記載のとおり、本件訂正により無効理由は解消される。 別紙「本件訂正発明に関する無効論」の「被告の主張」欄記載のとおり、本件訂正によっても無効理由は解消されない。 別紙「本件訂正発明に関する充足論(原告の主張)」の「充足性」欄記載のとおり、被告製品1の構成a1ないしf1、x1及びy1は、本件訂正発明の構成要件AないしF、X及びYをそれぞれ充足し、被告製品2の構成a2ないしf2、x2及びy2は、本件訂正発明AないしF、X及びYをそれぞれ充足するから、被告製品は、本件訂正後の特許請求の範囲に属する。 被告製品は、本件訂正発明の構成要件A及び構成要件E(本件発明の構成要件A及び構成要件Eと同じ)を充足しないから、本件訂正後の特許請求の範囲に属しない。 被告が請求している本件無効審判事件(無効2022-800076、77)において、令和4年11月18日付け訂正請求書により訂正請求をした。 認める。 本件訂正によって無効理由が解消されること被告製品が本件訂正後の特許請求の範囲に属すること訂正の請求 (別紙)本件訂正発明に関する充足論(原告の主張)A環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の縦枠と、a1 環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6つの縦フレーム11と、a2 環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する8つの縦フレーム21と、B隣り合う縦枠を渡すように張ら 傾斜する複数の縦枠と、a1 環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する6つの縦フレーム11と、a2 環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する8つの縦フレーム21と、B隣り合う縦枠を渡すように張られメッシュ部を有する側面シートと、b1隣り合う縦フレーム11を渡すように張られメッシュ部12を有するサークルシート13の側面部分14と、b2隣り合う縦フレーム21を渡すように張られメッシュ部22を有するサークルシート23の側面部分24と、C底面に位置する非伸縮性のシートと、を備え、c1 底面に位置する非伸縮性のサークルシート13の底面部分15と、を備え、b3 底面に位置する非伸縮性のサークルシート23の底面部分25と、を備え、D前記底面シートは平面視において多角形の形状を有しており、d1サークルシート13の底面部分15は平面視において六角形の形状を有しており、d2サークルシート23の底面部分25は平面視において八角形の形状を有しており、E各縦枠の下端部分は前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、e16つの縦フレーム11の下端部分は非伸縮性のサークルシート13の底面部分15の六角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、e28つの縦フレーム21の下端部分は非伸縮性のサークルシート23の底面部分25の八角形の頂点にあたる部分に固定され外側への移動が制限されており、X各縦枠の下端部分を前記非伸縮性の底面シートの多角形の頂点にあたる部分に固定して各縦枠の下端部分の外側への移動を制限し、かつ、各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え、x16つの縦フレーム11の下端部分を非伸縮性のサークルシート13の底面部分15の六角形の頂点にあ の外側への移動を制限し、かつ、各縦枠に対して取外しできるように構成されている接続テープを備え、x16つの縦フレーム11の下端部分を非伸縮性のサークルシート13の底面部分15の六角形の頂点にあたる部分に固定して6つの縦フレーム11の下端部分の外側への移動を制限し、かつ、6つの縦フレーム11に対して取外しできるように構成されているテープバンド19を備え、x28つの縦フレーム21の下端部分を非伸縮性のサークルシート23の底面部分25の八角形の頂点にあたる部分に固定して8つの縦フレーム21の下端部分の外側への移動を制限し、かつ、8つの縦フレーム21に対して取外しできるように構成されているテープバンド29を備え、Y前記側面シート及び前記底面シートが一体に形成されているとともに、各縦枠に対して取外し可能に構成されている、y1サークルシート13の側面部分14及びサークルシート23の底面部分15が一体に形成されているとともに、6つの縦フレーム11に対して取外し可能に構成されている、y2サークルシート23の側面部分24及びサークルシート23の底面部分25が一体に形成されているとともに、8つの縦フレーム21に対して取外し可能に構成されている、F幼児用サークル。 f1ベビーサークル10。 f2ベビーサークル20。 被告製品1被告製品2構成要件(下線部が訂正部分)充足性 (別紙)本件訂正発明に関する無効論被告の主張原告の主張被告は、乙3文献に掲載され、販売されたプレイヤード(本件プレイヤード)の現物を購入者から入手したところ、その分析実験報告書が乙第12号証である。 本件プレイヤードは、本件特許出願前に公然実施されたものであるところ、「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材Aと、隣り合う部材Aを渡すように張ら の分析実験報告書が乙第12号証である。 本件プレイヤードは、本件特許出願前に公然実施されたものであるところ、「環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材Aと、隣り合う部材Aを渡すように張られメッシュ部B1を有する部材Bと、底面に位置する非伸縮性の部材Cと、を備え、部材Cは平面視において多角形の形状を有しており、各部材Aの下端部分は非伸縮性の部材Cの多角形の頂点にあたる部分に部材Dを介在して固定され外側への移動が制限されている、プレイヤード」である。そして、プレイヤードは本件訂正発明の幼児用サークルに、部材Aは縦枠に、部材Bは側面シートに、部材Cは底面シートに相当し、部材Dの介在については接続テープが介在する態様を包含している(各部材の位置関係については、別紙「本件発明に関する無効論」の無効理由5の欄の写真参照)。 したがって、本件訂正発明は、公然実施品である本件プレイヤードの発明と同一であるから、公然実施された発明である。 乙第12号証に基づく無効理由の主張は、時機に後れた攻撃防御方法に当たらない。 原告主張の相違点(1)について、本件訂正発明は接続テープの取外しの具体的手段や回数を限定しておらず、部材Gのねじを外すことにより、部材Dは部材Aに対して取外し可能である。 原告主張の相違点(2)について、上記と同様に、部材Gのねじを外すことにより、部材B及び部材Cは部材Aに対して取外し可能である。 原告主張の相違点ⅰについて、乙9の3の写真「img_134510_8.jpg」の部材Aの上端に近い部分及び下端部分の写り方からすると、部材Aが(上端側で)内側へ傾斜していることは明らかである。よって、相違点ⅰは実際には相違点ではない。 原告主張の相違点ⅱについて、仮に底面シートが伸縮性であると、幼児の足が取られることや、前のめりに転倒する恐れがあり危険である 斜していることは明らかである。よって、相違点ⅰは実際には相違点ではない。 原告主張の相違点ⅱについて、仮に底面シートが伸縮性であると、幼児の足が取られることや、前のめりに転倒する恐れがあり危険であることから、当業者であれば、底面シートを伸縮性にすることなど考えもしないから、非伸縮性は技術常識である。そもそも請求項1には、「非伸縮性の程度」が何ら特定されていない。よって、部材Cを非伸縮性とすることは、当業者が幼児用サークルにおける技術常識から認識できることであり、相違点ⅱは実際には相違点ではない。 原告主張の相違点ⅲについて、部材A、C、Dの位置関係は、乙9の各写真から特別の思考を要することなく認識しこれを実施し得る程度に分かる。また、乙9の3の写真「img_134510_5.jpg」には、部材Dが(材料名の記載はないとしても)面ファスナーを備えた分厚いものであることが図示されている。面ファスナーは、一般的に、伸縮しにくい基布に起毛されて成る。この図示情報により、部材Dは伸縮しにくいものであり、よって部材Aの下端部分の外側への移動を制限するものであることが、特別の思考を要することなく認識しこれを実施し得る程度に記載されているといえる。よって、相違点ⅲは実際には相違点ではない。 1 被告は、令和4年10月31日より前に本件プレイヤードを入手していたと考えられるから、被告は、原告が無効審判事件において本件訂正に係る訂正請求書を提出する前に本件プレイヤードについて言及すべきであったにもかかわらず、原告の訂正請求の期限(無効審判事件答弁書提出期限)である令和5年1月9日が経過するまで、本件プレイヤード入手の事実を伏せており、同年2月に乙第12号証を提出した。これは、原告による訂正請求の機会を奪った上で新たな証拠を後出しするものであるから、乙第12号証を証拠 月9日が経過するまで、本件プレイヤード入手の事実を伏せており、同年2月に乙第12号証を提出した。これは、原告による訂正請求の機会を奪った上で新たな証拠を後出しするものであるから、乙第12号証を証拠とする新たな無効理由の主張は、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 2 本件訂正発明と本件プレイヤードは、少なくとも以下の点で相違するから、本件訂正発明の新規性は否定されない。 (1) 本件訂正発明の接続テープは各縦枠に対して取外しできるように構成されているのに対し、本件プレイヤードの部材Dは部材Aに対して取外しできるように構成されていない点(相違点(1))部材Dに用いられるタッピングねじは、取外しを繰り返すような箇所には使用されないものであるし、使用者が再組立できなくなる、又は、幼児が誤飲するというリスクを冒してまで、幼児用サークルを分解して部材Dを部材Gから取り出すことは、使用者が使用時に行う作業の範囲を超えている。 (2) 本件訂正発明の側面シート及び底面シートは各縦枠に対して取外し可能に構成されているのに対し、本件プレイヤードの部材B及び部材Cは部材Aに対して取外し可能に構成されていない点(相違点(2))使用者が前記(1)のリスクを冒してまで、幼児用サークルを分解して部材B及び部材Cを部材Aから切り離すことは、使用者が使用時に行う作業の範囲を超えている。 また、本件プレイヤードは「WATERPROOF」の製品(乙4)であり、洗濯機での洗濯等は危険であるから、市販製品の一般的な意味での取外しは可能ではないというべきである。 原告は、アットプレスに依頼して平成29年8月1日に発明の公開を行った。 プレスリリースページ(乙9の1~3)には、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材Aと、隣り合う部材Aを渡すように張られメッ アットプレスに依頼して平成29年8月1日に発明の公開を行った。 プレスリリースページ(乙9の1~3)には、環状に配置され、それぞれが内側に傾斜する複数の部材Aと、隣り合う部材Aを渡すように張られメッシュ部B1を有する部材B(カバー)と、底面に位置する非伸縮性の部材C(マット)と(ここで、幼児が足を取られないように部材Cを非伸縮性とすることは、当業者が幼児用サークルにおける技術常識から認識できる。)、を備え、部材Cは平面視において多角形の形状を有しており、各部材Aの下端部は非伸縮性の部材Cの多角形の頂点にあたる部分に部材Dを介在して固定され外側への移動が制限されている、ベビーサークルの発明が、当業者において、特別の思考を要することなく当該発明を認識しこれを実施し得る程度に開示されている(各部材の位置関係については、別紙「本件発明に関する無効論」の無効理由4の欄の写真参照)。 ベビーサークルは本件訂正発明の幼児用サークルに、部材Aは縦枠に、部材Bは側面シートに、部材Cは底面シートに相当し、部材Dの介在については接続テープが介在する態様を包含している。 したがって、本件訂正発明は、前記プレスリリース配信により電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるところ、原告は、同日にアットプレスにより発明が公開された事実については、新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書を提出しなかった。よって、本件訂正発明は前記プレスリリース配信により新規性を喪失したものである。 自社ウェブサイトへの公開(発明の新規性の例外の適用を受けるための証明書が提出されている。)と別会社のプレスリリースサイトへの公開を、密接に関連するものとはいえない。 1 原告が平成29年7月27日に自社ウェブサイトに幼児用サークルについて掲載したことにより発明が公開され、これは新規性喪失の例外 のプレスリリースサイトへの公開を、密接に関連するものとはいえない。 1 原告が平成29年7月27日に自社ウェブサイトに幼児用サークルについて掲載したことにより発明が公開され、これは新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書が提出されているところ、乙9で発明を公開する行為は、前記公開行為と密接に関連しているから、改めて新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書を提出する必要はない。 2 本件訂正発明は、乙9発明と以下の点で相違するから、新規性は否定されない。 (1) 本件訂正発明の縦枠は内側に傾斜するのに対し、乙9発明の部材Aは内側に傾斜しているか否か明らかでない点(相違点ⅰ)(2) 本件訂正発明の底面シートは非伸縮性であるのに対し、乙9発明の部材Cは非伸縮性であるか否か明らかでない点(相違点ⅱ)底面シートが伸縮性だとしても危険ではないし、非伸縮性であることが技術常識ともいえない。 (3) 本件訂正発明の接続テープは各縦枠の下端部分の外側への移動を制限しているのに対し、乙9発明の部材Dは部材Aの下端部分の外側への移動を制限しているか否か明らかでない点(相違点ⅲ)実際の製品で確認しなければ、部材Dが部材Aの下端部分の外側への移動を制限するかは不明であり、乙9の写真だけではわからない。 無効理由5’公然実施品である米国GRACO社製プレイヤード(本件プレイヤード)に基づく新規性欠如4’原告が、インターネット上のプレスリリース配信サービス「@Press」(アットプレス)に依頼して平成29年8月1日に発明の公開を行ったこと(乙9)による新規性喪失 性喪失
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