平成24年12月12日判決言渡平成22年(行コ)第283号建築物使用停止命令取消等請求,国家賠償請求,建築物除却命令取消請求控訴事件 主文 1 原判決中,甲事件及び丙事件に関する部分を取り消す。 2 高崎市長が控訴人に対し平成20年9月17日付けでした建築物の使用停止命令及び是正措置命令を取り消す。 3 高崎市長が控訴人に対し平成21年7月28日付けでした建築物除却命令を取り消す。 4 訴訟費用は,第1,2審を通じ,これを3分し,その1を控訴人の,その余を被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨主文と同旨第2 事案の概要 1 控訴人は,都市計画法(平成18年5月31日法律第46号(平成19年11月30日施行)による改正前のもの,以下同改正前後を問わず単に「法」といい,関係法令の条項表記は便宜上特に断らない限り現行のものによる。)に基づき,高崎市の市街化調整区域内にある原判決別紙物件目録記載1ないし4の土地(以下「本件土地」という。)について,予定建築物等の用途を「休憩所(ドライブイン)」として開発許可を受け(平成18年10月20日付け許可第○号,以下「本件開発許可」といい,この許可にかかる建築物等を「本件施設」という。),建築基準法に基づく建築確認等を得た上で,原判決別紙物件目録5記載の建物(以下「本件建物」という。)を建築した。 被控訴人(処分行政庁は高崎市長,以下同じ。)は,控訴人に対し,本件建物につき,平成20年9月17日付けで,法81条1項に基づく建築物の使用 停止命令(以下「本件使用停止命令」という。)及び建築基準法9条1項に基づく是正措置命令(使用禁止を内容とする。以下「本件是正措置命令」という。)を発し,さらに平成21年7月28日付けで法81条1 停止命令(以下「本件使用停止命令」という。)及び建築基準法9条1項に基づく是正措置命令(使用禁止を内容とする。以下「本件是正措置命令」という。)を発し,さらに平成21年7月28日付けで法81条1項に基づく建築物除却命令(以下「本件除却命令」という。)を発した。 本件は,控訴人が,本件使用停止命令,本件是正措置命令及び本件除却命令(以下これらを併せて「本件各処分」という。)は違法であるとしてその取消しを求める(原審甲事件,丙事件)とともに,本件各処分に至る過程でされた被控訴人の行政指導が違法な公権力の行使に当たるとして国家賠償法に基づく損害賠償を求めた(原審乙事件)事案である。 2 原審は,本件各処分及びそれに至る過程における被控訴人の行政指導には違法性は認められず,控訴人の請求はいずれも理由がないとしてこれを棄却した。 これに対し控訴人が控訴をして,上記第1のとおりの判決を求めた。なお,控訴人は,当審において,原判決中原審乙事件に関する部分を不服の対象から除外した。 3 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,以下のとおり付加訂正し,後記4のとおり当審における当事者の主張を加えるほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2項及び3項の(1)(原判決3頁1行目から9頁13行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁14行目から4頁2行目までを,以下のとおり改める。 「(2) 被告(被控訴人)における開発許可の基準等① 被告は,開発許可の審査基準又は運用基準として「都市計画法に基づく開発許可制度の手引」を定めている。その中で,法34条9号,法施行令29条の7にいう道路管理施設,休憩所等の開発許可に関して,休憩所(ドライブイン等)は,原則として次の要件に該当する場合に認められるとされて 度の手引」を定めている。その中で,法34条9号,法施行令29条の7にいう道路管理施設,休憩所等の開発許可に関して,休憩所(ドライブイン等)は,原則として次の要件に該当する場合に認められるとされている。(乙3,77)「ア自動車の運転者等が立ち寄って休憩をしたり飲食ができる施設(主 としてアルコール飲料を提供する施設を除く。)であること。(中略)エ開発区域の面積は2,000平方メートル以上とし,駐車スペースは開発区域の過半以上,かつ収用人員に見合う大きさの駐車スペース(4人に1台で算定し,1台当たり30㎡以上とする。)を有すること。 オ建築物は原則として平屋建とし床面積(自動販売機のみを設置する施設は除く。)は200平方メートル以上で宿泊施設や宴会場のスペースがないこと。」② 平成18年当時,被告は,法29条,34条に基づく許可に関して「開発許可制度質疑応答集(以下「質疑応答集」という。)を作成していた。この質疑応答集は,平成13年以前から群馬県内で運用基準とされていた「開発許可制度質疑応答集」に準じたものである。質疑応答集の中には,法34条9号関係として,次の記載がある。 「問3 ドライブイン内にみやげ物等の販売コーナーを設ける場合どの程度の規模まで認められるか。 答 8号(当時)の趣旨はドライバーの休憩施設を設けるというものであり,販売施設を認めるものではないが,休憩所の販売コーナーは付随施設として認められる。ただし,販売コーナーの面積は50㎡以内とする。」被告は,これに基づき,休憩所(ドライブイン)内に設ける物品販売(以下「物販」という。)施設は,面積50平方メートル以内に限って認める取扱いをしていた(以下これを「50平米基準」という。)。 (甲1,乙9,77,78,112,113,164 )内に設ける物品販売(以下「物販」という。)施設は,面積50平方メートル以内に限って認める取扱いをしていた(以下これを「50平米基準」という。)。 (甲1,乙9,77,78,112,113,164,188ないし190)」(2) 原判決6頁4行目の次に,改行の上,以下のとおり加える。 「 本件使用停止命令の命令書の記載内容は別紙1(当判決添付,甲128, 143),本件是正措置命令の命令書の記載内容は別紙2(当判決添付,甲131),本件除却命令の命令書の記載内容は別紙3(当判決添付,甲142)のとおりである。」 4 当審における当事者の主張(1) 50平米基準は,開発許可の審査基準といえるか〔被控訴人の主張〕質疑応答集は,審査基準である「開発許可制度の手引」とは別冊であるものの,一体として開示されていた。質疑応答集の内容は,問に設定された前提事実に実際の事案が該当すれば,明確な解釈基準として利用し得るものである。質疑応答集は,タイトル等から運用指針と位置づけられ,開発許可の許否判断が質疑応答集に基づき運用されていたことは一般市民から見ても明白であった。したがって,質疑応答集は,「開発許可制度の手引」と一体の関係にあり,同手引を補足する処分庁の解釈基準である。 〔控訴人の主張〕50平米基準が記された質疑応答集は,断片的な想定問答形式のもので,開発許可申請に対する許否の判断基準を示したとはみられず,審査基準とみられる「開発許可制度の手引」との関係も不明である。加えて,質疑応答集の冒頭に「一概に回答どおりの許可又不許可該当に相当するものであるといえない場合もあります。」と明記されていることや,かつては担当者外秘扱いとされていて平成20年に至るまで公表されていなかったことなどからすれば,50平米基準は審査基準と 該当に相当するものであるといえない場合もあります。」と明記されていることや,かつては担当者外秘扱いとされていて平成20年に至るまで公表されていなかったことなどからすれば,50平米基準は審査基準とは解し得ない。 なお,控訴人が原審においてした憲法違反の主張は,掲記の各憲法条項の視点において本件各処分が関係法令に違反して違法であるとする趣旨であり,他の違法事由についても同様である。 (2) 50平米基準の適法性〔被控訴人の主張〕 法(7条1項,29条1項,33条,34条)が都市計画区域における開発許可制度を設けた趣旨は,無秩序に市街地が形成され,道路や排水施設等のインフラ整備が行き届かない不良市街地が形成される,いわゆるスプロール現象を抑止する点にある。法34条9号,同法施行令29条の7第1号は,道路の安全管理,自動車の安全走行等の目的を達成するのに必要な施設を例外的に開発許可の対象にしたもので,これにいう休憩所は,基本的には自動車運転者等が立ち寄って休憩,飲食ができる施設である。 物販施設は,道路利用とは関係なく物品の販売それ自体で利用者を誘引するものであり,市街化区域に建築することが困難又は不適切とはいえず,物販施設が引き金となって周辺に住宅地等が形成される恐れがあり,スプロール対策上支障が生じる。したがって,休憩所は本来物販施設を含むものではない。他方,法29条1項11号及びこれを受けた法施行令22条6号において,特定の目的を有する物販店舗で延べ面積が50平方メートル以内のものについては軽易な行為として開発許可を要しないとされていることからすれば,休憩所に付随して50平方メートル以下の物販施設を設けることも,同様に法の許容するところと解される。 50平米基準は,上記法令では本来容認されていない休憩所での物販 ないとされていることからすれば,休憩所に付随して50平方メートル以下の物販施設を設けることも,同様に法の許容するところと解される。 50平米基準は,上記法令では本来容認されていない休憩所での物販施設について,利用者の利便性向上の目的で,付随施設として50平方メートル以内に限って例外的に容認するとしたものであり,許可権者の裁量の範囲内にあって上記法令の趣旨に適合し,内容も合理的かつ明確である。 〔控訴人の主張〕仮に50平米基準が休憩所(ドライブイン)の物販コーナーの面積の上限を定めた審査基準であるとすれば,当該ドライブインの場所,広さ,取扱商品,当該地域の実情等を一切考慮しない点において,特に大型ドライブインについては社会通念に反し不合理な事態となり,ひいては,法34条9号,同法施行令29条の7第1号に抵触する。又,他の自治体の取扱いと整合せ ず,合理性のない特異な規制である。 (3) 本件建物は法施行令29条の7第1号の「休憩所」に当たるか〔被控訴人の主張〕法34条9号,同法施行令29条の7第1号にいう休憩所は,基本的には自動車運転者等が立ち寄って休憩,飲食ができる施設であり,物販施設を含まない。休憩所の付随施設としての物販施設は,被控訴人においては,例外的に50平米基準により容認される。 本件建物は,50平米基準の20倍を超える1000平方メートルもの物販スペースを有する大型小売店舗と化しており,本件開発許可書に記載された予定建築物の用途である「休憩所(ドライブイン)」とは異なる。 法文に「ドライブイン」はなく,その概念は一定していない。控訴人が,休憩所をドライブインと同義とし,スプロール化の防止とその例外の許容という開発許可制度を規定した法の趣旨を離れて,休憩の誘引及び経営上の採算という独自の視点からその意義 は一定していない。控訴人が,休憩所をドライブインと同義とし,スプロール化の防止とその例外の許容という開発許可制度を規定した法の趣旨を離れて,休憩の誘引及び経営上の採算という独自の視点からその意義を確定しようとするのは,誤りである。 物販施設は,休憩所の付随施設に過ぎない。休憩所に係る規定が,その付随施設の設置を全面的に禁止するものではないが,いかなる施設をどの程度で認めるかについては,開発許可権者が「休憩所」該当性を判断するに当たって広範な裁量権を有するとするのが法の趣旨である。 〔控訴人の主張〕本件建物は法施行令29条の7第1号の「休憩所」に当たる。 休憩所とはいわゆるドライブインのことである。社会において求められる民営ドライブインにおいては,①休憩の誘引,②経営上の採算を念頭に置く必要がある。社会通念におけるドライブインは,広い駐車スペースを有し,トイレを設け,建物内には食堂・喫茶コーナー,付随施設としての物販コーナー,交通情報提供コーナーなどを設け,物販コーナーの取扱商品は土産物,飲食料品,道路地図,当該地域の農産物などが多い。建物全体の面積が大き くなれば,それにつれて物販コーナーの面積が大きくなってもドライブインとしての実質は変わらない。 本件施設の敷地の大半は駐車スペースに当てられ,24時間使用可能なトイレ,午前9時30分から午後7時30分まで利用可能な飲食コーナーや無料休憩所も備えられており,本件施設は,ドライブインとしての実質を備えている。 法34条9号,法施行令29条の7第1号所定の「休憩所」の建設の用に供する目的で行う開発行為と認められれば,開発許可権者は必ず許可しなければならず,そこに裁量を認める余地はない。 (4) 本件是正措置命令の根拠(本件建物の建築基準法6条1項違反)の有無〔被控訴人の る目的で行う開発行為と認められれば,開発許可権者は必ず許可しなければならず,そこに裁量を認める余地はない。 (4) 本件是正措置命令の根拠(本件建物の建築基準法6条1項違反)の有無〔被控訴人の主張〕① 建築基準法6条1項にいう建築基準関係規定には,法35条の2も含まれる(建築基準法施行令9条12号)ところ,法35条の2及び法30条1項2号は,開発許可を受けた者が予定建築物の用途を変更しようとする場合は都道府県知事の許可を受けなければならないことを定める。本件建物は,開業当初から主として物販施設の用途に供されていたのであるから,建築基準法6条1項後段の「確認を受けた建築物の計画の変更…をして第1号から第3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合」に該当する。 したがって,控訴人には,建築基準法6条1項後段,同法施行令9条12号,法35条の2第1項,法30条1項2号に基づき,物販施設としての用途で計画の変更の建築確認申請をしなければならないのに,当該申請をしなかった違法があった。 建築基準法6条1項は,単なる手続的規定ではなく,実体的規定としての側面も有し,同法9条1項の「建築基準法令の規定」に該当する。 ② 本件建物にかかる建築確認済証(乙194)に記載された用途は,「飲食店」である。控訴人は,小売店舗の建築を目的としながら,あたかも本 件建物の用途を休憩所とするかのような図面を作成して建築確認申請を行い,本件建物を小売店舗の用に供しているのであり,本件建物は「飲食店」という用途での許可自体に違反するものであるから,是正措置命令の対象となる。 ③ 本件建物の建築確認申請には,申請書に用途「飲食店」の記載及び申請書添付の建物平面図における「物販50㎡」の記載があり,建築主事は,これらの記載を前提に建築確認済証(乙194 の対象となる。 ③ 本件建物の建築確認申請には,申請書に用途「飲食店」の記載及び申請書添付の建物平面図における「物販50㎡」の記載があり,建築主事は,これらの記載を前提に建築確認済証(乙194)を交付した。したがって,飲食店という用途及び物販施設の面積50平方メートル以内という本件建物の用途に関する事項は,建築確認済証に,条件としては明記されていないものの,建築基準に関する条件(建築基準法92条の2)に準じるものと解される。 本件建物は,飲食店という用途及び物販施設の面積50平方メートル以内という用途の違反があり,「この法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物」(建築基準法9条1項)に該当し,是正措置命令の対象となる。 〔控訴人の主張〕① 是正措置命令は,建築確認の内容ではなく,建築基準法令の規定又は建築基準法の規定に基づく許可条件に違反している場合に発せられる。 本件建物は,建築確認を受けたとおりに建築され,完成後に可動式の椅子,商品陳列台を配置したにすぎず,建築物の構造,配置等を一切変更していないのであるから,都市計画法上の予定建築物の用途の変更には該当せず,また他に建築基準関係規定の適用は何ら異なるところはないから,建築基準法6条1項等の規定の違反になる余地はない。本件建物に建築基準法令の実体規定の違反はなく,同法9条1項の是正措置命令を出すことはできない。 ② 本件建物は,ドライブインとして使用しており,小売店舗の用に供して いない。また,そもそも建築確認は確認申請書に記載したとおりの用途で使用することを義務づける法的効果を有するものではない。したがって,本件建物が本件建築確認の許可自体に違反していることはない。 ③ 本件建物の建築確認済証(乙194)の記載から,物販コーナーが50平方メートル以 義務づける法的効果を有するものではない。したがって,本件建物が本件建築確認の許可自体に違反していることはない。 ③ 本件建物の建築確認済証(乙194)の記載から,物販コーナーが50平方メートル以下であることが本件建築確認に付された条件と解することは困難である。したがって,本件建物につき許可に付された条件の違反があるとはいえない。 (5) 本件使用停止命令及び本件除却命令は,法81条1項本文にいう「都市計画上必要な限度」のものか〔控訴人の主張〕① 本件使用停止命令は,物販コーナーの50平方メートルを超える部分以外の部分の使用停止を含む点で,法81条1項本文の規定する「都市計画上必要な限度」を超えている。 被控訴人は,控訴人が度重なる行政指導に従わず悪質なので重い処分を課したかのように主張する。しかし,控訴人は,50平米基準が役所内部の一応の目安で本件の場合は弾力的運用が可能と理解していたので,これを絶対的な法的基準であるかのように扱い本件建物の物販コーナーを50平方メートル以下に制限しようとするのは違法不当であり,最終的には司法判断に委ねると考えていたのであるから,控訴人が行政指導に完全には従わず,不服申立てや取消訴訟の提訴等をしたのは当然の権利行使である。 控訴人は物販売場面積を縮小するなどしてかなりの程度行政指導に従ったのに,被控訴人は控訴人の提訴等の行為に呼応して,いわば制裁としてより過酷な処分を行ったもので,裁判を受ける権利の否定にもつながりかねず,不当である。また,仮に使用停止について性質上行政代執行が困難としても,法91条の罰則による強制が可能であり,例えば「50平方メートルを超える部分の物販設備を除去せよ。」というような監督処分を発す れば,行政代執行も可能だったと考えられるから,本件建物全体の使用停止 条の罰則による強制が可能であり,例えば「50平方メートルを超える部分の物販設備を除去せよ。」というような監督処分を発す れば,行政代執行も可能だったと考えられるから,本件建物全体の使用停止を命ずる必要はなかった。 ② 本件建物の物販コーナーは,本件建物の一部に可動式の陳列台等を配置してそのように使用しているに過ぎず,面積が50平方メートルを超えているといっても,いつでも50平方メートル以下に縮減することは可能であり,本件建物自体は本件開発許可のとおり休憩所(ドライブイン)として建築されている。行政指導に対し,控訴人が物販スペースの範囲を縮減するなどして誠実な対応をしたが,高崎市が物販スペースは50平方メートル以内でなければならないとの不合理な指導に固執したため,やむを得ず本件紛争に至ったにすぎないことなどを勘案すれば,本件除却命令は,都市計画法に照らし十分に活用可能な状態にある本件建物の除却を命じる点において,「都市計画上必要な限度」を超えている。また,除却命令以外に本件使用停止命令を担保する法的手段があることは,前記①のとおりである。 〔被控訴人の主張〕① 控訴人は,50平米基準の内容を了知しながら,当初からこれを潜脱する意図を有し,法令に適合した休憩所(ドライブイン)として本件建物を使用する意思がなかったのに,その旨を装って本件開発許可及び建築確認を取得したこと,50平方メートル以内という基準に対し1000平方メートルの物販スペースを設置していること,本件建物での販売品目は,近隣住民が日常生活の食材等として購入する商品がほとんどであること,本件建物に控訴人の本社機能を有する事務所が設置されていること等から,法令違反の程度は顕著である。 ② 処分庁は,控訴人に対し,本件建物の使用方法を是正させるため,3回にわたっ とんどであること,本件建物に控訴人の本社機能を有する事務所が設置されていること等から,法令違反の程度は顕著である。 ② 処分庁は,控訴人に対し,本件建物の使用方法を是正させるため,3回にわたって指示を行い,その後も警告及び是正の催告を発して是正を求めてきたにもかかわらず,控訴人は是正措置をとらなかった。また,控訴人 が本件使用停止命令及び本件是正措置命令に従って本件建物の使用を停止する様子は皆無であった上,本件建物に設置された本件使用停止命令を示す標識をのぼり等で隠蔽していた。控訴人は,被控訴人の指導無視及び是正措置無視の姿勢が顕著だった。 ③ 控訴人が本件建物を物販施設として使用継続していくと,周辺が市街化する恐れがある上,模倣して市街化調整区域の趣旨を潜脱する者が出現し,開発許可制度自体が形骸化するおそれがある。 ④ 控訴人は,本件使用停止命令を無視して営業を継続しているところ,法81条1項に基づく使用停止命令は,代替的作為義務ではないから行政代執行の対象とならず,その直接強制を認める規定もなく,また,民事訴訟により行政上の義務履行確保を求める訴えを提起することもできない(最高裁判所平成10年(行ツ)第239号・同14年7月9日第三小法廷判決,民集56巻6号1134頁)ことから,上記違法状態を解消するためには,本件建物の除却しか手段は残されていない。 ⑤ 本件建物は店舗用建物であることから,控訴人が他の用途として「休憩所」としてのコンビニエンスストア(法34条9号)又は農産物直売(法34条14号)に開発許可変更の申請をすることが考えられるが,いずれも店舗床面積,予定建築物の延べ面積等の関係で本件建物面積が過大であるから,処分庁は開発許可をすることが不可能である。 ⑥ 本件建物の物販コーナーの陳列台は容易に移動可能 ことが考えられるが,いずれも店舗床面積,予定建築物の延べ面積等の関係で本件建物面積が過大であるから,処分庁は開発許可をすることが不可能である。 ⑥ 本件建物の物販コーナーの陳列台は容易に移動可能で,状況に応じ物販コーナーの面積拡大も可能であるため,除却処分以外に是正を担保する方法がない。 ⑦ 上記①~⑥から,違法状態を解消するには建物除却処分が必要であり他の代替手段はない。 ⑧ 本件除却命令によっても,被控訴人による行政代執行手続があるまでは,控訴人による自主的な取り壊し及び移築が可能であって,かつ,本件土 地について市街化調整区域に区分された土地としての使用は妨げられない。また,本件建物による営業利益は法的保護の対象ではないが,控訴人は,既に本件建物に投資した費用の全額を回収して相当の利益を上げており,除却命令によって生じる控訴人の損失及び社会経済的な損失が過大であるとはいえない。 ⑨ したがって,本件使用停止命令及び本件除却命令は,都市計画上必要な限度を超えるものではない。 (6) 本件各処分は控訴人に対する信義則違反といえるか〔控訴人の主張〕被控訴人は,控訴人が行おうとしている事業計画を十分知った上で,開発許可処分等を行っておきながら,事業が開始されるや,突如50平米基準を持ち出して本件各処分を強行した。したがって,本件各処分は控訴人に対する信義則違反として許されない。 〔被控訴人の主張〕本件開発許可申請に先立ち,控訴人から被控訴人の建築指導課に対し,物販店舗を建てたいとの相談があったが,被控訴人は,50平米基準の説明をして,許可はできないと一貫して回答していた。被控訴人は,控訴人が法令や基準に沿った申請をしたから本件開発許可等をしたのであって,控訴人が本件建物に広い物販スペースを設けることを知 平米基準の説明をして,許可はできないと一貫して回答していた。被控訴人は,控訴人が法令や基準に沿った申請をしたから本件開発許可等をしたのであって,控訴人が本件建物に広い物販スペースを設けることを知悉していたものではない。したがって,本件各処分は信義則違反ではない。 (7) 本件各処分の理由提示は十分か〔控訴人の主張〕① 本件各処分においては,いずれも,具体的にどのような控訴人の行為が,本件各処分において根拠法条として掲げられた規定に違反すると評価されたのかにつき,何ら明らかにしていない。したがって,処分の対象となった具体的事実が不明である。 ② 本件各処分においては,処分根拠法条への適用関係,特に50平米基準の位置付けが不明であり,処分根拠法条としての50平米基準の適用関係については説明がない。 ③ 被控訴人は,是正指導や聴聞手続等の一連の経緯の中で,50平米基準の存在や質疑応答集に当該基準に関する記載があることについて何度も指摘したことをもって,処分の原因となる事実が何であるかは控訴人にとって十分認識可能であったとするが,是正指導や聴聞手続といった処分に至る途中の段階での担当者の発言が,処分時における行政庁の最終的な判断と一致するとは限らない以上,処分の前段階でのやりとりを理由提示の一環ととらえることは許されない。 ④ したがって,本件各処分は行政手続法14条1項の要求する理由の提示として不十分であり,違法として取消しを免れない。 〔被控訴人の主張〕① 控訴人は,本件使用停止命令及び本件是正措置命令については平成20年9月17日頃,本件除却命令については平成21年7月28日頃,それぞれ処分通知書を受領しており,その内容を了知することができた。本件の訴え提起当初から訴訟代理人が付されていたことも考慮すれば,控 年9月17日頃,本件除却命令については平成21年7月28日頃,それぞれ処分通知書を受領しており,その内容を了知することができた。本件の訴え提起当初から訴訟代理人が付されていたことも考慮すれば,控訴人は,遅くとも原審における人証調べ期日までには,本件各処分の理由不備に関する主張を容易にすることができたはずである。しかるに,控訴人は,平成23年1月21日被控訴人に送付された本件控訴理由書(2)によるまで,理由不備の主張をしておらず,この遅延は控訴人の重過失によるものである。当該主張は訴訟の完結を遅延させるものであり,時機に遅れた攻撃防御方法として民事訴訟法157条1項により却下されるべきである。 ② 本件各処分通知書には,本件土地及び建物名称が表示され,処分対象となる物件が明示されている。また,上記土地における控訴人の開発行為そのものが違反事実となっていること,及び同開発行為が法29条に違反し たこと,すなわち控訴人が市街化調整区域において開発許可を得ずに開発行為を行ったことも了知することができる。したがって,処分対象事実が明らかでないとはいえない。 ③ 本件建物は物販店舗であって,50平米基準によるまでもなく,法施行令29条の7第1号にいう休憩所ということができないことが明白な事案であり,50平米基準が理由中に提示される必要はない。また,控訴人の開発行為が法29条1項に違反するとの法令違反の摘示により,同法81条1号違反(法律違反)が根拠づけられ,また同条4号違反についても,控訴人が不正な手段によって開発許可を受けたことが法文上明らかである以上,その適用関係は示されている。 ④ 本件においては,是正指導,告知聴聞等を経て本件各処分がされており,被控訴人は控訴人に対し度々50平米基準等につき説明し,聴聞手続においても処分理 らかである以上,その適用関係は示されている。 ④ 本件においては,是正指導,告知聴聞等を経て本件各処分がされており,被控訴人は控訴人に対し度々50平米基準等につき説明し,聴聞手続においても処分理由を説明した。控訴人は,本件各処分の理由不備を全く問題とせずに容認した上で,審査請求及び本件訴訟においても本件各処分の理由不備を主張せず,控訴人の上記容認は少なくとも原審口頭弁論終結時まで継続していた。控訴人の容認状態の継続により,本件各処分の理由不備の瑕疵は治癒されたというべきである。 ⑤ 控訴人は,50平米基準を潜脱する意図で虚偽の内容の開発行為許可申請を行い,本件建物の営業開始後には,是正指導や聴聞手続等の一連の経緯の中で,被控訴人から50平米基準に基づく指導等を多数回受けたにもかかわらず,聴聞時,審査請求及び原審の段階においても処分理由に関する質問,求釈明や主張はしていない。本件建物について,1000平方メートル以上もの物販スペースが存在し,客観的に大型小売店舗と化している状況下においては,控訴人その他の者にとって,具体的かつ詳細な事実や根拠法条の適用関係の記載がなくとも,処分理由は明白であった。このような本件の事案に即して理由提示の程度を判断すれば,本件各処分の行 政手続法14条1項違反の程度は軽微というべきであり,理由提示につき処分取消相当の不備があるとまではいえない。 ⑥ 本件各処分の取消判決がされれば,被控訴人が本件建物を物販施設として使用継続することにより,周辺地域の無秩序な市街化等の危険が現実化し,被控訴人の都市計画上,公の利益に著しい障害を生ずる。他方,控訴人の本件建物の保存及び使用の利益は法的保護に値せず,控訴人は,本件各処分後も本件建物敷地を市街化調整区域内の土地として使用することができ,自主的な本件建物 公の利益に著しい障害を生ずる。他方,控訴人の本件建物の保存及び使用の利益は法的保護に値せず,控訴人は,本件各処分後も本件建物敷地を市街化調整区域内の土地として使用することができ,自主的な本件建物の移築や,控訴人経営の他店舗へ本件店舗の商品や従業員を振り分けること等で損害を防止し得る。このような事情を衡量すれば,本件各処分の取消しが公共の福祉に適合しないことは明らかである。したがって,仮に本件各処分に理由不備の手続規定違反があるとしても,いわゆる事情判決(行政事件訴訟法31条1項)をすべきである。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,本件各処分は違法であり取り消されるべきものと判断する。その理由は,次のとおりである。 1 50平米基準は,開発許可の審査基準といえるか控訴人は,50平米基準が記された質疑応答集は,断片的な想定問答形式で「開発許可制度の手引」との関係も不明であり,その冒頭に必ずしも記載どおりに許否の判断がされない旨の記載もあること,平成20年に至るまで公表されていなかったことなどから,50平米基準は審査基準とは解し得ないと主張する。 しかしながら,質疑応答集の50平米基準に関する記載からは,それが法34条9号,法施行令29条の7にいう休憩所の開発行為の許可に関して,販売コーナーは休憩所(ドライブイン)の付随施設として面積50平方メートル以内のものに限り認められるという休憩所(ドライブイン)内の販売施設の設置に係る基準であることを容易に読み取ることができる。また,乙112,11 3,164,166の1及び2,190ないし192号証,証人A(原審)の証言によれば,質疑応答集が「開発許可制度の手引」と一体のものとして法第3章第1節開発行為等の規制に係る運用基準ないし判断基準を示すものとされ,上記手引とと 190ないし192号証,証人A(原審)の証言によれば,質疑応答集が「開発許可制度の手引」と一体のものとして法第3章第1節開発行為等の規制に係る運用基準ないし判断基準を示すものとされ,上記手引とともに自由閲覧や貸出しに供されるなどして公表されていたことが認められる。したがって,50平米基準は被控訴人における開発許可の運用基準ないし判断基準を示すものと認められる。控訴人の指摘する質疑応答集冒頭の記載は,必ずしも50平米基準のような数値に基づく明確な記述に限らない質疑応答集全体に係るものであるから,上記判断を左右するものではない。 2 50平米基準の適法性控訴人は,50平米基準が開発行為の審査基準として不合理で,法34条9号,法施行令29条の7第1号に抵触し,また,他の自治体の取扱いとも整合しないなどと主張する。 しかしながら,法34条9号,法施行令29条の7第1号の趣旨は,法7条,29条が無秩序な市街化を防止するため市街化調整区域内の開発行為を個別の許可によらしめたことを前提に,道路の円滑な交通を確保するために必要な施設を例外的に許可の対象にしたものであって,同号にいう休憩所も,道路の円滑な交通のため,自動車運転者等が休憩し,それに付随して飲食等をすることができる施設を指すと解すべきであり,物販施設は,道路利用とは基本的に関係がなく,市街化区域に建築することが困難又は不適当な建築物にも当たらないから,休憩所に含まれるものではない。しかし,上記法令では本来容認されていない物販施設について,許可権者が,その裁量の範囲内で,地域の実情に応じ道路利用者の利便性向上等の目的で休憩所の付随施設として例外的に容認することは,上記法令の趣旨に反するものではないと解される。 そして,法29条1項11号及び法施行令22条6号において,特定の目的を 路利用者の利便性向上等の目的で休憩所の付随施設として例外的に容認することは,上記法令の趣旨に反するものではないと解される。 そして,法29条1項11号及び法施行令22条6号において,特定の目的を有する物販店舗で延べ面積が50平方メートル以内のものについては軽易な行為として開発許可を要しないとされていることにも照らせば,50平米基準 は,道路利用者の利便性向上を目的として,ドライブインを休憩所に当たるとし,その付随施設としての物販施設を面積50平方メートル以内に限って例外的に容認するとしたものであり,内容も明確で,上記法令の趣旨に適合した合理的なものといえ,許可権者の裁量権の範囲を逸脱するものとはいえない。また,他の自治体の取扱いは,原判決認定(13頁24行目から15頁12行目まで)のとおりであり,休憩所に付随した物販施設の取扱いが上記のとおり地域の実情に応じた許可権者の裁量に委ねられる事項であることからすれば,被控訴人の設ける50平米基準が,他の自治体の取扱いに比して不合理とはいえない。 3 本件建物は法施行令29条の7第1号の「休憩所」に当たるか(1) 控訴人は,法施行令29条の7第1号の「休憩所」は社会通念上のドライブインを指し,本件建物は,建物全体の面積の大きさにつれて物販コーナーの面積が大きくなっているが,ドライブインの実質を備えていると主張する。 しかしながら,無秩序な市街化を防止するため市街化調整区域内の開発行為を個別の許可にかからしめ,例外的に許可しうる開発行為を列挙した法7条,29条,34条の趣旨,及び法34条を受けて道路の円滑な交通を確保するため適切な位置に設けられる一定の施設等を許可対象と定めた法施行令29条の7第1号の趣旨に照らし,同号にいう休憩所に当然に物販施設が含まれると解することはできず,被 受けて道路の円滑な交通を確保するため適切な位置に設けられる一定の施設等を許可対象と定めた法施行令29条の7第1号の趣旨に照らし,同号にいう休憩所に当然に物販施設が含まれると解することはできず,被控訴人が市街化調整区域内の開発行為について設ける規制内容を無視して上記各法令に係る法適合性を論じることもできないことは,原判決が説示(11頁16行目から13頁23行目まで,19頁11行目から20頁8行目まで)するとおりである。したがって,社会通念上,ドライブインとみることができれば,当然に法施行令29条の7第1号の「休憩所」に当たるかにいう控訴人の上記主張は失当である。 (2) 法34条9号,法施行令29条の7第1号の趣旨からすると,同号にい う休憩所は,道路の円滑な交通のため,自動車運転者等が立ち寄って休憩,飲食をすることができる施設を指し,これに物販施設が当然に含まれるものではないが,地域の実情に応じて許可権者がその裁量によって休憩所に付随する施設として物販施設を設けるのを認めることが上記法令の趣旨に反するものではないと解されることは前記のとおりである。そして,高崎市の市街化調整区域に所在する本件土地においては,前記1,2のとおり被控訴人がドライブイン内の販売施設の許可を50平米基準に基づき運用しているのであるから,50平米基準に適したドライブインは休憩所に当たるものといえる。 (3) これを前提に本件建物についてみると,証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件開発許可及び建築確認に至る経緯① 控訴人代表者は,平成17年6月頃から,被控訴人(合併前のα町)の建築指導課を訪れ,市街化調整区域内に地産地消の農産物を販売する施設「B」を建築したいとして開発行為の相談をしていた。その相談の際 控訴人代表者は,平成17年6月頃から,被控訴人(合併前のα町)の建築指導課を訪れ,市街化調整区域内に地産地消の農産物を販売する施設「B」を建築したいとして開発行為の相談をしていた。その相談の際に控訴人代表者が提出した「B出店計画書」には,建物の概要として鉄骨造平屋建1800㎡農業用ハウス520㎡等と,取扱い商品として地元農産物,地元加工食品,鮮魚・肉・日配品,加工食品・菓子及び農業用品が合計90%,レストラン10%とそれぞれ記載され,その添付図面には建物面積約1800㎡のうちレストラン387㎡,B1125㎡と記載されていた(乙163,214)。しかし,被控訴人は,控訴人代表者に対し,市街化調整区域内には商品販売用の店舗の建築は許可されないことを伝え,控訴人代表者が同月27日に相談に訪れた際には,開発許可の運用基準を記載した書面や50平米基準が記載された開発許可制度質疑応答集の該当部分の写しを交付した。また,被控訴人の建築指導課長(当時)Aも,同年12月頃,控訴人代表者から同様の相 談を受けたが,50平米基準の内容と,市街化調整区域内においては大規模な販売用店舗の建築は許可できないことを説明した。(甲106,乙112,163,164,208,209,214,証人A)② 控訴人代表者は,その後も平成18年3月から5月にかけて4回にわたり,被控訴人助役(副市長)に面会を求め,同様の相談をし,上記出店計画について折衝を繰り返したが,被控訴人の回答は変わらなかった。同年5月19日に行われた最後の折衝の席で,控訴人代表者はドライブインを建築すると話し,被控訴人助役は,許可基準に沿ったドライブインとするように告げた。(乙27,215)③ 控訴人は,平成18年7月14日,開発目的を休憩所(ドライブイン)とする イブインを建築すると話し,被控訴人助役は,許可基準に沿ったドライブインとするように告げた。(乙27,215)③ 控訴人は,平成18年7月14日,開発目的を休憩所(ドライブイン)とする宅地開発事業計画に関する事前協議を申請し,同年8月23日,控訴人と高崎市長との間で,高崎市宅地開発指導要綱6条の規定による開発行為の事前協議が成立した。そして,控訴人は,同年10月2日,開発許可を申請し,同月20日付けで本件開発許可を受けた。本件開発許可は,予定建築物等の用途を「休憩所(ドライブイン)」とし,許可を受けた事項を変更するときは市長の許可を受けることなどの条件が付されていた。さらに,控訴人は,同年12月21日,本件建物の建築確認の申請を行い,平成19年1月17日付けで建築確認を受けた。 (甲2,3,4,61,70,106,134,乙6,112,194,202)④ 上記の開発許可申請書に添付された建物平面図(乙17)には,本件建物の使用形態として,「店舗(和食・洋食・軽食)」,「店舗(ラーメン・うどん・軽食)」,「座席数 486席床面積2990.66㎡」等と表示され,建物内の北東寄りに「みやげコーナー50㎡」と記載されたほかに物販施設の表示はなく(みやげコーナーの周囲に「休憩室」と表示された40m×10mほどの空間部分がある。),その他の 大部分を占める営業用部分には,「レストラン(和食)座席数4×52=208席座席数6×12=72席,」,「レストラン(洋食)座席数4×30=120席」,「軽食ゾーン焼きそば・パン・ホットドッグ座席数2×11=22席座席数4×16=64席」,「ラーメン・うどん・軽食座席数4×17+6=74席」等の表示とともに座席,厨房が配置され,飲食店とみられる記載がされており,同じく添 ットドッグ座席数2×11=22席座席数4×16=64席」,「ラーメン・うどん・軽食座席数4×17+6=74席」等の表示とともに座席,厨房が配置され,飲食店とみられる記載がされており,同じく添付された土地利用計画平面図(乙16)にもほぼ同様の記載があった。 ⑤ 控訴人が本件建物の建築確認申請書に添付した申請建物配置図(甲73,104)は,上記土地利用計画平面図とほぼ同様の図面が使われたが,「面積50.00㎡」と表示された「みやげコーナー」の「みやげ」を線で消して「物販」と訂正されていたほか,前記「レストラン(和食)」,「レストラン(洋食)」と表示されていた部分は「ドライブインレストラン」,「レストラン世界の料理 B」等と表示されており,本件建物のうち面積50平方メートルの物販施設のほかは大部分が飲食店として表示されていることは変わらなかった。 控訴人は,前記事前協議,その他本件開発許可及び本件建物の建築確認申請に関連した各種手続においても,上記建物平面図又は土地利用計画平面図と同様の図面を提出していた。(甲51,56,59,68,87,90,乙202)⑥ 控訴人は,本件建物の建築工事が完了する直前の平成19年4月25日,群馬県高崎保健福祉事務所宛に食品衛生法52条に基づく営業許可の申請をしたが,その際に提出された図面(「DC店新築工事設計図」(乙39,81))には,上記土地利用計画平面図及び建物平面図で「みやげコーナー50㎡」と記載されていた箇所を含め,本件建物の北側から中央にかけてのおよそ3分の2にあたる部分に,スーパーマーケット類似の物販店舗の表示とみられる商品陳列棚,レジ,冷蔵ケースな どが配置され,肉,魚,干物,果物,日配,揚物,総菜,野菜,パン,米売場,花,園芸,タネ,農薬等の販売商 分に,スーパーマーケット類似の物販店舗の表示とみられる商品陳列棚,レジ,冷蔵ケースな どが配置され,肉,魚,干物,果物,日配,揚物,総菜,野菜,パン,米売場,花,園芸,タネ,農薬等の販売商品名も記載されており,座席,厨房が配置されたレストランを示す部分は本件建物の南側およそ3分の1の部分を占めるのみとなっていた。そして,本件建物の工事に携わった業者は,これと同様の図面に依拠して本件建物を建築するように依頼されていた。なお,工事関係業者が所持していた上記図面には,「2006/10/30作成 2006/11/05変更修正」との記載がある。被控訴人は,平成20年5月19日になって,群馬県高崎保健福祉事務所からこの図面を入手した。(乙40,81,129,214)⑦ 控訴人は,平成19年5月2日,建築基準法7条1項に基づく工事完了検査を申請し,同月8日,被控訴人の建築指導課担当職員が検査を実施した。その際,本件建物内には,前記新築工事設計図に示されていたような商品陳列棚,冷蔵ケース,レジスター等の設備や什器備品は,未だ搬入されていなかった。被控訴人の建築主事は,控訴人に対し,同日付けで,建築物の用途を飲食店として,同法7条5項に基づく本件建物の検査済証を交付した。(甲4,乙165,170,171)イ本件建物における営業開始から本件各処分に至る経緯① 控訴人は,平成19年5月16日頃から,本件建物において,「BC店」との名称で営業を開始した。 ② 本件建物の延べ床面積2994.69平方メートルのうち事務所,倉庫及び物置等を除く店舗等営業部分の床面積は2670平方メートルであり(甲4,乙24),控訴人は,開業直後には,本件建物のおよそ3分の1にあたる中央部分約1080平方メートル程度を野菜,鮮魚等生鮮食品や漬物,特産物,酒 等営業部分の床面積は2670平方メートルであり(甲4,乙24),控訴人は,開業直後には,本件建物のおよそ3分の1にあたる中央部分約1080平方メートル程度を野菜,鮮魚等生鮮食品や漬物,特産物,酒,花,野菜等の種子などの物販店舗とし,その南側部分を飲食店(軽食コーナー,レストラン)として営業し,北側およそ3分の1の空きスペースには「来春E出店予定」と看板を出して いた。控訴人は,平成19年7月頃には,商品購入後その場で自由に調理飲食ができる「セルフ方式レストラン」と称して,物販店舗内に折り畳み椅子とテーブルを設置し,その一部に簡易なガスコンロや調理道具等を置くなどしていたが,同店舗の取扱商品は,上記のとおり多岐にわたり,種類別に,店内に設置された平台,多段式の陳列棚,冷蔵ケース等に陳列され,会計は中央レジスターで一括して行うなど,その営業形態はスーパーマーケットに類似したものであった。また,控訴人は,当初宣伝広告チラシに「D」,「地産地消レストラン」などと表示していたが,平成19年8月頃からは,宣伝広告チラシにも一般のスーパーマーケット同様に上記物販店舗の取扱商品やその価格,集客イベントの案内等を記載するようになり,その後,後記のとおり店舗面積に変動はあるものの,現在まで同様にスーパーマーケット類似の形態で物販店舗の営業を継続している。(乙1の1ないし5及び8ないし12,2(枝番含む),21(枝番含む)ないし23,150,245,246)③ 高崎市長は,控訴人に対し,平成19年7月20日に交付した同日付け指示書(宅地開発指導担当を担当とする。乙83の1)をもって,本件建物の建築行為が法42条に違反しているとして,直ちに法29条において開発行為を許可した予定建築物(ドライブイン)以外の用途での使用を停止すること等を指示し, 担当とする。乙83の1)をもって,本件建物の建築行為が法42条に違反しているとして,直ちに法29条において開発行為を許可した予定建築物(ドライブイン)以外の用途での使用を停止すること等を指示し,違反内容として予定建築物等(ドライブイン)の用途が開発許可内容と異なることを挙げ,法34条8号の開発許可等運用指針として50平米基準を挙げた。また,同日付け指示書(建築指導課指導担当を担当とする。乙83の2)をもって,本件建物は建築基準法6条1項に違反しているとして平成19年1月17日○号により確認した建築物の確認申請書に記載した内容以外での用途の使用を停止すること等を指示し,違反内容として,平成19年1月17日○号により確認した建築物が建築基準法施行令第9条第十二号に違反して いること,主要用途がドライブインではなく物販業を営む店舗になっていることを挙げた。(乙83の1及び2,152)④ 控訴人は,これを受けて,被控訴人に対し,平成19年8月3日付けで,本件建物の主要用途をドライブインとするため,飲食コーナー及び休憩所を拡張し,気軽にドライバーが休憩できる施設に平成19年9月3日までに変更することなどを是正方法として記載した是正計画書(甲7)を提出した。しかし,控訴人は,同年9月3日を過ぎても,本件開発許可及び建築確認申請どおりに物販店舗の面積を50平方メートル以下にすることはなかった。(乙151,153)⑤ そこで,被控訴人は,控訴人に対し,平成19年9月11日交付した同日付け指示書をもって,同月30日までに前記③と同旨の是正をすることを指示した(甲8,9,乙83の3及び4,154)。 ⑥ 控訴人は,平成19年10月1日頃には,物販店舗の売場面積を縮小し,野菜類の販売売場部分を50平方メートル以内としたが,これと別に「セ ことを指示した(甲8,9,乙83の3及び4,154)。 ⑥ 控訴人は,平成19年10月1日頃には,物販店舗の売場面積を縮小し,野菜類の販売売場部分を50平方メートル以内としたが,これと別に「セルフレストラン」として,調理道具を設置したテーブル,椅子とともに肉類や乳製品等の売場を存続させており,これらも含めると物販店舗面積は50平方メートルを超えていた。被控訴人は,その後も本件建物の状況を調査し,控訴人に対し当初計画どおりドライブインを主用途とするように是正を求めたが,控訴人が物販店舗の売場面積を50平方メートル以内にすることはなかった。(乙151,155,157から159)⑦ 被控訴人は,控訴人に対し,平成20年4月14日付け指示書をもって,再度前記③と同旨の指示をした(乙83の5及び6)。 ⑧ 控訴人は,平成20年4月から5月頃には物販店舗の売場面積を約570平方メートルに縮小させるなどしたが,50平方メートル以下にすることはなかった(乙23,178)。なお,控訴人は平成19年10 月26日から平成20年5月29日までの間,物販売場面積を約150平方メートルまで縮小していたと主張し,控訴人代表者の供述中にはこれに沿う部分もあるが,その供述を裏付けるに足りる証拠はない。 ⑨ 被控訴人は,控訴人に対し,平成20年5月8日付け警告書をもって,本件建物の建築行為が法42条に違反し,これまで是正措置を講ずるよう指導してきたが依然として是正されていないとして,同年5月22日までに開発許可を受けた使用形態に復帰しない場合は,建築物の使用停止等の処置を行うことになるとの警告をし,この警告に従わない場合は,法81条に基づく監督処分を命じることを告知した(乙84の1)。また,同月8日付け勧告書をもって,本件建物が建築基準法6条1項に違 止等の処置を行うことになるとの警告をし,この警告に従わない場合は,法81条に基づく監督処分を命じることを告知した(乙84の1)。また,同月8日付け勧告書をもって,本件建物が建築基準法6条1項に違反しており,これまで是正措置を講ずるよう指導してきたが依然として是正されていないとして,同年5月22日までに確認申請書記載の使用形態に復帰しない場合は,建築物の使用禁止等の措置を行うことになるとの勧告をし,この勧告に従わない場合は,同法9条1項の規定に基づく行政処分を命じることになる旨告知した(乙84の2)。 ⑩ 被控訴人は,平成20年5月23日に本件建物への立入りを求めたが,控訴人は敷地内への立入りを拒否した。控訴人は,同月末頃から物販売場面積を再び拡張し,同年6月5日時点で,事務所,倉庫及び物置等を除く営業用部分の床面積2670平方メートルのうち約37.4パーセントに当たる約1000平方メートルの部分を物販店舗とし,約27. 6%に当たる約738平方メートルを飲食店とし,約34.9パーセントに当たる約932平方メートルを飲食スペースとしていた。本件建物店舗の売上げは,平成20年9月期には総額5740万円余りで,その大半を生鮮食品や果実,野菜,日配加工品が占め,飲食店部分の売上げ構成比率は1割にも満たなかった。(甲20,乙1の9及び10,15,23,24) ⑪ 被控訴人は,平成20年6月11日,本件使用停止命令を目的として行政手続法15条1項による聴聞を行った。同聴聞手続の通知書には,使用停止命令の根拠法令は法81条1項,不利益処分の原因となる事実は「開発許可を受けた予定建築物以外の用途での使用(都市計画法42条の規定に違反)」と記載され,聴聞の期日においてもほぼこれと同旨の説明がされた。控訴人代理人弁護士は,聴聞の期日におい 因となる事実は「開発許可を受けた予定建築物以外の用途での使用(都市計画法42条の規定に違反)」と記載され,聴聞の期日においてもほぼこれと同旨の説明がされた。控訴人代理人弁護士は,聴聞の期日において,販売コーナーの制限面積が50平方メートル以内とされる法律,条例上の根拠を質問し,意見は別途提出した意見書のとおりである旨を述べた。控訴人は,その後,同月13日付けで,50平米基準の不当性を述べ,本件建物の物販売場面積は総面積の40パーセント未満に過ぎず,開発許可を受けた用途であるドライブインの趣旨に反せず,建築基準法6条1項違反に該当する法的根拠もないなどとする意見書を提出した。(乙219,220,222)⑫ 被控訴人は,控訴人に対し,平成20年6月20日付け命令書をもって,開発許可を受けた内容の使用形態にし又は確認申請書記載の使用をするように命令し,同日付けで,法82条1項に基づく立入検査及び建築基準法12条6項に基づく立入検査を通知の上実施した(乙172の1及び2,乙22の9ないし43)。 ⑬ 被控訴人は,控訴人に対し,平成20年8月29日付け催告書をもって,同年9月12日までに開発許可を受けた内容の使用形態にし又は確認申請書記載の使用をするように催告した(乙56,57)。 ⑭ 被控訴人は,平成20年9月17日付けで,本件使用停止命令及び本件是正措置命令を行った(甲128,131)。 ⑮ 被控訴人が平成20年9月17日に本件建物に立入り調査を行った際,控訴人が本件建物事務所部分に控訴人会社本部の表示を掲げており,幹部のスケジュール表や同社の過去の業務関係書類も事務所内で管理され ていること,同年8月付けで同社本部が本件建物内に移転した旨の生産者各位宛ての案内文書も掲示されていたことが確認された。控訴人は,その後も本件 や同社の過去の業務関係書類も事務所内で管理され ていること,同年8月付けで同社本部が本件建物内に移転した旨の生産者各位宛ての案内文書も掲示されていたことが確認された。控訴人は,その後も本件建物で従前同様に物品販売を継続し,被控訴人の設置した本件建物の使用停止命令等の標識を隠蔽するようにのぼりを設置するなどしていた。(乙29,80,115,116,125)⑯ 被控訴人は,平成21年7月17日,本件除却命令を目的として聴聞を行った。同聴聞手続において,被控訴人は,本件除却命令の根拠法令を法81条1項,29条とし,原因事実を予定建築物の用途を偽った開発行為,と説明した。控訴人代理人は,用途を偽った開発行為はしていない旨を述べた。(乙224)⑰ 被控訴人は,平成21年7月28日付けで,本件除却命令を行った(甲142)。 (4) 前提事実及び上記(3)のとおり認定される事実からすれば,本件建物は,開業以来,50平米基準に反する物販店舗を主な用途として使用されており,全体として,法施行令29条の7第1号の休憩所には当たらないというべきである。 4 本件是正措置命令の根拠(本件建物の建築基準法6条1項違反)の有無(1) 控訴人は,本件建物につき建築物の構造,配置等の変更はないから,都市計画法上の予定建築物の用途の変更には該当せず,建築基準法6条1項の違反になる余地はなく,建築基準法令の実体規定の違反もないので,同法9条1項の是正措置命令をすることはできない等と主張する。 しかし,建築基準法6条1項,同法施行令9条12号により,同法6条1項にいう建築基準関係規定には,法35条の2も含まれる。そして,法35条の2及び法30条1項2号は,開発許可を受けた者が予定建築物の用途を変更しようとする場合は都道府県知事の許可を受けなければなら 項にいう建築基準関係規定には,法35条の2も含まれる。そして,法35条の2及び法30条1項2号は,開発許可を受けた者が予定建築物の用途を変更しようとする場合は都道府県知事の許可を受けなければならないことを定める。前記3の認定事実に照らせば,控訴人は,本件建物の用途を法34 条9号,法施行令29条の7にいう休憩所(ドライブイン)として開発許可を受けていながら,本件建物を開業当初から物販施設の用途に供していたと認められるから,法35条の2及び法30条1項2号により物販施設として県知事の許可を受けなければならず,その許可を得て法に適合するものであることについて,建築基準法6条1項後段の「確認を受けた建築物の計画の変更・・をして・・建築物を建築しようとする場合」として,改めて建築確認を得るべきであった。 したがって,本件建物は,少なくとも,控訴人が建築基準法6条1項後段,同法施行令9条12号,法35条の2第1項,法30条1項2号に基づき,計画を変更し本件建物の用途を物販施設として県知事の許可を受けるべきであったのに,これを受けていない点において,建築基準法9条1項にいう建築基準法令の規定に違反があったというべきであるから,是正措置命令の対象となるというべきである。 (2) なお,控訴人は,本件建物自体の構造,配置の変更はないから都市計画法上の用途の変更に当たらないと主張するが,都市計画法の趣旨は,無秩序な市街化を防止し,計画的な市街化を図ることにあるから,開発許可における用途の異同もこの観点から決せられ,必ずしも建築物自体の構造,配置の変更の有無に関わらないと解すべきである。 5 本件使用停止命令及び本件除却命令は,「都市計画上必要な限度」のものか(1) 控訴人は,本件使用停止命令は,物販コーナーの50平方メートルを超える部 変更の有無に関わらないと解すべきである。 5 本件使用停止命令及び本件除却命令は,「都市計画上必要な限度」のものか(1) 控訴人は,本件使用停止命令は,物販コーナーの50平方メートルを超える部分以外の部分の使用停止を含む点で,法81条1項本文の規定する「都市計画上必要な限度」を超えており,本件除却命令は,都市計画法に照らし十分に活用可能な状態にある本件建物の除却を命じる点で,「都市計画上必要な限度」を超えていると主張する。 (2) 前記3(3)のとおり認定される事実に照らせば,控訴人は,本件土地に物販店舗の出店を計画したが,被控訴人が50平米基準により物販店舗の開発 行為を許可しないことを知ると,本件建物を50平米基準に適合したドライブイン又は飲食店として申請書類を提出し,本件開発許可及び本件建物の建築確認を得る一方,開発許可に関与しない県保健福祉事務所等には,本件建物を物販店舗とする設計図面を交付するなどして開業準備を進め,本件建物に約1000平方メートルのスーパーマーケット類似の物販店舗を開業して営業を継続しており,申請当初から50平米基準ひいては都市計画法上の区域区分の趣旨を潜脱して本件建物を物販店舗とする意思を持ちながら,飲食店を中心としたドライブインであるかのように装って,本件開発許可及び建築確認を得たものと認められる。そして,控訴人は,被控訴人から,平成19年7月20日,同年9月11日,平成20年4月14日の3回にわたる指示書,同年5月8日付けの警告書及び勧告書,同年6月20日付け命令書,同年8月29日付け催告書をもって,再三にわたり,本件建物につき開発許可及び建築確認申請のとおりの使用形態に是正するよう求められたにもかかわらず,一時的に物販店舗面積を縮小したのみで,是正に応じることなく約1000平方メートル て,再三にわたり,本件建物につき開発許可及び建築確認申請のとおりの使用形態に是正するよう求められたにもかかわらず,一時的に物販店舗面積を縮小したのみで,是正に応じることなく約1000平方メートルの広さの物販店舗営業を継続し,これを近隣に宣伝広告し,本件建物の事務所部分を会社本部として使用してもいた。このことからすれば,控訴人の法令違反の程度は著しいと言わざるを得ず,これを放置すれば,区域区分の趣旨に反した周辺の無秩序な市街化を招く可能性も否定し難い。さらに,前記のとおり,被控訴人は,控訴人に対し,是正の指示を重ねたのみならず,是正されなければ本件建物の使用停止等の処分がされる旨の警告,勧告等を行い,聴聞の手続後もなお是正の催告をしてもいた。それにもかかわらず,控訴人はこれに従わずに開業以来約1年4か月にわたって物販店舗の営業を継続しており,自ら行った開発許可申請の内容に則した本件建物の使用をする意思を有していないとみられる。このことからすれば,本件使用停止命令時点までに,法令違反を是正するには,もはや本件建物使用自体を停止させるほかはない状態に至っていたというべきである。 したがって,本件使用停止命令は,法81条1項本文の規定する「都市計画上必要な限度」を超えるものとはいえない。 (3) また,前記認定事実によれば,被控訴人は,控訴人が本件使用停止命令後も従前同様の物販店舗営業を継続したことから,聴聞の手続を経て,本件除却命令に至ったことが認められる。そして,本件使用停止命令の違反については,行政代執行や直接強制は認められず,行政上の義務履行確保を求める民事訴訟を提起することもできない(最高裁判所平成10年(行ツ)第239号・同14年7月9日第三小法廷判決,民集56巻6号1134頁参照)ため,本件建物除却以外に違法状態を 上の義務履行確保を求める民事訴訟を提起することもできない(最高裁判所平成10年(行ツ)第239号・同14年7月9日第三小法廷判決,民集56巻6号1134頁参照)ため,本件建物除却以外に違法状態を解消する手段を見出し難いといえる。 他方,本件除却命令によっても,控訴人が都市計画法令の規制の範囲内で本件土地を使用することは妨げられない。これらからすると,本件除却命令も,「都市計画上必要な限度」を超えるものではないというべきである。 6 被控訴人による本件各処分は控訴人に対する信義則違反か控訴人は,被控訴人が,控訴人が行おうとしている事業計画を十分知った上で,開発許可処分等を行っておきながら,事業が開始されるや,突如50平米基準を持ち出して本件各処分を強行したと主張する。 しかし,前記3(3)で認定の事実によれば,控訴人は,被控訴人から事前に50平米基準の説明を受けて,物販店舗の開設が原則的に許可されないことを知ったため,これに適合する飲食店を中心としたドライブインの事業計画として本件開発許可及び建築確認の申請を行いながら,実際には当初から50平米基準を潜脱した物販店舗営業を計画していたものであり,被控訴人がこのような控訴人の物販店舗営業の計画を認識していたとは認められない。したがって,被控訴人に信義則違反があるとは到底いえない。 7 本件各処分の理由提示は十分か(1) 以上のとおり,本件各処分には,いずれも実体的な違法事由は認められないところ,控訴人は,不利益処分である本件各処分は,いずれもその理由 の提示が十分ではなく,行政手続法14条に違反すると主張するので,以下この点につき判断する。 (2) 被控訴人は,本件各処分通知書には,本件土地及び建物名称が処分対象となる物件として明示され,また,上記土地における控訴人の 手続法14条に違反すると主張するので,以下この点につき判断する。 (2) 被控訴人は,本件各処分通知書には,本件土地及び建物名称が処分対象となる物件として明示され,また,上記土地における控訴人の開発行為そのものが違反事実となっていること,及び控訴人が市街化調整区域において開発許可を得ずに開発行為を行ったことも了知することができるから,処分対象事実が明らかでないとはいえないと主張する。 しかしながら,行政手続法14条1項本文が不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである(最高裁判所平成21年(行ヒ)第91号・同23年6月7日第三小法廷判決,民集65巻4号2081頁参照)。そこで,以上の考え方に従い本件各処分について判断する。 (3)ア本件使用停止命令について本件使用停止命令(別紙1)には,控訴人の本件土地開発行為が法42条に違反しているので法81条1項に基づき処分する旨の記載がある。 本件使用停止命令の内容は,本件建物の使用を全面的に停止するものであり,控訴人にとっては重大な不利益をもたらす処分であるところ,命令書上「本件土地の開発行為」という以上に処分の根拠事実の特定はされていない。また,処分根拠法 本件建物の使用を全面的に停止するものであり,控訴人にとっては重大な不利益をもたらす処分であるところ,命令書上「本件土地の開発行為」という以上に処分の根拠事実の特定はされていない。また,処分根拠法令とされる法42条は,予定建築物以外の建築 物等の新築等禁止,改築,又は用途変更の禁止という複数の禁止内容を含むから,本件土地の開発行為が同条違反というだけでは,本件土地の開発行為の何がどのような禁止内容にふれるのかという処分の根拠事実との対応関係が全く明らかではない。また,法81条1項の定める監督処分は,各号に定められる処分要件が抽象的であり,処分行政庁が執り得る措置も多様で,その処分選択は処分行政庁の裁量に委ねられているため,同条項を挙げただけでは,本件土地の開発行為の何が同条項のどの処分要件に該当するのか,また,いかなる理由や基準で使用停止命令という監督処分が選択されたのかが明らかではない。さらに,前記のとおり,被控訴人においては50平米基準が開発許可の解釈運用基準として採用され,公表されており,控訴人からの本件開発行為の相談や開発許可申請,開業後の是正指導等にあたっても,50平米基準からみた適否が問題とされていたことが認められるにもかかわらず,本件使用停止命令には50平米基準に関する記載はない。 以上のような諸点を総合考慮すると,本件使用停止命令書の記載からは,本件土地開発行為のどのような点が法42条のどの文言に違反するのか,法81条1項各号のいずれの処分要件に該当するものとされたのか,どのような理由や基準で同項所定の措置として使用停止命令がされたかは,全く不明というほかはなく,行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし,不利益処分の理由提示としては不十分というべきである。 イ本件是正措置命令について本件是正措置命令(別 停止命令がされたかは,全く不明というほかはなく,行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし,不利益処分の理由提示としては不十分というべきである。 イ本件是正措置命令について本件是正措置命令(別紙2)には,違反事実の区分を「建築物・建築物の敷地」とし,所在地として本件土地が記載され,違反条項を建築基準法6条1項として,建築基準法9条1項の規定に基づき本件建物の建築物としての使用を禁止する旨の記載がある。 本件是正措置命令の内容は,本件建物の使用を禁止するという控訴人に とって重大な不利益処分であるところ,命令書上,違反事実として本件土地の建築物・建築物の敷地が建築基準法6条1項に違反する旨記載されているほかは,処分の根拠事実は特定されていない。また,違反条項とされる建築基準法6条1項は,建築物の建築,計画変更による建築,増築,大規模修繕等に関する申請及び確認を規定しており,本件建物については飲食店を用途とする申請に基づき建築確認がされていたことからすると,同条項違反というだけでは,違反の内容と処分の根拠事実との対応関係が明らかでない。また,同法9条1項に定める処分(是正措置)の要件は抽象的であり,措置の内容も多様で,その処分選択は処分行政庁の裁量に委ねられているところ,50平米基準との関係も含めた本件是正措置命令における措置の内容選択の基準やその理由については一切記載されていない。 以上のような諸点を総合考慮すると,本件是正措置命令は,建築物・敷地のどのような点が処分の根拠となる事実に当たり,それが,建築基準法6条1項のどの文言に違反するのかを明らかにせず,本件建物の使用禁止という是正措置がいかなる理由・基準でされたかも明らかにしていないから,行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし,不利益処分の理由提示として不十分という 違反するのかを明らかにせず,本件建物の使用禁止という是正措置がいかなる理由・基準でされたかも明らかにしていないから,行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし,不利益処分の理由提示として不十分というべきである。 ウ本件除却命令について本件除却命令書(別紙3)には,本件土地にかかる開発行為について,法81条1項1号,3号及び4号の規定に該当し,同法29条の規定に違反していることから,同法81条第1項の規定に基づき,命令送達の日から90日以内に本件建物の除却を行うことを命ずる旨の記載がある。 本件除却命令の内容は,本件建物の除却を命ずるもので,控訴人にとって極めて重大な不利益処分であるところ,本件土地にかかる開発行為という以上に処分の根拠事実の特定はされていない。処分根拠法令とされた法29条は,所定の開発行為に許可を要するとの規定であるが,本件土地の 開発行為には休憩所(ドライブイン)としての開発許可はされていたことからすると,本件土地の開発行為が同条に違反しているというだけでは,処分の根拠事実との対応関係が明らかではない(本件除却命令書には,「開発許可を取り消し,下記のとおり命じます。」と記載されており,除却命令の前提として開発許可自体を取り消す趣旨であるとも解されるが,そうであるとすると,開発許可の取消しについての理由が明らかでないということになる。)。また,法81条1項1,3,4号の各処分要件は抽象的であり,同項に基づき処分行政庁が執り得る措置も多様で,その処分選択は処分行政庁の裁量に委ねられているところ,命令書上,被控訴人において開発許可の解釈運用の基準とされ,開業後の是正指導等においても問題とされていた50平米基準との関係を含む処分選択の理由やその基準に関する記載はない。 以上の諸点を総合考慮すると,本件除却命令 いて開発許可の解釈運用の基準とされ,開業後の是正指導等においても問題とされていた50平米基準との関係を含む処分選択の理由やその基準に関する記載はない。 以上の諸点を総合考慮すると,本件除却命令書の記載からは,本件土地にかかる開発行為のどのような点が法29条にどのように違反するのか,どのような理由や基準で法81条1項所定の措置として除却命令がされたかは,いずれも全く明らかではなく,行政手続法14条1項本文の趣旨に照らし,不利益処分の理由提示としては不十分というべきである。 (4) 被控訴人は,① 是正指導や聴聞手続において被控訴人担当者が処分の原因となる事実の説明をしていたことから,処分の相手方である控訴人は理由を了知しており,理由提示に不足はない,② 仮に本件各処分に理由付記の不備があっても,控訴人が原審口頭弁論終結時までに理由付記の不備を主張することはなかったから,その瑕疵は治癒された,③ 被控訴人は,50平米基準等について度々指摘しており,本件建物が客観的に大型小売店舗となっていることからすれば,控訴人にも第三者にも処分理由が明らかで,理由不備の違反の程度は軽微であるから本件各処分の取消理由とすべきでない,等と主張する。 しかし,理由付記は,相手方に処分の理由を示すことにとどまらず,処分の公正さを担保することも目的とするものであるから,相手方がその理由を推知できるか否かにかかわらず,第三者においてもその記載自体からその処分理由が明らかとなるものでなければならないというべきであり,是正指導や聴聞手続等での説明をもって理由付記に代えることはできない。また,処分に先行した是正指導や聴聞手続は,本件各処分とは別個のもので,それらの手続により控訴人の意見や弁明を徴し,対応を見極めた上で本件各処分がされたものであって,処分の に代えることはできない。また,処分に先行した是正指導や聴聞手続は,本件各処分とは別個のもので,それらの手続により控訴人の意見や弁明を徴し,対応を見極めた上で本件各処分がされたものであって,処分の理由がそれらの手続における説明と全く一致するとは限らないから,その関係を明らかにするためにも,是正指導や聴聞手続で説明された処分根拠事実と本件各処分の根拠事実との異同の有無を認識するに足りる程度の理由は,本件各処分の記載自体においてされる必要があるというべきである。さらに,行政手続法14条1項の趣旨に照らせば,被控訴人主張の事情を考慮に入れても,上記のとおり根拠法令を示したに過ぎないともいうべき本件各処分の理由不備の程度が軽微であるということはできず,本件の審理経過等も併せみると,控訴人がその不備を容認して瑕疵が治癒されたとみることもできない。 (5) 被控訴人は,本件各処分に手続規定違反があるとしても,いわゆる事情判決(行政事件訴訟法31条1項)をすべきであると主張する。しかし,本件各処分が取り消されたとしても,処分庁が適切な理由を付して再度処分をし得ることを考慮すると,本件につき行政事件訴訟法31条1項により請求を棄却すべき事情があるとは認められない。 (6) 被控訴人は,本件各処分の理由不備の主張は,控訴人の重過失により時機に後れて提出したもので訴訟の完結を遅延させるから,民事訴訟法157条1項により却下されるべきであると主張する。 しかし,控訴人は,当審第1回口頭弁論期日で陳述した控訴理由書(1)の9頁において,本件各処分の命令書の理由不備を主張していたことが認めら れる。そして,その主張の基礎となる本件各処分の命令書の記載内容は,原審において提出された書証(甲128,131,142)によって明らかにされていた事実であって 備を主張していたことが認めら れる。そして,その主張の基礎となる本件各処分の命令書の記載内容は,原審において提出された書証(甲128,131,142)によって明らかにされていた事実であって,理由不備の主張は,これに対する法的評価をいうものに過ぎないから,必ずしも証拠調べを要するものではない。また,本件の当審係属後である平成23年6月7日に前記最高裁判所第三小法廷判決の言渡しがされ,それを踏まえた双方の主張がされたこと等の原審及び当審の審理経過に照らせば,上記理由不備の主張が訴訟の完結を遅延させるものとまでは認められない。 (7) したがって,本件各処分は,いずれも理由の提示を欠き,行政手続法14条に違反し,取消しを免れないというべきである。 第4 結論以上のとおり,控訴人の本件各処分の取消しを求める甲事件及び丙事件の請求はいずれも理由がある。 よって,原判決中,甲事件及び丙事件に関する部分を取り消し,本件各処分を取り消すこととして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第23民事部 裁判長裁判官鈴木健太 裁判官小宮山 茂 樹 裁判官瀬川卓男 (原裁判等の表示) 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 甲事件高崎市長(処分行政庁)が原告に対し平成20年9月17日付けでした建築物の使用停止命令及び是正措置命令を取り消す。 2 乙事件被告は,原告に対し,1億6688万9152円及びこれに対する平成20年5月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 丙事件高崎市長(処分行政庁)が原告に対し 被告は,原告に対し,1億6688万9152円及びこれに対する平成20年5月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 丙事件高崎市長(処分行政庁)が原告に対し平成21年7月28日付けでした建築物除却命令を取り消す。 第2 事案の概要 1 原告は,市街化調整区域にある土地について,都市計画法(以下,単に「法」という。)29条1項,34条9号(当時は8号,以下「9号」と表記する。)に基づいて予定建築物等の用途を「休憩所(ドライブイン)」とする開発許可を受け,その旨の建築確認を得た上で建物を建築した。 本件甲事件及び丙事件は,原告の上記建物について,実際に建築されたのは広い物販スペースを持つ店舗であり,また,その用途に供されているとして,被告(処分行政庁である高崎市長)が法29条1項,42条違反等を根拠に建物の使用停止命令及び是正措置命令,更には除却命令をしたところ,原告が,これらの行政処分の取消しを求めた事案である。 本件乙事件は,原告が,上記の行政処分に至る過程でされた被告の行政指導が違法な公権力の行使に当たるとして,国家賠償法1条1項に基づき,被告に対し,営業損害等の1億6688万9152円及びこれに対する不法行為後の平成20年5月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 本件の前提事実(証拠の記載のない項目は,当事者間に争いがない。なお,証拠を摘示するときは,特に断らない限り,枝番を含む。)(1) 原告は,平成18年10月20日付けをもって,高崎市長から,市街化調整区域に位置する別紙物件目録1ないし4記載の土地(以下「本件土地」という。)に係る開発行為について,法29条1項に基づき,法34条9号(当時は8号) 0月20日付けをもって,高崎市長から,市街化調整区域に位置する別紙物件目録1ないし4記載の土地(以下「本件土地」という。)に係る開発行為について,法29条1項に基づき,法34条9号(当時は8号)に従い予定建築物等の用途を「休憩所(ドライブイン)」とし,許可を受けた事項を変更するときは市長の許可を受けることなどの条件の付された開発許可(許可第○号,以下「本件開発許可」という。)を受け,同年12月20日付けで法36条3項に基づく工事完了届の公告がされた。 法34条9号,法施行令29条の7第1号は,「道路の円滑な交通を確保するために適切な位置に設けられる道路管理施設,休憩所又は給油所等である建築物又は第一種特定工作物」の建築等を市街化調整区域において行う開発行為の許可基準として定めている。 (2) 上記法令を受けて,被告はこれに適合した審査基準(運用基準)を定めており,その運用基準(当時のもの)では,休憩所(ドライブイン等)として,自動車の運転者等が立ち寄って休憩をしたり飲食ができる施設(主としてアルコール飲料を提供する施設を除く。)であること,開発区域の面積は2000平方メートル以上,駐車スペースは開発区域の過半以上,建築物は原則として平屋建とし床面積(自動販売機のみを設置する施設は除く。)は200平方メートル以上とすることなどの要件が規定され,休憩所(コンビニエンスストア)として,開発区域の面積は2000平方メートル以上で, 運転者等が駐車して休息できる駐車場が十分あること,飲食料品を扱い営業時間24時間であること,建物は平屋建で概ね店舗床面積は150平方メートル以下とすることなどの要件が規定されていた。さらに,被告は,上記に加え,休憩所(ドライブイン)内に販売施設を設ける場合の審査基準を定め,開発許可制度質疑応答集におい ね店舗床面積は150平方メートル以下とすることなどの要件が規定されていた。さらに,被告は,上記に加え,休憩所(ドライブイン)内に販売施設を設ける場合の審査基準を定め,開発許可制度質疑応答集において,販売施設は付随施設として面積が50平方メートル以内に限って認めるとの取扱いをしていた(以下,この審査基準を「50平米基準」という。)。 なお,被告は,平成13年4月に地方自治法252条の26の3第1項にいう特例市となって,法29条1項に基づき開発許可の権限を有することになったが,それまでは群馬県知事が開発許可権者であった。群馬県は,平成3年4月1日以降,開発許可制度質疑応答集で同内容の50平米基準を定めており,被告はこれをそのまま引き継いだものであって,特に群馬県及び開発許可権限を委任された前橋市,被告,桐生市,伊勢崎市,太田市で構成される開発許可事務連絡協議会における協議により,平成13年以前から,群馬県内で50平米基準に係る統一的な運用が図られていた。ただし,被告においては,現在,運用基準が改正され,市街化調整区域内での休憩所(ドライブイン)の設置を認めない取扱いとなっている。 (甲1,乙3,4,9,77,78,145,164,188ないし190)(3) 原告は,本件開発許可を受けた後,主要用途を飲食店とする確認申請書を提出した上で,平成19年1月17日付けをもって建築基準法6条1項に適合する(同法施行令9条12号の掲げる法29条1項等に適合するなどの)ものとして建築確認を受け,本件土地上に別紙物件目録5記載の建物(以下「本件建物」という。)を建築し,同年5月8日,検査済証の交付を受けた。そして,原告は,同月16日ころから,本件建物において,「BC店」との名称で営業を開始した。 (4) 本件建物 以下「本件建物」という。)を建築し,同年5月8日,検査済証の交付を受けた。そして,原告は,同月16日ころから,本件建物において,「BC店」との名称で営業を開始した。 (4) 本件建物の床面積は2994.69平方メートルであり,事務所,倉庫及び物置等を除く営業スペースの床面積は2670平方メートルであるが,そのうち約37.4パーセントに当たる1000平方メートルの部分は,現況において物販スペースになっており,残りの部分が飲食スペース,休憩所などに使われている。原告は,本件建物の開店直後に物販スペースを1000平方メートルとし,その後,約570平方メートルに減少するなどしたが,平成20年6月以降,再び1000平方メートルに拡大した。これらの時期を通じて,本件建物の使用形態は,物販スペースの床面積が終始50平米基準をはるかに上回るものであった。 (甲102,乙24,150,178)(5) 高崎市長は,本件建物の建築行為が法42条,建築基準法6条1項に違反しているなどとして,原告に対し,本件建物につき,平成19年7月20日付け,同年9月11日付け及び平成20年4月14日付け各指示書をもって,本件開発許可に係る予定建築物(ドライブイン)以外の用途又は建築確認に係る申請書に記載した内容以外の用途での使用を停止するように指示し,また,同年5月8日付け警告書及び勧告書をもって,同月22日までに開発許可を受けた使用形態又は確認申請書記載の使用形態に復帰しない場合は,建築物の使用停止等の措置を行うことになると警告ないし勧告し,同年6月20日付け命令書をもって,開発許可を受けた内容の使用形態又は確認申請書記載の使用をするように命令し,さらに,同年8月29日付け催告書をもって,同年9月12日までに開発許可を受けた内容の使用形態又 20日付け命令書をもって,開発許可を受けた内容の使用形態又は確認申請書記載の使用をするように命令し,さらに,同年8月29日付け催告書をもって,同年9月12日までに開発許可を受けた内容の使用形態又は確認申請書記載の使用をするように催告した。 (6) 高崎市長は,原告が上記の指示や警告等に応じないとして,平成20年9月17日付けをもって,原告に対し,本件土地において行っている開発行為が法42条の規定に違反しているとして,法81条1項の規定に基づき,本件建物の使用停止を命じ(第○-○号,以下「本件使用停止命令」とい う。),また,建築基準法6条1項の規定に違反しているとして,同法9条1項の規定に基づき,本件建物の使用を禁止する旨の是正措置を命じた(第○-○号,以下「本件是正措置命令」という。)。さらに,高崎市長は,平成21年7月28日付けをもって,原告に対し,本件土地に係る開発行為について,法81条1項1号,3号及び4号の規定に該当し,法29条1項の規定に違反しているとして,法81条1項の規定に基づき,本件開発許可を取り消すとともに,本命令到達の日から90日以内に本件建物を除却することを命じた(以下「本件除却命令」という。なお,本件使用停止命令,本件是正措置命令及び本件除却命令を併せて,「本件各処分」という。)。 (7) 原告は,平成20年9月18日,本件使用停止命令の取消しを求めて高崎市開発審査会に対し審査請求をしたが,平成21年3月23日,審査請求を棄却する旨の裁決を受けた。また,原告は,平成20年9月22日,本件是正措置命令の取消しを求めて高崎市建築審査会に対し審査請求をしたが,それから3か月を経過しても裁決がされなかった。そこで,原告は,平成21年3月27日,本件使用停止命令及び本件是正措置命令の取消しを求める 令の取消しを求めて高崎市建築審査会に対し審査請求をしたが,それから3か月を経過しても裁決がされなかった。そこで,原告は,平成21年3月27日,本件使用停止命令及び本件是正措置命令の取消しを求める訴え(甲事件)を提起した。さらに,原告は,本件除却命令に関して審査請求を経ていないものの,当該処分の執行等により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があると主張して,同年9月1日,その取消しを求める訴え(丙事件)を提起した。 3 本件の争点(1) 本件各処分の違法性・違憲性について(被告の主張)ア本件各処分が違法,違憲であるとする原告の後記主張は争う。原告の違反行為の程度は顕著で重大であり,任意の協力を得るための十分な期間を与えた上で本件各処分に至っているから,それらの適法性は明らかである。 イ法34条9号,法施行令29条の7第1号の趣旨は,道路の安全管理, 自動車の安全走行等の目的を達成するのに必要な施設だけを例外的に許可の対象にしたものであって,これにいう休憩所も,基本的には自動車運転者等が立ち寄って休憩をしたり飲食ができる施設と解釈される。50平米基準は,本来上記法令では容認されていないと考えられる休憩所での販売施設について,あくまで付随施設として50平方メートル以内に限って例外的に容認するとしているのであり,許可権者の裁量の範囲内にあって上記法令の趣旨に適合したものというべきである。 したがって,50平米基準に反し,広大な物販スペースを有する本件建物の使用実態は,自動車運転者の休憩のための施設ではなく,近隣住民の消費を目的とした物販店舗であることが明らかであって,かつ,本社機能を有する事務所まで設置していることも加味すれば,その建築は上記法令に違反している。しかも,原告は,本 めの施設ではなく,近隣住民の消費を目的とした物販店舗であることが明らかであって,かつ,本社機能を有する事務所まで設置していることも加味すれば,その建築は上記法令に違反している。しかも,原告は,本件建物を物販店舗として使用する意図を有しながら,それを秘して虚偽の申請を行い,本件開発許可や建築確認を得たものである。そうすると,原告は,法29条1項に違反し,開発許可を受けていない建築物を建築したものであり,あるいは法42条,建築基準法6条1項等に違反し,用途を変更した建築物としたことは明らかであって,原告の行為は法81条1項1号,3号及び4号の規定に該当する。 ウ開発許可制度質疑応答集は,50平米基準を含め,開発行為等の規制に係る審査基準を補完する解釈指針を示したものであり,運用基準と一体として開示されているから,法規範性を有し,内容も合理的でかつ明確である。しかも,上記法令の趣旨に反しない範囲でその規制を緩和しているのであるから,何ら原告の権利を制限するものではない。 エ本件開発許可の申請に先立ち,原告から被告の建築指導課に対し,物販店舗を建てたいとの相談があったが,被告は,50平米基準の説明をして許可はできないと一貫して回答している。そして,被告は,原告が上記の 法令や基準に沿った申請を行ったから本件開発許可等をしたのであって,原告が広い物販スペースを設けることを知悉していたものではない。 オ原告は,他にも違反建築物があるなどの主張をするが,行政事件訴訟法10条1項の規定に照らすと,本件以外の違反を理由に本件各処分の取消しを求めることはできないといわざるを得ない。しかも,本件建物は,違反の程度や継続性,その悪質性からも,他に例をみない違反建築物であり,原告の指摘する「F」等との間に同一の事情はない。 各処分の取消しを求めることはできないといわざるを得ない。しかも,本件建物は,違反の程度や継続性,その悪質性からも,他に例をみない違反建築物であり,原告の指摘する「F」等との間に同一の事情はない。 (原告の主張)ア本件各処分は,本件建物内の販売施設の面積が50平米基準に反しており,本件建物を本件開発許可に係る予定建築物以外の用途又は建築確認に係る申請書に記載した内容以外の用途に使用していること,あるいは主要用途がドライブインでないことを理由としているが,法34条9号,法施行令29条の7第1号にいう「休憩所」とは,主として道路を通行する自動車運転者及び同乗者を休憩させるための施設であることが重要であり,主たる用途として自動車運転者等を休憩させるための施設であれば,従たる用途として上記法令の趣旨に反しない限り,特産品や農産物等を販売することも許される。 本件建物の使用実態は,広い駐車スペースや休憩所,屋外トイレを備え,更にはレストランや庭園等で多くの自動車運転者等が飲食しながら休憩しており,社会通念上の休憩所(ドライブイン)に該当するといえるし,何ら用途の変更もないのであって,本件各処分には,上記法令の解釈を歪曲した違法がある。 イ 50平米基準は,何ら公示されておらず,法規範性がなく,行政の内部基準にすぎない開発許可制度質疑応答集に依拠していて,しかも,どのような行為を規制しようとするのか一義的に明らかでないので,明確性の原則に反している。また,規制対象の行為と害悪発生との間に合理的な関連 性が認められなければならないという合理性の基準,及び制限の程度や手段は害悪を防止するために必要最小限にとどめなければならないという必要最小限度の基準に反し,原告の財産権や経済的自由権を不当に拘束するもの られなければならないという合理性の基準,及び制限の程度や手段は害悪を防止するために必要最小限にとどめなければならないという必要最小限度の基準に反し,原告の財産権や経済的自由権を不当に拘束するものである。したがって,50平米基準を根拠として義務を課すことは,憲法29条2項,22条1項,31条,41条に違反している。 ウ被告は,原告が建築を予定していた本件建物について,1000平方メートル程度の規模を有する物販スペースを持ち,原告が同所で地産地消を中心とした商品の販売事業を展開することを十分に知った上で,本件開発許可をしたり建築確認をしたものである。それにもかかわらず,被告は,50平米基準に反しているとして本件各処分をしたのであり,違法というべきである。 エ本件土地と同じ市街化調整区域内にあって休憩所として開発許可を受けた「F」と「G」という施設は,ビール等の酒類を提供したり,マイクロバスの送迎もしているのであり,およそ道路を通行する自動車運転者等の休憩のための施設でないことは明らかであるし,その他高崎市内には違法建築と目される建物が多数存在するにもかかわらず,これらの施設に対しては何らの指示や命令を出すことなく,原告に対してのみ本件各処分をするのは,法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反する。 (2) 行政指導の違法性について(原告の主張)ア本件各処分に先立って被告(高崎市長)が原告に対してした前記の指示や警告等は,上記のとおり違憲違法な50平米基準に依拠したものであり,しかも,被告において,本件建物が1000平方メートル程度の規模を有する物販スペースを持つことやその用途を事前に十分知った上で行ったものであるから,違法な公権力の行使に当たり,その行使が故意又は過失によることは疑いない。 建物が1000平方メートル程度の規模を有する物販スペースを持つことやその用途を事前に十分知った上で行ったものであるから,違法な公権力の行使に当たり,その行使が故意又は過失によることは疑いない。 また,被告の担当者は,平成19年6月上旬以降,原告の代表者や取締役部長に対し,売場面積を50平方メートル以内にするよう一方的に強要したり,威圧的威嚇的な指導をした。 イ原告は,被告の違法な指示警告や強要行為等によって,その都度売場面積の縮小を余儀なくされ,それによる売上利益減少の損害を被った。 (ア) 平成19年7月3日までの売場面積は1000平方メートルであり,1日平均の売上は289万8283円,売上原価を差し引いた荒利益は77万2023円であったが,同月4日から同年9月30日までの89日間,売場面積を850平方メートルに縮小したため,1日平均の売上は205万2922円,荒利益は47万6077円に減少した。そうすると,1日平均の荒利益が29万5946円減少したことになるから,これに89日を乗じた2633万9194円がこの期間の損害となる。 (イ) 平成19年10月1日から同月11日までの11日間,売場面積を590平方メートルに縮小したため,1日平均の荒利益が41万5331円となって,当初より35万6692円減少した。そうすると,これに11日を乗じた392万3612円がこの期間の損害となる。 (ウ) 平成19年10月12日から同月25日までの14日間,売場面積を450平方メートルに縮小したため,1日平均の荒利益が27万0794円となって,当初より50万1229円減少した。そうすると,これに14日を乗じた701万7206円がこの期間の損害となる。 (エ) 平成19年10月26日から 日平均の荒利益が27万0794円となって,当初より50万1229円減少した。そうすると,これに14日を乗じた701万7206円がこの期間の損害となる。 (エ) 平成19年10月26日から平成20年5月31日までの218日間,売場面積を150平方メートルに縮小したため,1日平均の荒利益が24万6293円となって,当初より52万5730円減少した。そうすると,これに218日を乗じた1億1460万9140円がこの期間の損害となる。 (オ) 上記合計1億5188万9152円に弁護士費用1500万円を加 えると,損害は総額で1億6688万9152円となる。 (被告の主張)ア原告は,50平米基準を了知した上で,本件建物の用途を休憩所(ドライブイン)として本件開発許可を受けたにもかかわらず,開店当初から50平米基準に反する規模の販売施設を設けて営業をしたので,被告は,約1年間にわたり,是正するよう行政指導を行ってきたのである。原告の本件建物に係る建築や使用は,法29条1項や法42条等に違反するものであり,被告の行政指導はすべて適法である。 また,被告の行政指導は,すべて穏便に行われ,原告が主張するような威圧的威嚇的な行為など一切なかった。 イ原告は,被告の行政指導に納得した上で,自主的に本件建物の売場面積を一時縮小したのであって,売場面積の縮小を余儀なくされたということはない。したがって,売場面積の縮小により原告の売上げや利益が減少したとしても,それと被告の行政指導との間に相当因果関係はない。 第3 争点に対する判断 1 本件各処分の違法性・違憲性について(1) 50平米基準の憲法適合性についてア原告は,50平米基準を根拠として住民に対し義務を課すことは,憲法 第3 争点に対する判断 1 本件各処分の違法性・違憲性について(1) 50平米基準の憲法適合性についてア原告は,50平米基準を根拠として住民に対し義務を課すことは,憲法29条2項,22条1項,31条,41条に違反すると主張するので,この点について判断する。 イ(ア) 法(都市計画法)は,都市計画の内容及びその決定手続,都市計画制限,都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより,都市の健全な発展と秩序ある整備を図り,もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とし(1条),都道府県は,自然的及び社会的条件等を勘案して,一体の都市として総合的に整備し,開発し,及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定する (5条1項)。そして,都市計画区域について,無秩序な市街化を防止し,計画的な市街化を図るため必要があるときは,都市計画に市街化区域と市街化調整区域との区分を定めることができる(7条1項)。市街化調整区域は,市街化を抑制すべき区域とされ(7条3項),市街化調整区域において開発許可の対象となる開発行為は,34条各号に限定されている。 開発許可(29条)は,都市の周辺部における無秩序な市街化を防止して良好な市街地の計画的段階的な整備を図るとともに,市街化を促進すべき市街化区域と市街化を抑制すべき市街化調整区域に区域区分した目的を担保することなどを目的とした制度であって,特に市街化調整区域における開発許可の在り方については,市街化を抑制すべき区域内であっても,そこに居住している者について日常生活を健全に営むために最低限必要と認められる開発行為があるし,あるいは市街化を促進するおそれがなく,市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認めら も,そこに居住している者について日常生活を健全に営むために最低限必要と認められる開発行為があるし,あるいは市街化を促進するおそれがなく,市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為もあることから,34条においては,地域の実情によって,整備計画等を策定した上でこれに適合した開発行為について個別に許可を行うものとされている。また,開発許可は,地方自治法上,法定受託事務に該当せず(同法2条9項,10項),法定受託事務以外のものとして自治事務に該当するから(同法2条8項),国は,地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならず(同法2条13項),地方公共団体は,その事務の処理に関し,法律又はこれに基づく政令によらなければ,地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け,又は要することとされることはない(同法245条の2)。 (イ) 法34条9号は,市街化調整区域に係る開発行為について,「前各号に規定する建築物又は第一種特定工作物のほか,市街化区域内におい て建築し,又は建設することが困難又は不適当なものとして政令で定める建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為」を許可要件の1つとして定め,これを受けた法施行令29条の7第1号は,「道路の円滑な交通を確保するために適切な位置に設けられる道路管理施設,休憩所又は給油所等である建築物又は第一種特定工作物」を規定している。そして,これにいう休憩所について,被告の当時の運用基準(審査基準)では,道路を通行する自動車の運転者や同乗者が立ち寄って休憩をしたり飲食ができる施設としてのドライブインやコンビニエンスストアを,これに該当するとしていたのであり,この運用基準自体は,上記の法令の趣旨に 道路を通行する自動車の運転者や同乗者が立ち寄って休憩をしたり飲食ができる施設としてのドライブインやコンビニエンスストアを,これに該当するとしていたのであり,この運用基準自体は,上記の法令の趣旨に沿ったものといえる。 (ウ) ところで,法34条は,市街化を抑制すべき区域とされる市街化調整区域において許可し得る開発行為を例外的に列挙した規定であるから,法施行令29条の7第1号にいう「休憩所」についても,道路の安全管理や円滑な交通確保のため必要な施設に限って建築を認められたのであり,当然に販売施設が含まれるものと解することはできないし,この点では,被告の上記運用基準にいう「休憩所(ドライブイン等)」も同様であって,コンビニエンスストアと異なり,販売施設の設置が当然に許容されているということはできない。もっとも,自治事務である開発許可に関し,地方公共団体(開発許可権者である都道府県知事等)において,地域の実情に応じ,市街化を促進するおそれがなく,かつ,既存の集落の維持や社会経済情勢の変化等にかんがみ,市街化調整区域内において例外的に建築を認められた休憩所としてのドライブインについて,販売施設を併設させたり,なかんずく自動車運転者等の便宜を慮って若干のスペースに限って販売施設を設置することを許容したとしても,その内容が合理的なものである限り,法34条等に違反することはないと考えられる。しかし,これは,あくまで開発許可権者の裁量に委ねられ るべき事柄であって,販売施設の設置が当然に認められるものでないことは,上記のとおりである。 ウ休憩所における販売施設の設置許否に関する各地方公共団体の運用証拠(甲19,100,乙36,37,71,72,86ないし109)によれば,法施行令29条の7第1号にいう「休憩所」 ウ休憩所における販売施設の設置許否に関する各地方公共団体の運用証拠(甲19,100,乙36,37,71,72,86ないし109)によれば,法施行令29条の7第1号にいう「休憩所」(ドライブインやレストラン形態のもの)内に販売施設の設置を認めるか否かについて,各地方公共団体の規制の在り方や内容は,次のとおりであることが認められる。 (ア) 販売施設の設置を認めていない自治体として,札幌市,青森市,八戸市,岩手県,山形市,栃木県,宇都宮市,さいたま市,川越市,所沢市,草加市,春日部市,千葉県,千葉市(ただし,見直しを検討中),柏市,東京都,相模原市,新潟県,新潟市,長岡市,上越市,富山市,石川県,金沢市,山梨県,静岡市,富士市,愛知県,一宮市,春日井市,大阪府,堺市,高槻市,岸和田市,八尾市,枚方市,奈良市,鳥取市,岡山市,倉敷市,呉市,福岡県,福岡市,久留米市,佐賀県,熊本市がある。 (イ) 名古屋市,京都市は,休憩所自体の建築を認めていない。 (ウ) 特に面積等の制限もなく販売施設の設置を認めている自治体として,青森県,越谷市(ただし,ドライブインと同一棟内),神奈川県,横須賀市,小田原市,茅ヶ崎市(ただし,主たる目的を休憩所とすること),厚木市(ただし,食堂等に付帯すること),大和市,富山県,長野県,長野市,甲府市,岐阜県(ただし,食堂等を兼ね備えること),岐阜市(岐阜県と同様),浜松市,沼津市,豊田市,三重県(ただし,休憩所の一角とすること),四日市市,奈良県,広島市,下関市,愛媛県,高知市,佐世保市(ただし,併設),大分県,宮崎県がある。 (エ) 北海道,函館市,福島県,埼玉県,平塚市,静岡県,和歌山市,山 口県,徳島県,松山市,長崎市,宮崎市は,レジ横のスペース等 市,佐世保市(ただし,併設),大分県,宮崎県がある。 (エ) 北海道,函館市,福島県,埼玉県,平塚市,静岡県,和歌山市,山 口県,徳島県,松山市,長崎市,宮崎市は,レジ横のスペース等で販売したり,併設のごく小規模のスペースに限って認めている。 (オ) 宮城県,仙台市,豊橋市は,被告と同様,販売施設の面積を50平方メートル以内に限って認めており,福井県,福井市は30平方メートル以内,長崎県は100平方メートル以内,大津市は200平方メートル以内,兵庫県,神戸市,姫路市,西宮市,明石市,加古川市,宝塚市は,延べ床面積の10パーセント以内に限って認めている。また,郡山市,いわき市,滋賀県,鳥取県,大分市,沖縄県も,面積等の制限を設けている。 (カ) 盛岡市,秋田市,川崎市,高知県は,販売施設の許否に関する規定を設けていない。秋田県,山形県,北九州市は,許可不許可を個別に判断するとしている。また,茨城県,水戸市,つくば市は,販売施設の併設につき,許可対象を大型観光ドライブインとした上で認めている。 (キ) 規制の在り方について,ほとんどの自治体は,被告と同様に審査基準をもって定めているが,旭川市,秋田県,山形市,京都市,東大阪市,山口県,佐賀県,大分県は,条例はもとより,審査基準も定めていない。 なお,被告が全国の自治体に照会した限りでは,この点について条例で規定を置いているのは,高知県のみである。 エ 50平米基準の合法性(ア) 以上のとおり,法施行令29条の7第1号にいう「休憩所」について,当然に販売施設を含むものと解することはできないし,販売施設の設置を認めるか否かは,開発許可権者の広範な裁量に委ねられるべき事柄であることからして,販売施設の設置を付随施設として面積が50平方 て,当然に販売施設を含むものと解することはできないし,販売施設の設置を認めるか否かは,開発許可権者の広範な裁量に委ねられるべき事柄であることからして,販売施設の設置を付随施設として面積が50平方メートル以内に限って認めるとの本件に係る50平米基準が,内容面で合理的なものであることは明らかであるし(合理性の基準や必要最小限度の基準に反し,財産権や経済的自由権を不当に拘束するという原告 の主張は,独自の見解であって採用できない。),規制の在り方として条例で定めることなく,行政庁の内部規範である審査基準をもって定めたとしても,何ら違憲違法ということはできない。他の地方公共団体における運用をみても,販売施設の設置を全く認めていない自治体が決して少なくなく,販売施設の設置を認めている自治体の多くも面積等に関して何らかの制限を付しているし,かつ,ほとんどの地方公共団体における規制の在り方は内部的な審査基準をもって定めているのであって,本件は,このような実情にも適合する。 (イ) もっとも,行政庁の内部規範である審査基準について,行政手続法5条3項は,「行政庁は,行政上特別の支障があるときを除き,法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。」と規定する。この審査基準の公開は,特に申請をしようとする利害関係者に対し許認可等に関する予見可能性を与え,かつ,行政庁の判断過程の透明性を向上させるために求められたものであるから,審査基準を対外的に積極的に周知することまで義務付けられることはなく,審査基準を収録した書類等を申請先の事務所に備え置き,かつ,申請をしようとする者等の求めに応じてこれを提示することで足りると解せられる。 そこで,証拠(乙1 で義務付けられることはなく,審査基準を収録した書類等を申請先の事務所に備え置き,かつ,申請をしようとする者等の求めに応じてこれを提示することで足りると解せられる。 そこで,証拠(乙112,113,164,166,190ないし192,証人A)によれば,被告は,50平米基準が掲載された開発許可制度質疑応答集を,原告が本件開発許可の申請をする以前から,建築指導課の窓口及び市民情報センター(市役所1階)において,開発許可の申請をしようとする者に対し閲覧,配布をしたり,コンパクトディスクに納めた上で貸し出しも行っているほか,不動産業者の団体や行政書士会に対し毎年のように審査基準を説明したり,改正の際には市の広報紙に掲載したりしていることが認められる(なお,原告も,本件開発許可 の申請に先立ち,開発許可制度質疑応答集を被告から交付されていたことは,後記に認定するとおりである。)。 そうすると,審査基準である50平米基準について,行政手続法の要求する公開の要請を満たしていることは,明らかであるといえる。 (ウ) 原告は,開発許可制度質疑応答集(甲1,乙9)の冒頭に,留意点として「本書に載せた質疑応答については,各事案の一面のみから判断しているものが多数あるので,個別具体事案が設問どおりであるからといって,回答どおり許可又は不許可該当等に相当するものであるとは一概にはいえない」と記載されていることを挙げて,50平米基準は明確性の原則に反していると主張する。 しかし,自治事務である開発許可は,地方公共団体が地域の特性に応じて処理することとされ,基本的に許可権者の裁量に委ねられていることから,開発許可制度質疑応答集の冒頭において,上記のように留意点として,個別具体事案に応じて適宜の判断が必要になり が地域の特性に応じて処理することとされ,基本的に許可権者の裁量に委ねられていることから,開発許可制度質疑応答集の冒頭において,上記のように留意点として,個別具体事案に応じて適宜の判断が必要になり得ることを注意的に掲げたものと考えられるのであり,このような留意が示されているからといって,50平米基準が直ちに明確性に欠けるということにはならない。また,開発許可制度質疑応答集の中で,50平米基準が記載された箇所(甲1号証の133頁の問3)には,「販売コーナーの面積は50平方メートル以内とする。」と一義的に面積の上限を定めているのであり,因みにその前後の項目と比較すると,「問2 喫茶店は(法34条)8号で許可可能か。答 8号の運用基準に適合していれば可能」,「問4 ドライブインの開発で,2業種以上の別棟の店舗が同一敷地で可能か。答可能。ただし,それぞれの8号の運用基準に適合する必要がある。」とされ,個別具体的ケースによっては許可不許可の判断が分かれることが想定されるが(たとえば,喫茶店であっても,必ずしも許可されるとは限らない。),販売施設の面積の上限については,疑義を 差し挟む余地がないほど明確であるといえ,少なくともこの点で許可不許可の判断が分かれることはないものといえる。 したがって,50平米基準が明確性に欠けるとの原告の主張は採用できない。 オ以上の次第であるから,50平米基準又はこれを根拠として住民に対し義務を課すことが,憲法29条2項,22条1項,31条,41条に違反するとの原告の主張は理由がない。 (2) 休憩所又はドライブインの解釈についてア原告は,法34条9号,法施行令29条の7第1号にいう休憩所又はドライブインとは,主たる用途として自動車運転者等を休憩させるための施設で (2) 休憩所又はドライブインの解釈についてア原告は,法34条9号,法施行令29条の7第1号にいう休憩所又はドライブインとは,主たる用途として自動車運転者等を休憩させるための施設であれば足り,従たる用途として特産品や農産物等を販売することも許されるとして,本件建物はその使用実態からして社会通念上の休憩所又はドライブインに該当すると主張する。 イ本件建物の使用実態証拠(甲20,102,103,110ないし113,141,144ないし147,乙1,2,21,22,24,28,29,31,42,60,65,70,76,79,80,85,114,115,179ないし181,205,証人H,原告代表者)によれば,次の事実が認められる。 (ア) 本件建物の建つ本件土地は,高速道路に通じる交通量の多いβ線バイパス沿いにあり,本件土地の東西各200メートル余りの場所は,市街化区域(住居専用地域,住居地域,準工業地域)となっている。本件土地には200台前後の駐車が可能な広い駐車スペースがあり,本件建物内のレストランや庭園で飲食しながら休憩もできるようになっていて,屋外には24時間利用できる男女別トイレも具備している。 (イ) 本件建物の現況は,北から南に向かってほぼ3等分し,北側が休憩 スペース,中央が物販スペース,南側がレストランや食堂になっている。 そのほか,西側の約84平方メートルの部分を原告の本部事務所として使っている。 (ウ) 本件建物内の物販スペースにおいては,農家直送の野菜・キノコのほか,鮮魚,果物,酒類,漬物,精肉,花,ケーキ,菓子,総菜,弁当,パン,麺,日用雑貨品,堆肥など様々な商品が販売されており,原告は,開店以来,度々新聞折り込み広告を出し,近隣住民に宣伝をし ノコのほか,鮮魚,果物,酒類,漬物,精肉,花,ケーキ,菓子,総菜,弁当,パン,麺,日用雑貨品,堆肥など様々な商品が販売されており,原告は,開店以来,度々新聞折り込み広告を出し,近隣住民に宣伝をして集客を図っている。また,クリスマス時期には,ケーキ,チキンやピザの予約注文と販売も手がけている。飲食スペースには,和食,洋食,中華等のコーナーがあり,コーヒーやジュースなどを販売する自動販売機が休憩スペースに備え付けられている。 (エ) 本件建物の店舗における売上げは,平成20年9月期で総額5740万円余りであり,その大半を生鮮食品や果実,野菜,日配加工品が占めており,飲食に係るレストラン(I)と食堂(J)の売上げは,併せて全体の3.7パーセントにすぎず,しかも,前年同期と比較して6割程度に落ち込んでいる。 ウ上記のとおり,法施行令29条の7第1号にいう「休憩所」について,当然に販売施設を含むものと解することはできないし(なお,当然にドライブインを含むものとも解することはできない。),被告の運用基準にいう「休憩所(ドライブイン等)」についても同様,販売施設を含む趣旨を読み取ることは困難であるばかりか,そもそも販売施設の面積について別途50平米基準が設けられているのであるから,当然に販売施設の設置が許容されているものと解することはできない(仮に販売施設の設置が許容されていると解せられるとしても,あくまで50平米基準に適合したものに限られることはいうまでもない。)。そうすると,本件建物は,建築後開店当初から現在に至るまで,物販スペースの面積が終始50平米基準を はるかに上回り,特に開店当初や現在においては,総床面積の約3分の1に当たる1000平方メートルの部分が物販スペースになっているというのであるから,50平米基 ースの面積が終始50平米基準を はるかに上回り,特に開店当初や現在においては,総床面積の約3分の1に当たる1000平方メートルの部分が物販スペースになっているというのであるから,50平米基準を20倍も上回る部分を販売施設として使用していることについて,法34条9号,法施行令29条の7第1号に違反していることは明らかである。 原告は,休憩所又はドライブインの一般的な用語の解釈から,販売施設の設置が許される旨主張するようであるが,一般的な解釈としても,当然に販売施設を含む趣旨を読み取ることは困難であると思われるし,そもそも本件においては,開発許可権者に広範な裁量の認められる市街化調整区域の開発行為について,被告がどのような規制を設けているのかを除外して法適合性を論ずることはできないのである。したがって,本件建物の使用実態がどのようなものであれ,本件においては,50平米基準に反していることをもって,原告による本件建物の建築ないし使用行為は違法であるものといわざるを得ない。 なお,原告は,本件建物について,主たる用途が休憩施設に利用されているとか,販売施設は従たる用途にすぎないとか述べるが,物販スペースの面積は全体の約3分の1であっても,売上げの大半は物販スペースでの商品販売に頼っており,積極的に宣伝広告を展開して商品販売に対する集客を図っていることに照らすと,販売施設が従たる用途にすぎないなどということは,当を得ないと考えられる。 (3) 原告の販売事業に対する被告の知悉についてア原告は,被告において,原告が本件建物内に1000平方メートル程度の規模を有する物販スペースを設け,商品の販売事業を展開することを十分に知りながら,本件開発許可をしたり建築確認をした旨主張する。 イ本件開発許 ,原告が本件建物内に1000平方メートル程度の規模を有する物販スペースを設け,商品の販売事業を展開することを十分に知りながら,本件開発許可をしたり建築確認をした旨主張する。 イ本件開発許可や建築確認に至る経緯後掲証拠に加えて,甲106号証,乙112号証,証人Aの証言,原告 代表者の供述によれば,次の事実が認められる。 (ア) 原告は,平成17年6月ころから,被告(合併前のα町)の建築指導課を訪れ,市街化調整区域内に地産地消の農産物を販売する施設を建築したいとして開発行為の相談をしたが,商品販売用の店舗の建築は許可されないことを伝えられ,同月27日に相談に訪れた際には,運用基準を認めた書面や50平米基準が記載された開発許可制度質疑応答集の該当部分の写しの交付を受けた。また,被告の建築指導課長(当時)Aも,同年12月ころ,原告から同様の相談を受けたが,50平米基準の説明をして,市街化調整区域内においては大規模な販売用店舗の建築は許可できないことを説明した。 (乙163,164,208,209)(イ) 原告は,その後も平成18年3月から5月にかけて4回にわたり,被告助役(副市長)に面会を求め,同様の相談を繰り返したが,被告側の回答は変わらなかった。同年5月19日に行われた最後の折衝の席で,原告からドライブインを建築するとの話があり,被告助役は,許可基準に沿ったドライブインとするように告げた。 (乙27,215)(ウ) その後,原告から,平成18年7月14日,開発目的を休憩所(ドライブイン)とする宅地開発事業計画に関する事前協議の申請がされ,同年8月23日,原告と高崎市長との間で,高崎市宅地開発指導要綱6条の規定による開発行為の事前協議が成立した。そして,原告 休憩所(ドライブイン)とする宅地開発事業計画に関する事前協議の申請がされ,同年8月23日,原告と高崎市長との間で,高崎市宅地開発指導要綱6条の規定による開発行為の事前協議が成立した。そして,原告は,同年10月2日,本件開発許可の申請を行い,次いで,同年12月12日,本件建物の建築確認の申請をした。 (甲61,乙6,134,202)(エ) 上記の開発許可申請書に添付された土地利用計画平面図(乙16)及び建物平面図(乙17)には,本件建物の使用形態として,「みやげ コーナー50㎡」の記載があるほか(みやげコーナーの周囲に広い空間部分がある。),他に物販スペースは見当たらず,その他の営業スペースには,レストラン(和食,洋食),軽食ゾーン,焼きそば・パン・ホットドッグ,ラーメン・うどん・軽食,焼肉といった飲食物の提供を示す記載がされている。また,建物平面図には,本件建物の合計収容人数が776人,合計食堂座席数が632席との記載がある。ただし,本件建物の現況は,上記の図面と比較すると,レストラン(和食)の南側及びレストラン(洋食)と軽食ゾーンのほぼ全部が,物販スペースになっている。 (甲102,乙24,205)(オ) 原告が高崎市長に対し,事前協議の申請に当たって提出した宅地開発事業計画事前協議申出書(乙202)及び本件開発許可の申請に当たって提出した法定外公共物使用敷地等占用許可申請書(甲68)には,上記土地利用計画平面図及び建物平面図と同様の図面(本件建物の使用形態について,同一の記載がある。以下同じ)が添付されている。 また,原告が高崎市長に対し本件開発許可の申請に当たって提出した道路占用許可申請書(甲51)及び自費工費承認申請書(甲59),原告が群馬県知事に対し本件開 以下同じ)が添付されている。 また,原告が高崎市長に対し本件開発許可の申請に当たって提出した道路占用許可申請書(甲51)及び自費工費承認申請書(甲59),原告が群馬県知事に対し本件開発許可又は建築確認の申請に関して提出した道路工事施工承認申請申請書(甲56)及び特定生活関連施設新築等届出書(甲87),並びに建築確認の申請に当たって提出した利用円滑化基準チェックシート(甲90)には,上記土地利用計画平面図と同様の図面が添付されている。 さらに,原告が建築確認申請書に添付した申請建物配置図(甲73,104)は,上記土地利用計画平面図と同様の図面が使われているが,「みやげコーナー」の「みやげ」を線で消して「物販」と訂正している。 (カ) 本件建物について,平成19年5月2日,原告から建築基準法7条 1項に基づく工事完了検査の申請があり,同月8日,被告の建築指導課の担当職員が検査を実施したが,その際は建物内に什器備品はなく,後に運び込まれる商品の陳列棚,冷蔵ケース,レジスター,ショッピングカートなどもなかった。 (乙165,170,171)(キ) 原告は,本件建物の建築工事が完了する直前の平成19年4月25日,群馬県高崎保健福祉事務所宛に,食品衛生法52条に基づく営業許可の申請をしたが,その際に提出された図面(乙39,81)には,本件建物の北側から中央にかけて,上記土地利用計画平面図及び建物平面図で「みやげコーナー50㎡」と記載された箇所に当たる部分を含め,広いスペースに商品陳列棚が配置され,肉,魚,干物,果物,日配,揚物,総菜,野菜,パン,米売場,花,園芸,タネ,農薬等の販売商品名が記載されている。そして,本件建物の工事に携わった業者は,この図面に依拠して本件建物を建築する 置され,肉,魚,干物,果物,日配,揚物,総菜,野菜,パン,米売場,花,園芸,タネ,農薬等の販売商品名が記載されている。そして,本件建物の工事に携わった業者は,この図面に依拠して本件建物を建築するように依頼された。なお,被告は,平成20年5月19日になって,群馬県高崎保健福祉事務所からこの図面を入手した。 (乙40,81,129,214)ウ原告代表者は,被告の助役らと最後に協議をした平成18年5月19日,助役側から,原告がドライブインとして開発許可の申請をするなら計画中の農産物販売の店舗出店を許可する,あるいは建物完成後に物販スペースを拡大したり店頭販売をしてもよいと言われたので,原告としては,原告の出店計画が了解され,50平米基準は単なる手続上の事柄と理解したなどと供述ないし陳述(甲106)をする(なお,元高崎市議会議員で,原告側に立って交渉に臨んでいたKも,甲107号証で同様の陳述をする。)。 しかし,原告代表者は,上記の協議の席では世間話がほとんどで,売場 等の面積に関する話し合いは全くなかったが,別れ際に庁舎のエレベーターの前で,助役から,建物完成後なら物販に使用してもよいと言われた旨の供述もするところ,別れ際に助役からそのような話をされたというのは,余りに唐突にすぎるものである。また,それまでの協議の場において物販の出店は許可されない旨言われていたことは,原告代表者も自認するところであり(尋問調書の2頁,26頁),これに照らしても,上記の供述は不自然不可解であるといわざるを得ず,信用することができない。 そこで,上記の説示に加え,証人Aの証言も考え合わせると,原告代表者らの前記供述ないし陳述(助役から物販の出店を許可すると言われたとか,50平米基準を単なる手続上の事柄と理 ができない。 そこで,上記の説示に加え,証人Aの証言も考え合わせると,原告代表者らの前記供述ないし陳述(助役から物販の出店を許可すると言われたとか,50平米基準を単なる手続上の事柄と理解したなど)は,にわかに採用することができない。 エ以上の認定・説示にかんがみると,被告は,原告からの農産物等の物販店舗建築に関する要請に対し,50平米基準等に基づき一貫して許可できない旨の説明をしていたのであり,高崎市宅地開発指導要綱に基づく事前協議の段階から,本件開発許可の申請及び建築確認の申請を通じて,原告が関係官庁に提出した本件建物の使用形態を示す図面には,「みやげコーナー50㎡」又は「物販コーナー50㎡」の記載があるだけで,他に物販スペースの設置をうかがわせるよう記載はなく,50平米基準に準拠した建築をするとみられる文書の提出しかなかったものである。 そうすると,被告において,原告が本件建物内に50平米基準をはるかに上回る物販スペースを設けることなど知り得なかったものというべきであって,原告の上記主張は採用できないといわなければならない。 オ原告が本件開発許可の申請に当たって提出した申請理由書(甲27)には,「地産地消をテーマに掲げ,地元農家の農産物を利用し,安全で新鮮な生産物により店舗の事業を展開したい」との記載があり,同じく水利組合の同意書(甲47,52)及び高崎市教育委員会の意見書(甲53)に は,建物の種類欄に「店舗,ドライブイン」,あるいは工事内容欄に「店舗建設」との記載がある。しかし,これらの文書における「店舗」との記載からは,原告が予定している本件建物の使用形態について,広大なスペースの販売施設を伴っているものとまで読み取ることはできず,かえって,上記の提出図面の記載内容も考え合わ 文書における「店舗」との記載からは,原告が予定している本件建物の使用形態について,広大なスペースの販売施設を伴っているものとまで読み取ることはできず,かえって,上記の提出図面の記載内容も考え合わせれば,物販スペースは50平方メートルにとどめ,他の大部分の営業スペースをレストランや食堂としての店舗にすることを計画したものと読み取るのが自然である。上記申請理由書の記載にかんがみても,当然に地産地消の農産物販売の店舗を計画しているものと読み取ることはできず,地元の農産物を使った料理を提供するレストランや食堂としての店舗を計画しているものと読み取るのが自然である。 また,原告が建築確認の申請に当たって提出した浄化槽算定根拠(甲93)には,浄化槽の大きさを算定する上での利用者率係数について,B部分を0.15,販売店部分を0.075,レストラン部分を0.72とし,面積について,百貨店(B)1740平方メートル,販売店940平方メートル,レストラン265平方メートル,これらの数字を互いに乗じて計算される浄化槽の処理対象人員は523人となるが,結果的に80人槽の大きさとする旨記載されており,浄化槽仕様書(甲91)における浄化槽の処理対象人員も80人と記載されている。しかし,これらの係数の根拠は不明であるばかりか,浄化槽の処理対象人員が523人と計算されながら,結果的に80人槽の大きさで足りるとされた根拠もにわかに了解しがたいのであって(同規模他店舗の水量実績から計算するとしているが,同程度の入場者数を予測した根拠が不明である。),上記の浄化槽算定根拠の記載,なかんずくそこに掲げられた各種の数字を重要視することはできず,原告の前記主張が採用できないとの結論を左右しない。 (4) 他の違法建築物への対応との差異について 算定根拠の記載,なかんずくそこに掲げられた各種の数字を重要視することはできず,原告の前記主張が採用できないとの結論を左右しない。 (4) 他の違法建築物への対応との差異について ア原告は,市街化調整区域内にある「F」や「G」という施設は,本件と同様に休憩所として開発許可を受けながら,その趣旨に沿った利用に供されておらず,他にも多数の違法建築物がありながら,これらの施設に対して何らの指示や命令を出すことなく,原告に対してのみ本件各処分をするのは,憲法14条1項に違反すると主張する。 イ証拠(甲106,119,120,130)及び弁論の全趣旨によれば,群馬県高崎市γ×-1所在のイタリアンレストラン「G」及び同市δ×-1所在の和食処「F」は,いずれも市街化調整区域内にあって,本件と同様に休憩所として開発許可を受けていること,両店舗とも,飲物についてソフトドリンクのほか,ビールやワインなどのアルコールを提供していること,「F」は,送迎用のマイクロバス3台を有しており,ホームページで集客を図っていること,以上の事実が認められる。 しかしながら,上記認定に照らしても,両店舗の使用形態が直ちに法34条9号,法施行令29条の7第1号に違反しているものと即断することはできない。被告の運用基準では,休憩所(ドライブイン等)として,アルコール飲料の提供をすべて禁止しているわけではなく,「主としてアルコール飲料を提供する施設を除く」とされているのであり,両店舗ともソフトドリンクが提供されているほか,自動車の同乗者に対してアルコール飲料を提供することもあるから,アルコールの提供があるからといって,直ちに被告の運用基準にそぐわないとみることはできない。また,「F」において,送迎用のマイクロバスを有していたり,ホームペ ルコール飲料を提供することもあるから,アルコールの提供があるからといって,直ちに被告の運用基準にそぐわないとみることはできない。また,「F」において,送迎用のマイクロバスを有していたり,ホームページで集客を図っているからといって,直ちに自動車運転者等の休憩のための施設でないということもできないのであって,特に原告のように,広大な物販スペースを設けて商品販売を目的とした集客を図っているケースとは,全く異なることが明らかである。 そもそも,他の違反建築物に対して何らの処分がされないからといって, 原告に対する処分が違法となるものではない。特に本件のような建築物の使用停止,使用禁止又は除却といった対象者に対して重大な影響を与える処分を行う場合については,その違反の内容や程度,違反に至った経緯,是正に向けた任意の協力が期待できるか否かによっても,取扱いが異なることは十分にあり得るものと考えられるのであって,上記の両店舗と原告の事案とでは事情が同一であるとは到底思われないし,被告が殊更に原告を差別的に取り扱っているような事情は何らうかがえない。 さらに,原告は,高崎市内には他にも違法建築物があると主張し,甲136号証において,園芸用品や建築資材を約1000平方メートル又は約1500平方メートルの規模で販売する店舗があることを指摘するようであるが,これらが違反建築物であるとしても,上記説示と同様,原告に対する処分の当否に何ら影響を与えないというべきである。 ウ以上のとおり,原告の憲法14条1項違反の主張は理由がない。 (5) 本件各処分の適法性について以上の説示のとおり,本件各処分が違法,違憲であるとする原告の主張はすべて理由がない。 そして,原告は,予定建築物である本件建物の用途 。 (5) 本件各処分の適法性について以上の説示のとおり,本件各処分が違法,違憲であるとする原告の主張はすべて理由がない。 そして,原告は,予定建築物である本件建物の用途を「休憩所(ドライブイン)」とする本件開発許可を受け,法36条3項に基づく工事完了届の公告もされていながら,本件建物内に50平米基準をはるかに上回る販売施設を許可なく設けて商品販売を続けているのであって,法42条1項の規定に違反し,また,建築基準法6条1項,同法施行令9条12号,法35条の2第1項,30条1項2号に違反し,本件建物の用途を変更したものである。 しかも,上記認定に係る本件開発許可に至る経緯,原告が本件建物の開店直後から1000平方メートルに及ぶ物販スペースを設けたことに加え,原告代表者において,50平米基準を単なる手続上の事柄と理解していたと述べていることや,当初から1000平方メートルの物販スペースを設けること を予定していたと供述していること(尋問調書の9頁)を考え合わせると,原告は,50平米基準の内容を了知しながら,当初からこれを逸脱する意図を有し,すなわち,法令に適合した休憩所(ドライブイン)として本件建物を使用する意思がなかったのに,その旨を装って本件開発許可や建築確認を取得したものといわざるを得ず,したがって,偽りその他不正な手段により本件開発許可を取得したものといって差し支えないし,法29条1項にも違反しているといえる。 これらに加え,原告の違反の程度は顕著であって,到底見過ごせないものであるばかりか,被告(高崎市長)からの度重なる指示,警告,勧告ないし催告にも従わなかったのであって,法81条1項1号,3号,4号又は建築基準法9条1項の規定に該当するものとしてされた本件各処分は,適法であるというべ (高崎市長)からの度重なる指示,警告,勧告ないし催告にも従わなかったのであって,法81条1項1号,3号,4号又は建築基準法9条1項の規定に該当するものとしてされた本件各処分は,適法であるというべきである。 (6) したがって,本件各処分の取消しを求める原告の請求(甲事件及び丙事件の請求)は,理由がない。 2 行政指導の違法性について(1) 上記のとおり,本件各処分は適法なものであり,これに先立って被告(高崎市長)が原告に対してした指示,警告,勧告ないし催告も,本件建物の使用形態を本件開発許可又は建築確認に沿ったものに改めるよう指導要請した行為であるから,違法という余地はない。また,原告は,被告において,本件建物が広い物販スペースを持ち,原告がそこで商品販売を営むことを事前に十分知っていた旨主張するが,そのような事実の認められないことも前記のとおりである。 ところで,行政指導の内容は,あくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるから,相手方が行政指導に従わなかったことを理由として,不利益な取扱いをしてはならないし(行政手続法32条),その方法が強要にわたるものであってはならないことはもちろんであり,行政指導によって達 成しようとする目的が正当なものであっても,その手段が任意の協力を得るという限度を超えていれば,国家賠償法上,違法な公権力の行使と評価されることもあり得る。 原告は,本件建物の使用を開始した平成19年6月以降,被告の担当者から,売場面積を50平方メートル以内にするよう一方的に強要されたり,威圧的威嚇的な指導をされたりしたと主張するので,この点について判断する。 (2) 原告代表者は,平成19年7月4日,被告の職員が大勢で本件建物に押しかけて,売場面積を50平方メートルにす り,威圧的威嚇的な指導をされたりしたと主張するので,この点について判断する。 (2) 原告代表者は,平成19年7月4日,被告の職員が大勢で本件建物に押しかけて,売場面積を50平方メートルにするよう一方的に強要された,同月20日,被告の建築指導課の職員から,売場面積を50平方メートルに是正しなければ水道や電気を止めたり行政代執行や刑事告発をすることになると脅かされた,同月31日,建築指導課の職員から,是正しないのであれば法的な場で原告の主張を述べるしかないと脅かされた,同年8月20日,建築指導課の職員から,50平方メートルにするのかしないのかを確認に来たと怒鳴られた旨陳述する(甲122)。また,原告の取締役管理部長であるLも,平成19年8月,建築指導課の職員から,是正しないのであれば次の手を打たなければならないと脅迫された,同年9月,建築指導課の職員から,改善しないと電気水道ガスの保留要請をし,刑事告訴となり,当然マスコミにも知らせると脅かされた,同年10月,建築指導課の職員らから,法的手段をとると脅かされ,建物自体を壊してほしいなどと言われた旨陳述する(甲124)。 しかし,前記のとおり,原告について,50平米基準を20倍も上回る販売施設を許可なく設けて商品販売を営むという法違反の程度は顕著であり,しかも,当初からその意図を秘して開発許可を取得したといえることなどからして,法所定の罰則の対象にもなり得ると考えられるから,被告としても,早い段階から,法81条1項又は建築基準法9条1項の規定に基づく処分を行うことを想定していたものといえ,このことは,被告(高崎市長)の原告 に対する度重なる指示,警告,勧告ないし催告からしても明らかである。そうすると,原告が是正の勧告等に従わなければ,本件建物の使用停止はもとより, のといえ,このことは,被告(高崎市長)の原告 に対する度重なる指示,警告,勧告ないし催告からしても明らかである。そうすると,原告が是正の勧告等に従わなければ,本件建物の使用停止はもとより,行政代執行などにより取壊しという事態を招いたり,場合によっては刑事上の処罰等に発展する可能性さえあるから,被告の職員による説得がある程度強い調子のものとなったとしても,当然に違法視されることはない。 その上,原告代表者の供述に照らすと,そうした説得を受けたことを脅迫などと形容しているにすぎないことがみて取れるから,強要された,脅かされたなどという上記の陳述を額面どおりに受け取ることは到底できない。 以上からすると,被告の職員から受けた説得の内容はさておくとしても,強要されたり脅かされたりしたとの原告代表者やLの陳述は,採用することができないものであり,他の証拠を検討しても,被告のした行政指導が違法な公権力の行使に当たるというべき事情は認められない。 (3) したがって,損害賠償を求める原告の請求(乙事件の請求)は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。 第4 結論よって,原告の本件各請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 前橋地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官内藤正之 裁判官城内和昭 裁判官和久井智子
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