平成13(わ)514 覚せい剤取締法違反被告

裁判年月日・裁判所
平成14年7月17日 岡山地方裁判所
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判決文本文13,452 文字)

主文 被告人を懲役6年6月及び罰金70万円に処する。 未決勾留日数中260日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 押収してある覚せい剤結晶粉末(合成樹脂袋入り)13袋(平成13年押第90号の1ないし11,13及び14)及び覚せい剤結晶粉末(紙片に包まれたもの)1包(同押号の12)を没収する。 被告人から金5万7000円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1Aと共謀の上,法定の除外事由がないのに,平成13年3月27日ころ,兵庫県姫路市a区b番地のc所在の同女方において,同女に対し,フエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する覚せい剤結晶粉末約0.06グラムを水に溶かしてその身体に注射してやり,もって,覚せい剤を使用し,第2営利の目的で,同年7月2日午後零時7分ころ,岡山市d町e番f号先路上において,みだりに,フエニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤結晶粉末合計約14.666グラム(合成樹脂袋入り13袋及び紙片に包ま,)れたもの1包平成13年押第90号の1ないし14はいずれもその鑑定残量を所持し,第3法定の除外事由がないのに,同月1日ころ,同市g町h丁目i番j号所在のBコーポ502号室において,フエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する覚せい剤結晶粉末約0.08グラムを水に溶かして自己の身体に注射し,もって,覚せい剤を使用し,第4営利の目的で,みだりに, 同年5月16日ころ,同市k町l番m号所在のC403号室において,Dに,. 対しフエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する覚せい剤結晶粉末約08グラムを代金1万5000円で譲り渡し, 同月23日,前記第4の1記載の場所において,Eに対し,フエニル おいて,Dに,. 対しフエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する覚せい剤結晶粉末約08グラムを代金1万5000円で譲り渡し, 同月23日,前記第4の1記載の場所において,Eに対し,フエニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤結晶粉末約0.251グラムを代金2000円で譲り渡し, 同年6月7日,同市n町o番p号先路上において,Fに対し,フエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する覚せい剤結晶粉末約1グラムを代金1万5000円で譲り渡し, 同月28日,同市q町r番s号所在のG内301号室において,前記Dに対し,前記第4の2と同様の覚せい剤結晶粉末約1.6グラムを代金2万6000円(うち1000円は後払いの約束)で譲り渡したものである。 (事実認定の補足説明)弁護人は,①判示第2の覚せい剤所持は営利目的ではなく,自己使用目的であった,②判示第4の2のEへの覚せい剤の有償譲渡について,覚せい剤及び金銭の授受があったことは認めるが,当該覚せい剤と金銭の対価関係はなく,金銭は貸金の利息として受け取った,③判示第4の3のFへの覚せい剤の有償譲渡について,代金は受け取っていない,④判示第4の4のDへの覚せい剤の有償譲渡について,覚せい剤の量目は不明であり,代金は受け取っていない,⑤判示第4の1ないし4の各譲渡について,営利目的はなかった旨主張し,被告人も公判廷でこれに沿う供述をするので,以下検討する。 第1判示第2の覚せい剤所持の営利目的の有無について 関係各証拠によれば,①被告人の薬物所持量は約14.666グラムと多量であること,②前記薬物は合成樹脂袋入り13袋及び紙片に包まれたもの1包に小分けされていたが,その内訳は,0.9グラム前後のものが10袋,0. 252グラムのものが1袋,0.281グラムのものが1包,4.78 と,②前記薬物は合成樹脂袋入り13袋及び紙片に包まれたもの1包に小分けされていたが,その内訳は,0.9グラム前後のものが10袋,0. 252グラムのものが1袋,0.281グラムのものが1包,4.782グラムのものが1袋であったこと,③前記の覚せい剤は,いずれも被告人のズボンのベルトに通されていた黄色革製小銭入れに入れられていたこと,④被告人が賃借していた部屋には覚せい剤の小分けにも使用することのできる合成樹脂袋が小封筒に入れられて11袋置かれていたこと,⑤被告人が本件覚せい剤所持で逮捕された際,乗車していた自動車から合計60本の未開封の袋入り注射器(内訳は注射器新品10本在中の茶封筒が2袋,注射器新品2本ずつ在中の茶封筒が15袋,そして新品の注射器10本)及び一片が斜めに切ってあるストロー片が発見されていること,⑥前刑出所後,被告人には定職がなく,収入としては,生活保護給付金,消費者金融業者からの元本額合計100万円あまりに上る借金,氏名不詳者の運転手を務めた際の報酬,自己が貸し付けた金の弁済金などがある一方,さしたる遅延もなく消費者金融業者に対する前記借金の返済を行ったり,本件覚せい剤を氏名不詳者から入手したり,3件の居室及び建物を賃借したりしていたことが認められる。 Gの検察官調書謄本(43)の信用性以上に加え,被告人の覚せい剤入手状況,所持状況,譲渡状況に関し,Gの検察官調書謄本(43)が作成されているが,同人の第2回公判調書中の供述(,「」。),,部分以下単に公判供述というはこれと相違する部分があるので以下,その信用性につき検討する。 (1)Gの検察官調書謄本は,①被告人との会話の中で,被告人がHから小分けしてある覚せい剤,すなわちシャブのパケを仕入れて,密売していることが分かったこと,②被告人 下,その信用性につき検討する。 (1)Gの検察官調書謄本は,①被告人との会話の中で,被告人がHから小分けしてある覚せい剤,すなわちシャブのパケを仕入れて,密売していることが分かったこと,②被告人は,常時,茶色の小さいバッグをズボンのベルトにぶら下げており,そのバッグ内に小分けされたシャブのパケをたくさん入れていたこと,③前記バッグは,シャブを持ち歩くために前記Hから贈られたものであること,④被告人は,使用していた自動車の中に箱入りのインシュリン用注射器をいくらか持っていて,客の求めに応じて販売していたこと,⑤覚せい剤1グラムくらいの入ったシャブのパケを一度に20個くらいまとめて仕入れ,仕入れ価格は1グラム当たり7000円ないし8000円であると被告人から聞いていたこと,⑥被告人は,求めに応じて無料で覚せい剤を与えていたこともあるが,代金を取って売ることもあり,その価格は1グラム入り1パケ当たり1万5000円ないし2万円であったこと,⑦平成13年4月20日ころ,岡山市k町のC403号室において,被告人から,覚せい剤1グラム入りパケ2つを代金2万2000円で購入したこと,⑧被告人の客として,F,I,J,K,Lらがいたこと,⑨前記Fについては,平成13年3月ころ,被告人の車に同乗して一緒に行動していた際,被告人が,岡山駅前のパチンコ店横の路地で,代金1万5000円くらいで覚せい剤を売っているのを2回くらい目撃していること,⑩前記Iは,自分が売るために覚せい剤を被告人から仕入れていたこと等を内容としている。 上記Gの検察官調書謄本は,以下の理由から信用できる。すなわち,②の点については,被告人が本件所持で逮捕された際,ズボンのベルトに通した黄色革製小銭入れ内に小分けされた覚せい剤のパケを多数入れて所持していたことと符合し,また,④の点に ら信用できる。すなわち,②の点については,被告人が本件所持で逮捕された際,ズボンのベルトに通した黄色革製小銭入れ内に小分けされた覚せい剤のパケを多数入れて所持していたことと符合し,また,④の点についても,被告人の逮捕の際,被告人使用車両から大量の未使用注射器が発見されていることと符合する。 さらに,⑥のうち,覚せい剤の代金額の点及び⑨の点についても,後に述べる信用できるFの検察官調書謄本(44)の内容と符合する。その上,Gは,覚せい剤の仕入れ先,前記バッグないし小銭入れの入手先,仕入れ金額,覚せい剤の購入者につき氏名や金額を具体的に供述しており,自ら,,,。 の譲り受け事実についても時期場所量金額を具体的に供述しているこれらの点からすると,Gの検察官調書謄本は信用できる。 (2)他方,Gの公判供述について検討すると,Gは,覚せい剤とは極めて親和性が高く,被告人を含め,多くの覚せい剤に親和している者らと交遊のあった者で,被告人のいる公判廷で,真実を述べることをはばかったとしても不合理ではない。 また,信用できる同人の検察官調書謄本と矛盾する内容を含んでいる。 すなわち,同人の公判供述について見ると,同人は,捜査段階の供述のうち,多くの点で,覚えていない又は分からないと供述するが,その変遷の理由について,捜査段階では,参考調書であるから憶測でかまわないと告げられたためとする。しかし,前記のとおり,客観的証拠と相当程度符合する供述をしていることからすると,憶測に基づく供述であるとは認められない。また,前記のバッグないし小銭入れの色につき,いささかの齟齬が生じているが,これについてそのまま調書が作成されていることからすると,捜査官の誘導・示唆があったと考えることもできない。以上からすると,公判廷において供述を変遷させた合理的理由 ,いささかの齟齬が生じているが,これについてそのまま調書が作成されていることからすると,捜査官の誘導・示唆があったと考えることもできない。以上からすると,公判廷において供述を変遷させた合理的理由が認められない。 また,同人の公判供述は,捜査段階における,被告人が代金をもらって売ることもあった旨の供述について,売るというか,被告人が使用する分,,を分けてくれるという趣旨であり密売しているということではないとか同人の被告人からの購入代金額1パケ当たり1万1000円は元値額であるからとする一方で,なぜ,1パケ当たり1万1000円となったのか,覚えていないとする矛盾も認められる。 以上から,Gの公判供述は,同人の検察官調書謄本(43)と矛盾する限度で信用できない。 (3)そこで,前記信用できるGの検察官調書謄本によれば,①被告人は,常時,袋に小分けした覚せい剤を所持しており,客の注文に応じて販売していたこと,②被告人は,使用している自動車内に,販売用の注射器を用意しており,客の求めに応じて販売していたこと,③被告人は約1グラムの袋入り覚せい剤を20袋くらいずつ仕入れており,その仕入れ値は約1グラム当たり7000円ないし8000円であったこと,④被告人の通常の売値は約1グラム当たり1万5000円ないし2万円であったこと,⑤Gは,被告人から約1グラム入りの覚せい剤2袋を代金2万2000円で購入したことがあることが認められる。 Fの検察官調書謄本(44)の信用性また被告人からの覚せい剤の入手状況等についてFの検察官調書謄本4,,(4)が作成されているが,第2回公判調書中の同人の供述部分(証人尋問調書。 ,「」。),を含む以下単に公判供述というはこれと矛盾する部分があるので以下,その信用性につき検討する。 (1 作成されているが,第2回公判調書中の同人の供述部分(証人尋問調書。 ,「」。),を含む以下単に公判供述というはこれと矛盾する部分があるので以下,その信用性につき検討する。 (1)Fの検察官調書謄本は①平成13年1月ころ被告人からF方へど,,,「ねんしょんで,いきょんかな。いりゃあ,あるで」と覚せい剤を使用し。 ているか,必要なら覚せい剤を売ってやる旨電話がかかってきた,②同年2月ころ,Fが被告人に注文して,F方付近に駐車した被告人の自動車内で,Fの射ち量で10発分くらいの合成樹脂袋入り覚せい剤を代金1万5,,000円で購入し2発分くらいの紙包みの覚せい剤をおまけでもらった,,,,,③その後 4回被告人から覚せい剤を購入した④そのうち1回はFから被告人に電話で注文し,被告人から指示された岡山駅前にあるパチンコ店「M」の外の路上で,被告人から覚せい剤を購入した,⑤最後に被告人から覚せい剤を購入したのは,同年6月7日ころ,岡山市o町の路上,,,,,である⑥このほか小松原の家の近くで12回覚せい剤を購入した⑦被告人から覚せい剤を無料でもらったことは一度もなく,いつも0.8グラムくらい入っているシャブのパケ1個を代金1万5000円で購入し,,ていたがいつも2発分くらいのシャブが入っている紙包みを1個くれた⑧同年6月7日ころ,被告人から最後に覚せい剤を購入した状況は,Nに誘われ,覚せい剤を一緒に購入することになり,Nが1万円,Fが5000円を出すことにして,当初,被告人に電話をしたが,出なかったので,Hに電話し,それからしばらく経った午後10時ころ,被告人から連絡をもらい(そのことはFの携帯電話の着信履歴に残っていた,覚せい剤を。)注文したところ,取引場所 に電話をしたが,出なかったので,Hに電話し,それからしばらく経った午後10時ころ,被告人から連絡をもらい(そのことはFの携帯電話の着信履歴に残っていた,覚せい剤を。)注文したところ,取引場所を指示され,そこで1万5000円を支払い,覚せい剤0.8グラムくらいのパケ1つと,2発分くらいの紙包みをおまけとして受け取った,⑨前記⑧の売買の際,被告人から注射器の購入を依頼され,O薬局にインシュリン用注射器を代金1万円あまりで100本注文し,自分が逮捕される前日である同月13日,被告人に電話をかけて,P病院前まで来てもらい,これを引き渡し,立て替えた注射器代金として被告人から1万1000円をもらったが,覚せい剤はもらっていないこと等を内容とする。 上記Fの検察官調書謄本は以下の理由により信用できる。すなわち,④の点が,前記Gの検察官調書謄本(43)と符合するほか,⑦のうち,覚せい剤の各取引量が0.8グラムくらいであり,ほかにおまけとして2発分くらいの紙包みを受け取っていたとの点及び⑨のうち,注射器の引渡しがあったとの点は,被告人が所持していた覚せい剤のうち10袋の内容量が0.9グラム前後であり,1包みは覚せい剤0.281グラム入りの紙包みであったこと及び被告人が本件所持により逮捕された際,その使用車両内に注射器を多数保管していたこととそれぞれ符合する。加えて,各取引の状況についても,取引時期,取引場所を相当程度具体的に述べており(②,④,ことに最後の取引については,注文経過,購入代金の捻出者,)日時を具体的に供述している。さらに,この最後の取引は,特別な出来事として特に記憶が鮮明であると認められる,Fが逮捕される前日の注射器取引と関連づけられており,携帯電話の通話記録に基づき供述されていることと考え併せると,なおさら信用すべきものと 引は,特別な出来事として特に記憶が鮮明であると認められる,Fが逮捕される前日の注射器取引と関連づけられており,携帯電話の通話記録に基づき供述されていることと考え併せると,なおさら信用すべきものといえる。これらの点からすると,Fの検察官調書謄本は信用できる。 (2)他方,Fの公判供述を検討すると,Fは,覚せい剤との親和性が高く,覚せい剤に親和している者らとの交遊もあり,被告人と前刑受刑中に知り合った者で,被告人のいる公判廷で真実を述べることをはばかったとしても不合理ではない。また,その内容は,信用できる同人の検察官調書謄本と矛盾する内容を含んでいる。 すなわち,矛盾の主たる部分は,①最初の覚せい剤取引の際の代金授受の有無の点,②岡山駅前のパチンコ店付近路上での覚せい剤取引の際の代金授受の点である。 まず,①の点についてであるが,いわゆる刑務所仲間程度の付き合いであったFのために,わざわざ被告人が自動車に乗ってF方近くまで覚せい剤を届けた上,その代金が無料であったことの合理的説明はなく,不自然であるばかりでなく「おまけ」と称する覚せい剤2発分くらいの紙包み,について,いったんは「1,2発分のものを別にもらったかも知れませんが・・・」と供述したのに,検察官から「10発分くらいが入ったパケ。 ,一つの代金を支払って,2発分くらいの包みをおまけでもらったと供述したのではありませんか」と問い直されると「いいえ,違います」と返。 ,。 答していることは,無料であるのに「おまけ」があることの矛盾に気がつき,供述を変遷させていることを推認させる。 次に,②の点についてであるが,やはり,Fが電話で注文すると,岡山駅前のパチンコ店付近路上まで出向いてきて,無料で覚せい剤を被告人が譲渡するような人的関係がうかがわれず,その合理的説明がないので,不 に,②の点についてであるが,やはり,Fが電話で注文すると,岡山駅前のパチンコ店付近路上まで出向いてきて,無料で覚せい剤を被告人が譲渡するような人的関係がうかがわれず,その合理的説明がないので,不自然である。また,無料であったと供述しているにもかかわらず「おま,け」について「その時にもらったかも知れませんが,はっきりとは覚え,ていません」としている点も不自然である。 。 なお,Fは①及び②の供述を変遷させたことについて,警察で,無料であった旨の供述を信用してもらえなかったため,そのまま検察官にも有償であった旨供述し,その旨の調書が作成されたと供述するが,前述のとおり,無料であったとの供述自体,不自然で信用できないのだから,結局,公判廷で,その供述を変遷させた理由も信用できない。 以上から,Fの公判供述は,同人の検察官調書謄本(44)と矛盾する限度で信用できない。 (3)そこで,被告人が,Fに対し,平成13年2月ころから平成13年6月7日ころまでの間,少なくとも3回,覚せい剤約0.8グラム入りのもの1袋及び約0.2グラムの紙包み1つを代金1万5000円で販売したことが認められる。 以上により認められる各事実を総合すると,被告人は,約1グラム当たり7000円ないし8000円で仕入れた覚せい剤を,ズボンのベルトに通した黄,,色革製小銭入れに入れて持ち歩きFには約1グラム当たり1万5000円でGには約1グラム当たり1万1000円で販売した事実が認められ,これらの事実及びその他の各証拠を総合すると,被告人の本件所持は,営利の目的であったと認められる。 これに反する被告人の供述は信用できない。 第2判示第4の2の覚せい剤と金銭の対価関係の有無について 関係各証拠によれば,①被告人が,平成13年5月23日,Eに対し,パケに入った覚せ められる。 これに反する被告人の供述は信用できない。 第2判示第4の2の覚せい剤と金銭の対価関係の有無について 関係各証拠によれば,①被告人が,平成13年5月23日,Eに対し,パケに入った覚せい剤約0.251グラムを譲渡したこと,②前記①の譲渡の際,Eは,被告人に対し,2000円を渡したこと,③被告人は,Eに対し,7万,,,,5000円を貸し付けていたこと④前記①の譲渡の際Eは被告人に対し前記③の借金の返済金として1万5000円を渡したこと,⑤被告人は,Eに対し,2回,無料で覚せい剤を与えたほか,代金5000円で3,4発分くらいの覚せい剤を譲渡したことが認められる。 Eの証言の信用性についてEは,公判廷で,前記②の2000円について「返済分の金を払って,残,りの所持金は2000円しかなかったのですが,これで覚せい剤を譲ってくれと私から頼んだら,被告人がパケに入った覚せい剤を1袋渡してくれたのです」と供述するが,被告人はこれと矛盾する供述をするので,その信用性に。 つき検討する。 上記Eの公判供述は,代金額と譲り受け量の釣り合いがとれていないとはいえないこと,借金の返済金1万5000円のほかに2000円を支払った経緯の説明として合理的かつ自然であること,被告人がEに対して覚せい剤を譲り渡した理由として合理的かつ自然な説明であることからすると,信用できる。 これと矛盾する被告人の供述は信用できない。 第3判示第4の3の代金授受の有無について 前記第1の3のとおり,Fの検察官調書(140。ただし既に検討した44の原本)が信用できることからすれば,平成13年6月7日に,被告人とFの間に覚せい剤売却代金1万5000円の授受があった事実が認められる。 なお,弁護人は,Fとの覚せい剤取引について,1万5000円の代金を受 用できることからすれば,平成13年6月7日に,被告人とFの間に覚せい剤売却代金1万5000円の授受があった事実が認められる。 なお,弁護人は,Fとの覚せい剤取引について,1万5000円の代金を受け取ったことはあるが,平成13年6月7日ころのことではなく,別の日の取引のときのことであると主張し,被告人も,代金1万5000円で覚せい剤を譲渡したのは同日の1週間くらい前のことであり,同日は注射器1箱の謝礼として覚せい剤を渡した旨,これに沿う供述をする。 しかし,関係各証拠により信用できるPの供述中に,平成13年6月7日の覚せい剤取引の際,Fが注射器を持参したことはうかがわれないこと,前記のとおり信用できるFの検察官調書によれば,同日,覚せい剤取引の後,注射器をFが注文してやる話となったのであるが,これは自己が逮捕される前日である同月13日にQ病院前において注射器を引き渡したことと関連づけられており,また,注射器の引渡しと立て替えていた代金の授受の日がF逮捕の前日であったこと,場所についても具体的に供述していることからすると,以上の供述と矛盾する被告人の供述は信用できない。 第4判示第4の4の覚せい剤取引量及び代金授受の有無について 代金授受の有無についてこの点に関し,Dの検察官調書(96)が作成されているが,公判廷ではこれと矛盾する供述をしているので,その信用性につき検討する。 (1)Dの検察官調書の信用性についてDは,同検察官調書において,①平成13年6月25日に10万円ちょっとの給料をもらい,覚せい剤を購入したい気持ちになり,同月28日午後7時過ぎころ,被告人に電話をかけて「これから行ってもええじゃろうか」,。 と聞いたところ,了解が得られ,教えられた岡山市q町所在のGというマン,,,ションの301号室に行った②その際 午後7時過ぎころ,被告人に電話をかけて「これから行ってもええじゃろうか」,。 と聞いたところ,了解が得られ,教えられた岡山市q町所在のGというマン,,,ションの301号室に行った②その際土産にブランデーを持っていった③被告人の部屋に到着したのは午後8時ころである,④土産のブランデーを渡した後「シャブを2パケ売ってくれ」と頼むと,被告人は黄色のポシ,。 ェットの中から,2つのビニールパケを取り出し,渡してくれた,⑤どちらのパケも0.8グラムくらいの覚せい剤が入っていた,⑥代金は2万6000円だったが,持ち合わせが2万5000円しかなかったので,1000円分はつけにしてもらった,⑦ブランデーの礼として覚せい剤をもらったことはない,⑧覚せい剤購入後,被告人と最近の覚せい剤の質がよくないと話したところ,被告人は,黄色のポーチから覚せい剤が0.8グラムくらい入ったシャブのパケを10袋くらい取り出し,最近売られている「新ネタ」と,以前売られていた「前のやつ」を見せられた等供述している。 Dの検察官調書は,内容が合理的かつ自然であり,また,①における購入場所の点や,③の点,④における黄色のポシェットないしポーチから覚せい剤を取りだした点,⑧における購入後の覚せい剤の質に関する談義の内容については具体的である。また,覚せい剤の購入量(⑤)と代金額(⑥)も釣り合っており,代金額については,D方から押収された覚せい剤の袋に記載された「1.5「1.1」という数字の合計と符合する。 」,これらの点からすると,Dの検察官調書は信用できる。 (2)他方,Dの公判供述について検討すると,Dは,覚せい剤との親和性が高く,被告人から覚せい剤を譲り受けた当事者として,被告人のいる公判廷で真実を述べることをはばかったとしても不合理ではない。 そして,Dは, Dの公判供述について検討すると,Dは,覚せい剤との親和性が高く,被告人から覚せい剤を譲り受けた当事者として,被告人のいる公判廷で真実を述べることをはばかったとしても不合理ではない。 そして,Dは,公判廷において検察官調書と異なる供述をし,供述を変遷させた理由について,捜査段階では気が動転しており,勘違いした,あるいは覚せい剤の影響で混乱していたなどと述べ,合理的な説明をせず,覚せい剤の袋に記載された「1.5「1.1」という数字についても勘」,で書いた重さであり,書いた理由について「自分がお金を払うてないも,んだから,大体,このくらいの金を払わにゃおえんじゃろういうことで書いただけ」と不合理な説明をしたりする一方,公判廷で証言することが刑務所での自己の立場を悪くすることや,母親へ危害が及ぶ可能性をほのめかしたりしている。以上からDの公判供述中,同人の検察官調書(96)と矛盾する部分については,信用性に乏しい。 なお,被告人は,覚せい剤をブランデーの礼として譲渡した旨供述するが,前記の信用できるDの検察官調書と矛盾し,かつ不自然であるから信用できない。 (3)そこで,被告人は,Dに対し,覚せい剤を代金2万6000円(うち1000円を後払い)で譲渡したことが認められる。 覚せい剤譲渡量についてこの点について,Dは,捜査段階で,約0.8グラムのパケ2つ合計約1. 6グラムを譲り受けた旨供述する(96,91。Dの供述は,覚せい剤の量),,目見本も見た経験に基づくものであり同人方から押収された覚せい剤の量も使用量を勘案すれば矛盾するものではないので,この点に関するDの供述は信用できる。 第5判示第4の1ないし4の各譲渡の営利目的の有無について関係各証拠によれば,各判示のような譲渡の外形的事実が認められるほか,被告人が覚せい剤を はないので,この点に関するDの供述は信用できる。 第5判示第4の1ないし4の各譲渡の営利目的の有無について関係各証拠によれば,各判示のような譲渡の外形的事実が認められるほか,被告人が覚せい剤を黄色のポシェットないしポーチの中に1袋0.8グラムくらいに小分けした袋を10袋くらい所持していたこと,Fへの譲渡の際は,このポシェットないしポーチから覚せい剤を取り出したこと,被告人がD,E,Fに対し,特別な人的関係に基づき,無償あるいは今後のことも含めて全体として見た場合に利益なしに覚せい剤を譲渡するような事情があったとは認められないこと,前記認定のとおり,判示第4の1ないし4の各譲渡のいずれについても,D,E,Fから覚せい剤代金として金銭を受領していること,これまでにも,被告人は,Fに対し,少なくとも3回覚せい剤約1グラムを代金1万5000円で売っていたこと,被告人は,Fが連絡を取るとすぐに覚せい剤を用意して販売に応じていたこと,大量の注射器を注文し,入手していたこと等の事実も認められること,その他の関係各証拠をも含めて判断すると,営利目的は優に認められる。 よって,弁護人の主張はいずれも採用しない。 (累犯前科)被告人は,平成7年3月27日岡山地方裁判所で覚せい剤取締法違反罪により懲役4年6月及び罰金50万円に処せられ,平成11年12月11日その懲役刑の執,()行を受け終わったものであってこれらの事実は検察事務官作成の前科調書74によって認める。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為は刑法60条,覚せい剤取締法41条の3第1項1号,19条に,判示第2及び判示第4の1ないし4の各所為はいずれも同法41条の2第2項,1項に,判示第3の所為は同法41条の3第1項1号,19条にそれぞれ該当するところ,判示第2及び第4の1ないし4の各罪に 条に,判示第2及び判示第4の1ないし4の各所為はいずれも同法41条の2第2項,1項に,判示第3の所為は同法41条の3第1項1号,19条にそれぞれ該当するところ,判示第2及び第4の1ないし4の各罪につきいずれも情状により所定刑中懲役刑及び罰金刑を選択し,前記の前科があるので刑法56条1項,57条により判示第1及び第3の各罪の刑並びに判示第2及び第4の1ないし4の各罪の懲役刑についてそれぞれ再犯の加重をし(判示第2及び第4の1ないし4の各罪については同法14条の制限内で加重,以上は同法45条前段の併合罪であるか)ら,懲役刑については,同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第2の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重をし,罰金刑については,同法48条2項により判示第2及び第4の1ないし4の各罪所定の罰金の多額を合計し,その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役6年6月及び罰金70万円に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中260日をその懲役刑に算入することとし,その罰金を完納することができないときは,同法18条により金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし押収してある覚せい剤結晶粉末合,(成樹脂袋入り)13袋(平成13年押第90号の1ないし11,13及び14)及び覚せい剤結晶粉末(紙片に包まれたもの)1包(同押号の12)は,いずれも判示第2の罪に係る覚せい剤で犯人の所有するものであるから,覚せい剤取締法41条の8第1項本文によりこれを没収し,判示第4の1ないし4の各犯行により被告人が得た現金5万7000円は国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律11条1項1号の薬物犯罪収益に該当するが,既に費消して没収することができない 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律11条1項1号の薬物犯罪収益に該当するが,既に費消して没収することができないので,同法13条1項前段によりその価額を被告人から追徴することとし,訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,覚せい剤の営利目的所持,営利目的譲渡4件,他人使用,自己使用から成る事案である。 被告人は,一連の行為を通して,自ら覚せい剤に溺れたばかりか,覚せい剤の害悪を他人に拡散させた。 また,判示第2の営利目的所持については,所持量が約14.666グラムと多量であり,その所持態様も,分量をある程度一定にした小袋等に小分けした状態で所持しており,ただちに譲渡可能な状態で所持していたものであるから,犯情は悪い。 次に,判示第4の各営利目的譲渡については,わずかな期間に4回にわたり,また,注文に即座に応じて譲渡していたこと,うち1回の譲渡については,1グラム以上譲渡しており少ない量とはいえないことなど,悪質である。 そして,判示第1の他人使用については,他人を覚せい剤に溺れさせ,幻覚を生じさせるに至らしめたほどであり,1回の使用量も少なくないなど,これも犯情がよくない。 さらに,判示第3の自己使用については,1回の使用量が多量であり,頻繁に使,,。 用していたことがうかがわれるなど常習性は顕著であり同様に犯情はよくないこの他,被告人は前科5犯を有するものであるが,それらはいずれも覚せい剤前科を含み,直近前科では平成11年11月に仮出獄するまで,4年以上,覚せい剤前科により服役したにもかかわらず本件各犯行を敢行したものであること,被告人は,正業に就かず,覚せい剤売買を反復する生活を送ってい み,直近前科では平成11年11月に仮出獄するまで,4年以上,覚せい剤前科により服役したにもかかわらず本件各犯行を敢行したものであること,被告人は,正業に就かず,覚せい剤売買を反復する生活を送っていたこと,薬物の入手先を秘匿しており,営利性を否定する等不合理な弁解を行い反省の色が見えないこと等からすると,被告人の刑責は重い。 他方,被告人は,認めている範囲では反省の言葉を述べていること,被告人方の家主が被告人の今後の更生への協力を約束していること等被告人に有利に斟酌すべき事情も認められる。 以上の点を考慮して,主文の刑に処するのが相当であると判断した。 平成14年7月17日岡山地方裁判所第2刑事部裁判長裁判官榎本巧裁判官中川綾子裁判官足立堅太

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