昭和55(オ)211 建物収去土地明渡等本訴、不当利益返還反訴

裁判年月日・裁判所
昭和58年3月31日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 名古屋高等裁判所 昭和50(ネ)423
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【DRY-RUN】主    文      被上告人の本訴請求中上告人A1、同A2、同A3、同A4、同A5に 対する金員請求に関する部分につき、原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。      前項の部分に関する被上告人

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判決文本文6,537 文字)

主    文      被上告人の本訴請求中上告人A1、同A2、同A3、同A4、同A5に 対する金員請求に関する部分につき、原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。      前項の部分に関する被上告人の請求を棄却する。      前記上告人らのその余の上告及び上告人A6株式会社の上告をいずれも 棄却する。      上告人A6株式会社に関する前項の部分の上告費用は同上告人の負担と し、その余の上告人らと被上告人との間の訴訟の総費用はこれを五分し、その一を 被上告人の、その余を右上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人大橋茂美、同石田新一の上告理由第一点及び第五点について  一 本件記録によれば、本件請求につき、つぎの事実を認めることができる。  1 被上告人は、原判決引用の第一審判決添付第一目録記載の土地及び同第二目 録記載の建物(以下「本件土地建物」という。)の所有権に基づいて、上告人らに 対し、本件建物から退去してこれを明け渡すことを、上告人A1、同A2、同A3、 同A4、同A5(以下「上告人A1ら」という。)に対し、原判決引用の第一審判 決添付第三目録記載の各建物(以下「係争建物」という。)を収去して本件土地の うち右建物の敷地部分を明け渡すことを、上告人A6株式会社(以下「上告会社」 という。)に対し、係争建物から退去して本件土地のうち右建物の敷地部分を明け 渡すことを、また、本件土地建物の不法占有を理由として、上告人らに対し、不法 占有後の昭和三四年八月二一日から各自の明渡義務の履行が完了するまで原判決主 文第三項記載のとおりの賃料相当損害金の支払を求めた。これに対し、上告人A1 らは、D(以下「D」という。)とE(以下「E」という。)との間の本件土地建 物に関する代物弁済予約(以下「本件代物弁済予約」という。)は清算を必要とす - 1 金の支払を求めた。これに対し、上告人A1 らは、D(以下「D」という。)とE(以下「E」という。)との間の本件土地建 物に関する代物弁済予約(以下「本件代物弁済予約」という。)は清算を必要とす - 1 - るものであり、被上告人はEとDとの間の本件代物弁済予約に基づく清算が未了で あることを熟知しながら本件土地建物を取得したものであるから、上告人A1らは、 Eに対してだけでなく、被上告人に対しても清算金の支払を請求することができ、 E又は被上告人が右清算金を支払うまで本件土地建物の明渡義務及び賃料相当損害 金の支払義務の履行を拒絶する旨を主張した。  2 これに対して原審は、つぎの事実を確定した。  (一) Eは、昭和三一年一〇月二八日Dに対し、一〇〇万円を利息月二分五厘の 約束で弁済期を定めずに貸し付け(以下「本件貸金債権」という。)、その際、同 人との間で右債権の担保のため本件土地建物について本件代物弁済予約及び抵当権 設定契約を締結し、これらを登記原因として右土地建物について停止条件付所有権 移転請求権保全仮登記及び抵当権設定登記を経由した。  (二) しかし、Eは、昭和三二年三月頃Dが事業不振のため本件貸金債権につい ての利息さえも支払えない状況に陥つたので、Dから前記一〇〇万円の弁済を受け られるかどうかについて不安となり、同月二二日本件貸金債権の担保を更に確実な ものとする目的で、Dに対して本件代物弁済予約の完結権を行使し、同月二五日本 件土地建物について前記仮登記の本登記を経由したが、Dは、その後二年四か月余 りを経過した昭和三四年八月に至つても右の元利金を返済することができない状態 にあつた。  (三) そこでDは、同月一八日頃Eとの間で、自己のEに対する前記借受金債務 の弁済に代えて本件土地建物の所有権を確定的にEに移転させ、これにより右債務 を消滅させる ることができない状態 にあつた。  (三) そこでDは、同月一八日頃Eとの間で、自己のEに対する前記借受金債務 の弁済に代えて本件土地建物の所有権を確定的にEに移転させ、これにより右債務 を消滅させる旨合意し(以下「本件合意」という。)、Dにおいて、本件代物弁済 予約の完結権が行使されたことによつて本件土地建物がEの所有に帰したことを認 める、Dは本件土地建物の取戻権を失いEがこれを処分することに異議がない旨を 確認した。 - 2 -  (四) 被上告人は、同月二〇日Eから本件土地建物を代金一八〇万円で買い受け、 同日所有権移転登記を経由したが、当時、本件土地建物に対してFらのために後順 位の抵当権設定登記が経由されていた等の理由でEに対して右代金の内金一〇〇万 円を支払つたにすぎないし、また、本件土地建物はEが本件貸金債権の代物弁済と してこれを取得したものであり、かつ、EがDに対して交付すべき清算金を支払つ ていないことを知つていた。  (五) Dは、昭和四四年五月二日死亡し、上告人A1らがDの権利義務一切を相 続した。  3 そして、原審は、右事実関係のもとにおいて、  (一) 上告人らは被上告人に対して本件土地建物を明け渡すべき義務があるとこ ろ、EはDに対して本件土地建物の処分時の価額と本件貸金債権の元利合計額との 差額三八六万九三五七円を清算金として支払うべき義務があり、被上告人はEと同 一の地位にあるというべきであるから、上告人A1らは、E及び被上告人のいずれ に対しても、清算金の支払を受けるまで本件土地建物の明渡しを拒むことができ、 したがつて、被上告人から清算金三八六万九三五七円の支払を受けるのと引換えに、 各自本件建物から退去してこれを明け渡し、かつ、係争建物を収去して右建物の敷 地部分を明け渡すべき義務がある旨判断し、被上告人の本件土地建物及び係争建物 金三八六万九三五七円の支払を受けるのと引換えに、 各自本件建物から退去してこれを明け渡し、かつ、係争建物を収去して右建物の敷 地部分を明け渡すべき義務がある旨判断し、被上告人の本件土地建物及び係争建物 に関する請求につき、上告人A1らについては右の限度で認容すべきであるとし、 上告会社については全部認容すべきであるとし、また、  (二) 上告人らは、被上告人が本件土地建物の所有権を取得した日の翌日である 昭和三四年八月二一日から本件土地建物を権原なくして不法に占有しているもので あるから、各自の明渡義務が完了するまで被上告人主張の賃料相当損害金の支払義 務があると判断し、この点についての被上告人の請求を全部認容すべきであるとし ている。 - 3 -  二 そこで、まず、上告理由第一点において本件土地建物の明渡義務の存否に関 する違法をいう部分について検討する。  1 原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、EとDとの間の本件合意 は、代物弁済予約形式の担保の清算方法の合意としてその効力を否定すべき理由は ないから、Eが右合意に基づき本件土地建物の所有権を確定的に取得したのちは、 もはや上告人A1らは被担保債務の弁済によつて本件土地建物を取り戻すことはで きなくなつたものというべきである。したがつて、所論の弁済の提供等は、被上告 人の本件土地建物についての所有権取得に影響を及ぼす理由とはなりえない。所論 中、原判決が、被上告人において清算金支払義務の関係につきEと同一の地位にあ る旨判示していることをとらえて、右清算金が支払われるまでは右の取戻しをする ことができることとなるべき理である旨をいう部分は、後記判示の点を措いても、 原判決の趣旨を正解せず、原審の認定しない事実に基づくか、又は独自の見解に立 つ主張というほかはない。なお、上告人らは、原審において、被上告人とD るべき理である旨をいう部分は、後記判示の点を措いても、 原判決の趣旨を正解せず、原審の認定しない事実に基づくか、又は独自の見解に立 つ主張というほかはない。なお、上告人らは、原審において、被上告人とDとの間 において債権者の交替による更改契約が成立したことを前提として所論弁済の提供 等を主張したものにすぎないところ、原審は右更改契約の締結の事実が認められな い旨判断しており、右認定判断は原判決挙示の証拠関係によつて是認することがで き、その過程に所論の違法はない。この点に関して弁済の提供等についての判断遺 脱等をいう所論は、前提を欠く。論旨は、採用することができない。  2 しかしながら、職権をもつて調査するのに、前記認定の事実によれば、Eは、 Dとの間の本件合意に基づき本件土地建物につき確定的に所有権を取得して更に被 上告人にこれを譲渡したのであるから、被上告人はこれによつて本件土地建物につ き担保権の実行に伴う清算関係とは切り離された完全な所有権を取得したものとい うべきであり、たとい被上告人において、EのDに対する右清算金の支払が未了で あることを知りながら本件土地建物を買い受けたものであつても、そのために右の - 4 - ような被上告人による所有権取得が妨げられ、清算金の支払義務と結びついた本件 土地建物の所有者としてのEの法律上の地位をそのまま承継するにとどまるものと 解さなければならない理由はないというべきである。そうすると、被上告人とEと の間で重畳的債務引受の合意がされるなどの特段の事情がない限り、上告人A1ら は被上告人に対して清算金の支払請求権を有するものではないから、原審が、上告 人A1らはEに対するのと同様に被上告人に対しても清算金支払請求権を有すると し、これを前提として上告人A1らが被上告人から清算金の支払を受けるまで本件 土地建物の明渡しを拒む はないから、原審が、上告 人A1らはEに対するのと同様に被上告人に対しても清算金支払請求権を有すると し、これを前提として上告人A1らが被上告人から清算金の支払を受けるまで本件 土地建物の明渡しを拒むことができるとした点には、法令の解釈適用を誤つた違法 があるというべきである。  もつとも、被上告人の上告人A1らに対する本件土地建物の明渡請求は、所有権 に基づく物権的請求権によるものであるところ、上告人A1らのEに対する清算金 支払請求権は、Eによる本件土地建物の所有権の取得とともに同一の物である右土 地建物に関する本件代物弁済予約から生じた債権であるから、民法二九五条の規定 により、上告人A1らは、Eに対してはもとより、同人から本件土地建物を譲り受 けた被上告人に対しても、Eから清算金の支払を受けるまで、本件土地建物につき 留置権を行使してその明渡しを拒絶することができる関係にあるといわなければな らない(最高裁昭和三四年(オ)第一二二七号同三八年二月一九日第三小法廷判決・ 裁判集民事六四号四七三頁、同昭和四五年(オ)一〇五五号同四七年一一月一六日 第一小法廷判決・民集二六巻九号一六一九頁参照)。そして、被上告人又はEが清 算金を支払うまで本件土地建物の明渡義務の履行を拒絶する旨の前記上告人A1ら の主張は、単に同上告人らの本件土地明渡義務と右清算金支払義務とが同時履行関 係にある旨の抗弁権を援用したにとどまらず、被上告人の本件土地建物明渡請求に 対して、清算金支払請求権を被担保債権とする留置権が存在する旨の抗弁をも主張 したものとみることができるから、本件においては上告人A1らの右留置権の抗弁 - 5 - を採用して引換給付の判決をすることができたわけである。しかし、この場合には、 被上告人は上告人A1らに対して清算金支払義務を負つているわけではないから、 被上告人によ 1らの右留置権の抗弁 - 5 - を採用して引換給付の判決をすることができたわけである。しかし、この場合には、 被上告人は上告人A1らに対して清算金支払義務を負つているわけではないから、 被上告人による清算金の支払と引換えにではなく、Eから清算金の支払を受けるの と引換えに本件土地建物の明渡しを命ずべきものであり、したがつて、これと異な り、被上告人からの清算金の支払と引換えに本件土地建物の明渡しを命じた原判決 には、結局、法令の解釈適用を誤つた違法があるというべきであるが、原判決を右 の趣旨に基づいて変更することは、上告人A1らに不利益をきたすことが明らかで あるから、民訴法三九六条、三八五条により、この点に関する原判決を維持するこ ととする。  三 つぎに、上告理由第五点において賃料相当額の損害賠償義務に関する違法を いう部分について検討する。  1 所論中、上告会社に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照ら して正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審 において主張しない事項に基づいて原判決を非難するか、又は原判決を正解しない でその違法をいうものにすぎず、採用することができない。  2 所論中、上告人A1らに関する部分についてみるのに、前述のとおり、上告 人A1らは、被上告人の本件土地建物の明渡請求に対して留置権を行使することが でき、Eから清算金の支払を受けるまで本件土地建物の占有を継続することになん ら違法はないのであるから、右占有の継続が違法であることを理由とする賃料相当 損害金の支払請求は失当として棄却すべきである。しかるに、原審がなんら首肯す るに足りる理由なくして被上告人の上告人A1らに対する金員請求を認容した点に は、民法七〇九条、二九五条の解釈適用を誤つた違法があるといわなければならず、 右違法が原判決に影響を に、原審がなんら首肯す るに足りる理由なくして被上告人の上告人A1らに対する金員請求を認容した点に は、民法七〇九条、二九五条の解釈適用を誤つた違法があるといわなければならず、 右違法が原判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、論旨は理由がある。それ ゆえ、被上告人の上告人A1らに対する金員請求に関する部分(第一審における請 - 6 - 求部分及び原審における附帯控訴に基づく新たな請求部分)につき、原判決を破棄 し、第一審における請求部分を認容した第一審判決を取り消したうえ、右請求部分 全部について請求を棄却すべきである。  同第二点について  原審が適法に確定した事実関係のもとにおいて、清算金についての所論の点に関 する原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。 所論引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。論旨は、原判決を正解しない でその違法をいうか、又は原審の認定しない事項に基づいて原判決の不当をいうも のにすぎず、採用することができない。  同第三点について  原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、係争建物につき法定地上権の 成立する余地がないとした原審の判断は、結論において正当として是認することが できる。論旨は、採用することができない。  よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八四条、九六条、九五条、九 三条、九二条、八九条の規定に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決 する。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    団   藤   重   光             裁判官    藤   崎   萬   里             裁判官    中   村   治   朗             裁判官    谷   口   正   孝             裁判官      藤   崎   萬   里             裁判官    中   村   治   朗             裁判官    谷   口   正   孝             裁判官    和   田   誠   一 - 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