平成14(行ウ)12 水路用途外使用違法確認請求

裁判年月日・裁判所
平成16年2月3日 甲府地方裁判所
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判決文本文4,452 文字)

口頭弁論終結日平成15年10月28日 主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 第1 当事者の求める裁判 1 請求の趣旨(1)被告が,甲府市A町〇〇番地先の幅員約4メートル,全長約90メートルの水路を道路として一般交通の用に供して用途外に使用し,甲府市の公有財産である水路の管理,維持及び保全等を怠っていることは違法であることの確認を求める。 (2)訴訟費用は被告の負担とする。 2 請求の趣旨に対する答弁(1)本案前の答弁ア本件訴えを却下する。 イ訴訟費用は原告らの負担とする。 (2)本案に対する答弁ア原告らの請求を棄却する。 イ訴訟費用は原告らの負担とする。 第2 当事者の主張 1 請求原因(1)原告らは,いずれも甲府市の住民である。 (2)平成2年1月26日当時,甲府市A町〇〇番地先水路(通称△△川。幅員約4メートル,全長約90メートル。以下「本件水路」という。)は,国有財産であった。 (3)上記(2)と同日,被告は,本件水路について,建設省所管国有財産部局長山梨県知事(以下「県知事」という。)に対し,道路改良工事を理由として,国有財産(水路)の工事施工及び用途変更についての承認を申請した。 (4)県知事は,平成2年3月7日,被告に対し,上記(3)の申請を承認した。 なお,被告は,本件水路の流水部分の用途変更についての承認を申請していないので,これについては承認を受けていな 県知事は,平成2年3月7日,被告に対し,上記(3)の申請を承認した。 なお,被告は,本件水路の流水部分の用途変更についての承認を申請していないので,これについては承認を受けていない。 (5)甲府市は,本件水路に,水路を覆う形の箱形コンクリート製の構造物(ボックスカルバートと呼ばれる。以下「本件設置物」という。)を設置した。 (6)以後,本件設置物の上部表面は,道路用地として,一般交通の用に供されている。 なお,被告は,道路法8条2項に基づき,平成10年3月11日の甲府市議会定例会の決議を経て,同月16日,本件水路及び隣接地を市道A〇号線として市道の路線認定をした。 (7)平成14年4月22日,本件水路は,国から甲府市に譲与された。 (8)原告らは,同年9月2日,地方自治法(以下「法」という。)242条に基づき,甲府市監査委員に対し,用途変更もされていないのに,本件水路を道路として一般交通の用に供していることは,甲府市の公有財産の管理を違法に怠るものであるとして,その監査を請求した(以下「本件監査請求」という。)。 (9)甲府市監査委員は,同月20日,本件監査請求は,平成10年12月28日付けで提出された監査請求と実質的に同一事案,同一内容であり,既に平成11年2月8日付け甲監発第26号で却下したから,改めて監査を行う必要がないことを理由として却下した。 (10)よって,原告らは,被告に対し,被告が,本件水路を道路として,用途変更手続を経ないまま,一般交通の用に供して用途外に使用し,甲府市の公有財産である水路の管理,維持及び保全等を怠っていることは違法であることの確認を求める。 2 被告の本案前の抗弁法242条の2第1項における「財産 用途外に使用し,甲府市の公有財産である水路の管理,維持及び保全等を怠っていることは違法であることの確認を求める。 2 被告の本案前の抗弁法242条の2第1項における「財産の管理」とは、目的物の財産的価値の維持・保全・実現を目的とする管理を指すと解されるから,目的物を一定の公の目的に供用するについて支障のない状態を維持することを目的とする公物管理を含まないと解すべきである。 本件において,被告は,本件水路に本件設置物を設置した上,本件水路を水路として,また,本件設置物の上を道路として管理しているが,これは水路の行政上の管理行為であって,法2条3項の機能管理行為に当たるに過ぎず,法242条の2第  1項における「財産の管理」には当たらない。 3 被告の本案に関する主張(1)請求原因(1)ないし(9)の事実は,同(4)のうち,「被告は,本件水路の流水部分の用途変更についての承認を申請していないので,これについては承認を受けていない。」という点を除き,いずれも認める。 (2)原告は,被告が本件水路を用途外に使用している違法がある旨主張するが,本件水路は,本件設置物が設置された後も水路としての機能を維持しているから,本件設置物の上を道路として利用することについて,国有財産法上の問題はないし, 機能管理者たる甲府市の権限内の行為であるので,用途変更手続を要しない。 4 本案前の抗弁に対する原告らの主張河川の財産管理の内容は,河川管理者の河川の維持修繕その他の管理とは観念上別個のものであり,その前提をなすべきものであるところ,河川管理者の管理行為は,洪水や高潮等による災害の発生を防止し,河川を適正に利用し,流水の正常な機能を維持するため,河川を良好な状態に維 別個のものであり,その前提をなすべきものであるところ,河川管理者の管理行為は,洪水や高潮等による災害の発生を防止し,河川を適正に利用し,流水の正常な機能を維持するため,河川を良好な状態に維持管理することであるのに対し,財産管理者の管理行為については「財産を常に良好な状態において管理し,その所有の目的に応じて最も効率的にこれを運用しなければならない」(地方財政法8条)とされているのであるから,両者の内容は実質的に重なる部分がある。 本件設置物は,その下口部分が90度近く湾曲していることから,水の流れを滞留させ,堆積物が堆積しやすく,しかも堆積物の除去が容易でない構造となっているため,洪水等の災害が発生しやすいことから,同条にいう財産管理を明らかに阻害している。そして,本件水路を良好な状態で管理し,その所有の目的に応じて最も効率的に運用するためには相当の費用支出が予想される。したがって,本件設置物は,流水管理の目的を妨げ,不必要な費用支出をさせかねないものであり,被告の本件水路の財産管理にかかわるものであることは明らかである。 理由 1 争いのない事実(1)原告らは,甲府市の住民である。 (2)平成2年1月26日当時,本件水路は国有財産であった。 (3)上記(2)と同日,被告は,本件水路について,建設省所管国有財産部局長であった県知事に対し,道路改良工事を理由として,国有財産(水路)の工事施工及び用途変更についての承認を申請した。 (4)県知事は,平成2年3月7日,被告に対し,上記(3)の申請を承認した。 (5)甲府市は,本件水路に本件設置物を設置した。 (6)以後,本件設置物の上部表面は,道路用地として,一般交通の用に供されてい )県知事は,平成2年3月7日,被告に対し,上記(3)の申請を承認した。 (5)甲府市は,本件水路に本件設置物を設置した。 (6)以後,本件設置物の上部表面は,道路用地として,一般交通の用に供されている。 なお,被告は,道路法8条2項に基づき,平成10年3月11日の甲府市議会定例会の決議を経て,同月16日,本件水路及び隣接地を市道A〇号線として市道の路線認定をした。 (7)平成14年4月22日,本件水路は,国から甲府市に譲与された。 (8)原告らは,同年9月2日,法242条に基づき,甲府市監査委員に対し,用途変更もされていないのに,本件水路を道路として一般交通の用に供していることは,甲府市の公有財産の管理を違法に怠るものであるとして,本件監査請求を行った。 (9)甲府市監査委員は,同月20日,本件監査請求は,平成10年12月28日付けで提出された監査請求と実質的に同一事案,同一内容であり,既に平成11年2月8日付け甲監発第26号で却下したから,改めて監査を行う必要がないことを理由として却下した。 2 本案前の抗弁について(1)法242条の2の定める住民訴訟は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実について,住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものである(最高裁昭和62年2月20日第2小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)。 したがって,ある事項が住民訴訟の対象となるか否かの判断も,上記趣旨に沿ってするべきであって,法242条1項にいう「財産の管理」とは,財産の財産的価値に着目して,その維持・保全・管理等を図る財務的処理を直接の目的とする行為をいうと解すべきで 断も,上記趣旨に沿ってするべきであって,法242条1項にいう「財産の管理」とは,財産の財産的価値に着目して,その維持・保全・管理等を図る財務的処理を直接の目的とする行為をいうと解すべきである。そして,一定の行政目的実現のためにする行為が,一面において財産の管理という性質を有し,それらの行為等がなされることによって,結果として地方公共団体に財産的影響が及ぶような場合は,行政目的実現の趣旨にかんがみ,その側面において考慮するべきであり,財務会計の適正な実現を目的とするものでない以上,「財産の管理」に当たらないと解すべきである。 (2)そこで検討するに,本件設置物が本件水路に設置されて,その上部表面が道路として一般交通の用に供されていることは,  本件水路の本来の機能を阻害しないかといった行政財産の効率的な利用という機能管理の問題について検討した上でなされる行為であり,行政目的の実現に関するものと認められる。したがって,本件水路の財産的価値に着目してその維持・保全・管理等を図る財務的処理を直接の目的とする行為には当たらないというべきであり,被告が本件水路を道路として一般交通の用に供していることは,住民訴訟の対象たる財務会計行為に当たらない。 仮に,原告らの主張するように,本件設置物が流水管理の目的を妨げ,不必要な費用支出をさせる可能性があるとしても,  上記のとおり,本件水路の財産的価値に着目してその維持・保全・管理等を図る財務的処理を直接の目的とする行為には当たらないから,上記判断を左右しない。 3 以上のとおりであって,本件訴えは不適法であるから,却下することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して主文のとおり判決する。 以上のとおりであって,本件訴えは不適法であるから,却下することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して主文のとおり判決する。 主文 甲府地方裁判所民事部 裁判長裁判官新堀亮一 裁判官倉地康弘 裁判官川畑薫

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