平成28年12月20日判決言渡平成28年(行ケ)第10069号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成28年9月13日判決 原告 X 被告特許庁長官指定代理人内藤真德同高木 彰同長馬 望同金子尚人 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が訂正2015-390094号事件について平成28年2月10日にした審決を取り消す。 第2 前提となる事実 1 特許庁における手続の経緯等(争いがない事実又は文中掲記の証拠により容易に認定できる事実)原告は,発明の名称を「座席管理システム」とする特許発明(特許3995133号。平成19年8月10日設定登録。以下,この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 原告は,平成27年8月20日,訂正審判(訂正2015-390094号事件。 以下「本件訂正審判」という。)の請求をした(甲13)。原告は,同年11月4日付けで拒絶理由通知(甲14。以下「本件拒絶理由通知」という。)を受けたため,同年12月4日付けで意見書(甲15)を提出したが,特許庁は,平成28年2月10日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本を,同月17日,原告に送達した。 2 特許請求の範囲本件訂正審判における訂正前の本件特許に係る特許請求の範囲の記載(請求項の数は2)は,以下のとおりである(以下,請求項1及び2に係る発明を併せて「本件特許発明」ということがある。また,本件特許の明細書及び図面を併せ ける訂正前の本件特許に係る特許請求の範囲の記載(請求項の数は2)は,以下のとおりである(以下,請求項1及び2に係る発明を併せて「本件特許発明」ということがある。また,本件特許の明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。)。 「【請求項1】カードリーダで読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備えられるホストコンピュータと,該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機とから成る,指定座席を管理する座席管理システムであって,前記ホストコンピュータが,前記券情報と前記発券情報とを入力する入力手段と,該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段と,該作成手段によって作成された前記座席表示情報を記憶する記憶手段と,該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を伝送する伝送手段と,前記端末機が,前記伝送手段によって伝送された前記座席表示情報を入力する入力手段と,該入力手段によって入力された前記座席表示情報を記憶する記憶手段と,該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を表示する表示手段と,を備えて成ることを特徴とする座席管理システム。 【請求項2】 カードリーダで読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備えられるホストコンピュータと,該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,複数の座席管理地に備えられる端末機とから成る,指定座席を管理する座席管理システムであって,前記ホストコンピュータが,前記券情報と前記発券情報とを入力 該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,複数の座席管理地に備えられる端末機とから成る,指定座席を管理する座席管理システムであって,前記ホストコンピュータが,前記券情報と前記発券情報とを入力する入力手段と,該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とを,複数の前記座席管理地又は前記端末機を識別する座席管理地識別情報又は端末機識別情報別に集計する集計手段と,該集計手段によって集計された前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段と,該作成手段によって作成された前記座席表示情報を記憶する記憶手段と,該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を伝送する伝送手段と,前記端末機が,前記伝送手段によって伝送された当該座席管理地識別情報又は端末機識別情報の前記座席表示情報を入力する入力手段と,該入力手段によって入力された前記座席表示情報を記憶する記憶手段と,該記憶手段によって記憶された前記座席表示情報を表示する表示手段と,を備えて成ることを特徴とする座席管理システム。」 3 本件訂正審判における訂正事項本件訂正審判における訂正事項は,以下のとおりであり,原告は,訂正事項1及び4は特許請求の範囲の減縮を目的とするものである,訂正事項2,3,5及び6は,明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり,そうでないとしても,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである旨主張している。 (1) 訂正事項1特許請求の範囲の請求項1の「該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機」を,「該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機で あって ュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機」を,「該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機で あって,各指定座席の利用状況を表示するための端末機」と訂正する。 (2) 訂正事項2特許請求の範囲の請求項1の「該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段と,」を,「該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき座席表示情報を作成する手段であって,かつ,前記各指定座席の利用状況を前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて前記端末機側に表示させるための座席表示情報を作成する作成手段と,」と訂正する。 (3) 訂正事項3特許請求の範囲の請求項1の「備えて成ることを特徴とする座席管理システム。」を,「備えて成り,前記表示手段は,前記端末機が備えられた座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて各指定座席の利用状況を表示し,前記作成手段は,前記券情報と前記発券情報との両情報から1つの前記座席表示情報を作成することを特徴とする座席管理システム。」と訂正する。 (4) 訂正事項4特許請求の範囲の請求項2の「該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機」を,「該ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機であって,各指定座席の利用状況を表示するための端末機」と訂正する。 (5) 訂正事項5特許請求の範囲の請求項2の「該集計手段によって集計された前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ, 機であって,各指定座席の利用状況を表示するための端末機」と訂正する。 (5) 訂正事項5特許請求の範囲の請求項2の「該集計手段によって集計された前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段と,」を,「該集計手段によって集計された前記券情報と前記発券情報とに基づき座席表示情報を作成する手段であって,かつ,前記各指定座席の利用状況を前記座席管理地に設置される指定座席の レイアウトに基づいて前記端末機側に表示させるための座席表示情報を作成する作成手段と,」と訂正する。 (6) 訂正事項6特許請求の範囲の請求項2の「備えて成ることを特徴とする座席管理システム。」を,「備えて成り,前記表示情報は,前記端末機が備えられた座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて各指定座席の利用状況を表示し,前記作成手段は,前記券情報と前記発券情報との両情報から1つの前記座席表示情報を作成することを特徴とする座席管理システム。」と訂正する。 4 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しに記載のとおりである。その要旨は,①特許請求の範囲の請求項1に係る訂正事項2及3は,いずれも発明特定事項を削除するものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものであり,特許法126条6項の規定に適合しないから,訂正事項1を検討するまでもなく,請求項1に係る訂正は認められない,②特許請求の範囲の請求項2に係る訂正事項5及び6は,訂正事項2及び3と実質的に同じ内容の訂正であり,同様の理由により,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものであって,特許法126条6項の規定に適合しないから,訂正事項4を検討するまでもなく,請求項2に係る訂正は認め に同じ内容の訂正であり,同様の理由により,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものであって,特許法126条6項の規定に適合しないから,訂正事項4を検討するまでもなく,請求項2に係る訂正は認められない,というものである。 第3 原告主張の取消事由 1 取消事由1(特許請求の範囲の請求項1及び2に記載の文面の解釈の誤り)(1) 審決は,「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報であるとの誤った解釈をしている。原告は, 請求項1及び2の「座席表示情報」の技術的意義を誤って解釈されないようにするために,本件訂正審判の請求をした。すなわち,「座席表示情報」を「券情報」と「発券情報」との両情報に基づいて作成した点を明確にするために,訂正事項2に係る訂正をしたのである(「座席表示情報」を作成する際に用いる情報が「券情報」と「発券情報」と解されることが明確になる)。このように,訂正事項2は,特許法126条1項3号の明りょうでない記載の釈明に該当する。 そして,訂正事項2は,本件明細書(段落【0013】等)に記載されている内容であり,少なくとも,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではない。 この訂正は,本件特許発明の「座席表示情報」の技術的意義に係る誤った解釈による誤った実施例と,本件訂正により明り より導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではない。 この訂正は,本件特許発明の「座席表示情報」の技術的意義に係る誤った解釈による誤った実施例と,本件訂正により明りょうになった,正しい解釈による実施例のうち,特許請求の範囲を正しい解釈による一実施例に限るものであるから,この点においても,特許請求の範囲を拡張するものには当たらない。 したがって,訂正事項2は,特許法126条5項に適合するものであるから,これに反する審決の判断には誤りがあり,同様に,その他の訂正事項についての審決の判断にも誤りがある。審決は取り消されるべきである。 (2) 請求項1及び2の「該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段」との記載について,審決は,「該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき」及び「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」は「作成する作成手段」を修飾していると解釈している。 しかし,「該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき」は「作成する作成手段」を修飾し,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」は「表示する座席表示情報」を修飾していると解すべきであって,審決の「統合された云々」とする解釈は誤っている。 審決は,並列的に接続された「前記券情報と前記発券情報とに基づき」と「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」との二つの文言は,ともにそれらに続く一つの動詞である「作成する」にかかると解するのが, 日本語の素直な解釈であると判断しているところ,そのように解すると,その文面の「前記 のレイアウトに基づいて」との二つの文言は,ともにそれらに続く一つの動詞である「作成する」にかかると解するのが, 日本語の素直な解釈であると判断しているところ,そのように解すると,その文面の「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」の後に続けて,そこに本来あるはずの「表示する」なる文言が抜けており,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」という,そこで作成される本件特許発明の「座席表示情報」の本来の意味が失われる。 通常,前にある文言(「指定座席のレイアウトに基づいて」)は,その直後にある文言(「表示する」)にかかるのが常識であって,このことからすれば,請求項1及び2の「前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」なる文面では,あくまでも,「指定座席のレイアウトに基づいて表示する」となっても「指定座席のレイアウトを統合」ということにはならないのである。 また,本件明細書には,「券情報」と「発券情報」という2種類の情報を統合して一つの情報とする記載があるのみであって,通信回線の負担の軽減などの記載はなく,また,「ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情報に統合」というように決めつけているような記載はどこにもない。そのように解釈すると,「座席表示情報」を「画像情報」と捉えることとなり,本件特許発明が「券情報」と「発券情報」を統合して情報量を半減させる場合に比べ,各段に大きな情報量になってしまうことから,審決の指摘のとおり,「前記ホストコンピュータから前記端末機へ伝送される情報量が半減され」ということにはならない。 して情報量を半減させる場合に比べ,各段に大きな情報量になってしまうことから,審決の指摘のとおり,「前記ホストコンピュータから前記端末機へ伝送される情報量が半減され」ということにはならない。 (3) 請求項1及び2における「座席表示情報」の技術的意義について,審決は,「本件特許発明における「座席表示情報」の技術的意義を検討すると,「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,か つ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報と認めることができる。」と解釈している。すなわち,審決は,ホストコンピュータで作成される「座席表示情報」は,ディスプレイに座席の利用状況をイメージして作成された情報(画像情報)として捉えている。しかし,本件明細書の段落【0012】,【0013】の記載からみて,端末機2(本件特許発明の端末機)は,ホストコンピュータで作成された「券情報」と「発券情報」とで構成された「座席表示情報」(表示情報)を受けて,該「座席表示情報」を基に,「券情報」と「発券情報」との有無,すなわち,各指定座席の利用状況を,指定座席のレイアウトに基づいて,何らかの処理をして,指定座席のレイアウトを示すパターンの上に画像として表示する画像情報を作成し該画像情報を端末機2のディスプレイに表示して,該表示を目視して各指定座席の利用状況を目視できるようにしていることになる。 したがって,本件特許発明は,端末機が「座席表示情報」を表示する場合は,「座席表示情報」を受けてそれ プレイに表示して,該表示を目視して各指定座席の利用状況を目視できるようにしていることになる。 したがって,本件特許発明は,端末機が「座席表示情報」を表示する場合は,「座席表示情報」を受けてそれをもとに,指定座席のレイアウトに基づいて何らかの処理をして,画像情報を作成しているということになり,ホストコンピュータで作成される「座席表示情報」を画像情報として捉えられるものではないのであるから,審決の認定判断は誤りである。 被告は,上記段落【0013】に記載の「指定座席のレイアウトに基づいて表示する」というところでは,「端末機において「座席表示情報」とこれとは別の指定座席のレイアウトに関する何らかの情報とを統合処理してディスプレイに表示することを意味するものではない」というように「統合しない」と主張し,本件特許発明の「座席表示情報」の技術的意義に係る解釈では,「指定座席のレイアウトに基づいて作成する」というところでは「本件特許発明の「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といっ た個々の情報を1つの情報に統合されたもの」というように「統合する」と主張するなど,その解釈に一貫性がなく,支離滅裂な主張をしているという他はない。 2 取消事由(審決の説示の誤り)(1) 審決は,単に「表示する座席表示情報」とは,座席表示情報が表示するものであることを意味していることが理解でき,日本語として不自然ではないし,さらにその技術的な意味からみても,何ら不自然とはいえない,と説示しているが,これでは,何に基づいて表示する座席表示情報なのかが不明になってしまう。すなわち,本件特許明細書に「指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報」とある明確な基づくものとして使われる「指定 ,これでは,何に基づいて表示する座席表示情報なのかが不明になってしまう。すなわち,本件特許明細書に「指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報」とある明確な基づくものとして使われる「指定座席のレイアウト」が不要ということになり,本件特許発明が持つ「座席表示情報」の本来の具体的な意味が分からないものになってしまうということになる。 よって,審決の,上記文面の解釈に係る説示は誤りである。 (2) 審決が,「また,請求項1及び請求項2の「前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段」との記載は,「前記券情報と前記発券情報とに基づき」と「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」とは「かつ」で接続されて,並列的に記載されているのであるから,「基づき」,「基づいて」はいずれも「作成する」に係ると解するのが,二つ以上の文言を並列的に接続する接続詞である「かつ」を含む文章の通常の解釈である。」とした点は誤りである。「かつ」は,「前記券情報と前記発券情報とに基づき」かつ(and)「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する」座席表示情報を作成する,というように,「前記券情報と前記発券情報とに基づき」というだけではなく,かつ(and)「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」という意味で使われるだけのものであって,ここでは,何に基づくのか,その基づくものの数が増すことを意味する以外の何物でもないから,特許請求の範囲の請求項1及び2に記載の文面の解釈は,「前記券情報と前記発 券情報とに基づき」かつ(and)「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウ 意味する以外の何物でもないから,特許請求の範囲の請求項1及び2に記載の文面の解釈は,「前記券情報と前記発 券情報とに基づき」かつ(and)「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」と全く同じ解釈になる。 よって,審決の上記文面の解釈に係る説示は誤りである。 (3) 本件明細書の【請求項1】,【請求項2】,段落【0005】,【0006】,【0010】,【0020】等の記載に鑑みると,段落【0016】は「座席表示情報」の前に付くべき「表示する」なる文言が抜けている,即ち,単なる記載漏れと解すべきであって,特段の意味を持つものではない。 よって,審決の段落【0016】に関する文面の解釈に係る説示は誤りである。 (4) 審決の認定判断は,本件特許発明の技術的範囲を本件明細書の段落【0016】に記載された実施例に限定して誤って解釈し説示するものであるから,特許法70条1項に違反する。 (5) 各座席についてそれぞれの座席の「券情報」と「発券情報」などの情報を座席番号順に並べるなどして「座席表示情報」を作成するためには,各座席について,指定座席のレイアウトを手掛かりにして(使って),個々の座席の「発券情報」と「発売情報」を突き合わせ,それぞれの座席の状況によって作成する必要があり,この場合,指定座席のレイアウトを知らなければ(使わなければ)できないのであるから,ホストコンピュータで作成される本件特許発明の「座席表示情報」は,「券情報」と「発券情報」だけでなく,かつ(and),指定座席のレイアウトに基づいて,各座席についてそれぞれの座席の「券情報」と「発売情報」を突き合わせて,それぞれの座席の状況によって,それらの情報を座席番号順に並べるなどして作成するのである。ホストコンピュ レイアウトに基づいて,各座席についてそれぞれの座席の「券情報」と「発売情報」を突き合わせて,それぞれの座席の状況によって,それらの情報を座席番号順に並べるなどして作成するのである。ホストコンピュータが「座席表示情報」を作成する作成手段において使用されるプログラムには,上記指定座席のレイアウトは必要不可欠な情報として使用されるものではあるが,本件特許発明には前記プログラムは示されていないのであるから,前記作成手段によって作成される「座席表示情報」は,請求項1及び2に記載のとおりの,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ(and),座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する(表示するための)「座席表示情 報」であればどのような形式・形態等(データフォーマット)のものでもあってもよい。 したがって,特許請求の範囲の請求項1及び2の「座席表示情報」について,「ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情報に統合することによって」というように解釈されるものではなく,そのような解釈が裏づけられることにもならない。 よって,審決の上記文面の解釈に係る説示は誤りである。 3 取消事由3(その他の取消事由)(1) 審決の請求項1及び2の文面の解釈の誤り,それを正当化するための説示の誤りの全ては,別件の本件特許発明に基づく侵害訴訟における控訴審(知的財産高等裁判所平成23年(ネ)第10013号特許権侵害差止等請求控訴事件。以下「別件訴訟」という。)の裁判官がした誤った文面の解釈とそれを正当化するための誤った説示をそのまま使ってされたものであることは明らかである。 しかも,審決の説示は,本件拒絶理由通知の際にはなかったものであり,その誤った説示につい た誤った文面の解釈とそれを正当化するための誤った説示をそのまま使ってされたものであることは明らかである。 しかも,審決の説示は,本件拒絶理由通知の際にはなかったものであり,その誤った説示について原告が意見する機会が与えられないままにされたのであって,原告の対処不能な状態でされたものである。 (2) 審決は,その誤った事実認定を正当化し,本件特許発明をないものにしようとする策略によるものであることは明らかで,絶対あってはならない,絶対許されない犯罪行為であるという他はなく,少なくとも,そこにある所為は,刑法156条(虚偽公文書作成罪)に該当するという他はないのである。 第4 被告の主張 1 取消事由1(特許請求の範囲の請求項1及び2に記載の文面の解釈の誤り)について(1) 審決は,本件特許発明における「座席表示情報」の技術的意義を検討すれば,「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情 報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報と認定するとともに,さらに,この認定は特許明細書等の記載とも整合的であることからも裏付けられると説示した上で,本件訂正審判に係る訂正は,請求項1及び2において,ホストコンピュータで「座席表示情報」を作成する際に用いる情報として特定されていた「指定座席のレイアウト」を除外するものであるから,発明特定事項を削除するものであって,特許請求の範囲を拡張することとなり,実質上特許請求の範囲を 情報」を作成する際に用いる情報として特定されていた「指定座席のレイアウト」を除外するものであるから,発明特定事項を削除するものであって,特許請求の範囲を拡張することとなり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正であるから,特許法126条6項の規定に適合しないと判断したものであり,その判断に誤りはない。 (2) 審決は,請求項1及び2の記載,特に「前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」との文言の素直な解釈を根拠としたものであって,原告の前記主張は審決を正解しないものである。 また,審決は,請求項1及び2の記載,特に「前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」との文言において,「券情報」と「発券情報」と「指定座席のレイアウト」との個々の三つの情報に基づいて,一つの「座席表示情報」が作成されることをもって,「統合する」と認定したものであって,原告が主張するように,「かつ」という文言が存在することのみをもって,認定判断したものではない。 (3) 審決は,ホストコンピュータから端末機に送信される「座席表示情報」自体が,原告の主張する「画像情報」であると認定したものではないから,審決が「座席表示情報」を「画像情報」であると認定したことを前提とする原告の主張は,審決を正解しないものである。 また,本件明細書の段落【0012】,【0013】の記載等は,端末機において「座席情報」とこれとは別の指定座席のレイアウトに関する何らかの情報とを統合 処理してディスプレイに表示することを意味するものではない。 2 取消事由2(審決の説示の誤り)について いて「座席情報」とこれとは別の指定座席のレイアウトに関する何らかの情報とを統合 処理してディスプレイに表示することを意味するものではない。 2 取消事由2(審決の説示の誤り)について原告の取消事由2の主張は,以下のとおり,いずれも理由がない。 (1) 審決で指摘したとおり,「表示される座席表示情報」と解しても,「座席表示情報」は,ホストコンピュータのディスプレイ及び端末機のディスプレイにおいて,目視できるように表示されるものであることを意味する記載として,明確に理解できるから,「表示される座席表示情報」と解すると,何に基づいて表示する座席表示情報なのかが不明になってしまうとの原告の主張は失当である。 (2) 請求項1及び2の「前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段」との記載は,いずれも「券情報」と「発券情報」かつ「指定座席のレイアウト」に基づいて座席表示情報を作成するという意味に解釈できるから,前記第3,2(2)の原告の主張は失当である。 (3) 原告の指摘する本件明細書の段落【0016】の記載は,それ自体として明確であること,その意味が特許請求の範囲の請求項1及び2の記載とも整合していること,さらに「表示する」を補うとすると,その直後には「これを表示するとともに」との文言が続くために冗長な文章となってしまうことからみて,単なる記載漏れ,すなわち明らかな誤記であるとはいえない。仮に,原告が主張するとおり,本件明細書の段落【0016】において,「表示する」の文言が抜けていることが単なる記載漏れであり,「表示する」を補ったとしても,文章全体としての意味が変わることはなく,審決の認定が誤りである理由とはならない。 落【0016】において,「表示する」の文言が抜けていることが単なる記載漏れであり,「表示する」を補ったとしても,文章全体としての意味が変わることはなく,審決の認定が誤りである理由とはならない。 (4) 原告は,審決の認定判断は,本件特許発明の技術的範囲を本件明細書の段落【0016】に記載された実施例に限定した解釈をするものであり,特許法70条1項に違反する旨主張する。しかし,審決は,段落【0016】を始めとした本件明細書の記載とも整合的であることからも裏付けられると説示したものであって,段落【0016】に記載された実施例に限定して解釈したものではないから,原告 の上記主張は当を得ないものである。 (5) 前記第3,2(5)の原告の主張は論理矛盾した主張である。むしろ,「座席表示情報」を作成するためには「券情報」と「発券情報」のみならず,「指定座席のレイアウト」が必要不可欠な情報であるとの指摘は,本件特許発明における「座席表示情報」は審決が認定したとおりのものであることを裏付けるものであって,原告の上記主張は当を得ないものである。 3 取消事由3(その他の取消事由)について審決は,特許請求の範囲,特許明細書等の記載に基づいて,本件特許発明を認定した上で,本件訂正審判に係る訂正が特許法126条に規定される要件に適合するかについて判断したものであって,本件特許発明に係る別件訴訟の解釈と説示をそのまま引用したものではないから,原告の主張は失当である。 さらに,本件訂正審判では,審判長は,特許法165条の規定に基づき,請求人(原告)に対し,本件拒絶理由通知書(甲14)において訂正の請求を拒絶する理由を示した上で意見書提出の機会を与え,請求人(原告)は,これに応じて同年12月4日付けで意見書(甲15)を提出しており,審 (原告)に対し,本件拒絶理由通知書(甲14)において訂正の請求を拒絶する理由を示した上で意見書提出の機会を与え,請求人(原告)は,これに応じて同年12月4日付けで意見書(甲15)を提出しており,審決は,当該意見書を踏まえ適法になされたものである。 第5 当裁判所の判断 1 本件特許発明について(1) 本件明細書(乙1)には,次の記載がある。 ア 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,指定座席を管理する座席管理システムに関する。」イ 「【0002】【従来の技術】従来,指定座席を管理する座席管理システムとしては,カードリーダで読取られた座席指定券の券情報及び券売機等で発券された座席指定券の発券(座席予約)情 報等を,例えば列車車内において,端末機(コンピュータ)で受けて記憶し表示して,指定座席の利用状況を車掌が目視できるようにして車内検札を自動化する座席指定席利用状況監視装置(特公H5-47880号公報)が発明されている。 【0003】・・・券情報入力15で受けたカードリーダで読取られた座席指定券の券情報と,発券情報入力16で受けた券売機等で発券された座席指定券の発券情報等の情報をCPU17に記憶して情報処理して,各指定座席の使用及び空席等の利用状況をディスプレイ18に表示して,該表示を車掌が目視できるようにして,車内検札を自動化した座席管理装置である。 【0004】・・・これ等の両情報を地上の管理センターから受ける場合,伝送される情報は2種になるために通信回線の負担を1種の場合に比べて2倍にするとともに端末機の記憶容量と処理速度とをともに2倍にするなどの問題がある。 【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は,上記発明の座席 場合に比べて2倍にするとともに端末機の記憶容量と処理速度とをともに2倍にするなどの問題がある。 【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は,上記発明の座席指定席利用状況監視装置は上記券情報と上記発券情報とに基づいて各座席指定席の利用状況を表示するにはこれ等の両情報を地上の管理センターから受ける場合,伝送される情報量が2倍になるために,該情報を伝送する通信回線の負担を2倍にするとともに端末機の記憶容量と処理速度とをともに2倍にするなどの点にある。」ウ 「【0007】【作用】本発明は,これ等の構成に,上記ホストコンピュータから上記端末機へ伝送される情報量が上記券情報と上記発券情報との両表示情報から1つの表示情報となる上記座席表示情報にすることで半減され,これによって通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度とを半減する。」 エ 「【0008】【実施例】図1は本発明の座席管理システムのブロック図であって,ホストコンピュータ1は,カードリーダ(改札機等)で読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備えられて,端末機2は,ホストコンピュータ1と通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる。 【0009】ホストコンピュータ1において,券情報入力3は前記券情報を受けてこれをCPU6へ入力して,さらに発券情報入力4は前記発券情報を受けてこれをCPU6へ入力して,制御情報入力5は端末機2から情報の伝送を指令する伝送指令情報或いは前記座席管理地において発券された座席指定席の発券情報等を受けてこれ等の情報をCPU6へ入力する。 【0010】CPU6は,券情報入力3から入力された前記券 伝送を指令する伝送指令情報或いは前記座席管理地において発券された座席指定席の発券情報等を受けてこれ等の情報をCPU6へ入力する。 【0010】CPU6は,券情報入力3から入力された前記券情報及び発券情報入力4から入力された前記発券情報それに制御情報入力5から入力された前記発券情報等を記憶するとともに,これ等の情報に基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて,例えば前記券情報及び前記発券情報の両情報又は前記発券情報が存在するときは「1」(使用席)とし,前記券情報のみが存在するとき又は両情報が存在しないときは「0」(空席)として,各指定座席の利用状況を表示する座席表示情報を作成して,これを記憶するとともに,該座席表示情報を,制御情報入力5から前記伝送指令情報が入力されたとき表示情報出力8へ出力する。 【0011】ディスプレイ7はCPU6に記憶された前記座席表示情報を受けて表示し,さらに表示情報出力8は,制御情報入力5が前記伝送指令情報を受けてCPU6に入力したときCPU6から出力された前記座席表示情報を通信回線に乗せて端末機2へ 伝送する。また操作部9は,CPU6のプログラムのシーケンスを制御して,前記した各種情報の入力の受付や,前記座席表示情報を受けて表示されるディスプレイ7の画像をスクロールする等の操作をする。 【0012】次に,端末機2において,表示情報入力10は,ホストコンピュータ1と通信回線で結ばれて,伝送された前記座席表示情報を受けてこれをCPU11へ入力する。 【0013】CPU11は表示情報入力10から入力された前記座席表示情報を受けてこれを記憶するとともに,ホストコンピュータ1へ情報の伝送を指令する伝送指令情報を記憶する。さらにディスプレイ12はCPU11 CPU11は表示情報入力10から入力された前記座席表示情報を受けてこれを記憶するとともに,ホストコンピュータ1へ情報の伝送を指令する伝送指令情報を記憶する。さらにディスプレイ12はCPU11に記憶された前記座席表示情報を受けて,当該座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて各指定座席の利用状況を表示する。」オ 「【0016】これ等のことから,本発明の座席管理システムは,カードリーダ(改札機等)で読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備えられるホストコンピュータ1が,前記券情報と前記発券情報,それに,ホストコンピュータ1と通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機2からの,当該座席管理地で発券された座席指定券の発券情報等を受けて,これ等の情報に基づいて,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて座席表示情報を作成して,これを表示するとともに,作成された座席表示情報を,端末機2からの前記座席表示情報の伝送を指令する伝送指令情報を受けて伝送して,さらに,端末機2が,ホストコンピュータ1から伝送された前記座席表示情報を受けてこれを表示するとともに,当該座席管理地において,座席指定券が発券されたときの発券情報によって前記座席表示情報及びその表示が更新されて,座席管理者が各指定座席の利用状況を目視できるようにしている。」 カ 「【0020】【発明の効果】以上説明したように本発明の座席管理システムは,上記管理センターに備えられるホストコンピュータが,カードリーダ(改札機等)で読取られた座席指定券の券情報と券売機等で発券された座席指定券の発券情報とを入力して,これ等の両情報に基づいて表示する ,上記管理センターに備えられるホストコンピュータが,カードリーダ(改札機等)で読取られた座席指定券の券情報と券売機等で発券された座席指定券の発券情報とを入力して,これ等の両情報に基づいて表示する座席表示情報を作成して,作成された前記座席表示情報を,前記ホストコンピュータと通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機へ伝送して,該端末機が前記座席表示情報を入力して表示してするようにしたことで,該端末機がする各指定座席の利用状況の表示を前記券情報と前記発券情報との両表示情報から1つの表示情報となる前記座席表示情報で実現できるようになり,これによって前記ホストコンピュータから前記端末機へ伝送する情報量が半減され,通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度等を軽減するとともに,端末機のコストダウンが計られて,本発明のシステムの構築を容易にする。」キ 「【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の座席管理システムのブロック図である。 【図2】 従来の座席管理システムである座席指定席状況監視装置(特公H5-47880号公報)に備えられる端末機の概略図である。」 (2) 上記(1)によれば,本件特許発明の特徴は以下のとおりであると認められる。 本件特許発明は,指定座席を管理する座席管理システムに関する(【0001】)。 従来,指定座席を管理する座席管理システムとしては,カードリーダで読取られた座席指定券の券情報及び券売機等で発券された座席指定券の発券(座席予約)情報等を,列車車内において,端末機(コンピュータ)で受けて記憶し情報処理して,各指定座席の使用及び空席等の利用状況をディスプレイ18に表示して,該表示を車掌が目視できるようにして,車内検札を自動化した座席管理装 車内において,端末機(コンピュータ)で受けて記憶し情報処理して,各指定座席の使用及び空席等の利用状況をディスプレイ18に表示して,該表示を車掌が目視できるようにして,車内検札を自動化した座席管理装置が発明されているが,これらの両情報を地上の管理センターから受ける場合,伝送される情報は2種になるために通信回線の負担を1種の場合に比べて2倍にするとともに端末機の記憶容量と処理速度とをともに2倍にするなどの問題があった(【0002】~【0005】)。 本件特許発明の座席管理システムは,管理センターに備えられるホストコンピュータ1が,カードリーダ(改札機等)で読取られた座席指定券の券情報と,券売機等で発券された座席指定券の発券情報,それに,当該座席管理地で発券された座席指定券の発券情報等を受けて,これ等の情報に基づいて,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて座席表示情報を作成して,作成された座席表示情報を端末機2に伝送し,端末機2は,ホストコンピュータ1から伝送された前記座席表示情報を受けて,当該座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて各指定座席の利用状況を表示し,当該座席管理地において座席管理者が各指定座席の利用状況を目視できるようにすることで(【0008】~【0013】,【0016】),該端末機がする各指定座席の利用状況の表示を,一つの表示情報となる前記座席表示情報で実現できるようになり,これによって前記ホストコンピュータから前記端末機へ伝送する情報量が半減され,通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度等を軽減するとともに,端末機のコストダウンが計られて,本件特許発明のシステムの構築を容易にする(【0020】)。 すなわち,本件特許発明は,管理センターに備えられるホストコンピュータにお を軽減するとともに,端末機のコストダウンが計られて,本件特許発明のシステムの構築を容易にする(【0020】)。 すなわち,本件特許発明は,管理センターに備えられるホストコンピュータにお いて,「券情報」及び「発券情報」に基づき,かつ,「座席管理地の座席レイアウト」に基づいて,一つの情報である「座席管理情報」を作成し,これをホストコンピュータから座席管理地に備えられる端末機に伝送し,当該端末機がこれを入力して,その表示手段において表示するという構成を採用することによって,ホストコンピュータから端末機へ伝送する情報量が半減され,通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度等を軽減するとともに,端末機のコストダウンが図れ,本件特許発明のシステムの構築を容易にするという効果を達成した発明であると認められる。 2 取消事由1(請求項1及び2の文言解釈の誤り)について原告の主張する取消事由1は,審決が,請求項1及び2の「座席表示情報」の技術的意義を誤って認定したことを前提として,本件訂正審判の請求が特許法126条6項の規定に適合しないとの審決の判断には誤りがあると主張するものであると解される。 そこで,以上を前提に,審決の判断に誤りがあるかについて検討する。 (1) 前記1(2)の本件特許発明の特徴によれば,審決が認定するとおり,特許請求の範囲の請求項1及び2の「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表 ピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報であると認められる。 そして,本件訂正審判の請求に係る訂正事項2,3,5及び6は,前記第2,3のとおりであり,これによると,「座席表示情報」を作成する際に用いる情報は,「券情報」と「発券情報」となると解される。そうすると,本件訂正により,「座席表示情報」を作成する際に用いる情報が,訂正前には,「券情報」と「発券情報」と「指定座席のレイアウト」であったものを,上記のとおり,「券情報」と「発券情報」に変更するものであると認められる。 したがって,本件訂正審判に係る訂正事項2,3,5及び6は,本件訂正前の請求項1及び2において,ホストコンピュータで「座席表示情報」を作成する際に用いる情報として特定されていた「指定座席のレイアウト」を除外するものであるといえるから,発明特定事項を削除するものであって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正(特許法126条6項)であると認められる。 (2) 原告の主張についてア原告は,特許請求の範囲の請求項1及び2について,「該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき」は「作成する作成手段」を修飾し,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」は「表示する座席表示情報」を修飾しているのであって,「座席表示情報」の後ろの「作成する作成手段」にかかるものではないと解すべきである旨主張する。 しかし,「前記券情報と前記発券情報に基づき」と「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」とは「かつ」という語句で接続 成手段」にかかるものではないと解すべきである旨主張する。 しかし,「前記券情報と前記発券情報に基づき」と「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」とは「かつ」という語句で接続されていて並列的記載になっており,上記記載は,「・・・に基づき,かつ,・・・に基づいて・・・を作成する」と解釈するのが自然な文言解釈であるといえる。 また,上記のように解釈すると,「座席表示情報」は,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」に基づいて作成されることとなり,これらの三つの情報が統合されたものが「座席表示情報」であると認められるところ,本件明細書の記載(段落【0016】)によれば,「0」(空席)を示す「座席表示情報」を作成するためには,座席は存在するものの,「券情報」と「発券情報」とは存在しないということを判別する必要があり,座席の情報である「指定座席のレイアウト」と「券情報」及び「発券情報」との突き合わせが必要となるから,「座席表示情報」は,「該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき」作成されているとともに,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」作成されるものと解される。したがって,上記解釈は,本件明細書の段落【0016】の記載によっても裏付けられるものであるといえるし,その他,本件明細書の記載 (段落【0005】,【0016】,【0020】等)とも整合するものであると認められる。 これに対し,原告が主張するように,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」が「表示する」を修飾すると解すると,本件特許発明は「座席表示情報」を作成する際に用いる情報が,「券情報」と「発券情報」とになって,「指定座席のレイアウト」が除外されるところ,「指定座席のレ づいて」が「表示する」を修飾すると解すると,本件特許発明は「座席表示情報」を作成する際に用いる情報が,「券情報」と「発券情報」とになって,「指定座席のレイアウト」が除外されるところ,「指定座席のレイアウト」は「座席表示情報」が作成されるべき座席を判別するために必要な情報であって,「指定座席のレイアウト」がなければ,「0」(空席)を示す「座席表示情報」を作成する際に,座席は存在するものの,「券情報」と「発券情報」とは存在しないということを判別するための「指定座席のレイアウト」と「券情報」及び「発券情報」との付き合せを行うことができず,本件特許発明を実施することができなくなると解される。また,「指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機2からの,当該座席管理地で発券された座席指定券の発券情報等を受けて,これ等の情報に基づいて,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて座席表示情報を作成して」(【0016】)との本件明細書の記載とも整合しなくなる。 したがって,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」が「表示する」を修飾していると解することはできないから,原告の上記主張は採用することができない。 イ原告は,審決の判断によれば,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」の後に続けて,そこに本来あるはずの「表示する」との文言が抜けることになり,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」という,そこで作成される本件特許発明の「座席表示情報」の本来の意味が失われることになるし,通常,前にある文言(「指定座席のレイアウトに基づいて」)は,その直後にある文言(「表示する」)に係るのが常識であるから,請求項1及び2の「前記券情報と前記発券 」の本来の意味が失われることになるし,通常,前にある文言(「指定座席のレイアウトに基づいて」)は,その直後にある文言(「表示する」)に係るのが常識であるから,請求項1及び2の「前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表 示する座席表示情報を作成する」という文面では,あくまでも,「指定座席のレイアウトに基づいて表示する」となっても「指定座席のレイアウトを統合」ということにはならない旨主張する。 しかし,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」が「表示する」を修飾すると解すると,本件特許発明は,実施することができず,また,本件明細書の記載とも整合しないこととなるから,原告が主張するように,「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」が「表示する」を修飾していると解することはできないことは,前記認定のとおりである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 ウ原告は,審決が,ホストコンピュータで作成される「座席表示情報」を,ディスプレイに座席の利用状況をイメージして作成された情報(画像情報)として捉えていることを前提に,審決のように解釈すると,端末機が,「座席表示情報」を表示する場合は,「座席表示情報」を受けて,それをもとに,指定座席のレイアウトに基づいて何らかの処理をして画像情報を作成しているということになるけれども,ホストコンピュータで作成される「座席表示情報」は画像情報として捉えられるものではないから,審決の上記認定は誤りである旨主張する。 しかし,審決は,「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情 誤りである旨主張する。 しかし,審決は,「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報と認めることができる旨認定しているのであって,「座席表示情報」を画像情報として捉えているわけではない。「座席表示情報」が,空席の場合は「0」,使用席の場合は「1」の情報であるならば,端末機で「指定座席のレイアウト」の表示上に,「0」(空席)又は「1」(使用席)の「座席表示情報」をオーバーレイ表示することで,「座席表示情報」を「指定座席のレイアウト」 に基づいて画像情報に変換するための格別な処理を要することなく,座席の利用状況を表示し,目視することができるから,審決の「・・・これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる」などの認定を根拠として,審決が「座席表示情報」を画像情報に限定して解釈しているということはできない。 また,ホストコンピュータが,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を,「1」(使用席)と「0」(空席)からなる一つの情報に統合して端末機に送信するということであれば,端末機において「1」(使用席)と「0」(空席)からなるような「座席表示情報」を作成するために格別な処理を要しないことは明らかである。 したがって,原告の上記主張は,その前提を欠くものであるから,採用することができない。 「0」(空席)からなるような「座席表示情報」を作成するために格別な処理を要しないことは明らかである。 したがって,原告の上記主張は,その前提を欠くものであるから,採用することができない。 エ原告は,本件明細書には,「券情報」と「発券情報」という2種類の情報を統合して一つの情報とする旨の記載があるのみであって,通信回線の負担の軽減などの記載はなく,また,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合するというように決めつける記載はどこにもなく,そのように解釈すると,「座席表示情報」を「画像情報」と捉えることとなり,本件特許発明が「券情報」と「発券情報」を統合して情報量を半減させる場合に比べ,各段に大きな情報量になってしまい,審決が指摘するように「前記ホストコンピュータから前記端末機へ伝送される情報量が半減され」ということにならない旨主張する。 しかし,従来の指定座席を管理する座席管理システムにおいては,券情報及び発券情報を地上の管理センターから受ける場合,伝送される情報は2種になるために通信回線の負担を1種の場合に比べて2倍にするとともに端末機の記憶容量と処理速度とをともに2倍にするなどの問題があったとの課題に鑑みると,本件特許発明の目的の一つは,通信回線の負担の軽減にあると解するのが相当である。 また,本件明細書の記載によれば,特許請求の範囲の請求項1及び2の「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合す つ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報であると認められることは前記認定のとおりである。さらに,審決は「座席表示情報」を画像情報として捉えた上で判断したものではないことも前記認定のとおりである。 したがって,原告の上記主張は,その前提を欠くものであり,採用することができない。 オ原告は,被告は,段落【0013】に記載の「指定座席のレイアウトに基づいて表示する」というところでは,「端末機において「座席表示情報」とこれとは別の指定座席のレイアウトに関する何らかの情報とを統合処理してディスプレイに表示することを意味するものではないから」というように「統合しない」と主張し,本件特許発明の「座席表示情報」の技術的意義に係る解釈で,「指定座席のレイアウトに基づいて作成する」というところでは「本件特許発明の「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情報に統合されたもの」というように「統合する」と主張するなど,その解釈に一貫性がなく,支離滅裂な主張をしているという他はないなどと主張する。 しかし,原告の上記主張は,本件明細書のホストコンピュータに関する記載と端末機に関する記載を混同したものであると解される。すなわち,本件明細書において,ホストコンピュータでの動作を開示した段落【0010】には,「・・・券情報入力3から入力された前記券情報及び発券情報入力4から入力された前記発券情報それに と解される。すなわち,本件明細書において,ホストコンピュータでの動作を開示した段落【0010】には,「・・・券情報入力3から入力された前記券情報及び発券情報入力4から入力された前記発券情報それに制御情報入力5から入力された前記発券情報等を記憶するととも に,これ等の情報に基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて,例えば・・・として,各指定座席の利用状況を表示する座席表示情報を作成して」と,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」を統合して「座席表示情報」を作成することが記載されているのに対して,端末機での動作を開示した段落【0013】には,「・・・前記座席表示情報を受けて,当該座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて各指定座席の利用状況を表示する」と,「座席表示情報」を「指定座席のレイアウト」に基づいて表示することが記載されている。そして,「表示」には,入力された情報を異なる情報に処理や加工することは含まれないと解するのが相当であるから,本件明細書には端末機において統合処理を行うことは記載されていないといえる。 さらに,端末機で「座席表示情報」を表示する際に,「指定座席のレイアウト」の表示上に,「1」(使用席)又は「0」(空席)を示す「座席表示情報」をオーバーレイ表示するなど,「座席表示情報」を画像情報に変換する処理を行うことなく,「座席表示情報」を「指定座席のレイアウト」に基づいて表示することが考えられるのであるから,段落【0013】の「指定座席のレイアウトに基づいて表示する」を,「「座席表示情報」とこれとは別の指定座席のレイアウトに関する何らかの情報とを統合処理してディスプレイに表示する」などと限定的に解釈すべきであるとは認められない。そして,端末機において統合処 る」を,「「座席表示情報」とこれとは別の指定座席のレイアウトに関する何らかの情報とを統合処理してディスプレイに表示する」などと限定的に解釈すべきであるとは認められない。そして,端末機において統合処理をするか否かにかかわらず,ホストコンピュータで統合処理が行われていることは,前記認定のとおりである。 そうすると,被告は,本件明細書の記載に基づいて,上記主張をしたにすぎないものといえ,被告の主張に矛盾はないから,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 以上のとおり,原告の主張する取消事由1は理由がなく,審決の本件訂正の適否についての判断に誤りはない。 3 取消事由2(審決の説示の誤り)について (1) 原告は,審決は,単に「表示する座席表示情報」とは,座席表示情報が表示するものであることを意味していることが理解できると認定しているが,これでは,何に基づいて表示する座席表示情報なのかが不明になってしまい,「座席表示情報」の本来の具体的な意味が分からないものになってしまう旨主張する。 しかし,「表示」には,入力された情報を異なる情報に処理や加工することまでは含まれないと解されるから,表示する情報と基づく情報は同一であると解するのが相当である。そして,本件特許発明の「表示する座席表示情報」との記載を参酌すると,「座席表示情報」が表示する情報であるとともに,基づく情報であることが明らかであるから,何に基づいて表示する座席表示情報なのかが不明になるということはない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (2) 原告は,審決が,「また,請求項1及び請求項2の「前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段 (2) 原告は,審決が,「また,請求項1及び請求項2の「前記券情報と前記発券情報とに基づき,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する作成手段」との記載は,「前記券情報と前記発券情報とに基づき」と「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」とは「かつ」で接続されて,並列的に記載されているのであるから,「基づき」,「基づいて」はいずれも「作成する」に係ると解するのが,2つ以上の文言を並列的に接続する接続詞である「かつ」を含む文章の通常の解釈である。」とした点について,「かつ」は,「前記券情報と前記発券情報とに基づき」かつ(and)「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する」座席表示情報を作成する,というように,すなわち,「前記券情報と前記発券情報とに基づき」というだけではなく,かつ(and)「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」という意味で使われるだけのものであって,ここでは,何に基づくのか,その基づくものの数が増すことを意味する以外の何物でもないから,特許請求の範囲の請求項1及び2に記載の文面の解釈は,「前記券情報と前記発券情報とに基づき」かつ(and)「前記座席管理地に設置される指 定座席のレイアウトに基づいて表示する座席表示情報を作成する」と全く同じ解釈となり,審決の上記文面の解釈に係る説示は誤りである旨主張する。 しかし,「前記券情報と前記発券情報に基づき」と「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」とは「かつ」という語句で接続されていて並列的記載になっており,上記記載は,「・・・に基づき,かつ,・・・に基づいて・・・を作成する」と解釈するのが自然な文言解 れる指定座席のレイアウトに基づいて」とは「かつ」という語句で接続されていて並列的記載になっており,上記記載は,「・・・に基づき,かつ,・・・に基づいて・・・を作成する」と解釈するのが自然な文言解釈であるといえ,この解釈は,本件明細書の記載とも整合するものであると認められる。 これに対し,原告の上記主張は,「・・・とに基づき」は「座席表示情報を作成する」を修飾し,「・・・に基づいて」は「表示する」を修飾するというように,「かつ」で結ばれた前後の文章がそれぞれ異なる語句を修飾するとの解釈に基づいており,このような解釈は,「かつ」という文言の一般的な解釈とはいえないし,原告が主張するような解釈をすべき合理的な理由もない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 原告は,本件明細書の【請求項1】,【請求項2】,段落【0005】,【0006】,【0010】,【0020】等の記載に鑑みると,段落【0016】は「座席表示情報」の前に付くべき「表示する」なる文言が抜けている,すなわち,単なる記載漏れと解すべきであって,特段の意味を持つものではないから,審決の段落【0016】の文面の解釈に係る説示は誤りである旨主張する。 しかし,本件明細書の段落【0010】等の記載からみても,「該入力手段によって入力された前記券情報と前記発券情報とに基づき」及び「前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて」は「作成して」を修飾していると解釈するのが相当であり,この解釈が段落【0016】の記載とも整合することは前記認定のとおりである。 したがって,本件明細書の段落【0010】等の記載を考慮したとしても,上記段落【0016】の記載は「表示する」という文言の単なる記載漏れであると解することはできないから,原告の上記主張は採 る。 したがって,本件明細書の段落【0010】等の記載を考慮したとしても,上記段落【0016】の記載は「表示する」という文言の単なる記載漏れであると解することはできないから,原告の上記主張は採用することができない。 (4) 原告は,審決の認定判断は,本件特許発明の技術的範囲を本件明細書の段落【0016】に記載された実施例に限定して誤って解釈し説示するものであるから,特許法70条1項に違反するものである旨主張する。 しかし,特許発明の技術的範囲の確定に際しては,願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の記載を考慮して,特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈すべきである(特許法70条2項)ところ,本件明細書の発明の詳細な説明の記載を考慮すれば,本件特許発明の「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報であると理解することができ,このことは,本件明細書に接した当業者にとっても自明のことであるといえる。 審決は,本件特許発明の「座席表示情報」という語の技術的意義を解釈する上で,本件明細書の記載を参酌して上記のとおり認定したものであり,特許発明の技術的範囲を特許請求の範囲の記載から乖離し,明細書に開示された実施例に限定して解釈したものではないから,審決が,特許請求の範囲の記載に基づかずに特許発明の技術的範囲の認定を行うものでないことは明らかである。 したがって,原告の上 乖離し,明細書に開示された実施例に限定して解釈したものではないから,審決が,特許請求の範囲の記載に基づかずに特許発明の技術的範囲の認定を行うものでないことは明らかである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (5) 原告は,各座席についてそれぞれの座席の「券情報」と「発券情報」などの情報を座席番号順に並べるなどして「座席表示情報」を作成するためには,各座席について,指定座席のレイアウトを手掛かりにして(使って),個々の座席の「発券情報」と「発売情報」を突き合わせ,それぞれの座席の状況によって作成する必要があり,この場合,指定座席のレイアウトを知らなければ(使わなければ)できないのであるから,ホストコンピュータで作成される本件特許発明の「座席表示情報」は,「券情報」と「発券情報」だけでなく,かつ(and),指定座席のレイアウトに基 づいて,各座席についてそれぞれの座席の「券情報」と「発売情報」を突き合わせて,それぞれの座席の状況によって,それらの情報を座席番号順に並べるなどして作成するところ,ホストコンピュータが「座席表示情報」を作成する作成手段において使用されるプログラムには,上記指定座席のレイアウトは必要不可欠な情報として使用されるものではあるものの,本件特許発明にはそのようなプログラムは示されていないのであるから,前記作成手段によって作成される「座席表示情報」は,特許請求の範囲に記載のとおりの,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ(and),座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて表示する(表示するための)「座席表示情報」であればどのような形式・形態等(データフォーマット)のものでもあってもよい旨主張する。 原告の上記主張は,「座席表示情報」を作成するためには,「券情報」,「発 (表示するための)「座席表示情報」であればどのような形式・形態等(データフォーマット)のものでもあってもよい旨主張する。 原告の上記主張は,「座席表示情報」を作成するためには,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」の三つの情報が必要不可欠な情報であることを前提としたものであると解されるから,その限りで,審決の認定に沿うものであるといえる。 しかし,本件特許発明が座席管理システムの発明であって,座席表示情報を作成するプログラムの発明ではないからといって,「座席表示情報」の作成に必要不可欠な情報の一つである「指定座席のレイアウト」が不要になるというものではない。さらに,本件明細書の段落【0010】の記載などを参酌すると,本件特許明細書に開示された実施例では,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」に基づき,「1」(使用席)又は「0」(空席)からなる「座席表示情報」を作成しており,審決の「座席表示情報」の技術的意義の認定(ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を一つの情報に統合すること)が本件明細書の記載に裏付けられていることも前記認定のとおりである。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 4 取消事由3(その他の取消事由) (1) 原告は,審決の請求項1及び2の文面の解釈の誤り,それを正当化するための説示の誤りの全ては,別件訴訟の裁判官がした誤った文面解釈とそれを正当化するための誤った説示をそのまま使ってされたものであることは明らかであり,しかも,審決の説示は,本件拒絶理由通知の際にはなかったものであり,その誤った説示について原告が意見する機会が与えられないままにされたのであって,原告 のまま使ってされたものであることは明らかであり,しかも,審決の説示は,本件拒絶理由通知の際にはなかったものであり,その誤った説示について原告が意見する機会が与えられないままにされたのであって,原告の対処不能な状態でされたものである旨主張する。 しかし,本件拒絶理由通知書(甲14)には,「本件明細書の特許請求の範囲の記載(上記(ア)を参照。)及び発明の詳細な説明の記載(特に,上記(イ)~(カ)を参照。)をふまえ,「座席表示情報」の意味について検討する。まず,請求項1には,「座席表示情報」に関し,・・・が記載されている。・・・さらに,発明の詳細な説明には,・・・その課題を解決するための具体的な情報処理の態様として,・・・「【0016】これ等のことから,本発明の座席管理システムは,カードリーダ(改札機等)で読取られた座席指定券の券情報或いは券売機等で発券された座席指定券の発券情報等を管理する管理センターに備えられるホストコンピュータ1が,前記券情報と前記発券情報,それに,ホストコンピュータ1と通信回線で結ばれて,指定座席を設置管理する座席管理地に備えられる端末機2からの,当該座席管理地で発券された座席指定券の発券情報等を受けて,これ等の情報に基づいて,かつ,前記座席管理地に設置される指定座席のレイアウトに基づいて座席表示情報を作成」(上記記載事項(オ)参照。)することが記載され,・・・これらの記載を総合して本件特許発明1及び2における「座席表示情報」の意味を検討すると,「座席表示情報」とは,ホストコンピュータにおいて,「券情報」と「発券情報」とに基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情 に基づき,かつ,「指定座席のレイアウト」に基づいて作成手段により作成される情報であって,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報と認めることができる。」との記載 があり,訂正前の本件特許発明における「座席表示情報」は,ホストコンピュータにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」という三つの情報が統合された一つの情報であり,これを端末機に送信すれば,格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報であること,このように解釈する際に本件明細書の段落【0016】等の記載が考慮されたことが本件拒絶理由通知書に示されていることが認められる。 そうすると,本件拒絶理由通知書の記載と審決の記載は,実質的に同じ趣旨のことをいうものと解することができる。両者の理由に,形式的な用語上の差異があるとしても,改めて拒絶理由が通知されなかったことをもって,特許法159条2項において準用する特許法50条の規定等に違反する違法があったということはできない。 また,前記特許庁における手続の経緯等によれば,原告は,本件拒絶理由を通知された後,平成27年12月4日付けで本件拒絶理由通知書に対する意見書を提出していることが認められるところ,本件拒絶理由通知に記載のない主な部分(「・・・基づき」及び「・・・基づいて」の具体的な修飾先が「作成する」である点や発明の詳細な説明の段落【0013】に関する点)については,いずれも,本件拒絶理由通知に応答して原告が提出した上記意見書において,原告が自ら主張した事項であり,これを踏まえ が「作成する」である点や発明の詳細な説明の段落【0013】に関する点)については,いずれも,本件拒絶理由通知に応答して原告が提出した上記意見書において,原告が自ら主張した事項であり,これを踏まえて審決が判断したものであるから,原告にとって主張の機会がなかったとは認められない。 以上の審判の経緯等に照らすと,審判の手続に違法があるとはいえず,原告の上記主張は,審判手続の適法性や審決の内容に影響を及ぼすものではないと認められる。 (2) 原告は,審決は,その誤った事実認定を正当化し,本件特許発明をないものにしようとする策略によるものであることは明らかで,絶対あってはならない,絶対許されない犯罪行為であるという他はなく,少なくとも,そこにある所為は,刑法156条(虚偽公文書作成罪)に該当するという他はないのであるなどと主張す る。 しかし,審決の事実認定に誤りはないことは前記認定のとおりであるから,原告の上記主張はその前提を欠くものである。原告は,その他縷々主張するが,いずれも審判手続の適法性や審決の内容に影響を及ぼすものではない。 したがって,審決に違法があるということはできないから,原告の主張は採用することができない。 5 なお,原告は,本件口頭弁論終結後に,平成28年9月23日付け口頭弁論再開申立書を提出し,原告の平成28年6月20日付け第1準備書面に対する被告の反論を求めるために,口頭弁論の再開の申立てをした。しかし,上記口頭弁論再開申立書における主張を改めて十分検討しても,被告にさらに反論を求めなければ手続的正義の要求に反するということもできず,本件訴訟の審理における必要性がないから,本件の口頭弁論を再開する必要はない。 また,原告は,本件口頭弁論終結後に,平成28年9月23日付け文書提出命令の申立て の要求に反するということもできず,本件訴訟の審理における必要性がないから,本件の口頭弁論を再開する必要はない。 また,原告は,本件口頭弁論終結後に,平成28年9月23日付け文書提出命令の申立て(平成28年(行タ)第10021号,同第10022号)をしているが,いずれも本件訴訟の審理における必要性がなく,口頭弁論を再開する必要はないものである。 第6 結論以上のとおり,原告の主張する取消事由はいずれも理由がなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官設樂一 裁判官中島基至 裁判官岡田慎吾
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