令和5(わ)98 住居侵入、強盗致傷、強盗未遂

裁判年月日・裁判所
令和6年9月25日 東京地方裁判所 立川支部
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判決文本文4,657 文字)

- 1 -令和6年9月25日宣告東京地方裁判所立川支部刑事部判決令和5年第98号、同第324号住居侵入、強盗致傷、強盗未遂被告事件 主文 被告人を懲役9年に処する。 未決勾留日数中470日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、金品を強取する目的で、第1 A、B、C、D及び氏名不詳者らと共謀の上、令和4年10月20日午後4時頃から同日午後4時7分頃までの間、東京都稲城市(住所省略)E 方に、宅配業者を装ってF(当時36歳)に玄関ドアを開けさせ、同ドアから侵入し、その頃、同所において、前記Fに対し、はさみを振り上げ、同人を床に倒して押さえ付けるなどの暴行を加え、さらに、G(当時17歳)及びH(当時11歳)に対し、両名の手首を粘着テープで緊縛するなどの暴行を加えて、前記Fら3名の反抗を抑圧した上、前記E所有又は管 理の現金約3541万2000円、約2000万ベトナムドン、約1000米ドル、商品券約50枚(額面合計約5万円)及び金塊1個等39点在中の金庫2個(時価合計約864万1780円相当)を奪い、その際、前記暴行により、前記Fに加療約10日間を要する左下腿打撲傷等の傷害を負わせ、 第2 A、B、I、J及び氏名不詳者らと共謀の上、同年11月7日午前2時1分頃から同日午前2時24分頃までの間、山口県岩国市(住所省略)K方に無施錠の1階掃き出し窓から侵入し、その頃、同人方1階において、L(当時49歳)に対し、持っていたカッターナイフを示し、「黙れ。」などと言って脅迫した上、その両手を手でつかむ暴行を加え、引き続き、 前記K(当時61歳)に対し、前記カッターナイフを示しながら、「殺す - 2 -ぞ。」と言って脅迫した上、その両手をつ などと言って脅迫した上、その両手を手でつかむ暴行を加え、引き続き、 前記K(当時61歳)に対し、前記カッターナイフを示しながら、「殺す - 2 -ぞ。」と言って脅迫した上、その両手をつかんで壁に押し付けるなどの暴行を加え、さらに、同人方2階において、M(当時25歳)に対し、持っていたカッターナイフを示しながら、「静かにしろ。」などと言って脅迫した上、その両手首を結束バンドで緊縛するなどの暴行を加え、前記Lら3名の反抗を抑圧して金品を奪おうとしたが、同人らが抵抗したため、そ の目的を遂げなかった。 (判示第1の財産的被害に関する事実認定の補足説明)当裁判所は、判示第1の財産的被害を判示のとおり(公訴事実のとおり)認定したが、弁護人が、弁論において、そのような立証がされたとはいえない旨主張していることに鑑み、補足説明をする。 1 被害者であるEは、公判において、被害金品の内容は、各物品の個数及び時価も含め、同人の証人尋問調書末尾添付の被害品一覧表(以下「本件一覧表」という。)のとおりである旨証言した。Eは、証人尋問の際、本件一覧表を示される前に、黒とベージュの金庫2個を奪われたこと、ベージュの金庫に現金約3300万円を保管していたこと、各金庫の保管状況等を具体的 に供述するとともに、各金庫に、上記以外の現金(日本円)、外国通貨、貴金属、預金通帳、キャッシュカード、クレジットカード、土地の権利証、ゴルフ会員権等も入れてあった旨も供述し、その上で、示された本件一覧表は同人が説明した被害内容をまとめたもので(令和5年に行われたA及びBの裁判で被害内容を証言をした後に作成したという。)、その内容に間違いは ない旨供述した。その供述内容に不自然、不合理な点はない上、上記Eの供述の内容は、E方から奪われた 年に行われたA及びBの裁判で被害内容を証言をした後に作成したという。)、その内容に間違いは ない旨供述した。その供述内容に不自然、不合理な点はない上、上記Eの供述の内容は、E方から奪われた被害品の一部と認められるブレスレット、財布、ネックレス、時計及び24金インゴット金塊等が東京都内の買取店で売却されていること(甲100)や、実行犯4名が事件直後に報酬として少なくとも合計500万円以上の現金を受け取っていることにより裏付けられて いる。したがって、上記Eの証言は信用に足るものであり、これにより、判 - 3 -示第1の事件の財産的被害の内容は判示のとおりであったと認めることができる。 2 なお、弁護人は、Eに対し本件一覧表を示して尋問をしたのは違法であるから、これにより得られた供述に基づき事実認定をすることは許されない旨主張する。しかし、本件の公判前整理手続において、弁護人は、判示第1の 事件の財産的被害は積極的に争わない旨表明し、同手続終結時における争点整理の結果確認において同被害の内容は争点として明示されなかったことを踏まえると、Eに対する検察官の尋問方法は不当とはいえないし、Eに対し本件一覧表を示した点も供述の明確化ないし記憶喚起のためにしたものであって、違法とはいえない。弁護人の主張は前提を欠き、採用できない。 (量刑の理由) 1 本件は、侵入強盗2件(うち1件〔判示第1、以下「稲城事件」という。〕は強盗致傷、他の1件〔判示第2、以下「岩国事件」という。〕は強盗未遂)からなる事案である。 被告人ら実行犯は、背後にいる共犯者によりSNS等を通じて集められた もので、現場では、その場にはいない指示役の共犯者の指図に従い、犯行に及んでいる。また、いずれの事件も、被害者方に多額の金品があ 人ら実行犯は、背後にいる共犯者によりSNS等を通じて集められた もので、現場では、その場にはいない指示役の共犯者の指図に従い、犯行に及んでいる。また、いずれの事件も、被害者方に多額の金品があるとの情報に基づき行われた犯行とうかがわれる。本件は、組織的かつ計画的犯行である。また、強盗の手段として用いられた暴行・脅迫の内容をみると、被害者らに怪我を負わせる意図はなかったとしても、凶器としてあらかじめ用意し た刃物を用いている。本件の犯行態様は悪質である。生じた被害をみると、稲城事件では、被害者の怪我は軽傷にとどまったものの、現金被害だけでも3000万円を超える多大な財産的被害が生じている上、いずれの事件においても、複数人に突然自宅に侵入されて暴行を加えられるなどした各被害者の恐怖や不安は大きかったと思われるのであり、結果は重い。 2⑴ 被告人は、両事件において実行役を担い、各被害者方に侵入するなどし - 4 -ており、稲城事件について、報酬として、B以外の実行役2名と同額の約130万円を受け取った。 もっとも、被告人は、稲城事件では、被告人自身は被害者方に入っておらず、共犯者が運び出した金庫を車に積み込むために待機していた旨述べている。しかし、この点について、宅配業者を装って被害者方に侵入した実行役 で、指示役とのやり取りもしていたBは、公判において、運転手役のD以外は被害者方に押し入る計画であり、被告人も被害者方に入って金庫を探し、途中から被害者Fの制圧に加わった旨証言している。事前情報に基づき、家人が在宅する被害者方に侵入して金庫を強奪するという稲城事件の計画内容に照らすと、家人の制圧や金庫の探索・搬出を速やかに行うために、運転手 ら2名以外の者が被害者方に侵入したというBの供述に不自然な点 する被害者方に侵入して金庫を強奪するという稲城事件の計画内容に照らすと、家人の制圧や金庫の探索・搬出を速やかに行うために、運転手 ら2名以外の者が被害者方に侵入したというBの供述に不自然な点はなく、これに反する被告人の供述は不自然である。また、Bの供述内容は、具体的である上、被害者ら(F及びG)が述べる犯行の状況ともおおむね整合している。なお、Bが、被告人は白いお面を着けていたと述べるのに対し、上記被害者らは、犯人らの中に白いお面を着けていた者がいた旨を述べていない が、突然、侵入してきた犯人らに襲われていた上記被害者らの状況等を踏まえると、上記被害者らの供述によりBの供述の信用性に疑いは生じない。したがって、上記Bの供述は信用することができ、稲城事件において、被告人は、被害者方に侵入して被害者を制圧するなどしたと認められる。 ⑵ 以上によれば、共犯者間における被告人の地位・役割は、「N」あるいは 「O」と称する指示役の共犯者よりも格段に低いことは明らかであるし、指示役から直接指示を受けていた実行役(A及びB)と比べてもやや低いといえるものの、他の実行役と同程度の役割を果たしたというべきである。そうすると、岩国事件について、自らも被害者方に侵入したが、家人に対しカッターナイフを示し脅したのは他の共犯者である旨述べる被告人の供述は、こ れに反する被害者らの供述の変遷状況等を考慮すると、虚偽とはいえないこ - 5 -とを踏まえても、被告人は両事件の実行役として相応の役割を果たしたと評価できる。 被告人は、高額の報酬欲しさから、犯罪に関わることになるのを承知で「闇バイト」を探して稲城事件に加わっており、その経緯、動機に酌量の余地はない。また、被告人は、岩国事件に加わった経緯について、指示役の誘 い の報酬欲しさから、犯罪に関わることになるのを承知で「闇バイト」を探して稲城事件に加わっており、その経緯、動機に酌量の余地はない。また、被告人は、岩国事件に加わった経緯について、指示役の誘 いを断ろうとしたものの、個人情報を握っている旨言われて脅されたため、断れなかったなどと弁解するが、そうであったとしても、警察に相談するなど犯罪に加わる以外の方法は考えられたのであり、その経緯、動機に責任非難を弱める事情は見出せない。 加えて、被告人は、令和2年2月、強盗、監禁、傷害の罪で懲役3年・5 年間執行猶予の判決言渡しを受けた前科があり、本件当時はその執行猶予期間中であったにもかかわらず、またも強盗を犯したのであり、この点でも厳しく非難されなければならない。 3 以上の犯情等からすると、本件は、強盗致傷の同種事案(共犯、強盗は既遂、侵入強盗、凶器あり、執行猶予中の前科等量刑上考慮した前科ありの事 案。その量刑傾向をみると、懲役1年単位で区切った場合、「懲役8年以下」にピークがある。)の中で、懲役10年を超えるような重い事案(処断罪以外の罪が多い者、累犯前科がある者、主導的立場にあった者などが多い。)とはいえないものの、中程度かやや重い部類に位置付けられる事案といえ、相当長期の懲役刑は免れない。 以上のほか、被告人は、内省の深まりは不十分との感を否めないものの、本件両事件につき犯罪の成立自体は争わず、被害者らに対する謝罪の言葉を述べるなどして反省の態度を示したこと、兄が公判廷で被告人のために証言しており、被告人の更生を願う家族がいることなどの一般情状も考慮し、主文の刑を定めた。 (求刑懲役13年) - 6 -令和6年9月26日東京地方裁判所立川支部刑事第3部 裁判 を願う家族がいることなどの一般情状も考慮し、主文の刑を定めた。 主文 (求刑懲役13年) 理由 令和6年9月26日東京地方裁判所立川支部刑事第3部 裁判長裁判官中島経太 裁判官酒井孝之 裁判官中野彩華

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