令和2(ワ)25469 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年10月27日 東京地方裁判所
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判決文本文21,240 文字)

令和5年10月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第25469号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和5年8月8日判決当事者の表示別紙1当事者目録記載のとおり(以下、各当事者の呼称は同目 録記載の例による。) 主文 1 被告Jは、原告Aに対し、1億1613万8362円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告保険会社は、前項の判決が確定したときは、原告Aに対し、1億161 3万8362円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Jは、原告Bに対し、82万5000円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告保険会社は、前項の判決が確定したときは、原告Bに対し、82万50 00円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告Jは、原告Cに対し、82万5000円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 被告保険会社は、前項の判決が確定したときは、原告Cに対し、82万50 00円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 7 被告Jは、原告Dに対し、2880万0340円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 被告保険会社は、前項の判決が確定したときは、原告Dに対し、2880万 0340円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の 割合による金員を支払え。 9 原告A、原 被告保険会社は、前項の判決が確定したときは、原告Dに対し、2880万 0340円及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の 割合による金員を支払え。 9 原告A、原告B、原告C及び原告Dのその余の請求並びに原告E、原告F、原告G、原告H及び原告Iの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は、原告Aに生じた費用の10分の9、原告Bに生じた費用の4分の1、原告Cに生じた費用の4分の1及び原告Dに生じた費用の10分の9を 被告らの負担とし、その余は各自の負担とする。 11 この判決は、第1項、第3項、第5項及び第7項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告Jは、各原告に対し、それぞれ別紙2各原告の請求元金額一覧記載の金額及びこれに対する平成31年4月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告保険会社は、各原告に対し、当該原告に対する前項の判決が確定したときは、それぞれ同一覧記載の金額及びこれに対する平成31年4月19日から 支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、被告J運転の自家用普通乗用自動車(以下「被告車」という。)が、東京都内の信号機により交通整理の行われている交差点において、対面の赤色信号にもかかわらず、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んで 加速したために、被告車の進行する道路を横断する横断歩道上を青色信号に従って横断通行中のK(以下「K」という。)運転の自転車(以下「K自転車」という。)に衝突し、K及びK自転車の後部幼児用座席に同乗していた子のL(以下「L」といい、Kと合わせて「Kら」という。)が即死した交通事故(以下「本件事故」という。)に関し、Kの夫でLの 自転車」という。)に衝突し、K及びK自転車の後部幼児用座席に同乗していた子のL(以下「L」といい、Kと合わせて「Kら」という。)が即死した交通事故(以下「本件事故」という。)に関し、Kの夫でLの父である原告AがKらの、 Kの父である原告DがKの損害賠償請求権をそれぞれ相続し、Kらのその余の 親族である他の原告らともども固有の慰謝料を有するとして、それぞれ被告Jに対し、民法709条ないし自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条に基づき、損害賠償金及びこれに対する不法行為の日(本件事故日)である平成31年4月19日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下「旧民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損 害金の支払を求め、また、被告Jとの間で自動車保険契約を締結していた被告保険会社に対し、当該自動車保険契約に定められた直接請求権に基づき、各原告の被告Jに対する判決の確定を条件として被告Jが各原告に支払うべき金額と同額の支払を求める事案である。 なお、被告Jは、被告Jが被告車のブレーキペダルと間違えてアクセルペダ ルを踏み込んだ事実について、本件民事訴訟と並行して係属していた本件事故に関する被告Jに対する刑事被告事件(以下「別件刑事事件」という。)においてこれを争い、被告らは、本件民事訴訟において当初その認否を留保していたが、別件刑事事件において被告Jの上記主張が排斥された判決の宣告、確定を受けて、本件民事訴訟においてもこれを認めるに至った。 1 前提事実(争いがない事実並びに証拠(認定事実の見出し等に掲記のもの。 なお、枝番号がある書証でこれを記載しないものはすべての枝番号を含む。以下同様とする。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)⑴ 本件事故の発生(甲1、 拠(認定事実の見出し等に掲記のもの。 なお、枝番号がある書証でこれを記載しないものはすべての枝番号を含む。以下同様とする。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)⑴ 本件事故の発生(甲1、7、18)ア発生日時平成31年4月19日午後0時23分頃 イ発生場所東京都豊島区ab丁目c番ウ関係車両被告車被告Jが運転する自家用普通乗用自動車K自転車 Kが運転する自転車エ事故態様等被告J(本件事故当時87歳)が、指定制限速度50k m毎時の片側2車線の道路(M通り。以下「本件道路」と いう。)を時速約60kmで東進中、被告車のブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込み、上記場所先の交差点で第三者運転の自転車と衝突した後も、そのままアクセルペダルを踏み続けて被告車を時速約96kmまで加速させて進行し、更に東方の信号機により交通整理の行わ れている次の交差点(以下「本件交差点」という。)入口に設けられた横断歩道を青色信号に従って右方から左方に向かい横断通行中のK自転車に衝突させて、K自転車もろともK及びその後部幼児用座席に同乗していたLを跳ね飛ばして路上に転倒させるなどして、Kに上位頸髄損傷等の 傷害、Lに頭蓋内損傷等の傷害をそれぞれ負わせた上、それぞれその頃即時同所付近で死亡させた。 ⑵ 責任原因ア被告Jは、本件道路を進行中、アクセル・ブレーキを的確に操作しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、本件交差点 の対面の赤色信号にもかかわらず、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込み、そのままアクセルペダルを踏み続けて時速約96kmまで加速させて進行した過失により、民法709条及び自賠法3条に基づき、Kら及び同人らと少な らず、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込み、そのままアクセルペダルを踏み続けて時速約96kmまで加速させて進行した過失により、民法709条及び自賠法3条に基づき、Kら及び同人らと少なくとも民法711条所定の親族関係にある者に生じた損害を賠償する責任を負う。本件事故は、被告Jの一方的過失によるも のである。 イ被告保険会社と被告Jは、本件事故当時、被告車を被保険車とする自動車保険契約を締結しており、原告らは、被告保険会社に対し、同契約に基づき、同保険契約の被保険者である被告Jに対する民事訴訟判決の確定を条件として損害賠償額を直接請求する権利を有する。 ⑶ 相続関係等(甲2) ア原告AとKは夫婦であり、Lは両名の唯一の子であった。 Kは原告DとNの子であるが、同人は本件事故前に死亡している。 イ Kは、本件事故当時31歳であり、民法32条の2によりLとの同時死亡が推定される結果、その相続人は、夫である原告Aと父である原告Dの2名であり、その相続分は、原告Aが3分の2、原告Dが3分の1である。 Lは、本件事故当時3歳であり、同条によりKとの同時死亡が推定される結果、その相続人は、父である原告Aのみである。 ウ原告Dは、前記のとおりKの父であり、Lの祖父である。 原告Bは、原告Aの父であり、Lの祖父、Kの義父である。 原告Cは、原告Aの母であり、Lの祖母、Kの義母である。 原告Eは、Kの姉であり、Lの伯母である。 原告Fは、Kの妹であり、Lの叔母である。 原告Gは、Kの弟であり、Lの叔父である。 原告Hは、原告Aの長姉であり、Kの義姉、Lの伯母である。 原告Iは、原告Aの次姉であり、Kの義姉、Lの伯母である。 ⑷ 別件刑事事件の判決等(甲18)被告Jは、Kら2名を 父である。 原告Hは、原告Aの長姉であり、Kの義姉、Lの伯母である。 原告Iは、原告Aの次姉であり、Kの義姉、Lの伯母である。 ⑷ 別件刑事事件の判決等(甲18)被告Jは、Kら2名を死亡させ外9名に傷害を負わせたとする本件事故を含む一連の事故に係る過失運転致死傷被告事件(別件刑事事件)において訴因とされた、被告車のブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだ事実を否認し、その過失を争うなどしたが、令和3年9月2日、東京地方 裁判所において、その主張を排斥されて禁錮5年の実刑判決(以下「刑事判決」という。)を受けた。同判決は、同月17日に確定し、被告Jは、同年10月12日に刑事施設に収容された。 2 争点本件の争点は、原告らの損害であり、当事者の主張は以下のとおりである。 (原告らの主張) ⑴ Kの損害ア逸失利益 4494万1380円Kは専業主婦であったから、本件事故当年である令和元年賃金センサス女性学齢計全年齢平均388万円を基礎収入とすべきであり、本件事故当時31歳であるから稼動期間36年間(対応するライプニッツ係数1 6.5469)、生活費控除率は30%として計算すべきである。 【計算式】3,880,000×16.5469×(1-0.3)=44,941,380イ死亡慰謝料 2900万0000円Kは、本件事故時31歳とまだ若く、原告AとともにLを懸命に育てながら毎日楽しく生活していたところ、青色信号に従って横断通行中で落 ち度が皆無であるのに、被告車に激突され、数十メートルにわたり吹き飛ばされて即死したもので、その精神的苦痛や無念さは筆舌に尽くし難い。また、自らのみでなく、我が子であるLをも無残 通行中で落 ち度が皆無であるのに、被告車に激突され、数十メートルにわたり吹き飛ばされて即死したもので、その精神的苦痛や無念さは筆舌に尽くし難い。また、自らのみでなく、我が子であるLをも無残に轢き殺されたことから、子を失った苦痛による母親固有の慰謝料が死の直前に発生しているはずである。 これらに加えて、①被告Jの過失が、非常に見通しのよい本件道路において、アクセルとブレーキを踏み間違えて衝突時まで一切ブレーキを掛けていないなど、自動車運転者として最も基本的な注意義務を怠り、故意に比肩すべき重過失であったこと、②被告Jは、別件刑事事件において車両の欠陥に本件事故の責任があると主張して全く反省しておらず、 本件事故後の報道機関の取材に対しても、本件事故を他人事のように捉えた言動をしていたこと、③被告Jは、本件事故当時87歳の著しい高齢で必要不可欠な事情のない限り免許を自主的に返納すべき年齢であった上、その持病により、喫緊の差し迫った道路交通の危険に対し運転者に求められる認知機能及び運動機能に障害が生じていて、日常生活にお いて杖を突き、足を引きずるような状態であり、運転の際に、差し迫っ た危険が発生した際に素早く行動することが困難な身体的能力しかなく、運転自体を差し控えるべきであったのに、レストランに行くためという些細な私事を優先させ、あえて危険な運転行為を選択していること、④被告Jが、実刑となった刑事判決確定後、自らの刑事施設収容予定という自己都合を優先させるべく、原告らの都合を考えず一方的に数日後の 期日を候補日とした上で、民事裁判の場でしか謝罪しないという条件で謝罪の申入れをしてきたことや、被告ら代理人弁護士が、原告Aの私的なブログを本来の意図と異なる趣旨で準備書面に引用したことは、原告ら遺 日を候補日とした上で、民事裁判の場でしか謝罪しないという条件で謝罪の申入れをしてきたことや、被告ら代理人弁護士が、原告Aの私的なブログを本来の意図と異なる趣旨で準備書面に引用したことは、原告ら遺族に対する配慮を欠き、二次被害を生じさせていること、⑤本件事故の社会的影響力が甚大であることを考慮すれば、Kの死亡慰謝料は2 900万円が相当である。 ウ小計 7394万1380円⑵ Lの損害ア逸失利益 2625万4381円Lは、本件事故当時3歳であり、基礎収入は、令和元年賃金センサス男 女学歴計全年齢平均500万6900円とすべきであり、18歳から67歳までの就労期間49年間に対応するライプニッツ係数が8.7394である。生活費控除率は、Lが3歳でありライプニッツ係数がかなり低く抑えられてしまうこと、令和2年4月1日以降の死亡事故との公平も考えるべきこと等から、40%が相当である。 【計算式】5,006,900×8.7394×(1-0.4)=26,254,381イ死亡慰謝料 2900万0000円Lは、まだ3歳と幼いが成長盛りで母であるKの手伝いをしたり、絵や習字を上手に描いたりすることができるようになるなど可能性にあふれ、原告ら全員に深く愛され、今後充実した人生を送ることが約束されてい たところ、LはK自転車の後部座席に座っていて落ち度が皆無であるの に、被告車に激突され、座席ごと吹き飛ばされただけでなく、その後清掃車と2次衝突している可能性が高く、その苦痛、恐怖感は倍加しており、人生を奪われた無念さは大人以上であるといっても過言ではない。 また、自らだけでなく、母親が目の前で無残にひき殺 けでなく、その後清掃車と2次衝突している可能性が高く、その苦痛、恐怖感は倍加しており、人生を奪われた無念さは大人以上であるといっても過言ではない。 また、自らだけでなく、母親が目の前で無残にひき殺された無念さを考えれば、母親を失った苦痛による子固有の慰謝料というべきものが死の 直前に発生しているはずである。 これらに加えて、前記⑴イ①ないし⑤の事情を考慮すれば、Lの死亡慰謝料は2900万円が相当である。 ウ小計 5525万4381円⑶ 原告Aの損害 ア K相続分(3分の2) 4929万4253円イ L相続分 5525万4381円ウ葬儀費用 328万2338円エ固有の慰謝料 800万0000円原告Aが、愛する妻子を突然失った精神的苦痛は甚大であること、被告 Jが別件刑事事件において反省には程遠い態度であり原告Aを絶望させたこと、刑事判決に対する控訴を断念するも数日後に前記⑴イ④のとおり一方的な日にちで謝罪方法を特定した申入れを行うなど、遺族に対する無礼な振舞いにより原告Aが二次被害を被ったことなどからすれば、原告A固有の慰謝料は、Kに関し400万円、Lに関し400万円が相 当である。 オ弁護士費用 1158万3097円カ合計 1億2741万4069円⑷ 原告Dの損害ア K相続分(3分の1) 2464万7126円 イ交通費 3万5000円 原告Dが在住する沖縄県内から葬儀に出席 ア K相続分(3分の1) 2464万7126円 イ交通費 3万5000円 原告Dが在住する沖縄県内から葬儀に出席するために、上記交通費を要した。 ウ固有の慰謝料 500万0000円原告Dは、家族の幸せを最優先に毎日を過ごし、二女及び妻の死後、Kが何かと原告Dを支え、Lも原告Dと毎日のようにテレビ電話で話し、 Kらは度々沖縄にも原告D宅を訪れるなどしていたもので、原告Dが娘と孫を突然失った衝撃は筆舌に尽くし難いこと、原告AとKらは将来沖縄に移住して、原告Dらと飲食店を営む計画を立てていたのに、本件事故により原告Dの夢も奪われたこと、原告Dが、全回被害者参加した別件刑事事件における被告Jの態度によりさらに傷付けられたことからす れば、Kに関し慰謝料の増額事由が認められるべきで、Lに関する固有の慰謝料も認められるべきであり、Kに関し300万円、Lに関し200万円が相当である。 エ弁護士費用 296万8212円オ合計 3265万0338円 ⑸ 原告B及び原告Cの損害ア固有の慰謝料各300万0000円原告Aは、Lが生まれてからは、Kらとともに、原告B及び原告Cの自宅(以下「BC家」という。)があるビルの上階に居住するようになり、以降、原告Cは、週1、2回はKらと3人で外出し、平日のうち4日は KらがBC家に来ておやつを食べて話をし、原告Bも、Kらが毎日のようにBC家に来ていることは知っていて、一緒にテレビを見るなど、いずれも同居の家族同然に過ごしていたこと、原告B及び原告Cが本件事 KらがBC家に来ておやつを食べて話をし、原告Bも、Kらが毎日のようにBC家に来ていることは知っていて、一緒にテレビを見るなど、いずれも同居の家族同然に過ごしていたこと、原告B及び原告Cが本件事故後精力的に署名活動を支えたことに照らし、原告B及び原告Cには、K及びLに関し固有の慰謝料が認められるべきであり、それぞれKに関 し50万円、Lに関し250万円が相当である。 イ弁護士費用各30万0000円ウ合計各330万0000円⑹ 原告Eの損害ア交通費 13万0000円原告Eの在住する沖縄県内から葬儀に出席するために、大人2名(夫婦) 及び子1名の交通費として上記金額を要した。 イ固有の慰謝料 150万0000円原告Eは、妹及び母の病死をKと協力して乗り越え、原告Dを共に支え、Lが生まれてからは子育てについて相談する関係で、頻繁にテレビ電話で話しながら食事をし、原告Eが第3子を出産するときは、KがLを連 れて里帰りし、原告Eの2人の子の面倒を見るなどしていたもので、そのつながりの強さからは同居の親族と同等の関係にあり、K及びLに関し固有の慰謝料が認められるべきであり、Kに関し100万円、Lに関し50万円が相当である。 ウ弁護士費用 16万3000円 エ合計 179万3000円⑺ 原告Fの損害ア交通費 8万0000円原告Fの在住する沖縄県内から葬儀に出席するために、大人2名(夫婦)の交通費として上記金額を要し 000円⑺ 原告Fの損害ア交通費 8万0000円原告Fの在住する沖縄県内から葬儀に出席するために、大人2名(夫婦)の交通費として上記金額を要した。 イ固有の慰謝料 150万0000円原告Fは、Kと2人で海外旅行にいくほど仲が良く、Kが結婚して地元を離れることを悩んでいた際に親身になって相談に乗っており、Lが生まれたときは、約1か月半住み込みでKらの世話をするなど、Kに寄り添ってきたこと、原告AとKらが沖縄に移住して原告Dらと飲食店を開 く計画においては、パティシエである原告Fを中心に、準備を進めてい るところであったのであり、そのつながりの強さからは同居の親族と同等の関係にあり、K及びLに関し固有の慰謝料が認められるべきであり、Kに関し100万円、Lに関し50万円が相当である。 ウ弁護士費用 15万8000円エ合計 173万8000円 ⑻ 原告Gの損害ア交通費 3万5000円原告Gの在住する沖縄県内から葬儀に出席するために、上記交通費を要した。 イ固有の慰謝料 150万0000円 原告Gは、11歳年上の姉のKをとても頼りにし、進路などを相談する一方、洋服の貸し借りをするなど大変仲良く過ごし、Kが結婚し実家を出た後も、Kと原告Dとのビデオ通話に週2、3回は参加し、原告Gが上京した際、原告A宅に泊まり、Lと遊ぶなど、家族同然で、そのつながりの強さからは同居の親族と同等の関係にあり、K及びLに関し固有 の慰謝料が認められるべきであり、Kに関し1 参加し、原告Gが上京した際、原告A宅に泊まり、Lと遊ぶなど、家族同然で、そのつながりの強さからは同居の親族と同等の関係にあり、K及びLに関し固有 の慰謝料が認められるべきであり、Kに関し100万円、Lに関し50万円が相当である。 ウ弁護士費用 15万3500円エ合計 168万8500円⑼ 原告Hの損害 ア固有の慰謝料 50万0000円原告Hは、毎週末に実家であるBC家に戻っており、同じビルに原告AとKらが引っ越してきてからは、ほぼ毎週末を一緒に過ごし、家族ぐるみで一緒にバーベキューをするなど、同居と言っても過言ではない関わり方をしていたこと、原告Hが本件事故後署名活動に参加し、取りまと め作業をするなどしたことに照らし、Lに関し固有の慰謝料が認められ るべきであり、50万円が相当である。 イ弁護士費用 5万0000円ウ合計 55万0000円⑽ 原告Iの損害ア固有の慰謝料 50万0000円 原告Iは、週4日程度子を連れて実家であるBC家に行っており、Kらと顔を合わせておやつを食べ、話をし、家族ぐるみで一緒にバーベキューをするなど、同居と言っても過言ではない関わり方をしていたこと、原告Iが本件事故後署名活動に参加し、取りまとめ作業をするなどしたことに照らし、Lに関し固有の慰謝料が認められるべきであり、50万 円が相当である。 イ弁護士費用 5万0000円ウ合計 関し固有の慰謝料が認められるべきであり、50万 円が相当である。 イ弁護士費用 5万0000円ウ合計 55万0000円(被告らの主張)⑴ Kの損害 ア逸失利益は、不知ないし争う。 イ死亡慰謝料が発生していることは認め、本件事故の被害結果が重大である点は争わないが、原告らの請求する慰謝料合計額としていささか高額である。 ①被告Jによるアクセルとブレーキの踏み間違いは、一般的にも起こり 得る過失であり、故意行為に匹敵するほどの重過失とはいえない。②被告Jの別件刑事事件における言動について、被告Jの事故時点における認識としては、ブレーキペダルを踏んだというものであり、被告Jが運転していた車種は、暴走してブレーキが効かなくなった旨の報告が本件事故前の時点で相次いでなされている状況であったことからすれば、荒 唐無稽な弁解であったとはいえず、刑事裁判における被告人の防御権と して保護されるべき権利であり、刑事判決を受けて、被告Jが素直に認識を改めたことは何ら非難されるようなものではなく、少なくとも著しく不誠実な態度などの慰謝料増額事由には該当しない。③被告Jの認知機能及び運動機能が障害されていたとの原告らの主張は一般的抽象的可能性に基づく主張にすぎないし、被告Jは、医師からおよそ運転を全面 的に差し控えるよう指示されていたわけではない。④被告Jの刑事判決確定後の謝罪の申入れは、刑事施設収容前に弁護士立会いの下で直接謝罪する機会を設けていただきたいと考え、原告らの了承を条件に要望を述べたもので、被告Jが自己都合の条件を勝手に決めて原告らに押し付けた事実は存在しない。 ⑵ Lの損害ア逸失利益は 謝罪する機会を設けていただきたいと考え、原告らの了承を条件に要望を述べたもので、被告Jが自己都合の条件を勝手に決めて原告らに押し付けた事実は存在しない。 ⑵ Lの損害ア逸失利益は、基礎収入及び生活費控除率につき争い、その余は認める。 基礎収入は、令和元年賃金センサス女性学歴計全年齢平均賃金である388万円とした上で、生活費控除率を30%とすべきで、下記計算式のとおり、2373万6210円とするのが相当である。 【計算式】3,880,000×8.7394×(1-0.3)=23,736,210イ死亡慰謝料が発生していることは認め、本件事故の被害結果が重大である点は争わないが、原告らの請求する慰謝料合計額としていささか高額であるのは、前記⑴イのとおりである。 ⑶ 原告Aの損害 ア葬儀費用が損害賠償の対象となることは認めるが、社会通念上相当と認められる金額は150万円である。 イ固有の慰謝料は、前記⑴イのとおり金額を争う。 ウ弁護士費用は争う。 ⑷ 原告Dの損害 ア交通費は争う。 イ固有の慰謝料は争う。原告Dは、Lに関し、固有の慰謝料の請求権者たり得ないし、Kに関しては、前記⑴イのとおり金額を争う。 ウ弁護士費用は争う。 ⑸ 原告B及び原告Cの損害ア固有の慰謝料はいずれも争う。 イ弁護士費用はいずれも争う。 ⑹ 原告E、原告F及び原告Gの損害ア交通費はいずれも争う。 イ固有の慰謝料はいずれも争う。原告E、原告F及び原告Gは、姪の関係にあるLのみならず、きょうだいの関係にあるKに関しても、同居してお らず、昼夜生活を共にする緊密な関係にはなかったから、固有の慰謝料の請求権者たり得ない。 ウ弁護士費用はいずれも争う。 ⑺ 原告H及び原告 きょうだいの関係にあるKに関しても、同居してお らず、昼夜生活を共にする緊密な関係にはなかったから、固有の慰謝料の請求権者たり得ない。 ウ弁護士費用はいずれも争う。 ⑺ 原告H及び原告Iの損害ア固有の慰謝料はいずれも争う。原告H及び原告Iは、姪の関係にあるL に関し、固有の慰謝料の請求権者たり得ない。 イ弁護士費用はいずれも争う。 第3 当裁判所の判断 1 Kの逸失利益 4494万1380円証拠(甲12、原告C本人)及び弁論の全趣旨によれば、Kは専業主婦であ ったことが認められ、基礎収入は、令和元年賃金センサス女性学歴計全年齢平均を上回らない原告ら主張の388万円とした上で、生活費控除率を30%とするのが相当である。また、就労可能期間は、Kが本件事故当時31歳であったことから、36年間(対応する年5%のライプニッツ係数16.5469)とするのが相当である。 そうすると、逸失利益の額は、以下の計算式のとおりである。 【計算式】3,880,000×16.5469×(1-0.3)=44,941,380 2 Lの逸失利益 2406万6516円基礎収入は、Lが本件事故当時3歳であり、年少者は多様な就労可能性を有することに照らし、令和元年賃金センサス男女学歴計全年齢平均500万6900円とした上で、生活費控除率を45%とするのが相当である。就労可能年 数は、18歳から67歳までの49年間(対応する年5%のライプニッツ係数8.7394)とするのが相当である。 原告らは、法定利率を変更する改正民法の施行された令和2年4月1日以降に発生した交通事故における逸失利益計算上の中間利息控除との権衡に配慮して、生活費控除率を低くすべ 94)とするのが相当である。 原告らは、法定利率を変更する改正民法の施行された令和2年4月1日以降に発生した交通事故における逸失利益計算上の中間利息控除との権衡に配慮して、生活費控除率を低くすべきである趣旨を主張するが、法改正により施行日 を境にして取扱いを異にすることはやむを得ないものであり(ただし、ライプニッツ係数は法改正前の方が被害者に不利である一方で、遅延損害金の法定利率はむしろ高率であるという事情も存在する。)、かえって当時の法施行状態を逸脱した取扱いをする方が、同じ法施行状態における他事案との権衡を失することになって相当ではない。上記の原告らの主張は採用することができない。 そうすると、逸失利益の額は以下の計算式のとおりである。 【計算式】5,006,900×8.7394×(1-0.45)=24,066,516 3 K及びLの死亡慰謝料並びに原告らの固有慰謝料⑴ 認定事実前提事実に加え、見出し等に掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件 事故時までの被告Jの健康状態等について、以下の各事実が認められる。 ア被告JのO医療センターへの通院状況等(甲19、乙2)被告Jは、かかりつけのP医院からの紹介で、平成29年1月30日、O医療センター(以下「O医療センター」という。)神経内科のQ医師(以下「Q医師」という。)を受診し、ふらつきを主訴し、1年位 前から浮遊感等があることを申告したところ、心配であればとして、頭 部MRI等の検査が提案されたが、本人が経過を見ることを希望して、一旦はその日切りの受診となった(甲19・6、7、60、63頁)。 その後、被告Jは、同年中に同医師を数回受診し、同年8月2日に頭部MRIが撮影されたが、軽度の大脳白質病変を認めるとされながらも主訴の原因となる 切りの受診となった(甲19・6、7、60、63頁)。 その後、被告Jは、同年中に同医師を数回受診し、同年8月2日に頭部MRIが撮影されたが、軽度の大脳白質病変を認めるとされながらも主訴の原因となるような粗大病変は認めないと診断された(甲19・14 頁)。 被告Jは、P医院からの紹介で、平成30年7月4日から再度O医療センター神経内科のQ医師を受診したが、歩行障害と診断されつつもパーキンソニズムはないようであるとされて、同月31日に症状変化時に再診とされ(甲19・18ないし23、61頁)、さらに、同年11 月15日には三度P医院からの紹介で、同センター整形外科を受診し、脊柱管狭窄症の疑いで精査を開始するとされたものの、同年12月4日までに撮影された胸椎、腰椎MRI検査の結果、整形外科的な疾患はないと診断された(甲19・25ないし30、62頁)。 もっとも、被告Jは、翌5日にQ医師を受診して再度ふらつきを主 訴したところ、外出は1本杖、両膝の鉛管様固縮の疑いがあるとして、加齢性を考えるもののパーキンソン症候群の可能性もあるとされ、次回の平成31年1月15日に再評価するとされた。同日の受診では、右脚が出づらいと訴え、右膝に鉛管様固縮ありとされて、パーキンソン病の疑いで、DATシンチグラフィ(ドーパミントランスポーターシンチグ ラフィ。甲20参照。)が実施されたところ、パーキンソニズムを呈する変性疾患やDLB(レビー小体型認知症)と合致すると診断され、同日から、抗パーキンソン剤であるドパコール配合錠が1日当たり100mg処方された(甲19・32ないし38頁)。 被告Jに対するドパコール配合錠の処方は、同年2月6日に200 mg、同年3月6日に300mg、同月27日に450mgに増量され たもの mg処方された(甲19・32ないし38頁)。 被告Jに対するドパコール配合錠の処方は、同年2月6日に200 mg、同年3月6日に300mg、同月27日に450mgに増量され たものの、歩行の改善が認められず、眠気を訴えたため同年4月10日から300mgに減量された(甲19・40、42、44ないし46、48頁)。 被告Jは、このうち同年3月6日に受診した際には、尻餅をついたりしていると訴え、外出は2本杖で、右脚が出づらいが仕事をしており、 外出で自動車を運転していると申告したところ、Q医師は、自動車の運転は必要最小限にし、体調が悪いときは控えるように指導した(甲19・41頁)。 なお、ドパコール配合錠の医療関係者向けとみられる添付文書には、長期投与時に、前兆のない突発的睡眠、傾眠、調節障害及び注意力・集 中力・反射機能等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意するという旨の記載がある(甲17の1)。 被告Jは、別件刑事事件の被告人質問において、医師にパーキンソン症候群の疑いがあると言われ、自動車の運転については、注意して運 転し、体調が悪ければ運転はやめるように言われていたと供述している(甲8の7・3頁)。 被告Jは、前記の同年4月10日に受診時点で、歩行の改善がなく、筋強剛は右下肢に鉛管様であるとして、皮質基底核変性症候群(大脳皮質基底核変性症)の疑いがあるとされていた(甲19・45頁)。 イ本件事故に至る状況(甲7、8、18、23、24)被告Jは、上記受診から10日を経ない平成31年4月19日午後0時10分頃、東京都板橋区内の自宅から予約していたレストランに妻と赴くため、被告車の運転を開始した。 、8、18、23、24)被告Jは、上記受診から10日を経ない平成31年4月19日午後0時10分頃、東京都板橋区内の自宅から予約していたレストランに妻と赴くため、被告車の運転を開始した。 被告車は、a交差点を左折して指定制限速度50km毎時の本件道 路に入る頃から、被告車の制御を失って、前方の自動二輪車等を車線変 更しつつ相次いで追い抜くなどし、その頃、S-VSC(横滑り時の車両姿勢制御機能)の作動を知らせる電子音が車内に鳴動したが、その間も、被告車は、加速を継続した。 被告車は、本件交差点の1つ手前の信号機により交通整理の行われている交差点には時速約84kmで、さらに本件交差点には時速約96 kmまで加速して、それぞれ対面の赤色信号にもかかわらず進入し、本件交差点入口に設けられた横断歩道上を青色信号に従い右方から左方に向かい横断通行していたK自転車に被告車を衝突させた末、Kらを即死させた(本件事故)。 ウ本件事故後の診断(甲29、証人Rの供述書、争いのない事実) 被告Jは、本件事故後の平成31年4月下旬頃、S研究センターに入院してR医師の足関節の屈伸(foottapping)検査等を受け、座位で「竦み」と屈伸速度の低下が認められ、右側がより顕著であることや、症候が上肢よりも下肢・歩行に強く偏っていることを踏まえて、歩行障害、パーキンソニズム(広義のパーキンソン症候群。パーキンソン病に非典型) と診断された。 ⑵ Kの死亡慰謝料ア本件事故の凄惨性と過失の重大性前記前提事実及び上記認定事実によれば、本件事故は、被告Jが、アクセルとブレーキを的確に操作するという、自動車運転上の最も基本的な注 意義務に違反し、a交差点で左折を開始した頃から、ブレーキペダルと間違えてアクセ 定事実によれば、本件事故は、被告Jが、アクセルとブレーキを的確に操作するという、自動車運転上の最も基本的な注 意義務に違反し、a交差点で左折を開始した頃から、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏んで加速して被告車の制御を失い、車線変更して先行車両を追い抜きながら衝突を避けるのを繰り返すという異常な走行をした後もアクセルペダルを踏み続けて、指定制限速度を時速約46km超過するまで被告車を加速させて、対面の赤色信号にもかかわらず本件交 差点入口の横断歩道に進入して発生したものであり、その義務違反の程度 は重大である。 Kは、青色信号に従い横断歩道を通行していたにもかかわらず、このような被告Jの一方的で重大な過失により本件事故に遭い、後部座席に乗せていたLとともに跳ね飛ばされて転倒して即死したもので、本件事故は凄惨なものであり、その恐怖や、突如として娘とともに絶命させられ、将来 の夢や希望も絶たれた無念さは察するに余りある。 イ被告Jの運転動機の安易性と医療上の運転忌避指導の程度加えて、被告Jは、本件事故前から外出に2本杖を要するような右脚が出づらい状態を自覚、申告して、O医療センターのQ医師を受診し、パーキンソン病やパーキンソン症候群の一つである大脳皮質基底核変性症を疑 われ、抗パーキンソン剤であるドパコール配合錠を当初よりも増量されて処方され、運転は必要最小限として体調が悪いときは控えるよう指導されている中で、この指導を、注意して運転するようにという程度の意味に理解した上で、単に家族とレストランに食事に赴くという運転が必須であるとは認め難い事情で安易に運転した末に、本件事故を惹起したものであり、 本件事故を発生させたことについて、原告らが憤りを募らせるのも無理はない。 もっと ンに食事に赴くという運転が必須であるとは認め難い事情で安易に運転した末に、本件事故を惹起したものであり、 本件事故を発生させたことについて、原告らが憤りを募らせるのも無理はない。 もっとも、上記のQ医師の指導は、ドパコール配合錠の医療関係者向けとみられる添付文書の内容に沿うものではあるものの、その指導の際に、パーキンソン症候群における認知機能や運動機能との関係も含めて、自 動車の運転を避けるべき理由についてどこまで具体的な説明がされたかは必ずしも明らかではないし、「必要最小限」の運転が指導されたといっても、受診時の会話におけるそのニュアンスには幅があり得るところである。そして、当裁判所が、被告Jによる黙秘義務の免除を取り付けた上でQ医師を証人として召喚したものの、Q医師は当裁判所に出頭せず、 尋問を実施できなかったという職務上顕著な事実のほか、被告Jに対し ては、医療記録上の記載においても、体調の悪いときには運転を避けるようにという指導も合わせてされていることにもよれば、ほぼ許容される場面がないのに近いほどの強い意味で、必要最小限の運転とするようにまでの指導がされていたものではないと認められる。以上によれば、後方視的、客観的に見れば、被告Jのパーキンソン症候群に起因する運 動機能障害が、本件事故時におけるアクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え等の危機回避行動に影響を与えた可能性を否定し難いとしても、被告Jが、自らのパーキンソン症候群による認知機能及び運動機能障害の重度について十分に理解した上で、殊更これを無視するような悪意ある動機をもってその運転行為に及んだとまでは認められない。 ウ被告らの事後対応の相当性被告Jが、本件事故後、原告らに対するひとまずの道義的な謝罪等を行うこと を無視するような悪意ある動機をもってその運転行為に及んだとまでは認められない。 ウ被告らの事後対応の相当性被告Jが、本件事故後、原告らに対するひとまずの道義的な謝罪等を行うことすらしないまま、別件刑事事件において相応の証拠が出揃った後も、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違えたことと自らの過失を認めず、刑事判決に至るまで不合理な弁解を継続していたこと(甲7、8)は、 刑事手続における被告人の防御権が権利として保障されていることを踏まえても、遺族の心情を逆撫でする行為といえる。被告Jは、刑事判決後間もなく、本件民事訴訟において上記の踏み間違えの事実と過失を認めるに至ったものの、刑事施設収容前に原告らに謝罪したいという要望について、原告らにおいて配慮を欠くものと受け止めたのも、元を正せば、こうした 被告Jの刑事判決に至るまでの言動に起因していると考えられる。そして、被告Jが謝罪の要望をしたことをもって、現に謝罪がされたのと同視するのは、被害者側に謝罪の受入義務を認めるのと変わらず、到底そのような扱いをする余地はないことからすれば、結局、本件においては、被害者側が受け入れるに足るだけの真摯な謝罪がされていないことをもって、慰謝 料算定において重要な一事情として考慮すべきである。 この点、被告Jの謝罪の申入れは、原告らがその受入れを拒否するに至るまでの経緯の全体が、以上の事情を構成する要素として斟酌される事柄と位置付けられるべきものであって、原告らの主張するように、その経緯の一部である被告らによる謝罪申入れ行為のみをとり上げて、その不法性を吟味するのは相当でない。 また、被告らが、その第2準備書面において、刑事判決前の原告Aの心情を綴ったブログから「これ以上、無益な争いをすること 罪申入れ行為のみをとり上げて、その不法性を吟味するのは相当でない。 また、被告らが、その第2準備書面において、刑事判決前の原告Aの心情を綴ったブログから「これ以上、無益な争いをすることは望まない」などとする部分を引用したことは、憲法32条で保障された裁判を受ける権利に鑑み、訴訟活動とは名ばかりのこれを明白に逸脱する行為といえない限り、違法性を帯びるとはいえないところ、上記の引用は、被告Jが刑事 判決に控訴せず本件民事訴訟で留保していた過失についての認否を改めたことが原告らの意思に反しないという文脈において、かつ、第三者一般に閲覧可能な形で公開された原告Aのブログを引用したものにとどまるものであることに照らせば、そこから原告Aの内心の意思を臆断して本件民事訴訟の早期の審理を求める理由として援用している点を含め、正当な訴訟 活動の範囲を明白に逸脱しているとはいえず、違法性を帯びる訴訟行為であるとはいえない。上記の被告らの主張立証行為は、被告らが被告Jの過失についての認否を改めたことをもってしても、被害者側が謝罪を受け入れるには至らなかったという事情の中に、包摂して評価すべき事柄というほかない。 エ総合考慮以上の事情を総合考慮し、Kの死亡慰謝料は2600万円をもって相当と認める。 ⑶ Lの死亡慰謝料Lは、母親が運転する自転車の後部座席に乗っていただけにもかかわらず、 前記の被告Jの一方的で重大な過失により凄惨な本件事故に遭い、母親とと もに跳ね飛ばされて転倒して即死したもので、その恐怖や、わずか3歳にもかかわらず突如として未来を閉ざされた無念さは察するに余りある。 上記の事情及び前記⑵に判示した事情を踏まえ、Lの死亡慰謝料は2600万円をもって相当と認める。 ⑷ 固有 怖や、わずか3歳にもかかわらず突如として未来を閉ざされた無念さは察するに余りある。 上記の事情及び前記⑵に判示した事情を踏まえ、Lの死亡慰謝料は2600万円をもって相当と認める。 ⑷ 固有の慰謝料 ア原告A原告Aは、Kの夫でLの父であり、凄惨で重大な過失を伴う本件事故により突如として最愛の妻子を失い、家族としての夢も絶たれ、娘の成長等を見届けることもできなくなったのであり、現在に至るまで続く無念さ、喪失感等は察するに余りある。 上記の事情及び前記⑵イ及びウに判示した事情を踏まえ、K及びLに関する固有の慰謝料は各300万円をもって相当と認める。 イ原告D原告Dは、Kの父であり、凄惨で重大な過失を伴う本件事故により突如として娘を失った無念さ、喪失感等は察するに余りある。上記の事情及 び前記⑵イ及びウに判示した事情も考慮し、Kに関する固有の慰謝料は200万円をもって相当と認める。 また、原告Dは、Lの祖父であり、同居はしていないものの、沖縄県と東京都という遠隔地にもかかわらずLとも頻繁にテレビ電話をするなど、一般の祖父と孫の関係を上回る交流があったと認められる。そうすると、 原告Dは、Lとの間で、民法711条所定の父母、配偶者及び子と実質的に同視し得る身分関係が存するというべきで、Lの死亡により甚大な精神的苦痛を被ったと認められ、原告DのLに関する固有の慰謝料は50万円をもって相当と認める。 ウ原告B及び原告C 原告BはLの祖父、原告CはLの祖母であり、Lと同居こそしていない ものの、本件事故の約2年前からBC家と同じビルに原告AとKらが居住し、専業主婦のKと幼児のLは、日中頻繁にBC家に行くなど、一般の祖父母と孫の関係を上回る交流があったと認められる。そうすると、原告 のの、本件事故の約2年前からBC家と同じビルに原告AとKらが居住し、専業主婦のKと幼児のLは、日中頻繁にBC家に行くなど、一般の祖父母と孫の関係を上回る交流があったと認められる。そうすると、原告B及び原告Cは、Lとの間で、民法711条所定の父母、配偶者及び子と実質的に同視し得る身分関係が存するというべきであり、Lの死 亡により甚大な精神的な苦痛を被ったと認められ、原告B及び原告CのLに関する固有の慰謝料は各75万円をもって相当と認める。 他方、原告B及び原告Cは、Kの義父母であるが、上記の交流があったことを踏まえても、Kとの間で上記のような身分関係が存するとは認められないから、Kに関する固有慰謝料は認められない。 エ原告E、原告F及び原告G原告EはKの姉、原告FはKの妹、原告GはKの弟であり、幼少期にはKと同居していたが、原告Eは結婚して実家を出てから約8年間、原告F及び原告GはKが結婚して実家を出てから本件事故までの約4年間、Kと同居していなかった。Kの結婚後、原告Eの出産時にKがLを連れ て里帰りし、原告Eの子の面倒をみたことや、原告FがKの出産時に約1か月半住み込みでKとLの世話をしたこと、原告Gが上京した際、原告A宅に泊まり、そのときにLと遊び、原告GがKと原告Dとのビデオ通話に参加することがあったことなど、原告E、原告F及び原告GとKらの交流関係が一定程度認められることを考慮しても、原告E、原告F 及び原告Gは、Kらとの間で、父母、配偶者及び子と実質的に同視し得る身分関係が存するとは認められず、固有の慰謝料は認められない。 オ原告H及び原告I原告H及び原告Iは、原告Aの姉であり、Kらと同居したことはない。 本件事故の約2年前に原告AとKらがBC家と同じビルに引っ越してき てから、 の慰謝料は認められない。 オ原告H及び原告I原告H及び原告Iは、原告Aの姉であり、Kらと同居したことはない。 本件事故の約2年前に原告AとKらがBC家と同じビルに引っ越してき てから、実家のBC家に帰った原告H及び原告Iが、Kらと一緒に過ご す時間があったり、家族ぐるみでバーベキューをしたりするなど、Lと交流関係が一定程度あったことを考慮しても、Lとの間で、父母、配偶者及び子と実質的に同視し得る身分関係が存するとは認められず、固有の慰謝料は認められない。 4 原告らの損害 ⑴ Kの損害ア逸失利益 4494万1380円イ死亡慰謝料 2600万0000円ウ合計額 7094万1380円⑵ Lの損害 ア逸失利益 2406万6516円イ死亡慰謝料 2600万0000円ウ合計額 5006万6516円⑶ 原告Aの損害ア K相続分(3分の2) 4729万4253円 イ L相続分 5006万6516円ウ葬儀費用 221万9560円証拠(甲3~5)及び弁論の全趣旨によれば、Kの葬儀費用として102万2300円、Lの葬儀費用として45万9600円、両名共通の葬儀関連費用として180万0438円が支払われたことが認められる。 うち飲食代106万2778円を除いた221万9560円について、本件事故と相当因果関係のある2人分の葬儀費用の損害と認める。 エ固有の慰謝料 が支払われたことが認められる。 うち飲食代106万2778円を除いた221万9560円について、本件事故と相当因果関係のある2人分の葬儀費用の損害と認める。 エ固有の慰謝料 600万0000円Kに関し300万円、L分に関し300万円である。 オ小計 1億0558万0329円 カ弁護士費用 1055万8033円 事案の難易及び認容額等に照らし、原告Aに関する本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用として上記金額を認める。 キ合計 1億1613万8362円⑷ 原告Dの損害ア K相続分(3分の1) 2364万7127円 イ交通費 3万5000円弁論の全趣旨によれば、原告Dは、Kらの葬儀に出席するために上記交通費を要したと認められ、本件事故と相当因果関係を有する損害と認める。 ウ固有の慰謝料 250万0000円 Kに関し200万円、Lに関し50万円である。 エ小計 2618万2127円オ弁護士費用 261万8213円事案の難易及び認容額等に照らし、原告Dに関する本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用として上記金額を認める。 カ合計 2880万0340円⑸ 原告B及び原告Cの損害ア固有の慰謝料各75万0000円Lに関し各75万円である。 イ弁護士費用 80万0340円⑸ 原告B及び原告Cの損害ア固有の慰謝料各75万0000円Lに関し各75万円である。 イ弁護士費用各7万5000円 事案の難易及び認容額等に照らし、原告B及び原告Cに関する本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用として、それぞれ上記金額を認める。 ウ合計各82万5000円⑹ 原告E、原告F、原告G、原告H及び原告Iの損害いずれも認められない。なお、原告E、原告F及び原告Gは、葬儀に出席 するために交通費を支出したと主張するが、固有の慰謝料がいずれも否定さ れることにも照らし、本件事故と相当因果関係を有する損害とは認められない。 5 まとめ⑴ 原告Aの請求は、被告Jに対し、1億1613万8362円及びこれに対する不法行為の日(本件事故の発生日)である平成31年4月19日から支 払済みまで旧民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、被告保険会社に対し、被告Jに対する判決の確定を条件として、上記金額の支払を求める限度で理由があり、その余の請求にはいずれも理由がない。 ⑵ 原告Dの請求は、被告Jに対し、2880万0340円及びこれに対する不法行為の日(本件事故の発生日)である平成31年4月19日から支払済 みまで旧民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、被告保険会社に対し、被告Jに対する判決の確定を条件として、上記金額の支払を求める限度で理由があり、その余の請求にはいずれも理由がない。 ⑶ 原告B及び原告Cの請求は、それぞれ、被告Jに対し、82万5000円及びこれに対する不法行為の日(本件事故の発生日)である平成31年4 める限度で理由があり、その余の請求にはいずれも理由がない。 原告B及び原告Cの請求は、それぞれ、被告Jに対し、82万5000円及びこれに対する不法行為の日(本件事故の発生日)である平成31年4月19日から支払済みまで旧民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、被告保険会社に対し、被告Jに対する判決の確定を条件として、上記金額の支払を求める限度で理由があり、その余の請求にはいずれも理由がない。 原告E、原告F、原告G、原告H及び原告Iの請求には、いずれも理由がない。 第4 結論 よって、主文のとおり判決する。なお、被告Jに関する仮執行免脱宣言は、相当ではないからこれを付さないこととする。 東京地方裁判所民事第27部 裁判長裁判官 平山馨 裁判官 伊東智和 裁判官 佐藤康行 (別紙2)各原告の請求元金額一覧 1 原告A 1億2741万4069円 2 原告B 330万0000円 3 原告C 330万0000円 4 原告D 3265万0338円 5 原告E 179万3000円 6 原告F 173万8000円 7 原告G 168万8500円 8 原告H 55万0000円 9 原告I 55万0000円 168万8500円 原告H 55万0000円 原告I 55万0000円以上 (別紙1)当事者目録については、記載を省略。

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