【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を判示第一の罪につき罰金壱万五千円に、判示第二の罪につき懲 役四月に処する。 右罰金を完納することかできないときは、金弍百円を壱日
主文 原判決を破棄する。 被告人を判示第一の罪につき罰金壱万五千円に、判示第二の罪につき懲役四月に処する。 右罰金を完納することかできないときは、金弍百円を壱日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。 原審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 主任弁護人南出一雄の陳述した控訴趣意は、記録に編綴の同弁護人名義及び弁護人大堀勇名義の各控訴趣意書の記載と同じであるから、これを引用する。 職権を以て調査するに、先ず、原判決は、原判示第一において、昭和二十五年五月六日より同年七月二十三日までの間、法定の除外事由なく米穀を政府以外の者に売渡した事実を認定し、食糧管理法第九条第三十一条同法施行令第八条同法施行規則第三十九条を適用処断している。しかし、米穀を政府以外者に譲渡することを禁ずる食糧管理法施行規則は、昭和二十五年九月十一日農林省令第百一号により、旧規則第二十三条の内容をも改められ且つ繰下げられて原判決適用の同規則第三十九条となつたものであり、而して食糧管理法規の如き経済統制法規においては行為時法が適用さるべきものであるから、原判決は判決に影響を及ぼすことの明かな令令適用の誤をおかしたものというべく、この点において破棄を免れない。 次に、原判決は、原判示第二において、被告人が昭和二十七年二月二十四日肩書住居においてAに対し。原判示Bの妻Cの身柄釈放運動につき四千七、八百円位費消した旨の虚構の事実を申向けて云々と認定している。しかし。原判決挙示の証拠を以てしては、被告人がその際Aに対し、Bのやつあれだけでは足りないと言つて暗に前記運動につき多額の費用を要した如く虚構のことを申向けてBに伝えるよう示唆したことは認められるけれども、原判示の如き具体的な全額等を申向 人がその際Aに対し、Bのやつあれだけでは足りないと言つて暗に前記運動につき多額の費用を要した如く虚構のことを申向けてBに伝えるよう示唆したことは認められるけれども、原判示の如き具体的な全額等を申向けたことは認められない。されば、原判決には判示と証拠との間に理由のくいちがいがあるものというべく、原判決はこの点においても破棄を免れない。結局、原判決は全部これを破棄すべきものである。 <要旨>なお、原判決は被告人に対し、原判示第一の罪につき懲役四月但し三年間執行猶予及び罰金八千円に、原判</要旨>示第二の罪にっき懲役四月の実刑を言渡しているが、右の措置は極めて当を失するものである。ただ、執行猶予と実刑との二つの懲役刑を同時に言渡す場合であるから、言渡す際には確定判決を前提とする刑法第二十五条第一項第一号にもふれず、同じく同法第二十六条第一項第二号にもふれないし、又実刑の罪についてのみ控訴した場合控訴審においてその実刑が執行猶予に変更されて確定することも絶無ではない故、さきに確定した執行猶予の判決が必ず常に同法第二十六条第一項第二号により取消されるものとは限らないから、右の如き言渡しをすることは必ずしも違法とはいい難いと解されるので、原判決破棄の理由とはしない。 そこで、弁護人の控訴趣意に対する判断は後記自判の際示されるのでここにこれを省略し、刑事訴訟法第三百九十二条第二項第三百九十七条第三百七十八条第四号第三百八十条により原判決を破棄し同法第四百条但書により当裁判所において更に次のとおり判決することとする。 (罪となるべき事実)被告人は、昭和二十六年十一月二十七日台東簡易裁判所において食糧管理法違反の罪により罰金四千五百円に処せられ、右判決は同年十二月二十九日確定したものであるか第一、 内縁の妻Dと共謀の上、法定の除外事由がない 和二十六年十一月二十七日台東簡易裁判所において食糧管理法違反の罪により罰金四千五百円に処せられ、右判決は同年十二月二十九日確定したものであるか第一、 内縁の妻Dと共謀の上、法定の除外事由がないのに肩書住居において、別表記載のとおり、昭和二十五年五月六日より同年七月二十三日までの間九回に亙り、自己の所有にかかる粳精米合計二石七斗を、政府又はE公団以外の者であるFほか二名に対し、代金合計金二万三千六百円で売渡し第二、 予て、福島県郡山市a町b番地Bから同市cd番地Aを介して、右Bの妻Cが食糧管理法違反被疑事件で警察において取調を受けている身柄釈放方につき、運動尽力せられたい旨の依頼を受けてその礼金として金三千円を受取つていたのを奇貨とし、運動費名下にBから金員を騙取しようと考え、昭和二十七年二月二十四日前記住居において、情を知らない右Aに対し「Bのやつあれだけでは足りない」と言い、暗に前記運動につき多額の費用を要した如き虚構のことを申向けて、Bにその旨伝えるよう示唆し、右Aをして同日前記渡辺B方で同人に対し運動費約五千円を要した旨伝言せしめ、同人をしてその旨誤信せしめ、因つて、同日前記被告人住居において、右Aを介してBより運動費名下に現金五千円の交付を受けてこれを騙取したものである。 (証拠の標目)判示冒頭の事実は、被告人の検察官に対する昭和二十七年三月二十五日附供述調書及び被告人に対する前科調書によりこれを認め判示第一の事実は(1) 被告人の司法警察員に対する第二回供述調書、並びに検察官に対する昭和二十五年八月三十一日附及び昭和二十七年三月二十五日附各供述調書(2) Dの司法警察員に対する第一、二回供述調書及び同人作成の取引一覧表、並びに同人の検察官に対する昭和二十五年三月二十五日附供述調書(3) F作成の買 び昭和二十七年三月二十五日附各供述調書(2) Dの司法警察員に対する第一、二回供述調書及び同人作成の取引一覧表、並びに同人の検察官に対する昭和二十五年三月二十五日附供述調書(3) F作成の買受始末書及び同人作成の取引一覧表(4) G作成の答申書及び同人作成の買受始末書を総合してこれを認め判示第二の事実は(1) 証人A、同B、同Hに対する各裁判官尋問調書(2) A、B、Hの各検察官に対する供述調書を総合してこれを認める。 (法令の適用)被告人の判示所為中、判示第一の所為は各食糧管理法第三十一条第九条同法施行令第八条昭和二十五年九月十一日農林省令第百一号による改正前の同法施行規則第二十三条罰金等臨時措置法第二条に該当するところ、判示第一の各罪と判示冒頭の確定判決の罪とは法第四十五条後段の併合罪であるから、同法第五十条により未だ裁判を経ない右判示第一の各罪につき処断すべく、所定刑中いずれも罰金刑々選択し、同法第四十八条第二項により各罰金を合算した金額範囲内で、被告人を罰金一万五千円に処し、同法第十八条により右罰金を完納下ることができない場合の労役場留置期間を定め、判示第二の所為は同法第二百四十六条第一項に該当するので、その所定刑期範囲内で、被告人を懲役四月に処し、なお、原審における訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第百八十一条第一項を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官鈴木禎次郎裁判官蓮見重治裁判官細野幸雄)
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