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主文 一、 本件控訴をいずれも棄却する。二、 控訴人(反訴被告)Aの当審における新たな請求を棄却する。三、 反訴原告(被控訴人)の反訴を却下する。四、 当審における訴訟費用を五分し、その四を控訴人Bおよび控訴人(反訴被告)Aの各負担とし、その余を被控訴人(反訴原告)の負担とする。事実 控訴人Bおよび控訴人兼反訴被告A(以下、この両名を控訴人らという)代理人は、「一、原判決を取り消す。二、被控訴人の控訴人Bに対する請求を棄却する。三、被控訴人は控訴人Aに対して、別紙目録(二)に記載の土地につき、同目録(一)に記載の建物のため、同目録(三)に記載の事項を内容とする地上権の設定登記手続をせよ。四、右地上権の地代を一か月金二、八一一円と確定する。五、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人が当審で新たに提起した反訴には同意しないが、もし右反訴提起が許されるとすれば、請求棄却の判決を求め、被控訴人および反訴原告(以下、被控訴人という)代理人は、控訴棄却の判決、控訴人Bの当審における新たな請求を棄却するとの判決、控訴人Aの原審昭和三八年(ワ)第三、五二六号事件に対する反訴として、「一、反訴被告(控訴人A)は反訴原告(被控訴人)に対して、別紙目録(一)に記載の建物を収去して、同目録(二)に記載の土地を明け渡せ。二、訴訟費用は反訴被告(控訴人A)の負担とする。」との判決ならびに仮執行の宣言を求めた。当事者双方の事実上および法律上の主張(当審における新たな請求、反訴の請求原因およびこれに対する答弁を含む)ならびに証拠の関係は、左記のとおり付加、訂正するほか、原判決の事実摘示と同じであるから、これを引用する。(控訴人ら代理人の陳述)一、 たな請求、反訴の請求原因およびこれに対する答弁を含む)ならびに証拠の関係は、左記のとおり付加、訂正するほか、原判決の事実摘示と同じであるから、これを引用する。 。当事者双方の事実上および法律上の主張(当審における新たな請求、反訴の請求原因およびこれに対する答弁を含む)ならびに証拠の関係は、左記のとおり付加、訂正するほか、原判決の事実摘示と同じであるから、これを引用する。(控訴人ら代理人の陳述)一、 たな請求、反訴の請求原因およびこれに対する答弁を含む)ならびに証拠の関係は、左記のとおり付加、訂正するほか、原判決の事実摘示と同じであるから、これを引用する。(控訴人ら代理人の陳述)一、 原判決四枚表三行目に「B訴訟代理人」とあるのは、「BおよびA訴訟代理人」の、同五枚表一〇行目に「本件家屋」とあるのは、「本件土地」の各誤記であるので、右のように訂正し、また同一四枚表八行目に「裁判所の指定による額」とあるのを、「一か月金二、八一一円」と訂正する。二、 控訴人Aが別紙目録(二)に記載の土地(以下、本件土地という)について抵当権を設定した当時、その土地の上に存する同目録(一)に記載の建物(以下、本件建物という)の所有権はAに属していた。すなわち、昭和二六年一一月三〇日、本件建物の賃借人であつたAとその所有者であつた訴外財団法人東京都住宅貸付金整理協会(以下、訴外協会という)との間に乙第一号証に記載のとおりの売買契約が成立し、それによつて本件建物の所有権が即時Aに移転したのである。このことは、売主の所有に属する特定物の売買にあつては、反対の特約がないかぎり、契約成立と同時に買主に対して目的物の所有権移転の効力を生ずると解するのが確立した判例であるところ(たとえば大審院大正二年一〇月二五日判決民録一九輯八五七頁、最高裁判所昭和三三年六月二〇日第二小法廷判決民集一二巻一五八五頁参照)右契約には反対の特約がなされていないのみならず、かえつて前記売買契約の第六項には「建物並にその敷地に係る一切の費用は昭和二六年一二月一日以降乙(買主)の負担とする」と定められており、現にAはその後本件建物に対する賃料を支払うことなく、公租公課を納入してきたことによつても明らかである。また法定地上権はその建物の利用に必要な範囲に及ぶものなるところ(大審院大正 」と定められており、現にAはその後本件建物に対する賃料を支払うことなく、公租公課を納入してきたことによつても明らかである。また法定地上権はその建物の利用に必要な範囲に及ぶものなるところ(大審院大正九年五月五日判決民録二六輯一〇〇五頁参照)、本件土地は従来よりその全体が本件建物の屋敷すなわち敷地として建物の利用に供されていたから、被控訴人が昭和三〇年七月八日本件土地を競落したことにより、Aは爾後本件建物のため右土地全部にわたり法定地上権を有するにいたつたのである。 なく、公租公課を納入してきたことによつても明らかである。また法定地上権はその建物の利用に必要な範囲に及ぶものなるところ(大審院大正九年五月五日判決民録二六輯一〇〇五頁参照)、本件土地は従来よりその全体が本件建物の屋敷すなわち敷地として建物の利用に供されていたから、被控訴人が昭和三〇年七月八日本件土地を競落したことにより、Aは爾後本件建物のため右土地全部にわたり法定地上権を有するにいたつたのである。もつとも右抵当権設定当時、Aが前述のごとく本件建物の所有権を取得した旨の登記が経由されていなかつたことは認めるが、かかる事情は法定地上権の成立を妨げるものではない(大審院昭和七年一〇月二一日判決民集一一巻二一七七頁、同院昭和一四年一二月一九日判決民集一八巻一五八三頁参照)。けだし、法定地上権が成立するためには、土地に対し抵当権を設定した当時、土地および地上建物が同一人の所有に属しておれば足り、建物が土地所有者の名義に登記されていることを必要とせず、しかもそのように未登記のままである事情が、建物の保存登記がされていないためであると、他から建物所有権を取得しながら移転登記をしていない場合であるとを問わない。もしそうでないとすると、他人所有の未登記建物を譲り受けながらその登記をしなくても法定地上権が成立するのに、他人所有の登記済の建物を譲り受けその登記をしなかつたときには地上権が成立しないという不公平なことになるからである。しかも、法定地上権が成立するような土地の所有権を競落によつて取得しようとするほどの者は、登記簿を調査するだけでなく、必ず現地を見分して建物の存在を知り、ひいでは賃借権など土地使用の権限を推知しらるのが通例であり(最高裁判所昭和四〇年三月一七日大法廷判決民集一九 しようとするほどの者は、登記簿を調査するだけでなく、必ず現地を見分して建物の存在を知り、ひいでは賃借権など土地使用の権限を推知しらるのが通例であり(最高裁判所昭和四〇年三月一七日大法廷判決民集一九巻四五三頁傍論参照)、本件においても被控訴人は右にいわゆる推知の機会を与えられていたのであるから、少なくとも信義則上からも登記の欠缺を主張する正当な利益を有するものではない。三、 法解釈としでは、前述したとおり、本件建物の所有権は乙第一号証に記載の売買契約の成立と同時に買主たるAに移転したのであるが、法律知識に乏しい一般社会人たる同人としでは、そのような法的効果を知らないのみならず、かえつて前記抵当権設定当時まだ売買代金が完済されておらず、その登記名義も売主たる前記訴外協会に残されたままになつていたところから、本件建物の所有権はまだ自分に移転していないものと信じていた。 、 法解釈としでは、前述したとおり、本件建物の所有権は乙第一号証に記載の売買契約の成立と同時に買主たるAに移転したのであるが、法律知識に乏しい一般社会人たる同人としでは、そのような法的効果を知らないのみならず、かえつて前記抵当権設定当時まだ売買代金が完済されておらず、その登記名義も売主たる前記訴外協会に残されたままになつていたところから、本件建物の所有権はまだ自分に移転していないものと信じていた。したがつて、Aが被控訴人主張のごとく右抵当権の設定に際し、本件建物は自分の所有でないと述べ、これが本件土地と一括して担保に供されることを拒否しながら、本訴において当時すでに本件建物の所有権がAに帰属していたことを理由として、法定地上権の成立を主張したとしても、禁反言の法理ないし信義則に違背するものとはいえない。また被控訴人は本件土地に低当権を設定した当時、その地上に本件建物が存在していることを知悉しており、かつ、右土地に抵当権を設定すれば被担保債権の弁済を確保するに十分であると見込んだものとみえ、地上に建在する本件建物に関しでは深く立ちいらず、これを共同担保にすることも要求しなかつた。被控訴人は右のような事情のもとに本件土地を競落し、その所有権を取得したのであるから、本件法定地上権の成立が認められたとしても、それによつて別段の損害を蒙るわけのものでないことを考慮すれば、 つた。被控訴人は右のような事情のもとに本件土地を競落し、その所有権を取得したのであるから、本件法定地上権の成立が認められたとしても、それによつて別段の損害を蒙るわけのものでないことを考慮すれば、Aの法定地上権成立の主張は何ら信義則に違背するものではない。四、 本件土地については地代家賃統制令の適用があり、その地代額は評価額の一、〇〇〇分の二二に固定資産税と都市計画税を合算したものを年額とすべきものとされているところ、本件土地の昭和四三年度における評価額が金七九万九、一〇〇であり、その固定資産税が金一万一、一八〇円、都市計画税が金四、九八〇円であるから、一か月の地代額は金二、八一一円である。五、 仮にAが本件土地につき前示法定地上権を取得しているとの主張が認められないとすれば、次のとおり主張する。1 前記訴外協会が本件土地をその所有者から建物所有の目的で借り受け、そのうえに保存登記を経由した本件建物を所有して対抗力ある土地賃借権をしており、またAは本件建物を右協会から賃借してこれに居住し、第三者に対抗しうる建物賃借権を有している。 〇円であるから、一か月の地代額は金二、八一一円である。五、 仮にAが本件土地につき前示法定地上権を取得しているとの主張が認められないとすれば、次のとおり主張する。1 前記訴外協会が本件土地をその所有者から建物所有の目的で借り受け、そのうえに保存登記を経由した本件建物を所有して対抗力ある土地賃借権をしており、またAは本件建物を右協会から賃借してこれに居住し、第三者に対抗しうる建物賃借権を有している。けだし、乙第一号証に表示の売買契約によつては、本件建物の所有権がまだAに移転していないときはもとより、すでに移転しているときにも、右建物所有権移転登記が終了するまではその移転は相対的効力を有するにとどまるから、前記売買契約はその登記が終り対世的効力が発生するにいたるまでは、本件土地に対して売主たる訴外協会の有する借地権も、本件建物につき買主たるAおよび控訴人Bが有する借家権もともに消滅させない趣旨のものだからである。かくて被控訴人が競落によつて本件土地の所有権を取得したとしても、右に述べた権利関係がそのまま存続しているので、Aは右協会の有する本件土地賃借権を援用し、BはAの右権利を援用するから、被控 である。かくて被控訴人が競落によつて本件土地の所有権を取得したとしても、右に述べた権利関係がそのまま存続しているので、Aは右協会の有する本件土地賃借権を援用し、BはAの右権利を援用するから、被控訴人の本訴請求は失当たるを免がれない。右の点につき、被控訴人の主張する後記判決は、訴外協会の代表者Cが昭和二八年二月一九日に死亡して新たな代表者が選任されていないのを奇貨として、被控訴人が同協会に対する本件建物収去、土地明渡しの債務名義を不当に取得する意図のもとに提起ざれた訴にもとづき、すでに死亡した同協会の代表者Cに宛てなされたものであり、その送達手続はすべて不適法であつて、右判決は無効であるが、もし有効であつても未確定であるから、被控訴人においてその判決の効力を援用することは信義則に違反し、あるいは権利の濫用として許されない(最高裁判所昭和四三年二月二七日第三小法廷判決民集二二巻三一六頁参照)。2 乙第一号証に表示の本件建物売買契約は、売主たる訴外協会が目的建物の敷地たる本件土地について有する賃借権の譲渡をも含むものであるのは当然の事理であるところ、当時右土地の所有者であつた訴外D(Aの兄)が地主として右賃借権の譲渡を承諾したことはもちろんであるし、ついで右土地の所有者となつたAが地上建物の買主として同上の譲渡を承諾したことはいうまでもない。 二七日第三小法廷判決民集二二巻三一六頁参照)。2 乙第一号証に表示の本件建物売買契約は、売主たる訴外協会が目的建物の敷地たる本件土地について有する賃借権の譲渡をも含むものであるのは当然の事理であるところ、当時右土地の所有者であつた訴外D(Aの兄)が地主として右賃借権の譲渡を承諾したことはもちろんであるし、ついで右土地の所有者となつたAが地上建物の買主として同上の譲渡を承諾したことはいうまでもない。そして、賃貸人がした借地、借家権譲渡の承諾関係は、その土地または建物の譲受人において承継するのであり(最高裁判所昭和三八年九月二六日第一小法廷判決民集一七巻一〇二五頁参照)、この理は任意譲渡の場合のみならず、不動産競落の場合にも同じである(同裁判所昭和三八年一〇月三一日第一小法廷判決参照)から、Aがやがて前記建物売買契約にもとづく売買代金を完済すると引き換えに本件建物所有権の取得登記をしたときは ず、不動産競落の場合にも同じである(同裁判所昭和三八年一〇月三一日第一小法廷判決参照)から、Aがやがて前記建物売買契約にもとづく売買代金を完済すると引き換えに本件建物所有権の取得登記をしたときは、Aは本件土地に対する賃借権の譲受をもつて被控訴人に対抗しうることになり(Aが依然として土地所有者であれば、借地権、借家権は混同によつて消滅するが、本件のように建物所有権移転登記前に土地所有権が第三者たる被控訴人に移転しているときは、混同を生じない)BはAの右賃借権を援用することになる。したがつて、いずれにしても被控訴人の本訴請求は理由がない。六、 被控訴人が反訴請求の原因において主張する確定判決の存在することは認めるが、この判決もさきの判決について述べたと同様な事情のもとにされた欠席判決であつて、その送達も不適法であるから、被控訴人において右判決の効力を援用することは、信義則に違反するものとして許されない。七、 なお、従前の権利濫用の主張は単なる事情として述べたものであつて、独立の抗弁をなすものではない。(被控訴人代理人の陳述)一、 原判決二枚表四、五行目に、「昭和二九年六月一八日より」とあるのは、「昭和二九年六月一九日まで」の誤記であるから訂正する。二、 控訴人らの当審における新たな主張事実はすべてこれを否認し、法律上の主張は争う。また引用にかかる判決はいづれも本件に適切でない。三、 法定地上権について お、従前の権利濫用の主張は単なる事情として述べたものであつて、独立の抗弁をなすものではない。(被控訴人代理人の陳述)一、 原判決二枚表四、五行目に、「昭和二九年六月一八日より」とあるのは、「昭和二九年六月一九日まで」の誤記であるから訂正する。二、 控訴人らの当審における新たな主張事実はすべてこれを否認し、法律上の主張は争う。また引用にかかる判決はいづれも本件に適切でない。三、 法定地上権について 1 本件土地にAが抵当権を設定した当時、本件建物につきAと訴外協会との間に主張のごとき売買契約は成立していない。仮に右売買契約が成立していたとしても、抵当権設定当時右建物の所有権はまだAに移転していないし、もし移転していたとしても、その旨の登記がなされていないから、これを第三者たる被控訴人に対抗することはできない。仮にA 成立していたとしても、抵当権設定当時右建物の所有権はまだAに移転していないし、もし移転していたとしても、その旨の登記がなされていないから、これを第三者たる被控訴人に対抗することはできない。仮にAが昭和二七年度以降における本件建物の固定資産税を納付しているとしても、それは納税管理人としてであるから、そのことをもつて同人が本件建物の所有者であることの証左とすることはできない。2 仮に本件抵当権設定当時、控訴人らの主張するごとく売買当事者間において本件建物所有権の移転があつたとしても、次に述べるとおり買主たるAはその所有権取得を被控訴人に対抗することができないため、本件土地につき法定地上権の成立を主張できない。右抵当権設定当時、本件建物につきA名義の所有権移転登記がなされていなかつた。この点につき控訴人らは、抵当権設定当時建物が未登記であつても法定地上権の成立を妨げないとするのが判例(前掲、大審院昭和七年一〇月二一日判決)の立場であるというが、右判例の事案にあつては、建物を新築した未登記所有者が法定地上権を取得しうる場合であるから、譲受人がその権利を承継したものとして保護されるわけである。しかし、競落までに建物の譲渡が行なわれたときは、譲受人は登記(保存登記でも足りる。大審院大正八年二月六日判決民録二五輯六八頁参照)がなければ、競落人に対抗することができないため、法定地上権を主張することができない。本件についてこれをみるに、本件建物は抵当権設定当時有効に登記簿上は訴外協会の所有として公示され、しかも競落時まで何ら公示上の変更がなされなかつたため、何びとといえども右協会以外のものの所有であることに疑いをいれる余地が存しなかつた。 、譲受人は登記(保存登記でも足りる。大審院大正八年二月六日判決民録二五輯六八頁参照)がなければ、競落人に対抗することができないため、法定地上権を主張することができない。本件についてこれをみるに、本件建物は抵当権設定当時有効に登記簿上は訴外協会の所有として公示され、しかも競落時まで何ら公示上の変更がなされなかつたため、何びとといえども右協会以外のものの所有であることに疑いをいれる余地が存しなかつた。そして第三者としでは、取引上右有効な公示を目やすとして行動する以外に途はなく、右公示によつて法の保護、取 たため、何びとといえども右協会以外のものの所有であることに疑いをいれる余地が存しなかつた。そして第三者としでは、取引上右有効な公示を目やすとして行動する以外に途はなく、右公示によつて法の保護、取引の安全が確保されるのである。しかるに、Aは本件建物を右協会より買受けその所有権を取得したというのであるが、およそ取引行為によつて不動産の所有権を取得したものが、移転登記なくして右所有権の取得を第三者に対抗し得ないのは物権変動理論における大原則である。したがつて、移転登記のない以上、抵当権設定当時Aが本件建物の所有者であることは第三者である競落人に主張し得ないはずであり、建物所有者たることを対抗できないとすれば、これを前提とする法定地上権の主張もまたなし得ないととろであつて、未登記であつても法定地上権の成立を妨げないとする控訴人らの主張は失当である。もしAが訴外協会から本件建物を買受けその所有権を取得したというのであれば、少なくとも競落までに登記その他保全の途を講ずべく、これをまつたく怠つた(むしろAの所有物ではないという言動に終始した)ものであるから、本件を抵当権設定当時建物を新築し所有したとする前記判例の場合と同一に論ずることはできない。3 本件抵当権設定当時、被控訴人の代理人・弁護士渡辺道子は、Aおよび訴外Dに対し、同訴外人の被控訴人に対する借用金返還をめぐる傷害事件の示談に関連して、その弁済と担保権の設定について折衝したが、そのさい右代理人は本件土地だけでは債権の完済を受けるのに不十分であつたところから、その地上にあつて当時控訴人らの占有使用中の本件建物をも抵当権の対象とするよう要求し、それを示談の条件として提示した。しかるに、控訴人らの側で控訴人らは単なる使用者にすぎず、右建物は第三者の所有であり、しかもそれが亡父の生存中に借用 借用金返還をめぐる傷害事件の示談に関連して、その弁済と担保権の設定について折衝したが、そのさい右代理人は本件土地だけでは債権の完済を受けるのに不十分であつたところから、その地上にあつて当時控訴人らの占有使用中の本件建物をも抵当権の対象とするよう要求し、それを示談の条件として提示した。しかるに、控訴人らの側で控訴人らは単なる使用者にすぎず、右建物は第三者の所有であり、しかもそれが亡父の生存中に借用 使用中の本件建物をも抵当権の対象とするよう要求し、それを示談の条件として提示した。しかるに、控訴人らの側で控訴人らは単なる使用者にすぎず、右建物は第三者の所有であり、しかもそれが亡父の生存中に借用した関係でその所有者の所在なども明確でないと述べた。そして、控訴人らはその後も自ら右建物が控訴人らの所有でない旨を極力主張したので、右代理人もついに本件土地に抵当権を設定することを断念した。すなわち、控訴人らは本件土地につき法定地上権の成立があり得ないことになる事実関係を強調して、右土地のみに抵当権を設定することによつて示談を成立せしめたのであるにかかわらず、同土地の競落後になつて前言をひるがえし、本件建物がAの所有に属するものであつたと主張するにいたつたものであり、このようなことは禁反言の法理にもとり、また信義則上とうてい許されないところである。4 仮に本件土地に対して法定地上権が成立したとしても、その範囲は本件土地全部に及ぶものではない。法定地上権の範囲は、制度の目的よりしても建物の敷地および建物利用に必要最低限度にとどめられるべきであるところ、本件建物は本件土地の北側に存するわずか五六・一九平方メートル(一七坪)の建物であるのに対して、本件土地は三二四・二九平方メートル(九八坪一合)の面積をもつものであるから、本件土地全部がその範囲に属するというのは失当であり、その範囲はせいぜい北側の六六平方メートル程度で足りる。5 Aの主張する統制地代額は正確でないし、ことにその主張にかかる賃借権承継当時の地代を明らかにしていない。もつとも仮に本件土地につき地代家賃統制令の適用があるとすれば、昭和四三年度の地代額がその主張のとおりの算出基準によつて一か月金二、八一一円であることは認める。四、 土地の賃借権について 1 控訴人らはAが本 土地につき地代家賃統制令の適用があるとすれば、昭和四三年度の地代額がその主張のとおりの算出基準によつて一か月金二、八一一円であることは認める。 にかかる賃借権承継当時の地代を明らかにしていない。もつとも仮に本件土地につき地代家賃統制令の適用があるとすれば、昭和四三年度の地代額がその主張のとおりの算出基準によつて一か月金二、八一一円であることは認める。四、 土地の賃借権について 1 控訴人らはAが本 土地につき地代家賃統制令の適用があるとすれば、昭和四三年度の地代額がその主張のとおりの算出基準によつて一か月金二、八一一円であることは認める。四、 土地の賃借権について 1 控訴人らはAが本件土地についての賃借権を承継したというが、当時どのような内容の賃借権が存在していたのか明らかでないから、右承継はその前提を欠くものといわねばならない。2 仮に訴外協会が控訴人ら主張のごとく本件土地につき建物所有を目的とする賃借権を有していたとしても、同協会と本件土地の競落人たる被控訴人との間の訴訟(東京地方裁判所昭和三五年(ワ)第九、一一四号事件)において、右協会は被控訴人に対し本件建物を収去してその敷地たる本件土地を明け渡すべき旨の判決があり、同判決は昭和三六年一月一〇日確定しているので、Aは右協会の本件土地賃借権をもつて被控訴人に対抗することができないのみならず、右土地の所有者たる被控訴人に対しその賃借権の対抗要件を具備していない(最高裁判所昭和四一年四月二七日大法廷判決民集二〇巻八七〇頁参照)。右の点に関して、控訴人らは前記訴訟における被告協会代表者Cが訴提起当時すでに死亡していたためその判決は無効であるというが、これはいわゆる死者に対する判決と法人の代表者が内部的に代表権を失なつている場合とを混同しており当らない。けだし、登記簿上法人の代表者として死者が表示されている場合には、法人自体は存続しているのであるから、これを死者と同列に論ずることは誤りである。法人に対して訴を提起する場合、その法人の代表者が何びとであるかは、登記簿の記載に従うほかはなく、代表者と表示されている者に代表権がないことは相手方がこれを知ると否とにかかわらず(大審院昭和一六年四月五日判決民集二〇巻四二七頁参照)、その旨を相手方に通知しなければ、効力を生じないこ ほかはなく、代表者と表示されている者に代表権がないことは相手方がこれを知ると否とにかかわらず(大審院昭和一六年四月五日判決民集二〇巻四二七頁参照)、その旨を相手方に通知しなければ、効力を生じないことは法の明定するところである(民訴法第五八・第五九条)。 ことは相手方がこれを知ると否とにかかわらず(大審院昭和一六年四月五日判決民集二〇巻四二七頁参照)、その旨を相手方に通知しなければ、効力を生じないこ ほかはなく、代表者と表示されている者に代表権がないことは相手方がこれを知ると否とにかかわらず(大審院昭和一六年四月五日判決民集二〇巻四二七頁参照)、その旨を相手方に通知しなければ、効力を生じないことは法の明定するところである(民訴法第五八・第五九条)。これを前記訴訟についてみるに、右の通知がない以上、右訴訟の原告(本件被控訴人)としては、被告協会の代表者が死者であるか否かは知りうべくもなく、特別代理人選任の手続をとる余地もないため、訴状副本、期日呼出、判決正本などの送達はすべて適法になされたのである。被告協会としては、訴状副本、判決正本などの送達をうけているのであるから、いつでも応訴し得たにもかかわらず、あえて争わないままに判決を確定させたのであり、また原告は被告協会の代表者が死者であつたことは、右判決確定後数年を経た昭和三七年末頃にいたつてはじめて知つたのであつて、この点に関する控訴人らの主張はすべて事実に反する。したがつて、誤つた事実を前提として、前記判決を援用することが信義則に違反し、あるいは権利の濫用であるなどとする非難は失当である。仮に一歩譲り、前記訴状副本送達などの手続が適法でないとしても、それは訴訟手続上の瑕疵として上訴理由となるにとどまり、判決無効の問題ではない。3 仮にAが本件土地につきその主張のごとき賃借権を有するとしても、被控訴人が昭和三〇年一〇月一日所有権移転登記経由後すでに一〇数年の年月を経過し今日にいたるまで、被控訴人に対し一度も賃料の支払いもせず、また事実上も言語上も賃料の提供をしたこともない。そこで被控訴人は右債務不履行を原因として、Aに対し昭和四二年一一月一三日に同日付準備書面をもつて契約解除の意思表示をしたところ、右意思表示は即日Aに到達したから、右賃借権は同日限り解除された。五、 上述したと 右債務不履行を原因として、Aに対し昭和四二年一一月一三日に同日付準備書面をもつて契約解除の意思表示をしたところ、右意思表示は即日Aに到達したから、右賃借権は同日限り解除された。五、 上述したとおり、Aは本件建物の所有者として(当初は所有者でなかつたが、その後訴外協会に対する確定判決によりその所有者となつた)、その敷地である本件土地を占有しうべき何らの権原をもたず、また同人が被控訴人に対して主張のごとき法定地上権の設定登記手続を求める理由がないので、その請求に応ずることはできず、かえつて反訴として新たに当審において本件建物の所有者たるAに対し右建物を収去してその敷地たる本件土地の明渡しを求める。 は本件建物の所有者として(当初は所有者でなかつたが、その後訴外協会に対する確定判決によりその所有者となつた)、その敷地である本件土地を占有しうべき何らの権原をもたず、また同人が被控訴人に対して主張のごとき法定地上権の設定登記手続を求める理由がないので、その請求に応ずることはできず、かえつて反訴として新たに当審において本件建物の所有者たるAに対し右建物を収去してその敷地たる本件土地の明渡しを求める。(証拠の関係)(省略) 理由 一、 被控訴人がBの子である訴外DことDに対し、昭和二九年六月一八日以前に数回にわたつて合計二一万四、三〇〇円を貸渡したが、同日右賃金合計額を元金とし、これにつき利息年一割、弁済期同年一二月三一日と定め、これに右Dの実妹たるAの所有にかかりその旨の登記の存する本件土地につき抵当権が設定され、同年六月二九日受付をもつてその旨の登記を了したこと、しかるに右Dが前記約定期限を過ぎても債務を弁済しないので、被控訴人が昭和三〇年四月一日右抵当権にもとづき競売の申立てをなしたうえ自らこれを競落し、同年七月八日の競落許可決定により同年一〇月一日受付をもつてその旨の所有権移転登記を経由したこと、右土地の上に本件建物が存在し、Bがこれに居住し右土地を占有していることは、いずれも当事者間に争いがない。二、 まずAが本件土地につきその主張のごとき法定地上権を取得しているか否かについて判断する。成立に争いのない甲第二、第四号証、乙第二、第三、第六、第八号証、第九号証の一ないし四、当審における控訴人A本 ずAが本件土地につきその主張のごとき法定地上権を取得しているか否かについて判断する。成立に争いのない甲第二、第四号証、乙第二、第三、第六、第八号証、第九号証の一ないし四、当審における控訴人A本人尋問の結果によつて真正に成立したものと認める乙第一、第四号証、第五号証の一ないし三、第一二号証の一ないし一一、原審証人D、Aの各証言、原審における控訴人B木人尋問の結果および当審における控訴人A本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められる。すなわち、本件土地の上に建在する本件建物はもと訴外有限責任交友住宅組合の所有に属しており、同組合より訴外E(控訴人Bの夫、控訴人Aおよび訴外Dの父)が賃借し家族とともに居住していたが、右組合が都合により昭和一六年七月一日右建物を訴外協会(当時の名称は財団法人東京府住宅貸付金整理協会であつたが、昭和一九年二月二七日その名称を前記訴外協会と変更した)に贈与し、同年同月一一日その旨の所有権取得登記を経由した。 ち、本件土地の上に建在する本件建物はもと訴外有限責任交友住宅組合の所有に属しており、同組合より訴外E(控訴人Bの夫、控訴人Aおよび訴外Dの父)が賃借し家族とともに居住していたが、右組合が都合により昭和一六年七月一日右建物を訴外協会(当時の名称は財団法人東京府住宅貸付金整理協会であつたが、昭和一九年二月二七日その名称を前記訴外協会と変更した)に贈与し、同年同月一一日その旨の所有権取得登記を経由した。そして、右所有権の移転に伴ない訴外協会が前記組合に代わつて本件建物の賃貸人たる地位を取得したが、訴外協会は昭和二五年一二月一七日解散し、その清算人にCが就任し、他方、賃借人たる前記Eが同二六年五月三日死亡したため、賃借人を同人の長男Dと定め、同人の名義で家賃を支払つていた。訴外協会が前記のとおり解散したため、清算人において早急にその所有財産を整理処分する必要に迫られ、賃貸家屋を賃借人もしくは居住者に買取りを求めることになり、その交渉をはじめたが、当時亡Eの長男である訴外Dはすでに昭和二四、五年頃から本件建物を出て他に居住し、右建物には控訴人ら母娘が居住していたほか、Dは事業に失敗して多額の債務を負担し、控訴人ら特にAに種々金銭上の迷惑を及ぼしていたりなどした関係もあつて、控訴人両名およびDらが協議の結 て他に居住し、右建物には控訴人ら母娘が居住していたほか、Dは事業に失敗して多額の債務を負担し、控訴人ら特にAに種々金銭上の迷惑を及ぼしていたりなどした関係もあつて、控訴人両名およびDらが協議の結果、Aが本件建物を買取ることとなり、昭和二六年一月三〇日Aは訴外協会のF清算人との間に代金一七万円、内金三万円は契約と同時に支払い、残金は同年一二月二五日、翌二七年一月末日、同年二月末日に各二万円、同年三月より同二八年六月までに毎月末日かぎり金五、〇〇〇円ずつ分割して支払う、建物所有権移転登記は代金完済後にする、建物ならびにその敷地にかかる一切の費用は昭和二六年一二月一日以降Aの負担とするなどの約定で売買契約を締結した。その後、Aは約定の売買代金の分割支払いを続け、同じく約旨にしたがつて本件建物に賦課される固定資産税その他の公租公課を納付しており、また昭和三五年四月一四日仮登記仮処分命令による所有権移転の仮登記を経由した。原審証人Gの証言、原審および当審における証人Hの各証言、被控訴人尋問の各結果によれば、前記抵当権設定登記の前後にわたり控訴人らが被控訴人または右抵当権の設定等に関し被控訴人の代理人であつた弁護士渡辺道子その他の者に対し、本件建物はAの所有でなく前記組合もしくは訴外協会から賃借しているものである旨申し述べたこともある事実が認められるが、原審における控訴人Bの、当審における控訴人Aの各本人尋問の結果および本件弁論の全趣旨によると、訴控人らが右のように述べたのは、当時本件家屋の売買代金がまだ完済されておらず、A名義に所有権移転登記もなされていなかつたことなどから、Aに完全に所有権が移つているという意識を有しなかつたことや、売買契約を締結したということも明言しない方が得策であるように考えていたことなどの事情によるものであることがう 、原審における控訴人Bの、当審における控訴人Aの各本人尋問の結果および本件弁論の全趣旨によると、訴控人らが右のように述べたのは、当時本件家屋の売買代金がまだ完済されておらず、A名義に所有権移転登記もなされていなかつたことなどから、Aに完全に所有権が移つているという意識を有しなかつたことや、売買契約を締結したということも明言しない方が得策であるように考えていたことなどの事情によるものであることがう れていなかつたことなどから、Aに完全に所有権が移つているという意識を有しなかつたことや、売買契約を締結したということも明言しない方が得策であるように考えていたことなどの事情によるものであることがうかがわれるのであり、したがつて訴控人らが本件家屋を他より賃借している旨述べたという事実は、いまだ前記売買契約締結の事実を認めるのに妨げとなるものではなく、他に前記認定を覆えすに足る証拠はない。一般に売主の所有に属する特定物に関する売買契約においては、反対の特約その他の特段の事情がないかぎり、右契約の成立と同時に目的物の所有権が買主に移転する効果を生ずるものと解すべきところ、前記売買契約においては反対の特約その他の特段の事情の存在することが認められないばかりではなく、かえつて右契約に際し本件建物およびその敷地にかかる一切の費用は昭和二六年一二月一日以降Aの負担とすべきものと定められ、その約旨にしたがつてAがその後の公租公課を負担してきたことは前示のとおりであり、また本件弁論の全趣旨によると、AないしDらは右契約締結以後本件建物に対する賃料を支払つていないことが認められる。してみれば、前記売買契約の成立と同時にAは本件建物の所有権を取得したものというべきである。もつとも、原審における被控訴本人尋問の結果によつて成立を認めうる甲第一〇号証の一ないし三、前示乙第八号証、第九号証の一ないし四によると、本件建物の納税義務者は前記組合または訴外協会であつて、Aはその納税管理人の立場で納税してきたものであることが認められるが、右建物の所有権移転登記がなされ、または従前の納税義務者よりその地位の変更があつた旨を税務当局に申告し、これが受理されない限り、納税義務者の名義は変更されないから、そのような手続のなされたことの認められない本件にあつては右のごとき取り は従前の納税義務者よりその地位の変更があつた旨を税務当局に申告し、これが受理されない限り、納税義務者の名義は変更されないから、そのような手続のなされたことの認められない本件にあつては右のごとき取り扱いが行なわれたのは当然のことであり、他面において右のごとき徴税手続上の取り扱いがなされたからといつて、実体的権利の変動を阻止するものではなく、またそれらの事実によつて前示認定を妨げるものではない。 取り は従前の納税義務者よりその地位の変更があつた旨を税務当局に申告し、これが受理されない限り、納税義務者の名義は変更されないから、そのような手続のなされたことの認められない本件にあつては右のごとき取り扱いが行なわれたのは当然のことであり、他面において右のごとき徴税手続上の取り扱いがなされたからといつて、実体的権利の変動を阻止するものではなく、またそれらの事実によつて前示認定を妨げるものではない。したがつて、Aは本件土地につき前示抵当権が設定された当時本件建物の所有者であつたものと認められる。<要旨>ところで、特定の土地およびその地上建物が同一の所有者に属する場合に、その土地だけが抵当権の目的</要旨>とされ抵当権が実行されたときは、地上建物の所有者が競落人に対していわゆる法定地上権を取得することは民法第三八八条の定めるところである。そして、右の場合に建物が新築されその所有権が原始取得されているときには、登記がなくてもその所有権取得を第三者に対抗しうるから、その建物の所有者が法定地上権を取得するのに、右抵当権設定当時地上建物につき保存登記のなされていることは必ずしも必要としないが、抵当権設定者が新築以外の原因によつて建物の所有権を取得し、しかもすでに右建物につき前主その他の者の所有名義の登記がなされているときにあつては、抵当権設定者が土地に抵当権を設定した当時に地上建物を所有したことを、抵当権者および競落人に対抗するためには、自己所有名義の登記を経由していることを必要とし、右対抗要件を具備していないかぎり該土地につき法定地上権を取得し得ないと解するのが相当である。してみると、Aは本件土地に抵当権を設定した当時、その地上に建在する本件建物につき同人所有名義の登記を経由していなかつたのであるから、同人は本件土地につき主張のごとき法定地上権を るのが相当である。してみると、Aは本件土地に抵当権を設定した当時、その地上に建在する本件建物につき同人所有名義の登記を経由していなかつたのであるから、同人は本件土地につき主張のごとき法定地上権を取得したものとは認められない。三、 控訴人らは、訴外協会が本件土地をその所有者から建物所有の目的で借り受け、その上に保存登記を経由した本件建物を所有して対抗力ある土地賃借権を有し、またAは本件建物を右協会から賃借して居住し、第三者に対抗しうる建物賃借権を有しており、しかも協会とAとの間の右建物についての売買がその旨の登記を経由し対世的効力を生ずるまでは右土地賃借権および建物賃借権をともに消滅させない趣旨のもとであつて、右の権利関係が依然として存続していると主張する。 の所有者から建物所有の目的で借り受け、その上に保存登記を経由した本件建物を所有して対抗力ある土地賃借権を有し、またAは本件建物を右協会から賃借して居住し、第三者に対抗しうる建物賃借権を有しており、しかも協会とAとの間の右建物についての売買がその旨の登記を経由し対世的効力を生ずるまでは右土地賃借権および建物賃借権をともに消滅させない趣旨のもとであつて、右の権利関係が依然として存続していると主張する。Aと訴外協会との間の本件建物についての前示売買契約の成立と同時にAがその所有権を取得したことは前示のとおりであり、Aはそれによつて右建物の所有者たる地位とその敷地たる本件土地の所有者たる地位を併せ有するにいたつたのであるが、かような場合には右土地に対する訴外協会の賃借権および右建物に対するAの賃借権は、特別の事情がない限り、混同によつて当然に消滅すると解すべきであるところ、右賃借権の消滅を妨げるべき事情、とくに控訴人らの主張するごとき趣旨の特約があつたことを肯認するに足る何らの証拠もない。そらすると、訴外協会が本件土地につき依然として賃借権を有することを前提とする控訴人らの右主張は採用することができない。控訴人らはまた、本件建物売買契約において、売主たる訴外協会がその敷地たる本件土地についての賃借権の譲渡を含むことは当然の事理であるところ、右賃借権の譲渡を土地所有者であつた訴外DおよびAが承諾しているから、新たに土地所有者となつた被控訴人も右譲渡の承諾関係を承継すべく、Aが将 についての賃借権の譲渡を含むことは当然の事理であるところ、右賃借権の譲渡を土地所有者であつた訴外DおよびAが承諾しているから、新たに土地所有者となつた被控訴人も右譲渡の承諾関係を承継すべく、Aが将来本件建物の売買代金を完済しその所有権取得登記を経由したときは、本件土地に対する賃借権の譲受をもつて被控訴人に対抗しうると主張する。しかしながら、Aが訴外協会より本件建物を買受けその所有権を取得すると同時に、その敷地たる本件土地についての賃借権が混同によつて消滅するにいたつたことは前に説示したとおりであるから、右賃借権がなお依然として存続することを前提とする控訴人らの右主張もまた採用の限りでない。四、 以上に説示したとおり、Aは本件土地につき法定地上権を取得したものとは認められないし、その他地上に本件建物を所有占有することを土地所有者たる被控訴人に対抗しうる権原を有することも認められない。 ると同時に、その敷地たる本件土地についての賃借権が混同によつて消滅するにいたつたことは前に説示したとおりであるから、右賃借権がなお依然として存続することを前提とする控訴人らの右主張もまた採用の限りでない。四、 以上に説示したとおり、Aは本件土地につき法定地上権を取得したものとは認められないし、その他地上に本件建物を所有占有することを土地所有者たる被控訴人に対抗しうる権原を有することも認められない。してみると、Aの母Bも土地所有者たる被控訴人に対抗する権原なくして本件建物に居住し本件土地を占有している結果となるため、Bは被控訴人に対し右建物より退去して、右土地を明け渡すべき義務があり、他方、 Aが右土地につき法定地上権を取得したことを前提とする請求(当審における新たな請求を含む)は理由なしとするほかない。五、 そこで進んで、被控訴人のAに対する反訴請求の適否について審案する。右反訴請求は第一審原告たるAと同被告たる被控訴人との間の原審昭和三八年(ワ)第三、五二六号事件の反訴として当審において提起されたものであるが、控訴審で第一審被告が反訴を提起するには、第一審原告が異議を述べることなく反訴の本案につき弁論をなしその提起に同意したものとみなされる場合のほかは、第一審原告の同意を必要とするものとされている(民事訴訟法第三八二条)。もつとも、本訴請求 第一審原告が異議を述べることなく反訴の本案につき弁論をなしその提起に同意したものとみなされる場合のほかは、第一審原告の同意を必要とするものとされている(民事訴訟法第三八二条)。もつとも、本訴請求またはこれに対する防禦方法と牽連する権利関係ですでに第一審において主張され審理されたものを訴訟物として控訴審において新たに反訴を提起するような場合には、相手方に第一審の審判を受ける利益を喪失させる関係が存しないから、相手方の同意がなくても適法に反訴を提起し得るものと解すべきであるが(最高裁判所昭和三八年二月二一日第一小法廷判決民集一七巻一九八頁参照)、本件においては、被控訴人のAに対する本件土地の所有権にもとづく妨害排除としての建物収去土地明渡しの請求は、この両者間では第一審において審理されることがなかつたのである。すなわち、被控訴人は、第一審においては、終始本件建物の所有者は訴外Iであるとして、同訴外人を共同被告の一人とし、同人に対して本件建物の収去と本件土地の明渡しを求めていた(なお第一審頭弁論終結後にいたり右訴外人に対する訴を取り下げた)ことは記録上明らかである。 Aに対する本件土地の所有権にもとづく妨害排除としての建物収去土地明渡しの請求は、この両者間では第一審において審理されることがなかつたのである。すなわち、被控訴人は、第一審においては、終始本件建物の所有者は訴外Iであるとして、同訴外人を共同被告の一人とし、同人に対して本件建物の収去と本件土地の明渡しを求めていた(なお第一審頭弁論終結後にいたり右訴外人に対する訴を取り下げた)ことは記録上明らかである。したがつて、当審における被控訴人のAに対する前記反訴を同人の同意なくして許すべきものとすれば、同人の第一審の利益を不当に失わせることになるものといわざるを得ず、本件においてAにおいて右反訴の提起に同意しない以上、その反訴は不適法たるを免がれない。六、 よつて、被控訴人のBに対する請求を認容し、Aの被控訴人に対する請求を排斥した原判決は相当であつて本件控訴は理由がないのでいずれも棄却し、Aの当審における新たな請求は理由がないので棄却し、また被控訴人のAに対する反訴は不適法として却下し、当審における訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第九五条、第九三条、第九二条、第八九条を適用して 、Aの当審における新たな請求は理由がないので棄却し、また被控訴人のAに対する反訴は不適法として却下し、当審における訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第九五条、第九三条、第九二条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官多田貞治裁判官上野正秋裁判官岡垣学)別紙目録(一) 東京都練馬区ab丁目c番地d番地のe家屋番号同町f番のg一、 木造ストレート葺二階建居宅一棟建坪一七坪(五六・七〇平方メートル)二階四坪七合五勺(一五・七〇平方メートル)ただし、右は目録(二)に記載の地上に存在する。(二) 東京都練馬区ab丁目h番のi一、 宅地九八坪一合(三二四・二九平方メートル)(三) 登記原因及びその日付昭和三〇年一〇月一日法定地上権取得登記の目的法定地上権取得の登記法定地上権設定の目的建物所有法廷地上権の範囲宅地の全部存続期間昭和三〇年一〇月一日より満三〇年間地代一か月金二、八一一円地代支払時期毎月末日
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