平成20(行ウ)588 所得税更正処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成22年3月26日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文25,120 文字)

- 1 -主文 本件訴えのうち,処分行政庁に対し原告の平成17年分の所得税について減額更正処分の義務付けを求める部分をいずれも却下する。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求(主位的請求) 処分行政庁が平成19年6月15日付けでした原告の平成17年分の所得税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 処分行政庁は,原告の平成17年分の所得税について,別紙1の「あるべき税額」欄記載のとおり減額更正処分をせよ。 (予備的請求) 処分行政庁が平成19年6月15日付けでした原告の平成17年分の所得税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 処分行政庁は,原告の平成17年分の所得税について,別紙2の「あるべき税額」欄記載のとおり減額更正処分をせよ。 第2事案の概要原告の夫は,訴外会社に対して所有する土地上の建物等を賃貸していたところ,夫の死亡により賃貸人の地位を承継した原告は,当該賃貸借契約を合意解約した際,賃借人から預託されていた保証金の返還義務を免除された。原告は,平成17年分の所得税の確定申告に際して,上記免除による利益(以下「本件利益」という)を不動産所得に係る総収入金額に算入し,また,確定申告書に所得税法。 (平成18年法律第10号による改正前のもの。以下「法」という)90条4。 項所定の同条1項の平均課税の適用を受ける旨等の記載をせずに確定申告をしたが,その後,本件利益は臨時所得に当たり平均課税が適用されるべきであると主- 2 -張して更正の請求をしたものの,処分行政庁は,当該請求には理由がない旨の通知(以下「本件処分」という)をした。本件は,原告が,①主位的に本件利益。 の一部は一時所 用されるべきであると主- 2 -張して更正の請求をしたものの,処分行政庁は,当該請求には理由がない旨の通知(以下「本件処分」という)をした。本件は,原告が,①主位的に本件利益。 の一部は一時所得に当たる,②予備的に本件利益は臨時所得に当たり,平均課税が適用されるべきであると主張して,本件処分の取消し及び処分行政庁が原告の主張に沿った内容の減額更正処分をすることの義務付け(以下,本件訴えのうち当該請求に係る部分を「本件義務付けの訴え」という)を求めた事案である。 。 争いのない事実等(証拠等によって認定した事実は末尾に証拠等を掲記する)。 (1)原告の夫であったP1と株式会社P2(以下「本件賃借人」という)。 は,平成2年9月22日,P1が所有する土地(以下「本件土地」という)上に建築する予定の建物(以下「本件建物」という)及び駐車場。 。 (以下,本件建物と併せて「本件建物等」という)について,以下の趣旨。 の記載がある「建物及び駐車場賃貸借予約契約書(甲2の4。以下「本件」予約契約書」という)に基づき,賃貸借の予約契約(以下「本件予約契。 約」という)を締結した(弁論の全趣旨。 。 )アP1と本件賃借人は,P1が後記の敷地(本件土地)上に本件賃借人が指定する仕様により本件建物の建築等をして,本件賃借人に賃貸することをあらかじめ約定する(前文,1条。 )敷地の所在千葉市α×番3敷地面積1186.74m2建物の構造鉄骨2階建日本瓦葺建物の床面積412m2付属駐車場アスファルトコンクリート舗装37台イ予約期間は,本件建物等の建築工事の竣工及び引渡日までとし,本件賃借人は,P1が本件賃借人に本件建物等を引き渡した日をもって予約を完結する(2条。 )- 3 -ウP1と本件賃借人は,予約完結の日をもって, 本件建物等の建築工事の竣工及び引渡日までとし,本件賃借人は,P1が本件賃借人に本件建物等を引き渡した日をもって予約を完結する(2条。 )- 3 -ウP1と本件賃借人は,予約完結の日をもって,本件予約契約書の10条以下の条項をもって本契約を締結する。P1と本件賃借人は,合意の上,同契約書の同条以下の部分をもって,本契約の契約書に代えることができる(3条1項,3項。 )エ本件賃借人は,P1に対し,本件予約契約の締結と同時に,予約証拠金として500万円を預託する。当該証拠金は,予約完結の時に後記ケの敷金の一部に充当する(6条1項,2項。 )オP1と本件賃借人は,協議の上,本件建物等の建築工事が着手されるまでに本件建物等の工事予算を定める(8条。P1と本件賃借人は,協議)の上,8条によって確定した工事予算について,それぞれが費用を負担する工事項目等を定める(9条1項。 )カ本件賃借人は,本件建物等を本件賃借人が営業する店舗(レストラン)及びその駐車場として使用することとし,このほかの用途に使用することはできない(10条本文。 )キ賃貸借期間は,予約完結の日から15年とする。P1又は本件賃借人が,期間満了の6か月前までに,相手方に対し,文書をもって期間更新拒否の意思表示をしないときは,賃貸借は1年間更新される(11条。 )ク賃料は,1か月240万円とし,本件賃借人は,毎月末日限りその翌月分の賃料を支払う。賃料は,3年を経過するごとに6%を最低基準として,P1と本件賃借人が協議した上改定する(12条1項,2項。 )ケ本件賃借人は,賃料の支払,損害の賠償,その他の本契約により生ずる債務を担保するため,敷金として500万円を予約完結と同時にP1に預託する。敷金は無利息とし,本契約が終了し,本件賃借人が本件建物等を明け渡し は,賃料の支払,損害の賠償,その他の本契約により生ずる債務を担保するため,敷金として500万円を予約完結と同時にP1に預託する。敷金は無利息とし,本契約が終了し,本件賃借人が本件建物等を明け渡したときに,P1が本件賃借人に返還する(13条。 )コ本件賃借人の一方的事由により,本契約の期間満了前に本契約を中途解約する場合は,本件賃借人は,P1に対し,P1が本件建物等の建築のた- 4 -め金融機関から借り入れた資金の解約時点における残債務(以下「本件残債務」という)相当額を損害金として支払わなければならない。また,。 この場合,本件賃借人は,P1に対する保証金の返還請求権も失う(20条。以下,同条の定めを「中途解約条項」という。 。)サP1は,本契約の終了後に本件建物を利用する場合は,本件建物について模様替えを施し,本件賃借人が営業していた店舗の容姿を残存させず,かつ,当該店舗と類似しない建物にしなければならない(22条4項。 )(2)P1と本件賃借人は,平成2年9月22日,①本件賃借人が,P1の本件建物等の建築計画に協力するため,P1に対し,保証金5000万円(以下「本件保証金」という)を預託すること,②保証金は,本件建物等の工。 事契約の締結時,建物上棟時及び建物竣工引渡時の3回に分けて預託すること,③本件保証金は,賃貸借契約の終了時に,無利息で一括返済することを合意した(甲2の5。 )(3)P1と本件賃借人は,平成3年6月28日,本件予約契約が完結され,同日から本件建物等に係る賃貸借契約(以下「本件契約」という)が開始。 したことを確認するとともに,本件予約契約書の10条以下をもって,本件契約に係る契約書に代える旨を合意した(甲2の6。以下,本件予約契約書の10条以下に係る部分を「本件契約書」という。 。)(4 したことを確認するとともに,本件予約契約書の10条以下をもって,本件契約に係る契約書に代える旨を合意した(甲2の6。以下,本件予約契約書の10条以下に係る部分を「本件契約書」という。 。)(4)P1は,平成▲年▲月▲日に死亡し,相続人である原告が,本件建物等及び本件保証金返済債務を相続し,本件契約の賃貸人の地位を承継した。 (5)本件賃借人は,平成12年7月,株式会社P3との間で,同社を存続会社とする合併をしたことから,同社が本件契約の賃借人の地位を承継した(以下,当該合併の前後を問わず,株式会社P2及び株式会社P3をいずれも「本件賃借人」という。 。)(6)原告と本件賃借人は,平成17年3月,以下の趣旨の記載がある「建物賃貸借解約及び物件明渡し確認書(甲2の3。以下「本件確認書」とい」- 5 -う)に基づき,本件契約を中途解約する旨の合意(以下「本件解約契約」。 という)をした。 。 ア原告と本件賃借人は,本件賃借人の申入れにより,平成17年1月31日をもって本件契約を解約する。 イ賃料の最終支払日は,平成16年12月27日(平成17年1月分)とする。なお,本件賃借人の店舗の最終営業日は,平成16年7月31日である。 ウ本件建物内に現存する内装,設備類等は撤去等する。本件賃借人は,撤去費用260万円(消費税を除く)を全額負担することとし,その支払。 をもって本件建物等の明渡しとする。なお,本件建物等の明渡し日は平成17年3月25日とする。 エ原告が本件建物を引き続き利用する場合は,原告は,本件建物の模様替えを施させ,本件賃借人が営業していた店舗の容姿を残存させず,かつ,当該店舗と類似しない建物にしなければならない。 オ原告は,本件賃借人から預託された敷金500万円を,原告が新たなテナントと契約を締結した後,直 件賃借人が営業していた店舗の容姿を残存させず,かつ,当該店舗と類似しない建物にしなければならない。 オ原告は,本件賃借人から預託された敷金500万円を,原告が新たなテナントと契約を締結した後,直ちに本件賃借人に返還する。 カ原告は,本件賃借人から預託された本件保証金5000万円を返還しないものとする(本件利益。 )キ原告が本件建物等の建築のために金融機関から借り入れた資金で,本件契約の終了時点における残債務(本件残債務)相当額は,原告が負担する。 (7)本件契約終了時(平成17年1月31日)の本件契約における賃料は,月額210万円であった(甲1,弁論の全趣旨。 )(8)原告は,平成18年3月14日,処分行政庁に対し,平成17年分の所得税について,別紙3の「A確定申告」欄記載の内容が記載された青色の確定申告書(以下「本件申告書」という)を提出した(以下,本件申告書に。 よる所得税の確定申告を「本件申告」という)をした。原告は,本件申告。 - 6 -書において,本件利益を不動産所得の総収入金額に含めて記載しており,また,法90条4項所定の事項を記載しなかった(甲1,弁論の全趣旨。 )(9)原告は,平成19年2月27日付けで,処分行政庁に対し,本件利益は臨時所得に該当すると主張して,別紙3の「B更正の請求」欄記載の内容に更正すべき旨の更正の請求(以下「本件更正請求」という)をした(甲2。 の2,4,弁論の全趣旨。 )処分行政庁は,同年6月15日付けで,原告に対し,本件利益は臨時所得には当たらないとして,更正をすべき理由がない旨の通知をした(甲3。本件処分。 )原告は,本件処分を不服として,同年8月6日,国税不服審判所長に対し,別紙3の「D審査請求」欄記載の内容を主張して審査請求をした。同所長は,平成20年4月15日付けで, した(甲3。本件処分。 )原告は,本件処分を不服として,同年8月6日,国税不服審判所長に対し,別紙3の「D審査請求」欄記載の内容を主張して審査請求をした。同所長は,平成20年4月15日付けで,審査請求を棄却する旨の裁決をした。 (10)原告は,平成20年10月9日,本件訴えを提起した(顕著な事実。 ) 本件の主な争点本件の主な争点は,本件処分の適法性であり,主位的請求に関連して後記(1)が問題となる。また,仮に本件利益が不動産所得に当たるとした場合,予備的請求に関連して,平均課税(法90条)の適用があるか否か,具体的には後記(2)及び(3)が問題となる。 (1)本件利益の不動産所得該当性(2)本件利益の臨時所得該当性(3)法90条5項所定のやむを得ない事情があるか 争点(1)(本件利益の不動産所得該当性)についての当事者の主張の要旨(原告の主張の要旨)(1)後記アないしカの本件解約契約の締結に至る経緯によれば,本件利益の法的性質は,同契約に基づき発生した和解金である。 ア原告は,平成16年6月27日,本件賃借人から,同年7月末日で本件- 7 -建物等で営業していた店舗を閉店する旨告げられ,今後本件賃借人と撤退の条件を話し合うこととなった。 イ本件賃借人は,平成16年9月1日,原告に対し,本件建物等を使用しないものの,本件契約の期間満了まで賃料を支払い続ける旨の提案をしたが,原告は,同契約の期間が満了した場合には本件保証金の返還義務を負うこととなること等から,当該提案を断った。そこで,本件賃借人が,原告は本件残債務を負担する一方で,本件保証金の返還義務を負わないという内容で同契約を中途解約することを提案し,原告はこれを検討することとした。また,本件賃借人は,原告に新たなテナントの候補者を紹介するつもりであると 担する一方で,本件保証金の返還義務を負わないという内容で同契約を中途解約することを提案し,原告はこれを検討することとした。また,本件賃借人は,原告に新たなテナントの候補者を紹介するつもりであると述べた。 ウ原告が新たなテナントの候補者を探したところ,複数の希望者が月額100万円以上の額の賃料を提示してきた。また,本件賃借人も新たなテナントの候補者を紹介した。そのような中,株式会社P4(以下「新賃借人」という)が,平成16年12月7日,月額95万円の賃料で本件建。 物等を賃借したいとの提示をした。原告は,新賃借人が経営する店舗を訪問した際に同店舗の雰囲気を気に入ったこと等から,同月19日,新賃借人と賃貸借契約を締結することに決めた。 エ原告と本件賃借人は,平成16年12月25日,①本件賃借人は平成17年1月分までの賃料を支払うこと,②本件契約は同月31日で終了すること,③原告は新たなテナントと賃貸借契約を締結した後に敷金を本件賃借人に返還すること,④原告は本件保証金を返還する義務を負わず,他方で本件残債務を負担することについて大筋で合意した。 オ原告と新賃借人は,平成17年2月2日,本件建物等の賃貸借契約を結ぶことを正式に決定した。原告は,同月4日,新賃借人に対し,本件建物の鍵及び設計図を交付し,原告と新賃借人は,同月25日,本件建物等に関する賃貸借契約書を取り交わした。 - 8 -カ原告と本件賃借人は,原告が平成17年3月23日に本件確認書に捺印して本件賃借人に送付したことにより,本件解約契約を締結した。もっとも,本件解約契約の交渉の過程において,原告と本件賃借人が本件利益の内訳について明確に話し合ったことはなく,本件確認書にも内訳は記載されなかった。 (2)法26条1項が,不動産の貸付け「による所得」として,不動産貸付け の過程において,原告と本件賃借人が本件利益の内訳について明確に話し合ったことはなく,本件確認書にも内訳は記載されなかった。 (2)法26条1項が,不動産の貸付け「による所得」として,不動産貸付けとの間の因果関係について直接的な強い結びつきを求める文言を用いていること及び不動産貸付けの本質が目的物の使用収益であることからすれば,目的物の使用収益と直接的な強い結びつきを有しない経済的利益は,不動産所得には当たらず,一時所得又は雑所得と解すべきである。 (3)和解金のように種々の経済的利益を含む収入については,その内容に応じた所得分類をする必要がある。本件契約は,いわゆるオーダーリースであり,本来期間満了まで継続することを予定していたのであるから,通常は本件解約契約による和解金(本件利益)には賃料の補償が含まれる。しかしながら,原告及び本件賃借人は,同契約の締結時,原告が近く新たなテナントと契約して賃料収入を得ることができるようになるため,原則として賃料の補償は不要であると認識していたので,両者間で授受される経済的利益には原則として賃料の補償は含まれない。ただし,本件では,本件解約契約締結時の本件建物の賃料の相場(以下「相場賃料」という。なお,新賃借人が提示した月額95万円が原告に提示された賃料の中で最も低額であることから,同額を相場賃料とすべきである)が本件契約の当時の賃料(月額210万。 円)よりも低かったため,本件利益には,当該賃料と相場賃料との差額(以下「差額賃料」という)分の補償が含まれることとなる。 。 したがって,本件利益のうち差額賃料分(1955万円=差額賃料月額115万円×本件契約の期間満了までの残期間17か月)は,不動産の貸付けないしそれに代わる性質を有するものとして不動産所得に当たるが,これを- 9 -超える部 額賃料分(1955万円=差額賃料月額115万円×本件契約の期間満了までの残期間17か月)は,不動産の貸付けないしそれに代わる性質を有するものとして不動産所得に当たるが,これを- 9 -超える部分(3045万円)は,後記アないしウのとおり,対価性のない経済的利益の供与であるから不動産所得には当たらず,営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得であって労務その他の役務又は資産の譲渡の対価でもないので,一時所得に当たる。 ア本件解約契約において,本件建物等の原状回復費用は専ら本件賃借人が負担することとされたのであるから,本件利益には原状回復費用の補償は含まれない。 イ本件契約においては原告が模様替えをする義務を負うこととされていたが,本件解約契約においては新賃借人が模様替えをすることとされた。実際に,原告は,新賃借人に対し,本件建物等を現状のまま引き渡しており,改装費用は負担していない。したがって,本件利益には改装費用の補償は含まれない。 ウ本件解約契約の交渉の過程において,本件賃借人の本件残債務相当額(平成17年1月時点の本件残債務の額は1007万2777円であった)の支払義務は免除されたのであって,本件利益がその補償を含むと。 解することは当事者の合理的意思に反する。また,本件残債務は,本来本件契約の期間満了までの賃料収入によって賄われるべきもので,本件残債務相当額の支払義務は賃料補償の一形態であるところ,本件利益が賃料を補償している場合に,別途本件残債務相当額も補償するものとすれば,賃料を二重に補償することとなる。したがって,本件利益には本件残債務相当額の支払義務の補償は含まれない。 (4)以上のとおり,処分行政庁は,本件利益のうち(3)に述べた金額を一時所得とする更正をすべきであったのであり,本件処分は違法 がって,本件利益には本件残債務相当額の支払義務の補償は含まれない。 (4)以上のとおり,処分行政庁は,本件利益のうち(3)に述べた金額を一時所得とする更正をすべきであったのであり,本件処分は違法である。 (被告の主張の要旨)(1)不動産所得(法26条1項)とは,他人に不動産等を貸し付けたことと因果関係のある所得のうち,事業所得又は譲渡所得に該当するものを除いた- 10 -一切のものをいうと解すべきであり,不動産所得を生ずべき業務を行う居住者が受けた当該業務の休廃止その他の事由によりその収益の補償として取得する補償金等は,不動産所得に係る収入金額に含まれる(所得税法施行令(以下「施行令」という)94条1項本文,2号。原告は,不動産所得。 )を生ずべき業務を営んでいる者であるところ,本件利益は,中途解約条項を前提とする本件解約契約により返還を要しないこととなった本件保証金に係る経済的利益として不動産等を貸し付けたことと因果関係のある収入である上,賃料収入等の補償の性質も有するから,不動産所得に当たる。 (2)原告が主張する本件解約契約の締結に至る経緯を前提としても,同契約は,中途解約条項を前提に交渉が進められ,その枠内で締結されたものである。同条項は,賃料に関する規定と一体として合意されたものであり,本件賃借人は,同条項によって本件保証金の返還請求権を失うことがあることを前提に本件契約を締結した。そうすると,本件賃借人が中途解約権を行使して本件保証金の返還請求権を失ったのは,P1が本件契約の際に付した条件が成就したことによるものであり,本件利益は同契約と因果関係を有し,不動産を使用収益させる対価としての性質を有する経済的利益又はそれに代わる性質を有する利益といえるから,その全額が不動産所得に当たる。 (3)以上のとおり,本件利 本件利益は同契約と因果関係を有し,不動産を使用収益させる対価としての性質を有する経済的利益又はそれに代わる性質を有する利益といえるから,その全額が不動産所得に当たる。 (3)以上のとおり,本件利益は,不動産所得であり,一時所得には当たらない。また,被告が主張する本件処分の根拠及び適法性は,別紙4のとおりである。 争点(2)(本件利益の臨時所得該当性)についての当事者の主張の要旨(原告の主張の要旨)仮に,本件利益の全額が不動産所得に当たるとしても,本件利益は本件解約契約に基づく和解金であるところ,損害賠償金と和解金が極めて近い関係にあることからすれば,本件利益には所得税基本通達2-37(3)が準用される。 したがって,不動産に係る和解金で,その金額の計算の基礎とされた期間が3- 11 -年以上の場合には,施行令8条のいわゆる柱書きの「類する所得」として臨時所得に当たる。そして,前記3(原告の主張の要旨)のとおり,本件利益は専ら差額賃料の補償であり,その補償する差額賃料は約43か月分(=5000万÷差額賃料月額115万円)であるから,本件利益は臨時所得に当たる。 そうすると,原告の平成17年分の変動所得及び臨時所得の合計額(5000万円)は同年分の総所得金額の100分の20を超え,法90条1項所定の要件を満たすから,平均課税が適用されるべきである。 (被告の主張の要旨)前記3(被告の主張の要旨)のとおり,本件利益は原告の不動産貸付業務に係る収益の補償であるが,施行令8条3号所定の補償金に係る所得に「類する所得(同条のいわゆる柱書き)として臨時所得に当たる可能性がある。同号」にいう所得の補償とは,不動産貸付業務を継続した場合に得られたはずの所得の補償を意味し,その所得を得るために継続して生ずる費用も併せて補償すべきであるから,収入 時所得に当たる可能性がある。同号」にいう所得の補償とは,不動産貸付業務を継続した場合に得られたはずの所得の補償を意味し,その所得を得るために継続して生ずる費用も併せて補償すべきであるから,収入金額(所得額と費用の額の合計額)に相当する金額を補償して初めて所得の補償に当たるというべきである。そうすると,本件利益が臨時所得に該当するか否かは,本件利益の額が本件建物等の貸付業務に係る3年分の収入金額以上となるか否かで判断すべきであるところ,本件利益は,本件解約契約締結当時の本件建物等の賃料の3年分(7560万円)に満たないので,臨時所得に該当しない。 したがって,本件利益について平均課税を適用する余地はなく,本件申告書の税額の計算に誤りはない。 争点(3)(法90条5項所定のやむを得ない事情があるか)についての当事者の主張の要旨(原告の主張の要旨)原告補佐人税理士のP5は,平成18年2月,千葉東税務署において,本件予約契約書及び本件確認書を提出し,本件契約の賃料(月額210万円)を伝- 12 -えた上で,本件利益が臨時所得に当たるか否かについて照会した。同署の個人課税第1部門統括官P6は,同年3月8日,P5に対し,本件利益は賃料の3年分に満たないので臨時所得には当たらないが,情状酌量の余地があるので同月16日以降に更正の請求又は嘆願をしてみてはどうかと回答した。原告は,税務署職員が更正請求をするように指導したこと及び同職員が臨時所得に該当しないと回答したため,平均課税を適用して確定申告をした場合に過少申告加算税を課されることが予想されたことから,法90条4項所定の事項を記載せずに本件申告書を提出した。 以上の経緯からすれば,原告が本件申告書に同項所定の事項を記載することは現実的には不可能であり,これをしなかったことについてやむを ことから,法90条4項所定の事項を記載せずに本件申告書を提出した。 以上の経緯からすれば,原告が本件申告書に同項所定の事項を記載することは現実的には不可能であり,これをしなかったことについてやむを得ない事情が認められる。したがって,処分行政庁は,原告の所得税の計算について平均課税を適用した更正をすべきであったのであり,本件処分は違法である。 (被告の主張の要旨)法90条5項のやむを得ない事情とは,自然災害等の天災やその他本人の責めに帰すことのできない客観的な事情を意味し,個人的な事情は該当しないところ,税務指導は納税者の判断を法的に拘束するものではなく,その責任を免除するものでもない。P6が何らかの見解を述べたとしても,原告は本件利益を臨時所得として申告することもできたのであって,原告が法90条4項所定の事項を記載せずに本件申告をしたことは原告の個人的事情にすぎず,やむを得ない事情には当たらない。 したがって,仮に本件利益が臨時所得に当たるとしても,原告にやむを得ない事情は認められず,本件利益について平均課税の適用を受けることはできない。 第3当裁判所の判断 認定事実争いのない事実等(第2の1,証拠(文中掲記のもの)及び弁論の全趣旨)- 13 -によれば,以下の事実が認められる。 (1)アP1と本件賃借人は,平成3年8月26日,本件予約契約書9条1項に基づき協議した結果,本件建物等の工事予算についてそれぞれが費用を負担する工事項目等について合意した。その結果,P1は,本件建物等の建築等の費用として1億5500万円を負担することとなった(甲2の7,弁論の全趣旨。 )イ本件賃借人は,本件解約契約により,平成17年1月分までの賃料を支払うこととされたが,同月における本件残債務の額は1007万2777円であった。原告は,本件 った(甲2の7,弁論の全趣旨。 )イ本件賃借人は,本件解約契約により,平成17年1月分までの賃料を支払うこととされたが,同月における本件残債務の額は1007万2777円であった。原告は,本件残債務を平成18年2月には完済する予定であった(甲12。なお,甲12及び弁論の全趣旨によれば,P1は,平成3年2月4日,本件建物等の建築費等に充てるために金融機関から1億1000万円を借り入れたこと,原告はP1の相続人として当該債務を承継したこと及び当該債務が毎月返済されていった結果,平成17年1月には上記の額になったことが認められる。 。)(2)本件解約契約の交渉の経緯(甲8)ア本件賃借人の従業員は,平成16年6月27日,原告に対し,本件建物で営業している店舗の売上げが低迷しているため,同年7月末で同店舗を閉店する旨伝えた。原告と本件賃借人は,今後本件賃借人が同店舗から撤退するに際しての条件を協議していくこととした。 イ本件賃借人の従業員は,平成16年9月1日,原告に対し,本件建物で営業していた店舗は閉店したので本件建物を使用することはないものの,本件契約を解約せずに期間満了まで賃料を支払うとの内容の提案をしたが,原告は,未使用で放置すると本件建物が傷むこと及び同契約の期間が満了した場合には本件保証金を返還しなければならないところ,5000万円もの資金が手元にないことから,当該提案を拒否した。これを受けて,同従業員は,本件残債務を原告が負担するのであれば,原告は本件保証金を- 14 -返還の義務を負わないという条件で同契約を解約するとの内容の提案をした。原告は,この条件であれば,同契約を解約して別のテナントに賃貸することで本件建物を未使用のまま放置することを避けることができ,5000万円もの資金を用意する必要もないことから,当 内容の提案をした。原告は,この条件であれば,同契約を解約して別のテナントに賃貸することで本件建物を未使用のまま放置することを避けることができ,5000万円もの資金を用意する必要もないことから,当該提案を検討することとした。同従業員は,本件賃借人も当該提案の方向で検討する旨及び本件賃借人も新たなテナントの候補者を原告に紹介する旨返答した。 ウその後,原告は,複数の新たなテナントの候補者と協議し,本件賃借人も,新たなテナントの候補者を原告に紹介するなどしていたところ,新賃借人が,平成16年12月7日,原告に対し,本件建物等を借りたいとの申出をした。新賃借人が提示した賃料(月額95万円)は,ほかの候補者の提示額よりも低額であったが,新賃借人の社長らが原告の自宅に赴いて本件建物等を貸してほしいと要請したこと等から,原告は,新賃借人に良い印象を抱くようになった。そして,原告は,同月19日に新賃借人が経営する店舗を見学して店舗の雰囲気等を気に入ったことから,新賃借人に本件建物等を賃すことにした。 エ原告と本件賃借人の従業員は,平成16年12月25日に再び協議した結果,①本件賃借人は平成17年1月分の賃料まで支払い,本件契約は同月31日に終了すること,②敷金については,原告が新たなテナントと賃貸借契約を締結した後に本件賃借人に返還すること,③原告は本件保証金を返還する義務を負わず,本件残債務は原告が負担することについて話がまとまった。 (3)新賃借人との賃貸借契約の締結及び本件確認書作成の経緯ア原告と新賃借人は,平成17年2月2日に再度協議し,本件建物等を新賃借人に賃貸することが決まった。原告は,同月4日,新賃借人に本件建物の鍵と設計図を交付した(甲8。 )イ原告と新賃借人は,平成17年2月25日,以下の趣旨が記載された- 15 - 件建物等を新賃借人に賃貸することが決まった。原告は,同月4日,新賃借人に本件建物の鍵と設計図を交付した(甲8。 )イ原告と新賃借人は,平成17年2月25日,以下の趣旨が記載された- 15 -「駐車場付き建物賃貸借契約書」に基づき,本件建物等に関する賃貸借契約を締結した(甲5。 )(ア)原告は,新賃借人に対し,駐車場と一体となった本件土地を敷地とする本件建物を現状のまま賃貸する。新賃借人は,駐車場を含む本件土地全体を使用することができる(1条。 )(イ)新賃借人は,本件建物を新賃借人が経営する店舗(料理店)として使用する(2条。 )(ウ)原告と新賃借人は,本件建物を上記(イ)の店舗として使用するために改装する必要があることを確認し,相互に協力して改装工事を行う(3条1項。原告と新賃借人は,新賃借人が平成17年4月27日に)店舗を開業できるように,同日までに本件建物の改装工事を完了させる(4条。 )(エ)賃貸借期間は,平成17年2月25日から10年とする(5条1項。 )(オ)新賃借人は,平成17年4月27日から賃料月額95万円(消費税4万7500円)を負担する(6条1項。 )(カ)新賃借人は,原告に対し,平成17年4月27日までに,敷金285万円を預託する(9条1項,2項。 )ウ原告と本件賃借人は,前記(2)エの協議の後も,本件建物等の明渡しの方法について協議を続けた。そして,本件賃借人が平成17年3月に本件確認書を作成し,原告は同月23日に本件確認書に捺印し,本件賃借人に送付した(甲2の3,8。 )(4)本件申告に係る経緯P5が陳述書(甲6)において述べる本件申告に係る経緯は,以下のとおりである。なお,P6は,平成16年7月から平成18年7月まで,千葉東税務署において個人課税第1部門統括国税調査官 件申告に係る経緯P5が陳述書(甲6)において述べる本件申告に係る経緯は,以下のとおりである。なお,P6は,平成16年7月から平成18年7月まで,千葉東税務署において個人課税第1部門統括国税調査官を務めており,主に所得税- 16 -及び個人事業者に対する消費税の事務の総括及び調整に関する事務に従事していた(乙6。 )アP5は,平成9年から原告の所得税の確定申告手続を代理して行っていた。P5は,本件申告に際し,本件利益の臨時所得該当性の判断においては相場賃料(月額95万円)を基礎とすべきであり,本件利益は臨時所得に当たると考えた。しかしながら,過去にこのような考えに基づいて臨時所得該当性を判断した事例が見当たらなかったため,P5は,平成18年2月,千葉東税務署でP6と面会して,本件利益の臨時所得該当性について照会した。 イP6は,平成18年3月8日,P5に対し,電話で,①本件利益は月額賃料(210万円)の3年分に満たないので臨時所得に該当しない,②ただし,情状酌量の余地はあるので嘆願又は更正の請求の余地はあるのではないかと回答した。 ウP5は,上記イのP6の回答から,嘆願又は更正の請求の段階で臨時所得として処理してもらえると考えたこと及び確定申告の期限が迫っており他の方法を考える余裕がなかったことから,ひとまず本件利益を不動産所得として,平成18年3月14日に本件申告をした。 争点(1)(本件利益の不動産所得該当性)について(1)不動産所得とは,不動産,不動産の上に存する権利等の貸付けによる所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く)をいうところ(法2。 6条1項,貸付けとは,これによって貸主に一定の経済的利益をもたらす)ものをいい,有償契約である賃貸借契約がその中心となるものと解される。 そして,賃貸借契約は,当 のを除く)をいうところ(法2。 6条1項,貸付けとは,これによって貸主に一定の経済的利益をもたらす)ものをいい,有償契約である賃貸借契約がその中心となるものと解される。 そして,賃貸借契約は,当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し,相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって成立する契約であるから(民法601条,上記の貸付けによる所)得とは,使用収益期間に対応して定期的かつ継続的に支払われる賃料がその- 17 -典型であるが,これに限らず,賃借人から賃貸人に移転される経済的利益のうち,目的物を使用収益する対価としての性質を有するもの又はこれに代わる性質を有するものをいうと解するのが相当である。施行令94条1項2号は,上記の考え方を受けて,不動産所得を生ずべき業務に関し,当該業務の全部又は一部の休止,転換又は廃止その他の事由により当該業務の収益の補償として取得する補償金その他これに類するもので,その業務の遂行により生ずべき所得に係る収入金額に代わる性質を有するものも不動産所得に係る収入金額に当たるものとする旨規定しているものというべきである。 原告は,目的物の使用収益と直接的な強い結びつきを有しない経済的利益は不動産所得には当たらないと主張するが,上記のとおり,不動産所得に当たるというためには,賃借人から賃貸人に移転される経済的利益で,目的物を使用収益する対価としての性質又はこれに代わる性質を有するものであれば足り,必ずしも目的物の使用収益と直接的かつ強度の結びつきを有するものに限定されるものではないというべきである。 (2)ア前記1及び第2の1のとおり,①本件予約契約及び本件契約は,土地所有者である賃貸人が,賃借人の営業に適した建物を賃借人が指定する仕様に従い建築した上で賃貸する契約(原告 というべきである。 (2)ア前記1及び第2の1のとおり,①本件予約契約及び本件契約は,土地所有者である賃貸人が,賃借人の営業に適した建物を賃借人が指定する仕様に従い建築した上で賃貸する契約(原告が主張するところのいわゆるオーダーリース)であると解されること,②P1は,本件建物等の建築等のために1億5500万円を負担し,当該建築費等に充てるため金融機関から1億1000万円を借り入れたこと,③本件保証金は,本件賃借人がP1による本件建物等の建築に協力するために預託するものとされ,また,工事契約締結時,建物上棟時及び建物竣工引渡時の3回に分けて預託する旨合意されたこと,④本件保証金に関する③の合意は,本件予約契約が締結された日と同じ日にされたことからすれば,P1が負担する本件建物等の建築費用については,上記の金融機関からの借入金等に加えて本件保証金をもって充てることが想定されており,本件保証金の預託に関する合意- 18 -は,本件契約を実現するための不可欠の要素というべきものであり,同契約と一体のものとして合意されたものというべきである。 イ前記アで述べたような性格を有する賃貸借契約(いわゆるオーダーリース)においては,賃貸される建物は賃借人が指定した仕様により建築されたもので一般的に汎用性が乏しく,賃貸人が当該賃貸借契約の終了後に再賃貸をするに際しては,賃料その他の契約条件を下げる必要が生じることが予想される。また,前記第2の1のとおり,本件契約においては,P1が同契約の終了後に本件建物を利用する場合は,模様替えを施して本件賃借人が営業していた店舗と類似しない建物にしなければならないとされており,再賃貸をするためには改装工事が必要となる可能性があった。 したがって,このような賃貸借契約の中途解約がされた場合,賃貸人については,賃料 ていた店舗と類似しない建物にしなければならないとされており,再賃貸をするためには改装工事が必要となる可能性があった。 したがって,このような賃貸借契約の中途解約がされた場合,賃貸人については,賃料収入を失う上,再賃貸後の賃料の減収等の損失が生ずることが予想される。加えて,本件保証金と同様の性格の保証金は,建物等の建築費用に充てられるため賃貸人の手元には残っておらず,その返還義務を負うとすると,賃貸人は,そのための資金の調達の負担を負うこととなる。 ウ以上のような点を踏まえ,本件契約においては,契約期間を15年間と比較的長期に設定して,本件建物等の建築費用を負担するP1が建築費用を回収できるようにしていたものと解される。そして,P1は,同契約に関連するものとしては,賃料収入以外には,金融機関からの借入金の返済や本件保証金の返還に充てるべき収入を特段有していなかったことがうかがわれることからすれば,同契約の期間満了までに得られる賃料収入の一部をもって本件残債務の返済及び本件保証金の返還に充てることが想定されていたものと解される(なお,同契約は期間満了まで継続することを予定しており,本件残債務は本来同契約の期間満了までに得られる賃料収入によって賄われるものであることは,原告も主張するところである。 。)- 19 -また,中途解約条項が,本件賃借人が一方的事由により本件契約を中途解約した場合に,P1に対する本件保証金の返還請求権を失うとともに,本件残債務相当額を損害金として支払う義務を負う旨規定するのも,本件賃借人側の都合により中途解約がされた場合に,本件残債務の返済及び本件保証金の返還に充てるべき賃料収入を失うことによってP1に生じ得る一切の損失等を補償して,P1が金銭的負担を負わないように配慮した趣旨であるものと解するのが相当で た場合に,本件残債務の返済及び本件保証金の返還に充てるべき賃料収入を失うことによってP1に生じ得る一切の損失等を補償して,P1が金銭的負担を負わないように配慮した趣旨であるものと解するのが相当である。 (3)本件利益の所得分類ア原告は,本件解約契約の結果,①平成17年2月分以降の約17か月分の賃料収入を得ることができなくなったほか,②中途解約条項では,本件賃借人が本件残債務相当額を損害金として支払う義務を負うものとされていたところを,本件賃借人は当該義務を負わないこととされた一方で,③同条項が規定していたとおり,本件保証金の返還義務を負わないこととなったものである。 上記の本件解約契約の内容に加え,前記1で認定した本件解約契約の締結に至る経緯(特に,本件賃借人が,本件契約の期間満了まで賃料を支払うことを提案したところ,原告は本件保証金の返還義務を負うこと等を嫌って当該提案を拒否し,これを受けて,本件賃借人が,本件残債務相当額は原告が負担するものの,本件保証金の返還義務は負わないという条件で中途解約する旨の代替案を提案し,概ね当該代替案に沿う形で本件解約契約が締結されたこと)並びに本件賃借人の申入れにより本件契約を中途解約する旨,原告は本件保証金を本件賃借人に返還しない旨及び本件残債務相当額は原告が負担する旨が1通の本件確認書に記載されて合意されていることからすれば,上記①ないし③は一体のものとして合意されたものであり,かつ,本件解約契約は,中途解約条項を前提とした交渉の結果締結されたものと認められる。 - 20 -そうすると,本件解約契約は,前記(2)ウの中途解約条項の趣旨(中途解約がされた場合に,本件残債務の返済及び本件保証金の返還に充てるべき賃料収入を失うことによって賃貸人に生じ得る一切の損失等を補償するというもの)に 約契約は,前記(2)ウの中途解約条項の趣旨(中途解約がされた場合に,本件残債務の返済及び本件保証金の返還に充てるべき賃料収入を失うことによって賃貸人に生じ得る一切の損失等を補償するというもの)に沿って締結されたものと認めるのが相当である。なお,上記②については,本件契約の期間満了まで1年半程度を残すのみとなっており,原告はそれまでに相当額の賃料収入を得て,金融機関からの借入金も相当程度返済していたこと(前記1のとおり,本件残債務は,平成17年1月には1007万2777円となっていたことが認められる,原。)告は本件契約を解約した後は新賃借人に本件建物等を賃貸することを決めていたこと等から,原告が,本件賃借人の当初の提案を受け入れた場合に自らの負う負担の内容と比較した上で,当初の中途解約条項の内容から譲歩したものと認めるのが相当である。 イこれらのことからすると,本件解約契約によって原告が得た本件利益は,その全額が,同契約によって原告に生じる一切の経済的損失を,原告に実際に生じる損失の多寡にかかわらず補償するという性質を有するものというべきである(ここで補償される原告の経済的損失には,将来の賃料収入を得られないこと及び中途解約条項によれば負担を免れるはずであった本件残債務を負担することになったことが含まれる。 。)なお,仮に原告が主張するように,本件利益が同契約に基づく和解金の性質を有するとしても,同契約は中途解約条項を前提とした交渉の結果締結されたものであり,かつ,前記アの①ないし③は一体のものとして合意されたことに変わりはなく,上記の判断を左右するものではない。 ウ以上によれば,本件利益は,原告の不動産所得を生ずべき業務に関し,「当該業務の全部又は一部の休止,転換又は廃止その他の事由により当該業務の収益の補償として取得す 記の判断を左右するものではない。 ウ以上によれば,本件利益は,原告の不動産所得を生ずべき業務に関し,「当該業務の全部又は一部の休止,転換又は廃止その他の事由により当該業務の収益の補償として取得する補償金その他これに類するもの」で,その業務の遂行により生ずべき所得に係る収入金額に代わる性質を有するも- 21 -の(施行令94条1項2号)として,その全額が不動産所得に当たり,一時所得には当たらないものと解するのが相当である。 (4)ア原告は,原告及び本件賃借人は,本件解約契約の締結時,原告が新たなテナントと契約して賃料収入を得ることとなるため賃料の補償は不要であると認識していたので,原則として本件利益は賃料の補償を含まないが,当時の相場賃料が本件契約における賃料よりも低額であったために,本件利益には不動産所得に該当する差額賃料分の補償が含まれるものの,これを超える部分は一時所得であると主張する。 そして,前記1で認定した本件解約契約の締結に至る経緯,本件確認書の記載内容等からすれば,本件賃借人は,平成16年12月25日に原告と本件契約を中途解約する旨を合意した際や,平成17年3月に本件確認書を作成した際には,原告が新たなテナントと賃貸借契約を締結することを認識していたものと推認し得る。 イしかしながら,本件確認書は,原告は本件保証金を本件賃借人には返還しない旨を定めるのみであり,本件利益の具体的な内訳や算出過程等を定めた条項は本件確認書には存在しない。また,本件賃借人が,平成16年12月25日に本件契約を中途解約し,原告は本件保証金を返還する義務を負わないことを原告と合意した際や,平成17年3月に本件確認書を作成した際に,原告と新賃借人との間の賃貸借契約の具体的な内容(賃料が月額95万円であること等)までを認識していたことをうかが る義務を負わないことを原告と合意した際や,平成17年3月に本件確認書を作成した際に,原告と新賃借人との間の賃貸借契約の具体的な内容(賃料が月額95万円であること等)までを認識していたことをうかがわせる事情は認められないから,本件賃借人が原告の主張するところの差額賃料を基に本件利益の額を決定したものとは考え難いというべきである。そのほか,原告と本件賃借人が,本件利益の具体的な内訳について合意した事実も認めることができない(なお,本件解約契約の交渉の過程において,原告と本件賃借人が本件利益の内訳について明確に話し合ったことはないことは,原告も主張するところである。 。)- 22 -加えて,原告は,本件利益のうち差額賃料分を超える部分(3045万円)は対価性のない経済的利益の供与であると主張するが,本件賃借人が原告に対し無償でこのような多額の利益供与をする理由を見いだすことはできず,前記(3)のとおり,本件利益はその全額が本件解約契約によって原告に生じる一切の経済的損失を補償したものと解するのが当事者の合理的意思に沿うものというべきである。 以上のとおり,この点に関する原告の主張は採用することができない。 (5)ア原告は,①本件解約契約の交渉の過程において,中途解約条項に基づく本件賃借人の本件残債務相当額の支払義務は免除されたのであり,本件利益がその補償を含むとすれば当事者の合理的意思に反することとなる,②本件残債務相当額の支払義務は賃料補償の一形態であり,本件利益が賃料の補償に加えて本件残債務相当額も補償するものであるとすれば,賃料が二重に補償されていることとなる旨主張する。 イしかしながら,本件解約契約の結果,本件賃借人は本件残債務相当額の支払義務を負わないこととされたものであるが,この点に関して原告に対し何らの補償も要しな 重に補償されていることとなる旨主張する。 イしかしながら,本件解約契約の結果,本件賃借人は本件残債務相当額の支払義務を負わないこととされたものであるが,この点に関して原告に対し何らの補償も要しないこととされたか否かは別途検討する必要があるというべきである。この点,中途解約条項は,本件賃借人の一方的事由による中途解約の場合は,本件賃借人が本件残債務相当額を支払うものと定めていたものであるが,前記(3)のとおり,同契約は同条項を前提とした交渉の結果締結されたものであり,原告は,同契約の結果,本件残債務を負担することとなる一方で本件保証金の返還義務を免れたものであるから,本件利益には原告が本件残債務を負担することとなったことに対する補償が含まれるものと解したとしても,同契約を締結した当事者の合理的意思に反するものとはいえないというべきである。 また,前記(3)のとおり,本件利益は,その全額が,同契約によって原告に生じる一切の経済的損失を,原告に実際に生じる損失の多寡にかかわ- 23 -らず補償するものと解するのが相当であるから,本件利益が原告が失った将来の賃料の補償に加えて本件残債務相当額も補償するものであるしても,その全額が不動産所得に当たるということの妨げにはならないというべきである。 以上のとおり,この点に関する原告の主張は採用することができない。 争点(3)(法90条5項所定のやむを得ない事情があるか)について(1)法90条1項は,居住者のその年分の変動所得の金額及び臨時所得の金額の合計額がその年分の総所得金額の100分の20以上である場合には,平均課税の方法で課税総所得金額に係る所得税の額を計算することができると規定している(ただし,その年分の変動所得の金額が前年分及び前々年分の変動所得の金額の合計額の2分の1に相当する ある場合には,平均課税の方法で課税総所得金額に係る所得税の額を計算することができると規定している(ただし,その年分の変動所得の金額が前年分及び前々年分の変動所得の金額の合計額の2分の1に相当する金額以下である場合には,その年分の臨時所得の金額のみが平均課税の対象とされる。これは,変。)動所得又は臨時所得はいずれも経常的に発生する所得ではないため,これを毎年経常的に発生する所得と同様の方式で課税すると,超過累進税率による課税を建前とする所得税においては経常的な所得に比べて過重な負担を強いる結果となりかねなくなることから,居住者のその年分の所得のうちに変動所得の金額及び臨時所得の金額がある場合には,一定の条件の下に平均課税の方法(いわゆる5分5乗方式)により税額を計算し,超過累進税率を緩和して税負担の軽減を図ることができることとしたものと解される。 ところで,上記の平均課税の適用を受けるためには,納税者が確定申告書に同条1項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の合計額の計算に関する明細を記載する必要があるところ(同条4項,前記第2の1の)とおり,本件申告書にはこれらの事項は記載されていなかった。したがって,本件利益は,平均課税の適用を受けるための要件を欠くことは明らかである。 (2)原告は,更正請求をするように税務署職員から指導されたこと及び同職員が臨時所得に該当しない旨回答したため,平均課税を適用して確定申告を- 24 -した場合,過少申告加算税を課され得ることが予想されたことからすれば,原告が本件申告書に法90条4項所定の事項を記載することは現実的には不可能であり,その記載がなかったことについて同条5項のやむを得ない事情が認められると主張する。 (3)平均課税に係る宥恕規定である法90条5項は,確定申告の際には平 事項を記載することは現実的には不可能であり,その記載がなかったことについて同条5項のやむを得ない事情が認められると主張する。 (3)平均課税に係る宥恕規定である法90条5項は,確定申告の際には平均課税を適用できる条件を満たさないと認識されていたものが,その後の調査等により変動所得等の金額が変動し,平均課税の適用要件に合致するようになったときなどの場合に,例外的に平均課税の適用を認める趣旨であるものと解される。このような趣旨からすれば,同項のやむを得ない事情とは,自然災害等の天災その他本人の責めに帰すことのできない客観的な事情をいうものと解すべきであって,申告者の法の不知や事実誤認等の主観的事情はこれに当たらないというべきである。 (4)本件では,原告は,本件申告時において,臨時所得に当たると考えていた本件利益の額が総所得金額の100分の20以上となることは認識していたのであって,本件申告後にそのことが判明したものではない。 前記1(4)のP5の陳述書(甲8)に基づく本件申告に係る経緯を前提にしても(なお,原告は,P5が,平成18年2月に千葉東税務署において照会した際に本件予約契約書及び本件確認書を提出したと主張するが,P5の陳述書にはそのような記載はなく,当該事実は認めることはできない,。)P6は,P5に対し,口頭で嘆願又は更正の請求の余地はあるのではないかと回答しただけであって,更正の請求をするように指導したものではなく,また,更正の請求どおりに更正がされるとも述べてはいない。にもかかわらず,P5は,上記のP6の回答から更正の請求の段階では本件利益が臨時所得として扱われるものと考え,また,確定申告の申告期限が迫っており他の方法を考える余裕がなかったために本件申告をしたというのであって,結局のところ,原告は自らの判断に基づき 段階では本件利益が臨時所得として扱われるものと考え,また,確定申告の申告期限が迫っており他の方法を考える余裕がなかったために本件申告をしたというのであって,結局のところ,原告は自らの判断に基づき法90条4項所定の事項の記載をせず- 25 -に本件申告をしたものというべきである。そして,P6が本件利益は臨時所得に該当しないと回答したとしても,それは一税務署職員の口頭による見解にすぎないのであるから,税務の専門家であるP5が当該見解を採用し,原告もこれに従ったとの事情が,本人の責めに帰すことのできない客観的な事情に該当するものとはいえない。 加えて,P5の陳述書を前提としても,P6が平均課税を適用した確定申告書を提出した場合に過少申告加算税が課され得る旨を述べた事実は認められない。また,本件利益が臨時所得に当たるとの見解に基づき原告が平均課税を適用した確定申告書を提出することと,過少申告加算税が課されるか否かとは前提を異にする問題というべきである。したがって,原告が本件申告書に法90条4項所定の事項を記載しなかった理由が,過少申告加算税を課せられることを避けたかったというものであったとしても,それは原告の個人的な事情というべきであって,やむを得ない事情には当たらない。 以上のとおり,原告が同項所定の事項を本件申告書に記載しなかったことについて,やむを得ない事情があったとは認めることはできない。 小括本件利益は,不動産所得であって,一時所得に当たるものではなく,また,本件申告書に法90条4項所定の事項の記載をしなかったことについて同条5項のやむを得ない事情があるとも認めることができないから,本件利益について平均課税の適用を受けることはできない。そして,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,原告の平成17年分の所得税の納付すべき税額は やむを得ない事情があるとも認めることができないから,本件利益について平均課税の適用を受けることはできない。そして,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,原告の平成17年分の所得税の納付すべき税額は,別紙4の被告の主張のとおり1430万8700円となり,本件申告書に記載された納付すべき税額と同額となることが認められる。 したがって,本件申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより,本件申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとき(国税通則- 26 -法23条1項)には当たらないから,本件更正請求に理由がないとした本件処分は適法というべきである。 本件義務付けの訴えの適法性について本件義務付けの訴えは,国税通則法23条1項,4項からすれば,行政事件訴訟法3条6項2号のいわゆる申請型の義務付けの訴えに当たるものと解される。そして,同法37条の3第1項2号は,申請型の義務付けの訴えについて,当該法令に基づく申請を却下し又は棄却する旨の処分がされた場合において,当該処分が取り消されるべきものであること等を訴訟要件としているものと解される。そして,本件処分が取り消されるべきものではないことは前記4のとおりであるから,本件義務付けの訴えは,同号の要件を欠き,不適法として却下を免れない。 第4 結論 以上によれば,本件義務付けの訴えはいずれも不適法であるから却下し,原告のその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官八木一洋裁判官衣斐瑞穂- 27 -裁判官吉田豊- 28 -(別紙4)本件 ,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官八木一洋裁判官衣斐瑞穂- 27 -裁判官吉田豊- 28 -(別紙4)本件処分の根拠及び適法性についての被告の主張の要旨 本件処分の根拠について被告が本訴において主張する原告の平成17年分の所得税額等は,次のとおりである。 (1)総所得金額5283万9494円上記金額は,次のアないしウの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額5137万0894円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)及び(ウ)の各金額を控除した後の金額である。 (ア)総収入金額6814万6644円上記金額は,原告が本件確定申告書に添付した平成17年分所得税青色申告決算書(不動産所得用(甲第1号証(5枚目ないし9枚)目,以下「本件青色申告決算書」という)に記載した収入金額の合)。 計額(④欄の金額)と同額である。 なお,原告は本件賃借人から預託されていた本件保証金相当額5000万円を収入金額に含め,総収入金額を算出している。 (イ)必要経費の合計額1612万5750円上記金額は,原告が本件青色申告決算書に記載した必要経費の合計額(⑱欄の金額)と同額である。 (ウ)青色申告特別控除額65万0000円上記金額は,租税特別措置法(平成18年法律第10号による改正前のもの)25条の2第3項の規定による控除額であり,原告が本。 件青色申告決算書に記載した青色申告特別控除額(<22>欄の金額)と同額である。 - 29 -イ給与所得の金額146万3600円上記金額は,原告が本件確定申告書(甲第1号証(1枚目及び2枚目)に記載した給与所得の金額(⑥欄の金額)と同額である。 )ウ雑所得の金額5000円上記金額は,原告が本件確 146万3600円上記金額は,原告が本件確定申告書(甲第1号証(1枚目及び2枚目)に記載した給与所得の金額(⑥欄の金額)と同額である。 )ウ雑所得の金額5000円上記金額は,原告が本件確定申告書に記載した雑所得の金額(⑦欄の金額)と同額である。 (2)所得控除の額の合計額198万2947円上記金額は,原告が本件確定申告書に記載した医療費控除の額12万4147円,社会保険料控除の額58万5800円,小規模企業共済等掛金控除の額84万円,生命保険料控除の額5万円,損害保険料控除の額3000円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (3)課税総所得金額5085万6000円上記金額は,前記(1)の総所得金額5283万9494円から前記(2)の所得控除の額の合計額198万2947円を控除した後の金額(ただし,国税通則法(以下「通則法」という)118条1項の規定により1000。 円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 。 (4)納付すべき税額1430万8700円上記金額は,次のアの金額からイないしエの各金額を差し引いた後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 。 ア課税総所得金額に対する税額1632万6720円上記金額は,前記(3)の課税総所得金額5085万6000円に所得税法89条1項の税率(経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号。ただし,平成17年法律第21号による改正前のもの。以下「負担軽減措- 30 -置法」という)4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額で。 。 ある。 イ定率減税額25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により計算した定率減税額で 措- 30 -置法」という)4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額で。 。 ある。 イ定率減税額25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により計算した定率減税額であり,原告が本件確定申告書に記載した金額と同額である。 ウ源泉徴収税額10万7800円上記金額は,原告が本件確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 エ予定納税額166万0200円上記金額は,原告が本件確定申告書に記載した予定納税額(第1期及び第2期の合計額)と同額である。 本件通知処分の適法性について被告が,本訴において主張する原告の平成17年分の所得税の納付すべき税額は,上記1(4)のとおり1430万8700円であるところ,本件確定申告書に記載された納付すべき税額と同額であり,当該納付すべき税額が過大でないことは明らかであるから,本件更正の請求に理由がないとして行われた本件処分は適法である。

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