平成18(行コ)24等 公文書非開示決定処分取消請求控訴,同附帯控訴事件(原審・山形地方裁判所平成17年(行ウ)第2号)

裁判年月日・裁判所
平成19年5月18日 仙台高等裁判所 情報公開
ファイル
hanrei-pdf-35411.txt

判決文本文13,534 文字)

- 1 -主文 控訴人(附帯被控訴人)の控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。 (1)被控訴人(附帯控訴人)が控訴人(附帯被控訴人)に対して平成16年11月16日にした原判決別紙文書目録記載の公文書に係る公文書非開示決定処分のうち,別紙開示部分目録記載の部分を取り消す。 (2)控訴人(附帯被控訴人)のその余の請求を棄却する。 被控訴人(附帯控訴人)の附帯控訴を棄却する。 訴訟費用は第12審ともこれを5分しその4を被控訴人附,,,(帯控訴人)の負担とし,その余を控訴人(附帯被控訴人)の負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴事件(1)控訴人(附帯被控訴人(以下「控訴人」という))。 ア原判決を次のとおり変更する。 被控訴人(附帯控訴人(以下「被控訴人」という)が控訴人に対し)。 て平成16年11月16日にした原判決別紙文書目録記載の公文書に係る,。 公文書非開示決定処分のうち原判決別紙処分目録記載の部分を取り消すイ訴訟費用は第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 (2)被控訴人ア本件控訴を棄却する。 イ控訴費用は控訴人の負担とする。 附帯控訴事件(1)被控訴人- 2 -ア原判決中被控訴人敗訴部分を取り消す。 イ控訴人の請求を棄却する。 ウ訴訟費用は,第1,2審とも控訴人の負担とする。 (2)控訴人ア本件附帯控訴を棄却する。 イ附帯控訴費用は被控訴人の負担とする。 第2事案の概要事案の概要は,次のとおり当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「第2事案の概要等」欄記載のとおりであるから,これを引用する。 控訴人の主張(1)職務遂行情報(山形県情報公開条例(本件条例)6条1項2号ただし書ロ)該当性について原判決は は,原判決の「第2事案の概要等」欄記載のとおりであるから,これを引用する。 控訴人の主張(1)職務遂行情報(山形県情報公開条例(本件条例)6条1項2号ただし書ロ)該当性について原判決は,退職者については,もはや公務員として職務を遂行する余地がないのであるから,退職者の行為に関する情報は,職務遂行情報に該当しないとするが,退職後に作成された文書であっても,当該退職者が公務員であった当時の職務に関して作成された文書の情報は職務遂行情報と解すべきである。 本件は,退職者が公務員であった当時のことについて,カラ出張と認定されて旅費相当額及び遅延利息を納入したものであり,かかる情報は,退職したとしても公務員であったときの職務の遂行ないし職務の遂行に関連するものというべきであり,返納者が退職者であるという一事をもって職務遂行情報に該当しないとするのは誤りである。退職者による旅費相当額及び遅延利息の返納は,それ自体が退職後における独立の行為であるのではなく,退職前の県職員であった当時における公務の一環としての旅費の受領という行為に対応するものであって,これを前提とするいわば一連の行為とみることができ,退職者による返納も公務員等の職務の遂行に準ずることに係る情報,- 3 -あるいは職務の遂行に具体的に関連することに係る情報に該当するというべきである。このように解さないと,旅費相当額及び遅延利息の返納当時に退職していたかどうかという偶然の事情によって,全く同種同質の行為に関して区別することになるが,これには合理的な理由はない。 また,原判決は,講習申込書写し「氏名」欄に記載された山形県職員の氏名のうち,二重線で抹消されたものは講習に参加を申し込んだとは認められないから,職務遂行情報に該当しないとするが,二重線での抹消は,申込みと取消しと 習申込書写し「氏名」欄に記載された山形県職員の氏名のうち,二重線で抹消されたものは講習に参加を申し込んだとは認められないから,職務遂行情報に該当しないとするが,二重線での抹消は,申込みと取消しという一連の行為があったことを示しており,講習会への申込みが職務遂行情報であるなら,その取消しも職務遂行情報であり,結果的に参加を申し込んだことにならないからといって,その申込みや取消しが職務遂行情報該当性を失うことにはならない。しかも,公務に従事しなかったことそれ自体は,やはり公務遂行に関する情報としての側面があるとされている。 (2)独立一体情報についてア本件条例を文意のとおり解釈すれば,①開示部分と非開示部分が容易に区分できないとき,及び,②開示部分に客観的に有意な情報が記録されていないとき,の二つの場合に非開示とすることができるとしているものであり,それ以外の場合には開示しなければならないのである。 そして,本件条例において職務遂行情報に含まれる公務員の職・氏名の開示が求められていることからすれば,開示部分が公務員の職・氏名である場合には,これらは有意な情報であることはもとより,条例自体が公務員の職・氏名と他の情報とを独立一体の情報と考えていないのであって,公務員の職・氏名のみの開示を想定しているのである。 また,実施機関において細分化して非公開決定をしたときは,住民は公開することに問題のある箇所のみを除外してその余の部分を公開するよう請求する権利を有するものと解すべきである。本件においては,実施機関は,控訴人の異議申立に対し,納入義務者の住所のうち市町村名までの部- 4 -分開示を行っており,実施機関が細分化して非公開決定を行っている。 イ公務員の職務遂行情報は,私人の場合と異なり,個人情報には当たらず公開すべき情報であり,公務 所のうち市町村名までの部- 4 -分開示を行っており,実施機関が細分化して非公開決定を行っている。 イ公務員の職務遂行情報は,私人の場合と異なり,個人情報には当たらず公開すべき情報であり,公務員の私事に関する情報を除き氏名も含めて開示すべきであるとするのが確立した判例である。 原判決は,非開示事由ありとした,調定収入票,添付書類である収入調定の説明資料及び領収済通知書,収入票及び納入通知書兼領収書控えにつき納入義務者の住所,郵便番号及び電話番号並びに氏名,現在の職名及び平成7年度の職名,領収済通知書につき住所及び郵便番号並びに氏名,講習申込書写しにつき申込者の年齢及び氏名を全部非開示としているが,これら文書について,記載されている情報について私事に関する情報か否かを判別し,私事に関する情報以外の情報は公開すべきものである。 そうすると,公務員の氏名,現在の職名,平成7年度の職名は,それ自,,,体私事に関する情報を含まず公開されるべきものであり住所郵便番号年齢が私事に関する情報で非開示であるとしても,その余の開示部分を容易に区分することができるのであるから,その部分を開示すべきである。 私事の情報を開示できない場合に公務員の職務遂行情報全体が開示できなくなるというのは本末転倒である。 (3)本件条例6条1項2号ただし書ロ除外事由該当性について本件は,旅行命令にかかわる事案であり,平成14年2月12日に出され(()。「」た本件判決山形地方裁判所平成▲年行ウ第▲号事件▲号事件判決ともいう)の確定に基づき,違法状態を解消すべくなされた出張旅費相当。 額及び遅延利息の返納に関する情報の公開に関する事例である。 このような事例に関わる情報を開示しても,当該公務員等の権利を不当に侵害したりまた生活に不当に影響を与えるおそれ くなされた出張旅費相当。 額及び遅延利息の返納に関する情報の公開に関する事例である。 このような事例に関わる情報を開示しても,当該公務員等の権利を不当に侵害したりまた生活に不当に影響を与えるおそれが生ずるとは考えがたい。 被控訴人は,開示することによる権利の不当侵害や生活への不当影響について,何ら具体的な主張,立証をしていない。 - 5 -(4)非開示の実効性について調定収入票「納入義務者」欄に記載された納入義務者の氏名,その添付書類である収入調定の説明資料「納入義務者」欄に記載された納入義務者の氏名,現職名及び平成7年度当時の職名等のうち,返納金及び遅延利息の納入の際に山形県を退職していなかった者の氏名,現在の職名及び平成7年当時の職名それ自体は,職務遂行情報に該当し,非開示情報に当たらない情報であることは原判決も認めている。そして,調定収入票「納入義務者」欄,収入調定の説明資料「納入義務者」欄等に記載された納入義務者の住所,郵便番号及び電話番号を仮に非開示情報とするとしても,当該非開示情報部分を除いて公開すべきである。 被控訴人の主張(1)職務遂行情報該当性について原判決のように職務遂行情報をこれに準ずる情報や関連する情報まで広く含むとする拡大解釈は,その範囲が不明確となり情報公開実務における解釈に混乱をきたすことになるばかりか,県民への情報提供と公務員のプライバシー等の利益の調整の観点から明確に「職務の遂行に係る情報」と限定して。 ,規定した本件条例の立法趣旨に反するものといわなければならないしかも,,職務遂行情報に基づく開示は個人識別情報の不開示の例外規定であるから厳格な限定解釈をしなければならない。 さらに,職務遂行情報を原判決のように拡大解釈したとしても,納入に関する情報が職務遂行情報に該当するかは疑問で づく開示は個人識別情報の不開示の例外規定であるから厳格な限定解釈をしなければならない。 さらに,職務遂行情報を原判決のように拡大解釈したとしても,納入に関する情報が職務遂行情報に該当するかは疑問である。 (2)独立一体情報について原判決は,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しに記載された情報を3つ(出張旅費請求に関する情報,旅費請求における旅費算定の前提となる情報,出張旅費受領に関する情報)に分類し,同文書に記録された出張旅費請求に関する情報及び出張旅費受領に関する情報は,職務遂行情報に該- 6 -当するとしている。 しかし,情報を3つに分類する必要性及び根拠が明らかでない。 そもそも,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しは,調定収入票の添付書類に過ぎず,本件請求にかかる独立した開示対象文書ではない。支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しは,調定収入票の一部分を構成するものであり,これらに記載された情報は,出張旅費相当額の返納金及び遅延利息にかかる収入の調定に関する一体的な情報を形成しているものである。 (3)本件条例6条1項2号ただし書ロ除外事由該当性について仮に納入に関する情報が職務遂行情報に該当するとしても,納入者は客観的事実が明らかではないのにもかかわらずカラ出張の当事者であるとの非難中傷の対象となるおそれがあり,納入者(納入義務者)の氏名の情報は,本件条例6条1項2号ただし書ロの開示をすることにより,当該公務員等の権利を不当に侵害し又は生活に不当に影響を与えるおそれがある場合の当該氏名に関する情報に該当する。 (4)非開示の実効性について開示請求の対象文書自体のみに限定して考えれば,それを開示しても不開示規定が保護しようとしている利益を侵害することにはならないが,すでに公になっていたり,入手可能な他 (4)非開示の実効性について開示請求の対象文書自体のみに限定して考えれば,それを開示しても不開示規定が保護しようとしている利益を侵害することにはならないが,すでに公になっていたり,入手可能な他の情報と照合することにより,不開示規定の保護法益を侵害することになる場合には,当該文書は不開示にする必要がある。まして,本件においては,調定収入票に記載された情報は,他の文書と照合するまでもなく,一つの文書内(支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しは調定収入票と別個独立の文書ではなく,その一部となる添付書類である)を照合することにより簡単に判明し,支出票写し及び支出票別。 紙集合支出内訳表写しの情報を開示することは,調定収入票の情報を非開示とした意味を完全に喪失させることとなる。したがって,調定収入票の情報- 7 -を非開示としながら,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しの情報の開示を認めることは許されない。 第3当裁判所の判断,。 当裁判所は控訴人の請求を主文1(1)の限度で認容すべきものと判断するその理由は,次のとおりである。 (1)職務遂行情報該当性について職務遂行情報該当性についての当裁判所の判断は,次のとおり原判決を訂正し,控訴人の主張に対する判断を付加するほかは,原判決の当該欄(原判),決12頁2行目冒頭から20頁21行目末尾まで説示のとおりであるからこれを引用する。 (原判決の訂正)ア原判決12頁11行目の「同月24日は平日」を「同月23日は平日,同月24日は土曜日」と改める。 イ原判決13頁19,20行目の「同月16日は平日」を「同月15日は平日,同月16日は土曜日」と改める。 ウ原判決17頁21行目の「本件条例」から18頁5行目末尾まで及び同「」「,」頁15行目の前記旅費相当額か 目の「同月16日は平日」を「同月15日は平日,同月16日は土曜日」と改める。 ウ原判決17頁21行目の「本件条例」から18頁5行目末尾まで及び同「」「,」頁15行目の前記旅費相当額から同頁17行目のべきであるからまでを削除し,同頁18行目の「認められる」の次に「退職者について(は後記のとおり」を加える。 。)エ原判決19頁6行目の「所属した者」の次に「内訳番号001」を()付加し,同頁7行目の「もはや」から同頁8行目末尾までを「本件条例6条1項2号ただし書ロ所定の公務員等に該当するとはいえない」と改め。 る。 オ原判決20頁14行目の二重線でから次行目の情報としてを職「」「」「務遂行自体に係る情報として」と改め,同頁16行目末尾に「前記講習申込書写し記載の申込者の中には,二重線で抹消された者も存在するが,前- 8 -記講習申込書は,Aが作成し社団法人Bへ提出されたものであることからすると,二重線での抹消は,参加者が一旦Aにα講習会への参加申込手続をし,後にこれを取り消したものと推認されるから,これらの申込手続やその取消しもまた職務遂行に係る情報というべきである。職務に従事しなかったことそれ自体も,やはり職務遂行に関する情報としての側面があるのであって,二重線で抹消された者が結果的にα講習会に参加しなかったからといって,上記情報の職務遂行情報該当性を否定することはできな。」,。 いを付加し同頁17行目冒頭から同頁21行目末尾までを削除する(控訴人の主張に対する判断)控訴人は,退職後に作成された文書であっても,当該退職者が公務員であった当時の職務に関して作成された文書の情報は職務遂行情報と解すべきであり,本件は,退職者が公務員であった当時のことについて,カラ出張と認定されて旅費 成された文書であっても,当該退職者が公務員であった当時の職務に関して作成された文書の情報は職務遂行情報と解すべきであり,本件は,退職者が公務員であった当時のことについて,カラ出張と認定されて旅費相当額及び遅延利息を納入したものであり,かかる情報は,退職したとしても公務員であったときの職務の遂行ないし職務の遂行に関連するものというべきであると主張する。 しかし,出張旅費相当額及び遅延利息の返納は,旅費の受領とは別個の行為であることは否定しがたく,その返納時に返納者が公務員等を退職している場合には本件条例6条1項2号ただし書ロにいう「公務員等」に該当しないことは明らかである。この返納を旅費の受領と一連の行為とみた上,受領時の身分が公務員等であるから退職後の退職者の氏名についても同条項の適用があると解釈するのは相当でない。 (2)独立一体情報についてア本件条例5条3項は「開示請求に係る公文書の一部に不開示情報が記,録されている場合において,当該不開示情報が記録されている部分(以下「不開示部分」という)が当該不開示部分を除いた部分(以下「開示部。 分」という)と容易に区分することができるときは,前項の規定にかか。 - 9 -わらず,実施機関は,開示請求者に対し,当該開示部分の開示をしなければならない。ただし,当該開示部分に客観的に有意な情報が記録されていないと認められるときは,この限りでない」と規定している。 。 したがって,本件文書中に,非公開情報に該当しない公務員等の職務遂行に関する情報が記載されている場合には,その記載が本件文書中のいずれの箇所にあるかを問わず,すべてこれを公開すべきであるから,(1)に引用の訂正後の原判決説示の職務遂行情報に該当する本件文書の記載部分は公開すべきことになる。 イ被控訴人は,本件条例5条3項は れの箇所にあるかを問わず,すべてこれを公開すべきであるから,(1)に引用の訂正後の原判決説示の職務遂行情報に該当する本件文書の記載部分は公開すべきことになる。 イ被控訴人は,本件条例5条3項は,非開示事由に該当する独立した一体的な情報を細分化し,その一部を非開示とし,その余の部分にはもはや非開示事由に該当する情報は記録されていないものとみなして,これを開示することまでをも実施機関に義務付けていると解することはできないところ,本件文書の中の調定収入票(添付書類を含む)にある納入義務者に。 ついては,その職,氏名のほか,非開示情報である郵便番号,住所,電話,,番号及び給与の号級等の情報が講習会申込書写しにある職員についてはその氏名のほか,非開示情報である年齢の情報が,領収済通知書にある納入義務者については,その郵便番号,住所又は銀行担当者の氏名が独立した一体的な情報として記載されているし,そもそも調定収入票の添付書類は,本件請求にかかる独立した開示対象文書ではなく,調定収入票の一部分を構成するものであり,これらに記載された情報は,出張旅費相当額の返納金及び遅延利息にかかる収入の調定に関する一体的な情報を形成しているから,非開示事由に該当する独立した一体的な情報として非開示となるものであると主張する。 しかし,本件条例5条3項が,本件条例1条に規定する制定目的を可能な限り実現するために,請求の対象とされた文書の中に開示されるべき情報を記載した部分と不開示とされるべき情報を記載した部分とが混在して- 10 -いる場合に,後者が容易に区分し得る限りにおいて,これを除いた他の部分を全面的に開示しなければならないとしたものと解されることからすれば,被控訴人主張のように,本件条例5条3項が独立した一体的な情報を細分化し,その一部を非開示 得る限りにおいて,これを除いた他の部分を全面的に開示しなければならないとしたものと解されることからすれば,被控訴人主張のように,本件条例5条3項が独立した一体的な情報を細分化し,その一部を非開示とし,その余の部分を開示することまでをも実施機関に義務付けていると解されないとしても,そのような独立した一体的な情報とは,最小限の有意な情報という意味に限定して取り扱うべきである。同条項ただし書が客観的に有意な情報が記録されていないと認められるときを除外しているのも,有意な情報が記録されている限り,最小限まで部分開示を行うことを予定しているものとみることも可能である。 また,非公開情報に該当しない職務遂行情報とこれに該当する個人識別情報とに共通する記載部分がある場合,それ自体非公開情報に該当すると認められる記載部分を除く記載部分は職務遂行情報としてこれを公開すべきである。 以下,本件文書について検討する。 (調定収入票(添付文書を含む)について(乙1の1ないし6)。 )(ア)調定収入票(添付文書を含む)は,本件職員らが納入した出張旅。 費相当額の返納金及び遅延利息について,その歳入の内容を調査して所属年度,歳入科目,納入すべき金額及び納入義務者などを決定する際に作成された文書であり,収入調定理由,納入義務者,収入調定額を記載した説明文書,1号事件判決の抜粋(別紙2,3を含む,1号事件。)判決別紙2,3に対応する支出票及び集合支出内訳表写し(氏名等もコピーされたもの,出張用務とされたα講習会又はβ講習会への講習申)込書写し,収入票及び納入通知書兼領収証書控え等が添付されている。 調定収入票(添付文書を含む。ただし,支出票写し,支出票別紙集合支出内訳表写し,α講習会又はβ講習会への講習申込書写しについては後記のとおり)には,既に開示され 書兼領収証書控え等が添付されている。 調定収入票(添付文書を含む。ただし,支出票写し,支出票別紙集合支出内訳表写し,α講習会又はβ講習会への講習申込書写しについては後記のとおり)には,既に開示された収入調定内容を記録した部分の。 - 11 -ほか,納入義務者を特定するものとして氏名,住所,郵便番号が記録され,また,納入義務者について電話番号,平成7年度当時の職,収入調。 ,,,定当時の職が記録されているこのうち納入義務者の住所郵便番号電話番号は,納入義務者の私事にわたる事項であり,それ自体非公開情報に該当するが,納入義務者の氏名,平成7年度当時の職及び収入調定当時の職は,公務員等の職及び氏名であり,職務の遂行に係る情報に含まれるものとして,それ自体は非開示情報に該当しない。そこで,調定収入票(添付文書を含む)から納入義務者の住所,郵便番号,電話番。 号を除いた部分に有意な情報が含まれるか検討すると,納入義務者の氏名は,収入調定内容を記録した部分と結びついて,その者に記載された内容の収入調定がされた旨の有意な情報が記録されているというべきである。調定収入票においては,納入義務者は氏名と住所,郵便番号によって特定されているが,氏名は社会生活における個人識別のための基本情報であり,有意な情報であることは明らかであって,たまたま住所が追加記載されて更に特定されているからといって,住所と氏名とが一体であり両情報を切り離したときに氏名だけでは有意な情報でなくなるとする理由はない。すなわち,納入義務者の氏名は上記のとおりそれ自体有意な情報であり,納入義務者の住所及び郵便番号並びに電話番号はそれぞれ納入義務者を更に特定する情報又は納入義務者の連絡先の情報を構成しているというべきである。また,平成7年度当時の職及び収入調定当時の職は であり,納入義務者の住所及び郵便番号並びに電話番号はそれぞれ納入義務者を更に特定する情報又は納入義務者の連絡先の情報を構成しているというべきである。また,平成7年度当時の職及び収入調定当時の職は,納入義務者の属性を表すものとして有意な情報を構成しているというべきである。 そして,納入義務者の住所,郵便番号,電話番号は,その余の部分と容易に区分することができる。 (イ)支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しは,本件職員らが出張旅費を請求し,出張旅費について支出命令及び支出決定がなされ,本- 12 -件職員らが出張旅費を受領する際に作成された文書の写しであり,既に,,開示された出張旅費の請求受領それぞれの内容を記録した部分のほか納入義務者(出張旅費請求,受領者)の氏名,印影,また,旅費請求における旅費算定の前提となる情報として,納入義務者及びその他の職員の給与・号級が記録されているところ,納入義務者及びその他の職員の給与・号級等は,同人らの私事にわたる事項であり(納入義務者の印影も本件条例6条1項2号ただし書ロに該当しない,それ自体非公開。)情報に該当するが,納入義務者の氏名は,公務員等の氏名であり,職務の遂行に係る情報に含まれるものとして,それ自体は非開示情報に該当しない。そして,上記(ア)と同様,支出票写し「請求」欄ないし支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された納入義務者の氏名は,既開示部分と結びついて,その者が記載の出張旅費の請求・受領をした旨の有意な情報を構成している(納入義務者及びその他の職員の給与・号級は同人らの氏名と結びついて旅費請求算定の前提となる情報を構成している)というべきであり,また,上記非開示情報とその余の部分は容易に区分できるというべきである。 (ウ)α講習会又はβ講習会への講習申 同人らの氏名と結びついて旅費請求算定の前提となる情報を構成している)というべきであり,また,上記非開示情報とその余の部分は容易に区分できるというべきである。 (ウ)α講習会又はβ講習会への講習申込書写しは,Aが前記講習会への参加予定者の氏名等を記載してBに提出した文書の写しであり,既に開示された同講習申込手続をする旨の部分のほか,申込者の氏名,また,申込者の属性として年齢が記録されているところ,申込者の年齢は,同人らの私事にわたる事項であり,それ自体非公開情報に該当するが,申込者の氏名は,公務員等の氏名であり,職務の遂行に係る情報に含まれるものとして,それ自体は非開示情報に該当しない。そして,上記(ア)と同様,申込者の氏名は,既開示部分と結びついて,その者が講習会申込手続をした(及びこれを取り消した)旨の有意な情報を構成しているというべきである(申込者の年齢は氏名と結びついて申込者の属性の情- 13 -報を構成するというべきである。そして,上記非開示情報とその余。)の部分は容易に区分できるというべきである。 (エ)以上によれば,調定収入票(添付書類を全て含む)には,その一。 部に不開示情報である納入義務者の住所,郵便番号,電話番号,印影,納入義務者及びその他の職員の給与・号級,α講習会又はβ講習会への講習申込者の年齢が記録されているが,これらの部分がこれらを除いた部分(開示部分)と容易に区分することができ(退職者にかかる部分とも容易に区分することができる,その開示部分に客観的に有意な情。)報が記録されていないとは認められないから,上記不開示情報を除いた部分(すなわち,納入義務者の氏名,平成7年当時の職,収入調定当時,(。))の職α講習会の講習申込者二重線で抹消された者を含むの氏名を開示すべきである。 な ら,上記不開示情報を除いた部分(すなわち,納入義務者の氏名,平成7年当時の職,収入調定当時,(。))の職α講習会の講習申込者二重線で抹消された者を含むの氏名を開示すべきである。 なお,納入義務者及びα講習会の講習申込者の氏名は,上記のように開示すべき部分と結びつくとともに,不開示情報とも結びついてそれぞれの情報をもたらしているが,それ自体不開示情報に該当しないから,職務遂行情報としてこれを公開すべきである。 ,,,また被控訴人は支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しは調定収入票の添付書類としてその一部分を構成するものにすぎず,収入の調定に関する一体的な情報を形成していると主張するが,独立した一体的な情報とは,最小限の有意な情報という意味に限定して取り扱うべきことからすれば,上記書類が調定収入票の添付書類と位置づけられるからといって,添付書類を含む調定収入票全体を一体的な情報とみるのは相当でない。 (領収済通知書について(乙1の7ないし16))領収済通知書は,山形県指定金融機関が山形県出納長に対し納入義務者から前記返納金などを受領したことを通知するために送付した文書で- 14 -あり,領収及び領収済通知内容を記録した既開示部分のほか,納入義務者を特定するものとして郵便番号,住所及び氏名が記録され,また,一部金融機関担当者名が記録されているところ,納入義務者の郵便番号,住所は,納入義務者らの私事にわたる事項,金融機関担当者名は個人識,,,別情報でありそれ自体非公開情報に該当するが納入義務者の氏名は公務員等の氏名であり,職務の遂行に係る情報に含まれるものとして,それ自体は非開示情報に該当しない。そして,上記調定収入票において述べたと同様,納入義務者の氏名は,既開示部分と結びついて,その者が納入し,その 名であり,職務の遂行に係る情報に含まれるものとして,それ自体は非開示情報に該当しない。そして,上記調定収入票において述べたと同様,納入義務者の氏名は,既開示部分と結びついて,その者が納入し,その旨の領収済通知がされた旨の有意な情報を構成しているというべきであり,納入義務者が郵便番号,住所をも加えて特定されているからといって,氏名だけでは有意な情報でないとはいえない。納入義務者の郵便番号及び住所は納入義務者を更に特定する情報を構成しているというべきである。そして,納入義務者の郵便番号,住所は,その余の部分と容易に区分することができる。 したがって,調定収入票において述べたと同様,領収済通知書も不開示情報(納入義務者の郵便番号,住所)を除いた部分(納入義務者の氏名)を開示すべきである。 (3)本件条例6条1項2号ただし書ロ除外事由該当性について被控訴人は,納入者は客観的事実が明らかではないのにもかかわらずカラ出張の当事者であるとの非難中傷の対象となるおそれがあり,納入者(納入義務者)の氏名の情報は,開示をすることにより,当該公務員等の権利を不当に侵害し又は生活に不当に影響を与えるおそれがある場合の当該氏名に関する情報に該当すると主張する。 しかし,本件の全訴訟資料によっても,公務員等の権利を不当に侵害し又は生活に不当に影響を与えるおそれがあることを認めるに足りる主張立証はない。1号事件判決は,納入者らの氏名を明らかにせずに,納入者らが訴訟- 15 -手続に参加することもなく審理,判決されたものであり,カラ出張とされるものが個人的立場でなされたものと断じているわけでもなく,納入者らがカラ出張なるものに具体的にどう関わったかを明らかにしているものでもない。 (4)非開示の実効性について被控訴人は,開示請求の対象文書自体のみに限定して たものと断じているわけでもなく,納入者らがカラ出張なるものに具体的にどう関わったかを明らかにしているものでもない。 (4)非開示の実効性について被控訴人は,開示請求の対象文書自体のみに限定して考えれば,それを開示しても不開示規定が保護しようとしている利益を侵害することにはならな,,,いがすでに公になっていたり入手可能な他の情報と照合することにより不開示規定の保護法益を侵害することになる場合には,当該文書は不開示にする必要があると主張する。 確かに,開示請求の対象文書に,非開示情報がある場合に,当該文書の他の情報(開示情報)を公開すると,すでに公になっていたり,入手可能な他の情報と照合することにより当該非開示情報を開示したと同一の効果を生じるような場合には,当該開示情報も非開示とすべきと解される。 しかし,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しは,調定収入票に添付されているとはいえ,別個の文書というべきであるし,記録された情報も前者と後者では全く別個のものであるから,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しの「氏名」欄記載の氏名を開示することにより,調定収入票においては非開示情報である納入義務者の氏名が判明するとしても,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写し記載の氏名の非開示事由となることはないというべきである。この理は,支出票写し及び支出票別紙集合支出内訳表写しが独立して文書公開請求の対象となり,同請求がされれば,これらの文書は給与・号級部分を除き開示せざるを得ないことからも明らかである。 よって,控訴人の請求は主文1(1)の限度で理由があり,認容すべきであるから,これと異なる原判決を変更することとし,主文のとおり判決する。 - 16 -仙台高等裁判所第1民事部裁判長裁判官小野貞夫裁判官信濃孝一裁判官 (1)の限度で理由があり,認容すべきであるから,これと異なる原判決を変更することとし,主文のとおり判決する。 - 16 -仙台高等裁判所第1民事部裁判長裁判官小野貞夫裁判官信濃孝一裁判官大垣貴靖- 17 -(別紙)開示部分目録 原判決別紙文書目録番号2,3,5及び6の調定収入票及び同添付書類中の収入調定の説明資料領収済通知書収入票及び納入通知書兼領収証書控え中納,,,「入義務者」欄「収入調定額」欄「納入(返納)義務者」欄に記載された,同,,別紙3及び6の集合調定内訳表内訳番号001の納入義務者を除く納入義務者の氏名,現職名及び平成7年度当時の職名 調定収入票添付書類中の支出票写し「請求」欄に記載された職員の氏名 調定収入票添付書類中の支出票別紙集合支出内訳表写し「氏名」欄に記載された職員の氏名 調定収入票添付書類中の建設技術講習会申込書写し「氏名」欄に記載された職員の氏名 原判決別紙文書目録番号911ないし1315及び16の領収済通知書納,,「入(返納)義務者」欄に記載された納入義務者の氏名

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る