- 1 -主文 被告は,α湯財産区管理者として,Aに対し,5万5000円及びこれに対する平成19年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求をせよ。 被告が,α湯財産区管理者として,目的外使用許可をしていないにもかかわらず湯区に無償でB温泉会館を使用させてα湯財産区財産の管理を怠っていることは違法であることを確認する。 原告らの訴えのうち,被告が湯財産区財産管理につき,地方自治法に違反し条例の定めもなく湯財産区の執行補助者を任用又は雇用していることは湯財産区財産の管理を怠るものであることの確認を求める部分及びα湯財産区職員の職の廃止を求める部分を却下する。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用はこれを50分し,その3を被告の負担とし,その余を原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告は,α湯財産区管理者として,Aに対し,1968万5000円及びこれに対する平成19年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求をせよ。 被告は,α湯財産区管理者として,Cに対し,7万7000円及び平成19年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求をせよ。 被告が湯財産区財産管理につき,地方自治法に違反し条例の定めもなく湯財産区の執行補助者を任用又は雇用していることは湯財産区財産の管理を怠るものであることを確認する。 被告は,湯財産区職員の職を廃止せよ。 - 2 - 被告は,湯財産区職員として任用又は雇用しているD,E,F,G,Hに対する俸給その他各種手当金,共済費,報酬金,報償金等一切の給与の支払を停止せよ。 主文2項同旨。 第2事案の概要本件は,兵庫県美方郡αの住民である原告らが,地方自治法(以下「法」という)242条の2第1 他各種手当金,共済費,報酬金,報償金等一切の給与の支払を停止せよ。 主文2項同旨。 第2事案の概要本件は,兵庫県美方郡αの住民である原告らが,地方自治法(以下「法」という)242条の2第1項1号,3号,4号本文に基づき,α湯財産区(以。 下「湯財産区」という)の管理者である被告に対し,財産区が固有の職員を。 ,,,,,(,採用することができないにもかかわらずDEFGHI及びJ以下姓のみで表記し,7名を併せて「Dら」という)を湯財産区固有の職員とし。 て採用し,その給与等を支払ったことで湯財産区に損害を与えた,平成18年度に湯財産区がAに管理者報酬を,Cに会計事務報償金をそれぞれ支給していることが法204条の2に反するものであり,湯財産区に損害を与えた,平成18年度に湯財産区が湯区及びK奉賛会に公金を支出しているのは違法な支出であるなどとして,①被告に,A及びCに対し,損害賠償請求をすることの義務付け,②被告が湯財産区管理者として,Dらを違法に任用又は雇用し,不動産及び温泉権等公有財産の管理を委ねることが湯財産区の財政負担を来し,財産の管理を怠るものであるとして,法242条の2第1項3号に基づく怠る事実の確認,③湯財産区職員の職の廃止,④D,E,F,G及びHに対する給与等の差止め,⑤温泉会館を湯区に使用させていることが湯財産区財産の管理を怠ることの違法確認を求める事案である。 争いのない事実及び容易に認定できる事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない)。 ( )原告らは,普通地方公共団体であるαの住民である。 ( )被告は,αの長であり,同町の一部を区域とする財産区である湯財産区 の管理者(代表者)である。 - 3 -( )湯財産区は,温泉等の財産を有し,各ホテル,旅館及び一般 の住民である。 ( )被告は,αの長であり,同町の一部を区域とする財産区である湯財産区 の管理者(代表者)である。 - 3 -( )湯財産区は,温泉等の財産を有し,各ホテル,旅館及び一般家庭への配 湯,並びに公衆の入浴,休息及び集会等の用に供する施設であるB温泉会館(○○。以下「温泉会館」という)の設置運営等の事業を行っている(甲。 3の1・2,9,12,弁論の全趣旨。湯財産区には,議会が設置されて)いる(乙1。 )( )Aは,平成17年11月13日から現在までα長(被告)の地位にある (弁論の全趣旨。 )( )Cは,平成17年11月24日から平成19年3月31日までα助役の ,()。 地位にあり湯財産区の会計事務を掌理していた者である弁論の全趣旨( )湯財産区は,平成18年度に,Aに対し,管理者報酬として5万500 0円を,Cに対し,会計事務報償金として7万7000円をそれぞれ支給した(甲3の1,弁論の全趣旨。 )なお,αは,法294条3項,209条2項,α特別会計条例1条9号に基づき,湯財産区の収入及び支出につき特別会計(湯財産区特別会計。 「」以下,単に「特別会計」というときは,湯財産区特別会計を指す)を設置。 して経理している(乙3。 )( )Cは,平成19年4月16日,湯財産区に対し,平成18年度会計事務 報償金7万7000円を返還した(乙5。 )( )湯財産区は,平成18年度に,湯区自治会に対し195万円を,K奉賛 ,(,)。 会に対し140万円をそれぞれ支出した甲3の1・2弁論の全趣旨前記支出の予算上の分類は「繰出金」である(甲3の1・2。 )( )湯区は,α内の一定の区域の住民を構成員とする自治団体である(弁論 の全趣旨。被告は,以前から,湯区が温泉会 ・2弁論の全趣旨前記支出の予算上の分類は「繰出金」である(甲3の1・2。 )( )湯区は,α内の一定の区域の住民を構成員とする自治団体である(弁論 の全趣旨。被告は,以前から,湯区が温泉会館の一部を無償で使用するこ)とを容認しているが,湯財産区管理者として目的外使用許可処分はしていない。 (10)原告らは,平成19年4月18日,α監査委員に対し,Aは,違法に執- 4 -行補助者を任用又は雇用し,給与等を違法に支出し,湯財産区に損害を生ぜしめている,A及びCは,法204条の2に違反する報酬・報償金を受領した,Aは,湯財産区特別会計から他団体に法令上の根拠なく不当に公金を支出した,Aは,公の施設である温泉会館を湯区に違法に使用させているなどとして,当該措置の違法確認及び損害賠償の請求等を求める監査請求をした(以下「本件監査請求」という。甲1。 )(11)α監査委員は,同年6月15日付けで,原告らに対し,本件監査請求について,監査委員の合議が整わず合議不調となった旨の通知を発し,同通知は同月18日ころ,原告らに届いた(甲2,弁論の全趣旨。 )(12)原告らは,同年7月13日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著。 ) 争点 本件の争点は以下のとおりである。 (1)Dらが湯財産区固有の職員として採用されており,Dらに対する給与等の支払が損害となり,また,Dらに対する給与等の支払差止めが認められるか(争点1)(2)湯財産区職員の廃止を求める訴えの適法性(争点2)(3)湯財産区からのAに対する管理者報酬及びCに対する会計事務報償金の支給の適法性(争点3)()(4)湯財産区からの湯区自治会及びK奉賛会に対する支出の適法性争点4(5)湯区が目的外使用許可を得ることなく温泉会館(○○)を使用していることは,被告が 金の支給の適法性(争点3)()(4)湯財産区からの湯区自治会及びK奉賛会に対する支出の適法性争点4(5)湯区が目的外使用許可を得ることなく温泉会館(○○)を使用していることは,被告が行政財産の管理を違法に怠ることになるか(争点5) 争点に関する当事者の主張( )争点1について (原告らの主張)ア財産区とは,普通地方公共団体の一部を区域とし,その有する財産又はその設置する公の施設の管理及び処分又は廃止を専らとする特別地方公共- 5 -団体である。財産区は,その固有の組織を有しないため,当該普通地方公共団体の長が管理者となり,その執行の補助は当該普通地方公共団体の職員をもって充てられる。 ,,イAは財産区が財産区固有の職員を持つことができないにもかかわらずDらを湯財産区の運営の補助に充てたことは,湯区財産管理者の職にあるα長が,違法に湯財産区の執行補助者を任用又は雇用しているものであり違法である。 ウ平成18年度特別会計予算及び特別会計補正予算によれば,一般管理費として職員1人分の給料等が計上されており,平成18年度特別会計歳入歳出決算書でも職員1人分の給料等が決算報告されており,湯財産区が一般職員1人を雇用していることは明らかである。また,上記予算及び決算書記載の金額はDの平成18年度の所得税源泉徴収簿に記載された金額とほぼ一致しており,上記職員がDであることは明らかである。 エE,F,G,H及びIらが臨時的任用に係る職員であるとしても,α職員の臨時的任用に関する規則及び平成18年度α事務分掌表によれば,同,。 人らが採用された形跡はなく同人らがα職員でないことは明らかであるまた,Dについても同事務分掌表に記載されていない。 オ湯財産区管理者であるAは,違法な任用又は雇用により,Dらに対する給料 ,。 人らが採用された形跡はなく同人らがα職員でないことは明らかであるまた,Dについても同事務分掌表に記載されていない。 オ湯財産区管理者であるAは,違法な任用又は雇用により,Dらに対する給料等合計1628万円を違法に支出し,湯財産区に同額の損害を与えたから,その損害を賠償すべきである。 カαの職員の人件費は,湯財産区にとって法294条2項にいう「特に要する経費」には該当しない。 (被告の主張)ア湯財産区が職員を独自に採用しているわけではなく,αが採用した職員が湯財産区の業務に従事している。 イDは,α職員定数条例に含まれる職員であり,E,F,G,H,I及び- 6 -Jは同条例外の非常勤嘱託職員である。 ウ特別会計への人件費の計上は,法294条2項に基づき,経費として湯財産区が負担しているためであり,湯財産区が独自に職員を採用しているものではない。 エ平成18年度事務分掌表は町議会議員や一部の管理職員に対して,各職員の事務分掌を明らかにするため配付しているものであるが,飽くまで職務遂行上の便宜を図るため作成しているものであり,すべての職員を記載しなければならない性質のものではない。 ( )争点2について (原告らの主張),,被告は財産区が財産区固有の職員を持つことができないにもかかわらずDらを湯財産区の職員として任用又は雇用しているから,湯財産区職員の職の廃止を求める。 (被告の主張)争う。 (3)争点3について(原告らの主張)普通地方公共団体がその職員に対して支給する給与その他の給付は法律にその根拠を有するか又は法律に基づく条例によって支給する場合に限定されるものであり,それ以外の給与その他の給付の支給は地方自治法204条の2により禁じられている。ところが,平成18年度に,湯財産区からAに対し,管理者 は法律に基づく条例によって支給する場合に限定されるものであり,それ以外の給与その他の給付の支給は地方自治法204条の2により禁じられている。ところが,平成18年度に,湯財産区からAに対し,管理者報酬5万5000円が,Cに対し,会計事務報償金として7万7000円がそれぞれ支給されているが,これらは法律又は条例に基づかない違法な報酬であり,湯財産区に損害が生じているから,A及びCは,湯財産区に対し,その損害を賠償すべきである。 (被告の主張)- 7 -ア湯財産区からのAに対する報酬は,湯財産区議会の議決に基づき支払われているものであり,湯財産区議会設置条例には,同議会の議決事項として経費負担に関することが挙げられている。湯財産区管理者及び湯財産区会計担当者に対しては,その労に報いるため,旧来からの慣習として,湯財産区議会の議決を経た上で,経費として管理者報酬及び会計事務報償金を支給している。この支給については,湯財産区議会の議決を経ている以上,給与条例主義の趣旨に反するものではない。 イこの取扱いは,遅くとも戦後現行地方自治制度確立のころからの慣習としてなされていたものであると考えられ,Aのみならず先代までの町長も同様の取扱いをなしてきたものである。 ウ前記第2,1,( )のとおり,Cは前記会計事務報償金7万7000円 を返還している。 (4)争点4について(原告らの主張)L護持会,自治区としての湯区は,湯財産区とは別個の団体であり,湯財産区が他団体に繰出金を繰り出しすべき法律上の原因はない。湯財産区が,条例上の根拠なく他団体に支出することは一切許されない。Aが当該団体会計に繰り出したことは違法な公金支出であり,湯財産区に合計335万円の損害を生ぜしめたから,Aは湯財産区にその損害を賠償すべきである。 (被告の主張)ア 出することは一切許されない。Aが当該団体会計に繰り出したことは違法な公金支出であり,湯財産区に合計335万円の損害を生ぜしめたから,Aは湯財産区にその損害を賠償すべきである。 (被告の主張)ア財産区は,近世の生活共同体であると同時に行政単位であった各村落共同体が市制・町村制の施行により合併が促進される際にその各々の公有財産を処置するための便法として設定されたものをその起源としているのであり,湯財産区もその一つといってよい。近世の生活共同体である村落においては,近代的所有権の概念はいまだ採用されておらず,温泉は村落のいわば総有的な存在としてあった。湯財産区の場合,元々が村落と一体で- 8 -あったはずの温泉等の財産が近代市制・町村制の施行に伴った合併を促進させるためにやむなく財産区とされた経緯がある。このため,湯財産区の構成員は自治区としての湯区住民と同一であり,湯区住民となることにより湯財産区構成員たる地位及び権利義務を当然に取得することとなっている。湯財産区はその運営にあたって,自治区としての湯区に対する配慮が必要不可欠であるから,湯財産区の運営に関する違法性の判断は,上記の事情を踏まえて慎重になされるべきである。 イ戦前,湯財産区所有地に地蔵尊を設置・管理していたが,昭和40年ころに湯財産区が管理を依頼されいったんは湯財産区が管理することとなったが,政教分離の観点から好ましくない旨の指摘を受けたため,それ以降管理することとなったのがL護持会である。L護持会は,会という名称で地蔵尊及び賽銭等の維持管理にあたっているが,実際は,自治区としての湯区がこれにあたっている。同会の活動は,湯財産区の財産の管理・処分及びその経費負担に関するものであり,湯財産区議会の議決を経てなされた支出に違法性はない。 ウK奉賛会は,湧出する温泉を としての湯区がこれにあたっている。同会の活動は,湯財産区の財産の管理・処分及びその経費負担に関するものであり,湯財産区議会の議決を経てなされた支出に違法性はない。 ウK奉賛会は,湧出する温泉を発見した慈覚大師を祭ることによりその恵みに感謝する趣旨で旧村落共同体であるBにおいて連綿と続けられていた。 ,祭りを主催する団体である同団体を構成するのは湯区構成員全員であり祭りの振興及び湯区住民の厚生と文化の向上並びに親睦を図ることを目的としている。この祭りは湯財産区所有のLに対する感謝をその趣旨とするものであるから,湯財産区と深く関係し,湯区住民は湯財産区構成員と一致することから,財産の管理・処分及び経費負担に関するものとして,湯財産区議会の議決を経た上で支出している。 (5)争点5について(原告らの主張)湯財産区所有の公の施設たる温泉会館については温泉会館設置管理条例が- 9 -定めるところであり,財産区の有する行政財産として湯財産区民の公衆浴場として利用に供されている。しかし,自治区である湯区が湯財産区の公の施設たる温泉会館を事務所として使用している実態が長期にわたり継続している。被告が目的外使用許可を与えていないのに,自治区である湯区の使用が継続していることは,被告が行政財産の管理を怠るものである。 (被告の主張)湯財産区は,自治区としての湯区と湯財産区との歴史的経緯を踏まえた密接な関連性に基づき,湯区に温泉会館を使用させている。 第3当裁判所の判断 前記第1,1の請求のうちDらに対する給与等相当額の賠償請求の義務付けを求める部分及び同第1,5の請求(争点1)について(1)財産区は,固有の執行機関を有せず,財産区をその一部とする市町村等の長が当該財産区の執行機関としての権能を行使し,その事務処理の補助も当該市町村等 部分及び同第1,5の請求(争点1)について(1)財産区は,固有の執行機関を有せず,財産区をその一部とする市町村等の長が当該財産区の執行機関としての権能を行使し,その事務処理の補助も当該市町村等の職員が行い,原則として,財産区に固有の職員を置くことはできない。 原告らは,Dらが湯財産区固有の職員であると主張するので,以下この点について検討する。 (2)証拠(甲3の1,7,乙6,9,10ないし18,21)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア昭和57年4月1日付け辞令にDを事務吏員に任命する旨の記載及び任命者として「湯財産区管理者β長M」との記載がある。 イ平成18年4月1日付けでDの現職が事務吏員であり行政職2級41号給を給する旨の記載及び発令者として「α湯財産区管理者α町長A」との記載がある人事異動通知書が存在する。同日付けで,Fに湯財産区事務員を嘱託する旨の記載,H,G及びIに湯財産区温泉会館浴場員を嘱託する旨の記載及び委託者として「α湯財産区管理者α長A」との記載があ- 10 -る各人事異動通知書が存在する。 ウ平成18年1月に起案されたαの文書にDに行政職3級11号給を支給し,F,H,G,Iを継続雇用して湯財産区事務員又は湯財産区温泉会館浴場員を嘱託する旨記載されている。 エ平成17年9月21日に起案されたαの文書に,同年10月1日発令としてEにB温泉会館館長を,Fに湯財産区事務員を(期間平成18年3月31日まで,H,G及びIに湯財産区B温泉会館浴場員を(期間前同日)まで)それぞれ嘱託し,Dに行政職3級10号給を支給する旨の記載がある。 オαの平成18年度事務分掌表には,Dらの氏名は記載されていない。 カ平成18年度特別会計予算の歳出中「温泉配湯事業費(款「温泉,」),配湯管理費( 級10号給を支給する旨の記載がある。 オαの平成18年度事務分掌表には,Dらの氏名は記載されていない。 カ平成18年度特別会計予算の歳出中「温泉配湯事業費(款「温泉,」),配湯管理費(項「一般管理費(目)に「給料(職員給料1人)3」),」,」05万6000円「職員手当等(扶養手当,期末手当,勤勉手当等),」191万1000円及び共済費80万6000円が計上され,同年度の特別会計の決算書にもほぼ同一の歳出が報告されている。前記給料,職員手当等及び共済費は,Dに係る分である。 キαは,平成18年,Dの給与から所得税の源泉徴収をした。 クDらは,現に湯財産区に係る職務のみに従事している。 (3)ア前記(2),ア,イ認定のとおり,辞令及び人事異動通知書に発令者として「湯財産区管理者」と記載されていることにより,Dらが湯財産区の職員として任用されたとの疑いが生ずることは否めないが,前記(2),ウ,エ,キの各事実も勘案すると,上記湯財産区職員としての任用の事実を認めるのは困難であり,むしろ,αの職員又は嘱託職員として任用されている可能性が高いというべきである。 イ前記( ),カ認定のとおり,湯財産区の会計書類上,Dの給与を同財産 (,,,区から支出する又は支出した旨の記載があるが同会計書類にはFH- 11 -G及びIの報酬も湯財産区の総務費及び温泉会館事業費から支出されたことを窺わせる記載もある(甲3の1,財産区の事務に従事させるため)。)置かれた職員は,市町村等が財産区の事務を処理するため特に設置したものと解されるから,同職員の給与等は「特に要する経費(法294条2」),,,項に当たると解するのが相当であり前記( )ク認定事実からすると Dらがαの職員であっても,湯財産区が ものと解されるから,同職員の給与等は「特に要する経費(法294条2」),,,項に当たると解するのが相当であり前記( )ク認定事実からすると Dらがαの職員であっても,湯財産区がその給与及び報酬を負担することは法的に説明可能であるから,前記給与等負担の事実をもってDらが湯財産区の職員であることの証左ということはできない。 ウまた,前記( ),オ認定の事務分掌表の記載の点は,事務分掌表が各職 員の事務分掌を明らかにするための内部的な文書であること(弁論の全趣旨)にかんがみれば,すべての職員を事務分掌表に記載していないとしても,一概に不自然不合理といえないから,Dらの氏名が事務分掌表に記載されていないことをもって,Dらがαの職員ではなく湯財産区の職員であるということはできない。 エ原告は,湯財産区嘱託職員を湯区が募集している旨主張し,証拠(甲13(作成者を確定できないため存在自体を証拠とする)によれば,湯。)財産区が嘱託職員(浴場員)を募集するとして,募集要綱を記載し,問い合わせは湯区事務所にするよう付記した「湯財産区嘱託職員の募集について」と題する平成20年1月21日付けの書面が存在することが認められる。しかし,湯区又は湯財産区が,湯財産区の職務に従事するαの嘱託職員募集についての広報活動を行うことは不自然ではなく,また,湯区事務所を問い合わせ先とした点も,それ自体の適法性はここでは措くとして,(,,αでは湯財産区の事務処理を湯区の区長に嘱託等している甲2乙1819)ことからすると了解できる。したがって,前記募集書面の存在がDらが湯財産区の職員であることの証左であるとはいえない。 オ他に,Dらが湯財産区の職員であることを認めるに足りる証拠はない。 - 12 -(4)したがって,Dらが湯財産区の職員で 集書面の存在がDらが湯財産区の職員であることの証左であるとはいえない。 オ他に,Dらが湯財産区の職員であることを認めるに足りる証拠はない。 - 12 -(4)したがって,Dらが湯財産区の職員であると認められない以上,原告らの請求のうち,Dらが湯財産区固有の職員であることを前提に,Dらに対する給与等の支払の差止めを求める部分及び既にDらに支払われた給与等が違法であるとしてAに対する損害賠償を求める部分はいずれも前提が誤っており,失当である。 前記第1,3の請求について前記第1,3の請求は,法242条の2第1項3号に基づき,被告が湯財産区の執行補助者を任用していることが湯財産区財産の管理を怠るものであることの確認を求めるというものであるが,地方自治体の職員の任用は財産(法237条1項)の管理行為ではない。この点につき,原告らは,前記第2冒頭記載のとおり,Dらを違法に任用又は雇用し,不動産及び温泉権等公有財産の管理を委ねることが湯財産区の財政負担を来し,財産の管理を怠るものであると主張する。違法に採用した職員が公有財産の管理に従事することによりいかなる財政負担が財産区に来されるのか理解できないが,この点を措くとしても,法242条の2第1項3号の請求は「怠る事実」を対象とするところ,原告,のいう怠る事実は,結局,被告の違法な職員採用により公有財産に関し「財政負担」が発生するということ以外にはないことになるが,そこには職員採用という被告の作為はあっても不作為はなく「怠る事実」に当たるものはない。 ,したがって,前記第1,3の訴えは「怠る事実」を対象とするものではな,いから,法242条の2第1項3号所定の訴えに該当せず,不適法である。 前記第1,4の請求(争点2)について原告らの請求のうち,前記第1,4の請求の理由・根拠は必ずし 」を対象とするものではな,いから,法242条の2第1項3号所定の訴えに該当せず,不適法である。 前記第1,4の請求(争点2)について原告らの請求のうち,前記第1,4の請求の理由・根拠は必ずしも明らかでないが,原告らが住民訴訟として本件訴えを提起している以上,同請求は,住民訴訟として湯財産区職員の職の廃止を求めているものと解するほかない。以下そのような理解の下に検討する。 住民訴訟は民衆訴訟であり,民衆訴訟は法律に定める場合において,法律に- 13 -定める者に限り提起することができるところ(行政事件訴訟法42条,住民)訴訟については,法242条の2第1項各号所定の類型の訴えが定められている。しかし,地方公共団体の長(財産区管理者)を被告とする住民訴訟において,当該地方公共団体内に存在する財産区の職員の職(あるいは,当該地方公共団体の職員のうち,当該地方公共団体内に存在する財産区の業務に従事する職員の職)を廃止することを求める訴えは上記各類型のいずれにも該当せず,また,他にそのような訴えを提起することを認めた法令上の根拠は存在しないから,本件訴えのうち前記第1,4の請求に係る部分は不適法な訴えとして却下を免れない。 前記第1,1の請求のうち管理者報酬相当額の賠償請求の義務付けを求める部分及び同第1,2の請求(争点3)について( )財産区における財産の管理及び処分又は廃止に要する費用は,原則とし て財産区をその一部とする市町村等が負担し「特に要する経費」のみが財,産区の負担となる(法294条2項。そして,前記のとおり,財産区は,)固有の執行機関を有せず,財産区をその一部とする市町村等の長が当該財産区の執行機関としての権能を行使し,その事務処理の補助も当該市町村等の職員が行うものであるが,これらは市町村等の長及び職員 ,)固有の執行機関を有せず,財産区をその一部とする市町村等の長が当該財産区の執行機関としての権能を行使し,その事務処理の補助も当該市町村等の職員が行うものであるが,これらは市町村等の長及び職員の本来の職務の執行であり,その給与(の一部)は,財産区が負担すべき「特に要する経費」に当たらないと解すべきである。そうすると,財産区が執行機関としての権能を行使する市町村等及び財産区の業務に当たるその補助職員に対し,職務執行に対する対価,報酬又は見返り等の趣旨で金員を交付することは,実質的には,同一の職務執行に対し,市町村等及び財産区から二重に給与を支給するものであり,また,市町村等の条例によらずに長又はその職員に給与を支給するのに等しいともいえるから給与条例主義を定めた地方公務員法24条6項,25条1項,法204条3項,204条の2の各規定の趣旨にも反するものというべきであり,たとえ財産区の制定した条例をもってしてもか- 14 -かる金員の交付は違法であり許されないと解すべきである。 前記第2,1,( )のとおり,湯財産区は,平成18年度にA及びCに対 してそれぞれ管理者報酬及び会計事務報償金を支給しているが,これらは,それぞれ財産区管理者としての職務及び会計事務担当者としての職務遂行の報酬と解されるから,前記説示に照らし違法というほかない。 (2)被告は,管理者報酬及び会計事務報償金の支出金は湯財産区議会の議決に基づいている,旧来から慣習として支給していた,先代までの町長も同様の取扱いをしてきたなどと主張する。 しかし,前記のとおり,前記管理者報酬及び会計事務報償金の支出は,実質的には給与の二重払いであり,給与条例主義を定めた各規定の趣旨に反するものであって違法であり,その違法は,湯財産区議会の議決によっても治。 ,,癒されない 者報酬及び会計事務報償金の支出は,実質的には給与の二重払いであり,給与条例主義を定めた各規定の趣旨に反するものであって違法であり,その違法は,湯財産区議会の議決によっても治。 ,,癒されないまた違法な慣習又は先例が長年継続し又は積み重ねられても適法なものに転化することはないというべきであるから,被告が主張する事情は何ら前記支出を正当化する根拠とならない。 (3)もっとも,前記第2,1,( )のとおり,本件においては,Cは既に湯財 産区に対し,平成18年度の会計事務報償金7万7000円全額を返金しているから,仮に,湯財産区がCに対する損害賠償請求権を有していたとしても,上記弁済により当該損害は填補されたことになるから,湯財産区のCに対する損害賠償請求権は消滅したというべきである。 (4)アAに対する前記管理者報酬(以下「本件管理者報酬」という)に係。 る支出命令について専決処理されたとの主張はないから,原則どおり,支出命令の本来的な権限者たるAが支出命令を行ったものとしてAの責任を検討する。 前記のとおり,本件管理者報酬の支出は,実質的に給与の二重払いであり,また,給与条例主義を定めた各規定の趣旨に反する違法な支出であるところ,Aは,自らに対する前記支出を阻止すべきであり,また,相手方- 15 -として本件管理者報酬を受領すべきではなかったにもかかわらず,少なくとも過失によりこれを怠り本件管理者報酬支出に係る支出命令を行い又相手方としてこれを受領したというべきである。湯財産区議会の議決,旧来からの慣習等の被告主張の前記事情は,前記説示に照らし,Aの過失を否定する理由にはなり得ない。 ,,「」「」,したがってAは当該職員又は当該行為に係る相手方として本件管理者報酬の支出によりαが被った損害につき賠償すべき 示に照らし,Aの過失を否定する理由にはなり得ない。 ,,「」「」,したがってAは当該職員又は当該行為に係る相手方として本件管理者報酬の支出によりαが被った損害につき賠償すべき不法行為責任を負う。 イなお,証拠(乙18,19)によれば,湯財産区は,湯区の区長に対して湯財産区事務取扱を嘱託していること,湯財産区の決裁規定では給与費は支所長の専決事項とされ,他方,1件20万円未満の支出命令は区長の専決事項とされていることが認められ,これによると,本件管理者報酬が支所長又は区長の専決で支出されたことも考えられる。しかし,Aが本件管理者報酬を受領したことが少なくとも過失による不法行為を構成することは前記のとおりであり,このことは同管理者報酬の支出がA以外の者により専決処理されたか否かにより何ら左右されない。また,支出の面から,,,みた場合でもAは本件管理者報酬の支出命令の本来的な権限者として専決権者である支所長又は区長が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により支所長又は区長が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り,湯財産区に対して不法行為責任を負うと解すべきところ(最高裁平成3年12月20日第二小法廷判決・民集45巻9号1455頁参照,前記のとおり,)A自身が管理者報酬の給付を受けていること,管理者報酬の支給は相当以前からなされてきたこと(弁論の全趣旨)などからすれば,Aは,予め支所長又は区長に対して本件管理者報酬を支給してはならない旨指示し,本件管理者報酬の支出命令を阻止すべき義務があったにもかかわらず,過失- 16 -によりこれを怠ったものというほかない。 したがって,Aは,本件支出が専決で行われた場合であっても「当該,職員」又は「当該行 報酬の支出命令を阻止すべき義務があったにもかかわらず,過失- 16 -によりこれを怠ったものというほかない。 したがって,Aは,本件支出が専決で行われた場合であっても「当該,職員」又は「当該行為に係る相手方」として本件支出によりαが被った損害につき賠償すべき不法行為責任を免れない。 前記第1,1の請求のうち湯区及びK奉賛会に対する支出に係る損害賠償請求の義務付けを求める部分(争点4)について前記第2,1,( )のとおり,湯財産区は,平成18年度に湯区及びK奉賛 会に対してそれぞれ195万円及び140万円を支出しているが,弁論の全趣,,旨によればこの支出はいずれも対価性のない支出であると認められるところ財産区が他の団体等に対して対価性のない金員支出をすることが当然に違法であるとはいえない。この点につき,原告らは,支出に①法律上の原因がない,②条例上の根拠がない旨主張するが,単に法律上の原因がないというだけではAの湯財産区に対する不法行為の主張として不十分であり,また,条例上の根拠がないとの一事で湯財産区による対価性のない金員支出が違法となり,この支出をしたAに不法行為が成立するものではない。 したがって,湯財産区のAに対する損害賠償請求権発生についての原告らの主張はそれ自体失当である。 前記第1,6の請求(争点5)について財産区の所有する財産又は公の施設の管理については地方公共団体の財産又(),は公の施設の管理に関する規定によるとされているところ法294条1項湯財産区の温泉会館はその用途(前記第2,1,( ))に照らし公の施設と評 価するのが相当であるから,温泉会館は行政財産(法238条4項)に該当する。そして,行政財産については,行政財産の適正かつ効率的な管理を期すため原則として私権の設定が禁止され,違反する 施設と評 価するのが相当であるから,温泉会館は行政財産(法238条4項)に該当する。そして,行政財産については,行政財産の適正かつ効率的な管理を期すため原則として私権の設定が禁止され,違反する行為は無効とされ,ただ,その用途又は目的を妨げない限度において使用の許可をすることができるとされている(法238条の4第1項,7項。しかし,前記第2,1,( )のとおり,) - 17 -被告は,以前から,湯区が目的外使用許可なくして(なお目的外使用許可のないことは被告の自認するところである)温泉会館の一部を無償で使用するこ。 ,,,とを容認しておりこれは湯区が違法に公の施設を使用していることになりその反面,被告は,湯財産区管理者として,行政財産である温泉会館の管理を違法に怠っているといわざるを得ない。 第4 結論 以上の次第で,原告らの請求は,被告に,Aに対し,5万5000円及びこれに対する平成19年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求することを義務付ける限度及び被告が湯財産区管理者として目的外使用許可の手続をとることなく湯区自治会に温泉会館を無償で使用させて湯財産区の財産の管理を怠っていることが違法であることを確認する限度で理由があるからその限度で認容し,被告が湯財産区財産管理につき,地方自治法に違反し条例の定めもなく湯財産区の執行補助者を任用又は雇用していることは湯財産区財産の管理を怠るものであることの確認を求める訴え及び湯財産区職員の職を廃止することを求める訴えはいずれも不適法であるからこれを却下し,その余は理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官佐藤明 由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官佐藤明裁判官島戸真- 18 -裁判官佐々木隆憲
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