令和2年6月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年第30571号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和2年1月29日判決主文 1 被告らは,別紙2請求一覧表の「原告」欄記載の各原告に対し,連帯して,同表の各原告に係る「請求額」欄記載の各金員及びこれに対する平成29年3月30日から各支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 2 訴訟費用は被告らの負担とする。 3 この判決は,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要等 1 事案の概要 本件は,被告Y1(旧商号「A」)から匿名組合の出資持分の取得を勧誘されて投資した原告らが,被告Y1はホームページ上に真実に反する表示をして違法な勧誘を行い,その余の被告らはこれを共同実行したなどと主張して,被告らに対し,共同不法行為に基づき,それぞれ別紙2請求一覧表の「請求額」欄記載の各金員及びこれに対する不法行為の後の日である平成29年3月30 日から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による各遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 2 前提事実(証拠を掲記しない事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨から容易に認められる。) ⑴ア被告Y1(平成30年3月27日変更前の商号は「A」。以下,上記商 号変更の前後を問わず,「被告Y1」といい,旧商号当時の表示として「A」ということがある。)は,有価証券の募集又は私募の取扱い,貸金業等を目的とする株式会社であり,貸金業者及び第二種金融商品取引業者の登録を受けている。 イ被告Y2(平成29年10月31日変更前の商号は「B」。以下,上記 ,有価証券の募集又は私募の取扱い,貸金業等を目的とする株式会社であり,貸金業者及び第二種金融商品取引業者の登録を受けている。 イ被告Y2(平成29年10月31日変更前の商号は「B」。以下,上記 商号変更の前後を問わず,「被告Y2」という。)は,不動産の売買・交換・賃貸借及びその仲介等を目的とする株式会社であり,平成29年5月23日まで,被告Y1の100%親会社であった。 ウ被告Y5は,不動産の管理,斡旋,賃貸,売買,仲介等を目的とする有限会社であり,被告Y2の親会社である。 エ被告Y3は,リラクゼーションサロンの経営等を目的とする株式会社であり,被告Y2の100%子会社である。 オ被告Y4は,絵画,美術工芸品,彫刻類の売買,賃貸等を目的とする株式会社であり,被告Y2の100%子会社である。 カ被告Y6は,被告Y1及び被告Y2の代表取締役を兼務していたが,平 成29年4月29日,被告Y1の代表取締役を辞任した。 Cは被告Y6の妻,Dは被告Y6の長男であり,Eは,Cの父で被告Y6の義父である。 キ被告Y1,被告Y2,被告Y5,被告Y3及び被告Y4(以下,併せて「被告会社ら」という。)の本店所在地,役員構成等は,別紙3被告会社 ら一覧表記載のとおりである。 ⑵ 被告Y1は,いわゆるソーシャルレンディング事業として,ホームページを通じて匿名組合の出資持分の取得を勧誘し,投資された資金を原資として借入人に金員を貸し付け,その返済及び利息の支払を受けて投資家に分配するものとしていた(甲4)。 原告らは,それぞれ,被告Y1から勧誘を受けて,被告Y1に対し,平成 28年5月頃から平成29年3月頃までの間,別紙4出資状況一覧表記載のとおり投資した。 ⑶ 関東財務局は,平成29 原告らは,それぞれ,被告Y1から勧誘を受けて,被告Y1に対し,平成 28年5月頃から平成29年3月頃までの間,別紙4出資状況一覧表記載のとおり投資した。 ⑶ 関東財務局は,平成29年3月30日,被告Y1に対し,金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為があったなどとして,同日から同年4月29日までの業務停止命 令(金融商品取引法52条1項)及び業務改善命令(同法51条)を発した(甲11)。 3 争点及び争点に関する当事者の主張⑴ 被告Y1の不法行為の成否(争点1)(原告らの主張) 被告Y1は,以下のとおり,ホームページ上に真実に反する表示をして投資を勧誘したものであるから,原告らに対する不法行為が成立する。 ア 「分散投資」との表示について 被告Y1は,ホームページ上で,投資のメリットとして「分散投資」をうたっていたところ,一般人は,そのような表示について,信用リス クが分散されているという意味に理解するのが通常であり,投資した資金の貸付先がファンドごとに異なっており,あるファンドにおいて信用リスクが発生したとしても他のファンドにはそのリスクが及ばないように設計されていると信頼するものである。 ところが,実際には,被告Y1は,投資された資金を,被告Y1の1 00%親会社で被告Y6が実質的に支配する被告Y2並びに同社と実質的に一体の関係にあるグループ会社である被告Y5,被告Y3及び被告Y4の運転資金に集中的に流用していた。 したがって,「分散投資」との表示は,真実に反するものというべきである。 原告らは,被告Y1から勧誘を受けて,ファンドの信用リスクが分散 されていると誤信して投資した したがって,「分散投資」との表示は,真実に反するものというべきである。 原告らは,被告Y1から勧誘を受けて,ファンドの信用リスクが分散 されていると誤信して投資した。 被告Y1は,ファンドの募集ページにおいて,同一の貸付先である被告Y2について,「関東~東海地区まで,ファミリー物件の開発を手掛けるハウスメーカー」,「都内を中心に,不動産開発を手掛ける業者」,「1都3県を中心に,不動産開発を手掛ける業者」,「関東圏,東海圏 に展開する不動産開発を手掛ける業者」,「関東圏に展開する都内の投資会社」,「都内に本店を置くM&A事業を営む会社」などと,同一の事業者を指すとは理解できないような表記を意図的に使い分けていた。 また,他のソーシャルレンディング事業者においては,ファンド募集時に,貸付先が過去の別のファンドと同一である場合には,その旨を表 示しているのに対し,被告Y1は,追加募集,第2次募集などの表示をせず,かえって,上記のとおり別の事業者であるかのような表記をしていた。 これらに照らすと,被告Y1は,「分散投資」との表示について,投資家が信用リスクの分散という意味に誤解するよう,意図的に仕向けた ことが明らかである。 イ 「事業性資金」との表示について 被告Y1は,ホームページ上で,ファンド出資金の使途を「事業性資金」と表示していたところ,一般人は,そのような表示について,①ファンドの償還は事業から得られるリターンによって行われ,投資家は当 該事業のリスクを負うというのが匿名組合契約の内容であり,②当該事業のリスクについては,私募を取り扱う金融商品取引業者である被告Y1が,貸付先から提供された資料等に基づいて審査判断をしていると理解するものである を負うというのが匿名組合契約の内容であり,②当該事業のリスクについては,私募を取り扱う金融商品取引業者である被告Y1が,貸付先から提供された資料等に基づいて審査判断をしていると理解するものである。そして,ファンド出資金が当該金融商品取引業者の親会社や関係会社に流れるとすれば,融資の適格性を適正に判断するこ とは期待し難く,利益相反の問題も生じ得るから,そのようなことは通 常予定されていない。 ところが,実際には,被告Y1は,ファンド出資金を,自転車操業となっていた被告Y2及びそのグループ会社の資金繰りに充てていたのみならず,被告Y1が支払うべき広告費用や投資家へのキャッシュバックにも充てていた。 したがって,「事業性資金」との表示は,真実に反するものというべきである。 原告らは,被告Y1から勧誘を受けて,ファンド出資金が被告Y2及びそのグループ会社の資金繰りに充てられることはないと誤信して投資した。 被告Y1は,ファンド出資金が被告Y2及びそのグループ会社の資金繰りのために自由に用いられ,広告費用や投資家へのキャッシュバックにも充てられるなど,「事業性資金」とは異なる形で流用されていることを認識していながら,投資家に対する勧誘を行ったものである。 ウファンドからの貸付金が担保により保全されているとの表示について 被告Y1は,契約締結前交付書面において,貸付先から不動産又は有価証券に担保の設定を受け,返済が滞った場合には,当該担保権の実行により貸付金の回収を図る旨を表示していた。 しかし,貸付先である被告Y2及びそのグループ会社は,被告Y1に対して担保を差し入れていないか,差し入れた場合であっても被告Y2 の未公開株式であった。 被告Y2の株式の を表示していた。 しかし,貸付先である被告Y2及びそのグループ会社は,被告Y1に対して担保を差し入れていないか,差し入れた場合であっても被告Y2 の未公開株式であった。 被告Y2の株式の価格は,一株当たり4万円と評価されていたが,これは被告らによって恣意的に設定された業績予測に基づくものであり,当該評価に根拠はなかった。また,被告Y2がグループ会社への貸付けをして資金繰りをしていた状況からすると,ファンド出資金の貸付先で ある被告Y2及びそのグループ会社のいずれかにおいて資金繰りが行き 詰まれば,他の会社も資金繰りが行き詰まることは明らかである。そうすると,被告Y2又はそのグループ会社のいずれかにおいてファンド出資金の償還が不能になった時点で,被告Y2の企業価値が大幅に毀損され,その株式は担保として機能しないこととなる。 したがって,ファンドからの貸付金が担保により保全されているとの 表示は,真実に反するものというべきである。 原告らは,被告Y1から勧誘を受けて,ファンドからの貸付金が担保により保全されると誤信して投資した。 被告Y1は,ファンド出資金を被告Y2及びそのグループ会社の運転資金に集中的に流用するという事実を投資家に認識させないよう,意図 的に上記の表示をしたものである。 (被告らの主張)ア 「分散投資」との表示について被告Y1は,「分散投資」について,期間や利率の異なる複数のファンドに投資できるという意味に用いていたものであって,ホームページ 上でもその旨を明示しており,借り手が別であるとは記載していない。 したがって,ファンド出資金を被告Y2及びそのグループ会社に集中的に貸し付けていたからといって,被告Y1が用いていた「分散投資」の意味に反 の旨を明示しており,借り手が別であるとは記載していない。 したがって,ファンド出資金を被告Y2及びそのグループ会社に集中的に貸し付けていたからといって,被告Y1が用いていた「分散投資」の意味に反するものではなく,原告らを誤解させるものでもない。 原告らは,被告Y1のホームページ上でファンドの条件等を確認して いたのであるから,少なくとも貸付先の表示が同一のファンドについては,貸付先が同一である,又はその可能性が相応にあることを認識していたというべきである。それにもかかわらず原告らが投資したことからすると,原告らは各ファンド間で貸付先が異なるという意味での分散投資という認識を有していなかったことが明らかである。 また,信用リスクが分散されていることについての誤信は,複数のフ ァンドに投資することが前提となるものであって,2回目以降の投資の際に生じるから,初回の投資については誤信を観念することができない。 被告Y1は,当初から,被告Y2及びそのグループ会社を中心に資金を貸し付けることを目的として設立されたものではない。被告Y1は,広く融資希望者を募集しており,平成29年3月30日に営業停止とな るまで,少なくとも72社から融資の申込みを受けていた。しかし,被告Y1が,融資申込者から決算書や事業計画書を徴求し,事業の収益性,業績,財務状況等について審査した結果,その大半は融資が不可能と判定され,融資が可能と判定されたのは,甲及び乙(12号ファンド),丙(23号ファンド),丁(71号ファンド)並びに戊(108号ファ ンド)のわずか5社であり,融資が実行に至ったのは,12号ファンド以外の3社のみとなった。 このように,被告Y1は,多数の融資申込者について厳格な審査を行った結果 に戊(108号ファ ンド)のわずか5社であり,融資が実行に至ったのは,12号ファンド以外の3社のみとなった。 このように,被告Y1は,多数の融資申込者について厳格な審査を行った結果,上記3社に対して融資を実行したのであるから,「分散投資」を装ったものではない。 また,間接融資型のソーシャルレンディング,貸付型クラウドファンディングなどと呼ばれる構造のファンドにおいて,運営業者は,貸金業法の規制により,投資家に対して貸付先を特定し得る情報を提供してはならなかったものであり,監督官庁からも強く同様の指導がされていた。 被告Y1は,その指導に従ったにすぎず,あえて貸付先が別の事業者で あるかのように誤信させようとしたものではない。 したがって,被告Y1に欺罔の故意はない。 イ 「事業性資金」との表示について 「事業性資金」とは,一般に,事業を行うに当たって必要な設備投資資金や運転資金などの経費をいい,運転資金には借換えの資金も含まれ る。被告Y1は,個別のファンドの募集ページにおいて,「事業性資金」 の内容として,「運転資金」,「借換」などと表示していたのであるから,「事業性資金」との表示は,真実に反するものではない。 また,金融商品取引法,貸金業法その他の法令上,ソーシャルレンディングにおいて,ファンド出資金を親会社や関係会社に貸し付けてはならないという規制はない。かえって,関係会社への貸付けは,第三者へ の貸付けと比べて,貸付先の事業に通暁しているため事業の合理性を適切に判断することができ,融資後のモニタリングも容易であるなどのメリットがある。したがって,被告Y2及びそのグループ会社への貸付けが通常予定されていないものとはいえない。 原告らが投資したファ することができ,融資後のモニタリングも容易であるなどのメリットがある。したがって,被告Y2及びそのグループ会社への貸付けが通常予定されていないものとはいえない。 原告らが投資したファンドは,全て資金使途を「運転資金」と明記し ていたから,原告らは,投資した資金が運転資金に使用されることを認識しており,又は容易に認識することができた。 被告Y1は,資金使途を「運転資金」と明記してファンドの募集をし,貸付先において現に運転資金として利用されたものである。ファンドの償還資金に他のファンド出資金が充当されたことがあるのは,結果的に そうなってしまったからにすぎない。 したがって,被告Y1に欺罔の故意はない。 ウファンドからの貸付金が担保により保全されているとの表示について 原告らが投資したファンドからの貸付金には,担保が設定されていないものは存在しない。 被告Y1は,平成28年5月,被告Y2の株式の価格を一株当たり4万円と評価して担保を設定していたところ,当該評価は,株価算定の専門家である公認会計士が,株価算定の一般的な手法であるDCF法によって作成した株価算定報告書に基づくものであるから,合理的である。 また,被告Y1は,同年11月,被告Y2の株式の価格を一株当たり1 0万円に評価替えをしたところ,当該評価替えは,同年10月31日付 け株価算定報告書において被告Y2の株式の価格が一株当たり8万9932円~10万9917円と評価されたことを根拠とするものであるから,合理的である。 被告Y2とそのグループ会社との間では,多額の売掛金が発生するような取引があるわけではないから,仮に,グループ会社のいずれかが事 業の失敗により資金不足に陥ったとしても,直ちに被 理的である。 被告Y2とそのグループ会社との間では,多額の売掛金が発生するような取引があるわけではないから,仮に,グループ会社のいずれかが事 業の失敗により資金不足に陥ったとしても,直ちに被告Y2の財務状況が悪化し,その企業価値が毀損されることにはならない。また,被告Y2及びそのグループ会社は,被告Y2が不動産事業,被告Y4が絵画事業,被告Y3がリラクゼーションサロン事業,被告Y5が資産運用管理事業というように,主たる事業が全く異なるから,グループ会社のいず れかの事業が不況に陥ったとしても,直ちに被告Y2の事業が不況に陥り,その企業価値が毀損されることにはならない。 したがって,被告Y1による担保に関する表示には,何ら虚偽はない。 投資経験を有する原告らは,超低金利である今日,事業者が金融機関等からではなくファンド出資金を利息制限法の上限に近い利率で借り入 れるのは,十分な担保を有しておらず高金利の借入れをせざるを得ないためであることを認識しており,又は容易に認識することができたというべきである。 また,原告らの一部が投資したファンドの募集ページには,担保について「貸付先企業の自社株式」と明記されている。 したがって,原告らが担保について誤信していたとはいえない。 被告Y1は,担保について「有価証券」と表示し,実際に被告Y2の株式を担保に取得しており,外部の公認会計士が行った株式の評価に基づいて担保価値を決定したのであるから,欺罔の故意はない。 エ 71号ファンド及び108号ファンドについては,被告Y2及びそのグ ループ会社への貸付けを目的としたものではなく,ファンド出資金が第三 者に貸し付けられているから,被告Y1は当該ファンドの募集について 108号ファンドについては,被告Y2及びそのグ ループ会社への貸付けを目的としたものではなく,ファンド出資金が第三 者に貸し付けられているから,被告Y1は当該ファンドの募集について不法行為責任を負わない。 ⑵ 被告Y1以外の被告らの不法行為の成否(争点2)(原告らの主張)ア被告会社らの一体性について 前記⑴の被告Y1の不法行為が行われた当時,①被告Y2は,被告Y1,被告Y3及び被告Y4の100%親会社であり,上記各社は共通のオフィスを利用し,過去の本店所在地も同一場所であり,②被告Y5は,被告Y2の株主であり,その本店所在地は被告Y6の自宅であり,③被告会社らについては,被告Y6を中心として,その親族及び数名の関係者が取り仕 切っていた。 また,被告Y1を相手方とする証拠保全手続には,被告Y4の代表取締役であるH及び被告Y2の監査役であったIが関係者として立ち会い,被告Y1の資金の流れを説明するなどし,その実務を担っていた。 さらに,被告Y6は,個人の携帯電話から,日常的に,被告Y2,被告 Y1及び被告Y3に対し,資金の移動や提供する担保の選定について一方的かつ確定的に指示するメールを同時に送信していた。 これらに照らすと,被告会社らは,別個の法人格を有しているものの,実際には相互に独立しておらず,一つの組織としてみるべきものである。 イ被告Y6について 被告Y6は,平成29年4月29日まで,被告Y1及び被告Y2の代表取締役を兼務しており,法律上も事実上もグループ会社全体を統括する地位にあった。 被告Y1のグループ会社に対する融資は,被告Y6の意向によって金額が決められ,融資の実行権限は被告Y6が握っており,被告 ており,法律上も事実上もグループ会社全体を統括する地位にあった。 被告Y1のグループ会社に対する融資は,被告Y6の意向によって金額が決められ,融資の実行権限は被告Y6が握っており,被告Y1内部にお いて,実質的な審査を行うことなく,資金使途について検討することもな く実行され,融資した資金について事後的にチェックされることもなかった。しかも,被告Y6は,融資を受けた資金について,更にグループ会社間で資金繰りのため月額5000万円程度を融通しており,グループ会社全体の司令塔として,被告Y1が集めた資金を差配していた。 以上のとおり,被告Y6は,前記⑴の被告Y1の不法行為が行われた当 時,被告Y2及びそのグループ会社の利益のために,被告Y1に虚偽の表示をさせて投資家から資金を騙し取っていたのであるから,民法709条に基づく不法行為責任を負うことはもとより,被告Y1と共に民法719条1項前段に基づく不法行為責任を負う。 ウ被告Y2について 被告Y2は,自社及び100%子会社を含むグループ会社に資金を流す目的で,被告Y1をして虚偽の表示によってファンドの募集をさせたものであるから,民法709条に基づく不法行為責任を負うことはもとより,被告Y1と共に民法719条1項前段に基づく不法行為責任を負う。 また,被告Y6は,平成29年4月29日まで,被告Y1及び被告Y2 の代表取締役を兼務していたから,被告Y2は,ファンド出資金の貸付先が分散していないこと及び担保が提供されていないことを当然把握しており,投資家に対して虚偽の表示をしていることを認識していた。 被告Y2が,そのようなファンドの募集がされることを認識していながら,被告Y1に対し,実際に分散投資,事業性 ていないことを当然把握しており,投資家に対して虚偽の表示をしていることを認識していた。 被告Y2が,そのようなファンドの募集がされることを認識していながら,被告Y1に対し,実際に分散投資,事業性資金及び担保提供という要 件を満たさない融資を申し込むことは,被告Y1による詐欺の実行の発端となるものである。したがって,仮に,被告Y1によるファンドの募集が被告Y2の指示によらないとしても,被告Y2は,被告Y1による詐欺との関連共同性を有するから,民法719条1項前段に基づく不法行為責任を負う。 さらに,被告Y6の不法行為は,被告Y2の職務としても行われたもの であるから,被告Y2は,会社法350条に基づく責任を負う。 そして,被告Y2は,被告Y1及びグループ会社全体と意思を通じていたのであるから,被告Y2が責任を負う範囲は,自ら融資の申込みをした案件にとどまらず,被告Y1が募集したファンド全体に及ぶというべきである。 エ被告Y3,被告Y4及び被告Y5について被告Y3は,被告Y2の100%子会社である上,取締役であるF及び監査役であるJは,被告Y1の実務を担っていた。 被告Y4は,被告Y2の100%子会社である上,代表取締役であるHは,被告Y1の実務を担っていた。 被告Y5は,被告Y6が平成26年5月まで代表者を務めた後,被告Y6の義父であるEを経て,平成28年11月以降,被告Y6の妻であるCが代表者を務めていた。 被告Y5の被告Y1に対する借入申込書には,「資金使途」欄に被告Y6の氏名及び携帯電話番号が記載されている。このことは,被告Y5 が借り入れるファンド出資金が被告Y6個人に渡ることを意味しており,被告Y6の被告Y1等に対する指示の内容を併せ考えると,被 Y6の氏名及び携帯電話番号が記載されている。このことは,被告Y5 が借り入れるファンド出資金が被告Y6個人に渡ることを意味しており,被告Y6の被告Y1等に対する指示の内容を併せ考えると,被告Y6が被告Y5を自由に動かしていたというべきである。 以上のとおり,被告Y3,被告Y4及び被告Y5は,被告Y2と人的・組織的な一体性を有し,被告Y6の指示の下に動いていたのである から,被告Y2による被告Y1を通じた資金調達のスキームや被告Y1が虚偽の表示をしてファンドの募集をすることを当然認識していたというべきである。 それにもかかわらず,被告Y3,被告Y4及び被告Y5は,被告Y1に対し,実際に分散投資,事業性資金及び担保提供という要件を満たさ ない融資を申し込んだものであり,この行為は被告Y1による詐欺との 関連共同性を有するから,民法719条1項前段に基づく不法行為責任を負う。 また,被告Y3及び被告Y4の被告Y1に対する借入申込書は,被告Y1が記入したものであることが明らかであり,被告Y3及び被告Y4は,専ら被告Y1及び被告Y2の都合によって借入人に名前を連ねたに すぎないから,被告Y1の違法な投資勧誘を幇助した責任を負う。 被告Y3,被告Y4及び被告Y5の責任を負う範囲が,自ら融資の申込みをした案件にとどまらず,被告Y1が募集したファンド全体に及ぶことは,被告Y2の場合と同様である。 (被告Y1以外の被告らの主張) ア仮に,被告Y1による表示が虚偽であったとしても,被告Y2,被告Y3,被告Y4及び被告Y5は,分散投資,事業性資金及び担保提供という要件を満たさない融資を申し込んだことを認識していなかった。 また,被告Y2と被告Y1とは,飽くまで親会社と子会社という関係に ,被告Y4及び被告Y5は,分散投資,事業性資金及び担保提供という要件を満たさない融資を申し込んだことを認識していなかった。 また,被告Y2と被告Y1とは,飽くまで親会社と子会社という関係にすぎず,被告Y2は,被告Y1に対し,何ら表示を強制する権限を有して いない。 イ被告Y1,被告Y2,被告Y3及び被告Y4の本店所在地が同一であった当時,上記各社のオフィスは,セキュリティロックがかけられたドアで隔絶されており,行き来ができる状態にはなかった。 また,被告Y3は,マッサージ店を営み,店舗でマッサージを行うこと が主な業務であり,代表取締役であるGと従業員1名が現場統括等を行い,セラピストに業務を委託するなどして経営が可能な会社であった。 被告Y6は,被告Y2の代表取締役としてグループを率いていたため,時間的制約等から,被告Y1の融資審査等の業務に携わることはなく,主に全体の統括やウェブページ上でのファンドの募集状況の管理等を行って いた。原告らが指摘するメールは,被告Y6が,被告Y1の代表取締役と して,被告Y1の従業員に対して送信したものであって,被告Y2及びそのグループ会社の責任を基礎付けるものではない。 被告Y2の取締役であるKは,被告Y3の取締役を兼務していたが,被告Y3では,月1度オープンスペースで行われる経営会議に出席する以外に業務を行っておらず,セキュリティロックを解錠できる権限もなかった。 Fは,被告Y1の実務を担当すると同時に被告Y3の取締役を務め,Jは,被告Y1の取締役と被告Y3の監査役を兼務していたが,いずれも被告Y3の経営会議に参加したことはなく,その業務に携わっていなかった。 以上によれば,被告Y2,被告Y5,被告Y3 め,Jは,被告Y1の取締役と被告Y3の監査役を兼務していたが,いずれも被告Y3の経営会議に参加したことはなく,その業務に携わっていなかった。 以上によれば,被告Y2,被告Y5,被告Y3及び被告Y4は,被告Y1との一体性を有していないから,不法行為責任を負わない。 ⑶ 原告らの損害(争点3)(原告らの主張)ア原告らが各ファンドに投資した総額から,償還金,配当等を控除した各金額が,原告らに発生した損害である。 イ原告らは,被告らの不法行為により,前記アの各金額の10%に相当す る弁護士費用の支出を余儀なくされた。 ウしたがって,原告らは,それぞれ,別紙2請求一覧表の各原告に係る「請求額」欄記載の各金額の損害を被った。 (被告らの主張)争う。 ⑷ 過失相殺(争点4)(被告Y1の主張)原告らは,同時に募集されていた貸付先等の表示が同じファンドの中から,漫然と,貸付先等の表示が同じファンドに繰り返し投資していた。これは,原告らが,貸付先等ではなく,想定利回りやキャッシュバックを重視してい たからにほかならない。 仮に,原告らが,貸付先,資金使途又は担保について誤信していたとしても,原告らの誤信には過失があるから,過失相殺をすべきである。 (原告らの主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実に加えて,証拠(乙10,127,丙5,6,被告Y1代表者F,被告Y6本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ⑴ 被告Y1のホームページには,募集するファンドの仕組み等について,概要,以下の記載がされている。 アソーシャルレンディング(乙1) によれば,次の事実が認められる。 ⑴ 被告Y1のホームページには,募集するファンドの仕組み等について,概要,以下の記載がされている。 アソーシャルレンディング(乙1) ソーシャルレンディングとは,「資金ニーズのある事業者」と「個人(法人)の投資家」をインターネット上のソーシャルの仕組みを使って結び付ける新しいサービスである。 「A」の審査を通過した企業に,ソーシャルレンディングを活用して,多くの投資家から資金を調達する。 イモデルケース(甲8) 借り手からの融資申込み借入企業から「A」に融資依頼が入る。「A」が取り扱うのは,不動産の取得資金,分譲住宅建設費用,飲食店等フランチャイズの開業費用,治療院の短期ローン等の事業性資金のみである。 審査貸金業者である「A」が,借入申込者からの提出資料(決算書,事業計画書,資金繰り表等),指定信用情報機構へのデータ照会結果等に基づき,融資実行の可否を判定する。 ローンファンド募集開始 審査を経て承認された複数の借入申込みによって「A」サイト上でフ ァンドを組成し,投資の募集を開始する。 ローンファンドへの投資投資家は,投資口座を開設したら,まずデポジット(投資資金の預け入れ)を行う。ローンファンド詳細から,利率,期間,資金使途等の情報を基に,投資の申込みを行う。 ローンファンド成立ローンファンドの募集が満額になった場合又は募集期間が終了した時点で成立する条件を満たした場合,当該ローンファンドは成立する。不成立で募集終了となったローンファンドに投資された資金は,投資家の口座に返還される。 貸 又は募集期間が終了した時点で成立する条件を満たした場合,当該ローンファンドは成立する。不成立で募集終了となったローンファンドに投資された資金は,投資家の口座に返還される。 貸付実行当該ローンファンドに投資の申込みをした投資家全員の投資額について,貸付実行日に従って貸付けを実行する。当該ローンファンドから貸し出される最初の融資先の貸付実行日が適用される。 借り手からの返済 借り手は,「A」との金銭消費貸借契約に従い,融資金の元本と利息を借入条件に基づき返済する。 投資家への分配「A」は,借り手からの返済金を毎月投資家に分配する。期日一括償還型の場合,毎月の分配は利息のみの支払となる。 ウメリット(甲9) 少額・短期での資産運用が可能厳格かつ独自視点の審査を通過した投資商品に対し,少額でも投資が可能である。運用期間は3か月から1年程度が中心で,短期運用にも最適である。 分散投資 期間や利率の異なる様々な投資対象案件を用意し,資金を分散して複数案件に投資ができる。 対象は事業性資金・有担保「A」が融資の対象とする案件は,事業性資金である。事業の収益性や企業の業績・財務状況などについて,「A」の審査をクリアした投資 対象案件だけが,募集スタートとなる。 成約手数料・各種事務手数料が不要投資口座の開設,案件の成約手数料,投資口座内での投資実行や分配金入金の振込手数料等の費用はかからない。 エローンファンドページ(乙12~乙71。枝番を含む。) ローンファンドページには,募集条件として,募集総額,案件数, 投資実行や分配金入金の振込手数料等の費用はかからない。 エローンファンドページ(乙12~乙71。枝番を含む。) ローンファンドページには,募集条件として,募集総額,案件数,運用利回り(年利),投資可能金額,成立条件,借入期間・返済方法のほか,各案件の借り手,資金使途及び貸付条件が記載されている。 各案件の借り手は,特定できない方法で表示されており,被告Y2,被告Y5,被告Y3及び被告Y4を指して,以下のような表記が使用されて いた。 被告Y2「関東~東海地区まで,ファミリー物件の開発を手掛けるハウスメーカー」(16号ファンド)(甲16の10,乙12の1)「都内を中心に,不動産開発を手掛ける業者」(43号ファンド) (甲16の62,乙20の1)「1都3県を中心に,不動産開発を手掛ける業者」(64号ファンド)(甲16の104,乙33の1)「関東圏,東海圏に展開する不動産開発を手掛ける業者」(68号ファンド)(甲16の112,乙35の1) 「関東圏に展開する都内の投資会社」(84号ファンド)(甲16の 145,乙50の1)「都内に本店を置くM&A事業を営む会社」(96号ファンド)(甲16の167,乙61の1) 被告Y5「東京都に本社を置く内装設備工事会社」(16号ファンド)(甲1 6の9,乙12の2)「東京都に本社を置く住宅デザイン会社」(43号ファンド)(甲16の63,乙20の2) 被告Y3「関東地方に複数店舗を展開する,物販・サービス事業者」(59号 ファンド)(甲16の95,乙29の2)被告Y4 6の63,乙20の2) 被告Y3「関東地方に複数店舗を展開する,物販・サービス事業者」(59号 ファンド)(甲16の95,乙29の2)被告Y4「東京都中央区にて,物品販売を手掛ける業者」(48号ファンド)(甲16の72,乙23の1)「東京都渋谷区にて,物品販売を手掛ける業者」(89号ファンド) (甲16の153,乙55の1)⑵ 被告Y1の契約締結前交付書面には,匿名組合出資は元本が保証されているものではないと記載されるとともに,「本案件では,Aは,原則として本借入人から,その有する不動産もしくは有価証券に対して担保設定を受け,借入人からの返済が滞った場合には,上記担保権の実行等により,貸付金の 回収を図って参ります。」と記載されていた(甲4)。 ⑶ 被告Y1は,グループ向け融資比率を,初年度に90%,2年目に70%,3年目に50%とすることを計画していた。 ⑷ 被告Y1の12号ファンド~111号ファンドの貸付先は,別紙5ファンド一覧表記載のとおり,延べ191件である。そのうち,12号ファンドの 2件の貸付けは実行に至らず,被告Y2及びそのグループ会社以外への貸付 けは,丙(23号ファンド),丁(71号ファンド)及び戊(108号ファンド)に対する3件のみであった。 そして,被告Y2及びそのグループ会社に対する貸付けの大部分については,同表の物的担保欄及び代表者保証欄記載のとおり,被告Y2の未公開株式又は代表者の個人保証が担保とされていた(甲16(枝番を含む。))。 ⑸ 被告Y1の被告Y2を貸付先とする貸出稟議書には,資金使途が不動産購入目的ではなく「運転資金」とされ,不動産を特定する記載がされていないにもかかわらず,営業 16(枝番を含む。))。 ⑸ 被告Y1の被告Y2を貸付先とする貸出稟議書には,資金使途が不動産購入目的ではなく「運転資金」とされ,不動産を特定する記載がされていないにもかかわらず,営業部コメント欄に「当該物件は,将来の資産価値上昇が大きく見込める為」などという記載がされているものが多数存在していた(甲16の108・112・114・120・122・ 124・126・128・133)。 また,被告Y1の被告Y5及び被告Y3を貸付先とする貸出稟議書には,「ファンド組成のため」等の記載がされているものが多数存在していた(甲16(枝番を含む。))。 ⑹ 被告Y6は,平成28年11月11日,「65号ファンド成立」との件名 で,下記アの宛先に,下記イの内容のメールを送信した(甲20)。 ア宛先J-1@B-1.jpn.comH-1@B-1.jpn.comJ-1@ A-1.jp F-1@A-1.jpT-1@B-1.jpn.comイ内容B 4835万B-2 10万 Lさん レンダーより,資金移動せよ。 Fへ。 契約書,支払い依頼書作成せよ。 担保の貸付債権は,①Bが持つグループ会社向け貸付債権 (B→B-2,B→M等)詳しい金額は,経理に聞け。 後は,通常通り。 ⑺ 被告Y2は,日常的に,被告Y1,被告Y5,被告Y3及び被告Y4に対し,毎月合計5000万円程度の資金を貸し付けていた。 ⑻ 証券取引等監視委員会は,平成29年3月24日,被告Y1の業務運営の状況を検証したところ,以下の問題が認められたとして,内閣総理大臣及び金融庁長官に対し,金融庁設置法20条1項に基づき,行政処分を行うよう勧告した(甲10)。 ア 4日,被告Y1の業務運営の状況を検証したところ,以下の問題が認められたとして,内閣総理大臣及び金融庁長官に対し,金融庁設置法20条1項に基づき,行政処分を行うよう勧告した(甲10)。 ア被告Y1の以下の行為は,金融商品取引法38条8号に基づく金融商品 取引業等に関する内閣府令117条1項2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して,(略)重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当する。 貸付先について誤解を生ぜしめるべき表示をする行為被告Y1は,貸付金の審査の段階から,被告Y2及びその関係会社 (以下「被告Y2グループ」という。)への貸付けを予定していたにもかかわらず,ウェブサイトにおいて,ファンドが複数の不動産事業会社等に対し貸付けを予定しているかのような表示をし,貸倒れのリスクが分散されているかのような誤解を与える表示をした上で,顧客に対し,出資持分の取得勧誘を行っていた。 また,被告Y2は,ファンドから借り入れた資金の返済について,不 動産事業等による収益から返済する旨をウェブサイトに記載しているが,実際には,償還期限が到来していない他のファンド出資金を充当しているものも認められた。 担保について誤解を生ぜしめるべき表示をする行為被告Y1は,取得勧誘を行ったファンドについて,契約締結前交付書 面において,原則として貸付先から不動産又は有価証券の担保を受け入れ,返済が滞った場合には,担保権の実行により貸付金の回収を図る旨を表示している。しかし,実際は,貸付先のほとんどが被告Y2グループで,設定された担保の大半が被告Y2の未公開株式となっており,中には担保が設定されていない貸付けも存在している。 このように, 示している。しかし,実際は,貸付先のほとんどが被告Y2グループで,設定された担保の大半が被告Y2の未公開株式となっており,中には担保が設定されていない貸付けも存在している。 このように,被告Y1は,被告Y2グループの信用リスクが顕在化した場合には価値が大きく毀損される被告Y2の発行する有価証券を担保としているほか,貸付けの中には担保を設定していないものが存在しているにもかかわらず,ファンドの貸付債権が保全されているかのような誤解を与える表示を行った上,顧客に対し,ファンドの出資持分の取得 勧誘を行っている。 イ以下の状況は,金融商品取引法51条に規定する「業務の運営に関し,公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当する。 ファンドの償還資金に他のファンド出資金が充当されている状況被告Y1が取得勧誘を行ったファンドのうち,既に償還された17本 のファンドのうち10本について,その償還金の原資に償還期限が到来していない他のファンド出資金が充当されている。 被告Y1のキャンペーンにファンド出資金が充当されている状況被告Y1は,ファンドの募集を開始して以降,キャッシュバックキャンペーンと称して顧客に現金を還元しているが,その原資は,被告Y2 へ貸し付けたファンド出資金が被告Y1に還流して充当されている。 被告Y6がファンド出資金を自身の借入返済等に使用している状況被告Y6は,被告Y1が被告Y2に貸し付けたファンド出資金について,被告Y2の社員に指示を出し,自身の預金口座及び自身の債権者に送金させていた。 被告Y2グループの増資にファンド出資金が充当されている状況 被告Y2グループの一部の会社は,同グルー 社員に指示を出し,自身の預金口座及び自身の債権者に送金させていた。 被告Y2グループの増資にファンド出資金が充当されている状況 被告Y2グループの一部の会社は,同グループの他の一部の会社を引受人とする増資を行っている。当該増資については,ファンド出資金が同グループ内で貸付け及び借入れが繰り返された後に充当されている。 ファンドからの借入れを返済することが困難な財務の状況被告Y1は,ファンド出資金の最大の貸付先である被告Y2が,平成 28年5月末から同年11月末までの間,毎月多額の損失を出し続け,累積赤字を増加させており,同年8月末から同年10月末においては債務超過の状態にあったことを認識していた。被告Y2は,同年11月末,が,一方で,同年5月以降,ファンドから毎月多額の資金を借り入れていたことから,同年1 1月末時点における短期借入金が流動資産を大きく上回っている。 また,同年11月末時点における被告Y2グループ全体の財務状況についても,短期借入金の総額が流動資産を大きく上回っていることから,ファンドからの被告Y2グループへの貸付けは返済が滞る可能性が高い状況と認められる。 ⑼ 前記⑻の勧告を受けて,関東財務局は,平成29年3月30日,被告Y1に対し,金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為があったとして,金融商品取引法52条1項に基づき,同日から同年4月29日までの業務停止命令を発するとともに,同法51条に基づき,業務改善命令を発した(甲11)。上記業務改善命令 は,①法令違反及び投資家保護上問題のある業務運営について発生原因を究 明するとともに,直ちに是正すること,②顧客が 51条に基づき,業務改善命令を発した(甲11)。上記業務改善命令 は,①法令違反及び投資家保護上問題のある業務運営について発生原因を究 明するとともに,直ちに是正すること,②顧客が出資した財産の運用・管理状況を正確に把握し,顧客に対して速やかに説明を行うこと,③投資家保護に万全の措置を速やかに講ずること,④金融商品取引業者として必要な内部管理態勢を再構築すること,被告Y1,被告Y2及びその関係会社の財務状況を正確に把握し,被告Y1における今後の資金繰り計画を策定すること などを内容とするものであった。 ⑽ 被告Y6は,平成29年4月29日,被告Y1の代表取締役を辞任し,Fが代表取締役に就任した。 被告Y1は,前記業務停止期間経過後も,業務を再開していない。 ⑾ 被告Y1は,平成30年2月26日,不履行となっていた被告Y2,被告 Y4及び被告Y3に対する貸付債権(残高合計約31億円)を第三者に代金9660万円で譲渡した(甲25,乙7)。 2 争点1(被告Y1の不法行為の成否)について⑴ア被告Y1は,資金ニーズのある事業者と個人(法人)の投資家をインターネット上のソーシャルの仕組みを使って結び付けるサービスであるソー シャルレンディングを標榜し,ホームページ上で,投資のメリットとして「分散投資」をうたって,広く投資を募集していたものである(前記1⑴ア,ウ)。 そして,被告Y1は,不動産の取得資金,分譲住宅建設費用,飲食店等フランチャイズの開業費用,治療院の短期ローン等の事業性資金のみを取 り扱う旨を表示し,個別のローンファンドページにおいても,各案件には多様な借り手が存在するかのような表示をしていた(前記1⑴イエ)。 これらの表示に照らすと,被告Y1のホームページを閲覧した一般の り扱う旨を表示し,個別のローンファンドページにおいても,各案件には多様な借り手が存在するかのような表示をしていた(前記1⑴イエ)。 これらの表示に照らすと,被告Y1のホームページを閲覧した一般の投資家は,被告Y1が,広く社会から資金需要のある事業者を募り,多様な資金使途のためにファンド出資金を貸し付けていると理解するのが自然で あり,「分散投資」との表示については,信用リスクを分散するために複 数の多様な投資対象案件が用意されており,その中から投資先を選ぶことが可能であるという意味に理解するものと認めるのが相当である。現に,原告X14は,期間や利回りが違っても投資対象が同じであれば一般的には分散投資とはいわない旨供述し,原告X20も,分散投資とは,異なる銘柄や異なる企業への投資のことをいうと認識していた旨供述している。 ところが,実際には,別紙5ファンド一覧表記載のとおり,12号ファンド~111号ファンドの延べ191件の貸付先は,3件以外全て,被告Y6が実質的に支配する被告Y2及びそのグループ会社3社で占められていたものであり,当該貸付けの大部分は被告Y2の未公開株式や代表者の個人保証が担保とされていた(前記1⑷)。しかも,被告Y1がファンド 出資金の貸付先や資金使途について厳格な審査をした形跡はうかがわれない上,被告Y2から毎月合計5000万円程度もの資金がグループ会社に流れていたというのである(前記1⑸,⑺)。これらに照らすと,被告Y2又はそのグループ会社のいずれかにおいて信用リスクが顕在化した場合には,他のグループ会社も貸付金を返済することが困難となり,担保とな っている被告Y2の未公開株式の価値も大きく毀損され,債権の回収を図ることが困難になるといわざるを得ない。 以上の事情を考慮する 他のグループ会社も貸付金を返済することが困難となり,担保とな っている被告Y2の未公開株式の価値も大きく毀損され,債権の回収を図ることが困難になるといわざるを得ない。 以上の事情を考慮すると,被告Y1によるファンド出資金の貸付先は,経済的な一体性を有していたものであって,信用リスクが分散されていたとは認め難い。 したがって,被告Y1のホームページ上の「分散投資」という表示は,真実に反し,投資家に誤解を生じさせるものであるというべきである。 イこれに対し,被告らは,「分散投資」とは,期間や利率の異なる複数のファンドに投資できるという意味に用いているものであり,ホームページ上でもその旨を明示していると主張し,被告Y6はこれに沿う供述をする。 しかし,一般に,「分散投資」とは,投資対象を多様化させることによ り資産運用に伴う価格変動のリスク等を低減させるための方法をいうものと理解されている。期間や利率の異なる投資対象案件が用意されていること自体は,当該案件ごとに投資家から資金を集めて貸付先に貸し付けるというファンドのスキーム上,特段アピールするような事項とはいえず,一般の投資家にとっては,複数の多様な投資対象案件に投資することにより 信用リスクが分散されることが重要なメリットになるものと考えられる。 この点,被告Y6自身も,平成28年5月のメールでのインタビューにおいて,借り手となる会社は全て同じなのか異なるのかという質問に対し,マンションディベロッパー,住宅分譲会社,ノンバンク,投資会社,IT会社など様々であると回答し,それぞれの企業により資金使途はまちまち であると述べており(甲32),貸付先が「様々」であることをアピールしている。 これらに照らすと,「分散投資」という表 T会社など様々であると回答し,それぞれの企業により資金使途はまちまち であると述べており(甲32),貸付先が「様々」であることをアピールしている。 これらに照らすと,「分散投資」という表示について,被告らの主張するような意味に限定して解することは相当ではない。 ⑵ア前記⑴アで説示した内容及び弁論の全趣旨によれば,原告らは,被告Y 1において,信用リスクが分散されたファンドを用意していると誤信して投資したものと認められる。 イこれに対し,被告らは,募集ページにおいて貸付先の表示が同一のファンドについては,原告らにおいて貸付先が同一である,又はその可能性が相応にあることを認識していたから,誤信に陥ったとはいえない旨主張す る。 しかし,個別のファンドの募集ページの記載は,「都内を中心に,不動産開発を手掛ける業者」などという抽象的な表現にとどまっており,およそ貸付先が特定できない上,被告Y2だけでも6通りもの表記が使い分けられていたこと(前記1⑴エ)などに照らすと,原告らが当該記載を閲覧 しても,貸付先が同一であるという実態を把握するのは困難であったとい うべきである。 また,被告らは,信用リスクが分散されていることについての誤信は複数のファンドに投資することが前提となるものであるから,初回の投資については誤信を観念することができない旨主張する。 しかし,ファンドの運営業者がいかなる事業者にファンド出資金を貸し 付けるかは,当該ファンドに投資するか否かを判断するに当たって重要な情報であるから,仮に,原告らにおいて,ファンドの大部分の貸付先が同一の事業者又はそのグループ会社で占められていることを認識していたとすれば,そもそも初回の投資すらしなかっ 判断するに当たって重要な情報であるから,仮に,原告らにおいて,ファンドの大部分の貸付先が同一の事業者又はそのグループ会社で占められていることを認識していたとすれば,そもそも初回の投資すらしなかったものと考えられる。 したがって,被告らの上記主張は,いずれも採用することができない。 ⑶ア被告Y1は,当初から,初年度のグループ向け融資比率を90%とすることを計画していた(前記1⑶)というのであるから,「分散投資」という表示が実態に反するものであることを認識していながら,その表示をしたというべきであって,故意があったと認めるのが相当である。 イこれに対し,被告らは,多数の融資申込者について厳格な審査を行った 結果,グループ会社以外への融資の実行が3件にとどまったにすぎず,分散投資を装ったものではない旨主張する。 しかし,前記アのとおり,被告Y1は,当初から,初年度のグループ向け融資比率を90%とすることを計画していたというのであり,このような計画を監督官庁が肯認していたことを認めるに足りる証拠はないばかり か,グループ会社以外の借入申込者からの借入申込書や提出資料は何ら残されていない。 また,被告らは,貸金業法の規制により投資家に対して貸付先を特定し得る情報を提供してはならなかったものであり,監督官庁の指導に従ったにすぎない旨主張する。 しかし,現実に被告らが主張するような行政指導があったことを客観的 に裏付ける証拠はない上,貸金業法の規制の観点から,ファンド出資金の貸付先の匿名性が求められ,貸付先が特定される情報を明示しないよう配慮する必要があったとしても,同一の貸付先について殊更に別の貸付先であるかのような誤解を招く表記をすることが許容されるとは到底認められ 付先の匿名性が求められ,貸付先が特定される情報を明示しないよう配慮する必要があったとしても,同一の貸付先について殊更に別の貸付先であるかのような誤解を招く表記をすることが許容されるとは到底認められず,被告Y1による表示が正当化されることにはならない。 したがって,被告らの主張は,いずれも採用することができない。 ⑷ なお,被告らは,71号ファンド及び108号ファンドについては,ファンド出資金が全額第三者に貸し付けられているから,その勧誘に違法性はないなどと主張する。 しかし,12号ファンド~111号ファンドの延べ191件の貸付先のう ち,被告Y2及びそのグループ会社以外への貸付けはわずか3件(23号ファンド,71号ファンド及び108号ファンドの一部)にすぎないことからすると,被告Y1のホームページ上の勧誘文言が全体として実態に反するものになっていたことは否めない。そうすると,ごく一部の貸付先にグループ会社以外の会社が含まれていたことを考慮しても,被告Y1は全ての勧誘に ついて不法行為責任を負うというべきである。 ⑸ 以上によれば,被告Y1は,原告らに対し,別紙4出資状況一覧表記載の全ての投資について,不法行為責任を負うというべきである。 3 争点2(被告Y1以外の被告らの不法行為の成否)について⑴ア被告Y6について 被告Y6は,被告Y1が業務を行っていた当時の代表取締役であり,被告Y1の事業全般を統括していた者であるから,原告らに対し,不法行為責任を負う。 イ被告Y2について被告Y2は,被告Y1が業務を行っていた当時,被告Y1の100%親 会社であり,被告Y6自身が代表取締役を務めていた。そして,被告Y6 は,被告Y2に籍を置く従業員 いて被告Y2は,被告Y1が業務を行っていた当時,被告Y1の100%親 会社であり,被告Y6自身が代表取締役を務めていた。そして,被告Y6 は,被告Y2に籍を置く従業員に指示して,ファンド出資金を移動させるなどしていた(前記1⑹)。 被告Y1は,当初から,ファンド出資金の大部分をグループ会社に貸し付けることを計画していたものであり(前記1⑶),被告Y2はその計画に基づき被告Y1に対して借入れの申込みを行い,現に多額の借入れを行 っていた(前記1⑷)。被告Y1の貸出稟議書は,極めて簡素な内容であり,相互に矛盾する記載が見られるものも多数存在している(前記1⑸)ばかりか,貸付先から徴求したという決算書,事業計画書等の資料も何ら残されていないことからすると,被告Y1が客観的かつ実質的な融資審査を行っていたかは疑わしいといわざるを得ない。 これらに照らすと,被告Y2は,被告Y1と一体となって,ファンド出資金の募集及びその貸付けに関与したと認めるのが相当である。 ウ被告Y5及び被告Y3について被告Y5は,被告Y2の親会社であり,平成30年11月まで,その本店所在地は被告Y6の自宅で,被告Y6,その義父及び妻が順次代表者を 務めていたが,既に業務を停止している(被告Y6本人)。 また,被告Y3は,被告Y2の会社分割により設立された被告Y2の100%子会社であり,被告Y6が平成28年8月まで代表取締役を務めていた。 そして,被告Y6は,一つのファンドを組成するには複数の貸付先が必 要となることから,被告Y5及び被告Y3に依頼して借入れをしてもらったなどと陳述しており(丙6),被告Y1の被告Y5及び被告Y3を貸付先とする貸出稟議書にも,「ファ するには複数の貸付先が必 要となることから,被告Y5及び被告Y3に依頼して借入れをしてもらったなどと陳述しており(丙6),被告Y1の被告Y5及び被告Y3を貸付先とする貸出稟議書にも,「ファンド組成のため」等の記載がされている(前記1⑸)。 これらに照らすと,被告Y5及び被告Y3は,ファンド出資金の大部分 をグループ会社に貸し付けるという計画の下,被告Y1と一体となってフ ァンドの組成に協力したと認めるのが相当である。 エ被告Y4について被告Y4は,被告Y2の100%子会社である上,被告Y1と本店所在地が同一の時期があった。また,被告Y4の代表取締役であるHは,被告Y1の広告製作物の管理やシステムの保守管理を行っていたものであり (被告Y6本人),被告Y1の業務に関与し,その内情を認識していたものと認められる。 そして,前記のとおり,被告Y1が客観的かつ実質的な融資審査を行っていたかは疑わしいことをも考慮すると,被告Y4は,ファンド出資金の大部分をグループ会社に貸し付けるという計画の下,これに協力して,被 告Y1に借入れの申込みを行い,現に借入れを受けたと認めるのが相当である。 オ以上によれば,被告Y6は被告Y1を統括し,被告Y2,被告Y5,被告Y3及び被告Y4は,被告Y1と一体となって,ファンド出資金の募集及びその貸付けの事業を行っていたというべきであるから,いずれも当該 事業全体について共同不法行為が成立すると認めるのが相当である。 ⑵ これに対し,被告Y1以外の被告らは,被告Y1による勧誘が虚偽であるとは認識していなかった旨主張する。 しかし,被告Y1が意図的に実態に反する表示をしていたと認められることは,前記2で説示したとおりで に対し,被告Y1以外の被告らは,被告Y1による勧誘が虚偽であるとは認識していなかった旨主張する。 しかし,被告Y1が意図的に実態に反する表示をしていたと認められることは,前記2で説示したとおりであり,被告Y2,被告Y5,被告Y3及び 被告Y4は,被告Y6の指示の下,被告Y1によるファンド出資金の募集及び貸付けに協力したというべきである。 また,被告Y1以外の被告らは,被告Y6が送信した前記1⑹のメールは被告Y1の従業員に対するものである旨主張する。 しかし,当該メールで資金の移動を指示されているLなる人物は,被告Y 2のメールアドレスを使用していたものであるから,被告Y2も資金の移動 に関与していたといわざるを得ない。 したがって,上記各主張は,いずれも採用することができない。 4 争点3(原告らの損害)について原告らは,別紙4出資状況一覧表のファンド番号欄記載のファンドに投資申込金額欄記載の各金員を投資したところ(前記前提事実⑵),被告らの不法行 為により,それぞれ別紙2請求一覧表の各原告に係る「損害額」欄記載の損害を被ったものと認められる。 また,原告らは,弁護士に委任して本件訴訟を提起することを余儀なくされたところ,事案の難易及び損害の額等を考慮すると,被告らの不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は,それぞれ同表の各原告に係る「弁護士費用」欄 記載のとおりと認めるのが相当である。 したがって,原告らの被った損害は,それぞれ同表の各原告に係る「請求額」欄記載の各金額となる。 5 争点4(過失相殺)について被告Y1は,原告らは貸付先の表示が同じファンドに繰り返し投資しており, 貸付先が異なると誤信したことには過失があるから,過失 欄記載の各金額となる。 5 争点4(過失相殺)について被告Y1は,原告らは貸付先の表示が同じファンドに繰り返し投資しており, 貸付先が異なると誤信したことには過失があるから,過失相殺をすべきである旨主張する。 しかし,前記2⑵イで説示したとおり,個別のファンドの募集ページの記載は抽象的な表現にとどまっている上,殊更に貸付先の表記が使い分けられていたことがうかがわれることからすると,原告らにおいて,貸付先が同一である ことを把握するのは困難であったといわざるを得ない。また,被告Y1は,「分散投資」という表示が実態に反するものであることを認識していながら,原告らを投資に勧誘したというべきであり(前記2⑶),過失相殺をしなければ公平に反するような事情を認めることもできない。 したがって,被告Y1の上記主張は,採用することができない。 6 結論 よって,原告らの請求はいずれも理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第50部 裁判長裁判官森田浩美 裁判官浦上薫史及び裁判官新井一太郎は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官森田浩美 (別紙1),(別紙3),(別紙4)及び(別紙5)は記載を省略
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