令和3刑(わ)3156 暴行、傷害

裁判年月日・裁判所
令和5年2月28日 東京地方裁判所
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判決文本文1,813 文字)

令和5年2月28日東京地方裁判所刑事第18部宣告令和3年刑(わ)第3156号暴行、傷害被告事件 主文 被告人を懲役3年6月に処する。 未決勾留日数中360日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 令和3年4月22日、沖縄県中頭郡a 町bc 番地d 大学e 室において、A(当時22歳)に対し、その両腕をつかんでその場に転倒させた上、その顔面を拳で1回殴る暴行を加え、第2 令和3年8月24日午後9時3分頃、東京都港区fg 丁目h 番i 号先P地下鉄株式会社Q駅構内において、B(当時22歳)に対し、その顔面、腕部等に硫酸をかけ、よって、同人に全治不明の色素沈着、ケロイド瘢痕等の後遺症を伴う全治まで約3か月間を要する顔面及び右腕部の化学熱傷等の傷害を負わせた。 (量刑の理由) 1 本件は、被告人が、以前通っていた大学の同じサークルに所属していたAに対し、同人を転倒させて顔面を拳で1回殴打する暴行を加え(判示第1)、その約4か月後、同じサークルに所属していたBに対し、その顔面等に硫酸をかけ、後遺症を伴う全治約3か月間を要する化学熱傷を負わせた(判示第2)という事案である。 2 判示第2の犯行は、上りエスカレーターの降り口付近で後ろから追い抜きざまに突如Bの顔面等に硫酸をかけるという態様であって、極めて危険であり、被告人がその犯行によりBに負わせた傷害は、顔面等の色素沈着、ケロイド瘢痕などの後遺症が残るものであり重大である。その結果、Bは人生設計を大きく狂 わされることとなったと認められる。 3 被告人は、同じサークルで活動していた当時、学年が下のAやBから、馬鹿にされたりからかわれたりした上、危害を加えられそうになったりしたと記憶し、転居し わされることとなったと認められる。 3 被告人は、同じサークルで活動していた当時、学年が下のAやBから、馬鹿にされたりからかわれたりした上、危害を加えられそうになったりしたと記憶し、転居して別の大学に通うようになった後も、自宅付近に現れた不審者の話を聞き、AやBに狙われていると思い込んで不安になり、判示第1の犯行に及び、その後Aとは和解できたと考え、その一方で、Bへの警戒感を強め、判示第2の犯行に至ったというのであり、犯行に至る経緯には、被告人の自閉スペクトラム症の特性等の影響が考えられる。しかしながら、被告人は、Bから危害を加えられそうになってBに反撃したというわけではなく、硫酸を濃縮して精製し、Aや知人にBの勤務先を尋ね、ウェブサイトに掲載された情報等からBの勤務先を突き止めるなど周到な準備を重ねた上、Bの勤務先付近で長時間待ち伏せをしてBを追尾し、いきなり硫酸をかけて立ち去っている。このような一連の経過からすれば、被告人は、硫酸の危険性についてあいまいな供述をしているが、Bに相当なダメージを与えようという強固な意思に基づいて犯行を計画し、実行したと認められる上、自らの行為の違法性を十分に認識していたと認められる。そうすると、犯行に自閉スペクトラム症の特性等が影響していることは前記のとおりであるが、これを斟酌するにも限度がある。 4 以上によれば、判示第2に関する犯情はかなり悪質であって、相当期間の実刑をもって臨まざるを得ない。 5 しかし、他方で、被告人が、公判において、事実関係を認め、A及びBと二度と接触しないなどと述べ、Aに対しては20万円を支払って示談を成立させ、Aから告訴取下げの意思が表明されるに至ったこと、Bに対しては被害弁償の一部として800万円を支払い、Bの処罰感情は今なお厳しいが、慰謝の努力がみられ Aに対しては20万円を支払って示談を成立させ、Aから告訴取下げの意思が表明されるに至ったこと、Bに対しては被害弁償の一部として800万円を支払い、Bの処罰感情は今なお厳しいが、慰謝の努力がみられること、また、更生支援計画が策定され、親族による支援等も見込まれること、被告人に前科はないことなどの事情も認められるので、これらの事情も考慮し、主文掲記の刑に処するのを相当とする(求刑懲役6年、弁護人の科刑意見刑の執行猶予)。 よって、主文のとおり判決する。 令和5年2月28日 東京地方裁判所刑事第18部 裁判長裁判官 野村賢 裁判官 西山志帆 裁判官 大﨑敦生

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