令和6(わ)230 傷害致死

裁判年月日・裁判所
令和7年6月5日 福島地方裁判所 郡山支部
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判決文本文1,941 文字)

宣告日令和7年6月5日事件番号令和6年(わ)第230号事件名傷害致死 主文 被告人を懲役6年に処する。 未決勾留日数中110日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和6年11月12日午前10時頃から同日午後6時49分頃までの間に、福島県郡山市(住所省略)被告人方において、実父であるA(当時85歳)に対し、床に倒れた同人の左腰部を手に持った体重計(令和6年領第403号符号1)で数回殴り、その背部を足で1回蹴り、さらに、その後頭部を手で押して同人の前額部を床に多数回打ち付けた上、同人の左腰部付近にトイレのドアを多数回打ち当てるなどの暴行を加え、よって、前記一連の暴行により、同人に多発肋骨骨折、第9胸椎椎体骨折(右側)及び左腸骨粉砕骨折等の傷害を負わせ、同日午後7時55分頃、同市(住所省略)B病院において、同人を前記傷害に基づく出血性ショックにより死亡させた。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)被告人は、本件犯行当日昼頃、相応に重量のある体重計を強い力で被害者の腰部に両手で振り下ろし、被害者が痛みを訴えているにもかかわらず、続けて複数回殴打した。近くにあった体重計をとっさに用いたとはいえ、けがをさせる危険が高い行為であることは明らかであり、実際に被害者に 左腸骨粉砕骨折という重い傷害を負わせている。その後も、被告人は、午後3時頃には、被害者の背部を足で1回踏み付けて11か所にも及ぶ多発肋骨骨折等を生じさせ、午後6時30分頃には、既に立ち上がることができず無抵抗の被害者の頭部を床に多数回打ち付けるなどの暴行も加えた。 一連の暴行は、それぞれが危険なものである上、痛みを訴えて ぶ多発肋骨骨折等を生じさせ、午後6時30分頃には、既に立ち上がることができず無抵抗の被害者の頭部を床に多数回打ち付けるなどの暴行も加えた。 一連の暴行は、それぞれが危険なものである上、痛みを訴えて衰弱していく被害者に繰り返し執拗に行われたものであること、被告人が被害者に対し、本件犯行の約半年前から、月に二、三回の頻度で、常習的に暴力をふるっていたことも踏まえると、一層悪質といえる。実の娘である被告人から繰り返し暴行を受け、死に至る過程で被害者が受けた肉体的・精神的な苦痛は、非常に大きなものであったと考えられる。 被告人は、本件犯行に至った動機について、腎臓病を患っていた被害者にトイレで排尿をさせる必要があったところ、被告人の指示通りにトイレに行ってくれない被害者に言うことを聞かせるためであったと述べている。 被告人が、そのような目的のために、前記の危険で執拗な暴行を加えた背景には、本件当時、認知症と腎臓病にり患した被害者と同居してその介護をしていたほか、経済的に困窮する中で、障害を持ち無職の妹とその娘に対する経済的支援もしていたことなどの不安やストレスによる苛立ちが影響した側面も否定できないと考えられる。暴力に訴えることが正当化されないことは当然であるし、実際に被告人が行っていた介護の負担がさほど重いものとまではいえないこと、その負担軽減のために行政サービスや親族の助けを求めることが被告人に期待できなかったとはいえないことにも鑑みると、介護の負担等を本件で刑を大きく減じる事情として考慮することは相当ではないが、被告人が、本件当時、前記のような生活状況に置かれており、それによって追い詰められた心境にあったことについては、一定程度考慮する必要がある。 犯罪行為以外の事情をみると、被告人は、公判で罪を認め、具体的な犯 行態様 な生活状況に置かれており、それによって追い詰められた心境にあったことについては、一定程度考慮する必要がある。 犯罪行為以外の事情をみると、被告人は、公判で罪を認め、具体的な犯 行態様を素直に供述し、反省の言葉を述べている。他方で、被告人は自首をしているが、当初は虚偽の事実を述べていたこと等の経緯からすれば、これを被告人に有利な事情として考慮すべきとはいえない。 そこで、同種事案(傷害致死1件、単独犯、凶器あり、被害者の立場が親、考慮すべき前科等なし)の量刑傾向を踏まえて検討すると、本件は、暴行自体の危険性及び常習的な暴行の末の犯行であるという点で実刑事案の中で軽い部類ではない一方で、犯行に至った背景に一定の酌むべき事情もあることから、重い部類であるともいえない。そこで、犯罪行為以外の事情も考慮して、主文の刑が相当であると判断した。 (求刑-懲役8年、弁護人科刑意見-執行猶予付き判決)令和7年6月6日福島地方裁判所郡山支部 裁判長裁判官下山洋司 裁判官菊地真帆 裁判官髙田優

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