令和4(行ケ)10095 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年2月22日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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令和5年2月22日判決言渡 令和4年(行ケ)第10095号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和4年12月13日判決 原告 西田通商株式会社 同訴訟代理人弁護士 小林幸夫 藤沼光太 平塚健士朗 同訴訟代理人弁理士 瀧野文雄 加藤智子 被告 特許庁長官 同指定代理人 杉本克治 矢澤一幸 綾郁奈子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 特許庁が不服2022-1947号事件について令和4年7月27日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯 ⑴ 商標登録出願(甲1、乙1) 原告は、令和2年8月5日、次のとおり、商標登録出願を行った(商願2020-96655号、以下「本願」という。)。 ア 商標登録を受けようとする商標(以下「本願商標」という。) イ 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務 第25類 スニーカー、その他の履物、運動用特殊靴 ⑵ 拒絶査定等 ア 本願について、令和3年1月25日付け手続補正書により、指定商品が「スニーカー、履物、運動用特殊靴」に変更された(乙2)。 イ 本願について、令和3年2月17日付けで拒絶理由が通知 等ア本願について、令和3年1月25日付け手続補正書により、指定商品が 「スニーカー、履物、運動用特殊靴」に変更された(乙2)。 イ本願について、令和3年2月17日付けで拒絶理由が通知され、同月22日付けで意見書が提出されたが、同年11月4日付けで、本願商標は、後記ウ記載の引用商標と類似する商標であって、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものであるから、商標法4条1項1 1号に該当するものであるとして拒絶査定(以下「拒絶査定」という。)がされた。 ウ拒絶査定において拒絶の理由として引用された商標(以下、次の(ア)に記載された商標を「引用商標1」といい、(イ)に記載された商標を「引用商標2」といい、引用商標1と引用商標2を合わせて「各引用商標」という。) は次のとおりであった。 (ア) 引用商標1(甲2)a 登録番号商標登録第4616840号b 登録日平成14年11月1日 c 登録商標 d 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第25類被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、 仮装用衣服、運動用特殊靴、運動用特殊衣服(イ) 引用商標2(甲3)a 登録番号商標登録第5348806号b 登録日 平成22年8月27日c 登録商標 d 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第25類 被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴⑶ これに対し、原告は、令和4年2月9日、拒絶査定不服審判を請求し(甲4)、同年4月11日付け手続補正書(方式)により審判請求書の請求の理由を変 履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴⑶ これに対し、原告は、令和4年2月9日、拒絶査定不服審判を請求し(甲4)、同年4月11日付け手続補正書(方式)により審判請求書の請求の理由を変更し、甲1ないし甲3を提出した(甲5)。 特許庁は、令和4年7月27日、結論を「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決(以下「本件審決」という。)をし、同年8月12日、その謄本は原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和4年9月8日、本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 2 審決の理由の要旨審決は、別紙審決写しのとおりであり、その理由の要旨は、次のとおりである。 ⑴ 本願商標と各引用商標の類否について本願商標と各引用商標とを比較すると、いずれも「X」型の十字形状が左 側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯からなり、帯の 輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表されている点、及び、「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている点において共通しており、かかる構成態様は、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与える識別力の強い部分と認められる。 他方、本願商標は2本の帯を重なるように交差させているのに対し、各引 用商標は一体的に交差させている点、及び、本願商標は各帯状図形の、長辺輪郭線の内側にそれぞれ破線を有しているのに対し、各引用商標は輪郭線内に破線を有さない点において、外観上の差異を有するが、これらの相違点は、上記共通点に比較して、比較的印象に残りにくい構成要素にすぎず、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与えるものとはいえない。 そうすると、本願商標と各引用商標とは、外観から記憶される印象が似通っているか 的印象に残りにくい構成要素にすぎず、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与えるものとはいえない。 そうすると、本願商標と各引用商標とは、外観から記憶される印象が似通っているから、時と所を異にして離隔的に観察したときには相紛らわしい。 また、両商標は、特定の称呼及び観念は生じないため、相互に比較することができない。 そうすると、本願商標と各引用商標は、称呼及び観念において比較できな いとしても、外観において相紛らわしいから、それらによって需要者、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、同一又は類似の商品について使用するときは、その商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあるというべきであり、類似する商標と認められる。(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕) ⑵ 本願商標の指定商品と各引用商標の指定商品の類否について本願商標の指定商品「スニーカー、履物、運動用特殊靴」は、各引用商標の指定商品中「履物、運動用特殊靴」と同一又は類似の商品と認められる。 (本件審決3⑴イ〔本件審決3頁〕)⑶ 結論 本願商標は、各引用商標と類似する商標であって、その指定商品も各引用 商標の指定商品と同一又は類似するから、商標法4条1項11号に該当し、登録することができない。(本件審決3⑴ウ、⑶〔本件審決3、4頁〕) 3 原告が主張する取消事由⑴ 各引用商標の認定の誤り⑵ 本願商標と各引用商標の類否判断の誤り 第3 当事者の主張 1 取消事由⑴(各引用商標の認定の誤り)について〔原告の主張〕⑴ 引用商標1についてア外観の認定 本件審決は、引用商標1について、「組み合わされた白抜きの2本の帯からなり」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)a〔本 り)について〔原告の主張〕⑴ 引用商標1についてア外観の認定 本件審決は、引用商標1について、「組み合わされた白抜きの2本の帯からなり」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)a〔本件審決2頁〕)。 しかし、引用商標1は、「X」型十字を左に傾けた白抜きの図形である。 本願商標のように、2本の細長い四角形を前後に重ね合わせた形であれば、各四角形がそれぞれ帯を想起させるといえるが、引用商標1は白抜きの 「X」型十字であるから、外観上、「X」型十字の単体の図形としか見えず、二つの図形が重なり合って生じたとは全く想起されない。実際に、本願商標と同様に2本の細長い四角形を前後に重ね合わせた形の下記の商標(商標登録第6356046号。以下「関連商標」という。)の登録異議決定(異議2021-900178号、甲6)においても、本件の各引用商標が引 用商標とされ、関連商標は、「組み合わされた2本の帯状の図形」、「重ねたように表されてなるもの」(甲6の第4の1⑴)と認定されているのに対し、引用商標1は、「かご字風に表した図形」(甲6の第4の1⑵)と認定されている。したがって、引用商標1は、必ずしも2本の帯からなるとは認識できないものであり、それにもかかわらず、引用商標1を2本の帯からな るとした本件審決の上記認定は誤りである。 記 (商標登録第6356046号、関連商標)イ称呼及び観念の認定本件審決は、「引用商標1は、『X』型の十字形状ではあるが、特定の文 字を表してなるとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)a〔本件審決2頁〕)。 しかし、本願商標のように、2本の帯が重なり合った形であれば格別、引用商標 は直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)a〔本件審決2頁〕)。 しかし、本願商標のように、2本の帯が重なり合った形であれば格別、引用商標1の白抜きの「X」型十字形状は、かご字又は太字の欧文字「エックス」と、その外観において何ら異なるところはないから、欧文字「エ ックス」の称呼及び観念が生じる。実際にも、引用商標1の商標出願・登録情報には、「X」を特殊な書体で表現した文字であることを意味する「27. 5.1.24」の図形分類コードが付され、称呼欄にも「エックス」と記載されているのに対し、本願商標の商標出願・登録情報には、そのような図形分類コードは付されておらず、称呼欄の記載もない(甲7)。 したがって、本件審決の上記認定は誤りである。 ⑵ 引用商標2についてア外観の認定本件審決は、引用商標2について、「組み合わされた白抜きの2本の帯からなり」と認定したが(本件審決3⑴ア(イ)b〔本件審決3頁〕)、このよう な認定が誤りであり、引用商標2が、「X」型十字を左に傾けた白抜きの図 形であることは、引用商標1について述べたのと同様である。 イ称呼及び観念の認定本件審決は、「引用商標2は、『X』型の十字形状ではあるが、特定の文字を表してなるとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)b〔本件審決3頁〕)。 しかし、引用商標2の白抜きの「X」型十字形状は、引用商標1と同様に、欧文字「エックス」の称呼及び観念を生じる。引用商標2の商標出願・登録情報にも、「X」を特殊な書体で表現した文字であることを意味する「27.5.1.24」の図形分類コードが付され、称呼欄にも「エックス」と記載されて の称呼及び観念を生じる。引用商標2の商標出願・登録情報にも、「X」を特殊な書体で表現した文字であることを意味する「27.5.1.24」の図形分類コードが付され、称呼欄にも「エックス」と記載されている(甲7)。加えて、引用商標2は、引用商標1と比べ て、図形の中央から右下に伸びる部分の長さと左上に伸びる部分の長さの差が小さく(図形の中央から右下に伸びる部分の長さと左上に伸びる部分の長さの比は、引用商標1が1:2.3であるのに対して、引用商標2は1:1.5にすぎない。)、より欧文字「エックス」の形状に近い。さらに、引用商標2を構成中に含む下記の商標が出願されたが(商願2010-5 1015号、甲8)、「XGAMES」の標準文字からなる先行商標(商標登録第4854749号)との類似を理由に拒絶査定がされ、拒絶査定不服審判(拒絶2011-7079号)において請求不成立審決がされ(甲9)、拒絶査定が確定しており、同請求不成立審決は、下記の商標が「エックスゲーム」の称呼を生じるとし、下記の商標中の引用商標2の図形部分 から「エックス」の称呼を生ずると認定している(甲9)。そのため、これらの点からしても、引用商標2は、欧文字「エックス」の称呼及び観念が生じる。 したがって、引用商標2は特定の称呼及び観念を生じないとした本件審決の上記認定は誤りである。 記 (商願2010-51015号)〔被告の主張〕⑴ 引用商標1についてア 〔原告の主張〕⑴ア(外観の認定)に対し 引用商標1は、一見すると、長辺部分が鋸歯状で描かれた幅広の帯状図形が2本、右上部から左下部へ、左上部から右下部へと描かれ、それらが中間付近で交差した構成からなると認識される。 したがって、本件 引用商標1は、一見すると、長辺部分が鋸歯状で描かれた幅広の帯状図形が2本、右上部から左下部へ、左上部から右下部へと描かれ、それらが中間付近で交差した構成からなると認識される。 したがって、本件審決が、引用商標1について、「組み合わされた白抜きの2本の帯からなり」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)a〔本件審決2頁〕) ことに誤りはない。 イ 〔原告の主張〕⑴イ(称呼及び観念の認定)に対し引用商標1は、その全体の形状から漠然とした印象によって需要者に記憶され、アルファベットの表記に使用される書体の「X」の文字とは形状が異なり、「X」の文字とは認識できないから、特定の称呼及び観念を生じ ない。 したがって、本件審決が、「引用商標1は、『X』型の十字形状ではあるが、特定の文字を表してなるとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)a〔本件審決2頁〕)ことに誤りはない。なお、商標出願・登録情報の図形分類コード、 称呼欄の記載は、検索のための単なる参考情報にすぎない。 ⑵ 引用商標2についてア 〔原告の主張〕⑵ア(外観の認定)に対し引用商標1について述べたのと同様に、本件審決が引用商標2について、「組み合わされた白抜きの2本の帯からなり」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)b〔本件審決3頁〕)ことに誤りはない。 イ 〔原告の主張〕⑵イ(称呼及び観念の認定)に対し引用商標1について述べたのと同様に、本件審決が、「引用商標2は、『X』型の十字形状ではあるが、特定の文字を表してなるとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)b〔本件審決3頁〕)ことに誤りはない。 2 取消事由⑵ はあるが、特定の文字を表してなるとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)b〔本件審決3頁〕)ことに誤りはない。 2 取消事由⑵(本願商標と各引用商標の類否判断の誤り)について〔原告の主張〕⑴ 外観の比較本願商標と各引用商標の外観の比較について、本件審決は、「『X』型の十字形状が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯から なり、帯の輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表されている点、及び、『X』型の十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている点において共通しており、かかる構成態様は、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与える識別力の強い部分と認められるものである。」と判断した(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)。 しかし、前記1〔原告の主張〕⑴ア及び⑵アで述べたとおり、組み合わされた2本の帯からなる点は、本願商標のみにある形状であり、共通点ではない。また、「X」型の十字の交点から左上に伸びる部分と右下に伸びる部分の比率は、本願商標が1:1.7であるのに対し、引用商標1は1:2.3と大きく異なり、引用商標2も1:1.5と異なる上、十字の交点から右上に 伸びる部分と左下に伸びる部分の長さの、図形全体に対する比率も、本願商 標と各引用商標とでは異なる。これらの相違点を無視して、単に「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっているというごく抽象的な形状を根拠に、本件審決が、本願商標と各引用商標とが、識別力の強い部分において共通していると判断したのは誤りである。 したがって、本件審決の上記判断は誤りである。 ⑵ 取引の実情スニーカー、履 根拠に、本件審決が、本願商標と各引用商標とが、識別力の強い部分において共通していると判断したのは誤りである。 したがって、本件審決の上記判断は誤りである。 ⑵ 取引の実情スニーカー、履物のようなファッション商品については、需要者にとって、商品デザインが商品の選択・購入において重要である。特にスポーツシューズの場合、その側面に様々な棒状、帯状の図形を商標として付すことは一般に行われており、購入時に需要者が側面のデザインに注意を払うことは普通 のことといえる。その際、需要者は、商品を手に取った上で、試着をするなど、デザインを含め、入念に確認するから、側面の質感・素材・色・縫い目(破線)のデザインは、商品の重要な識別ポイントとなる(甲10(登録異議決定)、甲11(登録異議決定)、甲12(各ネットショッピングサイトウェブページ))。実際に、「履物」、「靴類」等を指定商品とする、スニーカーの 側面のデザインに関する商標出願及び登録が多いことからも、そのようにいえる(甲13)。 したがって、このような取引の実情からすれば、需要者は、本願商標及び各引用商標の指定商品である履物の側面のデザインは、特に注意を払って観察するため、より細部の違いに着目するのであって、そのような取引の実情 を考慮せず、抽象的な形状の共通点のみを根拠に類否を判断した本件審決の判断は誤りである。 ⑶ 類否判断「X」をデザインする図形商標は多数存在し、外観上識別し得るポイントが一つでもあれば、非類似とされている(甲14の1~19、甲15、甲1 6)。本願商標と各引用商標を比較すると、本願商標が、組み合わされた2本 の帯状の図形を重ね合わせた幾何学的図形であり、重なり合った部分に奥行き感があり立体風であるのに対して、各引用商標は 6)。本願商標と各引用商標を比較すると、本願商標が、組み合わされた2本 の帯状の図形を重ね合わせた幾何学的図形であり、重なり合った部分に奥行き感があり立体風であるのに対して、各引用商標は、「X」型十字の白抜きの図形であり平らな印象を与える点、「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分と左上に伸びる部分の長さの比が大きく異なる点、本願商標が図形内部に破線を有するのに対し各引用商標は図形内部を空白で表している点等、外観 上識別し得るポイントにおいて多々異なる点がある。そして、前記⑵の取引の実情を考慮すると、需要者は商品のデザインに細部まで注意を払って確認するから、上記の外観上の差異は、顕著な差異として看者に強い印象を与えるものであり、そのため、本願商標と各引用商標を判然と区別することができ、これらが相紛れるおそれはない。 また、関連商標の登録異議決定(甲6)において、関連商標は、各引用商標とは非類似とされており、その理由は、関連商標が2本の帯状の図形を重ねたように表されているのに対し、各引用商標は図形の輪郭を太字の線でかご字風に表している点、関連商標が帯状の図形内部に破線を有するのに対し、各引用商標は図形内を空白で表している点、関連商標を構成する帯状の図形 (背面)の下端の短辺と、各引用商標の中央から右下に伸びた下端部短辺の傾斜の向きが異なる点で相違するからであるとされる。関連商標と各引用商標との間のこれらの相違点は、本願商標と各引用商標との間にも存在するから、統一的な解釈の観点からも、本願商標と各引用商標は類似しないと判断すべきである。 したがって、本件審決が、本願商標と各引用商標が類似である(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)とした判断に誤りがあることは明らかである。 〔被告の主張〕⑴ と判断すべきである。 したがって、本件審決が、本願商標と各引用商標が類似である(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)とした判断に誤りがあることは明らかである。 〔被告の主張〕⑴ 〔原告の主張〕⑴(外観の比較)に対し商標の類否判断は、対比する両商標を時と所を異にして観察する離隔的観 察の方法によって行うべきであり、また、指定商品の需要者が通常有する注 意力を基準とすべきである。本願商標と各引用商標の各指定商品は、ともに履物、運動用特殊靴等という日用品であり、その需要者は一般消費者であって、取引の際に払われる注意力はさほど高いとはいえないから、需要者が、「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分と左上に伸びる部分との比率、十字の交点から右上に伸びる部分と左下に伸びる部分の長さの、図形全体に 対する比率のわずかな差異により、本願商標と各引用商標を識別するとは到底いえない。むしろ、離隔的観察及び需要者の通常有する注意力を踏まえれば、本願商標と各引用商標は、全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が他の帯より長い「X」型の十字形状といった印象を与え、そのような漠然とした印象によって需要者に記憶されるという点にお いて共通する。 したがって、本件審決が、「『X』型の十字形状が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯からなり、帯の輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表されている点、及び、『X』型の十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている点において共通して おり、かかる構成態様は、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与える識別力の強い部分と認められるものである。」と判断した(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)こと いて共通して おり、かかる構成態様は、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与える識別力の強い部分と認められるものである。」と判断した(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)ことに誤りはない。 ⑵ 〔原告の主張〕⑵(取引の実情)に対し商標の類否は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれの有無により決 すべきであるところ、原告が取引の実情として主張するのは、商品デザイン(意匠)に関することであるから、商標の類否判断に直接影響するものではない。また、本願商標は、スポーツシューズの側面にのみ付される位置商標として出願されたものではないから、スポーツシューズの側面に様々な図形が付されていることは、本願商標と各引用商標の類否判断に直接影響するも のではないし、仮に原告がスポーツシューズの側面に本願商標を付す予定で あるとしても、原告主張の取引の実情は、側面に様々な図形が付されたスポーツシューズについての特殊、限定的な取引の実情であって、指定商品(履物、運動用特殊靴等)全般についての一般的、恒常的なものではないから、商標の類否判断に当たって考慮することはできない。 ⑶ 〔原告の主張〕⑶(類否判断)に対し ア前記⑴のとおり、本願商標と各引用商標の外観の比較について、本件審決が、「『X』型の十字形状が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯からなり、帯の輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表されている点、及び、『X』型の十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている点において共通しており、かかる 構成態様は、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与える識別力の強い部分と認められるものである。」と判断した(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3 いる点において共通しており、かかる 構成態様は、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与える識別力の強い部分と認められるものである。」と判断した(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)ことに誤りはない。そして、原告が主張するところの、本願商標が、組み合わされた2本の帯状の図形を重ね合わせた幾何学的図形であり、重なり合った部分に奥行き感があり立体風であるのに対して、 各引用商標は、「X」型十字の白抜きの図形であり平らな印象を与える点、「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分と左上に伸びる部分の長さの比が異なる点、本願商標が図形内部に破線を有するのに対し、各引用商標は図形内部を空白で表している点等の相違点は、上記の共通点に比較してささいなものであり、殊更強い印象を与えるものではない。そうすると、 本願商標と各引用商標は、需要者である一般消費者の注意力を前提として、離隔的観察によるときは、混同のおそれがあり、外観において類似する。 本願商標は称呼及び観念を生ぜず、前記1〔被告の主張〕⑴イ及び⑵イのとおり、各引用商標は、いずれも特定の称呼及び観念を生じないから、称呼及び観念において、本願商標と各引用商標を相互に比較することはで きない。 したがって、本願商標と各引用商標は類似し、本件審決が、本願商標と各引用商標が類似である(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)と判断したことに誤りはない。 イ原告は、「X」をデザインする図形商標が多数存在することや、関連商標の登録異議決定の理由等を指摘するが、本願商標と各引用商標は類似する との判断を左右するものではない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由⑴(各引用商標の認定の誤り)について⑴ 引用商標1についてア外観の認定 願商標と各引用商標は類似する との判断を左右するものではない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由⑴(各引用商標の認定の誤り)について⑴ 引用商標1についてア外観の認定 (ア) 引用商標1は、欧文字の「X」型十字が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた白抜きの2本の帯の図形からなり、帯の輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表され、「X」型十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている。 したがって、本件審決が、引用商標1について、「組み合わされた白抜 きの2本の帯からなり」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)a〔本件審決2頁〕)ことに誤りはない。 (イ) この点に関して、原告は、引用商標1は白抜きの「X」型十字であるから、外観上、「X」型十字の単体の図形としか見えず、二つの図形が重なり合って生じたとは全く想起されないと主張し、関連商標の登録異議 決定(異議2021-900178号、甲6)の認定を指摘する(第3の1〔原告の主張〕⑴ア)。 しかし、引用商標1は、その鋸歯状の輪郭線部分が、右上部から左下部へと、また、左上部から右下部へと、中央部に白抜きの短い間隔を有するものの、つながるように直線上に配置されており、一見すると、右 上部から左下部への長辺部分が鋸歯状で描かれた幅広の帯と、左上部か ら右下部への長辺部分が鋸歯状で描かれた幅広の帯の、2本の帯状図形が、それらの中間付近で交差した構成からなると認識されるものというべきである。また、関連商標の登録異議決定が原告の指摘するような認定を行っていたとしても、本件における上記認定が否定されるものではない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ称呼及び観念の認定(ア) 定が原告の指摘するような認定を行っていたとしても、本件における上記認定が否定されるものではない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ称呼及び観念の認定(ア) 引用商標1は、その外観から、全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型の十字形状といった印象を与えるものということができ、そのような漠然とし た印象によって需要者に記憶されるものと認められる。そして、引用商標1は、「X」型の十字形状ではあるが、特定の文字又は事物を表しているとは直ちに認識できないから、これにより特定の称呼及び観念が生じるとは認められない。 したがって、本件審決が、「引用商標1は、『X』型の十字形状ではあ るが、特定の文字を表してなるとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)a〔本件審決2頁〕)ことに誤りはない。 (イ) この点に関して、原告は、引用商標1の白抜きの「X」型十字形状は、かご字又は太字の欧文字「エックス」と、その外観において何ら異なる ところはないから、欧文字「エックス」の称呼及び観念が生じると主張し、引用商標1の商標出願・登録情報には、「X」を特殊な書体で表現した文字であることを意味する図形分類コードが付され、称呼欄にも「エックス」と記載されていることを指摘する(第3の1〔原告の主張〕⑴イ)。 しかし、引用商標1は、全体を概観して得た印象として、「X」型十字 形状と認識されるものであるとしても、そこから直ちに、文字としての称呼及び観念を生じるということはできない。引用商標1は、アルファベットを表記するために広く使用される書体(イタリック体、ローマン体、サンセリ されるものであるとしても、そこから直ちに、文字としての称呼及び観念を生じるということはできない。引用商標1は、アルファベットを表記するために広く使用される書体(イタリック体、ローマン体、サンセリフ体、スクリプト体、ゴシック体など、乙5)のいずれかの書体をもって表した「X」のアルファベットとは、形状が異なってい るため、文字自体を表したものとは認識されないと認められる。また、登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定められるものであり(商標法27条1項)、引用商標1の商標出願・登録情報に、「X」を特殊な書体で表現した文字であることを意味する図形分類コードが付され、称呼欄に「エックス」と記載されていても、それは検索のための参考情 報にとどまるから、それによって直ちに称呼、観念が定められるものではない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑵ 引用商標2についてア外観の認定 (ア) 引用商標2は、欧文字の「X」型十字が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた白抜きの2本の帯の図形からなり、帯の輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表され、「X」型十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている。 したがって、本件審決が、引用商標2について、「組み合わされた白抜 きの2本の帯からなり」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)b〔本件審決2頁〕)ことに誤りはない。 (イ) この点に関して、原告は、引用商標2は「X」型十字を左に傾けた白抜きの図形であることは引用商標1について述べたのと同様であると主張する(第3の1〔原告の主張〕⑵ア)。 しかし、引用商標2は、その鋸歯状の輪郭線部分が、右上部から左下 部へと、また、左上部から右下部へと、中央部 いて述べたのと同様であると主張する(第3の1〔原告の主張〕⑵ア)。 しかし、引用商標2は、その鋸歯状の輪郭線部分が、右上部から左下 部へと、また、左上部から右下部へと、中央部に白抜きの短い間隔を有するものの、つながるように直線上に配置されており、一見すると、右上部から左下部への長辺部分が鋸歯状で描かれた幅広の帯と、左上部から右下部への長辺部分が鋸歯状で描かれた幅広の帯の、2本の帯状図形が、それらの中間付近で交差した構成からなると認識されるものという べきである。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 イ称呼及び観念の認定(ア) 引用商標2は、その外観から、全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型の十字 形状といった印象を与えるものということができ、そのような漠然とした印象によって需要者に記憶されるものと認められる。そして、引用商標2は、「X」型の十字形状ではあるが、特定の文字又は事物を表しているとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念が生じるとは認められない。 したがって、本件審決が、「引用商標2は、『X』型の十字形状ではあるが、特定の文字を表してなるとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。」と認定した(本件審決3⑴ア(イ)b〔本件審決3頁〕)ことに誤りはない。 (イ) この点に関して、原告は、引用商標2の白抜きの「X」型十字形状は、 引用商標1と同様に、欧文字「エックス」の称呼及び観念が生じると主張し、①引用商標2の商標出願・登録情報には、「X」を特殊な書体で表現した文字であることを意味する図形分類コードが付され、称呼欄にも「エックス」と記載されていること、②引用商標 及び観念が生じると主張し、①引用商標2の商標出願・登録情報には、「X」を特殊な書体で表現した文字であることを意味する図形分類コードが付され、称呼欄にも「エックス」と記載されていること、②引用商標2は、引用商標1と比べて、図形の中央から右下に伸びる部分の長さと左上に伸びる部分の長 さの差が小さく、より欧文字「エックス」の形状に近いこと、さらに、 ③引用商標2を構成中に含む出願商標(商願2010-51015号)について、「XGAMES」の標準文字からなる先行商標(登録第4854749号)との類似を理由に拒絶査定がされ、その拒絶査定不服審判の請求不成立審決(甲9)において、上記出願商標が「エックスゲーム」の称呼を生じると認定されていることを指摘する(第3の1〔原告 の主張〕⑵イ)。 しかし、上記①については、引用商標2の商標出願・登録情報の図形分類コードや称呼欄の記載は、検索のための参考情報にとどまるから、それによって直ちに称呼及び観念が定められるものではなく、上記②については、引用商標2が、引用商標1と比べて、図形の中央から右下に伸 びる部分の長さと左上に伸びる部分の長さの差が小さいとしても、アルファベットを表記するために広く使用される書体の「X」とは形状が異なっている上、「X」型十字形状が左側(反時計回り方向)に傾いていることから、十字形を連想させるともみられ、欧文字「エックス」の称呼及び観念を生ずるとはいえない。さらに、上記③については、引用商標 2を構成中に含む出願商標(商願2010-51015号)の拒絶査定不服審判の請求不成立審決(甲9)において、上記出願商標が「エックスゲーム」の称呼を生じると認定されているとしても、それが本件における商標の称呼の認定に直接影響するものではないし、上記 )の拒絶査定不服審判の請求不成立審決(甲9)において、上記出願商標が「エックスゲーム」の称呼を生じると認定されているとしても、それが本件における商標の称呼の認定に直接影響するものではないし、上記出願商標は、引用商標2と同様の図形と「GAME」という文字から構成されるもの であり、引用商標2そのものとは異なるから、その点においても、上記請求不成立審決の認定が、本件における引用商標2の称呼の認定に直接当てはまるわけではないというべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 2 取消事由⑵(本願商標と各引用商標の類否判断の誤り)について ⑴ 商標の類否の判断基準 商標法4条1項11号に係る商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえ つつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 以下、検討する。 ⑵ 外観の比較ア本願商標と各引用商標の外観とを比較すると、いずれも「X」型の十字 が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯の図形からなり、帯の輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表されている点、及び「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている点において共通しており、全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型 の十 字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている点において共通しており、全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型 の十字形状といった印象を与え、そのような漠然とした印象によって需要者に記憶されるという点において共通するものである。 他方、本願商標と各引用商標とは、いずれもそれぞれを子細に対比観察するならば、本願商標は2本の帯を重なるように交差させているのに対し、各引用商標は一体的に交差させている点、及び本願商標は各帯状図形の、 長辺輪郭線の内側にそれぞれ破線を有しているのに対し、各引用商標は輪郭線内に破線を有さない点において、外観上の差異を有するが、これらの相違点は、上記の商標全体として需要者に与える印象、記憶、連想等における共通点に比較してささいな点であり、殊更強い印象を与えるものではなく、需要者の記憶に残るものともいえない。 加えて、本願商標と各引用商標の各指定商品は、いずれも、履物、運動 用特殊靴等という日用品であり、その需要者は一般消費者であって、取引の際に払われる注意力はさほど高いとはいえないものであり、また、これえらの商品の性質上、多くの場合、これに付された商標の一見した印象によって商品の出所を識別することが多い実情にあることは経験則上容易に推認し得るものであることを併せ考慮すれば、本願商標と各引用商標を いずれも時と所を異にして離隔的に観察した場合、需要者が両者を区別することは困難であるといえるから、本願商標と引用商標1並びに本願商標と引用商標2とは、いずれも外観において類似するものと認めるのが相当である。 したがって、本件審決が、本願商標と各引用商標が、「『X』型の十字形 状が左側(反時計回り方向 1並びに本願商標と引用商標2とは、いずれも外観において類似するものと認めるのが相当である。 したがって、本件審決が、本願商標と各引用商標が、「『X』型の十字形 状が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯からなり、帯の輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表されている点、及び、『X』型の十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている点において共通しており、かかる構成態様は、需要者に対して商品の出所識別標識として強い印象を与える識別力の強い部分と認められ るものである。」と判断した(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)ことに誤りはない。 イこの点に関して、原告は、組み合わされた2本の帯からなる点は、本願商標のみにある形状であり、共通点ではないと主張するが(前記第3の2〔原告の主張〕⑴)、各引用商標について、2本の帯状図形が、それらの中 間付近で交差した構成からなると認識されるものと認められることは、前記1⑴ア及び⑵アのとおりであるから、原告の上記主張は採用することができない。 また、原告は、「X」型の十字の交点から左上に伸びる部分と右下に伸びる部分の比率は、本願商標が1:1.7であるのに対し、引用商標1は1: 2.3と大きく異なり、引用商標2も1:1.5であって異なる上、十字の交点から右上に伸びる部分と左下に伸びる部分の長さの、図形全体に対する比率も、本願商標と各引用商標とでは異なり、これらの相違点を無視して、単に「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっているというごく抽象的な形状を根拠に、本件審決が、 本願商標と各引用商標とが、識別力の強い部分において共通していると判断したのは誤りであると主張する(前記第3 が左上に伸びる部分よりも長くなっているというごく抽象的な形状を根拠に、本件審決が、 本願商標と各引用商標とが、識別力の強い部分において共通していると判断したのは誤りであると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑴)。 しかし、商標の類否判断は、対比する両商標を時と所を異にして離隔的に観察する場合に混同を生じるかどうかも考慮して行うべきであり、また、指定商品の需要者が通常有する注意力を基準として判断すべきであると ころ、本願商標と各引用商標の各指定商品は、いずれも、履物、運動用特殊靴等という日用品であるから、その需要者は一般消費者であって、取引の際に払われる注意力はさほど高いとはいえないし、本願商標と各引用商標との間における、「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分と左上に伸びる部分との比率の差異は、それほど大きなものとはいえない。そうする と、需要者が、上記比率について、本願商標の比率(1:1.7)を記憶し、その上で、時と所を異にして、引用商標1の比率(1:2.3)又は引用商標2の比率(1:1.5)と比較し、それらの違いを認識するとは考え難いというべきである。むしろ、需要者の通常有する注意力を踏まえ、時と所を異にして離隔的に観察される場合には、本願商標と各引用商標は、 全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型の十字形状といった印象を与え、そのような漠然とした印象によって需要者に記憶されるという点において共通するものと認められる。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑶ 取引の実情 ア商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に当該商 ことができない。 ⑶ 取引の実情 ア商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号同49年4月25日第一小法廷判決参照)。 本願商標と各引用商標の指定商品は、いずれも、履物、運動用特殊靴等という日用品であり、一般消費者によって日常的に取引され、実用に供されるものであり、これらの指定商品について特に出所に注意を払って購入するという取引の実情があるとは認められない。 イこの点に関して、原告は、スニーカー、履物のようなファッション商品 については、需要者にとって、商品デザインが商品の選択・購入において重要であり、特にスポーツシューズの場合、購入時に需要者が側面のデザインに注意を払うことは普通のことであり、需要者は、商品を手に取った上で、デザインを含め、入念に確認するから、側面の質感・素材・色・縫い目(破線)のデザインは、商品の重要な識別ポイントとなり、実際に、 「履物」、「靴類」等を指定商品とするスニーカーの側面のデザインに関する商標出願及び登録が多いことからも、そのようにいえるとし、したがって、このような取引の実情からすれば、需要者は、本願商標及び各引用商標の指定商品である履物の側面のデザインには、特に注意を払って観察するため、より細部の違いに着目するのであって、そのような取引の実情を 考慮せず、抽象的な形状の共通点のみを根拠に類否を判断した本件審決の判断は誤りである旨主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑵)。 しかし、商標の類否は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否か 、抽象的な形状の共通点のみを根拠に類否を判断した本件審決の判断は誤りである旨主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑵)。 しかし、商標の類否は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであるところ、原告の主張する取引の実情は、商品デザイン(意匠)に関するものであり、商標の類否判断に直接影 響するものとはいえない。また、本願商標は、商標法施行規則4条の6に おいて規定される商標に係る標章を付する位置が特定される商標(位置商標)ではないし、本願商標の指定商品は、スポーツシューズ以外の履物を含むから、本願商標がスポーツシューズの側面にのみ付されることを前提とする議論は、指定商品全般についての一般的、恒常的な取引の実情ではなく、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情に該当す るとはいえない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ 類否判断ア(ア) 前記⑵のとおり、本願商標と引用商標1、本願商標と引用商標2とは、いずれも外観において類似するものと認められる。 (イ) 本願商標は、外観においては、全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型の十字形状といった印象を与えるものということができ、そのような漠然とした印象によって需要者に記憶されるものといえる。そして、本願商標は、「X」型の十字形状ではあるが、特定の文字又は事物を表しているとは 直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。 他方、前記1⑴イ及び⑵イのとおり、引用商標1及び引用商標2は、いずれも「X」型の十字形状ではあるが、特定の文字又は事物を表しているとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念が生じる 他方、前記1⑴イ及び⑵イのとおり、引用商標1及び引用商標2は、いずれも「X」型の十字形状ではあるが、特定の文字又は事物を表しているとは直ちに認識できないから、これより特定の称呼及び観念が生じるとは認められない。 そうすると、本願商標と各引用商標は、いずれも特定の称呼及び観念を生じないため、称呼及び観念において相互に比較することはできない。 (ウ) このように、本願商標と各引用商標は、称呼及び観念において比較できないが、外観において類似しているから、それによって需要者、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商 標と各引用商標は、これらを同一又は類似の商品について使用するとき は、その商品の出所について誤認混同を生じるおそれがあり、類似する商標であると認められる。 したがって、本件審決が、本願商標と各引用商標が類似である(本件審決3⑴ア(ウ)〔本件審決3頁〕)とした判断に誤りはない。 (エ) なお、前記1⑴イ(ア)及び⑵イ(ア)のとおり、各引用商標は、その外観か ら、全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型の十字形状といった印象を与えるものであるところ、仮に、このような印象のみにより、各引用商標が「エックス」の称呼及び観念を生じるとするならば、本願商標も、全体としてそのような印象を与える点で共通するといえるから(前記⑵ア)、本願 商標も「エックス」の称呼及び観念を生じるということになる。 したがって、本願商標と各引用商標は、外観において類似し、称呼及び観念において同一ということになるから、類似するといえる。 イこの点に関して、原告は、「X」をデザインする図形商標は多数存在し、外観上識別し得るポイントが一つでもあれ 外観において類似し、称呼及び観念において同一ということになるから、類似するといえる。 イこの点に関して、原告は、「X」をデザインする図形商標は多数存在し、外観上識別し得るポイントが一つでもあれば、非類似とされている(甲1 4の1~19、甲15、甲16)と主張するが(前記第3の2〔原告の主張〕⑶)、原告の挙げる証拠によっても、外観上識別し得るポイントが一つでもあれば、非類似とされているとは認められず、原告の上記主張は採用することができない。 また、原告は、本願商標と各引用商標を比較すると、本願商標が、組み 合わされた2本の帯状の図形を重ね合わせた幾何学的図形であり、重なり合った部分に奥行き感があり立体風であるのに対して、各引用商標は、「X」型十字の白抜きの図形であり平らな印象を与える点、「X」型の十字の交点から右下に伸びる部分と左上に伸びる部分の長さの比が大きく異なる点、本願商標が図形内部に破線を有するのに対し各引用商標は図形内部を空白 で表している点等、外観上識別し得るポイントにおいて多々異なる点があ る旨主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑶)。 しかし、前記⑵ア及びイで述べたところによれば、本願商標と各引用商標は、いずれも「X」型の十字が左側(反時計回り方向)に傾いた形で組み合わされた2本の帯の図形からなり、帯の輪郭線のうち、短辺が直線、長辺が鋸歯状に表されている点、及び「X」型の十字の交点から右下に伸 びる部分が左上に伸びる部分よりも長くなっている点において共通しており、全体として、輪郭線のほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型の十字形状といった印象を与え、そのような漠然とした印象によって需要者に記憶されるという点において共通するものであり、原告の ほとんどが鋸歯状になった、右下に伸びる帯が左上に伸びる帯より長い「X」型の十字形状といった印象を与え、そのような漠然とした印象によって需要者に記憶されるという点において共通するものであり、原告の上記主張に係る相違点は、上記の共通点に比較 してささいな部分であり、殊更強い印象を与えるものではなく、それらの相違点があることから、本願商標と各引用商標が非類似であるとはいえない。 さらに、原告は、取引の実情を考慮すると、需要者は商品のデザインに細部まで注意を払って確認するから、原告主張の外観上の差異は、顕著な 差異として看者に強い印象を与えるものであり、そのため、本願商標と各引用商標を判然と区別することができ、これらが相紛れるおそれはないと主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑶)。 しかし、前記⑶のとおり、原告の主張する取引の実情は、商品デザイン(意匠)に関するものであり、商標の類否判断に直接影響するものとはい えないし、指定商品全般についての一般的、恒常的な取引の実情ではなく、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情に該当するとはいえないから、原告の上記主張は採用することができない。 加えて、原告は、関連商標の登録異議決定(甲6)において、関連商標が各引用商標と非類似とされていることを指摘し、関連商標と各引用商標 との間の相違点は、本願商標と各引用商標との間にも存在するから、統一 的な解釈の観点からも、本願商標と各引用商標は類似しないと判断すべきであると主張する(前記第3の2〔原告の主張〕⑶)。 しかし、本願商標と各引用商標が類似することは前記アのとおりであり、関連商標の登録異議決定があるとしても、それにより、この結論が左右されることはない。 したがって、原告の上記主張は採用 。 しかし、本願商標と各引用商標が類似することは前記アのとおりであり、関連商標の登録異議決定があるとしても、それにより、この結論が左右されることはない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 3 本願商標の商標法4条1項11号該当性等前記2⑷アのとおり、本願商標と各引用商標は類似し、本願商標中の指定商品「スニーカー、履物、運動用特殊靴」は、各引用商標の指定商品中の「履物、運動用特殊靴」と同一又は類似の商品と認められるから、本願商標は、商標法 4条1項11号に該当し、登録できないものであり、同旨の本件審決の判断(本件審決3⑴ウ、⑶〔本件審決3、4頁〕)に誤りはない。 4 結論以上によれば、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法はない。 よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官東海林保 裁判官 中平健 裁判官 都野道紀(別紙審決書写し省略)

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