主文 原告の平成14年分の所得税について北那覇税務署長が平成15年11月4日付けでした更正処分の取消しを求める訴えのうち,納付すべき税額42万0600円を超えない部分の取消しを求める部分及び原告の平成15年分の所得税について同税務署長が平成16年4月22日付けでした更正処分の取消しを求める訴えのうち,納付すべき税額43万9400円を超えない部分の取消しを求める部分をいずれも却下する。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 原告の平成14年分の所得税について,北那覇税務署長が平成15年11月4日付けでした更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。 原告の平成15年分の所得税について,北那覇税務署長が平成16年4月22日付けでした更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。 第2事案の概要本件は,沖縄県知事に児童福祉施設負担金を納付していた原告が,上記負担金が医療費控除の対象に含まれるとして,平成14年分及び平成15年分の所,(「」。)得税の確定申告をしたところ北那覇税務署長以下処分行政庁というが上記負担金は医療費控除の対象にならないとして,更正処分及び過少申告加算税の賦課決定をしたのは違法であると主張して,上記各処分の取消しを求める事案である。 争いのない事実等(証拠を挙げていない事実は当事者間に争いがない)。 (1)当事者原告は,A(昭和▲年▲月▲日生)の父であり,扶養義務者である。 。 (2)事実経過 アAは,精神障害者(精神薄弱者)であり,平成4年10月1日から平成15年4月7日までの間,社会福祉法人Bが設置,運営する知的障害児施設であるC(以下「本件施設」という)に入所していた(入所していた。 期 精神障害者(精神薄弱者)であり,平成4年10月1日から平成15年4月7日までの間,社会福祉法人Bが設置,運営する知的障害児施設であるC(以下「本件施設」という)に入所していた(入所していた。 期間につき,乙7。 ),,(,)原告は沖縄県知事に対し児童福祉法56条2項費用の徴収負担の規定に基づき,平成14年度は92万2200円の,平成15年度は93万6386円の児童福祉施設負担金(以下「本件負担金」という)を。 納付した(乙5の1ないし12,乙6の1ないし13。 )イ原告は,平成15年3月17日,処分行政庁に対し,別表1の「確定申」,,,告欄記載のとおり平成14年分の所得税の確定申告をしたがその際同年分の医療費(所得税法73条,同法施行令207条により総所得金額等から控除される医療費,以下「控除対象医療費」という)の額を93。 万7862円(そのうち,92万2200円が本件負担金)と申告した。 ウ処分行政庁は,平成15年11月4日付けで,原告に対し,本件負担金は医療費に当たらず,原告の平成14年分の控除対象医療費は1万5662円(原告が申告した93万7862円から本件負担金92万2200円を控除した額)であるとして,別表1の「更正処分等」欄記載のとおり,更正処分及び過少申告加算税の賦課決定(以下,合わせて「平成14年分本件処分」という)をした。 。 エ原告は,平成16年1月5日,処分行政庁に対し,平成14年分本件処分について異議を申し立てたが,同申立ては,同年3月2日付けで棄却された。 オそこで,原告は,平成16年3月19日,国税不服審判所長に対し,審査請求をした。 カ原告は,平成16年3月15日,処分行政庁に対し,別表2の「確定申」,,,告欄記載のとおり平成15年分の所得税の確定 ,平成16年3月19日,国税不服審判所長に対し,審査請求をした。 カ原告は,平成16年3月15日,処分行政庁に対し,別表2の「確定申」,,,告欄記載のとおり平成15年分の所得税の確定申告をしたがその際 控除対象医療費の額を92万7626円(その全額が本件負担金)と申告した。 キ処分行政庁は,平成16年4月22日付けで,原告に対し,本件負担金は医療費に当たらず,原告の平成15年分の控除対象医療費は0円であるとして,別表2の「更正処分等」欄記載のとおり,更正処分及び過少申告加算税の賦課決定(以下,合わせて「平成15年分本件処分」といい,平成14年分本件処分と平成15年分本件処分を合わせて「本件各処分」という)をした。 。 ク原告は,平成16年5月10日,処分行政庁に対し,平成15年分本件処分について,異議を申し立てたが,処分行政庁は,上記異議申立てを国税不服審判所長に対する審査請求として取り扱うことが適当であると認めてその旨を原告に通知し,原告は,同年6月1日付けで,これに同意したので,上記異議申立ては,国税不服審判所長に対する審査請求とみなされた(乙9。 )ケ国税不服審判所長は,平成17年2月28日付けで,上記オの審査請求,及び上記クの合意によるみなし審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をし,,(,)。 同裁決書謄本は同年3月4日原告に送達された乙9弁論の全趣旨 争点及び争点に関する当事者双方の主張(1)争点(1)(被告の本案前の主張)について(被告の主張)更正処分で決定された税額のうち,申告税額を超えない部分については,納税者が自ら納税義務を確定させているのであるから,その部分について,訴えの利益はない。 よって,平成14年分の所得税について原告が申告した納付すべき税額42万0600円及 超えない部分については,納税者が自ら納税義務を確定させているのであるから,その部分について,訴えの利益はない。 よって,平成14年分の所得税について原告が申告した納付すべき税額42万0600円及び平成15年分の所得税について原告が申告した納付すべき税額43万9400円をそれぞれ超えない部分の取消しを求める訴えは, 訴えの利益を欠くものである。 (2)争点(2)(本件負担金が控除対象医療費に当たるか)について(原告の主張)ア知的障害児施設は知的障害の治療のための施設であること,「,,児童福祉法45条は厚生労働大臣は児童福祉施設の設備及び運営里親の行う養育並びに保護受託者の行う保護について,最低基準を定めなければならない」と規定し,これを受けて制定された児童福祉施設最低。 基準(昭和23年12月29日厚生省令第63号,以下「最低基準」という)48条1号,41条5号が,設備の基準として「知的障害児施設。 ,には,静養室及び医務室を設けること」と規定しているのは,知的障害児施設が知的障害の治療のための施設であることを前提とするものである(なお,最低基準は,医務室を設けるべき知的障害児施設を30人以上を入所させる施設に限っているが,人数によって医務室の設置の要否を決めるのは不合理である。また,最低基準54条が「知的障害児施設にお。),いては,入所している児童を適切に保護するため,随時心理学的及び精神医学的診査を行わなければならない」と規定しているのも,知的障害児。 施設が知的障害の治療のための施設であることを前提とするものである。 イ本件施設が知的障害の治療のための施設であるべきこと(ア)本件施設には,嘱託医及び常駐の看護師が配置されているところ,保健師助産師看護師法5条は,看護師は療養上の世話又は診療の補助を行 ある。 イ本件施設が知的障害の治療のための施設であるべきこと(ア)本件施設には,嘱託医及び常駐の看護師が配置されているところ,保健師助産師看護師法5条は,看護師は療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者と規定しているところ「療養上の世話」とは看護,師の独自の判断で行う医療に関する業務であり「診療の補助」とは医,師の行う具体的な診療行為を補助する業務であるから,本件施設に常駐の看護師が配置されていることは,本件施設が,医師による入所者(知的障害児)に対する医療(知的障害の治療)が行われることを前提とするものである。なお,本件施設は,常駐の医師ではなく,嘱託医を配置 しているが,最低基準54条は「知的障害児施設には,精神科の診療,に相当の経験を有する医師を置かなければならない」と規定している。 のであって,嘱託医であるからといって,本件施設が入所者に対し,医療を施す施設でないということはできない。 (イ)また,本件施設では常駐の看護師が入所者の症状や状態を把握し,これを嘱託医に報告し,その指示を求めており,この医師が入所者の主治医に当たる。Aについては,国立大学法人D病院の精神科の医師をもう一人の主治医として診察や薬剤の処方を受けているが,同医師の決定した治療方法が本件施設の嘱託医及び看護師に伝えられ,本件施設の看護師が同医師の処方した薬剤をAに投与している。このように,AがD病院医師の医学的治療を受けている以上,Aは,医学上の治療を受けるために本件施設に入所しているものというべきである。さらに,Aは,知的障害者であるのみならず,自閉症にも罹患しており,これに対する医療行為を必要としている患者であるから,本件施設はその治療に当たるべきであり,現実には,それがなされていないとしても,本件負担金は控除対象医療費に当 みならず,自閉症にも罹患しており,これに対する医療行為を必要としている患者であるから,本件施設はその治療に当たるべきであり,現実には,それがなされていないとしても,本件負担金は控除対象医療費に当たる。 ウ所得税基本通達73-3は「児童福祉法56条(費用の徴収,負担),の規定により都道府県知事又は市町村長に納付する費用のうち,医師等による診療等の費用に相当するもの」を控除対象医療費とし,保護義務者が児童福祉法56条の規定に基づき納付する負担金のうち,医師等による診療等の費用に相当するものが控除対象医療費に当たることを認めているところ,本件施設は知的障害の治療のための施設であり,Aはその治療を受けるため,本件施設に入所した者である。したがって,原告が児童福祉法,,56条2項の規定に基づき納付した本件負担金は医療行為の対価であり控除対象医療費に当たる。 (被告の主張) ア知的障害児施設の目的について(ア)所得税法73条2項は,控除対象医療費を「医師又は歯科医師による診療又は治療,治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるもの」と規定し,これを受けて,同法施行令207条は「医師又は歯科医師による診療又は治療の対価のうち,その病,状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする」と控除対象医療費の範囲を定めている。 ところ,これら現行法令は,控除対象医療費の範囲について,医師等による診療又は治療を中心として,その他治療又は療養に関連して支出される費用を含めてこれを定めているものといえる。また,実質的にみて医療費に当たるものであればすべて医療費控除の対象になるのではなく,医療の対価と評価でき 心として,その他治療又は療養に関連して支出される費用を含めてこれを定めているものといえる。また,実質的にみて医療費に当たるものであればすべて医療費控除の対象になるのではなく,医療の対価と評価できるものでなければ,医療費にはあたらないとしているものである。 (イ)沖縄県は児童福祉法50条7号の規定により,知的障害児施設入所後の保護又は養育のための費用を支弁したところ,本件負担金は,同法56条2項の規定により児童の扶養義務者である原告からその負担能力に応じて徴収したものであるから,本件負担金が医療費に当たるかは,本件施設に支払われた費用が医療費に当たるか,すなわち,本件施設が医師等による診療等を行う施設であるか,また,本件施設に支払われた費用が医師等による診療等の対価の性質を有するかによることとなる。 (ウ)児童福祉法42条は「知的障害児施設は,知的障害のある児童を入,所させて,これを保護するとともに,独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設」と定義しているから,知的障害児施設は,治療等を目的とする施設ではなく,保護者のもとでは保護が十分ではない児童を保護者に代わって保護するとともに,衣食住を保障するだけでは なく,健全な社会の一員として独立自活に必要な知識技能を習得させ,将来の生活を保障しようとする目的を有する施設である。 (エ)また,最低基準は,児童30人未満の知的障害児施設については,必ずしも医務室を設けたり,常勤の医師や看護師等を備える必要はないと規定しているから,継続的な治療等を必要とする入所者には,外部の医師等による医療行為が予定されているといえる。 (オ)さらに,同基準は,知的障害児施設には,児童指導員,保育士,栄養士及び調理員のほか,精神科の診療に相当の経験を有する嘱託医を置かなければならないとし による医療行為が予定されているといえる。 (オ)さらに,同基準は,知的障害児施設には,児童指導員,保育士,栄養士及び調理員のほか,精神科の診療に相当の経験を有する嘱託医を置かなければならないとしているのみで常勤の医師の設置は必要としていない上,当該施設の性質上,知的障害児と接する職員に対する指導や専門家による問題点の指摘等も必要であって,必ずしも嘱託医によって知的障害児の具体的な治療や診療等を行うことが予定されているとはいい難いところである。最低基準が嘱託医を置くべきとした目的は,入所している児童を適切に保護することにあるというべきであり,診療又は治療行為を目的とするものではない。 (カ)なお,同基準54条は「入所している児童を適切に保護するため,,随時心理学的及び精神医学的診査を行わなければならない」と定める。 が,同条にいう「診査」は,入所している児童を適切に保護するために行われる行為を意味するにすぎない。 (キ)したがって,知的障害児施設は,知的障害児に対して診療又は治療をする施設ではなく,知的障害児施設が入所者に対して提供する人的役務等は,上記の目的のもとに提供される役務であり,医療行為ではない。 イ本件施設について(ア)本件施設は,知的障害児施設であり,定員は20名で,医師等による治療や診療が目的ではなく,家庭に代わる環境の中で社会生活に必要な知識や技能を習得することを目的とするものである。また,本件施設と 嘱託医との契約では,おおむね本件施設の内科の嘱託医は月2回(1回),(),につき3時間程度精神科の嘱託医は月1回1回につき2時間程度本件施設に来所することとされ,入所者の健康保持増進の指導,助言,入所者の緊急事態への対応,入所者に対する検診及び医療相談(月1回以上)を業務とするのであり,本件施設内 は月1回1回につき2時間程度本件施設に来所することとされ,入所者の健康保持増進の指導,助言,入所者の緊急事態への対応,入所者に対する検診及び医療相談(月1回以上)を業務とするのであり,本件施設内において入所者に対する診療,,。 等は契約事項に含まれておらず実際にも医療行為は行われていない診療等が必要な場合は,児童のかかり付けの病院等へ児童相談員が送迎を行っているものである。 ,,,(イ)したがって本件施設において医療従事者が勤務して入所者に対し常に心理学的及び精神医学的な措置及び治療に当たっているという事実はない。また,上記のような本件施設の目的及び嘱託医の勤務状況等を考慮すると,本件負担金は,入所者の衣食住や保護に要する費用,社会で自立するための生活指導や訓練,職業指導に対する対価としての性質,。 を有するというべきであって医療行為の対価としての性質は有しない,,,なお本件施設においては本件施設と同じく社会福祉法人Bが設置運営するE所属の看護師が兼務する形で勤務しており,入所児童の健康状態等の記録,簡単な怪我等の応急処置,入所児童が通院する病院への付添等を行っているにすぎない。 (ウ)原告は,AがD病院で処方された薬剤を本件施設の看護師が投与していると主張するが,児童が医師等から処方された薬剤を服用する際,これを正しく服用するよう補助するなどの行為は,本来,家庭においては保護者等が行っていることであり,これを医療行為と評価することはできない。そして,本件施設が家庭(保護者)に代わる機能を持って児童を保護し指導していることからすると,本件施設において投薬の指示などがなされていることをもって,本件施設において診療行為等がなされているということはできない。また,AがD病院の医師による治療等を 受けていることを ることからすると,本件施設において投薬の指示などがなされていることをもって,本件施設において診療行為等がなされているということはできない。また,AがD病院の医師による治療等を 受けていることをもって,本件施設において医師等による診療行為等がなされているということもできない。 (エ)原告は,Aが自閉症に罹患しているため本件施設ではその治療が必要であるから,本件負担金は医療費に当たると主張するが,現実にその治療がされていない以上,本件負担金は治療の対価として納付されたものに当たらず,上記主張は失当である。 ,。 ウ以上のとおり本件負担金は控除対象医療費には当たらないものである(3)争点(3)(本件各処分が信義則に違反するか)について(原告の主張)原告は,平成6年分の確定申告の際,処分行政庁から本件負担金は医療費にあたるとの積極的指導を受け,それ以降,平成14年分本件処分を受けるまで,同負担金について医療費控除を受けてきた。また,原告は,上記指導のもと,平成5年分所得税について誤って納付していた分の還付も受けたものである。 したがって,上記のような事情があるのにされた本件各処分は,信義則に違反し,違法である。 (被告の主張)原告が主張する「指導」は,納税相談を指すものと考えられるが,原告に,,。 対し誰がいかなる対応をしたのかは現段階では資料もなく明らかでない平成14年分本件処分は,同年分の確定申告書類整理の段階で担当職員が調,,査した上でなされたものであり従来の法的見解を変更したものではないし処分行政庁が本件負担金が控除対象医療費に当たるとの公的な見解を示したこともない。 また,原告は,平成14年分の所得税の確定申告に際して,当初,税務署において納税相談を受けた際,担当者から本件負担金は医療費にあたらない旨指摘され 医療費に当たるとの公的な見解を示したこともない。 また,原告は,平成14年分の所得税の確定申告に際して,当初,税務署において納税相談を受けた際,担当者から本件負担金は医療費にあたらない旨指摘されたので,本件負担金を医療費に含めないで申告したが,従前の確 定申告においては医療費控除の対象となっていたと認識していたため,本件負担金を医療費として確定申告書を提出し直したものである。したがって,原告は,同年分の所得税の確定申告の際,本件各処分に係る申告について,自己の判断と責任において,本件負担金が医療費に該当するとして確定申告したことは明らかである。 したがって,本件各処分は信義則に違反するものではない。 第3 判断 争点(1)(被告の本案前の主張)について原告は,平成14年分の所得税の確定申告において納付すべき税額を42万0600円として,平成15年分の所得税の確定申告において納付すべき税額を43万9400円として,それぞれ申告し,上記申告に対して更正の請求もせず,申告の無効等の主張もしていないから,本件訴えのうち,上記納付すべき税額を超えない部分の取消しを求める部分は,訴えの利益を欠き不適法というべきである。 争点(2)(本件負担金が控除対象医療費に当たるか)について(1)所得税法73条2項は,控除対象医療費について「医師又は歯科医師に,よる診療又は治療,治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう」ものと定め,これを受けて制定された所得税法施行令207条は,上記の対価について「①医師又は歯科医師による診,療又は治療,②治療又は療養に必要な医薬品の購入,③病院,診療所(これに準ずるものとして財務省令で定めるものを含む) れた所得税法施行令207条は,上記の対価について「①医師又は歯科医師による診,療又は治療,②治療又は療養に必要な医薬品の購入,③病院,診療所(これに準ずるものとして財務省令で定めるものを含む)又は助産所へ収容され。 るための人的役務の提供,④あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師,,,,柔道整復師による施術⑤保健師看護師又は准看護師による療養上の世話⑥助産師による分べんの介助の対価のうち,その病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする」旨規定しているから,控 除対象医療費のうち,上記①に関するものは,医師等による診療又は治療,すなわち医療行為に対する対価として支払われたものであることを要すると解するのが相当である。 (2)児童福祉法42条は「知的障害児施設は,知的障害のある児童を入所さ,せて,これを保護するとともに,独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設」と定義しているから,知的障害児施設は入所者に医療行為(知的障害の治療)を行うこと自体を目的とするものではない。また,最低基準48条1号の準用する41条5号は,自閉症児施設を除く知的障害児施設には「児童30人以上を入所させる施設には,医務室を設ける」と規,。 定しているが,入所児童数が30人に満たない施設には医務室を設けることを要しないとし,また,同基準49条2項は「精神科の診療に相当の経験,を有する嘱託医を置かなければならない」と規定しているが,常勤の医師。 を置くことまでは求めていない。したがって,一般的に知的障害児施設が知的障害の治療のための施設であるということはできない。 もっとも,知的障害児施設において,医師による診療又は治療が行われることは考えられることであり,そのための費用が「入所後の養育につき児童福祉法4 的障害の治療のための施設であるということはできない。 もっとも,知的障害児施設において,医師による診療又は治療が行われることは考えられることであり,そのための費用が「入所後の養育につき児童福祉法45条の定める最低基準を維持するための費用(児童福祉法50条」7号)に当たるとして都道府県がこれを支弁し,保護義務者が同法56条2項の規定に基づき,その費用の全部又は一部を都道府県知事に負担金として納付した場合には,上記費用に対応する負担金は控除対象医療費に当たると解する余地がある(原告が引用する所得税基本通達73-3が「児童福祉,法56条(費用の徴収,負担)の規定により都道府県知事又は市町村長に納付する費用のうち,医師等による診療等の費用に相当するもの」を控除対象医療費に当たるとしているのは,このような場合を想定したものと解される。しかしながら,証拠(乙14の2,乙15)及び弁論の全趣旨によ。),,,,れば本件施設は本件の課税対象期間である平成1415年度において 2人の医師との間で嘱託医師業務契約を締結していたが,そのうちの1人の医師の嘱託業務は,①入所者の健康保持増進の指導,助言,②入所者の緊急事態に対し対応を行う,③月1回以上,来園し入所者の検診及び医療相談を行う(第3水曜日の午後2時から4時までの2時間)というものにすぎず,また,同医師は,精神科の医師ではなかったため,Aの精神障害の治療は行なっていなかったことが認められる。また,証拠(甲2,3)及び弁論の全趣旨によれば,本件施設のもう1人の嘱託医であるF医師(精神科医)は,本件施設の児童に対して随時,保護者と本人の要請によって健康相談を行ない,他の医療機関の医師に対してAの診療情報を提供するなどしていたことが認められるが,これをもって,本件施設において同女 医)は,本件施設の児童に対して随時,保護者と本人の要請によって健康相談を行ない,他の医療機関の医師に対してAの診療情報を提供するなどしていたことが認められるが,これをもって,本件施設において同女の精神障害の治療がされていたと認めることはできない(乙23の本件施設の看護師の陳述書参照。なお,乙14の2及び弁論の全趣旨によると,F医師が定期的に本件施設に来園することは予定されていなかったようである。 。)以上のとおり,一般的に知的障害児施設が知的障害の治療のための施設であるということはできず,実際にも,本件施設では医師によるAの精神障害の治療は行われていなかったのであるから,本件負担金が,本件施設で行われる医療行為に対する対価に当たるということはできず,控除対象医療費に当たるということはできない。 原告は,D病院の医師が処方した薬剤を本件施設の看護師がAに与えていることや,Aが自閉症に罹患しており,その治療が必要であることなどを挙げて,本件負担金が控除対象医療費に当たる旨主張する。しかしながら,D病院医師の処方した薬剤の投与が本件施設内で看護師によって行われたとしても,それをもって本件施設で医療行為が行われた評価することはできない,,ことは明らかでありまたAが自閉症の治療を必要としているからといってこれをもって,本件負担金が自閉症の治療の対価であるということはできないから,原告の上記主張はいずれも採用することができない。 争点(3)(本件各処分が信義則に違反するか)について租税法規に適合する課税処分について,法の一般原則である信義則の法理の適用により,同課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても,租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては,同法理の適用については慎重でなければならず,租 義則の法理の適用により,同課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても,租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては,同法理の適用については慎重でなければならず,租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が,。 ,存する場合に初めて上記法理の適用の是非を考えるべきものであるそして上記特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ,のちに上記表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,納税者が税務官庁の上記表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない(最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決・裁判集民事152号93頁参照。 )原告主張の平成6年分の確定申告の際にされた「積極的指導」とは,上記申告の際,処分行政庁の担当者から本件負担金が控除対象医療費に当たるとの説明があったことをいうものと解される(甲14の陳述書)が,これをもって,直ちに処分行政庁の公的見解が示されたということはできない。また,本件において,本件負担金が控除対象医療費とならなければ,原告がAを本件施設に入所させ続けることはなく,したがって本件負担金を納付することもなかった等の事情も認めることはできないから,原告が税務官庁の表示を信頼したことにより経済的不利益を受けることになったということもできない。 したがって とはなく,したがって本件負担金を納付することもなかった等の事情も認めることはできないから,原告が税務官庁の表示を信頼したことにより経済的不利益を受けることになったということもできない。 したがって,本件各処分は,従前の確定申告において,本件負担金が控除対象医療費に当たるとの誤った取扱いがされていたのを是正したものにすぎず, 信義則に違反するものということはできない。 結論 よって,本件訴えのうち,原告の平成14年分所得税の納付すべき税額42万0600円を超えない部分及び平成15年分所得税の納付すべき税額43万9400円を超えない部分の各取消しを求める部分はいずれも不適法であるので却下し,本件各処分はいずれも適法であり,その取消しを求める原告のその,。 余の請求はいずれも理由がないので棄却することとし主文のとおり判決する那覇地方裁判所民事第2部裁判長裁判官大野和明裁判官野澤晃一裁判官梶浦義嗣
▼ クリックして全文を表示