令和6年8月7日判決言渡 令和5年(行ケ)第10019号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和6年6月17日判決 原告(無効審判請求人)科研製薬株式会社 同訴訟代理人弁護士浅村昌弘 同松川直樹 同和田研史 同訴訟代理人弁理士井上洋一 被告(同被請求人)リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド 被告(同被請求人)サノフィ・バイオテクノロジー 上記両名訴訟代理人弁理士結田純次 同竹林則幸 同守安智 同森田ひとみ 同犬山広樹 同斧田増史 同種村慈樹 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 (本件審決中で使用されている略語は、本判決でもそのまま踏襲している。) 第1 請求特許庁が無効2021-800003号事件について令和5年1月13日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経過等(当事者間に争いがない。) (1) 被告らは、発明の名称を「IL-4Rアンタゴニストを投与することによるアトピー性皮膚炎を処置するための方法」とする発明について、平成25年9月4日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:平成24年9月7日、アメリカ合衆国外8件)とする特許 与することによるアトピー性皮膚炎を処置するための方法」とする発明について、平成25年9月4日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:平成24年9月7日、アメリカ合衆国外8件)とする特許出願(特願2015-531149号)について、平成30年6月15日、特許権の設定登録を受け た(特許第6353838号。請求項の数16。本件特許)。 (2) 原告は、令和3年1月15日、本件特許(請求項1~16関係)について特許無効審判請求をし、特許庁はこれを無効2021-800003号事件として審理を行った。 (3) 被告らは、令和4年4月5日付けで、本件特許の特許請求の範囲を別紙 「本件特許の特許請求の範囲の記載」のとおりに訂正(以下、その訂正を「本件訂正」という。)する旨の訂正請求をした(訂正後の請求項の数16)。 (4) 特許庁は、令和5年1月13日、本件訂正を認めた上で、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(本件審決)をし、その謄本は同月23日原告に送達された。 (5) 原告は、令和5年2月21日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提 起した。 2 本件訂正発明の内容(1) 特許請求の範囲の記載本件特許の特許請求の範囲の記載(本件訂正後のもの)は、別紙「本件特許の特許請求の範囲の記載」のとおりであり、請求項1の記載は以下のとお りである(下線部は本件訂正によるもの。なお、請求項2~16は請求項1の従属項である。以下、各請求項記載の発明を請求項の番号に対応して「本件訂正発明1」などといい、まとめて「本件訂正発明」ということがある。)。 【請求項1】患者において中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を処置する 方法に使用するための治療上有効量の抗ヒトインターロイキン い、まとめて「本件訂正発明」ということがある。)。 【請求項1】患者において中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を処置する 方法に使用するための治療上有効量の抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物であって、ここで前記患者が局所コルチコステロイドまたは局所カルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しないかまたは前記局所処置が勧められない患者である前記医薬組成物。 (以下、抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体を「本件抗体」と、本件抗体及びその抗原結合断片を併せて「本件抗体等」と、請求項1記載の対象患者を「本件患者」ということがある。)(2) 本件明細書及び図面の抜粋を別紙に掲げる。これによれば、本件明細書には、次のような開示があることが認められる。 ア技術分野本発明は、アトピー性皮膚炎及び関連する状態の処置及び/又は防止に関する。特に、本発明は、それを必要とする患者におけるアトピー性皮膚炎を処置または防止するためのインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストの投与に関する(【0001】)。 イ背景技術 アトピー性皮膚炎(AD)は、強い掻痒感(例えば、激しい痒み)並びに鱗状及び乾燥した湿疹病変を特徴とする慢性/再発性炎症性皮膚疾患である。アトピー性皮膚炎は、アレルギー性鼻炎及び喘息のような他のアトピー性障害と関連することが多い。重症の疾患は、高い社会経済的費用をもたらす、主な精神的問題、著しい睡眠不足、及び生活の質の 低下のため極端に日常生活に支障を来し得る(【0002】)。 アトピー性皮膚炎の病態生理は、免疫グロブリンE(IgE)による感作、免疫系、及び環境因子の間の複雑な相互作 足、及び生活の質の 低下のため極端に日常生活に支障を来し得る(【0002】)。 アトピー性皮膚炎の病態生理は、免疫グロブリンE(IgE)による感作、免疫系、及び環境因子の間の複雑な相互作用により影響される。 主な皮膚の欠陥は、遺伝子突然変異と局部炎症との両方の結果である上皮バリアの機能障害を伴う、IgEによる感作を引き起こす免疫障害で あってもよい。アトピー性皮膚炎は5歳より前の子供において始まることが多く、成人期まで続くこともある(【0003】)。 ウ発明が解決しようとする課題アトピー性皮膚炎のための典型的な処置は、局所ローション及び保湿剤、局所コルチコステロイド軟膏、クリームまたは注射を含む。しかし ながら、多くの処置選択肢は、一時的な、不完全な、症状の緩和を提供するに過ぎない。さらに、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する多くの患者は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性になる。かくして、アトピー性皮膚炎の処置及び/又は防止のための新規標的療法が当業界で必要である(【0004】)。 エ課題を解決するための手段本件訂正発明は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を含む、アトピー性皮膚炎の症状を処置する、防止する、及び/又はその重症度を軽減するための方法に関し、特に、局所コルチコステロイド又はカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性である患者における中等度か ら重度のアトピー性皮膚炎を処置する、改善する、又は防止するための 方法に関する。本件訂正発明の方法は、治療上有効量のインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を、それを必要とする対象または患者に投与することを含み、特定の実施形態によれば、IL-4Rア 訂正発明の方法は、治療上有効量のインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を、それを必要とする対象または患者に投与することを含み、特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストは、IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である(【0005】)。また、本件訂正発明 は、アトピー性皮膚炎及び関連する状態の処置及び/又は防止における使用のための、抗IL4R抗体アンタゴニストまたはその抗原結合断片を含む医薬組成物を含む(【0027】)。 オ発明を実施するための形態「IL-4Rアンタゴニスト」は、IL-4Rに結合するか、又はそ れと相互作用し、IL-4Rがin vitroまたはin vivoで細胞上で発現される場合にIL-4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害する任意の薬剤であり、その非限定例として、ヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられる(【0096】)。本件訂正発明において用いることができる抗IL-4R抗体は、 実施例1に示されるように、米国特許第7,608,693号(甲3、22)に記載のように作成したとされ、表1及び表2には、33種の抗IL-4R抗体が配列番号と共に記載されており、その一つとして、「mAb1」(mAb1の相補性決定領域を含む、抗体またはその抗原結合断片)と呼ばれる参照抗体の結合特性を有する抗IL-4R抗体であり、 配列番号162/164の重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対中に相補性決定領域(CDR)を含むもの(表1のH1H098-b)が挙げられている(【0005】、【0153】~【0156】)。 いくつかの実施形態においては、上記医薬組成物は、75mg~60 0mg又は300m R)を含むもの(表1のH1H098-b)が挙げられている(【0005】、【0153】~【0156】)。 いくつかの実施形態においては、上記医薬組成物は、75mg~60 0mg又は300mgの抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片を含 む(【0034】)。 3 甲1について後記無効理由1(進歩性欠如)の主引用例とされる甲1(ClinicalTrials.Govarchive, HistoryofChangesforStudy: NCT 01548404, StudyofREGN668 inAdultPatientsWithExtrinsicModerate-to-SevereAtopic Dermatitis)は、「REGN668についての、中等度~重度の外因性アトピー性皮膚炎を患っている成人患者における試験」(正式なタイトルは「外因性の中等度から重度のアトピー性皮膚炎の成人患者における皮下投与されたREGN668の有効性、安全性、忍容性及び薬力学の無作為化二重盲検プラセボ対照複数回用量による試験」)につき、治験依頼者・共同研究者である被告 らが、監督当局である米国FDAに提出(最後の更新提出日:2012年〔平成24年〕)4月19日)した臨床試験のプロトコル(試験実施計画書)(情報データベースからの出力文書)である。 その治験薬組成物(の一部)であるREGN668は、抗ヒトIL-4R抗体(本件抗体)であり、本件明細書に本件訂正発明の実施例として記載されて いる「mAb1」と同一物質である(争いがない。)。 4 本件審決の理由の要旨本件訂正の当否は本訴において争われておらず、後記5記載の取消事由と関係する範囲で、本件審決の理由の要旨を以下に示す(なお、本訴と審判とで書 物質である(争いがない。)。 4 本件審決の理由の要旨本件訂正の当否は本訴において争われておらず、後記5記載の取消事由と関係する範囲で、本件審決の理由の要旨を以下に示す(なお、本訴と審判とで書証番号が異なるものは、審判における書証番号を参考並記する〔特記ないもの は本訴・審判を通じて同一の番号である。〕。)。 (1) 無効理由1(引用発明に基づく進歩性の欠如)についてア甲1には、以下の「引用発明」が記載されており、本件訂正発明1と引用発明との一致点及び相違点は下記のとおりである。 【引用発明】 「中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)患者に対する効果、安 全性などを評価するための試験に使用される、REGN668を含む治験薬組成物であって、ここで前記患者が18歳以上で、少なくとも3年間の慢性アトピー性皮膚炎を患っており、局所コルチコステロイド又は局所カルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しない患者である前記治験薬組成物。」 【一致点】抗ヒトIL-4R抗体又はその抗原結合断片を含む組成物であって、中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)であって、局所コルチコステロイド又は局所カルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しない患者に投与されるものである点。 【相違点】本件訂正発明1は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)であって、局所コルチコステロイド又は局所カルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しない患者を処置する方法に使用するための、治療上有効な量の抗ヒトIL-4R抗体又はその抗原結合断片を含む医 薬組成物であるのに対し、引用発明は、治験薬組成物である点。 イアトピー性皮膚炎に関する技術常識甲23~27(審判乙3~7)によれば、ア 抗ヒトIL-4R抗体又はその抗原結合断片を含む医 薬組成物であるのに対し、引用発明は、治験薬組成物である点。 イアトピー性皮膚炎に関する技術常識甲23~27(審判乙3~7)によれば、アトピー性皮膚炎では、病期や部位により複雑にTh1/Th2バランスが変化し、急性期ではIL-4、IL-13などのTh2系サイトカインの産生が優勢であるが、 慢性期に入ると、IL-4などのTh2系サイトカインよりもインターフェロンガンマ、IL-12産生が優勢となることが本件特許の優先日における技術常識であったと認められる。 ウ相違点の容易想到性について甲1の試験はフェーズ2臨床試験であるところ、フェーズ2の前に行 われるフェーズ1臨床試験は、通常少数の健康人に対し治験薬の安全性 や薬物動態を調査するものであり、患者に対する有効性の確認はフェーズ2臨床試験から始められることが技術常識である。そして、甲21(審判乙1)によれば、フェーズ2臨床試験の成功の確率は他のどのフェーズよりもはるかに低く、アレルギー疾患の場合、33%程度であり、このことからすると、フェーズ2臨床試験が行われていることから 直ちに、当該治験薬が試験結果を見るまでもなく当然に治療上有効であると当業者が理解するとはいえない。 また、甲2~6を検討しても、本件特許の優先日前に、アトピー性皮膚炎患者に抗ヒトIL-4R抗体が投与されて、実際に治療効果が得られたことを示す証拠はない。 アトピー性皮膚炎の急性期と慢性期におけるサイトカインの役割に関する本件特許出願の優先日における技術常識を踏まえると、甲1で使用されているREGN668(抗ヒトIL-4R抗体)が、甲3における抗体と同様、IL-4活性及びIL―13活性を遮断する能力を有するものであると 許出願の優先日における技術常識を踏まえると、甲1で使用されているREGN668(抗ヒトIL-4R抗体)が、甲3における抗体と同様、IL-4活性及びIL―13活性を遮断する能力を有するものであるとしても、少なくとも3年間の慢性アトピー性皮膚炎を患っ ており、IL-4が優勢である急性期とは異なり、IL-4よりもインターフェロンガンマ、IL-12産生が優勢となっていると考えられる引用発明における患者に対し、REGN668(抗ヒトIL-4R抗体)を治療上有効に用いることを当業者が想到し得たとはいえず、また、臨床症状の改善をもたらすことを容易に予測はできない状況であったと認 められる。 また、甲24(審判乙4)に記載されるように、アトピー性皮膚炎における免疫経路の複雑さを考慮すると、IL-4の作用の遮断という、本件特許の優先日において、アトピー性皮膚炎の治療に対する使用実績のない特定のメカニズムに基づく治療薬について、臨床試験の結果を待 つことなく、中等度から重度のアトピー性皮膚炎に対して治療効果が得 られると予測をすることは困難であると認められる。 そうすると、引用発明について、中等度から重度のアトピー性皮膚炎であって、局所コルチコステロイド又は局所カルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しない患者を処置する方法に使用するための、治療上有効な量の抗ヒトIL-4R抗体を含む医薬組成物であると いう相違点に係る構成を備え、本件訂正発明1に該当する患者において、実際に本件明細書に示されたアトピー性皮膚炎の臨床症状の改善効果を示すものとすることは、甲1~6の記載から当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 エまとめ 以上のとおり、本件訂正発明1は、引用発明及び甲1~6の記載に基づいて 状の改善効果を示すものとすることは、甲1~6の記載から当業者が容易になし得たことであるとはいえない。 エまとめ 以上のとおり、本件訂正発明1は、引用発明及び甲1~6の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。そして、本件訂正発明2~16は、本件訂正発明1をさらに限定した発明であり、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明及び甲1~6の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないのであるから、 本件訂正発明2~16も、甲1に記載された発明及び甲1~6の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでないことは明らかである。 (2) 無効理由2(サポート要件違反)について本件明細書【0004】の「ADのための典型的な処置は、局所ロー ションおよび保湿剤、局所コルチコステロイド軟膏、クリームまたは注射を含む。しかしながら、多くの処置選択肢は、一時的な、不完全な、症状の緩和を提供するに過ぎない。さらに、中等度から重度のADを有する多くの患者は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性になる。かくして、ADの処置および/または防止のための新規 標的療法が当業界で必要である。」との記載及び特許請求の範囲の記載から みて、本件訂正発明の課題は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)患者であって、局所コルチコステロイド又は局所カルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しないか又は前記局所処置が勧められない患者を処置する方法に使用するための、治療上有効な医薬組成物を提供することであると認められる。 また、本件明細書における実施例10の試験の対象患者は、組み入れ基準(6)の「スクリーニング来院より前の最後の3 法に使用するための、治療上有効な医薬組成物を提供することであると認められる。 また、本件明細書における実施例10の試験の対象患者は、組み入れ基準(6)の「スクリーニング来院より前の最後の3カ月以内のADのための処置としての局所コルチコステロイド又はカルシニューリン阻害剤を用いる安定(1カ月以上)なレジメンに対する不十分な応答の履歴」(【0354】)を満たす中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者であるから、実施例10に は、本件訂正発明における対象患者に対し、実際に抗IL-4RであるmAb1を投与した試験において、アトピー性皮膚炎の重症度を臨床的に評価する指標であるIGA、EASI、BSA、SCORAD及びNRS掻痒感の有意な改善をもたらしたことが確認して記載されており(【0389】)、実施例12では、同じ対象について、アトピー性皮膚炎のバイオマーカーであ り、重症度を反映して上昇することが知られているTARC(甲8、10)及び同じくアトピー性皮膚炎のバイオマーカーである総IgE(甲10、【0442】)の低下を確認し、臨床症状の改善と矛盾のない結果を得ているといえる。 そして、本件明細書の【0096】に「本明細書で用いられる場合、『I L-4Rアンタゴニスト』は、IL-4Rに結合するか、またはそれと相互作用し、IL-4Rがinvitroまたはinvivoにおいて細胞上で発現される場合にIL-4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害する任意の薬剤である。IL-4Rアンタゴニストのカテゴリーの非限定例としては、・・・低分子IL-4Rアンタゴニスト、・・・およびヒトIL- 4Rに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられる。」と 記載されるように、本件訂正発明における抗ヒトIL-4 ・低分子IL-4Rアンタゴニスト、・・・およびヒトIL- 4Rに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられる。」と 記載されるように、本件訂正発明における抗ヒトIL-4R抗体は、IL-4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害するIL-4Rアンタゴニストとして作用する抗体を意味すると解され、mAb1も、当該作用を有するものである。また、IL-4がIgEの産生・分泌を促進するものであることが本願出願日時点の技術常識であると認められるから(甲3、8)、実施 例10のmAb1を投与された患者における総IgEレベルの抑制は、mAb1のIL-4遮断作用によるものと推認される。 そうすると、本件明細書におけるこれらの記載から、当業者は、mAb1のアトピー性皮膚炎疾患に対する症状の改善は、IL-4/IL-13の作用の遮断によるもの、すなわち抗ヒトIL-4R抗体としての作用による ものであると理解するのが自然である。そして、上記のとおり、【0096】の記載からみて、本件訂正発明における抗ヒトIL-4R抗体は、IL-4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害するIL-4Rアンタゴニストとして作用する抗体を意味すると解されるから、本件訂正発明における、ヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体又は抗体の抗原結合断片は、これらが 全てmAb1と同様にアトピー性皮膚炎疾患に対する症状の改善を示すといえる。 これらのことからみれば、当業者は、本件特許出願時の技術常識を考慮して、発明の詳細な説明の記載から、mAb1以外の本件訂正発明における本件患者の治療に有効な抗ヒトIL-4R抗体を得ることができると認めら れる。 以上より、訂正請求項1~16に係る発明についての特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満た 発明における本件患者の治療に有効な抗ヒトIL-4R抗体を得ることができると認めら れる。 以上より、訂正請求項1~16に係る発明についての特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものでないから、無効理由2によって無効とされるべきものでない。 (3) 無効理由3(実施可能要件違反)について 本件特許の出願時における技術常識であったモノクローナル抗体作製技術 によって、甲3に記載されたように、hIL-4及びhIL-13の生物学的作用を中和することができる抗体として、実際にアミノ酸配列の異なるものが複数得られていることからすれば、当業者は、本件特許出願時の技術常識を考慮して、発明の詳細な説明の記載から、mAb1以外の本件訂正発明における本件患者の治療に有効な抗ヒトIL-4R抗体を得ることができる と認められるから、技術常識を考慮して、本件明細書の記載に接した当業者は、本件訂正発明における有効成分である抗ヒトIL-4R抗体を得て、本件訂正発明の医薬組成物を製造することができるといえる。 本件明細書の発明の詳細な説明の記載から、当業者は、本件訂正発明の医薬組成物を製造することができ、使用することができる。したがって、本 件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件訂正発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 よって、訂正請求項1~16に係る発明についての特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものでないから、無効理由3によって無効とされるべきものでない。 5 本件審決の取消事由(1) 取消事由1(進歩性についての判断の誤り、本件訂正発明1~16関係)(2) 取消事 されたものでないから、無効理由3によって無効とされるべきものでない。 5 本件審決の取消事由(1) 取消事由1(進歩性についての判断の誤り、本件訂正発明1~16関係)(2) 取消事由2(サポート要件違反、本件訂正発明1~16関係)(3) 取消事由3(実施可能要件違反、本件訂正発明1~7、10~16関係)第3 当事者の主張 1 取消事由1(進歩性についての判断の誤り)【原告の主張】本件審決には、本件訂正発明の無効理由1(進歩性)についての容易想到性の判断を誤った違法がある。 (1) 技術常識の誤認 本件審決は、本件訂正発明の進歩性を検討する上での前提として、アト ピー性皮膚炎の慢性期にはTh2系サイトカインの産生が優勢でなくなると認定している。しかし、本技術分野におけるアトピー性皮膚炎についての正しい技術常識は、以下のア、イのとおり、(A)慢性の疾患である、(B)基本的にTh2細胞及び/又はIL-4などのTh2系サイトカインが優勢な疾患である、というものである。本件審決が認定した技術常識は、かかる正 しい技術常識に反し、「急性期」の存在を前提とし、「慢性期」においては「IL-4などのTh2系サイトカインよりもインターフェロンガンマ、IL-12産生が優勢となる」とするものであり、明らかに誤っている。 ア慢性の疾患であること(A)アトピー性皮膚炎は慢性の疾患であり、アトピー性皮膚炎の患者は罹 病期間の観点から慢性期にあるといえる。また、アトピー性皮膚炎との関連において用いられる「急性期」及び「慢性期」の語は、患者が罹患しているアトピー性皮膚炎の症状全体を特定するものでなく、病変や皮疹のステージについて用いられるにすぎない。 イ Th2系サイトカインが優勢な疾患である る「急性期」及び「慢性期」の語は、患者が罹患しているアトピー性皮膚炎の症状全体を特定するものでなく、病変や皮疹のステージについて用いられるにすぎない。 イ Th2系サイトカインが優勢な疾患であること(B) 本件審決は、被告らが審判において提出した甲23~27(審判乙3~7)における記載に依拠して、アトピー性皮膚炎では、「慢性期に入ると、IL-4などのTh2系サイトカインよりもインターフェロンガンマ、IL-12産生が優勢となることが本件特許の優先日おける技術常識であった」と認定したが、これらの証拠における記載をみても、かよ うな技術常識が導出される根拠は示されていない。むしろ、甲24、28、45及び76には、アトピー性皮膚炎においてTh2/IL-4等が強く関与するものであることが記載されていた。このように、アトピー性皮膚炎の患者においては、病期に関わらず全身においてTh2/IL-4等が優勢であるし、皮疹がない部分においてもTh2細胞が増 加しているのであるから、アトピー性皮膚炎においては病期及び部位に 関わらずTh2/IL-4等が強く関与していることは、疑いがないことである。 (2) 本件訂正発明の容易想到性の判断の誤り本件審決には、上記(1)のとおり技術常識の認定に誤りがあるから、審決がなした相違点の容易想到性の判断も、前提において失当であることが明ら かである。 また、本件審決には、引用発明における発明の効果の認定における更なる瑕疵があるし、本件訂正発明における「抗ヒトIL-4R抗体の効果」の認定にも誤りがあるから、容易想到性の判断にも誤りがある。 ア引用発明の効果の誤認 本件審決は、引用発明で用いられたREGN668の治療上の有効性、臨床症状の改善効果に関する予測を否定した 定にも誤りがあるから、容易想到性の判断にも誤りがある。 ア引用発明の効果の誤認 本件審決は、引用発明で用いられたREGN668の治療上の有効性、臨床症状の改善効果に関する予測を否定した。しかし、上記(1)のとおり、本件審決がなした技術常識の認定は誤っており、かかる誤った技術常識に依拠してなされた引用発明の効果の認定も誤りである。 また、本件審決には、自らが認定した技術常識の当てはめを誤った瑕 疵があることも明らかである。すなわち、本件審決は、病変や皮疹のステージを特定する語である「慢性期」と、アトピー性皮膚炎の罹病期間を特定する語である「慢性」という、異なる対象についての異なる指標について表す表記を、誤って同一視し、自らが認定した技術常識の当てはめを誤った瑕疵がある。 そして、甲1における試験段階は第Ⅱ相試験であり、これに先立ってアトピー性皮膚炎患者に対するREGN668の第Ⅰ相試験(「Phase1b」)が行われており(甲6)、REGN668は医薬品としての有用性が期待できると判断された薬物である(甲49)。また、IL-4の作用の遮断がアトピー性皮膚炎の治療に用い得ることは、甲3又は甲8 から本件特許の優先日において知られていたことであった。第Ⅰ相試験 に供試される治験薬組成物でさえ医薬品としての有用性が期待できると判断された薬物であるのであるから、第Ⅰ相試験を経てさらなる臨床試験である第Ⅱ相試験に供試された治験薬組成物である引用発明に係る抗ヒトIL-4R抗体(REGN668)が、医薬品としての有用性が期待できると判断された薬物であることは論を俟たない。そして、引用発 明が奏すると予測される効果は、本件訂正発明の物としての構成を具備する引用発明自体の従来技術に鑑みて予測される効果であ 用性が期待できると判断された薬物であることは論を俟たない。そして、引用発 明が奏すると予測される効果は、本件訂正発明の物としての構成を具備する引用発明自体の従来技術に鑑みて予測される効果であって、具体的な試験における結果である必要はないから、臨床試験の結果の有無に拘泥する必要はない。 そうすると、アトピー性皮膚炎はTh2/IL-4等が優勢な疾患で あるという正しい技術常識に照らし、抗ヒトIL-4R抗体であるREGN668が奏功することは当業者が予測できたことである。 イ本件訂正発明における本件抗体の効果の誤認本件審決は、本件訂正発明における本件抗体(抗ヒトIL-4R抗体)の効果について、本件明細書において、本件患者に対する抗ヒトIL- 4R抗体の効果を確認した試験において、実際にアトピー性皮膚炎の臨床症状が改善したことが記載されていると認定した。しかし、本件明細書には、形式的には実施例1~12が記載されているが、本件訂正発明の構成を全て充足する組成物の効果を示している例は、実施例8と10のみであり、これら2つの実施例において用いられている抗体は「mA b1」なる抗体のみである。その他の抗体又はその抗原結合断片については薬効が確認されたことも開示されておらず、当然ながらそれらの治療上の有効量を推認するに値する記載もない。本件明細書における開示に加えて技術常識を考慮しても、本件審決が認定したように、本件抗体等は全てmAb1と同様にアトピー性皮膚炎に対する症状の改善を示す といえるとはいえない。 以上の点は、後記のサポート要件の判断のみならず、進歩性の判断において考慮されるべきものである。 ウ相違点に係る容易想到性についての誤認本件審決の認定は、引用発明の効果及び本件訂正発明の効果 以上の点は、後記のサポート要件の判断のみならず、進歩性の判断において考慮されるべきものである。 ウ相違点に係る容易想到性についての誤認本件審決の認定は、引用発明の効果及び本件訂正発明の効果のいずれにおいても誤っており、これらに依拠した認定判断も誤りであることは 明らかである。本件訂正発明1と引用発明の相違点は「治療上有効な量」及び「医薬」の構成のみであり、それら以外の構成は一致点であるところ、これらの相違点は、以下の(ア)、(イ)のとおり、当業者が容易に想到し得た構成である。その上、本件訂正発明が、当業者において引用発明について予測し得た範囲の効果を超える格別顕著な効果を奏するともい えない。本件審決がなした相違点に係る容易想到性の認定判断は誤っており、相違点に想到することが容易である。 (ア) まず、「治療上有効な量」の点については、甲1には当該臨床試験が「効能」の試験のためのものであることが記載されており、薬効を確認するための臨床試験において試験される治験薬の量は、治療上有 効な量であること、又は当該有効成分の量を治療上有効な量とすることは当然に備えるべきことである。また、ヒト抗体のアトピー性皮膚炎に対する具体的な用量は、引用発明の際に公知であった甲3に記載されていることであるから、引用発明において当業者が当該具体的用量を想起することは自明であった。 (イ) 「医薬」の構成については、治験薬組成物に係る甲1に記載の発明との実質的な相違点ではない。甲1には、治験薬としてのREGN668が示されているところ、治験薬は、医薬の製造販売のための臨床試験に供試される薬剤であり、医薬上許容される賦形剤や担体を含むもの、すなわち物としては医薬組成物と相違しないことが通常のこと である。そうすると、甲 ろ、治験薬は、医薬の製造販売のための臨床試験に供試される薬剤であり、医薬上許容される賦形剤や担体を含むもの、すなわち物としては医薬組成物と相違しないことが通常のこと である。そうすると、甲1に記載されているREGN668なる治療 薬が医薬組成物であることは、同号証に記載されているに等しい事項である。さらに、甲2にはREGN668について「医薬(medications)」であることを示す明示の記載がある。したがって、「医薬」の構成は、少なくとも甲1に記載の発明について、当業者が容易に想到し得た構成である。 【被告らの主張】本件訂正発明は、アトピー性皮膚炎の病態や炎症維持のメカニズムが解明されていない状況下、抗ヒトIL-4R抗体であるmAb1が本件患者の症状の改善作用を有すること、症状の改善はmAb1のIL-4Rアンタゴニスト作用と相関することを発見したものであり、本件訂正発明における本件抗体等の 本件患者の処置に適する医薬組成物としての用途を見出した用途発明であって、その進歩性は当然認められる。以下、原告の主張に対応して反論する。 (1) 技術常識の誤認についてア原告は、本件審決がアトピー性皮膚炎について「急性期」と「慢性期」に分けて優勢となるサイトカインの認定をしたことについて批難するが (A)、本件審決が言及した「急性期」、「慢性期」は、「病期」及び「部位」について述べたものであり、この認定が誤りとなるわけではない。 本件審決の認定の基礎とされた甲23~27の記載を総合すれば、本件審決にいう「急性期」、「慢性期」は病期、すなわち「病気の経過を、その特徴によって区別した期間」の観点での期間であり、部位における病 変の特徴としても急性期(急性病変)、慢性期(慢性病変)が使用されること 性期」、「慢性期」は病期、すなわち「病気の経過を、その特徴によって区別した期間」の観点での期間であり、部位における病 変の特徴としても急性期(急性病変)、慢性期(慢性病変)が使用されることが一層明らかである。 イまた、原告は、アトピー性皮膚炎において基本的にTh2系サイトカインが優勢であると主張するが(B)、原告が提出した甲41、14、42~47は、いずれもアトピー性皮膚炎が病期や部位の違いによらず、T h2/IL-4が優勢な疾患であり、IFN-γなどのTh1系サイト カインの関与が小さい疾患であることが当業者の技術常識であることを示すに足りるものではない。そして、証拠(甲23~27)には、アトピー性皮膚炎の病期や部位について「急性期」及び「慢性期」を示す記載も、アトピー性皮膚炎が慢性期に入ると、IL-4などのTh2系サイトカインよりもIFN-γ、IL-12産生が優勢となるといったこ とも明確に記載されている。 (2) 本件訂正発明の容易想到性の判断に係る瑕疵についてア引用発明の効果の誤認について(ア) 本件審決において認定した技術常識に誤りがないことは前記のとおりである。そして、引用発明において、少なくとも3年間の慢性アト ピー性皮膚炎の患者であり、部位により慢性病変の他に急性病変も生じている可能性があり、治療薬に対し不十分な応答しか示さないのであるから、当該患者に生じた急性病変は、治癒しないまま、時間の経過とともに慢性病変に移行し、一方慢性期病変も治癒しないままで維持されている状態であると考えられる。そうすると、引用発明におけ る患者の病変は、そのほとんどがIL-4よりもIFN-γ、IL-12産生が優勢となっている慢性病変であると考えられる。そのような患者の病態については、I えられる。そうすると、引用発明におけ る患者の病変は、そのほとんどがIL-4よりもIFN-γ、IL-12産生が優勢となっている慢性病変であると考えられる。そのような患者の病態については、IL-4が優勢の状態であるか否か、それが皮膚の炎症を誘導する原因となっているか否かは明らかではなく、むしろTh1が優勢である慢性期にあると考えられるから、直ちにI L-4Rに対する抗体であるREGN668がこのような患者に対して奏功すると予測することはできない。本件審決が前記の技術常識を踏まえ、IL-4活性及びIL-13活性を遮断する引用発明におけるREGN668がこれらの患者に対し、臨床症状の改善をもたらすことを容易に予測できないと認定したことに何ら誤りはない。 イ本件訂正発明における本件抗体の効果の誤認について 本件明細書においてmAb1しか開示されていない点に関する原告の主張に対する反論については、後記2(取消事由2:サポート要件違反)における被告らの主張において述べるとおりであり、本件抗体等については、mAb1以外のものについても、mAb1と同様の作用効果が得られるといえる。 ウ相違点に係る容易想到性についての誤認前記のとおり、本件特許の優先日当時、アトピー性皮膚炎(AD)の炎症の原因となるサイトカインがTh2/IL-4であるとの技術常識があったとは到底いえない。アトピー性皮膚炎の病因や病態は複雑であり、皮膚病変の形成におけるサイトカイン作用の正確なメカニズムは本件特 許の優先日当時には解明されていなかった。本件出願後の文献である乙23にも、「デュピルマブが実際にADの皮疹に効果があることが明らかとなって初めて、Th2サイトカインがADで本当に病態に関与していることが分かったという されていなかった。本件出願後の文献である乙23にも、「デュピルマブが実際にADの皮疹に効果があることが明らかとなって初めて、Th2サイトカインがADで本当に病態に関与していることが分かったというのが実情である。」との記載がある(デュピルマブは本件訂正発明の医薬組成物の有効成分となる抗ヒトIL-4R抗体 に相当する。)。こうしたアトピー性皮膚炎の免疫経路の複雑さを考慮すると、臨床試験の結果を待つことなく効果を予測することは困難であり、本件特許の優先日当時の技術常識からみて引用発明の効果は予測困難であった。よって、引用発明から、本件審決が認定した相違点を想到することは、当業者が容易になし得たということはできない。 (ア) 原告は、「治療上有効な量」について、甲3から当業者が容易に想到し得た構成であるとするが、甲3に記載された「1回あたりの用量は通常約0.01~約20mg/kg体重」の記載は、IL-4Rが関与している種々の病態の処置及び病気に用いる際の用量の目安であって、本件訂正発明の対象患者である本件患者に対する用量は何ら 示されていない。 (イ) また、原告は、「医薬」の構成についても、甲2を根拠に当業者が容易に想到し得たと主張するが、本件訂正発明の医薬組成物は、単に医薬という名称が付された組成物ではなく、医薬用途発明としての内容を伴って記載されたものであり、甲1にはREGN668が実際に対象となる患者に対し治療効果を奏し医薬用途に使用できることにつ いて何ら記載がない。甲2においても、「REGN-668」を含む2つの医薬についてアトピー性皮膚炎に対する臨床試験が行われているという文脈で「医薬」の用語が使用されているのであるから、医薬用途に使用できるものとして記載されているとはいえない。 8」を含む2つの医薬についてアトピー性皮膚炎に対する臨床試験が行われているという文脈で「医薬」の用語が使用されているのであるから、医薬用途に使用できるものとして記載されているとはいえない。 2 取消事由2(サポート要件違反) 【原告の主張】(1) 本件明細書に開示された薬理試験結果はmAb1に関するもののみであって、mAb1以外の本件抗体等については、発明の詳細な説明において医薬組成物として使用可能であることを当業者が認識できるように記載されているとはいえない。ところが、本件審決は、本件明細書における開示及び 本技術分野における技術常識を考慮せず、mAb1のアトピー性皮膚炎疾患に対する症状の改善は、IL-4/IL-13の作用の遮断によるもの、すなわち抗ヒトIL-4抗体としての作用によるものと理解するのが自然であり、本件訂正発明におけるヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体又は抗体の抗原結合断片は、これらが全てmAb1と同様にアトピー性皮膚炎疾患に 対する症状の改善を示すといえる旨の誤った判断をした。そもそも抗原及び作用が同一の抗体又は抗体の抗原結合断片(以下「抗体等」ということがある。)であっても、以下のア~ウに示す点を考えれば、臨床で治療に使用可能な抗体等と治療に使用できない抗体等とが存在することは技術常識である。 本件明細書に開示された薬理試験結果によりmAb1が臨床で治療に使用可 能であろうと認識した場合であっても、それと抗原(ヒトIL-4R)及び 作用(IL-4/IL-13の作用を遮断するIL-4Rアンタゴニスト)が同一の別の本件訂正発明におけるヒトIL-4R抗体又は同抗体の抗原結合断片まで臨床で治療に使用可能であるとは、当業者は認識しない。 ア結合親和性や薬物動態の違いについて 4Rアンタゴニスト)が同一の別の本件訂正発明におけるヒトIL-4R抗体又は同抗体の抗原結合断片まで臨床で治療に使用可能であるとは、当業者は認識しない。 ア結合親和性や薬物動態の違いについて本件訂正発明は、結合が弱い抗体及び抗体断片を含み、mAb1とは 薬物動態が異なる抗体及び抗体断片を含むなどの点で、本件患者の治療に使えるか不明な抗ヒトIL-4R抗体及び抗体断片の組成物を含んでいる。 (ア) 結合親和性について本件抗体等の結合親和性については、特許請求の範囲において文言上 の限定がなく、本件明細書によれば、約0.5nM未満(結合が強い)~約1000nM未満(結合が弱い)ものを広く含む。しかし、本件明細書において唯一薬理試験結果が開示されているmAb1は、本件抗体等の中で抗原(ヒトIL-4R)との結合が極端に強い抗体(KD値は当該数値範囲のうち最小値付近〔結合が極めて強い〕の0.038nM ~0.157nM〔38.8pM~157pM〕)であるから、mAb1と比して抗原(ヒトIL-4R)との結合が弱い本件抗体等が、本件患者の治療に使えるかは不明である。 (イ) 免疫原性について本件訂正発明においては、mAb1と薬物動態(時間の経過に伴う薬 物の体内での動き)の異なる抗体及び抗体断片が含まれている。例えば、治療用抗体は、体内で抗原として認識されて「抗薬物抗体」が出現する(免疫原性)と、速やかに消失してしまうが、本件訂正発明のmAb1以外の本件抗体等は、抗薬物抗体の出現(免疫原性)が不明である。 (ウ) 非ヒト由来のアミノ酸配列を含む抗体等であることについて 非ヒト由来のアミノ酸配列が多い抗体の方が血中半減期が短い(免疫 原性を生じやすい)ところ、本件訂正発明においてはアミノ酸配列及 ト由来のアミノ酸配列を含む抗体等であることについて 非ヒト由来のアミノ酸配列が多い抗体の方が血中半減期が短い(免疫 原性を生じやすい)ところ、本件訂正発明においてはアミノ酸配列及び/又はその由来を限定した発明特定事項はないから、本件抗体等は完全ヒト抗体(mAb1)に限定されておらず、マウス抗体、キメラ型抗体及びヒト化抗体などの非ヒト由来のアミノ酸配列を含む抗体又はその抗体の断片も含まれている。 (エ) 分子デザインについて分子量が小さくなるほど血中半減期が短いところ、本件訂正発明の抗体等にはF(ab’)₂、Fab’、Fab及びscFVといった分子量が小さいものが含まれている。 (オ) 保存安定性(粘度・凝集)について 本件訂正発明1~7、10~16では、タンパク質の配列、立体構造はおろか相補性決定領域(CDR)についてさえ何ら限定されていないから、本件抗体等には安定性(凝集・粘度)がそれぞれ全く異なるものが含まれている。 (カ) 二重特異性抗体について ヒトの体内に抗体が投与された場合、ヒトの血液中に含有されている免疫グロブリンIgGの4つのサブクラスのうちの1つであるIgG4が生体内でハーフ抗体となり、別の抗体のハーフ抗体と結合した二重特異性抗体になる現象(FAB-arm交換)が一般に起こり得る。二重特異性抗体となってしまうと、抗体結合部位が半減し、薬物動態に影響 するとともに治療効果を減少させるが、本件抗体は、このような現象を回避するための抗体の安定性を高める変異を加えていないものも含んでいる。 イアンタゴニスト抗体の作用機序についてアンタゴニスト抗体の作用機序自体も、直接的な活性部位への結合、 アロステリック結合が誘導する立体構造変化、立体障害というように3 も含んでいる。 イアンタゴニスト抗体の作用機序についてアンタゴニスト抗体の作用機序自体も、直接的な活性部位への結合、 アロステリック結合が誘導する立体構造変化、立体障害というように3 種類が存在し、mAb1の薬理データのみに基づき、性質の異なる多種多様な本件抗体等が「全てmAb1と同様にAD疾患に対する症状の改善を示す」と推論することは不可能である。 ウ抗体の開発中止事例について抗原及び作用が同一の抗体等であっても、臨床で治療に使用可能な抗 体等と治療に使用できない抗体等とが存在する実例として、ヒト抗ヒトIL-4Rα抗体(AMG317)の開発中止事例、免疫原性が原因の開発中止事例、抗TNFα抗体の開発中止事例及び抗IL-12/IL-23抗体の開発中止事例が挙げられる。 (2) また、本件抗体の製法につき、甲3の米国特許第7,608,693号 における開示をみても、精々、抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体又はその抗原結合断片一般の製法が記載されているにすぎない。 本件訂正発明が規定する抗体又はその抗原結合断片を充足する「抗体またはその抗原結合断片」をスクリーニングする方法は、本件明細書上、示唆さえ皆無である。 (3) そして、本件特許(少なくとも請求項1~7)における「治療上有効量」という特許請求の範囲の記載についても、特許権者の願望を記載したにすぎず、「治療上有効量」がいかなる数量なのか、さらにはそもそも患者の治療に使用可能かを当業者が理解することができない。本件明細書で具体的に治療上有効量の本件抗体又は本件抗体断片を含む医薬組成物として開示されて いるのは、300mgという特定の用量で投与するmAb1を含む医薬組成物のみである。 (4) 以上のとおり、本件訂 に治療上有効量の本件抗体又は本件抗体断片を含む医薬組成物として開示されて いるのは、300mgという特定の用量で投与するmAb1を含む医薬組成物のみである。 (4) 以上のとおり、本件訂正発明の権利範囲は本件明細書の開示(mAb1の臨床結果)と比して著しく過大であり、サポート要件違反を免れないが、仮に、被告らの主張が、本件訂正発明が対象とする本件患者に対し臨床で治 療に使用可能な抗体等を含有するもののみが権利範囲に含まれ、サポート要 件を充足すると主張するのであれば、特許請求の範囲には課題が解決される構成のみが書かれていることになり、本件明細書の開示とは無関係に、サポート要件を循環論法によって満たすことができることになってしまう。本件明細書が新たに開示した技術的事項はmAb1に係る本件患者に対しての薬理試験(臨床試験)結果のみであって、本件訂正発明にはその限度で技術 的意義があるにすぎないから、仮に独占権が付与され得るとしても、mAb1の具体的組成を特定した発明に限定されるべきである。 【被告らの主張】本件審決は、mAb1によるアトピー性皮膚炎症状の改善(実施例10)と、IL-4により産生・分泌が促進されるバイオマーカーの抑制(実施例12) との相関から、「mAb1のAD疾患に対する症状の改善は、IL-4/IL-13の作用の遮断によるもの、すなわち抗ヒトIL-4R抗体としての作用によるものであると理解するのが自然である。」と判断したのであり、実施例10の記載のみによってこの判断をしたのではない。そして、本件審決は、当該判断に係る情報と、「抗ヒトIL-4R抗体は、IL-4Rの正常な生物学 的シグナリング機能を阻害するIL-4Rアンタゴニストとして作用する抗体を意味する」という情報を関連付け 本件審決は、当該判断に係る情報と、「抗ヒトIL-4R抗体は、IL-4Rの正常な生物学 的シグナリング機能を阻害するIL-4Rアンタゴニストとして作用する抗体を意味する」という情報を関連付け、いわゆる三段論法により「本件訂正発明における、ヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体又は抗体の抗原結合断片は、これら全てがmAb1と同様にAD疾患に対する症状の改善を示す」との結論を導いたのである。無効理由2(サポート要件違反)を認めなかった本件審決 の判断に誤りはなく、原告の主張は失当である。 (1) 結合親和性や薬物動態の違いに関する主張について原告は、抗原及び作用が同じ抗体であっても臨床で治療に使用可能な抗体と使用できない抗体が存在すると主張する。しかし、原告が指摘する抗体又は抗体の抗原結合断片の結合親和性の値全てが、本件明細書の【0096】 に定義される「IL-4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害する任 意の薬剤」に該当する抗体等の有するKD値に対応するわけではない。本件抗体又は本件抗体断片は、IL-4Rが有するエピトープのうち、特にシグナリング機能を阻害し得る部分のエピトープに高い親和性で結合するものを選択することは自明であり、結合親和性の低い抗体等は含まれない。 また、原告が主張する免疫原性等の点についても、医療用途に使用する 抗体を製造する場合、血中半減期に影響する要因に留意して抗体の定常部位のアミノ酸配列や製剤形態を選択し安定化を図ることは当業者が当然に考慮すべきことだから、本件訂正発明が医薬用途に不適当であることが明らかな抗体や抗原結合断片までも包含することを前提とする原告の主張は失当である。 さらに、原告は、いくつかの開発中止事例を挙げるが、「疾患に対する症状の改善」を示す薬 不適当であることが明らかな抗体や抗原結合断片までも包含することを前提とする原告の主張は失当である。 さらに、原告は、いくつかの開発中止事例を挙げるが、「疾患に対する症状の改善」を示す薬物であっても、例えばその有効性が目標値に達しなかった場合や安全性に問題があることが判明した場合、開発者が市場性や事業性が低いとして開発を中止し、その薬物が「臨床で治療に使用可能」には至らない。この点からみても、「疾患に対する症状の改善を示す」ことと「臨床 で治療に使用可能」となることの判断基準の違いは明らかであり、原告の上記主張は本件審決の判断を異なる内容に置き換えて反駁するものである。 (2) 本件抗体の製法に関する主張について原告は、本件明細書上に本件抗体のスクリーニング方法について示唆がないとするが、本件抗体は、その認識する抗原がIL-4Rであることはそ の名称から自明である。このほかに、本件明細書の段落【0096】により、「IL-4Rアンタゴニスト」であること、すなわち「IL-4Rに結合するか、またはそれと相互作用し、IL-4Rがinvitro またはinvivo で細胞上で発現される場合にIL-4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害する薬剤」として定義されており、IL-4Rの正常な生物学的シグナ リング機能を阻害するという機能についても特定されている。加えて、本件 明細書の実施例1【0153】に記載された本件抗体の製造方法として参照されている米国特許第7,608,693号(甲3、22)には、本件抗体の製法、スクリーニング法が開示されており、当業者は公知文献を参照することでこれらの抗体を容易に入手可能である。 (3) 治療上有効量に関する主張について 原告は、本件抗体の治療上の有効量が不 製法、スクリーニング法が開示されており、当業者は公知文献を参照することでこれらの抗体を容易に入手可能である。 (3) 治療上有効量に関する主張について 原告は、本件抗体の治療上の有効量が不明であり、本件明細書に開示されているのは実施例10において用いられているmAb1の用量は300mgという単一用量にすぎないと主張するが、当業者であれば、300mg以外の用量でも治療有効量の範囲内であれば同様の効果が得られることは十分に理解可能である。実際、本件明細書の実施例8では300mgのみならず、 150mgの用量でも効果が得られたことが示されている。 3 取消事由3(実施可能要件違反)【原告の主張】特許請求の範囲に記載されている一部に実施不可能な部分があれば、実施可能要件は満たされない。前記2で述べたとおり、抗原及び作用が同一の抗体等 であっても、臨床で治療に使用可能な抗体等と治療に使用できない抗体等とが存在する。本件抗体等のうち、少なくとも結合親和性の弱い(KD値が大きい)抗体については、治療に使用不可能であり、本件患者の治療に有効な抗ヒトIL-4R抗体又は抗体断片を含む医薬組成物を製造することも不可能である。 また、以下に述べるとおり、本件訂正発明については、治療上有効量、本件抗 体のスクリーニング方法、結合親和性・免疫原性等の点でも過度の試行錯誤が必要となる。そうである以上、mAb1以外の本件抗体及び本件抗体断片については、対象となる本件患者に使用するための治療上有効量の本件抗体等を含む医薬組成物を製造するためには、各抗体及び抗体の抗原結合断片ごとに臨床試験を行い、臨床で治療に使用可能なものを選別しなければ、本件訂正発明の 医薬組成物を製造し使用することができない。これが過度の試行錯誤に該当す 、各抗体及び抗体の抗原結合断片ごとに臨床試験を行い、臨床で治療に使用可能なものを選別しなければ、本件訂正発明の 医薬組成物を製造し使用することができない。これが過度の試行錯誤に該当す ることは明らかであるから、本件訂正発明1~7、10~16については実施可能要件違反である。 (1) 治療上の有効量について治療上の有効量についても、被告らの主張するinvitro のアンタゴニスト活性の程度に応じて、臨床における治療上有効量を設定するとなると、本 件明細書ではその両者の相関関係を伺わせるような基準が一切示されていないのだから、ある活性値の新たな抗体について治療上有効量(ここでは臨床効果を示す蓋然性の高い投与量)がどの程度であるか都度臨床試験にて確認する必要があり、これが過度の試行錯誤であることは明らかである。 (2) スクリーニング方法について 本件抗体のスクリーニング方法についても、被告らのいう公知の「スクリーニング法」とは、非臨床試験のものであって、本件訂正発明が規定する抗体又はその抗原結合断片を充足する「抗体またはその抗原結合断片」をスクリーニングすることができるものではない。本件訂正発明の対象である特定の患者(本件患者)に対する治療用途に使用することができるかを確認す るためのスクリーニング法としては、実際に「臨床試験」をしないといけないということになり、「容易に入手することが可能であり」とする被告らの主張は失当である。 (3) 結合親和性や薬物動態の違いについて被告らの主張によれば、本件抗体等のうち、結合親和性、免疫原性、凝 集の可能性等の種々の観点から、当業者は本件患者の治療に使用可能な医薬組成物として使用可能なものを試行錯誤によって選び出す必要があることになり、これは過 体等のうち、結合親和性、免疫原性、凝 集の可能性等の種々の観点から、当業者は本件患者の治療に使用可能な医薬組成物として使用可能なものを試行錯誤によって選び出す必要があることになり、これは過度の試行錯誤であって、実施可能要件が満たされないことは明らかである。 【被告らの主張】 原告は、抗原及び作用が同一の抗体等であっても、臨床で治療に使用可能な 抗体等と治療に使用できない抗体等が存在することを前提に、本件訂正発明の医薬組成物を製造し使用するには過度の試行錯誤が必要であるとするが、原告の上記前提が誤りであることは、前記2における被告らの主張に記載のとおりである。実施例に記載のmAb1と同等の機能を有する抗IL-4R抗体又はその抗原結合断片を公知の製造方法、スクリーニング方法により容易に入手す ることが可能であり、本件抗体と同様の用途に使用することができる。そして、本件抗体については、本件明細書に臨床試験におけるmAb1の具体的用量の記載のほか、明細書【0019】、【0034】、【0043】、【0135】などに用量の目安の記載があるのであるから、mAb1以外の抗体について、アンタゴニスト活性の程度に応じて治療上有効量を設定することは、当業者にとっ て過度の試行錯誤を要することではない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(進歩性についての判断の誤り)について(1) 技術常識の誤認に関する主張についてア原告は、本件審決が、アトピー性皮膚炎に関する技術常識として、急性 期と慢性期に分けて、慢性期に入るとIL-4などのTh2系サイトカインよりもインターフェロンガンマ、IL-12産生が優勢となると認定したことについて、(A)アトピー性皮膚炎は慢性の疾患であるから急性期の存在を前提とする点で技 入るとIL-4などのTh2系サイトカインよりもインターフェロンガンマ、IL-12産生が優勢となると認定したことについて、(A)アトピー性皮膚炎は慢性の疾患であるから急性期の存在を前提とする点で技術常識に反する、(B)アトピー性皮膚炎においては病期・部位に関わらずIL-4などのTh2系サイトカインが優 勢であり、本件審決の上記認定は技術常識に反する旨主張する。 イこの点、アトピー性皮膚炎は、「増悪・寛解を繰り返す瘙痒(痒み)のある湿疹を主病変する疾患」(甲12、28)、「慢性炎症を伴う代表的疾患の一つ」(甲26)、「慢性に経過する炎症と瘙痒をその病態とする湿疹・皮膚炎群の一疾患」(甲39)とされていることが認められるから、 いわゆる慢性の疾患であるということができる。そして、甲39の日本 皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(日皮会誌:118(3). 325-342 2008〔平成20〕)の326頁では、アトピー性皮膚炎の診断基準として、皮疹は湿疹病変であり、これには「急性病変」(紅斑、湿潤性紅斑、丘疹、漿液性丘疹、鱗屑󠄀、痂皮)と「慢性病変」(浸潤性紅斑、苔癬化病変、痒疹、鱗屑󠄀、痂皮)があることが記載され ており、以上は、原告の主張に一応沿うものといえる。 ウしかし、以下のとおり、本件審決が前記第2の4(1)イで認定した技術常識に沿う文献の記載が認められる。 ・甲23、48(JAllergyClinImmunol, March 1996, Vol.97,No3):「開始段階では、TH2及びTH0細胞によるIL-4産生は、 TH1およびTH0細胞によるインターフェロンガンマ産生よりも優勢である。後期及び慢性期では、状況が逆転し、TH1およびTH0細胞によるインターフェロンガンマ産 0細胞によるIL-4産生は、 TH1およびTH0細胞によるインターフェロンガンマ産生よりも優勢である。後期及び慢性期では、状況が逆転し、TH1およびTH0細胞によるインターフェロンガンマ産生が、TH2およびTH0細胞によるIL-4産生よりも優勢になる」・甲24(J.Clin.Invest.,Mar 2004,Vol.113,No.5,pp.651-657 ): 「ADの炎症は、急性皮膚病変におけるTh2細胞の増加と関連している」、「急性皮膚病変は、IL-4、IL-5、およびIL-13mRNA発現細胞の数が有意に多い」及び「慢性AD皮膚病変は、IL-4およびIL-13mRNA発現細胞が有意に少ない」・甲25(日薬理誌、2008年、第131巻、pp.22-27):「初期に 観察されるTh2細胞優位の状態が次第にTh1細胞優位の状態へ移行する」・甲26(東京医科大学雑誌、2012年1月、第70巻、第1号、pp.128-130):「炎症の強い急性期ではTh2細胞が優位になるが、慢性状態になるとTh1細胞優位となり、Th2細胞とTh1細胞間で 揺れ動く」 ・甲27(Jpn.J.Med.Mycol., 2004年、第45巻、第3号、pp.137-142):「IL-4、IL-5等、Th2系サイトカインはアトピー性皮膚炎の急性期の炎症を惹起し、一方、慢性期ではIFNγを産生するTh1細胞が炎症の増幅を司っていると考えられている」・乙21(「アトピー性皮膚炎の炎症抑制」と題する医学論文、VOL.20 NO.5 SEPTEMBER 2000):「・・・初期段階ではおそらくTh2サイトカインが主体をなし、炎症の維持にはTh2のみでなくTh1サイトカインも関与していると考えられる」(584頁 NO.5 SEPTEMBER 2000):「・・・初期段階ではおそらくTh2サイトカインが主体をなし、炎症の維持にはTh2のみでなくTh1サイトカインも関与していると考えられる」(584頁)エこれらの記載に鑑みると、アトピー性皮膚炎の急性期の病巣部位(急性病変)ではIL-4やIL-13と呼ばれるサイトカインを産生するT h2細胞が増加し、慢性期の炎症部位(慢性病変)ではIFN-γを産生するTh1細胞が増加するといわれており、アトピー性皮膚炎は、炎症の強い急性期(急性病変)ではTh2細胞が優位になるが、慢性状態(慢性病変)になるとTh1細胞優位となり、炎症部位や病期によって、Th2細胞とTh1細胞間で揺れ動く(Th1/Th2バランスが変化 する)という作用機序を有することが本件優先日における技術常識であったと認められる。 なお、アトピー性皮膚炎においてはIL-13というTh2系サイトカインが強く関与していることを示す文献(甲76等)があることは原告の主張するとおりであるが、そうだとしても、「慢性期に入ると、IL- 4などのTh2系サイトカインよりもインターフェロンガンマ、IL-12産生が優勢となることが本件特許の優先日おける技術常識であった」との本件審決の技術常識に関する認定が誤りだったということはできない。 オ原告は、アトピー性皮膚炎について、急性期及び慢性期の概念自体を否 定する主張をするところ、その根拠は、アトピー性皮膚炎は慢性の疾患 であり、皮疹の病変に「急性病変」と「慢性病変」があるにすぎないという趣旨をいうものと理解される(上記イ参照)。しかし、上記ウで認定した文献の記載も踏まえると、本件審決が前記第2の4(1)イで認定したアトピー性皮膚炎に関する技術常識中で言及さ があるにすぎないという趣旨をいうものと理解される(上記イ参照)。しかし、上記ウで認定した文献の記載も踏まえると、本件審決が前記第2の4(1)イで認定したアトピー性皮膚炎に関する技術常識中で言及されている「急性期」、「慢性期」とは、病変(皮疹)の「急性病変」、「慢性病変」の趣旨と理解で きるものであり、原告の指摘を踏まえても、当該技術常識の認定を誤りと認めることはできない。 カ以上によると、本件審決の技術常識の誤認をいう原告の主張は、いずれも採用できない。また、原告は、当該技術常識の誤認を前提として引用発明の効果の誤認等種々の主張をするが、これらの主張はいずれも前提 を欠くものとして採用できない。 (2) 容易想到性の判断の誤りについてア原告は、甲1の試験(第Ⅱ相試験)に先立ってアトピー性皮膚炎患者に対するREGN668の第Ⅰ相試験が行われ、引用発明に係るREGN668が医薬品としての有用性が期待できる薬物であると既に判断され ており、アトピー性皮膚炎がTh2/IL-4等が優勢な疾患であるという正しい技術常識に照らし、抗ヒトIⅬ-4抗体であるREGN668が奏功することは当業者が予測できたことであると主張する。 イしかし、本件審決が認定するアトピー性皮膚炎に関する技術常識、すなわち、アトピー性皮膚炎は、炎症の強い急性期(急性病変)ではTh2 細胞が優位になるが、慢性状態(慢性病変)になるとTh1細胞優位となり、炎症部位や病期によって、Th2細胞とTh1細胞間で揺れ動く(Th1/Th2バランスが変化する)という作用機序を有することに誤りがないことは前記(1)のとおりであり、原告が主張するように「アトピー性皮膚炎がTh2/IL-4等が優勢な疾患である」という単純な 理解のみに基づいて、その治療上 う作用機序を有することに誤りがないことは前記(1)のとおりであり、原告が主張するように「アトピー性皮膚炎がTh2/IL-4等が優勢な疾患である」という単純な 理解のみに基づいて、その治療上の有効性の判断をなし得るものではな い。 しかも、アトピー性皮膚炎の免疫経路が複雑なものであり、炎症部位や病期によっても変化し得ることについては、前掲甲24の「特定の細胞とサイトカインがADで果たす役割についての洞察は、標的療法の開発の機会を生み出す。しかし、関与する生物学的プロセスの複雑さを考え ると、これまでにテストされた化合物のどれも特効薬であることが証明されていない。」との記載、前掲甲25の「Th1/Th2バランスが比較的限局された部位においても、また、病期によっても変化し、さらに、同一個体内の部位によってバランスが異なる可能性もあり、Th1/Th2バランスのみでアレルギー疾患を理解することには無理もあるよう に思われる」との記載、甲28(厚生労働省のウェブサイトの「アトピー性皮膚炎」と題されたPDF資料)の「アトピー性皮膚炎の炎症には、様々な細胞やそれらが産生・遊離する化学伝達物質、サイトカイン、ケモカインなどが総合的に関与している」との記載、前掲乙21の「AD発症初期では、Th2サイトカインが主体で皮疹が完成するとTh1 サイトカイン発現が加わり、両者が複雑に関係しつつ皮膚炎を維持していることが推察される」及び「すでに起きている炎症(皮膚炎)においては前述したように、Th2のみならずTh1サイトカイン、さらに種々の免疫細胞が複雑に関与している」との記載に示されているとおりである。 こうした、アトピー性皮膚炎の免疫経路の複雑さも考慮すると、炎症部位や病期によってTh1/Th2バランスが変 らに種々の免疫細胞が複雑に関与している」との記載に示されているとおりである。 こうした、アトピー性皮膚炎の免疫経路の複雑さも考慮すると、炎症部位や病期によってTh1/Th2バランスが変化し、このバランスのみでアレルギー疾患を理解することは困難であったことが本件特許の優先日当時の技術常識であり、それ以前に、IL-4及びこれを産生するTh2細胞を含む、特定の細胞とサイトカインがアトピー性皮膚炎で果 たす役割についての当業者の理解は、標的療法の開発の機会を生み出す (特定の細胞とサイトカインを標的に、候補化合物を探索し得る。)にとどまり、特定の細胞とサイトカインのうちのいずれかを標的とすることによって、アトピー性皮膚炎の治療が可能になるような化合物(抗体等)の存在を解明するには至っていなかったといえる。 そうすると、たとえ上記優先日前に、アトピー性皮膚炎の治療が可能に なるような化合物(抗体等)の標的となり得る抗原である特定の細胞とサイトカイン(Th2/IL-4)が知られていたとしても、他の多くの細胞とサイトカインも作用することが知られている中で、Th2/IL-4の働きを阻害することで、本件患者を含む慢性アトピー性皮膚炎の治療効果を奏するかどうかまで、当業者が認識できたとはいえない。 つまり、当該抗原の作用を阻害するための受容体に対する抗体(抗IL-4R抗体)が公知であったとしても、当該作用の阻害により、アトピー性皮膚炎の治療効果が可能となるとの治験までが公知になっていたわけではないから、当該抗体(抗IL-4R抗体)を実際に治験に使用して、アトピー性皮膚炎に対する効果を確認してみなければ、アトピー 性皮膚炎への治療効果があるかは予測できなかったといえる。 ウまた、甲1における試験段階は L-4R抗体)を実際に治験に使用して、アトピー性皮膚炎に対する効果を確認してみなければ、アトピー 性皮膚炎への治療効果があるかは予測できなかったといえる。 ウまた、甲1における試験段階は第Ⅱ相試験であり、甲21によれば、第Ⅰ相試験(フェーズ1)からの移行の成功率は63.2%(n=3,582)であり、第Ⅱ相試験(フェーズ2)から第Ⅲ相試験(フェーズ3)への移行の成功率は更に低く、30.7%(n=3,862。アレル ギー疾患の場合には33%)にすぎないことが認められる。しかも、甲1に記載された情報は臨床試験のプロトコル(試験実施計画書)にすぎず、実際の試験結果については記載されていない。そうすると、甲1に記載された治験薬が、試験結果をみるまでもなく当然に治療上有効であると当業者が理解するともいえない。 エこれに対し、原告は、本件訂正発明1と引用発明の相違点に係る「治療 上有効な量」については、薬効を確認するための臨床試験(甲1)において試験される治験薬の量は治療上有効な量であることは当然であり、ヒト抗体のアトピー性皮膚炎に対する具体的な用量は引用発明の際公知であった甲3に記載されているなどと主張する。 しかし、上記主張を踏まえたとしても、Th2/IL-4の働きを阻害 すること自体が確たるものではなかったのであるから、本件患者を含む慢性アトピー性皮膚炎の治療効果を奏するかについて当業者が認識できたとはいえないとの前記判断は左右されない。しかも、甲3に記載された「1回あたりの用量は通常約0.01~約20mg/kg体重」の記載は、IL-4Rが関与している種々の病態の処置及び病気に用いる際 の用量の目安であって、本件訂正発明の対象患者である本件患者に対する用量は何ら示されていない。 よ mg/kg体重」の記載は、IL-4Rが関与している種々の病態の処置及び病気に用いる際 の用量の目安であって、本件訂正発明の対象患者である本件患者に対する用量は何ら示されていない。 よって、原告の上記主張は採用することができない。 オまた、原告は、「医薬」の構成は実質的な相違点ではないとし、甲1には治験薬としてREGN668が示されているところ、治験薬と医薬組 成物は相違しないし、第Ⅰ相試験を経てさらなる臨床試験である第Ⅱ相試験に供試された治験薬組成物に有用性が期待できることは当然であり、さらに、甲2にはこれを「医薬(medications)」であるとする記載があると主張する。 しかし、甲1にはREGN668が本件患者に対し治療効果を奏し医 薬用途に使用できることについて何ら記載がない。また、甲2においても、「2つの医薬について、ADに対する臨床試験が、IL-4受容体を標的にして現在行われている(Aeroderm及びREGN-668)」(訳)との記載があるだけであり、これは「REGN-668」を含む2つの医薬についてアトピー性皮膚炎に対する臨床試験が行われている という文脈で「医薬」の用語が使用されていると理解されるから、医薬 用途に使用できるものとして記載されているとはいえない。 よって、「医薬」の構成に関する原告の前記主張も採用することができない。 カこのほか、原告は、本件明細書上、本件訂正発明の構成を全て充足する例は実施例8と10のmAb1の抗体のみであり、他の抗体、抗原結合 断片についての開示がないとも主張するが、この点はサポート要件に関して検討すべき事項であるから、後記2で検討する。 (3) 小括以上によると、取消事由1に関する原告の主張はいずれも採用できず、本 ついての開示がないとも主張するが、この点はサポート要件に関して検討すべき事項であるから、後記2で検討する。 (3) 小括以上によると、取消事由1に関する原告の主張はいずれも採用できず、本件訂正発明1が、引用発明及び甲1~6の記載に基づいて、当業者が容易に 発明をすることができたものでないとした本件審決の判断に誤りは認められない。 また、本件訂正発明2~16は、本件訂正発明1をさらに限定した発明であるから、同様に、本件訂正発明2~16について当業者が容易に発明をすることができたものでないとした本件審決の判断にも誤りはない。 2 取消事由2(サポート要件違反)について(1) 原告は、本件明細書に開示された薬理試験結果はmAb1に関するもののみであるところ、本件訂正発明はmAb1とは結合親和性や薬物動態が異なる抗体等を含むものであり、これが臨床で治療に使用可能であるとは当業者は認識しない、その結果、本件特許の権利範囲は本件明細書の開示と比し て著しく過大となっているとして、サポート要件の適合性に関する本件審決の誤りを主張する。 この点、特許法36条6項1号は、特許請求の範囲に記載された発明は発明の詳細な説明に実質的に裏付けられていなければならないというサポート要件を定めるところ、その適合性の判断は、特許請求の範囲の記載と発明の 詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の 詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと 識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解されるので、以下、この見地から検討する。 (2) 本件明細書に示されている本件訂正発明の課題及び当該課題の解決手段は、次のとおりである。 アまず、前記第2の2(2)のとおり、本件明細書には、アトピー性皮膚炎(AD)は、強い掻痒感(例えば、激しい痒み)ならびに鱗状及び乾燥した湿疹病変を特徴とする慢性/再発性炎症性皮膚疾患であり、アト ピー性皮膚炎の病態生理は、免疫グロブリンE(IgE)による感作、免疫系、及び環境因子の間の複雑な相互作用により影響されること、主な皮膚の欠陥は、遺伝子突然変異と局部炎症との両方の結果である上皮バリアの機能障害を伴う、IgEによる感作を引き起こす免疫障害によるものであるところ、従来のアトピー性皮膚炎のための典型的な処置と しては、局所ローション及び保湿剤、局所コルチコステロイド軟膏、クリームまたは注射が含まれるが、これらは、一時的な、不完全な、症状の緩和を提供するに過ぎず、さらに、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する多くの患者は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性になるという問題があったこと、そ こで、アトピー性皮膚炎の処置及び/又は防止のための新規標的療法が当業界で必要とされていたことが記載されており、以上の記載及び特許請求の範囲の記載からみると、本件訂正発明の課題は、「中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)患者であって、局所コルチステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しないか又は 前記局所処置が勧められ 件訂正発明の課題は、「中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)患者であって、局所コルチステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しないか又は 前記局所処置が勧められない患者を処置する方法に使用するための治療 上有効な医薬組成物を提供すること」であると認められる。 イそして、当該課題を解決する手段は「治療上有効量のインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストを含む医薬組成物」の患者への投与(前記第2の2(2)エ)である。なお、ここでいう「インターロイキン-4受容体」(IL-4R)アンタゴニスト」とは、IL-4Rに結 合するか、又はそれと相互作用し、IL-4Rがin vitroまたはin vivoで細胞上で発現される場合にIL-4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害する任意の薬剤であると記載されており、その非限定例として、ヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられている。 (3) 以上の課題解決を裏付ける根拠として、本件明細書には、以下の開示があることが認められる。 ア本件明細書の実施例において取得された抗体は、いずれも甲3に記載のように作成されたものであるところ(【0153】)、甲3は、公知の方法により取得した抗IL-4R抗体を、結合親和性及びhIL-4のhI L-4Rへの結合を遮断する効力についてスクリーニングすることにより、hIL-4の活性及びhIL-13の活性をブロックする抗体、すなわち、抗IL-4Rアンタゴニスト抗体を得ることが開示されていることが認められる。 そうすると、本件訂正発明における抗体は、いずれも抗IL-4Rアン タゴニスト抗体であり、IL-4Rに結合し、IL-4のシグナルを遮断する作用を有 とが開示されていることが認められる。 そうすると、本件訂正発明における抗体は、いずれも抗IL-4Rアン タゴニスト抗体であり、IL-4Rに結合し、IL-4のシグナルを遮断する作用を有するものであることが認められる。 そして、本件明細書の実施例1には、「mAb1」を含む33種の抗IL-4Rアンタゴニスト抗体が、甲3に記載のように作成されることが開示されている。 イまた、実施例8及び実施例10には、本件患者に対し、mAb1を投与 した試験において、アトピー性皮膚炎の病変の割合や重症度、掻痒感を評価する指標であるIGA、EASI、BSA、SCORAD、NRS掻痒感の有意な改善をもたらしたことが確認されている(【0324】、【0325】、【0389】)。 ウさらに、実施例12の「B.アトピー性皮膚炎を有する対象へのmAb 1の投与」(【0420】)では、2つの別々の臨床試験に由来する試料(注:「本明細書の実施例7を参照されたい。」とあるが、試験内容から実施例8の誤記と解される。)について、mAb1処置によるTARC及び総IgEの低下が確認されたこと、掻痒感(5Dスコア)とCCL17(TARC)レベルに相関が認められたことが確認されている。同様 に、実施例12の「C.中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する対象へのmAB1の反復投与」(【0440】)では、実施例10の試験に参加した対象患者(本件患者)から取得した試料について、アトピー性皮膚炎のバイオマーカーであり、重症度と相関し、疾患の発症に関与し得ることがわかっているTARC及び総IgEの低下を確認し、臨床症状 の改善と矛盾のない結果を得ている。 (4) 次に、サポート要件の適合性の判断において参酌すべき本件特許の出願時における技 ることがわかっているTARC及び総IgEの低下を確認し、臨床症状 の改善と矛盾のない結果を得ている。 (4) 次に、サポート要件の適合性の判断において参酌すべき本件特許の出願時における技術常識をみるに、甲3(カラム1、16~25行)及び甲22(【0001】)には、「IL-4は、休止B細胞におけるクラスII主要組織適合複合体分子の発現を誘導し、そして刺激されたB細胞によるIgE及 びIgG1アイソタイプの分泌を増強する。」との記載があり、このことから、IL-4が休止B細胞を刺激し、IgEの分泌を増強することを読み取ることができる。また、甲8(S105右欄下から2行目~S106左欄7行目)及び甲32には、「IL-4とIL-13は、IgEアイソタイプスイッチの誘導、・・・など、アレルギー性疾患において重複する役割を果た す。」との記載があり、このことから、IgEアイソタイプスイッチが誘導 されると、IgEの分泌が促進されるので、IL-4がIgEの分泌を促進することを読み取ることができる。以上から、IgEは、IL-4により産生・分泌が促進されるものであるといえる。 さらに、甲8(S106左欄24~25行)及び本件明細書の段落【0436】、【0441】には、TARCがアトピー性皮膚炎の疾患重症度と強 く関係し、IL-4とIL-13により誘導されるケモカインであることが本件特許の出願時における技術常識であると認められる。 (5) 以上の本件明細書の記載及び技術常識を総合すると、本件明細書には、①mAb1は、抗IL-4Rアンタゴニスト抗体であって、IL-4Rに結合し、IL-4のシグナルを遮断する作用を有するものであること、②mA b1が投与された本件患者では、アトピー性皮膚炎における臨床症状が改善したこ Rアンタゴニスト抗体であって、IL-4Rに結合し、IL-4のシグナルを遮断する作用を有するものであること、②mA b1が投与された本件患者では、アトピー性皮膚炎における臨床症状が改善したこと、③mAb1が投与された本件患者では、アトピー性皮膚炎のバイオマーカーであり、IL-4によって産生・分泌が誘導されることが知られているTARC及びIgEのレベルが低下したことが開示されていることから、これに接した当業者は、本件患者にmAb1を投与した際のアトピー性 皮膚炎の治療効果は、mAb1のIL-4Rに結合しIL-4を遮断する作用、すなわち、アンタゴニストとしての作用により発揮されるものと理解するものといえる。 そうすると、IL-4Rに結合しIL-4を遮断する作用を有する抗IL-4Rアンタゴニスト抗体(本件抗体等)であれば、mAb1に限らず、本 件患者に対して治療効果を有するであろうことを合理的に認識でき、前記(2)に記載した本件訂正発明の課題を解決できるとの認識が得られるものと認められる。 (6) ところで、本件明細書に開示された薬理試験結果はmAb1に関するもののみであることは、原告の指摘するとおりである。しかし、サポート要件 の適合性につき、「特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明 に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か」等を判断するに当たって、どの範囲の実施例等の裏付けをもって十分とするかについては、当該課題解決の認識がいかなるロジックによって導かれるかという点を踏まえて検討されるべきであり、特許の権利範囲に比して実施例が少なすぎると いった単純な議論が妥当するものではない。 これを本件についてみる の認識がいかなるロジックによって導かれるかという点を踏まえて検討されるべきであり、特許の権利範囲に比して実施例が少なすぎると いった単純な議論が妥当するものではない。 これを本件についてみるに、本件においては、①mAb1は、抗IL-4Rアンタゴニスト抗体であって、IL-4Rに結合し、IL-4のシグナルを遮断する作用を有するものであること、②mAb1が投与された本件患者では、アトピー性皮膚炎における臨床症状が改善したこと、③mAb1が 投与された本件患者では、アトピー性皮膚炎のバイオマーカーであり、IL-4によって産生・分泌が誘導されることが知られているTARC及びIgEのレベルが低下したことが開示されていることから演繹的に導かれる推論として、本件患者にmAb1を投与した際のアトピー性皮膚炎の治療効果は、mAb1のIL-4Rに結合しIL-4を遮断する作用、すなわち、アンタ ゴニストとしての作用により発揮されるものと理解されるものであって、課題を解決できると認識できる範囲が幅広い実施例から帰納的に導かれる場合とは異なる。上記作用機序は、本件抗体の一つであるmAb1がIL-4Rに結合し、IL-4のシグナルを遮断する作用を有するものであり、mAb1が投与された本件患者では、アトピー性皮膚炎における臨床症状が改善し、 アトピー性皮膚炎のバイオマーカーも低下したのであるから、mAb1以外の抗IL-4Rアンタゴニスト抗体である本件抗体等(mAb1以外の32種)も同様の作用効果を有すると当業者が理解できることは明らかである。 本件明細書に開示された薬理試験結果はmAb1に関するもののみであるとの原告の指摘は、上記認定判断を左右するものではない。 (7) また、原告は、サポート要件違反の根拠として、本件抗体等には、結合 細書に開示された薬理試験結果はmAb1に関するもののみであるとの原告の指摘は、上記認定判断を左右するものではない。 (7) また、原告は、サポート要件違反の根拠として、本件抗体等には、結合 親和性、血中半減期、保存安定性等が全く異なるものが含まれている点を挙げる。しかし、アトピー性皮膚炎に対する治療に必要な効果が得られる本件抗体等のスクリーニングが必要となることはあっても(この点は実施可能要件の問題として後述する。)、結合親和性、血中半減期、保存安定性等の違いが、上記作用機序を否定するようなものであると認めるに足りる証拠はない。 したがって、本件抗体等の中には結合親和性等の点で違いが存在するとしても、上記(6)で説示したところに照らして、サポート要件違反を導くものとはいえない。 (8) 小括以上によれば、取消事由2に関する原告の主張は採用することができず、 原告主張のサポート要件違反は認められない。 3 取消事由3(実施可能要件違反)について(1) 原告は、①本件特許の特許請求の範囲に記載されている抗体等には、結合親和性が弱いため治療に使用できないものがあり、臨床で治療に使用可能なものを選別しなければならず、また、②治療上の有効量についても、都度 臨床試験で確認する必要があり、いずれについても過度の試行錯誤を要するから、本件訂正発明1~7、10~16について実施可能要件違反であると主張する。 この点、特許法36条4項1号に規定する実施可能要件については、明細書の発明の詳細な説明が、当業者において、その記載及び出願時の技術常 識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、特許請求の範囲に記載された発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているかを検討すべきである。 (2) 以上 その記載及び出願時の技術常 識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、特許請求の範囲に記載された発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているかを検討すべきである。 (2) 以上の枠組みに基づき、まず原告の主張①についてみると、本件抗体等は、前記のとおり抗IL-4Rアンタゴニスト抗体及びその抗原結合断片を 意味し、本件明細書の実施例1においては、甲3に記載のように、「mAb 1」を含む33種の抗IL-4Rアンタゴニスト抗体が取得されたことが記載されている。そして、甲3は、本件特許の出願時において公知の方法により取得した抗IL-4R抗体を、結合親和性及びhIL-4のhIL-4Rへの結合を遮断する効力についてスクリーニングすることにより、hIL-4の活性及びhIL-13の活性をブロックする抗体、すなわち抗IL-4 Rアンタゴニスト抗体を得ることを開示したものである。また、実施例の記載によれば、本件患者にmAb1を投与すると、mAb1のIL-4Rに結合しIL-4を遮断する作用、すなわちアンタゴニストとしての作用によりアトピー性皮膚炎治療効果を発揮することを理解することができる。 そうすると、当業者であれば、本件明細書の発明の詳細な説明の記載及 び出願時の技術常識に基づいて、IL-4Rに結合しIL-4を遮断する作用を有する抗IL-4Rアンタゴニスト抗体、すなわち本件訂正発明1における抗体を、公知の方法及びスクリーニングすることにより、過度の試行錯誤を要することなく製造することができ、それを、本件患者に対して投与した場合に治療効果を有することを合理的に理解できるものと認められる。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者において、その記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯 投与した場合に治療効果を有することを合理的に理解できるものと認められる。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者において、その記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、本件訂正発明1を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。 (3) 次に、原告の主張②(治療上の有効量を都度確認する必要があるとの点)を検討するに、本件明細書には、mAb1の具体的用量300mg(実施例 10)が開示されており(【0353】)、段落【0019】等にも用量の目安の記載があるから、mAb1以外の抗体についても、アンタゴニスト活性の程度に応じて治療上有効量を設定することが当業者にとって過度の試行錯誤を要するとまで認めることはできない。 (4) そして、本件訂正発明2~7、10~16は、本件訂正発明1を直接又 は間接的に引用するものであるから、本件訂正発明1について上記(2)で検 討したのと同様、当業者において、本件明細書の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、特許請求の範囲に記載された発明を実施できるといえる。 (5) 以上により、本件訂正発明1~7、10~16について実施可能要件違反をいう原告の主張は、採用することができない。 4 結論以上のとおり、原告主張の取消事由に関する主張はいずれも理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。よって、原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官宮坂昌利 裁判官 裁判長裁判官宮坂昌利 裁判官 本吉弘行 裁判官岩井直幸 別紙本件特許の特許請求の範囲の記載【請求項1】患者において中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を処置する方法に使用するための治療上有効量の抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体またはその抗原結合断 片を含む医薬組成物であって、ここで前記患者が局所コルチコステロイドまたは局所カルシニューリン阻害剤による処置に対して十分に応答しないかまたは前記局所処置が勧められない患者である前記医薬組成物。 【請求項2】患者が、局所コルチコステロイドまたは局所カルシニューリン阻害剤での外来処置に対して 十分でない応答の病歴を有し、(ⅰ) 少なくとも28日間毎日中度から重度の強度の局所コルチコステロイドを適用する処置にもかかわらず0(消失)~2(軽度)の試験責任医師包括評価(IGA)スコアを達成すのに失敗する;(ⅱ) 少なくとも14日間毎日超高度の強度の局所コルチコステロイドを適用する処置にもか かわらず0~2のIGAスコアを達成すのに失敗する、のいずれかまたは両方を含む、請求項1に記載の医薬組成物。 【請求項3】前記方法で投与される医薬組成物の各用量が、75mg~600mgの抗ヒトIL-4R抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。 【請求項4】前記方法で投与される医薬組成物の各用 る医薬組成物の各用量が、75mg~600mgの抗ヒトIL-4R抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。 【請求項4】前記方法で投与される医薬組成物の各用量が、300mgの抗ヒトIL-4R抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。 【請求項5】前記方法が、医薬組成物の初期用量を患者に投与し、続いて該医薬組成物の1つまたはそれ 以上の用量を患者に投与することを含み、ここで続く各用量が、直前の用量の投与の1週間ま たは2週間後に患者に投与される、請求項1または2に記載の医薬組成物。 【請求項6】初期用量が、600mgの抗ヒトIL-4R抗体またはその抗原結合断片を含み、そして続く用量が、75~300mgの抗ヒトIL-4R抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項5に記載の医薬組成物。 【請求項7】初期用量が、その後に続く用量の2倍である、請求項5に記載の医薬組成物。 【請求項8】抗体またはその抗原結合断片が、配列番号162/164からなるアミノ酸対である重鎖可変領域/軽鎖可変領域(HCVR/LCVR)内の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR) を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。 【請求項9】抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項8に記載の医薬組成物。 【請求項10】医薬組成物の投与後に患者が、下記の1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの改善を示し、ここで、前記1 つまたはそれ以上のAD関連パラメ む、請求項8に記載の医薬組成物。 【請求項10】医薬組成物の投与後に患者が、下記の1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの改善を示し、ここで、前記1 つまたはそれ以上のAD関連パラメータの改善が、(Ⅰ) 試験責任医師包括評価(IGA)スコアのベースラインからの少なくとも25%の低下; (Ⅱ) 掻痒感数値評価スケール(NRS)スコアのベースラインからの少なくとも25%の低下;(Ⅲ) 湿疹面積および重症度指数(EASI)スコアのベースラインからの少なくとも45%の低下;(Ⅳ) SCORADスコアのベースラインからの少なくとも30%の低下; (Ⅴ) 5-D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも15%の低下; または (Ⅵ) アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)スコアのベースラインからの少なくとも35%の低下、である、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。 【請求項11】1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの改善が、 (a) 抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物の第1の用量の投与後、22日目までにIGAスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下;(b) 抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物の第1の用量の投与後、2週間の終わりまでにNRSスコアのベースラインから の少なくとも25%の低下;(c) 抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物の第1の用量の投与後、29日目までにEASIスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下;(d) 抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体また たはその抗原結合断片を含む医薬組成物の第1の用量の投与後、29日目までにEASIスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下;(d) 抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体またはその抗原結合断片を含む 医薬組成物の第1の用量の投与後、29日目までにSCORADスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下;または(e) 抗ヒトインターロイキン-4受容体(IL-4R)抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物の第1の用量の投与後、85日目までに5-D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも25%または少なくとも30%の低下、である、請求項10に記載の医薬組 成物。 【請求項12】1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの改善が、医薬組成物の第1の用量の投与後、29日目までにBSAスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下である、請求項10に記載の医薬組成物。 【請求項13】 請求項1に規定する方法が、さらに局所コルチコステロイドを同時に投与することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。 【請求項14】前記方法が、抗ヒトIL-4R抗体またはその抗原結合断片並びに局所コルチコステロイドを投与する初期処置期間と、その後に続く抗ヒトIL-4R抗体またはその抗原結合断片の投 与を継続しながら局所コルチコステロイドの用量を徐々に減少する期間を含む、請求項13に記載の医薬組成物。 【請求項15】局所コルチコステロイドの量を初期処置期間の間の用量に対して、10%、20%、30%、40%、または50%以上減少させる、請求項14に記載の医薬組成物。 【請求項16】医薬組成物が皮下注射により投与される、請求項1~15のいずれか1項に記載の 、10%、20%、30%、40%、または50%以上減少させる、請求項14に記載の医薬組成物。 【請求項16】医薬組成物が皮下注射により投与される、請求項1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。 以上 別紙本件明細書の記載等(抜粋) 【技術分野】【0001】 本発明は、アトピー性皮膚炎および関連する状態の処置および/または防止に関する。より特には、本発明は、それを必要とする患者におけるアトピー性皮膚炎を処置または防止するためのインターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストの投与に関する。 【背景技術】【0002】 アトピー性皮膚炎(AD)は、強い掻痒感(例えば、激しい痒み)ならびに鱗状および乾燥した湿疹病変を特徴とする慢性/再発性炎症性皮膚疾患である。ADは、アレルギー性鼻炎および喘息のような他のアトピー性障害と関連することが多い。重症の疾患は、高い社会経済的費用をもたらす、主な精神的問題、著しい睡眠不足、および生活の質の低下のため極端に日常生活に支障を来し得る。 【0003】ADの病態生理は、免疫グロブリンE(IgE)による感作、免疫系、および環境因子の間の複雑な相互作用により影響される。主な皮膚の欠陥は、遺伝子突然変異と局部炎症との両方の結果である上皮バリアの機能障害を伴う、IgEによる感作を引き起こす免疫障害であってもよい。ADは5歳より前の子供において始まることが多く、成人期まで続くこともある。 【発明が解決しようとする課題】【0004】ADのための典型的な処置は、局所ローションおよび保湿剤、局所コルチコステロイド軟膏、クリームまたは注射を含む。しかしながら、多くの処置選択肢は、一時的な、不完全な、症状 課題】【0004】ADのための典型的な処置は、局所ローションおよび保湿剤、局所コルチコステロイド軟膏、クリームまたは注射を含む。しかしながら、多くの処置選択肢は、一時的な、不完全な、症状の緩和を提供するに過ぎない。さらに、中等度から重度のADを有する多くの患者は、局所コ ルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性になる。かくして、 ADの処置および/または防止のための新規標的療法が当業界で必要である。 【課題を解決するための手段】【0005】本発明のある特定の態様によれば、中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を含む、ADの症状を処置する、防止する、および/またはその重症度を軽減するための方法が提供され る。本発明のある特定の実施形態は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性である患者における中等度から重度のADを処置する、改善する、または防止するための方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤を用いる処置にも拘らず制御されていない中等度から重度のADを有する患者を処置する方法を開示する。本発明の方法は、治療上有効量のイン ターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を、それを必要とする対象または患者に投与することを含む。本発明のある特定の実施形態によれば、IL-4Rアンタゴニストは、IL-4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。本発明の方法の文脈において用いることができる例示的な抗IL-4R抗体は、実施例1などの本明細書の他の場所に記載される。ある特定の実施形態において、IL-4Rアンタゴニストは、 「mAb1」(mAb1の相補 文脈において用いることができる例示的な抗IL-4R抗体は、実施例1などの本明細書の他の場所に記載される。ある特定の実施形態において、IL-4Rアンタゴニストは、 「mAb1」(mAb1の相補性決定領域を含む、抗体またはその抗原結合断片)と本明細書で呼ばれる参照抗体の結合特性を有する抗IL-4R抗体である。一実施形態においては、IL-4Rに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号162/164の重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対中に相補性決定領域(CDR)を含む。 【0006】 本発明のいくつかの実施形態は、治療上有効量のIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与を含む、患者における掻痒感を処置する、軽減する、改善する、または防止するための方法を対象とする。一実施形態においては、患者は、中等度から重度のADに罹患している。 いくつかの実施形態においては、ADに罹患している患者は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤のいずれかによる処置に対して耐性である。 【0007】 ある特定の実施形態において、本発明は、患者における中等度から重度のADを処置する方法であって、治療上有効量の、IL-4Rに結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を投与すること、およびAD関連パラメータの改善を決定することを含む前記方法を含む。改善は、当業界で周知の方法によって決定またはアッセイまたは定量することができる。 AD関連パラメータおよびその改善は、例えば、実施例7などの本明細書の他の場所で考察さ れる。 【0018】ある特定の実施形態においては、本発明の方法のIL-4Rアンタゴニストは、IL-4Rに特異的に結合し、配列番号2/10、18/20、22/24、 の他の場所で考察さ れる。 【0018】ある特定の実施形態においては、本発明の方法のIL-4Rアンタゴニストは、IL-4Rに特異的に結合し、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、 98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含 む、抗体または抗原結合断片である。一実施形態においては、IL-4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片は、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む。一実施形態においては、IL-4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つ の軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む。 【0019】いくつかの実施形態においては、医薬組成物は、患者に皮下的または静脈内的に投与される。 いくつかの実施形態においては、医薬組成物は、IL-4Rに結合する約50mg~約600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。さらなる実施形態においては、医薬組成物は、I L-4Rに結合する、約75mg、約100mg、約150mg、約200m 4Rに結合する約50mg~約600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。さらなる実施形態においては、医薬組成物は、I L-4Rに結合する、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250m gまたは約300mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。 【0027】本発明は、ADおよび関連する状態の処置および/または防止における使用のための、抗IL4R抗体アンタゴニストまたはその抗原結合断片を含む医薬組成物を含む。 【0034】 いくつかの実施形態においては、医薬組成物は、75mg~600mgの抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片を含む。一実施形態においては、医薬組成物は、300mgの抗IL-4R抗体またはその断片を含む。 【0043】一実施形態においては、安全な治療用量は、500mg以下である。一実施形態においては、 安全な治療用量は、75mg、150mg、および300mgからなる群から選択される。 【0048】別途定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業界の通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で用いられる用語「約」は、特定の記載される数値を参照して用いられる場合、その値 が記載された値から1%以下で変化してもよいことを意味する。例えば、本明細書で用いられる場合、「約100」という表現は、99および101ならびにその間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。本明細書で用いられる用語「処置する」、「処置すること」などは、症状を軽減する、一時的もしくは永続的な基準で症状の原因を除去する、または名称のある障害もしくは状態の症状の出現を防止する、もしくは む。本明細書で用いられる用語「処置する」、「処置すること」などは、症状を軽減する、一時的もしくは永続的な基準で症状の原因を除去する、または名称のある障害もしくは状態の症状の出現を防止する、もしくは遅延させる ことを意味する。 【0049】本発明は、IL-4Rアンタゴニストを含む治療組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を含む。本明細書で用いられる表現「それを必要とする対象」は、アトピー性皮膚炎の1つもしくはそれ以上の症状もしくは徴候を示す、および/またはアトピー性皮膚 炎と診断されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。ある特定の実施形態においては、本発明の 方法を用いて、1つまたはそれ以上のAD関連バイオマーカー(本明細書の他の場所に記載される)のレベルの上昇を示す患者を処置することができる。例えば、本発明の方法は、IgEまたはTARCまたはペリオスチンのレベルが上昇した患者にIL-4Rアンタゴニストを投与することを含む。いくつかの実施形態においては、本明細書の方法を用いて、1歳以下の子供におけるADを処置することができる。例えば、本発明の方法を用いて、1カ月未満、1カ 月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月または12カ月未満の月齢である幼児を処置することができる。他の実施形態においては、本発明の方法を用いて、18歳以下である子供および/または青年を処置することができる。 例えば、本発明の方法を用いて、17歳未満、16歳、15歳、14歳、13歳、12歳、11歳、10歳、9歳、8歳、7歳、6歳、5歳、4歳、3歳、または2歳未満の年齢の子供ま たは青年を処置することができる。 【0050】本発明の文脈において、「それを必要とする対象」は 1歳、10歳、9歳、8歳、7歳、6歳、5歳、4歳、3歳、または2歳未満の年齢の子供ま たは青年を処置することができる。 【0050】本発明の文脈において、「それを必要とする対象」は、処置の前に、例えば、上昇したIGA、BSA、EASI、SCORAD、5D-掻痒感、および/もしくはNRSスコアなどの1つもしくはそれ以上のAD関連パラメータ、ならびに/または例えば、IgEおよび/もし くはTARC(本明細書の他の場所に記載される)などの1つもしくはそれ以上のAD関連バイオマーカーの上昇したレベルを示す(または示した)対象を含んでもよい。ある特定の実施形態においては、「それを必要とする対象」は、ADにより罹りやすい集団のサブセットを含んでもよく、またはAD関連バイオマーカーのレベルの上昇を示してもよい。例えば、「それを必要とする対象」は、集団中に存在する人種または民族により定義される集団のサブセット を含んでもよい。 【0051】本明細書で用いられる「アトピー性皮膚炎」(AD)は、強い掻痒感(例えば、激しい痒み)ならびに鱗状および乾燥した湿疹病変を特徴とする炎症性皮膚疾患を意味する。用語「アトピー性皮膚炎」としては、限定されるものではないが、上皮バリアの機能障害、アレルギー (例えば、ある特定の食品、花粉、カビ、イエダニ、動物などに対するアレルギー)、放射線 曝露、および/または喘息により引き起こされるか、またはそれと関連するADが挙げられる。 本発明は、軽度、中等度から重度のADを有する患者を処置する方法を包含する。本明細書で用いられる場合、「中等度から重度のAD」は、持続的な細菌、ウイルスまたは真菌感染によって悪化することが多い、強い掻痒感を伴う広く拡散した皮膚病変を特徴とする。中等度から 方法を包含する。本明細書で用いられる場合、「中等度から重度のAD」は、持続的な細菌、ウイルスまたは真菌感染によって悪化することが多い、強い掻痒感を伴う広く拡散した皮膚病変を特徴とする。中等度から重度のADはまた、患者における慢性ADも含む。多くの場合、慢性病変は、肥厚した皮膚 斑、苔蘚化および線維性丘疹を含む。中等度から重度のADに罹患した患者はまた、一般に、20%を超える身体の皮膚が罹患しているか、または眼、手および身体のシワの病変に加えて、皮膚面積の10%が罹患している。中等度から重度のADはまた、局所コルチコステロイドを用いる頻繁な処置を必要とする患者において存在すると考えられる。患者はまた、その患者が局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤または当業界で公知の任意の他の一般 的に用いられる治療剤のいずれかによる処置に対して耐性であるか、または難治性である場合、中等度から重度のADを有すると言うことができる。 【0053】本発明は、局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤を用いる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない患者におけるADを処置する 方法を含む。本明細書で用いられる用語「TCSまたはカルシニューリン阻害剤を用いる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない」とは、TCSまたはカルシニューリン阻害剤で処置され、TCS/カルシニューリン阻害剤が治療効果を有さないADを有する対象または患者を指す。いくつかの実施形態においては、この用語は、ADの症状を軽減する、改善する、または減少させるために投与されたTCS/カルシニューリン阻害剤の患 者のコンプライアンスならびに/または毒性および副作用ならびに/または無効性の低下を指す。いく の症状を軽減する、改善する、または減少させるために投与されたTCS/カルシニューリン阻害剤の患 者のコンプライアンスならびに/または毒性および副作用ならびに/または無効性の低下を指す。いくつかの実施形態においては、この用語は、TCS/カルシニューリン阻害剤による処置に対して難治性である中等度から重度のADに罹患している患者を指す。いくつかの実施形態においては、この用語は、TCSおよび/またはカルシニューリン阻害剤を用いる処置にも拘らず制御されないADを有する患者を指す。いくつかの実施形態においては、「TCSまた はカルシニューリン阻害剤を用いる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に 応答しない」患者は、1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの改善を示さなくてもよい。 AD関連パラメータの例は、本明細書の他の場所に記載されている。例えば、TCS/カルシニューリン阻害剤を用いる処置は、掻痒感またはEASIスコアまたはBSAスコアの低下をもたらさなくてもよい。いくつかの実施形態においては、本発明は、TCS/カルシニューリン阻害剤で1カ月以上前に処置されたが、1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの低下を 示さない患者における中等度から重度のADを処置する方法を含む。例えば、本発明の方法を用いて、TCS/カルシニューリン阻害剤の安定なレジメン上にあったが、10%以上のBSAスコアおよび3以上のIGAスコアを有する、慢性ADを有する患者を処置することができる。 【0055】 本明細書で用いられる用語「TCS」は、I群、II群、III群およびIV群局所コルチコステロイドを含む。世界保健機関の解剖治療分類法によれば、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾンと比較したその活性に基づいて、弱い(I群)、中 CS」は、I群、II群、III群およびIV群局所コルチコステロイドを含む。世界保健機関の解剖治療分類法によれば、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾンと比較したその活性に基づいて、弱い(I群)、中等度に強力(II群)および強力(III群)および非常に強力(IV群)と分類される。IV群TCS(非常に強力)は、ヒドロコルチゾンより最大600倍強力であり、プロピオン酸クロベタゾールおよびハルシノ ニドが挙げられる。III群TCS(強力)は、ヒドロコルチゾンより50~100倍強力であり、限定されるものではないが、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ジフルコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、フロ酸モメタゾン、およびアセポン酸メチルプレドニゾロンが挙げられる。II群TCS(中等度に強力)は、ヒドロコルチゾンより2~25倍強力であり、限定されるものではないが、酪酸クロベタゾン、およびトリ アムシノロンアセトニドが挙げられる。I群TCS(軽い)としては、ヒドロコルチゾンが挙げられる。 【0057】アトピー性皮膚炎(AD)関連パラメータを改善するための方法本発明は、それを必要とする対象における1つまたはそれ以上のアトピー性皮膚炎(AD) 関連パラメータを改善するための方法であって、インターロイキン-4受容体(IL-4R) アンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与することを含む、前記方法を含む。 【0058】「AD関連パラメータ」の例としては、(a)試験責任医師包括評価(IGA);(b)アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA);(c)湿疹面積および重症度指数(EASI);(d)SCORAD;(e)5-D掻痒感スケール;ならびに(f)掻痒感数値評価スケール(NR S)が挙げられ トピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA);(c)湿疹面積および重症度指数(EASI);(d)SCORAD;(e)5-D掻痒感スケール;ならびに(f)掻痒感数値評価スケール(NR S)が挙げられる。「AD関連パラメータの改善」とは、IGA、BSA、EASI、SCORAD、5-D掻痒感スケール、またはNRSの1つまたはそれ以上のベースラインからの低下を意味する。AD関連パラメータに関して本明細書で用いられる用語「ベースライン」は、本発明の医薬組成物の投与の前の、または投与の時点での対象に関するAD関連パラメータの数値を意味する。 【0059】AD関連パラメータが「改善」されたかどうかを決定するために、そのパラメータを、ベースライン時に、および本発明の医薬組成物の投与後の1つまたはそれ以上の時点で定量する。 例えば、AD関連パラメータを、本発明の医薬組成物を用いる初回の処置後、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、 14日目、15日目、22日目、25日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目、71日目、85日目に;または1週目、2週目、3週目、4週目、5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目、13週目、14週目、15週目、16週目、17週目、18週目、19週目、20週目、21週目、22週目、23週目、24週目もしくはそれより長い期間の終わりに測定することができる。処置の開始後の特 定の時点でのパラメータの値と、ベースライン時のパラメータの値との差異は、AD関連パラメータの「改善」(例えば、低下)があったかどうかを確立するために用いられる。 【0060】試験責任医師包括評価(IGA)。IGAは、0 ベースライン時のパラメータの値との差異は、AD関連パラメータの「改善」(例えば、低下)があったかどうかを確立するために用いられる。 【0060】試験責任医師包括評価(IGA)。IGAは、0(消失)から5(非常に重篤)までの6点のスケール範囲に基づいてADの重症度および処置に対する臨床応答を決定するための臨床設 定において用いられる評価スケールである。本発明のある特定の実施形態によれば、患者への IL-4Rアンタゴニストの投与は、IGAスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL-4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、IGAスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、 45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、IGAのベースラインからの少なくとも25%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後15日目までにIGAのベースラインからの少なくとも25%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、 対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後22日目までにIGAのベースラインからの少なくとも35%の低下をもたらす。他の実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにIGAのベースラインからの少なくとも40%または少なくとも45%の低下をも なくとも35%の低下をもたらす。他の実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにIGAのベースラインからの少なくとも40%または少なくとも45%の低下をもたらす。 【0061】 アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)。BSAは、身体のそれぞれの主要な部分(頭部、胴体、腕および脚)について評価され、組み合わせた全ての主要な身体部分のパーセンテージとして報告される。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、BSAスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL-4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL-4R抗体ま たはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、BSAスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、BSA スコアのベースラインからの少なくとも35%の低下をもたらす。本発明の一実施形態におい ては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにBSAスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにBSAスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日 ンタゴニストの投与は、投与後29日目までにBSAスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにBSAスコアのベースラインから の少なくとも40%または少なくとも50%の低下をもたらす。 【0062】湿疹面積および重症度指数(EASI)。EASIは、ADの重症度および程度を評価するための臨床設定において用いられる検証された尺度である(Hanifinら、2001、Exp.Dermatol.10:11~18頁)。4つのAD疾患特性が、0(なし)から3 (重篤)までのスケールで医師または他の適格な医療専門家によって重症度について評価される。さらに、AD病変の面積は、頭部、胴体、腕および脚の体面積によりパーセンテージとして評価され、0~6のスコアに変換される。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、EASIスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL-4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの 抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、EASIスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴ ニストの投与は、EASIスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下をもたらす。 本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4 定の例示的な実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴ ニストの投与は、EASIスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下をもたらす。 本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後15日目までにEASIスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにEASIスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下をもたらす。いくつかの実施形 態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにEA SIスコアのベースラインからの少なくとも55%または少なくとも60%の低下をもたらす。 【0063】SCORAD。アトピー性皮膚炎スコアリング(SCORAD)は、European Task Force on Atopic Dermatitis(Consensus Report of the European Task Force on Atopic Dermatitis、1993、Dermatology(Basel)186(1):23~31頁)により開発されたアトピー性皮膚炎の重症度(例えば、程度または強度)の臨床評価である。ADの程度は、それぞれ定義される体面積のパーセンテージとして評価され、全面積の合計として報告され、その最大スコアは100%である(全体SCORAD計算において「A」と割当てられる)。ADの6つの特異的症状の重症度を、以下のスケール:なし(0)、 軽度(1)、中等度(2)、または重度(3)を用いて評価する(最大18の合計点について、全体SCORAD計算において「B」と割当てられる)。痒みおよび不 重症度を、以下のスケール:なし(0)、 軽度(1)、中等度(2)、または重度(3)を用いて評価する(最大18の合計点について、全体SCORAD計算において「B」と割当てられる)。痒みおよび不眠の主観的評価を、患者によってそれぞれの症状について記録するか、または視覚的アナログスケール(VAS)(0は痒み(もしくは不眠)なしであり、10は想像できる最悪の痒み(もしくは不眠)であり、最大可能スコアは20である)で相対的に記録する。このパラメータは、全体SCORA D計算において「C」と割当てられる。SCORADは、A/5+7B/2+Cとして計算される。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、SCORADスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL-4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、 71、85日目またはそれより後の時点で、SCORADのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、SCORADスコアのベースラインからの少なくとも30%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、 対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにSCORADスコアの ベースラインからの少なくとも30%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目 与は、投与後29日目までにSCORADスコアの ベースラインからの少なくとも30%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにSCORADスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにSCORADスコアのベースラインからの少なくとも40%または少なくとも45%の低下をもたらす。 【0064】5-D掻痒感スケール。5-D掻痒感スケールは、5次元のバックグラウンドの痒み:程度、持続期間、方向、身体障害、および分布を評価するための臨床設定において用いられる1ページの5個の質問のツールである(ElmanおよびHynan、2010、Brit.J.Dermatol.162:587~593頁)。それぞれの質問は、5次元の痒みの1つに対 応する;患者はその症状を、「存在する」または1~5のスケールで評価し、この場合、5が最も影響されている。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、5-D掻痒感スケールの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL-4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、 50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、5-D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては とも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、5-D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも15%の低下をもたらす。本 発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後15日目までに5-D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも15%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後15日目までに5-D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも20%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目 までに5-D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも25%または少なくとも30% の低下をもたらす。 【0065】掻痒感数値評価スケール(NRS)。掻痒感NRSは、前の12時間におけるADの結果として、1~10のスケールで対象の最悪の痒みを評価するために用いられる単独質問の評価ツールである。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL-4Rアンタゴニストの 投与は、NRSスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL-4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL-4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、1週目、2週目、3週目、4週目、5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目もしくはそれより後の終わりに、NRSスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、4 5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目もしくはそれより後の終わりに、NRSスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、4 0%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、NRSスコアのベースラインからの少なくとも25%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後2週目の終わりまでにNRSスコアのベースラインからの少なくとも25%の低下をもたらす。本発明 の一実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、投与後2週目の終わりまでにNRSスコアのベースラインからの少なくとも30%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL-4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにNRSスコアのベースラインからの少なくとも45%または少なくとも50%の低下をもたらす。 【0084】アトピー性皮膚炎関連バイオマーカー本発明はまた、AD関連バイオマーカーの使用、定量、および分析を含む方法を含む。本明細書で用いられる用語「AD関連バイオマーカー」は、非AD患者において存在するか、または検出可能であるマーカーのレベルまたは量とは異なる(例えば、それより高いか、または低 い)レベルまたは量でAD患者において存在するか、または検出可能である任意の生物学的応 答、細胞型、パラメータ、タンパク質、ポリペプチド、酵素、酵素活性、代謝物、核酸、炭水化物、または他の生体分子を意味する。いくつかの実施形態においては、用語「AD関連バイオ の生物学的応 答、細胞型、パラメータ、タンパク質、ポリペプチド、酵素、酵素活性、代謝物、核酸、炭水化物、または他の生体分子を意味する。いくつかの実施形態においては、用語「AD関連バイオマーカー」は、2型ヘルパーT細胞(Th2)誘導性炎症と関連するバイオマーカーを含む。 例示的なAD関連バイオマーカーとしては、限定されるものではないが、例えば、胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC;CCL17としても知られる)、免疫グロブリンE(Ig E)、エオタキシン-3(CCL26としても知られる)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、好酸球、抗原特異的IgE(例えば、Phadiatop(商標)試験)、およびペリオスチンが挙げられる。用語「AD関連バイオマーカー」はまた、ADを有さない対象と比較してADを有する対象において示差的に発現される当業界で公知の遺伝子または遺伝子プローブも含む。例えば、ADを有する対象において有意に上方調節される遺伝子としては、限定されるも のではないが、2型ヘルパーT細胞(Th2)関連ケモカイン、例えば、CCL13、CCL17、CCL18およびCCL26、表皮増殖のマーカー、例えば、K16、Ki67、ならびにT細胞および樹状細胞抗原CD2、CD1b、およびCD1cが挙げられる(Tintleら、2011;J.Allergy Clin.Immunol.128:583~593頁)。あるいは、「AD関連バイオマーカー」はまた、最終分化タンパク質(例えば、ロリクリ ン、フィラグリンおよびインボルクリン)のようなADに起因して下方調節される遺伝子も含む(Tintleら、2011;J.Allergy Clin.Immunol.128:583~593頁)。本発明のある特定の実施形態は、IL-4Rアンタゴニストの投与 因して下方調節される遺伝子も含む(Tintleら、2011;J.Allergy Clin.Immunol.128:583~593頁)。本発明のある特定の実施形態は、IL-4Rアンタゴニストの投与を用いる疾患の好転をモニタリングするためのこれらのバイオマーカーの使用に関する。そのようなAD関連バイオマーカーを検出および/または定量するための方法は、当業界で公知であ る;そのようなAD関連バイオマーカーを測定するためのキットは様々な商業的供給源から入手可能である;ならびに様々な臨床検査会社も同様にそのようなバイオマーカーの測定を提供するサービスを提供している。 【0085】本発明のある特定の態様によれば、(a)疾患状態を示す処置の前に、または処置の時点で 少なくとも1つのAD関連バイオマーカーのレベルを示す対象を選択すること;および(b) 該対象に、治療上有効量のIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む、ADを処置するための方法が提供される。ある特定の実施形態においては、AD関連バイオマーカーのレベルが上昇するかどうかを決定することにより、患者を選択する。当業界で公知のバイオマーカーアッセイのために患者から試料を獲得することによって、AD関連バイオマーカーのレベルを決定または定量する。ある特定の実施形態においては、患者からAD関連 バイオマーカーの上昇したレベルに関する情報を獲得することによって、患者を選択する。本発明のこの態様のある特定の実施形態においては、対象を、IgEまたはTARCまたはペリオスチンの上昇したレベルに基づいて選択する。 【0086】本発明の目的のために、健康な対象における正常なIgEレベルは、約114kU/L未満 である(例えば、ImmunoCAP( リオスチンの上昇したレベルに基づいて選択する。 【0086】本発明の目的のために、健康な対象における正常なIgEレベルは、約114kU/L未満 である(例えば、ImmunoCAP(登録商標)アッセイ[Phadia,Inc.Portage、MI]を用いて測定される)。かくして、本発明は、約114kU/Lより高い、約150kU/Lより高い、約500kU/Lより高い、約1000kU/Lより高い、約1500kU/Lより高い、約2000kU/Lより高い、約2500kU/Lより高い、約3000kU/Lより高い、約3500kU/Lより高い、約4000kU/Lより高い、約4 500kU/Lより高い、または約5000kU/Lより高い血清IgEレベルを示す対象を選択すること、および該対象に、治療上有効量のIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む方法を含む。 【0087】健康な対象中のTRACレベルは、106ng/L~431ng/Lの範囲にあり、平均は 約239ng/Lである(TARCレベルを測定するための例示的なアッセイ系は、R&DSystems、Minneapolis、MN.によりカタログ番号DDN00として提供されるTARC定量ELISAキットである)。かくして、本発明は、約431ng/Lより高い、約500ng/Lより高い、約1000ng/Lより高い、約1500ng/Lより高い、約2000ng/Lより高い、約2500ng/Lより高い、約3000ng/Lより高 い、約3500ng/Lより高い、約4000ng/Lより高い、約4500ng/Lより高 い、または約5000ng/Lより高い血清TARCレベルを示す対象を選択すること、および該対象に、治療上有効量のIL-4Rアンタゴニストを含 00ng/Lより高い、約4500ng/Lより高 い、または約5000ng/Lより高い血清TARCレベルを示す対象を選択すること、および該対象に、治療上有効量のIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む方法を含む。 【0088】別のAD関連バイオマーカーは、抗原特異的IgEである。Phadiatop(商標)は、 アレルギー感作のスクリーニングのために導入された血清特異的または抗原特異的IgEアッセイ試験の商業的に入手可能な変異型である(Merrettら、1987、Allergy17:409~416頁)。この試験は、一般的な吸入アレルギーを引き起こす関連アレルギーの混合物に対する血清特異的IgEに関する同時試験を提供する。この試験は、得られる蛍光応答に応じて陽性または陰性のいずれかである定性的結果を与える。患者試料が参照より も高いか、またはそれと同等である蛍光応答を与える場合、陽性の試験結果が示される。より低い蛍光応答を有する患者試料は、陰性の試験結果を示す。本発明は、陽性の試験結果を示す対象を選択すること、および該対象に、治療上有効量のIL-4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。 【0089】 ペリオスチンは、Th2媒介性炎症プロセスに関与する細胞外マトリックスタンパク質である。ペリオスチンレベルは、ADを有する患者において上方調節されることがわかっている(Masuokaら、2012 J Clin Invest.122(7):2590~2600頁、doi:10.1172/JCI58978)。本発明は、ペリオスチンのレベルが上昇した患者を処置するためにIL-4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。 【0090】乳酸デヒドロゲナーゼ( 172/JCI58978)。本発明は、ペリオスチンのレベルが上昇した患者を処置するためにIL-4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。 【0090】乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、組織損傷のマーカーとして用いられ、ADを有する患者において上昇することがわかっている(Kouら、2012;Arch.Dermatol. Res.304:305~312頁)。本発明は、LDHのレベルが上昇した患者を処置するためにIL-4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。 【0091】 本発明の他の態様によれば、対象に、治療上有効量のIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含み、該対象への医薬組成物への投与が、医薬組成物の投与前の対象におけるバイオマーカーのレベルと比較して、投与後のある時点で少なくとも1つのAD関連バイオマーカー(例えば、IgE、TARC、好酸球、エオタキシン-3、抗原特異的IgE、LDHなど)の低下をもたらす、ADを処置するための方法が提供される。 【0092】当業者によって理解されるように、AD関連バイオマーカーの増加または低下を、(i)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後の規定の時点での対象において測定されたバイオマーカーのレベルを、(ii)IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与前の患者において測定されたバイオマーカーのレベル(すなわち、「ベースライン測定値」)と比較 することにより決定することができる。バイオマーカーが測定される規定の時点は、例えば、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後約4時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、35日、40日、 定の時点は、例えば、IL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後約4時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、またはそれ以上の時点であってもよい。 【0096】インターロイキン-4受容体アンタゴニスト上記に詳細に開示されたように、本発明は、インターロイキン-4受容体(IL-4R)アンタゴニストを含む治療組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を含む。 本明細書で用いられる場合、「IL-4Rアンタゴニスト」は、IL-4Rに結合するか、ま たはそれと相互作用し、IL-4Rがin vitroまたはin vivoで細胞上で発現される場合にIL-4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害する任意の薬剤である。IL-4Rアンタゴニストのカテゴリーの非限定例としては、低分子IL-4Rアンタゴニスト、抗IL-4Rアプタマー、ペプチドに基づくIL-4Rアンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ」分子)、およびヒトIL-4Rに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙 げられる。 【0097】本明細書で用いられる用語「IL-4R」、「hIL-4R」などは、インターロイキン-4(IL-4)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体のアルファ鎖、IL-4Rα(配列番号274)を指すことが意図される。非ヒト種に由来すると特に指定されない限り、本明細書で用いられる用語「IL-4R」は、ヒトインターロイキン-4受容体アルファ鎖を意味す ることが理解されるべきである。 【0098】本明細書で用いられる用語「抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された4つ L-4R」は、ヒトインターロイキン-4受容体アルファ鎖を意味す ることが理解されるべきである。 【0098】本明細書で用いられる用語「抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重鎖(H)および2つの軽鎖(L)を含む免疫グロブリン分子、ならびにその多量体(例えば、IgM)を指すことが意図される。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域 (HCVRまたはVHと省略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたはVLと省略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができ る。それぞれのVHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された、3つのCDRおよび4つのFRを含む。本発明の異なる実施形態においては、抗IL-4R抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であってもよく、または天然であるか、もしくは人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列を、2つ以上のCDRの 比較分析に基づいて定義することができる。 【0099】本明細書で用いられる用語「抗体」はまた、完全な抗体分子の抗原結合断片も含む。本明細書で用いられる、抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、抗原と特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然の、酵素的に取得可能な、合成の、または遺伝 子工学 含む。本明細書で用いられる、抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、抗原と特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然の、酵素的に取得可能な、合成の、または遺伝 子工学的に操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片を、例え ば、タンパク質分解的消化または抗体可変ドメインおよび場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子工学技術のような任意の好適な標準的技術を用いて、完全な抗体分子から誘導することができる。そのようなDNAは公知であり、および/または例えば、商業的供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーなど)から容易に入手可能であるか、または合成することができる。DNAを配列決定し、化学 的に、または分子生物学技術を用いることにより操作して、例えば、1つもしくはそれ以上の可変および/もしくは定常ドメインを好適な構成に配置するか、またはコドンを導入する、システイン残基を作出する、改変する、アミノ酸を付加するか、もしくは欠失させることなどができる。 【0100】 抗原結合断片の非限定例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体(例えば、CDR3ペプチドのような単離された相補性決定領域(CDR))、または拘束されたFR3-CDR3-FR4ペプチドの超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位が挙げられる。他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、単一 ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ 挙げられる。他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、単一 ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインも、本明細書で用いられる表現「抗原結合断片」に包含される。 【0105】 本明細書で用いられる用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列から誘導される可変および定常領域を有する抗体を含むことが意図される。それにも拘らず、本発明のヒト抗体は、例えば、CDRおよび特定のCDR3中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroで無作為もしくは部位特異的突然変異誘発によって、またはin vivoで体細胞突然変異によって導入された突然変異)を 含んでもよい。しかしながら、本明細書で用いられる用語「ヒト抗体」は、マウスのような別 の哺乳動物種の生殖系列から誘導されるCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むことは意図されない。 【0106】本明細書で用いられる用語「組換えヒト抗体」は、宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現される抗体(以下でさらに説明される)、組換えコンビナトリ アルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体(以下でさらに説明される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離される抗体(例えば、Taylorら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287~6295頁)、または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを 、マウス)から単離される抗体(例えば、Taylorら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287~6295頁)、または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む任意の他の手段によって製造、発現、作出もしくは単離される抗体のような、組換え手段に よって製造、発現、作出または単離される全てのヒト抗体を含むことが意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列から誘導される可変および定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態においては、そのような組換えヒト抗体はinvitro突然変異誘発(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックである動物を用いる場合、in vivo体細胞突然変異)にかけられ、かくして、組換え抗体のVHおよび VL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列から誘導され、それと関連するが、in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然には存在しなくてもよい配列である。 【0110】用語「特異的に結合する」などは、抗体またはその抗原結合断片が、生理的条件下で比較的安定である抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するかどうか を決定するための方法は、当業界で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。例えば、本発明の文脈において用いられる場合、IL-4Rに「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて測定された場合、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、 約30nM未満、約20nM未満、約10nM 00nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、 約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM 未満、約2nM未満、約1nM未満または約0.5nM未満のKDでIL-4Rまたはその部分に結合する抗体を含む。しかしながら、ヒトIL-4Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種に由来するIL-4R分子のような、他の抗原に対する交叉反応性を有してもよい。 【0111】 本発明の方法にとって有用な抗IL-4R抗体は、抗体が誘導される対応する生殖系列配列と比較した場合、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域中に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含んでもよい。本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば、公共の抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することにより、そのような突然変異を容易に確認することができる。本発明は、本 明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかから誘導される抗体、およびその抗原結合断片の使用を含む方法であって、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が、抗体が誘導された生殖系列配列の対応する残基に、または別のヒト生殖系列配列の対応する残基に、または対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に突然変異された、前記方法を含む(そのような配列の変化を、本明細書では集合的に「生 殖系列突然変異」と呼ぶ)。当業者であれば、本明細書に開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から出発して、1つまたは複数の個体の生殖系列突然変異またはその組合せを含むいくつ 細書では集合的に「生 殖系列突然変異」と呼ぶ)。当業者であれば、本明細書に開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から出発して、1つまたは複数の個体の生殖系列突然変異またはその組合せを含むいくつかの抗体および抗原結合断片を容易に生産することができる。ある特定の実施形態においては、VHおよび/またはVLドメイン内の全てのフレームワークおよび/またはCDR残基を、抗体が誘導された元の生殖系列配列中に見出される残基に復帰変異させる。他の実施形態におい ては、ある特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8個のアミノ酸内もしくはFR4の最後の8個のアミノ酸内に見出される突然変異した残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内に見出される突然変異した残基のみを元の生殖系列配列に復帰変異させる。他の実施形態においては、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR残基を、異なる生殖系列配列(すなわち、抗体が元々誘導された生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の 対応する残基に突然変異させる。さらに、本発明の抗体は、フレームワークおよび/またはC DR領域内の2つ以上の生殖系列突然変異の任意の組合せを含有してもよく、例えば、ある特定の個々の残基を特定の生殖系列配列の対応する残基に突然変異させるが、元の生殖系列配列とは異なるある特定の他の残基を維持するか、または異なる生殖系列配列の対応する残基に突然変異させる。一度得られたら、1つまたはそれ以上の生殖系列突然変異を含有する抗体および抗原結合断片を、改善された結合特異性、増大した結合親和性、改善または増強された拮抗 または作動生物特性(場合によっては)、低下した免疫原性などの1つまたはそれ以上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的様式で得られた抗体お 合親和性、改善または増強された拮抗 または作動生物特性(場合によっては)、低下した免疫原性などの1つまたはそれ以上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的様式で得られた抗体および抗原結合断片の使用は、本発明に包含される。 【0112】本発明はまた、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する本明細書に開示されるHCVR、 LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかの変異体を含む抗IL-4R抗体の使用を含む方法も含む。例えば、本発明は、本明細書に開示されるHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば、10個以下、8個以下、6個以下、4個以下などの保存的アミノ酸置換を含むHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列を有する抗IL-4R抗体の使用を含む。 【0114】本明細書で用いられる用語「KD」は、特定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すと意図される。 【0115】用語「エピトープ」とは、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域中の特定の抗原結 合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が、1つより多いエピトープを有してもよい。かくして、異なる抗体は抗原上の異なる領域に結合し、異なる生物学的効果を有し得る。 エピトープは立体構造または直線状であってもよい。立体構造エピトープは、直線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントに由来する空間的に並置されたアミノ酸により生産される。直線状エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基により生産されるものである。ある 特定の環境においては、エピトープは、抗原上にサッカリドの部分、ホスホリル基、またはス ルホニル基を含んでもよい。 【0116】ヒト抗体の製造 生産されるものである。ある 特定の環境においては、エピトープは、抗原上にサッカリドの部分、ホスホリル基、またはス ルホニル基を含んでもよい。 【0116】ヒト抗体の製造トランスジェニックマウス中でヒト抗体を生成させる方法は当業界で公知である。任意のそのような公知の方法を本発明の文脈において用いて、ヒトIL-4Rに特異的に結合するヒト 抗体を作製することができる。 【0117】VELOCIMMUNE(商標)技術(例えば、米国特許第6,596,541号、Regeneron Pharmaceuticals)またはモノクローナル抗体を作成するための任意の他の公知の方法を用いて、ヒト可変領域とマウス定常領域とを有するIL-4Rに対 する高親和性キメラ抗体を最初に単離する。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、マウスが抗原刺激に応答してヒト可変領域とマウス定常領域とを含む抗体を生産するように、内因性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結されたヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの作成を含む。抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結す る。次いで、そのDNAを、完全ヒト抗体を発現することができる細胞中で発現させる。 【0118】一般に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスに、対象となる抗原をチャレンジし、リンパ系細胞(B細胞など)を、抗体を発現するマウスから回収する。リンパ系細胞を、ミエローマ細胞系と融合して、不死化ハイブリドーマ細胞系を製造することができ、そのようなハ イブリドーマ細胞系をスクリーニングおよび選択して、対象となる抗原に特異的な抗体を生産するハイブリ 、ミエローマ細胞系と融合して、不死化ハイブリドーマ細胞系を製造することができ、そのようなハ イブリドーマ細胞系をスクリーニングおよび選択して、対象となる抗原に特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞系を同定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結することができる。そのような抗体タンパク質を、CHO細胞のような細胞中で生産させることができる。あるいは、抗原特異的キメラ抗体または軽鎖および重鎖の可変ドメインをコードするDNAを、抗原特異的リンパ 球から直接単離することができる。 【0119】最初に、ヒト可変領域とマウス定常領域とを有する高親和性キメラ抗体を単離する。当業者には公知の標準的な手順を用いて、親和性、選択性、エピトープなどの望ましい特徴について抗体を特性評価し、選択する。マウス定常領域を、所望のヒト定常領域と置き換えて、本発明の完全ヒト抗体、例えば、野生型または改変型IgGまたはIgG4を作成する。選択される 定常領域は特定の使用に従って変化してもよいが、高親和性抗原結合および標的特異性特性は可変領域中に存在する。 【0120】一般に、本発明の方法において用いることができる抗体は、固相上または液相中に固定された抗原への結合によって測定された場合、上記のように高親和性を有する。マウス定常領域を、 所望のヒト定常領域と置き換えて、本発明の完全ヒト抗体を作成する。選択される定常領域は特定の使用に応じて変化してもよいが、高親和性抗原結合および標的特異性特性は可変領域中に存在する。 【0121】本発明の方法の文脈において用いることができるIL-4Rに特異的に結合するヒト抗体ま たは抗体の抗原結合断片の特定例と 原結合および標的特異性特性は可変領域中に存在する。 【0121】本発明の方法の文脈において用いることができるIL-4Rに特異的に結合するヒト抗体ま たは抗体の抗原結合断片の特定例としては、配列番号2、18、22、26、42、46、50、66、70、74、90、94、98、114、118、122、138、142、146、162、166、170、186、190、194、210、214、218、234、238、242、258および262からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR 3)を含む任意の抗体または抗原結合断片が挙げられる。この抗体または抗原結合断片は、配列番号10、20、24、34、44、48、58、68、72、82、92、96、106、116、120、130、140、144、154、164、168、178、188、192、202、212、216、226、236、240、250、260および264からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖 CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含んでもよい。HCVRおよびLCVRア ミノ酸配列内のCDRを同定するための方法および技術は当業界で周知であり、これを用いて、本明細書に開示される特定のHCVRおよび/またはLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定することができる。CDRの境界を同定するために用いることができる例示的な慣例としては、例えば、Kabatの定義、Chothiaの定義、およびAbMの定義が挙げられる。一般的な用語において、Kabatの定義は配列可変性に基づくものであり、Chothiaの定 義は構造ループ領 は、例えば、Kabatの定義、Chothiaの定義、およびAbMの定義が挙げられる。一般的な用語において、Kabatの定義は配列可変性に基づくものであり、Chothiaの定 義は構造ループ領域の位置に基づくものであり、AbMの定義はKabatとChothiaのアプローチの折衷である。例えば、Kabat、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991);Al-Lazikaniら、J.Mol.Biol.273:927~948頁(1997);およびM artinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9268~9272頁(1989)を参照されたい。抗体内のCDR配列を同定するために公共のデータベースも利用可能である。 【0122】本発明のある特定の実施形態においては、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2/1 0、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、 242/250、258/260および262/264からなる群から選択される重鎖と軽鎖の可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR)に由来する6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR 、258/260および262/264からなる群から選択される重鎖と軽鎖の可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR)に由来する6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。 【0123】本発明のある特定の実施形態においては、抗体またはその抗原結合断片は、4/6/8/1 2/14/16;28/30/32/36/38/40;52/54/56/60/62/6 4;76/78/80/84/86/88;100/102/104/108/110/112;124/126/128/132/134/136;148/150/152/156/158/160;172/174/176/180/182/184;196/198/200/204/206/208;220/222/224/228/230/232;および244/246/248/252/254/256からなる群から選択されるアミノ酸配列を有 する6つのCDR(HCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3)を含む。 【0124】本発明のある特定の実施形態においては、抗体またはその抗原結合断片は、2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70 /72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR 、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR アミノ酸配列対を含む。 【0125】医薬組成物本発明は、IL-4Rアンタゴニストが医薬組成物内に含まれる、IL-4Rアンタゴニストを患者に投与することを含む方法を含む。本発明の医薬組成物は、好適な担体、賦形剤、お よび好適な移動、送達、忍容性などを提供する他の薬剤と共に製剤化される。複数の適切な製剤を、あらゆる薬剤師に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAに見出すことができる。これらの製剤としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有小胞(LIPOFEC TIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油および油中水乳濁 液、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカルボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」、PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238~311頁も参照されたい。 【0126】本発明の方法による患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢およびサイズ、症状、状態、投与経路などに応じて変化してもよい。用量は、典型的には、体重または体表面積に従って算出される。 0126】本発明の方法による患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢およびサイズ、症状、状態、投与経路などに応じて変化してもよい。用量は、典型的には、体重または体表面積に従って算出される。状態の重症度に応じて、処置の頻度および持続期間を調整することができる。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物を投与するための有効な用量およびスケジュールを、経験的に 決定することができる;例えば、定期的評価によって患者の進行をモニタリングし、それに応じて用量を調整することができる。さらに、用量の種間スケーリングを、当業界で周知の方法を用いて実施することができる(例えば、Mordentiら、1991、Pharmaceut.Res.8:1351頁)。本発明の文脈において用いることができる抗IL4R抗体の特定の例示的用量、およびそれを含む投与レジメンは、本明細書の他の場所に開示される。 【0127】様々な送達系が公知であり、本発明の医薬組成物を投与するために用いることができ、例えば、リポソーム中への封入、マイクロ粒子、マイクロカプセル、変異ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシスが挙げられる(例えば、Wuら、1987、J.Biol.Chem.262:4429~4432頁を参照されたい)。投与方法 としては、限定されるものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、および経口経路が挙げられる。前記組成物を、任意の都合の良い経路により、例えば、輸注またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚系列(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介する吸収により投与してもよく、他の生物活性剤と一緒に投与してもよい。 【0128】 本発明の医薬組成物を、標準的な注射針および注射筒を用 (例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介する吸収により投与してもよく、他の生物活性剤と一緒に投与してもよい。 【0128】 本発明の医薬組成物を、標準的な注射針および注射筒を用いて皮下的または静脈内的に送達 することができる。さらに、皮下送達に関して、ペン型送達デバイスが、本発明の医薬組成物を送達するのに容易に適用可能である。そのようなペン型送達デバイスは、再使用可能であるか、または使い捨てであってもよい。再使用可能なペン型送達デバイスは一般に、医薬組成物を含有する交換式カートリッジを用いる。一度、カートリッジ内の全ての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になったら、空のカートリッジを容易に廃棄し、医薬組成物を含有する 新しいカートリッジと交換することができる。次いで、ペン型送達デバイスを再使用することができる。使い捨てのペン型送達デバイスにおいては、交換式カートリッジはない。むしろ、使い捨てのペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバ中に保持された医薬組成物を予め充填されるようになる。一度、リザーバの医薬組成物が空になったら、デバイス全体が廃棄される。 【0131】注射用調製物は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴などのための剤形を含んでもよい。これらの注射用調製物を、公知の方法により製造することができる。例えば、注射用調製物を、例えば、注射のために従来用いられる滅菌水性媒体または油性媒体中に、上記の抗体またはその塩を溶解、懸濁または乳化することにより製造することができる。注射のための水 性媒体としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO 性媒体としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などの適切な可溶化剤と共に用いることができる、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤などを含有する等張溶液が存在する。油性媒体としては、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジ ルアルコールなどの可溶化剤と共に用いることができる、ゴマ油、大豆油などが用いられる。 かくして製造された注射液を、適切なアンプル中に充填することができる。 【0132】有利には、上記の経口または非経口使用のための医薬組成物を、活性成分の用量に適合するように合わせた単位用量中の剤形に製造する。単位用量中のそのような剤形としては、例えば、 錠剤、丸剤、カプセル剤、注射液剤(アンプル剤)、坐剤などが挙げられる。 【0133】本発明の文脈において用いることができる抗IL-4R抗体を含む例示的医薬組成物は、例えば、米国特許出願公開第2012/0097565号に開示されている。 【0134】用量 本発明の方法に従って対象に投与されるIL-4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL-4R抗体)の量は、一般には、治療上有効量である。本明細書で用いられる語句「治療上有効量」とは、(a)1つもしくはそれ以上のAD関連パラメータ(本明細書の他の場所で定義される)の改善;および/または(b)アトピー性皮膚炎の1つもしくはそれ以上の症状もしくは徴候の検出可能な改善の1つまたはそれ以上をもたらすIL-4Rアンタゴニストの量を意味する。 「治療上有効量」はまた、対象におけるADの進行を阻害する、 膚炎の1つもしくはそれ以上の症状もしくは徴候の検出可能な改善の1つまたはそれ以上をもたらすIL-4Rアンタゴニストの量を意味する。 「治療上有効量」はまた、対象におけるADの進行を阻害する、防止する、低下させる、または遅延させるIL-4Rアンタゴニストの量も含む。 【0135】抗IL-4R抗体の場合、治療上有効量は、約0.05mg~約600mg、例えば、約0. 05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20 mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330 mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、または約600mgの抗IL-4R抗体であってもよい。 ある特定の実施形態においては、75mg、150mg、または300mgの抗IL-4R抗 体を、対象に投与する。 【0136】個々の用量中に含まれるIL-4Rアンタゴニストの量を、患者の体重1キログラムあたりの抗体のミリグ 50mg、または300mgの抗IL-4R抗 体を、対象に投与する。 【0136】個々の用量中に含まれるIL-4Rアンタゴニストの量を、患者の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラム数(すなわち、mg/kg)を単位として表すことができる。例えば、IL-4Rアンタゴニストを、患者の体重1kgあたり約0.0001~約10mgの用量で患 者に投与することができる。 【0141】投与レジメン本発明は、治療応答が達成される限り、週に約4回、週に2回、週に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、8週間毎に1回、12 週間毎に1回の投与頻度で、またはそれより低い頻度でIL-4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法を含む。抗IL-4R抗体を含む医薬組成物の投与を含むある特定の実施形態においては、約75mg、150mg、または300mgの量での週に1回の投与を用いることができる。 【0142】 本発明のある特定の実施形態によれば、複数の用量のIL-4Rアンタゴニストを、規定の時間経過にわたって対象に投与することができる。本発明のこの態様による方法は、複数用量のIL-4Rアンタゴニストを対象に逐次的に投与することを含む。本明細書で用いられる場合、「逐次的に投与すること」とは、それぞれの用量のIL-4Rアンタゴニストを、異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、時間、日、週または月)により隔てられた異なる日に 対象に投与することを意味する。本発明は、単回初回用量のIL-4Rアンタゴニスト、次いで、1つまたはそれ以上の第2の用量のIL-4Rアンタゴニスト、場合により次いで、1つまたはそれ以上の第3の用量のIL-4Rアンタゴニストを患者 本発明は、単回初回用量のIL-4Rアンタゴニスト、次いで、1つまたはそれ以上の第2の用量のIL-4Rアンタゴニスト、場合により次いで、1つまたはそれ以上の第3の用量のIL-4Rアンタゴニストを患者に逐次的に投与することを含む方法を含む。 【0143】 用語「初回用量」、「第2の用量」および「第3の用量」とは、IL-4Rアンタゴニストの 投与の時間的順序を指す。かくして、「初回用量」は、処置レジメンの開始時に投与される用量である(「ベースライン用量」とも呼ばれる);「第2の用量」は初回用量の後に投与される用量である;「第3の用量」は第2の用量の後に投与される用量である。初回、第2の、および第3の用量は全て、同じ量のIL-4Rアンタゴニストを含有してもよいが、一般には、投与頻度に関して互いに異なっていてもよい。しかしながら、ある特定の実施形態においては、 初回、第2の、および/または第3の用量に含有されるIL-4Rアンタゴニストの量は、処置の経過中に互いに異なる(例えば、必要に応じて上方または下方に調整される)。ある特定の実施形態においては、1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、または5)の用量を、「負荷用量」として処置レジメンの開始時に投与した後、その後の用量をより低い頻度ベースで投与する(例えば、「維持用量」)。例えば、IL-4Rアンタゴニストを、約300mgま たは約600mgの負荷用量でADを有する患者に投与した後、約75mg~約300mgの1つまたはそれ以上の維持用量で投与することができる。一実施形態においては、初回用量および1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ、50mg~600mgのIL-4Rアンタゴニスト、例えば、100mg~400mgのIL-4Rアンタゴニスト、例えば、100mg、 においては、初回用量および1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ、50mg~600mgのIL-4Rアンタゴニスト、例えば、100mg~400mgのIL-4Rアンタゴニスト、例えば、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mgまたは500mgのIL -4Rアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態においては、初回用量および1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ、同じ量のIL-4Rアンタゴニストを含有する。他の実施形態においては、初回用量は、第1の量のIL-4Rアンタゴニストを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ第2の量のIL-4Rアンタゴニストを含む。例えば、IL-4Rアンタゴニストの第1の量は、IL-4Rアンタゴニストの第2の量の1.5倍、2倍、2. 5倍、3倍、3.5倍、4倍もしくは5倍またはそれより多いものであってもよい。 【実施例】【0153】〔実施例1〕ヒトIL-4Rに対するヒト抗体の作成 ヒト抗hIL-4R抗体を、米国特許第7,608,693号に記載のように作成した。表 1は、選択された抗IL-4R抗体およびその対応する抗体名の、重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列対、ならびにCDRアミノ酸配列に関する配列識別子を記載する。 【0154】【表1】 【0155】【表2】 【0156】以下の実施例で用いられる例示的IL-4Rアンタゴニストは、表1でH1H098-bと 表示されたヒト抗IL-4R抗体である(本明細書では「mAb1」とも呼ばれる)。 【0241】〔実施例6〕中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者における皮下投与された抗IL-4R抗体(mAb1)の連 IL-4R抗体である(本明細書では「mAb1」とも呼ばれる)。 【0241】〔実施例6〕中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者における皮下投与された抗IL-4R抗体(mAb1)の連続漸増反復用量臨床試験 A.試験設計この試験は、中等度から重度の外因性アトピー性皮膚炎(AD)を有する患者において皮下投与されたmAb1の第1b相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、連続漸増、反復用量試験であった。30人の患者を、試験において無作為化した(プラセボに6人、75mg、150mgおよび300mg群にそれぞれ8人)。28人の患者は全ての処置を受けた。処置期間 は、持続期間で4週間であった;患者を、処置期間が終わった後8週間にわたってフォローした。患者を4:1の比に無作為化して、それぞれの3つの漸増用量コホート(75、150または300mgのmAb1)においてmAb1またはプラセボを受けさせた。試験の第1の目的は、第2の目的としてのPKと共に、安全性および忍容性を評価することであった。探索目的は、効能およびバイオマーカー評価項目を含んでいた。探索的効能変数は、(i)4週目ま で、およびそれぞれの試験来院で0または1のIGAスコアを達成した患者の割合;(ii)ベースラインからそれぞれの来院までのBSA、EASIおよび5-D掻痒感スケールの変化および変化率;ならびに(iii)NRSスケールのベースラインからの週毎の変化を含んで いた。 【0253】E.結果中等度から重度のADを有する患者へのmAb1の皮下投与は、この試験において安全であり、良好に忍容された。単一の重篤な有害事象を、運動に関連するCPK増加と診断された1 50mg群の患者について記録した。死亡は報告されなかった。25人の処置 皮下投与は、この試験において安全であり、良好に忍容された。単一の重篤な有害事象を、運動に関連するCPK増加と診断された1 50mg群の患者について記録した。死亡は報告されなかった。25人の処置された患者または83%が、少なくとも1つの処置中に発生した有害事象(TEAE)を報告した。処置群に由来する最も頻繁なTEAEは、感染および侵入(n=7[29%]対プラセボの1[17%])であり、mAb1を投与した患者においては頭痛であった(n=3[13%]対プラセボの1[17%])。 【0254】試験から得られたベースラインおよび探索的効能の結果を、図3~14にまとめた。mAb1の投与は、いずれのADの探索的評価項目の統計的に有意な改善も誘導しなかった。これは、小さいサンプルサイズおよびプラセボ患者が活性処置群よりも重症度が低く、若かったという事実に起因する可能性がある。 【0255】〔実施例7〕中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者における皮下投与された抗IL-4R抗体(mAb1)の臨床試験A.試験設計 この試験は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者における、本明細書では「mAb1」と呼ばれる抗IL-4R mAbの皮下投与の安全性および薬物動態プロファイルを評価するための、12週間の、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、連続漸増、反復用量試験であった。中等度から重度のADを有する患者は、12以上の湿疹面積および重症度指数(EASI)ならびに最小10%の体表面積病変を有していた。処置期間は、持続期間で4週 間であり、患者は処置期間が終わった後8週間フォローされる。患者を、ベースライン前の少 なくとも1週間、局所薬剤(例えば、ピメクロリムス、タクロリムス、および 期間は、持続期間で4週 間であり、患者は処置期間が終わった後8週間フォローされる。患者を、ベースライン前の少 なくとも1週間、局所薬剤(例えば、ピメクロリムス、タクロリムス、および局所コルチコステロイド)から離脱させた。経口コルチコステロイドおよび免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、ミコフェノール酸-モフェチル、IFNγ)も、ベースラインの前の4週間以上禁止した。 【0297】 F.結論中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者への抗IL-4R抗体(mAb1)の皮下投与は、150または300mgの4週間用量後に一般に安全であり、良好に忍容され、有害事象(AE)率はプラセボと類似し、用量限定毒性または重篤なAEはなかった。mAb1に関する最も一般的なAEは、鼻咽頭炎および頭痛であった。mAb1は掻痒感を迅速に (8日目までに)減少させ、用量依存的様式で皮膚疾患を改善させた。150および300mgでのmAb1の投与は、ベースラインと比較して、平均ならびに絶対変化および変化率の両方において、早ければ8日目から85日目までにIGA、EASI、BSA、SCORADおよびNRS掻痒感の有意な改善をもたらした(表9~14を参照されたい)。29日目の300mg群において、EASI50応答を達成した患者の割合は、71.4%であったのに対し て、プラセボについては18.8%(p=0.0025)であり、NRS掻痒感スコアは45. 4%減少したのに対して、プラセボについては18.6%であった(p=0.0016)。その効果は、EASI50については85日目まで、NRS掻痒感については75日目まで持続した。300mg処置群については、プラセボからの差異は、処置期間の終了後、追加の6週間にわたって有意であった。mAbは は、EASI50については85日目まで、NRS掻痒感については75日目まで持続した。300mg処置群については、プラセボからの差異は、処置期間の終了後、追加の6週間にわたって有意であった。mAbは、29日目での他の臨床転帰、IGA(p=0.000 2)、EASI(p<0.0001)、BSA(p=0.0037)および5D掻痒感(p<0. 0001)の平均変化率を有意に改善させた。これらの改善は一般に、8日目までに観察され、処置の終了後も持続した。処置の終了後にリバウンド現象は観察されなかった。 【0298】従って、本実施例に示された結果は、mAb1がアトピー性皮膚炎の処置にとって安全であ り、有効であることを示している。 【0299】〔実施例8〕抗IL-4R抗体を用いる中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者の処置:プールされた第1b相試験の分析中等度から重度のADを有する患者においてAD効能パラメータを測定し、2つの別々の臨 床試験からの分析のためにプールした。「試験A」は、アトピー性皮膚炎を有する患者における投与された抗IL-4R抗体(mAb1)の安全性および忍容性を評価するための12週間の二重盲検、無作為化、プラセボ対照、連続漸増用量試験であった。処置期間は4週間であり、患者は処置期間の終了後に8週間フォローされた。患者を4:1の比で無作為化して、3つの漸増用量コホート(75mg、150mgまたは300mg)のそれぞれにおいてmAb1ま たはプラセボを受けさせた。この試験は、スクリーニング期間(-14日目~-3日目)、処置期間(1日目から29日目まで)、およびフォローアップ期間(29日目から85日目まで)からなっていた。処置期間の間に、患者を、1、4、8、15、22、25およ ニング期間(-14日目~-3日目)、処置期間(1日目から29日目まで)、およびフォローアップ期間(29日目から85日目まで)からなっていた。処置期間の間に、患者を、1、4、8、15、22、25および29日目(4週目)に安全性、検査値および臨床効果の評価のために週に1回、クリニックで診察した。 患者は、1、8、15および22日目にmAb1またはプラセボの用量を受けた。処置期間の 終了日は、29日目(4週目)であった。患者を、1日目の注射(mAb1またはプラセボ)後6時間、ならびに8、15および22日目の注射後3時間にわたって試験部位でモニタリングした。フォローアップ期間の間に、患者を、36、43、50、57、64、71および85日目(試験来院の終わり)でフォローアップ評価のためにクリニックで診察した。 【0300】 「試験B」は、中等度から重度のADを有する患者における、12週間の、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、連続漸増、反復用量試験であった。AD対象に、試験の1、8、15および22日目(4つの週用量)に、150mgもしくは300mgのmAb1、またはプラセボを投与した(本明細書の実施例3を参照されたい)。両試験の全ての投与は、皮下であった。 【0301】 組入れ基準は、(1)18歳以上の男性または女性であること;(2)3年にわたる慢性アト ピー性皮膚炎を有すること;(3)12以上のEASIを有すること;(4)3以上のIGA;(5)15%以上のAD病変のBSA(米国内)または10%以上のAD病変のBSA(米国外);(6)局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤の安定なレジメンに対する不十分な応答の病歴であった。 【0302】 除外基準は、(1)3.5x10³/μl 米国外);(6)局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤の安定なレジメンに対する不十分な応答の病歴であった。 【0302】 除外基準は、(1)3.5x10³/μl未満のWBC;(2)125x10³/μlの血小板;(3)1.75x10³/μl未満の好中球;(4)ULNの1.5倍を超えるAST/ALT;(5)B型肝炎またはC型肝炎陽性;および(6)ベースラインの1週間以内のTCSまたはカルシニューリン阻害剤を用いる処置。 【0303】 試験の主要評価項目は、ベースラインから12週目までの処置中に発生した有害事象(TEAE)の発生をモニタリングすることであった。効能変数のための探索的評価項目は、(i)4週目までの0または1のIGAの達成率(%);(ii)ベースラインからのBSAおよびEASIの改善率(%);ならびに(iii)NRSスケールのベースラインからの変化であった。 【0304】効能変数IGA、BSA、EASI、SCORAD、5-D掻痒感スケール、および掻痒感NRS評価は、本明細書の他の場所に記載されている(例えば、実施例4を参照されたい)。 【0305】IGA、BSA、EASIおよびSCORADスコアを、クリニック来院毎に評価した。患 者は、以下の来院時に5-D掻痒感評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、36、43、57、71および85日目(試験最終日)または早期終結。患者は、IVRSを用いて、その掻痒感NRSスコアを最後の試験来院まで1日2回記録した。 【0306】 効能変数に関するベースラインは、無作為化の日付での、またはそれより前の最後の非欠測 値と定義される。彼/彼女の無作為化の日付 試験来院まで1日2回記録した。 効能変数に関するベースラインは、無作為化の日付での、またはそれより前の最後の非欠測値と定義される。彼/彼女の無作為化の日付またはそれより前に値を有さない患者については、1回目の用量注射の日付またはそれより前の最後の非欠測値をベースラインとして用いる。患者集団のベースライン人口を、以下の表15に提供する。 平均ベースライン疾患特性を、表16に与える。 プールされた試験から得られた探索的効能結果を、表17および図15~22にまとめる。 mAb1は、中等度から重度のADを有する成人において良好に忍容され、有効であった。mAb1の投与によりAD疾患活動性および重症度を有意に改善した。4週間で、150 【0324】 mAb1は、中等度から重度のADを有する成人において良好に忍容され、有効であった。 mAb1の投与によりAD疾患活動性および重症度を有意に改善した。4週間で、150mg および300mgのmAb1は、BSA%(p<0.05)(図15)、IGA(p<0.001)(図16)、EASI(p<0.001)(図17)、および掻痒感NRS(p<0.01、300mg)(図18)のベースラインからの変化について、プラセボに対して有意な改善を達成した。多くの患者は、150mg(54.5%)および300mg(71.4%)のmAb1対プラセボ(18.8%;両方についてp<0.05)を用いた場合、EASIスコアが 50%以上低下した(図19および20)。多くの患者は、4週目で、プラセボと比較してmAb1を用いた場合にEASI-25、EASI-50およびEASI-75を達成した(図21)。 【0325】300mgのmAb1について、BSA%(p<0.02)、IGA(p<0.05)およ びEASI(p<0.0001)の有意な改善が2週間以内に認められた。BSA、IGAおよびEASIの改善(p<0.05対プラセボ)は、8週間維持された。4週目でIGA0または1を有する患者の割合は、プラセボより高かったが、統計的に有意ではなかった(図22)。 【0326】 mAb1投与に関する最も一般的な処置中に発生した有害事象(AE)は、鼻咽頭炎(19. 6%対プラセボの12.5%)および頭痛(11.8%対プラセボの6.3%)であった。 【0352】〔実施例10〕中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者における皮下投与された抗IL-4R抗 体(mAb1)の反復用量臨床試験A.試験設計 .3%)であった。 【0352】〔実施例10〕中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者における皮下投与された抗IL-4R抗 体(mAb1)の反復用量臨床試験A.試験設計この試験は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者において皮下投与された、本明細書では「mAb1」と呼ばれる、抗IL-4R mAbの28週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験であった。処置期間は、患者については12週間の期間、次いで、処置が終 わった後さらに16週間であった。 【0353】109人の患者が含まれ、試験のために1:1の比で無作為化した(プラセボの54人および300mgの抗体の55人)。43人の患者(プラセボの30人および300mg群の13人)が試験から離脱した。無作為化を、IgEレベルによって層別化して(スクリーニング来院時にIgE<150kU/L対≧150kU/L)、外因型または内因型のADを有する患 者においてmAb1の効能を試験した。適格性基準を満たした患者は、1日目/ベースライン評価、無作為化を受けた後、300mgのmAb1またはプラセボSCを受けた。それぞれの週用量の試験薬物を、1回の2mL注射として与えたか、または2回の1mL注射に分割した。 患者は毎週のクリニック来院に戻り、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目に試験薬物の注射を受けた。患者を、試験薬物の各用量後に最小で2時間 にわたって試験部位で密接にモニタリングした。処置期間の終わりは85日目であった。フォローアップ来院は92、99、106、113、120、127、134、141、148、155、162、169、176、183、190日目、ならびに197日目の試験来院の終わりに行 日目であった。フォローアップ来院は92、99、106、113、120、127、134、141、148、155、162、169、176、183、190日目、ならびに197日目の試験来院の終わりに行った。 【0354】 組入れ基準は以下の通りであった:(1)18歳以上の男性または女性;(2)スクリーニング来院前に少なくとも3年間存在していた、HannifinおよびRajkaのEichenfield改訂基準により診断された、慢性AD;(3)スクリーニングおよびベースライン来院時に16以上のEASIスコア;(4)スクリーニングおよびベースライン来院時に3以上のIGAスコア;(5)スクリーニングおよびベースライン来院時に10%以上のAD病 変のBSA;(6)スクリーニング来院より前の最後の3カ月以内のADのための処置としての局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤を用いる安定(1カ月以上)なレジメンに対する不十分な応答の履歴;(7)患者はベースライン来院前の少なくとも7日間にわたって1日2回、安定用量の添加剤を含まない基本的商標の皮膚軟化剤を適用していなければならない;(8)全てのクリニック来院に戻り、全ての試験関連手順を完了させる意思、約束、 および能力ならびにインフォームドコンセント(ICF)に署名する意思と能力。 【0355】除外基準は以下の通りであった:(1)mAb1を用いる以前の処置;(2)スクリーニング来院時の以下の検査値異常のいずれかの存在:3.5x10³/μL未満の白血球数;125x10³/μL未満の血小板数;1.75x10³/μL未満の好中球数;ULNの1.5倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)/アラニンアミノトランスフェ ラーゼ(ALT);およ x10³/μL未満の血小板数;1.75x10³/μL未満の好中球数;ULNの1.5倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)/アラニンアミノトランスフェ ラーゼ(ALT);およびULNの2倍を超えるCPK;(3)スクリーニング来院時のB型肝炎表面抗原、B型肝炎コア抗体、またはC型肝炎抗体陽性または不確定結果;(4)スクリーニング(来院1)前の4週間以内の新しい定期的運動の開始または以前の定期的運動に対する大きな変更。対象は、試験期間にわたって同様の運動レベルを維持し、試験期間にわたる通常ではない激しい運動を控える意思を有さなければならなかった;(5)ベースライン来院前の、 8週間以内または既知の場合、5半減期以内のいずれか長い方の被験薬物を用いる処置;(6)ベースライン来院より前の12週間以内の生(弱毒化)ワクチンを用いる処置;(7)ベースライン来院前の6カ月以内のアレルゲン免疫療法を用いる処置;(8)ベースライン来院前の4週間以内のロイコトリエン阻害剤を用いる処置;(9)ベースライン来院前の4週間以内の全身コルチコステロイドを用いる処置;(10)ベースライン来院前の1週間以内の局所コル チコステロイド、タクロリムス、および/またはピメクロリムスを用いる処置;(11)ベースライン来院前の4週間以内の、免疫抑制/免疫調節物質、例えば、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、IFN-γ、光線療法(狭帯域uvB、uvB、uvA1、プソラレン+uvA)、アザチオプリン、メトトレキサート、またはバイオ医薬品を用いるADのための全身処置;(12)ベースライン来院前の4週間以内の任意の週での3回以上の漂白浴; (13)ベースライン来院前の1週間以内の、医学的デバイス(例えば、Atopiclair(登録商標)、M めの全身処置;(12)ベースライン来院前の4週間以内の任意の週での3回以上の漂白浴; (13)ベースライン来院前の1週間以内の、医学的デバイス(例えば、Atopiclair(登録商標)、MimyX(登録商標)、Epicerum(登録商標)、Cerave(登録商標)など)を用いるADの処置;(14)スクリーニング来院前の4週間以内の経口もしくはIVの抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗原虫剤、もしくは抗真菌剤を用いる処置を要する慢性もしくは急性感染、またはスクリーニング来院前の1週間以内の表在性皮膚感 染;(15)HIV感染の既知の病歴;(16)ドキシサイクリンまたは関連化合物に対する過 敏性反応の病歴;(17)膣トリコモナス症以外の臨床寄生虫感染の病歴;(18)完全に処置された頸部のin situがん腫、および皮膚の非転移性扁󠄀平上皮がん腫または基底細胞がん腫の病歴を有する患者を除く、ベースライン来院前の5年以内の悪性腫瘍の病歴;(19)試験への患者の参加の長さの間の手術の計画;(20)スクリーニング来院前の4週間以内の日焼け室/日焼けサロンの使用;(21)精神、心臓、腎臓、神経、内分泌、代謝もしくはリ ンパ系疾患などの有意な併発疾患もしくは有意な疾患の病歴、またはこの試験への対象の参加に有害に影響した任意の他の疾患もしくは状態;(22)妊娠中または授乳中の女性;ならびに/または(23)十分な避妊を用いる意欲。十分な避妊は、試験期間を通して、および試験薬物の最後の投与後16週間にわたって、有効かつ許容される避妊方法を一貫して実施することに対する同意と定義される。女性については、十分な避妊方法は、ホルモン避妊薬、子宮内 デバイス(IUD)、または二重障壁避妊(すなわち、コンドーム+ペッサリー、コンドーム を一貫して実施することに対する同意と定義される。女性については、十分な避妊方法は、ホルモン避妊薬、子宮内 デバイス(IUD)、または二重障壁避妊(すなわち、コンドーム+ペッサリー、コンドームまたはペッサリー+殺精子剤ゲルまたは気泡)と定義される。男性については、十分な避妊方法は、二重障壁避妊(すなわち、コンドーム+ペッサリー、コンドームまたはペッサリー+殺精子剤ゲルまたは気泡)と定義される。女性については、更年期は生理がない24カ月と定義される;問題がある場合、25U/mL以上の卵胞刺激ホルモンを記録しなければならない。 子宮摘出術、両側卵巣摘出術、または両側卵管結紮術を、必要に応じて記録しなければならない。 【0356】B.効能変数主要評価項目は、ベースラインから12週目までのEASIスコアの変化率であった。この 試験で測定された副次的評価項目は、(1)12週目で0または1の試験責任医師包括評価(IGA)スコアを達成した患者の割合;(2)ベースラインから12週目までにEASIスコアの50%以上の全体的改善(EASI50とも呼ばれる)を達成した患者の割合;(3)ベースラインから12週目までのEASIスコアの変化;(4)IGAスコア、アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)、湿疹面積および重症度指数(EASI)、SCORAD、掻痒 感NRSおよび5-D掻痒感スケールの、ベースラインから12週目までの変化および変化 率;(5)ベースラインから28週目までのTEAEの発生;(6)応答と関連する好酸球、TARC、Phadiatop(商標)結果、および総IgEのベースラインからの変化;(7)ベースラインから12週目までのQoLIADの変化;(8)ベースラインから12週目までに2以上のIGAスコアの低 ARC、Phadiatop(商標)結果、および総IgEのベースラインからの変化;(7)ベースラインから12週目までのQoLIADの変化;(8)ベースラインから12週目までに2以上のIGAスコアの低下を達成する患者の割合;(9)ベースラインから12週目までに3以上のIGAスコアの低下を達成する患者の割合;ならびに(10)循環好酸球、TAR Cおよび総IgEのPD応答を含んでいた。 【0357】効能変数に関するベースラインは、無作為化の日付またはそれより前の最後の非欠測値と定義される。彼/彼女の無作為化の日付またはそれより前に値を有さない患者については、1回目の用量注射の日付またはそれより前の最後の非欠測値をベースラインとして用いる。 【0358】調査手順効能変数IGA、BSA、EASI、SCORAD、5-D掻痒感スケール、および掻痒感NRS評価は、本明細書の他の場所に記載されている(例えば、実施例7を参照されたい)。 【0359】 IGA、BSA、EASIおよびSCORADスコアを、クリニック来院毎に評価した。患者は、以下の来院時に5-D掻痒感評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、43、57、71、85、99、113、127、141、155、169、183および197日目(試験最終日)または早期終結。患者はIVRSを用いて、その掻痒感NRSスコアを最後の試験来院まで1日2回記録した。 【0360】アトピー性皮膚炎に関する生活の質指数(QoLIAD):QoLIADは、QoLに対するAD疾患症状および処置の影響を評価するための臨床実務および臨床試験において用いられる25項目の検証された質問票である。その形式は0~25のスコアリングシステムを用 ):QoLIADは、QoLに対するAD疾患症状および処置の影響を評価するための臨床実務および臨床試験において用いられる25項目の検証された質問票である。その形式は0~25のスコアリングシステムを用いる25項目の単純なyes/noの応答である;スコアが高いほど、QoLが良くないことを示 す。質問票を、スクリーニング時および1日目/ベースライン(投与前)、ならびに29、5 7、85、99、113、127、141、155、169、183および197日目(試験最終日)または早期終結時に施した。 【0361】C.被験処置mAb1医薬品は、SC投与のために5mlのガラスバイアル中で凍結乾燥粉末として供給 された。SC送達した場合、mAb1医薬品を2.5mlの注射用滅菌水で再構成させて、150mg/mLのmAb1を含有する溶液を得た。試験したmAb1の用量レベルは、SC投与について300mgであった。mAb1またはプラセボを、1日目/ベースラインならびに8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目にクリニックで1回(2mL)または2回(1mL)SC注射として投与した。各週用量の試験薬物を1回の 2mL注射として与えるのが好ましかったが、各週用量を2つの1mL注射に分割することができる。皮下注射部位を、以下の部位:腕の後ろ、腹部(臍または腰部を除く)、および大腿上方の間で交代させた。四肢への投与は、異なる吸収およびバイオアベイラビリティの可能性のため許容されなかった。同日に複数の注射の投与が必要であった場合、それぞれの注射を異なる注射部位で送達した(例えば、一方の注射は腹部の右下四半部に投与し、他方の注射は腹 部の左下四半部に投与する)。皮下注射部位を交代させて、同じ部位に2週連続で あった場合、それぞれの注射を異なる注射部位で送達した(例えば、一方の注射は腹部の右下四半部に投与し、他方の注射は腹 部の左下四半部に投与する)。皮下注射部位を交代させて、同じ部位に2週連続で注射しないようにした。 【0362】プラセボ一致mAb1を、mAb1と同じ製剤中で製造したが、抗体は添加しなかった。 【0363】 患者を、試験薬物の各用量後、最小で2時間、試験部位でモニタリングした。 【0364】さらに、患者は、ベースライン来院前の少なくとも7日間および試験参加を通して1日2回、添加剤を含まない、基本的な商標の皮膚軟化剤の安定用量を適用することが必要であった。患者は、IVRSまたはIWRSを用いて試験中のバックグラウンド処置のコンプライアンスを 報告した。このシステムは、患者に、皮膚軟化剤使用に関する以下の質問:「あなたは皮膚の 罹患領域に試験医師によって認可された保湿剤を使用しましたか?」に答えるよう促すものであった。 【0365】D.安全性評価有害事象および重篤な有害事象をモニタリングすることにより、試験を通して安全性を評価 した。 【0366】有害事象(AE)は、医薬品を投与された対象または臨床調査対象における任意の望ましくない医学的出来事である。AEは、従って、医薬品の使用と時間的に関連のある、あらゆる好ましくない、意図しない徴候(例えば、検査所見異常)、症状、または疾患であってよく、医 薬(被験)品との因果関係の有無は問わない。AEはまた、試験薬物の使用と時間的に関連する元々存在する状態の任意の悪化(すなわち、頻度および/または強度の任意の臨床的に意義のある変化);試験責任医師によって臨床的に意義があると考えられる検査所見異常;ならびに 物の使用と時間的に関連する元々存在する状態の任意の悪化(すなわち、頻度および/または強度の任意の臨床的に意義のある変化);試験責任医師によって臨床的に意義があると考えられる検査所見異常;ならびに任意の望ましくない医学的出来事も含む。 【0367】 重篤な有害事象(SAE)は、任意の用量で死亡をもたらす;命を脅かす;入院患者の入院もしくは存在する入院の延長を必要とする;持続的もしくは有意な身体障害/無能をもたらす;先天異常/出生異常である;または重要な医学的事象である、あらゆる望ましくない医学的出来事である。 【0368】 さらに、検査値安全性変数、バイタルサイン変数、12誘導心電図(ECG)変数、および身体診察変数を、試験を通して測定した。 【0369】臨床検査データは、血液検査、血液化学検査および尿検査からなる。血液検査のための血液試料を、試験来院毎に採取した;血清化学検査のための血液試料および尿検査のための尿試料 を、スクリーニング時、1日目/ベースライン(投与前)、15日目、29日目、43日目、 57日目、71日目、85日目、99日目、113日目、141日目、169日目、および197日目(試験最終日)または対象が試験を中止した場合、早期終結時に全体的な患者の健康を測定するために採取した。 【0370】バイタルサインパラメータとしては、呼吸数(bpm)、脈拍数(bpm)、収縮期および拡 張期血圧(mmHg)ならびに体温(℃)が挙げられる。バイタルサインを、スクリーニング時および1日目/ベースライン(投与前、投与日)、ならびに8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78、85、99、113、141、169、および197日目(試験最終日)または早期終結 よび1日目/ベースライン(投与前、投与日)、ならびに8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78、85、99、113、141、169、および197日目(試験最終日)または早期終結時に収集した。バイタルサインを、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目の試験薬物投与後、注射後1およ び2時間で取った。 【0371】12誘導ECGパラメータとしては、心室HR、PR間隔、QRS間隔、補正されたQT間隔(QTcF=QT/[RR0.33]およびQTcB=QT/[RR0.5])ECG状態:正常、臨床的に意義のない異常または臨床的に意義のある異常が挙げられる。標準的な12誘導EC Gを、スクリーニング時、141日目、および197日目(試験最終日)または早期終結時に実施した。 【0372】研究試料(血清/RNA/血漿)を、スクリーニング時および1日目/ベースライン(投与前)、ならびに8、15、22、29、57、85、および197日目(試験最終日)または 早期終結時、ならびにスケジュールにない来院時に採取した。 【0373】徹底的、完全な身体診察を、スクリーニング時、85日目、および197日目(試験最終日)または早期終結時に実施した。 【0374】 E.データ分析 1.探索的効能変数の分析全分類変数を、名目上のp値および報告された信頼区間を用いるFisherの直接確率検定を用いて分析した。全ての連続変数を、ベースラインIgE層(スクリーニング来院時に<150kU/L対≧150kU/L)を用いる共分散分析(ANCOVA)により分析した。 別途特定されない限り、連続尺度のベースラインからの変化の評価および信頼区間の構築は、 主 ーニング来院時に<150kU/L対≧150kU/L)を用いる共分散分析(ANCOVA)により分析した。 別途特定されない限り、連続尺度のベースラインからの変化の評価および信頼区間の構築は、 主要因としての処置および共変量としてのベースライン値を含むANCOVAモデルに基づくものであった。2つの処置群間のベースラインからの調整された平均変化の差異の点推定値および95%CIを提供した。欠測値を、最終観察繰越(LOCF)法により帰属させる。モデル仮定が保証されない事象においては、共変量の順位に基づく分析を用いる。 【0375】 2.安全性データの分析安全性分析は、報告されたAE、臨床検査評価、バイタルサイン、および12誘導ECGに基づく。検査変数、バイタルサインおよびECGにおける潜在的に臨床的に意義のある値(PCSV)の閾値は、SAPで定義される。任意の事象または異常を検出するための時間間隔は、試験医薬の注入と試験の終わりの間である。この間隔の外側で収集されたデータは、記述統計 学の計算ならびに検査値の評価、バイタルサインおよびECGに関する異常の同定から除外される。 【0376】F.安全性:結果mAb1は一般に好ましい安全性プロファイルで良好に忍容された。全体的な有害事象(A E)プロファイルは、健康な集団に特徴的なものであった。死亡は報告されなかった。SAEを示した患者は8人であり、そのうちの1人はmAb1群(顔面骨骨折)にあり、7人はプラセボ群(狭心症、蜂巣炎、ヘルペス性湿疹、皮膚細菌感染、腎不全、喘息による危機、肺障害およびアトピー性皮膚炎)にあった。試験薬物の中止をもたらすTEAEを示した患者は8人であり、そのうちの1人はmAb1群にあり、7人はプラセボ群にあった。少なくとも1つの 、喘息による危機、肺障害およびアトピー性皮膚炎)にあった。試験薬物の中止をもたらすTEAEを示した患者は8人であり、そのうちの1人はmAb1群にあり、7人はプラセボ群にあった。少なくとも1つの TEAEを示した患者は87人(mAb1群のn=43人[78.2%]とプラセボ群の44 人[81.5%])であった。最も頻繁なTEAEは、mAb1を投与された対象における鼻咽頭炎感染であった(n=22人[40%]とプラセボの10人[18.5%])。処置群における他のTEAEは、眼の感染、神経系障害、および一般的な障害ならびに投与部位状態を含んでいた。その他の臨床的に意義のある臨床検査結果(血液化学検査、血液検査、または尿検査)は試験中に報告されなかった。あらゆる検査パラメータの平均/中央ベースラインにおけ る傾向は認められなかった。試験を通して体温または脈拍のベースラインからの平均または中央変化に有意な傾向はなかった。身体診察結果、ECGまたはバイタルサインに関する臨床的に意義のある異常は認められなかった。 【0377】中等度から重度のADを有する成人患者へのmAb1の皮下投与は、一般に安全であり、良 好に忍容された。 【0378】G.効能:結果試験から得られたベースラインおよび探索的効能結果を、図23~33および表27~35にまとめる。上記のように、患者を12週間にわたって週1回、300mgの皮下mAb1、 またはプラセボで処置した。 【0379】【表38】 【0380】【表39】 【0381】【表40】 【0382】【表41】 【0383】【表 【0380】【表39】 【0381】【表40】 【0382】【表41】 【0383】【表42】 【0384】【表43】 【0385】【表44】 【0386】【表45】 【0387】【表46】 【0388】【表47】 【0389】H.結論 中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者への抗IL-4R抗体(mAb1)の皮下投与は、12週間の300mgの投与後に一般に安全であり、良好に忍容された。300mgでのmAb1の投与は、ベースラインと比較した場合、平均ならびに絶対変化および変化率の両方において85日目までにIGA、EASI、BSA、SCORADおよびNRS掻痒感の有意な改善をもたらした(表27~33を参照されたい)。300mg群について85日 目で0または1のIGAスコアを達成する患者の割合は40.0%であったが、プラセボに関する同じ数は7.4%であった(表34)。85日目で、EASIスコアの50%の低下率(「EASI-50」)を達成した患者の割合は、300mg群については85.5%であったが、85日目でのプラセボ処置された患者のEASI-50は35.2%であった(表35)。 mAb1のベースラインから12週目までのEASIスコアの変化率は、プラセボ群とは統計 的有意差があった(-74.0%と-23.0%、p値<0.0001)。処置群は、全ての副次的効能評価項目においてプラセボ群と統計的に有意に異なっていた。以下は、それぞれ、IGA応答者(0または1)(<0.0 があった(-74.0%と-23.0%、p値<0.0001)。処置群は、全ての副次的効能評価項目においてプラセボ群と統計的に有意に異なっていた。以下は、それぞれ、IGA応答者(0または1)(<0.0001)、EASI応答者(<0.0001)、ベースラインからのEASI絶対変化(<0.0001)、ベースラインからのIGAの絶対変化 (<0.0001)、ベースラインからのIGAの変化率(<0.0001)、BSAの絶対変化(<0.0001)、SCORADの絶対変化(<0.0001)、掻痒感NRSの絶対変化(<0.0001)、およびベースラインから12週目までの5-D掻痒感スケールの絶対変化(<0.0001)のp値であった。 【0414】 〔実施例12〕バイオマーカー分析バイオマーカー分析を、mAb1の臨床試験に参加した対象から取得した試料に対して行った。特に、IgEならびに胸腺および活性化ケモカイン(TARC)レベルを、ベースライン時に、および試験処置の開始後の様々な時点で患者由来試料中で測定した。Phadiato p(商標)試験を行って、抗原特異的IgEを検出した。さらに、分子プロファイリングを、mAb1の臨床試験に参加した患者の皮膚病変に対して実行した。 【0420】B.アトピー性皮膚炎を有する対象へのmAb1の投与バイオマーカーレベルを、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象を含む2つの別々の臨床 試験に由来する試料においても測定した。「試験A」において、AD対象に、試験の1、8、15および22日目(すなわち、4回の週用量)に、mAb1(75、150もしくは300mg)またはプラセボのいずれかを投与した。「試験B」においては、AD対象に、試験の1、8、15および22日目(すなわち、4回の 日目(すなわち、4回の週用量)に、mAb1(75、150もしくは300mg)またはプラセボのいずれかを投与した。「試験B」においては、AD対象に、試験の1、8、15および22日目(すなわち、4回の週用量)に、150mgもしくは300mgのmAb1、またはプラセボを投与した(本明細書の実施例7を参照されたい)。両試験に関する 全ての投与は、皮下(SC)であった。バイオマーカー分析のために試料を、1日目(ベースライン)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71および85日目(または早期終結時)に、両試験に由来する抗体およびプラセボ処置対象から採取した。 IgE、TARC、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、および抗原特異的IgE(Phadiatop)のレベルを、各試料中で測定した。 【0421】 血清TARCを、検証されたアッセイ(Human CCL17/TARC Quantikine ELISAキット、R&D Systems;Quest Diagnosticsにより行われた検証およびアッセイ)を用いて測定した。総血清IgEレベルを、ImmunoCAP(登録商標)Total IgEテスト(Thermo ScientificFDA認可テスト;Quest Diagnosticsにより行われた)を用いて決定した。 乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を、Roche Modularテスト(FDA認可;Covance Central Laboratoriesにより行われた)を用いて測定した。 Phadiatop(登録商標)(Thermo Scientific FDA認可テスト)アッセイは、Viracor-IBTにより行われた。2サンプル中央テストを用いて、mAb1に関するベ した。 Phadiatop(登録商標)(Thermo Scientific FDA認可テスト)アッセイは、Viracor-IBTにより行われた。2サンプル中央テストを用いて、mAb1に関するベースラインからのバイオマーカー変化を、プラセボと比較した。 【0422】試験「B」に登録された全てのAD患者の血清TARC、総IgEおよびLDHの平均ベースラインレベルは、報告された正常上限値(ULN)よりも高かった(表47および図51)。 【0423】【表59】 【0424】平均ベースライン好酸球レベルは、参照範囲の上限であった(表47)。試験した利用できるデータを有する2人の患者を除く全ての患者が、Phadiatop試験で陽性であった。 これらの患者は両者とも、正常な総血清IgEレベルを有していた。Phadiatopの結果は、1人の患者について利用不可能であった。 【0425】ベースラインTARCおよびIgEの広いスペクトルが、登録された中等度から重度のAD集団において観察された。27/36の患者は1000pg/mLを超える血清TARCレベ ルを有していた(健康なボランティアについて報告された平均レベルの約2倍)(図51A)。 32/36人の患者は150kU/L以上のIgEレベルを有していた(外因性と内因性ADとを区別するために引用されたカットオフ)(図51B)。17/37人は、234U/Lを超えるLDHレベルを有していた(図51C)。100U/Lを下回るLDHレベルを有する患者はいなかった。 【0426】局所線形回帰を用いて、両用量群においてプラセボと比較した、総血清IgEに対する全体的なmAb1処置効果(ベースラインからの変化率)を、観察した(p<0.0001) た。 【0426】局所線形回帰を用いて、両用量群においてプラセボと比較した、総血清IgEに対する全体的なmAb1処置効果(ベースラインからの変化率)を、観察した(p<0.0001)(図52)。総血清IgEレベルはmAb1処置について減少したが、プラセボ処置群においては試験最終日で全体的な増加が観察された。 【0427】試験AとBの両方(組み合わせたデータ)に由来する各群のベースラインからのIgEレベルの中央変化率を、表48にまとめる。 【0428】【表60】 【0429】表48および図52に示されるように、IgEの統計的に有意な減少が、プラセボと比較し てmAb1処置対象に由来する試料中で観察された。85日目でのIgEの中央変化率は、プラセボ群の41.7%の増加と比較して、300mgのmAb1で処置した患者において-23.9%であった(p<0.0001)。プラセボと比較した150mg群におけるベースラインからの中央変化率は、29~85日目の全ての時点で有意であった(p<0.03)。プラセボと比較した300mg群におけるベースラインからの中央変化率は、15~85日目の 全ての時点で有意であった(p<0.04)。 【0430】局所線形回帰を用いて、LDHについて全体的な処置効果を観察した。300mg処置群においてLDHの統計的に有意な減少があった(p=0.0051)(図53)。任意の単一の時点では中央変化率は統計的に有意ではなかったが、時間的傾向が観察された(p=0.00 8)。 【0431】mAb1処置は、AD患者において血清TARCレベルを迅速に抑制した(図54)。両試験(組合せたデータ)に由来する各群に関するベースライ =0.00 8)。 【0431】mAb1処置は、AD患者において血清TARCレベルを迅速に抑制した(図54)。両試験(組合せたデータ)に由来する各群に関するベースラインからのTARCレベルの中央変化率を、表49にまとめる。 【0432】【表61】 【0433】プラセボと比較して300mgのmAb1で処置した患者において、血清TARCの統計的 に有意な減少が観察された(p<0.0001;局所線形回帰分析)。最後の用量(試験の21日目に投与された)のおよそ1カ月後に、300mg mAb1で処置された患者において50日目まで統計的に有意な抑制が維持された。150mg群は同等の規模の抑制を達成したが、レベルは300mg群においてより素早く増加することが観察された。150mg群(p<0.03)において36および43日目で、ならびに300mg群(p<0.04)につい ては22、25、29、36、および50日目で、統計的に有意な抑制(プラセボと比較した ベースラインからのTARCの中央変化率)が観察された。 【0434】TARCレベルの患者内変動性が、プラセボ処置患者において試験の経過にわたって観察された。プラセボ処置群における高い脱落率のため、試験の終わりで利用可能であったのは、4人のその群の患者からのデータだけであった。 【0435】結論として、Th2浸潤および/またはAD疾患活動性と関連するTARC、IgEおよびLDHバイオマーカーは、AD患者におけるmAb1処置によって全て抑制された。mAb1は、プラセボと比較して、AD患者における血清TARCレベルを迅速に低下させた。抑制の持続期間は用量と関連すると考えられ、データはその効果が薬物を中止した後 Ab1処置によって全て抑制された。mAb1は、プラセボと比較して、AD患者における血清TARCレベルを迅速に低下させた。抑制の持続期間は用量と関連すると考えられ、データはその効果が薬物を中止した後も持続し得るこ とを示唆していた。総血清IgEレベルはmAb1処置された患者において有意に減少した。 IgEは300mg群において処置期の後に減少し続けた(中央変化率)が、これは最大のIgE抑制がまだ達成されていないことを示唆している。ベースラインからのLDHレベルの一貫した低下は、mAb1で処置された患者において観察された。LDHとIL-4およびIL-13との直接的な関係は不明であるが、疾患重症度とのその関連は、LDHがAD患者にお ける皮膚損傷の程度の尺度であり得ることを示唆していた。TARCおよびIgEの抑制は、mAb1がTh2炎症の強力な阻害剤であることを示していた。 【0436】バイオマーカーおよびAD関連パラメータ間の相関試験「B」(実施例7を参照されたい)において、重度のADを有する患者に、4週間にわ たって150もしくは300mgのmAb1またはプラセボ(PBO)を投与した。1日2回の掻痒感数値評価スケール(NRS;0~10の範囲)を用いて掻痒感を測定して、平均週NRSスコアおよび2週間毎の5-D掻痒感スケール評価を作成した。5-Dスケールは、複数の次元の痒み:程度、持続期間、方向、身体障害、および分布を評価するために用いられる5つの質問のツールである。平均ベースラインNRSおよび5-Dスコアは、それぞれ、5.5 および19であった。平均週NRSスコアは、300mg群において2週目で31.9%(p <0.02)に、および7週目で55.2%(p=0.01)、迅速に低下した(ベースラインか および19であった。平均週NRSスコアは、300mg群において2週目で31.9%(p <0.02)に、および7週目で55.2%(p=0.01)、迅速に低下した(ベースラインからの平均変化率)のに対して、PBO群においてはそれぞれ+1.3%および-17. 3%であった。5-Dスコアの迅速な低下は、300mgのmAb1で処置した患者においても観察された(15日目で-28.2%の平均変化率、p=0.0009;29日目で-37. 1%、p=0.0007;43日目で-42.5%、p=0.012;PBP群においては、 それぞれ+3.6%、+8.1%および-9.4%)。IL4/IL13活性のマーカーであるCCL17の血清レベルも、処置の際に迅速に低下した。CCL17と掻痒感は両方とも、処置が終わった後も数週間にわたって抑制された。表50は、掻痒感(5DおよびNRS)と、皮膚炎(EASI)およびCCL17の転帰との相関を示す。 【0437】 【表62】 【0438】全体として、全ての処置群について、5Dスコアはこの試験においてCCL17(ベースライン時でr=0.46、p=0.004;29日目でr=0.55、p=0.002)および EASIスコア(ベースライン時でr=0.41、p=0.011;29日目で0.62、p<0.0001)と有意に相関した。5Dの変化率は、15および29日目に全体の処置群についてEASI(15日目でr=0.65、p<0.0001;および29日目でr=0.61、p<0.0001)ならびにCCL17(15日目でr=0.46、p=0.0089;および29日目でr=0.48、p=0.0105)のベースラインからの変化率と有意に相 関した。また、処置群を、掻痒感5DとEASIおよびCCL 17(15日目でr=0.46、p=0.0089;および29日目でr=0.48、p=0.0105)のベースラインからの変化率と有意に相 関した。また、処置群を、掻痒感5DとEASIおよびCCL17との相関について個別に評 価した。15日目で、150mg群のみが、EASIの変化率と5Dの変化率との強く有意な相関を示した(r=0.81、p=0.0005)。同様に、29日目では、有意な相関は150mg群についてのみであった(r=0.57、p=0.0036)。15日目および29日目の両方において、CCL17の変化率と5Dスコアの変化率との間に有意な全体的相関があったが、個々の処置群はいずれも、それぞれの日でそのような相関を示さなかった。 【0439】NRSを用いて評価された掻痒感の重症度は、EASIとの中程度から強い相関を示したが、これは有意であった。しかしながら、NRS値はベースライン時でのみCCL17値と相関し、ベースラインからの変化率については有意な相関はなかった。mAb1で処置された成人AD患者において観察された掻痒感の迅速かつ持続的な改善は、IL-4/IL-13シグナリン グがAD掻痒感にとって重要な機構であることを示唆している。掻痒感とCCL17レベルとの相関は、重度のADにおけるIL-4/IL-13により媒介される炎症、AD疾患活動性および掻痒感の間の関係を強調するものである。 【0440】C.中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する対象へのmAB1の反復投与 中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を有する対象を含む臨床試験に由来する試料中で、IgEおよびTARCレベルを測定した。AD対象に、試験の1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目に(すな 膚炎(AD)を有する対象を含む臨床試験に由来する試料中で、IgEおよびTARCレベルを測定した。AD対象に、試験の1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目に(すなわち、12回の週用量)、300mgのmAb1またはプラセボを投与した(本明細書の実施例10を参照されたい)。両試験に関する全ての投与は、皮下(SC)であった。バイオマーカー分析のための血清試料を、 1日目(ベースライン)、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85、99、113、127、141、155、169、183および197日目(試験最終日)または早期終結時に両試験に由来する抗体およびプラセボで処置された対象から採取した。IgE、TARCおよび抗原特異的IgE(Phadiatop(商標)試験)のレベルを、各試料において測定した。 【0441】 TARCは、ADの疾患重症度と強く関係し、疾患の発症に関与し得ることが示されているIL-4/IL-13により誘導されるケモカインである。ベースラインTARCレベルを、処置応答に関する潜在的な予測値について評価した。処置後の試料を、TARCに対するmAb1の薬力学的効果について評価した。 【0442】 ADを有する患者は、IgEが上昇することが多い。総IgEレベルはAD重症度と相関し、疾患の発症に関与し得ることがわかっている。ベースラインIgEレベルを、処置応答に関する潜在的な予測値について評価した。処置後の試料を、総IgEに対するmAb1の薬力学的効果について評価した。 【0443】 Phadiatop(商標)試験は、一般的な吸入抗原に対する抗原特異的IgEを検出するために用いられるin vitro診断スクリーニン 薬力学的効果について評価した。 【0443】 Phadiatop(商標)試験は、一般的な吸入抗原に対する抗原特異的IgEを検出するために用いられるin vitro診断スクリーニングツールである。Phadiatop(商標)試験のベースライン結果を、処置応答に関する潜在的な予測値について評価した。処置後の試料を、Phadiatop(商標)抗原パネルに対するmAb1の薬力学的効果について評価した。 【0444】初期の臨床試験から得られた結果と一致して(上記のセクションAおよびBを参照されたい)、TARCおよびIgEレベルは低下し、16週間の処置後フォローアップ期間までベースラインより下に抑制されたままであった(図55~56)。 【0445】 4週間のmAb1と比較して、16週間のフォローアップ中の12週間の300mgのmAb1処置について、より大規模のIgE抑制が観察された(-57%の中央値)。TARC抑制の規模は、12週間(-83%の中央値)および週間(-76%の中央値)のmAb1処置後の処置終了時に同等であった。
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