昭和50(オ)702 土地所有権確認移転登記手続

裁判年月日・裁判所
昭和55年2月8日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所 那覇支部 昭和45(ネ)32
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人らの負担とする。          理    由  上告代理人牧野博嗣、同天願俊貞の上告理由一について  (一) 所論は、上告人

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判決文本文5,668 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 上告代理人牧野博嗣、同天願俊貞の上告理由一について(一) 所論は、上告人らの本件各土地が上告人A1の所有に属することの確認を求める請求を排斥した原判決の違法を主張する。原審の適法に確定した事実関係によれば、本件各土地は、権利能力なき社団である上告人A1の祠堂の敷地等に利用されたものであつて同上告人にとつて重要な資産というべきものであるが、私法上は構成員の総有に属するものであり、かつて信託的に代表者たる四名の当主の共有名義による登記がされていたことが、明らかである。 そこで、本件各所有権確認請求についてみると、まず、上告人A1の名による同請求は、本件各土地が同上告人の構成員の総有に属するとの右のような事実を前提とした請求ではなく、同上告人自体が本件各土地所有権の主体であることを前提とするものであるところ、権利能力なき社団自体は右のような財産について私法上所有権等の主体となることができないのであるから、その点において右請求はすでに失当である。 次に、上告人A2(同上告人は上告後死亡し上告人A3がその地位を承継しているが、以下、便宜上、上告人A2という。)の名による所有権確認請求も、その趣旨は上告人A1の右請求と同じものであるから、右同様の理由により失当である。 ただ、同上告人の請求ととくに別に上告人A2の請求がされていることなどをみれば、上告人A2の名による請求は、本件各土地が構成員の総有に属することを前提とし、構成員から委ねられた同上告人の財産管理権限に基づいて、本件各土地につき構成員の総有権確認を求める趣旨を含むものと解する余地がまつたくないではな- 1 -い。しかし、かりにそう解することができたとしても、 ら委ねられた同上告人の財産管理権限に基づいて、本件各土地につき構成員の総有権確認を求める趣旨を含むものと解する余地がまつたくないではな- 1 -い。しかし、かりにそう解することができたとしても、右のような総有権確認請求は、その請求についてされる確定判決の効力が構成員に及ぶものであり、代表者が敗訴すると構成員の総有権を失わせる処分をしたのと同じ結果をまねくことになる点において、本件各土地についての構成員の総有権そのものを失わせてしまう実体上の処分行為と同視すべきものであるところ、原審の適法に確定した事実関係のもとでは、上告人A1の各代表者が構成員から信託的に委ねられた財産管理権限に基づいて本件各土地についてなしうるのは、本件各土地の価値を維持、増加するための保存、管理行為、本件各土地を利用して収益をはかる行為など、代表者に委ねられた通常の業務運営の範囲に属し又はこれに準ずる行為(第一審判決が認容した無効の所有権登記の抹消登記手続請求、又は本件各土地に対する侵害の排除若しくはその侵害によつて生じた被害の回復、賠償請求などは、右行為のうちに含まれる。)に限られるものであり、上告人A1にとつて重要な資産である本件各土地についての構成員の総有権そのものを失わせてしまうような処分行為は、本来、構成員全員の特別の合意がなければこれをすることができず、かりにその行為をする権限まで代表者に委ねられているとしても、本件各土地についてされた前記登記が代表者四名の共有名義のものであつて登記上各代表者単独では有効に売却その他の重要な処分行為をすることができないようにされていたことなどからみて、代表者四名全員の合意に基づくのでなければこれをすることができないものと解するのが相当であるから、上告人A2は自己のみの意思に基づくだけでは右請求をする権限を有しないと されていたことなどからみて、代表者四名全員の合意に基づくのでなければこれをすることができないものと解するのが相当であるから、上告人A2は自己のみの意思に基づくだけでは右請求をする権限を有しないというべきである。ところが、本件においては、記録によれば、上告人A1の代表者のうちに本件各土地が構成員の総有に属することを否定する者がいるため上告人A2が右請求をするにつき他の代表者三名全員の同意を得ることがおよそ期待することのできないことが明らかであるから、右上告人は右請求をする権限を欠いているものというほかない。もつとも、右上告人が、自己と対立する代表者及び同代- 2 -表者に同調する者を除く構成員全員から特別の授権を受ければ、右請求をすることができると解すべきであるが、記録及び上告人らの上告理由書に徴すると、右のごとき特別の授権を受けているとはいえないのみか、これを得ることはできないことを自認していることが明らかであつて、結局、右上告人が右請求をする権限を欠いていることに変りはない。 そうすると、上告人らの所有権確認請求を排斥した原審の判断は、いずれも正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、所論引用の判例の趣旨にも抵触しない。論旨は、採用することができない。 (二) 上告人A1は、本件各土地についてされた所有権登記の抹消登記手続を請求したところ、その請求は第一審判決において棄却されたが、右上告人は控訴又は附帯控訴により右第一審判決に対して不服の申立をせず、したがつて右上告人の右請求は原審の審理判断の対象とはされていないのであるから、右上告人の右請求が原審において審理判断の対象となつていたことを前提とする所論は、理由がない。 この点に関する論旨は、採用することができない(なお、上告人A2も右同様抹消登記手続を請求し、そ るから、右上告人の右請求が原審において審理判断の対象となつていたことを前提とする所論は、理由がない。 この点に関する論旨は、採用することができない(なお、上告人A2も右同様抹消登記手続を請求し、その請求は認容されたところ、本件各土地が上告人A1の資産であつてその構成員の総有に属することをあらわすためには、右抹消登記だけでは足りず、かつての前記共有名義の登記にならつて代表者四名の共有名義による登記をする必要の生ずることが考えられるが、その登記は民法二五二条但書の規定により各代表者が単独ででもこれをすることができるものと解される。)。 同二について(一) 上告人A1の名による不当利得金返還請求は、権利能力なき社団である同上告人自体が私法上不当利得金返還請求権の主体であることを前提とするものであるから、前記上告理由一に対する(一)の同上告人の所有権確認請求についての判断と同様の理由により、失当というべきであり、したがつて、右上告人の右請求を棄- 3 -却した原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。この点に関する論旨は、採用することができない。 (二) 上告人A2の名による不当利得金返還請求は、第一審判決において棄却されたところ、右上告人は控訴又は附帯控訴により右判決に対して不服の申立をせず、したがつて右上告人の右請求は原審の審理判断の対象とはされていないのであるから、右上告人の右請求が原審において審理判断の対象となつていたことを前提とする所論は、理由がない。論旨は採用することができない。 (結論)よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官大塚喜一郎の上告理由二に関する補足意見、裁判官塚本重頼の上告理由一に関する意見、同二に関する反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文 て、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官大塚喜一郎の上告理由二に関する補足意見、裁判官塚本重頼の上告理由一に関する意見、同二に関する反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 裁判官大塚喜一郎の補足意見は、次のとおりである。 わたくしは、上告人A1の不当利得金返還請求を棄却した原判決を、多数意見のあげた理由によつて維持し、上告を棄却すべきものと考えるのであるが、この点について反対意見が表明されているので、若干意見を補足しておきたい。 反対意見によれば、本件において、かりに同上告人の不当利得金返還請求が、私法上同請求権が構成員の総有に属することを前提としたものであれば、原審の適法に確定した事実関係のもとでは、各代表者が同上告人の名でその請求をすることは構成員から委ねられた前記財産管理権限に基づいてなしうる行為の範囲に含まれるようにみられるから、その請求の当否についてなお判断する余地があるとするのであり、右財産管理権限にかんする意見には、一応傾聴すべきところがある。しかしながら、本件における同上告人の請求は右のようなものでなく、同請求権が上告人A1自体に属することを前提とするものであることを上告人らが上告理由二においても自陳しているところであるから、右上告人の右請求は、前提を誤つたものと- 4 -してこれを棄却するほかないものであると、考える。 裁判官塚本重頼の反対意見及び意見は、次のとおりである。 (一) 多数意見は、上告理由二に関連して、上告人A1の不当利得金返還請求を棄却した原審の判断を正当と是認したが、わたくしは、多数意見の右結論には賛同することができない。その理由は次のとおりである。 上告人A1の不当利得金返還請求は、被上告人の選定者Dが本件各土地について軍用地使用料一〇万〇 と是認したが、わたくしは、多数意見の右結論には賛同することができない。その理由は次のとおりである。 上告人A1の不当利得金返還請求は、被上告人の選定者Dが本件各土地について軍用地使用料一〇万〇二二三B円(二五万四七三二円九五銭日円)を受領しこれを不当に領得したことを請求原因とするものであるところ、原判決は、右上告人の右請求は権利能力なき社団である右上告人が私法上右不当利得金返還請求権の主体であることを前提としたものであると解したうえ、権利能力なき社団自体が不当利得金返還請求権の主体となることはできないことを理由に、右請求を主張自体失当として棄却した。しかしながら、原判決が適法に確定した事実によれば、(1) 上告人A1は代表者の定めがある権利能力のない社団であり、その設立以来の長期間にわたる同上告人運営の実態に徴し、同上告人の構成員は、同上告人の存立及び運営に関する基本的事項を除き、同上告人の日常業務の管理運営をE家、F家の当主たる同上告人の代表者に一任していること、(2) 右不当利得金返還請求権は、その金額などに徴し、同上告人の存立、運営の基本にふれるほどの重要な資産ではなく、各代表者が右金額程度の金員の回収を図ることは、代表者に一任された日常業務の運営の範囲内であることが、それぞれ明らかである。したがつて、同上告人の右請求は、右不当利得金返還請求権が、私法上、同上告人の構成員全員の総有に属することを前提としながら、代表者である上告人A2が構成員から委ねられた右財産管理権限に基づいて、上告人A1の名でこれをしているものと解するのが相当である。もつとも、このように解するときは、右代表者が同上告人の名において提起し追行する訴訟の効果は、同上告人の構成員全員に帰属する場合があるけれども、- 5 -それは各構成員が同上告人の代表者に同上 る。もつとも、このように解するときは、右代表者が同上告人の名において提起し追行する訴訟の効果は、同上告人の構成員全員に帰属する場合があるけれども、- 5 -それは各構成員が同上告人の代表者に同上告人の日常業務の運営を一任し、その結果が同上告人ひいて実体上の権利者である構成員に帰属することを予め同意していることに基づくものである。さらに、さきに判示したとおり(上告理由一についての(一)の上告人A2の請求についての判断)、本件各土地が上告人A1の構成員の総有に属することの確認請求は、少なくとも代表者全員が右の趣旨の請求をすることを合意している場合でなければこれをすることができないと解すべきところ、それは右請求が同上告人の存立及び運営の基本にふれるほどの重要な資産処分行為と同視すべきものであるため、本来、構成員全員の特別の授権がなければすることができないものであるからであつて、各代表者が同上告人の名で本件不当利得金返還請求をする権限を有すると解することと、なんら矛盾するものではない。そうすると、前記の理由だけで右上告人の右請求を排斥した原審の判断は、権利能力なき社団の権利の性質及びその行使に関する法令の解釈適用を誤つたものであり、その誤りは判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は右上告人の右不当利得金返還請求を排斥した部分につき破棄を免れず、本件は不当利得の成否につきさらに審理を尽くす必要があるから、右部分につき本件を原審に差し戻すのが相当である。 (二) 次に、上告理由一に関連して、わたくしは、上告人らの所有権確認請求も、右不当利得金返還請求の場合と同様に、本件各土地が構成員全員の総有に属することを前提とし、代表者である上告人A2が同上告人自身及び上告人A1の名で総有権確認を求めたものと解する余地があ 確認請求も、右不当利得金返還請求の場合と同様に、本件各土地が構成員全員の総有に属することを前提とし、代表者である上告人A2が同上告人自身及び上告人A1の名で総有権確認を求めたものと解する余地があると考えるが、この点に関しては、上告理由一に対する(一)の上告人A2の請求についての判断と同様の理由により、上告人らの請求を排斥した原判決を維持すべきものとする多数意見に同調する。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚本重頼- 6 -裁判官大塚喜一郎裁判官栗本一夫裁判官木下忠良裁判官鹽野宜慶- 7 -

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