- 1 -主文一第一審原告の控訴に基き、原判決を次のとおり変更する。 二第一審被告が、第一審原告に対して平成九年四月一六日付けでした原判決別紙文書目録記載一の公文書のうち、同目録記載三の1ないし3を非公開とした処分を取り消す。 三第一審被告の控訴を棄却する。 四訴訟費用は、第一・二審とも、第一審被告の負担とする。 事実 及び理由第一申立て一第一審原告 原判決中、第一審原告敗訴部分を取り消す。 第一審被告が、第一審原告に対して平成九年四月一六日付けでした原判決別紙文書目録記載一の公文書のうち、同目録記載三の2を非公開とした処分を取り消す。 二第一審被告 原判決中、第一審被告敗訴部分を取り消す。 右取消部分にかかる第一審原告の請求を棄却する。 第二事案の概要事案の概要は、以下のとおり付加訂正するほか、原判決が「第二事案の概要等」に摘示すると同一であるから、これを引用する。 一原判決三丁表六行目「平成九年四月一六日」と「右原処分」の間に「裁決、を待つことなく」と挿入する。 二原判決五丁表五行目「一号の」と「個人の」の間に「」を付加する。 「第三当裁判所の判断一争点1について 本件条例六条一項一号の趣旨は「情報公開事務の手引(乙一)によれ、」- 2 -ば、個人の尊厳という観点から、いわゆるプライバシーに関する情報を、原則として、非公開として取り扱うこととしたものであるが、プライバシーという概念が、その内容及び範囲が必ずしも明確でなく、主観的要素が強いことから、個人に関する一切の情報を、原則として、非公開とし、プライバシーの保護に万全を期することとしたものであるとされ、その文言上は個人を識別可能とする情報については一般的に非公開としたもののように解される。 しかしながら、本件条例は として、非公開とし、プライバシーの保護に万全を期することとしたものであるとされ、その文言上は個人を識別可能とする情報については一般的に非公開としたもののように解される。 しかしながら、本件条例は、県の有する情報は原則として公開し、六条所定の情報のみを例外的に非公開としているもので、実施機関の責務を定めた三条も「実施機関は、県民の公文書の公開を求める権利が十分に尊重されるように、この条例を解釈し、運用しなければならない」とした上で「こ。 、の場合において、実施機関は、個人に関する情報が十分に保護されるように最大限の配慮をしなければならない」としていることからして、本件条例。 にいう「個人に関する情報」は、公開原則の例外とするにふさわしい、みだ、、りに公開されることが相当でない情報に限定され個人に関する情報のうち専ら私事に関するもののみを指すと解するのが相当である。 すなわち、個人の行動であっても、公務としてされた場合はもちろん、法人等社会的活動を行っている団体において職務上の行為としてされた場合には、もはや当該行為は私事に関するものとはいえず、当該行動に関する情報、「」。 は本件条例にいう個人に関する情報には該当しないというべきである本件条例六条一項一号において、個人に関する情報のうち、事業を営む個人の当該事業に関する情報を除外し、これを同項二号の事業情報として扱っているのも、この趣旨によるものと解される。 、、、したがって個人の行動であっても職務上の行為としてされた場合には本件条例にいう「個人に関する情報」には該当せず、当該行動については、たとえ行為者を識別可能とする事項であっても、本号には該当しないと解す- 3 -べきである。 本件で問題とされている懇談は、秋田県農政部農地計画課が行ったものであるから 、当該行動については、たとえ行為者を識別可能とする事項であっても、本号には該当しないと解す- 3 -べきである。 本件で問題とされている懇談は、秋田県農政部農地計画課が行ったものであるから、その相手方としては、国や他の地方公共団体の職員、県会議員等の公務員あるいは農政に関わる各種団体の職員であると解されるところ、これらの個人はいずれも、その所属する機関や団体の職務として懇談に出席したものと認められるのであって(弁論の全趣旨、その行為は専ら私事に関)するものとは認められず、相手方が懇談に出席したことは「個人に関する情報」には該当しないというべきである。 したがって、当該行為につき相手方を特定するに必要な情報である相手方の職・氏名は本件条例六条一項一号にいう「個人に関する情報」には該当せず、これを非公開とした処分は違法である。 なお第一審被告は、これらの懇談が勤務時間外に行われることも多く、相手方にとっては私的な面も相当部分あることは否定できないと主張するが、私的会合に対し、公金を支出することが許されないことはいうまでもなく、この点に関する第一審被告の主張は採用することができない。 二争点2について 本件条例六条一項二号は、法人その他の団体及び個人事業者の事業活動の自由その他正当な利益を尊重し、保護する観点から、公開することにより、事業を行うものの競争上の地位若しくは事業上の地位又は社会的な地位が損なわれ、事業活動その他正当な利益を害することになるような情報は、公開しないことができることとしたものである「情報公開事務の手引(乙一)。 」によれば「競争上の地位が損なわれると認められるもの」とは、生産販売、技術上のノウハウに関する情報及び取引上、金融上、経営上等の情報など、公開することにより公正な競争秩序が損なわれると認め 」によれば「競争上の地位が損なわれると認められるもの」とは、生産販売、技術上のノウハウに関する情報及び取引上、金融上、経営上等の情報など、公開することにより公正な競争秩序が損なわれると認められるものを事、、「業運営上の地位が損なわれると認められるもの」とは、経営方針、経理、人事等組織秩序を維持する上で必要な内部管理に属する情報であって、公開す- 4 -ることにより、団体等の自治、私的自治に干渉することになると認められるものを「社会的な地位が損なわれると認められるもの」とは、団体等の名、誉、社会的信用、社会的評価、社会的活動の自由その他社会通念上一般に保護されるべきであると考えられる情報であって、公開することにより、これを侵害することになると認められるものをいうとされている。なお、右手引には、本件条例六条一項二号により、非公開とすべき情報につき具体例も記載されているが、債権者の振込先や口座名は掲げられていない。 第一審被告は「債権者の振込先・口座番号」については、当該法人等の、内部管理情報であって、本件条例六条一項二号本文に該当すると主張する。 しかしながら、本件において問題とされているのは、懇談において酒食等を提供した飲食業者の振込先や口座番号であり(弁論の全趣旨、当該法人)等が事業活動を行う上での内部管理に関する情報ではあるが、これら業者が秘密に管理している事柄ではなく、これらの情報は、当該業者が一般的に発行する請求書に記載されている事項にすぎず、さらには、公金の払込みを受ける口座として指定されたものであることからして、当該業者としても、これが公になることを拒みうるとするのは相当でなく、これらの情報が公開されることにより、当該業者の私的自治等が侵害されるものとは認めがたい。 また、第一審被告は、第三者が当該業 て、当該業者としても、これが公になることを拒みうるとするのは相当でなく、これらの情報が公開されることにより、当該業者の私的自治等が侵害されるものとは認めがたい。 また、第一審被告は、第三者が当該業者の預金等に対する差押えをするために情報公開を求める危険性もあるなどと主張するが、仮に右のような事態が生じたとしても、当該業者が第三者に対する責任を負担している場合に、その責任財産を隠匿することを容認すべき理由はなく、また、当該業者としても、公金からの払込みを受けるべき口座を別個に管理することも不可能ではないから、この点に関する第一審被告の主張も採用することはできない。 なお、本件条例四条は利用者の責務として「この条例の定めるところにより公文書の公開を受けたものは、これによって得た情報を適正に使用しなければならない」と定め「情報公開事務の手引(乙一)によれば、本件条。 、」- 5 -例に基づく公文書の公開によって得た情報が、不適正に使用されている事実が確認されたときは、当該公文書の公開を認めた課所長は、直ちにその不適正使用者に対して不適正使用の中止を要請する等、適正に使用するよう注意するものとし、以後、その者からの公開請求に対しては、特に慎重に対応するよう留意するものとされている。 したがって、これらの情報が公開されたとしても、当該事業者の競争上の地位その他正当な利益が害されるとは認められず「債権者の振込先・口座、番号」は本件条例六条一項二号には該当しないから、これを非公開とした処分は違法である。 三争点3について 第一審原告は「債権者従業員の氏名・印」については、原処分では公開、されていたにもかかわらず、本件処分では非公開とした点に違法があると主、「」張するが本件原処分の際に開示された文書中に債権者従業員の氏名・印を確 業員の氏名・印」については、原処分では公開、されていたにもかかわらず、本件処分では非公開とした点に違法があると主、「」張するが本件原処分の際に開示された文書中に債権者従業員の氏名・印を確認できたものが存在しなかったことは、第一審原告において自認するところである(なお、第一審原告自身、本件原処分に対する異議申立てにおいて、請求書中の担当者名をも公開するよう求めているもので[乙七、本件]原処分の際に、債権者従業員の氏名が公開されていなかったことは明らかである。 。)そして、第一審被告は「債権者従業員の氏名・印」については、本件原、処分の際には、債権者の内部管理情報に含めて非公開としたが、本件処分に際しては「債権者従業員の氏名・印」については、債権者従業員自身の個、人情報として非公開とすることとしたことが認められる(乙六、九、弁論の全趣旨)のであって、これらの情報が原処分では公開されていたことを前提、、。 とする第一審原告の主張はその余につき判断するまでもなく理由がない 第一審被告は「債権者従業員の氏名・印」は、本件条例六条一項一号の、「個人に関する情報であって、特定の個人が識別されるもの」に該当すると- 6 -主張する。 しかしながら、弁論の全趣旨によれば、これらは債権者が県に対して提出した請求書等にその担当者を明示するために記載されたものであることが認、。 められ右行為が当該従業員の私事に関する行為でないことは明らかであるしたがって、これらの情報は従業員の「個人に関する情報」とは認めがたく、これを非公開とした処分は違法である。 第四 結論 以上の次第で、第一審被告が、第一審原告に対して平成九年四月一六日付けでした、原判決別紙文書目録記載一の公文書の非公開決定のうち、同目録記載三の1ないし3を非公開とした処 は違法である。 第四 結論 以上の次第で、第一審被告が、第一審原告に対して平成九年四月一六日付けでした、原判決別紙文書目録記載一の公文書の非公開決定のうち、同目録記載三の1ないし3を非公開とした処分は違法であり、第一審原告の請求は理由がある。 よって、第一審原告の控訴に基き、原判決を主文第二項のとおり変更し、第一審被告の控訴を棄却して判決する。 仙台高等裁判所秋田支部裁判長裁判官守屋克彦裁判官丸地明子裁判官大久保正道
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