平成16(行コ)205 事業認定取消・収用裁決取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成12年(行ウ)第349号事業認定取消請求事件(原審第1事件。以下当審においても「第1事件」という。),平成14年(行ウ)第421号収用裁決取消請求事件(原審第2事件。以下当審においても「第2事件」という。))

裁判年月日・裁判所
平成18年2月23日 東京高等裁判所 公用負担・公用収用など
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判決文本文57,003 文字)

主文 原判決中,主文第1,第3ないし第5項を取り消す。 第1事件について第1ないし第3被控訴人目録記載の被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 第2事件について(1)第4被控訴人目録記載の被控訴人らの明渡裁決取消請求に係る訴えをいずれも却下する。 (2)第4被控訴人目録記載の被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。 (3)第5及び第6被控訴人目録記載の被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用及び参加によって生じた費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求める裁判 控訴人ら(1)原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消す。 (2)第1事件について(主位的)ア第2及び第3被控訴人目録記載の被控訴人らの訴えをいずれも却下する。 イ第1被控訴人目録記載の被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 (予備的)第1ないし第3被控訴人目録記載の被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 (なお,原判決第4原告目録記載の原告らの訴えについては,訴えを却下す る旨の原審判決が確定している)。 (3)第2事件について(主位的)ア第4被控訴人目録記載の被控訴人らの明渡裁決取消請求に係る訴えをいずれも却下する。 イ第4ないし第6被控訴人目録記載の被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。 (予備的)第4ないし第6被控訴人目録記載の被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 (4)訴訟費用及び参加によって生じた費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 被控訴人ら(1)控訴人らの本件控訴を棄却する。 (2)控訴費用は,控訴人らの負担とする。 第2事案の概要等(略称は,原判決に従う)。 本件は,圏央道あきる野インターチェンジの建設予定地とされた土地等に所有権や賃借権 本件控訴を棄却する。 (2)控訴費用は,控訴人らの負担とする。 第2事案の概要等(略称は,原判決に従う)。 本件は,圏央道あきる野インターチェンジの建設予定地とされた土地等に所有権や賃借権の準共有持分権などの権利を有する被控訴人らが,建設大臣(当時)が平成12年1月19日に行った本件事業認定は,土地収用法20条の要件を充たしておらず,また,事業認定手続に違法があった等として,その取消を求め(第1事件,さらに,本件事業認定を受けて控訴人東京都収用委員会)が行った本件収用裁決(権利取得裁決及び明渡裁決)について,本件事業認定の違法性が承継され,かつ収用裁決手続に違法があったとして,本件収用裁決の名宛人となった被控訴人らがその取消しを求めた(第2事件)事案である。 原審は,第1事件について,本件起業地内の土地等について所有者又は関係人として権利を有していない原告ら(原判決第4原告目録記載の原告ら)の訴え を却下し,他の原告らの請求を認容し,本件事業認定は違法であるとして取り消し,第2事件について,原告らの請求を認容し,各権利取得裁決及び明渡裁決はいずれも違法であるとして取り消した。これに対し,原審第1事件被告国土交通大臣,同第2事件被告東京都収用委員会,同両事件参加人国及び同日本道路公団が控訴した。なお,原判決第4原告目録記載の原告らの訴えについては,これを却下する旨の原審判決が確定した。 本件の前提となる事実は,次のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の<前提となる事実>記載のうち,控訴人らと被控訴人らに関係する部分のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決13頁6行目「第1原告」を「第1被控訴人目録記載の被控訴人」に改め,以下同様とする。 (2)同頁17行目「死亡しており,相続人間の」から21行目末尾ま りであるから,これを引用する。 (1)原判決13頁6行目「第1原告」を「第1被控訴人目録記載の被控訴人」に改め,以下同様とする。 (2)同頁17行目「死亡しており,相続人間の」から21行目末尾までを「死亡し,その所有又は共有の不動産について共有持分を有するに至ったP1が本件訴訟を承継した」に改める。 。 (3)同頁22行目「第2原告」を「第2被控訴人目録記載の被控訴人」に,「第3原告」を「第3被控訴人目録記載の被控訴人」にそれぞれ改め,以下同様とする。 (4)同頁24行目「ただし同P2については3200分の19」を削る。 ,(5)同14頁4行目「第5原告」を「第4被控訴人目録記載の被控訴人」に改め,以下同様とする。 (6)同頁10行目「第6原告」を「第5被控訴人目録記載の被控訴人」に,「第7原告」を「第6被控訴人目録記載の被控訴人」にそれぞれ改め,以下同様とする。 当事者の主張当事者の主張は,次のとおり付加・補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の<当事者の主張>記載のうち,控訴人らと被控訴人らに関係する部分 のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決108頁10行目「都市計画法は」から12行目「定めてお,り」までを「都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)。 は「都道府県知事は,関係市町村の意見をきき,かつ,都市計画地方審議,。 。 会の議を経て,都市計画を決定するものとする」と定めており」に改める(2)同頁22行目末尾の次に,以下のとおり加える。 「事業認定の要件は,法20条各号に網羅されており,事業認定庁としては,事業認定に当たり,上記各号適合性を判断すれば足りるものであり,また,事業認定庁の判断によってその他の要件を課することも認められない。事業認定庁は,法の明示する要件に従って り,事業認定庁としては,事業認定に当たり,上記各号適合性を判断すれば足りるものであり,また,事業認定庁の判断によってその他の要件を課することも認められない。事業認定庁は,法の明示する要件に従って起業者の申請に係る事業計画を審査することが求められており,それが法律による行政の原理の要求するところである」。 (3)同109頁10行目末尾の次に,以下のとおり加える。 「換言すれば,このような事業認定庁の判断は,将来の予測に係る事項を含んでおり,また,経済的,開発的利益と文化的,環境的価値という相対立する価値の軽重を総合考慮して当該事業計画の合理性を判定しようとするものであるから,その性質上,必然的に政策的又は専門技術的判断を伴うものであり,事業認定庁には,その要件適合性について裁量が認められるものである」。 (4)同113頁15行目の次に行を改め,次のとおり加える。 「オいわゆる物的性状瑕疵及び供用関連瑕疵について法20条3号は,将来建設される道路等の営造物自体に物理的,外形的な欠陥や不備(いわゆる物的性状瑕疵)があるか否かまで審査して判断することを予定するものではない。 次に,供用関連瑕疵は,国家賠償法2条1項所定の「営造物の設置又は管理」の「瑕疵」の解釈として認められたものであり,供用関連瑕疵 が認められるか否かは,供用開始後に道路管理者がいかなる管理をするか,現実の利用状況はどのようになるか,周囲の地域の居住状況や開発状況というような立地条件,あるいは気象条件等によって大きく左右されるものであり,行政庁が行政処分をするに際して,要件ないし審査基準として適用し機能するような性質のものではない。とりわけ,事業認定の段階で,当該事業計画によって将来建設される道路の供用に伴いいかなる瑕疵が生ずるかというような,供用後の諸事情によ 件ないし審査基準として適用し機能するような性質のものではない。とりわけ,事業認定の段階で,当該事業計画によって将来建設される道路の供用に伴いいかなる瑕疵が生ずるかというような,供用後の諸事情によって左右される事項を審査し判断することができないことは明らかである。したがって,供用関連瑕疵は,黙示的にも,法20条3号の要件ではない」。 (5)同118頁21行目の次に行を改め,次のとおり加える。 「(エ)平成11年1月20日に開催された事業評価監視委員会は,本件費用便益分析も判断材料の一つとして,本件事業の公共性を審議し,事業継続の方針を了承している(乙11の①。事業認定庁である当時の建)設大臣は,この結果をも踏まえた上で政策的かつ専門技術的判断に基づき,本件事業に高度の公共性があると判断した。 費用便益分析は,ある年次を基準年とし,一定期間の便益額及び費用額を算定し,各年次の便益及び費用の値を割引率を用いて現在価値に換算し,総便益の現在価値を総費用の現在価値で除して,便益比を求める手法である。 この手法においては,便益については,道路整備が行われる場合と,行われない場合の交通量を推計し,走行時間短縮,走行経費減少,交通事故減少の各項目について,消費者余剰を推測することによって総便益を算出し,費用については,道路整備に要する事業費(用地費を含む)及び供用後に必要となる維持管理費をそれぞれ算出して,総費用。 を算出する。 費用分析マニュアルは,学識経験者らの意見を採り入れて,客観的か つ公正に策定,改定されており,また,同マニュアルにおける費用,便益の各項目の選定は,現時点における知見により,定量化できるものをできる限り客観的に評価しようとしたものであって,恣意的に選定されたものではない。 被控訴人らは,圏央道の開通以来,費用が収 費用,便益の各項目の選定は,現時点における知見により,定量化できるものをできる限り客観的に評価しようとしたものであって,恣意的に選定されたものではない。 被控訴人らは,圏央道の開通以来,費用が収入で賄われていないなどとして,本件費用便益分析には信用性がないと主張するが,そもそも費用便益分析は,当該事業の現実の収支とは全く別の次元のものである。 また,圏央道がいまだ交通ネットワークの一部を構成するまでに至っていない供用状況にとどまっていることを踏まえずに,現在までの収支だけをもって本件費用便益分析が信用できないとすることはできない。そして,本件費用便益分析における交通量の推計については,人口減少によって直ちに交通需要が減少するとはいえない」。 (6)同121頁16行目の次に行を改め,次のとおり加える。 「そして,α1地区については,大気拡散風洞模型実験(以下「本件風洞模型実験」という)を行い,プルーム・パフモデルにより行った大気汚。 染予測値が妥当性を有するものであることが確認されている。そこで,α1地区よりも接地逆転層の強度が弱いあきる野インターチェンジ付近において,プルーム・パフモデルを用いて大気汚染を予測することは合理的な手法というべきであり,あきる野インターチェンジ付近で改めて現地調査を行わなくとも,接地逆転層の影響について十分考慮されているということができる。 次に,プルーム・パフモデルにおいて使用する理論計算式を作成する際には「汚染物質の排出強度は時間とともに一定」であることが仮定され,ている。ここに「時間とともに一定」との意味は,予測計算の単位とした時間(例えば1時間)内における排出濃度が時間とともに一定であることが理論的に仮定されていることである。そして,プルーム・パフモデルを 用いた大気拡散シミュレーション 意味は,予測計算の単位とした時間(例えば1時間)内における排出濃度が時間とともに一定であることが理論的に仮定されていることである。そして,プルーム・パフモデルを 用いた大気拡散シミュレーションにおいては,気象条件及び交通条件について,年平均時間別値を用いることとされている。これは,1時間を単位として考え,この1時間内においては,同一の気象条件及び交通条件の下に車両が走行し,これらの条件に基づき算出された時間別平均排出量(この1時間に走行する車両から排出される汚染物質の量)に相当する汚染物質が,一定の割合により排出され続けるという理論的仮定,すなわち「汚染物質の排出強度は時間とともに一定」であるとの理論的仮定を前提とするものであり,本件環境影響評価においても,同様の理論的仮定が採用されている。したがって,1日を通じて排出強度が一定であることを予測計算の前提条件とするものではない。そして,本件環境影響評価等における大気拡散シミュレーションにおいては,道路環境整備マニュアルにおいて示された手法に従い,時間変動係数及び大型車混入率を用いて時間別交通量が算出され,これを前提として,汚染物質の移流・拡散現象が単位時間(1時間)ごとに数学的に解析されることにより,各時間(1時間)ごとの交通量を踏まえた拡散計算が行われている。このように,本件環境影響評価等においては,大型車混入率等の変動も踏まえて適正な拡散計算がなされている」。 (7)同126頁23行目の次に行を改め,次のとおり加える。 「また,本件処分時における東京都内のSPM濃度については,減少あるいは横ばいである旨の分析が東京都によりなされ(乙32,33,国や)東京都を初めとする地方自治体によりSPMに関する環境改善施策が積極的に進められている(乙34ないし37)ことからすると, 少あるいは横ばいである旨の分析が東京都によりなされ(乙32,33,国や)東京都を初めとする地方自治体によりSPMに関する環境改善施策が積極的に進められている(乙34ないし37)ことからすると,今後とも,SPMに関する環境の改善が大いに期待できる状況にある」。 (8)同141頁7行目の次に行を改め,次のとおり加える。 。 「(4)ア費用便益分析は,以下のように既に時代遅れとなった手法である(ア)費用便益分析は,あくまで限りある資源の最適配分の実現とい う観点からみた,経済的な意味での効率性の基準に基づく事業評価のための一つの判断情報を提供し得るだけである。そして,ある事業が経済的な意味での効率性を最低限充たすということと,当該事業に公益性が認められるかどうかという問題は,次元の異なる事柄である。 (イ)どうしても各種の便益や費用に関する評価バイアスの問題を抱えざるを得ない。 (ウ)便益対費用という,もともと次元の異なるものを対比させる必要から,何らかの方法で同一次元での定量化(その代表として金銭換算)を行うことになるが,その際,そもそも定量化(金銭換算)に原理的になじまない,又は不能ないし極めて困難な諸効果(例えば,生命や健康にかかわる破壊・損傷や人権侵害,自然環境の破壊等)は,どうしても費用便益分析の枠組みでは考慮外にせざるを得ないという限界がある。 (エ)かなりの長期間にまたがるような事業に関する評価の場合が特にそうであるが,どうしても事前には予測しがたい不確実性に伴う評価の困難さをめぐる問題が生ずる。 イ本件においても,以下のような問題がある。 (ア)走行時間便益については,時間の価値が人や時間の使い方などによって異なることを捨象して算出している。 (イ)交通事故減少便益については,生命の価値をどのように計 も,以下のような問題がある。 (ア)走行時間便益については,時間の価値が人や時間の使い方などによって異なることを捨象して算出している。 (イ)交通事故減少便益については,生命の価値をどのように計算するのかが明らかにされていない。 (ウ)環境改善便益については明らかにされていない。 ウしたがって,本件費用便益分析は,単に本件事業を正当化するための道具として利用されているにすぎず,到底本件事業の公益性ないし公共性を裏付ける根拠とはなり得ない」。 (9)同頁8行目「(4)」を「(5)」に改める。 (10)同頁12行目末尾の次に,次のとおり加える。 「なお,法20条3号及び4号の要件該当性判断においては,専門技術的裁量というよりは政策的判断の要素が大きな比重を占めている。そして,人の生命・身体・健康等の高度の人権価値が認められ,その保障範囲も比較的明確な法益への侵害(優越的法益侵害)をもたらす行政活動に関しては,たとえそれが自由裁量の余地のある行政権限に当たる場合でも,比較的厳格な適法性審査が行われなければならない」。 (11)同151頁16行目の次に行を改め,次のとおり加える。 「コ計画の破綻等と圏央道の位置付け本件事業は,全国総合開発計画,首都圏整備計画等の枠組みを前提に行われてきたが,これらが目標とする首都圏の一極集中化から広域的多極分散型への転換という構想は,既に本件事業認定時には崩壊しており,高次の中枢業務管理機能を都心部に集中させた結果,多極化に失敗しますます一極集中化しているのであり,平成17年1月30日の新聞報道では,国土交通省は,これまでの全国総合開発計画を廃止する方針を固めたとされるのであって,このように前提を失った計画に基づく圏央道の建設に公共性・必要性は認め難い。 また,多摩の市部,郡部の人口は平成2 ,国土交通省は,これまでの全国総合開発計画を廃止する方針を固めたとされるのであって,このように前提を失った計画に基づく圏央道の建設に公共性・必要性は認め難い。 また,多摩の市部,郡部の人口は平成22年をピークに減少すると予想され,巨額の投資をして圏央道やあきる野インターチェンジを建設する公益性,必要性は乏しい。 サあきる野インターチェンジ供用開始後の交通量等あきる野インターチェンジが供用開始された平成17年3月21日以後,供用開始日を除くと,あきる野インターチェンジ及び日の出インターチェンジの出入交通量の合計は最多で1万7938台/日であり,これは,あきる野インターチェンジ開通前の日の出インターチェンジの出 入交通量の最多である1万7530台/日とほぼ同数であることや,あきる野インターチェンジ供用開始後の平成17年4月には,日の出インターチェンジの出入交通量は1日約4000台から5000台と供用開始前に比べると半減し,閑散とした状況となっていることなどから,実証的に見ても,このようなわずか1.9キロメートルの近接地に2つのインターチェンジは不必要であり,あきる野インターチェンジ設置の必要性・公益性はない」。 (12)同頁19行目冒頭から25行目末尾までを以下のとおり改める。 「そもそも,法20条3号では「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」が,同条4号では「土地を収用し,又は使用する公益上の必要があるものであること」が事業認定の要件として定められている。これらの要件は「当該土地(起業地)がその事業の用に供さ,れることによって得られるべき公共の利益」と「当該土地がその事業の用に供されることによって失われる私的ないし公共の利益」を比較衡量し,前者が後者に優越すると認められることを意味している。そし さ,れることによって得られるべき公共の利益」と「当該土地がその事業の用に供されることによって失われる私的ないし公共の利益」を比較衡量し,前者が後者に優越すると認められることを意味している。そして,この判断は,事業計画の内容,その事業によってもたらされるべき公共の利益,起業地の現在の利用状況,その有する私的ないし公共的価値等について,総合的な判断として行われなければならない。 法20条3号要件及び4号要件は,いずれも,事業計画が公共の利益に適合しあるいは公共の利益の実現に資するものであることを確保するための要件規定にほかならない。そのことは,旧土地収用法の下で「公共ノ利益トナルヘキ事業ノ為・・・必要アルトキ」という一般抽象的規定(1条)の下で一体的に把握されていた「公共ノ利益」に関する要件が,具体化・明確化する方向で二つの要件に分化されたという土地収用法の歴史的経緯からも明らかである。したがって,法20条3号及び4号の背後には「公共の利益」適合性の要請という同条4号と共通の内在的な前提了解が 存在すると解するのが相当である。そして,このような内在的な前提了解は,条理や信義則,日本が法治国家であることに照らして当然のものである。 ここにいう「公共の利益」とは,第1に当該事業計画の実施がそれ自体として何らかの公益目的に資するものであり,第2に当該事業計画によって失われる公的又は私的な諸利益との比較衡量により「土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」及び当該土地につき収用・使用の必要性が認められることである。 したがって,それ自体として公益性を認め得ないような公営造物ないし公的施設の設置を目的とした事業計画は,裁量的な利益衡量を行う以前の問題として,適正な事業認定の対象とはなり得ないものであり,裁量的な比較衡量の余地は 体として公益性を認め得ないような公営造物ないし公的施設の設置を目的とした事業計画は,裁量的な利益衡量を行う以前の問題として,適正な事業認定の対象とはなり得ないものであり,裁量的な比較衡量の余地はない。 そして,かかる「公共の利益」適合性こそ1審判決が打ち出した「黙示的な前提要件」にほかならない。 当該事業計画の実施により設置される道路等の公営造物が国賠法2条1項所定の瑕疵を帯びるものである場合「公共の利益」適合性要件を充た,さない。すなわち,騒音や大気汚染による受忍限度を超える被害の発生が予測される事業計画であるにもかかわらず,これに対し事業認定を行うことは,結局のところ当該事業計画の実施による地域開発や道路交通事情の改善という便宜性の向上を,人の生命・身体・健康の保護・保全に優先させることを意味することになる。このような事業計画を対象とした事業認定を適法と結論づけるのは,法の理念ないし法的保護の観念に真っ向から矛盾する事態である以上「公共の利益」適合性要件を充たさないのは,,実質的法治主義及び法的正義の理念からも,至極当然のことである。このような観点からは「瑕疵」が物的安全性のみならず供用関連瑕疵も含む,ことはいうまでもない。 そして,法の支配,法的正義の観点からは,事業認定庁には,違法状態が生ずるとの将来予測がある場合,かかる将来予測を現実化させないために,瑕疵に起因した被害発生を未然に防止するための予防措置が講じられていることを,事業認定の要件に組み込んで権限を行使すべき義務がある。 したがって,道路等の公営造物が国賠法2条1項所定の瑕疵を帯びる将来予測がある場合,予防措置が十分に講じられていないにもかかわらず,事業認定庁が事業認定を行うことは,上記義務に反する以上,当該事業認定は違法なものとなる。 本件事業認定に 1項所定の瑕疵を帯びる将来予測がある場合,予防措置が十分に講じられていないにもかかわらず,事業認定庁が事業認定を行うことは,上記義務に反する以上,当該事業認定は違法なものとなる。 本件事業認定においては,後記のように,騒音や大気汚染等が発生することは明らかであり,国賠法2条1項所定の瑕疵を帯びるものである以上,「公共の利益」を充たさない。そして,そもそも「公共の利益」適合性要件を充たしていない以上,事業認定庁に裁量の余地は存在しない。そうである以上,事業認定庁は,十分な予防措置が講じられていない限り,当該事業認定を行ってはならなかったものであり,本件事業認定は違法なものに他ならず,取り消されなくてはならないものである」。 (13)同156頁17行目の次に行を改めて,次のとおり加える。 「本件において,事業計画の実施により得られる開発効果等の公益とそれにより失われることになる私的な財産権や環境あるいは自然生態系等の公的諸利益という,性質を異にした複数の価値や利益が対立しているが,このような場合においても「生命身体の安全」という要素が何にも優先し,て考慮すべき要素であることは,社会一般に普遍的に認められているところである。ところが,本件においては,上記のとおり,予定される行政処分の対象物件が生命身体の安全という価値基準からみて不法なものと予測できるから,この点を考慮しないことは,要考慮事項の考慮を尽くしていないものである。したがって,本件事業認定においては,当該土地がその事業の用に供されることによって得られるべき公共の利益と,それにより 失われる公的又は私的な諸利益の比較衡量が適正になされているものとは到底いえず,事業認定庁に認められている裁量権を逸脱するものである」。 (14)同159頁18行目の次に行を改めて,次のと 失われる公的又は私的な諸利益の比較衡量が適正になされているものとは到底いえず,事業認定庁に認められている裁量権を逸脱するものである」。 (14)同159頁18行目の次に行を改めて,次のとおり加える。 「平成9年12月に当時の環境庁大気保全局大気保全課の監修のもとに,浮遊粒子状物質対策検討会が「浮遊粒子状物質汚染予測マニュアル」を刊行しており,その中で二次生成物質を含めた予測手法が示されている。そして,SPM(浮遊粒子状物質)が人体に与える危険性を考えれば,SPMがどの程度予測されるのかは,法20条3号の要件検討に当たり,当然考慮されるべき事項であったはずである。したがって,たとえ精度はやや不十分であったとしても,このように具体的に予測手法まで示されたのであるから,控訴人らがSPMについて何ら予測しなかったことは,明らかな瑕疵である。なお,本件環境影響評価書が発表されたのは昭和63年12月であるが,昭和62年2月には,既に当時の環境庁から「浮遊粒子状物質の解析・予測」が提示されており,しかも,当時環境庁に設置されていた浮遊粒子状物質対策検討会は,昭和61年12月に浮遊粒子状物質対策検討会報告書(浮遊粒子状物質汚染状況解析・予測法について)を公表していた」。 (15)同頁26行目の冒頭に「ア」を加える。 (16)同160頁7行目の次に行を改めて,次のとおり加える。 「イプルーム・パフモデルは以下のとおり妥当でない。 (ア)プルーム・パフモデルでは,同一風方向,同じ高さで同一風速という前提をとっており,地形・建造物・構造物等の「地形条件」という大気の拡散にとって重要な要素が考慮されていない。 あきる野市内のα2地区やα3地区では,いっそう地形が複雑で付近の構造物も影響する。JR五日市線をまたぐ都市計画道路2・3・ 形条件」という大気の拡散にとって重要な要素が考慮されていない。 あきる野市内のα2地区やα3地区では,いっそう地形が複雑で付近の構造物も影響する。JR五日市線をまたぐ都市計画道路2・3・ 5が高架構造であり,その下方を圏央道がトンネルないし掘り割り構造で通過する。 α3地区は典型的な河岸段丘地形で秋川から北側に水平距離約750メートルほどの間に30ないし40メートルの標高差が生じている。 秋川の南側には,高さ約150メートルの山がそびえている。このような秋川の河岸段丘の谷底地形で,あきる野インターチェンジが設置され,高さ約30メートルの橋脚上を圏央道が通過し,そのような橋脚が70本も立つ。 プルーム・パフモデルでは,このような複雑な地形及び構造物を前提にして予測することはできない。 (イ)予測における汚染物質の排出条件である1日の自動車交通量の時間変動係数は,本件環境影響評価書に示されている日の出インターチェンジで1.7パーセントから5.7パーセントと3倍以上も変化する。大型車の混入率に至っては,25.4パーセントから81.4パーセントまで変動している。 これでは,プルーム・パフモデルの大きな仮定である「汚染物質の排出強度は時間とともに一定」は充たさない。 (ウ)本件環境影響評価書においては,場所ごとに実測や実験を行って拡幅を求めないで,予測地点の道路幅だけの関数として水平,垂直拡散幅が求められている。このように地形条件,道路条件,気象条件が異なる場合の実測値から求めた平均的な拡散幅は無意味である。そして,最も重大な疑問は,拡散式による予測に決定的な影響を与える拡散幅は,大気の安定度に依存し,強安定の場合は不安定の場合の42パーセント位に小さくなってしまうが,本件環境影響評価書では,このような夏季の不安定,冬季の安定などの影 る予測に決定的な影響を与える拡散幅は,大気の安定度に依存し,強安定の場合は不安定の場合の42パーセント位に小さくなってしまうが,本件環境影響評価書では,このような夏季の不安定,冬季の安定などの影響は全く反映されていない。 (エ)以上のとおり,本件地形や構造物のもとで大気汚染を予測することはできず,ましてや接地逆転層発生時に大気汚染を予測することは,プルーム・パフモデルによっては,到底不可能である。 ウ大気拡散風洞模型実験について控訴人ら主張の風洞実験で使用する模型の縮尺は,1500分の1である。100メートルの高さについて,この模型上ではわずか6.7センチメートルにすぎない。風速で秒速1メートルを再現すると,模型上では秒速0.6ミリメートルの空気の移動にしかならないから,山谷風や斜面風,よどみなど自然界にある諸条件を再現することはできず,接地逆転層の再現も到底不可能である。 そもそも強い接地逆転層が発生するα1地区で,接地逆転層の把握のために風洞実験を行うのは適切でない。 第1に,α1の風洞模型実験(本件風洞模型実験)では,谷底部分で西風が卓越しているという理由だけで,西風の場合しか検討していない。 西風は地形の影響を受けた後の風にすぎず,α1上空では,様々な風が吹いているのであり,その風が地形の影響を受けて,西向きの風が卓越して観測されるだけである。それなのに,本件風洞模型実験では西風の場合しか検討していない。これでは現地の気象条件を再現したことにならない。 第2に,本件風洞模型実験では気象条件がプルーム・パフモデルの場合全く同じに設定されている。一般に平坦地に比べ,複雑な地形の地域は遮るものがあるため,風速は遅くなる。風速が遅くなれば,大気の流れは遅くなるから,汚染物質は滞留し,汚染濃度は高くなる。したがって,本件風 じに設定されている。一般に平坦地に比べ,複雑な地形の地域は遮るものがあるため,風速は遅くなる。風速が遅くなれば,大気の流れは遅くなるから,汚染物質は滞留し,汚染濃度は高くなる。したがって,本件風洞模型実験の場合は地形に沿って平坦地よりも遅い風速を設定しなければ実験の意味がない。それなのに,プルーム・パフモデルと同じ風速を設定していることは,実際よりも過大な風速を設定すること となり,汚染物質の濃度を過小に評価していることとなる。 第3に,風洞模型実験を行う場合,風洞内と現場の風速場,温度場との相似性が成り立っていなければならないが,本件環境影響評価書資料編に示された風洞実験は現実大気との相似が保証されていない実験である。 第4に本件風洞模型実験では風洞模型の写真や発煙状況の写真等が示されていない。また,強い接地逆転層発生時の温度成層の相似要件も示されていないから,本件風洞模型実験の結果を信頼することはできない」。 第3当裁判所の判断 本件に関連する法令等及び本件事業認定及び本件収用裁決に至る経緯等本件に関連する法律,条例,環境基準等については,以下のとおり付加・補正するほかは原判決17頁3行目冒頭から同24頁10行目末尾までに記載のとおりであるからこれを引用し,また,本件事業認定及び本件収用裁決に至る経緯等については,以下のとおり付加・補正するほかは同27頁5行目冒頭から同58頁1行目「されている(乙5・45頁」までに記載のとおりであ)。 るからこれを引用する。 (1)17頁17行目「同法59条1号」を「同法59条1項」に改める。 (2)同27頁17行目「環状道路であり」から同19行目末尾までを「環,状道路である。なお,圏央道は,平成17年3月21日に,日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの供用が る。 (2)同27頁17行目「環状道路であり」から同19行目末尾までを「環,状道路である。なお,圏央道は,平成17年3月21日に,日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの供用が開始され,現在,埼玉県の鶴ヶ島ジャンクションからあきる野インターチェンジまでの供用が開始されている(甲301の④,弁論の全趣旨」に改める。 )。 (3)同28頁21行目「開通しており,供用が開始されている」を「開通。 し,供用が開始されていたところ」に,同24行目「あり」から同26,,行目末尾までを「あるが,前記のとおり,既に平成17年3月21日に日の 出インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの間は供用が開始された」とそれぞれ改める。 。 (4)同29頁15行目末尾に「乙11の①」を加える。 ()(5)同頁25行目の末尾に「乙1,弁論の全趣旨」を加える。 ()(6)同30頁19行目末尾に「争いがない」を加える。 ()(7)同37頁11行目「人口が」の次に「おおむね」を加える。 (8)同38頁2行目「ているが」を「ている」に改め,同行目「その算出,。 の」から同12行目末尾までを削る。 (9)同39頁3行目から4行目にかけて「多摩郡からの意見合計2万3814通のうち,大半を占める2万1544通が反対意見であることが記載されている」を「多摩郡からの意見合計3万2971通のうち,約65パーセ。 ントに当たる2万1544通が反対意見であることが記載されている」に。 改める。 (10)同41頁7行目「乙5号証25頁」を削る。 ,(11)同頁10行目「-6」の次に「乙5号証25頁」を加える。 ,,(12)同44頁10行目「平成10年9月21日」を「平成11年9月21日」に改める。 (13)同頁15行目「被 る。 ,(11)同頁10行目「-6」の次に「乙5号証25頁」を加える。 ,,(12)同44頁10行目「平成10年9月21日」を「平成11年9月21日」に改める。 (13)同頁15行目「被告」を「控訴人収用委員会」に改め,原判決<認定事実>第2の11(同44頁15行目冒頭から同46頁23行目末尾まで)においては,以下同様とする。 (14)同47頁14行目「東京東京都環境条例版環境影響評価書」を「東京都環境条例版環境影響評価書」に改める。 (15)同48頁5行目「想像」を「創造」に改める。 (16)同49頁3行目末尾に「乙8号証28頁,29頁,弁論の全趣旨」()を加える。 (17)同50頁18行目「192頁」の次に「,乙8号証74ないし78頁」 を加える。 (18)同52頁17行目「予測した場合」の次に「道路の東側及び西側とも,に」を加える。 (19)同頁22行目「80メートルの地点で」を「西側は官民境界から約70メートル,東側は官民境界から約80メートル離れた地点で」に改める。 (20)同頁26行目「予測した場合」の次に「道路の東側及び西側ともに,(後記②ないし④においても同じ」を加える。 ),(21)同55頁12行目末尾の次に「弁論の全趣旨」を加える。 ()(22)同56頁8行目「α2(2)が」を「α2(2),α2(3),α2(4)が」に改める。 (23)同57頁21行目「記載されているのみであり」から22行目末尾ま,でを「記載されている」に改める。 。 第1事件について(1)原告適格についてア行政事件訴訟法9条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者を ア行政事件訴訟法9条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含む場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮 されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることになる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照。 )イ本件における原告適格について検討すると,法26条1項により事業の認定の告示がされると,起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をすることが制限され(法28条の3,起業者は,法の定)める手続により土地の収用,使用をすることができ(法35条以下,そ)のために起業者は,起業地内の土地調書,物件調書作成のための立入調査権(法35条1項)や裁決申請権(法39条1項)などの権限 )める手続により土地の収用,使用をすることができ(法35条以下,そ)のために起業者は,起業地内の土地調書,物件調書作成のための立入調査権(法35条1項)や裁決申請権(法39条1項)などの権限が与えられる。そうすると,仮に違法な事業認定がなされると,起業地内の土地に権利を有する者は自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれが生じることになるから,法第3章の認定の手続や要件等を定めた規定は,起業地内に不動産につき権利を有する個人の利益をも保護することを目的とした規定と解される。 ウ第1被控訴人目録記載の被控訴人らの原告適格について第1被控訴人目録記載の被控訴人らが本件起業地内の不動産について権利を有することは争いがないから,同被控訴人らは,本件事業認定の取消しを求めるについて原告適格を有すると認められる。 エ第2及び第3被控訴人目録記載の被控訴人らの原告適格について(ア)控訴人らは,第2及び第3被控訴人目録記載の被控訴人らは,本件起業地内に賃借権準共有持分を有しておらず,同被控訴人らの主張する賃借権準共有持分は,圏央道建設に反対する目的で設定されたものであって,使用実態がなく法的保護に値するものではないから,本件事業認 定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有していないと主張する。 (イ)そこで検討すると,甲15(本件不動産1の登記簿謄本)には,第2被控訴人目録記載の被控訴人らが平成元年10月13日付けで,それぞれ賃借権準共有持分を32分の1として,同年1月10日設定,賃料1か月100平方メートル当たり1350円,支払期日毎月末日,存続期間平成元年1月10日から3年間(その後,平成4年1月10日から10年に変更)と定めて賃借権設定登記を経由し,第3被控訴人目録記載の被控訴人らは,原判決第2原告目録記載の原告のうち 毎月末日,存続期間平成元年1月10日から3年間(その後,平成4年1月10日から10年に変更)と定めて賃借権設定登記を経由し,第3被控訴人目録記載の被控訴人らは,原判決第2原告目録記載の原告のうちの一人であり被控訴人であったP2(その後,当審において訴えを取り下げた)か。 らその賃借権準共有持分のうち,それぞれ3200分の1の準共有持分を,平成11年11月7日,15日又は22日の売買を原因として,同年11月11日,15日,12月7日に賃借権持分一部移転登記を経由したことが認められる。これら事実によれば,第2及び第3被控訴人目録記載の被控訴人らは,上記登記簿記載どおり賃貸借の準共有持分を取得し,又は移転を受けたと推認することができる。そして,第2及び第3被控訴人目録記載の被控訴人らが賃貸借の準共有持分を取得した動機が圏央道の建設に反対するにあったとしても,このような動機であることから,上記被控訴人らの賃貸借の準共有持分の取得が無効であり,あるいはその賃貸借の準共有持分が法的保護に値しないと解することはできない。 (ウ)したがって,第2及び第3被控訴人目録記載の被控訴人らは,本件起業地内の不動産について権利を有するから,本件事業認定の取消しを求めるについて原告適格を有すると認められる。 (2)事業認定の適法性についてア適法性判断の要件について土地収用法は,1条において「この法律は,公共の利益となる事業に, 必要な土地等の収益又は使用に関し,その要件,手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し,公共の利益の増進と私有財産との調整を図り,もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする」と規定し,2条において「公共の利益となる事業の用に供するため。 土地を必要とする場合において,その土地を当該事業の用に との調整を図り,もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする」と規定し,2条において「公共の利益となる事業の用に供するため。 土地を必要とする場合において,その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは,この法律の定めるところにより,これを収用し,又は使用することができる」と規定する。そして,。 法3条が,土地収用を行うことができる「公共の利益となる事業」を列記し,法16条において,起業者が法3条各号列記の事業において土地を収用しようとするときは,事業の認定を受けなければならないと定め,法20条において,事業認定を受けるための実体上の要件について「国土交,通大臣又は都道府県知事は,申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは,事業の認定をすることができる。一事業が第三条各号の一に掲げるものに関するものであること。二起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。三事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。四土地を収用し,又は使用する公益上の必要があるものであること」と具体的に定めを置いている。 。 このように,土地収用法は,土地収用に関する手続,要件及び効果等について定めるものであるところ,同法によれば,起業者の行う事業が同法20条1号ないし4号の要件を充足する場合は,国土交通大臣又は都道府県知事は,事業認定をすることができる旨規定されており,これ以外に,事業認定及び土地収用に関する実体的な要件を定めた規定は存在しない。 したがって,事業認定庁が,申請に係る事業につき,事業認定を行うか否かを決定するに当たっては,これが法20条1号ないし4号の要件を充足するか否かを検討することを要し,また,これをもって足りるのであって,これ以外に事業認定につ 請に係る事業につき,事業認定を行うか否かを決定するに当たっては,これが法20条1号ないし4号の要件を充足するか否かを検討することを要し,また,これをもって足りるのであって,これ以外に事業認定につき黙示的な前提要件があると解することはできな い。それ故,事業認定に係る営造物そのものに重大な欠陥があるかどうか,あるいは営造物が完成後供用目的に沿って利用されることとの関連において,騒音等の危害を生ぜしめる危険性があるかどうか(いわゆる供用関連瑕疵の存否)ということは,法20条における(黙示的)要件と解することはできないのであって,事業認定申請の添付資料から当該営造物の欠陥や騒音等が生ずる危険を看取し得るときには,これら事項が法20条3号の「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」との要件充足性の判断において考慮される要素となり得るものと解するのが相当である。 そこで,以下,法20条各号の該当性について検討する。 イ法20条3号について(ア)法20条3号の「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与す。 ,るものであること」という要件については,法1条が,前記のとおり土地収用法は「公共の利益の増進と私有財産の調整を図り,もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする」ものである旨定めていること等に鑑みれば,その土地が当該事業の用に供されることによって得られるべき公共の利益と,その土地が当該事業の用に供されることによって失われる私的な利益及び公共の利益を比較衡量をした結果,前者が後者を優越する場合に,この要件を充足するものと解するのが相当である。また,この要件の存否についての判断は,具体的には事業認定に係る事業計画の内容,事業計画が達成されることによってもたらされるべき公共の利益,事業計画におい 要件を充足するものと解するのが相当である。また,この要件の存否についての判断は,具体的には事業認定に係る事業計画の内容,事業計画が達成されることによってもたらされるべき公共の利益,事業計画において収用の対象とされている土地の状況等諸要素,諸価値の比較衡量に基づく総合判断として行われるべきものである。 このように,法20条3号の要件充足性の判断は,多様な公共の利益と私的な利益の比較衡量を要するものであり,そして,公共の利益及び 私的な利益の内容やその価値は多種・多様であり,同質でないものも少なくないから,上記要件充足性の判断,その前提となる諸要素・諸利益の比較衡量等に関しては,性質上必然的に専門技術的,政策的な判断を伴うものであって,このような意味において,事業認定庁には,その判断において裁量権が与えられているということができる。しかし,仮に事業認定庁が,本来最も重視すべき諸要素,諸価値を不当に軽視し,その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず,または本来考慮に入れるべきでない事項を考慮に入れ,若しくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し,その結果判断に影響を生じさせたというような場合には,その事業認定は,裁量権の逸脱,濫用として違法になるものと解するのが相当である。 (イ)そこで,まず,本件事業において,事業の用に供されることによって得られるべき公共の利益について検討する。 a圏央道の整備による首都圏全体の広域的視点からの公共の利益について(a)前記のとおり,圏央道は,横浜市,厚木市,八王子市,青梅市,川越市,つくば市,成田市,木更津市等の東京都心から約40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより,地域間の交流を拡大し,地域経済及び地域産業の活性化を促すとともに,首都圏から放射状 市,木更津市等の東京都心から約40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより,地域間の交流を拡大し,地域経済及び地域産業の活性化を促すとともに,首都圏から放射状に延びる高速自動車国道である第一東海自動車道,中央自動車道西宮線,関越自動車道新潟線,東北縦貫自動車道弘前線,常磐自動車道,東関東自動車道水戸線及び同自動車道千葉富津線を相互に連絡することにより,都心部への交通の集中を緩和し,都心部一極集中型から多極分散型への転換による首都圏全体の調和のとれた発展に貢献すること等を目的に計画された総延長約300キロメートルの環状道路であり,昭和60年 に建設省(当時)が圏央道の八王子~青梅間について事業化を決定し,昭和61年にこの事業が首都圏基本計画として策定され,平成元年3月13日に東京都知事により,都市計画法4条5項の都市施設(道路)として「首都圏中央連絡道路」として都市計画決定,(東京都告示第246号ないし249号)されたものである。 (b)そして,全国総合開発計画における圏央道の位置付けをみると,乙62によれば,国土総合開発法(平成11年法律第160号による改正前のもの)7条に基づいて昭和62年6月30日に閣議決定された第4次全国総合開発計画においては,基本的な目標として,安全でうるおいのある国土の上に,特色ある機能を有する多くの極が成立し,特定の地域への人口や経済機能,行政機能等諸機能の過度の集中がなく,地域間で相互に補完,触発しあいながら交流している多極分散型の国土を形成することを目標とすることとされ(同5頁以下,関東地方の開発・整備のための施策として,環状方向)の連携の強化を図り,核都市等の育成に資するため,東京湾岸道路,東京湾横断道路とともに,圏央道,東京外郭環状道路,核都市広 ととされ(同5頁以下,関東地方の開発・整備のための施策として,環状方向)の連携の強化を図り,核都市等の育成に資するため,東京湾岸道路,東京湾横断道路とともに,圏央道,東京外郭環状道路,核都市広域幹線道路等の整備を図ることなどが掲げられたこと(同106頁以下)が認められる。また,丙41によれば,平成10年3月に閣議決定された第5次全国総合開発計画(21世紀の国土のグランド「デザイン-地域の自立の促進と美しい国土の創造-)において,」多軸型国土構造の形成を目指す「21世紀の国土のグランドデザイン」実現の基礎を築くためには,地域の自立を促進し,人々が自らの暮らす地域に誇りの持てる状況を創出していくことが重要であるとの基本的認識の下で,施策の展開方向として,関東地域については,東京圏について東京都区部への一極依存構造を是正し,ネットワーク型の地域構造への転換を進める観点から,新たなニーズに対 応しながら,業務機能を始めとする諸機能の集積の核として,業務核都市等の育成,整備を推進し,圏央道,東京外かく環状道路等環状方向を中心とする幹線交通網の整備を進めるとともに,東京湾岸道路等の整備により首都高速道路の機能を強化し,交通渋滞の緩和等を図ること(同104頁,同111頁)などが掲げられたことが認められる。 (c)また,首都圏整備計画おける圏央道の位置付けをみると,乙4(33-3-2頁以下)によれば,首都圏整備法(平成11年法律第160号による改正前のもの)22条に基づく昭和56年6月の首都圏整備計画(なお,同法21条1項により,首都圏整備計画は,基本計画,整備計画及び事業計画により構成される)において,。 東京大都市圏における多核多圏域型の地域構造の形成を図るため,放射方向と環状方向の幹線道路網を構成することとし,環状方向の 備計画は,基本計画,整備計画及び事業計画により構成される)において,。 東京大都市圏における多核多圏域型の地域構造の形成を図るため,放射方向と環状方向の幹線道路網を構成することとし,環状方向の幹線道路として圏央道,東京外郭環状道路,東京湾岸道路,東京湾横断道路等の整備を図ることとされ,昭和61年6月の第4次首都圏基本計画において,環状方向の幹線道路として東京外郭環状道路,東京湾岸道路,東京湾横断道路等の整備を図るほか,沿道における新市街地の形成に配慮しつつ圏央道の整備を図ることが策定され,その後,平成8年8月の首都圏整備計画において,道路については,国際的,全国的な政治,経済,文化等の中心地としてふさわしい地域構造を形成するため,放射方向と環状方向の幹線道路網から構成することとし,特に,圏央道,東京外かく環状道路,東京湾岸道路,東京湾横断道路等放射方向に比べ相対的に整備の遅れている環状方向の幹線道路の整備を進めることが基本方針とされたことが認められる。さらに,乙18(52頁以下)によれば,平成11年3月の第5次首都圏基本計画において,東京中心部と社会的経済的に一体 である近郊地域において,業務,商業,文化,居住等の諸機能がバランスよく配置された自立性の高い地域形成を推進する必要があり,その整備に資する交通体系として,道路については,首都圏の道路網の骨格を形成し,分散型ネットワーク構造実現に資する環状方向の路線として,圏央道,東京外かく環状道路,東京湾岸道路等の整備を推進するとともに,核都市広域幹線道路等について構想の具体化を図るという考え方が示されていることが認められる。 (d)そして,圏央道整備による効果についてより具体的に検討すると,丙24(12頁以下,参考資料12)によれば,首都圏の3環状9放射の自動車専用道路は という考え方が示されていることが認められる。 (d)そして,圏央道整備による効果についてより具体的に検討すると,丙24(12頁以下,参考資料12)によれば,首都圏の3環状9放射の自動車専用道路は,各放射道路から首都高速都心環状線に交通が集中し,その影響で放射道路の上り車線が渋滞しているところ,放射線と環状線の供用率が大きく異なるため,すなわち,たとえば平成15年ころの供用率でみると,放射線の約90パーセントに対して環状線が約20パーセントというように大きく異なっているためこのような交通の不均衡が生じていること,国土交通省の平成11年度道路交通センサスによると,東京都23区を通行する交通量は,全体で約6812万台キロ/日であるが,そのうち東京都区部を通過するだけの交通は約927万台キロ/日であり,全体のほぼ14パーセントを占めており,この東京都区部を通過するだけの交通約927万台キロ/日のうち,一般国道16号以遠(国道16号が通過する市町村を含む。以下同じ)に起点及び終点を持つ交通が約48パーセント(約448万台キロ/日,圏央道以遠)(圏央道が通過する市町村を含む。以下同じ)に起点及び終点を持つ交通が約14パーセント(約132万台キロ/日)あることがそれぞれ認められ,これらの交通の相当程度は,圏央道が整備されることにより東京都区部を通過することなく起点から終点に達するこ とが可能になると認められる。もっとも,この点については,圏央道は前記のとおり都心から40ないし60キロメートル程度離れた場所に位置しており,甲82,原審におけるP3証言によれば,都心からより近い外郭環状道路の方が,より都区部の渋滞緩和効果を上げるであろうことが推認されるが,前記のとおり,圏央道や国道16号以遠に起点及び終点を有し都心を経由して目的地まで移 3証言によれば,都心からより近い外郭環状道路の方が,より都区部の渋滞緩和効果を上げるであろうことが推認されるが,前記のとおり,圏央道や国道16号以遠に起点及び終点を有し都心を経由して目的地まで移動している交通が1日あたり500万台キロ以上あるから,このような交通量からすると,圏央道の整備により,その相当の交通量が都心を経由することなく起点から終点に移動することができることになると考えられるので,少なくともそのような交通量相当分について都心の渋滞緩和に資することになると認められる。なお,圏央道整備により利便性が増し,誘発交通を招くことによりむしろ都心等の渋滞がひどくなるという指摘があるが,この指摘については,いかなる理由でどの程度の量の誘発交通が生じ,それが,渋滞緩和予測量を上回る量に達し,結果として渋滞悪化をもたらすであろうということに関して,首肯しうるだけの合理的説明や証拠がない。 また,丙24(14頁,参考資料12)によれば,平成15年度版首都圏白書によると,第5次首都圏基本計画において広域連携拠点の中心となる都市として位置付けられた横浜・川崎,厚木,町田・相模原,八王子・立川・多摩,青梅,川越,熊谷,浦和・大宮(現さいたま,春日部・越谷,柏,土浦・つくば・牛久,成田,)千葉,木更津,水戸,宇都宮,前橋・高崎,甲府などの「広域連携拠点都市」における人口,従業者数,民営事業者数,及び年間小売販売額の対首都圏シェアは,昭和50年台半ばころから平成12年までの間,東京都区部が減少傾向にあるのと反対に,いずれも増加しており,広域連携拠点都市を中心とした圏域の通勤圏域面積(各 市町村の総就業者数に占める広域連携拠点都市への通勤者数の割合が5パーセント以上となる市町村から構成される圏域の面積)は,ほとんどの広域連携拠点都市で増 都市を中心とした圏域の通勤圏域面積(各 市町村の総就業者数に占める広域連携拠点都市への通勤者数の割合が5パーセント以上となる市町村から構成される圏域の面積)は,ほとんどの広域連携拠点都市で増加し,また,圏域内通勤者数(広域連携拠点都市への通勤者数)は全ての広域連携拠点都市で増加し,日常生活活動としての通学及び購買活動は,東京都区部への依存度が低下し,自圏域内活動が総じて高い比率を示し,自立性を高めつつあることが認められ,これらの広域連携拠点都市のうち,八王子・立川・多摩,青梅,川越,さいたま,土浦・つくば・牛久,成田,木更津などの複数の都市が近傍を通過する圏央道によって連絡されることにより,都心部に集中した一極依存型構造から分散型ネットワーク構造へという前記の全国総合開発計画等の基本構想の実現が図られることになると認められる。ところで,甲54によれば,東京都は「東京構想2000」において,右肩上がり経済の時代の,終焉により業務機能を副都心や多摩の「心」に分散するいわゆる多心型都市構造には限界が生じたとして,21世紀の社会に対応した新たな「環状メガポリス構想」を提唱したことが認められる。しかしながら,甲54によれば,この「環状メガポリス構想」は,東京圏全体の広域的視点に立って,国際競争力を発揮し魅力ある首都への再生を図るため,東京圏の交通ネットワークとりわけ国際的な交通アクセスに不可欠な空港・港湾や環状方向の広域交通基盤を強化して,圏域の活発な交流を実現するとともに,交通渋滞の解消や環境負荷の低減を図ることなどを掲げ,圏央道については,八王子,立川,青梅,町田等の広域的な中心性を有する核都市を連携するものとして積極的な位置付けをしていることが認められる。また,甲294及び裁判所に顕著な事実によれば,国土総合開発法は,平成 ては,八王子,立川,青梅,町田等の広域的な中心性を有する核都市を連携するものとして積極的な位置付けをしていることが認められる。また,甲294及び裁判所に顕著な事実によれば,国土総合開発法は,平成17年7月29日法律第89号により改正され,施行されれば「国 土総合開発計画」が「国土形成計画」に改められることなどが認められるが,この法改正によって,前記の圏央道に関する国の基本的な方針が変更されることを窺いうる証拠はない。 (e)さらに,乙10の①,②,乙11の①及び前記認定事実によれば,建設事務次官から各地方建設局長等あてに,平成10年3月,27日付けの「建設省所管公共事業の再評価実施要領及び建設省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領の策定について」との通達(乙10①)が,また,建設省道路局長から各地方建設局長等あてに,同年6月16日付けの「道路事業・街路事業に係る再評価実施要領細目及び道路事業・街路事業に係る新規事業採択時評価実施要領細目の策定について」との通達(乙10②)がそれぞれ発出され,平成10年度から,建設省所管公共事業の再評価実施要領に基づき,公共事業の再評価を実施し,本件事業についても再評価が行われ,本件事業については,同要領に基づき,学識経験者等の第三者から構成される関東地方建設局事業評価監視委員会に付され,本件事業の進捗状況,事業を巡る社会情勢等の変化等について審議が行われた結果,同委員会は,平成11年1月20日に事業継続の方針を了承し(乙11の①,この意見を受けて,建設省は事業継続)の決定をしたことが認められる。 (f)以上によれば,圏央道の整備は,前記の全国総合開発計画や首都圏整備計画等が基本的な目標として掲げた,首都圏が,都心部への一極依存構造からネットワーク型の地域構造への転換を図り,都 られる。 (f)以上によれば,圏央道の整備は,前記の全国総合開発計画や首都圏整備計画等が基本的な目標として掲げた,首都圏が,都心部への一極依存構造からネットワーク型の地域構造への転換を図り,都心部の交通渋滞を緩和するとともに,圏央道の近傍に位置する広域連携拠点都市間で相互に補完,触発しあいながら交流する多極分散型の国土を形成するという公共の利益に資するものであると認められる。 b圏央道の整備による起業地周辺の地域的視点からの公共の利益について(a)乙1,4,原審における被控訴人P3本人及び同P4本人の各供述及び弁論の全趣旨によれば,八王子市から青梅市間の幹線道路としては,国道16号や国道411号等があり,これらの道路が,八王子市,あきる野市,青梅市等の既成市街地を通過していること等から,各所で慢性的な交通混雑を起こし,交通事故が多発しており,たとえば,平成9年度道路交通センサスによると,国道16号の昭島市α416地点においては,12時間当たりの自動車の交通量は1万0586台であり,12時間当たりの交通容量に対する比率である混雑度は1.81であり,同国道の西多摩郡α51212地点においては,12時間当たりの自動車の交通量は3万2144台であり,12時間当たりの交通容量に対する比率である混雑度は1.44であり(乙4号証137頁,146-3頁,また,八王)子市α6地内から西多摩郡α7地内までの間の一般国道16号においては,平成9年度における事故件数が207件,死傷者数が275人であり,平成4年度の事故件数68件,死傷者数96人に比べ,事故件数及び死傷者数とも5年間で約3倍に増加している状況にあること(乙4号証148頁)が認められる。 (b)そこで,本件事業に係る圏央道の供用開始によって,これらの交通混雑が緩和される に比べ,事故件数及び死傷者数とも5年間で約3倍に増加している状況にあること(乙4号証148頁)が認められる。 (b)そこで,本件事業に係る圏央道の供用開始によって,これらの交通混雑が緩和されるか否かについてみると,丙58によれば,青梅インターチェンジから日の出インターチェンジまでに対応する国道16号における,圏央道が供用開始される直前の平成14年3月と,供用開始後ほぼ1年が経過した平成15年3月の1日の交通量を比較すると,α8街道交差点よりやや北側地点においては,約4万6200台(平成14年3月)から約4万0300台(同15年 3月)へと約13パーセント減少し,α8街道交差点からα9交差点までの間においては,約4万9700台(同14年3月)から約4万5300台(同15年3月)へと約9パーセント減少し,α9交差点よりやや南側地点においては,約4万4400台(同14年3月)から約4万3100台(同15年3月)へと約3パーセント減少したことが認められ,また,丙59によると,青梅インターチェンジよりやや南側に位置し,圏央道とほぼ並行に走っている生活道路であるα10橋線の青梅市α11地点において,平成14年3月と平成15年3月の各12時間の交通量を比較すると,約1万1200台(同14年3月)から約8800台(同15年3月)へと約21パーセント減少し,同じくα12停車場線の羽村市α13地点においては,同様に平成14年3月と平成15年3月の各12時間の交通量を比較すると,約1万6400台(同14年3月)から約1万5200台(同15年3月)へと約7パーセント減少したことがそれぞれ認められる。そして,丙57によれば,平成14年3月に供用開始された圏央道の青梅インターチェンジから日の出インターチェンジまでの区間における同年4月の1か月平均 約7パーセント減少したことがそれぞれ認められる。そして,丙57によれば,平成14年3月に供用開始された圏央道の青梅インターチェンジから日の出インターチェンジまでの区間における同年4月の1か月平均交通量は1日当たり7062台であり,また,平成15年3月の1か月平均交通量は1日当たり8985台であることが認められる。以上によれば,圏央道における上記区間の供用開始により,周辺地域の一般道の交通が圏央道に流入することによるいわゆるバイパス効果によって,周辺地域の交通混雑が緩和されたことが推認され,これを覆すに足りる証拠はない。 (c)そして,丙60によれば,あきる野市役所から鶴ヶ島市役所までを,圏央道青梅インターチェンジから日の出インターチェンジまでの区間が供用開始される前の平成13年9月18日に午前7時台, 13時台,17時台にすべて一般道を走行した場合,その移動時間(両方向)は平均1時間25分であったが,同区間供用開始後の同14年9月19日に上記の各時間台に圏央道の日の出インターチェンジから圏央鶴ヶ島インターチェンジまでを利用して走行した場合は,移動時間(両方向)は平均32分であって53分短縮され,また,同日に上記の各時間台にすべて一般道を走行した場合は平均1時間9分であって,平成13年9月に比べると16分短縮され,一般道についても圏央道整備によるバイパス効果によって走行時間が約2割程度短縮されたことが認められる。 (d)そこで,日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジ区間の圏央道が供用開始されると,同様のバイパス効果によって,国道16号や同411号などの同地域の一般国道における交通混雑が緩和されると推認されるところ,乙64によれば,国土交通省関東地方整備局相武国道事務所は,国道16号のα6交差点からα8街道交 って,国道16号や同411号などの同地域の一般国道における交通混雑が緩和されると推認されるところ,乙64によれば,国土交通省関東地方整備局相武国道事務所は,国道16号のα6交差点からα8街道交差点間の11.6キロメートルの区間において,交通量は供用開始前は1日当たり2万6000台ないし5万3000台であるが,供用開始後は2万5000台ないし4万9000台に減少すると推計し,また,国道411号のあきる野インターチェンジ付近は,佐入町交差点からあきる野インターチェンジまでの6.8キロメートルの区間においては,供用開始前は1万5000台ないし1万8000台であるが,供用開始後は1万9000台から2万台に増加するものの,あきる野インターチェンジからα14交差点までの6. 4キロメートルの区間の交通量は,供用開始前は1日当たり1万5000台ないし2万2000台であるが供用開始後は1万3000台ないし1万5000台に減少するものと推計していることが認められる。 (e)また,前記のとおり,平成11年1月20日に開催された関東地方建設局事業評価監視委員会は,本件事業の進捗状況,事業を巡る社会情勢等の変化等について審議し,事業継続の結論を了承したが,乙11の①によれば,その際の資料とされた費用便益分析の結果は,八王子ジャンクションから青梅インターチェンジまでの間の圏央道整備による便益としては,平成11年度を基準年とした便益の現在価値は,走行時間短縮便益が7041億円,走行経費減少便益が723億円,交通事故減少便益が331億円,合計8095億円であり,平成11年度を基準年とした費用の現在価値は,事業費が3487億円,維持管理費が158億円,合計3645億円であって,前者を後者で除した費用便益比(CBR)は2.2であるとされていることが認 あり,平成11年度を基準年とした費用の現在価値は,事業費が3487億円,維持管理費が158億円,合計3645億円であって,前者を後者で除した費用便益比(CBR)は2.2であるとされていることが認められる。 そして,この費用便益分析は,乙4(175-11頁以下,丙)72及び弁論の全趣旨によれば,建設省(当時)が,有識者らの意見を採り入れて平成10年6月に作成した「費用便益分析マニュアル(案」に基づいて行われたものであって,対象路線について,)一方で交通需要予測(交通量,走行速度,路線条件)を行い,走行時間短縮便益,走行費用減少便益,交通事故減少便益を計測して総便益を出し,他方で事業費と維持管理費を算出して総費用を出し,総便益と総費用のいずれもを現在価値に引き直した上で分析を行うというものであり,その後も国土交通省において同様の手法による「費用便益分析マニュアル」が継続して用いられていることが認められ,その分析手法に特に不合理な点はみられない。また,費用便益分析に用いられた具体的数値については,丙62によれば,将来交通量については,平成6年の発生集中交通量と人口,自動車保有台数等の社会経済指標から平成32年の将来発生集中交通量を推計 し,これを基に地域間移動の交通量である分布交通量(OD交通量)を推計し,そして,一般的に用いられているQV曲線(QV式モデル)に基づいて道路の区間交通流を推計して平成32年の区間別の将来交通量として,八王子ジャンクションから八王子北インターチェンジまでの間を4万6000台/日,同インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの間を4万2100台/日,同インターチェンジから日の出インターチェンジまでの間を4万9800台/日,同インターチェンジから青梅インターチェンジまでの間を4万2600台/ きる野インターチェンジまでの間を4万2100台/日,同インターチェンジから日の出インターチェンジまでの間を4万9800台/日,同インターチェンジから青梅インターチェンジまでの間を4万2600台/日と推計したものであり,事業費は,建設費と用地費の合計を求め,また,維持管理費は,雪寒費,交通安全費を含む維持費と修繕費をそれぞれ前記費用便益分析マニュアル(案)に基づく単位距離当たりの金額(維持費については,3000万円/km,修繕費については,1300万円/km)に整備延長を乗じて求めたものであることが認められ,これらの具体的数値について特に不合理である点は認められない。 (f)以上によれば,本件事業に係る圏央道の供用開始によって,国道16号及び国道411号等の地域道路の交通混雑が緩和され,この地域の交通の流れの改善等により移動時間が短縮するとともに,過度の交通集中から生じる交通事故の減少等により生活道路としての機能が回復し,起業地周辺地域におけるこのような公共の利益があると認められる。 cあきる野インターチェンジ設置の公益性,必要性(a)あきる野インターチェンジと隣接する日の出インターチェンジとの距離は約1.9キロメートルであるが,乙4(122-4頁)及び弁論の全趣旨によれば,日の出インターチェンジはJR五日市線の北側に位置し,東西に走る国道184号及び同165号に隣接 することから主としてα15,旧秋川市北部,福生方面等から発生する交通に対応するものであるところ,あきる野インターチェンジは,JR五日市線の南側に位置し,東西に走る五日市街道や八王子方面から北西方向に延びる国道411号に隣接し,主として旧秋川市南部及び八王子市北部方面等から発生する交通に対応するものであり,両インターチェンジではそれぞれの設置位置付近の道路 五日市街道や八王子方面から北西方向に延びる国道411号に隣接し,主として旧秋川市南部及び八王子市北部方面等から発生する交通に対応するものであり,両インターチェンジではそれぞれの設置位置付近の道路や線路等の設置状況から想定される主たる利用者が異なり,両インターチェンジが設置されることにより,インターチェンジ関連交通も分散処理できることになると認められる。 (b)そして,仮に,あきる野インターチェンジを設置せず,同インターチェンジの機能をすべて日の出インターチェンジだけに集中した場合には,乙4(122-4,5頁,9によれば,昭和75年)計画交通量に基づいて算出すると,日の出インターチェンジの8300台/日とあきる野インターチェンジの8400台/日との合計1万6700台/日が日の出インターチェンジに集中し,平成32年の将来交通量推計結果に基づいて算出すると,日の出インターチェンジの1万1100台/日とあきる野インターチェンジの9300台/日との合計2万0400台/日が日の出インターチェンジに集中することになり,同インターチェンジ付近の国道411号等の道路の交通は現在よりさらに混雑することになると推認される。 (c)また,甲308によれば,あきる野インターチェンジの供用が開始された後である平成17年4月の出入交通量は,あきる野インターチェンジが平均7871台/日,日の出インターチェンジが平均4838台/日であって合計1万2709台/日であると認められるところ,甲305によれば,あきる野インターチェンジ供用開始前の平成16年4月における日の出インターチェンジの出入交通 量は7115台/日であると認められるから,あきる野インターチェンジの設置により,利用者の合計数が大幅に増加するとともに,日の出インターチェンジの利用者が大幅に減 出インターチェンジの出入交通 量は7115台/日であると認められるから,あきる野インターチェンジの設置により,利用者の合計数が大幅に増加するとともに,日の出インターチェンジの利用者が大幅に減少したことが認められるのであって,これは,旧秋川市南部や八王子市北部方面からの利用者があきる野インターチェンジを利用するとともに,従前,これらの地域からα3地区の一般道路等を通過して日の出インターチェンジを利用していた利用者が,あきる野インターチェンジの設置によって,これを利用するようになったものと推認されるのであり,あきる野インターチェンジがその予定された目的を適切に果たすとともに,α3地区の交通量の減少に寄与しているものと推認できる。 (d)以上によれば,あきる野インターチェンジの設置により,圏央道利用者の増加やα3地区の一般道路の通過者の減少などの公益性及び必要性が肯認されるのであり,あきる野インターチェンジが日の出インターチェンジから約1.9キロメートルの距離にあることをもって,その公益性,必要性を否定することはできない。 (ウ)次に,事業の用に供されることによって失われる私的な利益,公共の利益について検討する。 a本件起業地に存する本件不動産につき所有権,共有権,賃借権等を有する被控訴人らは,本件事業によりその権利を喪失することになるが,丁1ないし11及び弁論の全趣旨によれば,これら権利を収用される被控訴人らは,その損失に対し,法に基づく補償を受けることができ,このような権利自体の喪失に関しては,その他に特別の損害を受けるものではないと認められる。 b騒音(a)本件環境影響評価①前記認定事実及び乙7によれば,圏央道(国道20号から埼玉 県境間)建設事業の都市計画決定にあたって行われた本件環境影響評価においては, いと認められる。 b騒音(a)本件環境影響評価①前記認定事実及び乙7によれば,圏央道(国道20号から埼玉 県境間)建設事業の都市計画決定にあたって行われた本件環境影響評価においては,工事完了後の昭和75年(平成12年)の騒音予測は,予測地域として選定されたα3,α2(1),α2(2),α2(3),α2(4)のいずれの地域についても,いずれの時間区分においても,公害対策基本法に基づく騒音に係る基準を示す「騒音に係る環境基準について(昭和46年5月25日閣議決定,」なお,東京都においては,昭和47年5月1日東京都告示第519号)が定める基準を下回っており,環境に及ぼす影響は少ないと評価されたことが認められる。 ②この「騒音に係る環境基準について」が定める基準によると,本件起業地を含むA地域(第1種住居専用地域,第2種住居専用地域,住居地域並びにこれに接する地先及び水面)についての「2車線を越える車線を有する道路に面する地域」に関する夜間の基準値は50ホンであるところ,丙64(247頁,248頁)によれば,一般に,騒音レベルが40ホンを超えると,就眠時間,覚醒時間,脳波あるいは血液所見などからみた睡眠深度への影響が出現するが,屋外での50ホンは屋内では40ホンになるとされ,屋内で40ホン以下となれば,生理的,心理的影響等はほぼ現れないと考えられることから,屋外で50ホンという基準が設けられたと認められるので,上記基準が不合理であるということはできない。ちなみに,丙68によれば,平成10年9月30日環境庁告示第64号による新しい環境基準作成に際して中央環境審議会騒音振動部会騒音評価手法等専門委員会が作成した同年5月22日付けの報告書「騒音の評価手法等の在り方について」において,夜間の基準は,睡眠影響を考慮して騒音影響 い環境基準作成に際して中央環境審議会騒音振動部会騒音評価手法等専門委員会が作成した同年5月22日付けの報告書「騒音の評価手法等の在り方について」において,夜間の基準は,睡眠影響を考慮して騒音影響に関する屋内騒音レベルの指針を設け(一般地域は35dB以下,道 路に面する地域は40dB以下(同452頁,建物の防音性))能等を考慮して地域ごとに屋外での環境基準の指針値を設定していることが認められ,前記の「騒音に係る環境基準について」による環境基準設定の手法は基本的に継承されているのであって,これはこの手法が合理的であることを示すものといえる。 なお,甲284,289によれば,世界保健機関(WHO)が平成11年4月に公表した「環境騒音のガイドライン」は,これと異なる基準値を設けたことが窺われる。しかし,丙64,68によれば「騒音に係る環境基準について」の基準や報告書「騒,音の評価手法等の在り方について」における基準は,騒音の人に与える生理的,心理的影響等についての医学的研究等をも考慮して設けられたと認められるから,これらの基準値が不合理であるということはできず,他に,上記の環境基準が不合理,不適切であると認めるに足りる証拠はない。 ③そして,前記認定事実のとおり,この騒音予測は,原則として地上1.2メートルの地点で行われているところ,乙14,39,40によれば,当時の国の技術指針である「建設省所管道路事業環境影響評価に関する実施上の運用(案)について(建設省道環」発第4号昭和61年2月28日)は,予測点は高さ1.2メートルを原則とする旨示しており(乙39・106頁,上記の)「騒音に係る環境基準について」は「騒音の測定方法は,日本,工業規格Z8731に定める騒音レベルの測定方法による」。 (乙14・第2の1)と定め 則とする旨示しており(乙39・106頁,上記の)「騒音に係る環境基準について」は「騒音の測定方法は,日本,工業規格Z8731に定める騒音レベルの測定方法による」。 (乙14・第2の1)と定め「日本工業規格環境騒音の表示・,測定方法」は「測定点の高さは,特に指定がない限り,地上1. 2~1.5メートルとする(乙40・5.2.1)と定めてお」り,本件環境影響評価は,これらの準則に従って原則として地上 1.2メートルの地点で騒音予測を行ったものと認められから,騒音予測が地上1.2メートルの地点で行われたことが不適切であるということはできない。 ④また,上記第3の2(3)(原判決48頁15行目冒頭から同53頁24行目末尾まで)及び乙7によれば,本件環境影響評価においては,高さ12メートルまでの騒音予測も行われており,環境基準を充たすことが最も厳しくなるとされる時間帯である夜間(午前5時から午前6時)について,時間交通量を1476台/時,大型車混入率を76.2パーセント,平均走行速度を80キロメートル/時と条件設定し,官民境界からの距離が0メートルから80メートル離れた地点までの,高さ0メートルから12メートルまでの間の騒音予測結果横断分布図を作成して騒音予測を行ったこと,これによると,予測した騒音は,官民境界からの距離が離れるにつれて,より高い場所まで騒音が環境基準を下回る関係にあり,α2(1)の地点では,官民境界からの距離が0メートルの地点においては,道路東側及び西側とも高さ約5メートルまでは環境基準を下回り,官民境界から西側で約70メートル,東側で約80メートル離れた地点で最上限の高さ12メートルまで環境基準を下回ること,α2(2)の地点では,官民境界からの距離が0メートルの地点においては,道路東側及び西側とも高さ 約70メートル,東側で約80メートル離れた地点で最上限の高さ12メートルまで環境基準を下回ること,α2(2)の地点では,官民境界からの距離が0メートルの地点においては,道路東側及び西側とも高さ約5メートルまでは環境基準を下回り,官民境界から東西とも約18メートルより離れた地点では,すべて最上限の高さ12メートルまで環境基準を下回ること,α2(3)の地点では,官民境界からの距離が0メートルの地点においては,道路東側及び西側とも高さ約5メートルまでは環境基準を下回り,官民境界から東西とも約13メートルより離れた地点では,すべて最上限の高さ1 2メートルまで環境基準を下回ること,α2(4)の地点では,官民境界からの距離が0メートルの地点においては,道路東側及び西側とも高さ約5メートルまでは環境基準を下回り,官民境界から東西とも約13メートルより離れた地点では,すべて最上限の高さ12メートルまで環境基準を下回ることがそれぞれ認められる(乙7・193ないし195頁。このように道路東側及び西)側とも官民境界からの距離が0メートルの地点では,高さ約5メートルまで環境基準を下回り,この高さは,上記各技術指針の高さ1.2ないし1.5メートルを大きく超え,一般住宅の2階の生活面の高さに相当する高さ4メートルをも超えるものであり,さらに官民境界から距離が離れれば離れるほど,より高い地点まで環境基準を下回っているものである。 ⑤また,乙7(170頁)によれば,本件環境影響評価の道路交通騒音は,官民境界から80メートルないし150メートルまでの範囲を予測対象地域としているところ,前記のとおり,本件環境影響評価に用いられた環境基準は,本件起業地を含むA地域(第1種住居専用地域,第2種住居専用地域,住居地域並びにこれに接する地先及び水面に該当す 予測対象地域としているところ,前記のとおり,本件環境影響評価に用いられた環境基準は,本件起業地を含むA地域(第1種住居専用地域,第2種住居専用地域,住居地域並びにこれに接する地先及び水面に該当する地域)についての「2車線を越える車線を有する道路に面する地域」に関する基準であり,甲202(275頁,211(5頁,乙7(759頁,丙64)))(450頁)によれば,ここにいう「道路に面する地域」とは,道路からの距離によって定まるものではなく「当該道路より発,する道路交通騒音の影響を受ける地域(あるいは「道路交通騒」音が支配的な音源である範囲)を指すと認められる。そして,」丙65(114頁以下)によれば,前記「建設省所管道路事業環境影響評価に関する実施上の運用(案)について(建設省道環発」 第4号昭和61年2月28日)が定める騒音の予測式は,原則として,比較的平坦な地形に平面,盛土,切土,高架道路の各構造が連続しており,自動車が毎時30キロメートルないし100キロメートル程度の速度で定常的に走行している道路について,路肩端から160メートル(一般道路の場合)または80メートル(自動車専用道路の場合)までの地点の騒音レベル中央値を求める場合に適用できるとされており,また,丙66(29頁,32頁)によれば,昭和56年8月の「東京都環境影響評価技術指針」は,騒音予測の地域については「対象事業の種類,規模等,を考慮して,対象事業の実施による騒音が環境に影響を及ぼすと予想される地域」とする現況調査の調査地域に準ずるとしているところ,丙67(32頁)によれば,平成11年10月の「東京都環境影響評価技術指針」の解説には「道路交通騒音の調査地域は,道路端から100メートル程度の範囲を調査地域とする。ただし,平坦開放及び高架の ろ,丙67(32頁)によれば,平成11年10月の「東京都環境影響評価技術指針」の解説には「道路交通騒音の調査地域は,道路端から100メートル程度の範囲を調査地域とする。ただし,平坦開放及び高架の道路では200メートルの範囲とする」という例を参考に設定する旨記載されていることが,それ。 ぞれ認められる。 そうすると,本件環境影響調査において,官民境界から80メートルないし150メートルまでの範囲を当該道路より発する道路交通騒音の影響を受ける地域(あるいは道路交通騒音が支配的な音源である範囲)と想定し,この範囲を予測対象地域として騒音予測を行い,上記環境基準を用いて評価を行ったことは,上記の技術指針等の内容に照らしても,不適切であるということはできない。 ⑥さらに,圏央道の供用による騒音と既存道路から生じる騒音との合成騒音(複合騒音)については,東京都環境影響評価技術指 針等にもこれを要求するものは見当たらないが,乙7(192頁,1262頁,8(77頁以下)によれば,本件環境影響評価を)行うに当たり,東京都知事が,既存の道路に面している地域については,計画道路と既存道路との合成による騒音の程度について記述するとともに,合成騒音レベルの求め方についても説明することという意見を付け,そこで,本件環境影響評価においては,圏央道が主要幹線道路である国道411号と交差する部分(α14地区)及び交通量の最も多い主要地方道である五日市街道と交差する部分(α2地区)において,環境基準を充たすことが最も厳しくなるとされる時間帯である夜間(午前5時から6時)について,国道411号α14地区の昭和75年計画日交通量を5200台/日,平均走行速度を時速40キロメートル,五日市街道のα2地区の同年計画交通量を7100台/日,平均走行速度を時速4 ら6時)について,国道411号α14地区の昭和75年計画日交通量を5200台/日,平均走行速度を時速40キロメートル,五日市街道のα2地区の同年計画交通量を7100台/日,平均走行速度を時速40キロメートルという条件設定の下で官民境界上の高さ1. 2メートルの合成騒音を予測したところ,α14地区においては既存道路と圏央道の合成騒音が50ホン,α2地区においては既存道路と圏央道の合成騒音が47ホンであり,いずれも環境基準を充たしていたことが認められる。 ⑦また,本件環境影響評価において,騒音の予測数値は,自動車の走行速度を法定最高速度である時速80キロメートルとして計算しているところ,実際には,圏央道においても時間帯や走行車両の状況等によっては,法定最高速度を超えた速度で走行する自動車が存在することが否定できないが,環境影響についての将来の予測値を求めるに際しては,法定速度を遵守した正常交通を前提とすべきであって,そのような違法状態が常態であるとしてこれを前提とすべきものということはできないから,本件環境影響 評価において,法定最高速度で走行する自動車を前提として予測したことが不合理ということはできない。 ⑧なお,甲98,99,原審における被控訴人P5本人の供述によれば,同人が,あきる野地域及び同人が圏央道と類似しているとして選定した地点についての騒音測定を行ったところ,多くの地点で環境基準を上回る結果となったというのであるが,これらの調査方法は,原審における被控訴人P5本人が供述するように,国の環境基準に定められた騒音測定の方法とは異なる測定方法を用いており,また,同人が類似地域として選定した地点の状態が必ずしも圏央道のそれと類似しているとはいえないので,これらの調査結果によって,本件環境影響調査の信用性を覆すことはで とは異なる測定方法を用いており,また,同人が類似地域として選定した地点の状態が必ずしも圏央道のそれと類似しているとはいえないので,これらの調査結果によって,本件環境影響調査の信用性を覆すことはできない。 (b)本件再評価①前記認定のとおり,本件事業の事業認定の申請に当たり,起業者は「騒音「大気汚染「振動」及び「低周波空気振動」の,」,」,4項目につき,本件道路の計画交通量の推計年次を平成32年度として,東京都環境影響評価技術指針(平成11年7月23日告示第893号)に基づき本件事業の実施が環境に及ぼす影響について再予測計算及び評価を実施した(乙5・189頁以下。再)予測項目としてこの4項目を選定した理由は,乙5(189頁,194頁)によれば,本件環境影響評価の予測時期は平成12年であったが,当該道路の供用予定年を平成14年度としたことから,計画交通量の見直しを行い,その際その推計年次を平成32年度としたので,東京都環境影響評価技術指針及び建設省所管道路環境影響評価技術指針に基づいて本件環境影響評価において実施した予測評価項目のうち,計画交通量により予測結果が変わる 予測手法を用いる項目とそうでない項目があり,前者に該当するものが上記4項目であるためであると認められる。したがって,上記4項目を選定したことに不合理な点はないと認められる。 ②そこで,騒音についての再予測の結果をみると,乙5(189頁,195頁)によれば,平成32年度の計画交通量による再予測の結果,本件環境影響評価において予測地域として選定されたα3,α2(1),α2(2),α2(3),α2(4)の各地域について,環境基準値に対して最も厳しい夜間(午前5時から6時)の地上1.2メートルの予測値は,α3地域を除く4地域に関しては,平成12年の ,α2(1),α2(2),α2(3),α2(4)の各地域について,環境基準値に対して最も厳しい夜間(午前5時から6時)の地上1.2メートルの予測値は,α3地域を除く4地域に関しては,平成12年の予測値と同じかむしろ1ないし2dB低くなるとされ,α3地域は,遮音壁を5メートルから7メートルに高くすることにより49dBとなり環境保全目標を達成することができることになり,結局,他の時間帯を含めて,α3地域以外の地域では,平成12年予測と同様の遮音壁を設けることにより,またα3地域では遮音壁を2メートル高くすることにより,環境保全目標を達成できることが認められる。 そして,乙5(191頁,199頁,206頁)によれば,この騒音予測は,基本的に本件環境影響評価と同じ手法で行われたものであると認められ,予測計算式の誤りその他の予測方法について問題とすべき点を見出すことはできない。 (c)以上によれば,本件起業地周辺の選定地域で行われた騒音予測については,本件環境影響評価及び本件再評価のいずれについても,その手法や内容において特に不適切,不合理な点は認められず,これらの騒音予測によれば,地域によっては必要な遮音壁を設けることによって,予測地域として選定されたα3,α2(1),α2(2),α2(3),α2(4)のいずれの地域についても,いずれの時間区分に おいても,環境基準を下回り,環境に及ぼす影響は少ないと評価できることが認められる。 c大気汚染(a)本件環境影響評価①乙7(92頁以下)によれば,本件環境影響評価における工事完了後の大気汚染の予測については,予測事項を計画路線の利用交通に起因する排気ガスとし,一酸化炭素(CO,二酸化窒素)(NO)及び二酸化硫黄(SO)について,α3,α2(1)な いし(4)など計17か 汚染の予測については,予測事項を計画路線の利用交通に起因する排気ガスとし,一酸化炭素(CO,二酸化窒素)(NO)及び二酸化硫黄(SO)について,α3,α2(1)な いし(4)など計17か所の地域(予測範囲は官民境界から原則として150メートル,高さ地上1.5メートル)における,昭和75年(α16は昭和70年)の時点での各年平均値について予測をし,年平均値と日平均値との関係式を用いて日平均値を算出したところ,一酸化炭素(CO)の日平均値は,あきる野インターチェンジ部と八王子ジャンクション部がいずれも1.6ppm,トンネル坑口部が1.3ないし1.9ppm,他の一般部が1. 6ないし1.9ppmであり,いずれも公害対策基本法に基づく大気汚染に係る環境基準(評価の指標)の10ppmを下回り,二酸化窒素(NO)の日平均値は,あきる野インターチェンジ 部が0.036ppm,八王子ジャンクション部が0.033ppm,トンネル坑口部が0.033ないし0.048ppm,他の一般部が0.033ないし0.050ppmであって,いずれも同環境基準(評価の指標)0.06ppmを下回り,二酸化硫黄(SO)の日平均値は,あきる野インターチェンジ部が0. 021ppm,八王子ジャンクション部が0.013ppm,トンネル坑口部が0.014ないし0.035ppm,他の一般部が0.016ないし0.032ppmであって,いずれも同環境 基準(評価の指標)0.04ppmを下回っていることが認められる。 そして,前記認定事実及び乙7(146頁)によれば,本件環境影響評価は,工事完了後の大気汚染の将来予測の結論として,「一酸化炭素(CO,二酸化窒素(NO)及び二酸化硫黄) (SO)のいずれも評価の指標を下回ること,換気塔からの寄 与濃度は将来バック 影響評価は,工事完了後の大気汚染の将来予測の結論として,「一酸化炭素(CO,二酸化窒素(NO)及び二酸化硫黄) (SO)のいずれも評価の指標を下回ること,換気塔からの寄 与濃度は将来バックグラウンド濃度と比較して非常に低い値であることから,影響は少ないと考える。なお,α1における現地調査結果によれば,接地逆転層は主に夜間に発生し,日の出とともに急速に解消しており,その発生には晴天,弱風時等の一定の気象条件が必要である。夜間においては,昼間に比べ交通量が少ないことを考慮すれば接地逆転層が大気質に及ぼす影響は少ないと考える。さらに,大気汚染の予測に用いた拡散幅は,建設省が昭和54年から56年度に実施した全国での実測調査及び資料解析結果に基づき定められているため接地逆転層の影響は予測値に反映されていると考える。このことは,α1地区を対象とした風洞模型実験においても確認している」としていることが認められる。 ②プルーム・パフモデルによる予測について(i)プルーム・パフモデル本件環境影響評価においては,乙7(98頁)によれば,一般部と八王子ジャンクション及びあきる野インターチェンジに関しては,気象の現地調査の結果,谷部においては谷沿いの風が卓越しており,その流れを阻害する地形・地物が特に見られないことなどから,風速が秒速1メートルを超える有風時にはプルームモデル,秒速1メートル未満の静穏時にパフモデルを用いて予測したことが認められる。そして,甲259(3頁以 下,261(141頁以下,乙7(97頁以下,8(37)))5頁以下)によれば,プルームモデル及びパフモデルは,いずれも煙の拡散を定量的に予測する時に用いられる予測計算式(シミュレーションモデル)であり,プルームモデルは,有風の気象条件を想定し,煙源から排出さ 下)によれば,プルームモデル及びパフモデルは,いずれも煙の拡散を定量的に予測する時に用いられる予測計算式(シミュレーションモデル)であり,プルームモデルは,有風の気象条件を想定し,煙源から排出された煙が風によって風下に流されていくときの煙流内の煙の濃度の計算式として用いられ,パフモデルは,無風又は微風の気象条件を想定し,煙源から瞬間的に排出された煙が空間内に拡がっていくときの煙塊の濃度の計算式として用いられるものであることが認められる。 そして,乙51(45頁以下)によれば,大気汚染の予測方法は,一般に,拡散計算(解析解又は数値解析)による方法,模型実験による方法及び統計的方法に分けられるところ,プルームモデル及びパフモデルは,いずれも拡散計算の解析解による方法に位置付けられ,地形等の条件が比較的単純で,実測調査に基づきパラメータ等が求められる場合には,計算の容易さ,適合性からみて,正規型プルームモデルとパフモデルを基本とする予測方法が適しているとされていることが認められる。なお,本件環境影響評価が用いた,風速が秒速1メートルを超える場合とこれ以下の場合でプルームモデルとパフモデルを使い分けて大気汚染予測を行うことは,乙50の「建設省所管道路事業影響評価技術指針」の基準(同61頁以下)が示す予測方法と同一である。 (ii)本件予測対象地域の地形とプルーム・パフモデル上記のとおり,正規型プルームモデル及びパフモデルは,地形等の状況が比較的単純である場合に適するとされ,乙51(48頁)によれば,もともとのプルームモデル及びパフモデ ルは,拡散場が平坦であること,拡散係数が拡散場で一定であることなどを仮定して導かれた計算式であると認められる。しかしながら,乙7(98頁以下,51(48頁)によれば,)本件環境影響評価で用い ルは,拡散場が平坦であること,拡散係数が拡散場で一定であることなどを仮定して導かれた計算式であると認められる。しかしながら,乙7(98頁以下,51(48頁)によれば,)本件環境影響評価で用いられた予測方式は,予め決められた拡散係数を与えるのではなく,実測や実験に基づいて拡散幅を定めるものとなっており,いろいろな条件におけるデータに基づいて拡散幅を定めることにより予測に適用できる手法としており,また複雑な地形や建物等は気流の乱れにより拡散を促進させることを考慮すると,本件環境影響評価で用いられた予測方式は,かなり広い範囲に適用できるものであることが認められる。そして,乙7(98頁,8(15頁以下,376頁以)下)によれば,本件環境影響評価においては,複雑地形下での大気拡散現象を把握するため,実際の地形,気流の状態,温度分布などを再現した風洞模型実験を行ったことが認められる。 その内容,結果等は下記③のとおりである。 (iii)接地逆転層とプルーム・パフモデル乙7(86頁以下,53,55,56によれば,夜間の放)射冷却によって,地表面付近の空気が冷えてできる逆転層(高度が高くなると気温が低くなるという一般の空気の層と関係が逆転している層)を「接地逆転層」というところ,接地逆転層は,冬季の雲がない夜に陸上で起きやすく,一般に谷部では平地に比べて起きやすいとされていること,本件環境影響評価の際における現地調査によれば,発生した接地逆転層は,日没1時間前後から形成され始め,次第に強さ及び厚さを増し,午前0時から日の出ころにかけて最も成長し,日の出1ないし2時間後ころに消滅しており,接地逆転層の厚さは最大で200メ ートル程度であったことが認められる。また,乙7(87頁以下)によれば,昭和52年3月気象庁作成「南関東大気環 長し,日の出1ないし2時間後ころに消滅しており,接地逆転層の厚さは最大で200メ ートル程度であったことが認められる。また,乙7(87頁以下)によれば,昭和52年3月気象庁作成「南関東大気環境調査報告書(1)」による南関東各地の接地逆転層の強さ(上下面の温位差)別出現率を見ると,昭和48年から昭和50年において,南関東各地で特に冬季にかなりの頻度で温位差摂氏4. 0度から5.9度まで,及び6.0度から7.9度の接地逆転層が発生していること,八王子付近の接地逆転層の出現率は,3月が40ないし50パーセント,8月が20ないし30パーセント,11月及び12月が60パーセントであったことが認められる。そして,乙7(98頁,8(15頁以下,376)頁以下)によれば,本件環境影響評価においては,この接地逆転層内における大気拡散現象を把握するため,上記のとおり,実際の地形,気流の状態,温度分布などを再現した風洞模型実験を行ったことが認められる。その内容,結果等は下記③のとおりである。 ③風洞模型実験(i) 風洞模型実験の概要乙7(86頁以下)及び8(15頁以下,同376頁以下)並びに弁論の全趣旨によれば,複雑地形や接地逆転層内の大気拡散現象を把握し,プルーム・パフモデルの通用性を検証するために,本件環境影響評価の過程で,実際に風洞模型を作成して実験が行われ,この風洞模型実験の概要は以下のとおりであると認められる。 風洞模型による再現対象地域は,α1地区の圏央道八王子ジャンクション周辺約4.2キロメートル四方の地域であり,この場所は,周囲に標高500ないし700メートルの山が連な り,その間に小仏川沿いの谷が東西に伸び,谷の北側斜面に沿って中央自動車道が通っている地域であって,圏央道の青梅インターチェンジから八王子ジャンクシ に標高500ないし700メートルの山が連な り,その間に小仏川沿いの谷が東西に伸び,谷の北側斜面に沿って中央自動車道が通っている地域であって,圏央道の青梅インターチェンジから八王子ジャンクションの間では最も高低差が激しい複雑地形である地域であるとともに,上記のように八王子付近及び南関東各地で特に冬季に接地逆転層が発生しやすい。 風洞模型は,縮尺を1500分の1とし,接地逆転層の実験のため冷却可能な構造とし,熱伝導が良いアルミ製として模型裏側に銅パイプを配管して冷却水により十分な冷却効果が得られるようにした。風洞内に再現する気象条件は,昭和60年から61年の冬季に行った現地観測における接地逆転層出現時の結果を基にして設定し,接地逆転層の高度,接地逆転層の強さについては「産業公害総合事前調査における大気に係る環境濃度予測手法マニュアル」を参考にして設定した。排出源については,上下線とも同じ排出量で,中央自動車道(東部,ジャンクション部,西部,圏央道(ジャンクション部,南部,ジ))ャンクション部ランプ(4か所)の計9つの線排出源(明り部)と,換気塔の1つの点排出源を設定し,排出量は「首都,圏中央連絡道路建設事業に係る環境影響評価書案」による交通量及び排出係数に基づき,接地逆転層が形成される夜間から朝までの交通量データの中で排出量の最も多い朝6時から7時までの交通量データを用いて設定した。 (ii) 風洞模型実験の結果乙8(19頁以下,380頁以下)によれば,風洞模型実験の結果及びその前提となる地上濃度の測定結果等は以下のとおり認められる。 まず,上記の風洞模型による実験の結果に基づき,供用開始後の風洞実験値とプルーム・パフモデルによる計算値との相関分析を行うと,安定度条件が中立時の場合は相関係数が0.755であ 認められる。 まず,上記の風洞模型による実験の結果に基づき,供用開始後の風洞実験値とプルーム・パフモデルによる計算値との相関分析を行うと,安定度条件が中立時の場合は相関係数が0.755であり濃度分布パターンの対応は良好であるが,風洞実験値と計算値との比は0.53になっており,計算値の方が大きくなっている。これは現況と比較してジャンクション部周辺の構造物等により,動力学的な乱れが増加したため,拡散がより促進されたと考えられる。安定度条件が安定時の場合は,相関係数は現況に比較して余り良好とは言えず,従って濃度分布パターンも一致しているとはいえない。 次に,接地安定層の影響や地形効果を考慮するため,解析した相関分析結果を用いてプルーム・パフモデルによる計算値(1時間値)を補正することとし,安定度条件が中立時の場合のプルームモデルの補正係数を0.5,パフモデルのそれを0. 5,安定度条件が安定時の場合のプルームモデルの補正係数を中央自動車道寄与分が2.0,ランプ部寄与分が1.5,圏央道寄与分が1.0とし,パフモデルの補正係数を中央自動車道寄与分が昼間3.0,夜間5.0,ランプ部寄与分が昼間2. 0,夜間3.0,圏央道寄与分が昼夜間とも1.0として計算値の補正を行って風洞実験値との比較を行った。 その結果,プルームモデルを用いた場合には相関係数は0. 7,実験値と計算値の比は1.2でやや実験値の方が大きいが概ね良好な対応となっている。パフモデル(昼間)を用いた場合は,低高度・弱安定において相関が悪くなっているが,他のケースについては相関係数は0.9以上で,非常に良い相関を示し,実験値と計算値の比も概ね1となっている。パフモデル (夜間)を用いた場合は,低高度・弱安定を除いて相関関数は0.85程度で実験値と計算値の比は概ね1で良好な .9以上で,非常に良い相関を示し,実験値と計算値の比も概ね1となっている。パフモデル (夜間)を用いた場合は,低高度・弱安定を除いて相関関数は0.85程度で実験値と計算値の比は概ね1で良好な対応となっている。したがって,上記の補正係数をプルーム・パフモデルによって計算された1時間値に掛けることで,接地逆転層の影響や地形効果を考慮することが可能となった。 さらに,上記の補正係数を用いて,評価書案に基づいた年平均値の推算を行い,風洞実験結果で補正した場合と補正しない場合の二酸化窒素(NO)の年平均濃度及び官民境界の最大濃 度を比較すると,対象領域内の平均濃度は,風洞実験結果で補正した場合が0.0027ppmであるのに対し,補正しない場合が0.0025ppmであり,官民境界の最大濃度は,風洞実験結果で補正した場合が0.0035ppm,補正しない場合が0.0031ppmであった。 この結果及び補正前後の年平均濃度分布図を比較した結果に,よると,年平均濃度に対する接地逆転層の影響や地形の効果は二酸化窒素(NO)で0.001ppm以下のレベルであり, 濃度分布パターンもほとんど一致しており,評価書案に基づいたプルーム・パフモデルによる数値を年平均値の予測・評価に適用しても問題はない。 ,なお,二酸化窒素(NO)の最大着地濃度(1時間値)は 0.019ないし0.045ppmであり,将来バックグラウンド濃度の推定値は昼間が0.021ppm,夜間が0.018ppmであるから,この夜間の数値を加えると,二酸化窒素(NO)の最大着地濃度(1時間値)は0.040ないし0. 046ppmであるところ,この数値は,中央公害対策審議会の「二酸化窒素に係る判定条件等専門委員会報告(昭和53」 年3月20日)の短期暴露(1時間暴露)に関 間値)は0.040ないし0. 046ppmであるところ,この数値は,中央公害対策審議会の「二酸化窒素に係る判定条件等専門委員会報告(昭和53」 年3月20日)の短期暴露(1時間暴露)に関する指針値0. 1~0.2ppmを下回り,また,換気塔からの排出ガスの風下における窒素酸化物(NOx)の最大着地濃度(1時間値)は,0.003ppmないし0.008ppm程度であって,これらの値と比べると僅かである。 ④その他(i) 昭和58年環境影響評価制度の手引甲260によれば,昭和58年3月東京都環境保全局作成の「環境影響評価制度の手引」においては,大気質の変化の予測は,大気拡散式(有風時:プルームモデル,無風時:パフ,モデル)によることを基本とすることとし,拡散場の条件が気象条件及び物質の排出条件の時間的変化や複雑地形の影響等を考慮しなければならない場合は差分モデルの利用を検討するとされており(1-27頁,差分モデルについては,)地形の影響等が調べられるという利点を有するが,計算に多大な時間と費用を要し,また,拡散場の風の場合をどのように仮定するかが難しいという説明がされており(1-30頁,そして,大気拡散式による予測計算を複雑地形等に適)用する場合には「模型実験」又は「野外拡散実験」を行っ,て複雑地形の影響を把握するものとされている(1-30頁)ことが認められる。本件環境影響評価は,基本的な評価手法としてプルーム・パフモデルを採用し,地形の影響等を考慮すべき場合であるかどうかについて,前記のとおり風洞模型実験を行い,その結果により,原則どおりにプルーム・パフモデルを用いて予測をしたものであるから,上記の「環境影響評価制度の手引」の予測手法に従ったものということ ができる。 (ii) 大気汚染の予測手法の適用 結果により,原則どおりにプルーム・パフモデルを用いて予測をしたものであるから,上記の「環境影響評価制度の手引」の予測手法に従ったものということ ができる。 (ii) 大気汚染の予測手法の適用性に関する調査業務報告書甲261によれば,平成9年3月東京道路エンジニア株式会社作成の「大気汚染の予測手法の適用性に関する調査業務報告書」の151頁には,プルーム・パフモデルについて「道路(環境)マニュアルの予測方法が適用できるのは下表の場合に限られ,これを大きく逸脱する場合にはマニュアルの予測方法を適用することはできないと考える」としており,当該表の中。 に,高架の「高さ13メートル以下」という記載があるが,同149頁以下によれば,マニュアルでは,拡散幅(又は拡散係数)を,汚染物質が本来持っている純粋な拡散係数ではなく,地表面による乱流現象が加味された実測結果によって設定していることから,そのパラメータの適用範囲はパラメータ設定に用いた実測値の調査範囲が妥当であり,そのため実測した範囲である高さ13メートルの範囲内で適用できる旨記載されたものであり,プルーム・パフモデルの理論上の一般的限界値が高さ13メートルであるとしたものではないと認められる。 ⑤以上によれば,一般的には,プルーム・パフモデルにおいては,接地逆転層や複雑な地形の場合には必ずしもその計算式が十分に機能しない場合がある得ることが窺えるけれども,上記認定のとおり,本件環境影響評価においては,プルーム・パフモデルに,予め定めた拡散係数を与えるのではなく,実測等に基づいて拡散幅(係数)を定める方式を採用していることから,種々の条件におけるデータに基づいて拡散幅(係数)を定めて予測をすることが可能であり,かつ,上記の風洞模型実験の結果によれば,本件事業の対象地域に関して (係数)を定める方式を採用していることから,種々の条件におけるデータに基づいて拡散幅(係数)を定めて予測をすることが可能であり,かつ,上記の風洞模型実験の結果によれば,本件事業の対象地域に関しては,本件環境影響評価における工事完了 後の大気汚染についての将来予測の結論は,当該地域における地形や接地逆転層を考慮に入れたとしても,未だ合理性を失うものではないと認めることができ,甲123及び原審における控訴人P6本人の供述中,上記認定に反する部分は上記②ないし④掲記の証拠に照らして採用することができず,他に上記認定を覆すに足りる証拠はない。 (b)本件再評価前記認定のとおり,起業者は,本件道路の計画交通量の推計年次を平成32年度として,東京都環境影響評価技術指針(平成11年7月23日告示第893号)に基づいて,再予測計算及び評価を実施したが,乙5(189頁以下,197-1頁以下)によれば,大気汚染については,本件環境影響評価と同じ地域について,同じ拡散式(プルーム・パフモデル)を用いて予測した結果,日平均値の最大で一酸化炭素(CO)が0.0ないし0.3ppmの減少,二酸化窒素(NO)が0.011ppmの減少から0.010pp mの増加,二酸化硫黄(SO)が0.002ないし0.017p pmの減少であると予測され,いずれについてもすべての予測地域において環境保全目標を満足していることが認められる。 (c)浮遊粒子状物質(SPM)について①乙8(14頁)によれば,本件環境影響評価の際,浮遊粒子状物質(SPM)についても検討されたが,浮遊粒子状物質(SPM)については,東京都の「東京地域公害防止計画(昭和58」年3月)において「浮遊粒子状物質は,固定発生源,移動発生源及び自然界に起因するもののほか,二次的に生成されるもの ,浮遊粒子状物質(SPM)については,東京都の「東京地域公害防止計画(昭和58」年3月)において「浮遊粒子状物質は,固定発生源,移動発生源及び自然界に起因するもののほか,二次的に生成されるものなど複雑多岐であるため,現状では,発生源別の実態把握及び発生源と環境濃度との関係などについて未解明な部分が残されている。 環境基準の確保のためには,これらの調査研究を進め,汚染予測モデルを開発し,削減手法を確立する必要がある」とされ,自。 動車の走行に起因して発生する浮遊粒子状物質(SPM)の生成と移流,拡散及び二次生成粒子に係るメカニズムが解明されていないので,発生源からの寄与を特定することができないとして,予測の対象としなかったことが認められる。 ②そして,乙27によれば,環境庁大気保全局大気規制課監修」,「浮遊粒子状物質汚染の解析・予測(昭和62年2月)では浮遊粒子状物質については,工場,事業場からのばいじん,自動車排出ガスだけでなく,土壌,自動車の巻き上げ等発生源が多様であり,各発生源からの発生状況を把握するための情報が乏しいこと,ガス状で排出された物質が大気中の物理的化学的変化により粒子化するいわゆる二次生成について反応機構,変換速度等が不明確であること等から,その汚染機構は明らかでない部分が多い(1頁)とした上で,解析・予測手法として,二酸化硫黄(SO,窒素酸化物(NOx)等のガス状物質と同様の拡散シミ2)ュレーション手法が使えるが,この手法のみでは長時間滞留,二次生成等が説明できないこと,浮遊粒子状物質の長時間滞留・二次生成を考慮した拡散シミュレーション・モデルを組み合わせると,環境濃度がある程度説明でき,発生源寄与推定,拡散シミュレーションの補完,照合のためリセプターモデルが利用できるが,二酸化硫黄( ・二次生成を考慮した拡散シミュレーション・モデルを組み合わせると,環境濃度がある程度説明でき,発生源寄与推定,拡散シミュレーションの補完,照合のためリセプターモデルが利用できるが,二酸化硫黄(SO)や窒素酸化物(NOx)に比べ,環境濃度 の再現精度が十分ではないこと,そして,課題として,(i)浮遊粒子状物質(SPM)の環境濃度の動向について把握していく必要があること,(ii)発生源種類ごとの排出係数等発生源データの一層の整備,たとえば,ばい煙発生施設からのばいじん排出量の 連続的把握手法,自動車のタイヤ摩耗及び土壌巻き上げについて,路面状態,走行速度等に対応したデータの集積等が必要であること,(iii)ガス状汚染物質(二酸化硫黄(SO,窒素酸化物2)(NOx,炭化水素(HC)から二次粒子への変換率,変換))速度等のデータが不十分であり,特に炭化水素(HC)からの二次生成に関するデータが少ないため,それらに関連したデータの集積等が必要であること,(iv)長時間滞留,二次生成を組み込んだ拡散シミュレーション・モデルの開発を一層推進する必要があること,(v)各種発生源からの成分データの整備に努めるとともに,拡散シミュレーション・モデルと組み合わせた手法について検討すべきであり,また,元素状炭素,有機炭素成分について,分析方法の検討を含め更に情報の蓄積が必要であることなどが残されており,今後これらの残された課題について各種検討を行うことにより,予測手法の精度を向上させることが必要である(315頁)としていることが認められる。 ③また,乙28(46頁以下)によれば,東京都作成の「東京都環境影響評価技術指針関係資料集(昭和63年)は,一般論」として,浮遊粒子状物質の予測方法は環境庁の「浮遊粒子状物質の解析・予測」に ③また,乙28(46頁以下)によれば,東京都作成の「東京都環境影響評価技術指針関係資料集(昭和63年)は,一般論」として,浮遊粒子状物質の予測方法は環境庁の「浮遊粒子状物質の解析・予測」に述べられているので参考にするとよいとしている(46頁)が,自動車からの浮遊粒子状物質の発生量についてはあまり十分な調査は行われていないこと,自動車走行に伴う粒子状物質の排出係数は車両の走行状態や路面の状態によっても大きく変化すること,リセプターモデルは,将来の発生源の影響の評価には不適であるが,現状における発生源寄与率を求めるには適している(48頁)などの指摘をしていることが認められる。 ④そして,丙42,43によれば,第140回国会における平成 9年6月4日参議院環境特別委員会において,馳浩議員が環境影響評価における評価項目の拡充について質問したのに対し,環境庁企画調整局長P7政府委員は「ご指摘の浮遊粒子状物質,S,PMによります大気汚染につきましては,これは環境基本法の環境の保全の対象に含まれるものでございますけれども,そのSPMの由来や性状等から,予測手法等は十分まだ確立されていないという状況でございます」との理由で,評価項目の拡充につい。 ては,科学的知見を踏まえて今後検討する旨答弁したことが認められる。 ⑤なお,乙31,38(3-1頁以下)によれば,本件事業認定後の平成12年10月に示された建設省土木研究所作成の「道路環境影響評価の技術手法(その1」に基づき,圏央道周辺地域)について,平成32年における浮遊粒子状物質(SPM)の年平均値を求める環境影響照査が行われたが,その結果,本件事業区間の前記α2(1),α2(2),α2(3),α2(4)においては,計画路線寄与濃度は順次0.0007ミリグラム/立方メートル,0 )の年平均値を求める環境影響照査が行われたが,その結果,本件事業区間の前記α2(1),α2(2),α2(3),α2(4)においては,計画路線寄与濃度は順次0.0007ミリグラム/立方メートル,0. 0007ミリグラム/立方メートル,0.0015ミリグラム/立方メートル,0.0008ミリグラム/立方メートルであり,バックグラウンド濃度はいずれも0.034ミリグラム/立方メートル,年平均濃度は順次0.035ミリグラム/立方メートル,0.035ミリグラム/立方メートル,0.036ミリグラム/立方メートル,0.035ミリグラム/立方メートルで,日平均濃度は順次0.085ミリグラム/立方メートル,0.085ミリグラム/立方メートル,0.087ミリグラム/立方メートル,0.085ミリグラム/立方メートルであり,いずれも環境基準である0.10ミリグラム/立方メートル以下を充たしているこ とが認められる。 ⑥以上認定した事実によれば,浮遊粒子状物質(SPM)に関しては,工場,事業場からのばいじん,土壌,自動車排出ガス,自動車の巻き上げ等発生源が多様であり,各発生源からの発生状況を把握するための情報が乏しく,また,ガス状で排出された物質が大気中の物理的化学的変化により粒子化するいわゆる二次生成について反応機構,変換速度等が不明確であること等から,その汚染機構は明らかでない部分が多く,平成9年6月時点においても,環境庁の政府委員が,国会の委員会において,浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染の予測手法がまだ十分確立されていない状況である旨の答弁を行う状況にあり,昭和62年の前記「浮遊粒子状物質汚染の解析・予測」の掲げる解析手法も未だ多くの課題を抱え,環境濃度の再現精度が十分でなく,いわば試行的なものにすぎず,そして,本件環境影響評価がな う状況にあり,昭和62年の前記「浮遊粒子状物質汚染の解析・予測」の掲げる解析手法も未だ多くの課題を抱え,環境濃度の再現精度が十分でなく,いわば試行的なものにすぎず,そして,本件環境影響評価がなされた当時浮遊粒子状物質(SPM)が大幅に基準値を上回ることを推測させるような的確な証拠はなく,なお,本件事業認定後に行われた環境影響照査によれば,その予測値は基準値を下回る程度のものであったことが認められるから,このような事実に照らすと,本件環境影響評価の際に,浮遊粒子状物質(SPM)の将来予測を行わなかったことをもって合理性を欠くものということはできない。 (d)以上によれば,本件事業の計画路線の利用交通に起因する大気汚染の予測については,本件環境影響評価及び再評価のいずれについても,プルーム・パフモデルを採用したことも含め,その手法や内容において特に不適切,不合理な点は認められず,これらの大気汚染予測によれば,一酸化炭素(CO,二酸化窒素(NO)及) び二酸化硫黄(SO)のいずれについても,環境基準を下回り, 環境に及ぼす影響は少ないと評価でき,また,本件環境影響評価の際に,浮遊粒子状物質(SPM)の将来予測を行わなかったことが大気汚染の将来予測として合理性を欠くものということはできないと認められる。 d自然環境,文化遺産の破壊等(a)自然環境の破壊乙7(5頁以下,68頁以下,272頁以下,464頁以下)によれば,本件環境影響評価においては,陸上植物,陸上動物,水生生物について,現況調査及び将来予測を行い,その結果に基づき,いずれも必要に応じた環境保全のための措置を行うことにより,本件事業による陸上植物,陸上動物,水生生物への影響は少ないと考えるとされたことが認められる。この調査及び予測等については,その手 づき,いずれも必要に応じた環境保全のための措置を行うことにより,本件事業による陸上植物,陸上動物,水生生物への影響は少ないと考えるとされたことが認められる。この調査及び予測等については,その手法や内容において特に不適切,不合理な点は認められず,本件環境影響評価が掲記する適切な保全措置が講じられることにより,これらの自然環境へ及ぼす影響は少ないと認められる。 (b)文化遺産の破壊乙1(添付書類第3号,4(238頁,7(6頁,70頁以))下,412頁以下)及び弁論の全趣旨によれば,計画道路沿道にはα17城趾等の指定文化財やα18遺跡等の埋蔵文化財包蔵地が存在するが,指定文化財に関しては,工事に当たって関係諸機関と十分協議して低振動法等遺構に影響を及ぼさない施工法を採用するとともに,α17城趾等については遺構から十分に深度のあるトンネルで通過するなどの措置を講じ,また,埋蔵文化財包蔵地については,文化財保護法に基づき文化庁長官に対し届出が行われており,付近土地の試掘をし,埋蔵文化財包蔵の可能性が高い場合は,その 調査等を行い,指定文化財相当の遺跡が確認された場合は,同法に基づき移設を含めた保存措置がとられることとされていることが認められ,したがって,本件事業によって文化遺産が破壊される可能性は乏しいということができる。 (c)地下水の水位低下,水涸れ等丙44ないし53によれば,本件事業認定後,工事の過程で,α19トンネル,八王子市α20地区等において地下水の水位低下や井戸の水涸れが発生したことが認めらるが,これらは,事業認定後の工事の施工方法等の問題であって,ただちに事業認定の違法性に連結するものではない。なお,上記各書証によれば,これらの工事過程における水位低下等に対しても,専門的な調査や専門家等から構成される委員 の工事の施工方法等の問題であって,ただちに事業認定の違法性に連結するものではない。なお,上記各書証によれば,これらの工事過程における水位低下等に対しても,専門的な調査や専門家等から構成される委員会の指導,助言に従って,施工方法の変更等によって対応することにより水位が回復するなど,適切な対応がされていることが認められるのであって,これらの工事に伴う水位低下等が事業認定に違法をもたらすものとは認められない。 (d)その他乙7によれば,本件環境影響評価の際においては,他に水質汚濁,振動,低周波空気振動,日照阻害,電波障害,地形・地質,景観についても現況調査及び将来予測が行われ,いずれも必要に応じて対応措置や費用負担等を行うことなどにより,評価の指標(環境基準)が存するものはすべてこれを充足し,環境に対する影響は少ない等の評価とされ,大きなマイナスの影響が生じる旨の結論とされている項目はないことが認められ,これらの評価の手法や内容において特に不適切,不合理な点は認められず,これらの各点についても環境に対する影響は少ないものと認められる。 そして,他に,事業の用に供されることによって失われる私的な いし公共の利益として特に検討ないし掲記すべき事実は認められない。 (エ)代替案の検討の要否法20条3号の「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」との要件の判断に当たっては,事業計画と異なる代替案が有り得る場合には,これと比較検討することが事業計画の合理性を審査する上で有効であるということができる。しかしながら,事業認定庁に代替案との比較を義務付ける法令上の根拠はないから,起業者の提示した資料等から明らかに他の案が優れていると認められるような特別の事情がない限り,代替案との比較衡量をしないことが直ちに事業認定を 庁に代替案との比較を義務付ける法令上の根拠はないから,起業者の提示した資料等から明らかに他の案が優れていると認められるような特別の事情がない限り,代替案との比較衡量をしないことが直ちに事業認定を違法とするものではない。 ところで,前記のように,東京都知事は,平成元年3月13日,都市計画法4条5項の都市施設として,本件事業(首都圏中央連絡道「路)について都市計画決定を行い,そして,昭和63年8月30日付」け建設省建設経済局長から事業認定庁あての通達「土地収用制度の活用について(建設省経収発第141号の2)の三(1)は「都市計画決定」,されている道路等については,都市計画決定時から長期間経過し,事情が変化している場合等を除き,公共性,土地利用の合理性等が明らかであるときは代替案(ルート比較等)の資料を要しないものとすること。 この場合には,土地利用の合理性については,当該ルート選定の考え方,具体の経過地の状況に関する記載,資料等をもとに判断すること」と。 しているところ,乙41によれば,上記通達は,昭和63年6月15日に提出された臨時行政改革推進審議会の「地価等土地対策に関する答申」において,公共用地取得を円滑化するための方策として土地収用制度を適切に活用すべきことが指摘されたことなどを受けて定められたものと認められる。そこで,都市計画法(平成11年法律第87号による 改正前のもの)上の都市施設については,土地の適正かつ合理的な利。 ),用が図られるように定められ(同法2条,13条1項5号参照,かつ住民,利害関係人,関係市町村,有識者らの意見を都市計画に反映させることができる手続が整備されており(同法16条ないし18条,こ)のように,一般に都市計画決定の過程で事業計画の内容が十分に吟味されていることから,都市計画決定 有識者らの意見を都市計画に反映させることができる手続が整備されており(同法16条ないし18条,こ)のように,一般に都市計画決定の過程で事業計画の内容が十分に吟味されていることから,都市計画決定されている道路の場合には,土地収用法に基づく事業認定の申請に当たり,代替案の資料を必要とせず,法20条3号の要件の審査においては当該ルート選定の考え方や具体の経過地の状況に関する記載,資料をもとに判断することにしたものと解されるから,上記通達の内容は合理性があるということができる。 そして,乙4,7,46ないし48及び弁論の全趣旨によれば,本件事業は,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)。 上の都市施設として平成元年3月13日に上記のように都市計画決定された圏央道に係る都市計画と整合し,本件事業認定された平成12年1月19日当時に,都市計画決定時から長期間が経過して土地利用の状況等の事情に変化が生じているような事実は認められないから,本件事業認定にあたり代替案の検討をしなかったことは上記のように合理性を有する通達に従ったものであって,不適切であるということはできない。 また,たとえ,本件都市計画決定の過程において,代替案が検討されなかったとしても,本件において,本件事業認定の申請に当たり起業者の提示した資料等から明らかに本件事業計画よりも優れた代替案の存在等特別の事情があると認め得る証拠はないから,代替案の検討をしなかったことをもって,本件事業認定が違法であるということはできない。 (オ) 結論 以上によれば,圏央道は,圏央道整備による首都圏全体の広域的見地,起業地周辺の地域的見地のいずれからみても,道路として重要な機能を 果たすものであり,他方,被控訴人らは本件事業の用に供される本件不動産に対する所有権等を喪失すること る首都圏全体の広域的見地,起業地周辺の地域的見地のいずれからみても,道路として重要な機能を 果たすものであり,他方,被控訴人らは本件事業の用に供される本件不動産に対する所有権等を喪失することになるが,このような権利自体の喪失については,法による補償を受け,特別の損失は生ぜず,また,本件事業により発生することが予想される騒音,大気汚染等は環境評価基準以下であり,その他甲299の①によって認められる,被控訴人P8が圏央道の土盛及び遮音壁が自宅間近に建設されることにより威圧感を受けるような不利益を被る等の本件事業により失われる利益を考慮しても,本件事業により得られる公共の利益は,本件土地が本件事業の用に供されることによって失われる私的な利益及び公共の利益に優越すると認められるから,事業認定庁が法20条3号の要件を充たすと判断したことに,裁量権の逸脱,濫用であると認めることはできない。 ウ法20条1号,2号,4号について法20条1号は,事業が法3条各号に掲げるものであることを要件としているところ,本件事業は,法3条1項の道路法上の道路に該当するから,法20条1号の要件を満たしていることが明らかである。 また,法20条2号は,起業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有するものであることを要件としているところ,乙1ないし4及び弁論の全趣旨によれば,これを認めることができる。 そして,法20条4号は,土地を収用し,又は使用する公益上の必要があるものであることを要件としているが,前記認定のとおり,本件事業は公共の利益に資する事業であり,乙1によれば,本件事業のために,起業者は,平成5年度から用地交渉を行い,平成11年7月末までに,所要面積約15万9995平方メートルのうち約94パーセントに当たる約14万9841平方メートルについては買収 ば,本件事業のために,起業者は,平成5年度から用地交渉を行い,平成11年7月末までに,所要面積約15万9995平方メートルのうち約94パーセントに当たる約14万9841平方メートルについては買収を完了したが,その余については話し合いによる解決がつかないため,事業の計画的遂行を図るために事業認定を申請したものであると認められるから,土地を収用すべき公益上の 必要性があるということができる。したがって,事業認定庁が20条4号の要件を充たすと判断したことに,裁量権の逸脱,濫用は認められない。 (3)手続上の違法について乙1,3の①ないし⑮及び弁論の全趣旨によれば,本件事業認定の申請及び事業認定処分は,土地収用に関する法令が定めた手続を適法に履践して行われたと認められる。 なお,被控訴人らは,住民との話し合いが不十分であることなどを指摘して手続上違法である旨主張するが,被控訴人らが指摘する点はいずれも事業認定手続における法定の要件ではなく,本件事業認定を取り消すべき手続上の瑕疵に該当するものではない。また,被控訴人らは,本件事業認定に先立って行われた本件都市計画決定は違法であり,その違法性が本件事業認定の手続上の違法として承継される旨主張するが,本件都市計画決定は,都市計画法に基づくものであって,同法の定める手続によって行われ,その要件も同法に定められ,その効力も同法により判断すべきものであり,他方,本件事業認定は,その手続,要件及び効力は,これとは別個の法である土地収用法に基づくものであるから,たとえ本件事業認定において,都市計画決定との整合性を考慮するとしても,本件都市計画決定の違法性が承継される関係にあると解することはできない。ちなみに,被控訴人らは,本件都市計画決定の過程で,秋川市の都市計画審議会の採決が行われていないことな 整合性を考慮するとしても,本件都市計画決定の違法性が承継される関係にあると解することはできない。ちなみに,被控訴人らは,本件都市計画決定の過程で,秋川市の都市計画審議会の採決が行われていないことなどが違法であると主張するが,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前のもの)上,都市計画決定において市の都市計画審議会の議決は要件とさ。 れていないから,本件都市計画決定に取り消すべき瑕疵があるということはできない。 (4)重大かつ明白な瑕疵以上によれば,本件事業認定に重大かつ明白な瑕疵があると言えないこともまた明らかである。 (5) 結論 したがって,第2及び第3被控訴人目録記載の被控訴人らも原告適格を有するものと認められ,本件事業認定は実体的要件及び手続的要件をいずれも充たす適法なものであると認められる。 第2事件について(1)訴えの利益第4被控訴人目録記載の被控訴人らが,起業者に対し,既に本件各土地の明け渡しを完了したことは,弁論の全趣旨により明らかであるところ,明渡裁決の効果は,起業者に対し,明渡裁決で定められた明渡しの期限までに明渡裁決に係る補償金の支払い義務等を負わせる(法97条1項)とともに,収用の対象となった土地又はその土地にある物件を占有している者に対し,明渡裁決において定められた明渡しの期限までに起業者に土地若しくは物件を引渡し又は物件を移転する義務を負わせるものであって(法102条,)対象土地の明渡しが完了した場合は当該明渡裁決の目的は達成し,明渡裁決を取消しても当然に占有ないし占有権原が復活するとことはない。そして,明渡し完了後は,もとの占有者等は明渡裁決により何らかの義務を負わされたり,これを強制されるという関係はないから,既に明渡しを完了した上記被控訴人らは,本件明渡裁決の取消を求めるに はない。そして,明渡し完了後は,もとの占有者等は明渡裁決により何らかの義務を負わされたり,これを強制されるという関係はないから,既に明渡しを完了した上記被控訴人らは,本件明渡裁決の取消を求めるにつき,訴えの利益を有しないものというべきである。 (2)事業認定の違法性の承継について前記のとおり,本件事業認定にこれを取り消すべき瑕疵があるとは認められないから,本件事業認定及び本件収用裁決の違法性の承継を論ずる余地はない。 (3)裁決固有の瑕疵土地収用法は,収用委員会は,収用裁決の申請が,(1)申請に係る事業が法26条1項の規定によって告示された事業と異なるとき,(2)申請に係る 事業計画が法18条2項1号によって事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき,(3)その他土地収用法の規定に違反するときは申請を却下しなければならず(法47条,これらの事由が存)して却下する場合を除くほかは,収用裁決をしなけらばならない旨(法47条の2第1項)定めている。 そこで,検討すると,乙1,丁1ないし11,12ないし22の各①②及び弁論の全趣旨によれば,収用裁決の申請に係る事業が法26条1項の規定によって告示された事業と異なるものではなく,また,申請に係る事業計画が法18条2項1項によって事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるものではないことがそれぞれ認められ,かつ,丁1ないし11,12ないし22の各①②,丁23ないし41,丁42ないし46の各①ないし⑪によれば,本件収用裁決は,土地収用法の定める手続的要件をすべて充たしていることが認められ,他に土地収用法の規定に違反する事実は認められないから,収用委員会のした本件収用裁決に取り消すべき瑕疵は認められない。 (4) 結論 したがって,第 る手続的要件をすべて充たしていることが認められ,他に土地収用法の規定に違反する事実は認められないから,収用委員会のした本件収用裁決に取り消すべき瑕疵は認められない。 (4) 結論 したがって,第4被控訴人目録記載の被控訴人らの明渡裁決取消請求に係る訴えは不適法であり,そして,本件収用裁決は適法なものであると認められる。 第4 結論 以上によれば,第1事件については,第1ないし第3被控訴人目録記載の被控訴人らの請求はいずれも理由がなく,第2事件については,第4被控訴人目録記載の被控訴人らの明渡裁決取消請求に係る訴えはいずれも不適法であり,同被控訴人らのその余の請求はいずれも理由がなく,第5及び第6被控訴人目録記載の被控訴人らの請求はいずれも理由がないから,原判決中,主文第1,第3ないし第5項を取り消し,第1事件については,第1ないし第3被控訴人 目録記載の被控訴人らの請求をいずれも棄却し,第2事件については,第4被控訴人目録記載の被控訴人らの明渡裁決取消請求に係る訴えをいずれも却下し,同被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却し,第5及び第6被控訴人目録記載の被控訴人らの請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用及び参加によって生じた費用の負担につき,行訴法7条,民訴法67条2項,65条1項,61条を適用して主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第24民事部裁判長裁判官大喜多啓光裁判官園部秀穗裁判官定塚誠

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