令和5(わ)270 傷害致死

裁判年月日・裁判所
令和6年6月14日 新潟地方裁判所
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判決文本文1,825 文字)

令和5年(わ)第270号主文被告人を懲役4年6月に処する。 未決勾留日数中80日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、かねて実父であるAによる親族や被告人自身への粗暴な言動に苦慮していたものであるが、令和5年8月25日、前記A(当時58歳)が、被告人の甥を勝手に連れ出し、無免許でありながら自ら運転する自動車に乗せて川に連れて行ったことに強い危惧を抱き、新潟県小千谷市(住所省略)前記A方に行き、同人を 問いただしたものの、同人がしらを切ってまともに取り合わないことに腹を立て、同日午後10時頃から同月26日午前2時頃までの間、同所において、同人に対し、その頭部、顔面、胸部、足等を手拳で多数回殴るとともに、その足を突っ張り棒で殴り、その足などを複数回蹴りつけ、その頸部付近に手を押し当てるなどして押し倒し、仰向けになった同人の胸部に右膝を押し当てて体重をかけるなどの暴行を加 え、よって、同人に多発肋骨骨折等の傷害を負わせ、同日午前9時43分頃までの間に、同所において、同人を前記多発肋骨骨折による呼吸不全により死亡させた。 (量刑の理由)被告人は、被害者に対し、その頭部や顔面、胸腹部等を拳等で50回以上殴り、仰向けになった同人の胸部に右膝を押し当てて体重をかけるなど、4時間にわたり 暴行を加えた。本件の暴行は17か所にも及ぶ多発肋骨骨折や、大脳右側頭部のくも膜下出血などの傷害を生じさせるほど強い力で執拗に行われたもので、被害者が全く抵抗しなくなった後も断続的にではあるがなお約3時間半にわたり続いた一方的なものであった。被害者は重篤な傷害を負い、その苦痛の中で死に至ったのであり、その結果は重大である。 被告人は、幼少期から被害者の家庭内での暴力に苦しみ、実母と共 時間半にわたり続いた一方的なものであった。被害者は重篤な傷害を負い、その苦痛の中で死に至ったのであり、その結果は重大である。 被告人は、幼少期から被害者の家庭内での暴力に苦しみ、実母と共に別居した後 も、本件の数年前には自宅に押しかけた被害者から暴言を吐かれ、被告人の親族も被害者から暴行を受けたと聞かされるなど被害者の粗暴な言動に苦しんでいた。このような本件の背景事情に加え、被害者は飲酒運転をすることもあり、かつ無免許であるにもかかわらず、被告人の妹に無断でその息子(被告人の甥)を自動車に乗せて運転し、川へ連れ出すという事態を起こしたことから、被告人は大変なことが 起きたと危機感を強め、判示のとおり被害者に対し問いただしたものの、それに応じない被害者に対し怒りを抑えられず、犯行に及んだものである。被害者が身勝手な行動をしていながら被告人の諫めをしらを切ってまともに取り合わなかったことなど、被告人が怒りを抱いた経緯、動機には酌むべきものがあるといえる。しかしながら、被告人が被害者方に向かった際には甥は無事に帰宅しており危険が切迫し た状況ではなかったことに加え、上記のような多数回にわたる暴行を加えることがやむを得ないとまでは認められないことからすると、上記の経緯が刑の執行を猶予するほどに被告人に対する非難の程度を減ずるとまではいえない。 以上の犯情からすると、本件は、同種事案(処断罪は傷害致死、単独犯、動機はその他家族関係、処断罪と同一又は同種の件数1件、被害者は親、被害者の落ち度 はなし以外、量刑上考慮すべき前科なし)の量刑傾向の中では刑の執行を猶予している事案より重い部類に位置付けられ、被告人に対しては実刑を選択するほかない。 その上で、上記の経緯に加え、被告人が真摯に反省していること、被害者遺族と 前科なし)の量刑傾向の中では刑の執行を猶予している事案より重い部類に位置付けられ、被告人に対しては実刑を選択するほかない。 その上で、上記の経緯に加え、被告人が真摯に反省していること、被害者遺族との間で示談が成立し許されていること、被告人の妻が公判廷で被告人を監督する旨誓約していること、被告人に対し寛大な処分を求める多数の地域住民等の嘆願書が あること、被告人に前科がないことなどの被告人のために酌むべき一般情状も考慮し、主文のとおり量定した。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑懲役6年)令和6年6月21日 新潟地方裁判所刑事部 裁判長裁判官小林謙介 裁判官石黒瑠璃 裁判官池田弘毅

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