主文 被告が原告に対して平成17年1月6日付けでした別紙目録の番号欄記載1から34までの公文書の一部開示決定のうち,同目録の番号欄記載2及び4の公文書について氏名を非開示とした部分並びに同目録の番号欄記載1から34までの公文書について印影を非開示とした部分を取り消す。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が原告に対して平成17年1月6日付けでした別紙目録の番号欄記載1から34までの公文書の一部開示決定のうち,同目録の番号欄記載2及び4の公文書について次の1及び3の部分を非開示とした部分並びに同目録の番号欄記載1から34までの公文書について次の2及び4の部分を非開示とした部分を取り消す。 氏名 印影 「契約目途額」欄に記載された金額 「予定価格」欄に記載された金額第2事案の概要 本件は,原告が,平成16年12月24日,東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号。以下「本件条例」という。)に基づき,被告に対し,平 成16年に行われた警察官の制服の購入契約に係る予定価格,入札価格及び落札価格が分かる公文書の開示を請求した(以下,この開示請求を「本件開示請求」という。)ところ,被告が,本件開示請求の対象とされた公文書は別紙目録の番号欄記載1から34までの公文書であるとした上,同17年1月6日付けで,①同目録の番号欄記載2及び4の公文書(以下,これら2通の公文書を併せて「契約締結起案文書」という。)中の「氏名」,②同目録の番号欄記載1,3及び5から34までの公文書(以下,これら32通の公文書を併せて「入札経過調書」という。)並びに契約締結起案文書中の「印影」,③契約締結起案文書中の「契約目 中の「氏名」,②同目録の番号欄記載1,3及び5から34までの公文書(以下,これら32通の公文書を併せて「入札経過調書」という。)並びに契約締結起案文書中の「印影」,③契約締結起案文書中の「契約目途額」欄に記載された金額,並びに④入札経過調書及び契約締結起案文書中の「予定価格」欄に記載された金額を非開示とし,その余を開示する旨の一部開示決定(以下「本件決定」という。)をしたため,原告が,被告に対し,本件決定のうち非開示とされた部分の取消しを求める事案である。 関係法令の定め別紙1のとおり 前提となる事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。なお,証拠若しくは弁論の全趣旨により容易に認めることのできる事実又は当裁判所に顕著な事実は,その旨付記しており,それ以外の事実は,当事者間に争いがない。 (1)当事者ア原告は,東京都の区域内に法律事務所を有する弁護士である。(弁論の全趣旨)イ被告は,本件条例2条1項にいう実施機関である。 (2)本件開示請求から本件訴えの提起に至るまでの経緯等ア原告は,被告に対し,平成16年12月24日,本件条例5条2号に基づき,本件開示請求をした。 イ被告は,本件開示請求の対象とされた公文書は別紙目録の番号欄記載1から34までの公文書であるとした上,原告に対し,平成17年1月6日付けで,①契約締結起案文書中の「氏名」が本件条例7条2号に,②入札経過調書及び契約締結起案文書中の「印影」が本件条例7条2号に,③契約締結起案文書中の「契約目途額」欄に記載された金額が本件条例7条6号に,④入札経過調書及び契約締結起案文書中の「予定価格」欄に記載された金額が本件条例7条6号に,それぞれ該当することを理由に,これらの記載部分を非開示とする旨の本件決定をした。 ウ(ア)被告が契約締結起案文書中の「 及び契約締結起案文書中の「予定価格」欄に記載された金額が本件条例7条6号に,それぞれ該当することを理由に,これらの記載部分を非開示とする旨の本件決定をした。 ウ(ア)被告が契約締結起案文書中の「氏名」として開示しなかったのは,契約締結起案文書をそれぞれ起案した警視庁の職員の氏名(以下,これらの職員の氏名を「本件各非開示氏名」という。)である。 (イ)被告が入札経過調書及び契約締結起案文書中の「印影」として開示しなかったのは,①入札経過調書中の「被服係長」欄の各印影,②入札経過調書中の「主査」欄の各印影,③入札経過調書の「担当者」欄の各印影,④入札経過調書のうち,別紙目録の番号欄記載7の公文書(以下「入札経過調書(文書番号第3号)」という。甲9)中の「P1㈱α営業所」の「第1回入札金額」欄の数字の訂正印の印影,⑤入札経過調書(文書番号第3号)中の「㈱P2」の「第1回入札金額」欄の数字の訂正印の印影,⑥入札経過調書のうち,別紙目録の番号欄記載9の公文書 (以下「入札経過調書(文書番号第5号)」という。甲11)中の「P3㈱」の「第1回入札金額」欄の数字の訂正印の印影,⑦契約締結起案文書中の「起案」欄のうち,「主査」欄の各印影,⑧契約締結起案文書中の「起案」欄のうち,「事務担当者」欄の各印影,並びに⑨契約締結起案文書中の「審議」欄のうち,「係長」欄の各印影(以下,上記①から⑨までの各印影を併せて「本件各非開示印影」という。)である。 (ウ)被告が契約締結起案文書中の「契約目途額」欄に記載された金額として開示しなかったのは,いずれも警視庁総務部装備課(以下「装備課」という。)が実施した競争入札又は随意契約における契約目途額の金額であり,また,被告が入札経過調書中の「予定価格」欄に記載された金額として開示しなかったのは,いずれも装備課が 装備課(以下「装備課」という。)が実施した競争入札又は随意契約における契約目途額の金額であり,また,被告が入札経過調書中の「予定価格」欄に記載された金額として開示しなかったのは,いずれも装備課が実施した競争入札又は随意契約における予定価格の金額であり,また,被告が契約締結起案文書中の「予定価格」欄に記載された金額として開示しなかったのは,装備課が実施した競争入札又は随意契約における予定価格の金額及び同欄に見積書比較価格として記載された金額である(以下,契約締結起案文書中の「契約目途額」欄に記載されている契約目途額の金額,入札経過調書中の「予定価格」欄に記載された予定価格の金額,契約締結起案文書中の「予定価格」欄に記載された予定価格の金額及び契約締結起案文書中の「予定価格」欄に見積書比較価格として記載された金額を併せて「本件各非開示金額」という。)(エ)したがって,本件決定の非開示部分は,本件各非開示氏名,本件各非開示印影及び本件各非開示金額である。 エ原告は,平成17年3月16日,本件決定の非開示部分の取消しを求める訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実) 争点 (1)本件各非開示氏名に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか(争点1)。 (2)本件各非開示印影に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか(争点2)。 (3)本件各非開示金額に含まれる情報が,本件条例7条6号所定の非開示情報に該当するか(争点3)。 争点に関する当事者の主張の要旨(1)被告の主張別紙2のとおり(2)原告の主張別紙3のとおり第3争点に対する判断 証拠及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認めることができる(認定証拠は,以下の認定事実の後に付記することとする。)。 (1)契約締結 2)原告の主張別紙3のとおり第3争点に対する判断 証拠及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認めることができる(認定証拠は,以下の認定事実の後に付記することとする。)。 (1)契約締結起案文書は,警視庁が警察官の制服を納入する業者との間で警察官の制服を購入する旨の随意契約を締結するに当たり,警視庁で制服の購入を取り扱う部署である装備課被服係において作成したものである。(甲4,6,弁論の全趣旨)(2)入札経過調書は,警視庁が警察官の制服を納入する業者との間で警察官の 制服を購入する際に行った競争入札の結果を明らかにするために,装備課被服係において作成したものである。(甲3,5,7から36まで,弁論の全趣旨)(3)本件各非開示氏名は,契約締結起案文書の起案欄のうち主査欄に記載された装備課主査の職にある者の氏名であり,同人は,契約締結起案文書を起案した者である。(甲4,6,弁論の全趣旨)(4)本件各非開示印影として,ア入札経過調書の「被服係長」欄には,それぞれ装備課被服係長の職にある者が同欄に押印した際の印影があり,また,入札経過調書の「主査」欄には,それぞれ装備課主査の職にある者が同欄に押印した際の印影があり,また,入札経過調書の「担当者」欄には,それぞれ装備課入札担当者の職にある者が同欄に押印した際の印影がある。(甲3,5,7から36まで,弁論の全趣旨)イ入札経過調書(文書番号第3号)の「P1㈱α営業所」の「第1回入札金額」欄には,装備課入札担当者の職にある者が同欄中の訂正した数字に訂正印を押印した際の印影があり,入札経過調書(文書番号第3号)の「㈱P2」の「第1回入札金額」欄には,装備課入札担当者の職にある者が同欄中の訂正した数字に訂正印を押印した際の印影があり,入札経過調書(文書番号第5号)の「P3 ,入札経過調書(文書番号第3号)の「㈱P2」の「第1回入札金額」欄には,装備課入札担当者の職にある者が同欄中の訂正した数字に訂正印を押印した際の印影があり,入札経過調書(文書番号第5号)の「P3㈱」の「第1回入札金額」欄には,装備課入札担当者の職にある者が同欄中の訂正した数字に訂正印を押印した際の印影がある。(甲9,11,弁論の全趣旨)ウ契約締結起案文書中の「起案」欄のうち「事務担当者」欄には,それぞ れ装備課入札担当者の職にある者が同欄に押印した際の印影があり,また,契約締結起案文書中の「審議」欄のうち「係長」欄には,それぞれ装備課被服係長の職にある者が同欄に押印した際の印影がある。(甲4,6,弁論の全趣旨)エ契約締結起案文書中の「起案」欄のうち「主査」欄には,それぞれ装備課主査の職にある者が同欄に押印した際の印影がある。(甲4,6,弁論の全趣旨)オ本件各非開示印影中には,その所有に係る印章の押印によって装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職にある者の姓が,鮮明に顕出されている。(弁論の全趣旨)(5)装備課被服係長の職にある者は,入札経過調書及び契約締結起案文書を決裁した者であり,装備課主査の職にある者は,入札経過調書を決裁し,契約締結起案文書を起案した者であり,装備課入札担当者の職にある者は,入札経過調書を起案した者である。(甲3から36まで,弁論の全趣旨)(6)ア警視庁は,都民との信頼関係を築き,警察活動を円滑に進めることを目的として,慣行として,都民に対して,管理職又は同相当職の立場にある職員(警視庁本部にあっては課長代理(管理官)以上,警察署にあっては課長以上)の氏名,役職及び配置所属を公にすることとし,人事異動の際には,その内容を主要な新聞において公表している。(乙7の1から6まで,弁 庁本部にあっては課長代理(管理官)以上,警察署にあっては課長以上)の氏名,役職及び配置所属を公にすることとし,人事異動の際には,その内容を主要な新聞において公表している。(乙7の1から6まで,弁論の全趣旨)イ装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職にある者は,いずれも,管理職又は同相当職の立場にある職員ではない。(弁論の全趣 旨)(7)ア入札経過調書及び契約締結起案文書中の「予定価格」とは,契約価格の一応の基準となる価格として,普通地方公共団体が契約を締結する場合にあらかじめ作成するものであり,その金額(消費税及び地方消費税の額を含む。)は,契約目途額を基礎として金額が決定される。普通地方公共団体は,競争入札に付する場合には,予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとされている(地方自治法234条3項)から,予定価格は,実質的に契約予定金額の上限としての性質を有する。(弁論の全趣旨)イ契約締結起案文書中の「契約目途額」とは,契約を発注する普通地方公共団体の担当者が,景気の動向や消費者物価指数,取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡,履行期間の長短等を考慮して,標準的な業者から物品等を調達するのに必要と思われる適正な費用をあらかじめ推測し算出した金額である。予定価格は契約目途額を基礎として決定されるから,契約目途額は,契約における予算額であり,実質的に予定価格の上限としての性質を有するとともに,予定価格と極めて近似した金額である。(弁論の全趣旨)ウ契約締結起案文書中の「予定価格」欄のうちの,見積書比較価格とは,予定価格から消費税及び地方消費税の額を控除した残額である。(弁論の全趣旨) 争点1(本件各非開示氏名に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非 書中の「予定価格」欄のうちの,見積書比較価格とは,予定価格から消費税及び地方消費税の額を控除した残額である。(弁論の全趣旨) 争点1(本件各非開示氏名に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか。)について (1)本件各非開示氏名の本件条例7条2号本文該当性についてア本件条例7条2号本文に規定する「個人に関する情報」は,「事業を営む個人の当該事業に関する情報」が除外されている以外には何ら限定されていないから,個人の思想,信条,健康状態,所得,学歴,家族構成,住所等の私事に関する情報に限定されるものではなく,個人にかかわりのある情報であって,特定の個人が識別され,又は識別され得るものは,原則として,同号本文に規定する「個人に関する情報」に該当すると解するのが相当である(最高裁平成10年(行ヒ)第54号同15年11月11日第三小法廷判決・民集57巻10号1387頁等参照)。 イこれを本件についてみるに,本件各非開示氏名は,契約締結起案文書の起案欄のうち,主査欄に記載された装備課主査の職にある者の氏名である。 そうすると,契約締結起案文書に記録された本件各非開示氏名に含まれる各情報は,個人にかかわりのある情報であって,特定の個人が識別され得るものであるから,本件条例7条2号本文所定の非開示情報に当たるというべきである。 (2)本件各非開示氏名の本件条例7条2号ただし書ハ該当性についてア原告は,本件各非開示氏名に含まれる情報が本件条例7条2号ただし書ハに該当する旨の明確な主張はしていない。しかし,原告が,「情報公開法の制定運営に関する検討会報告」及び総務省取扱方針を根拠に,都の公務員がその職務として作成した契約締結起案文書に記録された情報に含まれる当該公務員の氏名は,公務遂行に係る情報として開示すべきである 法の制定運営に関する検討会報告」及び総務省取扱方針を根拠に,都の公務員がその職務として作成した契約締結起案文書に記録された情報に含まれる当該公務員の氏名は,公務遂行に係る情報として開示すべきである旨主張していることからすると,原告は,本件各非開示氏名に含まれる情報 が本件条例7条2号ただし書ハに該当する旨の主張を黙示的にしているものと解することができる。そこで,以下,判断する。 イ本件条例7条2号ただし書ハの規定は,個人に関する情報のうち,当該個人が公務員である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,「当該情報のうち,当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」を開示すべきものとしているものの,当該公務員の氏名を開示すべきか否かについては明文の規定を置いていない。しかし,本件条例が,「都が都政に関し都民に説明する責務を全うするようにし,都民の理解と批判の下に公正で透明な行政を推進し,都民による都政への参加を進めるのに資すること」を目的とし,そのために公文書の開示を請求する都民の権利を明らかにして,都政に関する情報を広く都民に公開することを趣旨とするものであること(1条)からすれば,都の公務員の職務の遂行に関する情報が記録された公文書については,当該情報に公務員個人の私事に関する情報が含まれる場合を除き,本件条例が当該公務員の氏名を非公開とすることができるものとしているとは解し難いというべきである。 ウ前記認定事実のとおり,契約締結起案文書は,警視庁が制服を納入する業者との間で随意契約を締結するために,警視庁で制服の購入を取り扱う部署である装備課被服係において作成されたものであり,本件各非開示氏名は,契約締結起案文書の起案欄のうち主査欄に記載された装備課主査の職にある者の氏名であり,同人は,契約締結起 制服の購入を取り扱う部署である装備課被服係において作成されたものであり,本件各非開示氏名は,契約締結起案文書の起案欄のうち主査欄に記載された装備課主査の職にある者の氏名であり,同人は,契約締結起案文書を起案した公務員である。 そうすると,契約締結起案文書に記録された本件各非開示氏名に含まれ る情報は,都の公務員がその職務として作成した契約締結起案文書についてその起案者を明らかにする趣旨で契約締結起案文書に記録された情報であると解されるところ,これが都の公務員個人の私事に関する情報を含むものでないことは明らかであるから,本件条例がこのような公務員の氏名を非公開とすることができるものとしているとはいえないというべきである。被告は,警視庁の職員の氏名を公にすると,公務員の私生活に影響を及ぼすおそれがあり得るから,個人情報として保護に値する旨主張するが,既に判示したところに照らし,少なくとも本件各非開示氏名については,上記主張を採用することはできない。 したがって,本件各非開示氏名に含まれる情報は,都の公務員の職及び職務遂行の内容に係る情報として,本件条例7条2号ただし書ハ所定の情報に当たるというべきである。 (3)小括以上によれば,本件各非開示氏名に含まれる情報は,本件条例7条2号所定の非開示情報には当たらないというべきである。 争点2(本件各非開示印影に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)本件各非開示印影の本件条例7条2号本文該当性について本件条例7条2号本文にいう「他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるもの」とは,その情報自体からは特定の個人を識別することはできないが,当該情報と他の情報とを照合することにより,特定の個人を識別することができるこ により,特定の個人を識別することができることとなるもの」とは,その情報自体からは特定の個人を識別することはできないが,当該情報と他の情報とを照合することにより,特定の個人を識別することができることとなる情報をいうものと解 されるところ,公文書に押された印影には,通常その印影を顕出した印章の所有者の姓が刻されているから,公文書に押された印影は,他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなる情報であるということができる。 したがって,本件各非開示印影に含まれる情報は,個人に関する情報で,特定の個人を識別することができるものであるから,本件条例7条2号本文所定の非開示情報に当たるというべきである。 (2)本件各非開示印影の本件条例7条2号ただし書ハ該当性についてア原告は,本件各非開示印影に含まれる情報が本件条例7条2号ただし書ハに該当する旨の主張を黙示的にしているものと解することができるので,以下,判断する。 イ前記認定事実のとおり,①契約締結起案文書は,警視庁が制服を納入する業者との間で随意契約を締結するために,警視庁で制服の購入を取り扱う部署である装備課被服係において作成したものであり,②入札経過調書は,警視庁が制服を納入する業者との間で制服の購入契約の際に行った競争入札の結果を明らかにするために,装備課被服係において作成したものであり,③本件各非開示印影は,装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職にある者が契約締結起案文書及び入札経過調書の所定の欄にそれぞれ押印した際の印影であり,④本件各非開示印影中には,その所有に係る印章の押印によって装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職にある者の姓が鮮明に顕出されており,⑤装備課被服係長の職にある者は,それぞれ入札経過調書及び契約締 印影中には,その所有に係る印章の押印によって装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職にある者の姓が鮮明に顕出されており,⑤装備課被服係長の職にある者は,それぞれ入札経過調書及び契約締結起案文書を決裁した 者であり,装備課主査の職にある者は,入札経過調書を決裁し,契約締結起案文書を起案した者であり,装備課入札担当者の職にある者は,入札経過調書を起案した者である。 そうすると,契約締結起案文書及び入札経過調書に記録された本件各非開示印影は,都の公務員がその職務として作成した契約締結起案文書及び入札経過調書について,その起案者又は決裁者を明らかにする趣旨で記録された情報であると解されるところ,これが当該公務員個人の私事に関する情報を含むものでないことは,明らかである。 したがって,本件各非開示印影に含まれる情報は,都の公務員の職務の遂行に関する情報であるから,本件条例7条2号ただし書ハ所定の情報に当たるというべきである。 (3)小括以上によれば,本件各非開示印影に含まれる情報は,本件条例7条2号所定の非開示情報には当たらないというべきである。 争点3(本件各非開示金額に含まれる情報が,本件条例7条6号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)本件条例7条6号の意義について本件条例7条6号は,都の機関又は国,独立行政法人等若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報を公にすることによって,同号イからヘまでに例示されたものを含め,およそ当該事務又は事業の適正な遂行に支障を生ずることが予測される場合において,当該事務又は事業の性質に照らして,当該事務又は事業に関する情報を公にすることによる利益と支障 とを比較衡量した結果,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれが,公にすることの公益性を考慮 事務又は事業の性質に照らして,当該事務又は事業に関する情報を公にすることによる利益と支障 とを比較衡量した結果,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれが,公にすることの公益性を考慮しても,なお看過し得ない程度のものであり,かつ,それが,単なる抽象的な可能性にとどまらず,具体的なおそれであると認められるときは,当該事務又は事業に関する情報を開示しないことができることとしたものと解するのが相当である。 (2)本件各非開示金額の本件条例7条6号該当性についてア前記認定事実によると,契約締結起案文書中の「契約目途額」欄に記載されている契約目途額の金額は,いずれも装備課が警察官の制服という物品の購入のために実施した競争入札又は随意契約における契約目途額そのものであり,また,入札経過調書中の「予定価格」欄に記載された予定価格の金額並びに契約締結起案文書中の「予定価格」欄に記載された予定価格の金額及び見積書比較価格の金額は,いずれも装備課が警察官の制服という物品の購入のために実施した競争入札又は随意契約における予定価格そのものである。したがって,本件各非開示金額は,いずれも都の機関である警視庁が警察官の制服の購入のために実施した競争入札又は契約という事務に関する情報に該当する。 そして,本件条例7条6号柱書にいう「当該事務又は事業」には,同種の事務又は事業が反復される場合の将来の事務又は事業も含まれると解されるから,本件各非開示金額に含まれる各情報を公にすることにより,将来,警察官の制服等の購入のために実施する競争入札又は契約の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることを認めることができる場合には,本件各非開示金額に含まれる情報は,本件条例7条6号所定の非開示情報に該 当するということができる。 イ被告は,物品の購入契約を 行に支障を及ぼすおそれがあることを認めることができる場合には,本件各非開示金額に含まれる情報は,本件条例7条6号所定の非開示情報に該 当するということができる。 イ被告は,物品の購入契約を競争入札の方法により締結しようとする場合に,契約の締結後に予定価格,契約目途額及び見積書比較価格を公表すると,その後に行われる当該物品と同一又は同種の物品の購入契約における予定価格を容易に類推することができることになり,実質的には予定価格を事前に公表するのと同様の結果となって,同額入札が増加する状況,高止まりの落札価格で契約せざるを得ない状況及び談合を誘発する状況がそれぞれ生ずるおそれがあるが,上記の各状況をそのまま放置することは,競争入札の参加者間の公正かつ真しな競争により地方公共団体にとって最も有利な契約締結を保障しようとする競争入札という方式による契約の制度趣旨が根本から否定されることにもなりかねない上,都の財産上の利益を不当に害するおそれがあるから,本件各非開示金額に含まれる情報を公にすることにより,警察官の制服等の購入のために実施する競争入札又は契約に関する事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある旨主張するので,以下,検討する。 ウ被告の主張する状況が生ずる具体的なおそれについて(ア)a本件各非開示金額の一つである予定価格は,契約価格の一応の基準となる価格として,普通地方公共団体が契約を締結する場合にあらかじめ算出するものであるから,物品の購入契約を競争入札の方法により締結した後,上記競争入札の方法により購入された物品と同一又は同種の物品の購入契約を再び競争入札の方法により締結しようとするとき(以下,既に行われた競争入札を「前の競争入札」といい,次 に行おうとする競争入札を「次の競争入札」という。)に,前の競争入札に 種の物品の購入契約を再び競争入札の方法により締結しようとするとき(以下,既に行われた競争入札を「前の競争入札」といい,次 に行おうとする競争入札を「次の競争入札」という。)に,前の競争入札における予定価格が前の競争入札に係る契約の締結後に開示されると,これに基づいて次の競争入札の予定価格を推察することができる。特に,物品の競争入札においては,公共工事等の場合と比べて予定価格を算出する際に考慮される構成要素が少ないので,前の競争入札からそれほどの時を経過していない時点において実施される次の競争入札においては,その予定価格を相当の精度をもって容易に推察することができると考えられる。殊に,警察官の制服のような物品は,成果品を反復継続して購入するものであるから,当該物品の発注数や品目(例えば,夏服上衣,冬服上衣など)が同様であれば,次の競争入札における予定価格が前の競争入札における予定価格と同額又はそれに近い金額になることは容易に想定することができるのであり,その上,過去数年間の当該物品の購入契約の予定価格の推移及び当該物品の成果品の仕様書とを比較して調査分析した結果も加味すれば,次の競争入札における予定価格が判明し,又は相当の精度をもって推察されることになるということができる。 bまた,本件各非開示金額の一つである契約目途額は,取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡,履行期間の長短等を考慮して適正に設定するものであるが,予定価格を算出する基準であり,実質的に予定価格の上限としての性質を有するとともに,予定価格と極めて近似した金額であることからすると,前の競争入札における契約目途額が前の競争入札に係る契約の締結後に開示されると,予定価 格が開示された場合と同様の事態が生ずるというべきである。 cさらに,本件各非開 金額であることからすると,前の競争入札における契約目途額が前の競争入札に係る契約の締結後に開示されると,予定価 格が開示された場合と同様の事態が生ずるというべきである。 cさらに,本件各非開示金額の一つである見積書比較価格は,予定価格から消費税及び地方消費税の額を控除した残額であり,予定価格そのものといえるから,前の競争入札における見積書比較価格が前の競争入札に係る契約の締結後に開示されると,予定価格が開示された場合と同様の事態が生ずるというべきである。 dそうすると,物品の購入契約を競争入札の方法により締結した後に,当該競争入札における予定価格,契約目途額又は見積書比較価格を開示すると,その後に当該物品と同一又は同種の物品の購入契約を競争入札の方法により締結しようとして行う際の競争入札においてその予定価格を相当の精度をもって推察することができることになるというべきである。 (イ)そして,このように次の競争入札における予定価格が相当の精度をもって推察される場合においては,次の競争入札に参加する物品の納入業者は,これによって次の競争入札において落札の可能な金額の目安を入手することができることになり,その結果,真剣な見積り作業を行う意欲を失わせることになり,適正な競争が阻害されて,落札価格が予定価格に近接して高止まりの金額になるという事態の発生が十分に予想されるところであり,また,談合を誘発するおそれも考えられるところである。 (ウ)そうすると,物品の購入契約の予定価格,契約目途額及び見積書比較価格を契約締結後に公表することにより弊害が生ずるおそれは,単な る抽象的な可能性にとどまらず,具体的なおそれであると認めることができるのであり,また,上記弊害によって,競争入札の参加者間の公正かつ真しな競争により普通地方公共団体 害が生ずるおそれは,単な る抽象的な可能性にとどまらず,具体的なおそれであると認めることができるのであり,また,上記弊害によって,競争入札の参加者間の公正かつ真しな競争により普通地方公共団体にとって最も有利な契約締結を保障しようとする競争入札という方式による契約の制度趣旨が根本から否定されることにもなりかねず,その結果,都の機関である警視庁の財産上の利益を不当に害するおそれがあるということができるのであって,競争入札における透明性を向上させることによって予算の効率的な執行を図ることができるという,物品の購入契約の予定価格を契約締結後に公表することの利点を考慮しても,上記弊害は,なお看過し得ない程度のものであると認めることができる。 (エ)a原告は,47都道府県のうち20府県が警察官の制服の予定価格を公表していること(甲37)からすると,予定価格の公表によって何ら具体的な支障がないことは明らかである旨主張する。 b確かに,入札手続の透明化のためには予定価格が事後発表されるべきであるという考え方が有力になってきており,談合その他の不正行為を誘発するおそれについては,その監視及び取締体制の強化によって対処すべきであるということもできる。 しかし,物品の購入契約の予定価格,契約目途額及び見積書比較価格を契約締結後に公表することによって弊害が生ずる具体的なおそれがあることは,前示のとおりであって,これを考慮すれば,普通地方公共団体は競争入札に係る物品の購入契約の予定価格を必ずその競争入札後に公表しなければならないとまでいうことはできず,開示によ る弊害を重視してこれを非開示とした被告の判断にも相当の理由があるのであって,直ちにこれを違法と断ずることはできないというべきである。 (3)小括以上によれば,本件各非開示金額に含まれ よ る弊害を重視してこれを非開示とした被告の判断にも相当の理由があるのであって,直ちにこれを違法と断ずることはできないというべきである。 (3)小括以上によれば,本件各非開示金額に含まれる情報は本件条例7条6号所定の非開示情報に該当するということができる。 結論 よって,原告の請求は,前記判示の限度で理由があるからその限度でこれを認容し,その余はいずれも理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部杉原則彦裁判長裁判官鈴木正紀裁判官松下貴彦裁判官 別紙1(1)本件条例1条この条例は,日本国憲法の保障する地方自治の本旨に即し,公文書の開示を請求する都民の権利を明らかにするとともに情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定め,もって東京都(以下「都」という。)が都政に関し都民に説明する責務を全うするようにし,都民の理解と批判の下に公正で透明な行政を推進し,都民による都政への参加を進めるのに資することを目的とする。 (2)本件条例2条1項この条例において「実施機関」とは,…(略)…警視総監…(略)…をいう。 2項この条例において「公文書」とは,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真,フィルム及び電磁的記録(…(略)…)であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が保有しているものをいう。(以下省略)(3)本件条例5条次に掲げるものは,実施機関に対して公文書の開示を請求することができる。 1号(省略)2号都の区域内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体3号から5号まで(省略) (4)本件条例7条 は,実施機関に対して公文書の開示を請求することができる。 1号(省略)2号都の区域内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体3号から5号まで(省略) (4)本件条例7条実施機関は,開示請求があったときは,開示請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報(以下「非開示情報」という。)が記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該公文書を開示しなければならない。 1号(省略)2号個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。 イ法令等の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報ロ人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報ハ当該個人が公務員等(国家公務員法(…(略)…)第2条第1項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(…(略)…)第2条第2項に規定する特定独立行政法人及び日本郵政公社の役員及び職員を除く。),独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(…(略)…)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。 以下同じ。)の役員及び職員並びに地方公務員法(…(略)…)第2条に規定する地方公務員をいう。)である場合において,当該情報がそ の職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分3号から5号まで(省略)6号都の機関又は国,独立行政法人等若しくは他の地方公共団体 の職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分3号から5号まで(省略)6号都の機関又は国,独立行政法人等若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものイ監査,検査,取締り又は試験に係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれロ契約,交渉又は争訟に係る事務に関し,国,独立行政法人等又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれハ調査研究に係る事務に関し,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれニ人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれホ国若しくは地方公共団体が経営する企業又は独立行政法人等に係る事業に関し,その企業経営上又は事業運営上の正当な利益を害するおそれヘ大学の管理又は運営に係る事務に関し,大学の教育又は研究の自由が損なわれるおそれ 7号(省略)以上 別紙2 争点1(本件各非開示氏名に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)本件各非開示氏名の本件条例7条2号本文該当性についてア本件条例7条2号本文にいう「特定の個人を識別することができる」とは,氏名,住所,生年月日その他の記述等により特定の個人であると明らかに識別することができ,又は識別される可能性がある場合をいい,同号本文にいう「他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができるもの」とは,その情報自体からは特定の個人を識別すること かに識別することができ,又は識別される可能性がある場合をいい,同号本文にいう「他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができるもの」とは,その情報自体からは特定の個人を識別することはできないが,当該情報と他の情報とを照合することにより,特定の個人を識別することができることとなる情報をいい(乙6),公務員の氏名は,公務員の職務遂行に係る情報に含まれる場合であっても,これを公にした場合,公務員の私生活に影響を及ぼすおそれがあり得ることから,個人情報として保護に値すると位置付け,本件条例7条2号ただし書により開示及び非開示の判断を行うこととなる。 イ本件各非開示氏名は,契約締結起案文書の起案者の氏名であり,個人に関する情報で特定の個人を識別することができる情報であるから,本件条例7条2号本文に該当する。 (2)本件各非開示氏名の本件条例7条2号ただし書非該当性についてア(ア)警察活動は,一般に権力的に人の行為の自然の自由を制限する ものであり,具体的には犯罪の捜査,被疑者の逮捕,交通の取締り,行政処分の執行,職務質問など,諸々の形態の職務執行を通じて公共の安全と秩序の維持に当たるものである(警察法2条1項)から,警察活動としての職務執行の相手方の中には,警視庁の職員が正当な職務執行をしているにもかかわらず,これを逆恨みして,様々な手段と態様で報復等をする場合がある。 他方,警視庁の職員といえども,家庭に入れば,一市民として平穏かつ安全な生活を送り,プライバシーを含めてその私生活を脅かされない権利を有する。 仮に,本件条例に基づく情報公開制度を通じて警視庁の職員の氏名のみならず警視庁全体の組織構成等を知り得ることになると,氏名を公にされた警視庁の職員及びその家族が無用の不安と恐怖を感じざるを得ない事態にもなり,こ に基づく情報公開制度を通じて警視庁の職員の氏名のみならず警視庁全体の組織構成等を知り得ることになると,氏名を公にされた警視庁の職員及びその家族が無用の不安と恐怖を感じざるを得ない事態にもなり,これによって個々の職員の職務執行がい縮し,ひいては公共の安全と秩序の維持に当たる警視庁の活動が停滞し,又は低調となり,公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがある。 そのため,警視庁は,その職員及び家族に対するテロ又はゲリラ,脅迫,嫌がらせ等の行為を防止して,その生命,身体及び財産の安全を確保し,職員が安心して警察活動に従事することができるようにするために職員録の類を作成せず,また,慣行として都民との信頼関係を築き,警察活動を円滑に進める上で,都民に対して,管理職又は同相当職の立場にある職員(警視庁本部にあっては課長代理 (管理官)以上,警察署にあっては課長以上)の氏名,役職及び配置所属を公にすることとし,人事異動の際には,その内容を主要な新聞において公表している(乙7の1から6まで)ものの,それ以外の職員の氏名については公にしておらず,公にすることを予定していないのであり,また,警視庁の職員の氏名をその階級等にかかわらずこれを一般公開することを定めた法令等の規定も存在しないのである。 (イ)したがって,管理職又は同相当職の立場にある職員以外の警視庁の職員の氏名は,本件条例7条2号ただし書に該当しない。 イ本件各非開示氏名は,契約締結起案文書の起案者の氏名であり,同人の役職は装備課主査,すなわち,管理職又は同相当職の立場にある職員以外の警視庁の職員であるから,本件条例7条2号ただし書には該当しない。 争点2(本件各非開示印影に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)本件各非開示印影の 警視庁の職員であるから,本件条例7条2号ただし書には該当しない。 争点2(本件各非開示印影に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)本件各非開示印影の本件条例7条2号本文該当性について警視庁の職員が公文書に押印したり,決裁を押印によって行ったりした場合には,上記押印の際に用いた印章に刻まれた職員の姓が鮮明に印影となって公文書に顕出されるため,その印影自体又は他の情報と照合することにより,押印をした職員を容易に識別することができる。 本件各非開示印影のうち,入札経過調書中の「被服係長」欄の各印影は,装備課被服係長の職にある者の印影であり,また,入札経過調書中 の「主査」欄の各印影は,装備課主査の職にある者の印影であり,また,入札経過調書中の「担当者」欄の各印影は,装備課入札担当者の職にある者の印影であり,また,入札経過調書(文書番号第3号)中の「P1㈱α営業所」の「第1回入札金額」欄の数字の訂正印の印影,入札経過調書(文書番号第3号)中の「㈱P2」の「第1回入札金額」欄の数字の訂正印の印影及び入札経過調書(文書番号第5号)中の「P3㈱」の「第1回入札金額」欄の数字の訂正印の印影は,いずれも装備課入札担当者の職にある者の印影であり,また,契約締結起案文書中の「起案」欄のうち,「主査」欄の各印影は,装備課主査の職にある者の印影であり,また,契約締結起案文書中の「起案」欄のうち,「事務担当者」欄の各印影は,装備課入札担当者の職にある者の印影であり,また,契約締結起案文書中の「審議」欄のうち,「係長」欄の各印影は,装備課被服係長の職にある者の印影である。 そして,本件各非開示印影中には,装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職にある者の姓が,鮮明に顕出されているため,本件各非開示 欄の各印影は,装備課被服係長の職にある者の印影である。 そして,本件各非開示印影中には,装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職にある者の姓が,鮮明に顕出されているため,本件各非開示印影,開示されている装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職及びその他の情報を総合すれば,高い確率において装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の氏名を特定することができる。 そうすると,本件各非開示印影を含む入札経過調書及び契約締結起案文書の決裁者及び起案者の起案に関する情報は,入札経過調書及び契約締結起案文書の決裁者及び起案者の個人に関する情報で,かつ,入札経 過調書及び契約締結起案文書の決裁者及び起案者の印影により当該決裁者及び起案者を識別することができるものであるから,本件条例7条2号本文に該当する。 (2)本件各非開示印影の本件条例7条2号ただし書非該当性について本件各非開示印影は,入札経過調書及び契約締結起案文書の決裁者及び起案者の印影であり,同人らの役職は,装備課被服係長,装備課主査又は装備課入札担当者,すなわち,管理職又は同相当職の立場にある職員以外の警視庁の職員であるから,本件条例7条2号ただし書イには該当せず,本件各非開示印影に含まれる情報は,同号ただし書には該当しない。 争点3(本件各非開示金額に含まれる情報が,本件条例7条6号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)契約目途額,予定価格及び見積書比較価格の意義についてア契約目途額とは,契約の発注者である普通地方公共団体の担当者が,景気の動向や消費者物価指数,取引の実例価格,需給の状況等を勘案して,標準的な業者から物品等を調達する場合に必要と思われる適正な費用をあらかじめ推測し算出した金額,すなわち,契約における予算額であり, の動向や消費者物価指数,取引の実例価格,需給の状況等を勘案して,標準的な業者から物品等を調達する場合に必要と思われる適正な費用をあらかじめ推測し算出した金額,すなわち,契約における予算額であり,実質的に予定価格の上限としての性質を有するとともに,予定価格と極めて近似した金額である。 イ予定価格とは,普通地方公共団体が契約を締結する場合にあらかじめ算出する契約価格の一応の基準となる価格である。普通地方公共団体は,競争入札に付する場合には,予定価格の制限の範囲内で最低の 価格をもって申込みをした者を契約の相手方とすると定められている(地方自治法234条3項)から,予定価格は,実質的に契約予定金額の上限としての性質を有している。予定価格は,取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡,履行期間の長短等を考慮して適正に計算した金額,すなわち,契約目途額を基礎として,金額(消費税及び地方消費税の額を含む。)が決定される。 ウ契約締結起案文書中の「予定価格」欄のうち,見積書比較価格とは,予定価格から消費税及び地方消費税の額を控除した残額である。これは,契約の相手方の見積金額が消費税及び地方消費税の額を含まない金額であることから,契約の相手方の見積金額(税抜き)と予定価格(税込み)との比較を容易にするためのものである。 (2)本件各非開示金額の本件条例7条6号該当性についてア本件条例7条6号柱書にいう「当該事務又は事業」には,同種の事務又は事業が反復される場合の将来の事務又は事業も含まれる。 イ契約締結起案文書中の「契約目途額」欄に記載されている契約目途額の金額は,いずれも装備課が実施した競争入札又は随意契約における契約目途額そのものであり,また,入札経過調書中の「予定価格」欄に記載された予定価格の金額並びに契約締結起案文書中 されている契約目途額の金額は,いずれも装備課が実施した競争入札又は随意契約における契約目途額そのものであり,また,入札経過調書中の「予定価格」欄に記載された予定価格の金額並びに契約締結起案文書中の「予定価格」欄に記載された予定価格の金額及び見積書比較価格の金額は,いずれも装備課が実施した競争入札又は随意契約における予定価格そのものであるから,都の機関である警視庁が行う競争入札又は契約という事務に関する情報に該当する。 ウ次のとおり,本件各非開示金額を公開することには弊害があり,これを回避する必要がある。 (ア)a物品の予定価格は,取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡,履行期間の長短等を考慮して適正に設定するものであり,入札の前後を問わず,予定価格を公表すると,予定価格と落札価格から「落札価格の予定価格に対する割合」を算定することができ,以後の同種物品の調達における予定価格が類推される可能性がある。 また,物品の入札の場合には,公共工事の場合と比べて予定価格を算出する際に考慮される構成要素が少ないため,予定価格を公表すると,積算の考え方がより分かりやすくなり,今後,反復継続して行われる同種契約の予定価格が判明し,又は高い精度で推測されるおそれがある。殊に,警察官の制服のような物品の場合には,成果品を反復継続して購入するものであるから,入札後に予定価格を公表すると,次回に発注する制服の発注数や品目(夏服上衣,冬服上衣など)がほとんど変わらない場合には,その予定価格が前回の予定価格と近い金額になることは容易に類推することができ,また,過去数年間の予定価格の推移及び成果品の仕様書を比較して調査分析すれば,かなり高い精度で予定価格を類推することができることになり,実質的には予定価格を事前に公表するのと同様の結果 ことができ,また,過去数年間の予定価格の推移及び成果品の仕様書を比較して調査分析すれば,かなり高い精度で予定価格を類推することができることになり,実質的には予定価格を事前に公表するのと同様の結果となる。 b契約目途額は,予定価格を算出する基準であり,実質的に予定 価格の上限としての性質を有するとともに,予定価格と極めて近似した金額であることからすると,入札の前後を問わず,契約目途額を公表すると,予定価格を類推される可能性が大であるから,予定価格の公表と同様の弊害を誘発することになる。 c見積書比較価格は,予定価格から消費税及び地方消費税の額を控除した残額であり,予定価格そのものといえるから,予定価格の公表と同様の弊害を誘発することになる。 (イ)a入札後に予定価格,契約目途額及び見積書比較価格を公表することによって,第1に,同額入札が増加し,落札業者がくじで決まるケースが増加する(乙2の1)。 b入札後に予定価格,契約目途額及び見積書比較価格を公表することによって,第2に,落札価格が高止まりとなり,適正な競争が阻害されるおそれがある。 すなわち,入札実施前に予定価格,契約目途額及び見積書比較価格がほぼ正確に類推することができる場合,入札参加者は,入札可能な積算の目安を入手する結果,業務の効率化,経費の縮減を図るなど,価格競争を勝ち抜くための企業努力をしなくなるばかりか,その価格が目安となって,競争が制限されて落札価格が高止まりとなるおそれがあり,入札業者が公表された金額にとらわれて自身で真剣な見積作業を行う意欲を失うことになって,企業努力が行われなかったり,技術的競争が失われたりするなど,結果として適正な競争が阻害されるおそれがある。したがって, 現在の警視庁の警察官の制服の契約事務は,公正で自由な競争の下で行わ ,企業努力が行われなかったり,技術的競争が失われたりするなど,結果として適正な競争が阻害されるおそれがある。したがって, 現在の警視庁の警察官の制服の契約事務は,公正で自由な競争の下で行われているということができるが,予定価格,契約目途額及び見積書比較価格を公表すれば,上記のような入札価格のばらつきがなくなり,落札価格の高止まりが生ずるおそれがあるのである。 c入札後に予定価格,契約目途額及び見積書比較価格を公表することによって,第3に,次のとおり,他の入札参加者との価格調整,すなわち,談合を誘発するおそれがあり,ひいては,予定価格直下への入札価格の集中をもたらすおそれがある。 (a)一般競争入札であれ,指名競争入札であれ,入札とは,入札参加者のうち最も普通地方公共団体に有利な価格を表示した者,すなわち,落札者と契約を締結する方法であり,入札参加者の間において談合が成立していなければ,入札参加者は,他の入札参加者との競争上,独自に積算を努力し,経営判断等を加味した入札価格を設定することになるが,他の入札参加者と競争すれば,入札価格が下がり,そのため落札することができたとしても,当該入札から得られる利潤は少なくなる。そこで,入札参加者が談合してより有利な価格で談合した入札参加者のだれかが落札することが将来にわたって望ましいという意識が芽生えるのであり,ここに談合が生ずる契機がある。 (b)予定価格の金額が幾らであるかに関する情報を入手することができないまま談合を行った場合には,談合した入札参加者 のうち,落札する予定であった者(以下「本命の入札参加者」という。)が当該入札において設定されていた最低制限価格を下回る入札をして失格し,談合した入札参加者のうち,落札する予定ではなかった他の入札参加者が落札したり,本命の た者(以下「本命の入札参加者」という。)が当該入札において設定されていた最低制限価格を下回る入札をして失格し,談合した入札参加者のうち,落札する予定ではなかった他の入札参加者が落札したり,本命の入札参加者の入札価格が予定価格を上回って指名替えの措置がとられ,談合した入札参加者以外の入札参加者が落札したりする事態が生ずる可能性があるが,予定価格が事前に判明していれば,上記の事態を回避して確実に本命の入札参加者が落札することができるというメリットが生ずるものと考えられる。 (c)しかも,予定価格が事前に判明していれば,本命の入札参加者の入札価格を予定価格直下に設定することができ,これによって談合した入札参加者の得る利益を最大限確保することが容易になる。 (d)したがって,入札後に予定価格,契約目途額及び見積書比較価格を公表することは,談合を誘発するおそれがあるばかりか,入札参加者による談合を維持し,拡大させる誘因となり,談合をより生じさせやすくなるおそれがあるというべきである(乙2の2から2の4まで)。 (ウ)そして,同額入札が増加する状況,高止まりの落札価格で契約せざるを得ない状況及び談合を誘発する状況をそのまま放置することは,入札参加者間の公正かつ真しな競争により地方公共団体にとって最も有利な契約締結を保障しようとする競争入札という方式に よる契約の制度趣旨が根本から否定されることにもなりかねない上,都(警視庁)の財産上の利益を不当に害するおそれがある。したがって,以上のような状況を回避して適正な競争の維持を図ることは,契約事務の適正な執行,ひいては税の公正な執行にもつながる。 エ以上によれば,本件各非開示金額に含まれる各情報は,都の機関である警視庁が行う入札又は契約事務に関する情報であって,公にすることにより当該 事務の適正な執行,ひいては税の公正な執行にもつながる。 エ以上によれば,本件各非開示金額に含まれる各情報は,都の機関である警視庁が行う入札又は契約事務に関する情報であって,公にすることにより当該事務又は将来の同種の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,本件条例7条6号所定の非開示情報に該当する。 (3)原告の主張に対する反論についてア原告は,「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(以下「適正化指針」という。甲39)を論拠として,予定価格は公表されるべきである旨主張する。 イしかし,適正化指針は,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(以下「適正化法」という。)の基本原則である,①入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性の確保,②入札に参加しようとし,又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争の促進,③入札及び契約からの談合その他の不正行為の排除の徹底,④契約された公共工事の適正な施行の確保を明らかにするために定められたものであって,無制限に入札及び契約に関する情報を公表することを義務付けたものではない。 そして,適正化指針は,予定価格が類推されるおそれがないと認められる場合に限って,予定価格の事後公表を認めているにすぎない。 ウ警察官の制服の入札では,前述のとおり,公共工事の場合と比べて予定価格を算出する際に考慮される構成要素が少ないため,予定価格を公表すると,積算の考え方がより分かりやすくなり,今後,反復継続して行われる同種契約の予定価格が判明し,又は高い精度で推測されるおそれがあるから,適正化指針に従ったとしても,入札後に予定価格を公表すべきではない。 以上 別紙3 争点1(本件各非開示氏名に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか それがあるから,適正化指針に従ったとしても,入札後に予定価格を公表すべきではない。 以上 別紙3 争点1(本件各非開示氏名に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)本件各非開示氏名の本件条例7条2号本文該当性についてア本件条例7条2号本文所定の非開示情報とは,①個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に係る情報を除く。)で,かつ,②特定の個人を識別することができる情報(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)であるものをいう。 しかし,そもそも本件条例7条2号がプライバシー保護型ではなく,個人識別型を採用したのは,プライバシーの具体的内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではないので,個人のプライバシーを最大限に保護するために,個人のプライバシーに関する情報であると明らかに判別することができる場合はもとより,個人のプライバシーに関する情報であると推認することができる場合も含めて,個人に関する一切の情報を原則として非開示とするという考え方に基づくものであり,そうであるとすれば,個人のプライバシーに関係のない情報は本件条例7条2号による保護の対象とはならないと解するのが合理的であるから,個人に関する情報とは,個人の私生活ないし私的事項に関する情報を指し,公にされてしかるべき情報はこれに該当しないと解するのが相当である。 そして,公務員の氏名は,特定の個人を識別することができる情報に該当するが,当該公務員の氏名が公務に関する職務上の公文書に記録されている場合には,当該公文書に当該公務員個人の私生活ないし私的事項が含まれていることはないから,公務に関する職務上の公文書に記録されている公務員の氏名は,本件条例7条2号本文には該当し に記録されている場合には,当該公文書に当該公務員個人の私生活ないし私的事項が含まれていることはないから,公務に関する職務上の公文書に記録されている公務員の氏名は,本件条例7条2号本文には該当しない。 イ本件各非開示氏名は,契約締結起案文書の起案者の氏名であるから,本件条例7条2号本文には該当しない。 (2)本件各非開示氏名の本件条例7条2号ただし書該当性についてア本件条例7条2号ただし書イにいう「法令等の規定により又は慣行として公にされ…(略)…ている情報」とは,法令等の規定や慣行により,現に何人も容易に入手することができる状態に置かれている情報をいう。 しかし,平成11年に本件条例を制定した際に本件条例7条2号をプライバシー保護型ではなく個人識別型としたことによって,本件条例の制定前から公にすることが適切ではなかった情報若しくは本件条例の制定後に公にすることが適切ではなくなった情報を開示せず,又は本件条例の制定前は公にされていなかった個人情報でも本件条例の制定後は慣行又は公にすることが予定されていればこれを開示するという事態が生じ得るわけであるが,上記事態が適法であるというには,そもそも本件条例7条2号において開示の対象となる情報が個人のプライバシーに関する情報ないしはこれに類する情報ではないから,こ れを公にすることが正当化されると説明する方が,プライバシーを最大限に保護するために本件条例7条2号を個人識別型とした趣旨に合致するというべきである。 そうすると,「慣行として公にされ…(略)…ている情報」とは,プライバシー保護と公共性との比較考量の結果,単に長年にわたって公にされていたということだけでなく,公にされてしかるべき公共性があるか,又は,プライバシーの侵害性が極めて低いか,いずれかを備えている情報をいうもの と公共性との比較考量の結果,単に長年にわたって公にされていたということだけでなく,公にされてしかるべき公共性があるか,又は,プライバシーの侵害性が極めて低いか,いずれかを備えている情報をいうものと解するのが相当である。 イまた,本件条例7条2号ただし書イにいう「法令等の規定により又は慣行として…(略)…公にすることが予定されている情報」とは,開示請求の時点では公にされていないが,将来公にすることが予定されている情報をいう。 しかし,上記アに照らせば,「公にすることが予定されている情報」とは,実施機関において公にすることが具体的に予定されている場合だけでなく,本件条例の制定前は公にされていなかったが,公共的な見地から公にされてしかるべき場合も,これに含まれると解すべきである。なぜなら,そのように解しないと,一方で,通例公にされる情報であっても,公文書の作成者が当該公文書に作成者個人を特定することができる情報が記録されていることを理由に当該公文書の公開を拒み,又は,実施機関が当該公文書の作成者の意図をおもんぱかって当該公文書の公開を拒みさえすれば,多くの行政情報が恣意的に不開示とされることになり,都政の説明責任は到底全うすることがで きなくなってしまい,他方で,公文書の作成者の意図はどうあれ,当該公文書に記録された情報がその性質上通例公にされる情報に当たるならば,作成時に個人の思想信条等といったプライバシー権の根幹に触れるような記載はしないはずであるから,公開によるプライバシー権の侵害の程度も必ずしも大きくはなく,受忍限度内にとどまるということができるからである。 そうすると,「公にすることが予定されている」か否かは,当該情報の客観的な性質上,通例公にされるものであるか否かによって判断すべきである。 ウ入札経過調書及び契約締 いうことができるからである。 そうすると,「公にすることが予定されている」か否かは,当該情報の客観的な性質上,通例公にされるものであるか否かによって判断すべきである。 ウ入札経過調書及び契約締結起案文書は,いずれも入札手続の処理に関する公文書であるから,そこに記録されている情報は,本来公金の適切な執行がされているかどうかを確認するための情報であり,都民に対して説明すべき情報である。また,入札経過調書及び契約締結起案文書に記録された警視庁の職員の氏名は,当該入札手続に関与した警視庁の職員が入札経過調書及び契約締結起案文書の作成又は決裁等の手続の処理に際して記載されるものであり,当該入札手続の責任者として,その責任主体を明示するために記載されたものである。 そうすると,入札経過調書及び契約締結起案文書に記録された警視庁の職員の氏名は,たとえ現時点においては公開を予定されていなくても,その性質上,都政に関する説明責任の一内容として都民に対して開示し,その責任主体を明確にするために,これを公開することは,都民の理解と批判の下に公正で透明な行政を推進するために必要不可 欠であるということができる。 また,入札経過調書及び契約締結起案文書に記録された警視庁の職員の氏名を公開すれば,警視庁の職員のだれが当該入札経過調書及び契約締結起案文書の作成に関与したかが明らかとなるが,当該入札手続に関する処理が適切であれば公務員として賞賛されるかもしれず,反対に不適切であれば公務員としてしかるべき責任を果たすことになろうが,これは,そもそも警視庁の職員のだれが当該入札経過調書及び契約締結起案文書の作成に関与したかが明らかとなることによるプライバシー権の侵害などではなく,当該職員の公務遂行に関する評価であるから,そもそも受忍限度論以前の問題である。ま が当該入札経過調書及び契約締結起案文書の作成に関与したかが明らかとなることによるプライバシー権の侵害などではなく,当該職員の公務遂行に関する評価であるから,そもそも受忍限度論以前の問題である。また,それ以上に当該職員の氏名が明らかになったことによって,何か回復不可能なプライバシー権の侵害が招来されるとは,入札手続処理上,想定し難いところである。 また,実際にも,行政における情報公開の要請の高まっている今日においては,既に全国の自治体で入札手続の処理に関する公文書の公開が進んでおり,入札経過調書及び契約締結起案文書のみを例外的に取り扱うべき理由は,全く見当たらない。 さらに,情報公開法の制度運営に関する検討会が平成17年3月29日付けでした「情報公開法の制度運営に関する検討会報告」(以下「検討会報告」という。甲43)は,公務員の職務遂行に係る情報に含まれる当該公務員の氏名については,私事にわたる部分を除き,原則公開とすべきであるとし,また,総務省取扱方針は,公務員の職務 遂行に係る情報に含まれる当該公務員の氏名については,氏名を公にすることにより情報公開法5条2号から6号までに掲げる不開示情報を公にすることとなるような場合又は氏名を公にすることにより個人の権利利益を害することになるような場合を除き,開示することとし,今後情報公開法に基づく開示請求がされた場合には,「慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報」(情報公開法5条1号ただしイ)に該当するものとして,開示されることになる。 以上によれば,入札経過調書及び契約締結起案文書に記録された氏名は,その性質上通例公にされるべき情報に当たるというべきであり,本件条例7条2号ただし書イに該当する。 エ本件各非開示氏名は,契約締結起案文書中の「起案」欄のうち,「主査」 案文書に記録された氏名は,その性質上通例公にされるべき情報に当たるというべきであり,本件条例7条2号ただし書イに該当する。 エ本件各非開示氏名は,契約締結起案文書中の「起案」欄のうち,「主査」欄に記録された氏名であるが,これは,契約締結起案文書の作成に関する責任主体を明らかにするために記載されたものであり,当該随意契約を適切かつ妥当に行ったか否か,当該随意契約の結果を適切に記録しているか否か等を確認するためには,その性質上通例公にされるべき情報であるというべきであるから,本件条例7条2号ただし書イに該当する。 争点2(本件各非開示印影に含まれる情報が,本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)本件各非開示印影の本件条例7条2号本文該当性についてア通常,印影は,氏名と組み合わせることによって,初めて当該個人による作成の真正を法律上推定させる機能を有するものである(民事 訴訟法228条4項)。実際にも印影は,姓のみのものが大部分であり,公務員が職務上使用する印鑑も,三文判等の普及品であることが多く,同一又は類似の印影も多数使用されており,さらには,公務員が職務上使用する印影は実印ではないから,印鑑登録されていることもあり得ない。 そうすると,一般的には,姓のみから成る印影だけでは,当該個人の姓が識別されるだけであり,名までは識別されないから,特定の個人を識別することができるとはいえない。 イ本件各非開示印影は,決裁印又は訂正印として印影しかなく,印影に対応する氏名が記載されていないから,特定の個人を識別することができる情報には該当しない。 したがって,本件各非開示印影は,個人に関する情報で特定の個人が識別される得るものには該当しない。 (2)本件各非開示印影の本件条例7条2号ただし書イ該当性につい ことができる情報には該当しない。 したがって,本件各非開示印影は,個人に関する情報で特定の個人が識別される得るものには該当しない。 (2)本件各非開示印影の本件条例7条2号ただし書イ該当性についてア前述したところによれば,入札経過調書及び契約締結起案文書に記録された本件各非開示印影は,その性質上通例公にされるべき情報に当たるというべきであり,本件条例7条2号ただし書イ所定の例外的開示情報に該当する。 イ本件各非開示印影のうち,契約締結起案文書中の「起案」欄の「主査」欄に記録された印影については,「主査」欄には,当該印影を印章によって顕出した警視庁職員の氏名も記録されているから,これと相まって,特定の個人を識別することができる情報に該当するという ことができる。しかし,上記印影は,契約締結起案文書の作成責任者を明示するために警視庁職員が印章によって顕出したものであり,入札手続を適切に行ったか否か,入札手続の経過及び結果を適切に記録しているか否か等を確認し,これらを明らかにするためには,その性質上通例公にされるべき情報であるというべきであるから,本件条例7条2号ただし書イ所定の例外的開示情報に該当する。 争点3(本件各非開示金額に含まれる情報が,本件条例7条6号所定の非開示情報に該当するか。)について(1)本件条例7条6号が情報の非開示によって保護される法益を事務又は事業の適正な遂行と規定していることに照らせば,情報の開示によって発生する支障は,名目的なものではなく実質的なものに限る趣旨であり,支障が生ずるおそれも,抽象的可能性では足りず,具体的支障が生ずる蓋然性を要する趣旨であると解すべきである。 (2)しかし,次のアからカまでによると,本件各非開示金額の開示は,都の機関である警視庁が行う競争入札若しくは契約事務又 性では足りず,具体的支障が生ずる蓋然性を要する趣旨であると解すべきである。 (2)しかし,次のアからカまでによると,本件各非開示金額の開示は,都の機関である警視庁が行う競争入札若しくは契約事務又は将来の同種の事務の適正な遂行にいかなる実質的又は具体的な支障も及ぼすおそれがあるものではない。 ア警察官の制服の入札では入札参加者が毎回ほとんど同じであり,入札参加者が仕入れる制服の生地の仕入先は同一であるといわれているから,制服の生地の仕入価格はどの入札参加者でもほとんど同じになるはずであるから,入札価格に差が出るのは,人件費くらいである。 そして,同じ品質の同じ規格の製品について毎年入札に参加していれ ば,予定価格が事後に公表されなくても,次回に警視庁が発注する警察官の制服の予定価格をほぼ正確に予測することができるようになる。 したがって,予定価格を事後に公表するか否かによって,入札参加者が予定価格をかなり高い精度で類推することができるか否かが左右されるものではない。 イ反復継続的な物品購入,例えば,A4版コピー用紙の予定価格は,47都道府県のうち31府県がこれを公表しており,また,警察官の制服の予定価格は,20府県がこれを公表していること(甲37)からすると,予定価格の公表によって,何ら具体的な支障がないことは,明らかである。 ウ予定価格を公表すると,最低制限価格での同額入札が増え,落札者がくじ引きで決まることが激増していると評価することができるような事実があるとはいえない。 むしろ最低制限価格での同額入札によりくじ引きがされるケースがある(乙2の1)というのは,予定価格,契約目途額及び見積書比較価格の公表によって,談合を防止することができる効果を期待することができることを意味する。 また,入札制度は,入札参加者間の公正かつ がある(乙2の1)というのは,予定価格,契約目途額及び見積書比較価格の公表によって,談合を防止することができる効果を期待することができることを意味する。 また,入札制度は,入札参加者間の公正かつ真しな競争により普通地方公共団体にとって最も有利な契約締結を保障しようとする制度であるから,発注者である普通地方公共団体が定めた最低制限価格での発注が確保されることは,普通地方公共団体にとって最も有利な契約締結を実現することができることとなるのであって,入札契約制度な いしその事務にとって何ら支障となるものではない。 エ予定価格が公表されても,落札しようとする入札参加者は,他の入札参加者よりも入札金額を低くしなければ,落札することはできないから,予定価格が公表されたからといって,直ちに入札参加者が競争意欲を失って,競争せずに予定価格に極めて近い価格で入札するなどという事態が生ずるわけがない。 また,契約金額自体及び各入札参加者の各入札価格は,事後に公表されているから,事前又は事後に予定価格が公表されることによって,入札参加者が真剣な見積作業を行う意欲を失う等の弊害が生じることは,あり得ない。 オ入札参加者が他の入札参加者と談合していない場合には,予定価格が事前に公表されていても,他の入札参加者の入札行動が読めなければ,落札することは不可能であるから,予定価格の公表が談合の誘因にはなり得ない。 また,入札参加者が談合している場合には,予定価格があらかじめ把握されていると否とに関係なく,本命の入札参加者は,予定価格に密接した水準で受注することが可能である。なぜなら,入札参加者全員の入札価格が数回入札を繰り返しても,予定価格を超えている場合には,相対的な最低入札者との間で随意契約を締結することが認められている(地方自治法施行令167条の 可能である。なぜなら,入札参加者全員の入札価格が数回入札を繰り返しても,予定価格を超えている場合には,相対的な最低入札者との間で随意契約を締結することが認められている(地方自治法施行令167条の2第1項6号)ので,本命の入札参加者の予定入札価格を常識的な水準よりも高めに設定し,かつ,他の入札参加者の予定入札価格を本命の入札参加者の予定入札価格よ りも相対的に高く設定すれば,最終的には本命の入札参加者が落札することができ,目的を達することができるからである。 したがって,予定価格の公表が談合を誘発することはない。 カ(ア)建設業法に基づく建設大臣の諮問機関であった中央建設業審議会の平成5年12月建議における多数意見は,予定価格を公にすることにより,今後,反復,継続して行われる同種契約の予定価格が判明し,又は高い精度で推測されることから,適正な入札や契約事務等の遂行に支障を及ぼすおそれがあるというものであった。しかし,行政改革委員会法に基づく内閣総理大臣の諮問機関であった行政改革委員会は,平成9年12月に発表した「最終意見」において,「予定価格の事後発表には,発注者がコスト縮減努力をしているか,コスト縮減に反することをしていないかについて,納税者等が関心を持ち,監視することを可能とする条件を整えるというメリットがある」と指摘し,同月20日に上記「最終意見」を「最大限尊重し…(略)…所要の施策を実施に移す」ことが閣議決定されると,中央建設業審議会は,平成10年2月4日建議において,「予定価格の事後公表が,不正な入札の抑止力となり得ることや,積算の妥当性の向上に資することから,これに踏み切り,その具体的な方法等について検討を開始すべきである」とし,建設省建設経済局長と自治省行政局長は,連名で,上記建議等の趣旨を踏まえた入札手続の透 ,積算の妥当性の向上に資することから,これに踏み切り,その具体的な方法等について検討を開始すべきである」とし,建設省建設経済局長と自治省行政局長は,連名で,上記建議等の趣旨を踏まえた入札手続の透明化をすべての地方公共団体に要請するに至り,平成12年11月27日には適正化法が制定され,適正化法15条に基づく適正化指 針が平成13年3月9日に閣議決定された。 適正化指針は,「入札及び契約に関する透明性の確保は,公共工事の入札及び契約に関し不正行為の防止を図るとともに,国民に対してそれが適正に行われていることを明らかにする上で不可欠であることから,入札及び契約に係る情報については,公表することを基本とし,法第2章に定めるもののほか,次に掲げるものに該当する者がある場合においては,それについて公表することとする。」として,適正化法第2章で定める情報(入札金額,契約金額等)のほか,「予定価格及びその積算内訳」が公表すべき情報に指定され(甲39),公表の時期について,「地方公共団体においては,法令上の制約はないことから,各団体において適切と判断する場合には,事前公表を行うこともできるものとする。」と明言した。 平成15年度には,公共工事の予定価格を事後的にも公表しないという団体は,都道府県及び政令指定都市では皆無であり,47都道府県のうち42団体及び13政令指定都市の全部は,全案件又は一部の案件について予定価格を入札執行前に公表している(甲40)。 (イ)予定価格が公表されることによって,初めて当該予定価格の設定水準自体の適否を広く国民又は識者の吟味の対象とすることができ,また,入札者の入札行動の一貫性の有無をチェックすることが可能となる。そのため適正化指針は,「予定価格及びその積算内訳」の公表を奨励しているのである。 (ウ) 者の吟味の対象とすることができ,また,入札者の入札行動の一貫性の有無をチェックすることが可能となる。そのため適正化指針は,「予定価格及びその積算内訳」の公表を奨励しているのである。 (ウ)本件非開示金額は,警察官の制服という物品の購入契約の予定価格,契約目途額及び見積書比較価格であって,適正化指針で取り上げられている工事請負契約とは別種の類型の契約である。しかし,地方自治法234条に定める入札制度及び予定価格制度は,契約の種類の別なく適用され,また,予定価格の事前開示によって入札参加者の談合が誘発されるという因果関係が存在しないことも,すべての種類の契約に通じて共通に確認し得ることであるから,上記イは,本件各非開示金額にも当てはまるというべきである。 (3)以上によれば,本件各非開示金額を公にすることにより当該事務又は将来の同種の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるということはできない。 以上
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