平成19年(ワ)第360号損害賠償請求事件判決主文 被告らは,原告に対し,連帯して,9億1350万円及びこれに対する平成14年5月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告に対し,連帯して,10億2900万円及びこれに対する平成16年9月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを2分し,その1を被告らの負担とし,その余を原告の負担とする。 この判決は,第1,2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 被告らは,原告に対し,連帯して,18億2700万円及びこれに対する平成14年5月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告に対し,連帯して,20億5800万円及びこれに対する平成16年9月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が,原告が発注した名古屋市猪子石工場の建設工事(別紙1・番号61。以下「猪子石工場工事」という。)及び名古屋市五条川工場の建設工事(別紙1・番号85。以下「五条川工場工事」といい,猪子石工場工事と併せて「本件各工事」という。)について,猪子石工場工事の一般競争入札において最低入札価格を提示して原告との随意契約により猪子石工場工事を受注した被告株式会社Y1(以下「被告Y1」という。)及び五条川工場工事の一般競争入札において最低入札価格を提示してこれを落札し,受注した被告Y2株式会社(以下「被告Y2」という。)が,α1株式会社(以下「α1」という。),α2株式会社(平成15年4月1日付けでα2’株式会社と商号変更した。以下「α2」という。)及びα3株式会社(以下「α3」といい,以上の3社と 」という。)が,α1株式会社(以下「α1」という。),α2株式会社(平成15年4月1日付けでα2’株式会社と商号変更した。以下「α2」という。)及びα3株式会社(以下「α3」といい,以上の3社と被告らを併せて「本件5社」という。)とともに,猪子石工場工事については被告Y1を,五条川工場工事については被告Y2をそれぞれ受注予定者とすることを事前に合意し,これに株式会社α4(以下「α4」という。)が協力するという受注調整が行われた結果,公正・自由な価格競争による健全な価格形成が阻害され,上記受注調整がなかった場合に形成されたであろう落札価格と現実の契約金額との差額分の損害を被ったと主張して,被告らに対し,不法行為に基づき,その損害の賠償を求めた事案である。 基礎となる事実(1) 当事者等ア原告は,その行政事務の1つとして,一般廃棄物等の処理を行う地方公共団体である。(争いがない。)イ本件5社及びα4は,それぞれ,ストーカ式燃焼装置を採用するごみ焼却施設(以下「ストーカ炉」という。)で,24時間連続稼働する全連続燃焼式(以下「全連」という。)のもの(以下「全連ストーカ炉」という。)及び1日当たり16時間稼働する准連続燃焼式(以下「准連」という。)のもの(以下「准連ストーカ炉」といい,全連ストーカ炉と併せて「全連及び准連ストーカ炉」という。)を構成する機械及び装置の製造,その据付工事,設備機器を収容する工場棟の建設その他の土木建築工事といったごみ焼却施設及びその関連施設の建設を行っており,プラントメーカーといわれている。(甲A11,15,30,31,弁論の全趣旨)(2) 猪子石工場工事の発注ア概要猪子石工場工事は,名古屋市猪子石工場の新築焼却設備を建設する工事であり,その焼却設備の概要は次のとおりである。 (ア) 設置場所 ,30,31,弁論の全趣旨)(2) 猪子石工場工事の発注ア概要猪子石工場工事は,名古屋市猪子石工場の新築焼却設備を建設する工事であり,その焼却設備の概要は次のとおりである。 (ア) 設置場所名古屋市(以下略)(イ) 焼却方式ストーカ式・全連(ウ) 焼却能力600トン/日(300トン/日×2炉)イ入札の実施原告は,猪子石工場工事の請負契約を一般競争入札の方法により行うこととして,入札の参加者を募集し,応募した参加希望者について入札参加資格要件を満たしているか否か等の審査をした上,本件5社及びα4を入札の参加者とした。 猪子石工場工事の入札は,予定価格を174億円(消費税抜き)として,平成9年5月20日に実施されたところ,次のとおり,4回にわたり入札が行われたが,最低入札価格が予定価格を上回り,不調に終わった。原告は,地方自治法施行令167条の2第1項6号(平成16年政令第344号による改正前のもの。以下同じ。)の規定に基づき,最低入札価格を提示した被告Y1との間で,随意契約の方法により請負契約を締結することとした。 (ア) 1回目入札価格①被告Y1182億0000万円(消費税抜き)②被告Y2188億5000万円(同)③α1204億0000万円(同)④α2198億7000万円(同)⑤α3197億0000万円(同)⑥α4194億8000万円(同)(イ) 2回目入札価格①被告Y1179億0000万円(同)②被告Y2180億5000万円(同)③α1180億0000万円(同)④α2181億8000万円(同)⑤α3181億0000万円(同)⑥α4181億5000万円(同)(ウ) 3回目入札価格①被告Y1175億0000万円(同)②被告Y2178億5000万円 1億8000万円(同)⑤α3181億0000万円(同)⑥α4181億5000万円(同)(ウ) 3回目入札価格①被告Y1175億0000万円(同)②被告Y2178億5000万円(同)③α1177億5000万円(同)④α2178億9000万円(同)⑤α3178億0000万円(同)⑥α4178億7000万円(同)(エ) 4回目入札価格①被告Y1174億3000万円(同)②被告Y2辞退③α1辞退④α2辞退⑤α3辞退⑥α4辞退ウ契約締結原告は,平成9年7月3日,被告Y1との間で,猪子石工場工事について,請負代金を174億円(消費税込みで182億7000万円)として請負契約を締結した。 エ代金支払等被告Y1は,平成14年3月までに猪子石工場工事を完成して原告に猪子石工場を引き渡し,原告は,被告Y1に対し,平成14年5月24日までに,上記請負代金の全額を支払った。(以上アないしエにつき,甲A29,甲B14の1,弁論の全趣旨)(3) 五条川工場工事の発注ア概要五条川工場工事は,名古屋市五条川工場の新築焼却設備を建設する工事であり,その焼却設備の概要は次のとおりである。 (ア) 設置場所愛知県海部郡(以下略)(イ) 焼却方式ストーカ式・全連(ウ) 焼却能力560トン/日(280トン/日×2炉)イ入札の実施原告は,五条川工場工事の請負契約を一般競争入札の方法により行うこととして,入札の参加者を募集し,応募した参加希望者について入札参加資格要件を満たしているか否か等の審査をした上,本件5社及びα4を入札の参加者とした。 五条川工場工事の入札は,予定価格を196億円(消費税抜き)として,平成10年7月30日に実施されたところ,次のとおり,3回にわたり入札が 等の審査をした上,本件5社及びα4を入札の参加者とした。 五条川工場工事の入札は,予定価格を196億円(消費税抜き)として,平成10年7月30日に実施されたところ,次のとおり,3回にわたり入札が行われ,被告Y2が,最低入札価格196億円(消費税抜き)で落札した。 (ア) 1回目入札価格①被告Y1215億0000万円(消費税抜き)②被告Y2205億5000万円(同)③α1219億5000万円(同)④α2223億0000万円(同)⑤α3212億0000万円(同)⑥α4220億0000万円(同)(イ) 2回目入札価格①被告Y1204億0000万円(同)②被告Y2201億0000万円(同)③α1205億0000万円(同)④α2204億8000万円(同)⑤α3204億3000万円(同)⑥α4205億2000万円(同)(ウ) 3回目入札価格①被告Y1200億0000万円(同)②被告Y2196億0000万円(同)③α1200億5000万円(同)④α2200億3000万円(同)⑤α3200億2000万円(同)⑥α4200億8000万円(同)ウ契約締結原告は,平成10年10月7日,被告Y2との間で,五条川工場工事について,請負代金を196億円(消費税込みで205億8000万円)として請負契約を締結した。 エ代金支払等被告Y2は,平成16年7月までに五条川工場工事を完成して原告に五条川工場を引き渡し,原告は,被告Y2に対し,平成16年9月17日までに,上記請負代金を全額支払った。(以上アないしエにつき,甲A29,甲B14の2,弁論の全趣旨)(4) 公正取引委員会の審決等ア公正取引委員会(以下「公取委」という。)は,平成10年9月17日,プラントメー 金を全額支払った。(以上アないしエにつき,甲A29,甲B14の2,弁論の全趣旨)(4) 公正取引委員会の審決等ア公正取引委員会(以下「公取委」という。)は,平成10年9月17日,プラントメーカーに対する立入検査等を行い,平成11年8月13日,本件5社に対し,本件5社が受注調整行為を行っており,これが私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下,後記の各改正の前後を通じ「独禁法」という。)3条に違反するとして,独禁法48条2項(平成14年法律第47号による改正前のもの)の規定により,その排除を内容とする勧告を行った。 本件5社は,いずれも上記勧告を応諾しなかったため,公取委は,平成11年9月8日,本件5社を被審人とする審判手続を開始した(平成11年(判)第4号独占禁止法違反審判事件。以下「別件審判事件」という。)。 イ別件審判事件は,平成15年11月10日にいったん結審し,審判官らにより,平成16年3月29日付けで審決案(以下「第1次審決案」という。)が提出された。第1次審決案は,本件5社が遅くとも平成6年4月以降平成10年9月17日までの間(以下「本件対象期間」という。)に受注調整行為を行っていた事実を認め,これが独禁法3条に違反するとした上,当該違反行為は既になくなっているが,長期間にわたり行われていたこと,自ら競争を回復するための措置を講じていないことなどから,独禁法54条2項(平成17年法律第35号による改正前のもの。以下同じ。)の規定により,本件5社に対し,本件5社が全連及び准連ストーカ炉の新設,更新及び増設工事について受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにしていた行為を平成10年9月17日以降行っていないことを確認すること,そのために講じた措置等を地方公共団体に通知し自社の従業員に周知徹底させること て受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにしていた行為を平成10年9月17日以降行っていないことを確認すること,そのために講じた措置等を地方公共団体に通知し自社の従業員に周知徹底させること等の措置を命ずることを相当とするものであった。 ウ本件5社による異議の申立て等を経て,公取委は,独禁法54条2項の「特に必要と認めるとき」の要件への該当性について更に審理を尽くすため,平成16年8月3日付けで別件審判事件の審判手続を再開する旨の決定をした。 審判官らは,上記要件への該当性についてのみ審判手続を行った上,平成18年3月28日付けで審決案(以下「第2次審決案」という。)を提出した。 第2次審決案は,第1次審決案が命ずることを相当とした上記措置の必要性が認められるとして,同措置を命ずることを相当とするものであった。 エ公取委は,平成18年6月27日,第1次審決案及び第2次審決案と同趣旨の審決をした(以下「別件審決」という。)。 別件審決は,本件5社が,遅くとも平成6年4月以降平成10年9月17日までの間(本件対象期間),共同して,市町村並びに地方自治法に定める地方公共団体の組合である一部事務組合及び広域連合(以下,まとめて「地方公共団体」という。)が指名競争入札,一般競争入札又は指名見積り合わせ(以下「指名競争入札等」という。)の方法により発注するストーカ炉の建設工事の取引分野において,あらかじめ受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,地方公共団体発注に係るストーカ炉の建設工事の取引分野における競争を実質的に制限しており,かつ,将来同様の違反行為が再び行われるおそれがあると認めることができることなどを根拠としている。また,本件対象期間に地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したス 競争を実質的に制限しており,かつ,将来同様の違反行為が再び行われるおそれがあると認めることができることなどを根拠としている。また,本件対象期間に地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事は,別紙1記載のとおり合計87件であるところ,別件審決は,本件各工事を含む合計30件の工事については,具体的な証拠から,本件5社が受注予定者を決定したと推認される工事であるとしている。 オ本件5社は,別件審決を不服とし,東京高等裁判所にその取消しを求める取消訴訟を提起したが,同裁判所は,平成20年9月26日,本件5社の請求をいずれも棄却する判決をした。(以上アないしオにつき,甲B1,40,弁論の全趣旨)(5) 本件訴訟の提起等と被告Y1による消滅時効の援用原告は,平成19年1月29日,被告Y1に対して猪子石工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく損害の賠償を,被告Y2に対して五条川工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく損害の賠償をそれぞれ求める訴えを提起した(本件訴訟)。また,原告は,同年8月29日,被告Y1に対して五条川工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく損害の賠償を,被告Y2に対して猪子石工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく損害の賠償をそれぞれ求める請求を追加する旨の請求の趣旨変更申立書を当裁判所に提出した(なお,同申立書は,同年9月4日の本件弁論準備手続期日において陳述された。)。 被告Y1は,原告に対し,①平成19年7月6日の本件弁論準備手続期日において,猪子石工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく原告の被告Y1に対する請求債権(損害賠償請求権)につき,②同年10月31日の本件弁論準備手続期日において,五条川工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく原告の被告Y1に対する請求債権(損害賠償 原告の被告Y1に対する請求債権(損害賠償請求権)につき,②同年10月31日の本件弁論準備手続期日において,五条川工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく原告の被告Y1に対する請求債権(損害賠償請求権)につき,それぞれ民法724条前段の消滅時効を援用するとの意思表示をした。(本項につき,当裁判所に顕著) 争点 (1) 本件各工事に関する本件5社及びα4による受注調整行為(いわゆる談合)の存否(2) 上記談合による損害の有無及びその額(3) 消滅時効の成否 争点に関する当事者の主張争点(1)(本件各工事に関する談合の存否)について(1)(原告の主張)ア基本合意の存在本件5社は,遅くとも平成6年4月以降から平成10年9月17日までの間,地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するストーカ炉の建設工事について,受注機会の均等化を図るため,次の内容の合意(以下「本件基本合意」という。)をしていた。 (ア) 地方公共団体が建設を計画していることが判明した工事について,各社が受注希望の表明を行い,受注希望者が1名の工事についてはその者を当該工事の受注予定者とし,受注希望者が複数の工事については,受注希望者間で話し合い,受注予定者を決定する。 (イ) 本件5社の間で受注予定者を決定した工事については,本件5社以外のプラントメーカー(以下「アウトサイダー」という。)が指名競争入札等に参加した場合には,受注予定者は,自社が受注することができるようにアウトサイダーに協力を求める。 (ウ) 受注予定者は,受注しようとする価格を決め,受注予定者以外の者は,受注予定者が決めた価格で受注することができるように協力する。 イ猪子石工場工事に関する談合について本件基本合意の下,遅くとも猪子石工場工事の入札期日までの間に,本件5社が会場を持ち 以外の者は,受注予定者が決めた価格で受注することができるように協力する。 イ猪子石工場工事に関する談合について本件基本合意の下,遅くとも猪子石工場工事の入札期日までの間に,本件5社が会場を持ち回りで月1回程度の頻度で開催していた受注調整の会合において,猪子石工場工事の受注予定者を被告Y1とすることが決定され,被告Y1は,アウトサイダーであるα4に対し,猪子石工場工事を自社が受注することができるよう協力を求めた。 この談合行為によって本件5社及びα4による受注調整が図られ,被告Y1は,猪子石工場工事の一般競争入札において最低落札価格を提示し,随意契約の方法による請負契約を原告との間で締結することにより,予定どおり猪子石工場工事を受注したものである。 ウ五条川工場工事に関する談合について本件基本合意の下,遅くとも五条川工場工事の入札期日までの間に,本件5社が会場を持ち回りで月1回程度の頻度で開催していた受注調整の会合において,五条川工場工事の受注予定者を被告Y2とすることが決定され,被告Y2は,アウトサイダーであるα4に対し,五条川工場工事を自社が受注することができるよう協力を求めた。 この談合行為によって本件5社及びα4による受注調整が図られ,被告Y2は,五条川工場工事の一般競争入札において,最低落札価格を提示してこれを落札することにより,予定どおり五条川工場工事を受注したものである。 (被告Y1の主張)ア本件基本合意について本件5社が本件基本合意をしていたとの原告の主張は,否認する。 本件基本合意の存在を認める関係者の供述には信用性がないし,その他の証拠によっても,本件基本合意の存在は認められない。 イ本件各工事に関する談合について本件5社が本件各工事に関する談合を行ったとの原告の主張は,否認する。 (ア) 本件各工事に関 ないし,その他の証拠によっても,本件基本合意の存在は認められない。 イ本件各工事に関する談合について本件5社が本件各工事に関する談合を行ったとの原告の主張は,否認する。 (ア) 本件各工事に関する談合の存在は,不法行為に基づく損害賠償請求の要件事実として原告が主張立証責任を負う事実であり,少なくとも談合行為の日時,場所,具体的内容等の特定が必要であるにもかかわらず,原告は,これらについて何ら特定しておらず,主張自体失当である。 (イ) 仮に本件基本合意が存在したとしても,本件各工事について,その入札が本件対象期間中に実施されているからといって,当然に個別談合の存在が推認されるわけではない。 (ウ) 1回目の入札において最低価格で応札した入札者は,当該工事の受注意欲が非常に強いため,2回目以降の入札においても低い価格で応札する蓋然性が高い。したがって,1回目の入札において最低価格で応札した入札者が,その後の入札においても最低価格で応札している事実は,本件各工事に関する談合の存在を推認させる事実ではない。 (エ) 本件各工事の入札には,アウトサイダーであるα4が参加しており,α4の協力なくしては受注調整をすることができないから,本件各工事について,被告らがそれぞれα4に対して自社が受注できるように協力要請し,α4がこれに応じたことが必要である。 しかし,本件においてα4への協力要請等を裏付ける証拠はなく,むしろ,α2のβ1が作成したメモ(甲A35)には,「5社以外のメンバーが入った時は,タタキ合いとなる。」との記載がある。また,α4は,弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対する回答書(乙1の1・2)において,本件5社から協力要請を受けた事実及び協力要請に応じた事実がいずれもない旨明確に回答している。したがって,本件各工事の入札に関し 23条の2第1項に基づく照会に対する回答書(乙1の1・2)において,本件5社から協力要請を受けた事実及び協力要請に応じた事実がいずれもない旨明確に回答している。したがって,本件各工事の入札に関して,被告らがα4に対し協力要請した事実及びα4がこれに応じた事実を推認することはできない。 (オ) α1が,猪子石工場工事の入札期日において2回目と3回目の入札の間に3回目の入札価格を検討するための休憩時間を要求したこと,及び,被告Y2が,猪子石工場工事について,約6700万円の費用を投じ,約7500時間をかけて設計作業を行ったことは,本件5社及びα4の間で猪子石工場工事の受注予定者があらかじめ被告Y1と決定されていたことと矛盾する事実であり,談合がなかったことを示す証左である。 (被告Y2の主張)ア本件基本合意について本件5社が本件基本合意をしていたとの原告の主張は,否認する。 本件基本合意の存在を認める関係者の供述には信用性がないし,その他の証拠によっても,本件基本合意の存在は認められない。 イ本件各工事に関する談合について本件5社が本件各工事に関する談合を行ったとの原告の主張は,否認する。 (ア) 本件各工事に関する談合の存在は,不法行為に基づく損害賠償請求の要件事実として原告において主張立証する必要があるが,原告の主張は,談合行為の主体,日時,場所,内容等について具体的に特定しておらず,失当である。 (イ) 原告が存在すると主張する本件基本合意には,受注希望者が複数いて,話合いがつかなかった場合に誰が受注予定者となるかを自動的に決定するメカニズムが欠けている。このような合意では,話合いがつかない場合に本件5社を拘束するものがないため,個別の工事について常に受注予定者が決定されたという推認が働かない。したがって,仮に本件基本合意 メカニズムが欠けている。このような合意では,話合いがつかない場合に本件5社を拘束するものがないため,個別の工事について常に受注予定者が決定されたという推認が働かない。したがって,仮に本件基本合意が存在したとしても,本件各工事に関する談合の存在を推認することはできない。 (ウ) 本件5社においては,猪子石工場工事については遅くとも平成5年1月までに,五条川工場工事については遅くとも平成3年12月までに,その建設工事の計画を把握していたから,仮に本件各工事に関する受注予定者の決定がなされていたとすれば,それは平成6年4月よりも相当前に行われたと考えられる。しかるに,原告の主張によれば,仮に本件基本合意が存在したとしても,それは遅くとも平成6年4月以降から平成10年9月17日までの期間(本件対象期間)に成立していたものにすぎない。そうすると,①本件各工事について受注予定者の決定がなされた時点より前に基本合意が成立しており,かつ,その基本合意の内容が本件基本合意と同一のものであること,又は②本件各工事について受注予定者の決定がなされた時点が平成6年4月以降であることが立証されない限り,基本合意から本件各工事に関する個別の談合を推認することはできない。 (エ) 本件各工事に係る入札の落札率が高いことは,談合の存在とは無関係であり,落札率から本件各工事に関する談合の存在を推認することはできない。 (オ) 本件各工事の入札には,アウトサイダーであるα4が参加しており,α4の協力なくしては受注調整をすることができないから,談合の内容として,本件各工事について,被告らがそれぞれα4に対し,自社が受注できるように協力要請し,α4がこれに応じたことが立証される必要がある。 しかし,別件審決(甲B1)にも,α4に対する協力要請等が認定できないことが記載 いて,被告らがそれぞれα4に対し,自社が受注できるように協力要請し,α4がこれに応じたことが立証される必要がある。 しかし,別件審決(甲B1)にも,α4に対する協力要請等が認定できないことが記載されているのであって,本件においてα4への協力要請等を裏付ける証拠はない上,α4は,弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対する回答書(乙1の1・2)において,本件5社から協力要請を受けた事実及び協力要請に応じた事実がいずれもない旨明確に回答している。 (カ) 被告Y1の担当者が,猪子石工場工事の入札当日まで,α5及びα6が入札参加資格を有していると信じていたこと,猪子石工場工事の入札期日において,2回目と3回目の入札の間に被告Y1以外の入札者から休憩時間の要求があったことなどは,猪子石工場工事において受注調整がなかったことを示す事実である。 また,被告Y2が,五条川工場工事の入札において,2回目及び3回目の入札価格を設定する上で直前の入札価格から多額の減額をしていること,α2が,五条川工場工事について強い受注意欲を有しており,実際に技術上の経費として1億4000万円を投じていることなどは,五条川工場工事において受注調整がなかったことを示す事実である。 争点(2)(本件各工事に関する談合による損害の有無及びその額)につい(2)て(原告の主張)ア原告は,本件各工事に関する談合により,談合行為がなく公正・自由な価格競争が行われた場合に形成されたであろう落札価格(以下「想定落札価格」という。)と現実の契約金額との差額分の損害を被った。 イ本件対象期間(平成6年4月以降平成10年9月17日までの間)に地方公共団体が発注したストーカ炉の建設工事84件中,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率は89.8パーセントであること(別紙1参照),日本 間(平成6年4月以降平成10年9月17日までの間)に地方公共団体が発注したストーカ炉の建設工事84件中,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率は89.8パーセントであること(別紙1参照),日本弁護士連合会の「入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告書」(甲B16),同連合会の「入札制度改革に関する調査報告書」(甲B17),公取委委員長作成に係る「競争政策について」と題する資料(甲B18),鈴木満「入札談合の研究〔第二版〕」(甲B20)等によれば,談合がなければ落札率が10パーセント以上低下することが明らかであり,また,談合防止対策により談合が不可能又は困難な状況における落札率がおおむね80パーセント台で推移することが明らかであることなどから,本件各工事に関する談合がなければ,本件各工事の落札率は90パーセント以下になったと推定できる。そして,本件各工事の落札率(ただし,猪子石工場工事については,契約金額を落札価格と見た場合のもの)はいずれも100パーセントであることから,想定落札価格と現実の契約金額との差額は,少なくとも本件各工事の契約金額(消費税込み)の10パーセントに相当する次の金額と認めるのが相当である。 (ア) 猪子石工場工事18億2700万円(イ) 五条川工場工事20億5800万円(被告Y1の主張)原告の主張は,否認ないし争う。 ア猪子石工場工事の入札においては,4回にわたる入札によってもなお最低入札価格が予定価格を上回り,不調となった結果,最低入札価格を提示した被告Y1と原告との間で随意契約の方法により請負契約を締結したものであるところ,その契約金額は,談合行為とは無関係に交渉によって任意に決定されるものであるから,仮に猪子石工場工事に関する談合があったとしても,その談合と,契約金額が174億円(消費税込み したものであるところ,その契約金額は,談合行為とは無関係に交渉によって任意に決定されるものであるから,仮に猪子石工場工事に関する談合があったとしても,その談合と,契約金額が174億円(消費税込みで182億7000万円)と決定されたこととの間に因果関係を認めることができない。 イ本件対象期間において,アウトサイダーであるα4の平均落札率は,98.6パーセントと最も高くなっていることからして,原告が主張するように談合がなければ本件各工事の落札率が90パーセント以下になったということはできない。 また,公取委が本件5社に対して排除勧告を行ったことなどを原因とする指名停止措置により本件5社のいずれも入札に参加していない場合のストーカ炉の建設工事の落札率をも検討すべきところ,その場合の落札率は,99.31パーセント(佐賀市発注工事,平成12年5月29日入札,株式会社α5落札),98.41パーセント(東京都発注工事,平成12年1月24日入札,α6株式会社落札)である。このことからしても,談合がなければ本件各工事の落札率が90パーセント以下になったということはできない。 (被告Y2の主張)原告の主張は,否認ないし争う。 ア落札率と談合の有無は無関係である上,そもそも競争入札における落札価格は,多種多様な要因が複雑に影響し合って形成されるものであり,他の工事における結果をそのまま本件各工事に当てはめることはできないから,本件対象期間においてアウトサイダーが受注したストーカ炉の建設工事の落札率をもって損害の発生及び損害額算定の根拠とすることはできない。 イ公取委の推計値(甲B18)については,調査対象がごみ焼却施設に限定されていない点,調査対象期間が平成10年より後のものも含まれている点などにおいて問題があり,本件における損害の発生及び損害 。 イ公取委の推計値(甲B18)については,調査対象がごみ焼却施設に限定されていない点,調査対象期間が平成10年より後のものも含まれている点などにおいて問題があり,本件における損害の発生及び損害額算定の根拠とはならない。 争点(3)消滅時効の成否)について(3)((被告Y1の主張)ア時効の起算点について(ア) 本件各工事について次のとおり,原告は,どんなに遅くとも平成12年8月までには損害及び加害者を認識していたのであるから(なお,「損害・・・を知った」とは損害が現実に発生したことの認識で足り,その程度,数額まで具体的に知る必要はない。),原告の被告Y1に対する請求債権については,いずれも,本件訴訟の提起前に消滅時効が完成している。 a平成10年9月17日の朝日新聞夕刊紙面において,地方公共団体が発注するごみ焼却施設プラントの建設を巡りプラントメーカーが談合を繰り返していた疑いが強まり,公取委が被告らを含む十数社に対する立入検査をしたことが報道され,同日の日本経済新聞夕刊紙面においても同様の報道がなされた。したがって,原告は,同日の時点で,本件各工事に関する談合について,損害及び加害者を認識した。 b平成11年8月9日の読売新聞朝刊紙面の1面において,公取委が,全国のごみ焼却炉の入札で本件5社が受注調整を繰り返していたと判断し,近く排除勧告することを決定したことなどが報道され,その記事に添付された「96-98年度に大手5社が受注した主な焼却炉」と題する一覧表には,本件各工事が記載されていた。したがって,原告が,同日の時点で,本件各工事に関する談合について,損害及び加害者を認識していたことは明らかである。 また,平成11年8月14日の朝日新聞朝刊紙面において,①公取委が,同月13日,本件5社に対し,独禁法違反(不当な ,本件各工事に関する談合について,損害及び加害者を認識していたことは明らかである。 また,平成11年8月14日の朝日新聞朝刊紙面において,①公取委が,同月13日,本件5社に対し,独禁法違反(不当な取引制限)で排除勧告をしたこと,②排除勧告においては,平成6年4月から4年半にわたって,ストーカ炉(全連続,准連続燃焼式)の入札の大部分で本件5社が談合を繰り返していたと認定したこと,③本件5社が排除勧告を受けた対象工事の中に,愛知県内の1市1組合が発注した焼却設備3基が含まれており,原告発注の五条川工場と猪子石工場及び津島市外11町村衛生組合発注の弥富工場がこれに該当することなどが報道された。このことに,本件各工事が上記排除勧告の対象とされている平成6年4月から平成10年8月までの期間中に発注されたものであることを併せ考えれば,原告が,平成11年8月14日の時点で,本件各工事に関する談合について,損害及び加害者を認識していたことは明らかである。 c原告は,平成12年8月2日,名古屋市民オンブズマンから談合の存在を理由として本件各工事の請負代金の支払差止めを求める住民訴訟を提起され,当事者として訴訟追行している。したがって,原告が,同月の時点で,本件各工事に関する談合について,損害及び加害者を認識していたことは明らかである。 (イ) 猪子石工場工事について仮に,原告が主張するように代金支払日まで損害賠償請求権の行使が不可能であったとしても,上記(ア)のとおり,原告は,遅くとも平成12年8月の時点において,猪子石工場工事に関する談合が存在し,不法行為が成立する可能性が相当程度あると判断するに足りる基礎事実を認識していたのであるから,その後請負代金の支払がなされ,実際に損害賠償請求権の行使が可能となった平成14年5月24日から消滅時効が 行為が成立する可能性が相当程度あると判断するに足りる基礎事実を認識していたのであるから,その後請負代金の支払がなされ,実際に損害賠償請求権の行使が可能となった平成14年5月24日から消滅時効が進行すると解すべきである。 イ信義則違反について消滅時効の援用が信義則に反し許されないとの原告の主張は,争う。 (原告の主張)ア時効の起算点について本件のような地方公共団体発注の工事における談合に係る不法行為に基づく損害賠償請求権については,被害者たる地方公共団体が「損害及び加害者を知った時」(民法724条前段)は,地方公共団体が当該工事について談合が行われた可能性を知った日ではなく,地方公共団体が当該工事における個別的な談合行為をある程度まで立証可能になった時であると考えられる。本件各工事について,原告は,個別的な談合行為を立証可能になった時点で速やかに被告らに対し損害賠償請求をしているのであって,消滅時効は完成していない。 猪子石工場工事についていえば,平成14年3月ころに完成して原告に引き渡された物件であり,平成14年5月24日までに請負代金の全額を支払がなされたものであって,被告Y1の主張する時期(前記(被告Y1の主張)ア(ア))には仕事の完成も代金の支払も未了であったため,そもそも損害が生じておらず,したがって,その時期に原告が損害を認識することもない。 イ信義則違反次の各事実に照らすと,被告Y1による消滅時効の援用は,信義則に反し許されない。 (ア) 平成10年9月17日の公取委の立入検査後,原告が本件5社及びα4に対し独禁法違反の行為を行っているか否かについて事情聴取をしたところ,本件5社及びα4は,そのような行為がないと回答し,被告Y1は,同月21日付けで,その旨の誓約書(甲B27の1)を原告に提出した。 (イ) 反の行為を行っているか否かについて事情聴取をしたところ,本件5社及びα4は,そのような行為がないと回答し,被告Y1は,同月21日付けで,その旨の誓約書(甲B27の1)を原告に提出した。 (イ) 平成11年8月9日,原告が本件5社及びα4に対し独禁法違反の行為を行っているか否かについて再度事情聴取をしたところ,本件5社及びα4は,改めてそのような行為がないと回答し,被告Y1は,同月11日付けで,その旨の確約書(甲B28の1)を原告に提出した。 第3当裁判所の判断 前記基礎となる事実のほか,証拠(以下の各項末尾に掲記する。)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実を認めることができる。 (1) ごみ焼却施設の概要及び種類アごみ焼却施設の概要ごみは,家庭生活の営みに伴って排出される一般廃棄物と,事業者の事業活動に伴って排出される産業廃棄物とに区分され,廃棄物の処理及び清掃に関する法律により,一般廃棄物は原則として市町村が処理することになっている。このため,市町村は,その区域内で排出される一般廃棄物を処理するために,単独で又は他の市町村とともに一部事務組合若しくは広域連合(いずれも地方自治法が定める地方公共団体の組合)を結成してごみ処理施設を整備しており,国は,地方公共団体が一般廃棄物を円滑かつ適正に処理するために行うごみ処理施設の整備事業について,補助金を交付している。 地方公共団体が整備するごみ処理施設は,ごみ処理方法により,①ごみ焼却施設,②ごみ燃料化施設,③粗大ごみ処理施設,④廃棄物再生利用施設及び⑤高速堆肥化施設に区分される。 このうち,①のごみ焼却施設は,燃焼装置である焼却炉を中心に,ごみ供給装置,灰出し装置,排ガス処理装置等の焼却処理設備を配置し,ごみの焼却処理を行う施設であり,その施設には灰溶融設備や余熱利用設備が付 うち,①のごみ焼却施設は,燃焼装置である焼却炉を中心に,ごみ供給装置,灰出し装置,排ガス処理装置等の焼却処理設備を配置し,ごみの焼却処理を行う施設であり,その施設には灰溶融設備や余熱利用設備が付帯している場合がある。また,地方公共団体は,①のごみ焼却施設を建設するに当たって,③の粗大ごみ処理施設及び④の廃棄物再生利用施設を併設することもあり,その場合には,これらの施設を,ごみ焼却施設と一体として一括発注することがある。 イごみ焼却施設の種類ごみ焼却施設は,1日当たりの稼働時間により,24時間連続稼働する全連続燃焼式(全連),16時間稼働する准連続燃焼式(准連)及び8時間稼働するバッチ燃焼式に区分される。 また,ごみ焼却施設は,採用される燃焼装置の燃焼方式により,ストーカ炉のほか,流動床式燃焼装置を採用する焼却施設(以下「流動床炉」という。)及びガス化溶融式焼却施設(以下「ガス化溶融炉」という。)があり,ストーカ炉及び流動床炉が主要機種であるが,ガス化溶融炉も導入されるようになってきている。 ウごみ焼却施設建設工事の種類地方公共団体が発注するストーカ炉の建設工事には,新設,更新,増設,改造及び補修工事がある。 「新設工事」とは,ごみ焼却施設を新たに建設することをいい,「更新工事」とは,老朽化したごみ焼却施設の建替えや老朽化した焼却炉等の入替えを行うことをいい,「増設工事」とは,既設のごみ焼却施設の処理能力を増加させるため,当該施設の一部として焼却炉等を新たに増設することをいい,新設,更新及び増設工事については,いずれも,ごみの焼却処理に必要な施設又は設備を新たに建設又は整備することとなる。(以上アないしウにつき,甲B1,弁論の全趣旨)(2) ごみ焼却施設の発注方法等ア発注までの概略地方公共団体は,ごみ処理施設を建設する実行 必要な施設又は設備を新たに建設又は整備することとなる。(以上アないしウにつき,甲B1,弁論の全趣旨)(2) ごみ焼却施設の発注方法等ア発注までの概略地方公共団体は,ごみ処理施設を建設する実行年度の前々年度以前に「ごみ処理基本計画」を策定する。ごみ処理基本計画において,地方公共団体は,将来の人口の増減予測に基づいてごみの種別ごとの排出量を推計し,リサイクルできるごみの量や地域内で処理が必要なごみの量等を把握した上,その処理のために設置すべき施設の整備計画の概要を取りまとめている。 地方公共団体は,その後,ごみ処理施設の建設用地の選定,環境アセスメント,都市計画の決定等の手続を経た上で,実行年度の前年度に「ごみ処理施設整備計画書」を作成し,これを都道府県を経由して国に提出する。 その際,工事費用を把握するため,将来の入札に参加させられる施工業者を選定し,工事の仕様を提示して「参考見積金額」を徴している。そして,国が国庫補助事業として予算計上した地方公共団体のごみ処理施設整備事業については,予算計上後に内示が行われ,当該地方公共団体は,この内示を受けた後に,一般競争入札,指名競争入札,指名見積り合わせ又は特命随意契約のいずれかの方法により,発注している。 地方公共団体は,整備すべきごみ処理施設が焼却施設である場合,通常,「ごみ処理施設整備計画書」の作成時点までに,あらかじめ当該施設の燃焼方式をいずれとするかを定めているが,燃焼方式を1つに定めずに発注手続を実施する場合もある。(甲B1,弁論の全趣旨)イ発注方法地方公共団体は,全連及び准連ストーカ炉の新設,更新及び増設工事を,指名競争入札,一般競争入札,指名見積り合わせ又は特命随意契約のいずれかの方法により発注しているが,ほとんどの場合は指名競争入札等(指名競争入札,一般競争入札又 トーカ炉の新設,更新及び増設工事を,指名競争入札,一般競争入札,指名見積り合わせ又は特命随意契約のいずれかの方法により発注しているが,ほとんどの場合は指名競争入札等(指名競争入札,一般競争入札又は指名見積り合わせ)の方法によっている。 また,地方公共団体は,ストーカ炉の建設工事の発注に当たり,ほとんどの場合,ごみ焼却施設を構成する機械,装置の製造及び据付工事並びに土木建築工事を一括して,プラントメーカー又はプラントメーカーと土木建築業者による共同企業体(JV)に発注しているが,ごみ焼却施設を構成する機械,装置の製造及び据付工事と土木建築工事とを分離して,前者をプラントメーカーに,後者を土木建築業者に,それぞれ発注する場合もある。 地方公共団体は,指名競争入札又は指名見積り合わせの方法で発注するに当たっては,入札参加資格申請をした者のうち,地方公共団体が競争入札参加の資格要件を満たす者として登録している有資格者の中から指名競争入札又は指名見積り合わせの参加者を指名している。 また,一般競争入札に当たっても,資格要件を定め,一般競争入札に参加しようとする者の申請を受けて,その者が当該資格要件を満たすか否かを審査し,資格を有する者だけを一般競争入札の参加者としているため,プラントメーカーであるというだけで容易に入札に参加できるわけではない。(甲A12,14,17,29,甲B1,弁論の全趣旨)ウ発注件数及び金額平成6年度から平成10年度までの間に,地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事の契約件数は87件,発注トン数(1日当たりのごみ処理能力トン数。以下同じ。)は合計2万3529トンであり,発注金額(受注業者の落札金額による。以下同じ。)は合計約1兆1031億円である。このうち本件5社が受注した件数は,8 (1日当たりのごみ処理能力トン数。以下同じ。)は合計2万3529トンであり,発注金額(受注業者の落札金額による。以下同じ。)は合計約1兆1031億円である。このうち本件5社が受注した件数は,87件中66件であり,その割合は受注トン数(各工事に係る発注トン数を合計したもの。以下同じ。)で約87.3パーセント(2万0534トン),受注金額(落札金額による。以下同じ。)で約87.0パーセント(約9601億円)である。(甲A29,甲B1)(3) ストーカ炉の建設工事市場における本件5社の地位アプラントメーカー平成6年度から平成10年度までの間に,本件5社及びα4のほかに,ストーカ炉のプラントメーカーとしては,株式会社α5(平成6年10月にα7株式会社を吸収合併した。以下「α5」という。),α8株式会社(以下「α8」という。),α6株式会社(現商号は株式会社α6’である。以下「α6」という。),α9株式会社(以下「α9」という。),株式会社α10,α11株式会社,α12株式会社等が存在していた。 (甲A20,28,29,31,33,45,甲B1)イ本件5社の位置付け本件5社は,ストーカ炉の建設工事の施工実績の多さ,施工経歴の長さ,施工技術の高さ等から,ストーカ炉の建設工事について,プラントメーカーの中にあって「大手5社」と称される中核的な存在であった。(甲A14,18,20,28,31,33,甲B1)ウ本件5社の事業能力本件5社は,平成10年9月17日までの間,ストーカ炉の建設工事について,次のとおり,製造能力,情報収集能力等の点において,アウトサイダー(本件5社以外のプラントメーカー)と比べて優位にあった。 (ア) 本件5社の製造能力本件5社は,ストーカ炉を製造する技術能力が高く,特に1炉につき1日当たりのごみ処理能力トン数が ,アウトサイダー(本件5社以外のプラントメーカー)と比べて優位にあった。 (ア) 本件5社の製造能力本件5社は,ストーカ炉を製造する技術能力が高く,特に1炉につき1日当たりのごみ処理能力トン数が200トン以上の焼却炉を製造する能力についてはアウトサイダーと比べて優位性を有していた。(甲A29,34,45,甲B1)(イ) 本件5社の情報収集能力本件5社は,地方公共団体のごみ焼却施設の建設計画や保有するごみ焼却施設の稼働状況等の情報が掲載された業界紙等を基に,各地方公共団体ごとのごみ焼却施設の建設計画の有無及びその既存施設の耐用年数によるおおむねの更新時期を把握していた。 また,本件5社は,これらの情報を基に,本社及び支店等の営業担当者が,地方公共団体のごみ処理施設に関係する部署の担当者,地方公共団体がごみ処理基本計画等の作成を委託しているコンサルタント会社,建設計画に影響力のある政治家や地元の有力者等から,地方公共団体のごみ焼却施設の建設計画について情報収集をしていた。 さらに,本件5社は,地方公共団体が「ごみ焼却施設整備計画書」を作成するに当たり,その地方公共団体から当該計画に係る参考見積書又は見積設計図書の作成依頼を受けることにより,ごみ焼却施設の建設計画についてより詳細な情報を把握していた。 このようにして,本件5社は,地方公共団体のごみ焼却施設の建設計画について,建設計画が判明した初期の段階から具体化されていく過程において,ごみ焼却施設の機種(ストーカ炉か流動床炉かなど),処理能力,建設予定時期等様々な情報を順次収集し,把握していた。(甲A13,18,24,42,47,50ないし53,120,123,156ないし159,甲B1)エ本件5社の指名実績(ア) 地方公共団体は,ごみ焼却施設に係る「整備計画書」を厚生省(本件 。(甲A13,18,24,42,47,50ないし53,120,123,156ないし159,甲B1)エ本件5社の指名実績(ア) 地方公共団体は,ごみ焼却施設に係る「整備計画書」を厚生省(本件対象期間当時)に提出するに当たり,その資料の1つとして見積設計図書を作成する必要があった。プラントメーカーとしては,見積設計図書の作成依頼を受けることで,施設の規模(発注トン数),選定機種(ストー力炉,流動床炉,ガス化溶融炉等),稼働時間(全連,准連等)等が把握でき,発注仕様書に自社が製造するストーカ炉の仕様を反映できる可能性があるとともに,当該ごみ焼却施設に係る指名競争入札等が実施される場合に入札参加者として指名を受ける確率が高まることから,これを非常に重要なものと認識し,見積設計図書の作成依頼を受けられるようにすることをまず目標として営業活動を行っていた。実際,本件5社は,ごみ焼却施設の建設を計画する地方公共団体から見積設計図書の作成依頼を受けることが多かった。(甲A18,20,23,24,34,甲B1,丙13)(イ) 本件5社は,地方公共団体が実施するストーカ炉の建設工事の指名競争入札等において指名を受ける機会が多く,指名競争入札等に数多く参加していた。一方,アウトサイダーは指名を受ける機会が少なく,本件5社とアウトサイダーとの間には格差があった。 もっとも,平成3年度から平成6年度までは,本件5社が70パーセント台ないし90パーセント台の物件に指名されているのに対し,α5及びα4は20パーセント台ないし30パーセント台の指名率にとどまっていたが,平成7年度から平成9年度は,本件5社が依然として高い指名率を維持する一方で,α5及びα4の指名率も50パーセント台ないし70パーセント台と上昇し,平成9年度においては,α1の指名率は,α いたが,平成7年度から平成9年度は,本件5社が依然として高い指名率を維持する一方で,α5及びα4の指名率も50パーセント台ないし70パーセント台と上昇し,平成9年度においては,α1の指名率は,α4の指名率を下回り,α5と同率であった。(甲A29,149,甲B1)オ本件5社の受注実績(ア) 本件5社は,地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するストーカ炉の建設工事を数多く受注していた。 平成6年度ないし平成10年度の地方公共団体発注のストーカ炉の建設工事の契約における本件5社の受注トン数及び受注金額に占める割合は前記(2)ウのとおりであり,アウトサイダーがストーカ炉の建設工事を受注することは少なく,本件5社とアウトサイダーとの間には格差があった。(甲A29,160,甲B1)(イ) ごみ焼却施設の規模(1日当たりのごみ処理能力トン数)は,当該施設を設置する地方公共団体の区域内の住民1人当たりのごみ排出量等に基づいて算出されることから,当該地方公共団体の人口に比例して大型化する傾向にあるところ,東京都や政令指定都市等が発注する規模の大きなストーカ炉の建設工事は,平成6年度から平成10年9月17日までの間,これを受注したのは本件5社だけであった。 そして,東京都や政令指定都市以外の地方公共団体は,ストーカ炉の建設工事を発注するに当たって,東京都や政令指定都市の発注動向をみて発注内容を検討する傾向にあることから,本件5社だけが東京都や政令指定都市の発注するストーカ炉の建設工事を受注していたことは,本件5社にとって,ごみ焼却施設の建設を計画するその他の地方公共団体に対する営業活動を行う上で有利な事情であった。(甲A11,29,34,118,甲B1)カアウトサイダーの地位アウトサイダーも,本件5社と同様に,地方公共団体発注のスト するその他の地方公共団体に対する営業活動を行う上で有利な事情であった。(甲A11,29,34,118,甲B1)カアウトサイダーの地位アウトサイダーも,本件5社と同様に,地方公共団体発注のストーカ炉の建設工事の入札に参加すべく営業活動を行っており,前記エ(イ)のとおり,平成7年度以降,指名率は上昇したが,受注実績には結びついておらず,平成8年ないし平成10年ころ,本件5社と協調した行動をとることによりストーカ炉の受注実績を得ることを検討していたプラントメーカーもあった。(甲A39,48,110ないし112,114ないし118,甲B1) 争点(1)(本件各工事に関する談合の存否)について(1) 本件5社担当者による会合前記認定事実に加え,証拠(甲A20,28,33,46,104,105,139)によれば,本件5社は,遅くとも平成6年4月以降,各社のごみ焼却施設に関する営業担当者が出席する会合を,開催場所各社持ち回りで月1回程度開催していたこと,この会合には,被告Y2からは本社機械事業本部環境装置第一部環境装置一課長であるβ2(昭和61年10月に同課配属,平成8年4月に同課課長に就任),α3からは環境事業本部営業本部東京営業部長であるβ3(平成2年6月に同営業部配属,平成10年4月に同営業部部長に就任),被告Y1からは環境プラント統轄本部東京環境プラント部第二課長であるβ4,α2からは環境第一営業部第一営業室長であるβ5(平成4年7月に環境プラント営業部配属,平成10年1月に環境第一営業部第一営業室長に就任。なお,環境第一営業部は,環境プラント営業部と都市環境システム営業部が統合されたものである。),α1からは平成8年4月以前は本社機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部環境装置第一営業部長であるβ6,同月以降は本社機 境プラント営業部と都市環境システム営業部が統合されたものである。),α1からは平成8年4月以前は本社機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部環境装置第一営業部長であるβ6,同月以降は本社機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部営業開発第二部長であるβ7(平成8年4月に環境装置第一営業部主査に就任し,平成9年6月には,同営業部部長に就任し,平成10年1月に営業開発第二部長に就任)がそれぞれ出席していたこと,平成6年4月以降上記会合に出席した営業担当者について,上記のα1におけるβ6からβ7への交代以外には,出席者の変更はなく,これらの者は,本件5社の各本社のごみ焼却施設の営業担当部署の部長若しくは課長又はこれらと同等の待遇の者であったことが認められる。 (2) 本件5社の担当者の供述等に基づく検討ア被告Y2・β2(甲A28,46)(ア) β2は,前記(1)のとおり,昭和61年10月に被告Y2の本社機械事業本部環境装置第一部環境装置一課に配属され,平成8年4月から同課課長となった。 公取委の審査官は,公取委がプラントメーカーに対し立入検査を実施した当日(平成10年9月17日),β2から事情聴取し,同人が供述した内容を録取し,同人に内容を読み聞かせて誤りがないことを確認した上で署名,指印させ,供述調書として完成させた。(甲A28,46。 以下,β2の供述のうちこれらの供述調書におけるもののみを「β2当初供述」という。)β2当初供述の概要は,次のとおりである。 ①本件5社は,ごみ処理施設の発注が予定される物件の受注調整を行うため,毎月1回程度,各社の営業責任者クラスの者が集まり,出席各社の持ち回りで各社の会議室において会合を開催している。 ②β2は,平成6年4月以降,前任者であったβ8に代わってその会合に出席するようにな 毎月1回程度,各社の営業責任者クラスの者が集まり,出席各社の持ち回りで各社の会議室において会合を開催している。 ②β2は,平成6年4月以降,前任者であったβ8に代わってその会合に出席するようになった。β2は,ごみ処理プラントの官公需部門の営業に関する実質的な責任者として,受注物件,販売価格等を決定する立場にあり,各支社のごみ処理プラント部門を統括して受注計画を策定したりするため,各支社の担当者からヒアリングなどを行い,その中で各支社の営業活動について指示するなどしている。 ③会合の出席者は,発注が予定される物件については,大分前から情報をつかんでおり,どのような物件があるかは全員が共通の認識を持っている。 ④会合では,ごみ処理プラントの発注が予定されている物件について,各出席者がそれぞれ受注を希望するか否かを表明し,受注希望者が1社の場合には,当該社が受注予定者(チャンピオン)となり,受注希望者が2社以上の場合は,希望者同士が話し合って受注予定者を決める。 ⑤受注予定者を決める基本は各社が平等に受注することであり,ごみ処理プラントの場合は,1日のごみ処理能力で計算しており,各社が受注するごみ処理施設の処理能力の合計が平等になるように受注予定者を決めるという方法で行っている。 ⑥受注希望者が2社以上になり,話合いによっても決められない場合には,最終的にはどちらが多く受注しているかで判断することになるが,β2が会合に出席するようになってからは,受注希望がかちあっても希望者同士の話合いですべて受注予定者が決まっている。 ⑦会合での話合いによりごみ処理プラントの発注予定物件の受注予定者を決めるに当たっては,ごみ処理プラントの処理能力によって,1日の処理能力が400トン以上の「大」,200トン以上の「中」,200トン未満の「小」の によりごみ処理プラントの発注予定物件の受注予定者を決めるに当たっては,ごみ処理プラントの処理能力によって,1日の処理能力が400トン以上の「大」,200トン以上の「中」,200トン未満の「小」の3つに分けており,「大」,「中」,「小」それぞれに分けて,受注希望物件を確認して受注予定者を決めている。 ⑧会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメンバーである本件5社以外の者(アウトサイダー)が一緒に指名された場合には,アウトサイダーの相指名業者と個別に会って,自社が受注できるように協力を求め,当該相指名業者に物件を受注させる必要が生じたときは,受注予定者が会合で了承を受けた後,当該相指名業者に受注させていた。 ⑨受注予定者は,指名を受けた物件について積算し,会合のメンバー(本件5社)を含めた各相指名業者に入札の際に書き入れる当該相指名業者の金額を電話等で連絡して協力を求めている。会合のメンバー以外の相指名業者についても,大体顔を知っているので,各社の営業責任者クラスの者に連絡し,受注予定者が受注できるよう協力してもらっている。 ⑩β2が会合に出席するようになってからは,被告Y2が受注予定者となった物件のほとんどすべては予定どおり被告Y2が受注している。 (イ) 被告Y2においては,課長級の者は1億円を超える案件は最終的な決裁権限を有していたわけではなかったが,前記(1)の認定事実によれば,上記会合の出席者は各社において相応の地位を有する者であり,β2を含め上記会合出席者は,事前に各社内で検討したところに基づいて受注に関する希望を述べ,交渉することを委ねられていたものと推認することができる。 (ウ)aβ2は,被告Y2において,ごみ処理施設の官公需部門の営業に直接従事していた者であるところ,β2当初供述は,そのような 希望を述べ,交渉することを委ねられていたものと推認することができる。 (ウ)aβ2は,被告Y2において,ごみ処理施設の官公需部門の営業に直接従事していた者であるところ,β2当初供述は,そのような立場において自らが直接体験した事柄を,公取委の立入検査が実施された当日にありのまま述べたものと考えられるし,その供述も前記のとおり具体的なものであって,その内容自体に不自然,不合理な点はみられない。 そして,後記のとおり,本件においては,本件5社が将来発注が予定されるストーカ炉の建設工事について相当程度認識を一致させていたことや,これを踏まえ,受注予定者の決定がなされたことを推認させるリストが存在すること(後記(3)),本件5社が,受注希望表明の対象となる工事を確定し,ストーカ炉の建設工事の受注予定者を決めるための会合を開催したことや,この会合において,発注予定のストーカ炉の建設工事を規模別に分類して受注希望表明を行い,具体的に受注予定者を決定したことを推認させるβ2自身のノート(甲A67)等が存在すること(後記(4)),本件5社の会合で決定された受注予定者の受注を実現するため,入札の実施前において,本件5社の間で,入札価格等の連絡が行われたことを示す証拠があること(後記(5)),本件5社の営業担当者の中には,ストーカ炉の建設工事に関し,ストーカ炉の処理能力トン数を基にした数値を加算するなどして継続的に各社の受注状況及び受注予定を数値によって把握していた者がいたこと(後記(6))等のβ2当初供述を裏付ける客観的事情が認められるところ,β2当初供述は,これらの事実等と符合するのであって,これらを全体的に考察すると,一連の事態の推移に関する説明として合理的なものと評価することができる。 b被告らは,β2当初供述に係る供述調書は公取委の審査 述は,これらの事実等と符合するのであって,これらを全体的に考察すると,一連の事態の推移に関する説明として合理的なものと評価することができる。 b被告らは,β2当初供述に係る供述調書は公取委の審査官の誤った先入観と予断に基づく誘導ないし押付けによって作成されたものであり,取調状況もβ2が強い圧迫を受ける異常な状況で,β2は供述調書の内容をよく理解できないまま署名指印したものであるなど,β2が審査官から不当な取調べを受けたものであって,β2当初供述には任意性及び信用性がない旨主張する。 しかし,審査官が取調べに当たりβ2を威迫したなどのβ2当初供述の任意性や信用性を左右する事実を認めるに足りる証拠はない。 β2は,審査官が作成した供述調書につき,内容がよく理解できないまま署名してしまったという趣旨の供述もしているが(例えば,甲A182ないし186),その供述はそれ自体にわかに措信し難いものである上,α2のβ5がβ2から審査官の取調状況を聞き,その内容を書き記したメモ(甲A36,80)の内容が,β2当初供述の内容とおおむね合致していることからしても,β2は調書の内容を把握して署名したことが推認されるのであって,上記供述は採用し難い。 また,β2は,β2当初供述の後,受注調整のため本件5社の担当者が集まった会合は存在しないなどと供述を変遷させ,自らがしたβ2当初供述の内容を否定するに至っているが(特に,甲A176,183ないし189),後の供述の内容は,例えば,自らがノートに記した受注調整のための会合と疑われる記載の意味すら説明しないなど,不自然極まりないものであって,β2が後になって事の重大性を認識し,雇用主である被告Y2やその取引先,同業他社等の関係者に多大な損害を与える可能性を慮って供述を変遷させた疑いが強いものである。そうすると 極まりないものであって,β2が後になって事の重大性を認識し,雇用主である被告Y2やその取引先,同業他社等の関係者に多大な損害を与える可能性を慮って供述を変遷させた疑いが強いものである。そうすると,β2の後の供述は,たやすく信用することができず,β2当初供述の信用性を揺るがすものではない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 イα2・β1(甲A35,44)(ア) β1は,昭和49年4月にα2に入社し,平成8年7月から,大阪支社機械プラント部環境プラント営業室長として,近畿一円の官公庁が発注するごみ処理施設の受注業務等に関する責任者であった(ただし,指名競争入札等の見積価格や入札価格については,α2本社環境プラント第2営業部第1営業室から指示された価格で対応することとされていた。)。β1は,平成8年の秋から冬にかけて,上司である本社環境プラント営業部のβ9第2営業部長,β10第1営業室長等から,ストーカ炉の建設工事に関する本件5社の受注調整について聞いた内容を取りまとめ,ごみ処理関係について部下を指導するためにメモ(甲A35。 以下「β1メモ」という。)を作成し,後日,内密にその内容を部下に伝えた。(甲A44,140)β1メモには,ストーカ炉は,本件5社が中核メンバーで,α5及びα4が準メンバーであり,α8,α9等は話合いの余地はあるとされ,「ストーカー大手5社のルール」として,本件5社は,対象工事を,1日のごみ処理能力が400トン以上の「大」,399トン以下の「その他全連」,「准連」の3つに分けて,1年に1回,張り付け会議を行う,張り付け会議では,その時点で明確となっている物件をほぼ各社1個ずつ指定し,その後は,その会社が受注する権利を有するとともに本件5社指名を守る義務があり,その物件の入札が何年後であるかは関係がな 張り付け会議では,その時点で明確となっている物件をほぼ各社1個ずつ指定し,その後は,その会社が受注する権利を有するとともに本件5社指名を守る義務があり,その物件の入札が何年後であるかは関係がない,本件5社のシェアは平等の20%とし,20%のシェアを維持する方法は,受注トン数を指名件数で除したもの(受注トン数/指名件数)であり,そのためには指名に数多く入った方がよい,その物件に,アウトサイダーが入ったときは,たたき合いとなるが,補填等はされない旨が記載されている。 (イ)aβ1メモの記載及びβ1の供述は,後記cのとおり重要な部分についてβ2当初供述の内容と一致している上,後記(3)以降に認定判断する本件5社の受注調整を巡る客観的な事実関係と良く符合するものと評価することができるから,その信用性は十分に認められるというべきである。また,前記認定事実によれば,β1は,α2大阪支社機械プラント部環境プラント営業室長としてストーカ炉の営業担当者であった者で,その職務の性質上,ストーカ炉の受注に関し相当の関心,知識を有しており,本社の指示に従って実際に営業活動を行う立場にあって,そのような関心と知識の下にβ1メモを作成したものと認められることからも,その上司であるβ9らから聞き取ったというβ1メモの内容には信用性があるといえる。 b被告らは,β1が本件5社の会合の出席者でなく,他社から聴取した内容を述べた伝聞供述にすぎないから,その供述の内容には信用性がない旨主張する。 しかし,上記のとおり,β1は,自己の職務の性質上,ストーカ炉の受注に関し相当の関心,知識を有しており,そのような関心と知識の下にβ1メモを作成したものと認められることからすれば,伝聞であるからといって,その聴取した内容が信用性に欠けることにはならないというべきである。 当の関心,知識を有しており,そのような関心と知識の下にβ1メモを作成したものと認められることからすれば,伝聞であるからといって,その聴取した内容が信用性に欠けることにはならないというべきである。 cまた,被告らは,β2当初供述とβ1メモ及びβ1の供述とでは,受注対象物件の分類等基本合意の中でも重要な部分に食い違いがみられることから,両供述等には信用性がない旨主張する。 確かに,β2当初供述とβ1メモ及びβ1の供述とを比較すると,対象物件の分類(400トン以上の「大」,200トン以上の「中」,200トン未満の「小」の分類か,400トン以上の「大」,399トン以下の「その他全連」,「准連」の分類か),受注予定者の決め方(受注に係るストーカ炉の処理能力トン数の合計か,受注したストーカ炉の処理能力トン数を指名件数で除したものか),アウトサイダーとの関係(協力を求めるか否か)という点において,違いがみられる。 しかしながら,β2当初供述とβ1メモ等とは,本件5社が会合を開いて張り付け会議を行い受注予定者を決定し,本件5社間で受注機会が均等になるようにしていたこと,対象物件につきトン数等による区分を設けて受注調整を行っていたことなどの重要な部分については一致している。加えて,対象物件の区分の仕方については,後記(3)アのとおり,平成9年ころ以降に作成された本件5社のリストが,いずれも,大型工事(400トン以上),中型工事(200トン以上400トン未満)及び小型工事(200トン未満)という分類を前提としているのに対して,α1のリスト(甲A65)は,その記載内容に照らし,平成8年ころに作成されたと推認されるところ,このリストにおいては,ストーカ炉の建設工事が「大型」,「中型(400t未満全連)」及び「准連」に分類されているのであって,このこと の記載内容に照らし,平成8年ころに作成されたと推認されるところ,このリストにおいては,ストーカ炉の建設工事が「大型」,「中型(400t未満全連)」及び「准連」に分類されているのであって,このことに,β1が本件5社の受注調整のためのルールを上司から聞き,β1メモを作成したのが平成8年であることを併せ考えると,β2当初供述とβ1メモ等との食い違いは,時期の相違として理解することが可能であり,また,アウトサイダーとの関係についても,β2当初供述は,アウトサイダーとの調整が失敗した場合の対応について言及していないのに対して,β1メモ等は,前記の記載内容等からして,アウトサイダーとの間で調整のための努力をすることは当然の前提として,それが失敗した場合について言及したもので,そのため表面上の差異が生じたにすぎないと理解することが可能である。そうすると,これらの点から,β2当初供述とβ1メモ等とが実質的に矛盾しているということはできない。両者の一致点はストーカ炉の建設工事の受注に関して重要な要素となる部分であり,この一致点からみれば,その他の食い違いがあることは,両証拠の信用性を否定する根拠となるものではない。 したがって,上記被告らの主張は採用できない。 ウ被告Y2・β11(甲A42,43,49,102)β11は,平成8年3月,被告Y2の中国支社機械一課に配属された後,同年4月1日付けで同課課長となり,官公庁向けのごみ焼却施設等の営業を担当していた。(甲A42)β11は,平成8年3月,前任者のβ12から中国支社機械一課の業務内容の引継ぎを受けた際,聞き取った内容をメモにした。このメモ(甲A40)には,官庁業務のうちごみ処理については,本件5社が,全連及び准連のストーカ炉について受注機会の均等を図るため仲良く話合いをする旨の記載がある。 際,聞き取った内容をメモにした。このメモ(甲A40)には,官庁業務のうちごみ処理については,本件5社が,全連及び准連のストーカ炉について受注機会の均等を図るため仲良く話合いをする旨の記載がある。(甲A40,42,43)β11は,本件5社は,受注機会の均等を図るため,受注予定者(チャンピオン)を決めて,受注予定者が受注できるようにしており,実際の入札での受注予定者を決める話合いは本件5社の本社レベルで行われていると認識している旨述べている。 エ被告Y2・β13(甲A47,103,108)β13は,平成元年4月,被告Y2の中国支社化学環境装置課(後に,機械一課と名称が変更された。)に配属され,官公庁向けのごみ焼却施設等の営業を担当していた。(甲A47)β13は,同課に配属された際,前任者のβ14から「業界(機種別)の概況について」との書き出しの文書(甲A37)を引き継いだ。この文書には,ごみ焼却炉について,全連ストーカ炉について,本件5社には受注調整のための協定があり,それにより,受注機会を均等化(山積み)しており,極力本件5社のメンバーセットが必要である(他社介入のときには条件交渉を伴う)こと,必注案件は強力な営業事情をベースに本社において主張させるべきバックグラウンド作りが肝要であること,他社案件でも指名入りで分母の積み上げを図る必要があること等が記載されている。 (甲A37,47,108)β13は,自分が営業担当となってからも,本社レベルで受注調整行為が行われていると認識している旨供述している。 オ被告Y1・β15(甲A45)β15は,平成10年6月から被告Y1の環境プラント本部長を務め,西日本におけるごみ焼却炉の営業の責任者であるが,同社環境プラント本部営業部長から,同社が受注を獲得するための営業方針について,1番目は 5は,平成10年6月から被告Y1の環境プラント本部長を務め,西日本におけるごみ焼却炉の営業の責任者であるが,同社環境プラント本部営業部長から,同社が受注を獲得するための営業方針について,1番目はコスト,2番目は自社の焼却炉の技術が発注者に認められること,3番目は発注者に認められたことをメーカー各社に認知してもらえれば協力を得られるチャンスがあることといった内容を聞いたことがある旨,及び,3番目の協力を得られるチャンスがあるというのは,具体的には,自社がどうしても受注したい物件については,他社との間で話合いを行い,他社の協力を得て,自社の入札価格よりも高い価格で他社が入札することに応じてもらうことであり,その一方では,他社が発注者から認められているような物件でどうしても受注したい物件については自社が協力することになる旨述べている。 カ小括以上のとおり,本件5社間における談合に関して,少なくとも,被告ら及びα2の3社の関係者から,これを肯定する供述等の証拠が得られており,その中でも,β2当初供述並びにβ1メモ及びβ1の供述は具体性を有するものであり,他の関係者の供述等もこの両名の供述等におおむね合致している。 このような関係者の供述等の存在は,談合の存在を推認させる有力な根拠となるものである。 被告らは,これらの供述等の信用性に関して前記ア(ウ)及びイ(イ)で指摘したもののほかにも諸々の主張をするが,いずれも採用することができず,他に上記認定判断を左右するに足りる証拠はない。 (3) 本件5社が受注予定者を決定していたことを推認させるリストア本件5社においては,将来発注が予想されるストーカ炉の建設工事を規模別に分類し,具体的に記載したリストを作成していたことが認められるところ(被告Y2につき甲A66,67,α3につき甲A54ないし ア本件5社においては,将来発注が予想されるストーカ炉の建設工事を規模別に分類し,具体的に記載したリストを作成していたことが認められるところ(被告Y2につき甲A66,67,α3につき甲A54ないし56,α2につき甲A58,59,61ないし63,α1につき甲A65,153,155),これらのリストについて,次のような特徴を指摘することができる。 (ア) α1の平成9年9月ころのリスト(甲A155。なお,「全連400T以上」,「全連200-400T未満」,「全連60-200T未満」,「全連60T未満」の4つに分類されている。)には,小型物件(「全連60-200T未満」)のうち14工事について,左端の欄に手書きで,本件5社の略称(M,T,K,N,H)が記載されている。 (イ) α2の平成9年9月11日付けのリスト2通(甲A62,63。なお,「全連400t以上」,「全連200t以上400t未満」,全連200t未満」の3つに分類され,「60t以下の物件は超小型の為,別枠とする。」と付記されている。)は,2通とも記載された工事は同一であるが,同リストと上記α1のリストとは,次のとおり,記載された工事がほぼ一致している。 a全連400t以上の工事についてα2のリストに「(追加)」として記載された工事を含めると,最終的に両リストの記載は一致している。 b全連200t以上400t未満の工事についてα2のリストに「(追加)」として記載された工事を含めると,最終的に,両リストの記載は,α1のリストに「東京東村山」工事が記載されている点を除いて一致している。 c全連200t未満の工事について全連60t以上200t未満の工事については,α2のリストに「(追加)」として記載された工事を含めると,最終的に,両リストの記載は,α1のリストに「千葉八千代市」 c全連200t未満の工事について全連60t以上200t未満の工事については,α2のリストに「(追加)」として記載された工事を含めると,最終的に,両リストの記載は,α1のリストに「千葉八千代市」工事ほか1工事が記載されている点を除いて一致している。 また,全連60t未満の工事については,α2のリストに記載された「(和)打田粉河」工事が,α1のリストには記載されておらず,他方,同リストに記載された「和歌・那賀郡広域」工事が,α2のリストに記載されていない点を除けば,両リストは一致している。 (ウ) α2が所持していた平成9年12月17日付けのリスト(甲A58,59。なお,いずれのリストも,「全連400t以上」,「全連200t以上400t未満」,「全連200t未満」のほか,60トン以下の工事については別枠とされている。)とα3が所持していた平成10年1月27日にファクシミリ送信されたストーカ炉のリスト(甲A55。 なお,「大型」,「中型」,「小型」の3つに分類され,それぞれ,400トン以上,200トン以上400トン未満,200トン未満の工事が記載されている。)とは,次のとおり,記載された工事がほぼ一致している。 aまず,α2のリスト(甲A59)とα3のリストとでは,①「豊田加茂」工事が,α2のリストでは400t以上の工事に記載されているのに対し,α3のリストでは300tの工事として記載されている点,②α3のリストに記載されている「宗像古賀(組)」工事ほか2工事が,α2のリストには記載されておらず,他方,同リストに記載された「川口」工事が,α3のリストでは手書きで抹消されている点,及び③α3のリストに記載されている「飯能市」工事ほか3工事が,α2のリストでは手書きで抹消されるなどしている点を除き,一致している。 bまた,α2のリスト のリストでは手書きで抹消されている点,及び③α3のリストに記載されている「飯能市」工事ほか3工事が,α2のリストでは手書きで抹消されるなどしている点を除き,一致している。 bまた,α2のリスト(甲A58)とα3のリストとでは,上記①ないし③の点に加え,α15のリストに記載された「四日市市」工事ほか1工事が,α2のリストでは手書きで抹消され,同リストに記載された「金沢市」工事が,α3のリストでは手書きで抹消されている点を除き,一致している。 cそして,α15のリストは,印刷文字による工事名を手書きで抹消し,手書きで工事名を追記しているが,これによってα2のリスト(甲A58,59)との齟齬が少なくなっている。 (エ) α3が所持していた平成10年3月24日付けのリスト(甲A56。 なお,「大型」,「中型」,「小型」の3つに分類され,それぞれ,400トン以上,200トン以上400トン未満,200トン未満の工事が記載されている。)においては,「北海道恵庭市」工事ほか4工事について本件5社の略称が付されているところ,この5工事は,被告Y2が所持していたメモ帳(甲A77,78)に本件5社の略称と工事名が記載された工事とおおむね一致している。 (オ) α3が所持していた平成10年3月24日付けのリスト(甲A54。 なお,「400T以上(大型)」,「200T以上400T未満(中型)」,「200T未満(小型)」の3つに分類され,「200T(小型)」のうち60トン未満の工事については,特に「*」が付されている。)と,α2の環境エンジニアリング本部環境第二営業部長が所持していた平成10年9月16日付けのリスト(甲A61。なお,工事の規模による分類は,上記α3のリスト[甲A54]と同じである。)とは,「宮城富谷町」工事ほか8工事を除き,ほぼ一致している。 長が所持していた平成10年9月16日付けのリスト(甲A61。なお,工事の規模による分類は,上記α3のリスト[甲A54]と同じである。)とは,「宮城富谷町」工事ほか8工事を除き,ほぼ一致している。 イα1・β16のリスト(甲A89)(ア) α1の機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部のβ16は,「年度別受注予想H07.09.28」と題する印刷文字で記載された表とこれを作成するための原稿とみられる手書きの表等からなる書面(甲A89。以下これらを併せて「β16リスト」という。)を所持していた。(甲A89,140)β16リストの内容は,別紙2のとおりであるが,その記載内容からして,β16リストは,平成7年9月28日ころ,平成8年度から平成11年度まで及び平成12年度以降に発注が見込まれるストーカ炉の建設工事(同表の各「S」欄)について,当該工事の発注者である地方公共団体及びその発注トン数を記載したものと推認される。各工事に係る地方公共団体及び発注トン数は,各年度(「年度」欄)及び本件5社(「K」,「M」,「H」,「N」及び「T」とあるのは,それぞれ,α1,被告Y2,α3,α2及び被告Y1を指すと認められる。)ごとに分類されて記載されている。 (イ) そして,β16リストに記載されたストーカ炉の建設工事と,平成8年度から平成10年度までのストーカ炉の発注状況(甲A29)とを比較すると,次のとおり,β16リストに記載された工事については,作成後約3年間にわたり,実際に発注された工事と合致するものが22件あり,そのうち18件の工事がβ16リストの分類どおりに本件5社によって受注されているという特徴を認めることができる。 すなわち,平成8年度に発注された工事(全15件)のうちβ16リストには12件が記載されており,α4が落札した2件 リストの分類どおりに本件5社によって受注されているという特徴を認めることができる。 すなわち,平成8年度に発注された工事(全15件)のうちβ16リストには12件が記載されており,α4が落札した2件(β16リストでは「N」欄にある「日南地区衛生センター管理組合」工事[別紙1・番号46]及びβ16リストでは「M」欄にある「久居地区広域衛生施設組合」工事[別紙1・番号52])を除く10件について,β16リストに記載された本件5社がそれぞれβ16リストの記載どおりに受注している。また,平成9年度に発注された工事(全21件)のうちβ16リストには9件が記載されており,このうちα4が落札した1件(β16リストでは「N」欄にある「函南町」工事[別紙1・番号71])及びα3が落札した1件(β16リストでは「T」欄にある「東京都(中央地区清掃工場)」工事[別紙1・番号80])の2件を除く7件について,β16リストに記載された本件5社がそれぞれβ16リストの記載どおりに落札している。さらに,平成10年度に発注された工事(全7件)のうちβ16リストには1件(「M」欄にある「名古屋市(五条川工場)」工事[別紙1・番号85])が記載されており,同工事については,被告Y2が,β16リストの記載どおりに受注している(なお,β16リストに記載されたその余の工事名の工事については,平成10年度までには発注されていない。[甲A29,194])。 ウ検討(ア) 被告らは,β16リストが,そのタイトルに「年度別受注予想」とあるように,あくまでもα1が平成7年の時点において将来的なストーカ炉の建設工事の受注を予想したものにすぎない旨主張する。 しかし,前記のとおり,β16リストに記載されたストーカ炉の建設工事については,作成後約3年間にわたり,実際に発注された工事と合 的なストーカ炉の建設工事の受注を予想したものにすぎない旨主張する。 しかし,前記のとおり,β16リストに記載されたストーカ炉の建設工事については,作成後約3年間にわたり,実際に発注された工事と合致するものが22件あり,そのうち18件の工事がβ16リストの分類どおりに本件5社によって受注される結果となっており,そうした一致率からすれば,単なる受注予測を記載したものとは到底考えられないものである。すなわち,本来であれば,自由競争の下,本件5社及びアウトサイダー各社によって指名・受注のための熾烈な営業活動及び価格競争が展開され,最終的にどのプラントメーカーが受注するかは多種多様な要因に左右されると考えられるところ,いかに本件5社がストーカ炉の建設工事の市場において大手5社としての地位を占めており,かつ,α1が高度な情報収集能力を有していたと認められることを考慮に入れたとしても,本件5社ごとに,しかも,約3年も先の受注結果をおおむね正確に予想することはおよそ不可能というべきである。 被告らは,ストーカ炉の建設は本件5社といえども年間5,6件が最大の受注許容量であり,各社とも自社の受注条件に合致する工事に受注目標を絞り込んで集中的に営業すること,その際,競争相手の動向,発注者の動向等の情報収集に努め,自社の営業活動に反映させていくことなどから,3年先の受注結果も予想することも経験則上可能である旨主張するが,自由競争を前提とすれば,各社の営業活動がそのまま受注に結び付くとは限らないから,自社のみならず他の4社の受注目標の絞込みと受注結果をほぼ的確に予想することは通常考えられないことである。 また,被告らが主張するように,β16リストがα1の単なる受注予測を記載したものにすぎないとすれば,α4,α5等相応の受注実績を有するプラントメーカーについ 想することは通常考えられないことである。 また,被告らが主張するように,β16リストがα1の単なる受注予測を記載したものにすぎないとすれば,α4,α5等相応の受注実績を有するプラントメーカーについて一切記載がないというのも不自然である。 そうすると,上記結果については,本件5社において,β16リストに記載されたストーカ炉の建設工事の受注者を本件5社のうち誰にするかについてあらかじめ合意していた,すなわち受注予定者の決定がなされていたと推認することができるというべきであるから,上記被告らの主張は採用できない。 (イ) 被告らは,β16リストには,将来にわたって受注調整が不可能な純粋な技術提案審査方式による発注が見込まれた大阪市の3件の工事(「大阪-舞洲」,「大阪-平野」及び「大阪-東淀」)が含まれており,したがって,β16リストが,本件5社において決定した受注予定者を記載したものではない旨主張する。 確かに,上記の3件の工事については,技術提案審査方式による発注が見込まれていたことが認められるから,これらの工事について仮に受注予定者を決定したとしても,予定どおりに行くかは保証の限りでないようには考えられるけれども,大阪市が技術提案審査方式を採用することが判明する以前に受注予定者の決定がなされ,それがそのままβ16リストに記載されたものである可能性が十分にあることや,仮に,技術提案審査方式が見込まれたとしても,受注予定者を決定することがありえないわけではないこと(技術提案審査方式が見込まれたとしても,個々の工事について実際に同方式による発注がなされることが確定される前の段階にあっては,なお受注予定者を決めておくことに意味がある。)からすれば,β16リストにこれらの工事が記載されているからといって,β16リストに記載された工事について, されることが確定される前の段階にあっては,なお受注予定者を決めておくことに意味がある。)からすれば,β16リストにこれらの工事が記載されているからといって,β16リストに記載された工事について,上記(ア)のとおり受注予定者の決定がなされたと解することの妨げになるものとはいえないというべきである(なお,技術提案審査方式の場合に受注調整が困難ということであれば,受注予測はなおさら困難なはずであって,仮に,受注予測がある程度できるというのであれば,受注調整をすることもある程度可能ということになり,いずれにしても,技術提案審査方式が見込まれるものが含まれていることが,β16リストを受注予測を記載したものと認める根拠にはおよそならないものというべきである。)。 (ウ) 被告Y1は,本件5社の各リスト(前記ア)につき,地方公共団体が計画しているごみ焼却施設の建設工事の概要は,本件5社が高い情報収集能力を有していることからして,各社が独自に得られる情報であるから,各社が受注目標を設定して営業活動を行う過程で作成された各リストに記載された工事の多くが一致したとしても,何ら不自然でなく,本件5社間での受注調整を推認させるものではない旨主張する。 aしかし,上記の本件5社の各リスト及びβ16リスト(以下併せて「β16リスト等」という。)の各記載を照らし合わせると,次のとおり,β16リスト等において,工事ごとに本件5社のいずれかに分類されるなど受注予定者を決定したことをうかがわせる記載がされた工事については,その後に作成等されたリストでは,作成時点ではいまだ入札が行われていない工事であるにもかかわらず,そうした工事が掲載されていないという特徴があることを認めることができる。 すなわち,平成7年9月28日ころ,平成8年度以降ストーカ炉の建設工事として発 入札が行われていない工事であるにもかかわらず,そうした工事が掲載されていないという特徴があることを認めることができる。 すなわち,平成7年9月28日ころ,平成8年度以降ストーカ炉の建設工事として発注が見込まれる工事として,各工事を本件5社に振り分けて記載したβ16リスト(甲A89)に記載された工事は,その後作成された本件5社のリスト(被告Y2につき甲A66,67,α3につき甲A54ないし56,α2につき甲A58,59,61ないし63,α1につき甲A65,153,155)には記載されていない。同様に,α1が,平成9年9月当時のごみ処理施設の計画を大型物件,中型物件及び小型物件に分け,このうちの小型物件リストの左端欄に手書きで,14工事について本件5社の略称を記載したリスト(甲A155)に記載された14工事は,その後作成された本件5社のリスト(α2につき甲A58,59,61,α3につき甲A54ないし56)には記載されていない。さらに,α3の平成10年3月24日付けのリスト(甲A56)で本件5社の略称が付された5工事のうち,「北海道恵庭市」,「静岡盤南(組)」,「愛知沼津市」及び「長崎県央広域」の4工事は,その後作成されたと推認されるリスト(α3につき甲A54,α2につき甲A61)には記載されていない。 b被告Y1が主張するように,β16リスト等が,各社独自の情報収集の結果に基づき,受注調整と関係なく作成されたものにすぎないというのであれば,対象物件に関する記載が,入札実施前に,別の会社で作成されたリストから除外されるという経過は通常あり得ないことである。 むしろ,β16リスト等において受注予定物件として記載された工事がその後に作成された他のリストから除外されるという特異な経過に加えて,β16リストにおいて本件5社ごとに分類されて記 いことである。 むしろ,β16リスト等において受注予定物件として記載された工事がその後に作成された他のリストから除外されるという特異な経過に加えて,β16リストにおいて本件5社ごとに分類されて記載された工事の多くが,その後当該記載どおりに本件5社に落札されたという特徴的な事情(前記イ(イ))を併せ考慮すると,β16リスト等において本件5社の受注予定物件として記載された工事については,本件5社間において当該企業が受注する旨の合意が形成されていたために,その後のリストからは除外されて対象外とされ,その余の工事が更なる希望表明ないし調整の対象とされたものと推認されるというべきであるから,被告Y1の上記主張は採用できない。 (エ) 被告らは,β16リスト等に記載された工事については,①α1の平成10年8月31日付け「全国規模別主要案件表」(甲A24の添付資料5,6枚目),②α2の平成10年5月8日付け「年度別物件一覧表」(甲A50),③被告Y1の平成10年8月31日付け「平成11年度以降計画予想物件調査依頼の件」(甲A51),④α3の「平成10年度厚生省新規内示物件」(甲A88),⑤α2の「H10・11年度重点及び準重点物件について」(甲A123),⑥「平成10年度厚生省補助内示一覧(新規のみ)」(甲A147),⑦被告Y2の「受注計画工事調査表(秘)」(甲A179の添付資料),⑧α1の「ごみ処理施設受注状況表」(甲A18の添付資料3枚目)等のリスト中に記載があり,後に作成されたリストにも記載があるなどと主張する。 しかし,上記①ないし③,⑦,⑧の各リストは,α1,α2,被告Y1及び被告Y2がそれぞれ全社的にごみ処理施設の建設計画等を取りまとめた営業用の表向きの資料であり(甲A18,24,53,179),上記⑤のリストも,その記載内容か の各リストは,α1,α2,被告Y1及び被告Y2がそれぞれ全社的にごみ処理施設の建設計画等を取りまとめた営業用の表向きの資料であり(甲A18,24,53,179),上記⑤のリストも,その記載内容からして同様の社内における営業活動のためのリストであると認められ,会社内の複数の者が閲覧する可能性のある表向きの営業用の文書には,裏のやりとりで受注予定者の決定がなされた工事であっても,むしろこれを除外しないで記載するのが通常と考えられるところであり,したがって,β16リスト等で上記の本件5社の略称を付した工事が,その後の表向きの営業用の各社のリストに記載されているからといって,上記推認を妨げるものということはできない。 また,上記④,⑥の各リストは,その題名からして平成10年度において新規に内示ないし補助内示があった物件が記載されたものであって,各社が受注希望を表明する対象となる物件をリストアップしたものではないと認められるから,既に受注予定者の決定がなされた工事が記載されていても不自然ではなく,これらのリストにβ16リスト等に記載された工事と同一のものがあるからといって,上記推認を妨げるものということはできない。 エ小括以上のように,本件5社が,β16リスト等を作成し,これに受注予定者とみられる者を記載していたことは,本件5社において,地方公共団体が将来発注を予定するストーカ炉の建設工事に関し相当程度認識が一致しており,β16リスト等に記載された工事について,あらかじめ,本件5社のうちいずれが工事を受注するかについて合意が形成されていたこと,すなわち受注予定者の決定がなされたことを強く推認させるものであり,かつ,前記(2)のβ2当初供述及びβ1メモ等の内容を客観的に裏付けるものと評価することができる。 (4) 受注希望を表明し,又は すなわち受注予定者の決定がなされたことを強く推認させるものであり,かつ,前記(2)のβ2当初供述及びβ1メモ等の内容を客観的に裏付けるものと評価することができる。 (4) 受注希望を表明し,又は受注予定者を決定した会合に関係するメモ等本件5社の関係者の資料には,次のとおり,本件5社が,受注希望表明の対象となる工事を確定し,ストーカ炉の受注予定者を決めるための会合を複数回開催して,発注予定のストーカ炉の建設工事を規模別に受注希望表明を行っていたこと,あるいは,このような受注希望表明に基づき,当該会合において具体的に受注予定者を決定したことを推認させる記載があり,前記(2)のβ2当初供述及びβ1メモ等の内容を裏付けるものと評価することができる。 ア平成8年12月9日開催の会合に係るメモ被告Y2のβ2が所持していたノート(甲A67)には,400トン未満のごみ処理施設を列挙したとみられるリストのわきに,「1順目は自由,2順目は自由,3順目は200T/日未満,12/9」,「バッティングしたら12/18までに結着」と記載されており,上記ノートの「12/9」は,上記ノートの前からの記載(甲A179添付資料)によれば平成8年12月9日を指すことが認められる(なお,「結着」は「決着」の誤記と認められる。)。(甲A67,179,180)また,α2の環境第二営業部のβ17が所持していた平成8年の手帳(甲A76)には,400トン未満のごみ処理施設を列挙したとみられるリスト(合計9件の工事が記載されている。)の下に,「①200t/日以上」,「②200t/日未満」,「12/9,2件①,②双方から」,「さらに1件②から」「合計3件」,「最初2件で選択されず残った場合は最後の1件(②区分)で選択可」と記載されている。 β2の上記ノートの記載とβ17の上記手 」,「12/9,2件①,②双方から」,「さらに1件②から」「合計3件」,「最初2件で選択されず残った場合は最後の1件(②区分)で選択可」と記載されている。 β2の上記ノートの記載とβ17の上記手帳の記載は,相互に良く符合するものであって,これらの記載内容に,本件5社が,ストーカ炉の建設工事を,1日の処理能力が400トン以上の大型工事,200トン以上の中型工事,200トン未満の小型工事の3つに分けて,受注希望物件を確認し,受注予定者を決めている旨のβ2当初供述(前記(2)ア(ア))を併せ考えると,本件5社は,平成8年12月9日に,中型工事及び小型工事について会合を開催し,その中で,自社が受注を希望する物件を,最初,規模の区分にかかわらず1件ずつ2巡にわたって自由に選択し,さらに,3巡目については200トン未満の小型工事から1件を選択するという方法で受注調整を行ったことを推認することができる。 イ平成9年9月29日,同年10月16日及び同月29日各開催の会合に係るメモ(ア) α2は,ストーカ炉の建設工事を,全連400トン以上の大型工事,全連200トン以上400トン未満の中型工事,全連200トン未満の小型工事に区分して作成したリストを所持していた。(甲A57ないし63,69,140)このうち,α2のβ17が所持していた平成9年9月1日付けのストーカ炉に関するリスト(甲A60)の上部余白には,「全連小型(200T未満)9/292~3件,大型10/161件,中型 /292件?」,「9/11大・中・小対象物件確定」との記載があるほか,「一緒になった場合規模,管理者,建設用地(企業城下町)これらの指標をみて話し合い」,「救済措置あり同規模追加できる」,「増えた会社次回調整」との記載がある。 また,同月11日付けのリスト( か,「一緒になった場合規模,管理者,建設用地(企業城下町)これらの指標をみて話し合い」,「救済措置あり同規模追加できる」,「増えた会社次回調整」との記載がある。 また,同月11日付けのリスト(甲A62,63)の各表紙には,「全連200t未満3件9/29(月),〃200t以上~400t未満2件10/29(水),〃400t以上1件 /16(木)」と記載されている。 そして,上記の記載内容とβ2当初供述の内容とを総合すると,上記記載の意味は,本件5社は,平成9年9月11日ころまでに,ストーカ炉の建設工事を大型工事,中型工事及び小型工事に区分して受注調整を伴う予定物件を業者間で確定した上,同月29日には小型工事3件に関する受注調整を,同年10月29日には中型工事2件に関する受注調整を,同月16日には大型工事1件に関する受注調整を行うための会合を開催したことが推認できる。 (イ) そして,このことに,①α1の平成9年9月ころの大型物件,中型物件及び小型物件のリスト(甲A155)には,このうち小型物件リストの左端欄に手書きで,14工事について本件5社の略称が記載されているところ,同リストに記載された工事は,前記(3)ア(イ)のとおり,α2の平成9年9月11日付けのリスト(甲A62,63)に記載された工事とほぼ一致すること,②上記14工事は,その後に作成されたα2が所持していた平成9年12月17日付けのストーカ炉のリスト(甲A58,59)及びα3が所持していた平成10年1月27日にファクシミリ送信されたストーカ炉のリスト(甲A55)には,いずれも記載がないか又は記載が抹消されていること,③α1の上記リスト(甲A155)には,本件5社の記載(「T」など)のほか,物件の個数又は1巡目ないし3巡目であることを示唆する記載(「1 )には,いずれも記載がないか又は記載が抹消されていること,③α1の上記リスト(甲A155)には,本件5社の記載(「T」など)のほか,物件の個数又は1巡目ないし3巡目であることを示唆する記載(「1」ないし「3」)が存することを併せ考えると,本件5社は,上記(ア)の平成9年9月29日の小型工事3件に関する受注調整を行うための会合において,受注希望表明を行い,それぞれ受注予定者を確定したことが推認できる。 ウ平成10年1月30日開催の会合に係るメモ①α2の環境第一営業部第二営業室統括スタッフが所持していた平成9年12月17日付けのリスト(甲A58)のうち「全連200t以上400t未満」のリストの欄には,「1/20対象物件見直し」,「1/3 張付け」との記載があり,②α3が所持していた平成10年1月27日に同社環境事業本部東京営業部からファクシミリ送信されたストーカ炉のリスト(甲A55)の送信文書には,「中型の対象物件送付します」,「1/30ハリツケする予定です」との記載がある。 上記①及び②の各記載は,中型(全連200トン以上400トン未満)のストーカ炉の建設工事について,平成10年1月30日に張り付け会議を行う点において共通するのであって(なお,上記①のリストと②のリストにそれぞれ記載された工事がほぼ一致すると認められることは,前記(3)ア(ウ)のとおりである。),このことに,β2当初供述の内容等を総合すると,本件5社は,平成10年1月30日,ストーカ炉の建設工事のうち,中型工事について,「張り付け会議」と呼ばれる受注調整のための会議を開催したことが推認できる。 エ平成10年3月26日開催の会合に係るメモ等①α2の環境第一営業部長のβ18が所持していた平成10年の手帳(甲A73)には,同年3月26日の欄に,「○<中小型物件 議を開催したことが推認できる。 エ平成10年3月26日開催の会合に係るメモ等①α2の環境第一営業部長のβ18が所持していた平成10年の手帳(甲A73)には,同年3月26日の欄に,「○<中小型物件はりつけ業>」との記載があり,②被告Y2の環境装置第一部次長(平成10年9月当時)のβ8が所持していた1998年版手帳(甲A79)のうち,平成10年3月26日の欄には,「最終決定」との記載がある。 そして,これに関連して,被告Y2中国支社のβ11が平成10年3月26日にβ2からの連絡内容を記載したメモ(甲A96。「β2K:3/26日.○会合で中国五県の話は出なかった」との記載がある。)及びβ秘11の供述(甲A102)を併せ考慮すると,本件5社は,平成10年3月26日に,ストーカ炉の建設工事のうち,中型工事及び小型工事について,「張り付け会議」と呼ばれる受注調整のための会合を開催したことが推認できる。 (5) 入札実施前に入札価格等の連絡を行ったことを推認させる資料アα2・β9のメモ(甲A124)α2の環境エンジニアリング本部環境第二営業部長であるβ9が所持していたメモ(甲A124。β9が所持していた点につき甲A140)には,次の記載がある。 「①②③④62.5億(61億)(60億)M 最低より7000万円引き同左辞退K 〃4000万円引き〃辞H 〃3000万円引き〃辞T〃5000万円引き〃辞69.5」上記のアルファベットはそれぞれ本件5社を指すと推認されるところ(なお,最上段にはアルファベットの記載がないが,α2を意味すると解される。),上記のメモが入札価格等に関し記載したものであることは,その記載内容に照らし明らかというべきである。 他方,証拠(甲A29)及び弁論の全趣 アルファベットの記載がないが,α2を意味すると解される。),上記のメモが入札価格等に関し記載したものであることは,その記載内容に照らし明らかというべきである。 他方,証拠(甲A29)及び弁論の全趣旨によれば,平成10年8月31日に指名競争入札が行われた賀茂広域行政組合工事(別紙1・番号87)は,予定価格が63億5679万円であったこと,第1回の入札金額はα2が62億円,被告Y2が65億円,α1が67億円,α3が69億円,被告Y1が69億5000万円であり,α2が第1回の入札で上記金額で落札したことが認められる(このような金額及び経過で入札に至った物件は,他に存しない。[甲A29])。この入札の経過と上記メモの記載とを比較検討すると,α2の第1回入札額は若干異なるものの,その他の入札額や第1回でα2が落札したという経過については完全に一致しているから,上記メモは,賀茂広域行政組合工事の入札に関し記載されたものであることが推認できる。 そして,上記メモの記載によれば,α2が第3回目の入札に至っても落札できない場合には,第4回目の入札において,α2以外の入札者がいずれも辞退することによって受注できる旨の記載があるところ,事前の話合いがなければ,β9らα2の担当者において,真実このような経過で入札できることを予想したとは到底考え難いし,他社の第1回目の入札価格が完全に一致したという経過(しかも,被告Y1の入札価格は,訂正された金額が一致している。)も通常想定し難いものといわざるを得ない。そうすると,上記メモの記載の理解としては,本件5社の間において,賀茂広域行政組合工事についてα2が入札予定者となることはもとより,入札金額や入札の経過についても事前に共通の認識が形成されていたために,α2の担当者において上記のような記載が可能になったものと ,賀茂広域行政組合工事についてα2が入札予定者となることはもとより,入札金額や入札の経過についても事前に共通の認識が形成されていたために,α2の担当者において上記のような記載が可能になったものと推認することができる。 イα1・β19のメモ(甲A125)α1の機械・環境・エネルギー事業本部環境装置営業本部東部営業部参事であるβ19は,「95-5-2」の日付のあるメモ(甲A125)を所持していた。(甲A125,140)このメモには,焼却炉工事の見積原価額が積算過程とともに示されており,「出し値」として,第1回目から第3回目までの入札価格が記載され,「不調の場合の予定価格と最低入札額の想定」をした上,「入札結果に至る過程」として2つの案が検討された上で最終案が示されており,次のとおり,この最終案に沿った金額が,本件5社の第1回目から第3回目までの入札金額として記載されている。 K①6,220,000,000②6,150,000,000③6,050,000,000H①6,460,000,000②6,190,000,000③6,100,000,000T①6,310,000,000②6,195,000,000③6,105,000,000M①6,600,000,000②6,200,000,000③6,125,000,000N①6,690,000,000②6,215,000,000③6,140,000,000そして,α1は,平成7年5月9日に指名競争入札が行われた佐渡広域市町村圏組合工事(別紙1・番号26)において,第3回目の入札において,60億5000万円で入札しているところ,上記入札における第1回目ないし第3回目の入札金額は,上記メモに記載された上記金額と完全に一致するから(甲A29,125),上記メモは,佐渡 の入札において,60億5000万円で入札しているところ,上記入札における第1回目ないし第3回目の入札金額は,上記メモに記載された上記金額と完全に一致するから(甲A29,125),上記メモは,佐渡広域市町村圏組合工事の入札に関し作成されたものと推認できる。 そうすると,アで説示したのと同様に,このような結果の理解としては,佐渡広域市町村圏組合工事についてα1が入札予定者となることはもとより,入札金額や入札の経過についても事前に共通の認識が形成されていたために,α1の担当者において,上記のような検討及びその結果の記載が可能になったものと推認することができる。 (6) ストーカ炉の建設工事の受注等に基づく計算式又は数値ア被告Y2・β13の供述(甲A108)被告Y2中国支社のβ13が引き継いだ「業界(機種別)の概況について」との書き出しの文書(甲A37)には,ごみ焼却炉について,全連のストーカ炉の大手5社には受注調整のための協定があり,それにより,受注機会を均等化(山積み)しており,極力本件5社のメンバーセットが必要である(他社介入のときには条件交渉を伴う)こと,他社案件でも指名入りで分母の積み上げを図る必要があること等の記載がされていること,β13は,自分が営業担当となってからも,本社レベルで受注調整行為が行われていると認識している旨供述していることは前記(2)エで認定したとおりである。 β13は,上記の他社案件でも指名入りで分母の積み上げを図る必要がある(「他社案件でも指名入りで分母積み上げを図る要あり」)との記載の意味について,本件5社の間では,指名を得た件数又は処理トン数を分母とした一定の計算式があり,分子となるべき数値は受注した件数又は処理トン数であって,このような計算式により割り出した一定の数値が均等になるように本件5社の 間では,指名を得た件数又は処理トン数を分母とした一定の計算式があり,分子となるべき数値は受注した件数又は処理トン数であって,このような計算式により割り出した一定の数値が均等になるように本件5社の間で調整しているのではないかと考えている旨述べている。(甲A108)イ被告Y2・β20のノート(甲A106)被告Y2の環境装置一課主務であるβ20は,「静岡ガス」と書き出しのノートを所持していた(同ノートのうち,「→12/24」と書き出しの頁[甲A106・2枚目]を,以下「β20ノート①」といい,「→1/26」と書き出しの頁[甲A106・3枚目]を,以下「β20ノート②」という。)。(甲A95,106)(ア) β20ノート①の記載(甲A106・2枚目)β20ノート①には,左側に,本件5社を示すアルファベットの略称(例えば,「M」は被告Y2を指すと推認される。)の右隣に,それぞれの会社に対応した分数値(例えば,被告Y2については,「14800/74456」)の記載がある。 β20ノート①の右側には,左側に記載された分数値よりも分母及び分子ともに増加した分数値が記載されており(被告Y2の欄に記載された分数値は「15174/76743」であって,分母が2287,分子が374それぞれ増加している。),その列の右側に各社の分数値を小数値にしたものが示されており,その小数値が小さいものから順位を示す番号が付されている。 そして,β20ノート①の上部及び下部には,日付と地方公共団体による発注物件名とみられる記載(「12/24新城」「1/26中央」「5/1千葉」「5/11富山」「5/24賀茂」「6/2米子」「6/5春日井」「7/2名古屋」「高知」)及び数値の記載があり(なお,「高知」には日付と数値の記載はない。),その数値は,一部の物件については, 葉」「5/11富山」「5/24賀茂」「6/2米子」「6/5春日井」「7/2名古屋」「高知」)及び数値の記載があり(なお,「高知」には日付と数値の記載はない。),その数値は,一部の物件については,基本となる数値に0.7が乗じられ(このような処理は,JV工事や土建分離工事について行われたと推測される。[甲A95]),また,減算値だけが記載されたもの(なお,減算されているものは,以前に加算処理がされていたものを,その後の事情変更等により調整したものと推認できる。)もあるが,冒頭の「12/24」の「新城」から最後の「7/2」の「名古屋」までの数値を合計すると2287となり,表中の加算すべき分母の数値と一致し,また,各社の分子の増加数値を合計したものと一致する(なお,「新城」の前に「秋」として「410」の数値が記載されているが,これには日付の記載がなく,また,その後に記載された「新城」との間は縦線で区切られていることからすると,加算前のものを記載したものとみられる。)。 この物件名等を,実際の発注状況(甲A29,194)と対比すると,「新城」,「中央」,「米子」の各工事については,β20ノート①に記載された日付が入札日と同一であるが,その他の「千葉」,「富山」,「賀茂」,「春日井」,「名古屋」及び「高知」の各工事について,β20ノート①に記載された日付は入札日よりも前の日付が記載されていること,β20ノート①の各工事名に記載された数値は,マイナスを付された「新城」及び「米子」を除き実際の工事の発注トン数と一致することからすると,β20ノート①は,平成10年6月2日から,公取委に留置された同年9月17日までの間に作成されたものであり,その作成時期において,平成9年12月24日に発注されていた「新城広域事務組合」工事(別紙1・番号79)以降, 成10年6月2日から,公取委に留置された同年9月17日までの間に作成されたものであり,その作成時期において,平成9年12月24日に発注されていた「新城広域事務組合」工事(別紙1・番号79)以降,既に発注されていた工事及び発注が予定されていた工事について,本件5社の数値の分母にその工事の合計トン数を加算し,本件5社の数値の分子に各工事のトン数をあらかじめ加算したものであると認められる(例えば,被告Y2についてみると,新城広域事務組合工事を平成9年12月24日に,「名古屋」(五条川工場工事。別紙1・番号85)を平成10年7月30日にそれぞれ落札して受注しているところ,これら2つの工事についてβ20ノート①に記載されたトン数に従い計算すると(なお,「新城」については,△の表記があるので減算する。)374であって,被告Y2の分子の増加分に合致する。)。 また,β20ノート①が,上記分数値を小数値で示して,小数値の小さいものから順に番号を付していることからすれば,その当時における本件5社の受注及び受注予定の全体的な状況を把握するために作成されたものと推認することができる。 さらに,β20が所持していた「静岡ガス」と書き出しのノートの別の頁に記載された手書きのメモ(甲A95)には,略称による5社の数値として,β20ノート①の左端の各社の数値と同一の分数値(ただし,被告Y1の分子は,β20ノート①には「14262」とあるが,甲A95号証には「14252」とある。)が記載され,この分数値を小数値に改めて記載した上で,その小数値の少ないものから順番に番号を付してあることからすると,β20は,このような各社の受注及び受注予定の全体的な状況の把握をある程度継続的に行っていたことが推認できる。 (イ) β20ノート②の記載(甲A106・3枚目)β20 付してあることからすると,β20は,このような各社の受注及び受注予定の全体的な状況の把握をある程度継続的に行っていたことが推認できる。 (イ) β20ノート②の記載(甲A106・3枚目)β20ノート②には,上記(ア)に類似する計算結果が示されているが,この頁には,本件5社のほか,α5及びα4を示すアルファベットの略称が加えられ(「E」はα5,「Q」はα4をそれぞれ指すものと推認される。),合計7社について分数値及び順位を示す番号が記載されている。 β20ノート②には,「西村山」(西村山広域行政事務組合工場工事。 別紙1・番号81。なお,平成10年5月25日,α3が落札した。),「米子」(米子市工場工事。別紙1・番号83。なお,平成10年6月2日,α2が落札した。),「津島」(津島市ほか十一町村衛生組合工場工事。別紙1・番号84。なお,平成10年6月10日,被告Y2が落札した。)の3工事のトン数が記載されている(なお,これら3工事の処理能力の合計は700トンであり,各社の分数値の分母に加えられた数値と合致する。)。上記の各工事の落札者について,当該工事の分子の数値をトン数分加えている点も,同様である。(甲A29,106)そして,これら3工事は,いずれも本件5社並びにα5及びα4の7社が指名されている(なお,米子市工場工事では,この7社に加え,α9及びα8の合計9社が指名されている。)ことからすると,β20ノート②は,β20が,これらの工事について,上記7社が指名された工事につき,その処理能力トン数を分母に加え,落札者の分子にのみ処理能力トン数を加算することにより,上記7社の受注状況を数値化して把握していたものと推認することができる。 ウα1・β16の書類(甲A107)α1のβ16は,「H07.11.30現在(H8/2調整済)」 トン数を加算することにより,上記7社の受注状況を数値化して把握していたものと推認することができる。 ウα1・β16の書類(甲A107)α1のβ16は,「H07.11.30現在(H8/2調整済)」と題する2枚の表(甲A107)を所持していた。(甲A107,140)これらの表には,本件5社にα5及びα4を加えた7社ごとに小数値が記載されている。そして,これらの表には,平成7年11月30日に入札が行われ,被告Y1が受注した東金市外三町清掃組合工事(別紙1・番号44)及びそのトン数(210トン)が同社の欄に記載されており(「H07.11.30迄の計算」の「T」欄),被告Y1の「前回」欄(平成7年8月27日)と「現状」欄(平成7年11月30日)の各記載を比較すると,「B」の数値につき上記トン数が加算されており,また,2枚の表のうち1枚目の上記7社の「A」の数値をみると,本件5社についてはいずれも114が加算され(上記トン数[210]から同表中の「比謝訂正」に係る「-21」及び「太田訂正」に係る「-75」を減じた数値と一致する。),α5については135が加算され(上記トン数[210]から同表中の「太田訂正」に係る「-75」を減じた数値と一致する。),α4については96が減算されている(同表中の「比謝訂正」に係る「-21」及び「太田訂正」に係る「-75」を減じた数値と一致する。なお,α4は東金市外三町清掃組合工事の入札に参加していない。)。さらに,2枚の表においては,「B」の数値を「A」の数値で除した小数値が算出され(「Q」の数値),その数値が小さい者から順に「①」から「⑦」の番号が手書きで付されている。 なお,2枚の表には,東金市外三町清掃組合工事を含め,各19件の工事が記載されているが(工事名はいずれも同一である。),これらは,いずれも 者から順に「①」から「⑦」の番号が手書きで付されている。 なお,2枚の表には,東金市外三町清掃組合工事を含め,各19件の工事が記載されているが(工事名はいずれも同一である。),これらは,いずれも,本件5社のほか,α5及びα4の双方又は一方が指名され,受注した工事であると認められるのであって(甲A29),東金市外三町清掃組合工事と同様に,入札参加者の「A」の数値に各工事の処理能力トン数を基にした数値を加算し,受注者の「B」の数値に当該工事の処理能力トン数を基にした数値を加算するなどの計算処理がなされたことが推認できる。 以上の事実によれば,α1は,平成8年2月ころまでの間,継続的に,各工事につき上記のような計算処理を行うことを通じて,本件5社及びその他の2社の受注状況及び受注予定を把握していたことが推認できる。 エ小括以上のとおり,被告Y2及びα1は,いずれも,本件5社ないしはこれにα5及びα4を加えた7社の受注状況及び受注予定を継続的に数値によって把握していたと認められる。そして,このことに,本件5社においては,各社の受注の均衡を考慮して受注調整を行っていた旨のβ2当初供述等の内容(前記(2))や,前記アのβ13の供述内容を併せ考えると,上記の計算処理の結果がその後の受注調整にどのように影響したかを具体的に特定することは困難であるものの,少なくとも,本件5社が,受注調整に当たり,上記数値によって表される各社の受注状況及び受注予定を考慮していたことを十分に推認することができる。 (7) アウトサイダーに対する協力要請を推認させる資料アα9・β21のメモ(甲A109)α9のエンジニアリング事業本部第一営業部第二グループリーダーのβ21は平成9年7月1日付けの社内検討メモ(甲A109)を所持していた。(甲A109,140)このメ 9・β21のメモ(甲A109)α9のエンジニアリング事業本部第一営業部第二グループリーダーのβ21は平成9年7月1日付けの社内検討メモ(甲A109)を所持していた。(甲A109,140)このメモには,「河内長野の件」の検討内容が記載されているが,その記載内容と証拠(甲A29)を総合すると,この工事は,平成9年8月8日入札の「南河内清掃施設組合(第2清掃工場)」工事(別紙1・番号75)で,α3が指名競争入札から随意契約に変更された上で受注したものであると推認される。 そして,同メモの記載内容によれば,この工事について,α9が,平成9年7月7日の発注者への見積書の提出に関して他社と協調するかフリーで入札するかを検討して,今回,最終的に他社の意向に従ったとしても,次回は,α3に対して他物件の要請をしやすくなるとの検討がされたことが推認される。このことから,α9は,上記工事について,受注予定者であるα3から受注の協力要請を受けていたものと推認することができる。 イ東京都(中央地区清掃工場)工事(別紙1・番号80)について平成10年1月26日入札の「東京都(中央地区清掃工場)」工事(別紙1・番号80)は,本件5社のほか,α5,α4,α8及びα6が指名競争入札に参加し,α3(JV)が落札したものである。(甲A29)同工事については,β16リスト(甲A89)に記載のとおり,平成7年9月28日以前において被告Y1が受注予定者とされていたものと推認されるところ,平成10年1月中旬の時期においても,アウトサイダーであるα6が,その建設予定地が同社の豊洲工場の目と鼻の先にあることなどを理由に受注を希望し,被告Y1とα6の双方の営業担当部長の間で,電話による話合いなどが行われたが,話合いがつかないことから,α3とα6との間で話合いが行われ,同月21日 の目と鼻の先にあることなどを理由に受注を希望し,被告Y1とα6の双方の営業担当部長の間で,電話による話合いなどが行われたが,話合いがつかないことから,α3とα6との間で話合いが行われ,同月21日にα6,被告Y2,α1,被告Y1,α5,α4及びα8の間で,同月23日午前に,α6,α2,α3及び被告Y1との間でそれぞれ話合いが行われ,その結果,α6が,「東京都(中央地区清掃工場)」工事についてα3が受注予定者とされていた「東京都(足立工場)」工事とのバーターに乗ることで「東京都(中央地区清掃工場)」工事についての受注の希望を取り下げることとされ,同日午後に行われた上記入札参加者9社の会議で,α6が「東京都(足立工場)」工事の受注予定者となり,「東京都(中央地区清掃工場)」工事についてはα3が受注予定者となり,他社はこれに協力することが確認されたものと認められる。(甲A29,111,112,114ないし118)(8) 落札率の状況ア本件対象期間平成6年4月から平成10年9月17日までの間(本件対象期間)に,地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事は87件であり(本件5社のいずれかが落札した工事が66件,アウトサイダーが落札した工事は21件),そのうち予定価格が判明している84件(本件5社のいずれかが落札した工事のうち3件については,予定価格が不明である。)について落札率(予定価格に対する落札価格の比率)をみると,アウトサイダーが受注した工事の平均落札率は89.76パーセントであるのに対し,本件5社のうちのいずれかが受注した物件(予定価格が不明なものを除く。)の平均落札率は,96.6パーセントであった。(甲A29,146)イ本件対象期間後平成10年9月18日から平成16年7月31日までの間(以下「 れかが受注した物件(予定価格が不明なものを除く。)の平均落札率は,96.6パーセントであった。(甲A29,146)イ本件対象期間後平成10年9月18日から平成16年7月31日までの間(以下「本件対象期間後の期間」という。)に地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事は48件であるところ(第三セクター,廃棄物処理センター及びPFI事業者の発注に係るものは含まない。),その平均落札率は91.9パーセントであり,そのうち本件5社が受注した工事31件の平均落札率は90.1パーセント,アウトサイダーが受注した17件の平均落札率は95.2パーセントであった。また,上記48件の工事のうち,平成13年度までに発注された40件の落札率の平均は95.4パーセント,平成14年度以降に発注された8件の落札率の平均は74.4パーセント,そのうち平成15年度以降に発注された4件の落札率の平均は63.9パーセントであった。(甲A194)(9) 本件各工事に関する談合の存否についてア基本合意の存在前記(2)のβ2当初供述,β1メモ及びβ1の供述等各関係者の供述等の存在,前記(3)のような本件5社のリスト及びβ16リストの存在,並びに前記(4)ないし(8)で認定した各事実の存在は,受注調整に関する本件5社間の合意の存在なしに生じた事情としては説明できないものであり,以上認定判断したところを総合すると,本件5社は,ストーカ炉の建設工事における従来からの優位な立場を背景として,少なくとも平成6年4月以降平成10年9月17日までの間(本件対象期間),地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するストーカ炉の建設工事について,受注機会の均等化を図るため,①処理能力の規模等により区分された工事ごとに,各社が受注希望の表明を行い,受注希 期間),地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注するストーカ炉の建設工事について,受注機会の均等化を図るため,①処理能力の規模等により区分された工事ごとに,各社が受注希望の表明を行い,受注希望者が1名の工事についてはその者を当該工事の受注予定者とし,受注希望者が複数の工事については,受注希望者間で話し合い,受注予定者を決定する,②受注予定者は各社の受注の均衡を念頭に置いて決定し,この受注の均衡は各社が受注する工事のトン数を目安とする,③アウトサイダーが入札に参加した場合,受注予定者は,自社が受注できるよう当該アウトサイダーに協力を求め,その協力を得るようにするという基本ルールについて合意し,この合意の下に受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるように協力してきたものと認められる。 イ本件各工事に係る受注予定者の決定そこで,本件各工事について,上記の基本合意に基づく受注予定者の決定がなされたと認められるか否かを検討する。 まず,β2が会合に出席するようになってからは,被告Y2が受注予定者となった物件のほとんどすべては予定どおり被告Y2が受注している旨のβ2当初供述(前記(2)ア(ア)⑩)に加え,本件対象期間におけるストーカ炉の建設工事の落札率の状況とそれ以降の状況とを対照すると(前記(8)),上記の基本合意は,本件5社において相当程度拘束力を有するものであったということができるところ,前記基礎となる事実のとおり猪子石工場工事の入札期日は平成9年5月20日,五条川工場工事の入札期日は平成10年7月30日であり,本件各工事の入札は,いずれも本件対象期間に行われたものである。 このことに加え,別紙2のとおり,β16リスト(甲A89)において,猪子石工場工事を指す「名古屋猪子」が被告Y1を指す「T」欄に,五条川工場工事を指す「名古 れも本件対象期間に行われたものである。 このことに加え,別紙2のとおり,β16リスト(甲A89)において,猪子石工場工事を指す「名古屋猪子」が被告Y1を指す「T」欄に,五条川工場工事を指す「名古屋五条」が被告Y2を指す「M」欄にそれぞれ記載されていることを総合すると(なお,β16リストの解釈については,前記(3)ウで説示したとおりである。),本件5社が,上記内容の基本合意に基づき,猪子石工場工事については被告Y1をあらかじめ受注予定者と決定したこと,五条川工場工事については被告Y2をあらかじめ受注予定者と決定したことをそれぞれ推認することができ,この認定を覆すに足りる証拠はない。 ウα4に対する協力要請等そこで,次に,本件各工事の入札に参加したα4に対する協力要請がなされ,α4がこれに応じた事実が認められるかにつき検討する。 (ア)a前記認定のとおり,本件5社間の基本合意は,アウトサイダーが入札に参加した場合,受注予定者は,自社が受注できるようアウトサイダーにも協力を求め,その協力を得るようにするという内容を含むものであった。 bそして,本件5社が,本件対象期間に入札が実施された個別の工事のうち,アウトサイダーであるα4も入札に参加したものについて,実際にα4に協力を求め,α4から協力を得ていたことは,以下の事実関係ないし証拠等から明らかである。 (a) 被告Y2のβ2は,会合で決めた受注予定者は,物件が発注された段階で会合のメンバーである本件5社以外の者(アウトサイダー)が一緒に指名された場合には,アウトサイダーの相指名業者と個別に会って,自社が受注できるように協力を求め,当該相指名業者に物件を受注させる必要が生じたときは,受注予定者が会合で了承を受けた後,当該相指名業者に受注させていた旨,及び,β2が会合に出席するよう に会って,自社が受注できるように協力を求め,当該相指名業者に物件を受注させる必要が生じたときは,受注予定者が会合で了承を受けた後,当該相指名業者に受注させていた旨,及び,β2が会合に出席するようになってからは,被告Y2が受注予定者となった物件のほとんどすべては予定どおり被告Y2が受注している旨供述している。(前記(2)ア(ア))(b) α2のβ1は,本件5社のほかに,α5,α4,α8又はα9が参加して指名競争入札が行われ,α2が受注予定者となっている場合には,その4社とも話合いを行う旨供述しており(甲A44),また,β1メモ(甲A35)には,本件5社が中核メンバーで,α5及びα 4が準メンバーである旨の記載がある。(前記(2)イ(ア))なお,β1メモには,本件5社が受注予定者を決定した物件に,アウトサイダーが入ったときは,たたき合いとなるが,補填等はされない旨が記載されているが,これについて,β1メモの記載及びβ1の供述の内容からして,アウトサイダーとの間で調整のための努力をすることは当然の前提として,それが失敗した場合について言及したものと理解できることは,前記(2)イ(ウ)で説示したとおりである。 (c) 被告Y2及びα1は,いずれも,本件5社ないしはこれにα5及びα4を加えた7社の受注状況及び受注予定を継続的に数値によって把握しており,本件5社が,受注調整に当たり,上記数値によって表される各社の受注状況及び受注予定を考慮していたことがうかがわれる。(前記(6))(d) α9は,「南河内清掃施設組合(第2清掃工場)」工事(別紙1・番号75)について,受注予定者であるα3から受注の協力要請を受けていた。(前記(7)ア)なお,同工事の入札参加者は,本件5社及びα9のほか,α5,α4及びα8であり,α4も含まれている。(甲 ・番号75)について,受注予定者であるα3から受注の協力要請を受けていた。(前記(7)ア)なお,同工事の入札参加者は,本件5社及びα9のほか,α5,α4及びα8であり,α4も含まれている。(甲A29)(e) 本件5社のほか,α5,α4,α8及びα6が指名競争入札に参加した東京都(中央地区清掃工場)工事(別紙1・番号80)につき,上記9社間において,α6を受注予定者とする受注調整が行われた。(前記(7)イ)cまた,本件対象期間に発注された工事87件のうち66件を本件5社のいずれかのものが受注しており(66件のうちアウトサイダーが入札に加わった工事は57件である。[甲A29]),アウトサイダーが落札した工事の平均落札率に比べて,本件5社のいずれかが落札した工事の平均落札率の方が高いことからすると,本件5社は,以上に説示した従来からのストーカ炉の建設工事における優位性から,アウトサイダーへの協力依頼により相当程度アウトサイダーをコントロールし,その協力を得ることが可能であったということができる。 d以上aないしc記載の各事情に照らせば,本件5社において受注予定者の決定がなされた本件各工事についても,α4の協力が得られずに各社において自由な価格による入札がなされたことをうかがわせる特段の事情がない限り,猪子石工場工事については受注予定者とされた被告Y1が,五条川工場工事については受注予定者とされた被告Y2が,それぞれα4に対して協力を求め,その協力を得たことが推認されるというべきである。 (イ) 猪子石工場工事についてしかして,猪子石工場工事の入札経過は前記基礎となる事実(第2の1(2)イ)のとおりであり,被告Y1を除く各社の入札価格について,直前回の最低入札価格(いずれも被告Y1の入札価格)と比較すると,別紙3のとおり表され 場工事の入札経過は前記基礎となる事実(第2の1(2)イ)のとおりであり,被告Y1を除く各社の入札価格について,直前回の最低入札価格(いずれも被告Y1の入札価格)と比較すると,別紙3のとおり表されるが,これをみても,事前の受注調整の結果に沿うものであって,アウトサイダーであるα4を含め,他社との競争関係を意識した価格設定がなされたとは到底考えられず,各社において自由な価格による入札がなされたことをうかがわせる特段の事情は認められない。 また,α1が,猪子石工場工事の入札期日において2回目と3回目の入札の間に休憩時間を要求したこと,被告Y2が,猪子石工場工事について,約6700万円の費用を投じ,約7500時間をかけて設計作業を行っていることなどの被告ら主張に係る事実が上記特段の事情に該当しないことは,後記エで説示するとおりである。 そうすると,前記のとおり,被告Y1は,猪子石工場工事の入札に先立ち,α4に対して自社が受注できるように協力を求め,その協力を得たものと推認される。 (ウ) 五条川工場工事について五条川工場工事の入札経過は前記基礎となる事実(第2の1(3)イ)のとおりであり,被告Y2を除く各社の入札価格について,直前回の最低入札価格(いずれも被告Y2の入札価格)と比較すると,別紙4のとおり表されるが,これをみても,事前の受注調整の結果に沿うものであって,アウトサイダーであるα4を含め,他社との競争関係を意識した価格設定がなされたとは到底考えられず,各社において自由な価格による入札がなされたことをうかがわせる特段の事情は認められない。 また,被告Y2が,五条川工場工事の入札において,2回目及び3回目の入札価格を設定する上で直前の入札価格から多額の減額をしていること,α2が,五条川工場工事に係る技術上の経費として1億4000万 また,被告Y2が,五条川工場工事の入札において,2回目及び3回目の入札価格を設定する上で直前の入札価格から多額の減額をしていること,α2が,五条川工場工事に係る技術上の経費として1億4000万円を投じていることなどの被告Y2主張に係る事実が上記特段の事情に該当しないことは,後記エで説示するとおりである。 そうすると,前記のとおり,被告Y2は,五条川工場工事の入札に先立ち,α4に対して自社が受注できるように協力を求め,その協力を得たものと推認される。 エ被告らの主張について(ア) 被告らは,原告の主張が,本件各工事に関する談合行為の主体,日時,場所,内容等について具体的に特定しておらず,不法行為に基づく損害賠償請求の要件事実の主張として失当である旨主張する。 しかし,原告は,前記第2の3のとおり,本件5社による基本合意の内容を主張した上,本件各工事についても,それぞれ,入札期日までの間に上記基本合意に基づき受注予定者が被告Y1又は被告Y2に決定され,被告Y1又は被告Y2においてアウトサイダーであるα4に対し協力を求めた旨主張している。そして,原告が談合の対象となった工事を特定し,当該工事の受注予定者が入札参加者間の合意により事前に決定されたことなどを主張すれば,他の談合行為に関する事実と識別することが可能であるから,本件訴訟における原告の被告らに対する各請求債権について,請求の特定に欠けるところはなく,請求を理由付ける事実の主張としても十分であるといえる。 加えて,被告らの主張のように,原告が,請求原因事実として,個別の工事に関する談合の日時・場所等を明確に主張することが可能な事案であれば,その主張に対応して,被告らの防御の対象がより明確になり,裁判所にとっても審理の対象がより明確になり望ましいといえるものの,談合行為が入札参加 日時・場所等を明確に主張することが可能な事案であれば,その主張に対応して,被告らの防御の対象がより明確になり,裁判所にとっても審理の対象がより明確になり望ましいといえるものの,談合行為が入札参加者間で秘密裡に行われるのが通常であることなどに照らせば,原告が個別の工事に関する談合の日時・場所等を具体的に特定して主張することは著しく困難であるし,仮に上記特定がなかったとしても,被告らは,個別の工事に関する諸々の状況を把握し,資料も保有しているのであって,被告らにおいて,個別の工事に関する談合がなかったことを示す間接事実などを主張立証することによって防御することが可能であるから,被告らに不相当な不利益を強いるものとはいえない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 (イ) 被告Y2は,本件5社間の基本合意が前記のとおり「遅くとも平成6年4月以降から平成10年9月17日までの間(本件対象期間)」に有効であったのに対し,本件各工事に関する受注予定者の決定がなされたのが平成6年4月よりも相当前である可能性を指摘し,①本件各工事について受注予定者の決定がなされた時点より前に基本合意が成立しており,かつ,その基本合意の内容が上記基本合意と同一のものであること,又は②本件各工事について受注予定者の決定がなされた時点が平成6年4月以降であることが立証されない限り,基本合意から本件各工事に関する個別の談合を推認することは許されない旨主張する。 しかし,本件各工事につき受注予定者の決定がなされたことは上記のとおりβ16リスト等の証拠関係から認定できるのであって,平成6年4月より前に受注予定者の決定がなされた可能性があるからといって,上記認定の妨げになるものとはいえない。被告Y2のβ13が前任者から引き継いだ「業界(機種別)の概況について」との書き って,平成6年4月より前に受注予定者の決定がなされた可能性があるからといって,上記認定の妨げになるものとはいえない。被告Y2のβ13が前任者から引き継いだ「業界(機種別)の概況について」との書き出しの文書(甲A37)の記載内容及びβ13の供述(前記(3)エ)によれば,平成元年の段階で既に受注調整に関する本件5社間の合意が形成されていたことがうかがわれ,本件5社間での受注調整は平成6年4月よりも相当以前から継続的に行われてきたものと推認でき,そうすると,仮に本件各工事に係る受注予定者の決定がなされたのが平成6年4月よりも前であったとしても,かえってその時点で基本合意が成立していたことを示すものにすぎない。 したがって,被告Y2の上記主張には理由がない。 (ウ) 被告らは,1回目の入札において最低価格で応札した入札者が,その後の入札においても最低価格で応札している事実や落札率が高いことから談合の存在を推認することはできない旨主張するが,本件において,そのような事実のみから本件各工事に関する談合の存在を認定したわけではないから,被告らの上記主張には理由がない。 (エ) 被告らは,本件各工事の入札に関してα4への協力要請等を裏付ける証拠はなく,むしろ,β1メモ(甲A35)に「5社以外のメンバーが入った時は,タタキ合いとなる。」との記載があること,α4が,弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対する回答書(乙1の1・2)において,本件5社から協力要請を受けた事実及び協力要請に応じた事実がいずれもない旨明確に回答していることから,被告らがα4に対し協力要請した事実及びα4がこれに応じた事実を推認することはできない旨主張する。 しかし,β1メモの上記記載が,アウトサイダーとの間で調整のための努力をすることは当然の前提として,それが失敗した場合に 力要請した事実及びα4がこれに応じた事実を推認することはできない旨主張する。 しかし,β1メモの上記記載が,アウトサイダーとの間で調整のための努力をすることは当然の前提として,それが失敗した場合について言及したものにすぎないと理解しうることは,前記(2)イ(イ)cで説示したとおりであり,前記ウのα4に対する協力要請等の推認を妨げるものとはいえない。 また,α4の立場からみれば,被告らから本件各工事の入札に関し協力要請を受け,これに応じたとなれば,自身も不法行為責任を問われかねないことから,仮にかかる事実があったとしても,任意にこれを認める回答をすることは想定し難いといえ,このことに,前記ウ(ア)説示の各事情を併せ考えれば,上記の回答書(乙1の1・2)は,いずれも措信できない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 (オ) 被告らは,α1が,猪子石工場工事の入札期日において2回目と3回目の入札の間に3回目の入札価格を検討するための休憩時間を要求しており,これが本件5社及びα4の間で猪子石工場工事に関する受注調整がなかったことを示す事実である旨主張する。 しかし,α1が休憩時間を要求した事実が存在するとしても,その目的が,必ずしもα1の担当者において3回目の入札価格を検討することにあったは限らないから(証拠[乙39,証人β22]を検討しても,その目的が,入札参加者間の自由競争を前提として3回目の入札価格を設定することにあったとは認められない。),かかる事実のみでは,本件5社間で猪子石工場工事の受注予定者が被告Y1と決定されていたとの前記推認(前記イ)を妨げることにならず,また,かかる事実が,各社において自由な価格による入札がなされたことをうかがわせる特段の事情に該当するということもできない。 したがって,被告らの上記主張は採用で 推認(前記イ)を妨げることにならず,また,かかる事実が,各社において自由な価格による入札がなされたことをうかがわせる特段の事情に該当するということもできない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 (カ) 被告Y1は,被告Y2が,猪子石工場工事について,約6700万円の費用を投じ,約7500時間をかけて設計作業を行っており,これが本件5社間で猪子石工場工事の受注予定者が被告Y1と決定されたことと矛盾する事実である旨主張する。 しかしながら,被告Y2のβ13が前任者のβ14から「業界(機種別)の概況について」との書き出しの文書(甲A37)には,他社案件でも指名入りで分母の積み上げを図る必要があることが記載されていること(前記(2)エ),また,被告Y2・β20のノート(甲A106)やα1・β16の書類(甲A107)において,各工事の入札参加者については分母となる数値に当該工事の処理能力トン数を基にした数値を加算するなどの計算処理がなされていること(前記(6)イ及びウ)からして,各プラントメーカーにとっては,他社が受注予定者と決定されている物件であっても入札に参加すること自体が重要な意味を持つものであったと考えられるところ,入札に参加するためには,発注者に設計図書や見積書を提出する必要があり,相当の設計作業が必要となると考えられる。現に,猪子石工場工事については,発注者である原告が,平成4年度から平成6年度にかけて,5社ないし6社に対し施設配置計画用資料やアセス予測評価用資料の作成を依頼し,それらの資料を受領し,受領した資料につきメーカーヒヤリングを行い,平成7年度から平成8年度にかけては,6社に対し参考見積設計図書,変更見積設計図書,見積書,見積設計図書等の提出を依頼し,その提出を受け,提出された参考見積設計図書等につきメーカ ヒヤリングを行い,平成7年度から平成8年度にかけては,6社に対し参考見積設計図書,変更見積設計図書,見積書,見積設計図書等の提出を依頼し,その提出を受け,提出された参考見積設計図書等につきメーカーヒヤリングを行っていることが認められる(甲B13の1)。このように設計図書や見積書の徴求がなされた場合に,被告Y1だけが設計図書等を提出するわけにはいかず,入札に参加するためには,被告Y1以外の他社においても,相当程度の時間と費用をかけて具体的な設計作業を行う必要があることは明らかである。 そうすると,被告Y1が主張するように被告Y2が猪子石工場工事に係る設計作業を行っていたとしても,あらかじめ被告Y1が受注予定者と決定されていたことと矛盾するものではない。 したがって,被告Y1の上記主張は採用できない。 (キ) 被告Y2は,同社が,五条川工場工事の入札において,2回目及び3回目の入札価格を設定する上で直前の入札価格から多額の減額をしており,これが本件5社及びα4の間で五条川工場工事に関する受注調整がなかったことを示す事実である旨主張する。 確かに,前記基礎となる事実のとおり,五条川工場工事における被告Y2の入札価格は,1回目が205億5000万円であったのに対し,2回目はこの価格から4億5000万円を減額し,3回目は2回目の入札価格から更に5億円を減額したものであったことが認められ,本件5社及びα4の間で受注調整が成立していたことを前提とすれば,不必要に大きい減額幅とみることもできる。 しかし,猪子石工場工事に係る原告の入札説明書(乙42)によれば,入札執行回数は3回が原則とされており,この点は五条川工場工事の入札でも同様であったと推認されるところ,予定価格を下回る入札価格を入れられなかった場合に,必ず自社が受注できるとは限らないから,受 入札執行回数は3回が原則とされており,この点は五条川工場工事の入札でも同様であったと推認されるところ,予定価格を下回る入札価格を入れられなかった場合に,必ず自社が受注できるとは限らないから,受注予定者において,直前の最低入札価格(自社の入札価格)から相当程度減額をして次の入札価格を設定するのも,上記のような入札執行回数の制限上やむを得ないことといえる。これに加えて,証拠(丙9,証人β23)によれば,被告Y2の入札担当者が実際に五条川工場工事の入札期日においては,原告の入札執行官が,1回目の入札と2回目の入札の間に休憩を取ることを宣言し,また,2回目の入札と3回目の入札の間には,再度休憩を取ることを宣言するとともに,「十分検討の上,再度入札してください」などと発言したことから,被告Y2の入札担当者は,1回目の入札価格と2回目の入札価格のいずれについても,予定価格との開きが大きいと受け止めていたと認められ,上記の入札執行回数の制限にこのような事情を併せ考えると,被告Y2において上記のとおり4億5000円ないし5億円の減額をするということは,本件5社及びα4の間で受注調整が成立していたことを前提としても,何ら不自然なものとはいえないから,かかる事実が,本件5社間で五条川工場工事の受注予定者が被告Y2と決定されていたとの前記推認(前記イ)を妨げるものとはいえず,また,かかる事実が,各社において自由な価格による入札がなされたことをうかがわせる特段の事情に該当するということもできない。 したがって,被告Y2の上記主張は採用できない。 (ク) 被告Y2は,α2が,五条川工場工事について強い受注意欲を有し,実際に技術上の経費として1億4000万円を投じたものであり,これが本件5社及びα4の間で五条川工場工事に関する受注調整がなかったことを示す 2は,α2が,五条川工場工事について強い受注意欲を有し,実際に技術上の経費として1億4000万円を投じたものであり,これが本件5社及びα4の間で五条川工場工事に関する受注調整がなかったことを示す事実である旨主張する。 しかし,α2が強い受注意欲を有していたことを裏付ける的確な証拠はなく,むしろ,別紙4のとおり表される五条川工場工事の入札経過をみると,1回目の入札価格はα2が最も高く,2回目,3回目の入札においてはそれぞれ直前回の最低入札価格から7000万円の減額をした入札価格を入れているにすぎないのであって,α2に積極的に受注を取る意欲があったものとは認められない。 そして,五条川工場工事については,発注者である原告が,平成3年度から平成7年度にかけて,5社に対し荷重表,図面・面積表,各階平面図,機器配置図等の各種資料の作成を依頼し,それらの資料を受領し,受領した資料につき5社に対するメーカーヒヤリングを行い,平成9年度から平成10年度にかけては,6社に対し見積設計図書,見積書・変更見積設計図書等の提出を依頼し,その提出を受けたことが認められる(甲B13の2)。そうすると,前記(カ)で説示したのと同様の理由により,五条川工場工事に関する談合の存在を前提としても,被告Y2以外の他社において入札に参加するためには相当程度の時間と費用をかけて具体的な設計作業を行う必要があるから,α2が五条川工場工事に係る技術上の経費として1億4000万円を投じていたとしても,あらかじめ受注予定者が被告Y2と決定されたという前記推認を妨げるものではない。 したがって,被告Y2の上記主張は採用できない。 (ケ) 被告らは,以上のほか,本件各工事に関する談合が認められないとして諸々の主張をしているが,β2当初供述等の関係者の供述及びβ16リスト等の客観的証拠 って,被告Y2の上記主張は採用できない。 (ケ) 被告らは,以上のほか,本件各工事に関する談合が認められないとして諸々の主張をしているが,β2当初供述等の関係者の供述及びβ16リスト等の客観的証拠に基づく前記の認定判断を覆すに足りるものはなく,いずれも採用することができない。 (10) 小括以上によれば,被告らは,α1,α2及びα3との間で,猪子石工場工事につき,前記の基本合意に基づき,遅くとも入札期日である平成9年5月20日以前に被告Y1を受注予定者と決定し,被告Y1においてα4に協力を求め,その協力を得ることにより,競争原理の働かない状況の下でその入札結果を作出したことが認められる。同様に,五条川工場工事につき,前記の基本合意に基づき,遅くとも入札期日である平成10年7月30日以前に被告Y2を受注予定者と決定し,被告Y2においてα4に協力を求め,その協力を得ることにより,競争原理の働かない状況の下でその入札結果を作出したことが認められる。このような被告らの行為が,各工事ごとに,原告に対する共同不法行為を構成することは明らかである。 争点(2)(本件各工事に関する談合による損害の有無及びその額)について(1) 損害の発生及び因果関係ア前記2のような入札参加者間の談合が,一般に,公正な価格競争が行われることにより落札価格が低額になることを防止する目的で行われるものであることに加え,前記2(8)のとおり,本件対象期間におけるストーカ炉の建設工事の平均落札率と本件対象期間後におけるそれに有意な差が生じていることを併せ考えると,すべての入札参加者間で公正な価格競争を排除する受注調整が図られたことが認められる場合には,仮に公正な価格競争が行われても,現実の落札価格ないし契約金額を下回る価格で入札をする業者がなかったことをうかがわせる 参加者間で公正な価格競争を排除する受注調整が図られたことが認められる場合には,仮に公正な価格競争が行われても,現実の落札価格ないし契約金額を下回る価格で入札をする業者がなかったことをうかがわせる特段の事情がない限り,想定落札価格(談合行為がなく公正・自由な価格競争が行われた場合に形成されたであろう落札価格)を上回る契約金額で請負契約が締結され,発注者にその差額分の損害が生じたものと推認するのが相当である。 しかるに,本件各工事について原告が設定した予定価格との関係において,本件5社の価格競争力を前提としてもコストダウンに限界があり,現実の契約金額(本件各工事については,予定価格と一致する。)を下回る価格での応札が不可能であったものとは,本件全証拠によっても認められず,仮に公正な価格競争が行われても,現実の契約金額を下回る価格で入札をする業者がなかったことをうかがわせる特段の事情は認められない。 したがって,本件各工事に関する談合により,原告には,想定落札価格と現実の契約金額との差額分の損害が生じたものというべきである。 イ被告Y1は,猪子石工場工事の入札については,随意契約の方法により請負契約が締結されており,その契約金額は,談合行為とは無関係に交渉によって任意に決定されるものであるから,仮に猪子石工場工事に関する談合があったとしても,その談合と,契約金額が174億円(消費税込みで182億7000万円)と決定されたこととの間には因果関係が認められない旨主張する。 しかしながら,前記基礎となる事実(第2の1(2))によれば,猪子石工場工事の入札においては,4回にわたり入札が行われたが,最低入札価格(被告Y1の4回目の入札に係る174億3000万円[消費税抜き])が予定価格(174億円[消費税抜き])を上回ったため不調に終わり,原告は 札においては,4回にわたり入札が行われたが,最低入札価格(被告Y1の4回目の入札に係る174億3000万円[消費税抜き])が予定価格(174億円[消費税抜き])を上回ったため不調に終わり,原告は,地方自治法施行令167条の2第1項6号の規定に基づき,最低入札価格を提示した被告Y1との間で,随意契約の方法により請負契約を締結することとし,被告Y1との交渉を経て,請負代金を174億円(消費税抜き)として請負契約を締結したことが認められる。すなわち,上記の請負契約の締結は,地方自治体施行令167条の2第1項6号の規定に基づく随意契約の方法によってはいるものの,契約の相手方は,最低入札価格を提示した被告Y1とされ,その契約金額は,予定価格と同額であり,被告Y1の提示した最低入札価格をわずかに3000万円下回るものであったというのであるが,上記アで認定したとおり,猪子石工場工事に関する談合がなければ想定落札価格が上記の契約金額を下回ったことが推認される。そうすると,上記のような結果は,正に,本件5社及びα4の間で受注調整が図られ,競争原理の働かない状況の下で猪子石工場工事の入札が行われたことによって招来されたものにほかならないから,猪子石工場工事に関する談合と,同工事に係る請負契約が上記代金額にて締結され,原告が被告Y1に対し代金を支払い,損害が発生したこととの間に,相当因果関係が存することは明らかである。 したがって,被告Y1の上記主張は採用できない。 (2) 損害額ア上記のとおり,原告には,想定落札価格と現実の契約金額との差額分の損害が生じたとはいえ,想定落札価格は,現実には存在しない価格であって,当該工事の種類・規模・場所・内容,当該工事に係る入札の参加者数,入札当時の経済情勢及び各社の財務状況,同時期に発注された他の工事の数・請 とはいえ,想定落札価格は,現実には存在しない価格であって,当該工事の種類・規模・場所・内容,当該工事に係る入札の参加者数,入札当時の経済情勢及び各社の財務状況,同時期に発注された他の工事の数・請負金額等の受注状況,各社にとって当該工事を受注することのメリット,地域性等の多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものであるであることからすると,想定落札価格を証拠に基づき具体的に認定することは極めて困難であるといわざるを得ない。したがって,本件においては,原告に損害が生じたことは認められるものの,損害の性質上その額を立証することが極めて困難というほかないから,民訴法248条を適用して,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,相当な損害額を認定すべきである。 イこの点につき,原告は,本件対象期間に地方公共団体が発注したストーカ炉の建設工事84件中(別紙1参照),アウトサイダーが受注した工事の平均落札率は89.8パーセントであること,日本弁護士連合会の「入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告書」(甲B16),同連合会の「入札制度改革に関する調査報告書」(甲B17),公取委委員長作成に係る「競争政策について」と題する資料(甲B18),鈴木満「入札談合の研究〔第二版〕」(甲B20)等から,本件各工事に関する談合がなければ,本件各工事の落札率は90パーセント以下になったと推定できる旨主張する。 しかし,想定落札価格は,上記のとおり多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものである上,本件各工事について,仮に公正・自由な価格競争の下で入札が行われた場合を想定しても,必ずしもアウトサイダーが落札するとは限らないから,アウトサイダーが受注した他の類似工事の平均落札率が,直ちに本件各工事におけるあるべき落札価格を示すものとはいえず,上記の われた場合を想定しても,必ずしもアウトサイダーが落札するとは限らないから,アウトサイダーが受注した他の類似工事の平均落札率が,直ちに本件各工事におけるあるべき落札価格を示すものとはいえず,上記の平均落札率を基に,本件における原告の損害額を認定することは相当でない。 また,公取委委員長作成に係る平成16年3月11日付け「競争政策について」と題する資料(甲B18)によれば,公取委は,過去のカルテル・入札談合による損害を推計した結果として,①カルテル・入札談合の値上げ率の平均が16パーセントであり,約9割の事件で売上額の8パーセント以上の不当利得が存在する旨の推計値,及び②「市町村等の地方公共団体発注のストーカ式炉燃焼装置を採用する全連続燃焼式及び准連続燃焼式ごみ焼却施設の建設工事についての入札談合事件」については12.4パーセントの下落率となった旨の推計値を公表していることが認められる。 しかしながら,①の推計値は,全く取引分野の異なるカルテル・入札談合事件を含むものである上,①及び②の推計値のいずれについても,基礎データが明らかでなく,公取委に対する調査嘱託の結果によってもこれが明らかにされていないことからして,必ずしもその正確性が担保されているとはいえず,これらの推計値を基に,本件における原告の損害額を認定することは相当ではない。 加えて,上記の日本弁護士連合会の「入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告書」等の証拠(甲B16,17,20)には,他の地方公共団体において談合防止対策が講じられたことによる落札率の下落状況等の調査結果が示されているが,上記のとおり,想定落札価格は多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものであるから,これらの要因の近似性を検討することなく単純に他の地方公共団体における調査結果と比較するのみでは,損 ているが,上記のとおり,想定落札価格は多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものであるから,これらの要因の近似性を検討することなく単純に他の地方公共団体における調査結果と比較するのみでは,損害額の算定として不正確であるといわざるを得ないところ,上記の各証拠における調査結果は,必ずしも本件各工事と近似した条件下におけるものとはいえないから,その調査結果を基に,本件における原告の損害額を認定することは相当ではない。 ウそこで,民訴法248条に基づき,相当な損害額を検討するに,上記のとおり損害額の認定が困難であるにもかかわらず被告らに損害賠償義務を負わせるものであること,被告らは,原告が現に被った損害を補填する限度でその賠償義務を負うにとどまり,談合の再発防止といった行政目的を勘案して損害額を算定するのは相当でないことなどを考慮すると,損害額の算定に当たっては,ある程度控え目な金額をもって相当とするのもやむを得ないというべきである。 しかして,前記2(8)のとおり,本件対象期間に地方公共団体が発注したストーカ炉の建設工事87件のうち,本件5社のうちのいずれかが受注した物件(予定価格が不明なものを除く63件)の平均落札率が96.6パーセントであったのに対し,本件対象期間後の期間に地方公共団体が指名競争入札等の方法により発注したストーカ炉の建設工事48件のうち,本件5社が受注した31件の平均落札率は90.1パーセントであり,その平均落札率に6.5パーセントの差があること,本件対象期間における本件5社の受注物件の平均落札率(96.6パーセント)と本件対象期間後の期間における48件の平均落札率(91.9パーセント)とで比較しても,4.7パーセントの差があることに加え,東京都や政令指定都市以外の地方公共団体は,ストーカ炉の建設工事を発注する 本件対象期間後の期間における48件の平均落札率(91.9パーセント)とで比較しても,4.7パーセントの差があることに加え,東京都や政令指定都市以外の地方公共団体は,ストーカ炉の建設工事を発注するに当たって,東京都や政令指定都市の発注動向をみて発注内容を検討する傾向にあるところ(前記1(3)オ(イ)),本件各工事は,政令指定都市の発注に係る規模の大きなストーカ炉の建設工事であり,近隣の市町村に対する営業上の効果等の点から各社にとって受注のメリットが大きいものであったと考えられること,その一方,前示のとおり本件5社間の基本合意は相当程度拘束力を有するものであり,そのような拘束の下で本件各工事の入札が行われていること,被告らは,本件各工事の受注により得た利益を具体的に明らかにしうる資料を提出していないこと,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,被告らの受注調整行為によって原告が被った損害額は,控え目に検討しても,本件各工事に係る請負契約の契約金額の5パーセントに相当する金額と認めるのが相当である。 (3) 小括以上によれば,被告らは,原告に対し,それぞれ次のとおりの損害賠償義務を負うというべきである。 ア被告Y1(ア) 猪子石工場工事分182億7000万円(消費税込みの契約金額)の5パーセントに相当する9億1350万円及びこれに対する代金支払日である平成14年5月24日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(イ) 五条川工場工事分205億8000万円(消費税込みの契約金額)の5パーセントに相当する10億2900万円及びこれに対する代金支払日である平成16年9月17日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金イ被告Y2(ア) 猪子石工場工事分前記ア(ア)に同じ(イ) 五条川工場工事分前記イ(イ)に同じ 争 する代金支払日である平成16年9月17日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金イ被告Y2(ア) 猪子石工場工事分前記ア(ア)に同じ(イ) 五条川工場工事分前記イ(イ)に同じ 争点(3)消滅時効の成否)について((1) 民法724条前段にいう「損害及び加害者を知った時」とは,被害者において,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度にこれを知った時を意味するものと解するのが相当であり(最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決・民集27巻10号1374頁参照),損害を知った時とは,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいうと解すべきである(最高裁平成14年1月29日第三小法廷判決・民集56巻1号218頁)。 (2) そこで,原告において,本件各工事に関する談合が存在し,不法行為に基づく損害が生じたことを現実に認識した時点がいつの時点であるかを検討するに,前記基礎となる事実(第2の1(4)),証拠(甲B1,27の1・2,28の1・2,乙28ないし31)及び弁論の全趣旨によれば,本件5社は,いずれも,ストーカ炉の建設工事の取引分野における受注調整行為の排除を内容とする公取委の平成11年8月13日付けの排除勧告を応諾せず,別件審判事件においても,受注調整行為の存在を一貫して否定していること,平成10年9月17日の公取委の立入検査後,原告が本件5社及びα4に対して本件各工事に関して独禁法違反の行為を行っているか否かについて事情聴取をしたところ,本件5社及びα4は,そのような行為がないと回答し,被告らは,いずれも同月21日付けで,その旨の誓約書(甲B27の1・2)を原告に提出したこと,公取委が上記排除勧告を行うことが明らかとなった平成11年8月9日ころ,原告が本件5社及びα4に対して本件各工事に関し れも同月21日付けで,その旨の誓約書(甲B27の1・2)を原告に提出したこと,公取委が上記排除勧告を行うことが明らかとなった平成11年8月9日ころ,原告が本件5社及びα4に対して本件各工事に関して独禁法違反の行為を行っているか否かについて再度事情聴取をしたところ,本件5社及びα4は,改めてそのような行為がないと回答し,被告らは,同月11日付けで,その旨の確約書(甲B28の1・2)を原告に提出したことが認められる。 本件のような入札談合が入札参加者間で秘密裡に行われることからすれば,上記のとおり本件各工事の入札参加者である本件5社及びα4がいずれも受注調整行為の存在を否定している状況にあって,原告において,本件各工事に関して談合が存在し,不法行為に基づく損害が生じたことの確証を得るのは困難というほかなく,損害の発生を現実に認識するためには,本件各工事に関する談合が存在すると判断するに足りる相当な資料,根拠が必要というべきところ,前記基礎となる事実(第2の1(4))のとおり,公取委は,平成11年9月8日の別件審判事件の開始から平成18年6月27日の別件審決まで約6年9か月に及ぶ審判手続を行い,認定判断の理由を具体的に説示した審決書(甲B1)をもって別件審決を行っていること,同審決書においては,本件各工事が,具体的な証拠から,本件5社が受注予定者を決定したと推認される工事であるとされていることに照らすと,同審決書(甲B1)及びその認定判断の根拠となった資料(甲A号証)は,本件各工事に関する談合が存在することの有力な判断資料ないし根拠となるものといえる(現に,原告は本件訴訟において,これらの資料に依拠した主張立証を行っている。)。したがって,原告が損害の発生を現実に認識したのは,原告が同審決書及びその認定判断の根拠となった資料を入手し,そ える(現に,原告は本件訴訟において,これらの資料に依拠した主張立証を行っている。)。したがって,原告が損害の発生を現実に認識したのは,原告が同審決書及びその認定判断の根拠となった資料を入手し,その内容を把握した時点(以下「本件起算点」という。なお,具体的な時期は明らかではないが,早くとも別件審決が出された平成18年6月27日以降であると認められる。)であると認めるのが相当である。 そうすると,原告が本件訴訟を提起した平成19年1月29日の時点,及び原告が請求の趣旨変更申立書を当裁判所に提出した同年8月29日の時点においては,本件起算点から3年が経過していないことが明らかであるから,猪子石工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく原告の被告Y1に対する請求債権及び五条川工場工事に関する談合に係る不法行為に基づく原告の被告Y1に対する請求債権のいずれについても,消滅時効が完成していないこととなる。 (3) これに対し,被告Y1は,本件各工事に関する談合に基づく原告の各請求債権につき,①公取委の立入検査に関する新聞報道がなされた平成10年9月17日を起算点とする消滅時効,②公取委の排除勧告に関する新聞報道がなされた平成11年8月9日あるいは同月14日を起算点とする消滅時効,及び③請負代金の支払差止めを求める住民訴訟の提起があった平成12年8月を起算点とする消滅時効を主張し,猪子石工場工事に関する談合に基づく原告の請求債権につき,④代金支払日である平成14年5月24日を起算点とする消滅時効を主張する。 アしかしながら,原告に損害が生じたのは,原告が本件各工事に係る請負代金を支払い,前記2認定の損害に相当する金額がそれぞれ過払となった時(猪子石工場工事につき平成14年5月24日,五条川工場工事につき平成16年9月17日)であると認められる が本件各工事に係る請負代金を支払い,前記2認定の損害に相当する金額がそれぞれ過払となった時(猪子石工場工事につき平成14年5月24日,五条川工場工事につき平成16年9月17日)であると認められるところ,いまだ損害が発生していない時点でその発生を現実に認識するということはあり得ないから,代金支払日より前の時点を起算点とする上記①ないし③の主張は,いずれも採用できない。 イそして,平成14年5月24日を起算点とする上記④の主張も,以下の理由から,採用できない。 (ア) まず,地方公共団体が発注するごみ焼却施設プラントの建設を巡りプラントメーカーが談合を繰り返していた疑いが強まり,公取委が被告らを含む十数社に対する立入検査をしたことの新聞報道があった事実のみでは,原告において本件各工事に関する談合の存在について確証を得る十分な根拠とならないことは明らかである。 (イ) 次に,公取委の排除勧告においては,公取委が認定した違反行為の概要は示されるものの,その認定判断の理由及び根拠資料が具体的に示されるわけではないから,本件5社に対し平成11年8月13日付けで排除勧告がなされた事実によっても,原告において,本件各工事に関する談合が存在することの確証を得ることはできなかったものと推認される(現に,原告は,上記のとおり,上記排除勧告に近接する時点において,本件5社及びα4に対する事情聴取を通じて本件各工事に関して独禁法違反の行為がなかったことを確認し,その後,被告らに対し,本件各工事に係る請負代金を支払っている。)。公取委が立入調査等の強制的な調査権限(独禁法47条1項[平成17年法律第35号による改正前は46条1項])を有するのに対し,原告にはそのような権限がないから,上記のような事情聴取の方法による調査活動を行うにとどまった原告において, (独禁法47条1項[平成17年法律第35号による改正前は46条1項])を有するのに対し,原告にはそのような権限がないから,上記のような事情聴取の方法による調査活動を行うにとどまった原告において,本件各工事に関する談合の存在について確証を得られなかったとしても,やむを得ないというべきである(また,そもそも不法行為の被害者に対し損害の発生の有無を独自に調査させる負担を課し,それによって権利の得喪を生じさせるのは相当でない。)。 (ウ) さらに,証拠(乙36,37)及び弁論の全趣旨によれば,名古屋市民オンブズマンのメンバーらが,平成12年8月2日,原告に対し,本件各工事に係る請負代金の支払差止めを求める住民訴訟を提起したことが認められるが,同訴訟において,別件審決に係る審決書(甲B1)及びその認定判断の根拠となった資料(甲A号証)以外の証拠で,本件各工事に関する談合が存在することの有力な判断資料ないし根拠となるものが提出されたことを認めるに足りる証拠はなく,本件全証拠によっても,同訴訟を通じて,原告が本件各工事に関する談合の存在について確証を得たものとは認められない。 (エ) 以上によれば,原告は,猪子石工場工事についての代金支払日である平成14年5月24日の時点においても,同工事に関する談合の存在及びこれに基づく損害の発生を現実に認識していたとはいえないというべきである。 ウしたがって,消滅時効に関する被告Y1の主張は,いずれも採用できない。 結論 以上によれば,原告の請求は,被告らに対し,猪子石工場工事分の損害賠償として,連帯して9億1350万円及びこれに対する平成14年5月24日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,五条川工場工事分の損害賠償として,連帯して10億2900万円及びこれに対する平成 350万円及びこれに対する平成14年5月24日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,五条川工場工事分の損害賠償として,連帯して10億2900万円及びこれに対する平成16年9月17日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度で認容し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第7部裁判長裁判官田近年則裁判官細井直彰裁判官井上博喜は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官田近年則〔別紙1及び別紙2の添付省略〕(別紙3)猪子石工場工事の入札経過 1回目入札価格①被告Y1182億0000万円(pとする。)②被告Y2188億5000万円③α1204億0000万円④α2198億7000万円⑤α3197億0000万円⑥α4194億8000万円 2回目入札価格①被告Y1179億0000万円(qとする。)②被告Y2p-1億5000万円③α1p-2億円④α2p-2000万円⑤α3p-1億円⑥α4p-5000万円 3回目入札価格①被告Y1175億0000万円②被告Y2q-5000万円③α1q-1億5000万円④α2q-1000万円⑤α3q-1億円⑥α4q-3000万円 4回目入札価格①被告Y1174億3000万円②被告Y2辞退③α1辞退④α2辞退⑤α3辞退⑥α4辞退(別紙4)五条川工場工事の入札経過 1回目入札価格①被告Y1215億0000万円②被告Y2205億5000万円(rとする。)③α1219億5000万円④α2 ⑥α4辞退(別紙4)五条川工場工事の入札経過 1回目入札価格①被告Y1215億0000万円②被告Y2205億5000万円(rとする。)③α1219億5000万円④α2223億0000万円⑤α3212億0000万円⑥α4220億0000万円 2回目入札価格①被告Y1r-1億5000万円②被告Y2201億0000万円(sとする。)③α1r-5000万円④α2r-7000万円⑤α3r-1億2000万円⑥α4r-3000万円 3回目入札価格①被告Y1s-1億円②被告Y2196億0000万円③α1s-5000万円④α2s-7000万円⑤α3s-8000万円⑥α4s-2000万円
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