平成14(う)165 詐欺被告事件

裁判年月日・裁判所
平成15年10月28日 高松高等裁判所 棄却 高知地方裁判所 平成13(わ)81
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判決文本文16,855 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 理由 本件控訴の趣意は主任弁護人水成直也,弁護人山原和生,同本田俊雄,同金子悦司郎,同森哲也,同國吉歩及び同土田慎太郎共同作成の控訴趣意書に,これに対する答弁は検察官西浦久子作成の答弁書に各記載のとおりであるから,これらを引用する。 第1 原判決の理由の要旨本件の控訴趣意と原審における弁護人の主張とはほぼ同旨であり,本件控訴趣意に対する検討の便宜上,まず,原判決の認定した「犯行に至る経緯」,「罪となるべき事実」の要旨及び原判決の補足説明の概要を掲げておく。 1 原判決の認定した事実(犯行に至る経緯及び罪となるべき事実)の要旨被告人は,昭和44年以降,同和対策事業の一環として高知県(以下,特に断らない限り,同県を指す。)内に繊維製品の製造販売等を目的とするグループ企業5社を設立し,自らその各代表者となって縫製業を営むようになり,昭和54年にそれらを組合員としてA協同組合を設立したが,次第に業績が悪化し,赤字が増大したことから,平成5年5月ころ,B連合会(以下「B」ともいう。)のC書記次長から示唆を受け,事業の用に供する土地の取得及び造成並びに建物,構築物及び設備の設置等に必要な資金について,知事がその事業計画を適当と認めた場合,事業者が必要額の20パーセントを自己資金で調達することを前提として,県が,中小企業事業団(現在の中小企業総合事業団,以下「中小企業事業団」という。)からの借受金や県独自の資金を使って,必要額の80パーセントを限度として無利子かつ2年間据置後,長期償還で貸し付ける構造改善等高度化事業(特定)(以下「高度化事業」ともいう。)による中小企業高度化資金(以下「高度化資金」ともいう。)の貸付制度を利用し,最新設備を備えた新規縫製工場を建設し, ,長期償還で貸し付ける構造改善等高度化事業(特定)(以下「高度化事業」ともいう。)による中小企業高度化資金(以下「高度化資金」ともいう。)の貸付制度を利用し,最新設備を備えた新規縫製工場を建設し,これをアパレルセンターとしてグループ全体の近代化を図ろうと考え,その事業計画を作成し,県に提出したところ,県もこれを前向きに検討する姿勢を示したため,平成6年8月,前記A協同組合を繊維製品の製造・販売を目的とする協業組合D(以下「D」ともいう。)へ組織変更し,自らその代表理事となったものの,県から,出資企業でやがて清算が必要な組合員の抱える多額の負債をDに引き継がずに処理するように指示を受けており,また,20パーセントの自己資金を準備しなければならなかったのに,それらの目処が立たなかった。 そこで,被告人は,部下で,Dの理事のE及び知人で,Dの中核となる縫製工場建設工事の受注を企図する建設会社の代表者Fの2名と共謀の上,高度化資金貸付名下に金員を騙取しようと企て,(1) あらかじめ自己資金を増資によって調達する旨の内容虚偽のDの理事会議事録の写しを県に提出した上,平成7年1月24日ころ,県庁において,知事あてに,Dは,その組合員企業の多額の負債の処理ができておらず,返済の能力がないのにその情を秘し,負債は少額であって,返済の能力があるかのように装い,かつ,高度化事業計画において必要な20パーセントの自己資金を調達する能力はなく,前記建設会社からの借入金による見せ金増資によりこれを仮装する意図であるのにその情を秘し,また,貸付対象となり得る高度化資金貸付仮内定後の造成工事は同建設会社請負にかかる9980万7000円分以外に存しないのに,別会社が同仮内定後に土地造成工事を請負施工するように装い,同社の金額を8470万円(消費税を含まず。)とする 付仮内定後の造成工事は同建設会社請負にかかる9980万7000円分以外に存しないのに,別会社が同仮内定後に土地造成工事を請負施工するように装い,同社の金額を8470万円(消費税を含まず。)とする内容虚偽の見積書を添付して造成費用を水増しして合計1億8704万8000円とし,土地取得,造成等の費用として申請金額合計4億9100万円の中小企業高度化資金貸付申請書を提出し,同貸付金の審査を担当する県商工労働部商工政策課課長(以下「商工政策課長」ともいう。)らを介し,同年3月28日ころ,同貸付決定権限者である知事の代決権限を有する副知事をして,同造成費用は真実同事業のために施工された工事代金であり,かつ,Dは,返済の能力があり,事業計画どおり自己資金を調達しており,約定どおりの償還を受けられるものと誤信させ,同副知事をして同貸付金の支出負担行為を決議させ,知事とDとの間において,平成6年度中小企業高度化資金貸付契約を締結させ,平成7年3月31日ころ,県において,高度化資金対象事業の土地代,造成費等に6億1426万8502円を支払済みであり,そのうち貸付金交付請求額は4億9100万円である旨の同貸付金交付請求書を同課担当者に提出し,同日ころ,同課担当者をして,前記支出負担行為に基づく支出命令を決裁させ,よって,同年4月10日,知事の命を受けた県出納係員らをして,金融機関における県の当座預金口座からDの普通預金口座に4億9100万円を振込入金させてこれを騙取し(原判示第1),(2) 平成8年3月25日ころ,県庁において,知事に対し,前記のとおり,Dが,貸付金返済能力がなく,多額の負債を抱え,必要な自己資金も調達できず,前記建設会社からの短期借入金で見せ金増資を行っており,さらに,貸付対象となる工場建設請負工事を前記建設会社に5億5519万30 貸付金返済能力がなく,多額の負債を抱え,必要な自己資金も調達できず,前記建設会社からの短期借入金で見せ金増資を行っており,さらに,貸付対象となる工場建設請負工事を前記建設会社に5億5519万3000円で請け負わせていたのにこれらの情を秘し,貸付金返済能力があり,Dの負債は少額であって,自己資金により前記増資を行い,更に前記工場建設工事代金が7億8032万8000円である旨仮装し,前記見せ金による増資に係るDの商業登記簿謄本,前記のとおり水増しした工場建設工事代金見積書等とともに,建物建設,設計監理,設備等の費用として申請金額合計9億5250万円の中小企業高度化資金貸付申請書を提出し,同貸付の審査を担当する県商工政策課長らを介し,同年4月2日ころ,知事の同貸付決定に係る権限を専決する副知事をして,Dが自己資金により増資を行い,前記見積書記載の工事代金が真実のものであり,かつ,Dに返済の能力があって,約定どおりの貸付金の償還を確実に受けられるものと誤信させ,副知事をして,同貸付金の支出負担行為を決議させるとともに,知事とDとの間において,同金額の平成7年度中小企業高度化資金貸付契約を締結させ,よって,Dに県に対する同金額の債権を取得させ,もって,同額の財産上不法の利益を得た(同第2),というものである。 なお,原判決は,本件詐欺の犯意並びに被害者側の認識の程度に関し,①被告人に貸付金返済の意思がないのにこれあるように装った,②貸付決定権限を有する副知事をして,約定どおりの貸付金の償還を確実に受けられるものと誤信させた,とする公訴事実の一部について,①被告人は,原審公判において,従前の縫製業における孫請け的賃加工を脱し,販路を拡大して人材を図っていく中で,企業として生き残っていこうという積極的な意欲を持っていた旨供述し,それは,単に倒産 て,①被告人は,原審公判において,従前の縫製業における孫請け的賃加工を脱し,販路を拡大して人材を図っていく中で,企業として生き残っていこうという積極的な意欲を持っていた旨供述し,それは,単に倒産を先延ばしにして借入れを踏み倒そうとする意図ではなかった趣旨と理解できる上,Dが生産,販売をする事業体であり,本件融資がその事業を活性化させるための設備等に用いられるものであることからすると,被告人の前記公判供述を排斥できないとして,被告人には,貸付金返済の意思がなかったとまではいえない,②県としては,深刻な不況の中で,Dが確実に業績を伸ばしていくとは確信していなかったし,高度化資金貸付後,Dがどのように運転資金を調達するかについてまで十分検討していなかったとうかがわれるから,貸付金の償還を確実に受けられるものとまで誤信していたわけではないとの判断を示し,これらの点について,罪となるべき事実では認定せず,被告人に有利な方向に縮小認定をしている。 2 原判決の補足説明の概要(原審弁護人の主張とそれに対する原判決の判断)原審弁護人は,県による本件融資についての審査が責任をもってされたとはいえず,このような県職員の対応は背任と評価できるものであるから,被告人に対しては,背任の共犯と同等の量刑をするのが相当である,①とりわけ,Dについて,当時の商工労働部部長や商工政策課長らの原審証言からは,出資企業の負債処理や自己資金等の問題について責任ある審査がされた供述はなかったとし,同部経営指導課工業診断班班長も本件高度化事業に強く疑問を持っていた旨証言しているのに,それでも事業が推進されていったのは,Bの後押しがあったがゆえに,融資ありきで審査が進んでいたことを表すものである,②平成8年5月24日以降の融資が実行されたことについて,同月19日までに見せ金増資 それでも事業が推進されていったのは,Bの後押しがあったがゆえに,融資ありきで審査が進んでいたことを表すものである,②平成8年5月24日以降の融資が実行されたことについて,同月19日までに見せ金増資が県に発覚し,商工政策課職員が県庁に被告人を呼び出して事情説明を求めた際,職員が,「ストーリーを考えないかん。」と発言したことからすると,被告人に繰上償還をさせるのでなく,他の方法で事態を切り抜けたいという意図がみられたこと,その後,融資の実行を止めるべきであり,手続的にもそれが可能であったのに,当初の予定どおり,9億5250万円の融資が実行された経緯があり,③本件融資の実行後,県がDに対し,更に運転資金として合計12億0350万円もの貸付けをし,その後も販路確保等の協力を行うなどしたことからみて,県には騙されたという認識や被害感情が希薄であったもので,これらはいかなる事情があろうとも,Dに対し,融資をしようとする県の姿勢を示すものである,と主張した。 これらの各主張に対し,原判決は,おおむね,次のような理由で,それらを排斥する判断を示している。 ① 本件融資の際の貸付審査会に至るまでの中小企業事業団や工業診断班による専門的な診断及びそれに基づく勧告と,融資決定を踏まえて行われた事後指導の形をとった再診断及びそれに基づく勧告は,決して形式的なものではなく,定められた具体的事項について手順どおり適切に行われ,それを前提に各決裁がされ,本件融資が実行されていたと認められる。 もっとも,本件融資に至るまでの診断で改善すべき点を勧告したことに対するDの回答に対し,県担当者が個々具体的な裏付けまではとっていないものの,各種の勧告で指摘している事項が実現できなければ,事業の健全な運営ができないから,各診断に当たった担当者において,Dがそれらの回答に示された し,県担当者が個々具体的な裏付けまではとっていないものの,各種の勧告で指摘している事項が実現できなければ,事業の健全な運営ができないから,各診断に当たった担当者において,Dがそれらの回答に示された内容を誠実に履行するものと考え,多額の融資を受けようとする企業が実現できない不誠実な回答をしているとまでは疑わなかったとしてもやむを得ないものと考えられ,Bの後押しがあったがゆえに融資ありきの前提で手続が進んでいったものではない。 ② 平成8年5月24日に商工政策課職員がした発言の真意は明らかでなく,その発言から必ずしも弁護人主張のような推論が成り立つわけではないし,原判示第2の貸付けに関する支出命令は,当時の商工政策課課長Gの先決によって行われたものと認められるものの,同人が特殊な心理から本件融資を実行することもあり得ることであって,同貸付けの実行から,直ちに融資ありきという県の姿勢を推認することもできない。 ③ 多額の融資をしてDの立ち上げに積極的に関わった県としては,騙されていたことが分かったとしても,被害者であることを明らかにできる立場にはなく,Dに対し,14億4000万円余りの高度化資金を融資した直後から運転資金等としてさらに10億円余りを調達できなければ倒産する事態となっており,それが明るみに出れば,行政上の大失態として大問題になることは必至であり,県としては,そのようなことをできれば隠しておきたいという考慮と共に,Dの事業成功に一縷の望みも抱いており,被害者であることとDの倒産防止の努力を行うこととは矛盾せず,県がDに対し,本件後の運転資金の貸付けや販路確保等の支援を行ったことから,直ちに当初から融資ありきという県の姿勢を推認することもできない。 結局,県が,本件融資をするに当たっては,本件高度化事業の計画が持ち込まれて以降,工 資金の貸付けや販路確保等の支援を行ったことから,直ちに当初から融資ありきという県の姿勢を推認することもできない。 結局,県が,本件融資をするに当たっては,本件高度化事業の計画が持ち込まれて以降,工業診断班及び金融班を中心にその計画について何度も検討し,被告人らに修正を促すなどした結果,それが事業として成り立ち,融資の返済も可能であるとの判断に至ったことを前提としており,この前提を欠きながら,本件融資を実行したとは考えられないし,その際,Dが総事業費の20パーセントに当たる3億6000万円余りを自己資金として調達することと,組合員5社の負債総額約4億8000万円を承継しないこととを絶対の前提条件としていたのであり,県において,それらが満たされようがどうしようが,形式さえ整えば融資をするという姿勢で本件融資を検討していたのではないから,被告人の県に対する詐欺罪が成立するのは明らかであって,県による本件融資を背任と評価することもできない。 第2 控訴趣意に対する判断 1 控訴趣意中,事実誤認の主張について論旨は,本件融資は,Bと県との長年の関係を背景に,県において,責任ある審査をせず,当初から融資ありきの姿勢で進められた結果であり,被告人の欺罔行為があろうがなかろうが,本件融資の実行がされたものであり,原判示第1,第2の各詐欺の事実につき,被告人には,県職員らを欺罔したと評価できる欺罔行為はないから,詐欺罪は成立せず,被告人は無罪であるのに,原判示各詐欺の事実を認定し,被告人を有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。 そこで,所論(弁護人の当審弁論を含む。以下,同じ。)にかんがみ,記録を調査し,当審における事実取調べの結果をも併せて検討する。 (1) 県が実施した本件審査の実態について所論は,① いうのである。 そこで,所論(弁護人の当審弁論を含む。以下,同じ。)にかんがみ,記録を調査し,当審における事実取調べの結果をも併せて検討する。 (1) 県が実施した本件審査の実態について所論は,①当時の商工労働部経営指導課工業診断班班長のHは,原審公判において,Dの事業がうまく行くかどうか,在職中ずっと心配があり,その点をI商工政策課長に話しても,「あまりそんなことは言わない方がよい。」と言われて取り合ってくれず,当時の課内には自分の意見が伝わらない雰囲気があったし,議論をする雰囲気もなかった,自己資金の調達と出資企業の負債処理の問題についても,被告人が説明するような方法で資金を都合するような経験はかつてなく,自分は不審に思っていた,平成7年1月9日の貸付審査会は重要な会議と位置づけられ,その席で具体的な議論がされ,Dの事業が保留になる決定がなされると期待していたのに,審議時間も1時間と短く,具体的な議論はされなかった,自分は本件事業の実現に対して不信感を抱いていた旨証言しており,その内容は県の融資ありきの姿勢をうかがわせるものであって,原審がこのようなH班長の証言を積極的に評価していないのは不当である,②同和対策融資の高度化資金については,同和対策事業の極めて高度な政治的特殊性や背景事情から全国的に審査の構造的甘さが指摘されており,本件でも診断や審査の前に既に融資が事実上決まっていたと思われるのに,原判決がその点を看過し,県担当者による実質的な検討がされていると認定したのは誤りである,③県は,当時の縫製業の経営状況を把握していたから,Dが自己資金を調達できないことや出資企業の負債を処理することができないことを当然認識していたはずであり,その点を調査することも容易であったのに,具体的裏付けを取らずに高度化事業が進行していったのは,県 己資金を調達できないことや出資企業の負債を処理することができないことを当然認識していたはずであり,その点を調査することも容易であったのに,具体的裏付けを取らずに高度化事業が進行していったのは,県が,Dには資金の用意ができないことを承認していたからであって,県の実施した審査が甘かったのはその表れである,と主張する。 しかし,①について,H班長の原審証言全体をみれば,その趣旨は,むしろ本件融資をする前提としての診断,指導等を定められた手順を踏んで行う中で,その都度,被告人が県の指導に対し,表面的には従う態度を示していたため,診断の過程では,被告人の詐欺の意図に気づかず,結果的に被告人から欺罔された旨供述していると解されるのであって,所論指摘の証言部分の大半は事後的な反省ないし批判に過ぎないと考えられる。そして,所論指摘のH班長の発言の内容は,本件高度化事業に不安があることを伝えるため,I課長に対し,「甲さん(被告人)という人を知っていますか。」と質問したところ,I課長は,「そんなことを言わん方がいい。」などと答えたというものの,他方で,それは別の案件だったかもしれないし,「そんなこと」がどんなことかも覚えていないなどと述べていて,その内容は,甚だあいまいであるから,これを積極的に評価できないのは当然である。Iの原審証言においても,H班長との間のその点の具体的やり取りは表れておらず,そこから県の融資ありきの姿勢を推認することはできない。②について,関係証拠によっても,県の診断や審査が,本件事業が同和対策事業であるがゆえに,殊更一般の場合と異なる基準や態度で行われた形跡はうかがえず,この点の原判決の認定も誤っていない。③について,関係証拠によっても,県として,Dが自己資金を調達できないことや出資企業の負債を処理することができないことを認識し や態度で行われた形跡はうかがえず,この点の原判決の認定も誤っていない。③について,関係証拠によっても,県として,Dが自己資金を調達できないことや出資企業の負債を処理することができないことを認識していた状況はうかがえないし,原判決が説示するように,県担当者が個々具体的な裏付けまではとっていないものの,それは,県が各種の勧告で指摘している事項が実現できなければ,事業の健全な運営ができないのであるから,多額の融資を受けようとするDが,回答の内容を誠実に履行するものと考え,不誠実な回答をしているなどとは疑わなかったことによるのであって,県が,Dが資金調達ができないことを承認していた事実はないと認められる。 (2) B幹部の後押しについて所論は,原判決は,本件高度化事業が,高知県内における縫製業の不振を改善するため,被告人の経営する会社名義で,県内縫製業者が事業を協業化あるいは共同化してマーケティングセンターを作り,一括受注,一括販売により効率化を図り,自社ブランドを開発し,そのためのソーイングスクールを設置してデザイナー等を養成する必要があるとする平成4年3月ころからの被告人のマーケティングセンター設立構想(いわゆる甲構想)に由来するもので,Bが本件事業計画の実現を強く望み,被告人らの後ろ盾となっていたことを認めながら,長年にわたる同団体と県との癒着構造や同団体の後押しを過小評価するもので不当であり,特に,本件で,県出身者でなく,同団体にも所属していない被告人に対し,合計26億円もの融資がされたのは,その背景として,県庁幹部とB幹部の癒着なくしてはあり得ないことであり,これは,本件融資において,同団体幹部から県庁幹部への強い働きかけがあったことを示すものである,と主張する。 しかし,関係証拠によれば,本件高度化事業が具体化する以前の平成4年の あり得ないことであり,これは,本件融資において,同団体幹部から県庁幹部への強い働きかけがあったことを示すものである,と主張する。 しかし,関係証拠によれば,本件高度化事業が具体化する以前の平成4年の甲構想については,実現性に乏しいなどとして県により明確に退けられ,また,平成6年11月に被告人らがこれまでの県の指導や勧告に反する形で,事業規模を約26億円に拡大してきた事業計画を拒否するなどしており,Bが後押しをすれば,それが必ず実現するものでないことは明らかである。確かに,本件高度化事業推進に当たり,同団体の後押しがあったことはそのとおりであるが,それは,本件事業が実現すれば,地域住民の就労等に大きなメリットがあるからであり,それを超えて,県職員が同団体幹部から不当な圧力を受けたり,その結果,担当職員が本件融資の審査に際し,手心を加えたりしたような事実はなかったと認められる。同団体幹部が,被告人に対し,本件のような詐欺的手段を指示した事実もないと認められる。 (3) 平成8年5月24日の被告人と県との協議の内容について所論は,①被告人による見せ金増資の事実が県に発覚し,被告人が県庁に事情説明のため出頭した際,職員の中から,「何かストーリーを考えないかん。」との発言があったが,これは,とにかく融資は実行する必要があるので,その方法を考えなければならないとの趣旨と考えられ,県は,被告人に対して,既に融資されている土地取得代金等4億9100万円の繰上償還も請求せず,かえって予定どおり更に建物建設工事代金等9億5250万円の融資を実行しているところ,原判決は,当時のG商工政策課長が融資を専決したものと認め,その融資実行の理由として,このままDを倒産させてしまえば,県が十分な指導をせず,約14億円の貸付けを一部実行し,残りについて貸付契約まで終了 判決は,当時のG商工政策課長が融資を専決したものと認め,その融資実行の理由として,このままDを倒産させてしまえば,県が十分な指導をせず,約14億円の貸付けを一部実行し,残りについて貸付契約まで終了していること,特に後の9億5250万円について,県や自分を含めた職員に対し,県民や議会から厳しい責任追及がされる事態になるのを恐れたこと,既に支出負担行為を決議し,副知事の決裁まで得ているのに,今更Dの不正を報告すれば,同人から怒られること及び事業成功に一縷の望みを抱いていたことなどからである旨判示しているが,そのような高額な融資の実行が一課長であるGの専決でされたとは考えにくいこと,また,同人は,その背任被告事件の第1審公判において,捜査段階における供述を翻しているから,同人の供述調書の信用性には疑問があり,むしろ県が当初より融資ありきの姿勢で進めていたDの本件事業を追認したものと考えられ,それ以外の理由は不合理であり,原判決のこの点の事実認定は誤っている,②被告人と県との協議に先立ち,JがG課長に対し,Dに対する本件高度化資金融資に問題がある旨報告した際,Gは,「このまま貸さなかったらどうなるかをいろいろ考えたときに,何とか判断をしなければならないが,そういう判断を政治的な判断と言うんだ。」などと発言し,結局9億5250万円の融資が実行されたところ,同人のいう政治的判断とは,雇用の問題を含む同和対策という通常の案件とは異なる処理方針を必要とする事案である以上,細かな手続にこだわっていては事業が進まないという意味に捉えるべきであり,現にその後の対応につき,県から被告人に対し,具体的な解決方法が提示されることはなかった,③G課長の前任者であるIは,原審公判において,真実を知った以上,9億5250万円の融資を実行すべきでなかったと証言しており につき,県から被告人に対し,具体的な解決方法が提示されることはなかった,③G課長の前任者であるIは,原審公判において,真実を知った以上,9億5250万円の融資を実行すべきでなかったと証言しており,それにもかかわらず,被告人に対し,過去の融資の繰上償還がされず,逆に当該融資が実行されたのは,いかなる事情があったとしても,融資がなされたことの証左である,と主張する。 しかし,①について,関係証拠によっても,所論指摘の発言をした職員が誰であるかは明らかでなく,職員の片言隻句をもって,県の意図を推認することは困難であるし,原判決が説示するように,G課長が9億5250万円の融資を実行した動機を,このまま県が融資を実行しなければ,Dが倒産することは必至である上(Dはもともと借金体質であり,その高度化事業の推進も県の融資で計画されていたところ,ここで融資が打ち切られてしまえば,同事業が途中で頓挫するだけでなく,当時,その中心事業である新しい工場の建設が進められ,土地の取得やその造成が完了し,建物もほとんど完成しており,建物建設の着手金や中間金合計5億円余りが県単独融資制度に基づいてつなぎ資金として既に貸し付けられていたものである(Gの検察官調書,原審検察官請求証拠番号甲150)。),既に支出負担行為が決議され,副知事の決裁を受けていて,今更後戻りできないなどと認識し,手続上も同人が専決することが可能であったことから,当該融資を実行したとする同人の捜査段階の供述を不合理とまではいえず,この点の原判決の認定に誤りはない。②について,当審取調べにかかるJの別件刑事事件における公判調書中の証言部分(謄本)(当審弁護人請求証拠番号1)によれば,Jとの会話の中で,所論のようなGの発言がなされた事実を認めることができるが,「政治的な判断」という表現は,それ自体 事事件における公判調書中の証言部分(謄本)(当審弁護人請求証拠番号1)によれば,Jとの会話の中で,所論のようなGの発言がなされた事実を認めることができるが,「政治的な判断」という表現は,それ自体多分に多義的であって,これを所論のように捉えることは一面的過ぎるし,関係証拠によれば,Gは,それまで県が被告人から欺罔を受けていたことを知らなかったことから,Jからの報告を受けてかなり動揺し,Jに対し,いくつか質問をした後,その時点における種々の利害得失を考慮した上,前記の動機から,本件融資の実行を決意したと認められ,所論のいうように,県として,当初から融資ありきの姿勢があったとまで推認することはできない。③について,I証人の原審証言を挙げるまでもなく,事後的にみれば,G課長の当該融資実行の判断及びその措置が相当でないことは言えても,それが当初から融資をする姿勢の表れであると即断することはできない。 (4) Dに対する運転資金の融資について所論は,県は,Dの見せ金増資が発覚後も,建物設備資金9億5250万円のほか,Dに対し,更に運転資金として,2回にわたり,合計12億0350万円の融資をしており,このような融資が実現したのは,県の融資ありきという姿勢があったからこそとみられるところ,その動機について,当時のK元副知事は,その背任被告事件において,自己保身の目的からではなく,同和対策という高度な政策目的からしたものである旨証言しており,そうであれば,それに先立つ本件高度化資金融資についても,当初から融資ありきでされたものである,と主張する。 しかし,見せ金増資発覚後の追加融資について,前記(3)と同様,そのことから直ちに当初の県の意図を推認することは困難であるし,むしろ関係証拠によれば,既に県としては多額の融資をし,後戻りできない状況に追い込まれ 金増資発覚後の追加融資について,前記(3)と同様,そのことから直ちに当初の県の意図を推認することは困難であるし,むしろ関係証拠によれば,既に県としては多額の融資をし,後戻りできない状況に追い込まれ,Dの高度化事業の実現に一縷の望みをつなぎ,結局泥沼にはまり込んでいった結果であると考えるのが妥当である。そもそも,K元副知事の前記供述は,背任事件の被告人として刑事責任を追及され,事実を争っている中でのものであり,これを全面的に信用することはできない。 以上によれば,原判示のとおり,本件で県が行ったDに対する融資は,決して同和対策事業の目的のため,それが法令上の要件を満たさない違法なものであっても一切構わないという性質のものではなかったと認められ,被告人の県に対する回答等の機会を通じて,それが高度化資金融資のための要件を備えていることをその都度表明し,場合によっては県の要請に応じた改善の跡も認められたからこそ,実行されたといえる。 そこで,被告人が,本件高度化資金融資を受けるに当たり,県の診断,指導の過程を通じ,Dが総事業費の20パーセントを自己資金として調達することと,出資企業5社の負債を承継しないことが絶対の前提条件とされていたところ,実際にはそれらを具備しておらず,さらに高度化資金融資では認められていない費用についてまで水増し請求をしており,これらの点について原判示のような種々の欺罔手段がとられたことは,詐欺罪における欺罔行為と評価するに十分であり,しかも,県もこの点で錯誤に陥って被告人に対し融資の実行に至ったことで詐欺罪の成立は明らかである。 その他所論にかんがみ,更に記録を検討しても,原判決に所論の事実誤認はない。論旨は理由がない。 2 控訴趣意中,法令適用の誤りの主張について論旨は,原判決は,原判示第2の事実について,詐欺利得罪 。 その他所論にかんがみ,更に記録を検討しても,原判決に所論の事実誤認はない。論旨は理由がない。 2 控訴趣意中,法令適用の誤りの主張について論旨は,原判決は,原判示第2の事実について,詐欺利得罪の成立を認めて刑法246条2項を適用しているが,本件は,財物として融資の実行される金銭の交付に重点のあった取引であり,見せ金増資が発覚した時点では融資の実行を中止することが可能であったから,それ以前の被告人と県との間で高度化資金貸付契約を締結した段階では,被告人がいまだ確定的に利益を取得したと評価することはできない,そもそも詐欺罪においては,1項詐欺罪が原則で,2項詐欺罪は例外的に処罰されるに過ぎず,とりわけ財物の移転が予定されている場合に2項詐欺罪が成立するためには,意思表示がそれ自体独立の財産的価値がある権利を他人に与える場合に限られるというべきところ,原審の法律判断は,このような246条における原則と例外の関係を逆にするものである。したがって,仮に,本件で詐欺罪が成立し得るとしても,1項詐欺罪の未遂の成立を認めるべきであり,被告人について2項詐欺罪の既遂を認定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。 そこで,所論にかんがみ,記録を調査して検討するに,刑法246条の詐欺罪において,1項と2項は,それぞれが独立した構成要件を定めるものであって,1項が原則で2項が例外という関係にあるのではなく,同条2項について,その要件を満たせば,それだけで2項詐欺罪が成立するものであり,欺罔行為によって財物の移転を内容とする契約が締結された場合でも,当該意思表示がそれ自体財産的価値を有するものであるときは,その時点で2項詐欺罪が既遂に達したというべきである。 これを本件についてみると,被告人が,県との間に本件高度 とする契約が締結された場合でも,当該意思表示がそれ自体財産的価値を有するものであるときは,その時点で2項詐欺罪が既遂に達したというべきである。 これを本件についてみると,被告人が,県との間に本件高度化資金貸付契約を締結するまでには,県の助言,指導を重ねた末の事業計画案が提出され,中小企業高度化資金貸付審査会の承認を得て貸付仮内定もされ,県の前記つなぎ融資もなされており,高度化事業もほぼ完成し,正式に高度化資金貸付申請書が県に提出され,知事の前記貸付決定に係る権限を専決する副知事の同貸付分の債務負担行為も決定されており,その上で本件貸付契約の締結に至った以上,確実な履行が期待でき,財産的価値の高い金銭債権を取得したと解され,その時点で2項詐欺罪が既遂に達しているというべきである。 そうすると,原判決が,原判示第2の事実について刑法246条2項を適用したのは正当であって,原判決に所論の法令適用の誤りはない。論旨は理由がない。 3 控訴趣意中,量刑不当の主張について論旨は,被告人を懲役4年に処した原判決の量刑は重過ぎて不当であり,被告人に対しては,刑の執行を猶予すべきである,というのである。 そこで,所論にかんがみ,記録を調査し,当審における事実取調べの結果をも併せて検討する。 本件は,高知県内において,縫製業を目的とする協業組合の代表理事を務めていた被告人が,高度化資金融資制度を悪用して,返済の能力がないのに,2度にわたり,高知県職員らを欺罔し,現金4億9100万円(原判示第1)及び同県に対する9億5250万円の金銭債権を詐取した(同第2)詐欺2件の事案であって,原判決が,その「量刑の理由」の項で説示するところは,当裁判所においても,ほぼ相当として是認することができる。 すなわち,被告人は,自己の経営する縫製業の各会社が多額の負債を抱え,繊維 案であって,原判決が,その「量刑の理由」の項で説示するところは,当裁判所においても,ほぼ相当として是認することができる。 すなわち,被告人は,自己の経営する縫製業の各会社が多額の負債を抱え,繊維業界全体が外国製品に押されるなどして構造的な不況に陥っていたこともあって,このままではいずれ各会社の事業継続が困難となることから,かつて県から2回にわたり高度化資金の貸付けを受けていた経験を踏まえ,極めて有利な返済条件である本件高度化資金の融資を受け,それで工場・設備等を一新して近代化を図り,事業を抜本的に立て直そうとして,本件詐欺に及んだものであるところ,原判決は,本件犯行の動機,経緯について,自己中心的であるものの,被告人が,長年同和縫製業の維持,振興や,従業員の雇用確保といった目的のため,多額の私財を提供してまで本件事業に力を注いだという面があり,被告人の現状認識の甘さや,杜撰な計画等はあったが,ある程度同情の余地が認められると判示しているが,所せんは,確たる先の見通しもなく,欺罔手段を用いて高度化資金の制度を悪用し,多額の公的資金を詐取した犯行であって,犯行の動機,経緯について,特に同情すべき点は見出し難いというべきである。犯行の態様も,高度化資金の融資の前提条件を実現したように見せかけるため,原審共同被告人と相謀って,見せ金による増資を仮装し,更に架空工事をでっち上げて水増し請求までしており,巧妙な手段を弄した計画的で悪質な犯行であるし,被告人が本件犯行の主犯と認められること,発生した結果も,原判示第2の犯行についても,犯行後,現実に県から契約を取り消されることなく,9億5250万円もの債務の履行を受け,高知県に対し,実質14億4300万円余りもの甚大な損失を生じさせ,その財政を圧迫させるとともに,中小企業高度化資金の貸付制度自体の 約を取り消されることなく,9億5250万円もの債務の履行を受け,高知県に対し,実質14億4300万円余りもの甚大な損失を生じさせ,その財政を圧迫させるとともに,中小企業高度化資金の貸付制度自体の存立を脅かし,ひいては県の行政自体の信頼も損なった社会的影響の大きい犯行である。さらに,被告人は,本件について,ほとんど被害弁償をしておらず,今後もその見込みは少ないことなどの諸点に照らすと,本件の犯情は非常に悪く,被告人の刑事責任を到底軽くみることができない。 所論は,①被告人に各詐欺罪が成立するとしても,本件融資の実態は,審査の甘さからすれば,県職員の背任的要素が強いから,被告人に対しては,実質上,背任罪の共犯としての量刑に止めるべきである,②本件融資は,県とBとの長年の癒着関係に原因があり,そのような関係なくして,縫製工場の一経営者にすぎない被告人に対し,本件のような巨額融資がされることはなく,被害金額だけを重視して被告人の量刑を判断するのは不当である,③被告人は,長年にわたり同和地域の改善に尽力し,同地域住民の生活向上に多大の貢献を果たしてきたものであり,本件の犯行により私腹を肥やしたわけではなく,妻ともども私財をすべて投げ出して本件事業を推進し,現在そのすべてを失ったものであり,一方,県職員らは被害弁償を一切しない中で,被告人1人にその責任を負わせるのは不当である,④被告人は,年金生活を送りながら,その乏しい生活費の中から被害弁償として,県に対し,毎月5万円の支払を継続している,⑤本件共同被告人のみならず,元県職員幹部に対する別件背任事件における各被告人に対する裁判結果からしても,被告人について実刑判決を下すことは,明らかに刑の均衡を欠く,と主張する。 しかしながら,①について,本件は,前記のような詐欺事案であり,被告人を背任の共犯と ける各被告人に対する裁判結果からしても,被告人について実刑判決を下すことは,明らかに刑の均衡を欠く,と主張する。 しかしながら,①について,本件は,前記のような詐欺事案であり,被告人を背任の共犯と同視することはできない。②について,本件詐欺の実行に際し,B幹部が関与した事実は認められない上,本件高度化資金融資の申込みをしたのは,他ならぬ被告人であって,財産罪の量刑に当たり,財産的被害額を考慮するのは当然であって,何ら不当なことではない。③について,被告人やその家族が被告人の事業のために私財を注ぎ込むのは当然であり,その点を過大視することはできない。 ④について,被告人が県に対して支払をしている分は,実際上,別件の融資に対する損失に充当され,本件損害分にはほとんど当てられていない上,その額は,損害額からみて余りに僅少である。また,Dの土地,建物や被告人の不動産について競売手続が進行しているが,いまだ売却されておらず,仮に実行されたとしても,本件の損害の補填には遠く及ばない金額と考えられる。⑤について,原判示のとおり,共犯者Eは,被告人の指示を受けて事務的な分野を担当していたにすぎず,同Fが本件各犯行に具体的に関与するに至ったのは,被告人からの働きかけによるものと認められ,被告人にはFを本件犯行に巻き込んだ直接の責任があり,いずれにしても,被告人が本件各犯行の首謀者かつ主犯であることは明白である。また,県職員の別件背任事件の量刑をもって,被告人の本件刑事責任の程度を推し量れるものではない。 そうすると,第2の犯行については,既に見せ金増資の事実が発覚していながら,県担当者の専決によって9億5250万円の融資が実行されたもので,被害の拡大について,県の落ち度も否定できないこと,被告人が罪を反省していること,また,被告人は,長年同和縫製業の維持 していながら,県担当者の専決によって9億5250万円の融資が実行されたもので,被害の拡大について,県の落ち度も否定できないこと,被告人が罪を反省していること,また,被告人は,長年同和縫製業の維持,振興に努力し,同和地区で就労の場所を提供して貢献してきたこと,本件犯行によって格別私腹を肥やしていないこと,被告人には,業務上過失傷害罪,業務上過失致死傷罪による交通関係の罰金前科2犯があるだけで,正式裁判を受けるのは,本件が初めてであること,原審公判中に妻を失い,自らも65歳を迎えていること,その他原判決や所論が指摘し記録上も認められる被告人のために酌むべき諸事情を十分考慮しても,本件が被告人に対し,刑の執行を猶予すべき事案とはいえず,刑期の点においても,被告人を懲役4年に処した原判決の量刑が重過ぎて不当であるとはいえない。論旨は理由がない。 第3 結論よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。 平成15年9月9日高松高等裁判所第1部裁判長裁判官正木勝彦裁判官増田耕兒裁判官河田泰常

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