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昭和38(オ)711 ゴム製造機械等返還請求

裁判所

昭和41年2月3日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和35(ネ)2387

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5,092 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人清瀬一郎、同内山弘の上告理由第一点について。所論は、本件物件につき上告会社および被上告人間に売買契約が成立したと認定した原判決には、公知の事実を無視し、条理に反して事実を認定した違法があるという。しかし、本件物件の売買交渉に関し、原判決(引用の一審判決を含む。)の確定したところによれば、被上告人国(海軍省)の契約事務を事実上担当していた同省艦政本部係官が、契約担当官同省経理局長の意図の下に、昭和二〇年五月一八日上告会社に対し税込代金四〇一万円で本件物件の売却方(被上告人国側からみれば買受方を意味するものと解される。)を申し込んだところ、代金額について合意が成立せず、同日付で売買契約が成立するには至らなかつたが、同省経理局長は、さらに同年八月一八日頃経理局員海軍主計少佐Dをして上告会社に対し、契約成立の日を同年七月二八日、代金額税込四〇一万円で売却(前同)の意思表示を表明させたところ、上告会社代理人橋本豊次はその申込を承諾し、同少佐に対してその旨同省経理局長への伝達を依頼すべく原判示売買契約書その他の関係書類を作成して同少佐に交付し、一方、海軍省艦政本部会計部においては、通常は代金支払請求書が提出されると契約原簿と対照して、これに合致する請求書は関係係官の決済を経て支払事務担当者に引き継がれるが、合致しないものについては契約者に直ちに返却していたものであるところ、上告会社が昭和二〇年一〇月二三日に提出した代金四〇一万円の支払請求書は艦政本部会計課に受理され、関係係官の決済を経て代金四〇一万円の支払措置がとられた(しかし、右代金はその後臨時資金調整法に基づく政府特殊借入金として処理された。)というのであり、右 万円の支払請求書は艦政本部会計課に受理され、関係係官の決済を経て代金四〇一万円の支払措置がとられた(しかし、右代金はその後臨時資金調整法に基づく政府特殊借入金として処理された。 二三日に提出した代金四〇一万円の支払請求書は艦政本部会計課に受理され、関係係官の決済を経て代金四〇一万円の支払措置がとられた(しかし、右代金はその後臨時資金調整法に基づく政府特殊借入金として処理された。)というのであり、右 万円の支払請求書は艦政本部会計課に受理され、関係係官の決済を経て代金四〇一万円の支払措置がとられた(しかし、右代金はその後臨時資金調整法に基づく政府特殊借入金として処理された。)というのであり、右認定事実に照らせば、- 1 -本件売買契約については、被上告人国のした本件物件買受の申込を上告会社が承諾したものであつて、その承諾の意思表示は昭和二〇年一〇月二三日以前に被上告人国の契約担当官である海軍省経理局長に到達了知し得たものである旨の原審の判断は、是認し得られ、従つて、右昭和二〇年一〇月二三日以前に被上告人国と上告会社との間に本件物件について売買契約が成立した旨の原審の判断は、相当であり、右認定判断の過程に所論のような経験則に違反する点は認められない。従つて、論旨は採用できない。同第二点について。本件売買契約がなされた当時施行の旧会計法(大正一〇年法律四二号)および会計規則(大正一元年勅令一号)のもとにおいては、国と私人間の私法上の契約についても、特別の定めもしくは特段の事情のないかぎり、双方の合意によつてこれが成立するものと解すべきであり、従つて、本件売買契約について、被上告人国および上告会社間に契約書が作成されなかつたとしても、これを以て契約の成立を妨げることにはならないとする原審の判断は相当である。論旨は、独自の見解に立つて、原審の適法にした判断を非難するに帰するものであつて、採用できない。同第三点について。原判決は、所論のように上告会社および被上告人国間の本件売買契約が終戦前に成立したものと認定しているわけではなく、売買契約は終戦後に成立したものであつても、すでに目的物件が戦争中に引渡を了している以上、たとえその代金額の決定が終戦後になつても、臨時資金調整法施行令九条の六前段により右売買代金として支払われるべき 契約は終戦後に成立したものであつても、すでに目的物件が戦争中に引渡を了している以上、たとえその代金額の決定が終戦後になつても、臨時資金調整法施行令九条の六前段により右売買代金として支払われるべき金額につき政府特殊借入金が設定されたことは違法とはいえないと判示しているのであつて、原判示事実関係を同法の立法趣旨に照らして考察すれば、右判断は正当として肯認するに足りる。 り右売買代金として支払われるべき 契約は終戦後に成立したものであつても、すでに目的物件が戦争中に引渡を了している以上、たとえその代金額の決定が終戦後になつても、臨時資金調整法施行令九条の六前段により右売買代金として支払われるべき金額につき政府特殊借入金が設定されたことは違法とはいえないと判示しているのであつて、原判示事実関係を同法の立法趣旨に照らして考察すれば、右判断は正当として肯認するに足りる。さらに、本件売買代金について右のように政府特殊借入金が設定されたことが上- 2 -告会社に通知されたことは、原判決の確定したところであり、右通知がなされている以上、上告会社としては政府特殊借入金証書が交付されなかつたとしても戦時補償特別措置法一四条一項により所定申告書を所定期間内に提出すべき義務を負うものというべきであり、これと同趣旨に出た原判決の判断もまた相当である。従つて、所論違憲の主張も前提を欠くに帰するから、論旨は採用できない。上告代理人新家猛、同坂野滋、同瀬尾信雄の上告理由第一点について。所論の理由のないことは、前記上告代理人清瀬一郎、同内山弘の上告理由第二点の主張について説示したとおりであつて、所論引用の当裁判所第三小法廷の判決は国が当事者となり売買等の契約を競争入札の方法によつて締結する場合に関するものであつて、本件とは事案を異にし適切ではない。従つて、所論は採用できない、同第二点について。原判決の確定した事実関係に照らせば、上告会社および被上告人国間の本件売買契約がおそくとも昭和二〇年一〇月二三日以前に成立したものである旨の原審の判断が首肯するに足りることは、前記上告代理人清瀬一郎、同内山弘の上告理由第一点に対する判断に説示したとおりであり、所論契約原簿に仮に契約書が編綴されていなかつたとしても、右結論に影響するものとは認められない。論旨は、る ことは、前記上告代理人清瀬一郎、同内山弘の上告理由第一点に対する判断に説示したとおりであり、所論契約原簿に仮に契約書が編綴されていなかつたとしても、右結論に影響するものとは認められない。論旨は、るる述べるけれども、ひつきょうするに、原審の認定しない事実を主張して、原審の適法にした事実認定判断を非難するに帰するものであつて、採用できない。同第三点について。被上告人国において上告会社から本件売買契約の目的物件を上告会社の意に反して強奪したことは原審の認定しないところであり、原判決によれば、上告会社は昭和二〇年五月一八日被上告人国に対して右物件を売り渡すことを代金額の決定を除いて一応了承し、右売買契約の完結を予期して同年同月二〇日右物件の引取が行なわれ、その後代金額について両者間に交渉が継続された結果、代金額を金四〇一万- 3 -円と定めて、おそくとも昭和二〇年一〇月二三日までに売買契約が成立したというのであつて、右認定判断は原判決(引用の一審判決を含む。 ころであり、原判決によれば、上告会社は昭和二〇年五月一八日被上告人国に対して右物件を売り渡すことを代金額の決定を除いて一応了承し、右売買契約の完結を予期して同年同月二〇日右物件の引取が行なわれ、その後代金額について両者間に交渉が継続された結果、代金額を金四〇一万- 3 -円と定めて、おそくとも昭和二〇年一〇月二三日までに売買契約が成立したというのであつて、右認定判断は原判決(引用の一審判決を含む。)挙示の証拠関係に照らして、首肯しうるところである。そして、このように終戦後に成立した売買契約であつても、すでに代金額の点を除き当事者間に売買交渉が一応まとまつてその完結を予期して戦時中に売却物件の引渡を完了している場合には、右売買代金につき政府特殊借入金を設定することは臨時資金調整法の立法趣旨に照らして違法とはいえないことは、前記上告代理人清瀬一郎、同内山弘の上告理由第三点に対する判断に説示したとおりである。従つて論旨は採用できない。同第四点について。論旨は、原判決が戦時補償特別措置法を適用したことを以て憲法二九条、三〇条に違反するというが、その趣旨は、要するに、本件売買代金債権をなんらの補償なくして消滅させたことについてこれを違憲というにあるところ、本件売買代金債権は、 置法を適用したことを以て憲法二九条、三〇条に違反するというが、その趣旨は、要するに、本件売買代金債権をなんらの補償なくして消滅させたことについてこれを違憲というにあるところ、本件売買代金債権は、原判示のように、戦時補償特別措置法一四条一項所定の申告がされなかつたため、同法の適用上当然に右申告期限の経過した時、すなわち新憲法施行の日(昭和二二年五月三日)前に消滅したものというべきであつて、このように、一定の法律上の効果が旧憲法に基づく法律の適用上当然に旧憲法施行当時においてすでに消滅し、新憲法施行後にわたつてまでその効果が存続せしめられない場合にあつては、右消滅を規定する法律自体が新憲法に違背するか否かを判断する必要のないことは、当裁判所の判例(昭和三四年(オ)第八二号同三七年一一月六日第三小法廷判決、民集一六巻一一号二一九七頁参照)とするところである。なお、論旨は、本件戦時補償特別税の課税処分時を云為するが、右主張にかかる事実は原審においてなんら主張判断を経ないところであり、仮に右課税処分の手続のなされた時が所論のとおり新憲法施行後であつたとしても、右課税ならびに徴収処分の手続は、すでに戦時補償特別措置法によつて消滅している本件売買代金債権- 4 -について、いわば事後処理として賦課徴収手続がなされたにすぎないものというべく、戦時補償特別措置法が右代金債権を消滅させたことについてこれを違憲となし得ない以上、右消滅した代金債権についての事後処理の手続を違憲となすことはできない。 税処分の手続のなされた時が所論のとおり新憲法施行後であつたとしても、右課税ならびに徴収処分の手続は、すでに戦時補償特別措置法によつて消滅している本件売買代金債権- 4 -について、いわば事後処理として賦課徴収手続がなされたにすぎないものというべく、戦時補償特別措置法が右代金債権を消滅させたことについてこれを違憲となし得ない以上、右消滅した代金債権についての事後処理の手続を違憲となすことはできない。従つて、論旨は採用できない。同第五点について。論旨は、戦時補償特別措置法は旧憲法二七条に違反するものであり、従つて右法律を適用した原判決もまた旧憲法二七条に違反するものであるという。しかし、旧憲法下において制定施行された法律が旧憲法に違反するかを実質的 時補償特別措置法は旧憲法二七条に違反するものであり、従つて右法律を適用した原判決もまた旧憲法二七条に違反するものであるという。しかし、旧憲法下において制定施行された法律が旧憲法に違反するかを実質的に審査する権限は憲法八一条によつても裁判所に認められていないものと解すべきことは、当裁判所の判例(昭和二六年(オ)第七九九号同三四年七月八日大法廷判決、民集一三巻七号九一一頁参照)とするところであり、右判例の趣旨に従えば、戦時補償特別措置法が所論旧憲法二七条に違反するかどうかは当裁判所において判断をなし得ないところである。従つて、戦時補償特別措置法を適用した原判決を以て旧憲法に違反する旨の論旨の理由のないことは、明らかなところである。論旨は、これと異なる独自の見解にすぎないから、採用するに足りない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官長部謹吾裁判官入江俊郎裁判官松田二郎裁判官岩田誠- 5 -

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