平成21(行ウ)239 営業許可処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年11月27日 大阪地方裁判所 警察関係
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判決文本文39,931 文字)

平成24年11月27日判決言渡平成21年(行ウ)第239号営業許可処分取消等請求事件主文 1 本件訴えのうち,建築計画変更確認処分の無効確認を求める部分を却下する。 2 原告A,同B,同C,同D及び同Eの訴えに基づき,大阪府公安委員会がF株式会社に対して平成21年10月2日付けでした営業所「G店」の営業許可処分を取り消す。 3 原告H,同I及び同Jのその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用の負担は,別紙訴訟費用負担表記載のとおりとする。 事実 及び理由第1 請求 1 大阪府建築主事がKに対して平成21年2月2日付けでした建築計画変更確認処分が無効であることを確認する。 2 大阪府公安委員会がF株式会社に対して平成21年10月2日付けでした営業所「G店」の営業許可処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,大阪府交野市内所在のマンション(以下「本件建物」という。)を所有するKが,本件建物の1階部分をぱちんこ屋の営業所として供するため,大阪府建築主事から建築計画変更確認処分(以下「本件変更確認処分」という。)を受けた上で増築等の工事をし,Kが代表取締役を務めるF株式会社(以下「F」という。)が,大阪府公安委員会から本件建物の1階部分でぱちんこ屋(以下「本件ぱちんこ屋」という。)の営業を行うことの許可(以下「本件営業許可処分」という。)を受けたことにつき,本件建物の周辺に居住し,あるいは本件建物周辺に所在する小学校に子らを通わせ,もしくは通わせる予定である保護者らである原告らが,本件ぱちんこ屋は条例等の定める小学校からの距離 制限規定に違反する等の理由により,本件変更確認処分には重大かつ明白な違法があって無効であり,本件営業許可処分は違法であると主張して,被告に対し,本件変更 屋は条例等の定める小学校からの距離 制限規定に違反する等の理由により,本件変更確認処分には重大かつ明白な違法があって無効であり,本件営業許可処分は違法であると主張して,被告に対し,本件変更確認処分の無効確認及び本件営業許可処分の取消しをそれぞれ求める事案である。 1 法令の定め(1) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)3条1項は,風俗営業を営もうとする者に対し,営業所ごとに,当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の営業許可を受けなければならない旨定めている。 (2) 風営法4条2項2号は,公安委員会は,同法3条1項の申請に係る営業所が,良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるときには,当該営業所につき風俗営業の許可をしてはならない旨定めている。 (3) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(以下「風営法施行令」という。)6条は,風営法4条2項2号の政令で定める基準として,同号に規定する風俗営業の営業所の設置を制限する地域(以下「営業制限地域」という。)の指定は,①住居が多数集合しており,住居以外の用途に供される土地が少ない地域(以下「住居集合地域」という。風営法施行令6条1号イ),②その他の地域のうち,学校その他の施設で学生等のその利用者の構成その他のその特性にかんがみ特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県の条例で定めるものの周辺の地域(同号ロ)について行い,上記②に掲げる地域内の地域につき営業制限地域の指定を行う場合には,当該施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度とし,その区域内の地域に 例で定めるものの周辺の地域(同号ロ)について行い,上記②に掲げる地域内の地域につき営業制限地域の指定を行う場合には,当該施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度とし,その区域内の地域につき指定を行うこと(同条2号) と定めている。 (4) 風営法4条2項2号を受けて定められた大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和34年大阪府条例第6号(丙2)。以下「大阪府風営法施行条例」という。)2条1項は,1号において,都市計画法8条1項1号に規定する第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域及び準住居地域(ただし,第一種住居地域,第二種住居地域及び準住居地域のうち公安委員会規則で定める地域を除く。)を,2号において,学校教育法1条に規定する学校若しくは同法134条1項に規定する各種学校のうち主として外国人の幼児,児童や生徒等に対して教育を行うもの,児童福祉法7条1項に規定する保育所又は医療法1条の5第1項に規定する病院若しくは同条2項に規定する診療所の敷地の周囲おおむね100メートル(当該施設の敷地が都市計画法8条1項1号に規定する商業地域にある場合にあっては,当該施設の敷地の周囲おおむね50メートル)の区域(ただし,公安委員会規則で定める区域を除く。)を,営業制限地域としてそれぞれ定めている(大阪府風営法施行条例2条1項2号に規定する各施設をあわせて,以下「教育施設等」という。)。 (5) 風営法4条2項1号は,公安委員会は,同法3条1項の許可の申請に係る営業所が,営業所の構造又は設備が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないときは,許可をしてはならない旨定めている 号は,公安委員会は,同法3条1項の許可の申請に係る営業所が,営業所の構造又は設備が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないときは,許可をしてはならない旨定めている。 (6) 風営法15条は,風俗営業者は,営業所周辺において,政令で定めるところにより,都道府県の条例で定める数値以上の騒音又は振動(人声その他その営業活動に伴う騒音又は振動に限る。)が生じないように,その営業を営まなければならない旨を定めているところ,こ の規定に基づいて定められた大阪府風営法施行条例6条1項は,騒音に係る数値について,以下のとおり定めている。 ア都市計画法8条1項1号に規定する第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域については,昼間(日出時から日没時まで。 以下同じ。)は45デシベル,夜間(日没時から翌日の午前0時まで。以下同じ。)及び深夜(午前0時から日出時まで。以下同じ。)は,40デシベルイ同号に規定する第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域及び準住居地域並びに同号に規定する用途地域の指定のない地域については,昼間は50デシベル,夜間及び深夜は45デシベルウ同号に規定する商業地域については,昼間は60デシベル,夜間及び深夜は55デシベルエ上記アないしウに掲げる地域以外の地域については,昼間は60デシベル,夜間は55デシベル,深夜は50デシベル 2 前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,各項掲記の証拠により容易に認められる事実等。なお,特に断りがない限り,枝番号の存する証拠は全枝番号を含む。)(1) 本件建物及び本件ぱちんこ屋についてア Kは,同人が所有する交野市α×番4所在の土地上に共同住宅を建築することとし,地上6階建てで駐車 ない限り,枝番号の存する証拠は全枝番号を含む。)(1) 本件建物及び本件ぱちんこ屋についてア Kは,同人が所有する交野市α×番4所在の土地上に共同住宅を建築することとし,地上6階建てで駐車場付き共同住宅を建設する建築計画につき,昭和60年12月25日付けで建築主事の確認を受けた上で,昭和61年7月31日頃,1階部分を駐車場とする本件建物を建築した(甲2,7の1,8)。 イ Kは,本件建物の敷地として,交野市α×番4の土地とともにこれに隣接する同××番5の土地を加え,本件建物1階部分の用途を駐車場から「日用品の販売を主目的とする店舗」と用途変更すると ともに本件建物を増築するとして,平成19年1月30日,株式会社Lに対し建築確認の申請を行い,同年2月5日,同検査機構から建築確認処分(第H○建確建築近畿○号)を受けた(甲1,7の2)。また,Kは,本件建物について,同年5月14日付けで,同検査機構に対し,具体的用途を「日用品の販売を主目的とする店舗,既設部:共同住宅」とする用途変更及び増築に係る建築確認申請を行い,同月22日,同検査機構から建築確認処分(第H○確認建築近畿○号)を受けた(甲2)。 ウ Kは,平成20年12月2日,大阪府建築主事に対し,本件建物1階の増築部分及び用途変更部分の用途を「日用品の販売を主目的にする店舗」から「遊技場(ぱちんこ屋)」へ変更する旨の建築計画変更確認申請を行い,平成21年2月2日,大阪府建築主事から,建築物の名称を「M店」とし,主要用途を「ぱちんこ屋既設部:共同住宅」とする建築計画変更確認処分(第H○確更建築大阪府○号。本件変更確認処分)を受けた(甲2,乙1)。 エ Kは,本件変更確認処分に基づく増築工事を完了したとして,大阪府建築主事に対し,建築基準法7条に基づく完了検査を申請 処分(第H○確更建築大阪府○号。本件変更確認処分)を受けた(甲2,乙1)。 エ Kは,本件変更確認処分に基づく増築工事を完了したとして,大阪府建築主事に対し,建築基準法7条に基づく完了検査を申請した。 大阪府建築主事はこれを受けて,平成21年8月18日付けで検査を実施し,同検査の結果建築基準関係規定に適合しているとして,同月24日付けで,検査済証をKに対して交付した(甲3,乙2)。 オ Kが代表取締役を務めるFは,平成21年8月10日,大阪府公安委員会に対し,風営法5条1項に基づいて,本件建物1階の一部でぱちんこ屋の営業を行うことの許可申請を行った(甲3)。本件ぱちんこ屋の概要は,別紙1営業所平面図のとおりである(丙5)。 これに対し,大阪府公安委員会は,同年10月2日,Fに対して,本件建物1階において,営業所の名所を「G店」として,風営法2条1項7号の営業(まあじゃん屋,ぱちんこ屋その他設備を設けて 客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業)を営むことを許可した(本件営業許可処分。甲4)。 カ本件建物の周辺地域の状況は別紙2附近見取図のとおりであり,別紙3現況実測平面図のとおり,本件建物の一部は交野市β×番4号所在の交野市立N小学校(以下「N小学校」という。)の敷地から100メートル以内の場所に位置している(丙1,3)。 (2) 当事者等ア原告らは,以下のとおり,本件建物の周辺に居住し,あるいはその子らをN小学校に通わせ,もしくは通わせる予定である保護者である。なお,原告Eを除くその余の原告らの住居と本件ぱちんこ屋との位置関係は,別紙4本件建物周辺拡大図のとおりである。 (ア) 原告Aは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約19. 5メートルの位置に所在する土地建物を妻と共有し,妻,長女及び次女と共に同 との位置関係は,別紙4本件建物周辺拡大図のとおりである。 (ア) 原告Aは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約19. 5メートルの位置に所在する土地建物を妻と共有し,妻,長女及び次女と共に同所に居住している。また,原告Aは,長女(小学1年生)をN小学校に通学させ,次女(平成▲年▲月生)を交野市立O保育園に通園させている。(甲5の1,6の1,55,56,70,86,原告A本人)(イ) 原告Hは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約6. 65メートルの位置に所在する土地建物を所有し,妻と共に同所に居住している(甲5の2,6の2,52,55,57,86)。 (ウ) 原告Bは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約12メートルの位置に所在する土地建物を妻と共有し,妻,長女及び次女(平成▲年▲月生)と共に同所に居住している。また,原告Bは,長女(小学2年生)をN小学校に通学させている。(甲5の3,6の3,54,55,58,86)(エ) 原告Iは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約18メートルの位置に所在する土地建物を所有し,妻,長男及び長女 (平成▲年▲月生)と共に同所に居住している。また,原告Iは,長男(平成▲年▲月生)を私立P保育園に通園させている。(甲5の4,6の4,51,55,59,86)(オ) 原告Cは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約4. 8メートルの位置に所在する土地建物を妻と共有し,妻,長女(交野市立Q中学校1年生)及び長男と共に同所に居住している。 また,原告Cは,長男(小学5年生)をN小学校に通学させている。(甲5の5,6の5,50,55,60,71,72,86,証人R)(カ) 原告Dは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約1. 54メートルの位置に所在する土地建物を所有し,妻 通学させている。(甲5の5,6の5,50,55,60,71,72,86,証人R)(カ) 原告Dは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約1. 54メートルの位置に所在する土地建物を所有し,妻,長女及び長男と共に同所に居住している。また,原告Dは,長女(小学4年生)及び長男(小学1年生)をN小学校に通学させている。 (甲5の6,6の6,55,61,69,86)(キ) 原告Jは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約40メートルの位置に所在する土地建物を所有し,妻と共に同所に居住している(甲5の7,6の7,62,85,86)。 (ク) 原告Eは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から数百メートルの位置に所在する建物に妻,長女(交野市立Q中学校2年生),長男及び次男と共に居住している。また,原告Eは,長男(小学6年生)及び次男(小学3年生)をN小学校に通学させている。(甲63,66,86)(ケ) 原告らのうち,原告A,同H,同B,同I,同C及び同Dは近隣商業地域に居住しており,原告Jは第一種住居地域に居住している(甲17,86,丙3)。 イ本件変更確認処分を行った処分行政庁は大阪府建築主事であり,本件営業許可処分を行った処分行政庁は大阪府公安委員会である。 (3) 本案訴訟の提起原告らは,平成21年12月28日,本件変更確認処分の無効確認及び本件営業許可処分の取消しを求める本件訴えを大阪地方裁判所に提起した(顕著な事実)。 3 本件の争点(1) 本件変更確認処分の無効確認請求について① 原告らに原告適格が認められるか(本案前の争点その1)② 原告らに訴えの利益があるか(本案前の争点その2)③ 原告らの主張する違法事由は自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものとして,その主張が制限 格が認められるか(本案前の争点その1)② 原告らに訴えの利益があるか(本案前の争点その2)③ 原告らの主張する違法事由は自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものとして,その主張が制限されるか(本案の争点その1)④ 本件変更確認処分につき無効事由はあるか(本案の争点その2)(2) 本件営業許可処分の取消請求について① 原告らに原告適格が認められるか(本案前の争点)② 原告らの主張する違法事由は自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものとして,その主張が制限されるか(本案の争点その1)② 本件営業許可処分につき取消事由はあるか(本案の争点その2) 4 争点に対する当事者の主張(1) 本件変更確認処分の無効確認請求関係ア争点①(原告らに原告適格が認められるか(本案前の争点その1))について(原告らの主張)行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)9条2項は,原告適格の判断にあたって,処分の根拠法令の文言だけにとらわれるのではなく,根拠法令及び関係法令の趣旨及び目的,本件処分がされることにより制約される権利・利益の内容及び性質を具体的に検討して判断す べきことを規定している。 建築基準法は,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的としているところ(同法1条),この目的には,近隣住民の平穏な生活環境を享受する権利を個別具体的な権利として保護する趣旨も含まれており,交野市風俗営業等に係る特定建築物の建築等の規制に関する条例(以下「交野市条例」という。)はかかる近隣住民の権利の保護を確認的に規定している。また,建築基準法52条において容積率規制を,同法53条において建ぺい率規制を 特定建築物の建築等の規制に関する条例(以下「交野市条例」という。)はかかる近隣住民の権利の保護を確認的に規定している。また,建築基準法52条において容積率規制を,同法53条において建ぺい率規制を,同法56条の2第1項において「周囲の居住環境を害するおそれ」への対処をそれぞれ定めているところ,これらの規定は,当該建築物の近隣に居住する者の平穏な生活を送る権利,人格権及び財産権の保障を,個別具体的利益として保護しているというべきである。 そして,本件変更確認処分によって,原告らは,本件ぱちんこ屋の営業時間の間,騒音や客の声,違法駐車,ごみの放置等により,平穏な生活が侵害されるという人格的利益の侵害とともに,所有している自宅(土地建物)の不動産評価額が下落するという財産的損害を受けている。 したがって,原告らには,本件無効確認訴訟の原告適格が認められる。 (被告(代表者大阪府知事。本件変更確認処分の無効確認請求関係について,以下同じ。)の主張)原告らの原告適格が認められるためには,原告らが本件変更確認処分によって侵害されると主張する利益が,当該処分を定めた行政法規の趣旨において,専ら一般公益の中に解消させるにとどめず,個々人の個別的利益としても保護するものとされているとみられる必要があるところ,当該行政法規が,不特定多数者の具体的利益をそれが帰属 する個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むか否かは,当該行政法規の趣旨・目的,当該行政法規が当該処分を通して保護しようとしている利益の内容・性質等を考慮して判断すべきである。 建築計画変更確認処分は,建築主が建築主事の確認を受けた建築物の計画を変更しようとする場合において,当該計画の変更が建築基準関係規定(建築基準法6条1項参照)に適合 を考慮して判断すべきである。 建築計画変更確認処分は,建築主が建築主事の確認を受けた建築物の計画を変更しようとする場合において,当該計画の変更が建築基準関係規定(建築基準法6条1項参照)に適合するものであることを確認する行為であるから,原告らに原告適格が認められるためには,建築基準関係規定において,原告らが侵害されると主張している利益を個々人の個別的利益としても保護する趣旨の具体的規定が存することを要すると解すべきである。 そして原告らは,本件変更確認処分によって,原告らの平穏な生活及び財産権が侵害されると主張するが,建築基準法が個々人の利益として保護しているのは,当該建物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物について,その居住者の生命,身体及び財産としての建築物等にとどまるのであって,建築基準関係規定は,当該建築物の近隣住民の平穏な生活権や不動産の価値を維持する等の財産権などの原告らの主張する利益を個別的利益として保護するものとは解されない。 したがって,原告らには,本件変更確認処分の無効確認を求める原告適格は認められない。 イ争点②(原告らに訴えの利益があるか(本案前の争点その2))について(被告の主張)(ア) 建築確認は,それを受けなければ建築基準法6条1項に規定する建築物の工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものであるから,当該工事が完了した場合には,建 築確認の取消しないし無効確認を求める訴えの利益は失われる。この理は建築計画変更確認処分についても同様である。そして,本件においてKは,本件建物の工事をすでに完了し,大阪府建築主事から検査済証の交付を受けているものであるから,原告らの訴えの利益は失わ 。この理は建築計画変更確認処分についても同様である。そして,本件においてKは,本件建物の工事をすでに完了し,大阪府建築主事から検査済証の交付を受けているものであるから,原告らの訴えの利益は失われている。 (イ) 原告らは,本件ぱちんこ屋が増築される可能性があるから,工事は完成しておらず,訴えの利益は失われていない旨主張する。しかしながら,そもそも本件変更確認処分は,本件建物の建築計画の変更に係る建築物の工事を適法に施行することができるという効果を付与するに過ぎず,原告らに将来の違法な建築行為を阻止する利益をも保護するものではないし,本件建物は,その構造上,さらに増築がされる可能性は必ずしも高くない上,仮に増築をするにしても,建築基準法6条1項に基づく建築確認を新たに申請することを要するから,原告らの主張は理由がない。 また,原告らは除却命令について主張するが,除却命令は,建築基準法6条1項による建築確認もしくは建築計画変更確認(建築確認と建築計画変更確認とをあわせて,以下「建築確認等」という。)の存否にかかわらず,当該建築物及びその敷地が建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを基に発せられるものであって,建築確認等の無効が確認されたとしても除却命令が当然に発せられるという性質のものでもない。 (ウ) 以上から,原告らには本件変更確認処分の無効確認を求める法律上の利益はない。 (原告らの主張)(ア) 建築確認等を受けた建築物の建築等の工事が完了したとしても,本件において,Fは,本件建物のぱちんこ屋部分をさらに増築する可能性が残されており,実質的にはぱちんこ屋部分の建築工事が完 成していないともいえるから,原告らは,将来の違法な建築行為を阻 本件において,Fは,本件建物のぱちんこ屋部分をさらに増築する可能性が残されており,実質的にはぱちんこ屋部分の建築工事が完 成していないともいえるから,原告らは,将来の違法な建築行為を阻止するという具体的な利益を有している。 (イ) 違法な建築確認等に基づいて完成された建築物は,工事が完了した後も違法状態にあるとみるべきであり,本件変更確認処分の違法が認められれば,原状復旧措置の対象とされると解すべきであるから,工事の完了をもって直ちに訴えの利益が失われると考えるべきではない。 本件変更確認処分が無効であることが確認されれば,本件建物は除却命令の対象になるし,原告らは本件変更確認処分の違法事由として用途地域の指定に係る違法を主張しているところ,用途地域の指定に係る違法性は建築確認処分に対する訴訟でしか争えない。したがって,本件建物の建築工事が完了していたとしても,原告らには,本件変更確認処分の違法性に係る判断を求める法的利益がある。 (ウ) したがって,原告らは本件変更確認処分の無効確認について訴えの利益を有する。 ウ争点③(原告らの主張する違法事由は自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものとして,その主張が制限されるか(本案の争点その1))について(被告の主張)(ア) 原告らは,本件変更確認処分の無効事由として,本件建物が交野市条例3条2項1号の距離制限(小学校及び中学校の敷地の周囲おおむね150メートル以内の区域におけるぱちんこ屋の建築禁止)に違反すること及び本件変更確認処分は同距離制限に違反することを理由とする交野市の反対を無視してされたことを主張する。 しかし,交野市条例は,専ら良好な社会環境及び教育環境の保全という公益的な見地から,ぱちんこ屋等の営業を規制することによって 違反することを理由とする交野市の反対を無視してされたことを主張する。 しかし,交野市条例は,専ら良好な社会環境及び教育環境の保全という公益的な見地から,ぱちんこ屋等の営業を規制することによって,小学校等の教育施設が善良で静穏な環境の下で円滑に業務を することを趣旨とするものであって,原告らの個別の権利利益を保護する趣旨を含むものではない。 また,交野市が本件建物の建築に反対していたとしても,それは公益的な見地に基づくものであるから,原告らの個別の権利利益を保護する趣旨を含むものであると解することはできない。 (イ) さらに,原告らは,本件ぱちんこ屋の敷地部分を近隣商業地域とした用途地域の指定が違法である点を主張するが,用途地域の指定によっても,当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的な効果を生じるに過ぎず,同指定によって直ちに当該地域内の個人の具体的な権利利益を侵害する効果は生じないから,原告らの主張は,自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものであるといわざるを得ない。原告J及び同Eを除くその余の原告らは,いずれも近隣商業地域に居住する者ではないから,なおさらである。 (ウ) したがって,原告らが主張する無効事由はいずれも自らの権利利益とは関係のない主張であるところ,処分の無効確認等の訴えにおいても,行訴法10条1項は準用されるべきであるから,原告らの主張はそれ自体失当である。 (原告らの主張)(ア) 行訴法10条1項の趣旨は,原告適格が認められる者であっても,その者とは全く無関係の者を専ら保護するために定められた処分要件の違背を主張することを認めないというものであるから,不特定多数人の一般公益保護という観点から設けられた処分要件であっても,それが同時に当該処分の取消しや無効確認を求め するために定められた処分要件の違背を主張することを認めないというものであるから,不特定多数人の一般公益保護という観点から設けられた処分要件であっても,それが同時に当該処分の取消しや無効確認を求める者の権利ないし利益の保護という観点とも関連する側面があるようなものであれば,その処分要件に該当していないことを理由とする当該処分の違法・無効を主張することは認められると解すべきである。 また,行訴法10条1項及び同法9条1項が「法律上の利益」と いう同一の文言を用いていることや,同法の平成16年改正によって原告適格を認める範囲が拡大して解釈されるようになったことに応じて,同法10条1項の「法律上の利益」も同程度に拡大して解釈すべきであるから,「自己の法律上の利益」の解釈についても,同法9条2項を準用し,広く解釈すべきである。 (イ) 本件において,原告らは,建築基準法により保護を受けている平穏生活権及び財産権を直接制約され,被害を受けるものであるから,本件建物は交野市条例3条2項1号の距離制限に違反することを大阪府建築主事が全く考慮しなかったなどの原告らの無効事由に関する主張は「自己の法律上の利益に関係のない違法」を主張するものではない。 エ争点④(本件変更確認処分につき無効事由はあるか(本案の争点その2)について(原告らの主張)(ア) 交野市条例に違反していること等交野市条例は形式上建築基準関係規定に該当しないとしても,建築基準法及び交野市条例は,近隣住民の平穏生活権・人格権の保護をその趣旨・目的としている点で共通としているし,交野市条例は建築基準法の適用される建築物を対象とし(同条例2条1号),建築基準関係規定である都市計画法の用途地域に拠って規制を行っていること(同条例3条1項4号)等からすれば, 共通としているし,交野市条例は建築基準法の適用される建築物を対象とし(同条例2条1号),建築基準関係規定である都市計画法の用途地域に拠って規制を行っていること(同条例3条1項4号)等からすれば,本件変更確認処分に当たっては,交野市条例の規定も考慮されるべきであった。 そして,その1階において本件ぱちんこ屋の営業を行う本件建物は,交野市条例3条2項の距離制限に違反するものであり,交野市が大阪府建築主事に対して,平成20年2月27日,Kの建築確認申請が本件条例に違反していることを伝えたにもかかわらず,大阪府建築主事は,同違反を一切考慮しないで本件変更確認処分を行っ たものであるから,本件変更確認処分は,憲法13条,92条,94条,地方自治法1条の2,2条2項,14条に反し,建築基準法1条に規定する趣旨を没却するものであって,その瑕疵は重大かつ明白であり無効である。 仮に,交野市条例や風営法が,建築計画変更確認申請の審査対象とならないとしても,建築基準法の目的(1条)からして,交野市条例や風営法の各規定に適合していることが建築確認の前提となっており,これら規定への適合性は,司法審査における審査対象となるというべきであるから,本件変更確認処分の瑕疵は重大かつ明白であり無効である。 (イ) 都市計画法に違反していること都市計画法6条1項は,都市計画のためにおおむね5年ごとに基礎調査を行う旨規定している。しかし,本件ぱちんこ屋が所在する地域は,同項に規定する調査がなされず,近隣商業地域のまま放置されているところ,現状として,商店が立ち並んでいるわけでもなく,むしろ戸建て住宅が中心の地域であり,学校,幼稚園等の教育施設や医療施設が多く,住環境も良好であり,静穏な住宅地であるから,住居系の用途地域に変更すべきもの して,商店が立ち並んでいるわけでもなく,むしろ戸建て住宅が中心の地域であり,学校,幼稚園等の教育施設や医療施設が多く,住環境も良好であり,静穏な住宅地であるから,住居系の用途地域に変更すべきものであった。そうであるのに,本件では,用途地域の変更が行われないまま本件変更確認処分がされており,違法な用途地域指定を前提とした本件変更確認処分は,その違法性を承継するため,重大かつ明白な違法があるというべきである。 (ウ) 以上から,本件変更確認処分は無効である。 (被告の主張)(ア) 建築計画変更確認処分は,当該計画の変更が建築基準関係規定に適合するものであることを確認するものであるところ,大阪府建築主事は,本件計画の変更が建築基準関係規定に適合することを確 認し,本件変更確認処分を行った。 原告らは,本件建物が交野市条例に違反しているとか,大阪府建築主事において交野市が本件建物の建築に反対していることを把握していたにもかかわらず,本件変更確認処分がされたことは違法であるなどと主張するが,建築基準法施行令9条は,建築基準関係規定となる法令を具体的に限定列挙したものというべきところ,交野市条例は建築基準関係規定に含まれていないし,建築基準法及び建築規準関係規定上,建築物が所在する自治体の意見を参酌すべき旨の規定も存在しない。 (イ) 用途地域指定については,大阪府は平成18年2月3日付けで本件建物が所在する土地の用途地域を引き続き近隣商業地域として指定する旨の決定をしているのであって,見直しを行わないまま放置したという事実はない。 (ウ) したがって,原告らの主張は理由がなく,本件変更確認処分は適法である。 (2) 本件営業許可処分の取消請求関係ア争点①(原告らに原告適格が認められるか(本案前の争点))につ はない。 (ウ) したがって,原告らの主張は理由がなく,本件変更確認処分は適法である。 (2) 本件営業許可処分の取消請求関係ア争点①(原告らに原告適格が認められるか(本案前の争点))について(原告らの主張)(ア) 原告らの原告適格は,行訴法9条2項に規定されているとおり,風営法等の文言だけにとらわれるのではなく,風営法及び関係法令の趣旨及び目的や,本件営業許可処分がされることにより制約される権利・利益の内容及び性質を実質的に検討して判断されるべきであるところ,以下のとおり,本件において原告らには,本件ぱちんこ屋の周辺に居住する近隣住民としての原告適格あるいはN小学校に子らを通学させ,または通学させる予定である保護者としての原告適格が認められることは明らかである。 (イ) 近隣住民としての原告適格について風営法は,「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について,営業時間,営業区域等を制限し,及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずること」を目的とし(同法1条),ぱちんこ屋の営業時間,照度,騒音,振動及び広告宣伝等について規制しているほか(同法13条ないし16条),条例による善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為を防止するために必要な制限をすることができるとする等(同法21条),営業所周辺における善良で清浄な風俗環境を確保するための規定を具体的に規定しているし,同法4条2項,風営法施行令6条1号イ,大阪府風営法施行条例2条1号によって,住居集合地域における営業所の設置自体を禁止している。 これら な風俗環境を確保するための規定を具体的に規定しているし,同法4条2項,風営法施行令6条1号イ,大阪府風営法施行条例2条1号によって,住居集合地域における営業所の設置自体を禁止している。 これらの規定にかんがみれば,風営法及びその関係法令は,当該営業所の周辺に居住する近隣住民の平穏な生活を営む権利や良好な風俗環境を享受する権利を,個別具体的な利益として保護しているといえる。 なお,風営法施行令6条1号ロで学校等の施設のある敷地の周囲おおむね100メートルの区域で営業所の設置を禁止しているのに対し,同号イでは住居集合地域と営業所との距離を明示していないが,営業所が設置されることによって近隣住民が被る害悪と近隣学校等の特定施設の被る害悪は異なるところはないから,同号イの地域も,同号ロとの均衡から,営業所からおおむね100メートルの範囲に居住する近隣住民の権利・利益を保護しているものと解すべきである(営業所の設置により被る近隣住民の被害の性質・程度は都市計画の区割りとは無関係であるし,現状として,都市計画法の 区割りと実態とは必ずしも一致していないから,原告らのうち,原告A,同H,同B,同I,同C及び同Dの6名が近隣商業地域に居住していることは,原告らの原告適格の判断に影響しない。)。 そして,原告らの平穏な生活を営む権利や良好な風俗環境を享受する権利は,生活を営む上での最も基本的な権利であり,人格権(憲法13条)の一内容であって重要な権利であるところ,本件ぱちんこ屋が営業されると,本件ぱちんこ屋やその利用客が発する騒音が深夜に及ぶこと等によって,原告らの権利が侵害されることになる。 したがって,原告Eを除くその余の原告らは,本件ぱちんこ屋から100メートルの範囲に居住しているため,原告適格が認められる。 (ウ) 保 ぶこと等によって,原告らの権利が侵害されることになる。 したがって,原告Eを除くその余の原告らは,本件ぱちんこ屋から100メートルの範囲に居住しているため,原告適格が認められる。 (ウ) 保護者としての原告適格について風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号ロ,同条2号,大阪府風営法施行条例2条1項2号は,教育施設等の敷地の周囲からおおよそ100メートルの範囲内を営業制限地域とする旨定め,同範囲内における営業所の設置を禁止していることからすれば,これら各規定の趣旨は,風俗営業による害悪から児童や生徒を遠ざけることで,児童や生徒及びその保護者の学習環境や通学の安全を享受する権利を保護している点にあると解されるから,当該学校に通学する児童や生徒及びその保護者の良好な学習環境等を享受する権利を個別具体的に保護しているというべきである。 本件では,原告H及び原告Jを除くその余の原告らは,本件ぱちんこ屋から100メートル以内にあるN小学校に通う児童の保護者であることから,良好な学習環境等を享受する権利を有しているといえ,原告適格を有する。なお,原告Iの子は,現在は,N小学校に通学してはいないが,将来,N小学校に通学することが確実であ ることからも,同原告の原告適格も認められるべきである。 (被告(代表者大阪府公安委員会。本件営業許可処分の取消請求関係について,以下同じ。)の主張)(ア) 近隣住民としての原告適格について原告らのうち,原告A,同H,同B,同I,同C及び同Dの6名は,近隣商業地域に居住するものであるところ,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号イ及び大阪府風営法施行条例2条1項1号をみても,近隣商業地域は営業制限地域として指定されていない。 そうすると,近隣商業地域に居住する上記 ものであるところ,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号イ及び大阪府風営法施行条例2条1項1号をみても,近隣商業地域は営業制限地域として指定されていない。 そうすると,近隣商業地域に居住する上記6名の原告らは,平穏な生活を営む権利や,児童や保護者の良好な学習環境を享受する権利を保障されているものではなく,同原告らの原告適格は認められないというべきである。 次に,原告Jは,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から,道路を間にはさんで約40メートル離れた第一種住居地域に居住するものであり,また,原告Eは,本件ぱちんこ屋から約600メートル離れたところに居住するものであるから,いずれも,本件ぱちんこ屋とは離れた位置に居住するものであって,本件ぱちんこ屋の影響が直接及ぶところではないといえるため,同原告らの原告適格は認められない。 (イ) 保護者としての原告適格について原告らが主張する良好な学習環境の享受などといった利益は,一般公益の中に吸収されるものであって,風営法が保護する個別的利益とはいえない。また,風営法及びその関連法令によって善良で静穏な環境の下で円滑に業務をする利益は,基本的には当該施設の設置者のみが有する利益であるから,学校等に児童を通学させる保護者には,原告適格は認められない。 イ争点②(原告らの主張する違法事由は自己の法律上の利益に関係の ない違法を主張するものとして,その主張が制限されるか(本案の争点その1))について(被告の主張)原告らについて照度,騒音及び振動による損害を受けるおそれがあることを理由に原告適格が認められたとしても,原告らは,風営法4条2項1号及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(以下「風営法施行規則」という。)8条が営業許可の基準 おそれがあることを理由に原告適格が認められたとしても,原告らは,風営法4条2項1号及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(以下「風営法施行規則」という。)8条が営業許可の基準として規定する営業所の照度,騒音及び振動に関する具体的な違法についての主張を一切行っておらず,本件ぱちんこ屋がN小学校の敷地から100メートル以内に所在することを違法事由として主張しているところ,かかる主張は,自己の法律上の利益に関係のない違法事由をいうにすぎない。 (原告らの主張)行訴法10条1項の「自己の法律上の利益に関係のない違法」の解釈については,上記(1)の争点③で主張したとおりであるところ,本件営業許可処分についても,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号,大阪府風営法施行条例2条1項に違反した営業許可がされたことにより,風営法により保護されている原告ら近隣住民の平穏な生活を営む権利ないし利益が制約を受け,被害を被っているから,これらの規定に反する違法は,近隣住民であることを根拠としてのみ原告適格が認められる原告らにとっても「自己の法律上の利益に関係のない違法」の主張ではない。 ウ争点③(本件営業許可処分につき取消事由はあるか(本案の争点その2))について(原告らの主張)(ア) ぱちんこ屋に関連する施設が営業所に当たるか否かの判断は,周辺の静穏,清浄な環境等を確保し,もって,周辺住民の具体的な 生活環境や教育環境などを保護するという風営法の趣旨・目的を踏まえ,物理的・客観的に1個の建物であるか否かのほか,当該施設とぱちんこ屋との相互の近接性,機能的連続性,目的,営業の維持発展に及ぼす影響の程度,管理方法等を総合考慮して,一般人の社会通念上,風俗営業のため一体として機能していると評価すること か,当該施設とぱちんこ屋との相互の近接性,機能的連続性,目的,営業の維持発展に及ぼす影響の程度,管理方法等を総合考慮して,一般人の社会通念上,風俗営業のため一体として機能していると評価することが相当であると認められるか否かで判断すべきである。 本件では,以下の各施設が本件ぱちんこ屋の営業所に含まれるところ,以下の各施設はN小学校から100メートル以内に所在するから,本件営業許可は風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号ロ,2号,大阪府風営法施行条例2条1項2号の定める距離制限に違反し,違法である。 (イ) 本件建物1階全体物理的・客観的にみて一つの建物に客室・洗面所等の営業施設が所在しているのであれば,その建物は全体として一つの営業所というべきであるところ,本件建物1階全体は,一つの建物として構造計算や建築確認がされ,基礎も同一の建物の1階部分であり,外観上も連続した1つの建築物であるから,物理的にも客観的にも,1階全体が一つの建物であるし,本件建物内には本件ぱちんこ屋の客室・洗面所等の営業施設が存在しているから,本件建物の1階部分は,全体として,本件ぱちんこ屋の営業所である。 (ウ) 本件駐車場本件ぱちんこ屋には,一方通行の狭い道路を隔てて,本件ぱちんこ屋を利用する客が使用する平面駐車場(以下「本件駐車場」という。)が設置されている。本件駐車場は,本件建物から約5メートルの近接した位置にあり,本件駐車場には,本件ぱちんこ屋の専用駐車場である旨の看板が掲げられている。また,本件駐車場は本件ぱちんこ屋の営業に不可欠なものであるし,本件ぱちんこ屋を利用 する客のうち相当数が車で来店し,本件駐車場を使用しており,警備員や客,従業員が,本件ぱちんこ屋の営業時間に行き交っている。 これらのことからすると,本件駐 であるし,本件ぱちんこ屋を利用 する客のうち相当数が車で来店し,本件駐車場を使用しており,警備員や客,従業員が,本件ぱちんこ屋の営業時間に行き交っている。 これらのことからすると,本件駐車場は,本件ぱちんこ屋との距離が極めて近く,営業への寄与度も高く,管理者も同一であり,設置目的もぱちんこ屋の営業のためであるといえ,本件ぱちんこ屋と一体として機能・運営されているということができるから,営業所に該当する。 (エ) 本件景品交換所本件ぱちんこ屋に隣接し,景品を現金に交換する景品交換所(別紙5詳細図イ,ス,セ,コ,シ,ウ,イの各点を順次直線で結んで囲んだ部分。以下「本件景品交換所」という。)は,本件ぱちんこ屋とは一つの建物である本件建物の同じ1階部分に所在しており,本件ぱちんこ屋と壁1枚で区切られているだけで,客観的・物理的に1つの営業所とみるべきである。また,本件景品交換所は,本件ぱちんこ屋の客がぱちんこ屋で得た利益を換金等するためだけの目的で設置されているし,本件建物の外壁に設置された複数のカメラのうち一つのカメラは本件景品交換所の出入り口が撮影できるように設置されており,本件ぱちんこ屋事務所内で,同カメラが撮影した映像を確認できることとなっているから,本件景品交換所の管理も本件ぱちんこ屋と同一の管理主体が行っているとみるべきである。 被告は,本件ぱちんこ屋と本件景品交換所は経営主体が異なる旨を指摘するところ,ぱちんこ店が直接客に現金を渡すのではなく,ぱちんこ店が客の獲得した出玉と特殊景品とを交換し,客が特殊景品をぱちんこ店とは経営主体の異なる買い場へ持参し,買い場が特殊景品を現金で買い取ることで客が特殊景品を現金化する一方で,買い場は問屋を通して特殊景品をぱちんこ屋に戻すことにより特殊景品がぱちんこ屋,買い場, 店とは経営主体の異なる買い場へ持参し,買い場が特殊景品を現金で買い取ることで客が特殊景品を現金化する一方で,買い場は問屋を通して特殊景品をぱちんこ屋に戻すことにより特殊景品がぱちんこ屋,買い場,問屋を回るという「3店方式」に基づ く景品の交換等であれば,賭博罪等の刑罰法規に違反しないと解釈されているに過ぎず,風営法上の営業所の範囲の解釈は,風営法の趣旨・目的を踏まえて行われるべきであるから,経営主体が異なるとしても,上記の各点に鑑みれば,なお本件景品交換所が本件ぱちんこ屋の営業所に当たるということができる。 したがって,本件景品交換所は営業所に該当する。 (オ) 景品交換所周辺建物部分景品交換所周辺建物部分(別紙5詳細図カ,オ,エ,ウ,イ,ス,セ,コ,サ,シ,ケ,ク,カの各点を順次直線で結んで囲んだ部分のうち,本件景品交換所を除く部分をいう。以下同じ。)は,マンション専用ごみ置き場として利用することとされているようであるが,本件建物2階以上の共同住宅部分に居住する住民がごみ置き場として利用している実態はない。また,景品交換所周辺建物部分の外壁側は本件ぱちんこ屋が排出する事業系ごみの指定集積場として使用されていること,景品交換所周辺建物部分の外壁には数台のカメラが設置されており,それらのカメラによって撮影された映像は本件ぱちんこ屋事務所内で確認できるようになっていること等,景品交換所周辺建物部分の外側の利用実態が本件ぱちんこ屋の営業と密接に関連していることからすれば,その内側である景品交換所周辺建物部分についても,本件ぱちんこ屋の経営主体によりぱちんこ営業のために専属的に使用している部分であると推認できる。また,景品交換所周辺建物部分は本件ぱちんこ屋と同じ一つの本件建物内にあるから,物理的に一体であるとい 件ぱちんこ屋の経営主体によりぱちんこ営業のために専属的に使用している部分であると推認できる。また,景品交換所周辺建物部分は本件ぱちんこ屋と同じ一つの本件建物内にあるから,物理的に一体であるといえる。したがって,景品交換所周辺建物部分は営業所に該当する。 (カ) 本件建物敷地部分本件建物敷地部分(別紙5詳細図ア,イ,ウ,オ,カ,キ,ア の各点を順次直線で結んで囲んだ部分をいう。以下同じ。)には,本件建物2階以上の共同住宅部分に居住する住民が立ち入ることはほとんどなく,専ら本件ぱちんこ屋の客が,本件景品交換所に行き来する目的で立ち入っているから,本件ぱちんこ屋と機能的一体性を有する。また,本件建物敷地部分は本件ぱちんこ屋の敷地と接着しているから,本件ぱちんこ屋の営業と一体をなしているといえる。したがって,本件建物敷地部分は営業所に該当する。 (キ) 本件ぱちんこ屋の従業員更衣室本件ぱちんこ屋の従業員更衣室(以下「本件更衣室」という。)は,本件建物の東側約30メートルに所在する「S」の一室に設けられている。本件ぱちんこ屋の従業員は毎日,勤務前及び勤務後に本件更衣室で着替えをしており,本件更衣室を利用しているのは本件ぱちんこ屋の従業員のみである。また,本件ぱちんこ屋と本件更衣室の管理者は本件ぱちんこ屋の営業主体ないし従業員であるから,管理上の一体性も認められる。したがって,本件更衣室は,本件ぱちんこ屋と社会通念上一体とみられる施設といえ,営業所に該当する。このことは,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(以下「風営法解釈運用基準」という。)に,営業所とは,客室のほか,専ら当該営業の用に供する調理室,クローク,廊下,洗面所,従業員の更衣室等を構成する建物その他の施設のことを 法律等の解釈運用基準(以下「風営法解釈運用基準」という。)に,営業所とは,客室のほか,専ら当該営業の用に供する調理室,クローク,廊下,洗面所,従業員の更衣室等を構成する建物その他の施設のことをいう旨規定され,更衣室が列挙されていることからも明らかである。 (被告の主張)(ア) 風営法の営業所の解釈は,憲法上保障された営業の自由に深く関わることから,営業所の範囲についてむやみに拡大解釈することは許されない。そして,以下のとおり,本件建物1階部分のうち一部は,N小学校の敷地から計測した100メートルの範囲内にある ものの,同100メートルのラインに沿って,本件建物内部で壁を設けており,同100メートルの範囲内と範囲外とを明確に区別しているから,当該壁の外側(西側)のみが営業所とみるべきであるし,原告らが営業所と評価できる旨主張する各施設(原告らの主張(イ)ないし(キ)の各施設)は,いずれも営業所とは評価できない。 (イ) 本件建物1階全体本件ぱちんこ屋で客が主に使用する,遊技台等の存する客室や洗面所等の部分は,本件建物の内部に設置された壁によって,本件景品交換所等の部分とは明確に区分されているから,本件建物1階全体が営業所であるとは認められない。そして,本件ぱちんこ屋の客室や洗面所等の存する部分は,小学校から100メートルを超えていることが明らかであるから,原告らの主張は理由がない。 本件建物1階全体が営業所と評価されるべきである旨の原告らの主張によれば,同一の建物に風営法の許認可の対象となるものとならないものとが混在する,いわゆる複合施設においても,当該複合施設の一部が教育施設等の距離制限の範囲内にあれば,当該複合施設内では風俗営業の許可を得ることができなくなり,憲法上保障 象となるものとならないものとが混在する,いわゆる複合施設においても,当該複合施設の一部が教育施設等の距離制限の範囲内にあれば,当該複合施設内では風俗営業の許可を得ることができなくなり,憲法上保障された職業選択の自由の一つである営業の自由を著しく制限することになってしまうから,原告らの主張は,風営法の適用についてその解釈を誤ったものである。 (ウ) 本件駐車場本件駐車場は,本件ぱちんこ屋と4メートルの幅員の府道γ線(以下「本件道路」という。)を隔てた離れた場所にあり,本件ぱちんこ屋と構造上,同一になっているとは認められず,営業所とは評価できない。 (エ) 本件景品交換所本件景品交換所は,本件ぱちんこ屋の営業所が所在する本件建物 内に所在するものではあるが,その事業主体は一般財団法人T協会であって,本件ぱちんこ屋の経営主体とは異なる。また,本件景品交換所は風営法の営業許可の対象ではないことをも踏まえると,本件景品交換所は本件ぱちんこ屋の営業所には含まれない。仮に,原告らが主張するように,本件ぱちんこ屋と本件景品交換所において物品のやりとりがあったとしても,それは通常の商取引であると考えられ,何ら風営法の規制を受けるものではない。したがって,本件景品交換所は,営業所とは評価できない。 (オ) 景品交換所周辺建物部分景品交換所周辺建物部分は営業所として使用されている部分ではないから,原告らの主張は理由がない。防犯カメラは,犯罪の予防等を目的として事業者が独自に設置するものであり,防犯カメラの設置自体は風営法の許可要件でもないので,防犯カメラの存在は,風営法上の規制とは関係がなく,景品交換所周辺建物部分を営業所と評価する根拠にはならないから,景品交換所周辺建物部分は営業所とはいえない。 自体は風営法の許可要件でもないので,防犯カメラの存在は,風営法上の規制とは関係がなく,景品交換所周辺建物部分を営業所と評価する根拠にはならないから,景品交換所周辺建物部分は営業所とはいえない。 (カ) 本件建物敷地部分本件建物の共同住宅部分の住民が利用しないことから直ちに本件建物敷地部分が営業所と評価され得るものではないし,本件ぱちんこ屋の従業員等がごみ収集のために一時的に本件ぱちんこ屋のごみを置くことをもって営業所に当たるともいえない。 (キ) 本件更衣室本件更衣室は,本件ぱちんこ屋から約30メートル離れた位置にあり,社会通念上,本件ぱちんこ屋と一体とは認められないので,営業所とはいえない。 第3 争点に対する判断 1 本件変更確認処分の無効確認請求について (1) 争点②(原告らに訴えの利益があるか(本案前の争点その2))についてア建築基準法の規定によれば,建築主は,同法6条1項の建築物の建築等の工事をしようとする場合においては,当該建築物に係る計画もしくは変更後の計画が,同法並びにこれに基づく命令及び条例の規定(建築基準法令),その他建築物の敷地,構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令に定めるもの(建築基準関係規定)に適合するものであることについて,建築確認等の申請書を提出して建築主事等(建築基準法6条の2第1項参照)の確認を受けなければならず,建築確認等を受けない建築物はその工事をすることができないものとされ(同法6条14項),また,建築主は,工事を完了した場合においては,建築主事の検査を申請しなければならず(同法7条1項),建築主事が同申請を受理した場合においては,建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県 た,建築主は,工事を完了した場合においては,建築主事の検査を申請しなければならず(同法7条1項),建築主事が同申請を受理した場合においては,建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員は,当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査し(同条4項),適合していることを認めたときは,建築主に対し検査済証を交付しなければならない(同条5項)。そして,特定行政庁(建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい,その他の市町村の区域については都道府県知事をいう(同法2条35号)。)は,建築基準法令の規定又は同法の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については,当該建築物の建築主等に対し,当該建築物の除却その他これらの規定等に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる(同法9条1項。この命令を,以下「違反是正命令」という。)ものとされている。これら一連の規定からすれば,建築確認等は,同法6条1項の建築物の計画が建築基準関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であって,それを受けなければ工事をす ることができないという法的効果が付与されており,建築基準関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたものということができる。しかしながら,工事が完了した後における建築主事等の検査は,当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを基準とするものであり,また特定行政庁の違反是正命令は,当該建築物及びその敷地が建築基準法令の規定又は同法の規定に基づく許可に付した条件に適合しているかどうかを基準とするものであって,いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認等に係る計画どおりのものであるかどうかを基準 敷地が建築基準法令の規定又は同法の規定に基づく許可に付した条件に適合しているかどうかを基準とするものであって,いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認等に係る計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない上,違反是正命令を発するかどうかは,特定行政庁の裁量にゆだねられているから,建築確認等の存在は,検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発する上において法的障害となるものではなく,また,たとい建築確認等が違法であるとして判決で取り消されたり,あるいは建築確認等の無効が確認されたりしたとしても,検査済証の交付を拒否し又は違反是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものでもない。 したがって,建築確認等は,それを受けなければ工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから,当該工事が完了した場合においては,それらの取消しないし無効確認を求める訴えの利益は失われるものといわざるを得ない。 (以上につき,建築確認についての事例であるが,最高裁昭和58年(行ツ)第35号同59年10月26日第二小法廷判決・民集38巻10号1169頁参照)本件では,本件変更確認処分を受けた本件建物の増築等が完成し,検査済証も交付されているから(前記前提事実⑴ウ),本件変更確認処分の無効確認を求める訴えの利益は失われたというほかない。 イこの点,原告らは,Fが本件建物の本件ぱちんこ屋部分をさらに増築する可能性が残されている旨を主張するが,本件変更確認処分に係 る工事について具体的に行われていないものがある旨を指摘するものではなく,本件変更確認処分に係る工事は既に完了したとの上記判断を左右するものではない。 また,原告らは,本件建物について将来の違法な増築工事を阻止する具体的な利益を有していると主張する するものではなく,本件変更確認処分に係る工事は既に完了したとの上記判断を左右するものではない。 また,原告らは,本件建物について将来の違法な増築工事を阻止する具体的な利益を有していると主張する。しかし,本件建物の所有者が増築工事をしようとする場合には,建築基準法6条1項に基づく建築確認を受ける必要があるから,仮に,違法に増築工事がされる場合においては,新たな建築確認の取消しを求める等の方法で救済を受ける余地もあるのであって,原告らの上記主張を容れることはできない。 (2) 以上によれば,本件訴えのうち,本件変更確認処分の無効確認を求める部分は,その余の点について判断するまでもなく,訴えの利益を欠くものとして,不適法である。 2 本件営業許可処分の取消請求について(1) 争点①(原告らに原告適格が認められるか(本案前の争点))についてア判断枠組み行訴法9条は取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者 について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることな る原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者 について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきであり,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)。 この観点から,本件営業許可処分の取消しを求める原告らの原告適格について,以下,検討する。 イ近隣住民としての原告適格について(ア) 原告Eを除くその余の原告らは,風営法1条,3条1項,4条2項2号,13条ないし16条,21条,風営法施行令6条1号,2号及び大阪府風営法施行条例2条1項,6条を根拠に,原告適格が認められる旨主張する。 上記各規定のうち,風営法15条は,風俗営業者は,営業所周辺において,政令で定めるところにより,都道府県の条例で定める数値以上の騒音又は振動(人声その他その営業活動に伴う騒音又は振動に限る。)が生じないように,その営業を営まなければならない旨規定し,同規定に基づいて定められた大阪府風営法施行条例6条1項は,騒音に係る数値について,時間帯や都市計画法上の用途地域の別に応じて制限値を具体的に定めている。また,これらの規制の実効性を担保するために,風俗営業者に対して,営業所ごとに法令の遵守を助言・指導等する専任の管理者の選任等が義務付けられており(風営法24条,風営法 制限値を具体的に定めている。また,これらの規制の実効性を担保するために,風俗営業者に対して,営業所ごとに法令の遵守を助言・指導等する専任の管理者の選任等が義務付けられており(風営法24条,風営法施行規則36条),管理者の業務と して,営業所の構造及び設備が風営法施行規則8条の技術上の基準(同基準中には,騒音又は振動の数値が風営法15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有することといった基準も存する。)に適合するようにするための点検の実施及び記録の記載について管理を行う旨等が定められている(風営法24条3項,風営法施行規則37条2号)。そして,風営法は,風俗営業者が上記規制に違反した場合には,公安委員会において,善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為を防止するため必要な指示をし,又は,風俗営業の許可の取消し若しくは6か月以内の営業の停止を命じることができる旨定めている(同法25条,26条)。 このように,風営法及び風営法施行規則等の関係法令が,営業所周辺において一定の数値以上の騒音又は振動が生じないように営業を営むことを義務付け,これら騒音又は振動を具体的に規制し,同規制に違反した場合の実効性を確保する制度を設けていることに照らせば,風営法の規定は,風営法の目的(同法1条)にかんがみて,風俗営業者の営業に伴う騒音又は振動によって,営業所周辺地域に居住する住民の健康や生活環境に係る被害の発生を防止することをその趣旨及び目的に含んでいるものと解すべきであるから,風営法15条及び同規定に基づいて定められた大阪府風営法施行条例6条1項の各規定(これらをあわせて,以下「騒音等に関する各規定」という。)は,営業所の近隣に居住する住民に対し,違法な営業許可の下で行われる営業に起因 規定に基づいて定められた大阪府風営法施行条例6条1項の各規定(これらをあわせて,以下「騒音等に関する各規定」という。)は,営業所の近隣に居住する住民に対し,違法な営業許可の下で行われる営業に起因する騒音又は振動による被害を受けず,静穏な環境を享受するという利益を具体的に保護していると解される。 また,ぱちんこ屋は,営業時間内に常時,相当程度の騒音を不可避的に生じさせるものであるから,近隣住民は,連日,相当の時間 にわたって継続的に騒音の被害にさらされるおそれがあるといえ,騒音等に関する各規定に適合しないまま営業の許可がされれば,近隣住民に対して健康又は生活環境に係る著しい被害をもたらすことになりかねないところ,このように,近隣住民が受けるおそれのある被害の内容,性質,程度等に照らせば,これらの利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといえる。また,騒音等に関する各規定に違反した違法な営業所の許可がされた場合に,営業活動に起因する騒音又は振動等の被害を直接的に受けるのは営業所周辺に居住する住民であるところ,かかる騒音又は振動によって静穏な生活環境を享受する権利ないし法的利益をおびやかされるおそれのある住民は,当該営業所周辺の一定範囲の地域に居住する特定の住民に限定できるし,その被害の程度は,居住地が営業所に接近するにつれて増大するといえる。 以上の検討結果に照らせば,騒音等に関する各規定は,ぱちんこ屋の営業所から発せられる騒音又は振動によって被害を受ける近隣住民の静穏な生活環境を享受する利益を個別的に保護する趣旨の規定であると解される。 そうであるところ,原告J及び原告Eを除くその余の原告らは,いずれも本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約1.54メートルないし約19.5メートル離れた場所に居住して の規定であると解される。 そうであるところ,原告J及び原告Eを除くその余の原告らは,いずれも本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約1.54メートルないし約19.5メートル離れた場所に居住しており(前記前提事実(2)ア(ア)ないし(カ)),本件ぱちんこ屋から発せられる騒音によって被害を受けるおそれがあるといえるから,騒音等に関する各規定によって,静穏な生活環境を享受する利益を個別的に保護されていると認められるのであって,本件営業許可処分の取消しを求める原告適格が認められる。また,原告Jが居住する建物は,本件ぱちんこ屋を含む本件建物の敷地から約40メートル離れた場所に位置するものであるが(前記前提事実(2)ア(キ)),本件ぱちん こ屋に係る営業が騒音等に関する各規定に違反される態様で行われた場合には,なお本件ぱちんこ屋から発せられる騒音によって被害を受けるおそれがあるといえるから,原告Jにも本件営業許可処分の取消しを求める原告適格が認められるものというべきである。 (イ) 原告らは,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号及び大阪府風営法施行条例2条1項も,原告Eを除くその余の原告らの原告適格の根拠として主張する。 しかし,これらの各規定をみると,風営法4条2項2号は,風俗営業の不許可事由として,当該営業所が良好な風俗環境を保全するために特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあることを定め,その政令で定める基準として,風営法施行令6条1号は,営業制限地域として,まず住居集合地域を挙げ(同号イ),次に住居集合地域以外の地域のうち,教育施設等の周辺を営業制限地域と定めている(同号ロ)。そして,風営法4条2項2号の条例で定める地域について,大阪府風営法施行条例2条1 集合地域を挙げ(同号イ),次に住居集合地域以外の地域のうち,教育施設等の周辺を営業制限地域と定めている(同号ロ)。そして,風営法4条2項2号の条例で定める地域について,大阪府風営法施行条例2条1項1号は,都市計画法8条1項1号に規定する第一種低層住居専用地域,第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域,第二種中高層住居専用地域,第一種住居地域,第二種住居地域及び準住居地域を定め,大阪府風営法施行条例2条1項2号で,教育施設等の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を営業制限地域と定めている。 このように,法令の定めをみると,風営法施行令6条1号及び大阪府風営法施行条例2条1項は,教育施設等の施設の周囲につき営業制限地域の指定を行う場合には,当該施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度とし,当該区域内の地域につき指定を行う旨定めているが,住居集合地域については,その周囲について,風営法上の営業所の設置に係る具体的な距離制限を設けていない。 そうすると,風営法施行令6条1号イ及び大阪府風営法施行条例2条1項1号の住居集合地域に係る規定は,住居集合地域の善良な風俗環境を一般公益として保護している趣旨の規定であって,具体的な個々人の権利利益を個別に保護する趣旨の規定であるとまで解することはできない。 したがって,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号及び大阪府風営法施行条例2条1項によっては,原告Eを除くその余の原告らに原告適格を認めることはできない。 ウ保護者としての原告適格について原告らは,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号ロ,2号,大阪府風営法施行条例2条1項2号を根拠に,原告H及び同Jを除くその余の原告らに,本件ぱちんこ屋から100メートル以内にあるN小学校に通う児童ないし将来N 条2項2号,風営法施行令6条1号ロ,2号,大阪府風営法施行条例2条1項2号を根拠に,原告H及び同Jを除くその余の原告らに,本件ぱちんこ屋から100メートル以内にあるN小学校に通う児童ないし将来N小学校に通うこととなる年少者の保護者としての原告適格が認められる旨主張する。 そこで検討するに,風営法4条2項2号は,公安委員会は,同法3条1項の申請に係る営業所が,良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるときには,当該営業所につき風俗営業の許可をしてはならない旨定めており,風営法施行令6条は,風営法4条2項2号の政令で定める基準として,同号に規定する営業所の設置を制限する地域(営業制限地域)の指定は,①住居が多数集合しており,住居以外の用途に供される土地が少ない地域(住居集合地域。 風営法施行令6条1号イ),②その他の地域のうち,学校その他の施設で学生等のその利用者の構成その他のその特性にかんがみ特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県の条例で定めるものの周辺の地域(同号ロ)について行い,上記②に掲げる地域内の地域につき営業制限地域の指定を行う場合には,当 該施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度とし,その区域内の地域につき指定を行うこと(同条2号)と定めている。 そして,風営法4条2項2号を受けて定められた大阪府風営法施行条例2条1項は,2号において,教育施設等(学校教育法1条に規定する学校若しくは同法134条1項に規定する各種学校のうち主として外国人の幼児,児童や生徒等に対して教育を行うもの,児童福祉法7条1項に規定する保育所又は医療法1条の5第1項に規定する病院若しくは同条2項に規定する診療所 4条1項に規定する各種学校のうち主として外国人の幼児,児童や生徒等に対して教育を行うもの,児童福祉法7条1項に規定する保育所又は医療法1条の5第1項に規定する病院若しくは同条2項に規定する診療所)の敷地の周囲おおむね100メートル(当該施設の敷地が都市計画法8条1項1号に規定する商業地域にある場合にあっては,当該施設の敷地の周囲おおむね50メートル。)の区域(ただし,公安委員会規則で定める区域を除く。)を,営業制限地域として定めている(なお,本件では,商業地域にある場合に当たらないから,上記距離については,100メートルを前提として検討することとし,また,本件で問題となる教育施設等は小学校であるから,学校教育法1条に規定する学校を前提として検討することとする。)。 このように,風営法等は,良好な風俗環境を特に保全する観点から,教育施設等の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を営業制限地域として定め,同地域内における風俗営業を禁止しているところ,かかる一定の施設からの一定距離内の営業所には風俗営業の許可をしてはならない旨の規定(かかる趣旨の基準を,以下「位置基準」ともいう。)は,風俗営業に係る営業所において風俗営業が行われた場合に生じる文教上の著しい支障の発生を防ぐためのものと解されるところ,かかる支障は当該営業所の周辺に所在する教育施設等を利用する児童や生徒等の不特定多数者に生じ得るものであって,かつ,上記のような支障を除去することは,心身共に健康な青少年の育成といった公益的な理念ないし要請と強くかかわるものといえるものであり,上記教 育施設等の利用者は,当該営業所に係る風俗営業の許可の取消しを求める原告適格を有しないのではないかが問題となる(自転車競技法に基づく場外車券販売施設の周辺住民等が同施設の設置許可の取消 教 育施設等の利用者は,当該営業所に係る風俗営業の許可の取消しを求める原告適格を有しないのではないかが問題となる(自転車競技法に基づく場外車券販売施設の周辺住民等が同施設の設置許可の取消しを求めた事案に係る最高裁平成20年(行ヒ)第247号同21年10月15日第一小法廷判決・民集63巻8号1711頁(以下「サテライト最判」という。)参照)。 しかしながら,上記のとおり,風営法4条2項2号やこれに基づく風営法施行令6条1号ロ,2号,大阪府風営法施行条例2条1項2号の各規定によれば,教育施設等に係る位置基準は,教育施設等の敷地の周囲おおむね100メートルと,営業を禁止する範囲について,具体的な数値をもって規定し,かつ,比較的狭い範囲に限定しており(この点で,サテライト最判の事案においては,自転車競技法の規定を受けた自転車競技法施行規則においても,学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設(これらをあわせて,以下「医療施設等」という。)から相当の距離を有し,文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないことという抽象的な規定にとどまっており,具体的な距離の明示もなく,ただ,同規則において,場外施設の設置許可申請書に,敷地の周辺から1000メートル以内の地域にある医療施設等の位置及び名称を記載した場外施設付近の見取図,場外施設を中心とする交通の状況図並びに場外施設の配置図を添付すべきものとしているにとどまっているのとは,その規定ぶりが相当異なるものといえる。),このような教育施設等の周辺100メートルという具体的に限定された範囲内の良好な風俗環境を特に保全することによって,当該教育施設等を利用する児童や生徒等の健全な育成を特に保護する趣旨に出たものであって,これを上記のような一般公益の観点からのみならず,当該教育施設等 内の良好な風俗環境を特に保全することによって,当該教育施設等を利用する児童や生徒等の健全な育成を特に保護する趣旨に出たものであって,これを上記のような一般公益の観点からのみならず,当該教育施設等を利用する児童や生徒等の個別具体的利益としても保護する趣旨を含むものと解することも十分考えられるところ である。このような解釈は,風営法が,風俗営業等について,営業時間,営業区域等を制限し,年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的としていること(同法1条)からも裏付けられるものといえる。とりわけ,本件で問題となる教育施設等は,公立小学校であるN小学校であるところ,学校施設の利用年数は通常6年間と相当程度の長さの期間に及び,その就学年齢に照らしても心身の健全な発達に極めて重要な時期といえることに加え,本件のような公立小学校の場合,個々の就学予定者が就学すべき学校は,市町村の教育委員会によって指定され(学校教育法施行令5条1項,2項),児童ないしその保護者が自由に選択できるものではなく,転居ないし私立小学校等への転校等をしない限り,上記のような位置基準に反して風俗営業が許可された場合,当該児童は,上記のようにその心身の健全な発達に極めて重要な6年間を,同発達に支障が生じ得るものといえる風俗営業に係る営業所に近接する公立小学校に通うほかないものというべきことにかんがみれば,上記風営法及び関係法令に係る位置基準の規定は,少なくとも公立小学校に通う児童に対しては,健全な風俗環境を享受し,そのような環境の中で学習する利益を個別具体的に保障しているものと解するのが相当である。 そして,このような公立小学校に通う児童の保護者らは,その保護す う児童に対しては,健全な風俗環境を享受し,そのような環境の中で学習する利益を個別具体的に保障しているものと解するのが相当である。 そして,このような公立小学校に通う児童の保護者らは,その保護する児童に普通教育を受けさせる義務を負うこと(憲法26条2項参照)に照らせば,現に当該公立小学校に子らを通わせる保護者らは,児童を健全な風俗環境のもとで学習させる法的な利益を有するものといえるのであって,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号ロ,2号及び大阪府風営法施行条例2条1項2号はかかる利益をも個別具体的に保障する趣旨を含むものと解するのが相当である。 したがって,本件ぱちんこ屋から100メートル以内にあると指摘 されているN小学校に通学する児童の保護者である原告A,同B,同C,同D及び同Eについては,上記利益を害されるおそれがあることを理由に原告適格を有すると認められる(なお,以上の検討結果に照らせば,サテライト最判の射程は本件には及ばないものと解するのが相当である。)。 一方,原告Iは,その子が将来N小学校に入学し,同小学校に通うことになることを原告適格の理由として主張するが,将来転居等により子がN小学校に入学しない可能性も想定し得ることからすると,その保護する児童にN小学校において健全な風俗環境のもとで学習させる法的な利益を現時点において有しているとまではいえないから,同原告の子に対してN小学校に係る就学指定がされたような場合は別として(なお,同就学指定がされたことを認めるに足りる証拠はない。),子が将来N小学校に入学し,同小学校に通う予定であることをもって,同原告に原告適格を認めることはできない。 エ小括以上によれば,原告らはいずれも本件営業許可処分の取消しを求める原告適格を有するものであるが,その根拠は, 小学校に通う予定であることをもって,同原告に原告適格を認めることはできない。 エ小括以上によれば,原告らはいずれも本件営業許可処分の取消しを求める原告適格を有するものであるが,その根拠は,原告A,同B,同C及び同Dについては,①本件ぱちんこ屋の近隣住民であり,かつ,②N小学校に通学する児童の保護者である点に,原告H,同I及び同Jについては,①本件ぱちんこ屋の近隣住民である点に,原告Eについては,②N小学校に通学する児童の保護者である点に,それぞれ求められると認められる。 (2) 争点②(原告らの主張する違法事由は自己の法律上の利益に関係のない違法を主張するものとして,その主張が制限されるか(本案の争点その1))についてア本件で原告らは,本件ぱちんこ屋がN小学校から100メートル以内に存在するため,距離制限(位置基準)に係る各規定に違反してい る旨主張するところ,距離制限(位置基準)に係る各規定は,本件ぱちんこ屋の近隣住民として原告適格を認める原告らの根拠となる規定とは異なることから,本件ぱちんこ屋の近隣住民であることのみが原告適格の根拠として認められる原告H,同I及び同Jについて,上記距離制限(位置基準)違反の主張は自己の法律上の利益に関係のない違法をいうにとどまるのではないかが問題となる。 イ行訴法10条1項が,取消訴訟においては,自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができないとしているのは,取消訴訟は行政庁による違法な公権力の行使による侵害からの原告の権利利益の救済を目的とする主観訴訟であることから,取消訴訟における違法事由の主張は,原告の個人的利益に関係のある事項に限って認めるべきであって,これに関係のない事項の主張を許すことは上記取消訴訟の趣旨に反するものであるとの考 訴訟であることから,取消訴訟における違法事由の主張は,原告の個人的利益に関係のある事項に限って認めるべきであって,これに関係のない事項の主張を許すことは上記取消訴訟の趣旨に反するものであるとの考えによるものといえる。このような見地からすれば,同項にいう「自己の法律上の利益に関係のない違法」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に存する違法のうち,原告の権利利益を保護する趣旨で設けられたものではない法規に違背した違法をいうと解される。 そうであるところ,本件では,原告らは本件営業許可処分が距離制限(位置基準)に係る各規定に違反している旨主張するものの,これら各規定は,先に説示したとおり,公立小学校に通学する児童もしくはその保護者に対して,健全な風俗環境のもとで学習させる法的な利益を保護する趣旨を含むものではあるが,風俗営業に係る営業所(本件ぱちんこ屋)の近隣に居住する原告らが良好な風俗環境を享受する利益を保護する趣旨で設けられたものではないから,近隣住民として原告適格を有するにとどまる原告H,同I及び同Jが,距離制限(位置基準)の違反を主張するのは,同原告らの権利利益を保護する趣旨で設けられたものではない法規に違背した違法を主張する場合に当た るものと解するのが相当である。 したがって,N小学校に子を通わせる保護者としての原告適格が認められず,近隣住民としての原告適格のみが認められる原告H,同I及び同Jは,「自己の法律上の利益に関係のない違法」を理由として本件営業許可処分の取消しを求めるものにほかならないから(行訴法10条1項),同原告らの主張は,その主張自体失当というべきである。したがって,本件営業許可処分の取消しを求める同原告らの請求は,その余の点を論ずるまでもなく理由がない。 (3) 争点③(本件営業許可処分につ ,同原告らの主張は,その主張自体失当というべきである。したがって,本件営業許可処分の取消しを求める同原告らの請求は,その余の点を論ずるまでもなく理由がない。 (3) 争点③(本件営業許可処分につき取消事由はあるか(本案の争点その2))についてア営業所の範囲について原告A,同B,同C,同D及び同E(以下「原告Aら5名」という。)は,本件ぱちんこ屋の営業所が,N小学校の敷地から100メートルの範囲内にあるため,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号ロ,2号,大阪府風営法施行条例2条1項2号の定める距離制限(位置基準)に違反する旨主張するので,以下検討する。 まず営業所の解釈について検討するに,距離制限(位置基準)に係る各規定は,風俗営業に係る営業所を教育施設等の敷地から100メートル以内に設置してはならない旨を定めているところ,このような規制は,当該距離制限以内の地域においては風俗営業をしてはならないという,営業の自由に対する強い制約であるといえる。そうすると,営業所の範囲をむやみに拡大解釈すべきではなく,営業所に当たるか否かの判断は,風営法の目的が「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について,営業時間,営業区域等を制限し,及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進 する等の措置を講ずること」であること(同法1条)にかんがみて,このような目的を有する風営法の規制を及ぼすべき施設か否かによって判断すべきであり,具体的には,当該風俗営業に係る施設との構造上の一体性,客の利用実態等機能的一体性及び管理者の同一性等を総合的に考慮し,当該風俗営業に係る客室を構 制を及ぼすべき施設か否かによって判断すべきであり,具体的には,当該風俗営業に係る施設との構造上の一体性,客の利用実態等機能的一体性及び管理者の同一性等を総合的に考慮し,当該風俗営業に係る客室を構成する部分と社会通念上一体とみられ,専ら当該風俗営業の用に供される施設と評価できる施設を営業所として評価するのが相当である。風営法解釈運用基準が,営業所とは,「客室のほか,専ら当該営業所の用に供する調理室,クローク,廊下,洗面所,従業員の更衣室等を構成する建物その他の施設のことをいい,駐車場,庭等であっても,社会通念上当該建物と一体とみられ,専ら当該営業の用に供される施設であれば,営業所に含まれるものと解する」旨定めているのも,同様の趣旨によるものと解される。 以上にしたがって,原告Aら5名の主張する各施設が営業所に当たるか否かを,以下検討する。 イ本件建物1階全体原告Aらは,本件建物1階全体が,本件ぱちんこ屋と同一の建物の1階部分を構成しており,営業所に当たる旨主張する。 しかしながら,本件建物1階全体が,構造上の一体性を有しているからといって当然に営業所と評価されるべきものではなく,本件ぱちんこ屋の客室部分とは区別されている部分ごとに,営業所に該当するか否かを検討しなければならない(現に,証拠(甲2,丙5)によれば,別紙1のとおり,本件建物1階中には,本件ぱちんこ屋と利用態様が明確に区分された本件建物2階以上の共同住宅部分の玄関等が存することが明らかである。)。 したがって,本件建物1階全体が,本件ぱちんこ屋と同一の建物の1階部分を構成していることを理由とする原告Aら5名の主張は理由 がない。 ウ本件駐車場別紙2ないし4のとおり,本件ぱちんこ屋は,本件建物の敷地南側 件ぱちんこ屋と同一の建物の1階部分を構成していることを理由とする原告Aら5名の主張は理由 がない。 ウ本件駐車場別紙2ないし4のとおり,本件ぱちんこ屋は,本件建物の敷地南側に存在する交野市の市有地(α×番14の土地。別紙3参照)及び片側一方通行1車線の府道γ線(本件道路)を隔てて,専用の駐車場(本件駐車場)を設置しているところ(丙1,当事者間に争いのない事実),被告は,本件駐車場が,本件ぱちんこ屋とは構造上の一体性を有していないとして,営業所とは評価されない旨主張する。 しかしながら,本件駐車場は,本件ぱちんこ屋とは上記交野市の市有地及び本件道路を隔てて設置されているものの,当該市有地の幅はわずか3メートルにすぎないし,本件道路は,片側一方通行の1車線の道路であり,車道と歩道を区別するための縁石も設けられておらず,信号機も設置されていない上(甲10の2,74の6ないし13),幅員も4.6メートルと比較的狭い(甲2)から,本件ぱちんこ屋の利用客は,当該市有地及び本件道路を自由に通って本件ぱちんこ屋と本件駐車場とを容易に往来できるのであって,本件駐車場と本件ぱちんこ屋は,極めて近接した位置にあると評価できる。また,本件駐車場は,本件ぱちんこ屋の名称が記載された看板が掲げられるとともに,本件ぱちんこ屋ののぼりも設置された本件ぱちんこ屋の専用駐車場であり(甲74の7ないし13),専ら本件ぱちんこ屋の利用客が使用していると推認できることや,一般に車で来店する客にとって駐車場の便宜は大きいことに照らすと,本件駐車場の存在は本件ぱちんこ屋の営業に少なからず寄与しているといえるから,機能的一体性も認められる。さらに,本件駐車場は,本件ぱちんこ屋の警備員によって警備もされていることから(原告らの主張に対し,被告は特に争って ぱちんこ屋の営業に少なからず寄与しているといえるから,機能的一体性も認められる。さらに,本件駐車場は,本件ぱちんこ屋の警備員によって警備もされていることから(原告らの主張に対し,被告は特に争っていない。),管理者も本件ぱちんこ屋と同一であると認めるのが相当である。 これらからすれば,本件駐車場は,本件ぱちんこ屋と社会通念上一体とみられ,専ら本件ぱちんこ屋の営業の用に供される施設といえるから,本件ぱちんこ屋の営業所に当たると評価するのが相当である。 そうであるところ,証拠(甲40,丙3)によれば,本件駐車場の大部分がN小学校の敷地から100メートル以内の位置に所在するものと認められる。 エ本件景品交換所本件景品交換所は,本件建物1階部分に,本件ぱちんこ屋の営業所であることにつき争いのない倉庫部分と内壁を隔てて所在する福祉事務所とされている部分であり(丙5。別紙1参照),本件ぱちんこ屋とは構造上の一体性を有している。また,本件建物の外壁には防犯カメラが複数設置されているところ,そのうち一つのカメラは本件景品交換所の出入り口付近を撮影し,本件景品交換所に出入りする者等の様子が撮影された映像は,本件ぱちんこ屋の事務所内において確認できることとなっていること(甲44の7,47,84,証人R)からすれば,本件ぱちんこ屋の管理者は,本件景品交換所についても本件ぱちんこ屋と一体として防犯上の管理をしていると評価できるし,本件ぱちんこ屋の従業員が本件景品交換所に定期的に出入りしていることが認められること(甲48)もあわせ考えると,本件ぱちんこ屋と本件景品交換所は事業主体が異なるとはいえ,管理上の一体性を有しているといえる。さらに,本件景品交換所を利用する利用客は,本件ぱちんこ屋で獲得した景品を換金するためだけに本件 ると,本件ぱちんこ屋と本件景品交換所は事業主体が異なるとはいえ,管理上の一体性を有しているといえる。さらに,本件景品交換所を利用する利用客は,本件ぱちんこ屋で獲得した景品を換金するためだけに本件景品交換所を訪れており,その他の目的で本件景品交換所を利用する客は皆無であると推認できること等からすると,本件景品交換所は,専ら本件ぱちんこ屋で行われるぱちんこ営業の用に供される施設であり,本件ぱちんこ屋と社会通念上一体であると評価されるというべきである。 そうであるところ,本件景品交換所は,N小学校の敷地から100 メートル以内の位置に所在することは,当事者間に争いがない。 オ景品交換所周辺建物部分景品交換所周辺建物部分は,本件ぱちんこ屋の営業所の一部であることにつき争いのない倉庫部分及び洗浄室とは内壁を隔てて一個の建物(本件建物1階部分)内に存在しており(丙5。別紙1参照),構造的には一体であるといえる。もっとも,景品交換所周辺建物部分は,本件営業許可処分に係る申請書の添付図面においても,マンション専用ごみ置き場と表記されているのみであり(甲3,丙5),いかなる用途に用いられているか不明であるし,管理者も明らかではない(その用途や管理者を認めるに足る的確な証拠は存しない。)から,本件ぱちんこ屋との機能的一体性,管理上の一体性を認めることはできない。 原告Aら5名は,景品交換所周辺建物部分の外壁の利用状況及び外観等を理由に,景品交換所周辺建物部分は営業所に当たることが推認できると主張するが,外壁の利用状況や外観等から直ちに内部の利用状況等を推認することはできず,原告Aらの主張する点をもって,景品交換所周辺建物部分が営業所に当たるということもできない。 したがって,景品交換所周辺建物部分は,本件ぱちんこ屋の営業所 に内部の利用状況等を推認することはできず,原告Aらの主張する点をもって,景品交換所周辺建物部分が営業所に当たるということもできない。 したがって,景品交換所周辺建物部分は,本件ぱちんこ屋の営業所であるとは認められない。 カ本件建物敷地部分本件建物敷地部分は,本件ぱちんこ屋の営業に係る事業系ごみの集積場として交野市に届出がされるとともに,ごみの集積場として使用されている(甲45)。 そして,本件建物敷地部分は,本件ぱちんこ屋の所在する本件建物の敷地内にあり,構造上の一体性は有しているといい得るものの,本件ぱちんこ屋のごみ集積場として利用されていること自体は,風俗環境の悪化等とは何ら関係がないから,ごみの集積場として使用されて いることをもって,風営法の規制の趣旨を及ぼすべき性質を有しているとはいえない。したがって,本件建物敷地部分は,専ら本件ぱちんこ屋の営業の用に供される施設であるとは評価できない。 キ本件更衣室本件ぱちんこ屋の従業員らは,その営業時間の前後等に,本件ぱちんこ屋とは店舗を2軒隔て,本件建物から約30メートル離れた場所に位置するS○号室(本件更衣室)で,着替えをするなどしていることが認められる(甲73,77,当事者間に争いのない事実)。 そこで,本件更衣室が営業所と評価できるかについてみるに,本件更衣室は,本件建物から約30メートル離れた位置にあることから,本件ぱちんこ屋との構造上の一体性は全くない。また本件更衣室は,本件ぱちんこ屋の従業員の着替え等のために使用されるにすぎず,本件ぱちんこ屋の客が本件更衣室を利用することは全くないし,風俗環境自体には何ら影響を及ぼす性質の施設とはいえない。したがって,仮に管理者が本件ぱちんこ屋と同一であったとしても,本件更衣室単体では,風営法の規制趣旨に該当 更衣室を利用することは全くないし,風俗環境自体には何ら影響を及ぼす性質の施設とはいえない。したがって,仮に管理者が本件ぱちんこ屋と同一であったとしても,本件更衣室単体では,風営法の規制趣旨に該当しない施設であるというほかないから,本件更衣室は,社会通念上本件ぱちんこ屋と一体であるとは評価できない。 この点,原告Aら5名は,風営法解釈運用基準によれば,営業所に更衣室が含まれることは明らかである旨主張する。確かに,風営法解釈運用基準は,営業所とは専ら当該営業の用に供する調理室,クローク,廊下,洗面所,従業員の更衣室等を構成する建物その他の施設のことをいう旨規定しているところであるが,この解釈基準に営業所として例示されている各施設等は,風俗営業を営む客室と同一の建物内にあることが通常であることを前提として定められたものと解するのが相当である。そして,本件更衣室のように,本件ぱちんこ屋とは構造上一体と評価できないような離れた位置に所在する場合は,当然に 営業所と評価されるものではなく,機能的一体性及び管理上の一体性等を考慮し,風営法の規制の趣旨を及ぼすべき施設であるか否かをもって,営業所該当性を判断すべきである。 そうすると,先に判示したとおり,本件更衣室は風営法の規制の趣旨を及ぼすべき施設とはいえず,社会通念上,本件ぱちんこ屋と一体であるとは評価できないから,営業所とは評価できず,原告Aら5名の主張は理由がない。 ク小活以上によれば,本件駐車場及び本件景品交換所は本件ぱちんこ屋の営業所に当たるとともに,N小学校の敷地から100メートルの範囲内に所在すると認められるから,本件営業許可処分は,かかる距離制限規定に抵触する本件駐車場及び本件景品交換所を本件ぱちんこ屋の営業所として含んでいるにもかかわらず,そ の敷地から100メートルの範囲内に所在すると認められるから,本件営業許可処分は,かかる距離制限規定に抵触する本件駐車場及び本件景品交換所を本件ぱちんこ屋の営業所として含んでいるにもかかわらず,その営業を許可した点において,風営法4条2項2号,風営法施行令6条1号ロ,2号及び大阪府風営法施行条例2条1項2号に違反する違法があるというべきである。 3 以上の検討結果によれば,本件訴えのうち,本件変更確認処分の無効確認を求める部分は不適法であるから却下し,原告Aら5名が本件営業許可処分の取消しを求める請求は理由があるからこれを認容し,その余の原告らが同取消しを求める請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について,行訴法7条,民訴法64条本文,65条1項本文,61条を適用し,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官田中健治 裁判官尾河吉久 裁判官板東恵里 別紙訴訟費用負担表 1 原告Aの負担部分(1) 原告Aに生じた費用の2分の1(2) 被告に生じた費用の16分の1 2 原告Hの負担部分(1) 原告Hに生じた費用の全部(2) 被告に生じた費用の8分の1 3 原告Bの負担部分(1) 原告Bに生じた費用の2分の1(2) 被告に生じた費用の16分の1 4 原告Iの負担部分(1) 原告Iに生じた費用の全部(2) 被告に生じた費用の8分の1 5 原告Cの負担部分(1) 原告Cに生じた費用の2分の1(2) 被告に生じた費用の16分の1 6 原告Dの負担部分(1) 原告Dに生じた費用の2分の1(2) 被告に生じた費用の1 原告Cの負担部分(1) 原告Cに生じた費用の2分の1(2) 被告に生じた費用の16分の1 6 原告Dの負担部分(1) 原告Dに生じた費用の2分の1(2) 被告に生じた費用の16分の1 7 原告Jの負担部分(1) 原告Jに生じた費用の全部(2) 被告に生じた費用の8分の1 8 原告Eの負担部分(1) 原告Eに生じた費用の2分の1(2) 被告に生じた費用の16分の1 9 被告の負担部分 (1) 原告A,同B,同C,同D及び同Eに生じた費用の各2分の1(2) 被告に生じた費用の16分の5 以上

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