平成9(ワ)162 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成13年11月28日 富山地方裁判所
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判決文本文25,119 文字)

主文 1 被告乙野次郎は,原告らに対し,それぞれ金147万6798円及びうち132万6798円に対する平成7年10月22日から,うち15万円に対する平成13年11月29日からいずれも支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らの被告富山県に対する請求及び被告乙野次郎に対するその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,原告らに生じた費用の2分の1及び被告乙野次郎に生じた費用を被告乙野次郎の負担とし,原告らに生じたその余の費用及び被告富山県に生じた費用を原告らの負担とする。 4 この判決は,原告ら勝訴部分に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告乙野次郎は,原告らに対し,それぞれ33万9797円及びこれに対する平成7年9月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,連帯して,原告らに対し,それぞれ985万1605円及びうち885万1605円に対する平成7年10月22日から,うち100万円に対する本判決言渡しの日の翌日からいずれも支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告らの父である甲野太郎(以下「太郎」という。)が,被告乙野次郎(以下「被告乙野」という。)運転の自動車による交通事故により負傷し,さらに,その負傷により被告富山県の設置する富山県立中央病院(以下「被告病院」という。)に入院した際,同病院の医師及び看護婦らの過失により,食事中に食物をのどに詰まらせて窒息死したとして,原告らが,被告乙野に対しては自動車損害賠償保障法3条に基づき,被告富山県に対しては債務不履行又は不法行為に基づき,被告両名に対する共同不法行為の成立を主張し,また,被告乙野に対しては,予備的に太郎の死亡の責任が認められない場合の同条項に基づく責任 に基づき,被告富山県に対しては債務不履行又は不法行為に基づき,被告両名に対する共同不法行為の成立を主張し,また,被告乙野に対しては,予備的に太郎の死亡の責任が認められない場合の同条項に基づく責任も主張して,損害賠償を請求する事案である。 1 前提となる事実(証拠は略)(1) 当事者ア原告甲野夏子及び同甲野秋子は,いずれも太郎(大正9年○月×日生,死亡当時75歳)の実子であり,同甲野春男は,太郎の養子である。太郎の死亡により,原告ら3名がそれぞれ3分の1の割合で同人を相続した。 イ被告乙野は,後記の交通事故の加害車両の保有者であり,同事故当時,同車両を運転していた。 ウ被告富山県は,富山県立中央病院(被告病院)を開設する者であり,被告病院の医師,看護婦は,被告富山県に雇用されている。 (2) 交通事故の発生太郎は,平成7年9月12日午前6時25分ころ,富山市p町q番地の自宅前路上で,被告乙野が運転する普通乗用自動車(加害車両)に衝突される交通事故にあった(以下「本件事故」という。なお,以下における日付の表示は,特に断りがない限り,いずれも平成7年である。)。 (3) 被告病院への入院太郎は,同日,被告病院に搬入され,整形外科において,右足関節内顆骨折,右腓骨骨折,右膝内側側副靱帯剥離骨折,右肩甲骨骨折,右前腕挫創と診断され,さらに,脳神経外科において,脳しんとう,頭蓋骨骨折,急性硬膜外血腫と診断され,被告病院に入院した。 (4) 太郎の死亡太郎は,被告病院に入院中の10月22日,午後6時15分ころから,配ぜんされた夕食を自力で摂取していたところ,夕食に含まれていたロールキャベツをのどに詰まらせ,同日午後7時15分,窒息により死亡した。 2 主な争点(1) 被告病院の過失の有無(2) 被告両名の賠償責任の範囲及びその額 ていたところ,夕食に含まれていたロールキャベツをのどに詰まらせ,同日午後7時15分,窒息により死亡した。 2 主な争点(1) 被告病院の過失の有無(2) 被告両名の賠償責任の範囲及びその額 3 争点(1)(被告病院の過失の有無)について(1) 原告らの主張ア太郎の嚥下障害等被告病院の診療録や看護記録によると,太郎には,被告病院への入院後の間もなくの9月20日において嚥下困難の状態にあったのであり,被告病院の神経内科医の診察により,多発性脳梗塞による影響として嚥下障害がある旨診断されている。また,その後も嚥下困難な状態や食事の際にむせたことが度々あり,太郎の死亡の前日である10月21日には,牛乳を飲もうとしてむせたことがあったし,死亡当日の食事も,主食は全粥であった。こうしたことからすると,太郎には,その死亡当時にも,嚥下障害ないし嚥下機能の低下(以下,これらを併せて「嚥下障害等」という。)があり,被告病院もそうした状況を認識していたことは明らかである。 また,太郎は,それまで何ら痴呆を疑わせるような状態がなかったにもかかわらず,被告病院への入院後,意味不明な言動があったり,失禁したり,裸になるようなことがしばしばみられるようになったのであるから,本件事故による受傷やそれによる入院が原因となって老人性痴呆が発症又は進行したと考えられる。そして,被告病院も太郎のこうした状態を知っていたのであるから,痴呆症状による誤嚥や嚥下機能の低下を認識していたことも明らかである。 イ誤嚥を起こしやすい病院食を出した過失嚥下障害等がある者に対しては,高繊維の食物や口腔や咽頭にはり付く食物が禁忌とされているところ,ロールキャベツは,容易にかみ切ることができないし,一口の量が多すぎると食塊が口峡を通過しにくくなる上,高繊維のキャベツが咽頭な は,高繊維の食物や口腔や咽頭にはり付く食物が禁忌とされているところ,ロールキャベツは,容易にかみ切ることができないし,一口の量が多すぎると食塊が口峡を通過しにくくなる上,高繊維のキャベツが咽頭などにはり付く可能性が高く,禁忌とされるべき食物の典型例といえる。また,高齢者は一般的に食物をのどに詰まらせる可能性が高いのであるから,食事内容を吟味することが必要であるといえる。 しかるに,被告病院は,太郎が高齢者である上,前記のように嚥下障害等や痴呆症状があることを認識しながら,食事内容を吟味することなく,また,適当な大きさに切るなどの配慮を何らすることなく,太郎にロールキャベツを食事として出したのであり,この点について被告病院には注意義務違反があったといえる。 ウ監視義務違反また,高齢者が食物をのどに詰まらせる可能性は高いのであるから,高齢者を収容する施設等においてはもちろんのこと,一般の病院・病棟においても,高齢者の食事には第三者が付き添って,そのスピードを抑制するなどの補助をして,誤嚥等が発生しないよう監視し,万一誤嚥による窒息が生じた場合には適切な救護措置をとるべき義務がある。 しかも,太郎には前記のとおり嚥下障害等があったのであるから,太郎の食事に際しては,看護婦が付き添うか,ごく近くにいることにより,又は,同室の患者にナースコールなどを依頼することにより,直ちに救護措置をとれる監視体制にしておくべきであった。 しかるに,被告病院は,太郎が高齢者である上,前記のとおり嚥下障害等や痴呆症状があることを認識していたにもかかわらず,担当看護婦等に十分注意させるなどの措置を何らとらず,また,原告らが太郎に付き添うことができなかったことから付添婦をつけてもらうよう要求したにもかかわらず,これを拒否し,食事の様子を監視すべき者を付き添わ 等に十分注意させるなどの措置を何らとらず,また,原告らが太郎に付き添うことができなかったことから付添婦をつけてもらうよう要求したにもかかわらず,これを拒否し,食事の様子を監視すべき者を付き添わせないまま,太郎に食事をさせたのであり,この点について被告病院には監視義務違反の過失がある。 被告病院で太郎の看護を担当したH看護婦は,看護記録中に,「食事中の行動の監視を十分に行う必要があったものと考えられる」と記載しており,自ら監視義務を尽くしていなかったことを認めている。 また,被告病院の看護婦は,同室の入院患者からのナースコールによって初めて窒息状態に陥っている太郎を発見したのであり,その後,医師が処置を行ったのは,それから15分も経過した後であった。これらは,被告病院が太郎の摂食状況について,十分な監視をしていなかったことのあらわれである。 (2) 被告富山県の主張ア太郎の嚥下障害等について太郎には9月下旬ころには嚥下困難な状況がみられたが,その後は順調に食事を摂取しており,嚥下痛の訴えや嚥下に長時間を要するなどの嚥下困難な状況は見られず,また,食事も全量摂取していたのであるから,死亡したころには嚥下障害等があったとはいえない。死亡前日の10月21日に牛乳を飲もうとしてむせたのは,太郎が急いで飲もうとしたためであって,嚥下障害等によるものではない。また,太郎の入院当初,禁食措置がとられたのは,誤嚥性肺炎の疑いとの診断結果に基づくものであって,太郎に嚥下障害等があったことが理由ではない。 太郎は,被告病院への入院中,食事の際などに食べ物などにむせることがあったが,これは太郎があわてて食事を食べようとする傾向が強く,そのためむせたものであって,嚥下障害等の病変によるものではない。 また,太郎について痴呆の診断がされたことはなく,被告 にむせることがあったが,これは太郎があわてて食事を食べようとする傾向が強く,そのためむせたものであって,嚥下障害等の病変によるものではない。 また,太郎について痴呆の診断がされたことはなく,被告病院の医師らはそうした疑いも持っていなかった。太郎には,夜間を中心に,通常でない行動がみられたこともあったが,他者との一般的な応対は可能であったことからすると,入院や各種措置により生活環境が急変したことに伴い,せん妄状態となって意識障害を生じたとみるのが相当である。 イ被告病院の過失の主張に対する反論(ア) 食事内容の選択について被告病院は,太郎の入院中,摂取しやすいものから始めて,摂取量やその状況を十分観察しながら,順次食事内容を変えており,太郎もそれに応じて順調に病院食を摂取していた。こうしたことからすると,被告病院が太郎の嚥下障害等を疑うべき状況にはなく,食事内容の選択について義務違反はなかったし,誤嚥による窒息死も予見できなかった。 なお,キャベツは,容易にかみ切れない食品とはいえず,むしろ比較的そしゃくしやすい食品とされているのであり,病院食への使用が一般に制限されてはいない。 (イ) 監視義務違反の主張について前記のように太郎に嚥下障害等はなかったのであり,太郎が順調に病院食を摂取していた状況からすると,一般の入院患者と比べて誤嚥の危険性が特に高かったとはいえない。特別養護老人ホーム等においては一般的に誤嚥に対する配慮が必要とされているものの,前記のような太郎の状況からすると,被告病院において,太郎に対し,食事の際に付き添って監視し,その補助をするべき注意義務があったとはいえない。 また,太郎は,前記のように食事をあわててとる傾向が強く,担当看護婦らはそのことを申し送りして,食事の際には,度々,太郎に対し,ゆっくり食べる し,その補助をするべき注意義務があったとはいえない。 また,太郎は,前記のように食事をあわててとる傾向が強く,担当看護婦らはそのことを申し送りして,食事の際には,度々,太郎に対し,ゆっくり食べるように注意を与えていた。太郎が死亡した当日の夕食に際しても,担当看護婦が太郎の病床で食事の準備をし,太郎が自分で食事を始めたことや異常がないことを確認した上で,同人の病床を離れたのであり,太郎の食事に際して要求されるべき注意義務は怠っていない。 なお,原告らは,被告病院の医師ないし看護婦が原告らの付添婦をつけてほしいとの要求を断ったことも主張するが,これは太郎の入院直後に原告らから申出があったのに対し,被告病院の完全看護体制からすると付添婦の必要がないとの回答をしたものにすぎず,太郎の食事の摂取に不安があることから付添婦の申出があったというものではない。 また,原告らは,看護記録中の記載をもって,担当看護婦が注意義務違反のあったことを認めている旨主張する。しかし,同記載は,太郎の死亡退院時に,担当者が看護上気づいたことを事後的に記録するものであり,その当時に記載内容が示すような注意義務があることを前提とした判断でない上,過失や法的な責任の有無を判断したものではない。 太郎が死亡した当時においても,被告病院では,患者からのナースコールに応じて病室へ行った看護婦が太郎の異変に気づき,その後間もなく医師が必要な処置を行っているのであり,できる限りの措置を尽くして救命に努めたのであって,この点についても,被告病院に義務違反はない。 4 争点(2)(被告両名の損害賠償責任の範囲及びその額)について(1) 原告らの主張ア被告両名の損害賠償責任の範囲(ア) 被告乙野の責任についてa 被告乙野に太郎の死亡の責任が認められる場合(主位的主張)太郎の 名の損害賠償責任の範囲及びその額)について(1) 原告らの主張ア被告両名の損害賠償責任の範囲(ア) 被告乙野の責任についてa 被告乙野に太郎の死亡の責任が認められる場合(主位的主張)太郎の死因は前記のとおり窒息であるが,その原因は,それまでは物が飲み込みにくいという状態ではなかったにもかかわらず,被告乙野が起こした本件事故により受傷し,咽頭部分や脳を損傷して嚥下障害等をきたし,又は,本件事故により入院を余儀なくされ,受傷や入院により老人性痴呆症が発症又は進行して,嚥下障害をきたしたことにある。太郎は,入院中,それまでみられなかった意味不明の言動などがみられるようになったのであり,本件事故による受傷や入院によって痴呆症状がみられるようになったことは明らかである。 また,太郎は入院により家族と離れて食事すべきことを余儀なくされ,食物をのどに詰めた場合に即座に対応を受けにくい状況下におかれたため,誤嚥により窒息して死亡するに至ったのである。 したがって,太郎の受傷及び死亡は本件事故によるものであるから,被告乙野は,それにより生じた損害の全部について賠償責任を負う。 b 被告乙野に太郎の死亡の責任が認められない場合(予備的主張)仮に,被告乙野に太郎の死亡についての責任が認められない場合であっても,太郎は,本件事故による受傷により,さらに少なくとも6週間の入院と6か月の通院治療が必要であったものと考えられる上,本件事故当時75歳と高齢であったことを考慮すると,歩行困難などの後遺症が残った可能性が高いのであり,被告乙野はこれらにより生じた損害を賠償すべき責任を免れることはない。 (イ) 被告富山県の責任について太郎の死亡は,前記のとおり,被告病院の過失によるものであるから,その設置者である被告富山県は,診療契約上の債務不履行又は不法 を賠償すべき責任を免れることはない。 (イ) 被告富山県の責任について太郎の死亡は,前記のとおり,被告病院の過失によるものであるから,その設置者である被告富山県は,診療契約上の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき,太郎の死亡により生じた損害について賠償責任を負う。 (ウ) したがって,被告乙野に太郎の死亡の責任が認められる場合,太郎の死亡については,被告乙野及び被告富山県の共同不法行為というべきであり,それにより太郎又はその家族である原告らに生じた損害については,被告両名は連帯して賠償すべき責任を負う(前記請求2)。また,本件事故による受傷から死亡までに太郎に生じた損害については,被告乙野のみが賠償責任を負う(前記請求1)。 また,被告乙野に太郎の死亡の責任が認められない場合,被告乙野と被告富山県は各別に損害を賠償すべき責任を負うこととなるが,被告乙野は本件事故による受傷から死亡までに太郎に生じた損害について賠償責任を負い(前記請求1及び2。前記請求1を超える請求部分は,請求2に含まれる。),被告富山県は太郎の死亡により生じた損害について賠償すべき責任を負う(前記請求2)。 イ太郎及び原告らに生じた損害額太郎の本件事故による受傷,死亡により,太郎又はその家族である原告らには,別紙損害賠償目録(1)記載のとおりの損害が発生した。なお,同目録記載fの慰謝料額については,太郎の苦痛や,原告らが付添婦の申出を拒否され,また直ちに診断書を交付しなかったことなど被告病院の対応に不満を持っていることを考慮すると,同目録に記載したとおり2000万円が相当である。 また,仮に太郎が死亡しなかったとすれば,さらに少なくとも6週間の入院と6か月の通院治療が必要であり,さらに,歩行困難などの後遺症が残った可能性が高く,この場合には,別紙損害賠償 万円が相当である。 また,仮に太郎が死亡しなかったとすれば,さらに少なくとも6週間の入院と6か月の通院治療が必要であり,さらに,歩行困難などの後遺症が残った可能性が高く,この場合には,別紙損害賠償目録(2)記載のとおりの損害が発生したと考えるのが相当である。 ウ被告両名がそれぞれ賠償すべき額(原告らの請求額)(ア) 被告乙野についてa 太郎の死亡について責任が認められる場合(主位的主張)被告乙野は,本件事故による受傷後死亡までに太郎に生じた損害である別紙損害賠償目録(1)記載aないしcの損害(合計101万9393円。原告らの請求額は,それぞれその3分の1である33万9797円となる《1円未満切捨て。以下同様。》。)及びこれに対する本件事故発生の日である平成7年9月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を賠償すべきである(前記請求1)。 さらに,被告乙野は,被告富山県と連帯して,太郎の死亡により太郎又はその家族である原告らに生じた損害である別紙損害賠償目録(1)記載dないしgの損害(合計2955万4816円。原告らの請求額は,同様に,それぞれ985万1605円となる。)及び同記載dないしfの損害については太郎の死亡の日である平成7年10月22日から,同記載gの損害については本判決言渡しの日の翌日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を賠償すべきである(前記請求2)。 b 太郎の死亡について責任が認められない場合(予備的主張)被告乙野は,太郎が死亡しなかった場合,本件事故による受傷により同人に生じたであろう損害である別紙損害賠償目録(2)記載aないしeの損害(合計604万1133円。原告らの請求額は,同様に,それぞれ201万3711円となる。)及びうち101万9393円(前記請求1の損害部分)について である別紙損害賠償目録(2)記載aないしeの損害(合計604万1133円。原告らの請求額は,同様に,それぞれ201万3711円となる。)及びうち101万9393円(前記請求1の損害部分)については本件事故発生の日である平成7年9月12日から,うち447万1740円(弁護士費用以外で,前記請求2に含まれる損害部分)については本件事故後の日である平成7年10月22日から,うち55万円(弁護士費用として前記請求2に含まれる損害部分)については本判決言渡しの日の翌日からいずれも支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を賠償すべきである。 (イ) 被告富山県について被告富山県は,太郎の死亡により太郎又はその家族である原告らに生じた損害である別紙損害賠償目録(1)記載dないしgの損害(合計2955万4816円。原告らの請求額は,同様に,それぞれ985万1605円となる。)及び同記載dないしfの損害については太郎の死亡の日である平成7年10月22日から,同記載gの損害については本判決言渡しの日の翌日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を賠償すべきである。そして,被告乙野に太郎の死亡の責任が認められる場合には,被告乙野と連帯して,同損害額を賠償すべきである(前記請求2)。 エ本件事故について過失相殺の適否本件事故の発生について太郎に落ち度はない。太郎が道路横断等のため車道上に出たことにより,本件事故が生じたとの事実を認めることはできない。かえって,被告乙野が前方を注視していれば,本件事故は回避可能であったのであり,太郎に過失があったとはいえない。 (2) 被告乙野の主張ア原告の主位的主張に対する反論(ア) 被告乙野に太郎の死亡の責任がないことについて太郎が食事を誤嚥して窒息死したことは,本件事故後に発生した突発的な出 たとはいえない。 (2) 被告乙野の主張ア原告の主位的主張に対する反論(ア) 被告乙野に太郎の死亡の責任がないことについて太郎が食事を誤嚥して窒息死したことは,本件事故後に発生した突発的な出来事であり,本件事故と太郎の死亡との間には相当因果関係がない。原告は,本件事故の受傷により,又は,それによる入院によって痴呆症状が進行して嚥下障害を生じるようになったと主張する。 しかし,本件事故による太郎の受傷部位からすると,その受傷が嚥下障害の原因となったということはできないし,太郎が老人性痴呆を発症していた事実もない。また,太郎は,死亡当時には,本件事故による受傷からは順調に回復し,食事も全量を通常に摂取していた。かえって,被告病院の診察によれば,太郎には脳梗塞の後遺症として誤嚥の既往症があることが指摘されており,本件事故と誤嚥による窒息死との間には因果関係はない。 また,被告病院においては,太郎に対し適切な診療や食事の提供が行われており,本件事故と太郎の窒息死との間には,被告乙野の予見することができない特別事情が関与しているのであって,相当因果関係はない。なお,仮に被告病院に過失があるとしても,被告乙野は,被告病院の太郎に対する診療内容を予見することができないのであるから,被告乙野に太郎の死亡について注意義務違反があったとはいえない。 したがって,被告乙野は,太郎の死亡により生じた損害については,賠償責任を負ういわれはない。 なお,被告乙野は,本件事故について業務上過失傷害罪により罰金の略式命令を受けているが,太郎の死亡については刑事責任を問われていない。 (イ) 太郎の死亡についての被告乙野の寄与割合仮に,太郎の死亡について,被告乙野に責任が認められるとしても,同人の死亡は,もっぱら被告病院の食事の提供や看護体制が原因であるから われていない。 (イ) 太郎の死亡についての被告乙野の寄与割合仮に,太郎の死亡について,被告乙野に責任が認められるとしても,同人の死亡は,もっぱら被告病院の食事の提供や看護体制が原因であるから,被告乙野の寄与割合が2割を超えることはない。 イ原告の予備的主張に対する反論原告らは,被告乙野に対し,別紙損害賠償目録(2)記載の各損害の賠償を請求する。しかし,証人Aの供述書によれば,太郎に対し適切な治療がされた場合の通院期間は3か月ないし6か月と考えられるとされる上,同供述書の記載内容からすれば,後遺障害の発生も原告らの憶測にすぎないといえる。したがって,同目録記載bないしdの原告らの請求はその前提を誤ったものである。 そして,休業損害(同目録記載b)については,前記の事由に加えて,太郎の平成6年度の所得が105万5637円(1日当たり2892円)であることを基準とすべきであり,死亡までの実際の入院期間である41日分が算定されるべきであって,11万8572円となる。 また,傷害慰謝料(同目録記載c)については,実際の入院期間を基準として算定すべきであり,35万円が相当である。 さらに,前記と同様の理由から,後遺症慰謝料(同目録記載d)は認めることができない。 ウ被告乙野の損害賠償責任及びその額に関するその他の主張(ア) 本件訴訟の追行に要する弁護士費用相当額について原告らは,被告乙野が,同人の加入する任意保険会社を通じて,賠償責任を負うべき損害額から後記の既払額を控除した50万9572円の支払を提示したにもかかわらず,本件訴訟を提起したのであるから,被告乙野が本件訴訟の追行に要する弁護士費用相当額の損害を賠償すべき責任はない。 (イ) 過失相殺の主張本件事故の発生については,太郎が車歩道の区別のある幹線道路(幅員約7.2メートル) るから,被告乙野が本件訴訟の追行に要する弁護士費用相当額の損害を賠償すべき責任はない。 (イ) 過失相殺の主張本件事故の発生については,太郎が車歩道の区別のある幹線道路(幅員約7.2メートル)を横断歩道によらずに漫然と横断したことにも原因があり,過失相殺として,被告乙野が太郎に対して賠償すべき損害額の2割を減額控除すべきである。 (ウ) 一部既払の主張被告乙野は,既に,原告らに対して,太郎の治療費等として151万6240円を支払ったから(原告らは,このうち眼鏡代相当額である5万8710円の支払があったことは認める。),被告乙野が原告らに対して支払うべき損害賠償額から同額が控除されるべきである。 (3) 被告富山県の主張前記のとおり,太郎の死亡について被告病院に過失はなく,被告富山県がそれにより生じた損害を賠償すべき責任を負う理由はない。なお,被告病院が原告らに対して,同人らが慰謝料額の算定に当たって考慮すべきと主張するような,不適切な対応をした事実はない。 第3 争点に対する判断 1 本件の事実経緯について証拠(略)によれば,本件の事実経緯について,前記前提となる事実に加え,次の各事実を認めることができる。 (1) 本件事故の発生とその態様被告乙野は,9月12日午前6時25分ころ,自ら保有する普通乗用自動車を運転して,県道富山高岡線(幅約7.2メートル,片側1車線)を富山市中心部に向けて進行中,富山市p町q番地先において,同所付近は最高速度が40キロメートルに制限されていたにもかかわらず,時速約60キロメートルで進行し,また,自車のエアコンの操作に気をとられ,前方の注視が不十分なまま進行したことにより,同人の進行する車線の中央付近で,進路前方を左側から右側に向けて,横断歩道でない道路上を横断歩行中の太郎に自車の前部右側を衝突 アコンの操作に気をとられ,前方の注視が不十分なまま進行したことにより,同人の進行する車線の中央付近で,進路前方を左側から右側に向けて,横断歩道でない道路上を横断歩行中の太郎に自車の前部右側を衝突させて転倒させた。 (2) 太郎の被告病院への入院とその後の診療等ア太郎は,本件事故後に,救急車により搬送され,午前6時55分ころ被告病院に到着し,整形外科において,右足関節内顆骨折,右腓骨骨折,右膝内側側副靱帯剥離骨折,右肩甲骨骨折,右前腕挫創と診断され,さらに,脳神経外科において,脳しんとう,頭蓋骨骨折,急性硬膜外血腫と診断され,被告病院に入院した。 イその後,被告病院において太郎に対して行われた診療や入院中の同人の状況の概要は,別紙診療経過等一覧A欄記載のとおりである。 ウ太郎に対しては,骨接合手術後の10月6日から食事が開始されたが,太郎には食事を急いで食べるような早食いの状態がみられた。そのため,整形外科の看護婦らは,配ぜんの際などに,太郎にゆっくり食べるように注意を促したことが何度かあり,食事に際して太郎にそのように声をかけることが担当看護婦らに申し送られていた。 (3) 太郎の死亡ア太郎は,被告病院入院中の10月22日,午後6時15分ころから,配ぜんされた夕食を自力で摂取していたところ,夕食に含まれていたロールキャベツをのどに詰まらせた。 イ太郎のこのような状況に同室の入院患者が気づき,同人がナースコールをした。その後,当直(準夜勤)の看護婦や医師により,別紙診療経過等一覧B欄記載のとおりの処置が行われた。また,太郎の状態は同欄記載のとおりであった。 ウ同日午後7時15分,太郎の死亡が確認された。死因は窒息であった。 2 争点(1)(被告病院の過失の有無)について(1) 太郎の嚥下障害等について前記認定した事実に 記載のとおりであった。 ウ同日午後7時15分,太郎の死亡が確認された。死因は窒息であった。 2 争点(1)(被告病院の過失の有無)について(1) 太郎の嚥下障害等について前記認定した事実によれば,太郎は,被告病院に入院中の9月20日に嚥下困難との診断がされ,同月22日には咽頭反射が陰性であること,同月25日には神経内科医の診察により,既往症である多発性脳梗塞の影響で咽頭反射が低下しており嚥下に障害があることが確認されている。他方,太郎に対しては,当初誤嚥性肺炎の症状回復のため絶飲食とIVHによる栄養補給がされたものの,骨接合手術後の10月6日からは,5分粥と刻みとろみ食による食事が開始され,同月9日には7分粥,同月13日からは全粥と食事の程度が上げられたこと,太郎は自力でそれらの食事のほぼ全量を摂取していることが認められ,その間,特に嚥下に痛みを伴う旨の訴えがあったり嚥下に長時間を要したことがあるなどの状況があったことは認められない。また,食事内容も,例えば,いかの煮物(10月14日昼食,17日昼食),豚ヒレ肉スタミナ焼き(同日夕食),チキンロール(同月15日昼食),かたゆで卵(同月16日朝食),若鶏のすき焼き風煮物(同月21日夕食)などに及び,そしゃくした上である程度の固まりを嚥下することが必要なものも出されており,太郎はこれらも摂取しているのである。このような太郎の状態によれば,太郎には嚥下能力の低下はみられたものの,その程度は軽く,自力による食事の摂取には特に問題となるものではなかったというのが相当である。 原告らは,太郎が死亡前日の10月21日朝食時,牛乳を飲む際にむせたことから,太郎に嚥下障害があった旨を主張する。しかし,10月6日の食事開始以降において,その他に太郎が食事等にむせたことが認められるのは,10月6 亡前日の10月21日朝食時,牛乳を飲む際にむせたことから,太郎に嚥下障害があった旨を主張する。しかし,10月6日の食事開始以降において,その他に太郎が食事等にむせたことが認められるのは,10月6日(昼食)と,同月9日の昼食時のみで,その他の食事の際には,むせがあったことは認められないのであり,10月21日朝食時のむせが嚥下障害等によるものであるとは認められない。かえって,前記認定にもあるとおり,太郎は食事のペースが速く,急いで飲食しようとする傾向があったものと認められ,そのためにむせたものと認めるのが相当である。 また,原告らは,太郎が入院後,老人性痴呆が発症又は進行し,それによる嚥下障害や誤嚥の可能性があった旨を主張する。前記認定した事実によれば,太郎は,9月25日の神経内科医の診断時に失見当識がみられたこと,10月6日以降,便や尿の失禁がみられ,また,同月14日ころには夜間おむつをとるなどして全裸となったことが度々あったことが認められる。しかし,看護記録によれば,日中の看護婦との会話や意思疎通は通常に行われていることが認められ,太郎の異常行動は持続的なものとはいえない。そうすると,太郎に,器質的に不可逆的な痴呆状態が生じて,その症状が現れていたということはできない。なお,仮に,太郎について痴呆との診断ができたとしても,飲食物の嚥下においては,反射などの不随意的な運動が主要な役割を果たしていることからすると,痴呆による意識障害が直ちに嚥下障害等につながるとはいうことはできない。 (2) 被告病院の医師又は看護婦の過失の有無についてア誤嚥を起こしやすい病院食を出した過失の主張について原告らは,キャベツが高繊維であることや,ロールキャベツが容易にかみ切ることのできない食品であるとして,こうした食品を選択し,提供したことに過失があ 嚥を起こしやすい病院食を出した過失の主張について原告らは,キャベツが高繊維であることや,ロールキャベツが容易にかみ切ることのできない食品であるとして,こうした食品を選択し,提供したことに過失があると主張する。 しかし,キャベツが,誤嚥を起こしやすい食品であるということはできないし,高齢者の食事においても普通に食べられる食品である旨の報告もされているのであり,先にみたような太郎の食事内容,状況からすると,太郎にとって,ロールキャベツがことさらにそしゃくや嚥下の困難な食物であるということはできない。そうすると,10月22日の夕食にロールキャベツを選択し,提供したことについて,被告病院の医師や看護婦に注意義務に反する行為があったとはいえない。 イ監視義務違反の主張について先にみたように,太郎は自力で食事をとることができ,摂食量や食事の程度も順調に推移していた状態であって,特に嚥下に困難をきたす状態ではなかったのであるから,同程度の回復状態にあった他の患者と比べて,特に被告病院の医師ないし看護婦が,太郎の食事に付き添ってその補助をしたり,そのごく近くで様子を監視すべきなどの義務があったとはいうことができない。 そして,前記認定したとおり,担当看護婦らは,太郎が食事を急いで食べることから,度々,太郎に対し,ゆっくり食べるように声をかけて注意を促しており,こうしたことは担当者に申し送りがされ,引き継がれていたのであって,また,10月22日の夕食配ぜん時にも担当したD看護婦が,太郎にゆっくり食べるように注意を促したのである。こうしたことからすると,被告病院の看護婦らは,太郎が飲食物を摂取するに当たりそれまでの太郎の食事の状況に相応した必要な措置をとっていたものということができる。 原告らは,太郎が高齢であったことなどから,被告病院の医師や看護 告病院の看護婦らは,太郎が飲食物を摂取するに当たりそれまでの太郎の食事の状況に相応した必要な措置をとっていたものということができる。 原告らは,太郎が高齢であったことなどから,被告病院の医師や看護婦には,太郎の食事の際に付き添って監視をするなどの措置をとるべき義務があった旨を主張するが,先にみたように,太郎の状態や食事状況の推移からすると,そのような義務があったということはできない。 原告らは,また,被告病院の看護婦が太郎の異変に気づいたのは同室患者のナースコールがきっかけであったことや,その後の医師による措置の遅れを指摘して,監視義務違反があった旨を主張するが,先にみたように,太郎は食事に際して特別な注意が必要な状態ではなかったのであり,当時3名の当直(準夜勤)看護婦が分担して各病室をまわり,入院患者に順次配ぜんするなどしていたことはやむを得ないといえ,また,看護婦から医師への連絡やその到着がことさらに遅れたということはできないから,看護体制や医師の対応が適切でなかったということはできない。 なお,原告らは付添婦の申出をしたにもかかわらず,被告病院の看護婦らに拒否されたと主張するが,原告らが太郎の入院直後に付添いの申出をしたことは認められるものの,原告らが太郎の食事の際に付き添うべき付添婦が必要である旨を申し出たことは,本件証拠上,認めることができない。 さらに,原告らは,太郎の死亡後,H看護婦が看護記録中に,食事中の行動の監視を十分に行う必要があった旨を記載したことをもって,同看護婦らが監視義務に反したことを自認するものであると主張する。しかし,同記載は,「退院時看護サマリー」と題する書面への記入であり,看護婦が,患者の退院後,看護状況等を振り返って反省点などを記載したものと認められる。そうすると,そのような記載があることをも 。しかし,同記載は,「退院時看護サマリー」と題する書面への記入であり,看護婦が,患者の退院後,看護状況等を振り返って反省点などを記載したものと認められる。そうすると,そのような記載があることをもって,記載された内容の注意義務があったものと認めることはできないし,また,注意義務違反を自認したものということもできない。 3 争点(2)(被告両名の賠償責任の範囲及びその額)について(1) 先にみたとおり,太郎の死亡について,被告病院の医師ないし看護婦に過失があったということはできないから,被告富山県の診療契約上の債務不履行又は不法行為を理由とする損害賠償責任を認めることはできない。 したがって,原告らの請求のうち,被告富山県に対する損害賠償請求の部分は,その余の点を判断するまでもなく,理由がない。 (2) そこで,原告らの被告乙野に対する損害賠償請求について検討する。 ア被告乙野の賠償責任の範囲について被告乙野は,加害車両の保有者であるから,自動車損害賠償補償法3条により,本件事故と相当因果関係にある損害について賠償責任を負うこととなるが,その範囲について検討する。 (ア) 原告らは,太郎の死亡についても本件事故との間に相当因果関係があるとして,太郎の死亡により生じた損害についても被告乙野に賠償責任がある旨主張し,被告乙野に対してその賠償請求をするので,この点について検討する。 先にみたように,太郎は,本件事故により受傷して,そのため被告病院に入院している間に食物をのどに詰めて窒息死したのである。そうすると,本件事故がなかったら,太郎が入院して死亡の原因となった食物をとることもなかったといえるから,本件事故がなければ前記認定した時期や態様での太郎の窒息死がなかったという意味での条件関係はあるといえる。しかし,本件事故による受傷そのものが, の原因となった食物をとることもなかったといえるから,本件事故がなければ前記認定した時期や態様での太郎の窒息死がなかったという意味での条件関係はあるといえる。しかし,本件事故による受傷そのものが,太郎の窒息死の直接又は間接の原因となったものと認めるに足りる証拠はない上,先にみたように太郎の死亡について被告病院の医師や看護婦に過失があったということはできないのであって,太郎が本件事故により受傷し,被告病院に入院して,その後食物をのどに詰めて窒息死することを予見することが可能であったということはできない。そうすると,結局,本件事故と太郎の窒息死との間には,相当因果関係を認めることはできないのであって,被告乙野に対し,太郎の死亡により生じた損害についての賠償責任を認めることはできない。したがって,原告らの主位的主張は理由がない。 原告らは,死亡当時,太郎には嚥下障害等があったとして,その原因が,本件事故による受傷によって,咽頭部などが損傷し,又は頭部の受傷により脳機能に障害が生じ,あるいは,入院を余儀なくされたことから痴呆症が発症又は進行したことにあると主張する。しかし,本件事故により太郎に原告らの主張するような咽頭部の損傷が生じたことを認めるに足りる証拠はない。本件事故による太郎の頭部の受傷も,特に治療を要しない程度のものであったものと認められ,それにより脳機能に障害が生じたことを認めることはできない。また,先にみたとおり入院中の太郎の状態を痴呆症状であると判断することはできない上,太郎に,同程度の回復状態にある他の入院患者に比べてことさら嚥下に障害があったとはいえず,自力による食事の摂取には支障がなかったと認められることも先にみたとおりである。さらに,太郎には,昭和60年ころに脳梗塞の既往症があり,手足のしびれらや口元がはっきり 嚥下に障害があったとはいえず,自力による食事の摂取には支障がなかったと認められることも先にみたとおりである。さらに,太郎には,昭和60年ころに脳梗塞の既往症があり,手足のしびれらや口元がはっきりしないなどの症状があったことが認められ,被告病院に入院中の嚥下障害等については,その脳梗塞の影響によるものと診察されているのである(被告病院における神経内科による診察)。これらからすると,太郎の嚥下障害等が本件事故による受傷に起因するとの原告らの主張は理由がない。 (イ) そうすると,被告乙野については,太郎が被告病院の診療によって本件事故による傷害から回復したことを前提としつつ,本件事故と相当因果関係にある損害について,その賠償責任を負うというべきである。そこで,次に,その範囲について検討する。 前記認定したとおり,太郎は,本件事故により右足関節内顆骨折,右腓骨骨折,右膝内側側副靱帯剥離骨折,右肩甲骨骨折などの傷害を負い,被告病院に入院して,入院16日後に骨接合手術を受け,その後リハビリ治療が開始されたものの,入院41日後に死亡したものである。 そして,被告病院において施された骨接合手術後の経過は順調であったと認められるものの,脚部の骨折については,回復後,歩行を再開するため相当期間のリハビリ治療等も必要であることは一般に知られていることに加え,太郎が75歳と高齢であったことなどからすると,本件事故による受傷の治療のために,同手術後6週間程度(入院時から起算して83日間程度)の入院が必要であり(入院期間は約3か月となる。),退院後も3か月程度の通院治療が必要であったものと認めるのが相当である。また,太郎の本件事故による受傷は,先にみたとおり,足関節部の骨折を含んでいることや,通常,相当期間の入院により脚の筋力や歩行機能の低下がみられるこ 院治療が必要であったものと認めるのが相当である。また,太郎の本件事故による受傷は,先にみたとおり,足関節部の骨折を含んでいることや,通常,相当期間の入院により脚の筋力や歩行機能の低下がみられることからすると,太郎は,本件事故による受傷の回復及び症状固定後も,受傷部位の関節機能に障害が残るなどして,歩行困難等の後遺障害を生じた可能性が極めて高かったものと認めるのが相当である。 そして,本件事故による受傷により,こうした入院及び通院による治療を要すること,歩行困難等の後遺障害を生じることは,いずれも予見することが可能であったといえるから,それらにより生じた損害については,本件事故と相当因果関係にあるものといえ,被告乙野は,その賠償責任を免れないというべきである。 被告乙野は,後遺障害が生じたとはいえないとして,それにより生じた損害の賠償責任がない旨を主張する。しかし,先にみたとおり,本件事故による太郎の骨折部位の一つは膝関節であること,また,それらの治療のため相当期間の入院が必要であること,そうすると,足の筋力や歩行能力の低下をきたすべきことは一般に予見可能であって,さらに,太郎が高齢であることを併せ考えれば,前記認定した態様の後遺障害が生じる可能性は極めて高いといわざるを得ない。また,そうした後遺障害の発生については予見可能であったと認めることができるから,その主張には理由がない。 なお,原告らは,太郎が退院後6か月の通院治療が必要であったと主張して,それに基づく損害賠償請求をするが,被告病院における太郎の整形外科主治医であった証人Aによれば,3か月から6か月までの通院が見込まれるというのであり,必ずしも6か月間の通院治療が必要であったとは認められない。そうすると,6か月間の通院治療を要することが,予見可能であって本件事故と相当因 ば,3か月から6か月までの通院が見込まれるというのであり,必ずしも6か月間の通院治療が必要であったとは認められない。そうすると,6か月間の通院治療を要することが,予見可能であって本件事故と相当因果関係があるとはいえない。 (ウ) そして,被告乙野の損害賠償責任は,本件事故により太郎が受傷したのと同時に発生するのであって,その後に太郎が死亡したことによっては,その範囲や数額について影響を受けないというべきである。ただし,被告乙野が損賠償責任を負うべき損害のうち,積極損害については,太郎の死亡によってそれ以上の損害が発生しなかったことが明らかであるから,被告乙野は死亡時までの損害について賠償すべき責任を負うと解するのが相当である。 この点に関し,被告乙野は,休業損害について実際の入院期間である41日間分の損害のみ賠償責任を負う旨を主張するが,前記のとおりであって,理由がないというべきである。 (エ) 以上みたとおりであって,被告乙野は,本件事故による受傷及びその治療並びにその後に生じるべき後遺症により太郎に生じるべき損害(ただし,そのうち積極損害については太郎の死亡までに生じたものに限る。)について賠償責任を負う。 したがって,原告らの予備的主張のうち被告乙野に対する請求については,この限度において理由がある。 イ被告乙野が賠償責任を負うべき損害について(ア) 被告病院の診療により本件事故による受傷から回復したことを前提とした場合,太郎には次のaからeの各損害(ただし,弁護士費用を除く。合計610万7373円)が生じたものと認めることができる。 a 入院雑費 6万1500円太郎が被告病院に入院した平成7年当時,1日当たり1500円の入院雑費を要したものと認めるのが相当であり,これは積極的損害であるから,死亡までの入院期間(41 る。 a 入院雑費 6万1500円太郎が被告病院に入院した平成7年当時,1日当たり1500円の入院雑費を要したものと認めるのが相当であり,これは積極的損害であるから,死亡までの入院期間(41日間)分として,6万1500円の損害賠償責任を負う。 b 休業損害  31万9633円後記のとおり,平成7年当時,太郎には年間140万5637円(1日当たり3851円。1円未満切捨て。以下同じ。)の収入があったこと,83日間の入院が必要であったと認められるから,同期間に太郎が得るべき収入額は31万9633円となる。 (a) 太郎の収入額について太郎は,平成6年度には,書店経営等により年間140万5637円(1日当たり3851円)の収入を得ていたものと認められる。この点,被告乙野は,太郎の同年度の所得を105万5637円であると主張するが,同額は,いわゆる青色申告特別控除後の収入額であると認められるから,休業損害の算定に当たって基礎とすべき収入額とはいえない。 (b) 太郎の入院期間について先にみたとおり,太郎は83日間の入院治療が必要があったものと認めるのが相当である。そして,同期間内は就労することが不可能であったから,同期間に得るべき収入相当額の損害が生じたといえる。 c 傷害慰謝料  171万円先にみたように,太郎は,本件事故による受傷の治療のため,約3か月間の入院及び約3か月の通院が必要であったと認めるのが相当である。こうした事情からすると,太郎の傷害慰謝料については,171万円と算定するのが相当である。 d 後遺症慰謝料  250万円先にみたとおり,太郎には,本件事故による受傷が回復し,症状が固定した後も,脚関節の障害等により歩行障害などの後遺症が残ったものというべきである。そうすると,自賠責保険の後遺障害別等級表第1 先にみたとおり,太郎には,本件事故による受傷が回復し,症状が固定した後も,脚関節の障害等により歩行障害などの後遺症が残ったものというべきである。そうすると,自賠責保険の後遺障害別等級表第12級の7「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に該当する後遺障害が生じたといえるから,その慰謝料としては,250万円が相当である。 e なお,このほかに,本件事故による受傷から死亡までの間に,太郎には,治療費として145万7530円,眼鏡代相当額として5万8710円の各損害が生じたことが認められる。 (イ) 過失相殺について先にみたように,本件事故は,被告乙野の前方不注視,速度違反(制限速度を時速20キロメートル超過)により引き起こされたものというべきであって,被害者である太郎が当時75歳の高齢であったことも併せ考えると,被告乙野の過失は重大である。他方,太郎についても,前記認定したとおり,道路の横断歩道でない部分を横断しようとして本件事故にあったものと認められるのであり,本件事故の発生について過失がなかったとはいえない。これらを総合考慮すると,被告乙野が本件事故により負うべき損害賠償額は,前記のとおり太郎に生じたと認められる損害額から,過失相殺により,その1割を減じるのが相当である。 そうすると,被告乙野が賠償すべき損害額は,549万6635円となる(1円未満切捨て)。 (ウ) 被告乙野の一部既払いの主張について被告乙野は,原告らに対して151万6240円を支払ったから,被告乙野が原告らに対して支払うべき損害賠償額から同額が控除されるべきであると主張する。証拠によれば,平成7年9月ないし11月に,被告乙野が加入している保険契約により,被告病院等に対し治療費として145万7530円が支払われていることが認められ,また,眼鏡 るべきであると主張する。証拠によれば,平成7年9月ないし11月に,被告乙野が加入している保険契約により,被告病院等に対し治療費として145万7530円が支払われていることが認められ,また,眼鏡代相当額である5万8710円を受領したことは原告らも認める。そうすると,被告乙野が太郎又は原告らに対し本件事故による損害賠償金として合計151万6240円を支払ったことが認められるから,前記損害額から同額を控除した398万0395円の範囲での損害賠償請求が認められることになる。 また,被告乙野によるこれらの支払は,太郎ないし原告らの被告乙野に対する損害賠償請求のうち,まず,遅延損害金の起算日の早い前記請求1の部分の支払に充当し,その余を前記請求2の部分の支払に充当するのが相当である。その結果,弁護士費用を除き,被告乙野に対する損害賠償請求は,前記請求1部分が消滅し,前記請求2部分が398万0395円の範囲で存続することになる(したがって,それに対する遅延損害金は,本件事故後で原告らが本件訴訟において請求する日である平成7年10月22日から発生することになる。)。 ウ原告らの損害賠償請求権の相続について以上みたとおり,被告乙野が本件事故により太郎に対して賠償責任を負うべき損害額は,398万0395円であり,太郎は被告乙野に対して同額の損害賠償請求権を取得したものと認めることができる。そして,太郎の死亡により,原告らは,この損害賠償請求権をそれぞれ3分の1の割合で相続したと認められる。したがって,原告らは,それぞれ,被告乙野に対し,132万6798円の損害賠償請求権を取得したと認めることができる(1円未満切捨て)。 エ弁護士費用について原告らは,本件の損害賠償請求のため,本件訴訟の追行を弁護士である本件訴訟代理人に委任し,弁護士費用の支払 の損害賠償請求権を取得したと認めることができる(1円未満切捨て)。 エ弁護士費用について原告らは,本件の損害賠償請求のため,本件訴訟の追行を弁護士である本件訴訟代理人に委任し,弁護士費用の支払を約していることは明らかである。そして,本件事故と相当因果関係にある損害としては,原告らそれぞれについて,原告らが請求しうるものとして前記認定した額の約1割である15万円と認めるのが相当である。 そして,この弁護士費用相当額の損害については,本件事故後で原告らが請求する日である本判決言渡日の翌日(平成13年11月29日)から遅延損害金が生じることとなる。 被告乙野は,同人が加入する保険会社を通じて,原告らに対し支払義務を負うべき損害賠償金(50万9572円)の支払を提示したにもかかわらず,原告らが本件訴えを提起したものであって,訴訟追行に要する弁護士費用については賠償責任を負わない旨を主張する。しかし,そのような経緯があったとしても,本件において原告らの請求が認容される額は,被告乙野が保険会社を通じて提示した前記の額を超えており,本件訴訟追行のための弁護士費用が本件事故と相当因果関係にあることを否定することはできないから,この点に関する被告乙野の主張は理由がない。 4 よって,原告らの請求は,被告乙野に対しそれぞれ147万6798円及びうち132万6798円に対する平成7年10月22日から,うち15万円に対する平成13年11月29日からいずれも支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから,この部分について認容し,原告らの被告乙野に対するその余の請求及び被告富山県に対する請求はいずれも理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条,65条,仮執行の宣言について同法25 乙野に対するその余の請求及び被告富山県に対する請求はいずれも理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条,65条,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 富山地方裁判所民事部裁判長裁判官徳永幸藏裁判官吉岡真一裁判官井川真志(別紙)損害賠償目録() 費目損害額説明及び計算式(太郎の死亡までに生じた損害)1日当たり円,入院日間1,500 a入院諸雑費円61,500…円×=円1,500 61,500平成年度の太郎の書店(店舗)営業による収入 b休業損害円:円(1日当たり円,日間休業157,8931,405,6373,851 )…円×=円3,851 157,893c傷害慰謝料円入院日間800,000 (太郎の死亡により生じた損害)平成年度の太郎の書店(店舗)営業による収入 :円,生活費控除:,就労可能年数1,405,63730%d逸失利益円:5年,それに対応する新ホフマン計数:4,293,9394.364()書店収入…円×(-)×=円1,405,637 0.34.3644,293,939()1円未満切捨て年間年金受給額:円,生活費控除:,331,33230%平均余命:年,それに対応する新ホフマン計12.88e逸失利益円数:2,260,8779.748()年金収入…円×(-)×=円331,332 0.39.7482,260,877( に対応する新ホフマン計12.88e逸失利益円数:2,260,8779.748()年金収入…円×(-)×=円331,332 0.39.7482,260,877()1円未満切捨てf死亡慰謝料20,000,000円上記各損害の賠償を請求する訴訟の追行に関するg弁護士費用円3,000,000富山県弁護士会報酬規定による着手金,報酬(別紙)損害賠償目録(2)費目損害額説明及び計算式a入院諸雑費 61,500円1日当たり\1,500,実際に入院した41日間分…1,500円×41=61,500円b休業損害319,633円平成6年度の太郎の書店(2店舗)営業による収入:1,405,637円(1日当たり3,851円),83日間(実際の入院41日+6週間)の休業…3,851円×83=319,633円c傷害慰謝料2,610,000円入院期間3か月,通院期間6か月として算出した相当額d後遺症慰謝料2,500,000円下肢筋力低下,膝・足関節の拘縮,歩行困難の後遺症につき,自賠責保険の後遺障害別等級表第12級の7「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に該当するとして算出した相当額e弁護士費用550,000円上記各損害の賠償を請求する訴訟の追行に関する富山県弁護士会報酬規定による着手金,報酬(別紙)診療経過等一覧月日摘要9/12整形外科において,右足関節内顆骨折,右腓骨骨折,右膝内側側副靱帯剥離骨折,右肩甲骨骨折,右前腕挫創と診断され,さらに,脳神経外科において脳しんとう頭蓋骨骨折急性硬膜外血腫と診断され入院,,,,。 9/13A医師(整形外科)から,不整脈につ 帯剥離骨折,右肩甲骨骨折,右前腕挫創と診断され,さらに,脳神経外科において脳しんとう頭蓋骨骨折急性硬膜外血腫と診断され入院,,,,。 9/13A医師(整形外科)から,不整脈について循環器内科への紹介。 B医師(循環器内科)の診察。狭心症の疑いあるが,検査できないため投薬を継続するよう指示。レントゲン写真により,右下肺にバリウムの誤飲による陰影を認める。 A夕食は絶食。 9/14A(整形外科)から,発熱について呼吸器内科への紹介。 C医師(呼吸器内科)の診察。肺のレントゲン写真を撮影したところ,右下肺部に誤飲による陰影,肺野に浸潤影,胸水を確認。軽ないし中程度の誤嚥性肺炎,脳梗塞後遺症,多発外傷と診断。 誤嚥性肺炎の回復のため絶飲食及びIVHによる栄養補給を決定。 9/15C医師(呼吸科内科)が右頸部にIVH挿入。 9/18C医師(呼吸科内科)の診察。肺のレントゲン撮影,胸部エコー,採血検査により,肺炎の回復傾向を確認。 9/20嚥下困難との診察。 9/22C医師(呼吸科内科)の診察。肺のレントゲン撮影により肺炎の軽快を確認。骨接合手術は可能との判断。また,咽頭反射検査が陰性であり神経内科へ紹介。 9/25H医師(神経内科)の診察。頭部MRI撮影。多発性脳梗塞の診断。失見当識あり。また,咽頭反射の低下があり,嚥下の障害あるが,強度でなく,とろみ食からの食事開始は可能との意見。 9/26C医師(呼吸器内科)の診察。血液検査により肺炎症状の改善確認。 A医師(整形外科)から,家族に病状・治療方針の説明書面提示。 家族が手術承諾書等提出。 9/27C医師(呼吸器内科)による肺レントゲン撮影により,肺炎症状がほぼ治癒したことを確認。 9/28整形外科において,右足関節内骨折及び右膝内側側副靱帯剥離骨折について手術。 書等提出。 9/27C医師(呼吸器内科)による肺レントゲン撮影により,肺炎症状がほぼ治癒したことを確認。 9/28整形外科において,右足関節内骨折及び右膝内側側副靱帯剥離骨折について手術。 9/29C医師(呼吸器内科)の診察。手術後の全身状態の確認。試飲させた少量の水にむせたことから,経口摂取は少量の水のみ可能との指示。 10/2車イスによる移動開始。 10/5C医師(呼吸器内科)の診察。胸部レントゲン撮影,血液検査により肺炎症状がないことを確認。リハビリ開始など術後の回復状況から,少量の食事から開始できると判断し,5分粥と刻みとろみ食の開始を指示。 10/65分粥と刻みとろみ食による食事の開始(昼食。太郎が自力で摂取。 )フルーツはむせないが,5分粥とサラダでは少しむせがあった。7割程度摂食。 22:40ころ失禁あり。 10/7便,尿失禁あり。失禁を嫌がり朝食,昼食を拒否。夕食は8割ないし全量を摂取。むせはなし。 10/8食事は3食とも8割ないし全量を摂取。昼食時,食事速度早くむせる。 10/9C医師(呼吸器内科)の診察。食事状況が良好なことから,7分粥の開始を指示。 食事は3食とも8割ないし全量を摂取。いずれも,むせはなし。 10/10七分粥の開始。食事は3食とも全量を摂取。いずれも,むせはなし。 9:3014:30,ころにそれぞれ失禁あり。 10/1210/10C医師(呼吸科内科)がIVH抜去。 以降,食事はほぼ全量を摂取していることなどから全粥の開始を指示。 10/1310/15全粥の開始食事は3食とも全量を摂取いずれもむせはなし。 。 ,(まで同様。 )リハビリ開始。 10/14 日中失禁あり。 時ころ失禁あり。 10/1510/21夜間全裸になりおむつも外す,尿失禁あり(まで同様の状 いずれもむせはなし。 リハビリ開始。 日中失禁あり。時ころ失禁あり。夜間全裸になりおむつも外す,尿失禁あり(まで同様の状態がみられる。)朝食は全量昼食は8割~全量夕食は5割を摂取いずれもむせなし。 食事は3食とも9割から全量を摂取(まで同様。)4:15ころ全裸になっている。朝食の牛乳を飲む際にむせた。15:00ころ,時間識障害あり。14:30ころ訪室ごとに全裸となっている。17:30便の付着,ふいていない。18:15夕食配ぜん時,看護婦(D)が「むせるからゆっくり食べないころとだめですよ」との注意。18:25同室の患者のナースコールにより,E看護婦が病室に到着。ころ顔面チアノーゼがあり,意識はなく,呼吸停止状態。タッピングを試みた後,心マッサージを実施(E看護婦。)その後,D看護婦が病室に到着し,吸引器による吸引をする。F看護婦が病室に到着後,医師に連絡。気管内挿管の準備等。18:40G医師が病室に到着。既に呼吸及び心停止,瞳孔拡散の状態。ころ気管内挿管開始。食物で気道がふさがれていた。心肺蘇生術継続。口腔内の吸引が行われ,ロールキャベツとミンチ肉の固形物が少量取り出された19:15死亡確認(窒息死)※月日はいずれも平成7年である。

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