- 1 - 主文 1 1 審原告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。 2 1審被告は、1審原告に対し、94億2638万9260円及びこれに対する令和2年2月8日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 1審原告のその余の請求を棄却する。 4 1審被告の控訴を棄却する。 5 訴訟費用は第1、2審を通じて、これを9分し、その1を1審原告の、その余を1審被告の負担とする。 6 この判決第2項は、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 1審原告⑴ 原判決中1審原告の敗訴部分を取り消す。 ⑵ 1審被告は、1審原告に対し、49億8732万2540円及びこれに対する平成29年2月16日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 1審被告⑴ 原判決中1審被告の敗訴部分を取り消す。 ⑵ 上記取消しに係る1審原告の請求を棄却する。 第2 事案の概要(略語は、特に断りのない限り、原判決の例による。以下同じ。) 1 本件は、1審原告が、1審被告との間で、段ボール等の再生資源を継続的に1審被告に売却する契約を締結していたところ、1審被告の従業員が1審原告の物流倉庫の端材室において段ボールの回収運搬作業を開始する際、端材室に大量の段ボールが堆積していることを認識しながらフォークリフトを繰り返し前進ないし後退させるなどした結果、火災を発生させたとして、1審被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として、損害賠償金150億8230万5773円の一部である101億0591万6808円及びこれに対する主位的請求については- 2 -債務不履行の日である平成29年2月16日から支払済みまで商事法定利率年6分(平成29年法律第45号による改正前の商 である101億0591万6808円及びこれに対する主位的請求については- 2 -債務不履行の日である平成29年2月16日から支払済みまで商事法定利率年6分(平成29年法律第45号による改正前の商法514条所定の利率。以下同じ。)の、予備的請求については不法行為の日である同日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の各割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は、1審原告の請求について、51億1859万4268円及びこれに対する平成29年2月16日から支払済みまで年6分の割合による金員の支払を1審被告に命じる限度で請求を認容した。1審原告及び1審被告はいずれも、それぞれの敗訴部分に不服があるとして控訴した。 2 前提事実、争点及び当事者の主張は、次のとおり原判決を補正し、後記3のとおり当審における1審被告の主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の第2の2及び3に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決別紙【損害一覧表】を本判決別紙【損害一覧表】に差し替え、原判決8頁16行目の「可動式のシュート」の次に「(以下「可動シュート」という。)」を加え、同行目から17行目にかけての「(以下「可動シュート等」という。)を削り、9頁1行目の「破断」を「短絡」に、6行目から7行目にかけての「可動シュート等が設けられていたが、本件火災により配線が破断したため、可動シュート等の起動信号が発信されず」を「可動シュートが設けられていたが、本件火災による何らかの原因で作動しなかった可動シュートが障害となって」に、11行目の「可動シュート等」を「可動シュート」に、25頁11行目の「損害拡大についての原告側の過失等の有無」を「過失相殺」に改める。 3 当審における1審被告の主張⑴ が障害となって」に、11行目の「可動シュート等」を「可動シュート」に、25頁11行目の「損害拡大についての原告側の過失等の有無」を「過失相殺」に改める。 3 当審における1審被告の主張⑴ 本件火災発生について、1審被告に過失や債務不履行はない。 ア火災原因判定書で示された本件火災発生の特殊な機序について、1審被告の従業員に予見可能性はなかった。現に、埼玉県警は、同人の業務上失火の刑事責任につき、同機種のフォークリフトで同様の火災事故が発生したことはなく、エンジ- 3 -ンルーム内に可燃物が入り込むことは予見できないとの理由で、立件しないとの終局判断に至っている。 イ本件契約に基づく売主の目的物引渡義務の完了時点が1審原告が段ボール箱をパッカー車に積み終えた時点であることを、1審原告は原審第3準備書面22頁21行目で認めている。したがって、段ボール箱をパッカー車に積み込むまでの作業は1審原告による目的物引渡義務の履行の過程であり、1審被告従業員は1審原告の履行補助者として同作業を行っていたものにすぎないから、同作業中に発生した損害は1審原告が負担すべきである。 ⑵ 本件端材室に係るもの以外の本件火災によって生じた損害(2階、3階への延焼に係る損害)は、以下のアないしエの1審原告側による消防関係法規違反の帰責事由に基づいて発生した拡大損害であるから、民法418条、722条2項の適用ないし類推適用により1審原告が負担すべきものである。1階の他の部屋には本件火災の被害が全く及ばず、かつ、鎮火後の本件端材室内には、天井、壁面、床面に焦げ跡が残っているものの、天井の崩落や壁面の剥がれなどの深刻な被害は見当たらないことなどに照らせば、1審原告側の当該帰責事由がなければ、本件火災の被害が本件端材室内にとどまったことは確実である に焦げ跡が残っているものの、天井の崩落や壁面の剥がれなどの深刻な被害は見当たらないことなどに照らせば、1審原告側の当該帰責事由がなければ、本件火災の被害が本件端材室内にとどまったことは確実である。 ア 1審原告の適時に火災発生を通報すべき義務の懈怠について消防法8条1項は、施設管理者は防火管理者を選任して防火管理上必要な業務を行わせることを定め、同法施行令3条の2第1、2項は、防火管理者は防火管理に係る消防計画を策定し、これに基づいて防火管理上必要な業務を行うべきことを定め、同法施行規則3条1項1号は、消防計画においては防火管理者が「防火管理上必要な教育」や「通報の訓練」を実施することを義務付け、火災等の災害が発生した場合における「通報連絡」等に関することを定めるべきことを定めている。そして、本件倉庫においては、消防計画により、1審原告の自衛消防隊組織に属する「通報連絡班」が直ちに火災発生情報を119番通報することになっていた。 本件火災においては、発生当日の午前9時7分頃、自動火災報知器が鳴動したに- 4 -もかかわらず、自衛消防隊本部隊員である1審原告の従業員が、誤作動と誤認して2回にわたって同報知器のスイッチを切ったため、他の従業員が火災発生を覚知するのが遅れ、同14分頃に通報するまで約7分間の遅れを生ずる結果となった。上記の通報遅れの原因は、本件倉庫では火災通報訓練が行われていなかったことにある。 本件端材室内の火災は到着した公設消防隊による約3分の消火作業で鎮圧されており、適時に通報が行われて約7分間の遅れがなかったならば、被害が本件端材室内にとどまったことは確実である。 イ 1審原告従業員による消火器具の不適切な使用について消防法17条1項は、政令で定める技術上の基準に従って、消防用設備等を設置、管理すべ 、被害が本件端材室内にとどまったことは確実である。 イ 1審原告従業員による消火器具の不適切な使用について消防法17条1項は、政令で定める技術上の基準に従って、消防用設備等を設置、管理すべきことを定め、同法施行令3条の2第1、2項、同法施行規則3条1項1号は、防火管理者は防火管理に係る消防計画を策定し、これに基づいて防火管理上必要な業務を行うべきことを定め、同法施行規則3条1項1号は、消防計画においては防火管理者が「防火管理上必要な教育」や「消火の訓練」を実施することを義務付け、火災等の災害が発生した場合における「消火活動」等に関することを定めるべきことを定めている。 本件火災については、携帯型消火器による消火作業が功を奏しなかったため、1審原告の自衛消防隊本部隊員の指示で、同従業員らが屋外消火栓設備による消火作業を実施しようとしたものの、消火訓練が実施されていなかったため、同従業員の起動ボタンを押し忘れる(又は起動ボタンを押すべきことを知らない)という重過失により、所定の水量及び水圧が得られず、優に5分以上、火勢拡大を放置する結果となった(午前9時14分頃、1審原告の従業員が最寄りの屋外消火栓からホースを延伸してバルブを開放してから、公設消防が本件倉庫に到着した同21分までの間、無意味な時間が経過した。)。 屋外消火栓が適切に使用されたならば、被害が本件端材室内にとどまったことが確実である。 - 5 -ウ防火シャッターの閉鎖障害と防火区画の不成立について建築基準法21条2項は、本件倉庫のような大規模建築物の主要構造部について、原則として同法2条9号の2イに掲げる基準に適合するものであることを求めているところ、同法施行令112条は、一定の面積毎に防火区画を設ける面積区画(1項)や、階段、吹き抜け等に適用される竪穴 いて、原則として同法2条9号の2イに掲げる基準に適合するものであることを求めているところ、同法施行令112条は、一定の面積毎に防火区画を設ける面積区画(1項)や、階段、吹き抜け等に適用される竪穴区画(10項)等について定めている。 これらの防火区画は、閉鎖空間として形成されるのが原則であるが、常に開放されている構造である場合には、火災発生時に煙、熱感知器や温度ヒューズによって自動的に閉鎖空間となることが求められている(旧18項[現19項]1、2号)。 そして、閉鎖空間を形成する防火シャッターは、建築基準法施行令112条1項本文、旧18項(現19項)1号、112条1項2号、旧18項(現19項)2号により、特定防火設備として、通常の火災に対し、60分の遮炎能力を有することが要求されている。また、消防法8条1項、同法施行令3条の2第1、2項、同法施行規則3条1項は、当該建築物の防火管理者に対し、防火対象物の消防用設備や防火上必要な構造及び設備の維持管理その他防火管理上必要な業務を行うことを義務付けている。 以上の規定は、火災の原因がどのようなものであるかを問わず、所有者や防火管理者に対し、防火シャッター等による閉鎖空間(防火区画)の形成により、火災の延焼を阻止し、被害の拡大を抑制する法的義務を課するものである。効率化を優先する1審原告は、日頃から消防関係法規を無視し、日常的な点検、改善を怠っていた。そのような1審原告の法令無視の姿勢が下記①ないし③の事態を招き、本来は本件端材室内でとどまったはずの火災が大火となって、1審原告に拡大損害が生じることとなった。 ① 本件端材室の天井に穿たれた開口部の階上に設置された本件西ハト小屋には、東西の2面に防火シャッターが設置され、その天井に設置された光電アナログ式スポット型感知器(煙感知器。一般的に、 なった。 ① 本件端材室の天井に穿たれた開口部の階上に設置された本件西ハト小屋には、東西の2面に防火シャッターが設置され、その天井に設置された光電アナログ式スポット型感知器(煙感知器。一般的に、熱感知器よりも火災感知について鋭敏とされている。)によって火災を感知すると、自動的に閉鎖し、竪穴防火区画が成- 6 -立する構造となっていた。しかるに、本件火災では、熱感知器である火災警報装置が鳴動したにもかかわらず、火災による配線の断線により、上記煙感知器からの信号が受信機に送られず、西側及び東側防火シャッターのいずれも作動しなかったため、本件端材室入口から上記開口部への空気の通り道ができて、2階への延焼拡大を阻止できなかった。 ② 本件端材室の直上の区画(西ハト小屋を含む2F‐7E区画)にも、東面に1枚、南面に3枚の防火シャッターが設置されていたところ、これらは全て作動したものの、可動シュートを起動させる信号を送信する配線のどこかで断線が生じ、東面1面と南面1枚において可動シュートによる閉鎖障害が生じたため、防火区画が形成されず、他の2階各区画への延焼拡大を阻止できなかった。 ③ 2階、3階の防火シャッター133か所のうち、不作動が61か所、コンベア及び物品等による閉鎖障害が23か所、不明4か所というように、約60パーセントの防火シャッターが正常に作動しておらず、これらが相まって、2階、3階への延焼拡大に決定的な役割を果たした。 なお、物品等による防火シャッターの閉鎖障害については、本件火災以前に行われた消防定期点検によって要改善箇所が指摘され、「速やかに改修」すべきとの改善勧告、指導が行われたにもかかわらず、次の定期点検では、さらに要改善箇所が増加していたものである。 エ危険物の違法保管について消防法10条1項本文は、同 れ、「速やかに改修」すべきとの改善勧告、指導が行われたにもかかわらず、次の定期点検では、さらに要改善箇所が増加していたものである。 エ危険物の違法保管について消防法10条1項本文は、同法9条の4で定める指定数量以上の危険物(同2条7号、別表第1)を所定の貯蔵所以外の場所で貯蔵等する行為を禁止し、同41条1項3号は、違反した者に対して1年以上の懲役又は100万円以上の罰金に処する旨定め、さらに同45条2号は、法人に対する両罰規定を定めている。 本件倉庫の管理を担当していた1審原告の子会社であるアスクル・ロジスト及びその従業員(物流センター長)の男性は、上記法令に違反して、所定の指定数量の約5倍(286品目、約1万2000点)もの危険物を本件倉庫内に保管していた。 - 7 -これらの危険物が、爆発的燃焼を起こして、延焼拡大を促進させるとともに、消火作業を実施するについて著しい障害となり、本件火災による損害拡大を促進した。 ⑶ 1審原告の主張する損害については、確実な証拠が存在せず、認めることができない。 1審原告は、その主張に係る損害の大部分につき、客観的な原資料を提出することなく、1審原告自身が内部的に作成した二次資料をもって立証の柱としている。 しかしながら、原資料を提出できないやむを得ない事情が存する場合はともかくとして、その提出が可能であるにもかかわらず提出しないことが許されるのであれば、裁判所や相手方としてはそれが真実発生した損害、費用であるか否かを検証することができず、単なる主張でもって立証に代える結果となり、不当である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、1審原告の請求は、94億2638万9260円及びこれに対する令和2年2月8日から支払済みまで年6分の割合による金員の支払を求める限度で認容し、その余を 。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、1審原告の請求は、94億2638万9260円及びこれに対する令和2年2月8日から支払済みまで年6分の割合による金員の支払を求める限度で認容し、その余を棄却すべきと判断するものであり、その理由は、後記2のとおり原判決の補正をするほかは、原判決の「事実及び理由」中の第3の1ないし6に記載のとおりである(当審における当事者の主張に対する判断を含む。)から、これを引用する。ただし、原判決別紙【損害一覧表】を本判決別紙【損害一覧表】に差し替える。 2 原判決の補正⑴ 原判決28頁1行目冒頭から29頁15行目末尾までを次のとおり改める。 「 1 認定事実前提事実並びに証拠及び弁論の全趣旨によれば認められる事実は、以下のとおりである。 ⑴ 本件契約の締結1審原告は、平成27年11月21日、1審被告との間で、段ボール等の再生資源を継続的に1審被告に売却する契約(本件契約)を締結した。本件契約に係る契- 8 -約書には、以下の定めがある。(甲4)第3条(個別売買契約)1審原告及び1審被告は、1審原告が1審被告に売り渡す再生資源の引渡日時、引渡方法等について、あらかじめ協議の上決定する。 1審原告は、上記により定められた引渡日時、方法等に従い、本件倉庫において、再生資源を1審被告又は1審被告の指定する配送業者等に引き渡す。 第9条(損害賠償)1審原告及び1審被告は、本件契約に違反、若しくは故意又は過失により相手方又は第三者に損害を与えた場合、相手方に対してその一切の損害を賠償し、第三者に対してその一切の損害を賠償すると共に相手方を免責することとする。 ⑵ 本件契約に基づく段ボールの引渡し本件契約締結後の平成28年7月頃以降、1審被告の従業員は、フォークリフトを用いて本件 者に対してその一切の損害を賠償すると共に相手方を免責することとする。 ⑵ 本件契約に基づく段ボールの引渡し本件契約締結後の平成28年7月頃以降、1審被告の従業員は、フォークリフトを用いて本件端材室に集積された段ボールを潰して、回収し、本件端材室外に停車しているパッカー車に積み込んで搬出する方法により、本件契約に基づく段ボールの引渡しを受けていた。(甲15の1、弁論の全趣旨)⑶ 本件倉庫の構造ア本件倉庫は、地上3階建ての鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造の物流倉庫であり、延べ面積は71891.59平方メートル(1階床面積は27183.17平方メートル、2階床面積は23908.06平方メートル、3階床面積は20777.67平方メートル)である。本件倉庫の内部には日用品等の多種多様な商品が大量に保管され、商品や段ボール等を運ぶためのコンベヤが多数設置されており、1審原告の従業員らが商品の搬入、仕分け、発送等の作業を恒常的に行っていた。 (甲15の1)イ本件倉庫で生じた段ボールは、本件倉庫の各所から、本件端材室の真上に位置する本件倉庫2階の本件西ハト小屋にコンベヤで運ばれ、本件端材室の天井開口部から、同室に落とされて集積されていた。(甲15の1、乙6の1、2、弁論の- 9 -全趣旨)⑷ 本件火災の発火の経緯等ア 1審被告の従業員は、平成29年2月16日午前9時頃、段ボールが散乱する本件端材室において、同室内に置かれていたフォークリフト(以下「本件フォークリフト」という。)の運転を開始し、段ボールの回収搬出に係る作業場所を確保するために、本件フォークリフトの向きを変えながら、前進と後退を繰り返し、本件端材室の南東側に山になっている段ボールに段ボールを押し込みながら、パッカー車に段ボールを積む作業を行っていた。(甲15の1、 ために、本件フォークリフトの向きを変えながら、前進と後退を繰り返し、本件端材室の南東側に山になっている段ボールに段ボールを押し込みながら、パッカー車に段ボールを積む作業を行っていた。(甲15の1、乙8ないし10)同日朝、本件端材室には、その天井開口部直下が頂点となる形で段ボールが堆積しており、その高さは1.5mないし3mであった。(甲6、甲15の1、乙6の1、2)上記従業員は、同日午前9時5分頃、上記作業中、本件フォークリフトの車両が北側に向いた際に、焦げ臭い匂いを感じて振り返ると、その右後方に床から約50cmの高さの炎が上がっているのを認めた。同人は、着用していた防寒用のジャンパーを火元に被せて消火を試みたが、火勢が強く消火できなかった。(甲15の1、乙8ないし10)イ本件火災について消防職員が作成した平成29年12月27日付けの火災原因判定書(以下「本件火災原因判定書」という。)には、検証実験の結果を踏まえて、本件フォークリフトのエンジン始動の数分後にその後方に位置する排気管が高温になり、これに段ボール等の可燃物が接触すれば着火する可能性は十分に考えられるとの意見が記載され、本件火災の原因について、フォークリフトのエンジンルームに混入した段ボール等がフォークリフトの排気管と接触して出火し、その燃焼物が堆積する段ボールへ延焼したものと判定することが記載されている。本件フォークリフトの排気管は、車両の下部後方に取り付けられている。(甲6、21)ウその製造者が作成した本件フォークリフトの取扱書には、取扱いの注意として、「可燃物付近で車両を使用したり、止めたりしないでください。」、「車両後- 10 -方や排気管付近に燃えやすいものがあると、火災になるおそれがあります。」、「燃えやすいものの付近や上に車両を乗り入れたり、駐 近で車両を使用したり、止めたりしないでください。」、「車両後- 10 -方や排気管付近に燃えやすいものがあると、火災になるおそれがあります。」、「燃えやすいものの付近や上に車両を乗り入れたり、駐車したりしない。」、「駐車する場合は、排気管・マフラーの後方に燃えやすいものを置かない。」などの記載がある。(甲7)⑸ 発火後の消火活動等ア平成29年2月16日午前9時7分頃、本件端材室の熱感知器が作動して本件倉庫の火災報知設備が鳴動したが、1審原告の従業員は、誤作動によるものと誤認して、火災報知設備のスイッチを切り、その後、火災報知設備が再度鳴動したが、再度そのスイッチを切った。(乙9、10)イ本件フォークリフトを運転していた1審被告の従業員は、ジャンパーを被せての消火を試みた後、本件端材室の外から消火器を持ち込んで消火作業を行った。 その後、ガスボンベを積んでいる本件フォークリフトに火が燃え移ると危険であると考えて、本件フォークリフトを本件端材室の外に出し、その際、本件端材室の外で見かけた1審原告の従業員らに火事の発生を告げた。その他にも火災報知設備の鳴動を聞き、本件端材室からの煙を視認したことにより本件端材室に臨場した1審原告の従業員らが、上記1審被告の従業員とともに、消火器を用いて消火を試みたが、火勢が強く消火できなかった。(甲15の1、乙9、10)ウ消火器で消火を試みていた1審原告の従業員の一人が、同日午前9時14分、携帯電話で119番通報を行った。(甲15の1)エ公設消防の消防隊(以下単に「消防隊」という。)が、同日午前9時21分頃、本件端材室に到着し、消火作業を開始した。その到着時、本件端材室内は一面が炎に包まれた状態であったが、その火勢は、約3分で鎮圧された。(甲15の1)オ消防隊が到着するまでの間、 前9時21分頃、本件端材室に到着し、消火作業を開始した。その到着時、本件端材室内は一面が炎に包まれた状態であったが、その火勢は、約3分で鎮圧された。(甲15の1)オ消防隊が到着するまでの間、1審原告の従業員2名は、最寄りの屋外消火栓2基からホースを延伸し、端材室内にノズルを向け、屋外消火栓のバルブを開放したが、ポンプの起動ボタンを押さなかったために、ポンプが起動せず、所定の水圧、水量が得られず、初期消火に十分な放水量(350L/分以上)が得られなかった。 - 11 -(甲15の1)⑹ 本件倉庫2、3階への延焼ア同日午前9時8分頃、本件倉庫の2階にいた1審原告の従業員が、焦げ臭い匂いを感じ、その後まもなく、本件端材室の天井開口部のある本件西ハト小屋から火炎が出ていることを確認した。上記火炎は、本件端材室の天井開口部付近の可燃物を燃焼させた後、2階水平方向へ延焼していった。(甲15の1)イ同日午前9時29分、本件端材室の天井開口部の東側にある1階と2階を結ぶコンベア開口部から2階に進入した消防隊は、その付近の火勢をみて、火炎と熱気のために接近不能と判断した。本件端材室の天井開口部付近の本件西ハト小屋の柱は、強い火炎を受け爆裂した。(甲15の1)同日午前10時頃には、本件倉庫の外から見て、2階の北側窓から広く火炎が確認できるまで延焼が進んでいた。(甲15の1)ウ同日午後1時頃、本件倉庫の3階北東側で燃焼が始まり、この付近を起点として、南側に向かって火災が広がった。その翌日には、北側から南側へ3分の1程度の範囲で延焼し、さらにその翌日も、南側に向かって延焼が継続した。(甲15の1)⑺ 本件倉庫の防火設備等ア本件倉庫は、建築基準法上の主要構造部を耐火構造とした耐火建築物である。 (甲6、弁論の全趣旨)イ本 にその翌日も、南側に向かって延焼が継続した。(甲15の1)⑺ 本件倉庫の防火設備等ア本件倉庫は、建築基準法上の主要構造部を耐火構造とした耐火建築物である。 (甲6、弁論の全趣旨)イ本件西ハト小屋には東側と西側に防火シャッターが設置されていたが、本件火災の際、作動しなかった。これらの防火シャッターは、建築基準法上設置が義務付けられていたものではなかった。(甲15の1、甲73)ウ本件西ハト小屋を含む2F-7E区画の防火区画と他の防火区画との間には4か所に防火シャッターが設置されており、本件火災の際、1か所は正常に作動してシャッターが閉鎖したが、2か所は、防火シャッターの降下位置をまたいで設置されていたコンベアに設置され、防火シャッターの降下信号により作動して防火シ- 12 -ャッターの閉鎖を妨げないように設計されていた可動シュートが本件火災による何らかの原因で作動しなかったことにより、この作動しなかった可動シュートが障害となって閉鎖せず、1か所は、防火シャッターの降下位置に置かれていた物品が障害となって閉鎖しなかった。これらの防火シャッターは、建築基準法上設置が義務付けられていたものであった。(甲15の1、弁論の全趣旨)⑻ 1審被告の従業員の刑事処分さいたま県警は、本件火災の際に本件フォークリフトを運転していた1審被告の従業員を業務上失火容疑で捜査していたが、平成29年7月29日頃、立件見送りを決めた。(乙2の1)⑼ アスクル・ロジストの従業員の消防法違反事件アさいたま地方検察庁は、平成29年11月14日、アスクル・ロジスト及びその従業員が、本件火災当時、アスクル・ロジストの業務に関し、本件倉庫において、指定数量以上の危険物を貯蔵したという消防法違反被疑事件について、アスクル・ロジスト及び当該従業員を不起 ・ロジスト及びその従業員が、本件火災当時、アスクル・ロジストの業務に関し、本件倉庫において、指定数量以上の危険物を貯蔵したという消防法違反被疑事件について、アスクル・ロジスト及び当該従業員を不起訴処分とし、報道機関に対し、その理由について、アスクル・ロジストが組織的に効果的な再発防止策をきちんと講じたことなどを考慮したなどと説明した。(乙2の2、乙12、38の1、2、調査嘱託の結果)1審原告は、同日、報道機関に対し、上記不起訴処分について、「書類送検される事態に至ったことを厳粛に受け止めるとともに、管理体制の改善とコンプライアンスに関する管理監督の強化を徹底したい。今後の信頼回復に全力で取り組んでいきたい。」とコメントした。(乙12、37の2)イ本件火災原因判定書では、アスクル・ロジストによる本件倉庫における危険物の貯蔵に関して、「倉庫内に保管された大量の危険物が延焼拡大を促進させる要因になったと考えられる。」との見解が記載されている。(甲6) 2 争点1(1審被告の債務不履行ないし不法行為の成否)について⑴ 認定事実⑵、⑷ア、イによれば、1審被告の従業員が、本件火災当日、本件契約に基づく段ボールの引渡しを受けるために、段ボールの散乱している本件端材- 13 -室内において、本件フォークリフトを運転し、その前進と後退を繰り返したことにより、エンジン始動後まもなくして高温となっていた同車両の排気管と段ボールが接触して発火し、これにより本件火災が発生したものと認められる。そして、認定事実⑷ウによれば、上記の発火について、上記従業員には過失(予見可能性)があったと認められる。 ⑵ 1審被告は、上記従業員が本件フォークリフトのエンジンルーム内に段ボール等の可燃物が入り込み排気管と接触して着火することを予見しえなかったと主張する 過失(予見可能性)があったと認められる。 ⑵ 1審被告は、上記従業員が本件フォークリフトのエンジンルーム内に段ボール等の可燃物が入り込み排気管と接触して着火することを予見しえなかったと主張するが、発火の細かい機序までの認識ができなかったとしても、因果関係の主要部分(車両後方や排気管が高温になることによりその付近にある燃えやすい物が燃えること)についての認識可能性があれば、予見可能性に欠けることはないというべきであるから、1審被告の上記主張は採用できない。また、本件火災について上記従業員の刑事処分が見送られたこと(認定事実⑻)も、その程度が重いものではなかったことを示唆するものであるとしても、前記過失の認定を左右するものではない。 また、1審被告は、段ボールをパッカー車に積み込むまでの作業は1審原告による目的物引渡義務の履行の過程であり、1審被告従業員は1審原告の履行補助者として同作業を行っていたものであるから、同作業中に発生した損害は1審原告が負うべきと主張する。 しかしながら、本件契約上、段ボールの引渡場所は1審原告の本件倉庫と合意されていることから(本件契約3条2項)、その引渡債務はいわゆる取立債務であり、債権者の協力を得て初めて実現できる債務であると解されるところ、1審原告としては、基本的に、履行の準備をしたことを通知し、その受領を催告すれば、履行の提供として足りるのであって(民法493条ただし書)、上記従業員が本件火災当日に本件端材室で行った作業は、1審被告による受領行為(協力行為)と位置付けられるものと解され、これを上記従業員が1審原告の履行補助者として行うものと理解することはできないから、1審被告の上記主張は当たらない。これに関連して、- 14 -1審被告は、1審原告の目的物引渡義務の完了時点が段ボールをパッカー車 が1審原告の履行補助者として行うものと理解することはできないから、1審被告の上記主張は当たらない。これに関連して、- 14 -1審被告は、1審原告の目的物引渡義務の完了時点が段ボールをパッカー車に積み終えた時点であることを1審原告自身が原審で陳述した第3準備書面で認めていることを指摘するが、1審原告は、同書面においては段ボールをパッカー車に積み終えた時点で引渡しが完了する旨を主張しているだけであって、同時点までの間は1審原告のみが一方的に義務を負うことを認めているものではないから、上記指摘も当たらない。 ⑶ 1審被告は、火災発生通報義務の懈怠、消火器具の不適切な使用、防火シャッターの閉鎖障害、危険物の違法保管を1審原告側の帰責事由とした上で、本件端材室に係るもの以外の本件火災によって生じた損害は、これらの1審原告側の帰責事由に基づいて発生した拡大損害であるから、1審原告が全て負担すべきものであると主張する。しかしながら、以下のアないしエのとおり、上記主張は採用できない。 アまず、本件フォークリフトを運転していた1審被告の従業員が初めて発火に気付いたのが午前9時5分頃であり(認定事実⑷ア)、1審原告の従業員が119番通報を行ったのが午前9時14分であるところ(認定事実⑸ウ)、発火から119番通報まで約9分の時間を要している。本件倉庫の火災報知設備が鳴動したのが午前9時7分頃であり(認定事実⑸ア)、その時点以降は、本件フォークリフトの運転者以外の者であっても119番通報できた可能性はあるところ、そこから1審原告の従業員により119番通報がされるまでには約7分の時間を要している。以上の経過をみると、1審原告の従業員が、火災報知設備の鳴動を誤作動によるものと誤認して、2回にわたって同設備のスイッチを切ったこと(認定事実⑸ア)は、 報がされるまでには約7分の時間を要している。以上の経過をみると、1審原告の従業員が、火災報知設備の鳴動を誤作動によるものと誤認して、2回にわたって同設備のスイッチを切ったこと(認定事実⑸ア)は、この約7分間の遅れの大きな原因の一つであると認めるのが相当であるし、本件倉庫の定期的な消防訓練において通報訓練が行われていなかったことも、上記原因の一つであるといえる。 しかしながら、火災発生の際、最初に発火が確認されてから間をおかずに119番通報がなされることが通常であるとはいえず、本件において119番通報がなさ- 15 -れたのが最初に床から約50cm程度の高さの発火が確認されてから約9分経過後であることが、本件フォークリフトを運転する1審被告の従業員の過失による本件の発火と2、3階への延焼との間の因果関係を断絶させるような、通常の火災ではありえないような異常な経過であったとまではいえない。 イまた、1審被告が、1審原告が拡大損害を全て負担すべき理由として主張する、消防隊が本件倉庫に到着するまでの間に1審原告の従業員らが屋外消火栓を用いて消火活動を行った際にポンプの起動ボタンを押さず所定の放水量が得られなかったとの事情(認定事実⑸オ)についても、これが押されて所定の放水量が得られていた場合と比較すれば、火勢の拡大に寄与したものといえるとしても、消防隊が到着するまでの間に屋外消火栓を用いた消火活動が正しく行われなかったことが、通常の火災ではあり得ないような異常な経過であったということはできないし、実際に屋外消火栓を用いた消火活動をしていた時間が何分間であったか、仮に起動ボタンを押して正しく消火活動を行っていれば燃焼部分に向けてどれだけ多くの量の放水ができたのか、当該消火活動着手時の火勢は屋外消火栓から正常な放水ができていれば鎮火でき が何分間であったか、仮に起動ボタンを押して正しく消火活動を行っていれば燃焼部分に向けてどれだけ多くの量の放水ができたのか、当該消火活動着手時の火勢は屋外消火栓から正常な放水ができていれば鎮火できる程度のものであったのかなどの詳細については不明であるから、結局、上記の事情も1審被告の従業員の過失による本件の発火と2、3階への延焼との間の因果関係を否定するには足りない。 ウ本件西ハト小屋に設置されていた防火シャッターは、本件火災の際に作動せず、これによる閉鎖空間が形成されることはなかったところ、同防火シャッターが通常の火災による加熱が加えられた場合に加熱後一時間遮炎する性能を有するものであったこと(乙29)、実際に消防隊が到着して消火を開始してから本件端材室は3分で鎮火したことを踏まえると、仮にこれが正常に作動して、本件西ハト小屋に閉鎖空間が形成されていれば、2階への延焼がなかった可能性があることは否定できない。 しかしながら、当該防火シャッターが作動しなかった原因は、本件火災による何らかの原因で熱又は煙の感知器の情報をシャッター用中継器等へ伝送する配線が短- 16 -絡したことにあり(甲15の1・42頁)、これについては1審原告の帰責事由によるものとは認められない上に、他の防火区画毎に設置された防火シャッターとは違って、本件西ハト小屋の防火シャッターは法令上設置が義務付けられていたものでなかったこと(建築基準法施行令112条11項ただし書1号)に照らすと、当該防火シャッターの正常な作動を所与の前提として、1審被告の従業員の過失による本件の発火と2、3階への延焼との間の因果関係を否定することはできない。 また、本件火災時、2F-7E区画の4か所ある防火シャッターのうち、正常に作動してシャッターが閉鎖したものが1か所、本件火災に 件の発火と2、3階への延焼との間の因果関係を否定することはできない。 また、本件火災時、2F-7E区画の4か所ある防火シャッターのうち、正常に作動してシャッターが閉鎖したものが1か所、本件火災による何らかの原因で作動しなかった前記可動シュートが障害となって閉鎖しなかった箇所が2か所、防火シャッターの降下位置に置かれていた物品が障害となって閉鎖しなかった箇所が1か所であったところ(認定事実⑺ウ)、まず、可動シュートが障害になって閉鎖できなかった2か所については、その原因が本件火災に起因するものであるから、これを1審原告の落ち度と評価することはできない。次に、防火シャッターの降下位置に物品が置かれていて閉鎖障害が生じた1か所については、1審原告に落ち度があることは否定できないが、同区画の4か所の防火シャッターが全て正常に作動しなければ閉鎖空間は形成されず同区画外への延焼は避けられないのであるから、可動シュートの不作動により防火シャッターが閉鎖できなかった2か所が存する以上、この1審原告の落ち度を理由として、1審被告の従業員の過失による本件の発火と2、3階への延焼との間の因果関係が否定されるものではない。 しかも、上記区画の防火シャッターは、法令上(建築基準法施行令112条1項)その設置が義務付けられていたものであり、通常の火災に対して1時間の遮炎性能を有し(建築基準法施行令112条1項、「特定防火設備の構造方法を定める件」第1の3。乙27、乙34の2)、遮炎により延焼を遅らせることができるものであるが、もともと延焼を完全に防ぎ続けることができるものではなく、一般に火炎が遮断されていても防火シャッターの外側の可燃物の存在等によっては輻射熱等によりその外側に延焼することがあり得ること(甲95)や、同区画の付近は午前9- 17 -時29分 ものではなく、一般に火炎が遮断されていても防火シャッターの外側の可燃物の存在等によっては輻射熱等によりその外側に延焼することがあり得ること(甲95)や、同区画の付近は午前9- 17 -時29分頃には既にこれを目視した消防隊が火炎と熱気で接近不能と判断する程の火勢であったこと(認定事実⑹イ)に照らすと、仮に同区画の防火シャッターが正常に作動して同区画に閉鎖空間が形成されていたとしても、同区画の外に延焼するより前に消防隊による消火によって鎮火させることができたということはできないのであって、同区画の防火シャッター全ての正常な作動を所与の前提として上記の因果関係を検討しても、これを否定することはできない。 また、1審被告は、いったん防火区画の設置を前提に建築確認が下りている以上、1審原告としては、その防火シャッターの設置が法令上義務付けられたものであるか否かにかかわらず、その防火機能を発揮するよう維持、管理する義務があるとし、本件では本件西ハト小屋の防火シャッターと2F-7E区画の防火シャッターの閉鎖障害という二重の義務違反の存在が明らかであるから、1審被告の行為とこれによる拡大損害の発生との因果関係はないとも主張する。 しかしながら、仮にそのような義務の存在を前提としても、本件西ハト小屋の防火シャッターの不作動及び2F-7E区画の防火シャッターの閉鎖ができない原因となった可動シュートの不作動のいずれについても、本件火災後の検討においてその詳しい原因は不明とされており(甲15の1)、これらの不作動の結果のみから1審原告に具体的な義務違反行為があったことを認めることはできない。したがって、上記主張は、その前提を欠くものであり、採用できない。 エ認定事実⑼によれば、本件火災当時、本件倉庫において消防法に違反する指定数量以上の危険物が貯蔵 ったことを認めることはできない。したがって、上記主張は、その前提を欠くものであり、採用できない。 エ認定事実⑼によれば、本件火災当時、本件倉庫において消防法に違反する指定数量以上の危険物が貯蔵されており、これが本件火災の延焼に一定程度寄与した事実を推認することができる。しかしながら、これがなければ2、3階が延焼しなかったとは認められないから、1審被告の従業員の過失による本件の発火と2、3階の延焼との間の因果関係を否定する事情であるとはいえない。 ⑷ 以上によれば、1審被告は、本件契約9条に基づいて、本件建物の2、3階の延焼部分に係るものも含めて、本件火災によって生じた1審原告の損害を賠償する責任を負うものと認められる。」- 18 -⑵ 原判決29頁16行目の「2 争点2」を「3 争点2」に改め、30頁17行目の「一方、」を削り、22行目の「認められ、」から25行目末尾までを「認められるが、本件倉庫の敷地に改めて同規模の倉物流庫を建造するには110億円を超える多額の費用が見込まれ(甲37の1の1の取得価額合計参照)、その前提として本件倉庫の取り壊しも必要となるが、その取り壊しにも多額の費用が見込まれることに照らすと、本件倉庫を入庫出荷の拠点として物品の販売業を営んでいた1審原告にとって、本件倉庫の敷地上に物流倉庫を再建することが一義的に合理的であるとはいえず、1審原告が、本件倉庫の再建によって可能となるこれらの各固定資産の再利用のメリットを優先させることなく、本件火災によりその機能を失った本件倉庫及びその敷地を売却したことは、経済的にも何ら不合理な選択ではないこと、また、その売却の際に、本件倉庫及びその附属建物は価値ゼロとして評価されていること(甲37の1、2)に照らせば、本件倉庫の存在を前提としてしか機能しえないこれらの各固 何ら不合理な選択ではないこと、また、その売却の際に、本件倉庫及びその附属建物は価値ゼロとして評価されていること(甲37の1、2)に照らせば、本件倉庫の存在を前提としてしか機能しえないこれらの各固定資産の利用価値は、本件倉庫の焼損によって失われたものということができ、これらの各固定資産は、本件火災により、その経済的価値を喪失したものと認めることができる。そして、証拠(甲37の1の1ないし3、甲70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災の当時の上記各固定資産の経済的価値は、上記各「番号」に対応する各「損害額(円)」欄記載の金額を下回らないものと認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。」に改める。 ⑶ 原判決31頁19行目冒頭から24行目末尾までを次のとおり改める。 「証拠(甲25の3、甲35の3、甲36の174、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、1審原告は、本件倉庫及びその敷地等を第三者に売却し、その際、その媒介を株式会社ecoプロパティーズに依頼し、その媒介手数料として同社に同「別紙番号」3に対応する同「損害額(円)」欄記載の金員を支払ったことが認められる。本件倉庫を用いて流通業を営んでいた1審原告が本件火災によりその大部分の機能を失った本件倉庫及びその敷地を第三者に譲渡することは、普通に想定- 19 -される行為であり、本件倉庫を再建した場合にかかる費用等を考慮しても、経済的合理性に反するものではない。そして、不動産の譲渡にあたり不動産取引の専門業者に媒介を依頼することや、約定した場合に相当の媒介手数料が発生することも通常のことといえる。したがって、1審原告は、本件火災により、同「別紙番号」3に対応する同「損害額(円)」欄記載の損害を被ったものと認めら 頼することや、約定した場合に相当の媒介手数料が発生することも通常のことといえる。したがって、1審原告は、本件火災により、同「別紙番号」3に対応する同「損害額(円)」欄記載の損害を被ったものと認められる。」⑷ 原判決37頁1行目冒頭から6行目末尾までを次のとおり改める。 「証拠(甲25の7の1、2、甲36の173、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、1審原告はリース会社との間で太陽光発電設備に関するリース契約を締結して本件倉庫の屋上に同設備を設置していたところ、本件火災により同設備が使用不能となり、上記リース契約の約定損害金として同社に同「番号」1、2に対応する各「損害額(円)」欄記載の金員を支払ったことが認められるところ、建物を所有する企業がその建物の屋上に太陽光発電設備を設置して発電を行うことは特別なことではなく、同設備の設置に関してリース会社との間でリース契約を締結することも特別なこととはいえない。以上によれば、1審原告は、本件火災により、上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認められる。」⑸ 原判決38頁12行目冒頭から26行目末尾までを次のとおり改める。 「 オ同「損害区分」欄に「初期在庫等の移管費用」「横持ち費用」「返品センターの移管費用」「他センターでの臨時対応業務費用」「他センターの業務圧迫による臨時対応費用」「コピー用紙の入荷に係る追加費用」と記載のある損害について証拠(甲25の8、甲35の8の2の731、甲35の8の4ないし15、17ないし27、34ないし38、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、本件倉庫が出荷能力を失ったことから、1審原告は、本件倉庫に代わる新規倉庫を立ち上げて稼働させるまでの間、複数の暫定拠点を立ち上げて、それらの拠点において本件火災前に本件倉 よれば、本件火災により、本件倉庫が出荷能力を失ったことから、1審原告は、本件倉庫に代わる新規倉庫を立ち上げて稼働させるまでの間、複数の暫定拠点を立ち上げて、それらの拠点において本件火災前に本件倉庫で行っていた物流業務を行ったこと、1審原告は、それらの拠点を新たに立ち上げ、業務を移管し、当該拠点で業務を行うため- 20 -に、同「番号」2の731、811、同「番号」4ないし15、17ないし27、34ないし38に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を、本件倉庫で業務を継続する場合と比べて余分に支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 カ同「損害区分」欄に「本件物流倉庫の警備費用」「本件物流倉庫の物流業務が停止したことに伴う対応費用」と記載のある損害について証拠(甲25の8、甲35の8の2の507、甲35の8の39ないし43、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件倉庫は、本件火災により焼損し、外壁に穴が空き、防火設備も機能しなくなったことから、セキュリティ及び二次災害防止の観点から、本件火災後に24時間警備が必要になり、その警備費用として同「番号」39ないし43に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したこと、本件火災当時既に本件倉庫に向けて発送されていた荷物を受け取ることができず、その返品のための費用として同「番号」2の507に対応する「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 キ同「損害区分」欄に「現地事務所備品・設備費用」「従業員の残業宿泊費」と記載のある損害について証拠(甲25の8、甲35の8の2 額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 キ同「損害区分」欄に「現地事務所備品・設備費用」「従業員の残業宿泊費」と記載のある損害について証拠(甲25の8、甲35の8の28、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、1審原告は、消防との連携、廃棄物処理、崩落防止工事等の後処理業務を行わざるを得なくなったこと、しかし、本件火災により本件倉庫は焼損しており、1審原告がこれら業務を本件倉庫内で行うことはできなかったこと、そのため、1審原告は、本件倉庫の敷地のうち、火災廃棄物等の搬出・廃棄作業のために適当な場所に現地事務所を設置し、当該事務所において後処理業務を行ったこと、1審原告は、その業務を行うために、同「番号」2の6、28、36、65、87、167、168、209、230、232、233、237、250、25- 21 -1、253、323ないし325、327、393、401、416、436、442、509、526、596ないし599、634、682、717、725、729、830、同「番号」28に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 ク同「損害区分」欄に「環境関連費用」と記載のある損害について証拠(甲25の8、甲35の8の33、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、本件倉庫の周辺には、炎や煙、煤等が蔓延したところ、1審原告は、本件倉庫の周辺環境に汚染がないかの調査を実施したこと、1審原告は、その調査を行うために、同「番号」2の618ないし620、同「番号」33に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、 ないかの調査を実施したこと、1審原告は、その調査を行うために、同「番号」2の618ないし620、同「番号」33に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 ケ同「損害区分」欄に「近隣住民の医療関連費用」「近隣住民及び近隣企業の物損にかかる賠償金、清掃費、営業補償等」と記載のある損害について証拠(甲25の8、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、近隣住民が避難した際にかかった費用及び近隣住民が本件火災によって発生した煤により被った被害についての賠償金として、同「番号」2の683 に対応する「損害額(円)」欄記載の金員を支払ったことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 コ同「損害区分」欄に「移動費・交通費」と記載のある損害について証拠(甲25の8、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、1審原告従業員が現地対応のために、本件倉庫及びその近隣に赴き、本件物流倉庫の管理や近隣住民への対応等の業務を行うことになったこと、1審原告らが、そのような業務を行うための移動費・交通費として、同「番号」2の2ないし5、7、- 22 -8、11、13、18ないし27、29、32、33、37、38、40ないし45、47ないし56、59、60、62、63、66ないし85、88ないし94、96、100ないし106、108、109、112ないし118、120ないし127、129ないし138、140ないし142、144、145、148ないし151、153、154、156ないし166、169ないし177、180ないし1 109、112ないし118、120ないし127、129ないし138、140ないし142、144、145、148ないし151、153、154、156ないし166、169ないし177、180ないし183、188ないし197、200、203、205、206、208、210、212ないし220、222ないし229、231、234ないし236、239ないし245、252、254ないし257、260ないし267、271、272、274ないし278、281、283ないし293、295、297ないし302、304ないし309、311、314ないし322、328、331ないし333、335ないし337、340、341、351、352、354ないし373、376、378、379、383ないし392、394ないし399、402、403、405ないし411、413ないし415、419、421、424ないし428、430ないし435、437ないし439、443ないし452、454ないし457、459ないし477、481、483ないし487、489ないし504、506、512ないし521、523ないし525、530ないし534、540ないし542、545ないし547、552、558、560、563ないし565、567ないし569、573、574、601ないし605、608、611、613、624ないし632、640、676、684、693ないし697、713ないし715、718、723、733、734、737ないし740、743ないし758、769、774ないし778、783、784、789、791ないし794、797ないし800、807、808、825、833ないし836、841に対応する「損害額(円)」欄記載の費用を支払ったことが認められるから、1審原告は 783、784、789、791ないし794、797ないし800、807、808、825、833ないし836、841に対応する「損害額(円)」欄記載の費用を支払ったことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 サその余の損害について- 23 -1審原告が主張する別紙「別紙番号」8に係るその余の損害については、本件火災と相当因果関係のある損害の発生を認めるには足りない。」⑹ 原判決39頁18行目冒頭から26行目末尾までを次のとおり改める。 「 ウ同「損害区分」欄に「近隣住民及び近隣企業の物損にかかる賠償金、清掃費、営業補償等」と記載のある損害について証拠(甲25の9、甲35の9の45ないし47、49ないし77、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、本件倉庫の周辺には、炎や煙、煤等が蔓延し、本件倉庫の近隣住民及び近隣企業の建物の外壁、屋根、内装、エアコン等の設備及び車両の清掃が必要になったこと、本件火災により、近隣に炎や煙、煤等が蔓延したことから、本件倉庫の近隣企業は、その鎮火までその営業を行うことが困難になったこと、1審原告は、それらの清掃費用(清掃による原状回復が不可能なものについては賠償費用)又は逸失利益等の賠償費用として、同「番号」23、24、45ないし47、49ないし77に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 エ同「損害区分」欄に「近隣住民の医療関連費用」と記載のある損害について証拠(甲25の9、甲35の9の16、17、25、26、29、32、33、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば である。 エ同「損害区分」欄に「近隣住民の医療関連費用」と記載のある損害について証拠(甲25の9、甲35の9の16、17、25、26、29、32、33、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、近隣住民は、火災の黒煙により、のどの痛み、吐き気、頭痛を訴え、そのような健康被害について医師の治療や検診を受ける必要が生じたこと、1審原告は、その治療又は検診のために、1審原告は、同「番号」16ないし20、25、26、29、31ないし33、35に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 オ同「損害区分」欄に「環境関連費用」と記載のある損害について証拠(甲25の9、甲35の9の79、80、83、甲39、70)及び弁論の- 24 -全趣旨によれば、本件火災により、近隣住民は、火災の黒煙により、汚染被害や健康被害を受けたこと、本件火災後、1審原告は、本件倉庫が所在するa 町から、近隣住民に対し環境被害に関し適切な対応や説明を行うよう要請されたこと、1審原告は、その要請を受けて、近隣住民に対する対応を検討するために本件火災現場を鑑定した上で、本件火災鎮火後の大気及び水質に関する調査を実施し、その結果に応じて、追加調査を行ったこと、それらの調査等を行うために、1審原告は、同「番号」78ないし80、83に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 カその余の損害について1審原告が主張する別紙「別紙番号」9に係るその余の損害については、本件火災と相当因果関係のある損害の発生 (円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 カその余の損害について1審原告が主張する別紙「別紙番号」9に係るその余の損害については、本件火災と相当因果関係のある損害の発生を認めるには足りない。」⑺ 原判決40頁11行目冒頭から19行目末尾までを次のとおり改める。 「 イ同「損害区分」欄に「派遣・委託会社に対する解約料及び補償費用」「ASKULLOGIST株式会社の休業補償」と記載のある損害について証拠(甲25の10、甲35の10の1ないし9、42ないし46、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、1審原告は、本件火災当時、アスクル・ロジストとの間で、本件倉庫における商品取扱業務を同社に委託する旨の契約を締結していたこと、同社は他三社との間で再委託契約を締結していたこと、これらの契約はいずれも継続的契約として取り決められていたこと、本件火災が原因で本件倉庫からの配送業務が停止されたことにより、再委託先が契約上の業務を行うことができなくなり、再委託先は他の収入を得る機会を一定期間失ったため、1審原告がその補償をする必要が生じたこと、1審原告は、その補償費用として、同「番号」1ないし4、8に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したこと、本件火災当時、本件倉庫では、1審原告正社員及びアスクル・ロジストのエリア限定でない正社員の他に、アスクル・ロジストが雇用したエリア限定の正社員、1審原告が派遣- 25 -会社と契約した派遣社員、アスクル・ロジストが派遣会社と契約した派遣社員(以下「本件派遣社員等」という。)が就業していたこと、本件火災により、本件倉庫からの配送業務が停止されたため、本件倉庫に就業していた本件派遣社員等が従事していた業務自体がなくなったこと、そのため本件派遣社員等に一定期間の休業補償 が就業していたこと、本件火災により、本件倉庫からの配送業務が停止されたため、本件倉庫に就業していた本件派遣社員等が従事していた業務自体がなくなったこと、そのため本件派遣社員等に一定期間の休業補償を支払う必要及び解雇予告手当を支払った上で本件派遣社員等を解雇する必要が生じ、1審被告がこれらの費用を負担する必要が生じたこと、実際に本件派遣社員等に対し、本件火災を原因とする休業補償の支払及び解雇がなされ、1審原告はその費用として、同「番号」5ないし7、9、42ないし46に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 ウ同「損害区分」欄に「近隣住民及び近隣企業の物損にかかる賠償金、清掃費、営業補償等」と記載のある損害について証拠(甲25の10、甲35の10の13、15、16、19、25ないし28、30ないし32、34ないし36、41、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、本件倉庫の周辺には、炎や煙、煤等が蔓延し、本件倉庫の近隣住民及び近隣企業の建物の外壁、屋根、内装、エアコン等の設備及び車両の清掃が必要になったこと、本件火災により、近隣に炎や煙、煤等が蔓延したことから、本件倉庫の近隣企業は、その鎮火までその営業を行うことが困難になったこと、1審原告は、それらの清掃費用(清掃による原状回復が不可能なものについては賠償費用)又は逸失利益等の賠償費用として、同「番号」12、13、15、16、18ないし20、25ないし32、34ないし38、40、41に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが ないし32、34ないし38、40、41に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 エ同「損害区分」欄に「近隣住民の医療関連費用」と記載のある損害について証拠(甲25の10、甲35の10の22、甲39、70)及び弁論の全趣旨に- 26 -よれば、本件火災により、近隣住民は、火災の黒煙により、のどの痛み、吐き気、頭痛を訴え、そのような健康被害について医師の治療や検診を受ける必要が生じたこと、1審原告は、その治療又は検診のために、同「番号」22、23、33に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。 オその余の損害について1審原告が主張する別紙「別紙番号」10に係るその余の損害については、本件火災と相当因果関係のある損害の発生を認めるには足りない。」⑻ 原判決40頁22行目冒頭から41頁2行目末尾までを次のとおり改める。 「証拠(甲25の12、甲35の12の1ないし8、10、12、14、16ないし18、22ないし77、86ないし104、106ないし133、140ないし201、206、207、210ないし285、288ないし294、296ないし348、350ないし387、389ないし409、411ないし434、436ないし461、463ないし489、491ないし506、508ないし565、567ないし574、581、583ないし633、635ないし679、681ないし691、694ないし702、704ないし707、709ないし711、713、1288ないし1291、甲39、 5、567ないし574、581、583ないし633、635ないし679、681ないし691、694ないし702、704ないし707、709ないし711、713、1288ないし1291、甲39、70)及び弁論の全趣旨によれば、本件火災により、本件倉庫が出荷能力を失ったことから、1審原告は、本件倉庫に代わる新規倉庫を立ち上げて稼働させるまでの間、複数の暫定拠点を立ち上げて、それらの拠点において本件火災前に本件倉庫で行っていた物流業務を行ったこと、1審原告は、それらの拠点を新たに立ち上げ、業務を移管し、当該拠点で業務を行うために、同「番号」1ないし104、106ないし715、1288ないし1292に対応する各「損害額(円)」欄記載の費用を、本件倉庫で業務を継続する場合と比べて余分に支出したことが認められるから、1審原告は、本件火災により上記各「損害額(円)」欄記載の各損害を被ったものと認めるのが相当である。」- 27 -⑼ 原判決43頁22行目の「これらは」から25行目末尾までを「1審原告の上記主張について、本件火災と相当因果関係のある損害の発生を認めるに足りる証拠がない。」に、44頁2行目「上記の」から5行目末尾までを「上記主張について、本件火災と相当因果関係のある損害の発生を認めるには足りない。」に、8行目の「125億8358万0808円」を「144億6286万5200円」にそれぞれ改める。 ⑽ 原判決44頁10行目の「被告の主張」を「1審原告の損害立証」に改め、11行目の「損害は」の次に「、その提出が可能であるにもかかわらず、」を、14行目の「しかしながら、」の次に「1審原告が本件の損害立証のために提出した各書証について、その内容及び作成経緯等を説明した1審原告従業員(コーポレート本部コーポレートマネジメント統括部長A)作成 4行目の「しかしながら、」の次に「1審原告が本件の損害立証のために提出した各書証について、その内容及び作成経緯等を説明した1審原告従業員(コーポレート本部コーポレートマネジメント統括部長A)作成に係る報告書(甲39)の信用性を疑わしめる具体的な事情は見当たらないところ、これを含めた」を加え、17行目の「あること」を「あり」に改め、25行目の「したものであり、」の次に「いずれも、これらを前提として作成された計算書類等について」を加え、26行目の「認められ」を「認められるから」に、45頁1行目の「直ちに信用性に欠けるものということはできないから」を「本件火災により1審原告に生じた損害の内容及び金額を説明する1審原告従業員(コーポレート本部副本部長B)作成に係る報告書(甲70)の信用性が欠けることにはならない。したがって」にそれぞれ改める。 ⑾ 原判決45頁3行目冒頭から47頁6行目末尾までを次のとおり改める。 「 4 争点3(過失相殺)について⑴ 認定事実⑷、⑸、⑹によれば、1.5メートルないし3メートルの高さで、しかも、天井開口部直下が頂点となる形で堆積していた本件火災当日朝の本件端材室における段ボールの堆積の状態が、本件の発火以降の本件端材室内の延焼、火勢の増大、さらには2階への延焼に寄与したものと認められるところ、認定事実⑴、⑵、⑷によれば、上記の段ボールの堆積状態は1審原告が作出したものであると認められる。そうすると、本件火災当日朝の本件端材室における上記の段ボールの堆- 28 -積状態は、1審原告の落ち度として過失相殺において考慮すべきである。 本件端材室の熱感知器が作動して本件倉庫の火災報知設備が鳴動したにもかかわらず、1審原告の従業員が誤作動によるものと誤認して2回にわたって火災報知設備のスイッチを切ったこと(認定事 すべきである。 本件端材室の熱感知器が作動して本件倉庫の火災報知設備が鳴動したにもかかわらず、1審原告の従業員が誤作動によるものと誤認して2回にわたって火災報知設備のスイッチを切ったこと(認定事実⑸ア)及び本件倉庫の定期的な消防訓練において通報訓練を行っていなかったこと(甲15の1、甲19、乙11)については、これらにより、119番通報やその他の初期消火に係る種々の対応が遅れ、これらの遅れにより初期の鎮火が阻害される結果につながったものと認められるから、1審原告の落ち度として過失相殺において考慮すべきである。 1審原告の従業員が、屋外消火栓のポンプの起動ボタンを押さずに消火のための放水をしたこと(認定事実⑸オ)も、正常に作動させた場合と比較すれば、2、3階への延焼に寄与したものという他なく、使用方法についての周知が不十分であった1審原告の落ち度として過失相殺において考慮すべきであるが、損害の拡大に寄与した程度は不明であることから、これを大きく考慮することは相当でない。 本件火災当時、本件倉庫において消防法に違反することとなる指定数量以上の危険物が貯蔵されていたこと(上記2⑶エ)も、本件火災の延焼に一定程度寄与したものと認められ、アスクル・ロジストが1審原告の子会社であること等の本件における事情に照らすと、1審原告の落ち度として過失相殺において考慮すべき事情といえる。もっとも、消防法違反の程度は不明であり、また2階に延焼した後の更なる延焼に係る事情でもあって、損害の拡大に寄与した程度は大きいものとは認められないから、これを大きく考慮することはできない。 本件倉庫の2階には防火シャッターの降下位置に物品が置かれていてその閉鎖障害が生じた箇所が合計で10か所あったところ(甲15の1)、これについても2、3階の延焼に一定程度寄与したものと できない。 本件倉庫の2階には防火シャッターの降下位置に物品が置かれていてその閉鎖障害が生じた箇所が合計で10か所あったところ(甲15の1)、これについても2、3階の延焼に一定程度寄与したものと認められ、1審原告は本件火災以前の消防用設備の点検の際に複数の防火シャッターの降下位置に物品が置かれており降下障害になるとの指摘を受けたことがあること(甲15の1、甲17、乙15)に照らすと、1審原告の落ち度として過失相殺において考慮すべき事情といえる。もっとも、- 29 -2階に延焼した後の更なる延焼に係る事情でもあり、損害の拡大に寄与した程度は大きいものとは認められないから、これを大きく考慮することはできない。 ⑵ 上記の諸点を総合勘案した上で、さらに本件フォークリフトを運転していた1審被告従業員の過失の程度が重くないことを考慮すると、損害の公平な分担の観点から、1審原告の過失割合を3割5分と認めた過失相殺を行うのが相当である。 そうすると、前記2⒂についての過失相殺後の1審原告の損害は、94億0086万2380円となる。 なお、1審原告は同社が損害保険会社との間で締結していた保険に基づき当該損害保険会社から49億7379万7258円の本件火災による保険金を受領しているものの、これは損害賠償額の算定に際し、いわゆる損益相殺として控除すべき利益にはあたらない。また、保険者は保険法25条1項に基づく代位により被保険者の第三者に対して有する損害賠償請求権を取得することがあり、その限りにおいて第三者に対する損害賠償請求権を失うことがあるが、本件においては、同項に従って計算しても、上記保険会社が1審原告に代位して1審被告に対する損害賠償請求権を取得するものと認められないから、同項に基づく代位に関連して、1審原告が損害賠償請求権を失うことはない。」 、同項に従って計算しても、上記保険会社が1審原告に代位して1審被告に対する損害賠償請求権を取得するものと認められないから、同項に基づく代位に関連して、1審原告が損害賠償請求権を失うことはない。」⑿ 原判決47頁13行目の「損益相殺後の損害額50億9306万7388円」を「過失相殺後の損害額94億0086万2380円」に、14行目の「51億1859万4268円」を「94億2638万9260円」に、15行目の「債務不履行の日である平成29年2月16日」を「請求(甲10の1ないし3)の日の翌日である令和2年2月8日」にそれぞれ改め、16行目の「(なお、」から19行目の「要しない。)」までを削り、19行目末尾に「また、本件火災の失火者である1審被告の従業員に重過失があったことを認めるには足りないから、その余の点について判断するまでもなく、1審原告の予備的請求は理由がない。」を加え、20行目冒頭から22行目末尾までを削る。 3 結論- 30 -以上のとおりであるから、1審原告の請求は、94億2638万9260円及びこれに対する令和2年2月8日から支払済みまで年6分の割合による金員の支払を求める限度で認容し、その余を棄却すべきところ、これと異なる原判決は失当であるから、1審原告の控訴に基づき原判決を上記のとおり変更し、1審被告の控訴は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第16民事部 裁判長裁判官土田昭彦 裁判官大寄久 裁判官園部直子 - 31 -別紙【損害一覧表】は記載を省略 裁判官園部直子 別紙【損害一覧表】は記載を省略
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