令和6(わ)167 過失運転致死アルコール等影響発覚免脱、道路交通法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月17日 山口地方裁判所
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判決文本文3,013 文字)

主文 被告人を懲役3年に処する。 理由 (犯罪事実)被告人は、第1 令和6年11月10日午前2時47分頃、普通乗用自動車を運転し、山口市a町b番c号先道路をd方面からe方面に向かい進行するに当たり、運転開始前に飲んだ酒の影響により、前方注視及び運転操作に支障が生じるおそれがある状態で同車を運転し、もってアルコールの影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し、その際、同所は道路標識によりその最高速度が30㎞毎時と指定された場所であったから、同最高速度を遵守するのはもとより、前方左右を注視し、進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、前方左右を十分注視せず、進路の安全確認不十分のまま、漫然時速約60㎞で進行した過失により、折から、車椅子に乗って進路前方にいたA(当時73歳)を発見すると同時に、同車椅子に自車前部を衝突させて同人を同車椅子もろとも同所先の河川敷に転落させ、よって、同人に外傷性ショックの傷害を負わせ、同日明け方頃、同所において、同人を前記傷害により死亡させ、さらに、同日午前2時47分頃から同日午前7時10分頃までの約4時間23分間にわたり、その運転の時のアルコールの影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、前記事故現場から逃走して同市fg番地h所在の被告人方で過ごすなどして身体に保有するアルコールの濃度を減少させ、もってアルコールの影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をし、第2 同日午前2時47分頃、前記道路において、前記車両を運転中、前記のとおりAに傷害を負わせる交通事故を起こし、もって自己の運転に起因して人に傷害を負わせたのに、直ちに車両の運転を停止して同 、第2 同日午前2時47分頃、前記道路において、前記車両を運転中、前記のとおりAに傷害を負わせる交通事故を起こし、もって自己の運転に起因して人に傷害を負わせたのに、直ちに車両の運転を停止して同人を救護するなど必要な措置を講じず、かつ、その事故発生の日時及び場所等法律の定める事項を直ちに最寄りの警 察署の警察官に報告しなかった。 (証拠) 省略(事実認定の補足説明)判示第2の事実に関し、被告人は、当公判廷において、公訴事実は間違いない旨述べる一方で、事故現場を離れた際には、人に当たったとは思わず、自宅までの道中あるいは自宅で自車の傷を見てから人に当たったのではないかと考えたとも供述する。しかしながら、本件事故現場は、周囲に一般住宅も建ち並んでおり、本件の時間を踏まえても、人がいることがおよそ想定できない場所とまではいえない。また、被告人は、普通乗用自動車を運転して、本件事故現場付近を時速約60㎞で走行中、同車両の前部中央を車椅子に乗っていた被害者に衝突させ、その勢いで被害者は車椅子ごと道路東側の河川敷に転落し、前記車両もフロントグリルが破断するとともにその中央部に装着されていたプレートが外れ、左側前照灯のカバーが割れ、ナンバープレートの左半分が凹損し、前バンパーの一部が破断ないし割損し、前バンパー中央下部のフロントアンダーガードが後方に押し込まれ、ボンネットが中心から後方にかけて凹損するなどしたのであるから、衝突の際に被告人が相当程度の衝突音や衝撃を感知したことが容易に認められる。被告人も、当公判廷で前記のとおり供述する一方で、衝突した際、部品のようなものが飛ぶのが見えたとか、自転車に接触したのではないかと思ったなどと供述している。そうすると、被告人は、本件事故現場を離れる時点において、少なくとも人身事故を起こし 一方で、衝突した際、部品のようなものが飛ぶのが見えたとか、自転車に接触したのではないかと思ったなどと供述している。そうすると、被告人は、本件事故現場を離れる時点において、少なくとも人身事故を起こしたかもしれないとの認識を有していたことが十分に認められるというべきである。 (法令の適用)罰条第1の行為自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律4条第2の行為中救護義務違反の点道路交通法117条2項、1項、72条1項前段 報告義務違反の点道路交通法119条1項17号、72条1項後段科刑上一罪の処理第2 刑法54条1項前段、10条(1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから、1罪として重い救護義務違反の罪の刑で処断)刑種の選択第2の罪懲役刑併合罪の処理刑法45条前段、47条本文、10条(重い第1の罪の刑に法定の加重)訴訟費用の不負担刑訴法181条1項ただし書(量刑の理由)被告人は、本件前日の午後11時頃から本件当日の午前2時頃まで自らが経営する飲食店でビールや焼酎等を飲んだ後、事故を起こすことはないし、警察にも捕まらないだろうなどと安易に考え、時間をおくことなく自動車の運転を開始し、本件事故現場付近において指定速度の約2倍の速度で走行する中、前方左右を注視して進行するという基本的な注意義務を怠って本件事故を引き起こしたものである。ウィドマーク法によれば、本件事故当時、呼気1L中約0.69㎎という高濃度のアルコールを身体に保有する状態であったと認められることも考えると、被害者が深夜、反射板等をつけることなく車道中央で車椅子に座った状態でいたことを踏まえても、被告人の運 中約0.69㎎という高濃度のアルコールを身体に保有する状態であったと認められることも考えると、被害者が深夜、反射板等をつけることなく車道中央で車椅子に座った状態でいたことを踏まえても、被告人の運転行為は危険で悪質なものというほかなく、過失は大きいというべきである。結果が取り返しのつかないものであることはいうまでもなく、突如生命を奪われた被害者の苦痛や無念の情は察するに余りがある。そして、被告人は、このような重大な人身事故を引き起こしながら、検挙をおそれて現場から逃走し、警察官が来るまで自宅で過ごしていたものであって、このような自己中心的な態度は厳しい非難を免れないというべきである。 確かに、被告人と被害者の遺族らとの間では示談が成立しており、遺族らが被告 人を宥恕し、とりわけ被害者の姉は、被告人を刑務所に入れないで欲しい旨求めていること、任意保険によって被害者の相続人に対して更に相応の被害弁償が行われる見込みであること、被告人が罪を認め、遺族に対して謝罪文を作成して送付するなどの反省の態度を示していること、姉が情状証人として出廷し、被告人の更生に協力する意向を示していること、被告人の友人が寛大な処分を求めていること、被告人に自由刑の前科がないこと等、被告人には酌むべき事情が認められる。しかし、本件犯行の悪質性や生じた結果の重大性といった犯情に照らせば、被告人の刑事責任は重く、前記の酌むべき事情を十分に斟酌しても、実刑を選択するほかないというべきである。 そこで、酌むべき事情は全て刑期で考慮し、主文のとおりの刑を量定した。 (求刑・懲役4年6月)(検察官青木泰司国選弁護人濵田隆弘各出席)令和7年3月17日山口地方裁判所第3部 裁判官安達 刑・懲役4年6月) 検察官青木泰司 国選弁護人濵田隆弘各出席 令和7年3月17日 山口地方裁判所第3部 裁判官安達拓

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