令和1(ネ)4454 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和2年3月26日 東京高等裁判所 棄却 東京地方裁判所 平成30(ワ)26043
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判決文本文10,295 文字)

- 1 - 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ5円を支払え。 3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要等(以下,略称は原判決のそれによる。) 1 事案の概要当事者等ア控訴人Aは,平成14年1月21日,B(前夫)と婚姻し,その氏を自身の氏である「C」から「B」に改めた。 イ控訴人Aは,前夫との間に,平成15年に長女を,平成18年に二女をそれぞれもうけた。 ウ控訴人Aは,平成27年1月8日,長女及び二女(控訴人Aの子ら)の親権者をいずれも控訴人Aと定め,前夫と離婚した。 控訴人Aは,同日,戸籍法77条の2に基づく届出を行い,離婚前の氏である「B」を称することとしたが,その後,氏の変更許可を東京家庭裁判所に申し立て,同年4月27日,同裁判所の許可を得て,「B」から「C」に復氏した。 控訴人A及び前夫は,離婚に際し,控訴人Aの子らが15歳を過ぎ,変更を希望しない限り,同人らの氏を変更しない旨を合意したため,控訴人Aの子らは,前記離婚後も,引き続き「B」を称することとなった。 エ控訴人らは,平成30年8月1日,東京都E区長に対し,婚姻後の夫婦の氏を控訴人Dの氏である「D」とする婚姻の届出書を提出して受理され- 2 -た。控訴人Aの子らは,現在まで氏を変更することなく,「B」を称している。 本件請求の内容,原審の判断及び本件控訴本件は,夫婦である控訴人らが,夫婦が婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称すると定める民法750条は,憲法24 ことなく,「B」を称している。 本件請求の内容,原審の判断及び本件控訴本件は,夫婦である控訴人らが,夫婦が婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称すると定める民法750条は,憲法24条1項及び14条1項に違反するものであり,遅くとも,「民法の一部を改正する法律案要綱」(法律案要綱)が公表された平成8年時点において,民法750条が違憲状態にあり,このような違憲状態を解消するために採るべき措置が明らかになっていたにもかかわらず,国会が現在まで同条を改廃して選択的夫婦別氏制を導入することを怠ったことは違法であるなどと主張して,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき,被控訴人に対し,それぞれ損害金(慰謝料)5円の支払を求める事案である。 原審は,控訴人らの各請求をいずれも棄却したので,これに不服の控訴人らが本件各控訴をした。 2 前提事実は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」第2の1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の付加訂正) 原判決2頁20行目から21行目にかけての「同人らが15歳に達するまでは」を「,同人らが15歳を過ぎ,変更を希望しない限り,」と改める。 原判決2頁22行目の「甲35,」の次に「41,」を加える。 原判決3頁11行目の「銀行預金口座」を「F銀行の貯金口座及び銀行預金口座」と改める。 3 争点及び当事者の主張は,次のとおり当審における控訴人らの主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (当審における控訴人らの主張)- 3 -連れ子のいる者が再婚をしたという事情が新規性のある事情に当たることについて原判決は,最高裁平成26年(オ)第1023号同27年12月16日大法廷判決・ における控訴人らの主張)- 3 -連れ子のいる者が再婚をしたという事情が新規性のある事情に当たることについて原判決は,最高裁平成26年(オ)第1023号同27年12月16日大法廷判決・民集69巻8号2586頁(夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決)が,連れ子のいる者が再婚をした場合も考慮した上で,憲法24条1項違反の問題が生じない旨判示していることは当然であるとして,控訴人らの主張を排斥したが,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決は,氏が,親子関係など一定の身分関係を反映し,婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることがその性質上予定されていることを前提として,婚姻及び家族に関する法制度を定めた法律の規定が憲法24条に適合するものとして是認されるか否かは,当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し,当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合に当たるか否かという観点から判断すべきものであるという枠組みを示しているところ,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決がこのような枠組みの下で判断をしたことと,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決が,子が両親と同じ氏を称することによる利益を享受しない場面もあることを当然に考慮の対象としたか否か,及び再婚時の氏に関する具体的問題につき,夫婦同氏制において一切例外を許容しない民法750条の当否を具体的に検討したか否かということは,全く異なる事項であって,論理的に区別する必要があるから,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決が,連れ子のいる者が再婚をした場合を具体的に考慮して判示をしたということはできない。 原判決が,連れ子のいる者が再婚をする事例について初の憲法判断を回避したことは誤りであることについて 廷判決が,連れ子のいる者が再婚をした場合を具体的に考慮して判示をしたということはできない。 原判決が,連れ子のいる者が再婚をする事例について初の憲法判断を回避したことは誤りであることについて我が国の違憲審査は,付随的違憲審査制が採用されており,また,司法とは,法律上の争訟について法を適用し,これを裁定する作用であるところ,- 4 -夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決の上告人らは,連れ子のいる者が再婚をするという事情を有しない当事者であったから,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決は,連れ子のいる者が再婚をするという固有の具体的事情を考慮する必要がなかったこと,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決の反対意見において,「多数意見は,夫婦同氏により嫡出子であることが示されること,両親と等しく氏を同じくすることが子の利益であるとする。これは,夫婦とその間の未成熟子を想定してのものである。夫婦とその間の未成熟子を社会の基本的な単位として考えること自体は間違っていないが,夫婦にも別れがあり,離婚した父母が婚氏続称を選択しなければ氏を異にすることになる。夫婦同氏によって育成に当たる父母が同氏であることが保障されるのは,初婚が維持されている夫婦間の子だけである。子の利益の観点からいうのであれば,夫婦が同氏であることが未成熟子の育成にとってどの程度の支えとなるかを考えるべきである。」との意見を述べているが,同裁判官は,同判決の多数意見が,離婚や連れ子のいる者が再婚をする場合を検討したり,検討結果を判示したりしていないからこそ,反対意見を述べるに至ったもの,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決において,わざわざ補足意見を述べた旨明記されているにもかかわらず,同補足意見において,離婚事例や連れ子のいる者が再婚をする事例に特段言及をしていないことからすれば,同判決の多数意 賠訴訟大法廷判決において,わざわざ補足意見を述べた旨明記されているにもかかわらず,同補足意見において,離婚事例や連れ子のいる者が再婚をする事例に特段言及をしていないことからすれば,同判決の多数意見は,連れ子のいる者が再婚をする場合を考慮ないし配慮した意見を述べていないと解され,原判決が,連れ子のいる者が再婚をするという個別事情につき新規性を否定し,これに対する初の憲法判断を回避したことは誤りである。 原判決が,連れ子のいる者が再婚をすることによる改姓の不利益について,何ら考慮していないことについて仮に控訴人Aが,離婚後から再婚時まで「B」姓を続称していたとしても,控訴人Dとの再婚により,事実上,「D」姓への改姓を余儀なくされる- 5 -ことから,離婚後再婚時まで婚氏続称をしている場合とそうでない場合とを区別する合理的理由はなく,少なくとも現在の母子の氏の不一致は,夫婦同氏制の帰結であって,婚姻由来の事象という控訴人Aの子らは,控訴人Aの旧姓である「C」姓を自らの氏として称することを希望しており,「C」姓として母子の氏を一致させることができないという不利益を被っている後から再婚前までという場面に限局すれば,控訴人Aが「C」姓に復氏し,控訴人Aの子らが,15歳を過ぎた後,「C」姓に氏の変更をすることにより母子の氏を一致させることができたはずであるにもかかわらず,再婚後は「C」姓として母子の氏を一致させることができない事態が生じていることからすれば,再婚後の母子の氏の不一致と夫婦同氏制との間の因果関係を考察するに際し,離婚後から再婚前までの経緯を要素として挙げることは相当でない。 原判決が,現在においても,控訴人Aの子らの氏を「D」に改姓することができる旨の判示をしたこと等について原判決(15頁)は,「現在において 前までの経緯を要素として挙げることは相当でない。 原判決が,現在においても,控訴人Aの子らの氏を「D」に改姓することができる旨の判示をしたこと等について原判決(15頁)は,「現在においても,原告Aの子らは,家庭裁判所の許可を得て,その氏を「D」に変更すること」ができると判示するが,この判示は,控訴人Aが,子らが15歳を過ぎるまで「B」姓を称するという協議離婚時の約定に違反することを推奨するものであって,極めて問題であ未だ16歳に達していない二女が「D」姓に改姓した場合,控訴人Aと前夫との間で,控訴人Aが離婚条件に違反したことを理由にトラブルが起きる蓋然性が高く,この場合,むしろ,控訴人Aの側に非があること,Aの子らが望んでいない「D」姓への改姓を志向,推奨しており,極めて問題であるAの子らが「D」姓に改姓した場合,控訴人らと控訴人Aの子らとの間の姓は一致することになるが,前夫である「B」姓との間では氏の不一致が生じるから,控訴人Aの子らが,- 6 -Aの子らは,出生後,自ら称し続けている「B」姓に対する強固な縁を有し,また,「C」姓については,「C」姓である母方の祖父母や伯父との間における親族としての交流から,人Aの子らにとって,「D」姓はなじみが薄い氏といわざるを得ず,中高生Aの子らが「D」姓に改姓した場合,両親が離婚したことのみならず,母が再婚をしたことを強く推認させる結果,子らの複雑な家庭事情が際立ち,私生活上,主観的,客観的に支障が生じる懸念があることなどの状況があるにもかかわらず,原判決は,このような控訴人Aの子らの生活環境への影響や控訴人Aの置かれた状況について,何らしんしゃくをしていないことなど,原判決が,控訴人Aの子らの氏を「D」姓に改姓することができると判示することは極めて問題がある。 第3 らの生活環境への影響や控訴人Aの置かれた状況について,何らしんしゃくをしていないことなど,原判決が,控訴人Aの子らの氏を「D」姓に改姓することができると判示することは極めて問題がある。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの各請求はいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」第3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の訂正)原判決15頁13行目から14行目にかけての「同人らが15歳に達するまで」を「同人らが15歳を過ぎ,変更を希望しない限り,」と改める。 原判決15頁20行目の「本来の性質に」から24行目の「見いだすことはできない。」までを,以下のとおり改める。 「本来の性質に沿わないものであり,一定の統一された基準に従って定められ,又は改められるとすることが不自然な取扱いとはいえないところ(夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決参照),「C」という氏をこれまで称したことがない控訴人Aの子らにおいて氏を「C」に変更することができないことをもって,直ちに不合理であるということはできない。」- 7 -(当審における控訴人らの主張に対する判断)連れ子のいる者が再婚をしたという事情が新規性のある事情に当たることについて控訴人らは,原判決は,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決が,連れ子のいる者が再婚をした場合を考慮した上で,憲法24条1項違反の問題が生じない旨判示していることは当然であるとして,控訴人らの主張を排斥したが,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決は,氏が,親子関係など一定の身分関係を反映し,婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることがその性質上予定されていることを前提として,婚姻及び家族に関する法制度を定めた法律の規定が憲法24 子関係など一定の身分関係を反映し,婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることがその性質上予定されていることを前提として,婚姻及び家族に関する法制度を定めた法律の規定が憲法24条に適合するものとして是認されるか否かは,当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し,当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合に当たるか否かという観点から判断すべきものであるという枠組みを示しているところ,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決がこのような枠組みの下で判断をしたことと,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決が,子が両親と同じ氏を称することによる利益を享受しない場面もあることを当然に考慮の対象としたか否か,及び再婚時の氏に関する具体的問題につき,夫婦同氏制において一切例外を許容しない民法750条の当否を具体的に検討したか否かということは,全く異なる事項であって,論理的に区別する必要があるから,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決が,連れ子のいる者が再婚をした場合を具体的に考慮して判示をしたということはできないと主張する。 しかしながら,1,12頁)で説示したとおり,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決は,氏が,親子関係など一定の身分関係を反映し,婚姻関係を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることがその性質上予定されていることを- 8 -前提として,婚姻及び家族に関する法制度を定めた法律の規定が憲法24条に適合するものとして是認されるか否かは,当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し,当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合 当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し,当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合に当たるか否かという観点から判断すべきものであるという判断枠組みを示しているのであって,人は,出生の際に,嫡出である子については父母の氏を,嫡出でない子については母の氏を称することによって氏を取得し(民法790条),婚姻の際に,夫婦の一方は,他方の氏を称することによって氏が改められ(同法750条),離婚や婚姻の取消しの際に,婚姻によって氏を定めた者は婚姻前の氏に復する(同法767条1項,771条,749条)といった規定により,子が両親と同じ氏を称することによる利益を享受しない場面もあることは,当然に考慮の対象とされているものというべきであり,初婚の夫婦とその間の子という家族のみを想定して判示されたものでないことは明らかであって,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決の事案が,連れ子のいる者が再婚をした場合ではないので,具体的にその場合について言及していないものの,同判決において,連れ子のいる者が再婚した場合について考慮されていないということはできない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 原判決が,連れ子のいる者が再婚をする場合における初の憲法判断を回避したことは誤りであることについて控訴人らは,我が国の違憲審査は,付随的違憲審査制が採用されており,また,司法とは,法律上の争訟について法を適用し,これを裁定する作用であるところ,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決の上告人らは,連れ子のいる者が再婚をするといった事情を有しない当事者であったから,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決は,連れ子のいる者が再婚をするという固有の具体的事情を木内 婦同氏制国賠訴訟大法廷判決の上告人らは,連れ子のいる者が再婚をするといった事情を有しない当事者であったから,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決は,連れ子のいる者が再婚をするという固有の具体的事情を木内道祥裁判官は,夫婦同氏制国賠訴訟大- 9 -法廷判決において反対意見を述べているところ,同裁判官は,同判決の多数意見が,離婚や連れ子のいる者が再婚をする場合を検討したり,検討結果を判示したりしていないからこそ,反対意見を述べるに至ったものと考えられ寺田逸郎裁判官は,わざわざ補足意見を明記しているにもかかわらず,補足意見において,離婚事例や連れ子のいる者が再婚をする事例に特段言及をしていないことからすれば,同判決の多数意見は,連れ子のいる者が再婚をする場合を考慮ないし配慮した意見を述べていないと解され,原判決が,連れ子のいる者が再婚をするという個別事情につき新規性を否定し,これに対する初の憲法判断を回避したことは誤りであると主張する。 は,初婚の夫婦とその間の子という家族のみを想定して判示されたものでないことは明らかであって,同判決の事案が,連れ子のいる者が再婚をした場合ではないので,具体的にその場合について言及していないものの,同判決において,連れ子のいる者が再婚した場合について考慮されていないということはできない。 また,木内道祥裁判官が反対意見を述べ,寺田逸郎裁判官が補足意見を述べたことをもって,直ちに,夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決の多数意見が,連れ子のいる者が再婚をする場合を考慮ないし配慮した意見を述べていないことを示すものであるということもできない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 原判決が,連れ子のいる者が再婚をすることによる改姓の不利益について,何ら考慮していないことについて控訴人らは, こともできない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 原判決が,連れ子のいる者が再婚をすることによる改姓の不利益について,何ら考慮していないことについて控訴人らは,Aが,離婚後から再婚時まで「B」姓を続称していたとしても,控訴人Dとの再婚により,事実上,「D」姓への改姓を余儀なくされることから,離婚後再婚時まで婚氏続称をしている場合とそうでない場合とを区別する合理的理由はなく,少なくとも現在の母子の氏の不一- 10 -致は,夫婦同氏制の帰結であって,婚姻由来の事象というべきであること,Aの子らは,控訴人Aの旧姓である「C」姓を自らの氏として称することを希望しており,「C」姓として母子の氏を一致させることができな後から再婚前までという場面に限局すれば,控訴人Aが「C」姓に復氏し,控訴人Aの子らが,15歳を過ぎた後,「C」姓に氏の変更をすることにより母子の氏を一致させることができたはずであるにもかかわらず,再婚後は「C」姓として母子の氏を一致させることができない事態が生じていることからすれば,再婚後の母子の氏の不一致と夫婦同氏制との間の因果関係を考察するに際し,離婚後から再婚前までの経緯を要素として挙げることは相当でないと主張する。 なるほど,控訴人ら及び控訴人Aの子らが,「C」姓として,母子の氏を一致させたいとの希望を有しているにもかかわらず,現行法の下では,控訴人らが夫婦の氏を「C」としない限り,このような希望を実現することができないことは,控訴人らが指摘するとおりである。しかしながら,氏は,個人の呼称としての意義があり,名とあいまって社会的に個人を他人から識別し特定する機能を有するものであることからすれば,自らの意思のみによって自由に定めたり,又は改めたりすることを認めることは本来の性質に沿わ しての意義があり,名とあいまって社会的に個人を他人から識別し特定する機能を有するものであることからすれば,自らの意思のみによって自由に定めたり,又は改めたりすることを認めることは本来の性質に沿わないものであり,一定の統一された基準に従って定められ,又は改められるとすることが不自然な取扱いとはいえないところ(夫婦同氏制国賠訴訟大法廷判決参照),「C」という氏をこれまで称したことがない控訴人Aの子らにおいて氏を「C」に変更することができないことをもって,直ちに不合理であるということはできない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 原判決が,現在においても,控訴人Aの子らの氏を「D」に改姓することができる旨の判示をしたこと等について現在においても,原告Aの子らは,- 11 -家庭裁判所の許可を得て,その氏を「D」に変更すること」ができると判示するが,この判示は,控訴人Aが,子らが15歳を過ぎるまで「B」姓を称するという協議離婚時の約定に違反することを推奨するものであって,極めD」姓に改姓した場合,控訴人Aと前夫との間で,控訴人Aが離婚条件に違反したことを理由にトラブルが起きる蓋然性が高く,この場合,むしろ,控訴人Aの側に非があるAの子らが望んでいない「D」姓への改姓を志向,推奨しておりAの子らが「D」姓に改姓した場合,控訴人らと控訴人Aの子らとの間の姓は一致することになるが,前夫である「B」姓との間では氏の不一致が生じるから,控訴人Aの子らが,前夫の嫡出子であることを氏から推認することは不能となること,Aの子らは,出生後,自ら称し続けている「B」姓に対する強固な縁を有し,また,「C」姓については,「C」姓である母方の祖父母や伯父との間における親族としての交流から,身近な氏として慣れ親しんでいるこ Aの子らは,出生後,自ら称し続けている「B」姓に対する強固な縁を有し,また,「C」姓については,「C」姓である母方の祖父母や伯父との間における親族としての交流から,身近な氏として慣れ親しんでいるこAの子らにとって,「D」姓はなじみが薄い氏といわざるを得ず,中高生である子らにとって抵抗感が生ずることは想像に難くないこと,Aの子らが「D」姓に改姓した場合,両親が離婚したことのみならず,母が再婚をしたことを強く推認させる結果,子らの複雑な家庭事情が際立ち,私生活上,主観的,客観的に支障が生じる懸念があることなどの状況があるにもかかわらず,原判決は,このような控訴人Aの子らの生活環境への影響や控訴人Aの置かれた状況について,何らしんしゃくをしていないことなど,原判決が,控訴人Aの子らの氏を「D」姓に改姓することができると判示することは極めて問題があると主張する。 しかしながら,原判決は,現行法の下においても,控訴人Aの子らが,母である控訴人Aの氏と一致させるため,家庭裁判所の許可を得て,その氏を「D」に変更することができる旨を判示したにすぎず,この判示をもって,- 12 -直ちに,控訴人Aと前夫との間で取り決めた協議離婚時の約定に違反することを推奨したり,控訴人Aの子らが望んでいない「D」姓への改姓を志向したり,これを推奨したりするものであると解することはできない。また,原判決は,控訴人Aの子らが「D」姓に改姓することによって,一定の不利益が生じることを否定するものでなく,控訴人らが指摘するような不利益があることを考慮してもなお,民法750条の規定は,控訴人らの婚姻に適用される限りにおいて,憲法24条1項及び14条1項に違反すると解することができないと判断したものであって(原判決第3の2(15頁)),原判決が,控訴人Aの子らの生活環境 規定は,控訴人らの婚姻に適用される限りにおいて,憲法24条1項及び14条1項に違反すると解することができないと判断したものであって(原判決第3の2(15頁)),原判決が,控訴人Aの子らの生活環境への影響や控訴人Aの置かれた状況について,何らしんしゃくをしていないということはできない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 2 結論よって,控訴人らの各請求は,いずれも理由がないからこれらを棄却すべきであるところ,これと同旨の原判決は相当であって,本件各控訴はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第10民事部 裁判長裁判官大段亨 裁判官小河原寧 裁判官朝倉亮子

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