- 1 -平成27年7月16日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(行ケ)第10047号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成27年5月12日判決 原告シーピーエス・テクノロジーズ・コーポレーション 訴訟代理人弁護士城山康文同岡浩喜訴訟代理人弁理士小野誠同重森一輝 被告電気化学工業株式会社 訴訟代理人弁護士長沢幸男同笹本摂訴訟代理人弁理士八木澤史彦同北村明弘同備後元晴 主文 1 特許庁が無効2012-800204号事件について平成25年12月24日にした審決のうち,特許第3468358号の請求項1,7ないし11に係る部分を取り消す。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被- 2 -告の負担とする。 4 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2012-800204号事件について平成25年1 4 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2012-800204号事件について平成25年12月24日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(1) 被告は,発明の名称を「炭化珪素質複合体及びその製造方法とそれを用いた放熱部品」とする特許第3468358号(平成11年10月6日特許出願。国内優先権主張日:平成10年11月12日,同年12月18日。平成15年9月5日設定登録。請求項の数11。以下「本件特許」という。)の特許権者である(甲18)。 (2) 原告は,平成24年12月12日,特許庁に対し,本件特許の請求項1ないし11に係る発明についての特許を無効にすることを求めて審判請求をした。 特許庁は,これを無効2012-800204号事件として審理し,平成25年8月1日付けで無効理由を通知し,原告は,同年9月2日付け訂正請求書により,本願の特許請求の範囲及び明細書の記載の訂正を請求した(請求項数11。甲19の1・2)。 特許庁は,平成25年12月24日,「請求のとおり訂正を認める。本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」といい,本件審決により認められた訂正を「本件訂正」という。)をし,その謄本は,平成26年1月9日,原告に送達された。 (3) 原告は,平成26年2月18日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提- 3 -起した。 2 本件訂正における訂正事項本件訂正における訂正事項は,以下のとおりである(下線部は訂正箇所である。甲19の1)。 (1) 訂正事項1特許請求の範囲の請求項1に「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(C 本件訂正における訂正事項は,以下のとおりである(下線部は訂正箇所である。甲19の1)。 (1) 訂正事項1特許請求の範囲の請求項1に「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」とあるのを,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」に訂正する。 (2) 訂正事項2段落【0012】において,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」とあるのを,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」に訂正する。 (3) 訂正事項3段落【0057】の表2に関し,「金属層の平均厚み(mm)」を「金属層の平均厚み(μm)」に訂正する。 (4) 訂正事項4- 4 -段落【0062】において,「表1」とあるのを,「表4」に訂正する。 (5) 訂正事項5段落【0072】において,「〔実施例24~31,比較例3~6〕」とあるのを,「〔実施例24~26,28,30,31,参考例27,2 」とあるのを,「表4」に訂正する。 (5) 訂正事項5段落【0072】において,「〔実施例24~31,比較例3~6〕」とあるのを,「〔実施例24~26,28,30,31,参考例27,29,比較例3~6〕」に訂正する。 (6) 訂正事項6段落【0075】の表9に関し,「実施例27」及び「実施例29」を,それぞれ「参考例27」及び「参考例29」に訂正する。 (7) 訂正事項7段落【0077】において,「比較例29」とあるのを「参考例29」に訂正する。 3 特許請求の範囲の記載本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし11の記載は,次のとおりである(下線部は訂正箇所である。甲19の1・2)。以下,本件訂正後の本件特許に係る発明を本件訂正後の請求項の番号に従って「本件訂正発明1」などといい,併せて「本件訂正発明」という。また,本件訂正後の明細書(甲18,甲19の2)を,図面を含めて「本件明細書」という。 【請求項1】多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)ことを特徴とする炭化珪素質複合体。 【請求項2】- 5 -多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,複合体の表裏両面が 化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,複合体の表裏両面が平均厚さ10~150μmのアルミニウムを主成分とする金属層で覆われており,しかも表裏の金属層の平均厚みの差が140μm以下であり,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有することを特徴とする炭化珪素質複合体。 【請求項3】多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,板状複合体が複合体部分(A)と複合体の少なくとも片面に設けられたアルミニウムを主成分とする金属層(B)とからなり,複合体部分(A)の厚さの平均値(TA;μm)と金属層(B)の両面の厚さの平均値との合計(TB;μm)の比(TA/TB)が5~30であり,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有することを特徴とする炭化珪素質複合体。 【請求項4】複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50~250μmであり,しかも前記金属層(B)の表面側の厚さの平均値(TB1;μm)と裏面側の厚さの平均値(TB2;μm)との差の絶対値(|TB1-TB2|)と,複合体の最大長(L;cm)との積が500以上2500以下であることを特徴とする請求項3記載の炭化珪素質複合体。 【請求項5】多孔質炭化珪素成形体の少なくとも一主面に段差を設けることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の炭化珪素質複合体。 【請求項6】- 6 -枠内に2つの多孔質炭化珪素成形体を積 求項5】多孔質炭化珪素成形体の少なくとも一主面に段差を設けることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の炭化珪素質複合体。 【請求項6】- 6 -枠内に2つの多孔質炭化珪素成形体を積層して配置した後,前記枠に鉄板を配置しボルト,ナットで固定してブロックとし,前記ブロックにアルミニウムを主成分とする金属を含浸することで得られる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,当該炭化珪素質複合体が,多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる,2つの板状複合体(C,D)と,アルミニウムを主成分とする金属層(E)とがECEDEの構造で積層してなる複合体であって,板状複合体(C),(D)の炭素含有量の差が0.5~2.5重量%であり,複合体の主面の長さ10cmに対する反り量が50~250μmであることを特徴とする炭化珪素質複合体。 【請求項7】請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5又は請求項6記載の炭化珪素質複合体の製造方法であって,炭化珪素質複合体を温度350℃以上で応力を加えて塑性変形させることにより,反り付けを行うことを特徴とする炭化珪素質複合体の製造方法。 【請求項8】室温(25℃)から150℃に加熱した際の平均熱膨張係数が9×10-6/K以下であり,室温(25℃)の熱伝導率が150W/mK以上であることを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5又は請求項6記載の炭化珪素質複合体。 【請求項9】請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5又は請求項6記載の板状の炭化珪素質複合体に半導体搭載用セラミックス基板を接合してなることを特徴とする放熱部品。 【請求項10】セラミックス基板 請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5又は請求項6記載の板状の炭化珪素質複合体に半導体搭載用セラミックス基板を接合してなることを特徴とする放熱部品。 【請求項10】セラミックス基板が窒化アルミニウム及び/又は窒化珪素であることを特徴- 7 -とする請求項9記載の放熱部品。 【請求項11】セラミックス基板を接合していない面を,放熱グリースを介して,平面板装着する際に,締め付けトルクが2N以上の条件において,前記面の90%以上が密着することを特徴とする請求項9又は請求項10記載の放熱部品。 4 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,①訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を,訂正事項2及び5ないし7は明瞭でない記載の釈明を,訂正事項3及び4は誤記の訂正を,それぞれ目的とするものであり,いずれも特許法134条の2第1項ただし書きの規定する事項を目的とするものに該当し,かつ,いずれも本件特許の出願の際願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,一群の請求項の全てについて行うものであるから,同条9項の準用する同法126条4項ないし6項に適合するものであるから,本件訂正を認め,②本件訂正発明における「長さ10cmに対する反り量」とは,「凸面さえ有していれば,その裏面(反対面)が凹面であるか否かを問わない板状の炭化珪素質複合体において,当該凸面の程度を表す最大反り量であって,本件訂正発明1のようにX方向及びY方向(X方向は穴間距離の長い方向で,Y方向は該複合体表面においてX方向と垂直な方向である。)の反り量を特定した場合を除き,その中心線を通過する対角線において中央部と左右方向の端部との高さの差 びY方向(X方向は穴間距離の長い方向で,Y方向は該複合体表面においてX方向と垂直な方向である。)の反り量を特定した場合を除き,その中心線を通過する対角線において中央部と左右方向の端部との高さの差を計測し,その計測値の大きい方の数値を,必要に応じて長さ10cm当たりに比例配分を採用して換算したもの」ということができるとした上で,③本件訂正発明1ないし3が下記刊行物1に記載された発明であるとも,本件訂正発明が下記刊行物1に記載された発明及び刊行物2ないし8に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえず,④本件訂正- 8 -発明は,下記刊行物4に記載された発明及び下記刊行物1ないし3及び5ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず,⑤本件訂正発明は,下記刊行物8に記載された発明及び下記刊行物1ないし7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず,⑥ⅰ)本件明細書に記載された反り量の付与の方法を適宜採用することにより,本件訂正発明の反り量を得られることは明らかである,ⅱ)「長さ10cmに対する反り量」は,当業者であれば技術常識を加味すれば上記②のとおり理解することができる,ⅲ)「穴間方向」については,本件明細書の段落【0031】の記載及び【図9】によれば,本件訂正発明1で特定されているX方向及びY方向の違いは明らかであり,平面視が正方形の場合には,いずれの方向をX方向及びY方向としてもよいことも明らかであるとして,本件訂正発明に係る特許は,平成14年法律第24号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)36条4項,特許法36条6項1号及び同項2号の規定に違反して特許されたものであるとはいえないから,本 正発明に係る特許は,平成14年法律第24号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)36条4項,特許法36条6項1号及び同項2号の規定に違反して特許されたものであるとはいえないから,本件訂正発明に係る特許は,請求人(原告)の主張する無効理由によっては無効とすることができない,などというものである。 なお,本件特許については,その出願時に国内優先権主張がされているが,優先権の効果が生じず,特許法29条の適用については,本件特許の出願日である平成11年10月6日が基準日となることにつき,当事者間に争いがない。 記ア刊行物1:特開平11-130568号公報(甲1。平成11年5月18日公開)イ刊行物2:特開平6-315925号公報(甲2)ウ刊行物3:特開平7-183436号公報(甲3)- 9 -エ刊行物4:特開平11-157964号公報(甲4。平成11年6月15日公開)オ刊行物5:特開平10-65075号公報(甲5)カ刊行物6:特開平8-204071号公報(甲6)キ刊行物7:MarkOcchionero, RichardAdams, andKevinFennessy,"ANEWSUBSTATEFORELECTRONICSPACKAGING: ALUMINUM-SILICONCARBIDE (AlSiC) COMPOSITES," ProceedingsoftheForthAnnualPortablebyDesignConference,ElectronicsDesign, March 24-27, 1997 pp 398-403(甲7)ク刊行物8:ThomasSchütze, HermannBe Conference,ElectronicsDesign, March 24-27, 1997 pp 398-403(甲7)ク刊行物8:ThomasSchütze, HermannBerg, MartinHierholzer,"FurtherImprovementsintheReliabilityofIGBTModules,"IndustryApplicationsConference,1988,Thirty-ThirdIASAnnualMeeting, 12-15 Oct 1998(甲8)(2) 刊行物1に記載された発明等本件審決が認定した刊行物1に記載された発明(以下「甲1発明」という。)並びに本件訂正発明と甲1発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア甲1発明の内容「炭化珪素からなる多孔質セラミックス構造体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる複合体であって,該複合体表面全体に前記金属の層を設けてなる複合体」イ本件訂正発明1との対比(ア) 一致点「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体」である点(イ) 相違点- 10 -(相違点1)本件訂正発明1は,「板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し」ているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点(相違点2)本件訂正発明1は,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy 方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」ものであるのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点ウ本件訂正発明2との対比(ア) 一致点「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,複合体の表裏両面がアルミニウムを主成分とする金属層で覆われている炭化珪素質複合体」である点(イ) 相違点(相違点3)本件訂正発明2は,「板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し」ているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点(相違点4)複合体の表裏面を覆う金属層につき,本件訂正発明2は,「平均厚さ10~150μmで,しかも表裏の金属層の平均厚みの差が140μm以下であ」るのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点(相違点5)本件訂正発明2は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量- 11 -が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点エ本件訂正発明3との対比本件訂正発明3は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明3と甲1発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点5において相違する。 オ本件訂正発明4との対比本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が 正発明3と甲1発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点5において相違する。 オ本件訂正発明4との対比本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明4と甲1発明とは,少なくとも,以下の点で相違する。 (相違点)本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点カ本件訂正発明5との対比本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲1発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点5において相違する。 本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲1発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 キ本件訂正発明6との対比本件訂正発明6は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明6と甲1発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 - 12 -ク本件訂正発明7ないし11との対比本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明とは,少なくとも,前記イ(イ)記載の相違点1及び2において相違する。 本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明とは,少なくとも前記ウ(イ)記載の相違点3ないし5において相違する。 本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の 1発明とは,少なくとも前記ウ(イ)記載の相違点3ないし5において相違する。 本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点5において相違する。 本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 (3) 刊行物4に記載された発明等本件審決が認定した刊行物4に記載された発明(以下「甲4発明」という。)並びに本件訂正発明と甲4発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア甲4発明「炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,室温(25℃)から300℃に加熱した際の反り量が,当該反りが最大となる方向の長さ1mmに対して,5μm以下であり,熱伝導率が150W/(m・K)以上であり,室温の熱膨張率が1×10-5K-1 以下である板状複合体」イ本件訂正発明1との対比(ア) 一致点「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸し- 13 -てなる板状複合体である炭化珪素質複合体」である点(イ) 相違点(相違点6)本件訂正発明1は,「板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し」ているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点(相違点7)本件訂正発明1は,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反 ジ止めするための4個以上の穴部を有し」ているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点(相違点7)本件訂正発明1は,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」であるのに対し,甲4発明は,「室温(25℃)から300℃に加熱した際の反り量が,当該反りが最大となる方向の長さ1mmに対して,5μm以下であ」る点ウ本件訂正発明2との対比(ア) 一致点「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,複合体の表裏両面がアルミニウムを主成分とする金属層で覆われている炭化珪素質複合体」である点(イ) 相違点(相違点8)本件訂正発明2は,「板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し」ているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点(相違点9)複合体の表裏面を覆う金属層につき,本件訂正発明2は,「平均厚さ- 14 -10~150μmで,しかも表裏の金属層の平均厚みの差が140μm以下であ」るのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点(相違点10)本件訂正発明2は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点エ本件訂正発明3との対比本件訂正発明3は,「複合体の主面の長さ10cmに対して 30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点エ本件訂正発明3との対比本件訂正発明3は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明3と甲4発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点10において相違する。 オ本件訂正発明4との対比本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明4と甲4発明とは,少なくとも,以下の点で相違する。 (相違点)本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲4発明はかかる事項を有していない点カ本件訂正発明5との対比本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲4発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点10において相違する。 本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲4発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 キ本件訂正発明6との対比- 15 -本件訂正発明6は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明6と甲4発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 ク本件訂正発明7ないし11との対比本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明とは,少なくとも,前記イ(イ ,前記オ記載の相違点において相違する。 ク本件訂正発明7ないし11との対比本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明とは,少なくとも,前記イ(イ)記載の相違点6及び7において相違する。 本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明とは,少なくとも前記ウ(イ)記載の相違点8ないし10において相違する。 本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点10において相違する。 本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 (4) 刊行物8に記載された発明等本件審決が認定した刊行物8に記載された発明(以下「甲8発明」という。)並びに本件訂正発明と甲8発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア甲8発明「金属マトリックス複合体(MMC)の材料であるAl/SiC の上面が平坦で下面が凸面のベースプレート」イ本件訂正発明1との対比(ア) 一致点- 16 -「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体」である点(イ) 相違点(相違点11)本件訂正発明1は,「板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し」ているのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点(相違点12)本件訂 正発明1は,「板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し」ているのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点(相違点12)本件訂正発明1は,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」ものであるのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点ウ本件訂正発明2との対比(ア) 一致点「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,複合体の表裏両面がアルミニウムを主成分とする金属層で覆われている炭化珪素質複合体」である点(イ) 相違点(相違点13)本件訂正発明2は,「板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し」ているのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点(相違点14)複合体の表裏面を覆う金属層につき,本件訂正発明2は,「平均厚さ10~150μmで,しかも表裏の金属層の平均厚みの差が140μm- 17 -以下であ」るのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点(相違点15)本件訂正発明2は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点エ本件訂正発明3との対比本件訂正発明3は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発 エ本件訂正発明3との対比本件訂正発明3は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明3と甲8発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点15において相違する。 オ本件訂正発明4との対比本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明4と甲8発明とは,少なくとも,以下の点で相違する。 (相違点)本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲8発明はかかる事項を有していない点カ本件訂正発明5との対比本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲8発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点15において相違する。 本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲8発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 キ本件訂正発明6との対比本件訂正発明6は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が- 18 -50μm以上250μm以下の反りを有する」という発明特定事項を有しているから,本件訂正発明6と甲8発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 ク本件訂正発明7ないし11との対比本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明とは,少なくとも,前記イ(イ)記載の相違点11及び12において相違する。 本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発 正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明とは,少なくとも,前記イ(イ)記載の相違点11及び12において相違する。 本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明とは,少なくとも前記ウ(イ)記載の相違点13ないし15において相違する。 本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明とは,少なくとも,前記ウ(イ)記載の相違点15において相違する。 本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明とは,少なくとも,前記オ記載の相違点において相違する。 5 取消事由(1) 本件訂正における訂正事項1及び2に係る許否判断の誤り(取消事由1)(2) 記載要件に係る判断の誤り(取消事由2)(3) 刊行物1(甲1)に基づく進歩性判断の誤り(取消事由3)(4) 刊行物4(甲4)に基づく進歩性判断の誤り(取消事由4)(5) 刊行物8(甲8)に基づく進歩性判断の誤り(取消事由5)第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件訂正における訂正事項1及び2に係る許否判断の誤り)について〔原告の主張〕- 19 -(1) 本件審決は,訂正事項1につき,Cx及びCyの取り得る範囲について,|Cx|≧|Cy|であると限定するものであるから,特許法134条の2第1項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する旨判断した。 確かに,X方向及びY方向が当初から明確に定まっているのであれば,|Cx|≧|Cy|との条件が付加されることによって,そ 規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する旨判断した。 確かに,X方向及びY方向が当初から明確に定まっているのであれば,|Cx|≧|Cy|との条件が付加されることによって,そうでない場合が発明の技術的範囲から外れることになり,特許請求の範囲は減縮される。 しかしながら,取消事由2で述べるように,本件訂正発明において,X方向及びY方向は明確ではない。 被告は,訂正事項1について,「反り量の大きい方向がX方向で,反り量の小さい方向がY方向であること」を明示したものであると主張するが(甲19の1),かかる主張は,X方向及びY方向は当初から定まっているものではなく,実際に作成した複合体において得られた「反り量」の結果から,事後的にそれが大きい方向がX方向であると定義されること(完成品において反り量を測定しない限りいずれの方向がX方向であるか分からないこと)を意味している。 被告の上記主張を前提とすれば,訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的としていないことになる。 (2) 本件審決は,「反り量の大きさは絶対値で比較されることは,技術常識に照らし明らかである。」,「段落【0032】には,「Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」との記載がされており,この記載から,|Cx|>|Cy|であることが導かれる。」などとする。 しかしながら,本件訂正発明の特徴は,凸面側で放熱フィンと接触良くネジ止めされ,凹面側でセラミックス基板と接触良く半田付けされるように,放熱部品を所定の程度反らせるというものである。いずれの方向に反らせる- 20 -かによって,凸形状や凹形状の形が定まるのであり,その形状のいかんによって,本件訂正発明の作用効果を奏するか否かが決定される。すなわち,本件訂正 うものである。いずれの方向に反らせる- 20 -かによって,凸形状や凹形状の形が定まるのであり,その形状のいかんによって,本件訂正発明の作用効果を奏するか否かが決定される。すなわち,本件訂正発明において,反りの向きは発明を特徴付ける凹凸形状の形成にとって極めて重要な指標であり,これを捨象して大小を比較するのが当然ということはできない。 単に「Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」という記載だけからは,両方の反り量を絶対値とせず(すなわちマイナスはマイナスのまま)大小を比較することも十分に考えられるが,本件明細書には他に絶対値で比較すべきことを示唆する記載は存在しない。 したがって,X方向の反り量とY方向の反り量とをその絶対値で比較するという思想,すなわち|Cx|≧|Cy|との構成要件を特許請求の範囲に付加することは,願書に添付した明細書に記載のない新規事項を導入するものであるというべきである。 (3) 被告は,訂正事項1について「反り量の大きい方向がX方向で,反り量の小さい方向がY方向であること」を明示したものである旨主張する(甲19の1)。 被告の上記主張は,被告が従前主張していたネジ穴の数によって各方向が定められる,すなわち「Y方向は,X方向の穴と同数以上の穴が並ぶ方向に相当する」(甲25)という説明と整合しない。例えば,ネジ穴の少ない方向(被告の上記主張によればX方向)の反り量が100μmであり,他方(同主張によればY方向)が250μmである板状複合体の場合を考えると,被告の従来の説明では,Cx=100,Cy=250となるから,Cyの数値は請求項に規定される範囲の上限を超えるため当該板状複合体は請求項1には含まれない。しかしながら,被告の訂正請求における上記主張による場 の説明では,Cx=100,Cy=250となるから,Cyの数値は請求項に規定される範囲の上限を超えるため当該板状複合体は請求項1には含まれない。しかしながら,被告の訂正請求における上記主張による場合,すなわち反り量の大きいほうがX方向と規定する場合には,Cx=250,Cy=100と入れ替わることとなり,両方向の反り量とも請求項1の- 21 -数値範囲を満たし,かつ|Cx|≧|Cy|の関係性も満たすから,訂正後の請求項1に含まれることになってしまう。 以上のとおり,訂正事項1は,被告の主張によれば,形式上は構成要件を付加することによってあたかも特許請求の範囲の減縮のような態様をとりながら,実質的には,訂正前は含まれなかった反り量の範囲を有する板状複合体をも含むように請求項1の範囲を拡張するものである。 (4) 以上のとおり,訂正事項1は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当せず,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内のものではなく,又は,実質上特許請求の範囲を拡張するものであって,特許法134条の21項,同条9項で準用する126条5項,同条6項の規定に違反してされたものであるから,本件審決が訂正事項1及び2に係る訂正を認めたのは誤りである。 〔被告の主張〕(1) 訂正事項1が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることア訂正事項1は,Cx及びCyの取り得る範囲について,|Cx|≧|Cy|であると限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ原告の主張について原告は,訂正事項1についての被告の主張を,「X方向及びY方向は当初から定まっているものではなく,実際に作成した複合体において得られた「反り量」の結果から,事後的にそれが大きい方向がX方向である 原告は,訂正事項1についての被告の主張を,「X方向及びY方向は当初から定まっているものではなく,実際に作成した複合体において得られた「反り量」の結果から,事後的にそれが大きい方向がX方向であると定義されること」を意味するものであるととらえた上で,これを前提とすれば,訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的としていないことになるなどと主張する。 しかしながら,本件訂正発明1は,物の発明であり,「当初から」とか「事後的に」という経時的要素は構成要件に含まれていないから,原告の- 22 -上記主張は,特許請求の範囲の記載に基づかないものであり,かつ,被告の主張を曲解するものであって,失当である。 また,本件訂正発明1において,X方向及びY方向(「穴間方向」)は,取消事由2で述べるように明確である。 (2) 訂正事項1は願書に添付した明細書に新規事項を導入するものではないことア反り量の大きさは絶対値で比較されるが,願書に添付された明細書の段落【0032】には,「Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」との記載がある。 この記載から|Cx|>|Cy|であることが導かれる。 そして,段落【0075】の表9の実施例28には,Cx=Cyの例が記載されている。 したがって,願書に添付された明細書には,Cx及びCyの取り得る範囲について,|Cx|≧|Cy|であることが記載されていることは明らかである。 イ原告の主張について原告は,本件訂正発明において,反りの向きは発明を特徴付ける凹凸形状の形成にとって極めて重要な指標であり,これを捨象して大小を比較するのが当然ということはできないなどと主張する。 しかしながら,本件訂正発明1の構成要件には, ,反りの向きは発明を特徴付ける凹凸形状の形成にとって極めて重要な指標であり,これを捨象して大小を比較するのが当然ということはできないなどと主張する。 しかしながら,本件訂正発明1の構成要件には,「凸面」のみが存在し,「凹面側」は存在しないから,「凹面側」に本件訂正発明1の特徴があるかのような原告の主張は,特許請求の範囲の記載に反するものであり,失当である。 また,原告は,本件明細書には絶対値で比較すべきことを示唆する記載は存在しない旨主張する。 しかしながら,「反り量」は,実在の物理量であり,本件明細書の段落- 23 -【0032】には,CxやCyについて,プラスマイナスの符号を考慮する旨の示唆はないから,本件明細書の「Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)よりも小さい方が好ましい。」という記載(段落【0032】)に接した当業者は,通常の技術用語の意義に従って,CxとCyが同じ反りの方向であっても,逆の反りの方向であっても,「反り量」の大小は,反りの大きさ,すなわち,絶対値で対比すると理解する。 なお,本件訂正発明1の特許請求の範囲の記載においては,Cxはプラス(+)の数値範囲で規定され,Cyはマイナス(-)とプラス(+)の数値範囲で規定されているが,これは,Y方向の反りの方向が,X方向の反りの方向とは逆の場合もあることから,符号を記載したものである。 以上によれば,原告の上記主張も失当である。 (3) 訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張するものではないことア本件訂正前の特許請求の範囲(請求項1)は,CxとCyの大きさについて,「50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」と規定していたから,特許請求の範囲の記載だけを見ると,CxがCy 特許請求の範囲(請求項1)は,CxとCyの大きさについて,「50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」と規定していたから,特許請求の範囲の記載だけを見ると,CxがCyよりも小さい場合も含み得る。 これに対し,本件訂正により|Cx|≧|Cy|という構成要件が付加されたから,CxがCyよりも小さい場合は排除される。 したがって,訂正事項1は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 イ原告の主張について原告は,被告の従前の「Y方向は,X方向の穴と同数以上の穴が並ぶ方向に相当する」との主張(甲25)によれば,「反り量の大きい方向がX方向で,反り量の小さい方向がY方向であること」を明示したものであるとする訂正事項1は,訂正前は含まれなかった反り量の範囲を有する板状複合体をも含むように実質的には請求項1の範囲を拡張するものである旨- 24 -主張する。 しかしながら,「Y方向は,X方向の穴と同数以上の穴が並ぶ方向に相当する」(甲25)という無効審判における被告の主張は,本件明細書の図9の実施例において,そのようなものとしてX方向Y方向が記載されていることを説明したものである。 このような実施例の説明によって,特許請求の範囲が左右されることはないから,原告の主張は失当である。 (4) 以上のとおり,訂正事項1は,特許請求の範囲の減縮を目的として,かつ,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであって,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって,訂正事項1及び2に係る訂正を認めた本件審決の判断に誤りはない。 2 取消事由2(記載要件に係る判断の誤り)について〔原告の主張〕(1) 「反り量」の定義(いずれの面 したがって,訂正事項1及び2に係る訂正を認めた本件審決の判断に誤りはない。 2 取消事由2(記載要件に係る判断の誤り)について〔原告の主張〕(1) 「反り量」の定義(いずれの面についての物理量か)についてア本件審決は,「長さ10cmに対する反り量」とは,「凸面さえ有していれば,その裏面(反対面)が凹面であるか否かを問わない板状の炭化珪素質複合体において,当該凸面の程度を表す最大反り量であって,本件訂正発明1のようにX方向及びY方向(X方向は穴間距離の長い方向で,Y方向は該複合体表面においてX方向と垂直な方向である。)の反り量を特定した場合を除き,その中心線を通過する対角線において中央部と左右方向の端部との高さの差を計測し,その計測値の大きい方の数値を,必要に応じて長さ10cm当たりに比例配分を採用して換算したもの」ということができるとし,これを前提に記載不備がない旨判断した。 しかしながら,以下のとおり,本件審決の上記判断は誤りである。 イ本件審決は,前記アのとおり判断する前提として,「本件訂正発明1な- 25 -いし11において,「反り量」は,炭化珪素質複合体が凸面を形成していることの程度を規定するものであって,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面から好ましい,板状体の中央部が凸部で凸面を形成さえしていれば,その裏面(反対面)が凹面であるか否かは問わないと解釈することが自然である。」とする。 しかしながら,本件明細書の「放熱部品として用いる場合,回路基板と半田付けして用いられるため,複合体の反り量が大きすぎると半田付けが難しくなる。」との記載(段落【0008】),「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が250μmを超えると,本発明の複合体を放熱部品として用いる場合 め,複合体の反り量が大きすぎると半田付けが難しくなる。」との記載(段落【0008】),「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が250μmを超えると,本発明の複合体を放熱部品として用いる場合,回路基板等との接合不良が発生してしまうという問題や,放熱フィン等にネジ止めする際に,過大な曲げ応力が加わり,複合体が破損してしまうという問題が発生する。」旨の記載(段落【0029】,【0037】,【0041】)からすれば,「反り量」は,凸面を作ると同時に反対面が凹状になることを前提に,セラミックス基板側の形状と放熱フィン側の形状の両方を考慮しているものと理解される。 また,本件明細書の実施例のうち,実際の使用状況に近いヒートサイクル実験を行っているのは,実施例35及び36のみであるが,ここで評価されているのはセラミックス基板の回路間に生じるクラックの有無であることも(段落【0079】,【0080】),セラミックス基板側との接合状況は本件訂正発明の作用効果として重要なものであることを示しており,本件訂正発明が,凸面を形成さえしていればその裏面の形状を問わないものであるとはいえない。 したがって,本件訂正発明は,「凸面状の反対側が必然的に凹面状になる板状の炭化系素質複合体」に係る発明であるというべきである。 このことは,本件明細書の実施例に係る表1の「成形体厚み」,表5の「複合体厚さ」,表7の「複合体厚さ」,表9の「厚み」には,いずれも- 26 -1つの数値しか記載されておらず,厚みが均一のものであることが示されていることとも整合し,実施例において,「反り」をつける具体的方法として,いずれも平らな板状のものとして作成された複合体を変形加工に供することにより湾曲させることが示されていること(段落【0035】,【0038】,【0042】 おいて,「反り」をつける具体的方法として,いずれも平らな板状のものとして作成された複合体を変形加工に供することにより湾曲させることが示されていること(段落【0035】,【0038】,【0042】,【0049】,表1,【0064】,表5,【0068】,表7,【0073】,表9,【0077】,図10等)とも整合する。 以上によれば,本件訂正発明の「反り」量は,「板状」の複合体の厚みが均一であるために,湾曲させて凸面を設ければ凹面が必然的に生じることを前提として,凸面の放熱フィンへの密着と凹面のセラミックス基板への密着とを両立させることのできるものとして特定されたものであると解される。 ウ前記イ記載のとおり,反りの程度は,板状の放熱部品のいずれの面においても技術上の意義を有するのであるから,それがいずれかの面における反りの程度であると断じることはできない。 「反り量」がいずれの面における反りの程度を規定したものであるか本件明細書の記載からは判然としないのであり,「反り量」が炭化珪素質複合体のうちどの部分を測定したものなのか特定されておらず,不明確である。 また,板状の複合体に反りを設ける場合,すなわち厚さが一定のまま板が曲がることによって凸表面と凹表面が生じる場合には,凸表面と凹表面との反り量の相違は必然的に生じることになるのであるから,いずれの面における反りの程度であるか判断できないならば,本件訂正発明に係る放熱部品を製造することはできない。 したがって,凸面側を測定しても凹面側を測定しても「反り量」が同一になる場合を除いて,「反り量」がいずれの面における物理量であるか不- 27 -明確であり,かつ,本件明細書は,当業者が本件訂正発明を実施することができる程度に記載されたものではない。 仮に,本件訂正発 を除いて,「反り量」がいずれの面における物理量であるか不- 27 -明確であり,かつ,本件明細書は,当業者が本件訂正発明を実施することができる程度に記載されたものではない。 仮に,本件訂正発明の特許請求の範囲(請求項)に記載された「反り量」が凸面側の反りの程度のみを示しているとすれば,そのような発明は本件明細書の発明の詳細な説明には記載されていないから,サポート要件違反である。 エ被告の主張について被告は,「反り量」は板状複合体の「凸面」の程度を規定するものである旨主張するが,根拠がない。 本件訂正発明1の特許請求の範囲には,「凸面を向けて」という記載があるが,これは,板状の炭化珪素質複合体の二つある面のうち,凸面側を他のヒートシンクに向けることを記載しているのみである。 すなわち,ネジ止めする際のヒートシンクの向きについて,(凹面側を向けるのではなく)凸面側を向けることを規定しているにすぎない。 (2) 「反り量」の定義(穴間方向の意義)についてア本件審決は,「穴間方向」について,「本件明細書の段落【0031】に,「前記穴開方向(X方向)とは図9(a)~(d)に例示した,放熱板表面の一方向を示し,Y方向は,前記表面内のX方向と垂直な方向を示している」と記載され,「本発明にかかる複合体の平面図」である図9をみると,Y方向に沿って並ぶ穴は,左側から順に,2個,2個,3個,4個であるのに対し,X方向に沿って並ぶ穴は,いずれも2個であることが見て取れ,本件訂正発明1で特定されているX方向及びY方向の違いは,明らかであるし,平面視が正方形の場合は,何れの方向をX方向又はY方向としてもよいことも明らかであるから,本件訂正発明1は明確である。」とし,本件訂正発明1における「X方向」及び「Y方向」とは,図9に かであるし,平面視が正方形の場合は,何れの方向をX方向又はY方向としてもよいことも明らかであるから,本件訂正発明1は明確である。」とし,本件訂正発明1における「X方向」及び「Y方向」とは,図9に示された4種類のネジ穴の配置では,いずれもY方向の穴間距離はX- 28 -方向の穴間距離よりも短いことが見て取れるから,「X方向は穴間距離の長い方向で,Y方向は複合体表面においてX方向と垂直な方向」ということができるとする。 しかしながら,以下のとおり,本件審決の上記判断は誤りである。 イそもそも本件審決における上記認定自体が不明確である。 すなわち,本件審決は,「X方向に沿って並ぶ穴は,いずれも2個である」と穴の個数に着目して2個となっている方向をX方向としたかのような認定をする一方で,「正方形の場合はいずれの方向をX方向又はY方向としてもよい」と放熱部品の形状に着目したかのような認定もしており,さらに,X方向は穴間距離の長い方向であるともしている。 一辺に3個の穴があって,他辺にそれよりも穴間距離の短い2個の穴がある場合を想定すれば明らかなように,本件審決の認定によれば,いずれがX方向であるかを判断できない場合が存在するのである。 また,X方向が穴間距離の長い方向であるとか,穴が2個の方向であるとかいうのは,本件明細書のどこにも記載されておらず,図9をそのように見ることも可能であるというにすぎない。図9からは,穴間距離の長い側をX方向としたと理解することも可能ではあるが,穴が2つしかない方向をX方向としたと理解することも可能であるし,単に,図面の上下方向をX方向としたにすぎず技術上の意義は存しないと理解することも不可能ではないのである。さらに,図9には,X方向の長さはどれも一定で,Y方向 向としたと理解することも可能であるし,単に,図面の上下方向をX方向としたにすぎず技術上の意義は存しないと理解することも不可能ではないのである。さらに,図9には,X方向の長さはどれも一定で,Y方向の長さが異なる図が記載されているから,所定の長さの辺をX方向としていると理解することも可能である。そして,本件明細書の記載からは,上記のいずれとも判断できないのであるから,「穴間方向」の意義は不明確であるというべきである。 ウ本件訂正発明1の特許請求の範囲には,「穴間方向(X方向)」との記載があるのみで,これが,板状複合体のどの方向を意味するのか不明確で- 29 -ある。 そして,本件明細書を参酌しても,「穴間方向(X方向)とは,図9(a)~(d)に例示した,ヒートシンク表面の一方向を示し,Y方向は,前記表面内のX方向と垂直な方向を示している。」(段落【0031】)と記載されているのみである。 図9には,X方向とY方向とが矢印で記載されているが,それがどのように決定されるかは記載されていない。また,穴間方向の技術的意義は図9に何ら示されていない。 本件明細書には,穴間方向について明確な定義は存在しないのであり,不明確というほかない。 エ被告は,「穴間方向(X方向)」は,「放熱板表面の一方向」であり,「図9(a)~(d)に例示」されている旨主張する。 しかしながら,X方向の定義についての本件明細書の記載(段落【0031】)は,「放熱板表面の一方向であり,図9に例示した」というものではなく,「図9(a)~(d)に例示した,放熱板表面の一方向」というものである。したがって,穴間方向は,図9の例示をもとに定義されると理解される。 そうではなく,図9の例示は定義上意味を持たないものであり,定義としては d)に例示した,放熱板表面の一方向」というものである。したがって,穴間方向は,図9の例示をもとに定義されると理解される。 そうではなく,図9の例示は定義上意味を持たないものであり,定義としては単に「放熱板表面の一方向」だとすると,穴間方向(X方向)が矩形状の放熱板の一辺に沿った一方向であると理解することすらできない。 すなわち,例えば,穴間方向は放熱板のある対角線方向であり,Y方向はこれと垂直な方向であると理解することも可能となってしまう。X方向やY方向が放熱板の辺に沿った一方向であると理解するためには,図9の例示を参照して当該方向を定義する必要があるのであり,図9を参照すると,穴間方向として,「穴が二つの方向」,「穴と穴との間の距離が長い方向」,「辺が所定の長さである方向」等,種々の解釈が可能となることは,- 30 -前記イ記載のとおりである。 仮に,穴間方向が単に放熱板表面の任意の一方向というのであれば,その方向がどの方向をいうのかは,一層不明確となる。 さらに,被告は,穴間方向は,穴部の中心点を結んだ線とは必ずしも一致しない旨を主張する。しかしながら,「穴間方向」が穴と穴とを結んだ線の方向とは限らないという解釈は,「穴間方向」という用語からしても取り得ない。さらに,「穴間方向」が穴と穴とを結んだ方向ですらないとすれば,その方向は,結局何らの限定もない「一方向」というに帰するのであり,より一層不明確であるといわざるを得ない。 オ被告は,無効審判における訂正請求書(甲19の1)において,訂正事項1について,「反り量の大きい方向がX方向で,反り量の小さい方向がY方向であること」を明示したものである旨主張する。かかる主張は,XY方向は当初から定まっているものではなく,実際に作成した複合体において得られた 反り量の大きい方向がX方向で,反り量の小さい方向がY方向であること」を明示したものである旨主張する。かかる主張は,XY方向は当初から定まっているものではなく,実際に作成した複合体において得られた「反り量」の結果から,事後的にそれが大きい方向がX方向であると定義されることを意味するものである。しかしながら,本件明細書の段落【0032】には,「Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」との記載があり,「好ましくない場合として,Y方向の反り量のほうが大きいこともありうること」が示されているから,本件明細書では,X方向とY方向とが反りの大きさではない何らかの別の指標により決定されることを前提にしている。したがって,「穴間方向」は,被告が主張するような,反り量が大きいほうがX方向という意味ではない。 また,被告は,無効審判の答弁書(甲25)において,「Y方向は,X方向の穴と同数以上の穴が並ぶ方向に相当する」と説明しており,反り量の大小により決定するという上記訂正請求書における主張と異なる解釈を示している。 - 31 -さらに,被告は,「ネジ穴と関連づけてXY方向を特定しているのではない」とも主張しており(甲27),意見書(甲28)において,「放熱板表面の側面に平行な方向に隣接している穴間であり,複数該当するときは,その距離の長い方向」が穴間方向である旨を説明していたこととも矛盾する説明をしている。 以上のように,被告自身が「穴間方向」の意義に関してその時々で異なる解釈をしていることは,「穴間方向」の意義が不明確であることを示しているといえる。 カなお,訂正事項1が,数値範囲を限定する訂正であって特許請求の範囲を減縮する目的でされたものであるとすれば,かかる訂正は,X方向やY方向 方向」の意義が不明確であることを示しているといえる。 カなお,訂正事項1が,数値範囲を限定する訂正であって特許請求の範囲を減縮する目的でされたものであるとすれば,かかる訂正は,X方向やY方向を明確にする意義を持たないから,「穴間方向」の意義の不明確さは解消されない。 キ以上によれば,「穴間方向」の意義は不明確であって,本件審決における上記判断は誤りである。 (3) 「反り量」の範囲について本件訂正発明の課題は,セラミックス基板と接触良く半田付け可能で,かつ,冷却フィンと密着性良くネジ止めできる形状の炭化珪素質複合体の放熱部品を提供することであるが,この課題の解決は,実際に使用する際に達成されなければ意味がない。 ところで,放熱部品を実際に使用する際には,放熱部品は,まずセラミックス基板と半田付けされてモジュール化される。そして,放熱部品にセラミックス基板を半田付けする際に,半田付けのための加熱と半田付け終了後の常温への冷却により,板状の放熱部品が変形してしまうことは技術常識である。この変形は,板状の放熱部品の加熱・冷却それ自体によるものと,板状の放熱部品の材質とセラミックス基板の材質との熱膨張率の差による影響とが複合して生じる現象である。 - 32 -上記のとおり,放熱部品は半田付けの際に変形するものであるにもかかわらず,本件明細書では,その影響を全く考慮することなく,反り量の範囲を決定している。 そのため,当業者であっても,本件訂正発明を課題が解決されるものとして認識し得ないのであって,サポート要件を満たさない。 また,課題を解決しうる実施品を製造・使用することもできないから,実施可能要件も満たさない。 (4) まとめ以上によれば,本件訂正発明は,改正前特許法36条4項,特許法36条6項1号 。 また,課題を解決しうる実施品を製造・使用することもできないから,実施可能要件も満たさない。 (4) まとめ以上によれば,本件訂正発明は,改正前特許法36条4項,特許法36条6項1号及び2号に違反するものであるから,本件審決における記載要件に係る判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1) 本件訂正発明の「反り量」についてア本件訂正発明の特許請求の範囲に記載された「反り量」を,本件明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌して解釈すれば,本件審決が認定するとおり,「炭化珪素質複合体が凸面を形成していることの程度を規定するものであって,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面から好ましい,板状体の中央部が凸部で凸面を形成さえしていれば,その裏面(反対面)が凹面であるか否かは問わない」と解釈することが自然である。 イまた,本件訂正発明1の特許請求の範囲に記載された「穴間方向」を,本件明細書の発明の詳細な説明の記載(段落【0031】)を参酌して解釈すれば,本件審決が認定するとおり,「図9(a)~(d)に例示した,放熱板表面の一方向を示し,Y方向は,前記表面内のX方向と垂直な方向を示している」,「本発明にかかる複合体の平面図である図9をみると,Y方向に沿って並ぶ穴は,左側から順次,2個,2個,3個,4個であるのに対して,X方向に沿って並ぶ穴は,いずれも2個であることが見て取- 33 -れ,本件訂正発明1で特定されているX方向Y方向の違いは,明らかであるし,平面視が正方形の場合には,何れの方向をX方向Y方向としてもよいことも明らか」である。 (2) 「反り量」の定義(いずれの面についての物理量か)について本件訂正発明の特許請求の範囲には,構成要件として「凸面」が規定されており,「凸面」についての反り量の技術的意 も明らか」である。 (2) 「反り量」の定義(いずれの面についての物理量か)について本件訂正発明の特許請求の範囲には,構成要件として「凸面」が規定されており,「凸面」についての反り量の技術的意義が本件明細書に記載されている。これに対し,「凹面」は,特許請求の範囲において,構成要件として規定されていない。 特許請求の範囲の記載から,「反り量」は板状複合体の「凸面」の程度を規定するものであることは明確であり,本件明細書には,当該「反り量」は必要十分に開示されているから,実施可能であり,サポート要件も満たす。 原告の主張は,特許請求の範囲に存在しない構成要件を想定して,特許請求の範囲に規定のある「凸面」と規定のない面のいずれかが不明確であるというに等しく,失当である。 (3) 「反り量」の定義(穴間方向の意義)についてア 「穴間方向」の意義について「穴間方向」は,穴と穴の間の方向であり,その技術的意義は図9に例示されており,明確である。 (ア) 本件訂正発明1の特許請求の範囲(請求項1)には,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が…ことを特徴とする」との記載がある。 したがって,「穴間方向(X方向)」とは,反り量(Cx;μm)の測定方向であり,「それに垂直な方向(Y方向)」は,X方向に垂直な方向であって,反り量(Cy;μm)の測定方向である。 また,本件明細書には,「穴間方向(X方向)とは,図9(a)~- 34 -(d)に例示した,放熱板表面の一方向を示し,Y方向は,前記表面内のX方向と垂直な方向を示している。」(段落【0031】)との記載がある。 したがって,「穴間方向(X - 34 -(d)に例示した,放熱板表面の一方向を示し,Y方向は,前記表面内のX方向と垂直な方向を示している。」(段落【0031】)との記載がある。 したがって,「穴間方向(X方向)」とは,「放熱板表面の一方向」であり,「図9(a)~(d)に例示」されており,「Y方向」は「X方向と垂直な方向」である。 (イ) 「穴部」について本件訂正発明1の特許請求の範囲(請求項1)には,「板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し」との記載がある。 また,本件明細書には,「反り量(Cx;μm,並びにCy;μm)が前記特定の範囲にあるときに,複合体から成る放熱板を他の放熱部品に密着性良くネジ止め固定することができるという知見を得て」(段落【0032】)との記載がある。 「穴部」は,ネジ止め固定のためのものであるから,板状複合体の少なくとも四隅に設けることは自明である。また,設計上の制約によっては,穴部の配置が上下方向や左右方向に多少ずれることも自明である。 したがって,「穴間方向(X方向)」,すなわち,反り量(Cx;μm)の測定方向は,穴部の中心点を結んだ線とは,必ずしも一致しない。 本件明細書の図9の左から2番目には,そのような例が示されている。 (ウ) なお,本件明細書の図9における例示の説明のための具体的な表現態様が,本件審決と被告とで同一でなかったり,状況に応じて説明の表現が同一ではないとしても,発明の要旨認定を左右するものではないし,無効理由を構成するものでもない。 X方向とY方向の区別は明らかであり,しかも,本件訂正発明1の特許請求の範囲に「|Cx|≧|Cy|」という構成要件を追加したこと- 右するものではないし,無効理由を構成するものでもない。 X方向とY方向の区別は明らかであり,しかも,本件訂正発明1の特許請求の範囲に「|Cx|≧|Cy|」という構成要件を追加したこと- 35 -によって,X方向とY方向の区別は一層明らかになった。 イ原告の主張について(ア) 原告は,被告の訂正事項1に係る主張につき,XY方向は当初から定まっているものではなく,実際に作成した複合体において得られた「反り量」の結果から,事後的にそれが大きい方向がX方向であると定義されるとするものである旨主張するが,被告はこのような主張はしていない。本件訂正発明は物の発明であるから,「当初から」,「事後的に」,あるいは,「事前に」という経時的要素は問題になる余地はない。 (イ) 原告は,本件明細書の段落【0032】の「Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」との記載は,「明らかに,好ましくない場合として,Y方向の反り量が大きいこともありうること」を意味する旨主張するが,かかる記載は,「より望ましい反りの量」について記載したものであることは明らかであるから,本件訂正発明1において特定される反りの範囲でも好ましくない場合があるとはいえないのであり,原告が主張するような「明らかに好ましくない場合として,Y方向の反り量が大きいこともありうること」を意味するものではない。 (4) 「反り量」の範囲について原告は,本件訂正発明の課題は,セラミックス基板と接触良く半田付け可能で,かつ,冷却フィンと密着性良くネジ止めできる形状の炭化珪素質複合体の放熱部品を提供することであるが,この課題は,実際に使用する際において達成されなければ意味がないなどと主張する。 しかしながら,本件訂正発明の解決課題は「セラミッ 止めできる形状の炭化珪素質複合体の放熱部品を提供することであるが,この課題は,実際に使用する際において達成されなければ意味がないなどと主張する。 しかしながら,本件訂正発明の解決課題は「セラミックス基板と接触良く半田付け可能」かとは別箇のものである。ヒートシンクを実際に使用する際に,セラミックス基板と接触良く半田付け可能であることは重要であるが,本件訂正発明の発明者は,本件訂正発明の解決課題としては設定しなかった- 36 -から,本件明細書においては簡単に言及するにとどめているのである(段落【0079】及び【0080】)。 したがって,原告の上記主張はその前提を欠くものであり,失当である。 また,原告は,放熱部品は半田付けの際に変形するものであるにもかかわらず,本件明細書では,その影響を全く考慮することなく,反り量の範囲を決定しているから,当業者であっても,本件訂正発明を課題が解決されるものとして認識し得ないし,課題を解決し得る実施品を製造・使用することもできない旨主張する。 しかしながら,板状のAlSiC複合体からなるヒートシンクを用いてセラミックス基板と接合する場合は,銅のヒートシンクと異なり,本来的には,いずれの方向にも反らないことを当然に予想して組み合わせるのであり,本件明細書においては,本件訂正発明の解決課題の解決手段が必要十分に開示されているから,板状のAlSiC複合体をセラミックス基板に接合する際の変形への言及がないとしても,記載不備の無効理由を構成するものではない。 (5) 小括以上によれば,本件訂正発明に,改正前特許法36条4項,特許法36条6項1号及び2号違反とされるべき点はないから,本件審決における記載要件に係る判断に誤りはない。 3 取消事由3(刊行物1(甲1)に基 よれば,本件訂正発明に,改正前特許法36条4項,特許法36条6項1号及び2号違反とされるべき点はないから,本件審決における記載要件に係る判断に誤りはない。 3 取消事由3(刊行物1(甲1)に基づく進歩性判断の誤り)について〔原告の主張〕(1) 本件訂正発明1の進歩性判断の誤りについてア本件審決は,本件訂正発明1と甲1発明との相違点2は,実質的な相違点であって,甲1発明に甲2ないし甲8に記載された発明を組み合わせても,相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を導き出すことはできない旨判断した。 - 37 -しかしながら,以下のとおり,相違点2に係る本件訂正発明1の発明特定事項には技術的意義はなく,本件訂正発明1における相違点2に係る構成は単なる設計事項であって,本件訂正発明1との実質的な相違点と認められるものではない。 イ半導体モジュールの放熱性能向上のための技術常識について(ア) 本件訂正発明1は,板状の炭化珪素質複合体に係るものであるが,その産業上の利用可能性は,セラミックス基板等の絶縁性基板に搭載された半導体素子が発する熱を放熱フィン(冷却フィン)に効率よく放散させるための部品,すなわち,放熱部品(ヒートシンク)としての用途にある。 半導体モジュールの放熱性能を向上させるためには,空気の熱伝導性は著しく低いことから,半導体モジュールを構成する板状の放熱部品と放熱フィンとの間を密着させ,両者の間になるべく空隙が生じないようにしなければならない。 半導体モジュールを構成する板状の放熱部品と放熱フィンとの間に空隙が入らないようにするための一つの技術常識は,両者をネジ止めするのに先立ち,接合面にグリスを塗布するというものであるが,これに加えて,以下の技術が当業者に周知であった。 熱フィンとの間に空隙が入らないようにするための一つの技術常識は,両者をネジ止めするのに先立ち,接合面にグリスを塗布するというものであるが,これに加えて,以下の技術が当業者に周知であった。 (イ) 各文献に記載された事項a 甲2甲2は,半導体モジュールを冷却フィンにネジ止めする際の,半導体モジュールを構成する板状の放熱部品の底面の凸状の程度を制御することで放熱性能を高めるという技術及びそのために,半導体モジュールを構成する前にあらかじめ放熱部品に凸状を形成しておくという技術を開示している(段落【0003】,【0005】,【0014】,【0020】,【0021】,【0022】,【図1】)。 - 38 -ここで,甲2に記載された放熱部品は銅製であり,炭化珪素質複合体ではない。しかしながら,甲2の段落【0004】には「セラミック板の状態に対して凸状に湾曲した銅支持板が存在することになる。 この事実は,冷却体への支持板の良好な接触がこの構造体の側面でのみはなお確保されるが,中央部ではまったく接触しないか又は不良な状態で接触するにすぎず,従って熱の放出にはほとんど役に立たないことを意味する。」と記載されており,放熱部品が放熱フィン側に凸となっていないと放熱フィンとの接触が悪くなり,冷却性能が低下するというのは,放熱部品の材質が銅であることに特有のことではないのであるから,甲2は,放熱部品の材質にかかわらず,放熱部品が放熱フィン側に凸の形状であることが好ましいという技術を開示しているといえる。 また,放熱部品を凸状あるいは球面にする場合,反りが小さすぎれば放熱性能を高めるという効果は発生しないし,大きすぎればネジ止めに不都合が生じるのは自明であるから,その反り量を所定の大きさにするのは当然である。 品を凸状あるいは球面にする場合,反りが小さすぎれば放熱性能を高めるという効果は発生しないし,大きすぎればネジ止めに不都合が生じるのは自明であるから,その反り量を所定の大きさにするのは当然である。甲2にも,「凸状に湾曲した,できる限り球面に等しい板構造体を得るには,十分に小さいセラミック板を,凸状に予め変形処理した銅支持板上に軟ろう結合により設け,その結果構造体の冷却後に所望の板構造体を少なくとも近似して生ぜしめることができる。」(段落【0005】),「僅かに凸状に構成された支持板形状は理想的である」(段落【0014】),「全体的には所望の残留凸面状が残り」(段落【0021】)との記載があり,反りを所望の大きさに制御する思想が開示されている。 以上によれば,甲2には,放熱部品を放熱フィン側に凸状にすることが好ましいという技術及び所望の範囲に反り量を規定するという技術が開示されているといえる。 - 39 -b 甲3甲3は,半導体素子を搭載した絶縁性基板を熱良伝導性物質からなる底板に半田付けした半導体モジュールにおいて,底板の底面を凸状とする技術が開示されている。 ここで,段落【0008】では,熱良伝導性物質として銅が挙げられているが,「例えば」と記載されているように,例示にすぎない(段落【0002】には,凸状にする理由は,熱接触を良好にするためであることが記載されており,銅特有の課題であると認識されているわけではない。)。 凸面形成は,「縦方向だけで充分」な場合もあれば,「両方向に行うことが推奨される」場合もあり,後者の場合には「例えば球面の形とされる」と記載されている(段落【0011】)。 そして,凸状の程度は,ネジ止めした際に放熱部品と冷却フィンとの接触を良好にする程度のものであることが必 場合もあり,後者の場合には「例えば球面の形とされる」と記載されている(段落【0011】)。 そして,凸状の程度は,ネジ止めした際に放熱部品と冷却フィンとの接触を良好にする程度のものであることが必要であるものの,ネジ止め後に放熱部品の中央部が冷却フィンと反対側に膨らんでしまうことのない大きさにとどめるべきことが開示されている(段落【0002】)。 以上によれば,甲3には,(材料を問わず)ヒートシンクを放熱フィン側に凸形状にすることが好ましいという技術及び所定の大きさに反り量を制御するという技術が開示されているといえる。 c 甲4甲4は,炭化珪素質複合体からなる板状の放熱部品について,「加熱された際にも反りがない,寸法安定性に優れた高熱伝導性複合体とそれを用いて放熱部品を安価に提供することを目的とする」発明に係るものであり(段落【0012】),炭化珪素質複合体からなる板状の放熱部品について,複合体中の炭化珪素量を厳密に操作することに- 40 -より,複合体の反りを防止しようとする発明である(段落【0013】)。 甲4には,上記の工夫を施した場合であっても,半田付け時の温度に相当する300℃に加熱し,冷却後に,表2に記載された程度の反りが生じる炭化珪素質複合体からなる板状のヒートシンクが開示されている。 d 甲5甲5には,AlSiC複合体製のヒートシンクが開示されており,それが反りを有する場合があることも開示されている。 そして,甲5には,AlSiC複合体製のヒートシンクの反りを適当なものに制御する技術開発が行われていたことも記載されている。 e 甲8甲8の「図2の右側に示す機械加工による凸状(bow)形状は,明らかにベースプレートとヒートシンクとの間の熱伝導性を向上させる。」 制御する技術開発が行われていたことも記載されている。 e 甲8甲8の「図2の右側に示す機械加工による凸状(bow)形状は,明らかにベースプレートとヒートシンクとの間の熱伝導性を向上させる。」との記載及び図2によれば,絶縁性基板を半田付けした後の半導体モジュールにおける板状の放熱部品が凸状であることが重要であることが開示されているといえる。 甲8には,AlSiC複合体について,「バイメタル効果が減少することにより,ヒートシンクとの接面のバランスが良くなるという効果が生じる」と記載されているが(訳文3頁下から7行目~下から6行目),「バイメタル効果が減少」,「バランスが良くなる」との記載により,問題が全て解消,根絶されるとは理解されないから,凸形状により熱伝導性を向上させる技術が開示されていることからすると,AlSiC複合体を用いる場合も,さらに一層熱伝導性を向上させるために凸形状を採用しようとするのは自然な流れであり,何の阻害要因もない。 - 41 -f 甲21(特開平4-96355号公報)「セラミック基板の一方側に半導体素子を取り付け,他方側の放熱板を半田付けする半導体デバイスにおいて,放熱板の反接着面側が凸状となるよう予め反りをつけることによって,半田付後の冷却に伴う反りを相殺して熱抵抗を低減したもの」(1頁右欄3行ないし8行)であり,放熱部品にあらかじめ凸状を形成することで,セラミック基板を当該放熱部品に半田付けして半導体モジュールを作成して冷却した後も,凸状が残るようにすべきことが記載されている(3頁右下欄2行ないし11行)。 そして,半導体モジュールを作成して冷却した後において「10~100μm」の凸状が維持されるようにするのが好適であるとし,凸状をこの程度としたこと (3頁右下欄2行ないし11行)。 そして,半導体モジュールを作成して冷却した後において「10~100μm」の凸状が維持されるようにするのが好適であるとし,凸状をこの程度としたことで,放熱フィンへの取り付け時に吸収されてフラットの状態となり接触面積が増大することが記載されている(3頁左下欄1行ないし9行,同頁右下欄2行ないし11行)。 以上のとおり,甲21は,銅の熱膨張率を考慮したうえで,さらに,所定量の凸形状となるようにヒートシンクを形成することによって,放熱フィンとの接触性を高めることができることを開示しているが,冷却後に凸形状が残るようにするべきという技術は放熱フィンとの接触面積を保つためになされているのであり,銅に特有のものではなく,ヒートシンク一般に適用できる技術であると当業者には理解されるから,AlSiC製のヒートシンクにおいても,所定の残留凸形状が残るように,あらかじめ凸形状を形成すべきことになる。 以上によれば,甲21は,半導体モジュールを冷却フィンにネジ止めする際の半導体モジュールの板状の放熱部品の底面の凸状の程度を制御することで放熱性能を高めるという技術及びそのためにあらかじめ放熱部品に凸状を形成しておくという技術が開示されている。 - 42 -g 甲22(特開平11-177002号公報)板状の放熱部品の材料として「Al-SiC(アルミ-シリコンカーバイド)複合体」,「SiC(シリコンカーバイド)の特性を改善した複合材料であり,SiCの空隙にAl(アルミ)を含浸することによって,脆性及び熱伝導率を改善したもの」,すなわち炭化珪素質複合体を採用した半導体モジュールが開示されている(段落【0018】)。 甲22で開示された半導体モジュールは,板状の放熱部品と絶縁性基板を半田によ び熱伝導率を改善したもの」,すなわち炭化珪素質複合体を採用した半導体モジュールが開示されている(段落【0018】)。 甲22で開示された半導体モジュールは,板状の放熱部品と絶縁性基板を半田により接合して半導体モジュールを作成し,常温まで冷却し,その後,所定の工程を経ることで,半導体モジュールを冷却フィンに接合するのに先立って,当該放熱部品が凸状となるようにしたものである(段落【0012】ないし【0015】,図2)。 そして,甲22には,炭化珪素質複合体からなる放熱部品の底面を凸状とすることで放熱性能が向上する理由(段落【0016】)及び半導体モジュールの底面を凸状とするための従来技術として,セラミックス基板を板状の放熱部品に半田付けするのに先立って,あらかじめ板状の放熱部品を凸状としておく技術が知られていたこと(段落【0004】,【0005】)が記載されている。 以上によれば,甲22には,特に炭化珪素質複合体からなる板状の放熱部品を用いた半導体モジュールを冷却フィンにネジ止めする際に,当該放熱部品の底面の凸状の程度を制御することで,放熱性能を高めるという技術及びそのために炭化珪素質複合体からなる板状の放熱部品にあらかじめ凸状を形成しておくという技術が開示されている。 また,甲22には,半田付け工程における加熱と冷却の結果,炭化珪素質複合体からなる板状の放熱部品が変形することが記載されている(段落【0013】)。 - 43 -h 甲23(特開平7-161863号公報)甲23には,シリコンカーバイドにアルミニウムを含浸させたヒートシンクについて,モジュール組み立て時の熱によって,平板の炭化珪素質複合体の放熱部材に反りが生じること及びその反りによって冷却フィンとの密着性が低下することが開示されている(段落【000 せたヒートシンクについて,モジュール組み立て時の熱によって,平板の炭化珪素質複合体の放熱部材に反りが生じること及びその反りによって冷却フィンとの密着性が低下することが開示されている(段落【0004】,【0007】,【0010】)。 甲23に記載された発明では,この「反り」に抵抗するために,ヒートシンクを「閉囲構造つまり箱」の形状とし(段落【0006】),これによって,高い剛性を得て,反りが生じないようにし,冷却フィンとの緊密な熱接触を促進するために,底面を僅かに凸形状にしている(段落【0011】)。なお,甲23では,熱による変形を考慮せずに凸形状を設けているが,これは,本件訂正発明とは異なり,箱型とすることによって熱による変形に抵抗する機構を備えているからである。 すなわち,甲23は,加熱を伴うモジュール組み立て時に底面が反ることがないから,当該底面を最初から凸形状にしておけばモジュール組み立て後に冷却フィンと接合する際にも冷却フィン側が凸形状となる炭化珪素質複合体の放熱部品を開示している。 そして,「単体ベース構造物101」は,AlSiC製であり(段落【0009】),このAlSiC製のベース構造物に凸状底面106が設けられているから,甲23は,冷却フィンと接合する際に冷却フィン側に凸形状となる炭化珪素質複合体のヒートシンクを開示している。 (ウ) 周知技術の内容等前記(イ)の各文献(甲2,3,8,21ないし23)に示されるように,半導体モジュールを放熱フィンにネジ止めする際,半導体モジュー- 44 -ルを構成する板状の放熱部品の底面(絶縁性基板が半田付けされた面とは反対側の面であって,放熱フィンに接する面)を凸状とし,その凸状の程度を制御することで,半導体モジュールと冷却フィンとの密着性を向 ルを構成する板状の放熱部品の底面(絶縁性基板が半田付けされた面とは反対側の面であって,放熱フィンに接する面)を凸状とし,その凸状の程度を制御することで,半導体モジュールと冷却フィンとの密着性を向上させ,両者の間の空隙をなくすという技術が,本件特許の出願日前に当業者に周知であった。 また,半導体モジュールの底面にそのような凸状を形成するため,半田付けにより半導体モジュールを組み立てるのに先立って,あらかじめ板状の放熱部品の面に凸状を生じさせておくという方法も知られていた(半導体基板を半田付けして半導体モジュールを作成した後の底面(ヒートシンクの放熱フィンに接する面)を凸形状にするために半田付けに先立ってあらかじめ銅製のヒートシンクに凸状を形成しておくことが公知であれば,AlSiC製のヒートシンクについてもその形状を適用することは,少なくとも容易である。)。 これらの周知技術において,放熱性能を向上させるために重要なのは,半導体モジュールを放熱フィンにネジ止めする際の板状の放熱部品の底面の形状であるから,これらの周知技術は,半導体モジュールを構成する板状の放熱部品の材質にかかわらず適用できるものとして知られており,甲22に明示されるように,板状の放熱部品の材質が炭化珪素質複合体である場合も同様であった(ヒートシンクの一面を凸状にする目的や技術的意義に照らせば,AlSiC製のヒートシンクに凸形状を適用することによる作用効果は,銅製であるかAlSiC製であるかに関わらないことは当業者に明らかであるから,半導体基板を半田付けして半導体モジュールを作成した後の底面(ヒートシンクの放熱フィンに接する面)を凸形状にすることが銅製のヒートシンクにおいて公知であれば,AlSiC製のヒートシンクにその形状を適用することは,少なくとも容 体モジュールを作成した後の底面(ヒートシンクの放熱フィンに接する面)を凸形状にすることが銅製のヒートシンクにおいて公知であれば,AlSiC製のヒートシンクにその形状を適用することは,少なくとも容易である。)。 - 45 -なお,甲2,甲3,甲8,甲21及び甲22は,いずれも半導体モジュールを作成したのちの底面の形状に着目し,最終的にそれを制御しようとするものであるが,これは,板状の放熱部品にセラミックス基板を半田付けする際,半田付けのための加熱と半田付け終了後の常温への冷却により,板状の放熱部品の加熱・冷却それ自体による変形と板状の放熱部品の材質とセラミックス基板の材質との熱膨張率の差による影響が複合して,板状の放熱部品が変形してしまうことが技術常識であったからである。 (エ) 被告の主張について被告の主張する技術開発は,AlSiC製の板状のヒートシンクの製造やセラミックス基板の半田付けに際して意図しない変形(歪み)を抑えようとする技術であって,放熱フィンとの密着性向上のために所定の形状に制御しようとする思想とは,相互に矛盾するものではないヒートシンクの凸形状に関する各甲号証に開示されているのは,ヒートシンクを放熱フィンに密着良く接合するために,ヒートシンクと放熱フィンとを接合する際に,ヒートシンクの放熱フィン側の面が凸形状を有するようにする,そのためにあらかじめヒートシンクに凸形状を形成しておく,というヒートシンクの形状に関する技術であり,銅とAlSiCの材料工学上の性質の差異にかかわらず適用できることは,当業者に明らかである。 仮に,被告が主張するように,銅とAlSiCは明確に区別して研究がなされていたとしても,そのことが,物の発明としてのAlSiC製のヒートシンクに銅のヒートシ できることは,当業者に明らかである。 仮に,被告が主張するように,銅とAlSiCは明確に区別して研究がなされていたとしても,そのことが,物の発明としてのAlSiC製のヒートシンクに銅のヒートシンクで用いられてきた形状を適用することができない理由にはならない。 ウ本件訂正発明1の相違点2に係る構成には技術的意義がないこと本件訂正発明1の相違点2に係る構成は,本件明細書の表9に基づき,- 46 -良好な「密着率」が得られる反りの範囲を切り出そうとするものである。 しかしながら,本件訂正発明の凸形状の技術的意義は,セラミックス基板を実装した後,他の放熱部材に接合する際に,応力を働かせることで熱接触性を向上させること,すなわち,セラミックス基板を実装した後の凸形状にある(本件明細書の段落【0008】ないし【0010】)にもかかわらず,本件明細書の表9に示されているのは,板状の炭化珪素質複合体にセラミックス基板を半田付けする工程を経ることなく,板状の炭化珪素質複合体をそのままアクリル板にネジ止めした場合の「密着率」である(段落【0074】,【0076】)。板状の炭化珪素質複合体を実際に使用するときには,冷却フィンにネジ止めする前にセラミックス基板を板状の炭化珪素質複合体に半田付けするのであり,その際に,板状の炭化珪素質複合体は変形してしまうのであるから,セラミックス基板を半田付けする工程を経ることなく,ただ板状の炭化珪素質複合体をアクリル板にネジ止めした際の「密着率」を測定しても,その結果は当該複合体を半導体モジュールの放熱部品として用いたときの冷却フィンに対する密着率を何ら示唆するものではなく,本件訂正発明1の作用効果を示すものではない(被告は,本件訂正発明の解決課題が,あたかも「ネジ止め後の締め付け ジュールの放熱部品として用いたときの冷却フィンに対する密着率を何ら示唆するものではなく,本件訂正発明1の作用効果を示すものではない(被告は,本件訂正発明の解決課題が,あたかも「ネジ止め後の締め付け力によって密着を保つこと」のみであるかのように主張するが,本件明細書の段落【0006】ないし【0009】,【0029】,【0079】ないし【0081】の記載によれば,セラミックス基板側の接合する際における接着性もその課題とされている。)。 半導体を搭載した絶縁性基板を板状の放熱部品に半田付けして半導体モジュールを作成し,さらにそれが常温に冷却される過程では,半田付けする前の板状の放熱部品の凸面は変化するが,本件明細書には,どのように変化するかについての開示は一切なく,技術常識から明らかなものでもない。また,冷却フィンは金属製であって,アクリル板とは硬度が異なるた- 47 -め,アクリル板への密着率を測定しても意味がない。 以上のとおり,本件訂正発明1の相違点2に係る構成は,本件訂正発明1の炭化珪素質複合体の産業上の用途を考えた場合,何ら技術的意義を有するものではない。 さらに,相違点2に係る構成は,甲1発明に係る炭化珪素質複合体を当業者が通常の方法で作成した場合,意図しないとしても高い確率で生ずる範囲のものであり(甲9),甲4の表2の実施例に係る炭化珪素質複合体の反り量も含むものであって,ありふれたものである。 以上によれば,半導体モジュールを作成した後の冷却フィン接合面の形状を凸面とし,その程度を適当なものとするために,半導体モジュールを作成する前の段階において板状の放熱部品の形状をあらかじめどのように作成しておくかは,設計事項として半田付けによる変形を予想しながら適宜定める事項であるといえる。 するために,半導体モジュールを作成する前の段階において板状の放熱部品の形状をあらかじめどのように作成しておくかは,設計事項として半田付けによる変形を予想しながら適宜定める事項であるといえる。 したがって,相違点2は実質的なものではなく,相違点2に係る本件訂正発明1の構成は,その進歩性を基礎付ける特徴であるとはいえない。 エ本件訂正発明1の相違点2に係る構成に臨界的意義はないこと(ア) 仮に,相違点2に係る本件訂正発明1の構成に何らかの技術的意義があるとしても,本件特許の出願時,本件訂正発明と同様の目的で,(材質を問わず)放熱部品を放熱フィン側に凸とすること及びその凸形状を制御することは周知技術であったから,その凸形状を具体的にどの程度にするかということは単なる設計事項にすぎない。 したがって,本件訂正発明1に進歩性が認められる場合があるとすれば,相違点2に係る具体的な数値限定が技術的意義を有し,かつ,極めて特異な臨界的意義を有している場合に限られるというべきである。 しかしながら,本件明細書の表9に記載された比較例3ないし6は,いずれも本件訂正発明の反り量の範囲からかけ離れたものであって,本- 48 -件訂正発明の反り量の範囲の内外で密着率が劇的に変化することを示していない。また,参考例27及び29は,密着率98%とされており,実施例28の密着率(93%)よりも密着率が良好であり,かつ,他の実施例とも密着率が同じか又は大差がない。このように,本件明細書の記載は,相違点2に係る構成の反り量に臨界的意義があることを一切示していない。 したがって,相違点2に係る構成の「反り量」には,何ら臨界的意義はないから,「反り量」を如何なる数値の範囲とするかは,当業者であれば,適宜決定できる事項にすぎない。 (イ) 切示していない。 したがって,相違点2に係る構成の「反り量」には,何ら臨界的意義はないから,「反り量」を如何なる数値の範囲とするかは,当業者であれば,適宜決定できる事項にすぎない。 (イ) 被告の主張についてa 被告は,板状のAlSiC複合体は,セラミックス基板と接合した際に,いずれの方向にも反らない旨主張する。 しかしながら,AlSiC複合体は,熱膨張係数を一定範囲で調整可能な材料であって,種々の熱膨張係数を取り得るものである。 したがって,根拠もなく,板状のAlSiC複合体においては熱膨張係数を合わせるのは当然であるなどということはできないし,いずれの方向にも反らないということもできない。 また,被告の上記主張は,AlSiC製のヒートシンクにおいても,その反り量については「セラミックス基板が実装されていない状態と基板が実装された状態とでは同一とは限らない」旨の被告の認識(甲26)とも矛盾する。 そして,AlSiC製ヒートシンクがセラミックス基板を実装する際に変形することがあることは,本件明細書に,本件特許の出願時において,熱膨張率がセラミックス基板に近い,金属-セラミックス複合体を提供することが課題であった旨の記載(段落【0006】,【0007】)や,AlSiC複合体の熱膨張率は,配合比によって- 49 -は,セラミックス基板の熱膨張率と異なる場合があること及びそれによってヒートシンクの信頼性が低下することについての記載(段落【0027】)があることから明らかである。 また,セラミックス基板を実装する際,又は半田付けに際して,AlSiC製の板状部材が変形する場合があることは,甲4(段落【0009】),甲22(段落【0004】,【0018】),甲23(段落【0007】),乙3(段落【0006】ないし【001 けに際して,AlSiC製の板状部材が変形する場合があることは,甲4(段落【0009】),甲22(段落【0004】,【0018】),甲23(段落【0007】),乙3(段落【0006】ないし【0011】),乙5の3(段落【0012】,【0025】)に記載又は示唆されているし,AlSiC複合体の熱膨張係数を合わせるのが当然であるなどとはいえないことも,乙9の1ないし4,甲29,甲30,甲31に記載又は示唆されている。 したがって,被告の上記主張は失当である。 b 仮に,AlSiC複合体の熱膨張率をそろえれば変形しないのであったとしても,熱膨張率を制御することについて本件訂正発明は何ら言及していないから,本件訂正発明は,このように熱膨張率をそろえて変形しないようにしたヒートシンクに限定されない。 したがって,被告の前記aの主張を前提とすれば,本件訂正発明は,何ら作用効果を奏しない場合を含んでいることになる。 さらに,変形を抑制できるAlSiC複合体を用いるとしても,その変形の程度を考慮して,あらかじめ適宜の凸形状を設けるのは,設計事項というほかない。どの方向にどの程度変形するかは,具体的な条件に依存するのであるから,その凸形状は,そのようなAlSiCの性質の違いに対応して種々異なる形状となるはずである。 したがって,熱膨張率がいかなるものであるのかを規定せずに,数値範囲等を限定することはそもそも矛盾であり,本件訂正発明1における数値範囲に臨界的意義はない。 - 50 -c 被告は,相違点2に係る本件訂正発明1の構成は,板状のAlSiC複合体において,2方向の凸面を形成し,さらに,当該凸面を規定する反り量の数値範囲が互いに相違し,その上で,一方の反り量が他方の反り量以上であるというものであり,このような技術思想は,甲 lSiC複合体において,2方向の凸面を形成し,さらに,当該凸面を規定する反り量の数値範囲が互いに相違し,その上で,一方の反り量が他方の反り量以上であるというものであり,このような技術思想は,甲1にも,他の甲号証にも開示されていないから,設計事項ではありえない旨主張する。 しかしながら,凸面を形成すれば,2次元形状になるのは当然であるし,一方の反り量が他方の反り量より大きくなるのも当然であるから,かかる点が本件訂正発明1の特徴的事項であるとはいえない。 数値範囲にも技術的意義はなく,仮に意義があったとしても臨界的意義を有しないから設計事項にすぎない。 オ小括以上のとおり,本件審決における本件訂正発明1と甲1発明との相違点2に係る容易想到性の判断は誤りであり,本件訂正発明1は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (2) 本件訂正発明2の進歩性判断の誤りについて本件審決は,相違点5に係る本件訂正発明2の構成は,反りを与え,その反り量を所定の範囲内に制御することといえるから,甲1発明に甲2ないし甲8に記載された発明を組み合わせても,相違点5に係る本件訂正発明2の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,前記(1)記載のとおり,反りを与えること及びその反り量を所定の範囲内に制御することは,甲2ないし甲8に開示されており,かつ周知技術でもある。 また,具体的な数値も単なる設計事項にすぎないから,甲1発明において,相違点5に係る本件訂正発明2の構成を導き出すことは容易であり,本件訂- 51 -正発明2は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 違点5に係る本件訂正発明2の構成を導き出すことは容易であり,本件訂- 51 -正発明2は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (3) 本件訂正発明3の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明3と甲1発明とは,少なくとも相違点5において相違するとした上で,相違点5に係る本件訂正発明3の構成は,甲1ないし甲8のいずれからも導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,前記(2)記載のとおり,甲1発明において,相違点5に係る本件訂正発明3の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明3は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (4) 本件訂正発明4の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明4と甲1発明とは,本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点で相違するとした上で,甲1ないし甲8のいずれにも反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は開示されておらず,当業者において,上記相違点に係る本件訂正発明4の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21及び甲22に記載があるように周知技術であったから,甲1発明において,上記相違点に係る本件訂正発明4の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明4は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (5) 本件訂正発明5の進歩性判断の の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明4は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (5) 本件訂正発明5の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲1発明との相違点5に係る容易想到性の判断は,前記(3)記載のとおり誤りである。 - 52 -イ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲1発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りである。 ウ本件訂正発明5は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (6) 本件訂正発明6の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明6と甲1発明とは,本件訂正発明6は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点で相違するとした上で,甲1ないし甲8に基づいて,当業者において,上記相違点に係る本件訂正発明6の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,本件審決における上記相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りである。 本件訂正発明6は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (7) 本件訂正発明7ないし11の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点2に係る容易想到性の判断は,前記(1)記載のとおり誤りである。 イ本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発 有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点2に係る容易想到性の判断は,前記(1)記載のとおり誤りである。 イ本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点5に係る容易想到性の判断は,前記(2)記載のとおり誤りである。 ウ本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点5に係る容易想到性の判断は,前記(3)記載のとおり誤りである。 エ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りで- 53 -ある。 オ本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(6)記載のとおり誤りである。 カ本件訂正発明7ないし11は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (8) まとめ本件訂正発明は,いずれも甲1発明と甲2ないし甲8及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件審決における刊行物1(甲1)に基づく進歩性判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1) 本件訂正発明1ア本件訂正発明1の進歩性について(ア) 甲1には,金属-セラミックスの複合材料を用いたアルミニウム合金(Al合金)-炭化珪素(SiC)の複合体(AlSiC複合体)の凸形状についての記載はないから,そもそも,「反り」を積極的に規定するという技術思想の示唆はなく,また,「凸面」以外の本件訂正発明1に係る構成についての記載も示唆もない。 したがって,甲1発明を出発点として, ての記載はないから,そもそも,「反り」を積極的に規定するという技術思想の示唆はなく,また,「凸面」以外の本件訂正発明1に係る構成についての記載も示唆もない。 したがって,甲1発明を出発点として,本件訂正発明1に至る動機付けは存しない。仮に,甲1に「凸面」が開示されているとしても,「凸面」に関連する他の構成については,記載も示唆もないから,甲1発明を出発点として,本件訂正発明1に至る動機付けは存しない。 (イ) 甲1以外の各甲号証には,相違点2に係る本件訂正発明1の構成,すなわち,「凸面」に関連する他の構成は記載されていないから,甲1発明とこれ以外の各甲号証に記載された発明を組み合わせたとしても,- 54 -本件訂正発明1に容易に想到することはできない。 a 銅等の金属製のヒートシンクに係る技術を材料工学的に構造及び特性が基本的に異なるAlSiC複合体のヒートシンクについて適用できるか否かは不明であるから,銅等の金属材料のヒートシンクにおいて公知の技術が,AlSiC複合体のヒートシンクにおいても公知であるということはないし,まして,周知であることにはならない。 b 銅とAlSiC複合体の材料工学的な相違は広範にわたるが,熱膨張係数についていえば,以下のとおりである。 すなわち,銅製の板状のヒートシンクにおいては,セラミックス基板との熱膨張係数の差に起因する問題に対応するため,あらかじめセラミックス基板と反対側に凸状となるように形成する技術は公知であるが(甲2,甲3,甲8),AlSiC複合体は,セラミックス基板と熱膨張係数が近接していることに加え,組み合わせるセラミックス基板に応じて熱膨張係数を選択可能であるから,熱膨張係数の違いに起因する反りの問題を回避するために,熱膨張係数をできる限りセラミックス基板の 張係数が近接していることに加え,組み合わせるセラミックス基板に応じて熱膨張係数を選択可能であるから,熱膨張係数の違いに起因する反りの問題を回避するために,熱膨張係数をできる限りセラミックス基板のそれに近接したものとするのが通常であり,熱膨張係数だけを考慮すると,板状のAlSiC複合体は,セラミックス基板と接合した際に,いずれの方向にも反らない(甲1の段落【0019】,【0021】,甲4の段落【0012】,甲7の1頁「Abstract」2行ないし3行,甲8の訳文2頁ないし3頁,乙8,乙1の1の段落【0003】,【0008】,乙1の2の段落【0059】,乙1の3の段落【0007】,乙2の1の段落【0015】,乙9の1の段落【0016】,乙9の2の段落【0027】,乙9の3の段落【0008】,【0015】,【0019】,乙9の4の段落【0005】,【0015】)。 したがって,板状のAlSiC複合体のヒートシンクには,銅製の- 55 -ヒートシンクと同様の問題は存在しない。仮に,板状のAlSiC複合体がいずれかの方向に反る場合があったとしても,銅のヒートシンクと同程度に反るというわけではない。 このようなことから,本件特許の出願日前においては,板状AlSiC複合体の凸面について,凸面に関連する様々な構成を積極的に規定するという本件訂正発明の技術思想は存在せず,むしろ,本件訂正発明とは逆に,板状のAlSiC複合体の反りは望ましくないと考えられており,専ら,板状AlSiC複合体を平坦にすることによって,放熱性を向上させる技術の開発が行われていた(甲4,乙2の1ないし3。特に,乙2の2の段落【0023】,【0129】,乙2の4の10頁22行ないし25行,17頁17行ないし22行)。 c 本件特許の出願日前において,板状のAlSiC複 いた(甲4,乙2の1ないし3。特に,乙2の2の段落【0023】,【0129】,乙2の4の10頁22行ないし25行,17頁17行ないし22行)。 c 本件特許の出願日前において,板状のAlSiC複合体における凸形状を開示した甲号証はなく,そのような形状は公知でもないし,周知でもない(なお,本件訴訟において,AlSiC複合体に関して,甲22及び甲23が提出されたが,新たな公知文献として本件訂正発明と対比することは認められない。)。 また,本件訂正発明は,AlSiC複合体から成る板状複合体が凸面を有することを構成要件として規定した上で,当該凸面に関連する様々な構成を規定しているが,いずれの甲号証にも,板状AlSiC複合体の凸面や数値範囲についての記載も示唆もない上に,当該凸面に関連する様々な構成についての記載も示唆もないから,本件訂正発明の進歩性が否定されることはない。 (ウ) 以上のとおり,本件訂正発明1は,刊行物1(甲1)に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 イ原告の主張について(ア) 各文献の記載について- 56 -a 甲2甲2の段落【0004】には,「セラミック板の状態に対して凸状に湾曲した銅支持板が存在することになる。この事実は,冷却体への支持板の良好な接触がこの構造体の側面でのみはなお確保されるが,中央部ではまったく接触しないか又は不良な状態で接触するに過ぎず,従って熱の放出にはほとんど役に立たないことを意味する。」と記載されているが,かかる記載は,「銅とAl2 O3 の熱膨張係数は著しく異なることから,各板をろう付けする際に必然的に生じる熱が,Al2O3セラミック及び銅支持板を異なって著しく膨張させる(バイメタル効果)。その結果この構造体が冷却し l2 O3 の熱膨張係数は著しく異なることから,各板をろう付けする際に必然的に生じる熱が,Al2O3セラミック及び銅支持板を異なって著しく膨張させる(バイメタル効果)。その結果この構造体が冷却した後もはや意図した平行な銅支持板ではなく,」(段落【0004】)とあるように,凸状が放熱部品の材質が銅である場合に特有の問題に対する解決手段であることを記載している。 また,甲2の「僅かに凸状に構成された支持板形状は理想的である。」との記載(段落【0014】)や「全体的には所望の残留凸面状が残り」との記載(段落【0021】)は,積極的に数値範囲を規定する技術思想を開示するものではない。 以上のとおり,甲2には,銅のヒートシンクについて,凸状を形成する技術が開示されているにすぎない。 b 甲3甲3は,銅等の金属と,酸化アルミニウム(Al2O3)あるいは窒化アルミニウム(AlN)という,互いに熱膨張係数が著しく異なる場合を前提にしているものであるから,セラミックスと熱膨張係数が近接するAlSiC複合体は,銅と並んで例示される対象ではない。 また,段落【0002】の「凸面状形成の大きさは,使用中に底板がその中央部に脹らみを生じない程度に選ばれている。」との記載も,- 57 -積極的に数値範囲を規定する技術思想を開示するものではない。 以上のとおり,甲3には,銅のヒートシンクについて,凸状を形成する技術が開示されているにすぎない。 c 甲4甲4に記載された発明の目的は,「加熱された際にも反りがない」放熱部品の提供であり(段落【0012】),甲4における反りが加熱の際の反りであることは,甲4の随所に明確に記載されている(例えば,請求項2,段落【0025】)。 したがって,甲4発明の反り量は室温に冷却された後 あり(段落【0012】),甲4における反りが加熱の際の反りであることは,甲4の随所に明確に記載されている(例えば,請求項2,段落【0025】)。 したがって,甲4発明の反り量は室温に冷却された後に計測されたものである旨の原告の主張は,甲4の記載に反し失当である。 d 甲5甲5には,「AlN,Si3N4又はAl2O3により形成されたセラミック基板と,前記セラミック基板の両面にAl-Si系ろう材を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム板と,AlSiC系複合材料により形成され前記第1又は第2アルミニウム板の表面に積層接着されたヒートシンクとを備えたヒートシンク付セラミック回路基板」が記載され,さらに,ヒートシンクの反りが50mm当たり30μm,すなわち,10cm当たり60μmのものが記載されている。 しかしながら,甲5は,「第1及び第2のアルミニウム板によりセラミック基板にクラックが入らないことやAlSiC系複合材料を用いたので放熱特性が向上する」ことを開示するにとどまり,このヒートシンクに反りを積極的に付与することを示す記載はない。 したがって,甲5には,反りを積極的に規定する技術思想はないから,反りの方向についての記載もなく,本件訂正発明の特徴である,凸面に関連する様々な構成要件についての記載もないし,示唆もない。 - 58 -むしろ,甲5には,反りは好ましくないものとして記載されている(段落【0023】)。甲5は,本件特許の出願日前において,専ら,AlSiC複合体製のヒートシンクを平坦にする技術開発が行われていたことの積極的な証拠である。 e 甲8甲8は,銅のヒートシンクとセラミックス基板の熱膨張率の差に起因する問題の解決手段として「凸状」を開示し,A ンクを平坦にする技術開発が行われていたことの積極的な証拠である。 e 甲8甲8は,銅のヒートシンクとセラミックス基板の熱膨張率の差に起因する問題の解決手段として「凸状」を開示し,AlSiC複合体のヒートシンクについては「上記問題をいずれも解消できる」と明記しており,AlSiC複合体のヒートシンクの凸状については開示がない。 甲8の図2に示されているのは,銅のヒートシンクの凸状だけであり,「板状の放熱部品」全般について記載されているのではない(乙8参照)。 甲8には,銅のヒートシンクの凸状が開示されているにすぎないから,「板状の放熱部品」が凸状であることが示されているとする原告の主張は,根拠なく上位概念化あるいは一般化を行うものであり失当である。 f 甲21ないし甲23について原告は,本件訴訟において,新たに,AlSiC複合体のヒートシンクに係る甲22及び甲23を提出したが,新たな証拠を公知技術を示す証拠として審理対象とすることはできない。甲22及び甲23の記載内容は,審判段階で原告から提出された証拠の内容とは共通しないし,甲22及び甲23に記載の技術内容も互いに異なるから,技術常識を立証するための補強証拠としても認められる余地はない。 仮に,甲22及び甲23が証拠として認められるとしても,以下のとおり,甲22及び甲23には,本件訂正発明の特徴についての記載- 59 -も示唆もない。 ⒜ 甲21甲21には,銅のヒートシンクについての凸状とその数値範囲が開示されているにすぎない。 「板状の放熱部品」の凸状とその数値範囲が示されているとする原告の主張は,根拠なく上位概念化あるいは一般化を行うものであり失当である。 ⒝ 甲22甲22の従来技術は,セラ ない。 「板状の放熱部品」の凸状とその数値範囲が示されているとする原告の主張は,根拠なく上位概念化あるいは一般化を行うものであり失当である。 ⒝ 甲22甲22の従来技術は,セラミックス基板との熱膨張係数の差を前提にしており,そのような熱膨張係数の差が存在しないAlSiC複合体についての技術を含まない。 甲22において,板状のAlSiC複合体は,単体の状態において平坦なものが開示されており,本件訂正発明のような凸状を有するものではない。 甲22においては,筐体と板状のAlSiC複合体の熱膨張係数の差を利用して,板状のAlSiC複合体を反った状態にする技術が開示されているが,その反りの程度については,まったく記載がない。 さらに,甲22には,板状の放熱部品を「冷却フィンにネジ止めする」技術は全く記載がない。むしろ,甲22においては,AlSiC複合体は筐体に組み入れられた後,ネジ止めされるのではなくて,AlSiC複合体の凸状を維持したままで,冷却器に単に半田付けされる技術が開示されている(甲22の図3参照)。 ⒞ 甲23甲23の段落【0004】にある「平坦な打ち抜きヒートシンク」は,炭化珪素質複合体(AlSiC複合体)ではない。甲23- 60 -には,「平坦な打ち抜き金属のヒートシンク」(段落【0002】)と記載されており,これを受けて,「平坦な打ち抜きヒートシンク」の問題点が記載されているから,ここでいう「平坦な打ち抜きヒートシンク」は金属製のヒートシンクであり,炭化珪素質複合体ではない。 甲23においては,金属の打ち抜きヒートシンクの問題点を受けて,箱型の構造が記載され(段落【0006】),さらに,AlSiC複合体が記載されている(段落【0007】)ので はない。 甲23においては,金属の打ち抜きヒートシンクの問題点を受けて,箱型の構造が記載され(段落【0006】),さらに,AlSiC複合体が記載されている(段落【0007】)のであるから,平板のAlSiC複合体のヒートシンクの問題点が記載されているとはいえない。 甲23に開示されているのは,AlSiC製の箱型のヒートシンクの底面が凸形状であるということに尽きるのであって,甲23に,平板の炭化珪素質複合体の放熱部材に反りが生じることが記載されている旨の原告の主張は失当である。 (イ) 周知技術についてa 原告は,甲2,甲3,甲8,甲21ないし甲23から,半導体モジュールを放熱フィンにネジ止めする際,半導体モジュールを構成する板状の放熱部品の底面を凸状とし,その凸状の程度を制御することで,半導体モジュールと冷却フィンとの密着性を向上させ,両者の間の空隙をなくすという技術が,本件特許の出願日前に当業者に周知であった旨主張する。 しかしながら,上記文献に示されるのは,銅のヒートシンクについての凸状にすぎず,板状のAlSiC複合体については,凸状は開示されていないから,原告の上記主張は,根拠なく上位概念化あるいは一般化を行うものであり失当である。 板状のAlSiC複合体のヒートシンクにおいて,半導体モジュー- 61 -ルを構成する板状の放熱部品の底面を凸状として,その凸状の程度を制御するという技術は公知ではなく,AlSiC複合体に関する甲8,甲22及び甲23にも凸状は開示されていない。 また,凸状の数値範囲については,銅の凸状の数値範囲を開示する証拠(甲21)が一件提出されているだけであるから,銅についてすら,公知に過ぎず,「周知」ではない。まして,AlSiC複合体については,公知ですらない 値範囲については,銅の凸状の数値範囲を開示する証拠(甲21)が一件提出されているだけであるから,銅についてすら,公知に過ぎず,「周知」ではない。まして,AlSiC複合体については,公知ですらない。 b 原告は,甲2,甲3,甲8,甲21及び甲22は,いずれも半導体モジュールを作成したのちの底面の形状に着目し,最終的にそれを制御しようとするものであるが,これは,板状の放熱部品にセラミックス基板を半田付けする際,半田付けのための加熱と半田付け終了後の常温への冷却により,板状の放熱部品の加熱・冷却それ自体による変形と板状の放熱部品の材質とセラミックス基板の材質との熱膨張率の差による影響が複合して,板状の放熱部品が変形してしまうことが技術常識であったからである旨主張する。 しかしながら,甲2,甲3及び甲8には,銅のヒートシンクの凸状が,甲21には,銅のヒートシンクの凸状と数値範囲が,甲22には,板状の単体において平坦なAlSiC複合体のヒートシンクが,それぞれ開示されているにすぎない。 また,板状の放熱部品にセラミックス基板を半田付けする際に,半田付けのための加熱と半田付け終了後の常温への冷却により,板状の放熱部品が変形してしまうことが技術常識であったとする点も技術常識に反し失当である。 原告の上記主張は,各文献に根拠となる記載がなく,各文献の記載や技術常識に反するものであり失当である。 (ウ) 本件訂正発明1の相違点2に係る構成に技術的意義がないとの主張- 62 -についてa 原告は,本件訂正発明1の相違点2に係る構成は,本件明細書の表9に基づき,良好な「密着率」が得られる反りの範囲を切り出そうとするものである旨主張する。 しかしながら,本件訂正発明1は,凸面の程度を示す反り量の数値範囲にだけ特徴 に係る構成は,本件明細書の表9に基づき,良好な「密着率」が得られる反りの範囲を切り出そうとするものである旨主張する。 しかしながら,本件訂正発明1は,凸面の程度を示す反り量の数値範囲にだけ特徴を有するものではなく,相違点2は,表9から数値範囲を切り出そうとするものでもない。 b 原告は,セラミックス基板を半田付けする工程を経ることなく,板状の炭化珪素質複合体をアクリル板にネジ止めした際の「密着率」を測定しても,意味がない旨主張する。 しかしながら,セラミックス基板を板状のAlSiC複合体に半田付けする際に板状のAlSiC複合体が変形するわけではないから,原告の上記主張は,誤った技術常識を前提にするものであり失当である。 c 原告は,冷却フィンは金属製であって,アクリル板とは硬度が異なるため,アクリル板への密着率を測定しても意味がない旨主張する。 しかしながら,本件明細書に記載があるように,厚さ30mmのアクリル板を使用し,測定した密着率が優れていた旨の記載があれば,実際の放熱部材への密着率においても優れていることは,当業者であれば十分に理解できることであるから,本件明細書の「密着率」は本件訂正発明の技術的意義を適切に示すものである。 d 原告は,相違点2に係る構成は,甲1発明に係る炭化珪素質複合体を当業者が通常の方法で作成した場合,意図しないとしても高い確率で生ずる範囲のものであり(甲9),甲4の表2の実施例に係る炭化珪素質複合体の反り量も含むものであって,ありふれたものである旨主張する。 - 63 -しかしながら,甲1には,「反り」に関する記載はないし,示唆もない。また,甲1に記載の製法と甲9に記載の製法とが同一である根拠は存在しないから,甲9の測定結果を甲1に適用できる根拠はない。 3 -しかしながら,甲1には,「反り」に関する記載はないし,示唆もない。また,甲1に記載の製法と甲9に記載の製法とが同一である根拠は存在しないから,甲9の測定結果を甲1に適用できる根拠はない。 さらに,甲4に記載の「反り」は加熱の際の反りであり,甲9の室温の反りとは異なる。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 e 原告は,半導体モジュールを作成した後の冷却フィン接合面の形状を凸面とし,その程度を適当なものとするために,半導体モジュールを作成する前の段階において板状の放熱部品の形状をあらかじめどのように作成しておくかは,設計事項として半田付けによる変形を予想しながら適宜定める事項である旨主張する。 本件訂正発明は,半田付けの際の変形への対応を解決課題としていないから,相違点2に係る本件訂正発明1の構成は「半田付けによる変形を予想しながら適宜定める」というものではない。 そもそも,相違点2に係る本件訂正発明1の構成は,板状のAlSiC複合体において,2方向の凸面を形成し,さらに,当該凸面を規定する反り量の数値範囲が互いに相違し,そのうえで,一方の反り量が他方の反り量以上であるというものであり,このような技術思想は,甲1にも,他の甲号証にも開示されていないから,設計事項ではあり得ない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (エ) 本件訂正発明1の相違点2に係る構成に臨界的意義はないとの主張について原告は,相違点2に係る本件訂正発明1の構成に何らかの技術的意義があるとしても,本件特許の出願時の周知技術においても,本件訂正発明と同様の目的で,放熱部品に所定の凸形状を付与するようにしていた- 64 -のであり,その凸形状を具体的にどの程度にするかということは単なる設計事項にすぎないから, 技術においても,本件訂正発明と同様の目的で,放熱部品に所定の凸形状を付与するようにしていた- 64 -のであり,その凸形状を具体的にどの程度にするかということは単なる設計事項にすぎないから,本件訂正発明1に進歩性が認められる場合があるとすれば,相違点2に係る具体的な数値限定が技術的意義を有し,かつ,極めて特異な臨界的意義を有している場合に限られるというべきである旨主張する。 しかしながら,各甲号証は,銅のヒートシンクについての凸状を開示するにすぎず,板状AlSiC複合体のヒートシンクについての凸状を開示するものではない。その上,銅のヒートシンクについてすら,単に,凸状が開示されているだけであり,凸面に関連する様々な構成要件を含む相違点2に係る本件訂正発明1の技術思想はまったく開示されていない(なお,甲21には,銅のヒートシンクの凸状の数値範囲が開示されているが,本件訴訟において,甲21に記載された上記技術事項を公知技術として扱うことは許されない。)。相違点2に係る本件訂正発明1の構成は,凸面に関連する様々な構成要件を含み,本件訂正発明1は,反り量の数値範囲にのみ特徴を有するものではないから,数値範囲の臨界的意義の有無が進歩性を左右するものではない。 なお,原告は,AlSiC複合体の熱膨張率をそろえれば変形しないとすれば,本件訂正発明は,何ら作用効果を奏しない場合を含んでいることになる旨主張する。しかし,板状のAlSiC複合体からなるヒートシンクを用いてセラミックス基板と接合する場合は,銅のヒートシンクと異なり,本来的には,いずれの方向にも反らないことを当然に予定して組み合わせることは,当業者であれば,当然に理解できることであり,技術常識であるから,原告の上記主張は失当である。 以上のとおり,原告の上記主張は理 方向にも反らないことを当然に予定して組み合わせることは,当業者であれば,当然に理解できることであり,技術常識であるから,原告の上記主張は失当である。 以上のとおり,原告の上記主張は理由がない。 ウ小括以上のとおり,本件審決における本件訂正発明1の進歩性判断に誤りは- 65 -ない。 (2) 本件訂正発明2について原告は,相違点5に係る本件訂正発明2の構成は,反りを与え,その反り量を所定の範囲内に制御することといえるが,これらの事項は甲2ないし甲8に開示され,かつ,周知技術でもある旨主張する。 しかしながら,甲2ないし甲8に開示されているのは,銅のヒートシンクの凸状であり,板状のAlSiC複合体のヒートシンクについては,むしろ,反りを減少させて平坦にする技術,すなわち,本件訂正発明と相反する技術が開示されている。 また,本件訂正発明2は,相違点5に係る構成だけではなく,凸面に関連する様々な他の構成も含むものであるが,いずれの甲号証にも,それらの相違点については開示されていない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明2は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (3) 本件訂正発明3について原告は,甲1発明において,相違点5に係る本件訂正発明3の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明3は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,前記(2)記載のとおりであって,本件訂正発明3は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (4) 本件訂正発明4について原告は,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8 て,本件訂正発明3は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (4) 本件訂正発明4について原告は,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21及び甲22に記載があるように周知技術であったから,甲1発明において,相違点に係る本件訂正発明4の構成(「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下- 66 -の反りを有する」)を導き出すことは容易であり,本件訂正発明4は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,各甲号証の記載には,板状のAlSiC複合体の凸形状は開示されておらず,その数値範囲も開示されていないから,原告の上記主張は理由がない。 また,本件訂正発明4は,上記相違点に係る構成だけではなく,凸面に関連する様々な他の構成も含むものであるが,いずれの甲号証にも,それらの相違点については開示されていない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明4は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (5) 本件訂正発明5ア本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲1発明との相違点5に係る容易想到性の判断には,前記(3)記載のとおり誤りはない。 イ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲1発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 ウしたがって,本件訂正発明5は甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件審決の判断に誤りはない。 (6) 本件訂正発明6の進歩性判断の誤りについて原告は,本件 正発明5は甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件審決の判断に誤りはない。 (6) 本件訂正発明6の進歩性判断の誤りについて原告は,本件訂正発明6は,甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,前記(4)記載のとおりであって,本件訂正発明6は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 また,本件訂正発明6は,AlSiC複合体の反り量の規定に加えて,複合体と金属層の積層構造及び2つの板状複合体層の炭素含有量の差を構成要- 67 -件として規定するものであるが,いずれの甲号証にも,これらの構成要件は開示されていないから,この点においても,本件訂正発明6の進歩性を肯定した本件審決の結論に誤りはない。 (7) 本件訂正発明7ないし11の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点2に係る容易想到性の判断には,前記(1)記載のとおり誤りはない。 イ本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点5に係る容易想到性の判断には,前記(2)記載のとおり誤りはない。 ウ本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点5に係る容易想到性の判断には,前記(3)記載のとおり誤りはない。 エ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 オ本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点に係る容易想到性の判断には, 明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 オ本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲1発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(6)記載のとおり誤りはない。 カしたがって,本件訂正発明7ないし11は甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件審決の判断に誤りはない。 (8) まとめ本件訂正発明は,いずれも甲1発明と甲2ないし甲8及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって,本件審決における刊行物1(甲1)に基づく進歩性判断に誤- 68 -りはない。 4 取消事由4(刊行物4(甲4)に基づく進歩性判断の誤り)について〔原告の主張〕(1) 本件訂正発明1の進歩性判断の誤りについてア本件審決は,本件訂正発明1と甲4発明との相違点7について,甲4には,常温において複合体に所定量の反りを与えるという教示はなく,甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8のいずれにも所定量の反りを与えるという技術思想は開示されていないとして,甲4発明に甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8に記載された発明を組み合わせても,相違点7に係る本件訂正発明1の発明特定事項を導き出すことはできない旨判断した。 イ甲4の反り量について本件審決は,甲4発明の反り量は300℃におけるものである旨認定した。 しかしながら,技術常識に照らすと,上記認定は誤りであり,甲4発明の反り量は室温に冷却された後に計測されたものであると考えられる。 すなわち,甲4によれば,寸法測定は「マクロメーター」を用いて行ったと記載されている(段落【0039】)が あり,甲4発明の反り量は室温に冷却された後に計測されたものであると考えられる。 すなわち,甲4によれば,寸法測定は「マクロメーター」を用いて行ったと記載されている(段落【0039】)が,これは「マイクロメーター」の誤記であると解される。そして,マイクロメーターは,金属製であって,300℃もの高温に熱せられた被計測物に接すれば,マイクロメーターの熱膨張により大きな誤差が生じてしまうからである(甲24の1・2)。また,加熱は,試験体を電気炉中に設置して行ったとされるが(段落【0039】),電気炉から取り出さなければ操作者が手により操作するマイクロメーターによる計測はできないはずであるからである。 ウ以上のとおり,甲4は,室温に冷却された後に計測された反り量を規定したものであると認められるし,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21ないし甲23に- 69 -記載されているように周知技術であったから,本件審決における上記判断は誤りであり,本件訂正発明1は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (2) 本件訂正発明2の進歩性判断の誤りについて本件審決は,相違点10に係る本件訂正発明2の構成は,甲1ないし甲8のいずれにも反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は開示されておらず,甲4発明に甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8に記載された発明を組み合わせても,相違点10に係る本件訂正発明2の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,前記(1)記載のとおり,反り量を所定の範囲内に制御することは,甲1ないし甲8に開示されており,かつ周知技術でもある。 また,具体的な数値も単 できない旨判断した。 しかしながら,前記(1)記載のとおり,反り量を所定の範囲内に制御することは,甲1ないし甲8に開示されており,かつ周知技術でもある。 また,具体的な数値も単なる設計事項にすぎないから,甲4発明において,相違点10に係る本件訂正発明2の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明2は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (3) 本件訂正発明3の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明3と甲4発明とは,少なくとも相違点10において相違するとした上で,相違点10に係る本件訂正発明3の構成は,甲1ないし甲8のいずれからも導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,前記(2)記載のとおり,甲4発明において,相違点10に係る本件訂正発明3の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明3は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (4) 本件訂正発明4の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明4と甲4発明とは,本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の- 70 -反りを有」しているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点で相違するとした上で,甲1ないし甲8のいずれにも反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は開示されておらず,当業者において,上記相違点に係る本件訂正発明4の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21ないし甲23に記載があるように周知技術で の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21ないし甲23に記載があるように周知技術であったから,甲4発明において,上記相違点に係る本件訂正発明4の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明4は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (5) 本件訂正発明5の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲4発明との相違点10に係る容易想到性の判断は,前記(3)記載のとおり誤りである。 イ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲4発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りである。 ウ本件訂正発明5は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (6) 本件訂正発明6の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明6と甲4発明とは,本件訂正発明6は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点で相違するとした上で,甲1ないし甲8に基づいて,当業者において,上記相違点に係る本件訂正発明6の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,本件審決における上記相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りである。 本件訂正発明6は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発- 71 -明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (7) 本件訂正発明7ないし11の進歩性 誤りである。 本件訂正発明6は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発- 71 -明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (7) 本件訂正発明7ないし11の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点7に係る容易想到性の判断は,前記(1)記載のとおり誤りである。 イ本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点10に係る容易想到性の判断は,前記(2)記載のとおり誤りである。 ウ本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点10に係る容易想到性の判断は,前記(3)記載のとおり誤りである。 エ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りである。 オ本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(6)記載のとおり誤りである。 カ本件訂正発明7ないし11は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (8) まとめ本件訂正発明は,いずれも甲4発明と甲1ないし甲3,甲5ないし甲8及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件審決における刊行物4(甲4)に基づく進歩性判断は誤りである。 〔被告の主張〕- 72 -(1) 本件訂正発明1についてア本件訂正発明1の進歩性について(ア) 甲4には,300℃に加熱した際の反りが記載 性判断は誤りである。 〔被告の主張〕- 72 -(1) 本件訂正発明1についてア本件訂正発明1の進歩性について(ア) 甲4には,300℃に加熱した際の反りが記載されているにすぎず,この反りは,300℃に加熱した際の一時的なものである点で,室温における凸状を規定した本件訂正発明とはまったく異なる。 甲4には,「反り」を積極的に形成するという技術思想はなく,また,「凸面」以外の本件訂正発明1に係る構成についての記載も示唆もない。 したがって,甲4発明を出発点として,本件訂正発明1に至る動機付けは存しない。 甲4には,加熱された際にはもちろん,室温においても,「反り」をなくすことで,放熱性を向上させようとする技術思想が開示されているから,本件訂正発明1の技術思想とは相反し,むしろ,本件訂正発明1の特徴である構成を導入することについて阻害事由がある。 (イ) 甲4以外の各甲号証には,相違点7に係る本件訂正発明1の構成,すなわち,「凸面」に関連する他の構成は記載されていないから,甲4発明とこれ以外の各甲号証に記載された発明を組み合わせたとしても,本件訂正発明1に容易に想到することはできない。 (ウ) 以上のとおり,本件訂正発明1は,刊行物4(甲4)に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 イ原告の主張について(ア) 原告は,甲4発明の反り量は室温に冷却された後に計測されたものである旨主張する。 しかしながら,甲4の「反り」が加熱の際のものであることは,甲4に明記されているとおりであり(請求項2,段落【0015】,【0025】,【0026】等),原告の上記主張は,甲4の記載に反し,失当である。 - 73 -(イ) 原告は, ことは,甲4に明記されているとおりであり(請求項2,段落【0015】,【0025】,【0026】等),原告の上記主張は,甲4の記載に反し,失当である。 - 73 -(イ) 原告は,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21ないし甲23に記載されているように周知技術であった旨主張する。 しかしながら,甲2,甲3及び甲8には,銅製のヒートシンクの凸状が開示されているにすぎず,「反り量を所定の範囲に規定する技術思想」については記載も示唆もない。 また,甲21には,銅製のヒートシンクの凸状についての数値範囲が記載されているにすぎず,板状のAlSiC複合体については記載も示唆もない。 さらに,甲22には,他の部材と組み合わさった状態におけるAlSiC複合体が反った状態が開示されているにすぎず(AlSiC複合体は,筺体と組み合わされる前の単体の状態においては平坦なものとして記載されている。),本件訂正発明の板状AlSiC複合体単体における凸状とは技術的意義が異なるうえに,数値範囲の規定も記載がない。 甲23は,箱状のヒートシンクの底面が凸状になった状態が開示されているに過ぎず,本件訂正発明の板状のAlSiC複合体における凸状とは技術的意義が異なるうえに,数値範囲の規定も記載がない。 したがって,原告の上記主張は失当である。 ウ小括以上のとおり,本件審決における本件訂正発明1の進歩性判断に誤りはない。 (2) 本件訂正発明2について原告は,相違点10に係る本件訂正発明2の構成は,反りを与え,その反り量を所定の範囲に制御することといえるが,これらの事項は甲1ないし甲8に開示されており,かつ,周知技術でもある旨主張する。 しかしながら,甲 10に係る本件訂正発明2の構成は,反りを与え,その反り量を所定の範囲に制御することといえるが,これらの事項は甲1ないし甲8に開示されており,かつ,周知技術でもある旨主張する。 しかしながら,甲1には,反り量はおろか,反りについての記載も示唆も- 74 -なく,甲2ないし甲8にも,AlSiC複合体の反りは記載されていないから,原告の上記主張は失当である。 また,甲4発明において,反りを付することは,発明の目的に反するから,反りを導入することには阻害事由がある。 さらに,本件訂正発明2と甲4発明との相違点は,相違点10だけではなく,本件訂正発明2は,反り量の数値範囲の規定に加えて,表裏の金属層の厚さ及び表裏の金属層の厚さの差の数値範囲を構成として有する。このような技術思想は,甲4にも,甲4以外の各甲号証にも開示されていないから,甲4と他の甲号証を組み合わせたとしても,本件訂正発明2に容易に想到できるものではない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明2は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (3) 本件訂正発明3の進歩性判断の誤りについて原告は,甲4発明において,相違点10に係る本件訂正発明3の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明3は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,前記(2)記載のとおり,甲4において,AlSiC複合体に反りを付することの動機付けはなく,また,反りを導入することには阻害事由があるから,甲4発明に,反りを構成要件として付加することは容易に想到できるものではない。 さらに,本件訂正発明3と甲4発明との相違点は,相違点10だけではなく,本件訂正発明3は,反り量の 害事由があるから,甲4発明に,反りを構成要件として付加することは容易に想到できるものではない。 さらに,本件訂正発明3と甲4発明との相違点は,相違点10だけではなく,本件訂正発明3は,反り量の数値範囲の規定に加えて,複合体部分の厚さと表裏の金属層の厚さの関係の数値範囲を構成として有する。このような技術思想は,甲4にも,甲4以外の各甲号証にも開示されていないから,甲4と他の甲号証を組み合わせたとしても,本件訂正発明3に容易に想到でき- 75 -るものではない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明3は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (4) 本件訂正発明4の進歩性判断の誤りについて原告は,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21及び甲22に記載があるように周知技術であったから,甲4発明において,相違点に係る本件訂正発明4の構成(「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有する」)を導き出すことは容易であり,本件訂正発明4は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,甲2,甲3及び甲8には,銅製のヒートシンクの凸状が開示されているにすぎず,「反り量を所定の範囲に規定する技術思想」については記載も示唆もない。 また,甲21には,銅製のヒートシンクの凸状についての数値範囲が記載されているにすぎず,板状のAlSiC複合体については記載も示唆もない。 さらに,甲22には,他の部材と組み合わさった状態におけるAlSiC複合体が反った状態が開示されているにすぎず(AlSiC複合体は,筺体と組み合わされる前の単体の状態においては平 示唆もない。 さらに,甲22には,他の部材と組み合わさった状態におけるAlSiC複合体が反った状態が開示されているにすぎず(AlSiC複合体は,筺体と組み合わされる前の単体の状態においては平坦なものとして記載されている。),本件訂正発明の板状AlSiC複合体単体における凸状とは技術的意義が異なる上に,数値範囲の規定も記載がない。 甲23は,箱状のヒートシンクの底面が凸状になった状態が開示されているにすぎず,本件訂正発明の板状のAlSiC複合体における凸状とは技術的意義が異なる上に,数値範囲の規定も記載がない。 以上のとおり,原告の上記主張は失当である。 また,甲4発明は,AlSiC複合体について,加熱された際であっても- 76 -反りを小さくすることが目的であるから,室温においては反りが存在しないのが望ましい。したがって,甲4発明において,反りを付することは,発明の目的に反するから,組み合わせ阻害事由がある。 さらに,本件訂正発明4と甲4との相違点は,相違点10だけではなく,凸面に関連する様々な構成を含むものであるが,いずれの甲号証にも,これらの構成については開示されていない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明4は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (5) 本件訂正発明5ア本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲4発明との相違点10に係る容易想到性の判断には,前記(3)記載のとおり誤りはない。 イ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲4発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 ウしたがって,本件訂正発明5は甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件審決の判 点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 ウしたがって,本件訂正発明5は甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件審決の判断に誤りはない。 (6) 本件訂正発明6の進歩性判断の誤りについて原告は,本件訂正発明6は,甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,前記(4)記載のとおりであって,本件訂正発明6は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 また,本件訂正発明6は,AlSiC複合体の反り量の規定に加えて,複合体と金属層の積層構造及び2つの板状複合体層の炭素含有量の差を構成要件として規定するものであるが,いずれの甲号証にも,これらの構成要件は開示されていないから,この点においても,本件訂正発明6の進歩性を肯定した本件審決の結論に誤りはない。 - 77 -(7) 本件訂正発明7ないし11の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点7に係る容易想到性の判断には,前記(1)記載のとおり誤りはない。 イ本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点10に係る容易想到性の判断には,前記(2)記載のとおり誤りはない。 ウ本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点10に係る容易想到性の判断には,前記(3)記載のとおり誤りはない。 エ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 オ本件訂正発明6の り誤りはない。 エ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 オ本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲4発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(6)記載のとおり誤りはない。 カしたがって,本件訂正発明7ないし11は甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件審決の判断に誤りはない。 (8) まとめ本件訂正発明は,いずれも甲4発明と甲1ないし甲3,甲5ないし甲8及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって,本件審決における刊行物4(甲4)に基づく進歩性判断に誤りはない。 5 取消事由5(刊行物8(甲8)に基づく進歩性判断の誤り)について〔原告の主張〕- 78 -(1) 本件訂正発明1の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明1と甲8発明との相違点12について,相違点2と同じであるから,甲1ないし甲8に記載された発明を組み合わせても,相違点12に係る本件訂正発明1の発明特定事項を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21ないし甲23に記載されているように周知技術であったから,本件審決における上記判断は誤りであり,本件訂正発明1は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (2) 本件訂正発明2の進歩性判断の誤りについて本件審決は,相違点15に係る本件訂正発明2の構成は, に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (2) 本件訂正発明2の進歩性判断の誤りについて本件審決は,相違点15に係る本件訂正発明2の構成は,甲1ないし甲8のいずれにも反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は開示されておらず,甲1ないし甲8に記載された発明を組み合わせても,相違点15に係る本件訂正発明2の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,前記(1)記載のとおり,反り量を所定の範囲内に制御することは,甲1ないし甲8に開示されており,かつ周知技術でもある。 また,具体的な数値も単なる設計事項にすぎないから,甲8発明において,相違点15に係る本件訂正発明2の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明2は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (3) 本件訂正発明3の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明3と甲8発明とは,少なくとも相違点15において相違するとした上で,相違点15に係る本件訂正発明3の構成は,甲1ないし甲8のいずれからも導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,前記(2)記載のとおり,甲8発明において,相違点15に係- 79 -る本件訂正発明3の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明3は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (4) 本件訂正発明4の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明4と甲8発明とは,本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲8発明 の誤りについて本件審決は,本件訂正発明4と甲8発明とは,本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点で相違するとした上で,甲1ないし甲8のいずれにも反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は開示されておらず,当業者において,上記相違点に係る本件訂正発明8の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21ないし甲23に記載があるように周知技術であったから,甲4発明において,上記相違点に係る本件訂正発明4の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明4は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (5) 本件訂正発明5の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲8発明との相違点15に係る容易想到性の判断は,前記(3)記載のとおり誤りである。 イ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲8発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りである。 ウ本件訂正発明5は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (6) 本件訂正発明6の進歩性判断の誤りについて本件審決は,本件訂正発明6と甲8発明とは,本件訂正発明6は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の- 80 -反りを有」しているのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点で相違するとした上で,甲1ないし 6は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の- 80 -反りを有」しているのに対し,甲8発明は,かかる事項を有していない点で相違するとした上で,甲1ないし甲8に基づいて,当業者において,上記相違点に係る本件訂正発明6の構成を導き出すことはできない旨判断した。 しかしながら,本件審決における上記相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りである。 本件訂正発明6は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (7) 本件訂正発明7ないし11の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点12に係る容易想到性の判断は,前記(1)記載のとおり誤りである。 イ本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点15に係る容易想到性の判断は,前記(2)記載のとおり誤りである。 ウ本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点15に係る容易想到性の判断は,前記(3)記載のとおり誤りである。 エ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(4)記載のとおり誤りである。 オ本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点に係る容易想到性の判断は,前記(6)記載のとおり誤りである。 カ本件訂正発明7ないし11は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (8) まとめ- 81 -本件訂正発明は カ本件訂正発明7ないし11は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 (8) まとめ- 81 -本件訂正発明は,いずれも甲8発明と甲1ないし甲7及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く。 したがって,本件審決における刊行物8(甲8)に基づく進歩性判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1) 本件訂正発明1についてア本件訂正発明1の進歩性について(ア) 甲8の記載からは,ヒートシンクを凸状にすることは,銅のヒートシンクによる問題の解決手段として採用されたのであって,これをAlSiC複合体のヒートシンクである場合には適用しないと理解するのが自然である。 すなわち,甲8は,銅のように,セラミックス基板との熱膨張率の差が著しい場合について,ヒートシンクを凸形状にすることを開示するにとどまり,AlSiC複合体である場合に,ヒートシンクを「凸面」にすることについては記載も,示唆もない。 甲8発明を出発点として,本件訂正発明1に至る動機付けは存在しない。 (イ) 仮に,甲8にAlSiC複合体の「凸面」が開示されているとしても,「凸面」以外の構成については記載も示唆もないから,甲8発明を出発点として,本件訂正発明1に至る動機付けは存在しない。 (ウ) 甲8以外の各甲号証には,相違点12に係る本件訂正発明1の構成,すなわち,「凸面」に関連する他の構成は記載されていないから,甲8発明とこれ以外の各甲号証に記載された発明を組み合わせたとしても,本件訂正発明1に容易に想到することはできない。 (エ) 以上のとおり,本件訂正発明1は,刊行物8(甲8)に基づ いから,甲8発明とこれ以外の各甲号証に記載された発明を組み合わせたとしても,本件訂正発明1に容易に想到することはできない。 (エ) 以上のとおり,本件訂正発明1は,刊行物8(甲8)に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 - 82 -イ原告の主張について原告は,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21ないし甲23に記載されているように周知技術であった旨主張する。 しかしながら,前記4〔被告の主張〕(1)イ(イ)記載のとおり,原告の上記主張は失当である。 ウ小括以上のとおり,本件審決における本件訂正発明1の進歩性判断に誤りはない。 (2) 本件訂正発明2について原告は,相違点15に係る本件訂正発明2の構成は,反りを与え,その反り量を所定の範囲に制御することといえるが,これらの事項は甲1ないし甲8に開示されており,かつ,周知技術でもある旨主張する。 しかしながら,前記4〔被告の主張〕(2)記載のとおり,原告の上記主張は失当である。 甲8において,AlSiC複合体に反りを付することの動機付けはないから,甲8発明に,反りを構成要件として付加することは容易に想到できるものではない。 さらに,本件訂正発明2と甲8発明との相違点は,相違点15だけではなく,本件訂正発明2は,反り量の数値範囲の規定に加えて,表裏の金属層の厚さ及び表裏の金属層の厚さの差の数値範囲を構成として有する。このような技術思想は,甲8にも,甲8以外の各甲号証にも開示されていないから,甲8と他の甲号証を組み合わせたとしても,本件訂正発明2に容易に想到できるものではない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明2は進歩性を有するから,本件審 証にも開示されていないから,甲8と他の甲号証を組み合わせたとしても,本件訂正発明2に容易に想到できるものではない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明2は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 - 83 -(3) 本件訂正発明3の進歩性判断の誤りについて原告は,甲8発明において,相違点15に係る本件訂正発明3の構成を導き出すことは容易であり,本件訂正発明3は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,前記(2)記載のとおり,甲8において,AlSiC複合体に反りを付することの動機付けはないから,甲8発明に,反りを構成要件として付加することは容易に想到できるものではない。 さらに,本件訂正発明3と甲8発明との相違点は,相違点15だけではなく,本件訂正発明3は,反り量の数値範囲の規定に加えて,複合体部分の厚さと表裏の金属層の厚さの関係の数値範囲を構成として有する。このような技術思想は,甲8にも,甲8以外の各甲号証にも開示されていないから,甲8と他の甲号証を組み合わせたとしても,本件訂正発明3に容易に想到できるものではない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明3は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (4) 本件訂正発明4の進歩性判断の誤りについて原告は,反り量を所定の範囲に規定するという技術思想は,甲2,甲3及び甲8に開示され,かつ,甲21及び甲22に記載があるように周知技術であったから,甲8発明において,相違点に係る本件訂正発明4の構成(「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有する」)を導き出すことは容易であり,本件訂正発明 あったから,甲8発明において,相違点に係る本件訂正発明4の構成(「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有する」)を導き出すことは容易であり,本件訂正発明4は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,甲2,甲3及び甲8には,銅製のヒートシンクの凸状が開示されているにすぎず,「反り量を所定の範囲に規定する技術思想」につい- 84 -ては記載も示唆もない。 また,甲21には,銅製のヒートシンクの凸状についての数値範囲が記載されているにすぎず,板状のAlSiC複合体については記載も示唆もない。 さらに,甲22には,他の部材と組み合わさった状態におけるAlSiC複合体が反った状態が開示されているにすぎず(AlSiC複合体は,筺体と組み合わされる前の単体の状態においては平坦なものとして記載されている。),本件訂正発明の板状AlSiC複合体単体における凸状とは技術的意義が異なるうえに,数値範囲の規定も記載がない。 甲23は,箱状のヒートシンクの底面が凸状になった状態が開示されているにすぎず,本件訂正発明の板状のAlSiC複合体における凸状とは技術的意義が異なるうえに,数値範囲の規定も記載がない。 以上のとおり,原告の上記主張は失当である。 また,甲8において,AlSiC複合体に反りを付する動機付けはないし,いずれの甲号証にも,凸面に関連する様々構成要件を含む相違点は記載も示唆もないから,甲8と他の甲号証を組み合わせたとしても,本件訂正発明4に容易に想到することはできない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明4は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (5) 本件訂正発明5 としても,本件訂正発明4に容易に想到することはできない。 したがって,いずれにせよ,本件訂正発明4は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 (5) 本件訂正発明5ア本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲8発明との相違点15に係る容易想到性の判断には,前記(3)記載のとおり誤りはない。 イ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲8発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 ウしたがって,本件訂正発明5は甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件審決の判断に誤りはない。 - 85 -(6) 本件訂正発明6の進歩性判断の誤りについて原告は,本件訂正発明6は,甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張する。 しかしながら,前記(4)記載のとおりであって,本件訂正発明6は進歩性を有するから,本件審決における判断に誤りはない。 また,本件訂正発明6は,AlSiC複合体の反り量の規定に加えて,複合体と金属層の積層構造及び2つの板状複合体層の炭素含有量の差を構成要件として規定するものであるが,いずれの甲号証にも,これらの構成要件は開示されていないから,この点においても,本件訂正発明6の進歩性を肯定した本件審決の結論に誤りはない。 (7) 本件訂正発明7ないし11の進歩性判断の誤りについてア本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点12に係る容易想到性の判断には,前記(1)記載のとおり誤りはない。 イ本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲 を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点12に係る容易想到性の判断には,前記(1)記載のとおり誤りはない。 イ本件訂正発明2の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点15に係る容易想到性の判断には,前記(2)記載のとおり誤りはない。 ウ本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点15に係る容易想到性の判断には,前記(3)記載のとおり誤りはない。 エ本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(4)記載のとおり誤りはない。 オ本件訂正発明6の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11と甲8発明との相違点に係る容易想到性の判断には,前記(6)記載のとおり誤りはない。 - 86 -カしたがって,本件訂正発明7ないし11は甲8発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではないから,本件審決の判断に誤りはない。 (8) まとめ本件訂正発明は,いずれも甲8発明と甲1ないし甲7及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって,本件審決における刊行物8(甲8)に基づく進歩性判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(本件訂正における訂正事項1及び2に係る許否判断の誤り)について(1) 原告は,訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当せず,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内のものではなく,又は,実質上特許請求の範囲を拡張するものであるから,本件審決が訂正事項1及び2に係る訂正を認めたのは誤りである旨主張するので,以下において検討する。 等に記載した事項の範囲内のものではなく,又は,実質上特許請求の範囲を拡張するものであるから,本件審決が訂正事項1及び2に係る訂正を認めたのは誤りである旨主張するので,以下において検討する。 (2) 訂正事項1についてア訂正事項1は,前記第2の2(1)記載のとおりのものであって,これは,特許請求の範囲の請求項1に記載された「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係」について,「50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)」との規定に加え,「|Cx|≧|Cy|」,すなわちCxの絶対値がCyの絶対値以上であることを規定するものである。 そうすると,訂正事項1は,特許請求の範囲の請求項1に記載された「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,- 87 -それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係」について,Cxの絶対値がCyの絶対値以上であるとの限定を加えるものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。 イ本件明細書の段落【0032】(同段落の記載につき,出願時から補正及び訂正はされていない。甲18)には,「本発明の複合体から成る放熱板を他の放熱部品に密着性良くネジ止め固定する場合,一般には,放熱板と放熱部品との間に放熱グリス等を介して固定される。このため,Y方向の反り量(Cy)に関しては,その絶対値が放熱グリス厚より小さいことが好ましい。また,締め付け時の放熱板の変形を考慮した場合,Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」との記載がある。 ところで,「締め付け時の放熱板の変 小さいことが好ましい。また,締め付け時の放熱板の変形を考慮した場合,Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」との記載がある。 ところで,「締め付け時の放熱板の変形を考慮した場合,Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」との記載を,両反り量を絶対値で比較するものと理解しないとすると,Cyが負の場合には,Cyが小さい方,すなわち,凹状に反っている量が大きい方が好ましいことを意味することになる。しかしながら,このような理解は技術常識に反することから,上記記載は,Y方向の反り量(Cy)は,その絶対値が放熱グリス厚より小さいことが好ましいと記載されているのと同様に,Y方向の反り量(Cy)の絶対値が,X方向の反り量(Cx)の絶対値より小さい方向が好ましいことを記載したものと理解される。 したがって,本件明細書には,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係」について,|Cx|>|Cy|の関係が記載されているといえる。 そして,本件明細書の段落【0075】の表9(ただし,本件訂正前の- 88 -もの。甲18)には,本件訂正発明の実施例(実施例28)として,「厚み3mm」,「Cx120μm」,「Cy120μm」に3次元ミルで面加工した炭化珪素質複合体について,測定した密着率が93%である例が記載されているから,本件明細書には,Cx=Cyの関係が記載されているといえる。 そうすると,本件明細書には,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係」について,|Cx|≧| そうすると,本件明細書には,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係」について,|Cx|≧|Cy|の関係が記載されているものと認められる。 したがって,訂正事項1は,願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内でされたものであると認められ,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 ウ原告の主張について(ア) 原告は,被告の訂正事項1に係る「反り量の大きい方向がX方向で,反り量の小さい方向がY方向であること」を明示したものであるとの主張を前提とすれば,X方向及びY方向(X方向に垂直な方向)は当初から定まっているものではなく,実際に作成した複合体において得られた「反り量」の結果から事後的にそれが大きい方向がX方向であると定義されることになり,訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的としていないことになる旨主張する。 原告の上記主張は,要するに,特許請求の範囲及び本件明細書の記載から「穴間方向」,すなわちX方向及びY方向が明確ではないと主張するものと解されるところ,訂正事項1に起因して,特許請求の範囲(請求項1)の記載が明確でなくなるというものではないから,かかる点を理由に,訂正事項1が特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないとはいえない。 - 89 -原告の主張する点は,訂正事項1に係る訂正が認められた後,本件訂正発明1について,記載要件違反があるか否か(取消事由2)において検討すべきである。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (イ) 原告は,本件訂正発明において,反りの向きは発明を特徴付ける凹凸形状の形成にとって極めて重要な指標であり,こ いて検討すべきである。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (イ) 原告は,本件訂正発明において,反りの向きは発明を特徴付ける凹凸形状の形成にとって極めて重要な指標であり,これを捨象して大小を比較するのが当然ということはできないから,単に「Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。」という記載だけからは,CxとCyを絶対値で比較すべきことが示唆されているとはいえず,|Cx|≧|Cy|との構成要件を特許請求の範囲に付加することは,願書に添付した明細書に記載のない新規事項を導入するものである旨主張する。 しかしながら,本件明細書の段落【0032】には,CxとCyを絶対値で比較することが記載されていると認められることは,前記イ記載のとおりである。 また,本件訂正前の請求項1におけるCxとCyとの関係から,Cyが負の場合に,その絶対値が最大となるのはCy=-50のときであり,その絶対値は50となる。これに対し,Cxの絶対値の最小の値は50であるから,Cyが負の場合,|Cx|≧|Cy|の関係は常に満たされることになる。そうすると,訂正事項1は,Cyが負の場合,本件訂正前の請求項1におけるCxとCyの関係に何ら変更を与えるものではないから,CxとCyを絶対値で比較することはCyの反りの向きを捨象して大小を比較することであるとする原告の指摘は当たらない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (ウ) 原告は,被告が本件無効審判手続において提出した答弁書(甲25)における,「Y方向は,X方向の穴と同数以上の穴が並ぶ方向に相当す- 90 -る」(33頁)という主張を前提とすれば,本件訂正前には請求項1に含まれなかった板状複合体が,本件訂正後の請求項1には含まれることにな は,X方向の穴と同数以上の穴が並ぶ方向に相当す- 90 -る」(33頁)という主張を前提とすれば,本件訂正前には請求項1に含まれなかった板状複合体が,本件訂正後の請求項1には含まれることになるから,訂正事項1は,実質的には,特許請求の範囲を拡張するものである旨主張する。 しかしながら,原告の上記主張は,被告の上記答弁書における主張を前提とした場合にかかる事例が生じることを指摘するものにすぎず,本件訂正前及び本件訂正後の特許請求の範囲,並びに本件明細書の記載に基づくものであるとはいえない。訂正事項1によって,穴間方向(X方向)及びそれと垂直なY方向の意義が変化するわけではないから,本件訂正前に特許請求の範囲(請求項1)に含まれなかった板状複合体が,本件訂正後にはこれに含まれるようになるとは認められない。 なお,特許請求の範囲(請求項1)の「穴間方向」(X方向・Y方向)の意義については,後記取消事由2で判断するとおりである。 エ以上のとおり,訂正事項1は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,かつ,願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内でされたものであると認められ,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,訂正事項1に係る訂正を認めた本件審決の判断に誤りはない。 (3) 訂正事項2について訂正事項2は,前記第2の2(2)記載のとおりのものであって,これは,訂正事項1に係る訂正後の特許請求の範囲(請求項1)の記載と,明細書の段落【0012】の記載を整合させることを内容とするものである。 したがって,訂正事項2は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって,かつ,前記(2)記載のとおり,願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内でされたものであると認められ,実質上特許請 。 したがって,訂正事項2は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって,かつ,前記(2)記載のとおり,願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内でされたものであると認められ,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,訂正事項2に係る訂正を認めた本件審決の判- 91 -断に誤りはない。 (4) 小括以上によれば,取消事由1に係る原告の主張は理由がない。 2 本件訂正発明について(1) 本件訂正発明の特許請求の範囲(請求項1ないし11)の記載は,前記第2の3に記載のとおりであるところ,本件明細書(甲18,19の2)には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図面については,別紙1の本件明細書図面目録を参照。)。 ア発明の属する技術分野「本発明は,熱伝導特性に優れ,かつ軽量であり,セラミックス基板やICパッケージなどの半導体部品のヒートシンクなどの放熱部材として好適な高熱伝導性の炭化珪素質複合材料とその製造方法及びそれを用いた放熱部品に関する。」(段落【0001】)イ従来の技術「近年,半導体分野での半導体素子の大容量化,半導体素子の高集積化が進むに従い,半導体素子から発生した熱エネルギーをいかに効率よく外部に放散させるかが重要な課題となっている。半導体素子は,通常,セラミックス基板等の絶縁性基板に搭載されて用いられる。この場合,半導体素子からの発熱は基板裏面等に設けられるヒートシンクと呼ばれる放熱部品を介して外部に発散させ,半導体素子の動作特性を確保している。」(段落【0002】)「従来,このヒートシンク材料としては,主に銅(Cu)が用いる。銅は,室温付近の熱伝導率が390W/mKと高いが,熱膨張係数が17×10-6/Kと大きく,セラミックス基板( (段落【0002】)「従来,このヒートシンク材料としては,主に銅(Cu)が用いる。銅は,室温付近の熱伝導率が390W/mKと高いが,熱膨張係数が17×10-6/Kと大きく,セラミックス基板(熱膨張係数:7~8×10-6/K)とヒートシンクの熱膨張差に起因して,加熱接合時や熱サイクルの付加等によりセラミックス基板にクラックや割れ等が生じることがある。従- 92 -来,セラミックス基板を信頼性が要求される分野に放熱部品として用いる場合には,セラミックス基板と熱膨張係数の差の小さいMo/W等をヒートシンクとして用いていた。」(段落【0003】)「上述したようなMo/W製ヒートシンクは,信頼性に優れる反面,熱伝導率が150W/mKと低く,放熱特性の面で問題があり,更に,このようなヒートシンクは高価である。このような事情から,近年,銅やアルミニウム合金を無機質繊維または粒子で強化したMMC(MetalMatrixComposite)と略称される金属ーセラミックス複合体が注目されている。このような複合体は,一般には,強化材である無機質繊維あるいは粒子を,あらかじめ成形することでプリフォームを形成し,そのプリフォームの繊維間あるいは粒子間に基材(マトリックス)である金属を溶浸させた複合体である。強化材としては,アルミナ,炭化珪素,窒化アルミニウム,窒化珪素,シリカ,炭素等のセラミックスが用いられている。しかし,強化材であるセラミックスとマトリックスである合金の濡れ性や界面の反応層等も熱伝導率に大きく寄与する。」(段落【0004】)「上記の複合体において,熱伝導率を上げようとする場合,強化材及び合金として熱伝導率の高い物質を選択する必要があり,熱膨張係数を下げるためには,熱膨張率の低い強化材を選択する必要がある。このため,炭 上記の複合体において,熱伝導率を上げようとする場合,強化材及び合金として熱伝導率の高い物質を選択する必要があり,熱膨張係数を下げるためには,熱膨張率の低い強化材を選択する必要がある。このため,炭化珪素-アルミニウム合金の複合体が主に研究されている。」(段落【0005】)ウ発明が解決しようとする課題「しかしながら,上述したように従来のセラミックス基板とヒートシンクとの接合構造を有する放熱部品において,MoやW等の重金属材料をヒートシンクに用いた場合,放熱部品の重量が重くなると共に,放熱性に関しても必ずしも十分でないという問題がある。一方,比較的軽量で放熱性- 93 -に優れるCuやAl等をヒートシンクとして用いる場合,セラミックス基板との熱膨張差が大きく,信頼性の高い構造を得るためには,接合構造自体が非常に複雑になってしまい,製造コストの増加や放熱部品としての熱抵抗の増加等を招くといった問題があった。この様なことから,従来のセラミックス基板とヒートシンクの接合構造を有する放熱部品においては,接合構造の簡略化を図り,且つ信頼性や放熱性の向上を図ることが課題とされている。」(段落【0006】)「一方,上記の課題を解決するため,金属-セラミックス複合体が検討されているが,セラミックス基板に近い熱膨張率を得ようとすると,熱膨張率の低い強化材であるセラミックスの比率を上げる必要がある。セラミックス成分の比率を上げるには,高い成形圧でプリフォームを成形する必要があり,コストアップに繋がると共に,その後の合金の十分な含浸が難しくなるという問題がある。このため,熱膨張率がセラミックス基板に近く,高い熱伝導率を有する金属-セラミックス複合体を安価に提供できる技術の開発が課題としてある。」(段落【0007】)「更に,この様な るという問題がある。このため,熱膨張率がセラミックス基板に近く,高い熱伝導率を有する金属-セラミックス複合体を安価に提供できる技術の開発が課題としてある。」(段落【0007】)「更に,この様な複合体は,放熱部品として用いる場合,回路基板と半田付けして用いられるため,複合体の反り量が大きすぎると半田付けが難しくなる。このため,この様な複合体を放熱部品として用いる場合,所定量以下の反り量に制御する必要がある。一方,この様な放熱部品を組み込んだパワーモジュール等の部品は,一般に放熱フィン等にネジ止めされて用いられる。その場合,パワーモジュール等の部品と放熱フィンの接合面に応力が働くべく,接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。しかし,従来の金属-セラミックス複合体では,この様に,任意に反り等の形状を付加しようとする場合,後加工により調整するしか方法がなかった。この場合,金属-セラミックス複合体は,非常に硬く,加工費用が高く,部品自体が非常に高価になっ- 94 -てしまうという課題があった。」(段落【0008】)「本発明は,上記の事情に鑑みなされたものであって,高熱伝導性を有すると共に,比重が小さく,且つ熱膨張係数がセラミックス基板に近い,反りを有していて放熱部品等に密着性良く接合される複合体及びこれを用いた放熱部品を安価に提供することを目的とするものである。」(段落【0009】)エ課題を解決するための手段「本発明者らは,上記目的を達成するため鋭意研究した結果,複合体の組成及びその構造を調整することにより,熱膨張係数等の特性及び複合体の形状を制御できることを見出し,本発明を完成するに至ったのである。」(段落【0010】)「本発明は,多孔質炭化珪素成形体にアル 組成及びその構造を調整することにより,熱膨張係数等の特性及び複合体の形状を制御できることを見出し,本発明を完成するに至ったのである。」(段落【0010】)「本発明は,多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250且つ-50≦Cy≦200(Cy=0を除く)であることを特徴とする炭化珪素質複合体である。」(段落【0012】)「更に,本発明は,多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が250μm以下の反りを有し,複合体の表裏両面が平均厚さ10~150μmのアルミニウムを主成分とする金属層で覆われており,しかも表裏の金属層の平均厚みの差が140μm以下であることを特徴とする炭化珪素質複合体である。」(段落【0013】)「また,本発明は,板状複合体が複合体部分(A)と複合体の少なくと- 95 -も片面に設けられたアルミニウムを主成分とする金属層(B)とからなり,複合体部分(A)の厚さの平均値(TA;μm)と金属層(B)の両面の厚さの平均値との合計(TB;μm)の比(TA/TB)が5~30であることを特徴とする炭化珪素質複合体である。」(段落【0014】)「更に,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50~250μmであり,しかも前記金属層(B)の表面側の厚さの平均値(TB1;μm)と裏面側の厚さの平均値(TB2;μm) 段落【0014】)「更に,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50~250μmであり,しかも前記金属層(B)の表面側の厚さの平均値(TB1;μm)と裏面側の厚さの平均値(TB2;μm)との差の絶対値(|TB1-TB2|)と,複合体の最大長(L;cm)との積が500以上2500以下であることを特徴とする炭化珪素質複合体である。」(段落【0015】)「更にまた,本発明は,多孔質炭化珪素成形体の少なくとも一主面に段差を設けることを特徴とする炭化珪素質複合体である。」(段落【0016】)「加えて,本発明は,枠内に2つの多孔質炭化珪素成形体を積層して配置した後,前記枠に鉄板を配置しボルト,ナットで固定してブロックとし,前記ブロックにアルミニウムを主成分とする金属を含浸することで得られる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,当該炭化珪素質複合体が,多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる2つの板状複合体(C,D)と,アルミニウムを主成分とする金属層(E)とがECEDEの構造で積層してなる複合体であって,板状複合体(C),(D)の炭素含有量の差が0.5~2.5重量%であり,複合体の主面の長さ10cmに対する反り量が50~250μmであることを特徴とする炭化珪素質複合体である。」(段落【0017】)「また,本発明は,炭化珪素質複合体を温度350℃以上で応力を加えて塑性変形させることにより,反り付けを行うことを特徴とする炭化珪素- 96 -質複合体の製造方法である。」(段落【0018】)「更に,本発明は,室温(25℃)から150℃に加熱した際の平均熱膨張係数が9×10-6/K以下であり,室温(25℃)の熱伝導率が1 - 96 -質複合体の製造方法である。」(段落【0018】)「更に,本発明は,室温(25℃)から150℃に加熱した際の平均熱膨張係数が9×10-6/K以下であり,室温(25℃)の熱伝導率が150W/mK以上であることを特徴とする炭化珪素質複合体である。」(段落【0019】)「更にまた,本発明は,板状複合体に半導体搭載用セラミックス基板を接合してなることを特徴とする放熱部品である。」(段落【0020】)「加えて,本発明は,セラミックス基板が窒化アルミニウム及び/又は窒化珪素であることを特徴とす放熱部品である。」(段落【0021】)「更に,本発明は,セラミックス基板を接合していない面を,放熱グリースを介して,平面板装着する際に,締め付けトルクが2N以上の条件において,前記面の90%以上が密着することを特徴とする前記の放熱部品である。」(段落【0022】)オ発明の実施の形態(ア) 板状複合体の材質「金属-セラミックス複合体の熱膨張率は,通常,強化材であるセラミックスと基材である金属の熱膨張率とその配合比で決まる。セラミックスの熱膨張率は金属の熱膨張率に比べかなり小さく,複合体の熱膨張率を下げるには,セラミックスの比率を増やすことが効果がある。一方,金属-セラミックス複合体の熱伝導率も,基本的には,強化材であるセラミックスと基材である金属の熱伝導率とその配合比で決まるが,熱伝導率の場合,強化材と基材との界面の結合状態が大きく寄与する。セラミックスと金属では,一般に金属の方が熱伝導率が高いが,炭化珪素(SiC),窒化アルミニウム(AlN),窒化硼素(BN)等は,金属と同等以上(300W/mK以上)の理論熱伝導率を有し,熱伝導率向上の点からは,強化材として非常に有望である。しかし,実際に複合- 97 ),窒化アルミニウム(AlN),窒化硼素(BN)等は,金属と同等以上(300W/mK以上)の理論熱伝導率を有し,熱伝導率向上の点からは,強化材として非常に有望である。しかし,実際に複合- 97 -体を製造する場合,AlNやBNは高価であり,得られる複合体も高価になってしまう。また,AlNやBNは,大気雰囲気中で酸化され易く,複合体とした場合,強化材であるセラミックスと基材である金属との間に熱伝導率が極めて低いガラス相を形成し易く,その結果,得られる複合体の熱伝導率が低下してしまう。」(段落【0023】)「本発明者らは,強化材について種々検討した結果,炭化珪素を主成分とするセラミックスが,高熱伝導率と低熱膨張率を兼ね備えた金属-セラミックス複合体を製造するのに適していることを見いだした。」(段落【0024】)「一方,このような複合体を製造する場合,強化材と金属との濡れ性が緻密な複合体を得るためには重要である。含浸する金属の融点が高いと,含浸時の温度が高くなり,セラミックスが酸化されたり,セラミックスと金属が反応して特性的に好ましくない化合物を形成することがある。更に,基材である金属の融点が高いと,含浸温度が高くなることにより,型材等の材質が限定されてしまうと共に,鋳造コスト自体も増加し,得られる複合体が高価になってしまう。」(段落【0025】)「本発明者らは,基材である金属について種々検討した結果,アルミニウムを主成分とする合金を用いることにより,良好な複合体を製造できることを見いだした。すなわち,本発明の複合体は,炭化珪素粉末又は炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなるものである。」(段落【0026】)「金属-セラミックス複合体の熱膨張率,熱伝導率等の特性は,強化材であるセラミックスと基材で 又は炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなるものである。」(段落【0026】)「金属-セラミックス複合体の熱膨張率,熱伝導率等の特性は,強化材であるセラミックスと基材である金属の特性とその配合比で決まる。 本発明の複合体中の炭化珪素の含有量は,50~80体積%であることが好ましく,更に好ましくは60~70体積%である。炭化珪素の含有量が50体積%未満では,複合体の熱膨張率が高くなり,本発明が目的- 98 -とする信頼性の高い放熱部品が得られなくなる。また,炭化珪素の含有量を高くすることは,複合体の高熱伝導率,低熱膨張率といった点では有効であるが,80体積%を越えて充填する場合,非常に高い成形圧力を必要とする等の問題があり,得られる金属ーセラミックス複合体のコストが極端に高くなってしまう。」(段落【0027】)「一方,本発明の炭化珪素質複合体中の金属は,アルミニウムを主成分とする合金であり,好ましくはシリコンを20重量%以下,マグネシウムを5重量%以下含有する。合金中のアルミニウム,シリコン,マグネシウム以外の金属成分に関しては,極端に合金の特性が変化しない範囲であれば銅等も含有することができる。合金中のアルミニウム以外の成分を調整することにより,合金自体の熱伝導率や熱膨張率を変えることができ,得られる複合体の熱膨張率や熱伝導率も調整できる。また,アルミニウム金属にシリコンやマグネシウムが合金化することにより合金の融点低下や高温での溶融金属の粘性低下があり,高温鋳造法等で緻密な複合体が得やすくなる。更に,アルミニウム金属を合金化することにより,金属自体の硬度増加があり,その結果,得られる複合体の強度等の機械的特性が向上する。」(段落【0028】)(イ) 板状複合体の構造「また本発明は ミニウム金属を合金化することにより,金属自体の硬度増加があり,その結果,得られる複合体の強度等の機械的特性が向上する。」(段落【0028】)(イ) 板状複合体の構造「また本発明は,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が250μm以下の反りを有することを本質的とする。複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が250μmを超えると,本発明の複合体を放熱部品として用いる場合,回路基板等との接合不良が発生してしまうという問題や,放熱フィン等にネジ止めする際に,過大な曲げ応力が加わり,複合体が破損してしまうという問題が発生する。一方,この様な複合体からなる放熱部品を組み込んだパワーモジュール等の部品は,放熱フィン等にネジ止めされて用いられる。その場合,パワーモジュール- 99 -等の部品と放熱フィンの接合面に応力が働くべく,接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。」(段落【0029】)「本発明の第1の発明は,板状複合体の主面内に他の放熱部品にネジ止め固定できように,4個以上の穴部を有していることである。前記穴の形状については,放熱部品等の大きさにより適宜選択すれば良いが,一般的にはM6~M10のネジが貫通できるサイズであれば良い。穴部の個数については,放熱板の大きさに応じて4個以上の多数個を設けることができるが,3個以下のときには放熱板の全面を他の放熱部品に必ずしも密着させることができない。」(段落【0030】)「本発明においては,穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と前記X方向に垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)とについて,50≦Cx≦250であり,しかも-50≦Cy≦200であることが本質的である。一般にこ 反り量(Cx;μm)と前記X方向に垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)とについて,50≦Cx≦250であり,しかも-50≦Cy≦200であることが本質的である。一般にここで,前記穴間方向(X方向)とは,図9(a)~(d)に例示した,放熱板表面の一方向を示し,Y方向は,前記表面内のX方向と垂直な方向を示している。」(段落【0031】)「本発明者らは,従来技術における前記課題の解決を図り,いろいろ実験的に検討した結果,反り量(Cx;μm,並びにCy;μm)が前記特定の範囲にあるときに,複合体から成る放熱板を他の放熱部品に密着性良くネジ止め固定することができるという知見を得て,本発明に至ったものである。本発明の複合体から成る放熱板を他の放熱部品に密着性良くネジ止め固定する場合,一般には,放熱板と放熱部品との間に放熱グリス等を介して固定される。このため,Y方向の反り量(Cy)に関しては,その絶対値が放熱グリス厚より小さいことが好ましい。また,締め付け時の放熱板の変形を考慮した場合,Y方向の反り量(Cy)はX- 100 -方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。前記の反り量が前記特定範囲を満足できないときには,必ずしも密着性良く放熱板を他の放熱部品にネジ止め固定することができないことがある。」(段落【0032】)「また,本発明の第2の発明は,板状複合体(A)の両面にアルミニウムを主成分とする合金層(B)が接合してなる板状の複合体である。 表面部がアルミニウムを主成分とする合金層で覆われていることにより,表面部を加工する際には,この金属部分の加工ですみ,加工時の負荷を大幅に抑えることができる。表面部に金属-セラミックス複合体があると,その部分のみが硬く,加工が不均一になったり,ダイヤモンド等の高価な 部を加工する際には,この金属部分の加工ですみ,加工時の負荷を大幅に抑えることができる。表面部に金属-セラミックス複合体があると,その部分のみが硬く,加工が不均一になったり,ダイヤモンド等の高価な加工治具を用いる必要があるためである。また,表面部が金属層であることにより,メッキ処理を行う場合の均一性が向上する。上記理由から,金属層の平均厚さは10μm以上が選択される。」(段落【0033】)「一方,前記金属層は,アルミニウムを主成分とする金属からなるので,金属-セラミックス複合体部分に比べ,熱膨張係数が大きい。従って,金属層の厚さが増加すると複合体全体の熱膨張係数が大きくなってしまうので,金属層の平均厚さは150μm以下に選択される。」(段落【0034】)「また,表裏の金属層の平均厚さに差があると,金属層と金属-セラミックス複合体の熱膨張係数の違いに起因して,複合体自体の表裏面の熱膨張差が発生し,その結果,複合体に反りが発生する。この様な,反りは,これが制御されていない場合には,放熱部品等として複合体を用いるときに,回路基板等との接合不良の原因となる。この反り量と表裏の金属層の厚み差には,密接な関係があり,厚み差が140μmを超えると,複合体の反り量が大きくなり過ぎて,放熱部品等として用いるに- 101 -適当でなくなる。また,板状複合体の主面内に他の放熱部品にネジ止め固定できように,穴部を有している場合,その穴間距離が10cm以下の小型形状では,密着性良く放熱板を他の放熱部品にネジ止め固定するためには,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が100μm以下であることが好ましい。」(段落【0035】)「更に,本発明の第4の発明は,板状複合体(A)の厚さの平均値(TA)と,表裏の合金層の厚さの平均値の合計(TB)との に対しての反り量が100μm以下であることが好ましい。」(段落【0035】)「更に,本発明の第4の発明は,板状複合体(A)の厚さの平均値(TA)と,表裏の合金層の厚さの平均値の合計(TB)との比(TA/TB)が5~30である複合体である。TA/TBが5未満では,表面の該合金層の厚さが厚くなり過ぎて,熱膨張率や熱伝導率等の特性が低下してしまう。一方,TA/TBが30を超えると,表面の合金層が薄くなり過ぎ,表面部を機械加工等を行なう場合に,部分的に板状複合体が露出し,加工治具を破損するといった問題や,メッキ特性が低下するといった問題が発生する。また,表面の合金層の厚さを調整して,複合体の形状,具体的には反り量を調整する際にもある程度の合金層厚さが必要となるため,TA/TBは30以下である必要がある。」(段落【0036】)「また,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50~250μmであり,合金層(B)の表面側の厚さの平均値(TB1;μm)と裏面側の厚さの平均値(TB2;μm)の差と複合体の最大長(L;cm)とが500<(TB1-TB2)×L<2500である。複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が250μmを超えると,本発明の複合体を放熱部品として用いる場合,回路基板等との接合不良が発生してしまうという問題や,放熱フィン等にネジ止めする際に,過大な曲げ応力が加わり,複合体が破損してしまうという問題が発生し易い。 一方,この様な複合体からなる放熱部品を組み込んだパワーモジュール等の部品は,放熱フィン等にネジ止めされて用いられる。その場合,パ- 102 -ワーモジュール等の部品と放熱フィンの接合面に応力が働くべく,接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。このため,複合体の主 その場合,パ- 102 -ワーモジュール等の部品と放熱フィンの接合面に応力が働くべく,接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。このため,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm未満では,放熱部品等として用いる場合の反り量が不足し,放熱特性に問題が生じることがある。」(段落【0037】)「このような構造の複合体においては,合金層と板状複合体(金属-セラミックス複合体)の熱膨張係数の違いから,表裏の合金層の厚さ差があると,複合体自体の表裏の熱膨張差が発生し,その結果,複合体に反りが発生する。この様な反りは,表裏の合金層の厚み差と板状複合体のサイズに密接な関係があり,表裏の合金層の厚み差が大きくなると,また,板状複合体のサイズが大きくなると大きくなる。(TB1-TB2)×Lが2500を超えると,複合体の反り量が大きくなり過ぎて,また,(TB1-TB2)×Lが500未満では,複合体の反り量が小さくなり過ぎて,放熱部品として用いる場合,上述した様な問題があり好ましくない。」(段落【0038】)「更に,本発明は,多孔質炭化珪素成形体の少なくとも一主面に段差を設けることを特徴とするものである。前述した様に,この様な構造の複合体においては,表裏の合金層の厚み差により複合体に反りが発生する。段差の形状に関しては,溝等の側面と連結した構造や,窪み等の側面と連結していない構造があり,これらの組み合わせも可能である。段差部の深さに関しては,段差部の面積により異なる。段差部の面積が大きい場合,段差部の平均深さは浅く,段差部の面積が小さい場合,段差部の平均深さは深くする必要がある。このため,所望の表裏の合金層の平均厚み差を付ける為に必要な表裏の段差部の体積差がある。表裏の段差部の体積差に 差部の平均深さは浅く,段差部の面積が小さい場合,段差部の平均深さは深くする必要がある。このため,所望の表裏の合金層の平均厚み差を付ける為に必要な表裏の段差部の体積差がある。表裏の段差部の体積差については,複合体の体積の3~15%であることが好ましい。3%未満では,表裏の合金層の厚み差が少なく,所望の反り量を- 103 -得ることができない。また,15%を超えると,表裏の合金層の厚み差が大きくなり,複合体の反り量が大きくなり過ぎて,放熱部品等として用いる場合に回路基板等との接合不良等が起こり好ましくない。また,段差部の面積に関しては,主面の20~80%であることが好ましい。 20%未満では,段差部の平均深さを極端に深くする必要があり,複合体の強度等の面より好ましくない。一方,80%を超えると,複合体表面の合金層の厚みむらが大きくなり好ましくない。この段差部は,多孔質炭化珪素成形体の一主面のみに設けても,両面に設けても,表裏の段差部に体積差があれば問題はない。」(段落【0039】)「加えて,本発明は,枠内に2つの多孔質炭化珪素成形体を積層して配置した後,前記枠に鉄板を配置しボルト,ナットで固定してブロックとし,前記ブロックにアルミニウムを主成分とする金属を含浸することで得られる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,当該炭化珪素質複合体が,多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる2つの板状複合体(C,D)と,アルミニウムを主成分とする金属層(E)がECEDEの構造で積層してなる複合体であって,板状複合体(C),(D)の炭素含有量の差が0.5~2.5重量%である。複合体を5層構造にすることにより,板状複合体(C,D)の組成を る金属層(E)がECEDEの構造で積層してなる複合体であって,板状複合体(C),(D)の炭素含有量の差が0.5~2.5重量%である。複合体を5層構造にすることにより,板状複合体(C,D)の組成を調整することができ,その結果,複合体に反りを付加することができる。具体的には,板状複合体(C,D)の炭化珪素含有量に相当する炭素含有量の差を0.5~2.5重量%とする。複合体中の炭化珪素含有量が増加するに従い,その熱膨張率は小さくなり,板状複合体Cと板状複合体Dの炭素含有量の差が熱膨張差となり,反りが発生する。炭素含有量の差が0.5重量%未満では,板状複合体Aと板状複合体Bの熱膨張差が小さすぎて,十分な反り量が得られない。また,- 104 -炭素含有量の差が2.5重量%を超えると,板状複合体Cと板状複合体Dの熱膨張差が大きくなりすぎて,放熱部品等として用いるのに適さなくなる。」(段落【0040】)「複合体の反り量としては,複合体の主面の長さ10cmに対する反り量が50~250μmであることが好ましい。複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が250μmを超えると,本発明の複合体を放熱部品として用いる場合,回路基板等との接合不良が発生してしまうという問題や,放熱フィン等にネジ止めする際に,過大な曲げ応力が加わり,複合体が破損してしまうという問題が発生する。一方,この様な複合体からなる放熱部品を組み込んだパワーモジュール等の部品は,放熱フィン等にネジ止めされて用いられる。その場合,パワーモジュール等の部品と放熱フィンの接合面に応力が働くべく,接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。 このため,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm未満では,放熱部品等として用いる場合の反り量が不 接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。 このため,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm未満では,放熱部品等として用いる場合の反り量が不足し,本発明の目的を達成できないことがある。」(段落【0041】)「また本発明は,前記の板状の複合体を350℃以上の温度で主面と垂直な応力を加えて塑性変形させることにより,反り付けを行うことを特徴とする炭化珪素質複合体の製造方法である。前記操作により,前記所望の反り量を有する板状の複合体を容易に得ることができる。この場合,予め所望の形状の内面を有する型に,複合体を押しつける方法が,再現性高く好ましい。尚,350℃未満の温度では,複合体中のアルミニウムを主成分とする金属が,実質的に塑性変形しないので,発明の目的を達しがたい。前記温度の上限については,600℃を越えるとアルミニウム合金の一部が液相を形成し,流動を生じることがあるが,流動を生じる温度まで加熱すると,その冷却時に凝固に伴う変形が生じるこ- 105 -とがあり好ましくない。」(段落【0042】)「更に,本発明の複合体の室温(25℃)の熱伝導率は150W/mK以上である。熱伝導率が150W/mK未満では,放熱部品等として用いる場合に十分な放熱特性が得られず,その用途が限定されてしまうという問題がある。」(段落【0043】)「また,本発明の複合体は,室温(25℃)から150℃に加熱した際の平均熱膨張係数が9×10-6/K以下である。室温(25℃)から150℃に加熱した際の平均熱膨張係数が9×10-6/Kを越えると,パワーモジュール等の放熱部品として用いる場合に,セラミックス基板との熱膨張係数の差が大きくなり過ぎて,加熱接合時や熱サイクル不可等により,セラミックス基板にクラ 係数が9×10-6/Kを越えると,パワーモジュール等の放熱部品として用いる場合に,セラミックス基板との熱膨張係数の差が大きくなり過ぎて,加熱接合時や熱サイクル不可等により,セラミックス基板にクラックや割れ等が生じることがあり,信頼性が要求される放熱部品として用いる場合の用途が限定されてしまうという問題がある。」(段落【0044】)「また,本発明の複合体は,密度が3g/cm3 程度と銅等の金属に比べ軽く,放熱部品等として用いる場合,部品の軽量化に有効である。一方,本発明の複合体は,曲げ強度が300MPa以上と高く,放熱部品等として用いるに十分な機械的特性を有している。」(段落【0045】)「更にまた,本発明は,上述した複合体を用いることを特徴とする放熱部品である。本発明の放熱部品は,熱伝導特性に優れ且つ十分な機械的特性を有しており,ヒートシンク等として用いるに好適である。また,本発明の放熱部品は,密度が3g/cm3 程度と軽量であり,移動用機器に用いる放熱部品として好適である。本発明の放熱部品は,熱伝導特性に優れ,平均熱膨張率が9×10-6/K以下と低いためヒートシンク等の放熱部品として用いる場合,従来の銅等を用いた場合に比べ,放熱部品と接合されるセラミックス基板との熱膨張差が小さく,基板上の半導体- 106 -素子の作動時に発生する熱サイクル等によるセラミックス基板のクラックや割れ等を抑えることができる。このことにより,高い信頼性が要求される電機自動車等の移動用機器に用いる放熱部品として好適である。」(段落【0046】)「また,半導体素子の集積化や大型化に伴い,これを搭載するセラミックス基板には,高い放熱特性が要求されている。窒化アルミニウム及び窒化珪素基板は,絶縁特性に優れ,放熱特性に優れており,本発明の放熱部 また,半導体素子の集積化や大型化に伴い,これを搭載するセラミックス基板には,高い放熱特性が要求されている。窒化アルミニウム及び窒化珪素基板は,絶縁特性に優れ,放熱特性に優れており,本発明の放熱部品と接合して用いることにより,熱サイクル等の付加によるクラックや割れ等の極めて少ない高信頼性を得ることができる。」(段落【0047】)「また,本発明の放熱板は,セラミックス基板を接合していない面を,放熱グリースを介して,平面板装着する際に,締め付けトルクが2N以上の条件において,前記面の90%以上が密着する特徴を有し,セラミックス基板上の半導体素子の作動時に発生する熱を速やかに放散することができ,高信頼性のモジュールを形成できる利点がある。」(段落【0048】)(ウ) 板状複合体の製造方法「本発明の複合材の製造方法は,炭化珪素粉末に結合剤としてシリカゾル及び/又はアルミナゾル等を所定量添加混合し,所望の形状に成形する。成形方法は,乾式プレス成形,湿式プレス成形,押し出し成形,鋳込み成形等を用いることができ,必要に応じて保形用バインダーを添加してもよい。また,炭化珪素粉末に関しては,1種類の粉末を用いても良いが,複数の粉末を適宜粒度配合して高密度の成形体を容易に得ることができるので一層好ましい。次に,得られた成形体を,大気中又は窒素等の不活性ガス雰囲気中,温度700~1600℃で仮焼して炭化珪素質多孔体を製造する。一方,炭化珪素粉末に結合材としてシリコン- 107 -粉末を添加混合して,同様の方法で製造することもできる。更に,炭化珪素質多孔体の製造方法に関しては,炭化珪素粉末やシリコン粉末と炭素粉末の混合粉末を,不活性ガス雰囲気中,温度1600~2200℃で焼成して製造することもできる。」(段落【0049】 る。更に,炭化珪素質多孔体の製造方法に関しては,炭化珪素粉末やシリコン粉末と炭素粉末の混合粉末を,不活性ガス雰囲気中,温度1600~2200℃で焼成して製造することもできる。」(段落【0049】)「得られた炭化珪素質多孔体は,所定形状に加工した後,熱衝撃による割れ等を防止するため予め加熱し,融点以上の温度に加熱したアルミニウムを主成分とする溶融金属を高圧で含浸させて複合体とする。複合体の表面の金属層の厚み調整は,炭化珪素質多孔体を加工する際に,表面部に溝等を付加することにより,含浸して得られる複合体の表面の合金層の厚さを調整することができる。また,Al合金の薄板を炭化珪素質多孔体の表面に積層して含浸することによっても調整できる。この場合,多孔体のみならず炭化珪素粉末を用いることもできる。更に,複合体の表面の金属層を機械加工することによっても複合体の表面の金属層の厚みを調整することができる。更に,金型等を利用し,該金型の空隙寸法よりも若干小さな寸法のプリフォームを前記空隙内に配置し,該金型内の前記空隙内に溶融金属を注入する方法によっても作製することができる。金属成分の含浸方法に関しては,特に限定はなく,高圧鋳造法,ダイカスト法等が利用できる。」(段落【0050】)(エ) 実施例「[実施例1~10,比較例1]炭化珪素粉末A(大平洋ランダム社製:NG-220,平均粒径:60μm),炭化珪素粉末B(屋久島電工社製:GC-1000F,平均粒径:10μm)及びシリカゾル(日産化学社製:スノーテックス)を表1に示す組成で配合し,攪拌混合機で30分間混合した後,100mm×100mm×5mmの形状に10MPaの圧力で成形した。」(段落【0052】)「得られた成形体は,大気中,温度850℃で2時間加熱して,炭化- 108 混合機で30分間混合した後,100mm×100mm×5mmの形状に10MPaの圧力で成形した。」(段落【0052】)「得られた成形体は,大気中,温度850℃で2時間加熱して,炭化- 108 -珪素質多孔体とした。得られた炭化珪素質多孔体は,20mmφ×5mmの形状に加工して,その寸法と質量より相対密度(嵩密度)を算出した。得られた結果を表1に示す。」(段落【0053】)【表1】(段落【0054】) 「次に,得られた炭化珪素質多孔体をダイヤモンド加工治具で表1に示す厚さに加工し,各試料10枚を離型剤を塗布した図1の型枠(材質:炭素鋼)にセットした後,各試料間を離型剤を塗布した0.7mm厚の鉄板で区切り,両端に12mm厚の鉄板を配した後,10mmφのボルト,ナットで固定して,一つのブロックを形成した。」(段落【0055】)「次に,前記ブロックを電気炉で,温度700℃に予備加熱し,予め加熱しておいた内寸250mmφ×300mmの空隙を有するプレス型内に載置した後,温度850℃に加熱してある,表1に示すアルミニウム金属の溶湯を流し込み,100MPaの圧力で10分間プレスして,- 109 -炭化珪素質多孔体にアルミニウム金属を含浸させた。得られた複合体を含む金属塊は,室温まで冷却したのち,湿式バンドソーにて切断して型枠を取り出し,更に型枠内から炭化珪素質複合体を離型した。得られた複合体は,ダイヤモンド加工治具を用いて,熱膨張率測定用試験体(3×4×10mm),室温の熱伝導率測定用試験体(10mmφ×3mm),3点曲げ強さ評価用試験体(3mm×4mm×40mm)に研削加工した。また,3点曲げ強さ評価用試験体の一部を用い,その断面を顕微鏡で観察し, m),室温の熱伝導率測定用試験体(10mmφ×3mm),3点曲げ強さ評価用試験体(3mm×4mm×40mm)に研削加工した。また,3点曲げ強さ評価用試験体の一部を用い,その断面を顕微鏡で観察し,複合体の表裏の金属層の厚みを9箇所について測定し,平均厚みを算出した。得られた結果を表2に示す。」(段落【0056】)【表2】(段落【0057】) 「次に,それぞれの試験体を用いて,熱膨張計により室温から250℃の熱膨張率,レーザーフラッシュ法による室温の熱伝導率及び曲げ試験機による3点曲げ強さを測定した。また,3次元変位計により複合体- 110 -の主面の長さ10cmに対する反り量を測定した。更に,熱伝導率測定用試験体の寸法と重量より,複合体の密度を算出した。得られた結果を表3に示す。」(段落【0058】)【表3】(段落【0059】 「上記実施例1~10,比較例1で得られた複合体の外周寸法はいずれも102×102mmであり,試料間の寸法バラツキは0.1mm以下であった。また,複合体の厚みは,各試料とも3.02mmであり,比較例1以外の試料に関しては,面内の厚みバラツキも0.05mm以下であった。」(段落【0060】)「[実施例11]実施例2の型枠の代わり窒化珪素製の型枠を用い,成形体の一部に10mmφの穴を4カ所設けた。その他は,実施例2と同じ操作で複合体を作製し,得られた複合体の特性評価を行った。含浸後の型枠と複合体の離型は非常に良く,型枠の変形等は認められなかった。複合体の密度は2.98g/cm3 であり,表裏の金属層の平均厚さ 同じ操作で複合体を作製し,得られた複合体の特性評価を行った。含浸後の型枠と複合体の離型は非常に良く,型枠の変形等は認められなかった。複合体の密度は2.98g/cm3 であり,表裏の金属層の平均厚さ- 111 -は共に30μmであった。また,熱伝導率は210W/mK,熱膨張係数は7.1×10-6/K,曲げ強さは400MPa,複合体の主面の長さ10cmに対する反り量は40μm であった。複合体の寸法は,101×101mm×3.01mmであり,試料間のバラツキは非常に小さかった。また,成形体に設けた穴部は全て,金属層で満たされており,ハイス鋼のドリルで容易に穴加工を行うことができた。」(段落【0061】)「[実施例12~17,比較例2]炭化珪素粉末A(大平洋ランダム社製:NG-220,平均粒径:60μm),炭化珪素粉末B(屋久島電工社製:GC-1000F,平均粒径:10μm)及びシリカゾル(日産化学社製:スノーテックス)を表4の組成で配合し,攪拌混合機で30分間混合した後,180mm×120mm×5mmの形状に10MPaの面圧で成形した。得られた成形体は,大気中,温度850℃で2時間加熱して,炭化珪素質多孔体を作製した。得られた炭化珪素質多孔体は,20mmφ×5mmの形状に加工して,その寸法と質量より相対密度を算出した。得られた結果を表4に示す。」(段落【0062】)【表4】(段落【0063】) - 112 -「次に,得られた炭化珪素質多孔体をダイヤモンド加工治具を用いて表5に示す厚さの平板に加工し,離型剤を塗布した鉄製の厚さ3mmの枠内にプリフォームを表5に示すアルミニウム板と共にセットし,両端に12mm厚の鉄板を配した後10mmφのボルト,ナットで固定してブロックを形成した。次に,こ し,離型剤を塗布した鉄製の厚さ3mmの枠内にプリフォームを表5に示すアルミニウム板と共にセットし,両端に12mm厚の鉄板を配した後10mmφのボルト,ナットで固定してブロックを形成した。次に,このブロックを電気炉で,温度700℃に予備加熱し,予め加熱しておいた250mmφ×300mmHのプレス型に載置した後,温度850℃に加熱した表1に示す合金の溶湯を流し込み,100MPaの圧力で10分間プレスして,炭化珪素質多孔体に合金を含浸させた。得られた炭化珪素質複合体を含む合金塊は,室温まで冷却したのち,ダイヤモンド加工治具で炭化珪素質複合体を削り出した。得られた炭化珪素質複合体は,ダイヤモンド加工治具を用いて,熱膨張率測定用試験体(3×4×10mm),室温の熱伝導率測定用試験体(10mmφ×3mm),3点曲げ強度評価用試験体(3mm×4mm×40mm)に研削加工した。また,3点曲げ強度評価用試験体の一部を用い,その断面を顕微鏡で観察し,複合体の表裏の合金層の厚さを9カ所測定し,平均値を算出した。」(段落【0064】)【表5】(段落【0065】) - 113 -「次に,それぞれの試験体を用いて,熱膨張計により室温から250℃の平均熱膨張係数,レーザーフラッシュ法による室温の熱伝導率及び曲げ試験機による3点曲げ強度を測定した。更に,熱伝導率測定用試験体の寸法と重量より,複合体の密度を算出した。得られた結果を表6に示す。また,複合体の表面をロール研摩機で磨き複合体表面の変質層を除去した後,3次元変位計により,複合体の主面の反り量を測定した。 得られた結果を表6に示す。」(段落【0066】)【表6】(段落【0067】) を除去した後,3次元変位計により,複合体の主面の反り量を測定した。 得られた結果を表6に示す。」(段落【0066】)【表6】(段落【0067】) 「[実施例18~22]実施例12の炭化珪素多孔体をダイヤモンド工具を用いて2.95mm厚に加工した後,更に表面部を図2に示す形状で,表7の深さ及び面積となるように加工を施した。得られた加工体を,実施例12と同様の含浸条件で含浸して複合体を作製した。得られた複合体は,実施例12と同様の方法で評価を行なった。その結果を表8に示す。」(段落【0068】) - 114 -【表7】(段落【0069】) 【表8】(段落【0070】) 「[実施例23]実施例12,13の炭化珪素多孔体をダイヤモンド工具を用いて1.9mm厚に加工した後,離型剤を塗布した鉄製の厚さ4mmの枠内に実施例12と13のプリフォームをセットし,両端に12mm厚の鉄板を配した後10mmφのボルト,ナットで固定してブロックを形成した。次に,このブロックを,実施例12と同様の含浸条件で含浸して複合体を作製した。得られた複合体は,ダイヤモンドカッタ- 115 -ーで切断し,その切断面を実態顕微鏡で観察した結果,合金層-複合体層-合金層-複合体層-合金層からなる5層構造となっていた。次に,実施例12と同様の方法で評価を行なった。得られた複合体の密度は2. 98g/cm3 であり,熱伝導率は200W/mK,熱膨張係数は7.3×10-6/K,曲げ強さは410MPa,複合体の主面の長さ10cmに対する反り量は150μm であった。」(段落【0071】)「〔実施例24~26,28,30,31,参 mK,熱膨張係数は7.3×10-6/K,曲げ強さは410MPa,複合体の主面の長さ10cmに対する反り量は150μm であった。」(段落【0071】)「〔実施例24~26,28,30,31,参考例27,29,比較例3~6〕炭化珪素粉末C(大平洋ランダム社製「NG-150」平均粒径:100μm),炭化珪素粉末B(屋久島電工社製「GC-1000F」平均粒径:10μm)及びシリカゾル(日産化学社製「スノーテックス」)を60:40:3の重量比率で配合し,攪拌混合機で30分間混合した後,105mm×155mm×6mmの形状に10MPaの面圧で成形した。その後,前記の成形体を,大気中,900℃で2時間加熱して,炭化珪素質多孔体を作製した。得られた炭化珪素質多孔体は,20mmφ×5mmの形状に加工して,その寸法と質量より相対密度を算出した結果,66%であった。」(段落【0072】)「次に,得られた炭化珪素質多孔体をダイヤモンド加工治具を用いて厚さ5mmに加工し,電気炉で,温度700℃に予備加熱し,予め加熱しておいた内径250mm×高さ300mmのプレス型内に載置した後,温度850℃に加熱したアルミニウム合金(ADC-12)の溶湯を流し込み,100MPaの圧力で10分間プレスして,炭化珪素質多孔体に合金を含浸させた。炭化珪素質複合体を含む合金塊を室温まで冷却した後,ダイヤモンド加工治具を用いて炭化珪素質複合体を削り出した。 得られら炭化珪素質複合体は,100×150mm(コーナー部:R3)の形状に外周加工,並びに6箇所に7mmφの穴加工を施した(図9(b)参照)のち,更に,3次元ミルで面加工して,所定の形状,厚- 116 -さ,反り量を有するいろいろな複合体を作製した。」(段落【0073】)「前記のいろいろな炭化珪素質複合体について 9(b)参照)のち,更に,3次元ミルで面加工して,所定の形状,厚- 116 -さ,反り量を有するいろいろな複合体を作製した。」(段落【0073】)「前記のいろいろな炭化珪素質複合体について,マイクロメーターで厚さ,3次元変位計により反り量を測定し,所望の寸法に加工されていることを確認した。得られた結果を表9に示す。」(段落【0074】)【表9】(段落【0075】) 「また,前記操作で得たいろいろの複合体について,片面側にシリコングリス(信越化学工業社製)を厚さ50μm となるように秤量して塗布したのち,厚さ30mmのアクリル板に6Mのネジを用いて3Nの締め付けトルクで取り付けた。1分間放置後,ネジ止めをはずし,シリコングリス塗布面の密着率(面積比率)を測定した。その結果を表9に示す。」(段落【0076】)「〔実施例32~34〕参考例29で作製した炭化珪素質複合体を,- 117 -図10に示すSUS-304製の治具にセットし,M10のネジで各種変位量を負荷した後,温度500℃の電気炉で30分間加熱したのち,室温まで冷却して負荷を解放した。得られた複合体の反り量を表10に示す。次に,得られた複合体を実施例24と同様の方法で評価した結果を表10に示す。」(段落【0077】)【表10】(段落【0078】) 「〔実施例35,36,比較例7〕実施例24で作製した,炭化珪素質複合体に無電解Niメッキ処理を行い,複合体表面に10μm厚のメッキ層を形成した。メッキ処理した複合体表面に100μm厚の半田ペーストをスクリーン印刷し,実施例35ではその上に市販の窒化アルミニウム基板を,実施例36では市販の窒化珪素基 体表面に10μm厚のメッキ層を形成した。メッキ処理した複合体表面に100μm厚の半田ペーストをスクリーン印刷し,実施例35ではその上に市販の窒化アルミニウム基板を,実施例36では市販の窒化珪素基板を搭載し,温度300℃のリフロー炉で5分間加熱処理してセラミックス基板を接合させた。 尚,比較例7は,銅板を用いて実施例35と同様の手法で,メッキ処理後,窒化アルミニウム基板を接合した。」(段落【0079】)「次に,これらのセラミックス基板を接合した複合体を用いて,-40℃~150℃の温度幅で3000回のヒートサイクル試験を行った。 実施例35及び実施例36は,ヒートサイクル試験後もセラミックス基板の回路間のクラックの発生や回路の剥離は認められなかった。一方,比較例7に関しては,ヒートサイクル30回でセラミックス基板の回路間にクラックが発生した。」(段落【0080】)- 118 -カ発明の効果「本発明の複合体は,炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなることから,複合体の加工コストが低減でき,熱伝導率が高く,平均熱膨張係数がセラミックス基板に近くかつ軽量であるという特徴を有し,半導体搭載用セラミックス基板と接合して用いる放熱部品として,信頼性に優れかつ電機自動車等の移動機器等に好適な放熱部品を安価に提供することができる。加えて,本発明の複合体は,特定量の反りを有していて,例えば,放熱板として用いた場合に,セラミックス基板を放熱フィン等の放熱部品に密着性良くネジ止め固定することができ,放熱性が安定した,従って高信頼性のモジュールを形成することができるという効果があり,産業上極めて有用である。」(段落【0081】)(2) 前記(1)の記載によれば,本件訂正発明の構成及びその特徴は以下のとおりであ 高信頼性のモジュールを形成することができるという効果があり,産業上極めて有用である。」(段落【0081】)(2) 前記(1)の記載によれば,本件訂正発明の構成及びその特徴は以下のとおりであると認められる。 ア本件訂正発明は,セラミックス基板などの半導体部品のヒートシンクなどの放熱部材として好適な高熱伝導性の炭化珪素質複合材料とその製造方法及びそれを用いた放熱部品に関する(段落【0001】)。 この分野では,半導体素子から発生した熱エネルギーをいかに効率よく外部に放散させるかが重要な課題となっている(段落【0002】)。従来,このヒートシンク材料としては,主に銅(Cu)を用いていたが,銅は,室温付近の熱伝導率が高いものの,熱膨張係数が大きく,半導体素子セラミックス基板とヒートシンクの熱膨張差に起因して,加熱接合時や熱サイクルの付加等によりセラミックス基板にクラックや割れ等が生じることがある(段落【0003】)。そこで,近年,金属-セラミックス複合体が注目されており,炭化珪素-アルミニウム合金の複合体が主に研究されている(段落【0005】)。 従来のセラミックス基板とヒートシンクの接合構造を有する放熱部品に- 119 -おいては,接合構造の簡略化を図り,かつ信頼性や放熱性の向上を図ることが課題であり(段落【0006】),上記の課題を解決するため,金属-セラミックス複合体が検討されているが,熱膨張率がセラミックス基板に近く,高い熱伝導率を有する金属-セラミックス複合体を安価に提供できる技術の開発が課題となっている(段落【0007】)。 さらに,この様な複合体は,放熱部品として用いる場合,回路基板と半田付けして用いられるため,複合体の反り量が大きすぎると半田付けが難しくなるため,この様な複合体を放熱部品とし 段落【0007】)。 さらに,この様な複合体は,放熱部品として用いる場合,回路基板と半田付けして用いられるため,複合体の反り量が大きすぎると半田付けが難しくなるため,この様な複合体を放熱部品として用いる場合,所定量以下の反り量に制御する必要がある一方,この様な放熱部品を組み込んだパワーモジュール等の部品は,一般に放熱フィン等にネジ止めされて用いられることから,パワーモジュール等の部品と放熱フィンの接合面に応力が働くべく,接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。しかし,従来の金属-セラミックス複合体では,任意に反り等の形状を付加しようとする場合,後加工により調整するしか方法がなかったため,加工費用が高く,部品自体が非常に高価になってしまうという課題があった(段落【0008】)。 イ本件訂正発明は,上記アの事情に鑑み,高熱伝導性を有すると共に,比重が小さく,かつ,熱膨張係数がセラミックス基板に近い,反りを有していて放熱部品等に密着性良く接合される複合体及びこれを用いた放熱部品を安価に提供することを目的とするものであり(段落【0009】),上記目的を達成するため,複合体の組成及びその構造を調整することにより,熱膨張係数等の特性及び複合体の形状を制御できることを見いだし,前記第2の3記載のとおり,請求項1ないし11記載の各構成を採用したものである(段落【0010】)。 ウ本件訂正発明の複合体は,炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなることから,複合体の加工コストが低減でき,熱伝- 120 -導率が高く,平均熱膨張係数がセラミックス基板に近くかつ軽量であるという特徴を有し,半導体搭載用セラミックス基板と接合して用いる放熱部品として,信頼性に優れかつ電気自動車 き,熱伝- 120 -導率が高く,平均熱膨張係数がセラミックス基板に近くかつ軽量であるという特徴を有し,半導体搭載用セラミックス基板と接合して用いる放熱部品として,信頼性に優れかつ電気自動車等の移動機器等に好適な放熱部品を安価に提供することができる。 加えて,本件訂正発明の複合体は,特定量の反りを有していて,例えば,放熱板として用いた場合に,セラミックス基板を放熱フィン等の放熱部品に密着性良くネジ止め固定することができ,放熱性が安定した,従って高信頼性のモジュールを形成することができるという効果がある(段落【0081】)。 3 取消事由2(記載要件に係る判断の誤り)について(1) 「反り量」の定義(いずれの面についての物理量か)についてア原告は,本件訂正発明は,凸面側を測定しても凹面側を測定しても「反り量」が同一になる場合を除いて,「反り量」がいずれの面における物理量であるか不明確であり,かつ,本件明細書は,当業者が本件訂正発明を実施することができる程度に記載されたものではなく,仮に,本件訂正発明の請求項に記載された「反り量」が凸面側の反りの程度のみを示しているとすれば,そのような発明は本件明細書の発明の詳細な説明には記載されていないから,サポート要件違反である旨主張するので,以下において検討する。 イ(ア) 本件訂正発明に係る請求項(請求項1ないし11)の記載は,前記第2の3記載のとおりであり,板状複合体のいずれの面についての「反り量」を規定するものか明示する記載はない。 しかしながら,本件訂正発明の特許請求の範囲には,「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を の範囲には,「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,」との記載(請求項- 121 -1ないし5,7ないし11)又は「枠内に2つの多孔質炭化珪素成形体を積層して配置した後,前記枠に鉄板を配置しボルト,ナットで固定してブロックとし,前記ブロックにアルミニウムを主成分とする金属を含浸することで得られる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,」との記載(請求項6)があり,これらの記載によれば本件訂正発明に係る請求項には,本件訂正発明の板状複合体が凸面を有するものであることが規定されていることが明らかである。 これに対し,特許請求の範囲の記載(請求項1ないし11)には,本件訂正発明の板状複合体が「凹面」を有するものであること(「凸面」の反対側の面が「凹面」であること)を規定する記載は存しない。 (イ) そこで,本件明細書の記載を参酌すると,本件明細書には,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が250μmを超えると,本発明の複合体を放熱部品として用いる場合,回路基板等との接合不良が発生してしまうという問題や,放熱フィン等にネジ止めする際に,過大な曲げ応力が加わり,複合体が破損してしまうという問題が発生する。 一方,この様な複合体からなる放熱部品を組み込んだパワーモジュール等の部品は,放熱フィン等にネジ止めされて用いられる。その場合,パワーモジュール等の部品と放熱フィンの接合面に応力が働くべく,接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。このため,複合体の主面 れて用いられる。その場合,パワーモジュール等の部品と放熱フィンの接合面に応力が働くべく,接合面が凸型になっていることが,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面より好ましい。このため,複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm未満では,放熱部品等として用いる場合の反り量が不足し,放熱特性に問題が生じることがある。」などの記載(段落【0029】,【0037】,【0041】等)がある。 上記記載からは,本件訂正発明の板状複合体を放熱板として用いた場合に,パワーモジュール等の部品と放熱フィンの接合面が,応力が働く- 122 -べく凸型になっていると,ネジ止め後の締め付け力が大きく,セラミックス基板を放熱フィン等の放熱部品に密着性良くネジ止め固定することができるので,放熱の面で好ましいとされていることが理解され,凸面の反り量が問題とされていることが分かる。 (ウ) 本件明細書の段落【0008】には,「この様な複合体は,放熱部品として用いる場合,回路基板と半田付けして用いられるため,複合体の反り量が大きすぎると半田付けが難しくなる。このため,この様な複合体を放熱部品として用いる場合,所定量以下の反り量に制御する必要がある。」との記載が存するが,このような問題は,板状複合体を放熱部品として用いる場合に,パワーモジュール等の部品と放熱フィンの凸型の接合面の反対側,すなわち,板状複合体が回路基板と接合する面が凹面となる場合に生じる問題であると理解される。ところで,本件明細書の段落【0073】に記載のように,本件訂正発明の板状複合体は「三次元ミルで面加工」すること,すなわち,凸面のみを加工することも可能であるところ,前記(ア)記載のとおり,特許請求の範囲の記載(請求項1ないし11)には,本件訂正発明の板状複合体が「凹面」を有するも 元ミルで面加工」すること,すなわち,凸面のみを加工することも可能であるところ,前記(ア)記載のとおり,特許請求の範囲の記載(請求項1ないし11)には,本件訂正発明の板状複合体が「凹面」を有するものであることを規定する記載は存しないから,本件訂正発明は,凸型の接合面の反対側の面が凹面ではない板状複合体を含むものであると認められる。 そうすると,本件訂正発明に係る請求項(請求項1ないし11)に記載された「反り量」は,回路基板と半田付けする際に懸念される凹面の「反り量」を規定したものではなく,ネジ止め後の締め付け力が大きく放熱の面で好ましい凸面の反り量を規定したものであると自然に理解されるといえる。 (2) 「反り量」の定義(穴間方向の意義)についてア原告は,本件訂正発明1の請求項に記載された「穴間方向」の意義は不- 123 -明確である旨主張するので,以下において検討する。 イ(ア) 本件訂正発明1に係る請求項(請求項1)の記載は,前記第2の3記載のとおり,「多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,板状複合体の面内に他の放熱部品に当該板状複合体の凸面を向けてネジ止めするための4個以上の穴部を有し,穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)ことを特徴とする炭化珪素質複合体。」というものである。 ここで,本件訂正発明1の炭化珪素質複合体は,反り量について,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量 ここで,本件訂正発明1の炭化珪素質複合体は,反り量について,「穴間方向(X方向)の長さ10cmに対する反り量(Cx;μm)と,それに垂直な方向(Y方向)の長さ10cmに対する反り量(Cy;μm)の関係が,|Cx|≧|Cy|,50≦Cx≦250,且つ-50≦Cy≦200である(Cy=0を除く)こと」を発明特定事項とするものであるが,「穴間方向(X方向)」とはどのような方向を意味するのかについては,特許請求の範囲(請求項1)の記載からは,一義的に明らかであるとはいえない。 (イ) そこで,本件明細書の記載を参酌すると,本件明細書には,「穴間方向(X方向)」又は「穴間」につき,「一般にここで,前記穴間方向(X方向)とは,図9(a)~(d)に例示した,放熱板表面の一方向を示し,Y方向は,前記表面内のX方向と垂直な方向を示している。」(段落【0031】)との記載がある。 上記記載から,「穴間方向(X方向)」には,図9に例示されたX方向が含まれることは理解できるが,「穴間方向(X方向)」は「放熱板表面の一方向を示」すとしか記載されていないから,図9に例示された- 124 -X方向以外にどのような方向が含まれるのか判然としない。 また,図9に例示されたX方向については,穴と穴とを結ぶ直線とX方向を示す直線が明らかにずれているもの(図9の左から2番目の図)があるが,このような場合に穴間方向とX方向がどのような関係にあるのかについては,これを明らかにする記載も見当たらない。 (ウ) ところで,本件訂正発明1は,「穴間方向」であるX方向の長さ10cmに対する反り量(Cx)と,X方向と直交する方向であるY方向における長さ10cmに対する反り量(Cy)の数値範囲をそれぞれ定め,さらに,Cxの絶対値とCyの絶対値の関係を であるX方向の長さ10cmに対する反り量(Cx)と,X方向と直交する方向であるY方向における長さ10cmに対する反り量(Cy)の数値範囲をそれぞれ定め,さらに,Cxの絶対値とCyの絶対値の関係を,|Cx|≧|Cy|と定めたものである。 そして,本件明細書の段落【0032】に,「本発明者らは,従来技術における前記課題の解決を図り,いろいろ実験的に検討した結果,反り量(Cx;μm,並びにCy;μm)が前記特定の範囲にあるときに,複合体から成る放熱板を他の放熱部品に密着性良くネジ止め固定することができるという知見を得て,本発明に至ったものである。本発明の複合体から成る放熱板を他の放熱部品に密着性良くネジ止め固定する場合,一般には,放熱板と放熱部品との間に放熱グリス等を介して固定される。 このため,Y方向の反り量(Cy)に関しては,その絶対値が放熱グリス厚より小さいことが好ましい。また,締め付け時の放熱板の変形を考慮した場合,Y方向の反り量(Cy)はX方向の反り量(Cx)より小さい方が好ましい。前記の反り量が前記特定範囲を満足できないときには,必ずしも密着性良く放熱板を他の放熱部品にネジ止め固定することができないことがある。」と記載され,段落【0035】に「また,板状複合体の主面内に他の放熱部品にネジ止め固定できように,穴部を有している場合,その穴間距離が10cm以下の小型形状では,密着性良く放熱板を他の放熱部品にネジ止め固定するためには,複合体の主面の長さ- 125 -10cmに対しての反り量が100μm以下であることが好ましい。」と記載されているように,反り量を規定する上記条件は,本件訂正発明1に係る板状複合体を他の放熱部品に密着性良くネジ止め固定するための条件であると認められる。 ここで,本件訂正発明の複合体は,特定量の反り されているように,反り量を規定する上記条件は,本件訂正発明1に係る板状複合体を他の放熱部品に密着性良くネジ止め固定するための条件であると認められる。 ここで,本件訂正発明の複合体は,特定量の反りを有していて,例えば,放熱板として用いた場合に,セラミックス基板を放熱フィン等の放熱部品に密着性良くネジ止め固定することができ,放熱性が安定した,高信頼性のモジュールを形成することができるという効果を奏するものであるところ(段落【0081】),板状複合体(放熱板)を放熱部品に密着性よくネジ止め固定できる長さ10cmに対する反り量であるCx及びCyについて異なる数値範囲が規定されている本件訂正発明1において,本件明細書の段落【0035】の記載から,本件訂正発明における好ましい長さ10cmに対する反り量は穴間距離の影響を受けるものと解され,X方向(ひいては,Y方向)が,放熱板表面の一方向であればどの方向であっても他の放熱部品と密着性良くネジ止め固定できるとは考えられないことからすると,本件訂正発明1が上記作用効果を奏するためには,「穴間方向(X方向)」は,板状複合体のネジ穴または外形との関係でどの方向を示すものであるかが定義されていることを要するものというべきである。 (エ) しかるに,前記(ア)及び(イ)のとおり,特許請求の範囲(請求項1)にも,また,本件明細書にも,「穴間方向(X方向)」について,板状複合体のネジ穴または外形との関係でどのような方向をいうものかが明確に記載されていないことから,「穴間方向」であるX方向の長さ10cmに対する反り量(Cx)と,X方向と直交する方向であるY方向における長さ10cmに対する反り量(Cy)の数値範囲をそれぞれ定め,さらに,Cxの絶対値とCyの絶対値の関係を定めた本件訂正発- 126 - る反り量(Cx)と,X方向と直交する方向であるY方向における長さ10cmに対する反り量(Cy)の数値範囲をそれぞれ定め,さらに,Cxの絶対値とCyの絶対値の関係を定めた本件訂正発- 126 -明1の技術的意義を理解できないものにしているといわざるを得ない。 ウ小括以上によれば,本件訂正発明1に係る特許請求の範囲(請求項1)の記載は,明確性を欠き,特許法36条6項2号の規定する要件に違反するものであるといわざるを得ない。 したがって,本件訂正発明1及び本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11に係る特許は,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから,特許法123条1項4号により無効にされるべきものである。 そこで,以下においては,本件訂正発明2ないし6について検討する。 (3) 「反り量」の範囲についてア原告は,放熱部品は半田付けの際に変形するものであるにもかかわらず,本件明細書では,その影響を全く考慮することなく,反り量の範囲を決定しているため,当業者であっても,本件訂正発明を課題が解決されるものとして認識し得ないからサポート要件を満たさず,また,課題を解決しうる実施品を製造・使用することもできないから,実施可能要件も満たさない旨主張するので,以下において検討する。 イ本件明細書の記載本件訂正発明は,本件明細書によれば,前記第2(2)記載のとおり,セラミックス基板などの半導体部品のヒートシンクなどの放熱部材として好適な高熱伝導性の炭化珪素質複合材料とその製造方法及びそれを用いた放熱部品に関するものであるが,複合体を放熱部品として用いる場合,回路基板と半田付けして用いられるものであること及び放熱部品を組み込んだ な高熱伝導性の炭化珪素質複合材料とその製造方法及びそれを用いた放熱部品に関するものであるが,複合体を放熱部品として用いる場合,回路基板と半田付けして用いられるものであること及び放熱部品を組み込んだパワーモジュール等の部品は,一般に放熱フィン等にネジ止めされて用いられるものであること(段落【0008】)を前提として,本件訂正発明の複合体は,半導体搭載用セラミックス基板と接合して用いる放熱部品とし- 127 -て,信頼性に優れかつ電気自動車等の移動機器等に好適な放熱部品を安価に提供することができ,加えて,例えば,放熱板として用いた場合に,セラミックス基板を放熱フィン等の放熱部品に密着性良くネジ止め固定することができ,放熱性が安定した,従って高信頼性のモジュールを形成することができるという効果を奏するものである(段落【0081】)といえる。 これに対し,特許請求の範囲(請求項1ないし11)で規定する「反り量」に関し,本件明細書に開示された実施例(段落【0072】ないし【0078】)は,「前記操作で得たいろいろの複合体について,片面側にシリコングリス(信越化学工業社製)を厚さ50μm となるように秤量して塗布したのち,厚さ30mmのアクリル板に6Mのネジを用いて3Nの締め付けトルクで取り付けた。1分間放置後,ネジ止めをはずし,シリコングリス塗布面の密着率(面積比率)を測定した。」(段落【0076】)というものであり,かかる密着率の測定方法は,放熱部品をセラミックス基板に半田付けした後の密着率を測定したものではない。 ウ AlSiC複合体に関する各文献の記載(ア) 刊行物1(甲1)「その材質については,得られる金属-セラミックス複合体の熱伝導率の低下を少なく,かつ熱膨張係数をアルミナ,窒化アルミニウム,窒化珪素等のセラミック する各文献の記載(ア) 刊行物1(甲1)「その材質については,得られる金属-セラミックス複合体の熱伝導率の低下を少なく,かつ熱膨張係数をアルミナ,窒化アルミニウム,窒化珪素等のセラミック基板に近づけるということから,高熱伝導でありかつ低熱膨張の炭化珪素,窒化アルミニウム,窒化珪素及びアルミナ等が好適である。・・・」(段落【0019】)「本発明に用いる金属については,本発明の目的を達成し得れば,どのようなものであっても構わないが,高熱伝導性,軽量性を達成する目的から,アルミニウム,マグネシウム等の軽合金又はそれらの合金が好ましい。・・・」(段落【0020】)- 128 -「上記のセラミックスと金属の組み合わせに関して,金属としてアルミニウムあるいはアルミニウム系合金,セラミックスとして炭化珪素を用いたアルミニウム-炭化珪素複合体は,軽量,高熱伝導,セラミック基板との熱膨張の適合性の点で特に優れた組合せである。本発明者らは,このアルミニウム-炭化珪素複合体について,いろいろ検討した結果,炭化珪素含有量には本発明の目的を達するのに好適な範囲が存在することを見出し,本発明に至ったものである。即ち,アルミニウム-炭化珪素複合体中の炭化珪素含有量が50体積%以下では熱膨張係数が高くなり,セラミック基板との熱膨張差に起因する前記問題が生じ易くなる。 また,セラミックスは高温での熱伝導率が下がるため,80体積%以上では,使用時の温度上昇による熱伝導率の低下が著しくなるという問題が顕著になってくる。従って,アルミニウム-炭化珪素複合体中の炭化珪素含有量は50~80体積%,すなわち,複合体化前の多孔質炭化珪素構造体の気孔率は50~20体積%が好適である。」(段落【0021】)(イ) 刊行物4(甲4)「・・・金属-セラ 化珪素含有量は50~80体積%,すなわち,複合体化前の多孔質炭化珪素構造体の気孔率は50~20体積%が好適である。」(段落【0021】)(イ) 刊行物4(甲4)「・・・金属-セラミックス複合体が検討されているが,セラミックス基板に近い熱膨張率を得ようとすると,熱膨張率の低い強化材であるセラミックスの比率を上げる必要がある。・・・熱膨張率がセラミックス基板に近く,高い熱伝導率を有する金属-セラミックス複合体を安価に提供できる技術の開発が課題となっている。」(段落【0009】)「本発明は,・・・,高熱伝導性を有すると共に,比重が小さく,且つ熱膨張率がセラミックス基板と同程度に小さく,加えて加熱された際にも反りがない,寸法安定性に優れた高熱伝導性複合体とそれを用いて放熱部品を安価に提供することを目的とするものである。」(段落【0012】)- 129 -「本発明者らは,上記目的を達成するため鋭意研究した結果,複合体中の炭化珪素量を厳密に制御することにより,複合体の反りを防止できることを見出し,本発明を完成するに至ったのである。」(段落【0013】)(ウ) 刊行物7(甲7)「AlSiCの独特な材料特性は,高熱伝導率とICデバイスに一致する熱膨張係数(CTE)を含み,最大の熱拡散のための直接接続を可能にする。」(1頁「Abstract」の2行ないし4行。訳文は,被告提出の平成26年10月17日付け準備書面(2)による。)(エ) 刊行物8(甲8)「ベースプレート銅は,高熱伝導性,運搬管理の容易性,電気めっき性及び価格の妥当性に関する優位性においてよく知られており,そのため,ベースプレート材として使用されることが多い。欠点としては,300℃を超えると生じる機械的性質の不可逆変化と,セラミック基 めっき性及び価格の妥当性に関する優位性においてよく知られており,そのため,ベースプレート材として使用されることが多い。欠点としては,300℃を超えると生じる機械的性質の不可逆変化と,セラミック基板との熱膨張率(CTE)の不一致が挙げられる。 したがって,基板とベースプレートとの間のはんだ付けは故障原因となる。これらの材料はCTE が異なるため,熱歪みが起こり,はんだに機械的な歪みが生じる。重負荷サイクルを繰り返すと,はんだ割れが生じ,その結果,チップとベースプレート間の熱インピーダンスが増加する。 ・・・セラミックとのCTEのずれが小さい比較的硬い材料であれば,上記の問題をいずれも解消できる。・・・金属マトリックス複合体(MMC)の材料であるAl/SiCは,高度な剛性と,AlNセラミックに近いCTE(7.3ppm/K)を持ち合わせている。」(添付の訳文の2頁ないし3頁)(オ) 乙8(「ThermalDesignandMeasure- 130 -mentsofIGBTPowermodules:TransientandSteadyState」/1999年10月)「DBC-ベースプレート積層における熱残留応力は,また,バイメタル効果の原因となり,モジュールの反りや湾曲を引き起こす。銅の熱膨張係数がDBCの熱膨張係数よりも大きいため,その変形は,実際上,凹状である。これは,パッケージ化されたモジュールとヒートシンクの間において,不均一なギャップを生じさせ,熱グリースを使用した後においてであっても,このインターフェースにおける熱抵抗を増加させる。 予め機械加工された凸状のベースプレートは,このパッケージ化に誘発された反りを相殺するために使用可能であるが,制御が困難であるし,このインターフェースにおける ーフェースにおける熱抵抗を増加させる。 予め機械加工された凸状のベースプレートは,このパッケージ化に誘発された反りを相殺するために使用可能であるが,制御が困難であるし,このインターフェースにおける大きな熱抵抗は依然としてモジュールの熱性能に影響する。」(乙8の2頁右欄)「半田疲労とベースプレートの反りに対処するために,一方法として,ベースプレートの材料として,銅をAl/SiC金属マトリクス複合材料に置き換えることがある。これは,極度の剛性とDBCに近い熱膨張係数を提供するが,熱伝導率が多少低下し,モジュールの費用が高くなるという犠牲によって達成されるものである。」(乙8の2頁右欄)(カ) 乙1の1(特開平10-237579号公報)発明の名称を「低熱膨張・高熱伝導熱放散材料とその製造方法」とする発明につき,以下の記載がある。 「【請求項2】SiC粉末,Al粉末,およびSi粉末の混合粉末の焼結体である,熱膨張係数5~10×10-6/K,熱伝導率100W/mK以上の低熱膨張・高熱伝導熱放散材料。」「・・・放熱設計を簡略化し,信頼性の高いものとするためには,ヒートシンク材料の熱膨張係数をできる限り基板材料などのパッケージ材- 131 -料のそれに近づけることが望ましい。」(段落【0003】)「より具体的には,本発明の目的は,特にアルミナ系パッケージ材料に対応した低熱膨張率 (5~10×10-6/K) を有し,かつFe,Ni 等の金属材料を超える高熱伝導率 (≧100W/mK)を具備した熱放散材料およびその製造方法を提供することである。」(段落【0008】)(キ) 乙9の3(特開2003-31732号公報)「・・・第2先行技術として特公平7-26174号公報には,サイリスタチ 造方法を提供することである。」(段落【0008】)(キ) 乙9の3(特開2003-31732号公報)「・・・第2先行技術として特公平7-26174号公報には,サイリスタチップをアルミナ基板に搭載したアッセンブリを,Al又はAl合金にSiCセラミックス粉末を分散させた複合材(以下,Al/SiC 複合材と言う)からなる支持部材に搭載した半導体モジュール装置が開示されている。本先行技術において,アルミナ基板(7.5ppm/℃)はこれと熱膨張率が略近似したAl/SiC 複合材支持部材(6.7~14ppm/℃)に搭載されているため,これら部材間の接続部は優れた信頼性を有し,放熱性劣化の防止に有効に作用する。」(段落【0008】)「(1)熱応力,歪,絶縁板の破損銅張りAlN 基板と銅支持部材の熱膨張率が互いに異なるため,これらの一体化物には残留熱応力ないし熱歪が発生する。銅張りAlN 基板や銅支持部材は一体化の際に,はんだ材の融点以上に加熱した後室温まで冷却する熱処理工程を経る。この場合,各部材ははんだ材の凝固点で互いに固定されたまま各部材固有の熱膨張率に従って収縮し,接着部に熱応力ないし熱歪が残留するとともに変形を生ずる。」(段落【0015】)「第2先行技術における支持部材は複合材であって,SiC セラミックス粉末からなる多孔質プリフォームにAl を主成分とする溶融金属を含浸させることにより,Al マトリックス金属中にSiC 粉末を分散させたものである(以下Al/SiC と言う)。この部材の熱膨張率はSiC 粉末の添加量によ- 132 -って制御されるため,上記(1)や(2)の問題はクリヤすることが可能である。」(段落【0019】)エ前記ウの各文献の記載によれば,本件特許の出願当時,Al C 粉末の添加量によ- 132 -って制御されるため,上記(1)や(2)の問題はクリヤすることが可能である。」(段落【0019】)エ前記ウの各文献の記載によれば,本件特許の出願当時,AlSiC複合体に関し,①熱膨張係数をセラミックス基板に近づけ,かつ,高熱伝導性,軽量性を達成するという点で優れた組み合わせの材料であること,②高熱伝導性を有するとともに,比重が小さく,かつ,熱膨張率がセラミックス基板と同程度に小さく,加熱された際にも反りがない,寸法安定性の優れた複合体を得るため,AlSiC複合体の炭化珪素含有量を制御し得ること,③放熱部品(ベースプレート)材として用いる場合,AlSiC複合体は高度な剛性と,AlNセラミックに近い熱膨張係数を持ち合わせ,基板と半田付けされた際に,基板との熱膨張係数が異なるため,熱歪みが起こるなどの問題が解消できることが,当業者に周知の技術常識であったものと認められる。 そうすると,本件明細書における実施例は放熱部品をセラミックス基板に半田付けした後の密着率を測定したものではないが,AlSiC複合体は,熱膨張率がセラミックス基板と同程度に小さく,加熱された際にも反りがなく,寸法安定性の優れた複合体を得るために,その炭化珪素含有量を制御し得るものであり,これを放熱部品(ベースプレート)材として用いる場合,高度な剛性と,AlNセラミックに近い熱膨張係数を持ち合わせ,基板と半田付けされた際に,基板との熱膨張係数が異なるために熱歪みが起こるなどの問題を解消できることは技術常識であるから,セラミックス基板に半田付けしたことによる板状複合体の変形を考慮せずとも,本件訂正発明の板状複合体が特定量の反りを有することにより,これを放熱部品として用いた場合に,セラミックス基板を放熱フィン等の放熱部品に密着性良 田付けしたことによる板状複合体の変形を考慮せずとも,本件訂正発明の板状複合体が特定量の反りを有することにより,これを放熱部品として用いた場合に,セラミックス基板を放熱フィン等の放熱部品に密着性良くネジ止め固定するという課題を解決し得るものであることを認識し得るということができる。 - 133 -したがって,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,特許法36条6項1号に規定する要件(サポート要件)及び改正前特許法36条4項に規定する要件(実施可能要件)を満たすものであると認められる。 (4) 小括以上のとおり,本件訂正発明1及び本件訂正発明1の発明特定事項を有する本件訂正発明7ないし11に係る特許は,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって,特許法123条1項4号により無効にされるべきものであるから,取消事由2に係る原告の主張は,その余の点について判断するまでもなく,本件訂正発明1及び本件訂正発明7ないし11に係る部分については理由がある。 これに対し,取消事由2に係る原告の主張のうち,本件訂正発明2ないし6に係る部分については理由がない。 そこで,さらに,本件訂正発明2ないし6について,取消事由3ないし5を順に検討する。 4 取消事由3(刊行物1(甲1)に基づく進歩性判断の誤り)について(1) 原告は,本件訂正発明2ないし6は,いずれも甲1発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張するので,以下において検討する。 (2) 甲1発明についてア甲1発明が,前記第2の4(2)アに記載のとおりであることについては,当事者間に争いがない。 刊行物1(甲1)には,甲1発明について,概略,次のような記載が る。 (2) 甲1発明についてア甲1発明が,前記第2の4(2)アに記載のとおりであることについては,当事者間に争いがない。 刊行物1(甲1)には,甲1発明について,概略,次のような記載がある。 (ア) 発明の属する技術分野「本発明は,金属或いは合金とセラミックスとからなる複合体(以下,「金属-セラミックス複合体」又は単に「複合体」という)と,それを- 134 -用いたICパッケージや多層配線基板等の半導体装置のヒートシンクに関する。」(段落【0001】)(イ) 従来技術「半導体分野において,LSIの高集積化,高速化のために発熱が増加する傾向にあり,ヒートシンクとして銅等を裏面(回路,半導体搭載面と反対側の面)に設けた,アルミナ,窒化アルミニウム,窒化珪素等のセラミックス基板が用いられている。一般に,半導体素子は熱に弱く,発熱による温度上昇は,半導体回路の誤動作を発生させたり半導体回路の破壊の原因となる。そのため,発生した熱を逃がすためのヒ-トシンクが備えられたパッケージが使用されるのが一般的である。近年,パワートランジスタ等の分野では大電流化に伴い発熱量がいっそう大きくなり,その熱を逃がすヒートシンクに対する要求特性も厳しいものとなってきている。」(段落【0002】)「ヒートシンクに使用される材料には,先ず高熱伝導性であることが要求される。又,セラミックス基板とヒートシンクの熱膨張差に起因して,加熱接合時や使用時のヒートサイクルによりはんだ部分でのクラック(以下,「はんだクラック」という)やセラミック基板の割れ等が発生することがあるため,熱膨張係数が金属と比べて低く,セラミック基板として使用されるアルミナ,窒化アルミニウム,窒化珪素等に近いことが要求される。更に,軽量化の要 いう)やセラミック基板の割れ等が発生することがあるため,熱膨張係数が金属と比べて低く,セラミック基板として使用されるアルミナ,窒化アルミニウム,窒化珪素等に近いことが要求される。更に,軽量化の要求も強い。これらの要求を満たすヒートシンク用材料として,近年,金属-セラミックス複合体が注目されている(特開昭64-83634号公報,特開平9-209058号公報)。」(段落【0003】)「金属-セラミックス複合体は,セラミック粉,セラミック繊維を成形し,必要な場合にはさらにこれを焼成して作製した多孔質セラミックス構造体を用い,これを所望の型内の空間に配置し,この空間に溶融金- 135 -属を流し込むことによって,前記多孔質セラミックス構造体に前記金属を含浸し,これを冷却することにより作製する。溶融金属を含浸する方法としては,粉末冶金法に基づく方法,例えば,ダイキャスト法(特表平5-508350号公報)や溶湯鍛造法(まてりあ,第36巻,第1号,1997,40-46ページ)等の圧力鋳造による方法,自発浸透による方法(特開平2-197368号公報)等の各種の方法が知られている。」(段落【0004】)(ウ) 発明が解決しようとする課題「また,金属-セラミックス複合体をヒートシンクとして使用する場合,その片面はセラミック基板とはんだ付けされ,他の片面は金属性の放熱フィンとネジ止めがされるのが一般的である。この場合,金属-セラミックス複合体は金属と比較してヤング率が大きいため,IC等に実使用下で発熱により温度が上がると,はんだとの間でひずみが生じ,はんだクラックが発生することがある。また熱膨張差により放熱フィンとの間の密着性が悪くなり,放熱特性が低下するという問題もある。」(段落【0006】)「更に,金属-セラミックス複合 ずみが生じ,はんだクラックが発生することがある。また熱膨張差により放熱フィンとの間の密着性が悪くなり,放熱特性が低下するという問題もある。」(段落【0006】)「更に,金属-セラミックス複合体は金属と比較して固く,加工が難しいため,形状対応性が悪いという問題がある。」(段落【0007】)「本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行なった結果,金属-セラミックス複合体の表面に当該金属の層を設けることにより,メッキ性が良く,塑性ひずみによるはんだクラックの発生や放熱フィンとの密着性の低下が無い,かつ加工性にも優れた金属-セラミックス複合体が得られることを見いだし,本発明を完成するにいたった。」(段落【0008】)(エ) 問題を解決するための手段- 136 -「即ち,本発明は,多孔質セラミックス構造体に金属を含浸してなる複合体であって,該複合体表面全体に前記金属の層を設けてなることを特徴とする複合体であり,好ましくは,前記多孔質セラミックス構造体が炭化珪素,窒化アルミニウム,窒化珪素,アルミナ又はシリカからなる群より選ばれる1種以上からなることを特徴とする複合体である。」(段落【0009】)「本発明は,金属がアルミニウム又はマグネシウムのいずれかを主成分とすることを特徴とする前記の複合体であり,更に好ましくは,前記多孔質セラミックスが空隙率20~50%の炭化珪素からなり,前記金属がアルミニウムを主成分とすることを特徴とする前記の複合体である。」(段落【0010】)(オ) 発明の実施の形態「本発明は,多孔質セラミックス構造体に金属を含浸してなる複合体であって,該複合体表面全体に前記金属の層を設けてなることを特徴とする複合体である。この構造を採用するとき,金属-セラミックス複合体中の金属 明は,多孔質セラミックス構造体に金属を含浸してなる複合体であって,該複合体表面全体に前記金属の層を設けてなることを特徴とする複合体である。この構造を採用するとき,金属-セラミックス複合体中の金属と表面の金属の層が同一であり,連続的につながっているので,金属-セラミックス複合体と金属層とが形成する界面での金属層の剥離等が起こるのを防止できる効果がある。」(段落【0012】)「また,表面が低ヤング率の金属層で覆われているため,該金属-セラミックス複合体が,例えばセラミックス基板や放熱フィンとはんだで接合され,ヒートシンクとして用いられた場合に,はんだとの間のひずみが小さくなることから,はんだクラックが発生しにくくなるという効果が得られる。また,放熱フィンとの密着性の低下も少なく,放熱特性が長期に渡り安定して得ることができる。」(段落【0013】)「更に,本発明の金属-セラミックス複合体は,上記構造を採用することにより,表面に金属層を有しない従来公知の金属-セラミックス複- 137 -合体と比較して,加工性に富んでいる。例えば,平面研削によりヒートシンクの面加工をする場合には,本発明の金属-セラミックス複合体では,所定寸法より小さめの多孔質セラミックス構造体を用い,金属の層を厚めに設けることで,金属層のみを平面研削するだけで所望寸法の金属-セラミックス複合体を得ることができる。従来のダイヤモンド工具等を必要とするセラミック部分の研削が不必要となる。」(段落【0014】)「同様に,金属-セラミックス複合体に穴明け加工をする場合には,予め所望寸法よりも大きな穴を有する多孔質セラミックス構造体を用いて,金属の層を厚めに設けることで,従来公知の金属加工法を適用するのみで所望寸法の金属-セラミックス複合体を得ることができる。」(段 予め所望寸法よりも大きな穴を有する多孔質セラミックス構造体を用いて,金属の層を厚めに設けることで,従来公知の金属加工法を適用するのみで所望寸法の金属-セラミックス複合体を得ることができる。」(段落【0015】)「その材質については,得られる金属-セラミックス複合体の熱伝導率の低下を少なく,かつ熱膨張係数をアルミナ,窒化アルミニウム,窒化珪素等のセラミック基板に近づけるということから,高熱伝導でありかつ低熱膨張の炭化珪素,窒化アルミニウム,窒化珪素及びアルミナ等が好適である。又,シリカは,熱伝導率は前記セラミックスよりも小さいが,熱膨張係数が小さいため少ない添加量で金属-シリカ複合体の熱膨張係数をセラミック基板の熱膨張係数に近づけることができるため,複合体としたときの熱伝導率の低下が少なく,前記セラミックスを使用したときと同様の効果を得ることができ,やはり,好ましい。このうち,炭化珪素は粉体自体の熱伝導率がアルミニウムよりも高く,炭化珪素を使用して得られる金属-セラミックス複合体の熱伝導率は金属単味の熱伝導率よりも高くなることから特に好ましい。」(段落【0019】)「本発明に用いる金属については,本発明の目的を達成し得れば,どのようなものであっても構わないが,高熱伝導性,軽量性を達成する目- 138 -的から,アルミニウム,マグネシウム等の軽合金又はそれらの合金が好ましい。前記合金についても格別の制限はなく,汎用のアルミニウム合金やマグネシウム合金を用いることができる。アルミニウム合金の場合には,鋳造のしやすさ,高熱伝導性の発現の点から,Si含有量が4~10%のAC2A,AC2B,AC4A,AC4B,AC4C,AC8B,AC4D,AC8C,ADC10,ADC12等のアルミニウム合金が特に好ましい。」(段落【0020】) 点から,Si含有量が4~10%のAC2A,AC2B,AC4A,AC4B,AC4C,AC8B,AC4D,AC8C,ADC10,ADC12等のアルミニウム合金が特に好ましい。」(段落【0020】)「上記のセラミックスと金属の組み合わせに関して,金属としてアルミニウムあるいはアルミニウム系合金,セラミックスとして炭化珪素を用いたアルミニウム-炭化珪素複合体は,軽量,高熱伝導,セラミック基板との熱膨張の適合性の点で特に優れた組合せである。本発明者らは,このアルミニウム-炭化珪素複合体について,いろいろ検討した結果,炭化珪素含有量には本発明の目的を達するのに好適な範囲が存在することを見出し,本発明に至ったものである。即ち,アルミニウム-炭化珪素複合体中の炭化珪素含有量が50体積%以下では熱膨張係数が高くなり,セラミック基板との熱膨張差に起因する前記問題が生じ易くなる。 また,セラミックスは高温での熱伝導率が下がるため,80体積%以上では,使用時の温度上昇による熱伝導率の低下が著しくなるという問題が顕著になってくる。従って,アルミニウム-炭化珪素複合体中の炭化珪素含有量は50~80体積%,すなわち,複合体化前の多孔質炭化珪素構造体の気孔率は50~20体積%が好適である。」(段落【0021】)「本発明の金属-セラミックス複合体を得る方法については,従来公知のいろいろな含浸方法を適用することができるが,複合体表面に金属層を形成させる必要から,圧力鋳造による方法が望ましい。すなわち,ダイキャスト法による場合には,金型のキャビティをプリフォームより- 139 -も表面層の分だけ大きめに作ることにより,表面に金属層を持った複合体を容易に作製することができる。又,溶湯鍛造による場合には,鍛造後に金属-セラミックス複合体を,表面に金属層が残るよ 139 -も表面層の分だけ大きめに作ることにより,表面に金属層を持った複合体を容易に作製することができる。又,溶湯鍛造による場合には,鍛造後に金属-セラミックス複合体を,表面に金属層が残るように切り出すことで容易に作製することができる。」(段落【0022】)「この場合,下地となる複合体表面に存在する金属層の厚さについて,0.5μmから500μmであることが望ましい。0.5μm以下であると部分的にメッキの不均一が生じることがあるし,500μmを超えるとヒートサイクルによりはんだクラックが生じ易くなるからである。」(段落【0024】)(カ) 実施例「〔実施例1~5〕表1に示す厚さ3mmの金属-セラミックス複合体を作製し,その熱伝導率,熱膨張係数を測定した。その結果,表1に示すとおりに,表面金属層の有無にかかわらず,高熱伝導で,熱膨張係数がセラミック基板に近い金属-セラミックス複合体が得られることを確認した。」(段落【0026】)【表1】(段落【0027】) 「〔実施例12,比較例6〕表5に示す,縦100mm,横40mm,- 140 -厚さ3mmの金属-セラミックス複合体を作製し,それに縦横が同じ大きさで,厚さ20mmのAl板を4隅でネジ止めし,125℃の温度に加熱した。その結果,表面に金属層を設けた金属-セラミックス複合体とAl板の間には隙間は認められなかったが,表面に金属層の無い通常の金属-セラミックス複合体には隙間が生じていた。」(段落【0034】)【表5】(段落【0035】) (キ) 発明の効果「金属-セラミックス複合体の表面に当該金属の層を設けることにより,メッキ性が良く,塑性ひずみによるはんだクラックの発生 段落【0035】) (キ) 発明の効果「金属-セラミックス複合体の表面に当該金属の層を設けることにより,メッキ性が良く,塑性ひずみによるはんだクラックの発生や放熱フィンとの密着性の低下が無く,かつ加工性にも優れた金属-セラミックス複合体が得られ,特に電子部品の放熱部品として,セラミックス回路基板のヒートシンク材料として好適である。」(段落【0036】)イ前記アの記載によれば,甲1発明の概要は以下のとおりであると認められる。 (ア) 甲1発明は,金属-セラミックス複合体と,それを用いたICパッケージや多層配線基板等の半導体装置のヒートシンクに関する発明である。 ヒートシンクに使用される材料には,高熱伝導性であることのほか,- 141 -セラミックス基板とヒートシンクの熱膨張差に起因して加熱接合時や使用時のヒートサイクルにより半田部分でのクラックやセラミックス基板の割れ等が発生することがあるため,熱膨張係数が金属と比べて低く,セラミックス基板として使用される材料に近いことが要求される。 上記要求を満たすヒートシンク用材料として,近年,金属-セラミックス複合体が注目されているが,金属-セラミックス複合体は金属と比較してヤング率が大きいため,実使用下で発熱により温度が上がると,半田との間でひずみが生じ,半田クラックが発生することがあるという問題,熱膨張差により放熱フィンとの間の密着性が悪くなり,放熱特性が低下するという問題,金属-セラミックス複合体は金属と比較して固く,加工が難しいため,形状対応性が悪いという問題があった。 (イ) 甲1発明は,上記(ア)記載の課題の解決を目的として,金属-セラミックス複合体の表面に当該金属の層を設けることにより,メッキ性が良く,塑性ひずみ 状対応性が悪いという問題があった。 (イ) 甲1発明は,上記(ア)記載の課題の解決を目的として,金属-セラミックス複合体の表面に当該金属の層を設けることにより,メッキ性が良く,塑性ひずみによる半田クラックの発生や放熱フィンとの密着性の低下がない,かつ加工性にも優れた金属-セラミックス複合体が得られることを見いだし,課題解決手段として,甲1発明の構成を採用した。 (ウ) 甲1発明によれば,金属-セラミックス複合体の表面に当該金属の層を設けることにより,メッキ性が良く,塑性ひずみによる半田クラックの発生や放熱フィンとの密着性の低下が無く,かつ加工性にも優れた金属-セラミックス複合体が得られ,特に電子部品の放熱部品として,セラミックス回路基板のヒートシンク材料として好適である。 ウまた,前記アの記載によれば,刊行物1(甲1)には,金属-セラミックス複合体のヒートシンクには,熱膨張差により放熱フィンとの間の密着性が悪くなり,放熱特性が低下するという問題があることが開示されていると認められるが,これらの問題を金属-セラミックス複合体の表面に当該金属の層を設けることにより解決することが開示されており,金属-セ- 142 -ラミックス複合体に凸面を設けることについては何ら開示がない。 (3) 各刊行物の記載及び開示(下記記載中に引用する図面については,別紙2の刊行物図面目録を参照。)。 ア刊行物2(甲2)(ア) 刊行物2(甲2)には,概略,次のような記載がある。 a 産業上の利用分野「本発明は,ろう層を介して互いに結合された,熱膨張係数の異なる少なくとも2枚の板からなる基板を変形する方法に関する。」(段落【0001】)b 従来の技術「半導体モジュー 本発明は,ろう層を介して互いに結合された,熱膨張係数の異なる少なくとも2枚の板からなる基板を変形する方法に関する。」(段落【0001】)b 従来の技術「半導体モジュールを,特にパワーエレクトロニクス分野で使用した際に生じる熱による破壊から保護するには,モジュールを冷却体と良好に熱伝導可能に接触させることが必要である。このためにはモジュールの銅支持板は平坦な冷却体に対して凸状に湾曲した面を,有利には球面として有していなければならず,これによりモジュールを当該冷却体上に側方でねじ締めした際,モジュールは機械的応力下に冷却体に押し付けられる。支持板の相応する形を得るには大きな問題が存在する。」(段落【0003】)「銅とAl2 O3 の熱膨張係数は著しく異なることから,各板をろう付けする際に必然的に生じる熱が,Al2 O3 セラミック及び銅支持板を異なって著しく膨張させる(バイメタル効果)。その結果この構造体が冷却した後もはや意図した平行な銅支持板ではなく,セラミック板の状態に対して凸状に湾曲した銅支持板が存在することになる。この事実は,冷却体への支持板の良好な接触がこの構造体の側面でのみはなお確保されるが,中央部ではまったく接触しないか又は不良な状態で接触するにすぎず,従って熱の放出にはほとんど役に立たないこ- 143 -とを意味する。」(段落【0004】)「凸状に湾曲した,できる限り球面に等しい板構造体を得るには,十分に小さいセラミック板を,凸状に予め変形処理した銅支持板上に軟ろう結合により設け,その結果構造体の冷却後に所望の板構造体を少なくとも近似して生ぜしめることができる。」(段落【0005】)c 発明が解決しようとする課題「本発明は,簡単かつ経済的にろう処理 果構造体の冷却後に所望の板構造体を少なくとも近似して生ぜしめることができる。」(段落【0005】)c 発明が解決しようとする課題「本発明は,簡単かつ経済的にろう処理によって変形した基板を規定の予め与えられた形にすることのできる方法,及びこの方法を実施するための装置を提供することを課題とする。」(段落【0007】)d 課題を解決するための手段「この課題は本発明によれば,基板をプレス皿内で,基板の少なくともプレス皿の表面に隣接する板がプレス皿の予め与えられた形に合わされまたこれにより永久変形が得られるような温度及び圧力にさらすことによって解決される。」(段落【0008】)「この方法及び方法を実施する装置を用いて,ろう層によって結合された,熱膨張係数の異なる板を,これらが予め与えられた構造体の形に最適に適合され得るように変形することができる。特にAl2 O3からなるセラミック板と軟ろう層により結合された銅からなる支持板を,例えば冷却体に対して凸状の予め与えられた形にすることができる。」(段落【0009】)「特に,その製造に関しても特に,銅支持板の形を凸状に湾曲した球面として構成することが好ましい。Al2 O3 セラミック,ろう層及び支持板からなる構造体を後に,すなわちろう付け終了後に本発明により所望の形に変形し得ることは特に有利である。Al2 O3 と銅の膨- 144 -張係数が異なることから最初の冷却工程後に生じる機械的応力が,本発明による新たな加熱によって著しく減少し,その結果これに伴う材料のひずみが低下する限り,本方法は有利に作用する。」(段落【0010】)e 実施例「図5には,構造体が常法で大表面の軟ろう結合材3を冷却した後 て著しく減少し,その結果これに伴う材料のひずみが低下する限り,本方法は有利に作用する。」(段落【0010】)e 実施例「図5には,構造体が常法で大表面の軟ろう結合材3を冷却した後にどのような状態で存在するかが示されている。大表面の軟ろう結合材3,セラミック板4及び銅板2がその製造前に平行して配列されている場合には,銅(αCu=175×10-6)及びAl2 O3 (αAl2O3 =66×10-6 )がその熱膨張係数α を著しく異にすることによって必然的に,銅支持板2は構造体の冷却後,セラミック板4に対して凹状に変形する。銅板2のこの凹状又はくぼみの発生は,平坦な冷却体8に対する銅板2の良好な熱結合がもはや確保され得ないことを意味する。これに対しろう結合材3の冷却後僅かに凸状に構成された支持板形状は理想的である。それというのも次に支持板2の外面を冷却体8と結合した場合,例えばねじ締め9した場合,特に密の機械的結合,従って相応して良好な熱結合が得られるからである。」(段落【0014】)「冷却状態でこの僅かに凸状化した支持板形状を得るには,ろう付け前にあっては比較的強く凸状に変形されている支持板2を使用することが提案され,その結果ろう層3を冷却した後銅板2の所望の残留凸面状が存在することになる。この方法は十分に小さいセラミック板4に対してのみ適しており,それは,一層大きなセラミック板4をろう付けする場合,支持板2の凸状の予備変形が大表面のろう層3の冷却後における支持板2の凹状変形を阻止するには不十分であることを実験結果が示しているからである。この場合にも図5に示した不所望- 145 -の構造体が生じる。更に,小型にしたセラミック板4をろう付けするこの方法は,付加的に相互配線をする必要があることから費用が嵩む 示しているからである。この場合にも図5に示した不所望- 145 -の構造体が生じる。更に,小型にしたセラミック板4をろう付けするこの方法は,付加的に相互配線をする必要があることから費用が嵩む。」(段落【0015】)「図1~図3により本発明の詳しい実施例を説明する。図1は本発明による装置を示すものである。加熱可能の皿14は凸状に前変形された塊状の板からなり,その下面全体にわたって大きい面積で加熱ら線16が施されている。ケーシングの取り付け及び充填まですでに完全に仕上げられ,基板2,3,4を有する使用可能状態の半導体モジュール1は皿14内に配置されている。この場合明確に示すために皿14及び加圧装置10のプレート11の湾曲は著しく誇張して示されている。」(段落【0016】)「市販のモジュール1の基板2,3,4の銅板2は,銅板2の4つのすべての側面がろう付けされたセラミック板4を越えて突出しており,従って銅板2を冷却体8とねじ締め9するためのモジュール1の横側面でも,また長手側面15でも突出しているように大きい点に注意すべきである。」(段落【0017】)「銅板2のこの狭い突出長手縁15は変形加圧装置10に対する作用面を構成する。固有の加圧装置10は,皿14に合わせて凸状に構成された下縁12を有する2つの平行に配置されたプレート11からなり,プレートの厚さは銅板2の突出する長手縁15の幅に等しく,またその間隔は,これが半導体モジュール1のセラミック板4に接して滑走し,銅板2の前記長手縁15上に載るように選定されている。」(段落【0018】)「結合されたプレート11は垂直方向に移動可能に配置されていることから,上方から結合プレート11に作用する力13はプレート11を介して銅支持板2の突出長手縁15に伝達される。」(段落【0 18】)「結合されたプレート11は垂直方向に移動可能に配置されていることから,上方から結合プレート11に作用する力13はプレート11を介して銅支持板2の突出長手縁15に伝達される。」(段落【0- 146 -019】)「図3は本発明による方法を使用した後,半導体モジュール1を室温に冷却した後の半導体モジュール1の基板2,3,4を示すものである。基板2,3,4の変形は部分的に戻され,従って全体的には所望の残留凸面状が残り,永続的に固定される。」(段落【0021】)「具体的な実施例では,寸法94mm×34mm×3mm(長さ×幅×厚さ)の変形すべき銅支持板2及びろう箔3によりろう付けされた寸法61mm×29mm×0635mm のAl2 O3 セラミック板4を有する市販のパワー半導体モジュール1を使用した。銅板2とAl2 O3 セラミック板4との間の厚さ約02mm の軟ろう層3は,融点183℃の組成PbSnAg40/59/1の合金に相当する。この場合ろう3を可塑性にするため130℃~150℃の加熱温度が使用される。実験では特に150℃で加工した。同時に銅板2の長手側面15にかけられた圧力を5秒間維持し,その際銅板2は900μm (加圧方向に対して垂直に測定した)押し曲げられた。加圧装置10,14から取り出し,モジュール1を室温に冷却した際,変形は100μm に戻り,その結果銅支持板2の所望の残留凸面状は永続的に固定される。銅板2を大きい面積の平坦な冷却体8と側方でねじ締め9した際,僅かな機械的応力下に,半導体モジュール1は冷却体8に理想的に熱結合を生じ,従って総体的に最良の熱供給の可能性が保証される。」(段落【0022】)(イ) 前記(ア)の記載によれば,刊行物2(甲2)には,①半導体モジュールを冷却体と良好に 理想的に熱結合を生じ,従って総体的に最良の熱供給の可能性が保証される。」(段落【0022】)(イ) 前記(ア)の記載によれば,刊行物2(甲2)には,①半導体モジュールを冷却体と良好に熱伝導可能に接触させるためには,モジュールの「銅支持板」は平坦な冷却体に対して凸状に湾曲した面を,有利には,球面として有していなければならず,これにより,モジュールを冷却体- 147 -上に側方でネジ締めした際,モジュールが機械的応力下に冷却体に押し付けられ,良好な結合が得られること,②「銅支持板」とセラミックス基板をろう付けすると,銅とセラミックス基板との熱膨張係数が著しく異なることから,この構造体が冷却された後は,銅支持板は,平行ではなく,セラミックス基板に対して凹状に変形すること,③銅支持板及びろう箔によりろう付けされたセラミックス板を有するパワー半導体モジュールを使用した実施例において,これを150℃で加工し,同時に銅支持板にかけられた圧力を5秒間維持した後,加圧装置から取り出して,モジュールを室温に冷却した際,銅支持板の凸状の変形が100μm であったことが開示されていると認められる。 (ウ) 原告は,刊行物2(甲2)には,放熱部品の材質にかかわらず,放熱部品を放熱フィン側に凸状にすることが好ましいという技術及び所望の範囲に反り量を規定するという技術が開示されている旨主張する。 しかしながら,刊行物2(甲2)に開示されたヒートシンクは,「銅支持板」であって,AlSiC複合体のヒートシンクではなく,また,モジュールの支持板が「凸状に湾曲した面」,「有利には,球面」であることやモジュールを加圧装置から取り出して冷却した際の「銅支持板」の凸状の変形が100μmであったという実施例が1例記載されているのみであっ の支持板が「凸状に湾曲した面」,「有利には,球面」であることやモジュールを加圧装置から取り出して冷却した際の「銅支持板」の凸状の変形が100μmであったという実施例が1例記載されているのみであって,反り量を所定の数値範囲に規定することについては開示がなく,まして,ヒートシンクにAlSiC複合体を用いた場合の反り量の程度について開示するものではない。 イ刊行物3(甲3)(ア) 刊行物3(甲3)には,概略,次のような記載がある。 a 特許請求の範囲「【請求項1】金属の底板(1)の上面に配設された電気的に絶縁性で熱伝導性の基板(6)と,この基板(6)の上面に配設された半- 148 -導体チップ(8,9)とを備え,前記底板(1)の下面(2)が凸面状に形成されている半導体モジュールにおいて,底板(1)の上面(5)が平坦状であることを特徴とする半導体モジュール。」「【請求項2】 底板(1)の下面(2)が縦及び横方向に凸面状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体モジュール。」「【請求項3】 底板(1)の下面(2)が球面の形状を持っていることを特徴とする請求項2記載の半導体モジュール。」b 産業上の利用分野「この発明は,金属の底板の上面に配設された電気的に絶縁性で熱伝導性の基板と,この基板の上面に配設された半導体チップとを備え,前記底板の下面が凸面状に形成されている半導体モジュールに関する。」(段落【0001】)c 従来の技術「この種の半導体モジュールは,例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3940933号公報において公知である。底板を凸面状に形成するのは,半導体モジュールの使用中においても底板と冷却体との間の熱接触を良 の種の半導体モジュールは,例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第3940933号公報において公知である。底板を凸面状に形成するのは,半導体モジュールの使用中においても底板と冷却体との間の熱接触を良好にするためである。冷却体に対して凸面状に形成された底板はその両端で冷却体にねじ止めされる。これにより底板はその全面にわたって冷却体に接触する。凸面状形成の大きさは,使用中に底板がその中央部に脹らみを生じない程度に選ばれている。」(段落【0002】)「上記の公報に記載された半導体モジュールにおいては底板はその全面にわたって同一の厚さである。従って冷却体に対して底板の下面を凸面状に変形すると上面においては凹面形状となる。基板と底板との結合もまた半導体チップと基板との結合も多くの場合軟ろう付けに- 149 -より行われるから,ろうが流動状態にあると流れ出す傾向がある。従って,簡単なろう型では基板並びに半導体チップの簡単な取りつけが不可能である。簡単な取りつけは,底板の凸面度が大きければ大きい程そして底板に取りつけられる部品が多ければ多い程それだけ困難になる。」(段落【0003】)d 発明が解決しようとする課題「この発明の課題は,上述の種類の半導体モジュールを,簡単なろう型にて簡単に取りつけが可能で,しかしながら底板と冷却体との間の良好な熱接触が保障されるように構成することにある。」(段落【0004】)e 課題を解決するための手段「この課題は,底板の上面が平坦状であることによって解決される。」(段落【0005】)f 実施例「この発明を図面に示した実施例を参照して以下に詳細に説明する。 なお,図面においては底板の下面における凸面状の湾曲もまた取りつけられる部品の厚さもわかりよくするため誇 】)f 実施例「この発明を図面に示した実施例を参照して以下に詳細に説明する。 なお,図面においては底板の下面における凸面状の湾曲もまた取りつけられる部品の厚さもわかりよくするため誇張して示されている。」(段落【0007】)「図1において底板は1で示されている。この底板1は一般に熱良伝導性物質,例えば銅からなる。底板1は,冷却体12に対して凸面状の下面2と,平坦状の上面5とを有している。上面5には熱良伝導性で電気絶縁性の基板6が設けられている。この基板6は,通常,酸化アルミニウム(Al2 O3 )或いは窒化アルミニウム(AlN)からなり,ろう付け可能な導電路を備えている。基板6は底板1の上面5に軟ろう層7により接合されている。基板6の上面には軟ろう層10,11を介して半導体チップ8,9が固定されている。これらの半導体- 150 -チップは導電路を介して互いにまた容器端子に接続される。半導体チップ8,9の上面は,通常,ボンディングにより互いにおよび上記の導電路に接続されている。」(段落【0008】)「モジュールは接続リード,容器及び容器内充填物を備えてから,底板1の両端3,4でねじにより冷却体12にねじ止めされる。その際底板1は変形して,その下面2が平坦状に冷却体12に接する。一方底板1の上面5は凸面状に変形する。ろう付けされた部材間に生ずる機械的応力はろう層7,10及び11により吸収される。」(段落【0010】)「底板1の長さがその幅よりかなり大きい場合には,底板1の下面2の凸面形成は縦方向だけで充分である。底板1の横方向寸法がかなり大きく,例えば縦方向寸法と同程度の大きさである場合には,底板1の下面2の凸面形成は両方向に行うことが推奨される。この場合下面2は例えば球面の形とされる。」(段落【0011 板1の横方向寸法がかなり大きく,例えば縦方向寸法と同程度の大きさである場合には,底板1の下面2の凸面形成は両方向に行うことが推奨される。この場合下面2は例えば球面の形とされる。」(段落【0011】)「実際の実施例においては底板1の長さは137mm,横幅は127mmである。その厚さは外周で5mm,中央部の最大厚みは5.4乃至5.5mmである。このようなモジュールは例えば6本のねじにより冷却体12に固定される。」(段落【0012】)(イ) 前記(ア)の記載によれば,刊行物3(甲3)には,①半導体モジュールの使用中においても「金属の底板」と冷却体との間の熱接触を良好にするため,底板を凸面状に形成すること,②「金属の底板」は「例えば銅」からなること,③底板の長さがその幅よりかなり大きい場合には,底板の下面の凸面形成は縦方向だけで充分であるが,底板の横方向寸法がかなり大きく,例えば縦方向寸法と同程度の大きさである場合には,底板の下面の凸面形成は両方向に行うことが推奨され,この場合,下面は例えば球面の形とされること,④実際の実施例においては,底板の長- 151 -さは137mm,横幅は127mm,厚さは外周で5mm,中央部の最大厚みは5.4ないし5.5mmであったことが開示されていると認められる。 (ウ) 原告は,刊行物3(甲3)には,材料を問わず,ヒートシンクを放熱フィン側に凸形状にすることが好ましいという技術及び所定の大きさに反り量を制御するという技術が開示されている旨主張する。 しかしながら,刊行物3(甲3)に開示されたヒートシンクは,「金属の底板」で「例えば銅」からなるものであって,AlSiC複合体のヒートシンクではなく,また,凸面形成の方向についての開示があるのみで,反り量を所定の数値範囲に 3)に開示されたヒートシンクは,「金属の底板」で「例えば銅」からなるものであって,AlSiC複合体のヒートシンクではなく,また,凸面形成の方向についての開示があるのみで,反り量を所定の数値範囲に規定することについては開示がなく,ヒートシンクにAlSiC複合体を用いた場合の反り量の程度について開示するものではない。 ウ刊行物4(甲4)(ア) 刊行物4(甲4)には,概略,次のような記載がある。 a 特許請求の範囲「【請求項1】 炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,相対する主面の炭化珪素量の差が3重量%以下であることを特徴とする板状複合体。」「【請求項2】室温(25℃)から300℃に加熱した際の反り量が,当該反りが最大となる方向の長さ1mmに対して,5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の板状複合体。」b 発明の属する技術分野「本発明は,熱伝導特性に優れ,かつ軽量であり,セラミックス基板やICパッケージなどの半導体部品のヒートシンクなどの放熱部品として好適な高熱伝導性複合材料に関する。」(段落【0001】)c 発明が解決しようとする課題- 152 -「更に,上記の課題を解決するため,金属-セラミックス複合体が検討されているが,セラミックス基板に近い熱膨張率を得ようとすると,熱膨張率の低い強化材であるセラミックスの比率を上げる必要がある。しかし,セラミックス成分の比率を上げるには,高い成形圧でプリフォームを成形する必要があり,コストアップに繋がると共に,その後の金属或いは合金の十分な含浸が難しくなるという問題がある。 このため,熱膨張率がセラミックス基板に近く,高い熱伝導率を有する金属 プリフォームを成形する必要があり,コストアップに繋がると共に,その後の金属或いは合金の十分な含浸が難しくなるという問題がある。 このため,熱膨張率がセラミックス基板に近く,高い熱伝導率を有する金属-セラミックス複合体を安価に提供できる技術の開発が課題となっている。」(段落【0009】)「一方,上述した複合体をヒートシンク等の放熱部品として用いる場合,回路基板や放熱フィン等と接合して用いるため,その接合部分の平滑度,言い換えると複合体の反りが非常に重要である。例えば,ヒートシンクに適用させる場合,セラミックス基板等の回路基板と半田等により接合するため,ヒートシンクに反りがあると接合界面の厚さが不均一になり,使用時に接合部(半田部分)より剥離等が起こるといった問題や,回路基板に不均一な応力が発生し,回路基板におけるセラミックス等の絶縁層の破壊といった問題が発生する。また,室温で反りが小さく,回路基板との接合が可能な材料であっても,使用下で加熱されて反りを発生する材料の場合には,やはり,接合部からの剥離や回路基板の破壊等の問題がある。」(段落【0010】)「更に,セラミックス回路基板等は,ヒートシンク等の放熱部品を介して,通常放熱フィン等に接合して用いるが,その場合,ヒートシンクに反りがあると放熱フィン等との接合が不十分となり,半導体素子等から発生した熱を十分に放熱することができず,部品の故障原因となる。」(段落【0011】)「本発明は,上記の事情に鑑みなされたものであって,高熱伝導性- 153 -を有すると共に,比重が小さく,且つ熱膨張率がセラミックス基板と同程度に小さく,加えて加熱された際にも反りがない,寸法安定性に優れた高熱伝導性複合体とそれを用いて放熱部品を安価に提供することを目的とするものである。」(段落【001 熱膨張率がセラミックス基板と同程度に小さく,加えて加熱された際にも反りがない,寸法安定性に優れた高熱伝導性複合体とそれを用いて放熱部品を安価に提供することを目的とするものである。」(段落【0012】)d 課題を解決するための手段「本発明者らは,上記目的を達成するため鋭意研究した結果,複合体中の炭化珪素量を厳密に制御することにより,複合体の反りを防止できることを見出し,本発明を完成するに至ったのである。」(段落【0013】)「即ち,本発明は,炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,相対する主面の炭化珪素量の差が3重量%以下であることを特徴とする板状複合体である。」(段落【0014】)「また,本発明は,室温(25℃)から300℃に加熱した際の反り量が,当該反りが最大となる方向の長さ1mmに対して,5μm以下であることを特徴とする前記の板状複合体である。」(段落【0015】)e 発明の実施の形態「本発明者らは,基材である金属について種々検討した結果,アルミニウムを主成分とする合金を用いることにより,良好な複合体を製造できることを見いだした。すなわち,本発明の複合体は,炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなるものである。」(段落【0021】)「本発明の複合体は,板状であり,しかも相対する主面の炭化珪素量の差が3重量%以下,好ましくは,1重量%以下である。複合体の熱膨張率は,炭化珪素と金属或いは合金の熱膨張率とその含有量によ- 154 -り強く支配されているが,このため,前記炭化珪素量の差が3重量%を越えると,複合体の相対する主面の熱膨張率の差が大きくなり,複合体に反りが発生し,ヒートシンク等の放熱部品として用 - 154 -り強く支配されているが,このため,前記炭化珪素量の差が3重量%を越えると,複合体の相対する主面の熱膨張率の差が大きくなり,複合体に反りが発生し,ヒートシンク等の放熱部品として用いる場合に,回路基板や放熱フィン等と十分に接合することができなくなってしまうという問題がある。また,板の厚さとしては,例えばヒートシンクに用いる場合に2~10mmである。」(段落【0024】)「本発明の炭化珪素質複合体は,室温(25℃)から300℃に加熱した際の反り量が,当該反りが最大となる方向の長さ1mmに対して,5μm以下,好ましくは2μm以下である。一般に,ヒートシンク等の放熱部品は,回路基板や放熱フィン等と接合して用いられるため,室温においては,顕著な反りがないものを用いる。しかし,加熱時に反りが発生すると前述したような回路基板の剥離や絶縁層の破壊といった問題が発生する。」(段落【0025】)「室温(25℃)から300℃に加熱した際の反り量が,当該反りが最大となる方向の長さ1mmに対して,5μmを越えると,回路基板や放熱フィン等と接合する際には,室温では接合状態が均一であっても,実使用下においては,熱サイクル等が付加された場合,回路基板の破壊や放熱特性の低下による半導体素子の故障を引き起こす。」(段落【0026】)「本発明の複合体は,熱伝導率が150W/(m・K)以上であり,室温の熱膨張率が1×10-5K-1 以下であることが好ましい。」(段落【0028】)「本発明の複合体は,熱伝導特性に優れ,十分な機械的特性を有し,しかもセラミックス基板と同程度に小さな熱膨張率を有しており,セラミックス回路基板用などのヒートシンクを初めとする放熱部品に用いて好適である。また,本発明の複合体は,密度が3g/cm3 程度と- 155 セラミックス基板と同程度に小さな熱膨張率を有しており,セラミックス回路基板用などのヒートシンクを初めとする放熱部品に用いて好適である。また,本発明の複合体は,密度が3g/cm3 程度と- 155 -軽量であり,移動用機器に用いる放熱部品として好適である。」(段落【0030】)「本発明の複合体は,熱伝導特性に優れ,熱膨張率が1×10-5K-1以下と低いので,ヒートシンク等の放熱部品として用いるとき,従来の銅等を用いた場合に比べてセラミックス基板との熱膨張率差が小さくなり,セラミックス基板がその上に搭載される半導体素子の作動時に発生する熱サイクル等によりクラックや割れ等を発生する現象を防止できるので,高い信頼性が要求される電気,自動車等の移動用機器に用いる放熱部品として好適である。そして,本発明の複合体を用いてなる放熱部品は,温度変化があっても反りが非常に少ないので,回路基板や放熱フィンと十分に接合することができ,高い放熱特性を安定して有することができるという効果を有する。」(段落【0031】)f 実施例「[実施例1~6]炭化珪素粉末a(太平洋ランダム社製:NG-220,平均粒径:60μm),炭化珪素粉末b(屋久島電工社製:GC-500F,平均粒径:30μm)及びシリカゾル(日産化学社製:スノーテックス)を表1の組成で配合し,攪拌混合機で30分間混合した後,120mm×120mm×5mmの形状に10MPaの圧力でプレスし成形体とした。得られた成形体は,大気雰囲気中,温度1000℃で2時間加熱して,炭化珪素質多孔体を作製した。得られた炭化珪素質多孔体は,その寸法と質量より相対密度を算出した。 得られた結果を表1に示す。」(段落【0036】)「次に,炭化珪素質多孔体を電気炉で,温度8 素質多孔体を作製した。得られた炭化珪素質多孔体は,その寸法と質量より相対密度を算出した。 得られた結果を表1に示す。」(段落【0036】)「次に,炭化珪素質多孔体を電気炉で,温度800℃に予備加熱し,予め加熱しておいた内径200mmのプレス型内に載置した後,温度850℃に加熱した表1に示す金属の溶湯を鋳込み,100MPaの- 156 -圧力で2分間プレスして,炭化珪素質多孔体に合金を含浸させた。得られた複合体を含む合金塊は,室温まで冷却したのち,ダイヤモンド加工治具で複合体を削り出した。得られた複合体は,ダイヤモンド加工治具を用いて,熱膨張率測定用試験体A(3mmφ×10mm),試験体B(1.5mmφ×10mm),室温の熱伝導率測定用試験体(10mmφ×3mm),3点曲げ強さ評価用試験体(3mm×4mm×40mm),反り測定用試験体(100mm×50mm×3mm)に研削加工した。また,得られた複合体の相対する主面の上面より試験体C(20mmφ×0.4mm),下面より試験体D(20mmφ×0.4mm)をそれぞれ研削加工して作製した。」(段落【0038】)「次に,それぞれの試験体を用いて,押し棒式熱膨張計(セイコー電子社製;TMA300)により室温(25℃)から250℃の熱膨張率,レーザーフラッシュ法による室温の熱伝導率(真空理工社製;TC-7000)及び曲げ試験機(島津製作所社製;オートグラフ)による三点曲げ強さを測定した。得られた結果を表2に示す。更に,試験体C,Dを乳鉢で粉砕し,炭素分析計で炭素量を測定し,この炭素量から炭化珪素量を算出した。尚,反り量に関しては,試験体を電気炉中に設置し,温度25℃から300℃に加熱し,マクロメーターでその際の寸法変化を測定し,反り量を算出した。得られた結果を表2に示 素量から炭化珪素量を算出した。尚,反り量に関しては,試験体を電気炉中に設置し,温度25℃から300℃に加熱し,マクロメーターでその際の寸法変化を測定し,反り量を算出した。得られた結果を表2に示す。」(段落【0039】)【表2】(段落【0040】) - 157 - g 発明の効果「本発明の複合体は,強化材である炭化珪素質多孔体の含有量及びその分布状態を調整され,その結果,熱伝導率が高く,熱膨張率がセラミックス基板と同程度に小さく,しかも,温度変化を受けても反りが非常に小さいという特徴を有するので,半導体搭載用セラミックス基板と接合して用いるヒートシンクを初めとする放熱部品に好適である。更に,本発明の放熱部品は,前記特徴に加え,高強度で,しかも軽量であることから,電気,自動車等の移動機器等に好適な放熱部品として好適である。」(段落【0049】)(イ) 前記(ア)の記載によれば,刊行物4(甲4)には,①炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体のヒートシンク,②ヒートシンク等の放熱部品は,回路基板や放熱フィン等と接合して用いられるため,室温においては,顕著な反りがないものを用いるが,加熱時に反りが発生すると,回路基板の剥離や絶縁層の破壊といった問題が発生すること,③室温(25℃)から300℃に加熱した際の反り量が,当該反りが最大となる方向の長さ1㎜に対して,5μmを超えると,回路基板や放熱フィン等と接合する際には,室温では接合状態が均一であっても,実使用下においては,熱サイクル等が付加された場合,回路基板の破壊や放熱特性の低下による故障などの問題が生じること,が開示されているものと認められる。 (ウ) 原告は,刊行物4(甲4)に記載された上記反り においては,熱サイクル等が付加された場合,回路基板の破壊や放熱特性の低下による故障などの問題が生じること,が開示されているものと認められる。 (ウ) 原告は,刊行物4(甲4)に記載された上記反り量は,300℃におけるものではなく,300℃に加熱した後に,室温に冷却された後のものである旨主張する。 しかしながら,刊行物4(甲4)の記載,すなわち,特許請求の範囲- 158 -請求項2,段落【0025】,【0026】及び【0039】等の記載からは,刊行物4に開示された反り量は,室温(25℃)から300℃に加熱した際の,すなわち300℃における反り量であると理解でき,他にこれが室温におけるものであることを認めるに足りる証拠はない。 したがって,刊行物4は,室温におけるAlSiC複合体の反り量の数値範囲を規定するものではなく,むしろ「室温においては顕著な反りがないものを用いる」と記載されているように,室温におけるAlSiC複合体の反り量を規定することについて開示するものでもない。 エ刊行物5(甲5)(ア) 刊行物5(甲5)には,概略,次のような記載がある。 a 特許請求の範囲「【請求項1】セラミック基板(13)と,前記セラミック基板(13)の両面にAl-Si系ろう材を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム板(11,12,31,32,51,52)と,AlSiC系複合材料により形成され前記第1又は第2アルミニウム板(11,12,31,32,51,52)の表面に積層接着されたヒートシンク(14)とを備えたヒートシンク付セラミック回路基板。」「【請求項2】セラミック基板(13)がAlN,Si3N4 又はAl2O3により形成された請求項1記載のヒートシンク付セラミック回路基板。」b 発 トシンク付セラミック回路基板。」「【請求項2】セラミック基板(13)がAlN,Si3N4 又はAl2O3により形成された請求項1記載のヒートシンク付セラミック回路基板。」b 発明の属する技術分野「本発明は,パワーモジュール用基板等の半導体装置のセラミック回路基板に関する。更に詳しくは半導体チップ等の発熱体から発生する熱を放散させるヒートシンクを有するセラミック回路基板に関するものである。」(段落【0001】)c 発明が解決しようとする課題- 159 -「しかし,上記従来のセラミック回路基板は,半導体チップ等の発熱及び非発熱により基板温度が高温と低温との間で繰返し変化すると,セラミック基板と第1及び第2銅板との熱膨張係数が異なり,かつ第1及び第2銅板の変形抵抗が比較的大きいため,セラミック基板にクラックが生じる恐れがあった。本発明の目的は,熱サイクル寿命が長いヒートシンク付セラミック回路基板を提供することにある。」(段落【0003】)d 課題を解決するための手段「請求項1に係る発明は,図1に示すように,セラミック基板13と,セラミック基板13の両面にAl-Si系ろう材を介してそれぞれ積層接着された第1及び第2アルミニウム板11,12と,AlSiC系複合材料により形成され第1又は第2アルミニウム板11,12の表面に積層接着されたヒートシンク14とを備えたヒートシンク付セラミック回路基板である。この請求項1に係る回路基板では,第1及び第2アルミニウム板11,12が従来の銅板と比べて変形抵抗が小さいので,回路基板10に熱サイクルを付加してもセラミック基板13にクラックが発生することがない。またヒートシンク14として熱伝導率の高いAlSiC系複合材料を用いたので,放熱特性が向 変形抵抗が小さいので,回路基板10に熱サイクルを付加してもセラミック基板13にクラックが発生することがない。またヒートシンク14として熱伝導率の高いAlSiC系複合材料を用いたので,放熱特性が向上する。」(段落【0004】)「請求項2に係る発明は,請求項1に係る発明であって,更に図1に示すように,セラミック基板13がAlN,Si3N4 又はAl2O3 により形成されたことを特徴等する。この請求項2に係る回路基板では,セラミック基板13としてAlNを用いると熱伝導率及び耐熱性が向上し,Si3N4 を用いると強度及び耐熱性が向上し,Al2O3 を用いると耐熱性が向上する。」(段落【0005】)e 実施例- 160 -「次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。 <実施例1>図1に示すように,縦,横及び厚さがそれぞれ60mm,40mm及び0.635mmのAlNにより形成されたセラミック基板13と,縦,横及び厚さがそれぞれ60mm,40mm及び0.4mmのAl合金により形成された第1及び第2アルミニウム板11,12と,縦,横及び厚さがそれぞれ80mm,60mm及び2.0mmのAlSiC系複合材料により形成されたヒートシンク14と,縦,横及び厚さがそれぞれ60mm,40mm及び0.03mmのAl-Si系ろう材(図示せず)とを用意した。第1及び第2アルミニウム板11,12のAl純度はともに99.99重量%であり,ヒートシンク14中のAl合金は88重量%Al-12重量%Si合金であり,Al-Si系ろう材はAl-7.5重量%Si合金であった。またヒートシンク14中のAl合金の溶解温度範囲は560~600℃であった。」(段落【0016】)「先ず第1アルミニウム板11の上にAl-Si系ろう材,セラミ Al-7.5重量%Si合金であった。またヒートシンク14中のAl合金の溶解温度範囲は560~600℃であった。」(段落【0016】)「先ず第1アルミニウム板11の上にAl-Si系ろう材,セラミック基板13,Al-Si系ろう材及び第2アルミニウム板12を重ねた状態で,これらに荷重2kgf/cm2 を加え,真空中で630℃に加熱することにより,セラミック基板13の両面に第1及び第2アルミニウム板11,12を積層接着した。積層接着後,第2アルミニウム板12をエッチング法により所定のパターンの回路とした。次にヒートシンク14の上に第1アルミニウム板11を下側にしたセラミック板13とを重ね,これらに荷重2kgf/cm2 を加え,真空中で580℃に加熱してヒートシンク14を第1アルミニウム板11に積層接着し,ヒートシンク付セラミック回路基板10を得た。」(段落【0017】)「<比較例1>図4に示すように,実施例1のセラミック基板と同- 161 -形同大にかつ同一材料により形成されたセラミック基板3と,実施例1の第1及び第2アルミニウム板と同形同大の第1及び第2銅板1,2と,実施例1のヒートシンクと同形同大にかつCuにより形成されたヒートシンク4と,縦,横及び厚さがそれぞれ50mm,30mm及び0.1mmのはんだ6とを用意した。先ず第1銅板1の上にセラミック基板3及び第2銅板2を重ねた状態で,これらに荷重0.5kgf/cm2 を加え,N2 雰囲気中で1063℃に加熱するDBC法により,第1及び第2銅板1,2をセラミック基板3に積層接着した。 第2銅板2をエッチンクにより所定のパターンの回路とした。次にヒートシンク4の上にはんだ6と第1銅板1を下側にしたセラミック基板3とを重ねた状態で,N2 ガス及びH2 ガスの混合ガス雰囲気中で2 第2銅板2をエッチンクにより所定のパターンの回路とした。次にヒートシンク4の上にはんだ6と第1銅板1を下側にしたセラミック基板3とを重ねた状態で,N2 ガス及びH2 ガスの混合ガス雰囲気中で250℃に加熱してヒートシンク4を第1銅板1に積層接着し,このヒートシンク付セラミック回路基板5を比較例1とした。」(段落【0018】)「<比較例2>図5に示すように,ヒートシンク7をAlSiC系複合材料により形成し,ヒートシンク7をはんだ6を介して第1銅板1に積層接着する前にヒートシンク7の接着面にNiめっきを施したことを除いて,比較例1と同様に構成し,このヒートシンク付セラミック回路基板9を比較例2とした。」(段落【0019】)「<比較試験及び評価>実施例1,比較例1及び比較例2の回路基板の反り,熱抵抗及びセラミックスクラックをそれぞれ測定した。 ①反りの測定実施例1,比較例1及び比較例2のヒートシンクの下面の反りを3次元測定器でそれぞれ測定した。このときの測定長さは50mmであった。 ・・・」(段落【0020】)- 162 -「・・・実施例1及び比較例2ではヒートシンクの反りが30μmと同一であったのに対し,比較例1ではヒートシンクの反りが実施例1及び比較例2の1.5倍と大きくなっていた。・・・」(段落【0023】)f 発明の効果「以上述べたように,本発明によれば,セラミック基板の両面にAl-Si系ろう材を介して第1及び第2アルミニウム板をそれぞれ積層接着し,AlSiC系複合材料により形成されたヒートシンクを第1又は第2アルミニウム板の表面に積層接着したので,この回路基板に熱サイクルを付加しても,従来の銅板と比べて変形抵抗の小さい第1及び第2アルミニウム板がセラミック基板及びアルミニウム板の熱 クを第1又は第2アルミニウム板の表面に積層接着したので,この回路基板に熱サイクルを付加しても,従来の銅板と比べて変形抵抗の小さい第1及び第2アルミニウム板がセラミック基板及びアルミニウム板の熱膨張係数の差による歪みを弾性変形して吸収する。この結果,セラミック基板にクラックが発生することはない。またヒートシンクとして熱伝導率の高いAlSiC系複合材料を用いたので,放熱特性が向上する。・・・」(段落【0024】)(イ) 前記(ア)の記載によれば,刊行物5(甲5)には,①ヒートシンクとしてAlSiC系複合材料を用いた,ヒートシンク付セラミック回路基板,②AlSiC系複合材料により形成したヒートシンクを積層した実施例1及び比較例2のヒートシンク付セラミック回路基板では,ヒートシンクの下面の反りが,30μ㎜(測定長50㎜)であったことが開示されているものと認められる。 (ウ) 原告は,甲5には,AlSiC複合体製のヒートシンクが開示されており,AlSiC複合体製のヒートシンクが反りを有する場合があること及びその反りを適当なものに制御する技術開発が行われていたことも記載されている旨主張する。 しかしながら,刊行物5(甲5)は,「・・・回路基板では,第1及- 163 -び第2アルミニウム板11,12が従来の銅板と比べて変形抵抗が小さいので,回路基板10に熱サイクルを付加してもセラミック基板13にクラックが発生することはない。またヒートシンク14として熱伝導率の高いAlSiC系複合材料を用いたので,放熱特性が向上する。」(段落【0004】),「セラミック基板の両面にAl-Si系ろう材を介して第1及び第2アルミニウム板をそれぞれ積層接着し,AlSiC系複合材料により形成されたヒートシンクを第1又は第2アルミニ 。」(段落【0004】),「セラミック基板の両面にAl-Si系ろう材を介して第1及び第2アルミニウム板をそれぞれ積層接着し,AlSiC系複合材料により形成されたヒートシンクを第1又は第2アルミニウム板の表面に積層接着したので,この回路基板に熱サイクルを付加しても,従来の銅板と比べて変形抵抗の小さい第1及び第2アルミニウム板がセラミック基板及びアルミニウム板の熱膨張係数の差による歪みを弾性変形して吸収する。この結果,セラミック基板にクラックが発生することはない。またヒートシンクとして熱伝導率の高いAlSiC系複合材料を用いたので,放熱特性が向上する。」(段落【0024】)とあるように,第1及び第2アルミニウム板を設けたので,セラミックス基板にクラックが発生することがなく,また,ヒートシンクに熱伝導率の高いAlSiC系複合材料を用いたので,放熱特性が向上するとの開示にとどまり,AlSiC系複合材料からなるヒートシンクに積極的に凸状の反りを与えることが開示されているものではない。 オ刊行物6(甲6)(ア) 刊行物6(甲6)には,概略,次のような記載がある。 a 特許請求の範囲「【請求項1】放熱板と,この放熱板の外周部に設けられた取着部と,半導体素子を搭載して前記放熱板の中間部に固着された基板と,この基板を包囲するよう前記放熱板の外周に沿うと共に前記取着部と前記中間部との間に立設されたケースと,このケース内に前記基板を封止するよう設けられた合成樹脂製の封止部材とを備える半導体装置- 164 -において,前記放熱板が,前記基板を固着した中間部と前記ケースを立設した部分との間に変形緩衝部を有することを特徴とする半導体装置。」b 従来の技術「このように放熱板6が反ったままの半導体装置 前記基板を固着した中間部と前記ケースを立設した部分との間に変形緩衝部を有することを特徴とする半導体装置。」b 従来の技術「このように放熱板6が反ったままの半導体装置を組込み機器の取付け板の平坦面にねじ止めし固定すると,反った放熱板6には強制的に平坦化する方向に力が加わる。また,同時にケース9内の放熱板6上面に固着され同様に反った絶縁基板1,さらに絶縁基板1上面に搭載された半導体素子4にも平坦化する方向に力が加わり,これにより絶縁基板1や半導体素子4がひび割れしたり,破断したり等してしまう虞がある。」(段落【0009】)c 作用「上記のように構成された半導体装置は,固着された基板をケースを立設して包囲し封止部材で封止しするようにした放熱板が,基板を固着した中間部とケースを立設した部分との間に変形緩衝部を有しているので,封止を行った際に封止部材の固化にともなう熱収縮で放熱板に反りが生じるが,反りは変形緩衝部によって放熱板の外周部のみが変形して発生し,基板を固着した中間部は変形しない。このため中間部に固着した基板及びこれに搭載した半導体素子は変形せず,製品の歩留が向上し,また機器に組み込みを行う際に反っている外周部には強制的な力が作用するものの中間部には力が作用せず,基板及び半導体素子にひび割れ等の発生がなく,確実に所定の性能が得られ,経時的な性能も良好なものとなる。」(段落【0013】)d 実施例「そして絶縁基板21は,Niめっきが施された銅製の方形状の放熱板26の片面に半田付けによって固着されている。なお,27は固- 165 -着の際の半田層である。」(段落【0017】)「図5及び図6において,41は窒化アルミニウム等で の放熱板26の片面に半田付けによって固着されている。なお,27は固- 165 -着の際の半田層である。」(段落【0017】)「図5及び図6において,41は窒化アルミニウム等で形成された比較的薄いセラミック製の絶縁基板で,その両面に薄い銅膜42,43が形成されている。この絶縁基板41には,その片面側の銅膜42の表面に複数の半導体素子24が搭載されており,さらに片面側の銅膜42の表面には中央部にターミナル25の片端が固着されている。 また絶縁基板41は,Niめっきが施された銅製の長方形状の放熱板44の片面に半田付けによって固着されている。」(段落【0028】)「次に,第3の実施例であるモジュール化した半導体装置を図7及び図8により説明する。図7は断面図であり,図8は放熱板の斜視図である。」(段落【0037】)「図7及び図8において,51は窒化アルミニウム等で形成された比較的薄いセラミック製の絶縁基板で,その両面に薄い銅膜52,53が形成されている。この絶縁基板51には,その片面側の銅膜52の表面に複数の半導体素子24が搭載されており,さらに片面側の銅膜52の表面には中央部にターミナル25の片端が固着されている。 また絶縁基板51は,Niめっきが施された銅製の矩形状の放熱板54の片面に半田付けによって固着されている。」(段落【0038】)「この絶縁基板51が固着された放熱板54は,その片面の各辺に沿った外周部に段差55を形成することで変形緩衝部を構成する薄肉部56が設けられており,薄肉部56はその厚さが中間部に比べて薄いものとなっている。さらに放熱板54の薄肉部56の4隅部には,取着部を構成するねじ止め用の取付け孔29が形成されている。」(段落【0039】)- 166 - 56はその厚さが中間部に比べて薄いものとなっている。さらに放熱板54の薄肉部56の4隅部には,取着部を構成するねじ止め用の取付け孔29が形成されている。」(段落【0039】)- 166 -「この固化処理によって封止部材60は熱収縮し,封止部材60が固着したケース57の開口端部には内方に向かう力が作用する。この力により放熱板54は,その外周部に設けられた段差55より外方の変形緩衝部を構成している薄肉部56が変形して反りが生じる。」(段落【0043】)「この放熱板54の反りは,段差55より外方側の取付け孔29が形成された外周部が反ることによって生じたもので,絶縁基板51が固着された段差55よりも内方側の放熱板54の中間部が反るまでに至っていない。すなわち,放熱板54の中間部は平坦なままであり,このため中間部に固着された絶縁基板51やこれに搭載されている半導体素子24は反ることなく平坦なままとなっている。」(段落【0044】)「そして,このような半導体装置を図示しない組込み機器の取付け板の平坦面に固定する場合,放熱板54の外周部に形成された取付け孔29を使いねじ止めにより行われる。この放熱板54の取り付けの際に,取付け板へねじを螺着していくことにより取付け孔29が形成された外周部は反りを修正し取付け板に密着するよう強制的に平坦化される。」(段落【0045】)「これに対し放熱板54の中間部は,その他面側が平坦であるためそのまま取付け板の平坦面に密着し,強制的な形状修正が行われない。 それ故,中間部に固着された絶縁基板51や半導体素子24にも形状修正を行うための強制的な力が加わることがない。従って,本実施例においても第1の実施例と同様の作用,効果が得られる。」(段落【0046】)e 発明の効果 板51や半導体素子24にも形状修正を行うための強制的な力が加わることがない。従って,本実施例においても第1の実施例と同様の作用,効果が得られる。」(段落【0046】)e 発明の効果「以上の説明から明らかなように本発明は,固着された基板をケー- 167 -スを立設して包囲し封止部材で封止しするようにした放熱板が,基板を固着した中間部とケースを立設した部分との間に変形緩衝部を有する構成としたことにより,製品の歩留が向上し,機器に組み込みを行った際においても所定の性能が得られ,経時的な性能も良好なものとなる等の効果を奏する。」(段落【0047】)(イ) 前記(ア)の記載によれば,刊行物6(甲6)には,①放熱板が,基板が固着されたその中間部と,外周部と中間部との間にケースを立設した部分との間に「変形緩衝部」を有する半導体装置,②放熱板が銅製である実施例が開示されているものと認められる。 しかしながら,刊行物6は,AlSiC複合体からなる放熱板について記載したものではない上,「半導体装置は,固着された基板をケースを立設して包囲し封止部材で封止しするようにした放熱板が,基板を固着した中間部とケースを立設した部分との間に変形緩衝部を有しているので,封止を行った際に封止部材の固化にともなう熱収縮で放熱板に反りが生じるが,反りは変形緩衝部によって放熱板の外周部のみが変形して発生し,基板を固着した中間部は変形しない。」(段落【0013】),「この放熱板54の取り付けの際に,取付け板へねじを螺着していくことにより取付け孔29が形成された外周部は反りを修正し取付け板に密着するよう強制的に平坦化される。」(段落【0045】)などと記載されているように,封止部材の固化に伴う熱収縮で生じた放熱板の反りは,変形緩衝部があること 形成された外周部は反りを修正し取付け板に密着するよう強制的に平坦化される。」(段落【0045】)などと記載されているように,封止部材の固化に伴う熱収縮で生じた放熱板の反りは,変形緩衝部があることにより,外周部のみの変形で止まり,基板を固着した中間部の変形は生じないという作用効果を奏することを開示するものであって,放熱板に積極的に反りを与えることが開示されているとは認められない。 カ刊行物7(甲7)(ア) 刊行物7(甲7)には,次のような記載がある(訳文は甲7添付の- 168 -抄訳による。)。 「AlSiC材料の固有の特性は,それを構成する材料成分の特性の組み合わせに由来するものであり,AlSiCの特性は,当該構成成分の比率を変えることによって調整される。ICCTEに適するAlSiC複合体は,50-68体積%のSiC粒子を有する。表1は,SiやGGaAs及び従来のパッケージング材料に対するAlSiCの物性を比較したものである。」(2頁右欄5~13行。)(3頁の表1)表1:既存のパッケージング,基板及びIC材料と比較したAlSiC材料の特性 (イ) 前記(ア)記載のとおり,刊行物7(甲7)には,「既存のパッケージング,基板及びIC材料と比較したAlSiC材料の特性」が記載されているのみであり,放熱板とそれに反りを与えることに関する記載は存しない。 キ刊行物8(甲8)(ア) 刊行物8(甲8)には,次のような記載がある(訳文は甲8添付の- 169 -訳文による。)。 「ベースプレート銅は,高熱伝導性,運搬管理の容易性,電気めっき性及び価格の妥当性に関する優位性においてよく知られており,そのため,ベースプレート材として使用されることが多い。欠点としては,300℃ ースプレート銅は,高熱伝導性,運搬管理の容易性,電気めっき性及び価格の妥当性に関する優位性においてよく知られており,そのため,ベースプレート材として使用されることが多い。欠点としては,300℃を超えると生じる機械的性質の不可逆変化と,セラミック基板との熱膨張率(CTE)の不一致が挙げられる。 したがって,基板とベースプレートとの間のはんだ付けは故障原因となる。これらの材料はCTE が異なるため,熱歪みが起こり,はんだに機械的な歪みが生じる。重負荷サイクルを繰り返すと,はんだ割れが生じ,その結果,チップとベースプレート間の熱インピーダンスが増加する。 ある適切な形状によりはんだ付けされたシステム金属とセラミックのバイメタル効果を軽減しようとする努力がなされてきた。図2 の右側に示す機械加工による凸状(bow)形状は,明らかにベースプレートとヒートシンクとの間の熱伝導性を向上させる。 セラミックとのCTEのずれが小さい比較的硬い材料であれば,上記の問題をいずれも解消できる。・・・金属マトリックス複合体(MMC)の材料であるAl/SiCは,高度な剛性と,AlNセラミックに近いCTE(7.3ppm/K)を持ち合わせている。」(2頁左欄。 訳文は甲8添付の訳文による。) - 170 -(イ) 前記(ア)の記載によれば,刊行物8(甲8)には,①ベースプレート材として使用されることが多い銅は,セラミックス基板との熱膨張率の不一致という欠点を有し,銅製のベースプレートとセラミックス基板とを半田付けすると,両材料の熱膨張率が異なるため熱歪みが起こるなどの問題が生じること,②このようなシステム金属とセラミックスのバイメタル効果を軽減するためには,ベースプレートに機械加工による凸状を付与することが有効であること,③上記①の問 ため熱歪みが起こるなどの問題が生じること,②このようなシステム金属とセラミックスのバイメタル効果を軽減するためには,ベースプレートに機械加工による凸状を付与することが有効であること,③上記①の問題は,セラミックスの熱膨張率のずれが小さい比較的硬い材料をベースプレート材として用いれば解消できるところ,Al/SiCは,高度な剛性とセラミックスに近い熱膨張率を持ち合わせていることが開示されているものと認められる。 (ウ) 原告は,甲8には,絶縁性基板を半田付けした後の半導体モジュールにおける板状の放熱部品が凸状であることが重要であることが開示されており,甲8の記載からは,AlSiC複合体を用いると,ベースプレートとヒートシンクとの間の接面の問題が全て解消されるとは理解されないから,AlSiC複合体を用いる場合も,さらに一層熱伝導性を向上させるために凸形状を採用しようとするのが自然である旨主張する。 しかしながら,刊行物8には,AlSiC複合体からなるベースプレートを凸状に加工することについての記載は存しない。 ク本件訴訟において新たに提出された文献(ア) 甲21(特開平4-96355号公報)a 甲21には,次のような記載がある。 ⒜ 特許請求の範囲「セラミック基板の一方の面に半導体素子を含む電子部品を取り付け,且つ他方の面に放熱板を接着するものにおいて,前記セラミック基板と放熱板の接着に際し,予め放熱板の反接着面が凸状とな- 171 -るよう反りをもたせたことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。」(1頁左欄5行ないし10行)⒝ 発明の概要「本発明はセラミック基板の一方側に半導体素子を取り付け,他方側の放熱板を半田付けする半導体デバイスにおいて,放熱板の反接着 1頁左欄5行ないし10行)⒝ 発明の概要「本発明はセラミック基板の一方側に半導体素子を取り付け,他方側の放熱板を半田付けする半導体デバイスにおいて,放熱板の反接着面側が凸状となるよう予め反りをつけることによって,半田付後の冷却に伴う反りを相殺して熱抵抗を低減したものである。」(1頁右欄3行ないし8行)⒞ 発明が解決しようとする課題「第3図で示すように,セラミック基板1と放熱板3とを加熱装置を用いて半田付けし,その後冷却すると,セラミック基板1と放熱板3との材料の差による熱膨張係数の違いにより,歪みが発生して凹状のδの反りが生じる。この反った状態で放熱フィン6にボルト締して取り付けたとしても,δが大きければ大きい程,両者の接触面積が減少して放熱性が悪くなり,半導体素子の熱抵抗の増大となる問題を有している。」(2頁左上欄9行ないし右上欄2行)⒟ 課題を解決するための手段と作用「本発明は,セラミック基板上に電子部品を取り付け,その反対側に放熱板を接着するものにおいて,第1図(a)で示すように予め放熱板の反セラミック基板側にδ1の凸状の反りを形成したものである。このような反りを形成することにより,セラミック基板と放熱板とを加熱装置を用いて半田付けし,その後冷却すると,両材料の熱膨張係数の差により放熱板に反りが発生する。この反りは凹状の反りとなってδ1がδ2に縮小される。」(2頁右上欄4行ないし12行)⒠ 実施例- 172 -「実施例1・・・(2)放熱板は銅放熱板を用い,・・・第1図(a)で示す凸状の反りδ1=100~110μmを設けた。」(3頁左上欄1行ないし7行) 「実施例1・・・(2)放熱板は銅放熱板を用い,・・・第1図(a)で示す凸状の反りδ1=100~110μmを設けた。」(3頁左上欄1行ないし7行)「実施例2・・・(2)放熱板は銅放熱板を用い,・・・80~90μmの傾斜をつけて加工した。」(3頁左上欄15行ないし右上欄6行)「また,この実験によって銅放熱板に与える凸状の反り寸法は,半田付後に生ずる反りに対して10~100μm加算すると好適であることがわかった。すなわち,10μm未満となると,両端を放熱フィンにボルト締めした際に反りが生じて接触面積が減少する。 また100μmを超えた場合には,放熱フィンへのボルト締めの際にセラミック基板および実装した半導体素子に歪みを与え,場合によってはそれらに破損するおそれが生ずる。」(3頁左下欄1行ないし9行)⒡ 発明の効果「以上のように本発明は,セラミック基板と銅放熱板との半田付けの際に生ずる反りの値に対し,30~40μm余計に凸状となるような反りを銅放熱板にもたせるようにしたものであるから,半田付け時に生じる凹状の反りを吸収し,且つ余分の30~40μmの凸状の反りは,放熱フィンへの取り付け時に吸収されてフラットの状態となり接触面積が増大する。このため樹脂封止後の半導体素子の熱抵抗が大巾に減少する利点を有するものである。」(3頁右下欄2行ないし11行)b 前記aの記載によれば,甲21には,①セラミックス基板の一方側に半導体素子を取り付け,他方側の放熱板を半田付けする半導体デバ- 173 -イスにおいて,放熱板の反接着面側が凸状となるよう予め反りをつけることによって,半田付後の冷却に伴う反りを相殺して熱抵抗を低 体素子を取り付け,他方側の放熱板を半田付けする半導体デバ- 173 -イスにおいて,放熱板の反接着面側が凸状となるよう予め反りをつけることによって,半田付後の冷却に伴う反りを相殺して熱抵抗を低減した発明,②その実施例として,放熱板は銅放熱板を用い,100~110μmの凸状の反りを設けた例(実施例1),放熱板は銅放熱板を用い,80~90μmの傾斜をつけて加工した例(実施例2),③実験により,銅放熱板に与える凸状の反り寸法は,半田付後に生ずる反りに対して10~100μm加算すると好適であることがわかったこと,④セラミックス基板と銅放熱板との半田付けの際に生ずる反りの値に対し,30~40μm余計に凸状となるような反りを銅放熱板にもたせるようにすると,半田付け時に生じる凹状の反りを吸収し,かつ,余分の30~40μmの凸状の反りは,放熱フィンへの取り付け時に吸収されてフラットの状態となり接触面積が増大することが開示されているものと認められる。 c 原告は,甲21には,AlSiC製の放熱部品を含め,半導体モジュールを冷却フィンにネジ止めする際の半導体モジュールの板状の放熱部品の底面の凸状の程度を制御することで放熱性能を高めるという技術及びそのために予め放熱部品に凸状を形成しておくという技術が開示されている旨主張する。 しかしながら,甲21に開示された放熱板は,銅放熱板であって,AlSiC複合体からなるものではない。 (イ) 甲22(特開平11-177002号公報。平成11年7月2日公開)a 甲22には,次のような記載がある。 ⒜ 発明の属する技術分野「本発明は,筐体に納められた半導体チップを有する半導体装置に関し,特にその放熱性を確保するための製造方法に関する。」- 174 のような記載がある。 ⒜ 発明の属する技術分野「本発明は,筐体に納められた半導体チップを有する半導体装置に関し,特にその放熱性を確保するための製造方法に関する。」- 174 -(段落【0001】)⒝ 発明が解決しようとする課題「前述のように,半導体チップ10で発生した熱は,放熱板16から冷却器26によって吸収されるので,放熱板16と冷却器26の間の熱抵抗は小さいことが望ましい。したがって,グリス層24内に気泡が混入しないようにする必要があり,さらにグリス層24の厚さそのものも,できるだけ薄いことが好ましい。しかし,一般的に放熱板16の熱膨張係数は,絶縁基板12のそれより大きく,ハンダ接合した後冷えると,収縮量の差によって放熱板16は,絶縁基板12が配置された側に凸となるように反る。これによって,放熱板16と冷却器26の間隔が増加し,この部分の熱抵抗が高くなる。従来,この反りを考慮して,放熱板16をあらかじめ逆に反らせて作製し,最終的に冷却器26側に凸となるようにしていた。 しかし,放熱板16をあらかじめ反らせて作製するには,そのための工程が必要となるという問題があった。さらに,放熱板16に加工性の良くない材料を用いる場合は,あらかじめ反らせておくこと自体,困難な場合があった。」(段落【0004】)「本発明は,前述の問題点を解決するためになされたものであり,あらかじめ放熱板を反らした形状に加工せずに,冷却器側,すなわち筐体の外側に向けて凸となる形状を得ることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。」(段落【0005】)⒞ 発明の実施の形態「以下,本発明の実施の形態(以下実施形態という)を,図面に従って説明する。図2は,本実施形態の半導体 方法を提供することを目的とする。」(段落【0005】)⒞ 発明の実施の形態「以下,本発明の実施の形態(以下実施形態という)を,図面に従って説明する。図2は,本実施形態の半導体装置の製造方法の説明図である。なお,本実施形態の説明において,図1の装置と同等の構成については,同じ符号を付して説明する。図2(a)は,半- 175 -導体チップ10を実装した絶縁基板12と放熱板16をハンダにより接合する工程である。放熱板16および絶縁基板12は,ハンダが融解するほどの高温にさらされる。この熱によって放熱板16および絶縁基板12は膨張する。絶縁基板12は,通常半導体チップ10とほぼ同等の熱膨張係数を有する材質であり,これは熱膨張の違いから生じる応力が繰り返しかかることによるハンダ層14の破壊を防止するためである。半導体チップ10を構成する材料は,良く知られているように熱膨張係数が極めて小さい部類に属し,絶縁基板12を構成する材質もこれに合わせて熱膨張係数が小さいものが採用されている。一方,放熱板16は,その機能から熱伝導係数の高い材質が採用されており,このような材料は,一般的には熱膨張係数が比較的高い。したがって,ハンダ付け時の熱により膨張する場合,放熱板16の膨張が絶縁基板12のものより大きい。」(段落【0012】)「図2(b)は,放熱板16と絶縁基板12をハンダにより接合した後,常温まで冷却した状態を示している。前述のように接合時において,放熱板16がより膨張しているために,常温まで冷却すると,放熱板16の収縮量がより大きくなる。この収縮量の差により,放熱板16は,絶縁基板12が配置される側に凸の状態に反る。」(段落【0013】)「図2(c)は,絶縁基板12が接合された放熱板16を筐体20の開放面に固 より大きくなる。この収縮量の差により,放熱板16は,絶縁基板12が配置される側に凸の状態に反る。」(段落【0013】)「図2(c)は,絶縁基板12が接合された放熱板16を筐体20の開放面に固定する工程を示している。固定は,常温より高く,ハンダ層14や,ハンダまたは接着剤の層18がハンダの場合の融解温度より低い温度,たとえば120℃程度で行われる。放熱板16は,再び熱膨張するが,筐体20はそれ以上に熱膨張する材質が採用されている。また,筐体20に対する放熱板16の固定は,熱- 176 -硬化性の接着剤22により行われ,前記の高温環境によって硬化が進む。」(段落【0014】)「図2(d)は,熱硬化性接着剤22が硬化した後,常温まで冷却された状態を示している。前述のように,筐体20の熱膨張量が放熱板16に比して大きいため,収縮量も大きく,この収縮量の差により放熱板16には,圧縮および筐体20の外側に凸となるような曲げ荷重が作用する。これにより,放熱板16は,図2(d)に示すように,筐体20の外側に凸の状態に反らされる。」(段落【0015】)「図3は,放熱板16に冷却器26を接合した状態を示している。 前述のように放熱板16は,筐体20の外側に凸になるように反った状態であり,絶縁基板12が配置された位置に対応する筐体外側の部分において,冷却器26との間隙が狭くなっている。したがって,この部分のグリス層24は薄く,熱抵抗が小さくなっている。 また,放熱板16を冷却器26に押し付ける際,放熱板16の外側の方を冷却器26に押し付けるようにするだけで,放熱板16と冷却器26の間のグリス層24全体を薄くすることができ,さらに空気を容易に押し出すことができるので,気泡の残存が防止され,グリスや気泡による熱抵抗の増加を防止することができ するだけで,放熱板16と冷却器26の間のグリス層24全体を薄くすることができ,さらに空気を容易に押し出すことができるので,気泡の残存が防止され,グリスや気泡による熱抵抗の増加を防止することができる。」(段落【0016】)「なお,本実施形態においては,放熱板16と筐体20を結合固定する手段として熱硬化性接着剤を用いたが,他の種の接着剤やボルトなどを用いることも可能である。」(段落【0017】)⒟ 実施例「次に,本発明の好適な実施例を示す。本実施例においては,前述の実施形態における放熱板16の材料としてAl-SiC(アルミ- 177 --シリコンカーバイド)複合材を,筐体20の材料としてPPS(ポリフェニレンサルファイド)を採用する。Al-SiCは,SiC(シリコンカーバイド)の特性を改善した複合材料であり,SiCの空隙にAl(アルミ)を含浸することによって,脆性および熱伝導率を改善したものである。さらに,SiCの熱膨張係数は,絶縁基板12のそれより小さく,Alの熱膨張係数は,絶縁基板のそれより大きい。Al-SiCの熱膨張係数は,AlとSiCの中間的な特性を持ち絶縁基板12のそれに比較的近い。放熱板16の熱膨張係数が絶縁基板12の熱膨張係数に比較的近いことによって,放熱板16と絶縁基板12の間のハンダまたは接着剤の層18にかかる熱膨張の違いから生じる応力を低減することができる。また,熱伝導係数が比較的高いことは,放熱板に要求される基本的な性質であり,Al-SiCはこの要求を満たすことができる。さらに,Al-SiCは降伏応力が高いために,図3などに示されるように放熱板16の中央が最も突出する形状を得ることができる。もし,降伏応力の低い材料であれば,放熱板の端部のみ筐体外側に向けて反り,中央部 ,Al-SiCは降伏応力が高いために,図3などに示されるように放熱板16の中央が最も突出する形状を得ることができる。もし,降伏応力の低い材料であれば,放熱板の端部のみ筐体外側に向けて反り,中央部はハンダ付けの際の筐体内側に向けて凸の形状が残ってしまい,放熱板が波打ったような形状となる場合もある。このような形状となると,放熱板中央部にへこみができ,冷却器との間隙を小さくすることができない。Al-SiCは,降伏応力が高いので,中央部が最も突出した形状を得ることができる。また,Al-SiCは,高い硬度のためにあらかじめ凸形状に機械加工することなどが困難であるが,本実施例によれば,機械加工によらず筐体外側に凸の形状を得ることができる。言い換えれば,前述の実施形態に示された方法により,放熱板の材料としてAl-SiCを採用することができる。」(段落【0018】)- 178 -b 前記aの記載によれば,甲22には,①一般的に,放熱板の熱膨張係数は,絶縁基板の熱膨張係数より大きく,半田接合した後冷えると,収縮量の差によって放熱板が反ること,②従来,この反りを考慮して,放熱板をあらかじめ逆に反らせて作製し,最終的に冷却器側に凸となるようにしていたこと,③甲22に記載された発明は,放熱板をあらかじめ反らせて作製するにはそのための工程が必要であり,材料の加工性によってはあらかじめ反らせておくことが困難な場合もあることから,あらかじめ放熱板を反らした形状にせずに,冷却器側に向けて凸となる形状を得ることができる半導体装置の製造方法であること,④実施例として,放熱板の材料として,AlSiC複合材を採用した例が開示されている。 c 原告は,甲22には,特に炭化珪素質複合体からなる板状の放熱部品を用いた半導体モジュールを冷却フィ ④実施例として,放熱板の材料として,AlSiC複合材を採用した例が開示されている。 c 原告は,甲22には,特に炭化珪素質複合体からなる板状の放熱部品を用いた半導体モジュールを冷却フィンにネジ止めする際に,当該放熱部品の底面の凸状の程度を制御することで,放熱性能を高めるという技術及びそのために炭化珪素質複合体からなる板状の放熱部品に予め凸状を形成しておくという技術が開示されている旨主張する。 しかしながら,甲22は,AlSiC複合材からなる放熱板をあらかじめ反らせておくことを開示するものではなく,とるべき反り量の数値範囲についても何ら開示するものではない。 (ウ) 甲23(特開平7-161863号公報)a 甲23には,次のような記載がある。 ⒜ 産業上の利用分野「本発明は,一般に半導体パッケージおよびモジュールに関し,さらに詳しくは,単体ベース構造によって構成される半導体パッケージおよびモジュールに関する。」(段落【0001】)⒝ 従来の技術- 179 -「これまで,高電力スイッチング・モジュールなどの半導体デバイス・モジュールは,モジュールの底部が大きく平坦な打抜き金属のヒートシンクによって構成されてきた。打抜きヒートシンクは,モジュールの残りの構成部品に対する支持を提供し,かつ動作環境ではモジュールとコールド・プレートとの間に熱界面(thermalinterface )を提供する。従来の半導体モジュールの平坦な打抜きヒートシンクは,特定の実質的な不利益をもたらす。」(段落【0002】)⒞ 発明が解決しようとする課題「さらに,平坦な打抜きヒートシンクは,モジュールの他の部分の熱膨脹率の相違のため,およびモ ートシンクは,特定の実質的な不利益をもたらす。」(段落【0002】)⒞ 発明が解決しようとする課題「さらに,平坦な打抜きヒートシンクは,モジュールの他の部分の熱膨脹率の相違のため,およびモジュールを動作環境のコールド・プレートに取り付けたときに誘発される応力のためにも,反りを生じやすい。モジュールが反っていると,動作環境のコールド・プレートとよく合わない。」(段落【0004】)⒟ 課題を解決するための手段「そこで,組立中に複雑な固定治具に依存せず,かつモジュールの底部表面の反りに抵抗する半導体パッケージおよびモジュール構造が必要になる。」(段落【0005】)⒠ 実施例「一般に,本発明は,半導体パッケージおよびモジュールを製造する方法および装置を提供する。好適な実施例では,本発明は,電力モジュール用の金属単体閉囲構造つまり箱を提供する。この箱はヒートシンクとして機能し,電力モジュールを構成する構成部品の位置合わせのための一体化スロット,ピン等を設けることができる。 したがって,組立中に構成部品を定位置に保持するための複雑な固定治具を必要としない。さらに,ヒートシンクは閉囲構造つまり箱- 180 -であるので,他の構成部品の熱膨脹率の相違や取付中に誘導される応力による反りに対する抵抗性が非常に高い。したがって,本発明によるモジュールは動作環境のコールド・プレートとよく合い,それによって熱伝導性が改善される。さらに,反りが無いことにより,電力モジュールの故障モードが実質的に低下する。」(段落【0006】)「さらに詳しく説明すると,本発明の好適な実施例は,成形(molding) および結合(bonding) 工程で金属マトリックス複合材(MM 的に低下する。」(段落【0006】)「さらに詳しく説明すると,本発明の好適な実施例は,成形(molding) および結合(bonding) 工程で金属マトリックス複合材(MMC)とセラミックを結合して,底面と側壁とを有する単体構造の箱を形成することによって達成される。一実施例では,セラミック層が成形多孔質シリコン・カーバイド(SiC)プレフォーム(preform) の底面に形成される。このプレフォームに溶融アルミニウム(Al)を浸透させ,それによってプレフォームを強化し,同時に,新しく形成されたSiC/Al MMCをセラミック層に接合させる。さらに,この構造は,様々なパッケージング工程中に反りに抵抗する非常に高い剛性を持ち,マウント中にコールド・プレートとの緊密な熱接触を達成するためにわずかに凸形に湾曲した底面を有するように設計する。」(段落【0007】)「単体ベース構造物101の底面は,成形された球状凸形底面106を有する。好適な実施例では,凸性はベース・プレートの対角長における0.245mm の反り未満であり,したがって図面では認識できない。底面106の形状は,平坦な表面上に置かれたときに,構造物がわずかに揺動するように形成される。底面をわずかに凸形に湾曲させる目的は,半導体パッケージと動作環境のコールド・プレートとの間の緊密な熱接触を促進することである。取付中に,パッケージの四隅に掛かる力は,構造物に均等な曲げモーメントを生- 181 -じる。底面が平坦であると,このモーメントのためにパッケージは中心部が上に湾曲し,底面の中心部とコールド・プレートの取付表面との間に通常エア・ギャップが形成される。空気は熱伝導率が非常に低いので,結果的に得られる実装パッケージは,非常に低い熱伝 ッケージは中心部が上に湾曲し,底面の中心部とコールド・プレートの取付表面との間に通常エア・ギャップが形成される。空気は熱伝導率が非常に低いので,結果的に得られる実装パッケージは,非常に低い熱伝達を示すことになる。しかし,本発明の好適な実施例に従ってわずかに凸形に湾曲した底面を設けることによって,四隅に掛かる力はパッケージを平坦化するように作用し,取付表面全体の緊密な熱接触が維持される。」(段落【0011】)b 前記aの記載によれば,甲23には,①平坦な打抜きヒートシンクは,モジュールの他の部分の熱膨張率の相違及びコールド・プレートに取り付けたときに誘発される応力のため,反りを生じやすいこと,②箱型ヒートシンクは,他の構成部品の熱膨張率の相違や取付中に誘導される応力による反りに対する抵抗性が非常に高いので,コールド・プレートとよく合い,反りが無いことにより,電力モジュールの故障モードが低下すること,③実施例として,コールド・プレートとの緊密な熱接触を達成するためにわずかに凸形に湾曲した底面を有するように設計したAlSiC複合体を用いた箱型ヒートシンク,④成形された球状凸形底面を有する単体ベースプレートの構造物の好適な実施例として,凸性はベース・プレートの対角長における0.245mmの反り未満であることが開示されている。 c 原告は,甲23には,冷却フィンと接合する際に冷却フィン側に凸形状となる炭化珪素質複合体のヒートシンクが開示されている旨主張する。 しかしながら,甲23には,ベースプレートの対角長に関する記載はないから,上記凸状が,ベースプレートの底面において,主面の長さ10cmに対してどれほどの反り量を形成したものであるのかは不- 182 -明であり,他に反り量の具体的な数値に関す に関する記載はないから,上記凸状が,ベースプレートの底面において,主面の長さ10cmに対してどれほどの反り量を形成したものであるのかは不- 182 -明であり,他に反り量の具体的な数値に関する記載はないから,甲23は,AlSiC複合体をヒートシンクに用いた場合の反り量の程度について具体的に開示するものではない。 (4) 本件訂正発明2の進歩性についてア本件訂正発明2と甲1発明とは,少なくとも,前記第2の4(2)ウ(イ)記載のとおり,相違点5(本件訂正発明2は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点)において相違する。 イ前記(2)記載のとおり,甲1発明は,金属-セラミックス複合体のヒートシンクには,熱膨張差により放熱フィンとの間の密着性が悪くなり,放熱特性が低下するという問題があるが,かかる問題を金属-セラミックス複合体の表面に当該金属の層を設けることにより解決するものであり,金属-セラミックス複合体を放熱フィンと接合する面において凸型とすること,すなわち,凸状の反りを設けることについては,甲1には何らの記載も示唆もない。 ウそして,前記(3)記載のとおり,甲1ないし甲8は,いずれも,室温下のAlSiC複合体にあらかじめ凸状の反りを付与し,かつ,その反り量を所定の数値範囲内に制御することを開示するものではないから,甲1発明に甲2ないし甲8をどのように組み合わせても,甲1発明において,相違点5に係る本件訂正発明2の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 エまた,上記のとおり,甲1ないし甲8は,いずれも,「室温下のAlSiC複合体にあらかじめ凸状の反りを付与し,かつ 明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 エまた,上記のとおり,甲1ないし甲8は,いずれも,「室温下のAlSiC複合体にあらかじめ凸状の反りを付与し,かつ,その反り量を所定の数値範囲内に制御すること」を開示するものではなく,本訴において新たに提出された甲21ないし甲23を併せ考慮しても,上記の点が,本件特許の出願当時,当業者に周知の技術常識であったとは認められない。 - 183 -すなわち,甲2,甲3,甲8及び甲21には,銅製の放熱部品について,放熱フィンとの良好な密着性を得るために,これと接合する面に反りを付与することや付与する反り量についての開示があり,これらの文献の記載に照らせば,本件特許の出願当時,銅製の放熱部品について,放熱フィンとの良好な密着性を得るために,これと接合する面にあらかじめ反りを付与すること及び付与する反り量を所定の範囲内に制御することは,当業者に周知の技術であったと認められる。 これに対し,AlSiC複合体については,前記3(3)エ記載のとおり,本件特許の出願当時,①熱膨張係数をセラミックス基板に近づけ,かつ,高熱伝導性,軽量性を達成するという点で優れた組み合わせの材料であること,②高熱伝導性を有するとともに,比重が小さく,かつ,熱膨張率がセラミックス基板と同程度に小さく,加熱された際にも反りがない,寸法安定性の優れた複合体を得るため,AlSiC複合体の炭化珪素含有量を制御し得ること,③放熱部品(ベースプレート)材として用いる場合,AlSiC複合体は高度な剛性と,AlNセラミックに近い熱膨張率を持ち合わせ,基板と半田付けされた際に,基板との熱膨張率が異なるため,熱歪みが起こるなどの問題を解消できることが,当業者に周知の技術であったと認められるから,A と,AlNセラミックに近い熱膨張率を持ち合わせ,基板と半田付けされた際に,基板との熱膨張率が異なるため,熱歪みが起こるなどの問題を解消できることが,当業者に周知の技術であったと認められるから,AlSiCとは異なり熱膨張係数が大きい,銅製の放熱部品に係る上記周知技術,すなわち,放熱フィンとの良好な密着性を得るために,これと接合する面にあらかじめ反りを付与すること及び付与する反り量を所定の範囲内に制御することが,当然にAlSiC複合体製の放熱部品にも妥当するということはできない。 したがって,甲2,甲3,甲8及び甲21の記載を根拠に,AlSiC複合体製の放熱部品について,放熱フィンとの良好な密着性を得るために,これと接合する面にあらかじめ反りを付与すること及び付与する反り量を所定の範囲内に制御することが本件特許の出願当時の当業者に周知の技術- 184 -であったと認めることはできない。 そして,原告が本訴において追加提出した甲22には,放熱板の材料としてAlSiC複合材を採用した例が開示されているが,甲22に記載された発明は,放熱板をあらかじめ反らせて作製するにはそのための工程が必要であり,材料の加工性によってはあらかじめ反らせておくことが困難な場合もあることから,あらかじめ放熱板を反らした形状にせずに,冷却器側に向けて凸となる形状を得ることができる半導体装置の製造方法であって,その段落【0018】に,「Al-SiCは,高い硬度のためにあらかじめ凸形状に機械加工することなどが困難であるが,本実施例によれば,機械加工によらず筺体外側に凸の形状を得ることができる。言い換えれば,前述の実施形態に示された方法により,放熱板の材料としてAl-SiCを採用することができる。」と記載されているように,Al-SiC複合材からなる放熱板にあらか 形状を得ることができる。言い換えれば,前述の実施形態に示された方法により,放熱板の材料としてAl-SiCを採用することができる。」と記載されているように,Al-SiC複合材からなる放熱板にあらかじめ反りを付与することを開示するものではない。これに対し,原告が本訴において追加提出した甲23には,実施例として,コールド・プレートとの緊密な熱接触を達成するためにわずかに凸形に湾曲した底面を有するように設計したAlSiC複合体を用いた箱型ヒートシンクが開示されているが,甲23があるからといって,AlSiC複合体製の放熱部品について,放熱フィンとの良好な密着性を得るために,これと接合する面にあらかじめ反りを付与すること及び付与する反り量を所定の範囲内に制御することが本件特許の出願当時の当業者に周知の技術であったとまで認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 オ原告は,本件特許の出願時,本件訂正発明と同様の目的で,材質を問わず,放熱部品を放熱フィン側に凸状とすること及びその凸形状を制御することは周知技術であったから,その凸形状を具体的にどの程度にするかということは単なる設計事項にすぎない旨主張する。 - 185 -しかしながら,前記エのとおり,AlSiC複合体製の放熱部品について,銅製の放熱部品と同様に,放熱フィンとの良好な密着性を得るためにこれと接合する面にあらかじめ反りを付与すること及び付与する反り量を所定の範囲内に制御することが,周知技術であったとは認められないから,本件訂正発明の規定する凸形状,すなわち反り量の数値範囲が当業者において適宜定める設計事項にすぎないとはいえない。 カ以上によれば,本件訂正発明2は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された発 の数値範囲が当業者において適宜定める設計事項にすぎないとはいえない。 カ以上によれば,本件訂正発明2は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (5) 本件訂正発明3の進歩性について本件訂正発明3と甲1発明とは,少なくとも,前記第2の4(2)エ記載のとおり,相違点5(本件訂正発明3は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点)において相違する。 そして,前記(4)で述べたのと同様の理由により,甲1発明に甲2ないし甲8をどのように組み合わせても,甲1発明において,相違点5に係る本件訂正発明3の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明3は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (6) 本件訂正発明4の進歩性について本件訂正発明4と甲1発明とは,少なくとも,前記第2の4(2)オ記載のとおり,本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量- 186 -が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲1発明は,かかる事項を有していない点において相違する。 そして,前記(4)で述べたのと同様の理由により,甲1発明に甲2ないし甲8をどのように組み合わせても,甲1発明において,上記相違点に係る本件訂正発明4の かる事項を有していない点において相違する。 そして,前記(4)で述べたのと同様の理由により,甲1発明に甲2ないし甲8をどのように組み合わせても,甲1発明において,上記相違点に係る本件訂正発明4の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明4は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (7) 本件訂正発明5の進歩性について前記第2の4(2)カ記載のとおり,本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲1発明とは,少なくとも相違点5において相違し,本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲1発明とは,少なくとも,前記(6)記載の相違点において相違する。 そして,前記(4)で述べたのと同様の理由により,甲1発明に甲2ないし甲8をどのように組み合わせても,甲1発明において,上記各相違点に係る本件訂正発明5の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明5は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (8) 本件訂正発明6の進歩性について本件訂正発明6と甲1発明とは,少なくとも,前記第2の4(2)キ記載のとおり,前記(6)記載の相違点において相違する。 - 187 -そして,前記(4)で述べたのと同様の理由により,甲1発明に甲2ないし甲8をどのように組み合わ くとも,前記第2の4(2)キ記載のとおり,前記(6)記載の相違点において相違する。 - 187 -そして,前記(4)で述べたのと同様の理由により,甲1発明に甲2ないし甲8をどのように組み合わせても,甲1発明において,上記相違点に係る本件訂正発明6の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明6は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (9) 小括以上によれば,本件訂正発明2ないし6に関し,取消事由3に係る原告の主張は理由がない。 5 取消事由4(刊行物4(甲4)に基づく進歩性判断の誤り)について(1) 原告は,本件訂正発明2ないし6は,いずれも甲4発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張するので,以下において検討する。 (2) 甲4発明について刊行物4(甲4)には,前記第2の4(3)ア記載のとおり,「炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる板状複合体であって,室温(25℃)から300℃に加熱した際の反り量が,当該反りが最大となる方向の長さ1mmに対して,5μm以下であり,熱伝導率が150W/(m・K)以上であり,室温の熱膨張率が1×10-5K-1 以下である板状複合体」(甲4発明) が記載されているものの,前記4(3)ウ記載のとおり,刊行物4に記載された反り量は,室温(25℃)から300℃に加熱した際の,すなわち300℃における反り量であり,室温におけるAlSiC複合体の反り量の数値範囲を ものの,前記4(3)ウ記載のとおり,刊行物4に記載された反り量は,室温(25℃)から300℃に加熱した際の,すなわち300℃における反り量であり,室温におけるAlSiC複合体の反り量の数値範囲を規定するものではなく,むしろ,「室温においては顕著な反りがないものを用いる」と記載されているように,刊行物4は,室温に- 188 -おけるAlSiC複合体の反り量を規定することについて開示するものではない。 (3) 本件訂正発明2の進歩性についてア本件訂正発明2と甲4発明とは,少なくとも,前記第2の4(3)ウ(イ)記載のとおり,相違点10(本件訂正発明2は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点)において相違する。 イ前記(2)記載のとおり,甲4発明の反り量は,室温(25℃)から300℃に加熱した際の,すなわち300℃における反り量であり,室温におけるAlSiC複合体の反り量の数値範囲を規定するものではなく,刊行物4には,室温におけるAlSiC複合体の反り量を規定することについては何ら記載がない。 ウそして,前記4(3)記載のとおり,甲1ないし甲8は,いずれも,室温下のAlSiC複合体にあらかじめ反りを付与し,かつ,その反り量を所定の数値範囲内に制御することを開示するものではないから,甲4発明に甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8をどのように組み合わせても,甲4発明において,相違点10に係る本件訂正発明2の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 エ以上によれば,本件訂正発明2は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲4発明と甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8に記載され にすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 エ以上によれば,本件訂正発明2は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲4発明と甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (4) 本件訂正発明3の進歩性について本件訂正発明3と甲4発明とは,少なくとも,前記第2の4(3)エ記載のとおり,相違点10(本件訂正発明3は,「複合体の主面の長さ10cmに対- 189 -しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点)において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,甲4発明に甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8をどのように組み合わせても,甲4発明において,相違点10に係る本件訂正発明3の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明3は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲4発明と甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (5) 本件訂正発明4の進歩性について本件訂正発明4と甲4発明とは,少なくとも,前記第2の4(3)オ記載のとおり,本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,甲4発明に甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8をどのように組み合わ りを有」しているのに対し,甲4発明は,かかる事項を有していない点において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,甲4発明に甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8をどのように組み合わせても,甲4発明において,上記相違点に係る本件訂正発明4の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明4は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲4発明と甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (6) 本件訂正発明5の進歩性について前記第2の4(3)カ記載のとおり,本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲4発明とは,少なくとも相違点10において相違し,本- 190 -件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と甲4発明とは,少なくとも,前記(5)記載の相違点において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,甲4発明に甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8をどのように組み合わせても,甲4発明において,上記各相違点に係る本件訂正発明5の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明5は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲4発明と甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (7) 本件訂正発明6の進歩性について本件訂正発明6と甲4発明とは,少なくとも,前記第2の4(3)キ記載のとおり,前記(5)記載の相違点にお ら,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (7) 本件訂正発明6の進歩性について本件訂正発明6と甲4発明とは,少なくとも,前記第2の4(3)キ記載のとおり,前記(5)記載の相違点において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,甲4発明に甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8をどのように組み合わせても,甲4発明において,上記相違点に係る本件訂正発明6の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明6は,その余の相違点について検討するまでもなく,甲4発明と甲1ないし甲3及び甲5ないし甲8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断に誤りはない。 (8) 小括以上によれば,本件訂正発明2ないし6に関し,取消事由4に係る原告の主張は理由がない。 6 取消事由5(刊行物8(甲8)に基づく進歩性判断の誤り)について(1) 原告は,本件訂正発明2ないし6は,いずれも甲8発明及び周知技術に基- 191 -づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,進歩性を欠く旨主張するので,以下において検討する。 (2) 甲8発明について本件審決は,刊行物8に記載された発明として,前記第2の4(4)ア記載のとおり「金属マトリックス複合体(MMC)の材料であるAl/SiC の上面が平坦で下面が凸面のベースプレート」を認定したが,前記4(3)キ記載のとおり,刊行物8(甲8)には,①ベースプレート材として使用されることが多い銅は,セラミックス基板との熱膨張率の不一致という欠点を有し,銅製のベースプレートとセラミックス基板とを半田付けすると,両材料の熱膨張率が異な 8)には,①ベースプレート材として使用されることが多い銅は,セラミックス基板との熱膨張率の不一致という欠点を有し,銅製のベースプレートとセラミックス基板とを半田付けすると,両材料の熱膨張率が異なるため熱歪みが起こるなどの問題が生じること,②このようなシステム金属とセラミックスのバイメタル効果を軽減するためには,ベースプレートに機械加工による凸状を付与することが有効であること,③上記①の問題は,セラミックスとの熱膨張率のずれが小さい比較的硬い材料をベースプレート材として用いれば解消できるところ,Al/SiCは,高度な剛性とセラミックスに近い熱膨張率を持ち合わせていることが開示されているものと認められるから,「上面が平坦で下面が凸面の銅製ベースプレート」が記載されていると認められるものの,AlSiC複合体からなるベースプレートについて,上記の形状に加工されたものが記載されているとは認められない。 刊行物8に記載された発明が「上面が平坦で下面が凸面の銅製ベースプレート」であっても,刊行物8に記載された発明と本件訂正発明2ないし6とは,少なくとも,本件審決が認定した相違点において相違するものと認められるから,以下,本件審決の認定した相違点について,これが容易に想到し得たものであるかを検討することとする。 (3) 本件訂正発明2の進歩性についてア本件訂正発明2と甲8発明とは,少なくとも,前記第2の4(4)ウ(イ)記載のとおり,相違点15(本件訂正発明2は,「複合体の主面の長さ10- 192 -cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,刊行物8に記載された発明は,かかる事項を有していない点)において相違する。 イ前記4(3)キ記載のとおり,刊行物8は,AlSiC複合体からなるベースプレー m以下の反りを有」しているのに対し,刊行物8に記載された発明は,かかる事項を有していない点)において相違する。 イ前記4(3)キ記載のとおり,刊行物8は,AlSiC複合体からなるベースプレートについて,これを凸状に加工することを開示するものではない。 ウそして,前記4(3)記載のとおり,甲1ないし甲8は,いずれも,室温下のAlSiC複合体にあらかじめ反りを付与し,かつ,その反り量を所定の数値範囲内に制御することを開示するものではないから,刊行物8に記載された発明に甲1ないし甲7をどのように組み合わせても,刊行物8に記載された発明において,相違点15に係る本件訂正発明2の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 エ以上によれば,本件訂正発明2は,その余の相違点について検討するまでもなく,刊行物8に記載された発明及び甲1ないし甲7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断は,結論において誤りはない。 (4) 本件訂正発明3の進歩性について本件訂正発明3と刊行物8に記載された発明とは,少なくとも,前記第2の4(4)エ記載のとおり,相違点15(本件訂正発明3は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が30μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,刊行物8に記載された発明は,かかる事項を有していない点)において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,刊行物8に記載された発明に甲1ないし甲7をどのように組み合わせても,刊行物8に記載された発明において,相違点15に係る本件訂正発明3の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 - 193 いし甲7をどのように組み合わせても,刊行物8に記載された発明において,相違点15に係る本件訂正発明3の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 - 193 -したがって,本件訂正発明3は,その余の相違点について検討するまでもなく,刊行物8に記載された発明及び甲1ないし甲7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断は,結論において誤りはない。 (5) 本件訂正発明4の進歩性について本件訂正発明4と刊行物8に記載された発明とは,少なくとも,前記第2の4(4)オ記載のとおり,本件訂正発明4は,「複合体の主面の長さ10cmに対しての反り量が50μm以上250μm以下の反りを有」しているのに対し,刊行物8に記載された発明は,かかる事項を有していない点において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,刊行物8に記載された発明に甲1ないし甲7をどのように組み合わせても,刊行物8に記載された発明において,上記相違点に係る本件訂正発明4の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明4は,その余の相違点について検討するまでもなく,刊行物8に記載された発明及び甲1ないし甲7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断は,結論において誤りはない。 (6) 本件訂正発明5の進歩性について前記第2の4(4)カ記載のとおり,本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と刊行物8に記載された発明とは,少なくとも相違点15において相違し,本件訂正発明4の発明特定事項を有 について前記第2の4(4)カ記載のとおり,本件訂正発明3の発明特定事項を有する本件訂正発明5と刊行物8に記載された発明とは,少なくとも相違点15において相違し,本件訂正発明4の発明特定事項を有する本件訂正発明5と刊行物8に記載された発明とは,少なくとも,前記(5)記載の相違点において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,刊行物8に記載された発明に甲1ないし甲7をどのように組み合わせても,刊行物8に記載された発- 194 -明において,上記各相違点に係る本件訂正発明5の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明5は,その余の相違点について検討するまでもなく,刊行物8に記載された発明及び甲1ないし甲7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断は,結論において誤りはない。 (7) 本件訂正発明6の進歩性について本件訂正発明6と刊行物8に記載された発明とは,少なくとも,前記第2の4(4)キ記載のとおり,前記(5)記載の相違点において相違する。 そして,前記(3)で述べたのと同様の理由により,刊行物8に記載された発明に甲1ないし甲7をどのように組み合わせても,刊行物8に記載された発明において,上記相違点に係る本件訂正発明6の発明特定事項を備えるようにすることが容易に想到し得たことであるとは認められない。 したがって,本件訂正発明6は,その余の相違点について検討するまでもなく,刊行物8に記載された発明及び甲1ないし甲7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断は,結論において誤りはない。 でもなく,刊行物8に記載された発明及び甲1ないし甲7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められないから,この点に係る本件審決の判断は,結論において誤りはない。 (8) 小括以上によれば,本件訂正発明2ないし6に関し,取消事由5に係る原告の主張は理由がない。 第5 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,本件審決のうち,請求項1,7ないし11に係る部分の取消しを求める限度で原告の請求は理由があるから,これを認容し,その余(本件審決のうち請求項2ないし6に係る部分の取消しを求める請求)は理由がないから,棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官富田善範 裁判官田中芳樹 裁判官柵木澄子 (別紙1)本件明細書図面目録【図1】【図2】【図3】【図4】【図5】【図6】 (別紙2)刊行物図面目録 1 刊行物2(甲2)【図1】 【図9】 【図10】 - 198 -(別紙2)刊行物図面目録 1 刊行物2(甲2)【図1】 【図2】 - 199 -【図3】 【図5】 2 刊行物3(甲3)【図1】 - 200 - 3 刊行物5(甲5)【図1】 【図4】 【図5】 - 201 - 4 刊行物6(甲6)【図5】 【図6】 【図7】 【図8】 - 202 - 5 刊行物8(甲8・再掲)【図2】 6 甲21【第1図⒜】 【第3図】 - 203 - 4 甲22【図1】 【図3】 【図2⒜~⒟】
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